説明

誘導加熱方法及び誘導加熱装置並びに焼入装置

焼入装置10は、大別して、コイル状部材12を焼入温度に誘導加熱する加熱ゾーン20と、焼入温度に誘導加熱されたコイル状部材12を急冷する冷却ゾーン30から構成されている。加熱ゾーン20には、コイル状部材12が回転しながら矢印A方向(搬送方向)に搬送される搬送路22と、搬送路22で回転しながら搬送されているコイル状部材12を誘導加熱する誘導加熱コイル24とが配置されている。多数のコイル状部材12は、その長手方向が搬送方向に直交するように搬送路22に所定間隔で載置されて連続的に搬送される。この搬送中に、搬送路22上をコイル状部材12がその外周方向に回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、螺旋状に巻かれたコイル状部材を誘導加熱する誘導加熱方法及び誘導加熱装置、並びにコイル状部材を高周波焼入れする焼入装置に関する。
【背景技術】
従来、鋼を誘導加熱する誘導加熱方法が知られている。このような誘導加熱方法の一つとして、ソレノイド状に巻かれた加熱コイルと同軸状に、螺旋状に巻かれたコイル状のワークを配置して、このコイル状ワークを誘導加熱する方法が知られている。しかし、この方法では、コイル状ワークの両端部が短絡するので、オーバーヒート(過熱)されて均熱化が難しい。また、螺旋状に巻かれたコイル状部材などのワークの一部分だけに誘導加熱コイルを近接配置しておき、この誘導加熱コイルでワークの一部分を誘導加熱し、その後、ワークを回転させてワークの他の部分を誘導加熱コイルに近接させ、この他の部分を誘導加熱してワーク全体を所定温度まで誘導加熱する誘導加熱方法が知られている。ワークを回転させるためには、ワークを支持している支持部材を回転させるモータなどの駆動源が必要となる。
【発明の開示】
上述したように、加熱コイルとコイル状ワークを同軸状に配置する誘導加熱方法では、コイル状ワークの両端部がオーバーヒートする。また、ワークの一部分だけに誘導加熱コイルを近接配置しておき、この誘導加熱コイルでワークの一部分を誘導加熱する誘導加熱方法では、ワークの挿入、排出に時間がかかるので高速処理には不向きであり、また、加熱に要する電力もその分多くなる。
本発明は、上記事情に鑑み、螺旋状に巻かれたコイル状部材の全体を均一に誘導加熱でき、連続的に処理できる誘導加熱方法及び誘導加熱装置、並びにコイル状部材を均一に焼入れできる焼入装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の誘導加熱方法は、螺旋状に巻かれたコイル状部材を誘導加熱する誘導加熱方法において、
(1)前記コイル状部材が搬送される搬送路に向き合わせて誘導加熱コイルを配置しておき、
(2)前記コイル状部材を前記搬送路で回転させながら搬送して前記誘導加熱コイルで誘導加熱することを特徴とするものである。
ここで、
(3)前記搬送路のうち前記コイル状部材が接触して搬送される搬送面に向き合う部分を有する誘導加熱コイルを配置してもよい。
また、
(4)前記搬送路が延びる搬送方向に交差する交差方向に螺旋状に巻かれて前記搬送路を囲むと共に前記搬送方向に延びる誘導加熱コイルを配置しておき、
(5)前記コイル状部材の長手方向が前記搬送方向に直交する方向になるように前記コイル状部材を回転させながら搬送してもよい。
さらに、
(6)前記コイル状部材をその外周方向に回転させながら搬送してもよい。
さらにまた、
(7)前記搬送路を傾斜させて前記コイル状部材を回転させながら搬送してもよい。
さらにまた、
(8)前記コイル状部材の長手方向中央部を下方から支持して該コイル状部材を上下動させる、複数の山が前記搬送路に沿って所定のピッチで形成された中央部上下動手段と、
(9)前記コイル状部材の長手方向両端部を下方から支持して該コイル状部材を上下動させる、複数の山が前記搬送路に沿って所定のピッチで形成された両端部上下動手段とを、これら双方の山の頂上が前記搬送路に沿って交互に位置するように前記搬送路に配置しておき、
(10)前記中央部上下動手段と前記両端部上下動手段とが互いに上下動の方向を逆にして上下動するようにして前記コイル状部材を前記山の斜面で回転させながら搬送してもよい。
さらにまた、
(11)前記中央部上下動手段及び前記両端部上下動手段の前記山の一ピッチを、前記コイル状部材が回転して搬送されたときに該コイル状部材が一回転も半回転もしないように決めておき、
(12)前記中央部上下動手段及び前記両端部上下動手段を上下動させながら、前記コイル状部材を回転して搬送してもよい。
さらにまた、
(13)前記コイル状部材は、その長手方向一端部から長手方向他端部に向かうほどその外径が大きくなるものであり、
(14)前記両端部上下動手段のうち前記長手方向一端部を支持する一端部支持部材は、前記長手方向他端部を支持する他端部支持部材よりも高い位置に配置されているものであってもよい。
さらにまた、
(15)前記コイル状部材は、その長手方向一端部から長手方向他端部に向かうほどその外径が大きくなるものであり、
(16)前記両端部上下動手段のうち前記長手方向一端部を支持する一端部支持部材は、前記長手方向他端部を支持する他端部支持部材よりも高い位置に位置するように、前記搬送路に直交する方向に前記両端部上下動手段及び前記中央部上下動手段が傾斜していてもよい。
さらにまた、
(17)前記搬送路の幅方向両端部それぞれから立ち上がった側壁を前記搬送路に形成しておき、
(18)前記コイル状部材は、該コイル状部材を所定長さに切断したときの切断面がその長手方向両端それぞれに形成されたものであり、
(19)前記長手方向両端それぞれに形成された切断面が前記側壁に接触しないように前記コイル状部材を回転させてもよい。
さらにまた、
(20)前記コイル状部材は、その長手方向一端部とその長手方向他端部の外径の大きさが異なるものであり、
(21)前記両端部上下動手段のうち前記長手方向一端部を支持する一端部支持部材と、前記長手方向他端部を支持する他端部支持部材とは、前記長手方向一端部の中心と前記長手方向他端部の中心が同じ高さになるように配置されているものであってもよい。
さらにまた、
(22)前記コイル状部材は、その長手方向一端部とその長手方向他端部の外径の大きさが異なるものであり、
(23)前記両端部上下動手段のうち前記長手方向一端部を支持する一端部支持部材と、前記長手方向他端部を支持する他端部支持部材とは、前記長手方向一端部の中心と前記長手方向他端部の中心が同じ高さになるように、前記搬送路に直交する方向に前記両端部上下動手段及び前記中央部上下動手段が傾斜していてもよい。
さらにまた、
(24)前記中央部上下動手段と前記両端部上下動手段とが互いに上下動の方向を逆にして上下動することに代えて、
(25)前記中央部上下動手段と前記両端部上下動手段のいずれか一方だけを上下動させると共に他方を固定して前記コイル状部材を前記山の斜面で回転させながら搬送してもよい。
上記目的を達成するための本発明の誘導加熱装置は、
(26)螺旋状に巻かれたコイル状部材を回転させながら搬送する搬送手段と、
(27)この搬送手段で搬送中の前記コイル状部材を誘導加熱する誘導加熱手段とを備えたことを特徴とするものである。
ここで、
(28)前記搬送手段は、前記コイル状部材のその外周方向に回転させながら搬送するものであってもよい。
また、
(29)前記搬送手段は、前記コイル状部材の長手方向中央部を下方から支持して該コイル状部材を上下動させる、複数の山が前記搬送路に沿って所定のピッチで形成された中央部上下動手段と、
(30)前記コイル状部材の長手方向両端部を下方から支持して該コイル状部材を上下動させる、複数の山が前記搬送路に沿って所定のピッチで形成された両端部上下動手段とを備え、
(31)前記中央部上下動手段及び前記両端部上下動手段は、これら双方の山の頂上が前記搬送路に沿って交互に位置するように前記搬送路に配置されたものであり、これら双方が互いに上下動の方向を逆にして上下動するようにして前記コイル状部材を前記山の斜面で回転させながら搬送するものであってもよい。
さらに、
(32)前記中央部上下動手段と前記両端部上下動手段とが互いに上下動の方向を逆にして上下動することに代えて、
(33)前記中央部上下動手段と前記両端部上下動手段のいずれか一方だけを上下動させると共に他方を固定して前記コイル状部材を前記山の斜面で回転させながら搬送するものであってもよい。
さらにまた、
(34)前記中央部上下動手段及び前記両端部上下動手段は、前記コイル状部材が回転して搬送されたときに該コイル状部材が一回転も半回転もしないように、前記山の一ピッチが設定されたものであってもよい。
さらにまた、
(35)前記両端部上下動手段は、前記コイル状部材の長手方向一端部を支持する一端部支持部材と、この長手方向一端部とは反対側の長手方向他端部を支持する他端部支持部材とを備えたものであり、
(36)前記一端部支持部材は、前記他端部支持部材よりも高い位置に配置されているものであってもよい。
さらにまた、
(37)前記両端部上下動手段は、前記コイル状部材の長手方向一端部を支持する一端部支持部材と、この長手方向一端部とは反対側の長手方向他端部を支持する他端部支持部材とを備えたものであり、
(38)前記一端部支持部材は、前記他端部支持部材よりも高い位置に位置するように、前記搬送路に直交する方向に前記両端部上下動手段及び前記中央部上下動手段が傾斜していてもよい。
さらにまた、
(39)前記搬送路は、この搬送路の幅方向両端部それぞれから立ち上がった一対の側壁が形成されたものであり、
(40)前記コイル状部材は、該コイル状部材を所定長さに切断したときの切断面がその長手方向両端それぞれに形成されたものであり、
(41)前記長手方向両端それぞれに形成された切断面は前記側壁に接触しないものであってもよい。
上記目的を達成するための本発明の焼入装置は、
(42)上記したいずれかの誘導加熱装置と、
(43)該誘導加熱装置で所定の焼入温度に加熱された前記コイル状部材を冷却する冷却層とを備えたことを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の焼入装置を示す模式図である。
図2は、コイル状部材を搬送する搬送装置の概略構成を示す斜視図である。
図3は、図2の搬送装置を示す正面図である。
図4は、図2の搬送装置を示す側面図である。
図5は、図2の搬送装置を示す上面図である。
図6は、中央部上下動台と両端部上下動台の一部を示す模式図である。
図7は、実施例2の誘導加熱装置の搬送装置を示す正面図である。
図8は、実施例3の誘導加熱装置の搬送装置を示す正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明は、自動車用の懸架ばね、自動車用エンジンに組み込まれる弁ばね、自転車やバイク用フロントフォークのサスペンションばね、産業機械用コイルばねなどのコイル状部材を誘導加熱する誘導加熱方法及び誘導加熱装置、並びにこれらを高周波焼入れする焼入装置に実現された。
【実施例1】
図1を参照して、本発明の焼入装置について説明する。
図1は、本発明の焼入装置を示す模式図である。
焼入装置10は、大別して、コイル状部材12を焼入温度に誘導加熱する加熱ゾーン20と、焼入温度に誘導加熱されたコイル状部材12を急冷する冷却ゾーン30から構成されている。
加熱ゾーン20には、コイル状部材12が回転しながら矢印A方向(搬送方向)に搬送される搬送路22と、搬送路22で回転しながら搬送されているコイル状部材12を誘導加熱する誘導加熱コイル24とが配置されている。多数のコイル状部材12は、その長手方向が搬送方向に直交するように搬送路22に所定間隔で載置されて連続的に搬送される。この搬送中に、搬送路22上をコイル状部材12がその外周方向に回転する。誘導加熱コイル24は高周波電源26に接続されている。また、誘導加熱コイル24を通過したコイル状部材12の温度は非接触型の温度センサ28で測定される。この測定結果に基づいて、高周波電源26の電力が制御されるので、コイル状部材12は所望の焼入温度に加熱される。
冷却ゾーン30には、焼入温度に加熱されたコイル状部材12を急冷する焼入液32が溜まった焼入槽34と、搬送路22から焼入槽34内に落下して焼入液32で急冷されたコイル状部材12を矢印B方向に引き上げて次工程に搬送する搬送ベルト35とが配置されている。焼入槽34内の焼入液32は、所定温度になるように熱交換器36で熱交換されてオイルタンク38に移動し、その後、焼入槽34に戻される。焼入装置10では多数のコイル状部材12が搬送路22を連続して搬送されて焼入れされるので、大量生産が可能である。
図2から図5までを参照して、コイル状部材12が回転しながら搬送される搬送路22を構成する搬送装置について説明する。
図2は、コイル状部材を搬送する搬送装置の一部の概略構成を拡大して示す斜視図である。図3は、図2の搬送装置を示す正面図である。図4は、図2の搬送装置を示す側面図である。図5は、図2の搬送装置を示す上面図である。
搬送装置40は、搬送路22上のコイル状部材12の長手方向中央部を下方から支持して上下動するセラミックス製の中央部上下動台50(本発明にいう中央部上下動手段の一例である)と、搬送路22上のコイル状部材12の長手方向両端部を下方から支持して上下動するセラミックス製の両端部上下動台60,70(本発明にいう両端部上下動手段の一例である)とを備えている。中央部上下動台50と両端部上下動台60,70とで搬送路22が形成されており、これらは、互いに上下動の方向が逆になるように上下動する。すなわち、中央部上下動台50が上昇しているときには両端部上下動台60,70は下降しており、この逆に、中央部上下動台50が下降しているときには両端部上下動台60,70は上昇している。
上記の例では、中央部上下動台50と両端部上下動台60,70とを互いに上下動の方向が逆になるように上下動させるが、中央部上下動台50と両端部上下動台60,70のいずれか一方だけを上下動させると共に他方を固定してコイル状部材12を後述の山52,62,72の斜面で回転させながら搬送する構成にしてもよい。
なお、中央部上下動台50と両端部上下動台60,70の材質は、電気的絶縁性と耐熱性を兼ね備えたものがよい。また、誘導加熱コイル24は、搬送路22に向き合う部分24aを有している。
中央部上下動台50は、図3や図5に示すように、搬送路22上を搬送されるコイル状部材12の全長の約半分の長さの幅をもつ。ここでいう幅とは、搬送方向(矢印A方向)に直交する方向の長さをいう。中央部上下動台50の上面には、図4や図5に示すように、複数の山52が搬送路に沿って(搬送方向に)所定のピッチPで形成されている。このピッチPとは、山52の頂上から次の山52の頂上までの距離をいう。ピッチPと山52の高さは、コイル状部材12の外径(太さ)に応じて適宜に決められる。上記した山52については、図6を参照して後述する。
中央部上下動台50はセラミックス製の支持棒54によって下方から支持されている。この支持棒54は、搬送方向に適宜の間隔で並んだ同一長さの複数本の支持棒54からなる。図3では複数本の支持棒54が重なっているので1本の支持棒54に見える。図4では、2本の支持棒54を並べた例が示されている。これらの支持棒54の上端部54aは中央部上下動台50の底部に固定されており、各支持棒54はこの底部から下方に延びている。各支持棒54の下端部54bは、搬送方向(矢印A方向)にほぼ平行に延びる接続棒55に固定されている。接続棒55の横断面は長方形状であり、接続棒55の長手方向中央部の真下には円形状のカム(偏芯カム)56が配置されている。このカム56の形状を楕円形状にしてもよい。
カム56の外周面には接続棒55の下面が接触している。また、カム56の回転中心からずれた部分は回転軸42に固定されている。この回転軸42は、支持棒54及び接続棒55双方に直交する方向(中央部上下動台50の幅方向)に延びている。回転軸42の長手方向一端部42aはカップリング44を介してモータ46に連結されている。また、回転軸42の長手方向他端部42b及びカップリング44よりもやや長手方向他端部42bに近い部分はそれぞれ軸受45,45に回転自在に固定されている。なお、モータ46や軸受45,45などは基台48に載置されて固定されている。
モータ46が回転することによりカップリング44と回転軸42も回転し、回転軸42の回転によってカム56も回転する。カム56は偏芯カムであるので、カム56の外周面に下面が接触している接続棒55は、カム56の回転に伴って矢印C方向(上下方向であり、図5の紙面に垂直な方向)に上下動する。この接続棒55の上下動に伴って支持棒54も上下動し、この支持棒54の上下動に伴って中央部上下動台50も矢印C方向に上下動する。モータ46を速く回転させたときは、中央部上下動台50も速く上下動する。この逆に、モータ46を遅く駆動させたときは、中央部上下動台50も遅く上下動する。
両端部上下動台60,70は、中央部上下動台50を挟んで互いに対称になるように配置されており、互いに対称形である。また、2つの両端部上下動台60,70は正確に一致して上下動する。両端部上下動台60,70はコイル状部材12の全長の約4分の1の長さの幅をもつ。この幅とは、搬送方向に直交する方向の長さをいう。両端部上下動台60,70それぞれの幅方向外側端からは側壁61,71が立ち上がっている。
両端部上下動台60,70の上面には、図4に示すように、複数の山62,72が搬送路に沿って(搬送方向に)所定のピッチPで形成されている。このピッチPとは、山62(72)の頂上から次の山62(72)の頂上までの距離をいう。ピッチPと山62,72の高さは、コイル状部材12の外径(太さ)に応じて適宜に決められる。両端部上下動台60,70の山62,72のピッチPは、図5に示すように、搬送方向において一致している。中央部上下動台50の山52のピッチPと、両端部上下動台60,70の山62,72のピッチPとは、距離は同じであるが、搬送方向にP/2ずれている。上記した山62,72については、図6を参照して後述する。
両端部上下動台60,70は、図3に示すように、セラミックス製の支持棒64,74によって下方から支持されている。この支持棒64,74は、支持棒54と同様に、搬送方向に適宜の間隔で並んだ同一長さの複数本の支持棒64,74からなる。各支持棒64,74は、上記の幅方向(搬送方向に直交する方向)において支持棒54に並んで一列になっている。従って、図4では複数本の支持棒64,74が支持棒54にほぼ重なっているので、支持棒64,74は省略されて図示されていない。これらの支持棒64,74の上端部64a,74aは両端部上下動台60,70の底部に固定されており、この底部から支持棒64,74が下方に延びている。各支持棒64,74の下端部64b,74bは、図3に示すように、搬送方向(矢印A方向)に延びる接続棒65,75に固定されている。接続棒65,75の横断面は長方形状であり、接続棒55と同様に、各接続棒65,75の長手方向中央部の真下には楕円形状のカム(偏芯カム)66,76が配置されている。
カム66,76の形状はカム56の形状と同一であるが、両者(カム56とカム66,76)の位相は180°ずれている。2つのカム66,76の位相は同一であり、これらの外周面には接続棒65,75の下面が接触している。また、各カム66,76の回転中心からずれた部分は上記の回転軸42に固定されている。従って、上述したようにモータ46が回転して回転軸42も回転することにより、カム66,76も回転して支持棒64,74と共に両端部上下動台60,70が上下動する。
上記のようにカム66,76の位相とカム56の位相は180°ずれているので、カム56の外周面のうち回転軸42から最も離れた(遠い)面(最遠面)が最も高い位置に位置するときは、カム66,76の最遠面は最も低い位置に位置している。従って、支持棒54が上昇して最も高い位置に到達しているときは、2本の支持棒64,74は下降して最も低い位置に位置している。この結果、上述したように、中央部上下動台50が上昇しているときは両端部上下動台60,70は下降しており、中央部上下動台50が最も高い位置に到達したときは両端部上下動台60,70は最も低い位置に到達する。この逆に、中央部上下動台50が下降しているときは両端部上下動台60,70は上昇しており、中央部上下動台50が最も低い位置に到達したときは両端部上下動台60,70は最も高い位置に到達する。中央部上下動台50と両端部上下動台60,70は、上下動の中点において高さが一致するように構成されている。
ここで、上述したように、中央部上下動台50と両端部上下動台60,70のいずれか一方だけを上下動させると共に他方を固定してコイル状部材12を山52,62,72の斜面で回転させながら搬送する構成にした場合について説明する。
中央部上下動台50を固定して両端部上下動台60,70が上下動する構成にした場合、中央部上下動台50を上下動させるための支持棒54、接続棒55、カム56などは不要となるので、その分、装置の構成を簡略できる。この場合、両端部上下動台60,70は、その山62,72(の頂点)が山52(の頂点)よりも高くなる位置から低くなる位置までの間を繰り返し移動するように上下動する。
一方、両端部上下動台60,70を固定して中央部上下動台50が上下動する構成にした場合、両端部上下動台60,70を上下動させるための支持棒64,74、接続棒65,75、カム66,76などは不要となるので、その分、装置の構成を簡略できる。この場合、中央部上下動台50は、その山52(の頂点)が山62,72(の頂点)よりも高くなる位置から低くなる位置までの間を繰り返し移動するように上下動する。
図6を参照して、上記した中央部上下動台50と両端部上下動台60,70によってコイル状部材12が回転しながら搬送される様子について説明する。
図6は、中央部上下動台と両端部上下動台の一部を示す模式図である。この図では、図3から図5までに示される構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
中央部上下動台50の山52の形状と両端部上下動台60,70の山62,72の形状は同一である。各山52,62,72には、図2にも示すように、搬送方向(矢印A方向)に向いた斜面52a,62a,72aと、搬送方向とは反対方向に向いた斜面52b,62b,72bが形成されている。また、上述したように各山52,62,72のピッチPは同じであるが、山52の頂上と山62,72の頂上の位置は半ピッチ(P/2)ずれている。
コイル状部材12が山52の斜面52aに乗っていると共に次の山の斜面52bに接触しているとき(図6のコイル状部材12で示す状態のとき)において、コイル状部材12の中心12aを通る垂直線をVとした場合、コイル状部材12が斜面52aに接触している点及び中心12a双方を結ぶ直線と垂直線Vとの成す角をΘ1とし、コイル状部材12が斜面52bに接触している点及び中心12a双方を結ぶ直線と垂直線Vとの成す角をΘ2とし、コイル状部材12が斜面52bに接触している点からこの斜面52bの山52の頂点までの距離をL1とし、コイル状部材12が斜面52aに接触している点からこの斜面52aの山52の頂点までの距離をL2とし、コイル状部材12の外径ΦをDとしたときに、下記の数1が成立する山52,62,72の形状にする。
【数1】

また、一つの山52の斜面52aに乗っていると共に次の山52の斜面52bに接触しているコイル状部材12から、この次の山52の斜面52aに乗っていると共に斜面52bに接触しているコイル状部材12’’までの距離(隙間)をtとしたときにピッチP=D(コイル状部材12の外径)+tとなるように山52,62,72を構成する。ただし、ピッチP<Dの場合であっても、コイル状部材12を搬送路22に載置する際に、隣り合うコイル状部材12の間隔として複数ピッチに相当する間隔を空けることにより、これら隣り合うコイル状部材12は互いに接触することはない(衝突しない)。すなわち、ピッチP<Dの場合は、搬送路22に載置された一つのコイル状部材12から次のコイル状部材12までの間に複数の山52(又は62,72)が存在するように、多数のコイル状部材12を載置すればよい。
さらに、一つの山52の斜面52aに乗っていると共に次の山52の斜面52bに接触しているコイル状部材12の中心12aから、山52と次の山52との間の山62(72)の頂点までの水平距離をSとした場合、S>0となるように山52,62,72を構成する。
上記のように山52,62,72を構成すると共に、中央部上下動台50と両端部上下動台60,70とが互いに逆方向になるように上下動させることにより、中央部上下動台50及び両端部上下動台60,70の山52,62,72の一ピッチPをコイル状部材12が回転しながら搬送されたときに、コイル状部材12が一回転も半回転もしない(一回転及び半回転しない)。この結果、コイル状部材12が搬送される際に、コイル状部材12の同一部分だけが誘導加熱コイル24に繰り返して接近することがないので、コイル状部材12の全体が一様に誘導加熱される。
搬送路22よりも搬送方向上流側には、搬送路22にコイル状部材12を連続的に載置する搬送器(図示せず)が配置されている。この搬送器から連続的に多数のコイル状部材12が搬送路22の搬送方向最上流部に置かれる。このように搬送路22に置かれた状態が、図6のコイル状部材12で示されるものとする。この状態では、中央部上下動台50は最上位置に位置し、両端部上下動台60,70は最下位置に位置すると仮定する。このような状態のコイル状部材12がその周方向に回転しながら搬送方向に搬送される際は、先ず、中央部上下動台50が下降し始めると共に両端部上下動台60,70が上昇し始める。この上下動によって、コイル状部材12は、両端部上下動台60,70の山62,72の斜面62a,72aを回転しながら搬送方向に搬送される。
続いて、上昇している両端部上下動台60,70が最上位置に到達すると共に下降している中央部上下動台50は最下位置に到達する。その直後、中央部上下動台50が上昇し始めると共に両端部上下動台60,70が下降し始め、コイル状部材12が中央部上下動台50の山52の頂上に一瞬ではあるが位置する。このときの状態が、図6のコイル状部材12’で示される。この直後からコイル状部材12’が山52の斜面52aを回転しながら下り始めて、コイル状部材12’’で示す位置にまで回転されながら搬送される。このように中央部上下動台50と両端部上下動台60,70とが互いに逆方向になるように上下動することを繰り返すことにより、コイル状部材12がその周方向に回転しながら搬送方向に搬送される。
コイル状部材12が上記のようにして搬送される際には、中央部上下動台50と両端部上下動台60,70とが互いに逆方向になるように上下動するので、コイル状部材12の中心線12aが上下動する距離が短くて済む。従って、コイル状部材12が搬送されるときに誘導加熱コイル24(図1や図2など参照)から離れる距離を最小限にできる。なお、ピッチPを短くしたり、斜面52a,62a,72aの傾きを小さくしたり(山52,62,72を低くしたり)することにより、中心線12aが上下動する距離を短くできる。また、ピッチPを短くしたり、斜面52a,62a,72aの傾きを小さくしたり(山52,62,72を低くしたり)した場合は、中央部上下動台50と両端部上下動台60,70のいずれか一方だけを上下動させると共に他方を固定してコイル状部材12を後述の山52,62,72の斜面で回転させながら搬送する構成にしてもよい。
上記のようにして多数のコイル状部材12が搬送路22で回転しながら搬送されるので、この搬送中においては、コイル状部材12の外周面の各部分が誘導加熱コイル24に向き合う頻度はほぼ同一になる。この結果、このコイル状部材12が誘導加熱コイル24によって一様に誘導加熱されることとなる。従って、コイル状部材12の全体(又は、外周層の全体)がほぼ均一に誘導加熱されるので、コイル状部材12には加熱むらが発生しない。
【実施例2】
図7を参照して実施例2を説明する。
図7は、実施例2の誘導加熱装置の搬送装置を示す正面図である。この図では、図1から図6までに示される構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
この搬送装置140は、その長手方向一端部13aの外径(Φ)D1よりも長手方向他端部13bの外径(Φ)D2が小さくなったコイル状部材13を円滑に回転させながら搬送するためのものであり、そのための工夫が施されている。搬送装置140は、両端部上下動台60,80や中央部上下動台50を備えている。コイル状部材13の長手方向一端部13aを下方から支持して上下動する両端部上下動台60は、搬送装置40の両端部上下動台60と同一の構成のものである。しかし、両端部上下動台80は両端部上下動台70とは相違するものである。この相違点は、両端部上下動台80が両端部上下動台60よりも高さhだけ高い点にある。この高さについて説明する。
コイル状部材13の長手方向一端部13aの外径ΦをD1とし、長手方向他端部13bの外径ΦをD2とする。また、外径D1の中心と外径D2の中心とを結ぶ直線をコイル状部材13の中心線13cとする。この場合、高さhは、h=(D1−D2)/2であるか、又はh≒(D1−D2)/2である。このように両端部上下動台80及び両端部上下動台60の高さを調節しておくことにより、コイル状部材13の中心線13cは、中央部上下動台50の上面50cとほぼ平行になるので、コイル状部材13は円滑に回転しながら搬送される。
また、両端部上下動台60,80には、その幅方向外側部分に側壁61,81が形成されている。側壁61の逃げ角度α2は、コイルばね13の曲げ開始角度α1よりも大きい。このため、コイルばね13の長手方向一端部13aが側壁に接触せずに回転するので、コイル状部材13を円滑に回転させながら搬送できることとなる。側壁81についても同様である。
コイル状部材13には、その長手方向一端部13aとその長手方向他端部13bの外径の大きさが異なるものもある。この場合は、長手方向一端部13aの中心と長手方向他端部13bの中心とが同じ高さになるように中央部上下動台50と両端部上下動台60,80とを配置する。ここでいう長手方向一端部13aの中心と長手方向他端部13bの中心とが同じ高さとは、中心線13cが水平又は略水平になることをいう。
【実施例3】
図8を参照して実施例3を説明する。
図8は、実施例3の誘導加熱装置の搬送装置を示す正面図である。この図では、図7に示される構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
この搬送装置240で搬送されるコイル状部材13は、コイル状部材13を所定長さに切断したときの切断面13d,13eがその長手方向両端それぞれに形成されたものである。また、ここでは、図8の紙面の裏側から表側に向かう方向が搬送方向であるとする。すなわち、コイル状部材13は回転しながら、図8の紙面の裏側から表側に向かって搬送される。このように搬送される際に、切断面13eが側壁81に接触したときは、コイル状部材13の回転の障害となる。そこで、搬送装置では、切断面13eが側壁81に接触しないように、中央部上下動台50と両端部上下動台60,80の全体を角度βだけ傾斜させている。
両端部上下動台60が両端部上下動台80よりも下がるように、中央部上下動台50の幅方向中心線50aを基準にして搬送装置240全体を角度βだけ傾けている。すなわち、水平線Hを基準にしたときは、コイル状部材13の中心線13cが角度βだけ傾くことになる。この場合、長手方向一端部13aの中心が長手方向他端部13bの中心よりも低くなるように傾く。ここで角度βは、2°以上30°以下の範囲内の角度であり、好ましくは、4°以上10°以下の範囲内の角度である。
上記のように搬送装置240全体を角度βだけ傾けた状態でコイル状部材13を回転させながら搬送することにより、切断面13dは側壁61に接近した状態になるが接触せず、切断面13eは側壁81から離れるので接触しない。従って、長手方向両端部の外径が異なるコイル状部材13を円滑に回転させながら搬送できる。
なお、上述したようにコイル状部材13には、その長手方向一端部13aとその長手方向他端部13bの外径の大きさが異なるものもある。この場合は、長手方向一端部13aの中心と長手方向他端部13bの中心とが同じ高さになるように中央部上下動台50と両端部上下動台60,80とを傾斜させる。ここでいう長手方向一端部13aの中心と長手方向他端部13bの中心とが同じ高さとは、中心線13cが水平又は略水平になることをいう。
【産業上の利用可能性】
本発明の誘導加熱方法によれば、誘導加熱コイルとコイル状部材が向き合わせて配置されるので誘導電流はコイル状部材の素線の横断面上で回転するように流れるだけであり、コイル状部材の両端部には短絡電流が生じない。すなわち、本発明の誘導加熱方法では、誘導加熱コイルとコイル状部材とを同軸状に配置したときに発生するコイル状部材両端部の短絡電流が生じないので、コイル状部材のオーバーヒートを防止できる。また、コイル状部材が搬送路で回転しながら搬送されるので、この搬送中においては、コイル状部材の外周面の各部分が誘導加熱コイルに向き合う頻度はほぼ同一になる。この結果、このコイル状部材が誘導加熱コイルによって一様に誘導加熱されることとなる。従って、コイル状部材の全体(又は、外周層の全体)がほぼ均一に誘導加熱されるので、コイル状部材には加熱むらが発生しない。
本発明の誘導加熱装置によれば、搬送手段で回転しながら搬送されているコイル状部材が誘導加熱手段によって誘導加熱されるので、コイル状部材は一様に誘導加熱されることとなる。従って、コイル状部材の全体(又は、外周層の全体)がほぼ均一に誘導加熱されるので、コイル状部材には加熱むらが発生しない。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状に巻かれたコイル状部材を誘導加熱する誘導加熱方法において、
前記コイル状部材が搬送される搬送路に向き合わせて誘導加熱コイルを配置しておき、
前記コイル状部材を前記搬送路で回転させながら搬送して前記誘導加熱コイルで誘導加熱することを特徴とする誘導加熱方法。
【請求項2】
前記記搬送路のうち前記コイル状部材が接触して搬送される搬送面に向き合う部分を有する誘導加熱コイルを配置することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の誘導加熱方法。
【請求項3】
前記搬送路が延びる搬送方向に交差する交差方向に螺旋状に巻かれて前記搬送路を囲むと共に前記搬送方向に延びる誘導加熱コイルを配置しておき、
前記コイル状部材の長手方向が前記搬送方向に直交する方向になるように前記コイル状部材を回転させながら搬送することを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の誘導加熱方法。
【請求項4】
前記コイル状部材をその外周方向に回転させながら搬送することを特徴とする請求の範囲第1項,第2項,又は第3項に記載の誘導加熱方法。
【請求項5】
前記搬送路を傾斜させて前記コイル状部材を回転させながら搬送することを特徴とする請求の範囲第1項から第4項までのうちのいずれか一項に記載の誘導加熱方法。
【請求項6】
前記コイル状部材の長手方向中央部を下方から支持して該コイル状部材を上下動させる、複数の山が前記搬送路に沿って所定のピッチで形成された中央部上下動手段と、
前記コイル状部材の長手方向両端部を下方から支持して該コイル状部材を上下動させる、複数の山が前記搬送路に沿って所定のピッチで形成された両端部上下動手段とを、これら双方の山の頂上が前記搬送路に沿って交互に位置するように前記搬送路に配置しておき、
前記中央部上下動手段と前記両端部上下動手段とが互いに上下動の方向を逆にして上下動するようにして前記コイル状部材を前記山の斜面で回転させながら搬送することを特徴とする請求の範囲第1項から第5項までのうちのいずれか一項に記載の誘導加熱方法。
【請求項7】
前記中央部上下動手段及び前記両端部上下動手段の前記山の一ピッチを、前記コイル状部材が回転して搬送されたときに該コイル状部材が一回転も半回転もしないように決めておき、
前記中央部上下動手段及び前記両端部上下動手段を上下動させながら、前記コイル状部材を回転して搬送することを特徴とする請求の範囲第6項に記載の誘導加熱方法。
【請求項8】
前記コイル状部材は、その長手方向一端部から長手方向他端部に向かうほどその外径が大きくなるものであり、
前記両端部上下動手段のうち前記長手方向一端部を支持する一端部支持部材は、前記長手方向他端部を支持する他端部支持部材よりも高い位置に配置されているものであることを特徴とする請求の範囲第6項又は第7項に記載の誘導加熱方法。
【請求項9】
前記コイル状部材は、その長手方向一端部から長手方向他端部に向かうほどその外径が大きくなるものであり、
前記両端部上下動手段のうち前記長手方向一端部を支持する一端部支持部材は、前記長手方向他端部を支持する他端部支持部材よりも高い位置に位置するように、前記搬送路に直交する方向に前記両端部上下動手段及び前記中央部上下動手段が傾斜していることを特徴とする請求の範囲第6項又は第7項に記載の誘導加熱方法。
【請求項10】
前記搬送路の幅方向両端部それぞれから立ち上がった側壁を前記搬送路に形成しておき、
前記コイル状部材は、該コイル状部材を所定長さに切断したときの切断面がその長手方向両端それぞれに形成されたものであり、
前記長手方向両端それぞれに形成された切断面が前記側壁に接触しないように前記コイル状部材を回転させることを特徴とする請求の範囲第1項から第9項までのうちのいずれか一項に記載の誘導加熱方法。
【請求項11】
前記コイル状部材は、その長手方向一端部とその長手方向他端部の外径の大きさが異なるものであり、
前記両端部上下動手段のうち前記長手方向一端部を支持する一端部支持部材と、前記長手方向他端部を支持する他端部支持部材とは、前記長手方向一端部の中心と前記長手方向他端部の中心が同じ高さになるように配置されているものであることを特徴とする請求の範囲第6項又は第7項に記載の誘導加熱方法。
【請求項12】
前記コイル状部材は、その長手方向一端部とその長手方向他端部の外径の大きさが異なるものであり、
前記両端部上下動手段のうち前記長手方向一端部を支持する一端部支持部材と、前記長手方向他端部を支持する他端部支持部材とは、前記長手方向一端部の中心と前記長手方向他端部の中心が同じ高さになるように、前記搬送路に直交する方向に前記両端部上下動手段及び前記中央部上下動手段が傾斜していることを特徴とする請求の範囲第6項又は第7項に記載の誘導加熱方法。
【請求項13】
前記中央部上下動手段と前記両端部上下動手段とが互いに上下動の方向を逆にして上下動することに代えて、
前記中央部上下動手段と前記両端部上下動手段のいずれか一方だけを上下動させると共に他方を固定して前記コイル状部材を前記山の斜面で回転させながら搬送することを特徴とする請求の範囲第1項から第12項までのうちのいずれか一項に記載の誘導加熱方法。
【請求項14】
螺旋状に巻かれたコイル状部材を回転させながら搬送する搬送手段と、
この搬送手段で搬送中の前記コイル状部材を誘導加熱する誘導加熱手段とを備えたことを特徴とする誘導加熱装置。
【請求項15】
前記搬送手段は、
前記コイル状部材のその外周方向に回転させながら搬送するものであることを特徴とする請求の範囲第14項に記載の誘導加熱装置。
【請求項16】
前記搬送手段は、
前記コイル状部材の長手方向中央部を下方から支持して該コイル状部材を上下動させる、複数の山が前記搬送路に沿って所定のピッチで形成された中央部上下動手段と、
前記コイル状部材の長手方向両端部を下方から支持して該コイル状部材を上下動させる、複数の山が前記搬送路に沿って所定のピッチで形成された両端部上下動手段とを備え、
前記中央部上下動手段及び前記両端部上下動手段は、
これら双方の山の頂上が前記搬送路に沿って交互に位置するように前記搬送路に配置されたものであり、これら双方が互いに上下動の方向を逆にして上下動するようにして前記コイル状部材を前記山の斜面で回転させながら搬送するものであることを特徴とする請求の範囲第15項に記載の誘導加熱装置。
【請求項17】
前記中央部上下動手段と前記両端部上下動手段とが互いに上下動の方向を逆にして上下動することに代えて、
前記中央部上下動手段と前記両端部上下動手段のいずれか一方だけを上下動させると共に他方を固定して前記コイル状部材を前記山の斜面で回転させながら搬送することを特徴とする請求の範囲第14項,第15項,又は第16項に記載の誘導加熱装置。
【請求項18】
前記中央部上下動手段及び前記両端部上下動手段は、
前記コイル状部材が回転して搬送されたときに該コイル状部材が一回転も半回転もしないように、前記山の一ピッチが設定されたものであることを特徴とする請求の範囲第17項に記載の誘導加熱方法。
【請求項19】
前記両端部上下動手段は、
前記コイル状部材の長手方向一端部を支持する一端部支持部材と、この長手方向一端部とは反対側の長手方向他端部を支持する他端部支持部材とを備えたものであり、
前記一端部支持部材は、前記他端部支持部材よりも高い位置に配置されているものであることを特徴とする請求の範囲第17項又は第18項に記載の誘導加熱装置。
【請求項20】
前記両端部上下動手段は、
前記コイル状部材の長手方向一端部を支持する一端部支持部材と、この長手方向一端部とは反対側の長手方向他端部を支持する他端部支持部材とを備えたものであり、
前記一端部支持部材は、前記他端部支持部材よりも高い位置に位置するように、前記搬送路に直交する方向に前記両端部上下動手段及び前記中央部上下動手段が傾斜していることを特徴とする請求の範囲第17項又は第18項に記載の誘導加熱装置。
【請求項21】
前記搬送路は、この搬送路の幅方向両端部それぞれから立ち上がった一対の側壁が形成されたものであり、
前記コイル状部材は、該コイル状部材を所定長さに切断したときの切断面がその長手方向両端それぞれに形成されたものであり、
前記長手方向両端それぞれに形成された切断面は前記側壁に接触しないものであることを特徴とする請求の範囲第14項から第20項までのうちのいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
【請求項22】
請求の範囲第14項から第21項までのうちのいずれか一項に記載の誘導加熱装置と、
該誘導加熱装置で所定の焼入温度に加熱された前記コイル状部材を冷却する冷却層とを備えたことを特徴とする焼入装置。

【国際公開番号】WO2005/081586
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【発行日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510125(P2006−510125)
【国際出願番号】PCT/JP2004/001974
【国際出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【出願人】(390029089)高周波熱錬株式会社 (288)
【Fターム(参考)】