貫通型積層コンデンサ
【課題】コンデンサ素体と接地用端子電極との密着性を向上させることができる貫通型積層コンデンサを提供すること。
【解決手段】貫通型積層コンデンサC1は、誘電体層10が積層されたコンデンサ素体L1と、接地用内部電極20と、接地用内部電極20よりも積層数が多い信号用内部電極31,32と、接地用内部電極20に接続される接地用端子電極3,4と、信号用内部電極31,32に接続される信号用端子電極1,2と、引き出し電極部20b,20cの幅Aよりも狭い幅B1,B2で接地用端子電極3,4に接続されるダミー電極36〜39とを備えている。ダミー電極36〜39は、誘電体層10の積層方向から見た際に積層方向に隣接するダミー電極36〜39同士が接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cに重なる領域内において互いに重ならないように配置される。
【解決手段】貫通型積層コンデンサC1は、誘電体層10が積層されたコンデンサ素体L1と、接地用内部電極20と、接地用内部電極20よりも積層数が多い信号用内部電極31,32と、接地用内部電極20に接続される接地用端子電極3,4と、信号用内部電極31,32に接続される信号用端子電極1,2と、引き出し電極部20b,20cの幅Aよりも狭い幅B1,B2で接地用端子電極3,4に接続されるダミー電極36〜39とを備えている。ダミー電極36〜39は、誘電体層10の積層方向から見た際に積層方向に隣接するダミー電極36〜39同士が接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cに重なる領域内において互いに重ならないように配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通型積層コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
貫通型積層コンデンサとして、誘電体層と信号用内部電極及び接地用内部電極とが交互に積層されたコンデンサ素体と、当該コンデンサ素体に形成された信号用端子電極及び接地用端子電極とを備えたものが知られている。ところで、このような一般的な貫通型積層コンデンサでは、直流抵抗が大きくなるとコンデンサから発生する熱が大きくなってしまう場合があるため、信号用内部電極の積層数を多くすることで直流抵抗を抑えるといった貫通型積層コンデンサが例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−218363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような貫通型積層コンデンサでは、直流抵抗を抑えるために、接地用内部電極の積層数を信号用内部電極の積層数よりも少なくするといった構成を採用していることから、その接地用内部電極に接続される接地用端子電極とコンデンサ素体との密着性を更に向上させることが望まれていた。
【0005】
本発明は、接地用内部電極の積層数が少ない場合であっても、コンデンサ素体と接地用端子電極との密着性を向上させることができる貫通型積層コンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る貫通型積層コンデンサは、複数の誘電体層が積層されたコンデンサ素体と、コンデンサ素体内に配置され且つ主電極部と当該主電極部からコンデンサ素体の外表面に引き出されるように伸びる引き出し電極部とを有する接地用内部電極と、コンデンサ素体内に配置され且つ接地用内部電極の積層数よりも多い積層数となるように積層された複数の信号用内部電極と、コンデンサ素体の外表面に配置され且つ接地用内部電極の引き出し電極部に接続される接地用端子電極と、コンデンサ素体の外表面に配置され且つ複数の信号用内部電極の両端それぞれに接続される第1及び第2の信号用端子電極と、コンデンサ素体内に配置され且つ接地用内部電極の引き出し電極部の幅よりも狭い幅で接地用端子電極に接続される少なくとも2つのダミー電極とを備えている。この貫通型積層コンデンサでは、ダミー電極は、誘電体層の積層方向から見た際に当該積層方向に隣接するダミー電極同士が接地用内部電極の引き出し電極部に重なる領域内において互いに重ならない位置となるように積層方向の異なる位置に配置されている。
【0007】
本発明に係る貫通型積層コンデンサでは、信号用内部電極の積層数が接地用内部電極の積層数よりも多い構成となっており、しかも、接地用端子電極に接続されるダミー電極が少なくとも2つ備えられている。この場合、信号用内部電極の積層数が多いことにより直流抵抗が抑えられ、ダミー電極をあえて設けたことによりコンデンサ素体と接地用端子電極との密着性が向上するようになっている。つまり、本発明に係る貫通型積層コンデンサによれば、接地用端子電極に接続される接地用内部電極の積層数が少ない場合であっても、コンデンサ素体と接地用端子電極との密着性を向上させることができる。
【0008】
しかも、上記の貫通型積層コンデンサでは、ダミー電極の電極幅が、接地用内部電極の引き出し電極部の幅よりも狭くなっている。このため、ダミー電極と信号用内部電極とが面内方向において対向するような場合であっても、それらの対向面積がそれほど大きくならずにすむため、浮遊容量の発生による容量バラツキを低減することができる。
【0009】
更に、上記の貫通型積層コンデンサでは、誘電体層の積層方向から見た際に当該積層方向に隣接するダミー電極同士が接地用内部電極の引き出し電極部に重なる領域内において互いに重ならない位置となるように、ダミー電極が積層方向の異なる位置に配置されている。この場合、ダミー電極を設けることによって発生しかねない不要な段差の発生を抑制することができる。
【0010】
上記の貫通型積層コンデンサにおいて、ダミー電極それぞれは、複数の信号用内部電極の内の何れかの信号用内部電極と同じ誘電体層上に配置されることが好ましい。この場合、コンデンサ全体の積層数を増やすことなく、信号用内部電極とダミー電極との積層数を増やすことができるため、直流抵抗を抑制しつつ、コンデンサ素体と接地用端子電極との密着性を向上させることができる。
【0011】
上記の貫通型積層コンデンサにおいて、ダミー電極は、接地用内部電極の積層数よりも多い積層数となるように積層されていることが好ましい。この場合、静電容量及び直流抵抗を抑制しつつ、コンデンサ素体と接地用端子電極との密着性を向上させることができる。
【0012】
上記の貫通型積層コンデンサにおいて、接地用内部電極の引き出し電極部に重なる領域において互いに重ならないように配置されたダミー電極の幅の合計が、接地用内部電極の引き出し電極部の幅と略同等となることが好ましい。この場合、不要な段差を発生させることなく、コンデンサ素体と接地用端子電極との密着性を向上させることができる。
【0013】
上記の貫通型積層コンデンサにおいて、接地用端子電極は、第1及び第2の接地用端子電極を含んで構成され、ダミー電極は、同一面内において第1及び第2の接地用端子電極それぞれに接続される一対のダミー電極を含んで構成されることが好ましい。この場合、積層数を増やすことなく、コンデンサ素体と、対である第1及び第2の接地用端子電極それぞれとの密着性を向上させることができる。
【0014】
上記の貫通型積層コンデンサにおいて、一対のダミー電極は、第1及び第2の接地用端子電極の対向方向に対向していないことが好ましい。この場合、複数の信号用内部電極を単一のグリーンシートから製造する際にその製造効率を向上させることができ、また、各ダミー電極の配置精度を向上させることができる。
【0015】
上記の貫通型積層コンデンサにおいて、ダミー電極は、複数の信号用内部電極のうち静電容量の形成に寄与しない略全ての信号用内部電極と同一面内に形成されていることが好ましい。この場合、コンデンサ素体の側面において、電極が露出しない領域を極力減らすことができ、これにより、電極が露出する領域と露出しない領域との偏りが減り、コンデンサ素体と接地用端子電極との密着性を一層向上させることができる。また、ダミー電極は、静電容量の形成に寄与する信号用内部電極と同一面内に形成されていてもよい。この場合、コンデンサ素体と接地用端子電極との密着性を更に向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、接地用内部電極の積層数が少ない場合であっても、コンデンサ素体と接地用端子電極との密着性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサの斜視図である。
【図2】図1に示した貫通型積層コンデンサのII−II線断面図である。
【図3】図1に示した貫通型積層コンデンサのIII−III線断面図である。
【図4】図1に示した貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。
【図5】図1に示した貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体を第3の側面側から見た側面図である。
【図6】図1に示した貫通型積層コンデンサに含まれる接地用内部電極を示す平面図である。
【図7】図1に示した貫通型積層コンデンサに含まれる信号用内部電極とダミー電極を示す平面図である。
【図8】第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体を第3の側面側から見た側面図である。
【図9】第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれる信号用内部電極とダミー電極を示す平面図である。
【図10】第3実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体を第3の側面側から見た側面図である。
【図11】第3実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれる信号用内部電極とダミー電極を示す平面図である。
【図12】第4実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体を第3の側面側から見た側面図である。
【図13】第4実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれる信号用内部電極とダミー電極を示す平面図である。
【図14】第5実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体を第3の側面側から見た側面図である。
【図15】第5実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれる信号用内部電極とダミー電極を示す平面図である。
【図16】第6実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体を第3の側面側から見た側面図である。
【図17】第6実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれる信号用内部電極とダミー電極を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0019】
[第1実施形態]
図1に示すように、本実施形態に係る貫通型積層コンデンサC1は、誘電特性を有するコンデンサ素体L1と、コンデンサ素体L1の外表面に配置される第1及び第2の信号用端子電極1、2と、コンデンサ素体L1の外表面に配置される第1及び第2の接地用端子電極3、4とを備えている。
【0020】
コンデンサ素体L1は、図1に示されるように、直方体形状であり、その外表面として、対向する長方形状の第1及び第2の主面L1a,L1bと、対向する第1及び第2の側面L1c、L1dと、対向する第3及び第4の側面L1e,L1fとを有する。第1及び第2の側面L1c,L1dは、第1及び第2の主面間を連結するように第1及び第2の主面L1a,L1bの短辺方向に伸びている。第3及び第4の側面L1e,L1fは、第1及び第2の主面間を連結するように第1及び第2の主面L1a,L1bの長辺方向に伸びている。
【0021】
第1の信号用端子電極1は、コンデンサ素体L1の第1の側面L1cに配置されている。第1の信号用端子電極1は、第1の側面L1c全面を覆うように、第1及び第2の主面L1a,L1b並びに第3及び第4の側面L1e,L1fの端部(第1の側面L1c側の端部)に亘って形成されている。第2の信号用端子電極2は、コンデンサ素体L1の第2の側面L1dに配置されている。第2の信号用端子電極2は、第2の側面L1d全面を覆うように、第1及び第2の主面L1a,L1b並びに第3及び第4の側面L1e,L1fの端部(第2の側面L1d側の端部)に亘って形成されている。第1及び第2の信号用端子電極1,2は、第1及び第2の側面L1c,L1dの対向方向に対向している。
【0022】
第1の接地用端子電極3は、コンデンサ素体L1の第3の側面L1eに配置されている。第1の接地用端子電極3は、第3の側面L1eの第1及び第2の側面L1c,L1dの対向方向の略中央を、第1及び第2の主面L1a,L1bの対向方向に沿って横断するように覆っている。第1の接地用端子電極3は、さらに第1及び第2の主面L1a,L1bの第3の側面L1e側の端部の一部も覆っている。
【0023】
第2の接地用端子電極4は、コンデンサ素体L1の第4の側面L1fに配置されている。第2の接地用端子電極4は、第4の側面L1fの第1及び第2の側面L1c,L1dの対向方向の略中央を、第1及び第2の主面L1a、L1bの対向方向に沿って横断するように覆っている。第2の接地用端子電極4は、さらに第1及び第2の主面L1a,L1bの第4の側面L1f側の端部の一部も覆っている。第1及び第2の接地用端子電極3,4は、第3及び第4の側面L1e,L1fの対向方向に対向している。
【0024】
第1及び第2の信号用端子電極1,2と第1及び第2の接地用端子電極3,4とは、例えば導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電性ペーストをコンデンサ素体の外表面に付与し、焼き付けることによって形成される。必要に応じて、焼き付けられた端子電極の上にめっき層が形成されることもある。信号用端子電極1,2及び接地用端子電極3,4は、コンデンサ素体L1の表面上においては互いに電気的に絶縁されて形成されている。
【0025】
なお、貫通型積層コンデンサC1では、第1の主面L1a又は第2の主面L1bを、他の部品(例えば、回路基板や電子部品等)に対する実装面として回路基板等に実装することが好ましい。例えば、コンデンサ素体L1の第2の主面L1bが回路基板と対向するように貫通型積層コンデンサC1を実装する場合、第1及び第2の信号用端子電極1,2を、基板上に形成され信号配線に接続されたランド電極に接続し、第3及び第4の接地用端子電極3,4を、基板上に形成されグランド配線に接続されたグランド電極に接続する。
【0026】
コンデンサ素体L1は、図2〜図4に示されるように、第1及び第2の主面L1a,L1bの対向方向に複数(本実施形態では例えば18層)の誘電体層10が積層されて構成されている。各誘電体層10は、例えば誘電体セラミック(BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、又は(Ba,Ca)TiO3系等の誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際のコンデンサ素体L1では、各誘電体層10の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0027】
また、コンデンサ素体L1の内部には、誘電体層10上に形成される接地用内部電極20と、別の誘電体層10上にそれぞれが形成される第1,第2及び第3の信号用内部電極30〜32と、第2の信号用内部電極31と同じ誘電体層10上に形成される第1のダミー電極36,37と、第3の信号用内部電極32と同じ誘電体層10上に形成される第2のダミー電極38,39とが配置されている。即ち、貫通型積層コンデンサC1は、接地用内部電極20と複数の信号用内部電極30〜32と少なくとも2つ以上のダミー電極とを更に備えている。接地用内部電極20と信号用内部電極30〜32とダミー電極36〜39とは、例えば導電性ペーストの焼結体から構成される。
【0028】
接地用内部電極20は、第1及び第2の主面L1a,L1bの対向方向における上方及び下方にそれぞれ2層ずつ配置され且つその間に1層の第1の信号用内部電極30が位置するように積層されている。上方及び下方それぞれに位置する2層の接地用内部電極20と1層の第1の信号用内部電極30とが誘電体層10を介して対向配置されることにより、静電容量部12,14が形成される。静電容量部12,14が、貫通型積層コンデンサC1の静電容量の形成に主として寄与する。なお、信号用内部電極30との同一面上にはダミー電極36〜39は形成されていない。
【0029】
一方、第2の信号用内部電極31及び第1のダミー電極36,37と、第3の信号用内部電極32及び第2のダミー電極38,39とは、第1及び第2の主面L1a,L1bの対向方向において、静電容量部12,14の間に位置するように、それぞれが交互に積層される。信号用内部電極31,32及びダミー電極36〜39の積層数(例えば合計で11層)は、接地用内部電極20の積層数(例えば4層)よりも多くなっている。
【0030】
図4及び図6に示されるように、各接地用内部電極20は、接地用主電極部20aと、第1及び第2の接地用引き出し電極部20b,20cとを有する。第1の接地用引き出し電極部20bは、接地用主電極部20aからコンデンサ素体L1の第3の側面L1eに引き出されるように伸びる。第2の接地用引き出し電極部20cは、接地用主電極部20aからコンデンサ素体L1の第4の側面L1fに引き出されるように伸びる。接地用主電極部20aと、第1及び第2の接地用引き出し電極部20b,20cとは、一体的に形成されている。
【0031】
接地用主電極部20aは、第1及び第2の側面L1c、L1dの対向方向を長辺方向とし、第3及び第4の側面L1e、L1fの対向方向を短辺方向とする矩形形状を呈する。第1の接地用引き出し電極部20bは、接地用主電極部20aの第3の側面L1e側の端部である長辺の略中央から第3の側面L1eまで幅Aで伸びている。幅Aは、第1及び第2の側面L1c,L1dの対向方向における幅であり、接地用主電極部20aの長辺よりも小さい幅となっている。第1の接地用引き出し電極部20bは、その端が第3の側面L1eに露出し、当該露出した端部で第1の接地用端子電極3に接続される(図5参照)。
【0032】
第2の接地用引き出し電極部20cは、接地用主電極部20aの第4の側面L1f側の端部である長辺の略中央から第4の側面L1fまで幅Aで伸びている。第2の接地用引き出し電極部20cは、その端が第4の側面L1fに露出し、当該露出した端部で第2の接地用端子電極4に接続される。なお、本実施形態では、第1及び第2の接地用引き出し電極部20b,20cの幅が同等となっているが両方の幅が異なっていてもよい。
【0033】
第1の接地用端子電極3は、第1の接地用引き出し電極部20bの第3の側面L1eに露出した部分をすべて覆うように形成されており、第1の接地用引き出し電極部20bは、第1の接地用端子電極3に物理的且つ電気的に接続される。これにより、接地用内部電極20は、第1の接地用端子電極3に接続されることとなる。
【0034】
第2の接地用端子電極4は、第2の接地用引き出し電極部20cの第4の側面L1fに露出した部分をすべて覆うように形成されており、第2の接地用引き出し電極部20cは、第2の接地用端子電極4に物理的且つ電気的に接続される。これにより、接地用内部電極20は、第2の接地用端子電極4に接続されることとなる。
【0035】
図4及び図7に示されるように、各信号用内部電極30〜32は、信号用主電極部30a〜32aと、第1及び第2の信号用引き出し電極部30b〜32b,30c〜32cとを有する。第1の信号用引き出し電極部30b〜32bは、信号用主電極部30a〜32aからコンデンサ素体L1の第1の側面L1cに引き出されるように伸びる。第2の信号用引き出し電極部30c〜32cは、信号用主電極部30a〜32aからコンデンサ素体L1の第2の側面L1dに引き出されるように伸びる。信号用主電極部30a〜32aと、第1及び第2の信号用引き出し電極部30b〜32b,30c〜32cとは、それぞれが一体的に形成されている。
【0036】
信号用主電極部30a〜32aは、第1及び第2の側面L1c、L1dの対向方向を長辺方向とし、第3及び第4の側面L1e、L1fの対向方向を短辺方向とする矩形形状を呈する。第1の信号用引き出し電極部30b〜32bは、信号用主電極部30a〜32aの第1の側面L1c側の端部から主電極部と同じ幅で第1の側面L1cまで伸びている。第1の信号用引き出し電極部30b〜32bは、その端が第1の側面L1cに露出し、当該露出した端部で第1の信号用端子電極1に接続される。
【0037】
第2の信号用引き出し電極部30c〜32cは、信号用主電極部30a〜32aの第2の側面L1d側の端部から主電極部と同じ幅で第2の側面L1dまで伸びている。第2の信号用引き出し電極部30c〜32cは、その端が第2の側面L1dに露出し、当該露出した端部で第2の信号用端子電極2に接続される。
【0038】
第1の信号用端子電極1は、第1の信号用引き出し電極部30b〜32bの第1の側面L1cに露出した部分をすべて覆うように形成されており、第1の信号用引き出し電極部30b〜32bは、第1の信号用端子電極1に物理的且つ電気的に接続される。これにより、信号用内部電極30〜32は、第1の信号用端子電極1に接続されることとなる。
【0039】
第2の信号用端子電極2は、第2の信号用引き出し電極部30c〜32cの第2の側面L1dに露出した部分をすべて覆うように形成されており、第2の信号用引き出し電極部30c〜32cは、第2の信号用端子電極2に物理的且つ電気的に接続される。これにより、信号用内部電極30〜32は、第2の信号用端子電極2に接続されることとなる。
【0040】
図4及び図7に示されるように、第1のダミー電極36,37は、それぞれが矩形形状を呈し、第2の信号用内部電極31が形成された誘電体層10と同じ層上において第3の側面L1e側又は第4の側面L1f側に位置するように、信号用内部電極31と離間して形成される。第1のダミー電極36,37は、第1及び第2の側面L1c,L1dの対向方向における幅がそれぞれ幅B1となっており、この幅B1は、接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cの幅Aの略半分の狭い幅である。第1のダミー電極36,37は、第1及び第2の側面L1c,L1dの対向方向における第1の側面L1c側の辺が、積層方向から見た際に、接地用内部電極20の接地用引き出し電極部20b,20cの第1の側面L1c側の辺と略重なるように形成されている。
【0041】
第2のダミー電極38,39は、それぞれが矩形形状を呈し、第3の信号用内部電極32が形成された誘電体層10と同じ層上において第3の側面L1e側又は第4の側面L1f側に位置するように、信号用内部電極32と離間して形成される。第2のダミー電極38,39は、第1及び第2の側面L1c,L1dの対向方向における幅がそれぞれ幅B2となっており、この幅B2は、幅B1と同様、接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cの幅Aの略半分の狭い幅である。
【0042】
第2のダミー電極38,39は、第1及び第2の側面L1c,L1dの対向方向における第2の側面L1d側の辺が、誘電体層10の積層方向から見た際に、接地用内部電極20の接地用引き出し電極部20b,20cの第2の側面L1d側の辺と略重なるように形成されている。
【0043】
このような構成により、第1及び第2のダミー電極36〜39は、誘電体層10の積層方向から見た際に、積層方向に隣接する第1及び第2のダミー電極36〜39が接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cに重なる領域内において互いに重ならない位置となる。このように配置されることにより、図5に示されるように、第3及び第4の側面L1e,L1fにおいて、第1及び第2の接地用端子電極3,4が配置される領域に、接地用内部電極20の接地用引き出し電極部20b,20cの端部だけでなく、第1及び第2のダミー電極36〜39の端部が露出するようになる。
【0044】
第1の接地用端子電極3は、第1及び第2のダミー電極の一方36,38の第3の側面L1eに露出した部分をすべて覆うようにも形成されており、第1及び第2のダミー電極36,38は、第1の接地用引き出し電極部20bと共に、第1の接地用端子電極3に物理的且つ電気的に接続される。
【0045】
第2の接地用端子電極4は、第1及び第2のダミー電極の他方37,39の第4の側面L1fに露出した部分をすべて覆うようにも形成されており、第1及び第2のダミー電極37,39は、第2の接地用引き出し電極部20cと共に、第2の接地用端子電極4に物理的且つ電気的に接続される。これにより、第1及び第2のダミー電極36〜39は、第1及び第2の接地用端子電極3,4に接続されることとなる。
【0046】
以上のように、本実施形態に係る貫通型積層コンデンサC1では、第2及び第3の信号用内部電極31,32の積層数が接地用内部電極20の積層数よりも多い構成となっており、しかも、接地用端子電極3,4に接続される第1及び第2ダミー電極36〜39が備えられている。このように第2及び第3の信号用内部電極31,32の積層数が多いことにより貫通型積層コンデンサC1における直流抵抗が抑えられ、また、第1及び第2のダミー電極36〜39をあえて設けたことにより、これらの電極を内在するコンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができるようになっている。つまり、貫通型積層コンデンサC1によれば、第1及び第2の接地用端子電極3,4に接続される接地用内部電極20の積層数が少ない場合であっても、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができる。
【0047】
しかも、貫通型積層コンデンサC1では、第1及び第2のダミー電極36〜39の電極幅B1又はB2が、接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cの幅の半分程度と狭くなっている。このため、第1及び第2のダミー電極36〜39と第2及び第3の信号用内部電極31,32とが同一の面内方向(横方向)において対向しても、それらの対向面積がそれほど大きくならずにすむため、浮遊容量の発生による容量バラツキを低減することができる。また、ダミー電極36〜39の幅が狭くなっているので、めっき液がコンデンサ素体L1内に侵入することを抑制することもできる。
【0048】
更に、貫通型積層コンデンサC1では、誘電体層10の積層方向から見た際に当該積層方向に隣接する第1及び第2のダミー電極36〜39同士が接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cに重なる領域内において互いに重ならない位置となるように、第1及び第2のダミー電極36〜39が配置されている。この場合、ダミー電極を設けることによって発生しかねない不要な段差の発生を抑制することができる。
【0049】
また、上述した貫通型積層コンデンサC1では、第1及び第2のダミー電極36〜39それぞれは、第2及び第3の信号用内部電極31,32と同じ誘電体層10上に配置されている。このため、コンデンサC1全体の積層数を増やすことなく、第2及び第3の信号用内部電極31,32と第1及び第2のダミー電極36〜39との積層数を増やすことができる。従って、貫通型積層コンデンサC1によれば、直流抵抗を抑制しつつ、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を一層向上させることができる。
【0050】
また、上述した貫通型積層コンデンサC1では、第1及び第2ダミー電極36〜39は、接地用内部電極20の積層数よりも多い積層数となるように積層されている。このため、静電容量及び直流抵抗を抑制しつつ、コンデンサ素体L1と接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができる。
【0051】
また、上述した貫通型積層コンデンサC1では、接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cに重なる領域において互いに重ならないように配置された第1及び第2のダミー電極36〜39の幅B1,B2の合計が、接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cの幅Aと略同等となっている。このため、不要な段差を発生させることなく、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができる。
【0052】
また、上述した貫通型積層コンデンサC1では、第1及び第2のダミー電極36〜39は、同一面内において第1及び第2の接地用端子電極3,4それぞれに接続される一対のダミー電極から構成されている。このため、積層数を増やすことなく、コンデンサ素体L1と、両接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができる。
【0053】
また、上述した貫通型積層コンデンサC1では、第1及び第2のダミー電極36〜39は、第2及び第3の信号用内部電極31,32のうち、静電容量の形成に寄与しない全ての信号用内部電極と同一となる誘電体層10全ての上に形成されている。また、図4に示されるように、第1のダミー電極36,37は、静電容量の形成に寄与する第2の信号用内部電極31と同一となる誘電体層10の上にも形成されている。このため、コンデンサ素体L1の第3及び第4の側面L1e,L1fにおいて、図5に示すように、電極が露出しない領域を極力減らすことができ、これにより、コンデンサ素体L1と接地用端子電極3,4との密着性を一層向上させることができる。
【0054】
[第2実施形態]
次に、図8及び図9に基づいて、第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサの構成について説明する。第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサC2は、コンデンサ素体L1内に配置されるダミー電極の構成及び配置が第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサC1と異なっている。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0055】
貫通型積層コンデンサC2は、第1実施形態と同様に、コンデンサ素体L1と、第1及び第2の信号用端子電極1,2と、第1及び第2の接地用端子電極3,4とを備えている(図1参照)。図8及び図9に示されるように、貫通型積層コンデンサC2に含まれるコンデンサ素体L1の内部には、誘電体層10上に形成される接地用内部電極20と、別の誘電体層10上にそれぞれが形成される第1,第2,第3及び第4の信号用内部電極30〜33と、第2の信号用内部電極31と同じ誘電体層10上に形成される第1のダミー電極40,41と、第3の信号用内部電極32と同じ誘電体層10上に形成される第2のダミー電極42,43と、第4の信号用内部電極33と同じ誘電体層10上に形成される第3のダミー電極44,45とが配置されている。第4の信号用内部電極33の構成は、他の信号用内部電極30〜32と同様である。
【0056】
第1〜第3のダミー電極40〜45は、第1実施形態と同様、それぞれが矩形形状を呈し、各信号用内部電極31〜33が形成された誘電体層10と同じ層上において第3の側面L1e側又は第4の側面L1f側に位置するように、信号用内部電極31〜33と離間して形成される。但し、本実施形態では、各ダミー電極40〜45の幅が、接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cの幅Aの1/3程度となっており、この点が第1実施形態と相違する。そして、第1〜第3のダミー電極40〜45は、誘電体層10の積層方向から見た際に、第1の側面L1cから第2の側面L1dに向かって、第1のダミー電極40,41、第2のダミー電極42,43、及び、第3のダミー電極44,45の順になるように配置されている。また、第1〜第3のダミー電極40〜45は、第1の主面L1aから第2の主面L1bに向かって、第1のダミー電極40,41、第2のダミー電極42,43、第3のダミー電極44,45、第2のダミー電極42,43、第1のダミー電極40,41…の順になるように積層されている。
【0057】
この配置及び積層により、第1のダミー電極40,41は、第1及び第2の側面L1c,L1dの対向方向における第1の側面L1c側の辺が、積層方向から見た際に、接地用内部電極20の接地用引き出し電極部20b,20cの第1の側面L1c側の辺と略重なるようになる。また、第3のダミー電極44,45は、第1及び第2の側面L1c,L1dの対向方向における第2の側面L1d側の辺が、積層方向から見た際に、接地用内部電極20の接地用引き出し電極部20b,20cの第2の側面L1d側の辺と略重なるようになる。なお、積層方向から見た際に、第2のダミー電極42,43は、第1及び第3のダミー電極40,41,44,45の間に位置するようになる。
【0058】
このような構成により、第1〜第3のダミー電極40〜45は、誘電体層10の積層方向から見た際に、積層方向に隣接する第1〜第3のダミー電極40〜45が接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cに重なる領域内において互いに重ならない位置となる。このように配置されることにより、図8に示されるように、第3及び第4の側面L1e,L1fにおいて、第1及び第2の接地用端子電極3,4が配置される領域に、接地用内部電極20の接地用引き出し電極部20b,20cの端部だけでなく、第1〜第3のダミー電極40〜45の端部が露出するようになる。
【0059】
以上のように、本実施形態に係る貫通型積層コンデンサC2では、第2〜第4の信号用内部電極31〜33の積層数が接地用内部電極20の積層数よりも多い構成となっており、しかも、接地用端子電極3,4に接続される第1〜第3のダミー電極40〜45が備えられている。このため、第1実施形態と同様、直流抵抗を抑えることができると共に、第1〜第3のダミー電極40〜45を内在するコンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができるようになっている。つまり、貫通型積層コンデンサC2によれば、第1及び第2の接地用端子電極3,4に接続される接地用内部電極20の積層数が少ない場合であっても、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができる。なお、第1実施形態の他の作用効果も同様に奏することができる。
【0060】
[第3実施形態]
次に、図10及び図11に基づいて、第3実施形態に係る貫通型積層コンデンサの構成について説明する。第3実施形態に係る貫通型積層コンデンサC3は、コンデンサ素体L1内に配置されるダミー電極の積層順序が第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサC2と異なっている。以下、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0061】
貫通型積層コンデンサC3は、第1及び第2実施形態と同様に、コンデンサ素体L1と、第1及び第2の信号用端子電極1,2と、第1及び第2の接地用端子電極3,4とを備えている(図1参照)。図10及び図11に示されるように、貫通型積層コンデンサC3に含まれるコンデンサ素体L1の内部には、誘電体層10上に形成される接地用内部電極20と、別の誘電体層10上にそれぞれが形成される第1,第2,第3及び第4の信号用内部電極30〜33と、第4の信号用内部電極33と同じ誘電体層10上に形成される第1のダミー電極40,41と、第2の信号用内部電極31と同じ誘電体層10上に形成される第2のダミー電極42,43と、第3の信号用内部電極32と同じ誘電体層10上に形成される第3のダミー電極44,45とが配置されている。
【0062】
本実施形態では、第1〜第3のダミー電極40〜45の積層の順が異なっており、第1〜第3のダミー電極40〜45が、第1の主面L1aから第2の主面L1bに向かって、第2のダミー電極42,43、第3のダミー電極44,45、第1のダミー電極40,41、第2のダミー電極42,43、第1のダミー電極40,41、第3のダミー電極44,45…の順になるように積層されている。
【0063】
以上のように、本実施形態に係る貫通型積層コンデンサC3でも、第2実施形態と同様に、直流抵抗を抑えることができると共に、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができるようになっている。つまり、貫通型積層コンデンサC3によれば、第1及び第2の接地用端子電極3,4に接続される接地用内部電極20の積層数が少ない場合であっても、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができる。
【0064】
[第4実施形態]
次に、図12及び図13に基づいて、第4実施形態に係る貫通型積層コンデンサの構成について説明する。第4実施形態に係る貫通型積層コンデンサC4は、コンデンサ素体L1内に配置されるダミー電極の配置及びその変更に伴う積層順序が第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサC2と異なっている。以下、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0065】
貫通型積層コンデンサC4は、第1及び第2実施形態と同様に、コンデンサ素体L1と、第1及び第2の信号用端子電極1,2と、第1及び第2の接地用端子電極3,4とを備えている(図1参照)。図12及び図13に示されるように、貫通型積層コンデンサC4に含まれるコンデンサ素体L1の内部には、誘電体層10上に形成される接地用内部電極20と、別の誘電体層10上にそれぞれが形成される第1,第2及び第3の信号用内部電極30〜32と、第2の信号用内部電極31と同じ誘電体層10上に形成される第1及び第3のダミー電極40,41,44,45と、第3の信号用内部電極32と同じ誘電体層10上に形成される第2のダミー電極42,43とが配置されている。
【0066】
本実施形態では、第1及び第3のダミー電極40,41,44,45が同じ誘電体層10上に形成されている点が第2実施形態と異なっている。このため、本実施形態では、第1〜第3のダミー電極40〜45が、第1の主面L1aから第2の主面L1bに向かって、第1及び第3のダミー電極40,41,44,45、第2のダミー電極42,43、第1及び第3のダミー電極40,41,44,45…の順になるように積層されている。なお、本実施形態では、積層方向から見た際に、第1の側面L1cから第2の側面L1dに向かう第1〜第3のダミー電極40〜45の配置順は同じである。
【0067】
以上のように、本実施形態に係る貫通型積層コンデンサC4でも、第2実施形態等と同様に、直流抵抗を抑えることができると共に、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができるようになっている。つまり、貫通型積層コンデンサC4によれば、第1及び第2の接地用端子電極3,4に接続される接地用内部電極20の積層数が少ない場合であっても、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができる。
【0068】
[第5実施形態]
次に、図14及び図15に基づいて、第5実施形態に係る貫通型積層コンデンサの構成について説明する。第5実施形態に係る貫通型積層コンデンサC5は、コンデンサ素体L1内に配置されるダミー電極の配置が第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサC1と異なっている。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0069】
貫通型積層コンデンサC5は、第1実施形態と同様に、コンデンサ素体L1と、第1及び第2の信号用端子電極1,2と、第1及び第2の接地用端子電極3,4とを備えている(図1参照)。図14及び図15に示されるように、貫通型積層コンデンサC5に含まれるコンデンサ素体L1の内部には、誘電体層10上に形成される接地用内部電極20と、別の誘電体層10上にそれぞれが形成される第1,第2及び第3の信号用内部電極30〜32と、第2の信号用内部電極31と同じ誘電体層10上に形成される第1のダミー電極48,47と、第3の信号用内部電極32と同じ誘電体層10上に形成される第2のダミー電極46,49とが配置されている。
【0070】
第1及び第2のダミー電極46〜49は、第1実施形態におけるダミー電極36〜39それぞれに対応しており、幅や形状、誘電体層10における配置箇所等は同様である。但し、本実施形態では、各ダミー電極46〜49が、同一面上において、第3及び第4の側面L1e,L1fの対向方向において対向しておらず、対向方向における位置がずれている点が第1実施形態と相違する。なお、本実施形態における第1及び第2のダミー電極46〜49は、誘電体層10の積層方向から見た際には、第1実施形態と同様に、積層方向に隣接する第1及び第2のダミー電極46〜49が接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cに重なる領域内において互いに重ならない位置となる。
【0071】
以上のように、本実施形態に係る貫通型積層コンデンサC5でも、第1実施形態等と同様に、直流抵抗を抑えることができると共に、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができるようになっている。つまり、貫通型積層コンデンサC5によれば、第1及び第2の接地用端子電極3,4に接続される接地用内部電極20の積層数が少ない場合であっても、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができる。
【0072】
また、上述した貫通型積層コンデンサC5では、図15に示されるように、第1のダミー電極48と第2のダミー電極49とが1の電極パターンから構成されるように、各信号用内部電極31,32やダミー電極46〜49に対応する電極パターンを単一のグリーンシート上に形成して製造を行うことができる。このようにして製造した場合において、各電極パターンを単一のグリーンシート上に形成した後、第1のダミー電極48と第2のダミー電極49とに対応する1の電極パターンの中心を分割するようにグリーンシートを切断することで各誘電体層10とすることができ、それぞれの誘電体層10におけるダミー電極の配置精度を容易に向上させることが可能となる。そして、このように配置精度を容易に向上させることができるので、その製造効率を向上させることもできる。
【0073】
[第6実施形態]
次に、図16及び図17に基づいて、第6実施形態に係る貫通型積層コンデンサの構成について説明する。第6実施形態に係る貫通型積層コンデンサC6は、コンデンサ素体L1内に配置されるダミー電極の配置が第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサC2と異なっている。以下、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0074】
貫通型積層コンデンサC6は、第2実施形態と同様に、コンデンサ素体L1と、第1及び第2の信号用端子電極1,2と、第1及び第2の接地用端子電極3,4とを備えている(図1参照)。図16及び図17に示されるように、貫通型積層コンデンサC6に含まれるコンデンサ素体L1の内部には、誘電体層10上に形成される接地用内部電極20と、別の誘電体層10上にそれぞれが形成される第1,第2、第3及び第4の信号用内部電極30〜33と、第2の信号用内部電極31と同じ誘電体層10上に形成される第1のダミー電極52,51と、第3の信号用内部電極32と同じ誘電体層10上に形成される第2のダミー電極54,53と、第4の信号用内部電極33と同じ誘電体層10上に形成される第3のダミー電極50,55とが配置されている。
【0075】
第1〜第3のダミー電極50〜55は、第2実施形態におけるダミー電極40〜45それぞれに対応しており、幅や形状、誘電体層10における配置箇所等は同様である。但し、本実施形態では、各ダミー電極50〜55が、同一面上において、第3及び第4の側面L1e,L1fの対向方向において対向しておらず、対向方向における位置がずれている点が第2実施形態と相違する。なお、本実施形態における第1〜第3のダミー電極50〜55は、誘電体層10の積層方向から見た際には、第2実施形態と同様に、積層方向に隣接する第1〜第3のダミー電極50〜55が接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cに重なる領域内において互いに重ならない位置となる。
【0076】
以上のように、本実施形態に係る貫通型積層コンデンサC6でも、第2実施形態等と同様に、直流抵抗を抑えることができると共に、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができるようになっている。つまり、貫通型積層コンデンサC6によれば、第1及び第2の接地用端子電極3,4に接続される接地用内部電極20の積層数が少ない場合であっても、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができる。
【0077】
また、上述した貫通型積層コンデンサC6では、図17に示されるように、ダミー電極52とダミー電極53とが1の電極パターンから構成されるように、また、ダミー電極54とダミー電極55とが1の電極パターンから構成されるように、各信号用内部電極31〜33やダミー電極50〜55に対応する電極パターンを単一のグリーンシート上に形成して製造を行うことができる。このようにして製造した場合において、各電極パターンを単一のグリーンシート上に形成した後、ダミー電極52,53及び54,55に対応するそれぞれ1の電極パターンの中心を分割するようにグリーンシートを切断することで各誘電体層10とすることができ、それぞれの誘電体層10におけるダミー電極の配置精度を容易に向上させることが可能となる。そして、このように配置精度を容易に向上させることができるので、その製造効率を向上させることもできる。
【0078】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、第1及び第2のダミー電極又は第1〜第3のダミー電極を設ける構成としたが、より多くのパターンからならダミー電極を備えるようにしてももちろんよい。また、ダミー電極の配置パターンは上述した各実施形態に限定されるものではなく、他の配置パターンを適宜採用することができる。
【0079】
また、上記実施形態では、信号用内部電極31〜33を合計で11層積層した場合を例示したが、信号用内部電極31〜33をより多く(例えば100層〜200層)積層するようにしてもよく、積層数は特に限定されるものではない。また、接地用内部電極20も同様に、上記実施形態では、合計で4層積層した場合を例示したが、これに限定される訳ではなく、1層でもよく、信号用内部電極の積層数よりも少なければ逆に5層以上であってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1,2…信号用端子電極、3,4…接地用端子電極、10…誘電体層、20…接地用内部電極、20a…接地用主電極部、20b,20c…接地用引き出し電極部、30〜33…信号用内部電極、36〜37,40〜55…ダミー電極、A…接地用引き出し電極部の幅、B1,B2…ダミー電極の幅、C1…貫通型積層コンデンサ、L1…コンデンサ素体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通型積層コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
貫通型積層コンデンサとして、誘電体層と信号用内部電極及び接地用内部電極とが交互に積層されたコンデンサ素体と、当該コンデンサ素体に形成された信号用端子電極及び接地用端子電極とを備えたものが知られている。ところで、このような一般的な貫通型積層コンデンサでは、直流抵抗が大きくなるとコンデンサから発生する熱が大きくなってしまう場合があるため、信号用内部電極の積層数を多くすることで直流抵抗を抑えるといった貫通型積層コンデンサが例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−218363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような貫通型積層コンデンサでは、直流抵抗を抑えるために、接地用内部電極の積層数を信号用内部電極の積層数よりも少なくするといった構成を採用していることから、その接地用内部電極に接続される接地用端子電極とコンデンサ素体との密着性を更に向上させることが望まれていた。
【0005】
本発明は、接地用内部電極の積層数が少ない場合であっても、コンデンサ素体と接地用端子電極との密着性を向上させることができる貫通型積層コンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る貫通型積層コンデンサは、複数の誘電体層が積層されたコンデンサ素体と、コンデンサ素体内に配置され且つ主電極部と当該主電極部からコンデンサ素体の外表面に引き出されるように伸びる引き出し電極部とを有する接地用内部電極と、コンデンサ素体内に配置され且つ接地用内部電極の積層数よりも多い積層数となるように積層された複数の信号用内部電極と、コンデンサ素体の外表面に配置され且つ接地用内部電極の引き出し電極部に接続される接地用端子電極と、コンデンサ素体の外表面に配置され且つ複数の信号用内部電極の両端それぞれに接続される第1及び第2の信号用端子電極と、コンデンサ素体内に配置され且つ接地用内部電極の引き出し電極部の幅よりも狭い幅で接地用端子電極に接続される少なくとも2つのダミー電極とを備えている。この貫通型積層コンデンサでは、ダミー電極は、誘電体層の積層方向から見た際に当該積層方向に隣接するダミー電極同士が接地用内部電極の引き出し電極部に重なる領域内において互いに重ならない位置となるように積層方向の異なる位置に配置されている。
【0007】
本発明に係る貫通型積層コンデンサでは、信号用内部電極の積層数が接地用内部電極の積層数よりも多い構成となっており、しかも、接地用端子電極に接続されるダミー電極が少なくとも2つ備えられている。この場合、信号用内部電極の積層数が多いことにより直流抵抗が抑えられ、ダミー電極をあえて設けたことによりコンデンサ素体と接地用端子電極との密着性が向上するようになっている。つまり、本発明に係る貫通型積層コンデンサによれば、接地用端子電極に接続される接地用内部電極の積層数が少ない場合であっても、コンデンサ素体と接地用端子電極との密着性を向上させることができる。
【0008】
しかも、上記の貫通型積層コンデンサでは、ダミー電極の電極幅が、接地用内部電極の引き出し電極部の幅よりも狭くなっている。このため、ダミー電極と信号用内部電極とが面内方向において対向するような場合であっても、それらの対向面積がそれほど大きくならずにすむため、浮遊容量の発生による容量バラツキを低減することができる。
【0009】
更に、上記の貫通型積層コンデンサでは、誘電体層の積層方向から見た際に当該積層方向に隣接するダミー電極同士が接地用内部電極の引き出し電極部に重なる領域内において互いに重ならない位置となるように、ダミー電極が積層方向の異なる位置に配置されている。この場合、ダミー電極を設けることによって発生しかねない不要な段差の発生を抑制することができる。
【0010】
上記の貫通型積層コンデンサにおいて、ダミー電極それぞれは、複数の信号用内部電極の内の何れかの信号用内部電極と同じ誘電体層上に配置されることが好ましい。この場合、コンデンサ全体の積層数を増やすことなく、信号用内部電極とダミー電極との積層数を増やすことができるため、直流抵抗を抑制しつつ、コンデンサ素体と接地用端子電極との密着性を向上させることができる。
【0011】
上記の貫通型積層コンデンサにおいて、ダミー電極は、接地用内部電極の積層数よりも多い積層数となるように積層されていることが好ましい。この場合、静電容量及び直流抵抗を抑制しつつ、コンデンサ素体と接地用端子電極との密着性を向上させることができる。
【0012】
上記の貫通型積層コンデンサにおいて、接地用内部電極の引き出し電極部に重なる領域において互いに重ならないように配置されたダミー電極の幅の合計が、接地用内部電極の引き出し電極部の幅と略同等となることが好ましい。この場合、不要な段差を発生させることなく、コンデンサ素体と接地用端子電極との密着性を向上させることができる。
【0013】
上記の貫通型積層コンデンサにおいて、接地用端子電極は、第1及び第2の接地用端子電極を含んで構成され、ダミー電極は、同一面内において第1及び第2の接地用端子電極それぞれに接続される一対のダミー電極を含んで構成されることが好ましい。この場合、積層数を増やすことなく、コンデンサ素体と、対である第1及び第2の接地用端子電極それぞれとの密着性を向上させることができる。
【0014】
上記の貫通型積層コンデンサにおいて、一対のダミー電極は、第1及び第2の接地用端子電極の対向方向に対向していないことが好ましい。この場合、複数の信号用内部電極を単一のグリーンシートから製造する際にその製造効率を向上させることができ、また、各ダミー電極の配置精度を向上させることができる。
【0015】
上記の貫通型積層コンデンサにおいて、ダミー電極は、複数の信号用内部電極のうち静電容量の形成に寄与しない略全ての信号用内部電極と同一面内に形成されていることが好ましい。この場合、コンデンサ素体の側面において、電極が露出しない領域を極力減らすことができ、これにより、電極が露出する領域と露出しない領域との偏りが減り、コンデンサ素体と接地用端子電極との密着性を一層向上させることができる。また、ダミー電極は、静電容量の形成に寄与する信号用内部電極と同一面内に形成されていてもよい。この場合、コンデンサ素体と接地用端子電極との密着性を更に向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、接地用内部電極の積層数が少ない場合であっても、コンデンサ素体と接地用端子電極との密着性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサの斜視図である。
【図2】図1に示した貫通型積層コンデンサのII−II線断面図である。
【図3】図1に示した貫通型積層コンデンサのIII−III線断面図である。
【図4】図1に示した貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。
【図5】図1に示した貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体を第3の側面側から見た側面図である。
【図6】図1に示した貫通型積層コンデンサに含まれる接地用内部電極を示す平面図である。
【図7】図1に示した貫通型積層コンデンサに含まれる信号用内部電極とダミー電極を示す平面図である。
【図8】第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体を第3の側面側から見た側面図である。
【図9】第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれる信号用内部電極とダミー電極を示す平面図である。
【図10】第3実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体を第3の側面側から見た側面図である。
【図11】第3実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれる信号用内部電極とダミー電極を示す平面図である。
【図12】第4実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体を第3の側面側から見た側面図である。
【図13】第4実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれる信号用内部電極とダミー電極を示す平面図である。
【図14】第5実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体を第3の側面側から見た側面図である。
【図15】第5実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれる信号用内部電極とダミー電極を示す平面図である。
【図16】第6実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体を第3の側面側から見た側面図である。
【図17】第6実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれる信号用内部電極とダミー電極を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0019】
[第1実施形態]
図1に示すように、本実施形態に係る貫通型積層コンデンサC1は、誘電特性を有するコンデンサ素体L1と、コンデンサ素体L1の外表面に配置される第1及び第2の信号用端子電極1、2と、コンデンサ素体L1の外表面に配置される第1及び第2の接地用端子電極3、4とを備えている。
【0020】
コンデンサ素体L1は、図1に示されるように、直方体形状であり、その外表面として、対向する長方形状の第1及び第2の主面L1a,L1bと、対向する第1及び第2の側面L1c、L1dと、対向する第3及び第4の側面L1e,L1fとを有する。第1及び第2の側面L1c,L1dは、第1及び第2の主面間を連結するように第1及び第2の主面L1a,L1bの短辺方向に伸びている。第3及び第4の側面L1e,L1fは、第1及び第2の主面間を連結するように第1及び第2の主面L1a,L1bの長辺方向に伸びている。
【0021】
第1の信号用端子電極1は、コンデンサ素体L1の第1の側面L1cに配置されている。第1の信号用端子電極1は、第1の側面L1c全面を覆うように、第1及び第2の主面L1a,L1b並びに第3及び第4の側面L1e,L1fの端部(第1の側面L1c側の端部)に亘って形成されている。第2の信号用端子電極2は、コンデンサ素体L1の第2の側面L1dに配置されている。第2の信号用端子電極2は、第2の側面L1d全面を覆うように、第1及び第2の主面L1a,L1b並びに第3及び第4の側面L1e,L1fの端部(第2の側面L1d側の端部)に亘って形成されている。第1及び第2の信号用端子電極1,2は、第1及び第2の側面L1c,L1dの対向方向に対向している。
【0022】
第1の接地用端子電極3は、コンデンサ素体L1の第3の側面L1eに配置されている。第1の接地用端子電極3は、第3の側面L1eの第1及び第2の側面L1c,L1dの対向方向の略中央を、第1及び第2の主面L1a,L1bの対向方向に沿って横断するように覆っている。第1の接地用端子電極3は、さらに第1及び第2の主面L1a,L1bの第3の側面L1e側の端部の一部も覆っている。
【0023】
第2の接地用端子電極4は、コンデンサ素体L1の第4の側面L1fに配置されている。第2の接地用端子電極4は、第4の側面L1fの第1及び第2の側面L1c,L1dの対向方向の略中央を、第1及び第2の主面L1a、L1bの対向方向に沿って横断するように覆っている。第2の接地用端子電極4は、さらに第1及び第2の主面L1a,L1bの第4の側面L1f側の端部の一部も覆っている。第1及び第2の接地用端子電極3,4は、第3及び第4の側面L1e,L1fの対向方向に対向している。
【0024】
第1及び第2の信号用端子電極1,2と第1及び第2の接地用端子電極3,4とは、例えば導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電性ペーストをコンデンサ素体の外表面に付与し、焼き付けることによって形成される。必要に応じて、焼き付けられた端子電極の上にめっき層が形成されることもある。信号用端子電極1,2及び接地用端子電極3,4は、コンデンサ素体L1の表面上においては互いに電気的に絶縁されて形成されている。
【0025】
なお、貫通型積層コンデンサC1では、第1の主面L1a又は第2の主面L1bを、他の部品(例えば、回路基板や電子部品等)に対する実装面として回路基板等に実装することが好ましい。例えば、コンデンサ素体L1の第2の主面L1bが回路基板と対向するように貫通型積層コンデンサC1を実装する場合、第1及び第2の信号用端子電極1,2を、基板上に形成され信号配線に接続されたランド電極に接続し、第3及び第4の接地用端子電極3,4を、基板上に形成されグランド配線に接続されたグランド電極に接続する。
【0026】
コンデンサ素体L1は、図2〜図4に示されるように、第1及び第2の主面L1a,L1bの対向方向に複数(本実施形態では例えば18層)の誘電体層10が積層されて構成されている。各誘電体層10は、例えば誘電体セラミック(BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、又は(Ba,Ca)TiO3系等の誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際のコンデンサ素体L1では、各誘電体層10の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0027】
また、コンデンサ素体L1の内部には、誘電体層10上に形成される接地用内部電極20と、別の誘電体層10上にそれぞれが形成される第1,第2及び第3の信号用内部電極30〜32と、第2の信号用内部電極31と同じ誘電体層10上に形成される第1のダミー電極36,37と、第3の信号用内部電極32と同じ誘電体層10上に形成される第2のダミー電極38,39とが配置されている。即ち、貫通型積層コンデンサC1は、接地用内部電極20と複数の信号用内部電極30〜32と少なくとも2つ以上のダミー電極とを更に備えている。接地用内部電極20と信号用内部電極30〜32とダミー電極36〜39とは、例えば導電性ペーストの焼結体から構成される。
【0028】
接地用内部電極20は、第1及び第2の主面L1a,L1bの対向方向における上方及び下方にそれぞれ2層ずつ配置され且つその間に1層の第1の信号用内部電極30が位置するように積層されている。上方及び下方それぞれに位置する2層の接地用内部電極20と1層の第1の信号用内部電極30とが誘電体層10を介して対向配置されることにより、静電容量部12,14が形成される。静電容量部12,14が、貫通型積層コンデンサC1の静電容量の形成に主として寄与する。なお、信号用内部電極30との同一面上にはダミー電極36〜39は形成されていない。
【0029】
一方、第2の信号用内部電極31及び第1のダミー電極36,37と、第3の信号用内部電極32及び第2のダミー電極38,39とは、第1及び第2の主面L1a,L1bの対向方向において、静電容量部12,14の間に位置するように、それぞれが交互に積層される。信号用内部電極31,32及びダミー電極36〜39の積層数(例えば合計で11層)は、接地用内部電極20の積層数(例えば4層)よりも多くなっている。
【0030】
図4及び図6に示されるように、各接地用内部電極20は、接地用主電極部20aと、第1及び第2の接地用引き出し電極部20b,20cとを有する。第1の接地用引き出し電極部20bは、接地用主電極部20aからコンデンサ素体L1の第3の側面L1eに引き出されるように伸びる。第2の接地用引き出し電極部20cは、接地用主電極部20aからコンデンサ素体L1の第4の側面L1fに引き出されるように伸びる。接地用主電極部20aと、第1及び第2の接地用引き出し電極部20b,20cとは、一体的に形成されている。
【0031】
接地用主電極部20aは、第1及び第2の側面L1c、L1dの対向方向を長辺方向とし、第3及び第4の側面L1e、L1fの対向方向を短辺方向とする矩形形状を呈する。第1の接地用引き出し電極部20bは、接地用主電極部20aの第3の側面L1e側の端部である長辺の略中央から第3の側面L1eまで幅Aで伸びている。幅Aは、第1及び第2の側面L1c,L1dの対向方向における幅であり、接地用主電極部20aの長辺よりも小さい幅となっている。第1の接地用引き出し電極部20bは、その端が第3の側面L1eに露出し、当該露出した端部で第1の接地用端子電極3に接続される(図5参照)。
【0032】
第2の接地用引き出し電極部20cは、接地用主電極部20aの第4の側面L1f側の端部である長辺の略中央から第4の側面L1fまで幅Aで伸びている。第2の接地用引き出し電極部20cは、その端が第4の側面L1fに露出し、当該露出した端部で第2の接地用端子電極4に接続される。なお、本実施形態では、第1及び第2の接地用引き出し電極部20b,20cの幅が同等となっているが両方の幅が異なっていてもよい。
【0033】
第1の接地用端子電極3は、第1の接地用引き出し電極部20bの第3の側面L1eに露出した部分をすべて覆うように形成されており、第1の接地用引き出し電極部20bは、第1の接地用端子電極3に物理的且つ電気的に接続される。これにより、接地用内部電極20は、第1の接地用端子電極3に接続されることとなる。
【0034】
第2の接地用端子電極4は、第2の接地用引き出し電極部20cの第4の側面L1fに露出した部分をすべて覆うように形成されており、第2の接地用引き出し電極部20cは、第2の接地用端子電極4に物理的且つ電気的に接続される。これにより、接地用内部電極20は、第2の接地用端子電極4に接続されることとなる。
【0035】
図4及び図7に示されるように、各信号用内部電極30〜32は、信号用主電極部30a〜32aと、第1及び第2の信号用引き出し電極部30b〜32b,30c〜32cとを有する。第1の信号用引き出し電極部30b〜32bは、信号用主電極部30a〜32aからコンデンサ素体L1の第1の側面L1cに引き出されるように伸びる。第2の信号用引き出し電極部30c〜32cは、信号用主電極部30a〜32aからコンデンサ素体L1の第2の側面L1dに引き出されるように伸びる。信号用主電極部30a〜32aと、第1及び第2の信号用引き出し電極部30b〜32b,30c〜32cとは、それぞれが一体的に形成されている。
【0036】
信号用主電極部30a〜32aは、第1及び第2の側面L1c、L1dの対向方向を長辺方向とし、第3及び第4の側面L1e、L1fの対向方向を短辺方向とする矩形形状を呈する。第1の信号用引き出し電極部30b〜32bは、信号用主電極部30a〜32aの第1の側面L1c側の端部から主電極部と同じ幅で第1の側面L1cまで伸びている。第1の信号用引き出し電極部30b〜32bは、その端が第1の側面L1cに露出し、当該露出した端部で第1の信号用端子電極1に接続される。
【0037】
第2の信号用引き出し電極部30c〜32cは、信号用主電極部30a〜32aの第2の側面L1d側の端部から主電極部と同じ幅で第2の側面L1dまで伸びている。第2の信号用引き出し電極部30c〜32cは、その端が第2の側面L1dに露出し、当該露出した端部で第2の信号用端子電極2に接続される。
【0038】
第1の信号用端子電極1は、第1の信号用引き出し電極部30b〜32bの第1の側面L1cに露出した部分をすべて覆うように形成されており、第1の信号用引き出し電極部30b〜32bは、第1の信号用端子電極1に物理的且つ電気的に接続される。これにより、信号用内部電極30〜32は、第1の信号用端子電極1に接続されることとなる。
【0039】
第2の信号用端子電極2は、第2の信号用引き出し電極部30c〜32cの第2の側面L1dに露出した部分をすべて覆うように形成されており、第2の信号用引き出し電極部30c〜32cは、第2の信号用端子電極2に物理的且つ電気的に接続される。これにより、信号用内部電極30〜32は、第2の信号用端子電極2に接続されることとなる。
【0040】
図4及び図7に示されるように、第1のダミー電極36,37は、それぞれが矩形形状を呈し、第2の信号用内部電極31が形成された誘電体層10と同じ層上において第3の側面L1e側又は第4の側面L1f側に位置するように、信号用内部電極31と離間して形成される。第1のダミー電極36,37は、第1及び第2の側面L1c,L1dの対向方向における幅がそれぞれ幅B1となっており、この幅B1は、接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cの幅Aの略半分の狭い幅である。第1のダミー電極36,37は、第1及び第2の側面L1c,L1dの対向方向における第1の側面L1c側の辺が、積層方向から見た際に、接地用内部電極20の接地用引き出し電極部20b,20cの第1の側面L1c側の辺と略重なるように形成されている。
【0041】
第2のダミー電極38,39は、それぞれが矩形形状を呈し、第3の信号用内部電極32が形成された誘電体層10と同じ層上において第3の側面L1e側又は第4の側面L1f側に位置するように、信号用内部電極32と離間して形成される。第2のダミー電極38,39は、第1及び第2の側面L1c,L1dの対向方向における幅がそれぞれ幅B2となっており、この幅B2は、幅B1と同様、接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cの幅Aの略半分の狭い幅である。
【0042】
第2のダミー電極38,39は、第1及び第2の側面L1c,L1dの対向方向における第2の側面L1d側の辺が、誘電体層10の積層方向から見た際に、接地用内部電極20の接地用引き出し電極部20b,20cの第2の側面L1d側の辺と略重なるように形成されている。
【0043】
このような構成により、第1及び第2のダミー電極36〜39は、誘電体層10の積層方向から見た際に、積層方向に隣接する第1及び第2のダミー電極36〜39が接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cに重なる領域内において互いに重ならない位置となる。このように配置されることにより、図5に示されるように、第3及び第4の側面L1e,L1fにおいて、第1及び第2の接地用端子電極3,4が配置される領域に、接地用内部電極20の接地用引き出し電極部20b,20cの端部だけでなく、第1及び第2のダミー電極36〜39の端部が露出するようになる。
【0044】
第1の接地用端子電極3は、第1及び第2のダミー電極の一方36,38の第3の側面L1eに露出した部分をすべて覆うようにも形成されており、第1及び第2のダミー電極36,38は、第1の接地用引き出し電極部20bと共に、第1の接地用端子電極3に物理的且つ電気的に接続される。
【0045】
第2の接地用端子電極4は、第1及び第2のダミー電極の他方37,39の第4の側面L1fに露出した部分をすべて覆うようにも形成されており、第1及び第2のダミー電極37,39は、第2の接地用引き出し電極部20cと共に、第2の接地用端子電極4に物理的且つ電気的に接続される。これにより、第1及び第2のダミー電極36〜39は、第1及び第2の接地用端子電極3,4に接続されることとなる。
【0046】
以上のように、本実施形態に係る貫通型積層コンデンサC1では、第2及び第3の信号用内部電極31,32の積層数が接地用内部電極20の積層数よりも多い構成となっており、しかも、接地用端子電極3,4に接続される第1及び第2ダミー電極36〜39が備えられている。このように第2及び第3の信号用内部電極31,32の積層数が多いことにより貫通型積層コンデンサC1における直流抵抗が抑えられ、また、第1及び第2のダミー電極36〜39をあえて設けたことにより、これらの電極を内在するコンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができるようになっている。つまり、貫通型積層コンデンサC1によれば、第1及び第2の接地用端子電極3,4に接続される接地用内部電極20の積層数が少ない場合であっても、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができる。
【0047】
しかも、貫通型積層コンデンサC1では、第1及び第2のダミー電極36〜39の電極幅B1又はB2が、接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cの幅の半分程度と狭くなっている。このため、第1及び第2のダミー電極36〜39と第2及び第3の信号用内部電極31,32とが同一の面内方向(横方向)において対向しても、それらの対向面積がそれほど大きくならずにすむため、浮遊容量の発生による容量バラツキを低減することができる。また、ダミー電極36〜39の幅が狭くなっているので、めっき液がコンデンサ素体L1内に侵入することを抑制することもできる。
【0048】
更に、貫通型積層コンデンサC1では、誘電体層10の積層方向から見た際に当該積層方向に隣接する第1及び第2のダミー電極36〜39同士が接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cに重なる領域内において互いに重ならない位置となるように、第1及び第2のダミー電極36〜39が配置されている。この場合、ダミー電極を設けることによって発生しかねない不要な段差の発生を抑制することができる。
【0049】
また、上述した貫通型積層コンデンサC1では、第1及び第2のダミー電極36〜39それぞれは、第2及び第3の信号用内部電極31,32と同じ誘電体層10上に配置されている。このため、コンデンサC1全体の積層数を増やすことなく、第2及び第3の信号用内部電極31,32と第1及び第2のダミー電極36〜39との積層数を増やすことができる。従って、貫通型積層コンデンサC1によれば、直流抵抗を抑制しつつ、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を一層向上させることができる。
【0050】
また、上述した貫通型積層コンデンサC1では、第1及び第2ダミー電極36〜39は、接地用内部電極20の積層数よりも多い積層数となるように積層されている。このため、静電容量及び直流抵抗を抑制しつつ、コンデンサ素体L1と接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができる。
【0051】
また、上述した貫通型積層コンデンサC1では、接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cに重なる領域において互いに重ならないように配置された第1及び第2のダミー電極36〜39の幅B1,B2の合計が、接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cの幅Aと略同等となっている。このため、不要な段差を発生させることなく、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができる。
【0052】
また、上述した貫通型積層コンデンサC1では、第1及び第2のダミー電極36〜39は、同一面内において第1及び第2の接地用端子電極3,4それぞれに接続される一対のダミー電極から構成されている。このため、積層数を増やすことなく、コンデンサ素体L1と、両接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができる。
【0053】
また、上述した貫通型積層コンデンサC1では、第1及び第2のダミー電極36〜39は、第2及び第3の信号用内部電極31,32のうち、静電容量の形成に寄与しない全ての信号用内部電極と同一となる誘電体層10全ての上に形成されている。また、図4に示されるように、第1のダミー電極36,37は、静電容量の形成に寄与する第2の信号用内部電極31と同一となる誘電体層10の上にも形成されている。このため、コンデンサ素体L1の第3及び第4の側面L1e,L1fにおいて、図5に示すように、電極が露出しない領域を極力減らすことができ、これにより、コンデンサ素体L1と接地用端子電極3,4との密着性を一層向上させることができる。
【0054】
[第2実施形態]
次に、図8及び図9に基づいて、第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサの構成について説明する。第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサC2は、コンデンサ素体L1内に配置されるダミー電極の構成及び配置が第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサC1と異なっている。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0055】
貫通型積層コンデンサC2は、第1実施形態と同様に、コンデンサ素体L1と、第1及び第2の信号用端子電極1,2と、第1及び第2の接地用端子電極3,4とを備えている(図1参照)。図8及び図9に示されるように、貫通型積層コンデンサC2に含まれるコンデンサ素体L1の内部には、誘電体層10上に形成される接地用内部電極20と、別の誘電体層10上にそれぞれが形成される第1,第2,第3及び第4の信号用内部電極30〜33と、第2の信号用内部電極31と同じ誘電体層10上に形成される第1のダミー電極40,41と、第3の信号用内部電極32と同じ誘電体層10上に形成される第2のダミー電極42,43と、第4の信号用内部電極33と同じ誘電体層10上に形成される第3のダミー電極44,45とが配置されている。第4の信号用内部電極33の構成は、他の信号用内部電極30〜32と同様である。
【0056】
第1〜第3のダミー電極40〜45は、第1実施形態と同様、それぞれが矩形形状を呈し、各信号用内部電極31〜33が形成された誘電体層10と同じ層上において第3の側面L1e側又は第4の側面L1f側に位置するように、信号用内部電極31〜33と離間して形成される。但し、本実施形態では、各ダミー電極40〜45の幅が、接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cの幅Aの1/3程度となっており、この点が第1実施形態と相違する。そして、第1〜第3のダミー電極40〜45は、誘電体層10の積層方向から見た際に、第1の側面L1cから第2の側面L1dに向かって、第1のダミー電極40,41、第2のダミー電極42,43、及び、第3のダミー電極44,45の順になるように配置されている。また、第1〜第3のダミー電極40〜45は、第1の主面L1aから第2の主面L1bに向かって、第1のダミー電極40,41、第2のダミー電極42,43、第3のダミー電極44,45、第2のダミー電極42,43、第1のダミー電極40,41…の順になるように積層されている。
【0057】
この配置及び積層により、第1のダミー電極40,41は、第1及び第2の側面L1c,L1dの対向方向における第1の側面L1c側の辺が、積層方向から見た際に、接地用内部電極20の接地用引き出し電極部20b,20cの第1の側面L1c側の辺と略重なるようになる。また、第3のダミー電極44,45は、第1及び第2の側面L1c,L1dの対向方向における第2の側面L1d側の辺が、積層方向から見た際に、接地用内部電極20の接地用引き出し電極部20b,20cの第2の側面L1d側の辺と略重なるようになる。なお、積層方向から見た際に、第2のダミー電極42,43は、第1及び第3のダミー電極40,41,44,45の間に位置するようになる。
【0058】
このような構成により、第1〜第3のダミー電極40〜45は、誘電体層10の積層方向から見た際に、積層方向に隣接する第1〜第3のダミー電極40〜45が接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cに重なる領域内において互いに重ならない位置となる。このように配置されることにより、図8に示されるように、第3及び第4の側面L1e,L1fにおいて、第1及び第2の接地用端子電極3,4が配置される領域に、接地用内部電極20の接地用引き出し電極部20b,20cの端部だけでなく、第1〜第3のダミー電極40〜45の端部が露出するようになる。
【0059】
以上のように、本実施形態に係る貫通型積層コンデンサC2では、第2〜第4の信号用内部電極31〜33の積層数が接地用内部電極20の積層数よりも多い構成となっており、しかも、接地用端子電極3,4に接続される第1〜第3のダミー電極40〜45が備えられている。このため、第1実施形態と同様、直流抵抗を抑えることができると共に、第1〜第3のダミー電極40〜45を内在するコンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができるようになっている。つまり、貫通型積層コンデンサC2によれば、第1及び第2の接地用端子電極3,4に接続される接地用内部電極20の積層数が少ない場合であっても、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができる。なお、第1実施形態の他の作用効果も同様に奏することができる。
【0060】
[第3実施形態]
次に、図10及び図11に基づいて、第3実施形態に係る貫通型積層コンデンサの構成について説明する。第3実施形態に係る貫通型積層コンデンサC3は、コンデンサ素体L1内に配置されるダミー電極の積層順序が第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサC2と異なっている。以下、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0061】
貫通型積層コンデンサC3は、第1及び第2実施形態と同様に、コンデンサ素体L1と、第1及び第2の信号用端子電極1,2と、第1及び第2の接地用端子電極3,4とを備えている(図1参照)。図10及び図11に示されるように、貫通型積層コンデンサC3に含まれるコンデンサ素体L1の内部には、誘電体層10上に形成される接地用内部電極20と、別の誘電体層10上にそれぞれが形成される第1,第2,第3及び第4の信号用内部電極30〜33と、第4の信号用内部電極33と同じ誘電体層10上に形成される第1のダミー電極40,41と、第2の信号用内部電極31と同じ誘電体層10上に形成される第2のダミー電極42,43と、第3の信号用内部電極32と同じ誘電体層10上に形成される第3のダミー電極44,45とが配置されている。
【0062】
本実施形態では、第1〜第3のダミー電極40〜45の積層の順が異なっており、第1〜第3のダミー電極40〜45が、第1の主面L1aから第2の主面L1bに向かって、第2のダミー電極42,43、第3のダミー電極44,45、第1のダミー電極40,41、第2のダミー電極42,43、第1のダミー電極40,41、第3のダミー電極44,45…の順になるように積層されている。
【0063】
以上のように、本実施形態に係る貫通型積層コンデンサC3でも、第2実施形態と同様に、直流抵抗を抑えることができると共に、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができるようになっている。つまり、貫通型積層コンデンサC3によれば、第1及び第2の接地用端子電極3,4に接続される接地用内部電極20の積層数が少ない場合であっても、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができる。
【0064】
[第4実施形態]
次に、図12及び図13に基づいて、第4実施形態に係る貫通型積層コンデンサの構成について説明する。第4実施形態に係る貫通型積層コンデンサC4は、コンデンサ素体L1内に配置されるダミー電極の配置及びその変更に伴う積層順序が第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサC2と異なっている。以下、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0065】
貫通型積層コンデンサC4は、第1及び第2実施形態と同様に、コンデンサ素体L1と、第1及び第2の信号用端子電極1,2と、第1及び第2の接地用端子電極3,4とを備えている(図1参照)。図12及び図13に示されるように、貫通型積層コンデンサC4に含まれるコンデンサ素体L1の内部には、誘電体層10上に形成される接地用内部電極20と、別の誘電体層10上にそれぞれが形成される第1,第2及び第3の信号用内部電極30〜32と、第2の信号用内部電極31と同じ誘電体層10上に形成される第1及び第3のダミー電極40,41,44,45と、第3の信号用内部電極32と同じ誘電体層10上に形成される第2のダミー電極42,43とが配置されている。
【0066】
本実施形態では、第1及び第3のダミー電極40,41,44,45が同じ誘電体層10上に形成されている点が第2実施形態と異なっている。このため、本実施形態では、第1〜第3のダミー電極40〜45が、第1の主面L1aから第2の主面L1bに向かって、第1及び第3のダミー電極40,41,44,45、第2のダミー電極42,43、第1及び第3のダミー電極40,41,44,45…の順になるように積層されている。なお、本実施形態では、積層方向から見た際に、第1の側面L1cから第2の側面L1dに向かう第1〜第3のダミー電極40〜45の配置順は同じである。
【0067】
以上のように、本実施形態に係る貫通型積層コンデンサC4でも、第2実施形態等と同様に、直流抵抗を抑えることができると共に、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができるようになっている。つまり、貫通型積層コンデンサC4によれば、第1及び第2の接地用端子電極3,4に接続される接地用内部電極20の積層数が少ない場合であっても、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができる。
【0068】
[第5実施形態]
次に、図14及び図15に基づいて、第5実施形態に係る貫通型積層コンデンサの構成について説明する。第5実施形態に係る貫通型積層コンデンサC5は、コンデンサ素体L1内に配置されるダミー電極の配置が第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサC1と異なっている。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0069】
貫通型積層コンデンサC5は、第1実施形態と同様に、コンデンサ素体L1と、第1及び第2の信号用端子電極1,2と、第1及び第2の接地用端子電極3,4とを備えている(図1参照)。図14及び図15に示されるように、貫通型積層コンデンサC5に含まれるコンデンサ素体L1の内部には、誘電体層10上に形成される接地用内部電極20と、別の誘電体層10上にそれぞれが形成される第1,第2及び第3の信号用内部電極30〜32と、第2の信号用内部電極31と同じ誘電体層10上に形成される第1のダミー電極48,47と、第3の信号用内部電極32と同じ誘電体層10上に形成される第2のダミー電極46,49とが配置されている。
【0070】
第1及び第2のダミー電極46〜49は、第1実施形態におけるダミー電極36〜39それぞれに対応しており、幅や形状、誘電体層10における配置箇所等は同様である。但し、本実施形態では、各ダミー電極46〜49が、同一面上において、第3及び第4の側面L1e,L1fの対向方向において対向しておらず、対向方向における位置がずれている点が第1実施形態と相違する。なお、本実施形態における第1及び第2のダミー電極46〜49は、誘電体層10の積層方向から見た際には、第1実施形態と同様に、積層方向に隣接する第1及び第2のダミー電極46〜49が接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cに重なる領域内において互いに重ならない位置となる。
【0071】
以上のように、本実施形態に係る貫通型積層コンデンサC5でも、第1実施形態等と同様に、直流抵抗を抑えることができると共に、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができるようになっている。つまり、貫通型積層コンデンサC5によれば、第1及び第2の接地用端子電極3,4に接続される接地用内部電極20の積層数が少ない場合であっても、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができる。
【0072】
また、上述した貫通型積層コンデンサC5では、図15に示されるように、第1のダミー電極48と第2のダミー電極49とが1の電極パターンから構成されるように、各信号用内部電極31,32やダミー電極46〜49に対応する電極パターンを単一のグリーンシート上に形成して製造を行うことができる。このようにして製造した場合において、各電極パターンを単一のグリーンシート上に形成した後、第1のダミー電極48と第2のダミー電極49とに対応する1の電極パターンの中心を分割するようにグリーンシートを切断することで各誘電体層10とすることができ、それぞれの誘電体層10におけるダミー電極の配置精度を容易に向上させることが可能となる。そして、このように配置精度を容易に向上させることができるので、その製造効率を向上させることもできる。
【0073】
[第6実施形態]
次に、図16及び図17に基づいて、第6実施形態に係る貫通型積層コンデンサの構成について説明する。第6実施形態に係る貫通型積層コンデンサC6は、コンデンサ素体L1内に配置されるダミー電極の配置が第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサC2と異なっている。以下、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0074】
貫通型積層コンデンサC6は、第2実施形態と同様に、コンデンサ素体L1と、第1及び第2の信号用端子電極1,2と、第1及び第2の接地用端子電極3,4とを備えている(図1参照)。図16及び図17に示されるように、貫通型積層コンデンサC6に含まれるコンデンサ素体L1の内部には、誘電体層10上に形成される接地用内部電極20と、別の誘電体層10上にそれぞれが形成される第1,第2、第3及び第4の信号用内部電極30〜33と、第2の信号用内部電極31と同じ誘電体層10上に形成される第1のダミー電極52,51と、第3の信号用内部電極32と同じ誘電体層10上に形成される第2のダミー電極54,53と、第4の信号用内部電極33と同じ誘電体層10上に形成される第3のダミー電極50,55とが配置されている。
【0075】
第1〜第3のダミー電極50〜55は、第2実施形態におけるダミー電極40〜45それぞれに対応しており、幅や形状、誘電体層10における配置箇所等は同様である。但し、本実施形態では、各ダミー電極50〜55が、同一面上において、第3及び第4の側面L1e,L1fの対向方向において対向しておらず、対向方向における位置がずれている点が第2実施形態と相違する。なお、本実施形態における第1〜第3のダミー電極50〜55は、誘電体層10の積層方向から見た際には、第2実施形態と同様に、積層方向に隣接する第1〜第3のダミー電極50〜55が接地用内部電極20の引き出し電極部20b,20cに重なる領域内において互いに重ならない位置となる。
【0076】
以上のように、本実施形態に係る貫通型積層コンデンサC6でも、第2実施形態等と同様に、直流抵抗を抑えることができると共に、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができるようになっている。つまり、貫通型積層コンデンサC6によれば、第1及び第2の接地用端子電極3,4に接続される接地用内部電極20の積層数が少ない場合であっても、コンデンサ素体L1と第1及び第2の接地用端子電極3,4との密着性を向上させることができる。
【0077】
また、上述した貫通型積層コンデンサC6では、図17に示されるように、ダミー電極52とダミー電極53とが1の電極パターンから構成されるように、また、ダミー電極54とダミー電極55とが1の電極パターンから構成されるように、各信号用内部電極31〜33やダミー電極50〜55に対応する電極パターンを単一のグリーンシート上に形成して製造を行うことができる。このようにして製造した場合において、各電極パターンを単一のグリーンシート上に形成した後、ダミー電極52,53及び54,55に対応するそれぞれ1の電極パターンの中心を分割するようにグリーンシートを切断することで各誘電体層10とすることができ、それぞれの誘電体層10におけるダミー電極の配置精度を容易に向上させることが可能となる。そして、このように配置精度を容易に向上させることができるので、その製造効率を向上させることもできる。
【0078】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、第1及び第2のダミー電極又は第1〜第3のダミー電極を設ける構成としたが、より多くのパターンからならダミー電極を備えるようにしてももちろんよい。また、ダミー電極の配置パターンは上述した各実施形態に限定されるものではなく、他の配置パターンを適宜採用することができる。
【0079】
また、上記実施形態では、信号用内部電極31〜33を合計で11層積層した場合を例示したが、信号用内部電極31〜33をより多く(例えば100層〜200層)積層するようにしてもよく、積層数は特に限定されるものではない。また、接地用内部電極20も同様に、上記実施形態では、合計で4層積層した場合を例示したが、これに限定される訳ではなく、1層でもよく、信号用内部電極の積層数よりも少なければ逆に5層以上であってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1,2…信号用端子電極、3,4…接地用端子電極、10…誘電体層、20…接地用内部電極、20a…接地用主電極部、20b,20c…接地用引き出し電極部、30〜33…信号用内部電極、36〜37,40〜55…ダミー電極、A…接地用引き出し電極部の幅、B1,B2…ダミー電極の幅、C1…貫通型積層コンデンサ、L1…コンデンサ素体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体層が積層されたコンデンサ素体と、
前記コンデンサ素体内に配置され、且つ、主電極部と当該主電極部から前記コンデンサ素体の外表面に引き出されるように伸びる引き出し電極部とを有する接地用内部電極と、
前記コンデンサ素体内に配置され、且つ、前記接地用内部電極の積層数よりも多い積層数となるように積層された複数の信号用内部電極と、
前記コンデンサ素体の外表面に配置され、且つ、前記接地用内部電極の引き出し電極部に接続される接地用端子電極と、
前記コンデンサ素体の外表面に配置され、且つ、前記複数の信号用内部電極の両端それぞれに接続される第1及び第2の信号用端子電極と、
前記コンデンサ素体内に配置され、且つ、前記接地用内部電極の引き出し電極部の幅よりも狭い幅で前記接地用端子電極に接続される少なくとも2つのダミー電極と、を備え、
前記ダミー電極は、前記誘電体層の積層方向から見た際に当該積層方向に隣接する前記ダミー電極同士が前記接地用内部電極の引き出し電極部に重なる領域内において互いに重ならない位置となるように前記積層方向の異なる位置に配置されていることを特徴とする貫通型積層コンデンサ。
【請求項2】
前記ダミー電極それぞれは、前記複数の信号用内部電極の内の何れかの信号用内部電極と同じ前記誘電体層上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項3】
前記ダミー電極は、前記接地用内部電極の積層数よりも多い積層数となるように積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項4】
前記接地用内部電極の引き出し電極部に重なる領域において互いに重ならないように配置された前記ダミー電極の幅の合計が、前記接地用内部電極の引き出し電極部の幅と略同等となることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項5】
前記接地用端子電極は、第1及び第2の接地用端子電極を含んで構成され、
前記ダミー電極は、同一面内において前記第1及び第2の接地用端子電極それぞれに接続される一対のダミー電極を含んで構成されることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項6】
前記一対のダミー電極は、前記第1及び第2の接地用端子電極の対向方向に対向していないことを特徴とする請求項5に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項7】
前記ダミー電極は、前記複数の信号用内部電極のうち静電容量の形成に寄与しない略全ての信号用内部電極と同一面内に形成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項1】
複数の誘電体層が積層されたコンデンサ素体と、
前記コンデンサ素体内に配置され、且つ、主電極部と当該主電極部から前記コンデンサ素体の外表面に引き出されるように伸びる引き出し電極部とを有する接地用内部電極と、
前記コンデンサ素体内に配置され、且つ、前記接地用内部電極の積層数よりも多い積層数となるように積層された複数の信号用内部電極と、
前記コンデンサ素体の外表面に配置され、且つ、前記接地用内部電極の引き出し電極部に接続される接地用端子電極と、
前記コンデンサ素体の外表面に配置され、且つ、前記複数の信号用内部電極の両端それぞれに接続される第1及び第2の信号用端子電極と、
前記コンデンサ素体内に配置され、且つ、前記接地用内部電極の引き出し電極部の幅よりも狭い幅で前記接地用端子電極に接続される少なくとも2つのダミー電極と、を備え、
前記ダミー電極は、前記誘電体層の積層方向から見た際に当該積層方向に隣接する前記ダミー電極同士が前記接地用内部電極の引き出し電極部に重なる領域内において互いに重ならない位置となるように前記積層方向の異なる位置に配置されていることを特徴とする貫通型積層コンデンサ。
【請求項2】
前記ダミー電極それぞれは、前記複数の信号用内部電極の内の何れかの信号用内部電極と同じ前記誘電体層上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項3】
前記ダミー電極は、前記接地用内部電極の積層数よりも多い積層数となるように積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項4】
前記接地用内部電極の引き出し電極部に重なる領域において互いに重ならないように配置された前記ダミー電極の幅の合計が、前記接地用内部電極の引き出し電極部の幅と略同等となることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項5】
前記接地用端子電極は、第1及び第2の接地用端子電極を含んで構成され、
前記ダミー電極は、同一面内において前記第1及び第2の接地用端子電極それぞれに接続される一対のダミー電極を含んで構成されることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項6】
前記一対のダミー電極は、前記第1及び第2の接地用端子電極の対向方向に対向していないことを特徴とする請求項5に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項7】
前記ダミー電極は、前記複数の信号用内部電極のうち静電容量の形成に寄与しない略全ての信号用内部電極と同一面内に形成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の貫通型積層コンデンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−169536(P2012−169536A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30925(P2011−30925)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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