説明

警報器

【課題】住戸内に設置されている他のセンサや表示器との連携動作を無線ネットワークにより持たせることで日常的に使用可能とする。
【解決手段】無線住警器10の異常監視部72は、火災検出部48の火災検出信号と他の機器から受信したイベント信号に応じた警報を報知部50及び他の機器から出力させる。異常監視部72は、異常検出部の火災検出信号と熱センサ20、COセンサ22、温度センサ18を含む他の機器から受信したイベント信号に基づいて火災レベルを判断し、判断した火災レベルに応じた注意火災警報又は警報を報知部50及び他の機器から出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己の火災監視機能に加え住戸内に設置されている火災、ガス漏れ、盗難など他のセンサや表示器などによる連携動作を無線ネットワークを利用して行う警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅における火災やガス漏れなどの異常を検出して警報する住宅用警報器(以下「住警器」という)が普及しており、近年にあっては、1つの住戸に複数の住警器を設置して部屋毎に火災などの異常を監視する傾向も増加し、更に、無線式の住警器により警報システムを構築し、ある住警器で火災を検出して警報したら、他の住警器に警報信号を無線送信して連動警報させるようにしている。
【特許文献1】特開2007−094719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の住警器にあっては、火災センサとしての機能に加え音声及びLEDなどの光によって警報を出力する機能を備えているにも拘らず、火災発生時にしか使用されず、火災発生時以外は点検スイッチを操作したときに正常に動作していることを示す報知が行われるだけであり、日常的に使用されることがないため、その存在が忘れられ、長期間点検操作なども行われずに放置されることも多く、住警器としては例えば10年間という電池寿命を保証しているが、維持管理が不十分となり、汚れの付着などにより本来の火災監視機能も損なわれる恐れもある。
【0004】
また、住警器の火災検出は例えば光電式煙検出機構やサーミスタなどの温度検出素子により行っているが、もし、住戸内に、温度センサやCOセンサといった環境センサが設置されているような場合には、他のセンサからの検出データを含めて火災を複合的に判断すれば、スポット的な火災監視ではなく、2次元分布的な火災判断も可能となり、誤報や失報を起こすことなく迅速且つ確実に火災を検出して警報することも可能となる。
【0005】
本発明は、住戸内に設置されている他のセンサや表示器との連携動作を無線ネットワークにより持たせることで日常的に使用可能とする住警器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は警報器を提供するものであり、
他の機器との間で所定のイベント信号を送受信する送受信回路部と、
警報器本体と別体又は一体に設けられ、異常を検出する異常検出部と、
警報を出力する報知部と、
異常検出部の異常検出信号と他の機器から受信した異常イベント信号に応じた警報を報知部及び他の機器から出力させる異常監視部と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
ここで、本発明と連携を取る他の機器としては、
異常を検出してイベント信号を送信するセンサと、
警報を示すイベント信号を受信して警報を出力する警報出力機器と、
異常を検出してイベント信号を送信すると共に警報を示すイベント信号を受信して警報を出力するセンサ付き警報出力機器と、
を含む。
【0008】
異常監視部は、異常検出部の火災検出信号と熱センサ、COセンサ又は温度センサを含む他の機器から受信したイベント信号に基づいて火災レベルを判断し、判断した火災レベルに応じた警報を報知部及び他の機器から出力させる。
【0009】
例えば異常監視部は、異常検出部の火災検出信号と他の機器からのイベント信号の各々につき、正常レベル、注意レベル又は火災レベルのいずれにあるかを判断し、前者と後者の火災レベルの組合せに基づいて警報なし、注意警報又は火災警報を出力させる。
【0010】
異常監視部は、第1端末機器からの火災検出信号の判断レベルと第2端末機器からの信号の組み合わせに基づいて警報制御を行う。
【0011】
異常監視部は、火災警報を出力した際に、人感センサのイベント信号から不在を判別している場合は、屋内外に設置された外部警報出力装置に警報を示すイベント信号を送信して火災警報を出力させる。
【0012】
異常監視部は、火災警報を出力した際に、人感センサのイベント信号から在宅を判別している場合は、所定時間以内に警報停止操作が行われないことを判別した時に、屋内外に設置された外部警報出力装置に警報を示すイベント信号を送信して火災警報を出力させる。
【0013】
異常監視部は、他の機器からのイベント信号として、ガス漏れ警報器からのガス漏れ検出信号、ドアや窓に設置された戸締りセンサからの戸締り検出信号、地震センサからの地震検出信号、ACセンサからの機器使用検出信号又は人感センサからの侵入者検出信号を受信した際に、火災警報が出力されていないことを条件に、各検出信号に応じた警報を報知部及び他の機器から出力させる。
【0014】
更に、警報信号を外部へ移報する移報部を設ける。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、住戸単位に設置される火災検出機能と警報出力機能を備えた住警器が同じ住戸に設置されている他の機器と無線ネットワークで結ばれ、住警器自身の火災検出による警報出力に加え、他の機器からイベント信号を無線により受信した際に、受信したイベント信号に応じた音声や光による出力を住警器から行い、火災検出時に以外に日常的に住警器が使用されることで、その利用価値が見直され、住戸内に設置された場合に、火災、ガス漏れ、盗難といったセキュリティを中心に居住者に様々な情報を提供する情報ステーションとして活用され、安全で快適な生活環境の構築に大きく寄与することができる。
【0016】
また火災判断について、住警器自身の火災検出データと連携を取る他のセンサからの火災検出データから複合的に火災のレベルを判断し、誤報や失報を起こすことなく迅速且つ確実に火災を検出して警報することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は住宅を対象とした本発明による無線住警器10の設置状態を連携する他の機器と共に示した説明図である。図1に於いて、住宅11の例えば居間に本発明の無線住警器10が設置される。無線住警器10は、火災を検出して警報する機能に加え、イベント信号を無線により送受信する機能を備えており、連携する他の機器との間で1つのグループを構成して、この住宅全体の異常を監視している。
【0018】
無線住警器10と連携する他の機器として、本実施形態にあっては、住宅11には、無線ユニット14を装着した住警器12、ガス漏れ警報器16、温度センサ18、熱センサ20、COセンサ22、人感センサ24、戸締りセンサ26、ACセンサ28、地震センサ30、コントローラ32、インターホン戸外器34、屋外警報出力装置36及び屋内警報出力装置38が設けられている。
【0019】
住警器12は無線機能を持たない警報器であり、火災を検出して警報する。このようなスタンドアロンで使用される住警器12に無線ユニット14をアダプタとして接続することで、無線住警器10との間でイベント信号の送受信を可能とし、異常監視の連携をとることができる。
【0020】
ガス漏れ警報器16は台所に設置され、ガス漏れを検出して自分自身でガス漏れ警報を出すと同時に、ガス漏れを示すイベント信号を無線住警器10に送信して連動警報を可能とする。
【0021】
温度センサ18は例えば台所に設置され、設置場所の温度検出し、センサ自体に無線通信機能を備えていることから、検出した温度データを無線住警器10に送信することができる。
【0022】
熱センサ20は例えば居間のストーブに設置され、センサ自体に無線通信機能を備えており、検出した温度データを無線住警器10に送信することができる。
【0023】
COセンサ22は例えば居間に設置され、センサ自体に無線通信機能を備えており、検出したCO濃度データを含むイベント信号を無線住警器10に送信することができる。
【0024】
人感センサ24は例えば居間に設置され、センサ自体に無線通信機能を備えており、人の在宅を検出し、人の検知データを含むイベント信号を無線住警器10に送信することができる。
【0025】
戸締りセンサ26は窓やドアに設置され、センサ自体に無線通信機能を備えており、窓やドアの鍵が開錠された状態となる戸締り異常を示すイベント信号を無線住警器10に送信することができる。
【0026】
ACセンサ28は部屋のACコンセントに差し込んで使用され、センサ自体に無線通信機能を備えており、センサのコンセントに電気器具を差し込んで電源をオンして使用すると、ACコンセントの使用を示すイベント信号を無線住警器10に送信することができる。
【0027】
地震センサ30は、センサ自体に無線通信機能を備えており、予め設定した震度以上の揺れが加わると地震検出を示すイベント信号を無線住警器10に送信することができる。
【0028】
コントローラ32は例えばインターホン親器としての機能、セキュリティ監視機能も及び無線通信機能を備えている。このため玄関などに設置しているインターホン戸外器34からインターホン呼出しのイベント信号を受信すると、呼出し音を出力させる。
【0029】
またユーザがリモコン35などの操作で外出の際に防犯モードをセットするとセキュリティ監視機能が有効となり、人感センサ24による侵入者検出のイベント信号を受信してコントローラ32自身で盗難警報を出すと同時に、侵入者検出のイベント信号を無線住警器10に送信し、盗難警報を連動出力させることができる。コントローラ32にセットした防犯モードはリモコン35又はコントローラ32自身の操作で解除することができる。
【0030】
屋外警報出力装置36は無線通信機能を内蔵し、例えば屋根などに設置され、無線住警器10からの警報出力を示すイベント信号を受信し、警報音及び又は表示により異常を屋外に報知する。
【0031】
屋内警報出力装置38は無線ユニット14を備え、無線住警器10からの警報出力を示すイベント信号を受信し、警報音及び又は表示により異常を報知する。
【0032】
ここで無線住警器10と連携をとる他の機器は次の3つに分類できる。
【0033】
(分類A)異常を検出してイベント信号を無線住警器10に送信するセンサ。温度センサ18、熱センサ20、COセンサ22、人感センサ24、戸締りセンサ26、ACセンサ28、地震センサ30が含まれる。
【0034】
(分類B)警報を示すイベント信号を無線住警器10から受信して警報を出力する警報出力機器。インターホン戸外器34、屋外警報出力装置36及び屋内警報出力装置38が含まれる。
【0035】
(分類C)異常を検出してイベント信号を無線住警器10に送信すると共に警報を示すイベント信号を無線住警器10から受信して警報を出力するセンサ付き警報出力機器。無線ユニット14を装着した住警器12、ガス漏れ警報器16及びコントローラ32が含まれる。
【0036】
また検出データをイベント信号に含めて送信する温度センサ18、熱センサ20、COセンサ22については、送信電波の衝突防止のために異なるタイミングで定期的にイベント信号を送信するか、或いは、無線住警器10からのポーリングにより定期的にイベント信号を送信する。
【0037】
また、無線ユニット14を装着した住警器12、ガス漏れ警報器16、人感センサ24、戸締りセンサ26、ACセンサ28、地震センサ30、インターホン戸外器34については、異常検出などのイベント発生時に、イベント内容を示すイベント信号を送信する。
【0038】
図2は本発明による無線住警器の実施形態を他の機器と共に示したブロック図である。図2において、無線住警器10に対しては他の機器として、無線ユニット14を装着した住警器12、ガス漏れ警報器16、温度センサ18、熱センサ20、COセンサ22、人感センサ24、戸締りセンサ26、ACセンサ28、地震センサ30、コントローラ32、インターホン戸外器34、屋外警報出力装置36及び屋内警報出力装置38が設けられている。
【0039】
本実施形態の無線住警器10はCPU40を備え、CPU40に対してはアンテナ44を備えた無線回路部42、記録回路部46、火災検出部48、報知部50、操作部52を設けている。なお、無線住警器10は商用AC100Vを電源として動作し、停電用のバックアップ電源として電池電源を設けている。
【0040】
無線回路部42には送信回路54と受信回路56が設けられ、他の機器との間でイベント信号を無線により送受信できるようにしている。無線回路部42としては、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステムの無線局の無線設備の標準規格)またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠した構成を備える。
【0041】
この無線回路部42の構成は無線ユニット14を含む他の機器についても同様である。もちろん無線回路部42としては、日本国内以外の場所については、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。
【0042】
記録回路部46にはメモリ58が設けられている。メモリ58には無線住警器を特定するID(識別子)となる送信元符号60と、他の複数の機器との間で連携を取るグループを構成するためのグループ符号62が格納されている。送信元符号60としては、国内に提供される連携をとる無線住警器を含む機器の数を予測し、例えば同一符号として重複しないように32ビットの符号コードが使用される。
【0043】
グループ符号62はグループを構成する複数の機器に共通に設定される符号であり、無線回路部42で受信した他の機器からのイベント信号に含まれるグループ符号がメモリ58に登録しているグループ符号62に一致したときに、このイベント信号を有効な信号として受信して処理することになる。
【0044】
警報グループの識別は、グループ符号以外に、機器を特定するIDである送信元符号を使用してもよい。即ち、グループを構成する複数の機器に、同じグループに属する他の機器の送信元符号を予め登録しておき、他の機器から受信したイベント信号に含まれる送信元符号を登録済み送信元符号と比較し、一致したら同じグループに属する機器からの信号として処理する。
【0045】
なお本実施形態にあっては、記録回路部46にメモリ58を使用しているが、メモリ58の代わりにディップスイッチを設け、ディップスイッチにより送信元符号60やグループ符号62を設定するようにしてもよい。送信元符号60やグループ符号62の符号長(ビット数)が少ない場合には、ディップスイッチを用いた記録回路部46が望ましい。
【0046】
火災検出部48には、本実施形態にあっては検煙部64が設けられ、火災による煙濃度を検出して煙濃度検出信号を出力する。火災検出部34には検煙部64以外に、火災による温度を検出するサーミスタを設けてもよい。
【0047】
報知部50にはスピーカ66とLED68が設けられている。スピーカ66は、図示しない音声合成回路部からの音声メッセージや警報音を出力する。LED68は点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異常を表示する。
【0048】
操作部52には警報停止スイッチ70が設けられている。警報停止スイッチ70を操作すると、無線住警器10から流している警報音を停止することができる。警報停止スイッチ70は、本実施形態にあっては点検スイッチと兼用している。
【0049】
警報停止スイッチ70は、報知部50からスピーカ66により警報音を出力しているときに有効となる。一方、警報音を出力していない通常監視状態で警報停止スイッチ70は点検スイッチとして機能し、点検スイッチを押すと、報知部50から点検用の音声メッセージなどが出力される。
【0050】
CPU40にはプログラムの実行により実現される機能として異常監視部72が設けられている。異常監視部72は、火災検出部48の煙濃度検出信号と他のセンサ、例えば温度センサ18から受信したイベント信号に含まれる温度データに基づいて複合的に火災のレベルを判断し、判断した火災のレベルに応じた警報を報知部50及び他の機器から出力させる。
【0051】
異常監視部72により判別される火災のレベルは、正常レベル、注意レベル又は火災レベルとし、自己の火災検出による判断レベルと温度センサ18からの温度データによる判断レベルとの組合せに基づいて警報なし、注意警報又は火災警報の警報内容を決定して出力させる。
【0052】
この自己の火災検出と他の機器からの火災検出に基づく火災のレベル判断のため、CPU40にはセンサデータテーブル74と火災レベル判定テーブル76が設けられている。なお、ハードウェア的には、センサデータテーブル74と火災レベル判定テーブル76は記録回路部46に設けているメモリ58上に存在しているが、説明を分かり易くするため、CPU40により実行されるプログラムの機能の一つとしてCPU40上に示している。
【0053】
図3は図2のCPU40上に示したセンサデータテーブル74の説明図である。センサデータテーブル74には、センサ項目と検出情報に分けて、自己の火災検出部48を含むセンサデータが格納されている。
【0054】
センサ項目は、自己の火災検出部48及び他の機器である温度センサ18、熱センサ20、COセンサ22、人感センサ24、戸締りセンサ26、ACセンサ28、地震センサ30、コントローラ32、インターホン戸外器34で検出されたデータである。他の機器で検出されたセンサデータはイベント信号によって無線住警器10に送信され、センサデータテーブル74の対応する検出情報を更新させる。
【0055】
このうち、温度センサ18、熱センサ20、COセンサ22の検出情報は、煙濃度、温度、CO濃度といったデジタルデータであり、火災のレベル判断に利用される。また人感センサ24、戸締りセンサ26、ACセンサ28、地震センサ30の検出情報はオン又はオフの2値データであり、正常時にオフ、異常検出でオンとなる。更に、インターホン戸外器34の検出情報は、待機状態でオフ、インターホン呼び出しがあるとオンになる。
【0056】
図4は本実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示した説明図である。図4において、イベント信号78は送信元符号60、グループ符号62及びイベント符号80で構成されている。
【0057】
送信元符号60は例えば32ビットの符号である。またグループ符号62は例えば8ビットの符号であり、同一グループを構成する例えば図2の無線住警器10及び他の機器に同じグループ符号が設定されている。
【0058】
なおグループ符号62としては、同一グループの機器に同一のグループ符号を設定する以外に、予め定めたグループを構成する機器に共通な基準符号と、各機器に固有な送信元符号との演算から求めた機器ごとに異なるグループ符号であってもよい。また送信元符号を各機器に登録してグループ判定する場合には、グループ符号62は設けなくても良い。
【0059】
イベント符号80は、火災、ガス漏れなどのイベント内容を表す符号であり、本実施形態にあっては4ビット符号を使用しており、例えば「0001」で火災、「0010」でガス漏れ、「0011」で温度、「0100」で熱、「0101」でCO、「0110」で人感、「0111」で戸締り、「1000」でAC、「1001」で地震、「1010」で火災警報、「1011」で注意警報、「1100」でインターホン、残りをリザーブとしている。
【0060】
また、イベント符号80にセンサデータを含ませたい場合には、イベント符号80の後ろに例えば8ビットのセンサデータ82を付加する。なおイベント符号80のビット数は、イベントの種類が増加したときには更に5ビット、6ビットと増加させることで、複数種類のイベント内容を表すことができる。
【0061】
図5は図2のCPU40上に設けた火災レベル判定テーブル76を示した説明図である。火災レベル判定テーブル76には、他センサによる火災検出の判断レベルと無線住警器10自身の火災検出の判断レベルの組合せにより決定される警報内容が予め登録されている。
【0062】
即ち、火災レベル判定テーブル76には他センサのレベルと無線住警器10のレベルの組合せとして次の判定ルールが登録されている。
(1)他センサ及び無線住警器10が正常レベルの場合は警報を出力せず。
(2)他センサが正常レベルで無線住警器10が注意レベルの場合は注意警報を出力。
(3)他センサが正常レベルで無線住警器10が火災レベルの場合は火災警報を出力。
(4)他センサが注意レベルで無線住警器10が正常レベルの場合は注意警報を出力。
(5)他センサが注意レベルで無線住警器10が注意レベルの場合は火災警報を出力。
(6)他センサが注意レベルで無線住警器10が火災レベルの場合は火災警報を出力。
(7)他センサが火災レベルで無線住警器10が正常レベルの場合は火災警報を出力。
(8)他センサが火災レベルで無線住警器10が注意レベルの場合は火災警報を出力。
(9)他センサが火災レベルで無線住警器10が火災レベルの場合は火災警報を出力。
【0063】
この正常、注意、火災のレベルを判定するためには、火災検出部48の煙濃度データと他センサとして定めた温度センサ18の温度データにつき、高低2つの閾値TH1、TH2(ただしTH1<TH2)を設定し、閾値TH1未満であれは正常レベル、閾値TH1以上でTH2未満であれば注意レベル、閾値TH2以上であれば火災レベルとする比較判定を前処理として行い、その判定結果により火災レベル判定テーブル74を参照して警報内容を決定する。
【0064】
なお、本実施形態にあっては火災のレベル判定をテーブル構造として示しているが、前記の(1)〜(9)のルールをプログラム中に記述して自己のレベルと他センサのレベルの組合せから複合的に警報内容を決定するようにしても良い。
【0065】
図5の火災レベル判定テーブル76により火災警報が決定された場合、異常監視部72は報知部50のスピーカ66から連動元を示す警報音例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共にLED68を例えば明滅させ、更に、火災警報を示すイベント信号、即ちイベント符号「1010」を含むイベント信号を無線回路部42の送信回路54によりアンテナ44から他の機器に向けて送信させる。
【0066】
無線住警器10からの火災警報を示すイベント信号は、分類Cに属する無線ユニット14付きの住警器12、ガス漏れ警報器16、コントローラ26、並びに分類Cに属する屋内警報出力装置38で受信され、警報音及び又は表示により火災警報を出力させる。
【0067】
例えば警報音であれば、「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる音声メッセージを連続的に出力させ、表示器であればLEDを点滅させる。またコントローラ26のように文字表示器を備えている場合には、火災警報を文字表示しても良い。
【0068】
また火災レベル判定テーブル76により注意警報が決定された場合、異常監視部72は報知部50のスピーカ66から連動元を示す警報音例えば「ウーウー 火災の可能性があります 確認してください」を繰り返し出力させると共にLED68を例えば明滅させ、更に、注意警報を示すイベント信号、即ちイベント符号「1011」を含むイベント信号を無線回路部42の送信回路54によりアンテナ44から他の機器に向けて送信させる。
【0069】
無線住警器10からの注意警報を示すイベント信号は、同様に、分類Cに属する無線ユニット14付きの住警器12、ガス漏れ警報器16、コントローラ26、並びに分類Cに属する屋内警報出力装置38で受信され、警報音及び又は表示により注意警報を出力させる。
【0070】
例えば警報音であれば、「ウーウー 別の火災警報器で注意警報が出されました 確認してください」となる音声メッセージを連続的に出力させ、表示器であればLEDを点滅させる。またコントローラ26のように文字表示器を備えている場合には、注意警報を文字表示しても良い。
【0071】
一方、屋外警報出力装置36について、異常監視部72は人感センサ24による在宅か不在かによって異なった警報動作を行わせる。まず、異常監視部72は、火災警報を決定した際に、人感センサ24のイベント信号から不在を判別している場合は、直ぐに屋外に設置された屋外警報出力装置36に火災警報を示すイベント信号を送信して警報音及び光により火災警報を出力させる。
【0072】
これに対し火災警報を決定した際に、人感センサ24のイベント信号から在宅を判別している場合は、所定時間以内に警報停止操作が行われないことを判別した時に、屋外に設置された屋外警報出力装置36に警報を示すイベント信号を送信して火災警報を出力させる。
【0073】
これによって屋内で火災に対処することができないことを判定した場合に、屋外に火災警報を行うことができる。なお、屋外警報出力装置36に対する警報を示すイベント信号は他の機器に対するイベント信号と区別する必要があるため、注意警報と火災警報を示す専用のイベント符号として例えば「1101」、「1111」を割り当てる。
【0074】
異常監視部72は、他の機器からのイベント信号として、無線ユニット14付きの住警器12からの火災検出信号、ガス漏れ警報器16からのガス漏れ検出信号、ドアや窓に設置された戸締りセンサ26からの戸締り検出信号、地震センサ30からの地震検出信号、ACセンサ28からの機器使用検出信号又は人感センサ24からの侵入者検出信号を受信した際に、火災警報が出力されていないことを条件に各検出信号に応じた警報音や報知音を報知部50から出力させ、また必要に応じて警報出力機能を備えた他の機器にイベント信号を送って警報音や報知音を連動出力させる。
【0075】
この警報制御を実現するため、異常監視部72に対し連動元と連動先(無線住警器10を含む)との関係を登録した連動テーブルを設け、センサからのイベント信号を他の機器に中継して警報又は報知を行う。
【0076】
例えばインターホン戸外器34は呼出し操作によりインターホン呼出しのイベント信号をコントローラ32に送って呼出音を出力させるが、これに加え無線住警器10でインターホン呼出しのイベント信号を受信したら、連動テーブルに連動先として登録されている例えば無線ユニット14付きの住警器12にイベント信号を中継し、住警器12を設置している台所などに呼出音を出すことができる。
【0077】
更に、異常監視部72は、火災警報または注意警報の警報音の出力中に操作部52に設けている警報停止スイッチ70の操作を検出したとき、スピーカ66から出力している警報音を停止させると共に、警報停止のイベント信号を無線回路部42の送信回路54から他の機器に送信し、他の機器における連動先の警報音も停止させる。
【0078】
図6は図2の無線住警器10に設けたCPU40による異常監視処理を示したフローチャートである。図6において、無線住警器10の電源を投入すると、ステップS1においてハードウェアチェックと初期化処理が実行される。この初期化処理の際に、図3のセンサデータテーブル74と図5の火災しベル判定テーブル76も展開されて使用可能となる。
【0079】
なお、初期化処理で展開したセンサデータテーブル74の検出情報は、火災検出部48の煙濃度データ、温度センサ18及び熱センサ20の温度データ、COセンサ22のCO濃度データについては零データであり、人感センサ24、戸締りセンサ26、ACセンサ28、地震センサ30の検出情報は全てオフとなっている。
【0080】
ステップS2でハードウェアチェックの結果が全て正常であればステップS4に進み、異常の場合はステップS3でエラー終了とする。
【0081】
ステップS4にあっては、イベント発生の有無を判別している。このイベント発生には無線住警器10に設けた火災検出部48からの煙濃度データの定期的な読込イベントと他の機器からイベント信号の受信が含まれる。
【0082】
いまステップS4で無線住警器10の火災検出部48からの煙濃度データの読込イベントが判別されたとすると、ステップS5に進んで火災データであることを判別してステップS6で図3のセンサデータテーブル74の煙濃度データを読込んだデータに更新する。
【0083】
続いてステップS7で自己の火災検出データとして読み込んだ煙濃度データを注意レベルの閾値TH1及び火災レベルの閾値TH2と比較し、正常レベル、注意レベル又は火災レベルのいずれに該当するかを判別する。
【0084】
続いてステップS8でセンサデータテーブル74の他センサとして例えば温度センサ18の温度データを読み出し、注意レベルの閾値TH1及び火災レベルの閾値TH2と比較し、正常レベル、注意レベル又は火災レベルのいずれに該当するかを判別する。
【0085】
続いてステップS9に進み、ステップS8で判定した自己の火災検出に対する判断レベルと、ステップS9で判定した他センサに対する判断レベルにより図5の火災レベル判定テーブル76を参照し、警報内容を決定する。
【0086】
続いてステップS10で警報内容が「警報なし」以外の場合には、ステップS11に進み、決定した警報内容である注意警報又は火災警報に従って報知部50のスピーカ66から警報音を出力すると同時にLED68を駆動する。
【0087】
続いてステップS12で他の機器に対し警報内容を示すイベント信号を送信し、例えば無線ユニット14付きの住警器12、ガス漏れ警報器16、コントローラ32,及び屋内警報出力装置38から注意警報又は火災警報の連動警報音の出力と警報表示を行わせる。
【0088】
次にステップS13で人感センサ24のデータから在宅を判別した場合は、ステップS14で警報停止操作の有無をチェックし、更に、ステップS15で所定時間を経過するまで警報停止操作が行われなかった場合には、在宅者では対応でない事態と判断し、ステップ16に進んで屋外警報出力装置36に注意警報又は火災警報を示すイベント信号を送信して屋外に警報を出力させる。
【0089】
一方、ステップS15で所定時間を越える前にステップS14で警報停止操作が判別されると、ステップS18進んで警報停止とする。この警報停止には、無線住警器10自身の警報停止と、警報停止のイベント信号を他の機器に送信して連動警報を停止させる処理も含まれる。警報停止が済むと再びステップS4に戻り、次のイベント発生を待つ。また、ステップS17で警報停止を判別した場合もステップS18で同様に警報を停止する。
【0090】
一方、ステップS5で他の機器からのイベント信号に含まれるイベント符号が例えば火災検出のレベル判断に使用する火災データ、例えば温度センサ18からの温度データでなかった場合は、ステップS19に進んで他の異常検出か否かチェックし、他の異常検出であって場合は、ステップS20でセンサデータテーブル74を受信したセンサデータで更新した後にステップS21でイベント内容から警報内容を決定し、ステップS11〜S18の火災に関する警報の場合と同じ処理を実行する。ここで、既に注意警報や火災警報が出されている場合は、他の機器の異常検出による警報は出力せず、火災警報を優先とする。
【0091】
他の機器の異常検出に基づく警報としては、例えば、リモコン32の操作によりコントローラ32に防犯モードをセットした状態で人感センサ24から侵入者を示すイベント信号を受信した場合、コントローラ32で盗難警報が出された後、侵入者検知を示すイベント信号がコントローラ32から送信されて無線住警器10で連動警報が行われ、更に、不在であることから屋外警報出力装置36から屋外に盗難警報が出されることになる。
【0092】
なお、上記の実施形態は、無線住警器10の火災検出の判断レベルと、他の機器である温度センサ18の火災検出の判断レベルを組み合わせて複合的に警報内容を決定しているが、熱センサ20やCOセンサ22による火災検出の判断レベルとの組合せにより複合的に警報内容を決定しても良い。
【0093】
また、本発明の無線住警器と連携する他の機器としては上記の実施形態に示した機器以外の住宅に設置される適宜の機器を含むものである。
【0094】
また、住宅用に限らず、ビルやオフィス用などの各種の用途の警報器にも適用できる。
【0095】
また、上記の実施形態は警報器にセンサ部を一体に設けた場合を例に取るものであったが、他の実施形態として警報器からセンサ部を別体として設けた警報器であっても良い。
【0096】
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の住警器と他の機器が設置された住宅を示した説明図
【図2】本発明による住警器の実施形態を他の機器と共に示したブロック図
【図3】図2の実施形態で使用するセンサデータテーブルを示した説明図
【図4】本実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示した説明図
【図5】図2の実施形態で使用する火災レベル判定テーブルを示した説明図
【図6】図2の実施形態による異常監視処理を示したフローチャート
【符号の説明】
【0098】
10:無線住警器
12:住警器
14:無線ユニット
16: ガス漏れ警報器
18: 温度センサ
20: 熱センサ
22:COセンサ
24:人感センサ
26:戸締りセンサ
28:ACセンサ
30:地震センサ
32:コントローラ
34:インターホン戸外器
36:屋外警報出力装置
38:屋内警報出力装置
40:CPU
42:無線回路部
44:アンテナ
46:記憶回路部
48:火災検出部
50:報知部
52: 操作部
54: 送信回路
56: 受信回路
58:メモリ
60:送信元符号
62:グループ符号
64::検煙部
66:スピーカ
68:LED
70:警報停止スイッチ
72:異常監視部
74:センサデータテーブル
76:火災レベル判定テーブル
78:イベント信号
80:イベント符号
82:センサデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の機器との間で所定のイベント信号を送受信する送受信回路部と、
警報器本体と別体又は一体に設けられ、異常を検出する異常検出部と、
警報を出力する報知部と、
前記異常検出部の異常検出信号と前記他の機器から受信した異常イベント信号に応じた警報を前記報知部及び他の機器から出力させる異常監視部と、
を備えたことを特徴とする警報器。
【請求項2】
請求項1記載の警報器に於いて、前記他の機器は、
異常を検出してイベント信号を送信するセンサと、
警報を示すイベント信号を受信して警報を出力する警報出力機器と、
異常を検出してイベント信号を送信すると共に警報を示すイベント信号を受信して警報を出力するセンサ付き警報出力機器と、
を含むことを特徴とする警報器。
【請求項3】
請求項2記載の警報器に於いて、前記異常監視部は、前記異常検出部の火災検出信号と熱センサ、COセンサ又は温度センサを含む前記他の機器から受信したイベント信号に基づいて火災レベルを判断し、判断した火災レベルに応じた警報を前記報知部及び他の機器から出力させることを特徴とする警報器。
【請求項4】
請求項3記載の警報器に於いて、前記異常監視部は、前記異常検出部の火災検出信号と前記他の機器からのイベント信号の各々につき、正常レベル、注意レベル又は火災レベルのいずれにあるかを判断し、前者と後者の火災レベルの組合せに基づいて警報なし、注意警報又は火災警報を出力させることを特徴する警報器。
【請求項5】
請求項4記載のコントローラ装置に於いて、前記異常監視部は、前記第1端末機器からの火災検出信号の判断レベルと第2端末機器からの信号の組み合わせに基づいて警報制御を行うことを特徴とする警報器
【請求項6】
請求項4記載の警報器に於いて、前記異常監視部は、火災警報を出力した際に、人感センサのイベント信号から不在を判別している場合は、屋内外に設置された外部警報出力装置に警報を示すイベント信号を送信して火災警報を出力させることを特徴とする警報器。
【請求項7】
請求項4記載の警報器に於いて、前記異常監視部は、火災警報を出力した際に、人感センサのイベント信号から在宅を判別している場合は、所定時間以内に警報停止操作が行われないことを判別した時に、屋内外に設置された外部警報出力装置に警報を示すイベント信号を送信して火災警報を出力させることを特徴とする警報器。
【請求項8】
請求項4記載の警報器に於いて、前記異常監視部は、他の機器からのイベント信号として、ガス漏れ警報器からのガス漏れ検出信号、ドアや窓に設置された戸締りセンサからの戸締り検出信号、地震センサからの地震検出信号、ACセンサからの機器使用検出信号又は人感センサからの侵入者検出信号を受信した際に、火災警報が出力されていないことを条件に各検出信号に応じた警報を前記報知部及び他の機器から出力させることを特徴とする警報器。
【請求項9】
請求項4記載の警報器に於いて、更に、警報信号を外部へ移報する移報部を設けたことを特徴とした警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−33518(P2010−33518A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197797(P2008−197797)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】