説明

誘電体セラミック組成物、積層セラミックコンデンサ及びその製造方法

【課題】 X8R特性を満足する温度特性を有しかつ高温環境下における比抵抗の高い積層セラミックコンデンサおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 誘電体セラミックスを形成する誘電体セラミック組成物が、BaTiO+aMgO+bMO+cReO3/2+dSiOで表記したとき、BaTiO 100molに対して0.4 ≦a≦ 3.0mol、0.05≦b≦ 4.0mol、6.0 ≦c≦16.5mol、3.0 ≦d≦ 5.0mol、2.0≦c/d≦3.3の範囲であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チタン酸バリウム(BaTiO)を主体とする誘電体セラミック組成物とそれを用いた積層セラミックコンデンサに関するもので、NiまたはNi合金で構成された内部電極を有し、静電容量の温度変化の小さな積層セラミックコンデンサを得ることができるものである。
【背景技術】
【0002】
携帯機器、通信機器等の電子機器に用いられる積層セラミックコンデンサは、小型化及び大容量化の要求が高まっている。このような小型大容量の積層セラミックコンデンサとしては、例えば特開2001−39765号公報にあるような、内部電極がNiで構成された積層セラミックコンデンサがある。このような積層セラミックコンデンサはX7R特性(25℃基準で−55℃〜125℃の温度範囲における誘電率の変化率が±15%以内)を満足し、誘電率が2500以上であり、薄層化しても信頼性に優れた積層セラミックコンデンサが得られるものである。
【0003】
しかし、近年、このような積層セラミックコンデンサは、用途によってはより厳しい環境下における信頼性が要求されている。例えば自動車のエンジンルーム内に搭載するエンジン電子制御ユニット、アンチロックブレーキシステム等の車載電子装置に積層セラミックコンデンサが用いられるようになってきている。このような車載電子装置は、−20℃以下から+130℃以上の温度環境下での安定な動作が求められるため、これに用いられる積層セラミックコンデンサにもこのような環境下でも良好な温度安定性を示すものが求められてきている。
【0004】
このような要求に応えるため、例えば特開2005−272263号公報に示されているような、X8R特性(25℃基準でー55℃〜150℃の温度範囲における誘電率の変化率が±15%以内)を満足する誘電体セラミック組成物及び積層セラミックコンデンサが提案されてきている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−39765号公報
【特許文献2】特開2005−272263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような誘電体セラミック組成物及び積層セラミックコンデンサでは、より小型大容量化を進めるために内部電極間の誘電体セラミック厚みをさらに薄くした場合、必ずしも充分な比抵抗が得られないという問題があった。特に125℃を超える高温環境下での比抵抗が充分でないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するために提案されたものであり、その第一の目的はX8R特性を満足する温度特性を有しかつ高温環境下における比抵抗の高い積層セラミックコンデンサを提供することである。また、第二の目的はそのような積層セラミックコンデンサの製造方法を提供することである。また、第三の目的はそのような積層セラミックコンデンサに用いられる誘電体セラミック組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は第一の手段として、BaTiO+aMgO+bMO+cReO3/2+dSiO(ただし、MgOはMgO換算であることを示し、MOはV、Cr及びMnから選ばれる少なくとも1種の金属の1分子中1原子の酸化物換算であることを示し、ReO3/2はSm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びYから選ばれる少なくとも1種類の希土類金属の1分子中1原子の酸化物換算であることを示し、SiOはSiO換算であることを示す。)で表記したとき、BaTiO 100molに対して0.4 ≦a≦ 3.0mol、0.05≦b≦ 4.0mol、6.0 ≦c≦16.5mol、3.0 ≦d≦ 5.0mol、2.0≦c/d≦3.3の範囲であることを特徴とする誘電体セラミック組成物を提案する。この第一の手段によれば、温度特性がX8R特性を満足しかつ高温環境下における比抵抗が100MΩm以上である誘電体セラミック組成物を得ることができる。
【0009】
また、第二の手段として、原料として用いるBaTiOの粒子径の平均値が0.23〜0.35μmであることを特徴とする誘電体セラミック組成物を提案する。この第二の手段によれば、さらに高温環境下における比抵抗が1000MΩm以上である誘電体セラミック組成物を得ることができる。
【0010】
また、本発明は第三の手段として、略直方体形状のセラミック積層体と、該セラミック積層体中に誘電体セラミックスを介して対向しかつ交互に異なる端面へ引出されるように形成された内部電極と、前記セラミック積層体の両端面に形成され、該端面に引き出された前記内部電極のそれぞれに電気的に接続された外部電極と、を有する積層セラミックコンデンサにおいて、前記誘電体セラミックスが上記の第一の手段に示されている誘電体セラミック組成物で形成されており、前記内部電極がNiまたはNi合金で形成されていることを特徴とする積層セラミックコンデンサを提案する。この第三の手段によれば、温度特性がX8R特性を満足しかつ高温環境下における比抵抗が100MΩm以上であり、さらに高温加速寿命特性が150℃−25V/μmで10000秒以上である積層セラミックコンデンサを得ることができる。
【0011】
また、第四の手段として、前記誘電体セラミックスが上記第二の手段に示されている誘電体セラミック組成物で形成されていることを特徴とする積層セラミックコンデンサを提案する。この第四の手段によれば、さらに高温環境下における比抵抗が1000MΩm以上であり、高温加速寿命特性が150℃−25V/μmで100000秒以上である積層セラミックコンデンサを得ることができる。
【0012】
また、本発明では、誘電体セラミック組成物をセラミックグリーンシートに成形するステップと、前記セラミックグリーンシート上に内部電極を形成するステップと、内部電極を形成した前記セラミックグリーンシートを積み重ねて未焼成セラミック積層体を形成するステップと、前記未焼成セラミック積層体を焼成するステップと、外部電極を形成するステップと、を有する積層セラミックコンデンサの製造方法において、前記誘電体セラミック組成物が上記の第一の手段に示されている誘電体セラミック組成物であることを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法を提案する。この製造方法によれば、温度特性がX8R特性を満足しかつ高温環境下における比抵抗が100MΩm以上であり、さらに高温加速寿命特性が150℃−25V/μmで10000秒以上である積層セラミックコンデンサを製造することができる。
【0013】
また、さらに前記未焼成セラミック積層体を焼成するステップにおいて、焼成温度から室温まで温度を下げるときに、降温速度を100℃/hr〜500℃/hrとしたことを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法を提案する。この製造方法によれば、25℃基準でー55℃〜150℃の温度範囲における誘電率(もしくは静電容量)の変化率が±10%以内と、さらに良好な温度安定性を有する積層セラミックコンデンサを製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、X8R特性を満足する温度特性を有しかつ高温環境下における比抵抗が100MΩm以上の高い積層セラミックコンデンサ及びその積層セラミックコンデンサを構成する誘電体セラミック組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の誘電体セラミック組成物に係る実施形態について説明する。本発明の誘電体セラミック組成物は、BaTiO、MgO、MO(MOはV、Cr及びMnから選ばれる少なくとも1種の金属を1分子中1原子の酸化物で換算したもの。)、ReO3/2(ReO3/2はSm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びYから選ばれる少なくとも1種類の希土類金属を1分子中1原子の酸化物で換算したもの。)及びSiOを上記の組成比で混合して形成した組成物である。なお、MgOは、Mgの添加量をMgO換算で示すもので、Mgを添加する場合は、MgO以外の化合物を用いてもよい。また、SiOも同様にSiの添加量をSiO換算で示すもので、SiO以外の化合物を用いてもよい。また、BaTiOは固相法、水熱合成法、シュウ酸法またはゾルゲル法のいずれかの方法で合成されたものである。
【0016】
このような誘電体セラミック組成物は、次ようにして得られる。まず、出発原料としてBaTiO 100molに対してMgOを0.4〜3.0mol、V、CrまたはMnの酸化物(MO)を0.05〜4.0mol、希土類の酸化物(ReO3/2)を6.0〜16.5mol及びSiOを3.0〜5.0molの範囲になるように秤量して準備する。このときReO3/2のmol数cとSiOのmol数dの比c/dが2.0〜3.3になるようにする。なお、ここでのmol数は、1分子中1原子の酸化物に換算した場合のmol数を示す。すなわち例えばHoであればHoO3/2で換算したmol数、VであればVO5/2で換算したmol数で示すものとする。これらの原料に水を加えてボールミル、ビーズミル、ディスパミル等を用いて湿式混合する。混合したものを乾燥し、これを400℃で仮焼を行い、誘電体セラミック組成物を得る。得られた誘電体セラミック粉末は、積層セラミックコンデンサの誘電体セラミック層を形成するために用いられる。
【0017】
次に本発明の実施形態に係る積層セラミックコンデンサについて説明する。本実施形態による積層セラミックコンデンサ1は、図1に示すように、誘電体セラミックス3と、該誘電体セラミックス3を介して対向しかつ交互に異なる端面へ引出されるように形成された内部電極4とを有する略直方体形状のセラミック積層体2を備え、該セラミック積層体2の両端面上には、内部電極と電気的に接続するように外部電極5が形成されている。その外部電極5上には必要に応じて第一のメッキ層6、第二のメッキ層7が形成される。
【0018】
次に、この積層セラミックコンデンサ1の製造方法について説明する。まず、本発明の誘電体セラミック組成物を用意する。これをブチラール系またはアクリル系の有機バインダー、溶剤及びその他添加剤と混合してセラミックスラリーを形成する。このセラミックスラリーをロールコータ等の塗布装置を用いてシート化し、誘電体セラミックス3となる所定の厚みのセラミックグリーンシートを形成する(セラミックグリーンシート成形ステップ)。
【0019】
このセラミックグリーンシート上に、スクリーン印刷によって所定のパターン形状にNiまたはNi合金の導電ペーストを塗布して内部電極4となる導電体層を形成する(内部電極形成ステップ)。導電体層を形成したセラミックグリーンシートを必要枚数積層した後、圧着し、未焼成セラミック積層体を形成する。これを個別チップに切断分割した後、大気中または窒素等の非酸化性ガス中で脱バインダーする(積層体形成ステップ)。
【0020】
脱バインダー後、個別チップの内部電極露出面に導電ペーストを塗布して外部電極5となる導電体膜を形成する(外部電極形成ステップ)。この導電体膜を形成した個別チップを所定の温度の窒素―水素雰囲気中(酸素分圧10−10atm程度)で焼成する(焼成ステップ)。なお、外部電極5は、個別チップを焼成してセラミック積層体2を形成した後、内部電極露出面にガラスフリットを含有する導電ペーストを塗布して焼付けても良い。外部電極5は、内部電極と同じ金属を使用できる他、Ag、Pd、AgPd、Cu、Cu合金などが使用できる。さらに外部電極5上にNi、Cu等で第一のメッキ層6、その上にSnまたはSn合金等で第二のメッキ層7を形成し、積層セラミックコンデンサ1が得られる。
【実施例】
【0021】
(実施例1)
出発原料として、表1の組成比になるように、粒子径の平均値が0.45μmのBaTiOと、MgO、Mn(MnO3/2換算)、Ho(HoO3/2換算)及びSiOを秤量して準備した。なお、BaTiOの粒子径の平均値は、SEM(走査電子顕微鏡)で粒子を観察して、一定方向で最大径を300個分測定して、この300個分の最大径を算術平均したものである。以降のBaTiOの粒子径の平均値の表記も同様である。
【0022】
【表1】

【0023】
準備したBaTiO、MgO、Mn、Ho及びSiOをボールミルにて湿式混合し、乾燥後400℃にて仮焼して誘電体セラミック粉末を得た。
【0024】
上記の粉末に、ポリビニルブチラール、有機溶剤、可塑剤を加えて混合し、セラミックスラリーを形成した。このセラミックスラリーをロールコータにてシート化し、厚みが5μmのセラミックグリーンシートを得た。このセラミックグリーンシート上にスクリーン印刷でNi内部電極ペーストを塗布して、内部電極パターンを形成した。内部電極パターンを形成したセラミックグリーンシートを、21枚積み重ね、圧着し、4.0×2.0mmの大きさに切断分割して生チップを形成した。この生チップを窒素雰囲気中で脱バインダーし、Ni外部電極ペーストを塗布して、還元雰囲気中(窒素−水素雰囲気、酸素分圧10−10atm)にて1200℃で1時間保持して焼成し、その後室温まで750℃/hrの降温速度で温度を下げた。
【0025】
こうして得られた3.2×1.6mmサイズで誘電体セラミック層の厚み3μmの積層セラミックコンデンサについて、誘電率、温度特性(TC)、比抵抗及び寿命特性を測定し、表2にまとめた。なお温度特性は25℃基準で−55℃〜150℃の範囲における静電容量変化率の最大値で示した。また比抵抗は、170℃の温度下で測定電圧7V/μmにてメガオームメータによって抵抗値を測定し、内部電極の交差面積と内部電極間の誘電体セラミックスの厚みから比抵抗を算出し、これを各試料無作為で10個選んだものについて行いその平均値とした。また高温加速寿命特性は、150℃、25V/μmの負荷で各試料無作為で選んだ10個について行い、その10個の抵抗値が1MΩ以下になった時間の平均値とした。
【0026】
【表2】

【0027】
上記の結果から、ReO3/2が6.0〜16.5molかつSiOが3.0〜5.0molかつReO3/2のmol数cとSiOのmol数dの比c/dが2.0〜3.3の範囲であれば、温度特性がX8R特性を満足しかつ高温環境下における比抵抗が100MΩm以上である誘電体セラミック組成物を得ることができ、さらに高温加速寿命特性が150℃−25V/μmで10000秒以上である積層セラミックコンデンサを得られることがわかった。
【0028】
(実施例2)
表3の組成比になるように原料を準備し、実施例1と同様にして誘電体セラミック粉末を形成した。ここではHoをその他の希土類元素に変えてその効果を検証した。
【0029】
【表3】

【0030】
上記の誘電体セラミック粉末を、実施例1と同様にして積層セラミックコンデンサを形成し、誘電率、温度特性(TC)、比抵抗及び寿命特性を測定し、表4にまとめた。
【0031】
【表4】

【0032】
上記の結果から、希土類(Re)をHo以外のものに置き換えても同様の効果を得ることができることがわかった。また、試料No.30の結果から、2種類の希土類元素を用いてもよいことがわかった。
【0033】
(実施例3)
表5の組成比になるように原料を準備し、実施例1と同様にして誘電体セラミック粉末を形成した。ここではMgの添加量をふってその効果を検証した。
【0034】
【表5】

【0035】
上記の誘電体セラミック粉末を、実施例1と同様にして積層セラミックコンデンサを形成し、誘電率、温度特性(TC)、比抵抗及び寿命特性を測定し、表6にまとめた。
【0036】
【表6】

【0037】
上記の結果から、Mgが0.4〜3.0molの範囲であれば、温度特性がX8R特性を満足しかつ高温環境下における比抵抗が100MΩm以上である誘電体セラミック組成物を得ることができ、さらに高温加速寿命特性が150℃−25V/μmで10000秒以上である積層セラミックコンデンサを得られることがわかった。
【0038】
(実施例4)
表7の組成比になるように原料を準備し、実施例1と同様にして誘電体セラミック粉末を形成した。ここではMnの添加量及びMの種類を変えてその効果を検証した。
【0039】
【表7】

【0040】
上記の誘電体セラミック粉末を、実施例1と同様にして積層セラミックコンデンサを形成し、誘電率、温度特性(TC)、比抵抗及び寿命特性を測定し、表8にまとめた。
【0041】
【表8】

【0042】
上記の結果から、Mnが0.05〜0.4molの範囲であれば、温度特性がX8R特性を満足しかつ高温環境下における比抵抗が100MΩm以上である誘電体セラミック組成物を得ることができ、さらに高温加速寿命特性が150℃−25V/μmで10000秒以上である積層セラミックコンデンサを得られることがわかった。また、試料No.44〜46より、MnをVやCrに置き換えても同様の効果が得られ、また、2種類の金属元素を用いてもよいことがわかった。
【0043】
(実施例5)
組成比を試料No.40と同様にして、BaTiOについて、その粒子径の平均値が表9に示したとおりのものを用意し、実施例1と同様にして誘電体セラミック粉末を形成した。次いでこの誘電体セラミック粉末を、実施例1と同様にして積層セラミックコンデンサを形成し、誘電率、温度特性(TC)、比抵抗及び寿命特性を測定し、表9にまとめた。
【0044】
【表9】

【0045】
上記の結果から、BaTiOの粒子径の平均値が0.23〜0.35μmの範囲であれば、温度特性がX8R特性を満足しかつ高温環境下における比抵抗が1000MΩm以上である誘電体セラミック組成物が得られ、さらに高温加速寿命特性が150℃−25V/μmで100000秒以上である積層セラミックコンデンサを得ることができることがわかった。
【0046】
(実施例6)
組成比が試料No.40と同様の誘電体セラミック組成物を用いて、実施例1と同様にして、積層セラミックコンデンサを形成した。そのときに焼成後に室温まで温度を下げる時の降温速度を、表10に示したとおりにふって、それぞれの試料について誘電率、温度特性(TC)、比抵抗及び寿命特性を測定し、表10にまとめた。
【0047】
【表10】

【0048】
上記の結果から、降温速度が100℃/hr〜500℃/hrの範囲であれば、温度特性が25℃基準で−55℃〜150℃の温度範囲における誘電率(もしくは静電容量)の変化率が±10%以内になることがわかった。なお、25℃/hrでも効果はあるが、生産効率の点から100℃/hr〜500℃/hrの範囲が望ましい。
【0049】
以上の結果から、本発明によれば、X8R特性を満足する温度特性を有しかつ高温環境下における比抵抗が100MΩm以上の高い積層セラミックコンデンサ及びその積層セラミックコンデンサを構成する誘電体セラミック組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】積層セラミックコンデンサの断面を示す模式図である。
【符号の説明】
【0051】
1 積層セラミックコンデンサ
2 セラミック積層体
3 誘電体セラミックス
4 内部電極
5 外部電極
6 第一のメッキ層
7 第二のメッキ層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
BaTiO+aMgO+bMO+cReO3/2+dSiO
(ただし、MgOはMgO換算であることを示し、MOはV、Cr及びMnから選ばれる少なくとも1種の金属の1分子中1原子の酸化物換算であることを示し、ReO3/2はSm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びYから選ばれる少なくとも1種類の希土類金属の1分子中1原子の酸化物換算であることを示し、SiOはSiO換算であることを示す。)
で表記したとき、
BaTiO 100molに対して
0.4 ≦a≦ 3.0mol
0.05≦b≦ 4.0mol
6.0 ≦c≦16.5mol
3.0 ≦d≦ 5.0mol
2.0≦c/d≦3.3
の範囲であることを特徴とする誘電体セラミック組成物。
【請求項2】
原料として用いるBaTiOの粒子径の平均値が0.23〜0.35μmであることを特徴とする請求項1に記載の誘電体セラミック組成物。
【請求項3】
略直方体形状のセラミック積層体と、該セラミック積層体中に誘電体セラミックスを介して対向しかつ交互に異なる端面へ引出されるように形成された内部電極と、前記セラミック積層体の両端面に形成され、該端面に引き出された前記内部電極のそれぞれに電気的に接続された外部電極と、を有する積層セラミックコンデンサにおいて、
前記誘電体セラミックスの原料となる誘電体セラミック組成物が
BaTiO+aMgO+bMO+cReO3/2+dSiO
(ただし、MgOはMgO換算であることを示し、MOはV、Cr及びMnから選ばれる少なくとも1種の金属の1分子中1原子の酸化物換算であることを示し、ReO3/2はSm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びYから選ばれる少なくとも1種類の希土類金属の1分子中1原子の酸化物換算であることを示し、SiOはSiO換算であることを示す。)
で表記したとき、
BaTiO 100molに対して
0.4 ≦a≦ 3.0mol
0.05≦b≦ 4.0mol
6.0 ≦c≦16.5mol
3.0 ≦d≦ 5.0mol
2.0≦c/d≦3.3
の範囲であり、前記内部電極がNiまたはNi合金で形成されている
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
【請求項4】
前記誘電体セラミックスの原料として用いるBaTiOの粒子径の平均値が0.23〜0.35μmであることを特徴とする請求項3に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項5】
誘電体セラミック組成物をセラミックグリーンシートに成形するステップと、
前記セラミックグリーンシート上に内部電極を形成するステップと、
内部電極を形成した前記セラミックグリーンシートを積み重ねて未焼成セラミック積層体を形成するステップと、
前記未焼成セラミック積層体を焼成するステップと、
外部電極を形成するステップと、
を有する積層セラミックコンデンサの製造方法において、
前記誘電体セラミック組成物が
BaTiO+aMgO+bMO+cReO3/2+dSiO
(ただし、MgOはMgO換算であることを示し、MOはV、Cr及びMnから選ばれる少なくとも1種の金属の1分子中1原子の酸化物換算であることを示し、ReO3/2はSm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びYから選ばれる少なくとも1種類の希土類金属の1分子中1原子の酸化物換算であることを示し、SiOはSiO換算であることを示す。)
で表記したとき、
BaTiO 100molに対して
0.4 ≦a≦ 3.0mol
0.05≦b≦ 4.0mol
6.0 ≦c≦16.5mol
3.0 ≦d≦ 5.0mol
2.0≦c/d≦3.3
の範囲である
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法。
【請求項6】
前記未焼成セラミック積層体を焼成するステップにおいて、焼成温度から室温まで温度を下げるときに、降温速度を100℃/hr〜500℃/hrとしたことを特徴とする請求項5に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。






【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−94673(P2008−94673A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279592(P2006−279592)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】