説明

誘導灯付きガラス床

【課題】合理的かつ簡明で優れた機能を備えたガラス床に誘導灯を組み込み、避難誘導その他の誘導に必要な場合にのみそれが視認性を確保してその作用を発揮する意匠性に優れたものであること。
【解決手段】床ガラス4とこれを支持する支持枠2とでガラス床本体1を構成し、床ガラス4は二枚のガラス板4a、4aを不透明・透光性の接着性中間膜4bで貼り合わせて構成する。支持枠2の長尺支分支持枠2a、2aの内側部に沿って配したLED3a、3a…と、床ガラス4の下方に配した上向きの反射面3bとで照明部3を構成し、反射面3b上に取付台5aを介して平面から見て矢印状に配置したLED5b、5b…と、これらのLED5b、5b…の発光動作を制御する制御手段とで案内標識部5を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はRC造及び木造等の各種の建築物の床に組み込むことができる誘導灯付きガラス床に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラス床に誘導灯を組み込んだ誘導灯付きガラス床は現時点ではまだ知られていない。
ガラス床に関しても本件出願人の提案する前には、ガラスブロックを用いて構成するそれや板ガラスを用いて構成するそれがあったが、いずれも満足すべきものはなかった。
【0003】
前者のガラスブロックを用いたガラス床としては、複数の横方向部材とセグメント部材とを縦横に配し、かつそれらの四辺を外周部材で囲んで、平面から見て格子状の枠体を構成し、各格子中に各々弾性ブーツを外装したガラスブロックを嵌め込む構造のそれ(特許文献1)がある。
【0004】
このような特許文献1のガラス床は、床面を構成するガラスとしてガラスブロックを採用したものであるため、格子部材により小さな格子を構成してそこに嵌め込むものとせざるを得ず、結局、格子の目立つ、重さを感じるデザインとなり易く、デザイン的に自由度の乏しいものとなる。またガラスブロックはサイズ的に小さい割に重量があり、更に、上記のように、格子が小さなものとなるため、実際に全体として重量が大きくなり、その設置作業は相当な重筋作業となる。
【0005】
またこの構成では、万が一ガラスブロックが割れた場合には、下方が閉じられていなければ、その下層階にガラスの破片が落下する虞があり、極めて危険である。このようにガラスが割れた場合又はヒビが入った場合等にガラスブロックの交換の必要が生じる筈であるが、その交換も容易とは言い難い、等の種々の問題がある。
【0006】
他方、後者の板ガラスを用いたガラス床にも優れた提案はなく、現時点ではまだあまり普及しているとも云えない。現在、若干行われている施工事例は、その場の建設条件に合わせて個別に設計され、既存の種々の汎用の建設材料を加工して構成されているものであり、高価で施工性も悪く、仕上がりも必ずしもスマートなものとは云えないものである。
【0007】
本件出願人は、以上のようなガラス床の問題点を解消し、施工が簡単で、スマートであり、かつガラス板の固定も確実な二つの関係技術を提案している。
【0008】
その一つは、合わせガラスに構成した複数のガラス板を敷設してなるガラス床を支持するガラス床用の支持構造であって、縦横に敷設するガラス板間の格子状の目地の少なくとも交点に対応させて配する高さ調節機能を備えた支柱部材と、縦横に敷設するガラス板の少なくとも目地に沿って格子状に配する支持フレームであって、その上面両側で緩衝材を介して該目地両側のガラス板の辺部を支持するとともに、その少なくとも交点で前記支柱部材によって支持される支持フレームと、縦横に敷設するガラス板の目地中に挿入してその両側のガラス板の下支分ガラス板の辺部を各々支持する一対のガラス係止片であって、前記支持フレームの上部の係止溝にその下部を挿入して係止するガラス係止片と、該一対のガラス係止片間に挿入して、該各ガラス係止片による下支分ガラス板の支持状態及び該両ガラス係止片の前記支持フレームの係止溝に対する係止状態を固定する挿入固定片と、縦横に敷設するガラス板の目地中の上支分ガラス板間に挿入する目地材とで構成したガラス床用の支持構造(特許文献2)である。
【0009】
もう一つは、合わせガラスに構成した床ガラスと、床構造の一部に固設する固設手段を備えた複数の支分支持枠を平面から見て閉じた状態に接続してなる支持枠であって、該支分支持枠の各々に前記床ガラスの対応する縁部の下面を支持する台座部及び該床ガラスの対応する縁部の端面を支持する直立支持部を構成し、かつ複数の支分支持枠を相互の端部間で弾力的に接続する接続部材及び該床ガラスの下面から突出する固定片をそのスリット部中で支持する固定部材を挿入する連続接続空間を備えた支持枠と、前記台座部と床ガラスとの間に介在させて緩衝作用を持たせる緩衝帯材と、前記直立支持部と床ガラスの縁部の端面との間に介在させる弾性目地材と、両側を各々隣接する支分支持枠の連続接続空間に装入して該支分支持枠相互を結合する接続部材と、前記連続接続空間にスライド自在に装入して前記固定片をそのスリット部中で支持する固定部材と、床ガラスの下面から延長し、前記固定部材のスリット部中に挿入して該床ガラスの浮上を防止する固定片とで構成したガラス床ユニット(特許文献3)である。
【0010】
前記したように、それぞれ前記技術の問題点を解決した有用な技術であるが、前記したように、これらは災害時に避難者を建物外の安全な場所に誘導するために誘導灯の組み込まれたものではない。
【0011】
以上のようなガラス床ではなく、通常の床に誘導灯を構成した例はある。
その一つは、床パネルの表面に凹部を設ける一方、該パネルの凹部内の底側に導光板を配置し、該導光板の側部に放電管を配置すると共に、上記パネルの凹部内の上側に透光性カバーを配置し、該透光性カバーと上記導光板との間に表示フィルムを配置してなる床パネル(特許文献4)である。
【0012】
この床パネルは、以上のように、その一部に避難誘導灯を構成するものであり、この避難誘導灯は、視界を遮る物のない床に誘導灯を構成し、避難者の誘導を容易にしうるようにしたとする観点からは、有効性が認められるが、災害時に限定されず、床にこの避難誘導灯の表示が常時露出しているのはデザイン上からは好ましいものとは思われない。
【0013】
もう一つは、床下内に配線材等を収納可能とする二重床構造を形成する床パネル本体に設けられた、配線用接続器等の床用配線器具を取り付けるための開口に装着させる取付ベースに発光手段を配設し、同発光手段の前面に周縁に段差部を有した透光カバーを設け、該段差部に床パネル本体表面と同様のカーペット等の床仕上げ材を配置してなる照明装置(特許文献5)である。
【0014】
この照明装置は、レイアウトの変更に敏速に対応できるという有用性は認められるが、前記特許文献4の床パネルと同様に、避難誘導灯として作用する発光手段等が構成された部位が、災害時に限定されず、床に常時露出しているものであり、デザイン上から好ましいものとは思われない。
【0015】
【特許文献1】特許第2840693号公報
【特許文献2】特開2004−316355号公報
【特許文献3】特開2005−299306号公報
【特許文献4】特開平06−299682号公報
【特許文献5】特開2005−307621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、以上のような従来技術の問題点を解決し、合理的で簡明であり、確実に板ガラスの固定ができる等の優れた機能を具えたガラス床に誘導灯を組み込み、避難誘導又はその他の目的による誘導に必要な場合にのみそれが視認性を確保してその作用を発揮する意匠性に優れた誘導灯付きガラス床を提供することを解決の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の1は、床ガラスとこれを支持する支持部材とでガラス床本体を構成し、前記ガラス床本体の床ガラスとして、二枚のガラス板を不透明・透光性の接着性中間膜で貼り合わせて構成した合わせガラスを採用し、かつ前記床ガラス本体に照明部と案内標識部とを取り付けるものとし、前記照明部を、前記床ガラスの下方に下向きに配した発光手段と、該発光手段の放射光を該床ガラス側に反射させる上向きの反射面とで構成し、前記案内標識部を、前記反射面上に配した一定の発光角で発光する発光素子であって、平面から見て案内表示を構成するように配列した上向きの複数の発光素子と、該複数の発光素子の発光動作を制御する制御手段とで構成した誘導灯付きガラス床である。
【0018】
本発明の2は、本発明の1の誘導灯付きガラス床に於いて、前記案内標識部の発光素子を、これらと前記床ガラスとの間の間隔を調節して該発光素子の発光照射によって生じる前記床ガラスのスポット状照射面の径を調整できるように、前記反射面上に配置した高さ調整可能な取付台上に配したものである。
【0019】
本発明の3は、本発明の1又は2の誘導灯付きガラス床に於いて、前記制御手段を、前記複数の発光素子が、これらによって構成した案内表示の指し示す方向に向かって順次点灯する点灯サイクルを繰り返すように発光制御すべく構成したものである。
【0020】
本発明の4は、本発明の1、2又は3の誘導灯付きガラス床に於いて、前記反射面を、前記支持部材に前記床ガラスと対面させて係止した面材の上面に白色の塗装を施すことで構成したものである。
【0021】
本発明の5は、本発明の1、2又は3の誘導灯付きガラス床に於いて、前記反射面を、ガラス床本体を支持部材を介して支持する床下地に白色の塗装を施すことで構成したものである。
【0022】
本発明の6は、本発明の1、2、3、4又は5の誘導灯付きガラス床に於いて、前記発光素子としてLEDを採用したものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の1の誘導灯付きガラス床によれば、その下方に配した案内表示を構成する発光素子等の部材は、特にこれを用いる必要のないときには、外部からは一切見えることがない。そのため、ガラス床の意匠を損ねることがない。
【0024】
前記照明部の発光手段が発光動作して前記床ガラスから床上にその光が透過し、周囲を柔らかな光で照明する場合も、該床ガラスの下方の案内標識部の発光素子その他の部材が透過して上方から視認可能になるようなことはない。そのためこの場合も、ガラス床の意匠を損ねる虞はない。
【0025】
他方、地震や火災等の非常時、若しくはその他の理由でその上に至った人の誘導が必要な場合には、前記案内標識部の発光素子が発光駆動され、それらによって床ガラスにスポット状照射面による案内表示が形成され、床面上部側の避難者その他の被誘導者によってこれが明確に認識され得ることになる。即ち、案内標識部の案内表示は、不要な場合は一切見えない状態を保持することで、ガラス床のデザインを損ねることを回避し、他方、必要な場合には、直ちに明瞭に認識可能な状態に形成されて確実に認識できるようになる。
【0026】
本発明の2の誘導灯付きガラス床によれば、床上の避難者その他の被誘導者からの視認性を最も高くできるように、発光素子の発光によって生じる床ガラスのスポット状照射面の径を適切に調整することができる。
【0027】
本発明の3の誘導灯付きガラス床によれば、例えば、避難方向その他の誘導方向を指し示す矢印等の案内表示をその指し示す方向に合わせて順次発光させることができるため、より一層、避難者等の被誘導者に避難方向その他の誘導方向を正確かつ分かり易く報知することができることになる。
【0028】
本発明の4の誘導灯付きガラス床によれば、上方の床ガラスと適切な距離で適切な反射機能を持った反射面を容易に構成することができる。
【0029】
本発明の5の誘導灯付きガラス床によれば、RC造のように、下方に床スラブがある場合は、これを利用することで、より簡易に反射面を構成することができる。
【0030】
本発明の6の誘導灯付きガラス床によれば、適切な光量と適切な発光角を持った発光素子を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の誘導灯付きガラス床は、基本的に、ガラス床本体と、その下方に配した照明部と、前記ガラス床本体の床ガラスの下方に構成した案内標識部とからなる。
【0032】
前記ガラス床本体は、床ガラスとこれを支持する支持部材とで構成したものであり、特に重要なことは、該床ガラスとして、二枚のガラス板を不透明・透光性の接着性中間膜で貼り合わせて構成した合わせガラスを採用することである。なお、該接着性中間膜の色は特定のそれに限定されない。デザイン上の都合により種々の色を自由に採用することができる。
【0033】
前記支持部材の構成は特定のそれに限定されない。例えば、RC造の建物で、ガラス床をその床スラブを床下地として、その上に構成する場合は、支柱を立設して床ガラスの四隅部又は辺の途中を点支持する構成、或いは、同様に配した支柱と、これで支持される支持枠を利用した構成等を採用することができる。
【0034】
例えば、後者のタイプの床ガラスの支持部材は、縦横に敷設する床ガラスの目地に沿って格子状に配し、その上面両側で緩衝材を介して該目地両側の床ガラスの辺部を支持する支持枠と、前記目地中の下部に挿入してその両側の床ガラスの辺部を各々該支持枠に固定する固定手段と、縦横に敷設する床ガラスの目地中の上部に充填する目地材と、該支持枠を、その交点で支持する床スラブ上に立ち上げた支柱部材とで構成することができる。
【0035】
また、前記支持部材は、例えば、木造や鉄骨造の建物等、若しくはRC造でも床スラブから以上の例のように立ち上げる構成以外を採用する場合は、次のような構成が採用できる。
【0036】
例えば、このような床ガラスの支持部材は、4本の支分支持枠を四辺形の辺に沿って配し、それぞれを四隅部で結合して四辺形のユニット型に構成することができる。該支分支持枠は、各々に建物の床構造の一部に固設する固設手段、床ガラスの対応する辺部の下面を支持する台座部及び該床ガラスの対応する辺部の端面を支持する直立支持部の各々を備えたものとするのが適当である。前記床ガラスは、該台座部との間に緩衝作用を持たせる緩衝帯材を介在させ、該直立支持部と該床ガラスの辺部端面との間に弾性目地材を介在させるのが適当である。
【0037】
前記照明部は、前記床ガラスの下方に下向きに配した発光手段と、該発光手段の放射光を該床ガラス側に反射させる上向きの反射面とで構成する。
【0038】
前記発光手段には、種々の放電管や照明用のLED等を採用することができる。これらの発光手段は、床ガラスの支持部材として、その辺を支持する支持枠を採用している場合は、例えば、該支持枠の側部の全部又は一部に沿って取付部材を配設し、該取付部材に下向きに連設することができる。床ガラスの支持部材としてその隅部又は辺部を点支持する構成を採用している場合は、発光手段は、例えば、床下地上に取付座を立ち上げ、その下面に下向きに連設することができる。これは前記支持枠を採用した場合も当然適用可能である。
【0039】
以上のいずれの場合も、該発光手段の背後、即ち、その上方側には、必要に応じて、該発光手段の放射光を下方に向けて反射させるべく下向き反射面を構成しておくことができる。この下向き反射面は、適当なサイズの板材に白色の塗装を行う等によって構成することができる。
【0040】
前記上向きの反射面は、前記発光手段の発した光を上部の床ガラス側に反射することをその役割とする物であり、そのような目的を実現することができる種々の構成を自由に採用することができる。例えば、前記ガラス床本体の直下にこれを支持する床スラブ等の床下地が位置している場合は、該反射面は、該床下地に白色の塗装を施すことで構成することができる。また前記支持部材として、前記のような支持枠を構成した場合は、該反射面は、該支持枠に前記床ガラスと対面させて面材を係止し、その上面に白色の塗装を施すことで構成することができる。
【0041】
前記案内標識部は、前記反射面上に配した一定の発光角で発光する発光素子であって、平面から見て案内表示を構成するように配列した上向きの複数の発光素子と、該複数の発光素子の発光動作を制御する制御手段とで構成したものである。
【0042】
前記発光素子としては、前記のように指向性を有し、一定の発光角で発光することができ、かつ適当な光量を有するものであれば、種々のそれを自由に採用することができる。例えば、該発光素子として、そのような条件を満たす照明用のLEDを採用することができる。
【0043】
該発光素子は、前記反射面上に直接に又は何らかの取付台を介して配することができる。該発光素子は、単なる取付台ではなく、前記反射面上に配置した高さ調整可能な取付台上に配することもできる。これによって、該発光素子と前記床ガラスとの間の間隔を調節して該発光素子の発光照射によって生じる前記床ガラスのスポット状照射面の径を自由に調整できることになる。このスポット状照射面の径は、その上を歩く避難者その他の被誘導者が認識し易いサイズに決定するべきなのは云うまでもない。例えば、これは、案内表示のデザインによって種々であるが、簡単な矢印を構成する場合等には、20mm前後が適当である。
【0044】
以上の発光素子は、前記したように、平面から見て案内表示を構成するように配列すべきものであり、該案内表示は、避難者その他の被誘導者に案内又は誘導すべき方向を示す表示である。例えば、矢印又は案内方向を示す指先の図柄等であるが、その目的が達成される限り、特定の図柄に限定されない。またその表示態様も、その目的、例えば、地震や火災等の際の避難誘導のため、或いは、来訪者を建物の特定の部屋その他に案内するため等により若干異なり得るが、いずれにしても、目的に応じて適宜デザインすべきものである。
【0045】
前記制御手段は、前記複数の発光素子の発光動作を、目的に応じて制御するように構成する。例えば、地震や火災等の災害時の避難者の誘導のための場合は、それらの検知手段等からの火災や所定レベル以上の地震の発生を報知する信号、火災報知器からの信号、或いは管理者の操作等によって、該発光素子の発光動作を開始させるように構成する。またこのとき、該発光素子の発光動作は、継続的な発光又は点滅発光等を行うべく制御するように構成することができる。適切な制御態様を選択して行うよう構成すべきである。例えば、このような制御態様としては、前記複数の発光素子を、これらによって構成される案内表示の指し示す方向に向かって順次点灯する点灯サイクルを繰り返すそれを採用することができる。
【0046】
また前記案内標識部の発光素子及び制御手段の動作用の電源としては、無停電電源を用意しておき、これを使用することとするのが適当である。
【0047】
従って本発明の誘導灯付きガラス床によれば、床ガラスとして、二枚のガラス板を不透明・透光性の接着性中間膜で貼り合わせて構成した合わせガラスを採用したので、その下方に配した案内表示を構成する発光素子等の部材は、通常、外部からは一切見えることがない。そのため、ガラス床の意匠を損ねる虞がない。
【0048】
夜間、或いは都合により昼間でも照明部の発光素子を発光駆動するものとすることができるが、そうすると、その照射光は、直接に又は周囲の構成要素で反射して反射面に入射し、ここで多くの光が反射して前記床ガラスに照射されることになる。該床ガラスの一部を構成する中間膜は不透明・透光性であるから、一部を吸収しながらその光を床上に透過させ、該ガラス床を構成した室内又は廊下等を柔らかな光で照明することになる。しかしこの場合も、その下方の案内標識部の発光素子その他の部材が透過して見えるようになることはない。そのためこの場合も、ガラス床の意匠を損ねる虞は全くない。
【0049】
他方、地震や火災等の非常時、或いは別の理由で案内動作が必要な場合には、制御手段の設定に従って前記案内標識部の発光素子が発光駆動され、これらが所定の発光角で発光すると、各々が前記床ガラスに適切な径のスポット状照射面を作り、それらの全体によって案内表示が形成される。こうして表示された案内表示は床面上方に位置する避難者や被誘導者によって明確に認識され得ることになる。即ち、発光素子によって形成される案内表示は必要な場合は明瞭に認識可能になるが、それ以外の場合には一切見えず、ガラス床のデザインを損ねるようなことはない。
【0050】
前記発光素子を、前記反射面上に配置した高さ調整可能な取付台上に配置した場合は、該発光素子の発光角を考慮し、これと床ガラスとの間隔を適切に設定することにより、該発光素子の発光によって生じる該床ガラスのスポット状照射面の径を適切に調整することができることになり、これによって、床上の避難者等の被誘導者からの視認性を最も高くなるようにすることができる。
【0051】
前記制御手段による制御態様を、前記複数の発光素子が、これらによって構成される案内表示の指し示す方向に向かって順次点灯する点灯サイクルを繰り返す態様に構成した場合は、避難方向又は誘導方向を指し示す矢印等の案内表示がその指し示す方向に一致して順次発光するようになるので、より一層、避難者等の被誘導者に誘導方向を正確かつ分かり易く報知することができることになる。
【0052】
前記反射面を、前記のように、前記支持枠に前記床ガラスと対面させて係止した面材の上面に白色の塗装を施すことで構成した場合は、上方の床ガラスと適切な距離で適切な反射機能を持った上向きのそれを容易に構成することができる。また前記反射面を、前記のように、床下地に白色の塗装を施すことで構成した場合は、より簡易に反射面を作成することができる。
【0053】
前記発光素子としてLEDを採用した場合は、適切な光量と適切な発光角を持ったそれを容易に得ることができる。
【実施例1】
【0054】
この実施例1の誘導灯付きガラス床は、図1及び図2に示すように、基本的に、ガラス床本体1と、その支持枠(支持部材)2の平行な二辺を構成する長尺支分支持枠2a、2aの内側部及び該ガラス床本体1の床ガラス4の下方に構成した照明部3と、該ガラス床本体1の床ガラス4の下方中央付近に構成した案内標識部5とで構成したものである。
【0055】
前記ガラス床本体1は、図1〜図4に示すように、長方形の床ガラス4と、二本の長尺支分支持枠2a、2a及び2本の短尺支分支持枠2b、2bを四辺形に接続して構成した支持枠2と、EPTゴム製の緩衝帯材6、6…と、前記床ガラス4の長尺支分支持枠2a又は短尺支分支持枠2bへの固着部材7、7…と、該長尺支分支持枠2a、2aと該短尺支分支持枠2b、2bとを四隅部で直角に結合するナイロン樹脂製の接続部材(図示せず)とで構成したものである。
【0056】
前記床ガラス4は、図1、図3及び図4に示すように、この実施例1では、平面から見て長方形に構成した合わせガラスを採用した。該床ガラス4は、二枚のガラス板4a、4aを接着性中間膜4bで貼り合わせて構成したものである。該ガラス板4a、4aとしては強化ガラスを採用し、かつ該接着性中間膜4bとしては不透明で白色透光性のPVB膜を採用した。
【0057】
前記支持枠2は、前記し、図2に示すように、2本の長尺支分支持枠2a、2a及び2本の短尺支分支持枠2b、2bを接続して四辺形に構成したものである。長方形の二つの長辺に沿って前者を、二つの短辺に沿って後者を、それぞれ配置し、相互を四隅部で、図示しない前記接続部材により接続して構成したものである。該長尺支分支持枠2aと短尺支分支持枠2bとはその長さを除いては同一構成である。
【0058】
前記長尺支分支持枠2aは、図1及び図3に示すように、床構造の一部である根太8に固設する固設部2a1、前記床ガラス4の対応する辺の下面を支持する台座部2a2、該辺の端面の下部付近を前記固着部材7を介して固定する直立支持部2a3、前記接続部材を挿入する連続接続空間2a4及び前記台座部2a2の内端側から垂下する補助固設部2a5を備えたアルミニウム製の部材である。以上の構成要素は、該長尺支分支持枠2aの全長さ方向にわたって同一に構成されている。
【0059】
なお前記短尺支分支持枠2bも以上の構成は全く同一であり、固設部、台座部、直立支持部、連続接続空間及び補助固設部を備えたアルミニウム製の部材である。
【0060】
前記固設部2a1は、図1及び図3に示すように、該根太8の上面にその下面側が当接し、該根太8の材質に応じて木ビス又はボルト等によってそれにねじ込み固定するための水平板部に構成したものであり、該木ビス又はボルト等をねじ込むための結合孔が、特に図2から理解されるように、その両端付近と中央部に開口してある。なお該固設板部2a1は、その裏面側に、端面から見てL形及び逆L形の突出部がそれぞれ構成してあり、これらによって補強されている。
【0061】
前記台座部2a2は、図1及び図3に示すように、前記固設部2a1の内端から更に内方に延長し、該延長部上に前記連続空間2a4を構成しつつその上に構成する。その座面は設置時に水平になるように構成し、その幅は前記床ガラス4の対応する辺を不都合なく載置し得る寸法、即ち、この実施例1では12mmとした。該台座部2a2の座面には前記緩衝帯材6をその上に結合固定するための結合溝を構成しておく。この結合溝は、この実施例1では、座面の中央にその長さ方向に沿って形成した断面円形の空間を座面側に開口して構成したものである。
【0062】
前記直立支持部2a3は、図1及び図3に示すように、前記台座部2a2の外端(前記固設部2a1の内端)側から立ち上げて構成する。その高さは、その上端が、該台座部2a2上に載置した床ガラス4の上面を僅かに越えるだけのそれとする。該直立支持部2a3の裏面側には、端面から見てL形及び逆L形の突出部がそれぞれ構成してあり、これらによって補強されている。また上部側の突出部の上端からは床の仕上げ材であるフローリング9aの端部上面に被覆係止する突片が突出状に形成されている。
【0063】
前記連続接続空間2a4は、図1及び図3に示すように、前記固設部2a1の内端から内方に延長した延長部上に、端面から見るとほぼ四辺形となる角筒状部に囲まれた空間に構成する。前記したように、その上辺上の面が前記台座部2a2を構成することとなる。
【0064】
前記補助固設部2a5は、図1及び図3に示すように、前記台座部2a2の内端から垂下し、前記連続接続空間2a4の内方の側辺を兼ねつつ更にその下方にまで垂下した板状の部材であり、最下端で内側に載置片2a6が突出させてある。該補助固設部2a5の外面側で、該連続接続空間2a4より下方の部位には、端面から見て円弧状、L形及び逆L形の突出部がそれぞれ構成してあり、これらによって補強されている。
【0065】
前記緩衝帯材6は、前記し、図1及び図3に示すように、EPTゴムによって帯状に形成した部材であり、その下面には、その中央に沿って前記台座部2a2の結合溝に結合し得る断面円形の結合突条を形成してある。
【0066】
前記固着部材7は、図1及び図3に示すように、長尺支分支持枠2a又は短尺支分支持枠2bの直立支持部2a3の下部内面と、前記台座部2a2にその対応する辺部を載せた床ガラス4の該辺の端部との間に介在させ、両者を接着固定する帯板状部材である。接着性の樹脂材によって構成したものである。
【0067】
前記接続部材はナイロン樹脂素材で形成した平面から見てL形の部材であり、これを、前記長尺支分支持枠の連続接続空間2a4と前記短尺支分支持枠2bの連続接続空間の中に、それぞれ端部側から挿入して、両者を直角に接続するために使用する手段である。二本の長尺支分支持枠2a、2aと二本の短尺支分支持枠2b、2bによって四辺形の支持枠2を構成する際に、その四隅を、上記のように、接続部材で接続して、その四辺形を保持することができることになる。
【0068】
前記照明部3は、図1及び図3に示すように、前記長尺支分支持枠2aの内側部を構成する補助固設部2a5の上部内面に沿って連設したLED3a、3a…と、該LED3a、3a…より低位で前記床ガラス4の下方に配した上向きの反射面3bと、図示しない電源部とで構成する。
【0069】
前記LED3a、3a…は、前記補助固設部2a5の上部内面に、その長さ方向に沿って固設した取付片3cを介して連設する。該取付片3cは、直立固定板3c1とその下方に構成した下向きCチャネル状の取付部3c2とからなり、該直立固定板3c1を該補助固設部2a5の上記部位に固設することで取り付ける。前記LED3a、3a…は、上記のように、該補助固設部2a5に固設した取付片3cの取付部3c2内に長尺の基板3a1を介して取り付ける。該LED3a、3a…は、該基板3a1に直列状態に取り付け、該基板3a1を、前記のように、下向きCチャネル状の該取付部3c2内に下向きに取り付け、こうして、該LED3a、3a…を該取付部3c2内に下向きで連設した状態とする。なお前記基板3a1は、その下向きの面を白色に塗装し下向き反射面に構成した。
【0070】
前記反射面3bは、図1及び図3に示すように、前記床ガラス4と対面して配した面材3dの上面を白色に塗布して構成したものである。該面材3dは、その長尺支分支持枠2a、2a側の二辺を立ち上げて側壁を形成し、該側壁の上端から更に外方に鍔体を張り出し、その外端から再度上部側壁を立ち上げて係止段部3d1、3d1を構成したアルミニウム製の部材であり、該係止段部3d1、3d1を、長尺支分支持枠2a、2aの補助固設部2a5の下端に構成した載置片2a6に載置係止して、その上面の反射面3bを、前記のように、前記床ガラス4に対面させる。
【0071】
前記電源部は、云うまでもなく、前記LED3a、3a…にその発光動作のための電力を供給するものであり、商用電源から適切な電圧に変圧し、かつ直流電力に変換する市販の装置を採用する。
【0072】
前記案内標識部5は、図1〜図4に示すように、前記反射面3aを構成する面材3d上に配した取付台5aと、この取付台5a上に矢印(案内表示)を形成すべく配列した複数のLED5b、5b…と、これらのLED5b、5b…の発光動作を制御する図示しない制御手段と、図示しない無停電電源装置とで構成したものである。
【0073】
前記LED5b、5b…は、一定の発光角で白色に発光し、適切な光量を有する照明用のそれを採用した。またこれらのLED5b、5b…は、前記し、かつ図2から理解されるように、平面から見て矢印を形成するように、前記取付台5a上に配列する。
【0074】
前記取付台5aは、図1及び図4に示すように、取付板5a1を構成する長方形の基板と、これを支持する脚部5a2、5a2…とで構成したものであり、脚部5a2、5a2…は、その高さを、前記LED5b、5b…の照射光で前記床ガラス4に直径がほぼ20mmになるスポット状照射面sが形成されるように、決定する。前記取付板5a1は、前記のように、LED5b、5b…を配した基板そのものであるが、その上面は白色に塗布し、反射面としても作用させるようにする。また前記脚部5a2、5a2…はその下端の固定板部を前記反射面3bを構成する面材3dに接着固定する。
【0075】
前記制御手段は、前記LED5b、5b…を目的に応じて発光制御する手段であり、この実施例1では、動作開始信号を受けると、平面から見て矢印状に配列された該LED5b、5b…を、最後端のそれから先端のそれに向かって順次点灯し、先端のそれが点灯すると全部消灯するサイクルを繰り返すべく制御するように構成した。また動作開始信号としては、火災報知器の報知信号、火災感知器の感知信号、地震感知器の感知信号、緊急地震速報信号及び管理者の動作開始信号その他の関係の信号を入力することが可能であり、これらのいずれかが入力されると動作を開始するように構成したものである。
【0076】
前記無停電電源は、前記LED5b、5b…を発光駆動し、かつ前記制御手段を駆動するための電源であり、この実施例1では、市販のそれを採用した。前記照明部3のLED3a、3a…を火災時や地震発生時等の災害時にも点灯させておきたい場合には、前記制御手段に動作開始のための信号が入力された場合に、前記電源部に代えて、この無停電電源の電力で発光駆動されるように、電源回路が切り替わるように構成しておくことができる。
【0077】
従ってこの実施例1の誘導灯付きガラス床は、以下のように組み立て、床に簡単に組み込むことが可能である。
【0078】
前記支持枠2は、図2に示すように、二本の長尺支分支持枠2a、2aと二本の短尺支分支持枠2b、2bを平面から見て長方形の辺に沿った状態に配列し、このとき、前記したように、前記L形の接続部材でその四隅を接続し、その形を保持する。
【0079】
前記長尺支分支持枠2a、2a及び短尺支分支持枠2b、2bには、予めそれらの各台座部2a2上に緩衝帯材6を配しておく。該緩衝帯材6は、その下面側に構成した結合突条を該台座部2a2の結合溝に嵌合させることで固設する。また前記長尺支分支持枠2a、2aには、前記したように、その補助固設部2a5にLED3a、3a…を配した取付片3cを固設しておく。
【0080】
前記支持枠2を以上のように構成した後、床ガラス4を該支持枠2中に設置する。該床ガラス4は、図1、図2及び図3に示すように、その四辺を各々対応する台座部2a2上に前記緩衝帯材6を介して載置する。このとき、床ガラス4の四辺の端部と、前記長尺支分支持枠2a、2a及び前記短尺支分支持枠2b、2bの直立支持部2a3等の下部内面との間に前記固着部材7を介在させ、相互を接着固定するものとする。
【0081】
この後、床ガラス4の四辺の端面上部と、対応する長尺支分支持枠2a、2aの直立支持部2a3の上部内面並びに短尺支分支持枠2b、2bの直立支持部の上部内面との間にシール材10を充填する。
【0082】
このようにしてガラス床ユニットを組み立てた上で、前記のように、長尺支分支持枠2a、2aの補助固設部2a5の下端に構成した載置片2a6に前記面材3dをその係止段部3d1、3d1で載置係止する。もっとも、この場合の手順は、これに限る趣旨ではない。該面材3dには、先に述べたように、LED5b、5b…を配した取付台5aが配してあるのは云うまでもない。
【0083】
以上のように組み立てたこの実施例1の誘導灯付きガラス床のユニットは、木造、鉄骨造或いはRC造の建築物の床に組み込んで、誘導灯付きの部分ガラス床を構成するのに使用することができる。以下には木造建築物の床に設置した例を示す。
【0084】
まず建物の床構造中に該ユニットの支持枠2の寸法に対応して根太8、8…を配して置き、固設部2a1等を利用して各長尺支分支持枠2a、2a及び短尺支分支持枠2b、2bを該根太8、8…に取り付ける。特に図2に示すように、長尺支分支持枠2a、2a及び短尺支分支持枠2b、2bの固設部2a1等を該根太8の上面に当接させた上で、それぞれ上から木ビス11、11…をねじ込んでその当接状態を固定し、該支持枠3の四辺を根太8、8…に固定する。これで誘導灯付きガラス床は完成である。
【0085】
なお図中、9bは下地材である。
【0086】
従ってこの実施例1の誘導灯付きガラス床によれば、火災時や地震発生時等の災害時には案内標識部5の矢印状の案内表示を構成するLED5b、5b…が、前記したように、誘導方向に向かって移動するごとく、点滅点灯し、避難者の誘導に有効に作用する。他方、常時は、該案内標識部5の案内表示を構成するLED5b、5b…は点灯せず、外面に現れることがない、それ故、ガラス床のデザインを損ねる虞が全くない。
【0087】
この誘導灯付きガラス床は、床ガラス4として、二枚のガラス板4a、4aを不透明・透光性の接着性中間膜4bで貼り合わせて構成した合わせガラスを採用したので、その下方に配した案内表示を構成するLED5b、5b…は、通常、外部から一切見えることがない。そのため、前記したように、ガラス床の意匠を損ねることがないものである。
【0088】
前記照明部3のLED3a、3a…は、この実施例1では、非常時以外は、常に発光駆動するものとしたものである。従って、その該LED3a、3a…の照射光は、直接に又は白色塗装の下向き反射面に構成した基板3a1及び周囲の構成要素で反射して下方の反射面3bに入射し、ここで多くの光が反射して前記床ガラス4に照射されることになる。下向き反射面に構成した基板3a1の白色塗装面及びその周囲の構成要素は完全に平滑ではないので、これらに照射される光は乱反射し、また一部は吸収されながら該反射面3bに入射し、ここでもまた一部が吸収されつつ若干の乱反射をしながら上方の床ガラス4に反射する。該床ガラス4の一部を構成する接着性中間膜4bは不透明・透光性であるから、一部を吸収しながらその光を床上に透過させ、該ガラス床を構成した室内又は廊下等を柔らかな光で照明することになる。しかしこの場合も、その下方の案内標識部5のLED5b、5b…その他の部材が透過して見えるようになることはない。そのためこの場合も、ガラス床の意匠を損ねる虞はない。
【0089】
他方、制御手段に、地震や火災に起因する動作開始信号が入力すると、案内標識部5のLED5b、5b…を発光動作させるべく制御を開始し、該LED5b、5b…は、該制御動作に従って発光する。前記したように、該LED5b、5b…は、平面から見て矢印を形成するように配置されており、その後端のLED5bから順次前端側のLED5bに向かって0.5秒の時間間隔で点灯させ、先端のLED5bが点灯してから0.5秒後に全LED5b、5b…が消灯し、0.5秒の消灯時間を保持し、以後、この点灯サイクルを繰り返す。
【0090】
各LED5bは、所定の発光角で発光するものであり、前記したように、各LED5bとその上方の床ガラス4との間隔を適切に設定し、該LED5bの発光によって該床ガラス4に形成されるスポット状照射面sの径をほぼ20mmになるように設定したため、それら全体のスポット状照射面s、s…によって形成される矢印状の案内表示は、該ガラス床上を歩く者(避難者等)によって明瞭に認識できるようになる。またそのLED5b、5b…の点灯の仕方は、前記した通りであるから、スポット状照射面s、s…によって形成される矢印は、その指し示す方向に向かって進むように見え、避難方向をより認識しやすくすることができる。
【実施例2】
【0091】
実施例2の誘導灯付きガラス床は、図5に示すように、実施例1のそれの長尺支分支持枠2aを約3倍に延長した長尺支分支持枠12a、12aと交換して支持枠12を構成し、該支持枠12中に3枚の床ガラス4、4、4を同様にして配置して長尺のガラス床ユニットを構成し、該ガラス床ユニットの長尺支分支持枠12a、12aに、実施例1の照明部3の約3倍の長さの照明部を構成し、更に各床ガラス4の下方に、実施例1の案内標識部5と同様の案内標識部を構成したものである。各案内標識部の制御手段は、共通のそれを用いる点を除いては実施例1のそれと同様である。
【0092】
従ってこの実施例2の誘導灯付きガラス床によれば、誘導灯の連続したガラス床を容易に構成し得、火災時や地震発生時等の災害時には、避難者により明瞭に避難方向を示すことが可能となる。他方、常時は、該案内標識部の案内表示を構成するLEDは点灯せず、外面に現れることがない、それ故、より長く構成したガラス床のデザインを損ねる虞が全くない。
【0093】
前記のように、この実施例2では、前記照明部を長尺支分支持枠12aの長さに対応させて長く構成しただけであるから、実施例1のそれと同様に、災害時以外に於いて、同様に動作し、床ガラス4、4、4を通じて柔らかな光でその周囲を照明することができる。床ガラス4、4、4の下方の部材が透けて見えることはなく、そのデザインを損ねることはない。
【0094】
また、前記したように、各床ガラス4、4、4の下方に構成された案内標識部は、実施例1のそれと同様の構成で、同様に制御されるものとしたので、制御手段に、地震や火災に起因する動作開始信号が入力することになると、それぞれ実施例1で説明したのと同様に動作することになる。従って各案内標識部の動作により、3枚の床ガラス4、4、4には、各々一つずつスポット状照射面s、s…による矢印が形成され、それぞれがその指し示す方向に向かって進むように見えるように点滅点灯するので、避難方向をより認識しやすくなるものでる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】実施例1の誘導灯付きガラス床の概略断面図。
【図2】実施例1の誘導灯付きガラス床の概略平面図。
【図3】実施例1の誘導灯付きガラス床の一部の拡大断面図。
【図4】実施例1の誘導灯付きガラス床の他の一部の拡大断面図。
【図5】実施例2の誘導灯付きガラス床の概略平面図。
【符号の説明】
【0096】
1 ガラス床本体
2 支持枠
2a 長尺支分支持枠
2a1 固設部
2a2 台座部
2a3 直立支持部
2a4 連続接続空間
2a5 補助固設部
2a6 載置片
2b 短尺支分支持枠
3 照明部
3a LED
3a1 基板
3b 反射面
3c 取付片
3c1 直立固定板
3c2 取付部
3d 面材
3d1 係止段部
4 床ガラス
4a ガラス板
4b 接着性中間膜
5 案内標識部
5a 取付台
5a1 取付板
5a2 脚部
5b LED
6 緩衝帯材
7 固着部材
8 根太
9a フローリング
9b 下地材
10 シール材
11 木ビス
12 支持枠
12a 長尺支分支持枠
s スポット状照射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床ガラスとこれを支持する支持部材とでガラス床本体を構成し、
前記ガラス床本体の床ガラスとして、二枚のガラス板を不透明・透光性の接着性中間膜で貼り合わせて構成した合わせガラスを採用し、
かつ前記床ガラス本体に照明部と案内標識部とを取り付けるものとし、
前記照明部を、前記床ガラスの下方に下向きに配した発光手段と、該発光手段の放射光を該床ガラス側に反射させる上向きの反射面とで構成し、
前記案内標識部を、前記反射面上に配した一定の発光角で発光する発光素子であって、平面から見て案内表示を構成するように配列した上向きの複数の発光素子と、該複数の発光素子の発光動作を制御する制御手段とで構成した誘導灯付きガラス床。
【請求項2】
前記案内標識部の発光素子を、これらと前記床ガラスとの間の間隔を調節して該発光素子の発光照射によって生じる前記床ガラスのスポット状照射面の径を調整できるように、前記反射面上に配置した高さ調整可能な取付台上に配した請求項1の誘導灯付きガラス床。
【請求項3】
前記制御手段を、前記複数の発光素子が、これらによって構成した案内表示の指し示す方向に向かって順次点灯する点灯サイクルを繰り返すように発光制御すべく構成した請求項1又は2の誘導灯付きガラス床。
【請求項4】
前記反射面を、前記支持部材に前記床ガラスと対面させて係止した面材の上面に白色の塗装を施すことで構成した請求項1、2又は3の誘導灯付きガラス床。
【請求項5】
前記反射面を、ガラス床本体を支持部材を介して支持する床下地に白色の塗装を施すことで構成した請求項1、2又は3の誘導灯付きガラス床。
【請求項6】
前記発光素子としてLEDを採用した請求項1、2、3、4又は5の誘導灯付きガラス床。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−332538(P2007−332538A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161875(P2006−161875)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(591124411)株式会社デバイス (6)
【Fターム(参考)】