説明

試験片の測寸装置

【課題】 試験片の位置を正確に設定することができ、試験片の寸法を精度よく測定することが可能な測寸装置を提供する。
【解決手段】 試験片1の両端をその下方より支持して搬送する一対のコンベア11と、このコンベア11により搬送された試験片1を撮影することにより試験片1の幅を光学的に測定する幅測定機構3と、このコンベア11により搬送された試験片1を上下方向から挟持することによりその上下方向の厚さを測定する厚さ測定機構4と、コンベア11による試験片1の搬送経路上に配設され試験片1の両端部に当接可能な当たりブロック6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、材料試験機により試験される試験片の寸法を測定する試験片の測寸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、引っ張り試験を行う場合に使用される試験片は、母材よりその試験内容に対応した所定の寸法のものが切り出される。このとき、試験片の幅や厚さが設定値と異なっていた場合には、試験結果に誤差が生ずる。このため、材料試験を実行するに先立ち、試験片の厚さや幅を測定する測寸工程が実行される。そして、測寸の結果、試験片の寸法誤差が一定以上の場合には、その試験片は材料試験に不適なものであると認定して試験対象から除外される。また、その誤差が一定以下の場合には、材料試験を行うときの試験結果に対して、その寸法の誤差による補正を行うようにしている。
【0003】
このような目的で試験片の厚さや幅を測定するときには、測寸装置が使用される。この測寸装置は、例えば、試験片を一対の測定素子により挟み込んで、その測定素子間の距離を計測することにより行われる(特許文献1参照)。そして、測寸装置に対する試験片の搬入と搬出とは、例えば、試験片を吸着保持する吸着パッドを備えた搬送ロボットにより実行される(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−23206号公報
【特許文献2】特開2005−3378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
測寸装置に搬送される試験片は、供給部にまとめて載置されているが、これらの試験片は、正確に位置決めされて載置されているわけではない。このため、搬送ロボットにより測寸装置の搬入部に搬送された試験片に位置ずれが生じている場合がある。また、吸着パッドを備えた搬送ロボットによる試験片の搬送時に、試験片の位置がずれる場合がある。このような位置ずれが生じた場合には、試験片の寸法を正確に測定することが不可能となる。
【0006】
また、測寸時に試験片を一対の測定素子により挟み込むときに、試験片に位置ずれが生ずる場合もある。さらに、測寸時に試験片を一対の測定素子により挟み込んだときに、試験片が試験片の支持部より離隔して試験片に位置ずれが生ずる場合もある。このように測寸時に試験片の位置ずれが生じた場合には、後工程である材料試験時において、試験片の位置ずれに起因する測定不良が生ずる場合もある。
【0007】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、試験片の位置を正確に設定することができ、試験片の寸法を精度よく測定することが可能な測寸装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、材料試験機により試験される試験片の寸法を測定する試験片の測寸装置において、前記試験片の両端をその下方より支持して搬送する一対のコンベアと、駆動源としてのモータを備え、前記一対のコンベアを同期して移動させる駆動機構と、前記一対のコンベアにより搬送された試験片を、その上下方向から挟持することにより、前記試験片の上下方向の厚さを測定する厚さ測定機構と、前記一対のコンベアにより前記試験片の搬送経路上に配設され、前記試験片の両端部に当接可能な当たり部材とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記一対のコンベアは、各々、弾性を有するベルト状部材より構成される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記試験片は、幅方向の寸法に比べて厚さ方向の寸法が小さいものであり、前記一対のコンベアにより搬送された試験片を撮影することにより、当該試験片の幅を光学的に測定する幅測定機構をさらに備える。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記一対のコンベア上に試験片を搬入し、あるいは、前記一対のコンベア上から試験片を排出する搬入搬出位置と、前記厚さ測定機構および前記幅測定機構により試験片の厚さおよび幅を測定する測定位置と、前記試験片の両端部を前記当たり部材に当接させる位置決め位置とを、この順に配置している。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記駆動機構におけるモータの回転を制御する制御部をさらに備え、当該制御部は、前記駆動機構におけるモータの回転を制御することにより、前記一対のコンベアにより前記搬入搬出位置に搬入された試験片を前記位置決め位置に移動させて試験片の位置決めを行った後、前記一対のコンベアにより前記試験片を前記測定位置に移動させて試験片の試験片の厚さおよび幅を測定する。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記制御部は、前記駆動機構におけるモータの回転を制御することにより、前記一対のコンベアにより前記厚さ測定機構および前記幅測定機構により試験片の厚さおよび幅を測定した試験片を前記位置決め位置に移動させて試験片の位置決めを行った後、前記一対のコンベアにより前記試験片を前記搬入搬出位置に移動させる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、当たり部材の作用により、コンベアによる試験片の搬送時にその位置決めを実行することができる。このため、試験片の位置を正確に設定することができ、試験片の寸法を精度よく測定することが可能となる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、試験片の挟持位置に誤差が生じた場合にも、コンベアの弾性によりこれを吸収することができる。このため、試験片の挟持位置について一定の誤差が許容されるとともに、試験片の挟持工程における試験片の位置ずれを防止することが可能となる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、試験片の厚さを挟持動作により測定する厚さ測定機構を利用してその厚さが小さい試験片の厚さを正確に測定できるとともに、試験片の幅を光学的に測定する幅測定機構を利用して試験片の幅を正確かつ容易に測定することが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、搬入搬出位置と、測定位置と、位置決め位置とをこの順に配置したことから、当たり部材を固定した状態においても、コンベアによる試験片の搬送動作のみで試験片の位置決めと測定とを実行することが可能となる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、位置決め位置において位置決めが行われた後の試験片の寸法を、測定位置において測定することができる。このため、試験片の寸法を精度よく測定することが可能となる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、寸法を測定した後の試験片を、位置決め位置において位置決めを行った後に搬入搬出位置に移動させることから、後工程である材料試験時において試験片の位置ずれを防止することができ、正確な材料試験を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明に係る測寸装置の平面図である。
【図2】この発明に係る測寸装置の側面図である。
【図3】この発明に係る測寸装置の厚さ測定機構付近を示す拡大図である。
【図4】この発明に係る測寸装置の主要な電気的構成を示すブロック図である。
【図5】測寸動作を模式的に示す説明図である。
【図6】測寸動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はこの発明に係る測寸装置の平面図であり、図2はその側面図である。また、図3は、この発明に係る測寸装置の厚さ測定機構付近を示す拡大図である。
【0022】
この発明に係る測寸装置は、比較的薄型の試験片1に対して厚さの測定と幅の測定とを実行するものであり、試験片1を搬送するための搬送機構2と、試験片1の幅を測定するための幅測定機構3と、試験片1の厚さを測定するための厚さ測定機構4と、幅測定機構3および厚さ測定機構4を搬送機構2による試験片1の搬送方向と直交する方向に移動させるための移動機構5とを備える。
【0023】
搬送機構2は、断面形状が円形のベルト状部材から構成される一対の無端状のコンベア11を備える。このコンベア11は、試験片1の両端をその下方から支持して搬送するためのものである。このコンベア11は、例えば、ウレタンゴム等の、所定の弾性を有し、その表面が一定以上の摩擦係数を有する樹脂から構成される。
【0024】
一対のコンベア11は、各々、駆動プーリ12と、一対の従動プーリ13、14と、ガイドプーリ15との間に巻回されている。一対の駆動プーリ12のうちの一方は、モータ16の回転軸17とカップリング18を介して連結されている。また、一対の駆動プーリ12は、軸19により互いに連結されている。このため、一対のコンベア11は、モータ16の駆動により回転する駆動プーリ12の駆動を受け、互いに同期して移動する。
【0025】
一対のコンベア11による試験片1の搬送経路には、一対の当たりブロック6が配設されている。また、一対のコンベア11による試験片1の搬送経路には、投光部21と、この投光部21から出射して試験片1の搬送経路を斜めに通過した光線を受講する受光部22とを備え、後述する搬入搬出位置Aにおける試験片1の有無を検出するためのセンサ機構が配設されている。同様に、一対のコンベア11による試験片1の搬送経路には、投光部23と、この投光部23から出射して試験片1の搬送経路の端部を下方に向けて通過した光線を受講する受光部24とを備え、後述する厚さ測定位置Cにおける試験片1の有無を検出するためのセンサ機構が配設されている。
【0026】
試験片1の幅を測定するための幅測定機構3は、その内部にLEDを備えた光照射部25と、その内部にコンベア11による試験片1の移動方向に延びるCCDラインセンサを備えた撮影部26から構成される。光照射部25におけるLEDから光を照射することにより、試験片1の平面画像が撮影部26のラインセンサにより撮影される。そして、この試験片1の画像は、図示しない画像処理部により画像処理され、試験片1の幅方向の寸法が計算される。
【0027】
なお、この幅測定機構3における光照射部25は、アーム27を介して後述する架台29と連結されており、撮影部26は、アーム28を介して架台29と連結されている。このため、幅測定機構3における光照射部25と撮影部26とは、架台29と同期して移動する。
【0028】
図3に示すように、試験片1の厚さを測定するための厚さ測定機構4は、一対の測寸圧子31を各々支持する上アーム32および下アーム33を備える。上アーム32には、試験片1の厚さの測定に使用するゲージ34が付設されている。また、下アーム33には、下アーム33を上昇させることにより一対の測寸圧子31により試験片1を挟持させるためのモータ35が付設されている。上アーム32および下アーム33は、架台29と連結するスライド機構36の作用により、個別に昇降可能となっている。また、上アーム32、下アーム33、ゲージ34およびモータ35等は、架台29に対して全体が昇降可能な状態で、バネ37の作用により支持されている。
【0029】
幅測定機構3および厚さ測定機構4を搬送機構2による試験片1の搬送方向と直交する方向に移動させるための移動機構5は、架台29を装置本体の側板42に対してスライド可能に支持するスライド機構41を備える。このスライド機構41は、架台29を、幅測定機構3および厚さ測定機構4とともに、一対のコンベア11による試験片1の搬送方向と直交する方向に案内する。
【0030】
また、このスライド機構41と平行に、モータ45の駆動により回転するボールねじ43が配設されている。このボールねじ43は、架台29に付設されたナット44と螺合している。このため、架台29は、モータ45の駆動をうけ、一対のコンベア11による試験片1の搬送方向と直交する方向に往復移動可能となっている。そして、架台29を試験片1の搬送方向と直交する方向に移動させた場合には、架台29に連結された幅測定機構3と厚さ測定機構4も、架台29と同期して移動する。
【0031】
架台29には、ドッグ46が付設されている。このドッグ46は、原点位置に配置された状態においてセンサ47により検出される。そして、架台29の一対のコンベア11による試験片1の搬送方向と直交する方向の位置、すなわち、幅測定機構3と厚さ測定機構4の位置は、モータ45の回転を図示しないエンコーダ等で測定することにより、常に監視されている。
【0032】
図4は、この発明に係る測寸装置の主要な電気的構成を示すブロック図である。
【0033】
この測寸装置は、装置の制御に必要な動作プログラムが格納されたROM71と、制御時にデータ等が一時的にストアされるRAM72と、論理演算を実行するCPU73とから成る制御部7を備える。この制御部7は、インターフェース74を介して、上述した厚さ測定機構4のゲージ34およびモータ35と、幅測定機構3と、搬送機構2のモータ16と、移動機構5のモータ45とに接続されている。なお、この制御部7は、モータ16の回転を制御することにより、一対のコンベア11による試験片1の搬送を制御する制御部として機能する。
【0034】
次に、以上のように構成された測寸装置により試験片1を測寸する測寸動作について説明する。図5は、測寸動作を模式的に示す説明図である。また、図6は、測寸動作を示すフローチャートである。
【0035】
測寸動作を実行するときには、最初に、試験片1を図1に示す搬入搬出位置Aに搬入する(ステップS1)。このときには、図示しない試験片1の供給部に載置された試験片1を、例えば、吸着パッドを備えた搬送ロボットにより吸着保持して、搬入搬出位置Aまで搬送し、一対のコンベア11上に載置する。このときには、図5(a)において仮想線で示すように、試験片1は一対のコンベア11に対して傾斜している場合もある。
【0036】
次に、試験片1の位置決めを行う(ステップS2)。このときには、制御部7の制御によりモータ16を回転させ、一対のコンベア11を移動させることにより、そこの載置された試験片1を一対の当たりブロック6に向けて搬送する。そして、試験片1のいずれかの端部が当たりブロック6に当接した後もコンベア11の移動を継続することにより、図5(a)において実線で示すように、試験片1がその搬送方向と直交する方向を向くことになり、試験片1の位置決めが実行される。この状態においては、試験片1は位置決め位置に配置されたことになる。
【0037】
試験片1の位置決めが完了すれば、制御部7の制御によりモータ16を逆回転させ、一対のコンベア11を移動させることにより、そこの載置された試験片1を厚さ測定機構4における一対の測寸圧子31の間の位置である厚さ測定位置C(図1および図5(b)参照)に移動させ、試験片1の厚さを測定する(ステップS3)。
【0038】
このときには、図3に示すモータ35の駆動により、下方の測寸圧子31を上昇させ、試験片1を一対の測寸圧子1により挟持する。そして、このときに上アーム32に支持されたゲージ34の下端部51が下アーム33に支持された押圧部52により押圧される押圧量に基づいて、試験片1の厚さが測定される。
【0039】
この試験片1の厚さの測定は、試験片1の3箇所で実行される。すなわち、最初の試験片1の厚さの測定が完了すれば、図1に示すモータ45の駆動により、厚さ測定機構4を架台29とともに、試験片1の搬送方向と直交する方向に所定距離だけ移動させ、その位置において、再度試験片の厚さを測定する。このような動作を2回繰り返すことにより、試験片1におけるその搬送方向と直交する方向に離隔した3箇所の位置において、厚さの測定が実行される。測定された試験片1の厚さのデータは、制御部7におけるRAM72に記憶される。
【0040】
この試験片1の厚さの測定時において、一対の測寸圧子31による試験片1の挟持高さ位置が、一対のコンベア11による試験片の支持位置より低かった場合には、試験片1が一対の測寸圧子31に挟持されたときに、試験片1に高さの差による応力が付与されることになる。しかしながら、一対のコンベア11は、弾性を有するウレタンゴム等の樹脂から構成されていることから、このコンベア11の撓みにより、試験片1に付与される応力を小さくすることができる。
【0041】
試験片1の両端部を剛性のある支持部材で支持した場合には、一対の測寸圧子31による試験片1の挟持高さ位置が、一対のコンベア11による試験片の支持位置より低かった場合に、試験片1が一対の測寸圧子31に挟持されたときに、試験片1に高さの差による大きな応力が付与されることになる。このため、従来は、試験片1の搬送誤差や測寸圧子31による挟持位置の誤差等を考慮し、一対の測寸圧子31による試験片1の挟持高さ位置を、一対のコンベア11による試験片1の支持位置よりかなり高めに設定していた。このため、一対の測寸圧子31による試験片1の支持を解除した後において、試験片1が支持部材まで落下して試験片1の位置ずれが生じていた。
【0042】
しかしながら、この発明に係る測寸装置においては、試験片1の搬送誤差や測寸圧子31による挟持位置の誤差により、一対の測寸圧子31による試験片1の挟持高さ位置が一対のコンベア11による試験片の支持位置より低くなった場合においても、一対のコンベア11の弾性力により、この誤差を吸収することができる。このため、一対の測寸圧子31による試験片1の挟持高さ位置を、一対のコンベア11による試験片1の支持位置と極めて近い位置に設定することが可能となる。これにより、一対の測寸圧子31による試験片1の支持を解除した後に生ずる試験片1の落下による位置ずれを、有効に防止することが可能となる。
【0043】
なお、この実施形態においては、試験片1の厚さは、比較的小さいものとなっている。このため、この試験片1の厚さを幅測定機構3のように試験片1を光学的に撮影してその厚さを測定する測定形態を採用した場合には、その測定誤差が大きくなる。このため、この測寸装置においては、試験片1の厚さを一対の測寸圧子31により挟持して測定する構成を採用している。
【0044】
試験片1の厚さの測定が完了したら、再度、試験片1の位置決めを行う(ステップS4)。このときには、ステップS2と同様、制御部7の制御によりモータ16を回転させ、一対のコンベア11を移動させることにより、そこの載置された試験片1を一対の当たりブロック6に向けて搬送する。そして、試験片1のいずれかの端部が当たりブロック6に当接した後もコンベア11の移動を継続することにより、試験片1の位置決めを実行する。この状態においても、試験片1は位置決め位置に配置されたことになる。
【0045】
試験片1の位置決めが完了すれば、制御部7の制御によりモータ16を逆回転させ、一対のコンベア11を移動させることにより、そこの載置された試験片1を幅測定機構3における光照射部25と撮影部26の間の位置である幅測定位置B(図1参照)に移動させ、試験片1の幅を測定する(ステップS5)。
【0046】
このときには、光照射部25におけるLEDを点灯させて試験片1に対して光を照射し、試験片1の画像を撮影部26内において試験片1の移動方向に延びるCCDラインセンサにより測定する。そして、この試験片1の画像は、図示しない画像処理部により画像処理され、試験片1の幅方向の寸法が計算される。
【0047】
この試験片1の幅の測定も、試験片1の3箇所で実行される。すなわち、最初の試験片1の幅の測定が完了すれば、図1に示すモータ45の駆動により、幅測定機構3を架台29とともに、試験片1の搬送方向と直交する方向に所定距離だけ移動させ、その位置において、再度、試験片1の幅を測定する。このような動作を2回繰り返すことにより、試験片1におけるその搬送方向と直交する方向に離隔した3箇所の位置において、幅の測定が実行される。測定された試験片1の幅のデータは、制御部7におけるRAM72に記憶される。
【0048】
なお、一般的に、試験片1の厚さが大きい場合には、試験片1を光学的に撮影してその幅を測定する幅測定機構3を使用してその幅を測定したときに、試験片1の姿勢によっては比較的大きな測定誤差が生ずる場合がある。しかしながら、この実施形態においては、試験片1の厚さは、比較的小さいものとなっている。このため、この試験片1の幅を、試験片1を光学的に撮影してその幅を測定する幅測定機構3を採用して測定した場合においても、試験片1の幅を精度よく測定することができる。また、試験片1の幅を非接触で測定することから、試験片1に位置ずれが生ずることはなく、また、測定工程を短時間で終了することが可能となる。
【0049】
以上の工程が終了すれば、試験片1を搬出する(ステップS6)。このときには、制御部7の制御によりモータ16を回転させ、一対のコンベア11を移動させることにより、そこに載置された試験片1を図1に示す搬入搬出位置Aまで搬送する。そして、この試験片1を、吸着パッドを備えた搬送ロボットにより吸着保持して搬出する。なお、試験片1の幅と厚さを測定した結果、試験片1の寸法誤差が一定以上の場合には、その試験片1は材料試験に不適なものであると認定され、排出部に搬送される。また、その誤差が一定以下の場合には、その試験片1は材料試験機に搬送され、材料試験が実行される。このときには、材料試験の試験結果に対して、試験片1の寸法の誤差による補正が行われる。
【符号の説明】
【0050】
1 試験片
2 搬送機構
3 幅測定機構
4 厚さ測定機構
5 移動機構
6 当たりブロック
7 制御部
11 コンベア
12 駆動プーリ
16 モータ
25 光照射部
26 撮影部
29 架台
31 測寸圧子
32 上アーム
33 下アーム
34 ゲージ
35 モータ
36 スライド機構
37 バネ
43 ボールねじ
45 モータ
A 搬入搬出位置
B 幅測定位置
C 厚さ測定位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料試験機により試験される試験片の寸法を測定する試験片の測寸装置において、
前記試験片の両端をその下方より支持して搬送する一対のコンベアと、
駆動源としてのモータを備え、前記一対のコンベアを同期して移動させる駆動機構と、
前記一対のコンベアにより搬送された試験片を、その上下方向から挟持することにより、前記試験片の上下方向の厚さを測定する厚さ測定機構と、
前記一対のコンベアにより前記試験片の搬送経路上に配設され、前記試験片の両端部に当接可能な当たり部材と、
を備えたことを特徴とする試験片の測寸装置。
【請求項2】
請求項1に記載の試験片の測寸装置において、
前記一対のコンベアは、各々、弾性を有するベルト状部材より構成される試験片の測寸装置。
【請求項3】
請求項2に記載の試験片の測寸装置において、
前記試験片は、幅方向の寸法に比べて厚さ方向の寸法が小さいものであり、
前記一対のコンベアにより搬送された試験片を撮影することにより、当該試験片の幅を光学的に測定する幅測定機構をさらに備える試験片の測寸装置。
【請求項4】
請求項3に記載の試験片の測寸装置において、
前記一対のコンベア上に試験片を搬入し、あるいは、前記一対のコンベア上から試験片を排出する搬入搬出位置と、前記厚さ測定機構および前記幅測定機構により試験片の厚さおよび幅を測定する測定位置と、前記試験片の両端部を前記当たり部材に当接させる位置決め位置とを、この順に配置した試験片の測寸装置。
【請求項5】
請求項4に記載の試験片の測寸装置において、
前記駆動機構におけるモータの回転を制御する制御部をさらに備え、
当該制御部は、
前記駆動機構におけるモータの回転を制御することにより、前記一対のコンベアにより前記搬入搬出位置に搬入された試験片を前記位置決め位置に移動させて試験片の位置決めを行った後、前記一対のコンベアにより前記試験片を前記測定位置に移動させて試験片の試験片の厚さおよび幅を測定する試験片の測寸装置。
【請求項6】
請求項5に記載の試験片の測寸装置において、
前記制御部は、
前記駆動機構におけるモータの回転を制御することにより、前記一対のコンベアにより前記厚さ測定機構および前記幅測定機構により試験片の厚さおよび幅を測定した試験片を前記位置決め位置に移動させて試験片の位置決めを行った後、前記一対のコンベアにより前記試験片を前記搬入搬出位置に移動させる試験片の測寸装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−13061(P2011−13061A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156543(P2009−156543)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】