説明

誘導結合プラズマ・イオン源用のプラズマ点火装置

【課題】誘導結合プラズマイオン源が高dc電圧にバイアスされた集束イオンビームシステムにおいて、イオン源内のプラズマに点火する方法を提供する。
【解決手段】バイアス電源930からの高dc電圧は、集束イオンビームカラムの近くでプラズマ点火装置950からの振動波形が結合(重畳)されて、プラズマ室954の一部を構成する源バイアス電極906に印加される。プラズマ点火装置950は論理回路924によって制御されるプラズマ点火装置電源925によって駆動される。電位の低いプラズマ点火装置950からの振動波形は、絶縁変圧器またはキャパシタ等を通して高dc電圧に結合(重畳)される。集束イオンビームカラムの近くにプラズマ点火装置950を取り付けることによって、高dc電圧を供給するケーブルの静電容量の影響が最小化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン・ビーム・カラム内で使用される誘導結合プラズマ源用のプラズマ点火装置(plasma igniter)に関する。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子、すなわちイオンまたは電子の集束ビームを形成するために集束カラムとともに使用するとき、誘導結合プラズマ(ICP:inductively coupled plasma)源は他のタイプのプラズマ源よりも有利である。本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7,241,361号に記載されている誘導結合プラズマ源などの誘導結合プラズマ源は、狭いエネルギー範囲内の荷電粒子を供給する能力を有し、狭いエネルギー範囲は、荷電粒子を小さなスポットに集束させることを可能にする。ICP源は、一般にセラミック・プラズマ室の周りに巻きつけられた無線周波(RF)アンテナを含む。このRFアンテナは、セラミック・プラズマ室内のプラズマを維持するためのエネルギーを供給する。
【0003】
イオン・ビーム・プロセスに対して使用されるイオンのエネルギーは一般に5keVから50keV、最も一般的には約30keVである。電子のエネルギーは、走査型電子顕微鏡システムに対しては約1keVから5keV、透過型電子顕微鏡システムに対しては数十万電子ボルトである。荷電粒子システム内の試料は一般に接地電位に維持され、上記の源は、ビームを形成するのに使用する粒子に応じて正または負の大きな電位に維持される。操作員の安全のため、高電圧の構成要素を電気的に隔離する必要がある。
【0004】
通常、ICP源のコイルを駆動するために使用される通常のレベルのRF電力を供給しても、ICP源内でプラズマに点火することはできない。これは、誘導される電場が通常は、源室内で初期イオン化が起こっていない状況で、ガス原子またはガス分子を分解して十分な初期自由電荷を生み出すほどには高くないためである。この初期イオン化を引き起こすためには一般に高電圧パルスが必要である。先行技術では、プラズマ室と直接に電気接触した電極にテスラ・コイル(Tesla coil)を接触させることによって、ICPイオン源内でプラズマに点火するための高電圧パルスを開始させている。テスラ・コイルによって誘導されたこの高電圧パルスは次いでプラズマを開始させ、このプラズマは続いて、ICP電源からのRF電力によって維持される。このプラズマ点火法では必然的に、システム上のある外部電極とそこでプラズマに点火する真空システムの内部との間に直接の電気接触が存在することが必要となる。しかしながら、荷電粒子ビーム・システム内の上記の源として使用するためにプラズマが高電圧にバイアスされているときには、この外部接続の電位が高電圧のプラズマ電位まで増大するため、このような直接の電気接触は、安全上の重大な懸念を生じさせることになる。したがって、イオン・ビーム・システム内の源として使用するために高電圧にバイアスされたICPイオン源内のプラズマに、このように外部から直接に電気接触することは一般に不可能である。したがって、高電圧プラズマのこの電気的隔離は、荷電粒子ビームを発生させるために使用されるICP源内でプラズマに点火するための課題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,241,361号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、イオン源が高dc電圧にバイアスされたイオン・ビーム・システム内でプラズマに点火する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、誘導結合プラズマ源と一緒に使用するのに特に適している。この点火装置は、プラズマ源内の源バイアス電極を通して点火エネルギーを供給することが好ましく、点火装置とカラムの間のケーブル静電容量の影響を最小化するため、プラズマ源の近くに位置することが好ましい。好ましい一実施形態では、プラズマ点火装置の出力が、プラズマに点火されたときにプラズマと接触する電極を通してプラズマ室内に効率的に結合される繰返し振動電圧パルスである。ある実施形態では、プラズマ点火装置が、高電圧安全エンクロージャ(enclosure)の中に収容され、ICPプラズマ源によって放出されたイオンのエネルギーを制御する同じ電源によってバイアスされる。
【0008】
以上では、以下の本発明の詳細な説明をより理解できるように、本発明の特徴および技術上の利点をかなり広く概説した。以下では、本発明の追加の特徴および利点を説明する。開示された着想および特定の実施形態を、本発明と同じ目的を達成するために他の構造を変更しまたは設計するベースとして容易に利用することができることを当業者は理解すべきである。さらに、このような等価の構造は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨および範囲を逸脱しないことを当業者は認識すべきである。
【0009】
次に、本発明および本発明の利点のより徹底的な理解のため、添付図面に関して書かれた以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】荷電粒子ビーム・システムの外部の2つの代替位置のテスラ・コイルを使用してプラズマに点火する先行技術の方法を示す図である。
【図2A】源室および源バイアス電極の実効静電容量を示す図である。
【図2B】図2Aに示した実効静電容量の回路図である。
【図3】先行技術のプラズマ点火回路の簡略接続図である。
【図4】本発明と同様に荷電粒子カラムの近くに位置するプラズマ点火装置の簡略接続図である。
【図5】本発明のインライン・プラズマ点火装置を使用した荷電粒子ビーム・システムを示す図である。
【図6】ICP源内でプラズマに点火するために本発明が使用するパルス電圧波形を示す図である。
【図7】本発明に基づくプラズマ点火装置に対する例示的な第1の電気回路を示す図である。
【図8】本発明に基づくプラズマ点火装置に対する例示的な第2の電気回路を示す図である。
【図9】本発明のプラズマ点火装置を含む集束イオン・ビーム(FIB)カラムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この初期イオン化を生じさせるためには一般に、高電圧パルスが必要である。プラズマを発生させるためには、このパルスを源室内へ容量結合し、そこでガスを励起させなければならない。そのためには、真空システムの外部からの電圧パルスを源室内へ直接に接続するなんらかの手段が必要である。先行技術では、イオン・ビーム源の役目を果たすようにプラズマがキロボルトdc電圧にバイアスされるシステムにおいて、このようなプラズマへの外部から接触を安全に提供することは困難であるか、または不可能である。
【0012】
本発明の実施形態は、荷電粒子ビーム・システムの誘導結合プラズマ源用の点火装置を提供する。点火装置とカラムの間のケーブル静電容量の影響を最小化するため、このプラズマ点火装置は、誘導結合プラズマ(ICP)源の近くに位置することが好ましい。プラズマ点火装置の出力は、プラズマに点火されたときにプラズマと接触する電極を通してプラズマ室内に効率的に結合される高電圧パルスである。プラズマ・センサがプラズマ点火装置を制御し、プラズマが開始されたときを決定し、プラズマ点火装置の動作を停止させる。プラズマ点火装置は高電圧安全エンクロージャの中に収容され、ICPプラズマ源によって放出されたイオンのエネルギーを制御する同じバイアス電源によってバイアスされる。
【0013】
図1は、荷電粒子ビーム・システムの外部の2つの代替位置にテスラ・コイルを接触させることを含む、プラズマに点火する先行技術の方法を示す。源室102は、セラミック、石英、Macor(商標)マシナブル・セラミック(macniable ceramic)などの絶縁材料から製造された絶縁真空エンクロージャとすることができる。源室102内にプラズマを最適に閉じ込めるための要件には、誘電損率が低いこと、抵抗率が高いこと、真空適合性(vacuum compatibility)があること、熱伝導率が高いこと、プラズマの発生に使用されるさまざまなフィード・ガスと反応しないことなどがある。源室102の周囲には、電気ケーブル116および118を通してマッチ・ボックス(match box)120に接続されたRFコイル104がある。2本の電気ケーブル122および124によって、RF源126からの電力がマッチ・ボックス120内へ結合される。たとえ少量であっても源室102内でイオン化が引き起こされると、イオン化カスケード(cascade)は進行することができ、源室102内に多数の自由電子および自由イオンを急速に発生させる。
【0014】
図1には、先行技術の荷電粒子ICP源100が示されている。ガス供給管路128は、調整弁130を通して供給管路132に接続し、供給管路132は、イオン化するガスを毛細管(capillary)134内へ導く。この毛細管は、フィード・ガス圧を源室102内のレベルまで低減させ、次いでフィード・ガスを源室102内へ導く。供給管路128、調整弁130および供給管路132が、真空エンクロージャの外部から源室102の内部への導電性の連続経路を形成する場合には、源室102内でプラズマに点火するために、テスラ・コイル140を瞬間的に管路128に接続することができる(矢印146)。テスラ・コイルの中心の高電圧ワイヤ142は、安全のため外部シールド144によって取り囲まれている。プラズマに点火した後、テスラ・コイル140は除去され、供給管路128と接触した状態から脱することになる。
源バイアス電極
ICP源100内で発生させたプラズマを、集束イオン・ビーム(FIB)システム内のイオン源として利用するためには、イオンがプラズマを出て、FIBカラムに入るときに、それらのイオンに加速電圧を印加することが可能である必要がある。図1に示した先行技術においても、本発明においても、源バイアス電極110を使用して、イオンに加速電圧を印加することができる。図1では、ICP源の底部に源バイアス電極110が示されている。源バイアス電極が適正に動作するための主たる要件は、プラズマ室内のプラズマと源バイアス電極の1つの表面とが直接に接触することである。言い換えると、プラズマから抽出されたイオンに電圧を印加することを可能にするためには、源バイアス電極が、プラズマを取り囲むエンクロージャの一部を形成していなければならない。本明細書に示した例では、源バイアス電極が、プラズマ・エンクロージャの下部を形成しているが、機能的に等価な他の源バイアス電極位置も本発明の範囲に含まれる。源バイアス電極110は、内部ケーブル112を通して、バイアス電源(図示せず)へ通じる外部ケーブル114に接続される。源バイアス電極110の下には、イオン抽出光学系の一部として抽出電極108が配置されている。このバイアス源は、ICP源から放出される荷電粒子のエネルギーを接地電位に対して制御する。試料の電位が接地電位である場合、このバイアス電源は、試料位置における最終的なビーム・エネルギーを決定する。
源の電気特性の計算
図2Aは、誘導結合プラズマ源200内の源室202および源バイアス電極208の実効静電容量を示す。源室202の外面は、ケーブル216によって接地された分割ファラデー・シールド(split Faraday shield)214によって取り囲まれており、ファラデー・シールド214は、RFコイル104(図1参照)上の電圧がプラズマに容量結合することを防止する。ファラデー・シールド214がこの結合を防止しない場合には、この結合によって、プラズマ電位に対する望ましくない電圧変動が生じ、この電圧変動によって荷電粒子カラムにおいて色収差が生じ、この色収差によって試料に当たるビームが不鮮明になることになる。ファラデー・シールド214と源室202の内壁との間には静電容量218がある。源室202の内壁と源バイアス電極208との間には静電容量220があり、源バイアス電極208は、ケーブル210によってビーム加速電源(図示せず)に接続されている。ケーブル210と接地の間には静電容量228がある。イオン化するフィード・ガスは、オリフィス204を通して源室202内へ供給される。源室202内のプラズマから抽出されたイオン・ビームは、オリフィス212を通って外へ出る。プラズマが発生しない源室の下には静電容量222がある。RF電力によって静電容量222を流れる電流は、プラズマの発生に対して効力を持たず、したがって、ICP源の設計によって静電容量222を最小化することが望ましい。源室202内でプラズマに点火された後、静電容量220はプラズマによって実質的に短絡される。
【0015】
図2Bは、図2Aの静電容量を結合して実効源静電容量250を形成する方法を示す回路図である。静電容量220と218は、ケーブル210と接地216との間に直列に配置されている。静電容量222および228は、静電容量218と220の直列結合に対して並列に位置している。したがって、実効源静電容量250は以下のとおりであり、
250=C218220/(C218+C220)+C222+C228
上式で、静電容量218、222および228はプラズマ領域の外側にあるため、プラズマの点火に対して効力を有するのは静電容量220だけである。静電容量218と220には同じ電流240が流れる。実効源静電容量250を流れる全電流I250は以下のとおりである。
【0016】
250=I240+I242+I248
プラズマをトリガするのに有効なのは電流I240だけなので、プラズマ点火装置の効率は、全電流I250のうち静電容量C220を流れる電流の割合FCurrentによって決まる。
【0017】
Current=I240/I250=I240/(I240+I242+I248
実効源静電容量の両端間の全電圧V250は以下のとおりである。
【0018】
250=V218+V220=V222=V228
上式で、電圧V218はキャパシタC218の両端間の電圧、電圧V220はキャパシタC220の両端間の電圧、電圧V222はキャパシタC222の両端間の電圧、電圧V228はキャパシタC228の両端間の電圧である。静電容量218および220は容量性分圧器の働きをする。
【0019】
218=V250(1/C218)/(1/C218+1/C220
次の考慮事項は、静電容量220を有する源領域内でプラズマに点火する際に有効なプラズマ点火装置からの電力PIgnitionである。
【0020】
Ignition=V220240
プラズマ点火効率を最大にするためには、プラズマ点火装置からの全電力PTotalの一部として、この電力PIgnitionを最大にすることが望ましいことが明らかである。
【0021】
Total=V250250
したがって、プラズマに点火する静電容量220に現れる点火装置からのプラズマ点火装置電力効率比FPowerは以下のとおりである。
【0022】
Power=PIgnition/PTotal=V220240/V250250
プラズマ点火装置電力効率比FPowerを最大にするためには、キャパシタ220の両端間の電圧V220とキャパシタ220を流れる電流I240の両方を最大にすることが望ましいことが明らかである。キャパシタ220の両端間の電圧を最大にするためには、キャパシタ220に直列に結合したキャパシタ218の両端間の電圧V218を最小にすることが望ましい。キャパシタ218のインピーダンスは(1/C218)に比例するため、電圧V218を最小にするためには、静電容量218の値を最大にする必要がある。これは、プラズマ室202の絶縁壁をできるだけ薄くし、さらにプラズマ室壁の誘電率を最大にすることによって達成することができる。
【0023】
キャパシタ220を流れる電流を最大にするためには、キャパシタ222および228を流れる電流I222およびI228を最小にする必要がある。これは、キャパシタ222および228のインピーダンスを最大にすることによって達成することができる。キャパシタ222および228のインピーダンスはそれぞれ1/C222および1/C222に比例するため、静電容量222および228の値を最小にする必要がある。静電容量222に関しては、プラズマ領域の下の源の下部(図2A参照)を適正に設計することによって、静電容量の最小化を達成することができる。面積を小さくすることおよび間隔を広くすることはともにC222を低減させる働きをする。静電容量228に関しては、安全上考慮すべき事項に留意しながら、可能な限りシールド・ケーブルの代わりに裸線を使用し、裸線と近隣の接地された表面との間の距離をできるだけ大きくすることによって、静電容量の最小化を達成することができる。実効源静電容量C250の導出のこの解析はしたがって、プラズマ点火装置の電力効率FPowerを最大にする設計戦略につながる。
【0024】
図3は、先行技術のプラズマ点火回路の簡略接続図300である。プラズマ点火装置306は、ICP源を使用した荷電粒子ビーム・システムから離れて位置するように示されている。静電容量302は、源の内部静電容量に対応する。
【0025】
302=C222+C218220/(C218+C220
上式で、静電容量218、220および222は図2の静電容量である。この式は、静電容量222が、静電容量218と220の直列結合と並列であることを示している。したがって、図2の源室202内でプラズマに点火するのに有効な静電容量218および220内の電流から、静電容量222内の電流が引き抜かれることが分かる。静電容量304は、プラズマ点火装置306と図2の源室202との間のケーブル静電容量である。源へ流れる静電容量302内の電流から、静電容量304内の電流が引き抜かれる。
【0026】
302=(dV1/dt)C302/(C302+C304
上式で、V1は、プラズマ点火装置の出力を源室内へ結合するのに使用される変圧器の2次巻線上の電圧を表す。この変圧器結合を例示する代表的な回路については図7および8を参照されたい。この先行技術の回路は接地308を基準としている。
【0027】
したがって、図3は、プラズマ源からある距離のところに位置する点火装置を使用した先行技術のプラズマ点火法の問題を示す。すなわち、意図されたプラズマ点火電流のうちの潜在的に大きな量の電流が、ケーブル静電容量304およびプラズマ領域の外側にある源内の浮遊静電容量(図2の静電容量222など)によって吸い上げられる可能性がある。これらの損失を補償するためには、プラズマ点火電圧を増大させられなければならず、このことは、潜在的に、より高いコストおよびプラズマ点火能力の低下につながる。源静電容量302が25pf、ケーブル静電容量が500pfとすると、プラズマ点火装置から10kV、125kHzの出力が必要であり、これはケーブル静電容量304を横切る4Aを表す。したがって静電容量302と304は、プラズマ点火装置の出力を横切って並列に現れ、相対的に大きなケーブル静電容量304は、相対的に小さい源静電容量302よりも多く電流を比例して引っ張る。静電容量302(25pf)と全静電容量(525pf)の比は(25pf)/(525pf)であるため、プラズマ点火装置306の出力電流のうち約5%だけがプラズマ点火において有効である。
【0028】
図4は、本発明と同様に荷電粒子カラムの近くに位置するプラズマ点火装置408の簡略接続図400である。この場合も、静電容量402は、源の内部静電容量に対応する。
【0029】
402=C222+C218220/(C218+C220
上式で、静電容量218、220および222はやはり図2の静電容量であり、静電容量222は、静電容量218と220の直列結合と並列である。したがって、図2の源室202内でプラズマに点火するのに有効な静電容量218および220内の電流から、静電容量222内の電流が引き抜かれることが分かる。本発明では、プラズマ点火装置408が、ICP源を使用した荷電粒子ビーム・システムの真空エンクロージャのところに位置し、または真空エンクロージャの非常に近くに位置する。したがって、プラズマ・バイアス源に接続するケーブルの静電容量404は、図3の先行技術の場合のように並列ではなく、源静電容量402に直列に現れ、したがって、プラズマ点火装置408の出力V1によって引き起こされる大部分の電圧降下は、ケーブル静電容量404ではなしに、源静電容量402を横切って現れる。
【0030】
インピーダンス410は、バイアス電圧源の内部抵抗(「ダンピング抵抗器(dumping resistor)」)に対応する。静電容量406は、漏れ抵抗412を有するバイアス電圧源の出力静電容量である。静電容量404は、プラズマ点火装置306と図2の源室202の間のケーブル静電容量である。V1は、プラズマ点火装置の出力を源室内へ結合するのに使用される変圧器の2次巻線上の電圧を表す。この変圧器結合を例示する代表的な回路については図7および8を参照されたい。この回路は接地420を基準としている。
【0031】
図3の場合と同様に、静電容量402が25pf、静電容量404が500pfとすると、変圧器の2次巻線の出力電圧V1は、これらの静電容量の反比(inverse ratio)に分割され、したがってV1の95%超が静電容量402を横切って現れる。
【0032】
402=V1C402/(C402+C404
図5は、本発明のインライン・プラズマ点火装置を使用した荷電粒子ビーム・システム500を示す図である。真空エンクロージャ502は荷電粒子カラム(図示せず)を含む。エンクロージャの頂部にはプラズマ・センサ552がある。プラズマの存在を検出する複数の方法が可能であり、これには例えば、1)プラズマからの光、2)イオン化によるインピーダンスの低下、3)RFマッチ・ボックス内の最適同調パラメータ(optimal tuning parameter)の変化、および4)源室の温度が含まれる。プラズマに点火されたとき、ケーブル522上のdcバイアス電圧は、接地506にリファレンスされたバイアス電源504の出力に等しい。バイアス電源504の出力508は、シールド・ケーブル510を介して、安全ハウジング516内に封入されたプラズマ点火装置514の入力512に接続される。したがって、システム・オペレータに対する安全上の懸念なしに、プラズマ点火装置514を、バイアス電源504の高電圧出力にバイアスすることができる。プラズマ点火装置514の出力518は、源バイアス電極(図示せず。図1の電極110参照)に接続する内部ケーブル522に、シールド・ケーブル520を介して接続される。プラズマ点火装置514は、ケーブル522に恒久的に物理的に接続されることが好ましい。すなわち、テスラ・コイルのように瞬間的に接触させ、除去しないことが好ましい。プラズマ点火装置514は、源バイアス電極に恒久的に物理的に接続されるが、スイッチまたはソフトウェアなどによって電気的に分離することができる。この物理接続は、通常の使用の間は「恒久的」だが、保守のために切り離すことができる。プラズマに点火された後、電源504からの高電圧は、プラズマ点火装置514を通して源バイアス電極に接続する。任意選択で、プラズマ点火中に、電源504からの高電圧出力を、プラズマ点火装置514からのパルス高電圧に追加し、結合された電圧を、内部ケーブル522を介して源バイアス電極(図示せず)に印加することができる。
【0033】
電源540によって、抽出電極(図示せず)が、遮蔽された外部ケーブル544を介して内部ケーブル542に接続され、バイアスされる。電源530によって、コンデンサ電極(condenser electrode)(図示せず)が、シールド・ケーブル534を介して内部ケーブル532にバイアスされる。電源530と540はともに、電源504の高電圧出力を基準としている。
【0034】
プラズマ・センサからの出力は、信号線554を通して論理回路256へ伝えられる。プラズマ検出器552からの信号に基づいて、論理回路256は、制御線558を通してプラズマ点火装置514を制御する。一般に、この論理回路は、プラズマが開始されるまで、またはプラズマの開始を不可能にする欠陥があるとこの論理回路が結論するまで、プラズマ点火装置514を作動させる。
【0035】
点火装置514は、図7および8に示したモジュールなどのモジュールの部分であることが好ましい。モジュール内の結合網(coupling network)(図8)または高電圧変圧器(図7)は選択的に、点火電圧を印加し、またはバイアス電源からのバイアス電圧を印加し、あるいはこれらの両電圧を同時に印加する。点火装置から電極までのケーブル520の長さは、好ましくは100cm未満、より好ましくは30cm未満、最も好ましくは15cm未満である。図2Bで論じたとおり、ケーブル520が短いほどその静電容量は小さく、プラズマに点火するのに十分な電力をこのケーブルを通して送達するのに必要な電力がより少なくてすむ。やはり図2Bで論じたとおり、静電容量をさらに低減させるため、ケーブル520をシールド・ケーブルではなく裸線とした方が好ましいことがある。ケーブル510の長さは、好ましくは1000cm未満、より好ましくは500cm未満、最も好ましくは300cm未満である。
プラズマ点火装置のパルス電圧波形
図6は、ICP源内でプラズマに点火するために本発明が使用するパルス電圧波形600を示す。高電圧振動波形604は一般に、500から2μs(2から500kHz)の範囲の周期612を有し、好ましい周期は10から3.33μs(100から300kHz)である。この振動波形は、概ね100Hzの繰返しレート(repetition rate)608を有する。小さい全電力で最大のプラズマ点火電圧を達成するため、70から100μsの範囲の全体振動周期606を有する減衰する振動波形610が使用される。中断620によって示されているように、振動周期606は、繰返し周期608に対して誇張されて示されている。振動と振動の間のプラズマ点火装置の出力は0Vである602。この振動波形の典型的な初期ピーク−ピーク電圧は一般に少なくとも1kVであり、最大で20kVである。図6に示した減衰振動パルスの利点は、初期電圧が最大化され、同時に、振動の後のサイクルでの電圧の低下によってパルスあたりの全電力が最小化される点である。
本発明の第1の実施形態
図7は、本発明に基づくプラズマ点火装置に対する例示的な第1の電気回路である。誘導結合イオン源702は、図4の静電容量402に対応する静電容量704を有する。イオン源702を含み、真空貫通接続(vacuum feedthrough)762を有する真空エンクロージャ768の外部のイオン源702に、またはその近くに、高電圧絶縁変圧器706が取り付けられている。変圧器706は、接地を基準としている1次巻線710および分離された高電圧2次巻線708を備える。1次巻線710は、第1の接続点786および第2の接続点788を有する。2次巻線708は、第1の接続点782および第2の接続点784を有する。接続点782は、真空エンクロージャ768の真空貫通接続762を通してイオン源702に接続する。ビーム・エネルギーは、内部抵抗720および出力静電容量718を有するdcバイアス源722によって設定される。dcバイアス源722と絶縁変圧器706の間のケーブル726は、静電容量716と、電気接続714を通して接地724を基準としているシールド712とを有する。ケーブル726は、2次巻線708の接続点784に接続される。接続点782は、2次巻線708の出力をイオン源702に接続する。バイアス源722はdc出力を有するため、dcバイアス源722によって生成されたdcバイアス電圧は、接続点784と782の間の小さな抵抗性の電圧降下だけで、2次巻線708を通過する。
【0036】
2ポート発振器736は、ワイヤ740および738を通して接続された電源744を有し、接地742を基準としている。発振器736の出力は、それぞれ接続点788および786で1次巻線710に接続するワイヤ732および734を通して高電圧絶縁変圧器706の1次巻線710に接続される。次いで、図6に示したRF高電圧波形などのRF高電圧波形が、1次巻線710から2次巻線708中へ誘導結合される。2次巻線708上の誘導されたRF電圧は、図4の電圧V1に対応する。2次巻線708上の誘導されたRF電圧は、接続点782を通してイオン源702に結合される。図示されているように、接地された安全エンクロージャ760が、2ポート発振器736および変圧器760を取り囲む。2ポート発振器736は、線764上で受け取られる、図5に示した論理回路256などの論理回路(図示せず)からの制御信号に基づいて、電源744をオンまたはオフにすることによって制御される。電源744がオンの間、2ポート発振器736は、図6に示すような連続的なパルス波形を生成する。
本発明の第2の実施形態
図8は、本発明に基づくプラズマ点火装置に対する例示的な第2の電気回路である。誘導結合イオン源802は、図4の静電容量402に対応する静電容量804を有する。イオン源802を含み、真空貫通接続862を有する真空エンクロージャ868の外部のイオン源802に、またはその近くに、高電圧結合網806が取り付けられている。結合網806は、高電圧チョーク(choke)808および高電圧キャパシタ810を備える。高電圧チョーク808は、第1の接続点884および第2の接続点882を有する。高電圧キャパシタ810は、第1の接続点886および第2の接続点882を有する。接続点882は、真空エンクロージャ868の真空貫通接続862を通してイオン源802に接続する。ビーム・エネルギーは、内部抵抗820および出力静電容量818を有するdcバイアス源822によって設定される。dcバイアス源822と結合網806の間のケーブル826は、静電容量816と、電気接続814を通して接地824を基準としているシールド812とを有する。ケーブル826は、高電圧チョーク808の接続点884に接続される。接続点882は、高電圧チョーク808の出力をイオン源802に接続する。バイアス源822はdc出力を有するため、dcバイアス源822によって生成されたdcバイアス電圧は、接続点884と882の間の小さな抵抗性の電圧降下だけで高電圧チョーク808を通過する。
【0037】
2ポート発振器840は、ワイヤ842および844を通して接続された電源850を有し、接地846にリファレンスされている。発振器840の出力は、ワイヤ834および836を通して変圧器838の1次巻線832に接続される。次いで、図6に示した高電圧パルスなどの高電圧パルスが、変圧器838の2次巻線830に誘導結合される。2次巻線830上の誘導されたRF電圧は、接続点886を通して結合される。次いで、接続点886のRF電圧が、高電圧キャパシタ810を通して接続点882、次いでイオン源802に容量結合される。2次巻線830上の誘導された電圧は、図4の電圧V1に対応する。図示されているように、接地された安全エンクロージャ860が、2ポート発振器840、変圧器838および結合網806を取り囲む。2ポート発振器840は、線864上で受け取られる、図5に示した論理回路256などの論理回路(図示せず)からの制御信号に基づいて、電源850をオンまたはオフにすることによって制御される。電源850がオンの間、2ポート発振器840は、図6に示すような連続的なパルス波形を生成する。
本発明のプラズマ点火装置を使用した集束イオン・ビーム・システム
図9は、電源925を有するプラズマ点火装置950を含む本発明の集束イオン・ビーム(FIB)システム900の概略図である。RF電源922は、その中でプラズマが生成されるプラズマ室954を取り巻くアンテナ904に接続されたマッチ・ボックス920にRF電力を供給する。イオン化されるフィード・ガスは、供給システム902を通してプラズマ室954内へ供給される。バイアス電源930は、プラズマ点火装置950を通して、集束イオン・ビーム(FIB)カラム内の源バイアス電極906に接続される。FIBカラム内の抽出電極908は、バイアス電源930の出力電圧を基準とした電源934によってバイアスされる。FIBカラム内のコンデンサ電極910は、バイアス電源930の出力電圧を基準とした電源932によってバイアスされる。
【0038】
源バイアス電極906上の電圧に対する抽出電極908上のバイアス電圧によってプラズマ室954の下端に誘導された高電場により、プラズマ室954内に含まれるプラズマからイオンが抽出される。プラズマ室954から抽出されたイオンは、源バイアス電極906の開口を通って下方へ進み、FIBカラムに入るイオン・ビームを形成する。したがって、プラズマ室954の下端のプラズマは、FIBカラムに対する「仮想源(virtual source)」の役目を果たす。一般に、FIBカラムを下方へ進むイオン・ビームの大きな部分は、アパーチャ(aperture)906、956または914などのカラムの1つまたは複数のアパーチャに衝突する。アパーチャに衝突するイオン・ビーム中のイオンの質量およびエネルギーは大きいため、アパーチャの腐食は重大な懸念事項である。したがって、本発明は、低スパッタリング速度を有するいくつかのアパーチャ組成物を含む。アパーチャに対して最も望ましい材料の例には、機械加工が可能な炭素ベースの化合物、ベリリウム、バナジウム、チタン、スカンジウム、シリコンおよびニオブなどがある。これらの元素または化合物のうちの1つまたは複数の元素または化合物が、その材料組成物全体の主要な成分である材料も含まれるであろう。アパーチャ腐食の主要な領域は、ビームの入射角が局所表面に対する垂直からはほど遠いアパーチャの内孔である傾向があるため(すなわち、そのビームは、ある「視射」角でアパーチャの内孔に衝突する)、非垂直入射角でのスパッタリング速度が小さいアパーチャ材料は特に有用である。図9のFIBカラムには、以下の3つのアパーチャが示されている:1)源バイアス電極906のアパーチャ、2)ビーム受入れアパーチャ(BAA:beam acceptance aperture)956、および3)ビーム画定アパーチャ(BDA:beam defining aperture)914。これらの3つのアパーチャ906、956および914は全て、スパッタ腐食を受ける懸念があり、この懸念は、本発明のアパーチャ材料の選択によって対処される。
【0039】
ビーム受入れアパーチャ956の位置は、ビーム受入れアパーチャ・アクチュエータ936によって制御される。ビーム画定アパーチャ914の位置および選択は、ビーム画定アパーチャ・アクチュエータ938によって制御される。真空エンクロージャ946内の試料ステージ944によって支持され、移動する試料940の表面に集束イオン・ビーム960を形成する2つのレンズ912および942が示されている。
【0040】
プラズマ室954内のプラズマの存在の有無はプラズマ検出器921によって検出される。プラズマ検出器921からの信号は、図5で論じた論理回路924に送られる。論理回路924は、プラズマ点火装置電源925を制御し、プラズマ点火装置電源925は、プラズマ点火装置950を、図7および8で論じたように制御する。
【0041】
図7および8に示したプラズマ点火装置回路の詳細は、例示だけが目的であり、本発明の範囲に含まれる多くの他のプラズマ点火装置回路が可能である。図6に示した波形も例示だけが目的であり、本発明の範囲に含まれる他の波形が可能である。
【0042】
本発明の好ましい方法または装置は多くの新規の態様を有し、本発明は、目的の異なるさまざまな方法または装置として具体化することができるため、全ての実施形態に全ての態様が含まれる必要はない。また、記載された実施形態の多くの態様は、別々に特許を受けることができ、または別々に特許を受けていることがある。例えば、アパーチャに対して使用される低スパッタ材料およびプラズマ室に対して使用される誘電材料のタイプは、別々に特許を受けることができる。
【0043】
本発明および本発明の利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態に、さまざまな変更、置換および改変を加えることができることを理解すべきである。さらに、本出願の範囲が、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。当業者なら本発明の開示から容易に理解するように、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行し、または実質的に同じ結果を達成する既存のまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを、本発明に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、このようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを含むことが意図されている。
【符号の説明】
【0044】
900 集束イオン・ビーム・システム
902 供給システム
906 源バイアス電極
908 抽出電極
910 コンデンサ電極
912 レンズ
920 マッチ・ボックス
922 RF電源
924 論理回路
936 ビーム受入れアパーチャ・アクチュエータ
938 ビーム画定アパーチャ・アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導結合プラズマ・イオン源と、
前記プラズマ・イオン源に位置する源バイアス電極と、
前記源バイアス電極への電気接続と、
試料の表面にイオン・ビームを集束させるように構成された集束イオン・ビーム・カラムと、
dc電圧出力を有する源バイアス電源と、
振動出力波形を有するプラズマ点火装置と、
前記源バイアス電源からの前記dc電圧を前記源バイアス電極へ結合する第1の回路と、
前記プラズマ点火装置からの前記振動波形を前記源バイアス電極へ結合する第2の回路と
を備える集束イオン・ビーム・システム。
【請求項2】
前記第1の回路が振動波形の伝送を阻止し、前記第2の回路がdc電圧の伝送を阻止する、請求項1に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項3】
前記イオン源内にプラズマが存在することを検出するプラズマ・センサをさらに備える、請求項1に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項4】
前記プラズマ・センサから信号を受け取るように電気的に接続された論理回路と、
前記論理回路から前記プラズマ点火装置への電気制御接続と
をさらに備える、請求項2に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項5】
前記論理回路が、前記プラズマ検出器からの信号に基づいて前記プラズマ点火装置を制御するように構成された、請求項3に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項6】
真空エンクロージャをさらに備え、前記真空エンクロージャが前記誘導結合プラズマ・イオン源を含み、前記プラズマ点火装置が、前記真空エンクロージャの外面に取り付けられるか、または前記真空エンクロージャの外面の近くに取り付けられた、請求項1に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項7】
前記誘導結合プラズマ・イオン源がさらに、
絶縁プラズマ室と、
前記プラズマ室を取り巻くRFアンテナと、
前記RFアンテナに電気的に接続されたマッチ・ボックスと、
前記マッチ・ボックスに電気的に接続されたRF電源と、
イオン化用のフィード・ガスを前記プラズマ室内へ供給するように構成されたガス供給システムと
を備える、請求項1に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項8】
前記集束イオン・ビーム・カラムがさらに、
1つまたは複数のレンズと、
複数のアパーチャと
を備える、請求項1に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項9】
前記複数のアパーチャのうちのそれぞれのアパーチャが、低スパッタリングに関して選択された材料組成を有する、請求項7に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項10】
前記複数のアパーチャのうちの1つまたは複数のアパーチャが、炭素ベースの化合物、ベリリウム、バナジウム、チタン、スカンジウム、シリコンまたはニオブのうちの1つまたは複数の材料を含む、請求項8に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項11】
前記プラズマ室が、セラミック、石英またはマシナブル・セラミックのうちの1つまたは複数の材料を含む絶縁プラズマ室を含む、請求項1に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項12】
集束イオン・ビーム・システム内でプラズマに点火する方法であって、前記集束イオン・ビーム・システムが、プラズマ室を含む誘導結合プラズマ・イオン源と、前記プラズマ室に位置する源バイアス電極と、前記源バイアス電極への電気接触を提供する導体と、集束イオン・ビーム・カラムと、プラズマ点火装置回路と、源バイアス電極バイアス電源とを含み、前記方法が、プラズマに点火するための前記プラズマ点火装置からの点火電圧、または前記電極バイアス電源からのバイアス電圧を前記導体に選択的に印加することを含む方法。
【請求項13】
プラズマに点火するための前記プラズマ点火装置からの点火電圧、または前記電極バイアス電源からのバイアス電圧を前記導体に選択的に印加することが、前記源電極に恒久的に物理的に接続された前記プラズマ点火装置からの点火電圧を選択的に印加することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
集束イオン・ビーム・システム内でプラズマに点火する方法であって、前記集束イオン・ビーム・システムが、誘導結合プラズマ・イオン源と、前記イオン源から抽出されるイオンのエネルギーを制御する源バイアス電極と、集束イオン・ビーム・カラムと、前記源バイアス電極に接続されたプラズマ点火装置と、プラズマ検出器と、前記プラズマ点火装置を介して前記源バイアス電極に接続された源バイアス電極バイアス電源とを含み、前記方法が、
前記誘導結合プラズマ・イオン源へフィード・ガスを導入すること、
前記イオン源にRF励振を印加すること、
前記源バイアス電極に第1のプラズマ点火パルスを印加すること、
プラズマ検出信号を得ること、
前記プラズマ検出信号が、誘導結合プラズマ・イオン源内にプラズマが存在していることを指示している場合に、前記プラズマ点火電圧をオフにすること、
前記プラズマ検出信号が、誘導結合プラズマ・イオン源内にプラズマが存在しないことを指示している場合に、RF励振を印加するステップに戻ること
を含む方法。
【請求項15】
誘導結合プラズマ源内のプラズマ室に位置する源バイアス電極に、源バイアス電圧および点火パルスを供給するアセンブリであって、
前記源バイアス電極への電気接続を提供する導体と、
前記点火パルスまたは前記源バイアス電圧あるいはその両方を前記導体に印加する結合網と
を備えるアセンブリ。
【請求項16】
前記導体の長さが30cm未満である、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記導体の静電容量が25pf未満である、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項18】
点火パルスを供給する前記回路が、好ましくは1kVから20kVの範囲のピーク−ピーク電圧を有するパルスを供給する、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項19】
点火パルスを供給する前記回路が、より好ましくは3kVから10kVの範囲のピーク−ピーク電圧を有するパルスを供給する、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項20】
点火パルスを供給する前記回路が、好ましくは2μsから500μsの範囲の振動周期を有するパルスを供給する、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項21】
点火パルスを供給する前記回路が、より好ましくは3.33μsから10μsの範囲の振動周期を有するパルスを供給する、請求項15に記載のアセンブリ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−204672(P2011−204672A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−18095(P2011−18095)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(501419107)エフ・イ−・アイ・カンパニー (78)
【Fターム(参考)】