説明

試料表面を検査する方法、装置、及び蛍光材料の使用

本発明は試料表面を検査する方法に関する。この方法は、試料表面に向けて誘導される複数の一次ビームを発生するステップと、複数の一次ビームを、試料表面上のそれぞれの位置に集束させるステップと、一次ビームが入射するとすぐ、試料表面から発生する荷電粒子の、複数の二次ビームを収集するステップと、収集された二次ビームの少なくとも1つを光学ビームに変換するステップと、光学ビームを検出するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料表面に向けて誘導(direct)される複数の一次ビームを発生するステップと、複数の一次ビームを、試料表面上のそれぞれの位置(loci)上に集束させるステップと、一次ビームが入射するとすぐ、試料表面から発生する荷電粒子の、複数の二次ビームを収集するステップとを含む、試料表面を検査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる方法は、例えば、米国特許第6465783号から知られており、この特許は、平行な荷電粒子ビーム、例えば電子ビームを用いて、半導体ウェハや、マスク等の他のタイプの試料を検査する方法及び装置を開示している。複数の荷電粒子ビーム・エミッタを含むエミッタ・アレイが、ほぼ平行な方向に沿って伝播する複数の一次ビームを発生する。これらの一次ビームは、複数の投影レンズを同時に通過し、それにより、これらのビームは、試料表面上のそれぞれの位置上に集束されることになり、従って、各位置が、後方散乱及び/又は二次電子、すなわち、二次工程によって発生される電子を発することになる。これらの後方散乱及び/又は二次電子は、複数の検知器ユニットを含む二次電子アレイによって収集され、検出される。各検知器ユニットは、それぞれの位置から発せられた二次電子を収集し検出して、半導体ウェハ又は他のタイプの試料の表面から情報を得る。
【0003】
集積回路の製造中、様々な段階で基板に欠陥がないかどうか検査する必要がある。検査ツールは、半導体製造プロセスにおいて、歩留りを向上させるために不可欠である。検査機の諸要件については、国際的に認定された文献に規定されており、これらの文献は、今後数年間での更なる感度の向上を指示している(dictate)。
【0004】
実際上、光学顕微鏡検査法の解像度限界の影響を受けることのない、良く知られた検査方法は、走査電子ビームを用いて、半導体産業で作成されたウェハを検査する検査技術である。従来の電子ビーム検査機では、試料全体にわたるラスタ走査が、単一の集束電子プローブを用いて実施される。電子プローブで照射されるとすぐ、基板は、入射点から後方散乱電子と二次電子とを発し、これらの電子は、その後、電子検出器によって検出されることができ、どのような欠陥の存在も、後方散乱又は二次電子から得られるパターンから決定されることができる。電子検出器は、一般に、電子を収集するシンチレータと、光子を案内する光導波路(light guide)と、光子検出器とを備える。
【0005】
かかる単一の電子ビーム・システムの解像能力は、光学技術の解像能力を上回るものであるが、ウェハ当たりの走査時間が長いため、スループットが非常に低くなる。同じ電流を維持しながらより高速に走査すると、信号対雑音比が極端に(prohibitive)低減することになるため、より高い生産性は、電流を増大させることによってしか得られない。しかし、電流を増大させると、電子ビーム中のクーロン相互作用(電子の相互斥力)によって、プローブの実施可能な最小寸法が増大するため、解像度が犠牲となってしまう。従って、走査プローブの電流量は制限されることになり、その結果、電子ビーム・システムの走査速度は、望ましくない値まで低減することになる。
【0006】
従って、単一の電子ビームを用いた技術は、半導体産業の製造レベル検査には非実用的である。その代わりに、この技術は、より高い解像度で検査されなければならない単一欠陥の補助的な欠陥検査に使用される。
【0007】
最小の信号対雑音比が求められるという条件から、検査技術の生産性は、解像度を維持しながら検出され得る電流に比例することが分かる。従って、例えば米国特許第6465783号に開示されているように、単一ビーム検査機の生産性は、複数の電子ビームを平行に使用することによって増大され得る。単純に、機械に10本のビームを用いると、その生産性は10倍程も増大することになる。実際上の問題は無視して、基板(例えば300mmのウェハ)のフットプリント(footprint)が、できるだけ多くの個々のビームで占められる場合、多ビーム・システムの生産性は最も高くなる。実際のシステムでは、検査領域は、300mmよりもかなり小さくなければならない。より小さい領域は、こうした生産性強化を、ウェハの小さい領域、例えば単一のダイにわたって十分に利用する可能性を与える。より広い領域は、ビームのいくつかが、検査工程の効率化に使用されないという望ましくない副次的作用をもたらす。従って、同数のビームを有する、2つの異なる多ビーム・システム間で選択する場合、より小さいフットプリントを有する方が、好ましいシステムである。かかるシステムでは、様々な検出器間でのクロストークが無視され得るように、各ビームがそれ自体の電子検出器を有することが重要である。こうした多数性(multiplicity)を制限している要因の1つは、特に一次ビームが多数ある場合、電子検出器と、二次電子ビームに含まれる電子情報を転送(transport)する電気手段との寸法である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、プリアンブルに記載の方法を提供し、それによって、上記で特定された欠点が低減されることである。特に、本発明は、多数性における制限が低減された、試料表面を検査する方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、試料表面に向けて誘導される複数の一次ビームを発生するステップと、複数の一次ビームを、試料表面上のそれぞれの位置上に集束させるステップと、一次ビームが入射するとすぐ、試料表面から発生する荷電粒子の、複数の二次ビームを収集するステップと、収集された二次ビームの少なくとも1つを光学ビームに変換するステップと、光学ビームを検出するステップとを含む、試料表面を検査する方法が提供される。
【0010】
収集された二次ビームの少なくとも1つを光学ビームに変換することと、その光学ビームを検出することとによって、もはや、二次ビームの干渉が最小となる試料表面付近の位置で二次ビームを検出する必要がなくなる。また、光学ビームの特性は、別の位置で決定されることができるので、二次ビームに元々存在する情報を取り出すのに、より多くの空間が利用可能となり、従って、データ転送手段を含む検出系に関し、より多くの自由が得られる。一方、二次粒子ビームによって運ばれた情報は、よりコンパクトに(compactly)検出され得る。従って、複数の一次ビームは、互いに近接して配置されることができ、それによって、従来の検査方法の多数性における制限を低減させ、且つ検査装置の生産性を高めることになる。
【0011】
本願の例では、試料表面は、試料の境界面の直ぐ下にある材料を含めて、試料の上面層を包含することに留意されたい。
【0012】
更に、本発明による方法の変換ステップから得られる光学ビームは、少なくとも初めは、非導波性容積又は領域を伝播することにも留意されたい。この非導波性容積は、構造体を含んでもよい。この非導波性容積は、自由空間を含んでもよい。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によれば、検出ステップは、光学検出器を用いて光学ビームを検出することを含み、また、変換ステップは、平面で収集された二次ビームの少なくとも1つを光学ビームに変換することを含み、この光学ビームは、自由空間を介して結像され、この光学ビームは、一次ビームの少なくとも1つを横切って、光学検出器が配置された平面上に達する。このようにして、一次ビームが光学信号に変換され、光学信号が生成される平面が、一次ビームを遮断せずに、自由空間を介して、光学検出器を備えた平面上に結像される。更に、一次ビームは、互いにより近接して配置されることができ、従って、検出器が、利用可能な限られた空間内で互いにより近接して配置される必要なく、生産性を増大させることになる。
【0014】
本発明による好ましい実施形態では、収集された二次ビームを光学ビームに変換するステップは、蛍光材料によって実施される。有利なことに、蛍光材料は、個々の一次ビーム間の最小間隔に関して要件を課さない。従って、一次ビーム間の間隔は、最小限に抑えられることができる。更に、この変換ステップは、比較的安価に実現され得る。更に他の実施形態では、蛍光材料は、複数の一次ビームのエミッタと試料表面との間に配設され、この蛍光材料は、一次ビームが通過することを可能とするように配置される。このようにして、検査装置内の空間の使用が改善される。他の実施形態では、マイクロ・チャネル・プレート(MCP)が、一次ビームが通過することを可能とするように配置され、このマイクロ・チャネル・プレートは、試料と変換手段との間に配設される。このようにして、二次ビームの電流が増大され、従って、光学ビームの信号を増大させることになる。本発明の他の好ましい実施形態では、光学ビームを検出するステップは、複数の一次ビームによって横切られる空間を取り囲む容積の外部にある検出領域において実施される。このようにして、光学ビームが、実質的に干渉を受けずに、一次ビームを通過することができるということから利点が得られ、従って、光学ビームは、一次ビームの幾何形状によって決定される条件によって制限されることのない領域において検出されることができる。従って、一次ビームは、互いに更に近接して配置されることができ、その結果、更に高速な検査方法及び装置が得られる。
【0015】
また、上述された実施形態では、検出手段から更なる処理及び解釈(interpret)手段へのデータ転送システムを設計する際の問題が低減されることにも留意されたい。検査装置に所望される走査速度により、同軸ケーブル等の高速データ接続手段が必要とされることがあり、これらの同軸ケーブルは、従来の多ビーム装置において、個々のビーム間の最小間隔を制限し得るものである。複数の一次ビームによって横切られる空間によって取り囲まれた容積の外部にある検出領域において、光学ビームを検出することによって、高速データ接続に関する設計パラメータが緩和され、従って、個々の一次ビーム間の間隔を更に小さくすることが可能となる。
【0016】
例えばレンズ系を用いて、検出領域にある検出系に光学ビームを集束させることによって、光学ビームの検出はより正確に実施されることができ、それによって、検査方法及び装置の性能を向上させることになる。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、試料表面に向けて誘導される複数の一次ビームを発するように配置された少なくとも1つのエミッタと、複数の一次ビームを、試料表面上のそれぞれの位置上に集束させるように配置された集束手段と、一次ビームが入射するとすぐ、試料表面から発生する荷電粒子の、複数の二次ビームを収集する収集手段と、収集された二次ビームの少なくとも1つを光学ビームに変換する変換手段と、光学ビームを検出する検出手段とを備える、試料表面を検査する装置が提供される。
【0018】
本発明の第3の態様によれば、収集された二次粒子ビームを光学ビームに変換する、請求項1に記載の試料表面を検査する方法における、蛍光材料の使用が提供される。
【0019】
本発明の第4の態様によれば、試料表面に向けて誘導される複数の一次ビームを発生するステップと、複数の一次ビームを、試料表面上のそれぞれの位置上に集束させるステップと、一次ビームが入射するとすぐ、試料表面から発生する荷電粒子の、複数の二次ビームを収集するステップと、収集された二次ビームの少なくとも1つを、電子信号に直接変換するステップとを含む、試料表面を検査する方法が提供される。
【0020】
本発明の第5の態様によれば、試料表面に向けて誘導される複数の一次ビームを発するように配置された少なくとも1つのエミッタと、複数の一次ビームを、試料表面上のそれぞれの位置上に集束させるように配置された集束手段と、一次ビームが入射するとすぐ、試料表面から発生する荷電粒子の、複数の二次ビームを収集する収集手段と、収集された二次ビームの少なくとも1つを、電子信号に直接変換する変換手段とを備える、試料表面を検査する装置が提供される。
【0021】
本発明の第6の態様によれば、
・試料表面に向けて誘導される1つ又は複数の一次ビームを発生するステップと、
・1つ又は複数の一次ビームが入射するとすぐ、試料表面から発生する荷電粒子の、1つ又は複数の二次ビームを収集するステップと、
・収集された二次ビームの少なくとも1つを光学ビームに変換するステップと、
・光学ビームを検出器に誘導するステップと、
・光学ビームを検出するステップとを含む、試料表面を検査する方法が提供される。
【0022】
本発明の第7の態様によれば、
・試料表面に向けて誘導される1つ又は複数の一次ビームを発するように配置された1つ又は複数のエミッタと、
・1つ又は複数の一次ビームが入射するとすぐ、試料表面から発生する荷電粒子の、1つ又は複数の二次ビームを収集する収集手段と、
・収集された二次ビームの少なくとも1つを光学ビームに変換する変換手段と、
・光学ビームを検出手段に向けて誘導する誘導手段と、
・光学ビームを検出する検出手段とを備える、試料表面を検査する装置が提供される。
【0023】
本発明の第8の態様によれば、請求項33乃至54のいずれかに記載の検査装置に使用する蛍光プレートが提供される。
【0024】
本発明の第9の態様によれば、請求項33乃至54のいずれかに記載の検査装置に使用する蛍光プレートと、誘導手段とが提供される。
【0025】
本発明の第10の態様によれば、試料表面と変換手段との間に配設され、一次ビームを、信号を有する変換済みビームに変換するマイクロ・チャネル・プレート(MCP)の使用が提供され、マイクロ・チャネル・プレート(MCP)は、一次ビームが、変換済みビームの信号を増大させるように、マイクロ・チャネル・プレートを通過することが可能となるように構築される。
【0026】
本発明によるその他の有利な実施形態は、冒頭の特許請求の範囲に記載されている。
【0027】
添付の図面を参照して、本発明の実施形態が単なる例によって以下に説明される。
【0028】
同様の参照符号は同様の要素を参照する。
【0029】
これらの図は、本発明による好ましい実施形態の単なる概略図にすぎない。これらの図において、同等又は対応する部分は、同じ照合番号によって参照される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、本発明の第1の実施形態による、試料表面を検査する装置1の概略図を示す。この検査装置1は、使用時に、複数の一次電子ビーム5を発する電子エミッタ2を備え、これらの複数の一次電子ビーム5は、装置1のテーブル(図示されず)上に配設された試料4の表面3に向けて誘導される。更に、検査装置1は、複数の一次ビーム5を試料表面3上のそれぞれの位置7上に集束させる、縦続配置された(a cascade of)レンズ6を備えた電子レンズ系として実施される集束手段を備える。電子エミッタ2と試料表面3との間にある、複数の一次ビーム5の焦点面Aの1つに、蛍光材料を含んだ薄いシート状のプレート8が配設されている。この薄状シート8は開口9を備え、従って、一次ビーム5が通過することが可能となっている。プレート8を焦点面Aの1つに配置することによって、開口の寸法が最小のままとなり得、従って、後述されるように、二次電子ビームを光学ビームに変換するのに、最大の表面を利用できることになる。代替実施形態では、プレート8は、焦点面Aの下に配設される。このようにして、二次ビームの重なり(overlap)が、更に低減されるか、又は回避される。更に他の実施形態では、プレート8は、焦点面Aの上に配設される。このようにして、追加のビーム走査又は集束手段のために、より多くの空間が利用可能となる。
【0031】
一次ビーム5が、試料表面3上のそれぞれの位置7上に入射するとすぐ、複数の二次ビーム10を形成する二次電子と後方散乱電子とが、試料表面3から発生する。二次ビーム10は、開口9には集束されず、開口9を通過するのではなく、プレート8に当たり、このプレート8は、電子を収集し、二次ビーム10を光学ビーム11に変換し、この光学ビーム11は、光学レンズ系12によって、光検出器13のアレイとして実施される検出手段に集束される。一実施形態では、この光学ビームは光学検出器を用いて検出される。更に、この変換は、平面で収集された二次ビームの少なくとも1つを光学ビームに変換することを含む。この光学ビームは、自由空間を介して、光学検出器が配置された平面上に結像される。更に、この光学ビームは、複数の一次ビームの少なくとも1つを横切ってもよい。
【0032】
光検出器13のアレイで検出された信号を解釈することによって、試料表面3の位置7からの情報が明らかにされ得る。検査装置1は、チップの製造中、又は、製造ステップ完了後、検査ツールとして使用されることができる。一次ビーム5が集束される位置7を調節することによって、検査装置は、試料表面3を全体的に、又は部分的に走査することができる。位置7の調節は、例えば、試料4を動かすことによって、且つ/又は一次ビーム5の位置を変える(reposition)ことによって実施されることができる。
【0033】
集束手段のレンズ6は、伝導開口プレート(conducting aperture plate)を備えるマイクロレンズとして実施されてもよい。これらは、標準のマイクロ機械加工製造技術を使用して製造されることができる。しかし、集束手段はまた、磁石コイルによって生成される磁界を含んでもよい。
【0034】
好ましくは、二次ビーム10中の電子を加速させ、且つ様々な二次ビーム間での干渉又はクロストークを回避するために、試料表面3とプレート8との間に静電界が生成される。
【0035】
光学レンズ系12の焦点面の適切な選択によって、光学ビーム12の初期のビーム寸法D1は、光検出器13が配設された位置におけるビーム寸法D2とは異なることになる。例えば、光学ビーム12の初期のビーム寸法D1は、光検出器13が配置された位置におけるビーム寸法D2よりも小さくてよく、それによって、光学ビーム検出の質を向上させ、且つ/又は光検出器13のシステム要件を緩和させることになる。或いは、初期のビーム直径は、光検出器が配設された位置におけるビーム直径よりも大きくてもよい。代替形態として、光学ビーム12は、光ファイバ等の光導波路によって案内されてもよく、それによって、空間を確保(save)し、光検出器13の配置要件を緩和させることになる。また、当然ながら、光学レンズ系を光ファイバ構造体と組み合わせることも可能である。光検出器13のアレイは、CCDカメラを備える。しかし、代替実施形態では、検出手段は、別の形で、例えば、能動画素センサを備えた、又は備えないCMOS画像チップを用いて実施されてもよい。また、検出手段は、フォトダイオードを、光電子増倍管と組み合わせて、又はそれとは組み合わさずに備えていてもよい。
【0036】
好ましい実施形態では、一次ビーム間で最小間隔が実現されており、これは、二次ビーム10のビーム幅により、二次ビーム10の干渉が情報の消失をもたらすことが判明しているからである。言い換えれば、本発明の実施形態によれば、二次ビームは互いに別々に、すなわち二次ビーム間で実質的にどのような重なりもなく検出される。
【0037】
また、薄いシート状のプレート8は、蛍光材料の代わりに、他の燐光材料、又は、入射電子ビームを光学ビームに変換する特性を有する任意の材料、例えばYAG、YAP、NaI等のクリスタル・シンチレータ、若しくはプラスチック・シンチレータ等のシンチレーティング材料、又は、ガラス等の透明基板上の蛍光コーティング若しくは層等も含むことができる。また、二次ビーム10を光学ビーム11に変換するのに、蛍光材料を使用する代わりに、エレクトロクロミック膜、すなわち、電子ビーム放射に曝されると光学特性が変化する膜、又はLED若しくはレーザを駆動する電流検出器を利用することも可能である。エレクトロクロミック膜を利用する場合、コントラストは、エレクトロクロミック膜に当たる電子ビームの強度差によって決定されるが、信号は、膜で反射して光検出器13に向かう強い光源によって決定され得る。このように、二次ビーム10の、後方散乱又は二次電子の各入射ごとに、少数の光子を検出する問題は、解決される。エレクトロクロミック膜は、入射光の変調を組み込んだスマート・ウィンドウでの使用が知られている。LCDのような表示装置への利用を可能とする高速装置が、その他の可能性として挙げられる。
【0038】
また、焦点面Aの1つに薄状プレート8を配置する代わりに、プレート8を試料表面のより近くに配置することも可能であり、従って、二次ビーム10の重なりは低減されるか、又は更に回避されることになる。蛍光材料を有するプレート8は、二次ビーム10を収集する機能と、二次ビーム10を光学ビーム11に変換する機能とを一体にしていることに留意されたい。一例として、プレート8は、被覆蛍光層を支持するガラス・プレートを備える。しかし、例えば、個々の二次電子ビームを受け取る特性を向上させるための補助構造体を設けることによって、上述の機能を別々に実施することもまた可能である。一例として、この補助構造体は、隣接する二次ビーム10の電子を分離し、収集するように、試料表面3の方に延び、二次ビーム10を透過しない、プレート8上のストリップによって実施されることができる。更に、二次ビーム10の収集角度は、開口9間に配設された小型電極を用いることによって、又は、開口間に配設される、電気的に絶縁された(electrically isolated)部分を意図的に残すことによって、拡大されることができ、その結果、クロストークを低減させることになる。かかる構成を用いると、その絶縁された部分が充電し、その結果得られる電界(field)が、後方散乱電子を、最も近接した蛍光部位に向かわせる電子チャネルとして働く。
【0039】
この構造体がプレートである場合、一次ビーム5用の開口9は、穿設(drill)又はエッチングされることができる。このプレートは、好ましくは、機械的剛性を有するのに十分なほど厚い。このプレートは、最小直径に関する影響(repercussion)、従って、開口9の「検出器空間(detector spacing)」を有するものの、プレートの剛性は、区画化されたプレートを使用することによって改善されることができ、この区画化プレートは、比較的薄く、追加の支持を得るように格子状に埋め込まれることができる。代替形態として、プレート8は、他の形状を有してもよく、例えば、このプレート8は、湾曲面として構成されてもよい。例えば、このプレートは、ガラス材料、又は蛍光層若しくは蛍光材料を有するガラス製でもよい。
【0040】
図1に示される検査装置は、開口アレイ14を照明する単一の電子エミッタを備え、従って、複数の一次電子ビームを発する。電子エミッタのアレイを設けることによって、代替の構成が形成されてもよい。
【0041】
一実施形態では、マイクロ・チャネル・プレート(MCP)60が設けられる。マイクロ・チャネル・プレート60は、試料4と、蛍光スクリーン等の変換手段8との間に配置され得る。マイクロ・チャネル・プレート60は、光学ビーム11への変換前に、1つ(又は複数)の二次ビーム10の電流を増大させるように、1つ(又は複数)の一次ビーム5が通過することが可能となるように構築される。また、図2〜12に示される実施形態でも、マイクロ・チャネル・プレートが設けられてもよい。特に、図4に示される実施形態に、マイクロ・チャネル・プレート60が設けられてもよく、その場合、マイクロ・チャネル・プレート60は、電子信号への変換前に、1つ(又は複数)の二次ビーム10の電流を増大させるように設けられる。
【0042】
図2は、本発明の第2の実施形態による検査装置の概略図を示す。検査装置1は、複数の一次電子ビーム5を発する電子エミッタ2のアレイを備え、これらの一次電子ビーム5は、ほぼ均質な磁界によって集束される。複数の一次電子ビーム5は、蛍光材料を含む薄いシート状のプレート8にある開口9を通って伝播する。二次電子ビーム10が収集され、光学ビーム11に変換され、これらの光学ビーム11は、電子エミッタ2のアレイの方向に伝播し、エミッタ2の上に配設された光学的に透明な層15を通り抜ける。更に、光学ビーム11は、光学レンズ系12によって、CCDカメラ等の検出手段に集束される。また、この検出手段は、他のCCDセンサ及び/又はCMOS能動画素センサ、及び/又はフォトダイオード・アレイを備えていてもよい。
【0043】
図3は、本発明の第3の実施形態による検査装置の概略図を示す。検査装置1は、試料表面3に向けて誘導される複数の一次光子ビーム5aを発するエミッタ(図示されず)を備える。光学レンズ系6aが、一次光学ビーム5aを試料表面3上の位置7上に集束させる。前述の本発明による実施形態とは異なり、一次ビーム5aは、比較的広い。一次ビーム5aが入射するとすぐ、二次の光誘起電子ビーム10aが発せられ、この電子ビーム10aは、比較的広い一次ビーム5aによって衝突される表面の空間情報を含み、この電子ビーム10aは、光学レンズ系6aの中央に配置された電子レンズ16を通過する。この場合も、前述の実施形態のように、二次電子ビーム10aが収集され、光学ビームに変換され、その後、光検出器(図示されず)によって検出される。検出された光学ビームは、比較的広い位置7における表面構造の空間情報を含むので、試料表面3に関する情報は、これらの検出された光学ビームの空間分布を処理し、結像させることによって得られる。
【0044】
図4は、本発明の第4の実施形態による検査装置の概略図を示す。検査装置1において、複数の一次ビーム5の発出工程(emission process)、並びにレンズ系は、図1を参照して説明された工程及びレンズ系と同一である。しかし、薄いシート状プレート8の代わりに、微小電子機械システム(MEMS)17が、エミッタと試料表面3との間に配設されている。MEMS17は、一次電子ビーム5の透過を可能とする開口9が点在するダイオード18のアレイを備える。二次電子ビーム10は、ダイオード18によって検出される。ダイオード18が配設された各検出領域19には、好ましくは、静電集束によって収集角度を拡大させるための電極20が備えられている。また、これらの電極20は、隣接する検出領域19からの後方散乱ビーム間のクロストークを防止する働きをする。更に、いくつかの「検出器上(on−detector)」算術データ処理を実施するための電子回路(electronics)が埋め込まれる空間がある。例えば、対称的に配置されたダイオード18の加減算(addition and subtraction)が、構成及び表面形状に関する情報をそれぞれもたらし、こうした演算は、MEMS17で実施されることができる。周辺機器にデータを転送するために、MEMSは、有利には、格子状のCCDアレイを用いて実施されてもよく、従って、100万個程度のダイオードが個別に読み取られることができる。
【0045】
図4を参照して説明される実施形態では、光学ビームを検出するステップは、複数の一次ビームによって横切られる容積内の位置で実施され、これは、MEMS17のダイオード18が、二次ビームを光学ビームに変換し、続いて、光学ビームを検出することになるからである。この工程では、検出が試料4の表面3付近で実施され、それによって、検査装置1の測定検出の質を向上させている。本質的に、この装置の設計は、複数の一次ビームによって横切られる空間を取り囲む容積外部の検出機器が省略されるため、簡略化されることができる。しかし、光学信号を生成せずに、収集された二次ビームを電子信号に直接変換することもまた可能であることに留意されたい。特に、試料表面を検査する方法は、試料表面に向けて誘導される複数の一次ビームを発生するステップと、複数の一次ビームを、試料表面上のそれぞれの位置上に集束させるステップと、一次ビームが入射するとすぐ、試料表面から発生する荷電粒子の、複数の二次ビームを収集するステップと、収集された二次ビームの少なくとも1つを電子信号に直接変換するステップとを含むことができる。
【0046】
上述されたように、平行電子ビーム顕微鏡検査法を用いた、高解像度で高いスループットの半導体検査は、変換手段8、例えば、一方で、1つ又は複数の一次ビーム5の通過を可能とするように、他方で、検査試料3から発せられた二次電子10が入射するとすぐ、光子11を発生するように適応された蛍光プレート8を利用している。蛍光プレート8から生じる光子11は、光学系12を用いて収集され、光子検出系13によって検出される。この蛍光プレートは、好ましくは、電子が入射する度に多くの光子を発し、更に、好ましくは、短い蛍光減衰時間を有する。YAPシンチレータを含めた好ましい材料が、これらの基準を満たす。しかし、かかる材料は、光子を半球に発することが判明している。更に、発せられた光子を光子検出系に結像させるのに使用される光学系12は、発出立体角(emission solid angle)全体を効果的には収集しないことが判明しており、これは、1つ又は複数の一次ビームを発するエミッタを含む電子光学系が、立体角の大部分を遮断してしまうからである。従って、本発明の他の目的は、検出手段13によって検出される入射電子当たりの光子数を増加させることである。というのは、検査ツールの信号対雑音比性能のためには、変換手段、例えば、蛍光プレートから、光子検出系への入射電子当たりの光子の数のほとんどを収集する必要があることが判明しているからである。しかし、蛍光プレートの典型的な歩留りの低さのため、光子収集系12に対する要求は、収集可能な光円錐の外側にある光子の損失のため、対処が困難となる。従って、本発明の他の目的は、検出手段に到達する光子の割合を向上させることである。この目的は、特に、本発明の第6〜第9の態様によって対処される。
【0047】
光学ビームを検出手段に向けて誘導する誘導手段を設けることによって、検出手段に到達する光子の割合が向上され、従って、信号対雑音比を改善することになる。更に、この目的は、光子発出円錐が、電子光学系によってもはや遮断されないように、又はより狭い範囲でしか遮断されないように、光出力を誘導することによって対処され得る。この目的に対処する本発明の特定の実施形態が、図5〜12を参照して示され、説明される。
【0048】
図5は、本発明の第5の実施形態による装置の概略図を示す。図5は、変換手段8、例えば、上述されたように、蛍光材料を含むプレート状蛍光構造体を示す。図5〜12に示される実施形態では、誘導手段22が、変換手段8によって出力された光を、所定の方向に誘導する。特に、この誘導手段は、光学ビーム11が伝播する方向を、所定の対応で変えるように配置されることができる。図5〜9に示される実施形態では、誘導手段22は、変換手段に組み込まれている。或いは、図10〜12に示された実施形態に示されるように、誘導手段22は、変換手段とは別に設けられる。
【0049】
図5では、蛍光材料8に、1つ又は複数の一次ビーム5が通過することを可能とする孔24が設けられている。この誘導手段22は、1つ又は複数のキャビティを備える。これらのキャビティは、比較的小さい。これらのキャビティは、蛍光材料中に形成された反射壁25を有し得る。キャビティ毎に、1つの比較的小さい開口26が設けられている。この開口は、光学ビームが開口26を通ってキャビティから発せられるように寸法設定されている。光は、この開口から漏れ出る(escape)。光子はやはり、考えられ得るあらゆる角度でキャビティ22から出るものの、それらの光子は小開口を通ってしか出ないことになる。
【0050】
図6は、本発明の第6の実施形態による装置の概略図を示す。光が通り抜けてキャビティ22から出ることができる開口26を設けることで、キャビティ上に光学マイクロレンズ・アレイ28を配置することが可能となることが判明している。従って、誘導手段22、28はまた、蛍光材料8上に配設された複数のマイクロレンズを備えたマイクロレンズ・アレイ28も備えることができる。マイクロレンズ・アレイ28には、1つ又は複数の一次ビーム5が通過することを可能とする孔30が設けられている。マイクロレンズ・アレイ28は、マイクロレンズがキャビティ22の孔26を拡大するように配置される。例えば、マイクロレンズは、キャビティに対してほぼ位置が合わせられている。このようにして、光学ビーム11が発せられるキャビティ22の開口角度32は、制限される。従って、このようにして、キャビティ22から発せられる光は全て、例えばレンズを含む光学系12に直接誘導されることができ、このレンズは、更に、図1を参照して説明されたように、光学ビーム11を検出手段13に集束させる。小開口を有する反射キャビティがなくとも、マイクロレンズ・アレイ28は、同量の光を維持しながら、開口角度を縮小させるために使用されることができる。
【0051】
図7は、本発明の第7の実施形態による装置の概略図を示す。マイクロレンズ・アレイ28の代替として、又はそれに加えて、図7に示される更なる第7の実施形態では、誘導手段は、比較的小さい開口36を備えた1つ又は複数の凹面鏡34を更に備えてもよい。一実施形態では、鏡34は球面鏡である。鏡34は、1つ又は複数のキャビティ22の上方にそれぞれ配設される。このようにして、光学ビーム11の開口角度32は、鏡34の開口36によって決定される。この鏡は、光が、鏡と蛍光材料8との間の容積中に反射されるように配置される。このように、光は、球面鏡の開口によって決定される特定の開口角度でしか変換手段8から出ることができない。開口が小さければ小さいほど、開口角度もより小さくなる。縮小された開口角度を用いると、光学ビーム11の指向性(directionality)が増すことになる。
【0052】
図8は、本発明の第8の実施形態による装置の概略図を示す。第8の実施形態では、蛍光材料から出力された光を誘導する誘導手段は、プラズモン結合シンチレーションを使用している。この実施形態では、金属膜38が、蛍光材料層8上に堆積されている。特に、この金属膜38は、光学ビーム11が変換手段8から発せられる角度40を決定する。光学ビーム11が発せられる角度40は、金属層の厚さによるフォノン結合によって決定される。好ましくは、金属膜は非常に薄く、例えば約30ナノメートルであり、例えば約200ナノメートルの蛍光材料の薄層上に堆積される。この構成は、金属膜の厚さを変動させることによって制御され得る角度で発せられる光の角密度に、非常に鋭いピークをもたらすことが判明している。このようにして、図1及び6に示されるように、光の極めて多くの部分が、変換手段からレンズ12に直接向けられることができる。
【0053】
図9は、本発明の第9の実施形態による装置の概略図を示す。第9の実施形態では、誘導手段22、42、44は、光学ビームを環状の発出円錐46に誘導するように配置される。第9の実施形態では、誘導手段は、円錐形キャビティ42を備える。これらの円錐形キャビティ42は、好ましくは、蛍光材料8中に形成された高反射壁43を有する。更に、これらの円錐形キャビティ内には、円錐台形の反射突出部44が、キャビティ42内に延びるように設けられている。この突出部44には、一次ビーム5が通過することを可能とする開口45が設けられてもよい。このようにして、光は、環状の発出円錐内に発せられることになり、従って、1つ又は複数の一次ビーム5を発する電子光学系を含む電子エミッタ2が、光学ビーム11によって辿られる光路を遮断することはない。
【0054】
第10〜第12の実施形態では、誘導手段48、50、52、54、56は、変換手段8から遠隔の位置に配設される。特に、誘導手段48、50、52、54、56は、変換手段8と検出手段13との間の位置に配設される。図示された実施形態では、誘導手段は、鏡を備える。しかし、更に、この誘導手段は、プリズム、レンズ、及び光学ビーム11が伝播する方向を変えるその他の手段を備えてもよい。図10は、本発明の第10の実施形態による装置の概略図を示す。第10の実施形態では、誘導手段48は、光線11を検出系13に向けて誘導する、湾曲した凹面鏡を備える。図示された実施形態では、凹面鏡48は、変換手段の上方に配設される。更に、この凹面鏡48には、1つ又は複数の一次ビーム5が通過することを可能とする1つ又は複数の開口49が設けられている。この鏡は、変換手段8の比較的近くに配置される。このようにして、この鏡はほぼ全ての光を好都合な方向に反射させ、従って、電子光学系を含む電子エミッタ2が、光路を遮断してしまうことはない。誘導手段は、更に、凹面鏡48から反射された光を検出手段13に反射させる二次凸面鏡50を備えてもよい。凹面鏡48と、二次凸面鏡50とは、シュワルツシルト光学系を形成する。
【0055】
図11は、本発明の第11の実施形態による装置の概略図を示す。第11の実施形態では、誘導手段は、鏡52を備える。図示された実施形態では、鏡52は平坦である。この鏡には、1つ又は複数の一次ビーム5が通過することを可能とする1つ又は複数の開口53が設けられている。鏡52は、変換手段8から出力された光を、検出手段13へと誘導する。
【0056】
図12は、本発明の第12の実施形態による装置の概略図を示す。第12の実施形態では、誘導手段54、56は、1つ又は複数の一次ビーム5を発するエミッタ2の周辺に配設される。鏡54、56は、好ましくは円筒形鏡である。このようにして、エミッタ2がビームを部分的に遮断し得るものの、残りの、円錐のかなりの部分が、検出手段に向けて効率良く誘導されることになる。
【0057】
図5〜12に示される実施形態では、1本の一次ビーム5が示されている。また、図5〜12に示される実施形態においても、例えば図1に示されるように、複数の一次ビームがあってもよい。図5〜12に示される実施形態から、検出手段は、特定の誘導手段に応じて様々な位置に配設されることができるので、誘導手段を設けることによって、検査装置の設計自由度が増すことが分かる。例えば、図12に示された実施形態では、エミッタ2の周辺に配設される鏡54、56を設けることによって、検出手段が、エミッタ2の後方に配設され得ることになる。更に、誘導手段は、検出手段の種類及び寸法に応じて選択されることができる。このようにして、装置の設計自由度が増大される。
【0058】
本発明は、本明細書に記載された実施形態のみに限定されるものではない。多くの変形形態が可能であることが理解されるであろう。記載された方法及び装置では、一次電子ビームは、それらの複数の一次ビームがほぼ平行な方向に伝播するように配置され、従って、一次ビーム間の相互作用が回避され、一次ビームのそれぞれが、試料表面上の単一の位置に集束されることになる。しかし、これらの複数の一次ビームはまた、検査される試料の特定の特徴を強化するために、2本以上の一次ビームが、例えば単一の位置上に集束されるように、傾斜されることもできる。
【0059】
その他の変形形態が、冒頭の特許請求の範囲に明記された(formulated)本発明の範囲に含まれると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態による装置の概略図を示す。
【図2】本発明の第2の実施形態による装置の概略図を示す。
【図3】本発明の第3の実施形態による装置の概略図を示す。
【図4】本発明の第4の実施形態による装置の概略図を示す。
【図5】本発明の第5の実施形態による装置の概略図を示す。
【図6】本発明の第6の実施形態による装置の概略図を示す。
【図7】本発明の第7の実施形態による装置の概略図を示す。
【図8】本発明の第8の実施形態による装置の概略図を示す。
【図9】本発明の第9の実施形態による装置の概略図を示す。
【図10】本発明の第10の実施形態による装置の概略図を示す。
【図11】本発明の第11の実施形態による装置の概略図を示す。
【図12】本発明の第12の実施形態による装置の概略図を示す。
【符号の説明】
【0061】
1 検査装置
2 電子エミッタ
3 表面
4 試料
5 一次電子ビーム
6 レンズ
7 位置
8 プレート
9 開口
10 二次ビーム
11 光学ビーム
12 光学レンズ系
13 光検出器
14 開口アレイ
15 透明層
16 電子レンズ
17 MEMS
18 ダイオード
19 検出領域
20 電極
22 キャビティ
24 孔
25 反射壁
26 開口
28 光学マイクロレンズ・アレイ
30 孔
32 開口角度
34、48 凹面鏡
36 開口
38 金属膜
40 ビーム発出角度
42 円錐形キャビティ
44 反射突出部
45 開口
46 ビーム発出円錐
49 開口
50 二次凸面鏡
52、54、56 鏡
60 マイクロ・チャネル・プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料表面に向けて誘導される複数の一次ビームを発生するステップと、
前記複数の一次ビームを、前記試料表面上のそれぞれの位置上に集束させるステップと、
前記一次ビームが入射するとすぐ、前記試料表面から発生する荷電粒子の、複数の二次ビームを収集するステップと、
収集された前記二次ビームの少なくとも1つを光学ビームに変換するステップと、
前記光学ビームを検出するステップとを含む、試料表面を検査する方法。
【請求項2】
前記検出ステップが、光学検出器を用いて前記光学ビームを検出することを含み、前記変換ステップが、平面で収集された前記二次ビームの少なくとも1つを前記光学ビームに変換することを含み、前記光学ビームが、自由空間を介して結像され、前記光学ビームが、前記一次ビームの少なくとも1つを横切って、前記光学検出器が配置された平面上に達する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
収集された前記二次ビームを前記光学ビームに変換する前記ステップが、蛍光材料によって実施される、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記蛍光材料を、前記複数の一次ビームのエミッタと試料表面との間に配設することを含み、前記蛍光材料が、前記一次ビームが通過することを可能とするように配置される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記光学ビームを検出する前記ステップが、前記複数の一次ビームによって横切られる前記空間を取り囲む容積の外部にある検出領域において実施される、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記光学ビームを前記検出領域にある検出系に集束させるステップを含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記光学ビームの初期のビーム直径が、前記検出系が配設された位置におけるビーム直径とは異なる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記光学ビームを検出する前記ステップが、前記複数の一次ビームによって横切られる容積内の位置で実施される、請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記光学ビームを検出する前記ステップが、微小電気機械システムによって実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
収集された前記二次ビームを前記光学ビームに変換する前記ステップが、エレクトロクロミック材料と、発光ダイオード(LED)及びレーザの少なくとも1つを駆動する1つ又は複数の電流検出器との、少なくとも1つによって実施される、請求項1乃至9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記光学ビームを検出する前記ステップが、前記光学ビームを光学検出器に誘導するように配置された光導波路によって実施される、請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記一次ビームが、比較的広いビームであり、前記二次ビームが、前記比較的広い一次ビームによって衝突される前記表面の空間情報を含む、請求項1乃至11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
試料表面に向けて誘導される複数の一次ビームを発するように配置された少なくとも1つのエミッタと、
前記複数の一次ビームを、前記試料表面上のそれぞれの位置上に集束させるように配置された集束手段と、
前記一次ビームが入射するとすぐ、前記試料表面から発生する荷電粒子の、複数の二次ビームを収集する収集手段と、
収集された前記二次ビームの少なくとも1つを光学ビームに変換する変換手段と、
前記光学ビームを検出する検出手段とを備える、試料表面を検査する装置。
【請求項14】
前記検出手段が、前記光学ビームを検出する光学検出器を含み、前記変換手段が、平面で収集された前記二次ビームの少なくとも1つを前記光学ビームに変換するように配置され、前記光学ビームが、自由空間を介して結像され、前記光学ビームが、前記一次ビームの少なくとも1つを横切って、前記光学検出器が配置された平面上に達する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記変換手段が、蛍光材料を含む、請求項13又は14に記載の装置。
【請求項16】
前記蛍光材料が、スクリーン上に配設される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記蛍光スクリーンが、前記少なくとも1つのエミッタと前記試料表面との間に配設され、且つ、前記一次ビームが通過することが可能となるように構築される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記収集手段と前記変換手段とが一体化されている、請求項13乃至17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
前記検出手段が、前記複数の一次ビームによって横切られる前記空間を取り囲む容積の外部に配置される、請求項13乃至18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記光学ビームを前記検出手段に集束させる光学集束手段を更に備える、請求項13乃至19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
前記光学ビームを、前記複数の一次ビームによって横切られる容積内の位置で検出するための微小電子機械システムを更に備える、請求項13乃至20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
前記一次ビーム間で最小間隔が実現され、従って、前記二次ビーム間での実質的などのような重なりも回避される、請求項13乃至21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記一次ビームが、比較的広いビームであり、前記二次ビームが、前記比較的広い一次ビームによって衝突される表面の前記空間情報を含む、請求項13乃至22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
収集された前記二次粒子ビームを、前記光学ビームに変換する、請求項1に記載の試料表面を検査する方法における、蛍光材料の使用。
【請求項25】
前記蛍光材料が、薄いシート状プレートで実施される、請求項24に記載の蛍光材料の使用。
【請求項26】
前記蛍光スクリーンが、前記少なくとも1つのエミッタと前記試料表面との間に配設され、且つ、前記一次ビームが通過することが可能となるように構築される、請求項24乃至25のいずれかに記載の蛍光材料の使用。
【請求項27】
試料表面に向けて誘導される複数の一次ビームを発生するステップと、
前記複数の一次ビームを、前記試料表面上のそれぞれの位置上に集束させるステップと、
前記一次ビームが入射するとすぐ、前記試料表面から発生する荷電粒子の、複数の二次ビームを収集するステップと、
収集された前記二次ビームの少なくとも1つを、電子信号に直接変換するステップとを含む、試料表面を検査する方法。
【請求項28】
試料表面に向けて複数の一次ビームを発するように配置された少なくとも1つのエミッタと、
前記複数の一次ビームを、前記試料表面上のそれぞれの位置上に集束させるように配置された集束手段と、
前記一次ビームが入射するとすぐ、前記試料表面から発生する荷電粒子の、複数の二次ビームを収集する収集手段と、
収集された前記二次ビームの少なくとも1つを、電子信号に直接変換する変換手段とを備える、試料表面を検査する装置。
【請求項29】
試料表面に向けて誘導される1つ又は複数の一次ビームを発生するステップと、
1つ又は複数の一次ビームが入射するとすぐ、前記試料表面から発生する複数の荷電粒子の、1つ又は複数の二次ビームを収集するステップと、
収集された前記二次ビームの少なくとも1つを光学ビームに変換するステップと、
前記光学ビームを検出器に誘導するステップと、
前記光学ビームを検出するステップとを含む、試料表面を検査する方法。
【請求項30】
試料表面に向けて誘導される1つ又は複数の一次ビームを発するように配置された1つ又は複数のエミッタと、
前記1つ又は複数の一次ビームが入射するとすぐ、前記試料表面から発生する複数の荷電粒子の、1つ又は複数の二次ビームを収集する収集手段と、
収集された前記二次ビームの少なくとも1つを光学ビームに変換する変換手段と、
前記光学ビームを検出手段に向けて誘導する誘導手段と、
前記光学ビームを検出する前記検出手段とを備える、試料表面を検査する装置。
【請求項31】
前記誘導手段が、前記変換手段から出力された前記光を、所定の方向に誘導する、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記誘導手段が、前記光学ビームが伝播する方向を、所定の対応で変えるように配置される、請求項30又は請求項31のいずれかに記載の装置。
【請求項33】
前記変換手段が、プレート状構造体の形で配設された蛍光材料を含む、請求項30乃至32のいずれかに記載の装置。
【請求項34】
前記誘導手段が、前記変換手段に組み込まれる、請求項30乃至33のいずれかに記載の装置。
【請求項35】
前記誘導手段が、前記蛍光材料中に反射壁を有する1つ又は複数のキャビティを備える、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記キャビティが、前記光学ビームが開口を通って前記キャビティから発せられるように寸法設定された比較的小さい前記開口を備える、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記誘導手段が、前記蛍光材料上に配設された複数のマイクロレンズを備えたマイクロレンズ・アレイを備え、前記マイクロレンズが、同量の光を維持しながら、前記光学ビームの開口角度を縮小させるように配置される、請求項30乃至36のいずれかに記載の装置。
【請求項38】
前記マイクロレンズが、前記キャビティに対してそれぞれほぼ位置が合わせられる、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記誘導手段が、前記1つ又は複数のキャビティの上にそれぞれ配設され、比較的小さい開口を備えた1つ又は複数の凹面鏡を更に備え、従って、前記光学ビームの前記開口角度が、前記鏡の前記開口によって決定される、請求項35乃至38のいずれかに記載の装置。
【請求項40】
前記1つ又は複数の凹面鏡が球状である、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記誘導手段が、プラズモン結合シンチレーションを使用して、前記変換手段から出力された光を誘導する、請求項30に記載の装置。
【請求項42】
前記誘導手段が、金属膜を備え、前記変換手段が、蛍光材料の層を備え、前記金属膜が、前記蛍光材料上に堆積される、請求項30又は請求項41のいずれかに記載の装置。
【請求項43】
前記金属膜が厚さを有し、前記厚さが、前記光学ビームが前記変換手段から発せられる角度を決定する、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記光学ビームが発せられる前記角度が、前記金属層の前記厚さによるフォノン結合によって決定される、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記誘導手段が、前記光学ビームを環状の発出円錐内に誘導するように配置される、請求項30に記載の装置。
【請求項46】
前記キャビティが円錐形である、請求項35乃至40、又は45のいずれかに記載の装置。
【請求項47】
前記1つ又は複数のキャビティが、前記キャビティ内に延びる円錐台形の反射突出部を含む、請求項35乃至40、45、46のいずれかに記載の装置。
【請求項48】
前記突出部に、一次ビームが通過することを可能とする開口が設けられている、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記誘導手段が、前記変換手段と前記検出手段との間の位置に配設される、請求項30に記載の装置。
【請求項50】
前記誘導手段が、レンズ、ミラー、及びプリズムの少なくとも1つを備える、請求項49に記載の装置。
【請求項51】
前記誘導手段が、前記変換手段の上方に配設された、湾曲した凹面鏡を備える、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
前記誘導手段が、シュワルツシルト光学系を備える、請求項51に記載の装置。
【請求項53】
前記誘導手段に、前記1つ又は複数の一次ビームが、それぞれ通過することを可能とする1つ又は複数の開口が設けられる、請求項49乃至52のいずれかに記載の装置。
【請求項54】
前記誘導手段が、前記1つ又は複数のエミッタの周辺に配設される、請求項30に記載の装置。
【請求項55】
請求項33乃至54のいずれかに記載の検査装置に使用する蛍光プレート。
【請求項56】
請求項33乃至54のいずれかに記載の検査装置に使用する蛍光プレート及び誘導手段。
【請求項57】
前記試料と前記変換手段との間に配置されたマイクロ・チャネル・プレート(MCP)を更に備え、前記マイクロ・チャネル・プレートが、光学ビーム又は電子信号への変換前に、前記1つ(又は複数)の二次ビームの電流を増大させるように、前記1つ(又は複数)の一次ビームが通過することが可能となるように構築される、請求項13乃至23、28、30乃至54のいずれかに記載の装置。
【請求項58】
試料表面と変換手段との間に配設され、一次ビームを、信号を有する変換済みビームに変換するマイクロ・チャネル・プレート(MCP)であって、前記一次ビームが、前記変換済みビームの前記信号を増大させるように、前記マイクロ・チャネル・プレートを通過することが可能となるように構築されたマイクロ・チャネル・プレート(MCP)の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【公表番号】特表2008−507690(P2008−507690A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522450(P2007−522450)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000529
【国際公開番号】WO2006/009444
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(501259662)ネイダーランゼ、オルガニザティー、ボー、トゥーゲパストナトゥールウェテンシャッペルーク、オンダーツォーク、ティーエヌオー (28)
【氏名又は名称原語表記】NEDERLANDSE ORGANISATIE VOOR TOEGEPASTNATUURWETENSCHAPPELIJK ONDERZOEK TNO
【Fターム(参考)】