赤外線撮像装置
【課題】外乱赤外線をより適切に遮断することができ、画像劣化を抑制することができる赤外線撮像装置を提供する。
【解決手段】半導体基板1の表面には、空洞部1aの開口を覆うように面状に遮蔽膜7及び反射膜8が形成されている。即ち、遮蔽膜7は、半導体基板1における光学系150と対向する面に、機械的でかつ熱的に接続されている。反射膜8は、遮蔽膜7の表面の全体を覆うように形成されている。撮像画素開口101aは、遮蔽膜7及び反射膜8に空けられている。遮蔽膜7及び反射膜8は、撮像画素開口101aで、光学系通過赤外線152のみを空洞部1a内の温度検出部5へ通す。遮蔽膜7及び反射膜8は、これらの面全体における撮像画素開口101a以外の箇所で、外乱赤外線を遮断・反射する。
【解決手段】半導体基板1の表面には、空洞部1aの開口を覆うように面状に遮蔽膜7及び反射膜8が形成されている。即ち、遮蔽膜7は、半導体基板1における光学系150と対向する面に、機械的でかつ熱的に接続されている。反射膜8は、遮蔽膜7の表面の全体を覆うように形成されている。撮像画素開口101aは、遮蔽膜7及び反射膜8に空けられている。遮蔽膜7及び反射膜8は、撮像画素開口101aで、光学系通過赤外線152のみを空洞部1a内の温度検出部5へ通す。遮蔽膜7及び反射膜8は、これらの面全体における撮像画素開口101a以外の箇所で、外乱赤外線を遮断・反射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、温度変化の検出手段として熱型検出器を用いた赤外線撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱型検出器は、被写体が放射する赤外線による温度変化を、半導体基板と熱的に分離した中空構造体を用いて検出するものである。このような温度変化の検出手段としては、中空構造体にボロメータを形成し抵抗変化を検出するボロメータ方式や、中空構造体上にPN接合ダイオードを形成し順方向電流を流した状態での電圧変化を検出するダイオード方式等が提案されている。また、これら熱型検出器は、一般的に、複数の撮像画素(温度検出部)が2次元配列された構成になっている。
【0003】
このように、熱型検出器は、その熱型検出器に入射する赤外線による温度変化を検出するものである。被写体が放出する赤外線は、光学系を用いて熱型検出器の表面上に結像されることによって撮像される。しかしながら、熱型検出器には、被写体以外からの物体から撮像素子へ向けて放射(輻射)され光学系を通らない赤外線(以下、「外乱赤外線」とする。)も入射する。この被写体以外の物体とは、例えばレンズ鏡筒や検出器パッケージ等である。ここで、被写体からの赤外線と、被写体以外からの外乱赤外線とは、熱型検出器において区別ができない。このため、外乱赤外線の影響によって被写体を正しく画像化できないという問題点があった。
【0004】
このような問題点に対して、例えば、特許文献1に示すような従来装置では、外乱赤外線を遮断するための構成が用いられている。図12は、従来装置における光学系からの入射赤外線と撮像画素への入射状況とを示す概念図である。図12において、撮像素子201は、その表面が光学系210の開口面である光学系開口面211に、間隔をおいて対向配置されている。撮像素子201の表面(図12の上面)には、アレイ状に配置された複数の撮像画素202が設けられている。撮像画素202には、光学系210からの赤外線212が入射される。
【0005】
また、撮像素子201の表面には、複数の撮像画素202のうち互いに隣り合う撮像画素202同士の間を仕切るように、マイクロシールド203が立てて設けられている。さらに、撮像素子201の表面(図12の下面)には、マイクロシールド203を含む撮像素子201の赤外線の入射による温度上昇を抑制するための電子冷却素子204が設けられている。この図12に示すような従来装置では、マイクロシールド203によって、外乱赤外線の一部が遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−127496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図12に示すような従来装置には、次のような問題点がある。図12に示すような従来装置では、複数の撮像画素202が1次元又は2次元的に配置されており、その撮像画素202の位置によって、撮像画素202と光学系開口面211とを結ぶ線の向きが異なる。
【0008】
このため、撮像素子201の表面における面の中心から離れた箇所に配置された撮像画素202では、図13に示すように、被写体からの赤外線(光学系を通った赤外線)212の一部の赤外線212aがマイクロシールド203の上端部に当って遮断される現象(いわゆるケラレ)が生じる。この結果、従来装置では、本来入射するべき赤外線212aがマイクロシールド203によって遮断されることから、入射赤外線量が低減していた。
【0009】
また、撮像素子201の表面における面の中心から離れた箇所に配置された撮像画素202では、光学系210によって集光された赤外線212以外の赤外線、つまり本来遮断したい外乱赤外線213(光学系210を通らない赤外線)を遮断できない現象が生じていた。
【0010】
さらに、図12に示すような従来装置では、マイクロシールド203の開口部の開口面の形状は、平面視四角形状である。このため、特に、マイクロシールド203の開口部の開口面の角部分には、外乱赤外線213が入射していた。
【0011】
以上のように、図12に示すような従来装置では、マイクロシールド203による入射赤外線量が低減し、また、外乱赤外線213を十分に遮断できないことによって、画像劣化が生じてしまうという問題点があった。
【0012】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、外乱赤外線をより適切に遮断することができ、画像劣化を抑制することができる赤外線撮像装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の赤外線撮像装置は、光学系に間隔をおいて対向配置されかつ前記光学系と対向する面にその面の裏側へ向けて窪む凹状の複数の空洞部が設けられた基材と、前記複数の空洞部にそれぞれ配置され、被写体を撮像するための複数の撮像画素とを備えるものであって、前記複数の撮像画素のそれぞれは、前記基材に接続され、かつ前記空洞部内に配置された支持脚と、前記支持脚を介して前記空洞部内に配置され、前記空洞部内の温度に応じた信号を生成するための温度検出部と、前記空洞部の開口を覆うように面状に前記基材に設けられ、面全体における前記光学系からの赤外線が当る箇所に前記光学系からの赤外線を前記空洞部内の前記温度検出部へ通すための撮像画素開口が空けられ、前記光学系以外の物体から前記撮像素子へ向けて放射され外乱となる赤外線である外乱赤外線を面全体における前記撮像画素開口以外の箇所で遮断する被覆面部とを有するものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明の赤外線撮像装置によれば、被覆面部の面全体における光学系からの赤外線が当る箇所に撮像画素開口が空けられ、被覆面部がその面全体における撮像画素開口以外の箇所で外乱赤外線を遮断するので、外乱赤外線をより適切に遮断することができ、画像劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施の形態1による赤外線撮像装置を示す平面図である。
【図2】図1の撮像画素を示す平面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】撮像画素と光学系との位置関係を示す概念図である。
【図5】図1の参照画素を示す平面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図1の赤外線撮像装置の回路構成を示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態2による赤外線撮像装置を示す平面図である。
【図9】図8の赤外線撮像装置の回路構成を示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態3による赤外線撮像装置の回路構成を示す構成図である。
【図11】この発明の実施の形態4による赤外線撮像装置の回路構成を示す構成図である。
【図12】従来装置における光学系からの入射光と撮像画素への入射状況とを示す概念図である。
【図13】図12の一部を拡大して示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による赤外線撮像装置を示す平面図である。
図1において、赤外線撮像装置(赤外線撮像素子)100は、複数の撮像画素(通常画素)101と、参照画素102とを有している。複数の撮像画素101は、二次元的に(マトリクス状・格子状に)並べられて配置されている。
【0017】
複数の撮像画素101のそれぞれの表面には、被写体からの赤外線を撮像画素101の内部へ通すための撮像画素開口101aが設けられている。撮像画素開口101aの形状は、平面視円状である。参照画素102は、複数の撮像画素101のうち最も外側に配置された撮像画素101に隣接して配置されている。参照画素102の表面には、参照画素開口102aが設けられている。参照画素開口102aの形状は、平面視四角形状である。
【0018】
次に、撮像画素101の構造について説明する。図2は、図1の撮像画素101を示す平面図である。図3は、図2のIII−III線に沿う断面図である。図4は、撮像画素101と光学系150との位置関係を示す概念図である。図2〜4において、基材としての半導体基板1は、光学系150に間隔をおいて対向配置されている。また、半導体基板1は、例えばシリコン基板である。
【0019】
また、半導体基板1における光学系150側の面には、その面の裏側(図3の下方)へ向けて窪む凹状の複数の空洞部1aが設けられている。複数の空洞部1aのそれぞれの開口面は、光学系150の開口面である光学系開口面151に対して平行になるように配置されている。半導体基板1における空洞部1aの内壁には、アルミ配線(配線パターン)2が設けられている。また、半導体基板1における空洞部1aの内壁には、空洞部1aの内壁から空洞部1aの中心へ向けて突出するように、一対の支持脚3が設けられている。
【0020】
支持脚3は、空洞部1aの底部から上方に間隔をおいて配置されている。また、支持脚3は、断熱構造をもたせるために、熱抵抗が大きく、かつ細長い構造である。支持脚3の内部には、アルミ配線2に電気的に接続された薄膜金属配線4が形成されている。支持脚3には、温度変化を電気信号に変換するための温度検出部(温度検知部)5が接続されている。即ち、支持脚3は、温度検出部5と半導体基板1とを接続して、温度検出部5を空洞部1aの内壁面から間隔をおいて(空洞部1a内に中空に)支持している。
【0021】
温度検出部5は、温度検出膜(温度検知膜)6を含んでいる。温度検出膜6は、例えばシリコンを用いたダイオードである。また、温度検出膜6は、薄膜金属配線4を介して、アルミ配線2に電気的に接続されている。温度検出部5では、空洞部1a内に入射した赤外線が当ることによって温度変化が生じ、温度検出膜6は、その温度変化に応じた信号を生成する。
【0022】
半導体基板1の表面(図3の上面)には、空洞部1aの開口を覆うように面状に遮蔽膜7及び反射膜8が形成されている。即ち、遮蔽膜7は、半導体基板1における光学系150と対向する面に、機械的でかつ熱的に接続されている。遮蔽膜7の材質は、例えば酸化シリコンである。反射膜8は、遮蔽膜7の表面(図3の上面)の全体を覆うように形成されている。反射膜8の材質は、例えばアルミニウムや金等の比較的反射率の高い金属である。
【0023】
遮蔽膜7及び反射膜8は、被覆面部をなしている。このように、複数の撮像画素101は、半導体基板1の複数の空洞部1aにそれぞれ形成されている。また、複数の撮像画素101は、それぞれ支持脚3、温度検出部5、遮蔽膜7及び反射膜8を有している。
【0024】
ここで、撮像画素開口101aは、遮蔽膜7及び反射膜8に空けられている。遮蔽膜7及び反射膜8は、撮像画素開口101aで、光学系150からの赤外線152(以下、「光学系通過赤外線152」とする。)のみを空洞部1a内の温度検出部5へ通す。他方、遮蔽膜7及び反射膜8は、これらの面全体における撮像画素開口101a以外の箇所で、被写体以外の物体から撮像画素101へ向けて放射(輻射)され光学系150を通らない外乱赤外線を遮断・反射する。
【0025】
次に、撮像画素開口101aの構成について、より具体的に説明する。図4に示すように、複数の撮像画素101のうち全体の中心側に配置された撮像画素101では、撮像画素101の表面に対して垂直に、光学系通過赤外線152が入射する。複数の撮像画素101のうち全体の中心側に配置された撮像画素101では、その撮像画素101の面の中心に撮像画素開口101aが配置されている。
【0026】
他方、複数の撮像画素101のうち全体の中心から外側にずれて配置された撮像画素101(以下、「周辺撮像画素101」という)では、周辺撮像画素101の表面に対して垂直ではなく斜め方向から光学系通過赤外線152が入射する。周辺撮像画素101では、図1,4に示すように、撮像画素開口101aの周辺撮像画素101の表面における位置が、光学系通過赤外線152の入射方向に対応させて、その周辺撮像画素101の面の中心からずれている。また、複数の周辺撮像画素101のそれぞれの撮像画素開口101aの位置は、光学系通過赤外線152の入射方向に対応させて、周辺撮像画素101毎に異なっている。
【0027】
撮像画素開口101aの大きさ(開口面の面積)は、光学系通過赤外線152に対応するように、即ち光学系開口面151に対応するように設定されている。これを言い換えると、撮像画素開口101aは、遮蔽膜7及び反射膜8の面全体における光学系通過赤外線152が当る箇所に空けられている。これにより、光学系150以外の物体からの外乱赤外線は、反射膜8の面全体における撮像画素開口101a以外の箇所に当って反射される。
【0028】
次に、参照画素102の構成について説明する。参照画素102の構成の概要は、撮像画素101の構成と同様であり、参照画素開口102aの位置・大きさ・範囲が撮像画素開口101aの位置・大きさ・範囲とは異なる。つまり、参照画素102は、撮像画素101と同様に、半導体基板1の空洞部1aに形成され、支持脚3、温度検出部5、遮蔽膜7及び反射膜8を有している。ここでは、撮像画素101との違いを中心に説明する。
【0029】
図5は、図1の参照画素102を示す平面図である。図6は、図5のVI−VI線に沿う断面図である。図5,6において、参照画素開口102aは、支持脚3を臨むように、空洞部1aの内壁の近傍に配置されている。また、参照画素開口102aの開口面の面積は、撮像画素開口101aの開口面の面積よりも小さい。
【0030】
ここで、撮像画素101では、撮像画素開口101aが温度検出部5に光学系通過赤外線152を入射させるように配置されている。これに対して、参照画素102では、参照画素開口102aが温度検出部5に光学系通過赤外線152を入射させないように配置されている。これにより、参照画素102の温度検出部5には、半導体基板1及び遮蔽膜7から放射された赤外線(以下、「画素内放射赤外線」とする。)のみが入射されることとなる。この結果、参照画素102の温度検出膜6には、常に半導体基板1の温度に応じた電圧変化が生じる。
【0031】
なお、参照画素開口102aは、半導体基板1に空洞部1aを形成する際のエッチングを行うために設けることが好ましいが、半導体基板1に空洞部1aを形成した後に、参照画素開口102aを塞いでもよい。また、この実施の形態では、参照画素開口102aの開口面の形状は、平面視四角形状であるが、四角形状に限定するものではない。
【0032】
次に、赤外線撮像装置100の回路構成について説明する。図7は、図1の赤外線撮像装置100の回路構成を示す構成図である。なお、図7では、3×3行列の画素アレイとして簡略化して赤外線撮像装置100を示しているが、この画素数に限定するものではない(実施の形態2以降も同様)。図7において、画素アレイの複数のダイオード21は、複数の撮像画素101のそれぞれの温度検出膜6である。また、複数のダイオード21は、行列をなすように二次元的に(マトリクス状・格子状に)配置されている。
【0033】
複数のダイオード21のアノードには、アルミ配線2からなり、画素アレイの行毎に電圧を加えるためのバイアス線22が接続されている。バイアス線22は、複数のダイオード21のうち同一の行に属するダイオード21のアノード同士を繋いでいる。複数のダイオード21のカソードには、アルミ配線2からなり、画素アレイの列毎に信号を読み出すための垂直信号線23が接続されている。垂直信号線23は、複数のダイオード21のうち同一の列に属するダイオード21のカソード同士を繋いでいる。
【0034】
各列の垂直信号線23には、読み出し回路24と、スイッチ25の一端とが直列に接続されている。読み出し回路24は、サンプルホールド回路28と、垂直信号線23に一定の電流を与える定電流源29とを有している。サンプルホールド回路28は、定電流源29の両端に現れるダイオード21の信号である撮像画素信号の信号レベルを、サンプリングして記憶する。画素アレイの各列に対応するスイッチ25の他端には、水平信号線26が接続されている。即ち、水平信号線26は、画素アレイの各列に対応するスイッチ25の他端同士を繋いでいる。スイッチ25のON・OFFは、水平走査回路27によって制御される。
【0035】
バイアス線22には、スイッチ30を介して、電源31が接続されている。スイッチ30のON・OFFは、垂直走査回路32によって制御される。垂直走査回路32は、画素アレイの各行に対応するスイッチ30のON・OFFを制御することによって、複数のダイオード21の通電・遮断を画素アレイの行単位で制御する。
【0036】
参照画素102の温度検出膜6は、図7の回路構成におけるダイオード33をなしている。ダイオード33のアノードは、電源31に接続されている。ダイオード33のカソードには、参照画素出力線34が接続されている。参照画素出力線34には、サンプルホールド回路28及び定電流源29と同様の構成のサンプルホールド回路35及び定電流源36が接続されている。
【0037】
水平信号線26には、温度変化補正部としての減算器37が接続されている。減算器37は、参照画素102側のサンプルホールド回路35に接続されており、サンプルホールド回路35の信号である参照画素信号を受ける。また、減算器37は、水平信号線26からの撮像画素信号の信号レベルから、参照画素信号の信号レベルを減じて、撮像画素信号の信号レベルを補正する。さらに、減算器37は、外部出力用の出力端子38に補正後の撮像画素信号を出力する。
【0038】
従って、減算器37は、参照画素102の参照画素信号の信号レベルを用いて、撮像画素101の撮像画素信号の信号レベルを半導体基板1の温度に応じて補正する。これにより、出力端子38に出力される撮像画素信号の信号レベルは、半導体基板1及び遮蔽膜7からの画素内放射赤外線と光学系通過赤外線152とに応じた撮像画素101の撮像画素信号の信号レベルから、画素内放射赤外線に応じた参照画素102の参照画素信号の信号レベルを減じた値である。この補正後の信号レベルは、光学系150からの光学系通過赤外線152に応じた値に他ならない。
【0039】
上記のような実施の形態1によれば、遮蔽膜7及び反射膜8の面全体における光学系150からの光学系通過赤外線152が当る箇所に撮像画素開口101aが空けられ、遮蔽膜7及び反射膜8が、その面全体における撮像画素開口101a以外の箇所で外乱赤外線を遮断・反射する。この構成により、光学系150以外からの外乱赤外線をより適切に遮断することができ、画像劣化を抑制することができる。
【0040】
ここで、図12に示すような従来装置では、温度を一定にするための電子冷却素子204が必要であり、装置が大型化したり、消費電力が増大したり、製造コストが増加したりするという問題点があった。
これに対して、実施の形態1では、遮蔽膜7の温度が半導体基板1とともに変化するが、減算器37が、参照画素102の信号を用いて、撮像画素101の撮像画素信号の信号レベルを半導体基板1の温度に応じて補正する。この構成により、半導体基板1の温度が変化しても、撮像画素信号の信号レベルにおける温度の変化分を相殺することができる。この結果、図12に示すような従来装置における電子冷却素子204を省略することができ、装置の小型化と、消費電力の低減化と、製造コストの低減化とを図ることができる。
【0041】
また、実施の形態1では、外乱赤外線を反射するための反射膜8が遮蔽膜7の表面に形成されている。この構成により、外乱赤外線による遮蔽膜7及び半導体基板1の温度上昇を抑えることができる。
【0042】
実施の形態2.
実施の形態1では、1つの参照画素102が用いられた。これに対して、実施の形態2では、複数の参照画素102が用いられる。図8は、この発明のこの発明の実施の形態2による赤外線撮像装置を示す平面図である。図9は、図8の赤外線撮像装置100の回路構成を示す構成図である。実施の形態2の赤外線撮像装置100の構成の概要は、実施の形態1と同様であり、参照画素102の数と、及び参照画素102の周辺の電気回路が実施の形態1とは異なっている。ここでは、実施の形態1との違いを中心に説明する。
【0043】
図8,9において、実施の形態2の複数の参照画素102は、画素アレイにおける列方向に一次元的に並べられて配置されている。複数の参照画素102のそれぞれのダイオード33のアノードは、バイアス線22に接続されている。また、複数の参照画素102のそれぞれのダイオード33のカソードは、垂直信号線23に接続されている。
【0044】
さらに、実施の形態2の減算器37とサンプルホールド回路35との間の信号線には、スイッチ39が介在されている。スイッチ39のON・OFFは、水平走査回路27によって制御される。また、垂直走査回路32によって、画素アレイにおける通電中の撮像画素101のダイオード21と同じ行に属する参照画素102のダイオード33が通電される。
【0045】
従って、実施の形態2の減算器37は、画素アレイにおける通電中の撮像画素101のダイオード21と同じ行に属する参照画素102の参照画素信号の信号レベルを用いて撮像画素信号の信号レベルを補正する。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0046】
上記のような実施の形態2によれば、複数の参照画素102を用いた構成であっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。これとともに、減算器37が画素アレイにおける通電中の撮像画素101のダイオード21と同じ行に属する参照画素102の参照画素信号の信号レベルを用いて、撮像画素信号の信号レベルを補正する。この構成により、画素アレイにおける列方向で半導体基板1の温度差が生じている場合に、その温度差に対応可能となり、撮像画素信号の信号レベルの補正の精度をより向上させることができる。
【0047】
実施の形態3.
実施の形態1,2では、温度変化補正部として減算器37を用いた構成について説明した。これに対して、実施の形態3では、温度変化補正部として補正回路40を用いる構成について説明する。
【0048】
図10は、この発明の実施の形態3による赤外線撮像装置の回路構成を示す構成図である。図10において、実施の形態3の赤外線撮像装置100の構成の概要は、実施の形態2と同様であり、減算器37を削除し、出力端子38に補正回路40を接続した点が実施の形態2とは異なる。ここでは、実施の形態2との違いを中心に説明する。
【0049】
図10において、補正回路40は、A/D変換部とメモリ(記憶部)とを有している(いずれも図示せず)。また、補正回路40は、出力端子38から撮像画素信号及び参照画素信号を受ける。補正回路40が受けた撮像画素信号及び参照画素信号の信号レベルは、A/D変換部によってA/D変換されて、デジタルデータとしてメモリに記憶される。
【0050】
さらに、補正回路40は、参照画素102の読み出しタイミングにあわせて参照画素102の参照画素信号の信号レベルを行毎にメモリに記憶し、その記憶した行毎の参照画素102の参照画素信号の信号レベルを、同一の行に属する撮像画素101の撮像画素信号の信号レベルから減じて、撮像画素信号を補正する。
【0051】
これにより、補正回路40の出力信号の信号レベルは、各撮像画素101の撮像画素信号の信号レベルから半導体基板1の温度による出力分を減じた値となり、補正回路40の出力信号の信号レベルは、光学系通過赤外線152に応じた値に他ならない。なお、例えばメモリに代えてサンプルホールド回路等に記憶してもよい。他の構成は、実施の形態2と同様である。
【0052】
上記のような実施の形態3によれば、減算器37に代えて補正回路40を温度変化補正部として用いた構成であっても、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0053】
なお、実施の形態2,3では、参照画素102が画素アレイにおける列方向に一次元的に並べられて配置されていた。しかしながら、この例に限定するものではなく、参照画素102が画素アレイにおける行方向に一次元的に並べられて配置されてもよい。また、参照画素102が画素アレイにおける行方向及び列方向の両方向に二次元的に並べられて配置されてもよい。
【0054】
実施の形態4.
実施の形態1〜3では、参照画素信号の信号レベルを用いて撮像画素信号の信号レベルを補正する構成について説明した。これに対して、実施の形態4では、温度センサ50の出力信号を用いて撮像画素信号の信号レベルを補正する構成について説明する。
【0055】
図11は、この発明の実施の形態4による赤外線撮像装置の回路構成を示す構成図である。図11において、実施の形態4の赤外線撮像装置100の構成の概要は、実施の形態1と同様であり、参照画素102及び減算器37を削除し、基材温度検出手段としての温度センサ(温度モニタ)50と温度変化補正部としての補正処理部60とを追加した点が実施の形態1とは異なる。ここでは、実施の形態1との違いを中心に説明する。
【0056】
温度センサ50は、半導体基板1に熱的に接続されている。ここで、温度センサ50は、半導体基板1の内部に設けられていても、半導体基板1の表面に機械的に接続されていてもよい。また、温度センサ50には、例えば温度で抵抗値が変化する金属膜や、ダイオード等を用いてもよく、温度検出膜6と同じ構成のものを用いてもよい。
【0057】
補正処理部60は、画素アレイの出力端子38と温度センサ50の出力端子51とに接続されている。補正処理部60は、温度センサ50の出力を監視して半導体基板1の温度(素子温度)を得る温度処理部61と、素子温度に応じた画素出力を取得(算出)する補正データ算出部62と、減算器63とを有している。
【0058】
補正データ算出部62は、半導体基板1の温度と、その温度での撮像画素101の撮像画素信号の信号レベル(事前登録信号レベル)とを互いに対応付けて、温度対応出力情報として予め記憶している。ここで、撮像画素101は、赤外線の入射によって発生する温度検出部5の温度変化に応じた電気信号を出力するものであり、半導体基板1及び遮蔽膜7から放射されて温度検出部5に入射する画素内放射赤外線の赤外線量がわかっていれば、その赤外線量に対応する温度検出部5の温度の変化量、即ち撮像画素101の撮像画素信号の信号レベルを算出又は試験等によって事前に求めることができる。
【0059】
つまり、撮像画素101に入射した赤外線が、半導体基板1及び遮蔽膜7から放射された画素内放射赤外線であるとすれば、半導体基板1の温度を監視し、半導体基板1の温度を用いて、画素内放射赤外線に対応する撮像画素101の撮像画素信号の信号レベルを取得(算出)できる。従って、補正データ算出部62は、半導体基板1の温度に対応する撮像画素信号の信号レベルを、温度対応出力情報に基づいて取得する。
【0060】
減算器63は、水平信号線26から受けた撮像画素信号の信号レベルから、補正データ算出部62によって取得された半導体基板1の温度に対応する撮像画素信号の信号レベルを減じて、水平信号線26から受けた撮像画素信号の信号レベルを補正する。この補正後の撮像画素信号の信号レベルは、光学系150からの光学系通過赤外線152に応じた値に他ならない。
【0061】
なお、補正処理部60は、演算処理部(CPU)と、記憶部と、信号入出力部とを有するコンピュータ(図示せず)により構成することができる。補正処理部60のコンピュータの記憶部には、温度処理部61及び補正データ算出部62の機能を実現するためのプログラムが格納されている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0062】
上記のような実施の形態4によれば、参照画素102を省略した構成であっても、半導体基板1の温度が変化しても、撮像画素信号の信号レベルにおける温度の変化分を相殺することができ、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0063】
なお、実施の形態1〜4では、温度検出部としてダイオードを用いた構成について説明した。しかしながら、この例に限定するものではなく、温度検出部としてボロメータ(抵抗)を用いてもよい。この場合、実施の形態1〜4において、ダイオード21とともに用いられた読み出し回路24やサンプルホールド回路28や定電流源29を省略可能となる。
【0064】
また、実施の形態1〜4では、遮蔽膜7及び反射膜8の両方を被覆面部として用いた構成について説明した。しかしながら、この例に限定するものではなく、反射膜8を省略して、遮蔽膜7のみを被覆面部として用いてもよい。
【0065】
さらに、実施の形態1〜4では、撮像画素101の配列を二次元配列とした例について説明した。しかしながら、複数の撮像画素101の画素配列を1次元配列としてもよく、あるいは画素配列を格子状以外の形状に配列してもよい。
【0066】
また、実施の形態1〜4における水平走査回路27、垂直走査回路32及び補正回路40の各回路の機能を、演算処理部(CPU)と、記憶部と、信号入出力部とを有するコンピュータの演算処理によって実現してもよい。
【0067】
さらに、実施の形態1〜4では、複数の空洞部1aのそれぞれの開口面が、光学系150の開口面である光学系開口面151に対して平行になるように配置されていた。しかしながら、この例に限定するものではなく、複数の空洞部1aのそれぞれの開口面が、光学系開口面151に対して傾いて配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 半導体基板(基材)、1a 空洞部、3 支持脚、5 温度検出部、7 遮蔽膜、37 減算器(温度変化補正部)、40 補正回路(温度変化補正部)、50 温度センサ(基材温度検出手段)、60 補正処理部(温度変化補正部)、100 赤外線撮像装置、101 撮像画素、101a 撮像画素開口、102 参照画素、150 光学系。
【技術分野】
【0001】
この発明は、温度変化の検出手段として熱型検出器を用いた赤外線撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱型検出器は、被写体が放射する赤外線による温度変化を、半導体基板と熱的に分離した中空構造体を用いて検出するものである。このような温度変化の検出手段としては、中空構造体にボロメータを形成し抵抗変化を検出するボロメータ方式や、中空構造体上にPN接合ダイオードを形成し順方向電流を流した状態での電圧変化を検出するダイオード方式等が提案されている。また、これら熱型検出器は、一般的に、複数の撮像画素(温度検出部)が2次元配列された構成になっている。
【0003】
このように、熱型検出器は、その熱型検出器に入射する赤外線による温度変化を検出するものである。被写体が放出する赤外線は、光学系を用いて熱型検出器の表面上に結像されることによって撮像される。しかしながら、熱型検出器には、被写体以外からの物体から撮像素子へ向けて放射(輻射)され光学系を通らない赤外線(以下、「外乱赤外線」とする。)も入射する。この被写体以外の物体とは、例えばレンズ鏡筒や検出器パッケージ等である。ここで、被写体からの赤外線と、被写体以外からの外乱赤外線とは、熱型検出器において区別ができない。このため、外乱赤外線の影響によって被写体を正しく画像化できないという問題点があった。
【0004】
このような問題点に対して、例えば、特許文献1に示すような従来装置では、外乱赤外線を遮断するための構成が用いられている。図12は、従来装置における光学系からの入射赤外線と撮像画素への入射状況とを示す概念図である。図12において、撮像素子201は、その表面が光学系210の開口面である光学系開口面211に、間隔をおいて対向配置されている。撮像素子201の表面(図12の上面)には、アレイ状に配置された複数の撮像画素202が設けられている。撮像画素202には、光学系210からの赤外線212が入射される。
【0005】
また、撮像素子201の表面には、複数の撮像画素202のうち互いに隣り合う撮像画素202同士の間を仕切るように、マイクロシールド203が立てて設けられている。さらに、撮像素子201の表面(図12の下面)には、マイクロシールド203を含む撮像素子201の赤外線の入射による温度上昇を抑制するための電子冷却素子204が設けられている。この図12に示すような従来装置では、マイクロシールド203によって、外乱赤外線の一部が遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−127496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図12に示すような従来装置には、次のような問題点がある。図12に示すような従来装置では、複数の撮像画素202が1次元又は2次元的に配置されており、その撮像画素202の位置によって、撮像画素202と光学系開口面211とを結ぶ線の向きが異なる。
【0008】
このため、撮像素子201の表面における面の中心から離れた箇所に配置された撮像画素202では、図13に示すように、被写体からの赤外線(光学系を通った赤外線)212の一部の赤外線212aがマイクロシールド203の上端部に当って遮断される現象(いわゆるケラレ)が生じる。この結果、従来装置では、本来入射するべき赤外線212aがマイクロシールド203によって遮断されることから、入射赤外線量が低減していた。
【0009】
また、撮像素子201の表面における面の中心から離れた箇所に配置された撮像画素202では、光学系210によって集光された赤外線212以外の赤外線、つまり本来遮断したい外乱赤外線213(光学系210を通らない赤外線)を遮断できない現象が生じていた。
【0010】
さらに、図12に示すような従来装置では、マイクロシールド203の開口部の開口面の形状は、平面視四角形状である。このため、特に、マイクロシールド203の開口部の開口面の角部分には、外乱赤外線213が入射していた。
【0011】
以上のように、図12に示すような従来装置では、マイクロシールド203による入射赤外線量が低減し、また、外乱赤外線213を十分に遮断できないことによって、画像劣化が生じてしまうという問題点があった。
【0012】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、外乱赤外線をより適切に遮断することができ、画像劣化を抑制することができる赤外線撮像装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の赤外線撮像装置は、光学系に間隔をおいて対向配置されかつ前記光学系と対向する面にその面の裏側へ向けて窪む凹状の複数の空洞部が設けられた基材と、前記複数の空洞部にそれぞれ配置され、被写体を撮像するための複数の撮像画素とを備えるものであって、前記複数の撮像画素のそれぞれは、前記基材に接続され、かつ前記空洞部内に配置された支持脚と、前記支持脚を介して前記空洞部内に配置され、前記空洞部内の温度に応じた信号を生成するための温度検出部と、前記空洞部の開口を覆うように面状に前記基材に設けられ、面全体における前記光学系からの赤外線が当る箇所に前記光学系からの赤外線を前記空洞部内の前記温度検出部へ通すための撮像画素開口が空けられ、前記光学系以外の物体から前記撮像素子へ向けて放射され外乱となる赤外線である外乱赤外線を面全体における前記撮像画素開口以外の箇所で遮断する被覆面部とを有するものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明の赤外線撮像装置によれば、被覆面部の面全体における光学系からの赤外線が当る箇所に撮像画素開口が空けられ、被覆面部がその面全体における撮像画素開口以外の箇所で外乱赤外線を遮断するので、外乱赤外線をより適切に遮断することができ、画像劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施の形態1による赤外線撮像装置を示す平面図である。
【図2】図1の撮像画素を示す平面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】撮像画素と光学系との位置関係を示す概念図である。
【図5】図1の参照画素を示す平面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図1の赤外線撮像装置の回路構成を示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態2による赤外線撮像装置を示す平面図である。
【図9】図8の赤外線撮像装置の回路構成を示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態3による赤外線撮像装置の回路構成を示す構成図である。
【図11】この発明の実施の形態4による赤外線撮像装置の回路構成を示す構成図である。
【図12】従来装置における光学系からの入射光と撮像画素への入射状況とを示す概念図である。
【図13】図12の一部を拡大して示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による赤外線撮像装置を示す平面図である。
図1において、赤外線撮像装置(赤外線撮像素子)100は、複数の撮像画素(通常画素)101と、参照画素102とを有している。複数の撮像画素101は、二次元的に(マトリクス状・格子状に)並べられて配置されている。
【0017】
複数の撮像画素101のそれぞれの表面には、被写体からの赤外線を撮像画素101の内部へ通すための撮像画素開口101aが設けられている。撮像画素開口101aの形状は、平面視円状である。参照画素102は、複数の撮像画素101のうち最も外側に配置された撮像画素101に隣接して配置されている。参照画素102の表面には、参照画素開口102aが設けられている。参照画素開口102aの形状は、平面視四角形状である。
【0018】
次に、撮像画素101の構造について説明する。図2は、図1の撮像画素101を示す平面図である。図3は、図2のIII−III線に沿う断面図である。図4は、撮像画素101と光学系150との位置関係を示す概念図である。図2〜4において、基材としての半導体基板1は、光学系150に間隔をおいて対向配置されている。また、半導体基板1は、例えばシリコン基板である。
【0019】
また、半導体基板1における光学系150側の面には、その面の裏側(図3の下方)へ向けて窪む凹状の複数の空洞部1aが設けられている。複数の空洞部1aのそれぞれの開口面は、光学系150の開口面である光学系開口面151に対して平行になるように配置されている。半導体基板1における空洞部1aの内壁には、アルミ配線(配線パターン)2が設けられている。また、半導体基板1における空洞部1aの内壁には、空洞部1aの内壁から空洞部1aの中心へ向けて突出するように、一対の支持脚3が設けられている。
【0020】
支持脚3は、空洞部1aの底部から上方に間隔をおいて配置されている。また、支持脚3は、断熱構造をもたせるために、熱抵抗が大きく、かつ細長い構造である。支持脚3の内部には、アルミ配線2に電気的に接続された薄膜金属配線4が形成されている。支持脚3には、温度変化を電気信号に変換するための温度検出部(温度検知部)5が接続されている。即ち、支持脚3は、温度検出部5と半導体基板1とを接続して、温度検出部5を空洞部1aの内壁面から間隔をおいて(空洞部1a内に中空に)支持している。
【0021】
温度検出部5は、温度検出膜(温度検知膜)6を含んでいる。温度検出膜6は、例えばシリコンを用いたダイオードである。また、温度検出膜6は、薄膜金属配線4を介して、アルミ配線2に電気的に接続されている。温度検出部5では、空洞部1a内に入射した赤外線が当ることによって温度変化が生じ、温度検出膜6は、その温度変化に応じた信号を生成する。
【0022】
半導体基板1の表面(図3の上面)には、空洞部1aの開口を覆うように面状に遮蔽膜7及び反射膜8が形成されている。即ち、遮蔽膜7は、半導体基板1における光学系150と対向する面に、機械的でかつ熱的に接続されている。遮蔽膜7の材質は、例えば酸化シリコンである。反射膜8は、遮蔽膜7の表面(図3の上面)の全体を覆うように形成されている。反射膜8の材質は、例えばアルミニウムや金等の比較的反射率の高い金属である。
【0023】
遮蔽膜7及び反射膜8は、被覆面部をなしている。このように、複数の撮像画素101は、半導体基板1の複数の空洞部1aにそれぞれ形成されている。また、複数の撮像画素101は、それぞれ支持脚3、温度検出部5、遮蔽膜7及び反射膜8を有している。
【0024】
ここで、撮像画素開口101aは、遮蔽膜7及び反射膜8に空けられている。遮蔽膜7及び反射膜8は、撮像画素開口101aで、光学系150からの赤外線152(以下、「光学系通過赤外線152」とする。)のみを空洞部1a内の温度検出部5へ通す。他方、遮蔽膜7及び反射膜8は、これらの面全体における撮像画素開口101a以外の箇所で、被写体以外の物体から撮像画素101へ向けて放射(輻射)され光学系150を通らない外乱赤外線を遮断・反射する。
【0025】
次に、撮像画素開口101aの構成について、より具体的に説明する。図4に示すように、複数の撮像画素101のうち全体の中心側に配置された撮像画素101では、撮像画素101の表面に対して垂直に、光学系通過赤外線152が入射する。複数の撮像画素101のうち全体の中心側に配置された撮像画素101では、その撮像画素101の面の中心に撮像画素開口101aが配置されている。
【0026】
他方、複数の撮像画素101のうち全体の中心から外側にずれて配置された撮像画素101(以下、「周辺撮像画素101」という)では、周辺撮像画素101の表面に対して垂直ではなく斜め方向から光学系通過赤外線152が入射する。周辺撮像画素101では、図1,4に示すように、撮像画素開口101aの周辺撮像画素101の表面における位置が、光学系通過赤外線152の入射方向に対応させて、その周辺撮像画素101の面の中心からずれている。また、複数の周辺撮像画素101のそれぞれの撮像画素開口101aの位置は、光学系通過赤外線152の入射方向に対応させて、周辺撮像画素101毎に異なっている。
【0027】
撮像画素開口101aの大きさ(開口面の面積)は、光学系通過赤外線152に対応するように、即ち光学系開口面151に対応するように設定されている。これを言い換えると、撮像画素開口101aは、遮蔽膜7及び反射膜8の面全体における光学系通過赤外線152が当る箇所に空けられている。これにより、光学系150以外の物体からの外乱赤外線は、反射膜8の面全体における撮像画素開口101a以外の箇所に当って反射される。
【0028】
次に、参照画素102の構成について説明する。参照画素102の構成の概要は、撮像画素101の構成と同様であり、参照画素開口102aの位置・大きさ・範囲が撮像画素開口101aの位置・大きさ・範囲とは異なる。つまり、参照画素102は、撮像画素101と同様に、半導体基板1の空洞部1aに形成され、支持脚3、温度検出部5、遮蔽膜7及び反射膜8を有している。ここでは、撮像画素101との違いを中心に説明する。
【0029】
図5は、図1の参照画素102を示す平面図である。図6は、図5のVI−VI線に沿う断面図である。図5,6において、参照画素開口102aは、支持脚3を臨むように、空洞部1aの内壁の近傍に配置されている。また、参照画素開口102aの開口面の面積は、撮像画素開口101aの開口面の面積よりも小さい。
【0030】
ここで、撮像画素101では、撮像画素開口101aが温度検出部5に光学系通過赤外線152を入射させるように配置されている。これに対して、参照画素102では、参照画素開口102aが温度検出部5に光学系通過赤外線152を入射させないように配置されている。これにより、参照画素102の温度検出部5には、半導体基板1及び遮蔽膜7から放射された赤外線(以下、「画素内放射赤外線」とする。)のみが入射されることとなる。この結果、参照画素102の温度検出膜6には、常に半導体基板1の温度に応じた電圧変化が生じる。
【0031】
なお、参照画素開口102aは、半導体基板1に空洞部1aを形成する際のエッチングを行うために設けることが好ましいが、半導体基板1に空洞部1aを形成した後に、参照画素開口102aを塞いでもよい。また、この実施の形態では、参照画素開口102aの開口面の形状は、平面視四角形状であるが、四角形状に限定するものではない。
【0032】
次に、赤外線撮像装置100の回路構成について説明する。図7は、図1の赤外線撮像装置100の回路構成を示す構成図である。なお、図7では、3×3行列の画素アレイとして簡略化して赤外線撮像装置100を示しているが、この画素数に限定するものではない(実施の形態2以降も同様)。図7において、画素アレイの複数のダイオード21は、複数の撮像画素101のそれぞれの温度検出膜6である。また、複数のダイオード21は、行列をなすように二次元的に(マトリクス状・格子状に)配置されている。
【0033】
複数のダイオード21のアノードには、アルミ配線2からなり、画素アレイの行毎に電圧を加えるためのバイアス線22が接続されている。バイアス線22は、複数のダイオード21のうち同一の行に属するダイオード21のアノード同士を繋いでいる。複数のダイオード21のカソードには、アルミ配線2からなり、画素アレイの列毎に信号を読み出すための垂直信号線23が接続されている。垂直信号線23は、複数のダイオード21のうち同一の列に属するダイオード21のカソード同士を繋いでいる。
【0034】
各列の垂直信号線23には、読み出し回路24と、スイッチ25の一端とが直列に接続されている。読み出し回路24は、サンプルホールド回路28と、垂直信号線23に一定の電流を与える定電流源29とを有している。サンプルホールド回路28は、定電流源29の両端に現れるダイオード21の信号である撮像画素信号の信号レベルを、サンプリングして記憶する。画素アレイの各列に対応するスイッチ25の他端には、水平信号線26が接続されている。即ち、水平信号線26は、画素アレイの各列に対応するスイッチ25の他端同士を繋いでいる。スイッチ25のON・OFFは、水平走査回路27によって制御される。
【0035】
バイアス線22には、スイッチ30を介して、電源31が接続されている。スイッチ30のON・OFFは、垂直走査回路32によって制御される。垂直走査回路32は、画素アレイの各行に対応するスイッチ30のON・OFFを制御することによって、複数のダイオード21の通電・遮断を画素アレイの行単位で制御する。
【0036】
参照画素102の温度検出膜6は、図7の回路構成におけるダイオード33をなしている。ダイオード33のアノードは、電源31に接続されている。ダイオード33のカソードには、参照画素出力線34が接続されている。参照画素出力線34には、サンプルホールド回路28及び定電流源29と同様の構成のサンプルホールド回路35及び定電流源36が接続されている。
【0037】
水平信号線26には、温度変化補正部としての減算器37が接続されている。減算器37は、参照画素102側のサンプルホールド回路35に接続されており、サンプルホールド回路35の信号である参照画素信号を受ける。また、減算器37は、水平信号線26からの撮像画素信号の信号レベルから、参照画素信号の信号レベルを減じて、撮像画素信号の信号レベルを補正する。さらに、減算器37は、外部出力用の出力端子38に補正後の撮像画素信号を出力する。
【0038】
従って、減算器37は、参照画素102の参照画素信号の信号レベルを用いて、撮像画素101の撮像画素信号の信号レベルを半導体基板1の温度に応じて補正する。これにより、出力端子38に出力される撮像画素信号の信号レベルは、半導体基板1及び遮蔽膜7からの画素内放射赤外線と光学系通過赤外線152とに応じた撮像画素101の撮像画素信号の信号レベルから、画素内放射赤外線に応じた参照画素102の参照画素信号の信号レベルを減じた値である。この補正後の信号レベルは、光学系150からの光学系通過赤外線152に応じた値に他ならない。
【0039】
上記のような実施の形態1によれば、遮蔽膜7及び反射膜8の面全体における光学系150からの光学系通過赤外線152が当る箇所に撮像画素開口101aが空けられ、遮蔽膜7及び反射膜8が、その面全体における撮像画素開口101a以外の箇所で外乱赤外線を遮断・反射する。この構成により、光学系150以外からの外乱赤外線をより適切に遮断することができ、画像劣化を抑制することができる。
【0040】
ここで、図12に示すような従来装置では、温度を一定にするための電子冷却素子204が必要であり、装置が大型化したり、消費電力が増大したり、製造コストが増加したりするという問題点があった。
これに対して、実施の形態1では、遮蔽膜7の温度が半導体基板1とともに変化するが、減算器37が、参照画素102の信号を用いて、撮像画素101の撮像画素信号の信号レベルを半導体基板1の温度に応じて補正する。この構成により、半導体基板1の温度が変化しても、撮像画素信号の信号レベルにおける温度の変化分を相殺することができる。この結果、図12に示すような従来装置における電子冷却素子204を省略することができ、装置の小型化と、消費電力の低減化と、製造コストの低減化とを図ることができる。
【0041】
また、実施の形態1では、外乱赤外線を反射するための反射膜8が遮蔽膜7の表面に形成されている。この構成により、外乱赤外線による遮蔽膜7及び半導体基板1の温度上昇を抑えることができる。
【0042】
実施の形態2.
実施の形態1では、1つの参照画素102が用いられた。これに対して、実施の形態2では、複数の参照画素102が用いられる。図8は、この発明のこの発明の実施の形態2による赤外線撮像装置を示す平面図である。図9は、図8の赤外線撮像装置100の回路構成を示す構成図である。実施の形態2の赤外線撮像装置100の構成の概要は、実施の形態1と同様であり、参照画素102の数と、及び参照画素102の周辺の電気回路が実施の形態1とは異なっている。ここでは、実施の形態1との違いを中心に説明する。
【0043】
図8,9において、実施の形態2の複数の参照画素102は、画素アレイにおける列方向に一次元的に並べられて配置されている。複数の参照画素102のそれぞれのダイオード33のアノードは、バイアス線22に接続されている。また、複数の参照画素102のそれぞれのダイオード33のカソードは、垂直信号線23に接続されている。
【0044】
さらに、実施の形態2の減算器37とサンプルホールド回路35との間の信号線には、スイッチ39が介在されている。スイッチ39のON・OFFは、水平走査回路27によって制御される。また、垂直走査回路32によって、画素アレイにおける通電中の撮像画素101のダイオード21と同じ行に属する参照画素102のダイオード33が通電される。
【0045】
従って、実施の形態2の減算器37は、画素アレイにおける通電中の撮像画素101のダイオード21と同じ行に属する参照画素102の参照画素信号の信号レベルを用いて撮像画素信号の信号レベルを補正する。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0046】
上記のような実施の形態2によれば、複数の参照画素102を用いた構成であっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。これとともに、減算器37が画素アレイにおける通電中の撮像画素101のダイオード21と同じ行に属する参照画素102の参照画素信号の信号レベルを用いて、撮像画素信号の信号レベルを補正する。この構成により、画素アレイにおける列方向で半導体基板1の温度差が生じている場合に、その温度差に対応可能となり、撮像画素信号の信号レベルの補正の精度をより向上させることができる。
【0047】
実施の形態3.
実施の形態1,2では、温度変化補正部として減算器37を用いた構成について説明した。これに対して、実施の形態3では、温度変化補正部として補正回路40を用いる構成について説明する。
【0048】
図10は、この発明の実施の形態3による赤外線撮像装置の回路構成を示す構成図である。図10において、実施の形態3の赤外線撮像装置100の構成の概要は、実施の形態2と同様であり、減算器37を削除し、出力端子38に補正回路40を接続した点が実施の形態2とは異なる。ここでは、実施の形態2との違いを中心に説明する。
【0049】
図10において、補正回路40は、A/D変換部とメモリ(記憶部)とを有している(いずれも図示せず)。また、補正回路40は、出力端子38から撮像画素信号及び参照画素信号を受ける。補正回路40が受けた撮像画素信号及び参照画素信号の信号レベルは、A/D変換部によってA/D変換されて、デジタルデータとしてメモリに記憶される。
【0050】
さらに、補正回路40は、参照画素102の読み出しタイミングにあわせて参照画素102の参照画素信号の信号レベルを行毎にメモリに記憶し、その記憶した行毎の参照画素102の参照画素信号の信号レベルを、同一の行に属する撮像画素101の撮像画素信号の信号レベルから減じて、撮像画素信号を補正する。
【0051】
これにより、補正回路40の出力信号の信号レベルは、各撮像画素101の撮像画素信号の信号レベルから半導体基板1の温度による出力分を減じた値となり、補正回路40の出力信号の信号レベルは、光学系通過赤外線152に応じた値に他ならない。なお、例えばメモリに代えてサンプルホールド回路等に記憶してもよい。他の構成は、実施の形態2と同様である。
【0052】
上記のような実施の形態3によれば、減算器37に代えて補正回路40を温度変化補正部として用いた構成であっても、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0053】
なお、実施の形態2,3では、参照画素102が画素アレイにおける列方向に一次元的に並べられて配置されていた。しかしながら、この例に限定するものではなく、参照画素102が画素アレイにおける行方向に一次元的に並べられて配置されてもよい。また、参照画素102が画素アレイにおける行方向及び列方向の両方向に二次元的に並べられて配置されてもよい。
【0054】
実施の形態4.
実施の形態1〜3では、参照画素信号の信号レベルを用いて撮像画素信号の信号レベルを補正する構成について説明した。これに対して、実施の形態4では、温度センサ50の出力信号を用いて撮像画素信号の信号レベルを補正する構成について説明する。
【0055】
図11は、この発明の実施の形態4による赤外線撮像装置の回路構成を示す構成図である。図11において、実施の形態4の赤外線撮像装置100の構成の概要は、実施の形態1と同様であり、参照画素102及び減算器37を削除し、基材温度検出手段としての温度センサ(温度モニタ)50と温度変化補正部としての補正処理部60とを追加した点が実施の形態1とは異なる。ここでは、実施の形態1との違いを中心に説明する。
【0056】
温度センサ50は、半導体基板1に熱的に接続されている。ここで、温度センサ50は、半導体基板1の内部に設けられていても、半導体基板1の表面に機械的に接続されていてもよい。また、温度センサ50には、例えば温度で抵抗値が変化する金属膜や、ダイオード等を用いてもよく、温度検出膜6と同じ構成のものを用いてもよい。
【0057】
補正処理部60は、画素アレイの出力端子38と温度センサ50の出力端子51とに接続されている。補正処理部60は、温度センサ50の出力を監視して半導体基板1の温度(素子温度)を得る温度処理部61と、素子温度に応じた画素出力を取得(算出)する補正データ算出部62と、減算器63とを有している。
【0058】
補正データ算出部62は、半導体基板1の温度と、その温度での撮像画素101の撮像画素信号の信号レベル(事前登録信号レベル)とを互いに対応付けて、温度対応出力情報として予め記憶している。ここで、撮像画素101は、赤外線の入射によって発生する温度検出部5の温度変化に応じた電気信号を出力するものであり、半導体基板1及び遮蔽膜7から放射されて温度検出部5に入射する画素内放射赤外線の赤外線量がわかっていれば、その赤外線量に対応する温度検出部5の温度の変化量、即ち撮像画素101の撮像画素信号の信号レベルを算出又は試験等によって事前に求めることができる。
【0059】
つまり、撮像画素101に入射した赤外線が、半導体基板1及び遮蔽膜7から放射された画素内放射赤外線であるとすれば、半導体基板1の温度を監視し、半導体基板1の温度を用いて、画素内放射赤外線に対応する撮像画素101の撮像画素信号の信号レベルを取得(算出)できる。従って、補正データ算出部62は、半導体基板1の温度に対応する撮像画素信号の信号レベルを、温度対応出力情報に基づいて取得する。
【0060】
減算器63は、水平信号線26から受けた撮像画素信号の信号レベルから、補正データ算出部62によって取得された半導体基板1の温度に対応する撮像画素信号の信号レベルを減じて、水平信号線26から受けた撮像画素信号の信号レベルを補正する。この補正後の撮像画素信号の信号レベルは、光学系150からの光学系通過赤外線152に応じた値に他ならない。
【0061】
なお、補正処理部60は、演算処理部(CPU)と、記憶部と、信号入出力部とを有するコンピュータ(図示せず)により構成することができる。補正処理部60のコンピュータの記憶部には、温度処理部61及び補正データ算出部62の機能を実現するためのプログラムが格納されている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0062】
上記のような実施の形態4によれば、参照画素102を省略した構成であっても、半導体基板1の温度が変化しても、撮像画素信号の信号レベルにおける温度の変化分を相殺することができ、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0063】
なお、実施の形態1〜4では、温度検出部としてダイオードを用いた構成について説明した。しかしながら、この例に限定するものではなく、温度検出部としてボロメータ(抵抗)を用いてもよい。この場合、実施の形態1〜4において、ダイオード21とともに用いられた読み出し回路24やサンプルホールド回路28や定電流源29を省略可能となる。
【0064】
また、実施の形態1〜4では、遮蔽膜7及び反射膜8の両方を被覆面部として用いた構成について説明した。しかしながら、この例に限定するものではなく、反射膜8を省略して、遮蔽膜7のみを被覆面部として用いてもよい。
【0065】
さらに、実施の形態1〜4では、撮像画素101の配列を二次元配列とした例について説明した。しかしながら、複数の撮像画素101の画素配列を1次元配列としてもよく、あるいは画素配列を格子状以外の形状に配列してもよい。
【0066】
また、実施の形態1〜4における水平走査回路27、垂直走査回路32及び補正回路40の各回路の機能を、演算処理部(CPU)と、記憶部と、信号入出力部とを有するコンピュータの演算処理によって実現してもよい。
【0067】
さらに、実施の形態1〜4では、複数の空洞部1aのそれぞれの開口面が、光学系150の開口面である光学系開口面151に対して平行になるように配置されていた。しかしながら、この例に限定するものではなく、複数の空洞部1aのそれぞれの開口面が、光学系開口面151に対して傾いて配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 半導体基板(基材)、1a 空洞部、3 支持脚、5 温度検出部、7 遮蔽膜、37 減算器(温度変化補正部)、40 補正回路(温度変化補正部)、50 温度センサ(基材温度検出手段)、60 補正処理部(温度変化補正部)、100 赤外線撮像装置、101 撮像画素、101a 撮像画素開口、102 参照画素、150 光学系。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系に間隔をおいて対向配置されかつ前記光学系と対向する面にその面の裏側へ向けて窪む凹状の複数の空洞部が設けられた基材と、
前記複数の空洞部にそれぞれ配置され、被写体を撮像するための複数の撮像画素と
を備える赤外線撮像装置であって、
前記複数の撮像画素のそれぞれは、
前記基材に接続され、かつ前記空洞部内に配置された支持脚と、
前記支持脚を介して前記空洞部内に配置され、前記空洞部内の温度に応じた信号を生成するための温度検出部と、
前記空洞部の開口を覆うように面状に前記基材に設けられ、面全体における前記光学系からの赤外線が当る箇所に前記光学系からの赤外線を前記空洞部内の前記温度検出部へ通すための撮像画素開口が空けられ、前記光学系以外の物体から前記撮像素子へ向けて放射され外乱となる赤外線である外乱赤外線を面全体における前記撮像画素開口以外の箇所で遮断する被覆面部と
を有することを特徴とする赤外線撮像装置。
【請求項2】
前記温度検出部からの信号である撮像画素信号を受け、前記撮像画素信号の信号レベルを、前記基材の温度に応じて補正する温度変化補正部
をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の赤外線撮像装置。
【請求項3】
前記基材に形成され、前記基材の温度に応じた信号である参照画素信号を生成するための参照画素
をさらに備え、
前記温度変化補正部は、前記参照画素からの前記参照画素信号を受け、前記参照画素信号の信号レベルを用いて前記撮像画素信号の信号レベルを補正する
ことを特徴とする請求項2記載の赤外線撮像装置。
【請求項4】
前記参照画素は、前記基板に複数形成されており、
前記温度変化補正部は、前記複数の参照画素の前記参照画素信号の信号レベルを用いて、前記撮像画素信号の信号レベルを補正する
ことを特徴とする請求項3記載の赤外線撮像装置。
【請求項5】
前記複数の撮像画素は、行列で表される画素アレイをなすように二次元的に並べられて配置されており、
前記複数の参照画素は、前記画素アレイにおける行あるいは列に属するように、一次元的あるいは二次元的に並べられて配置されており、
前記温度変化補正部は、前記撮像画素信号の信号レベルを補正する際に、その撮像画素の属する行あるいは列と同一の行あるいは列に属する前記参照画像の前記参照画素信号の信号レベルを用いて、前記撮像画素信号の信号レベルを補正する
ことを特徴とする請求項4記載の赤外線撮像装置。
【請求項6】
前記基材に熱的に接続され前記基材の温度に応じた信号を生成する基材温度検出手段
をさらに備え、
前記温度変化補正部は、
前記基材温度検出手段を介して前記基材の温度を監視し、
前記基材の温度と、その温度での前記撮像画素信号の信号レベルである事前登録信号レベルとを互いに対応付けて温度対応出力情報として予め記憶し、
監視している前記基材の温度に対応する前記事前登録信号レベルを、前記温度対応出力情報に基づいて取得し、
その取得した前記事前登録信号レベルを用いて、前記撮像画素から受けた前記撮像画素信号の信号レベルを補正する
ことを特徴とする請求項2記載の赤外線撮像装置。
【請求項7】
前記被覆面部は、
前記基材における前記光学系側の面に前記空洞部を覆うように設けられ、前記外乱赤外線を遮断するための遮蔽膜と、
前記遮蔽膜における前記光学系側の面に設けられ、前記外乱赤外線を反射させるための反射膜と
を有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の赤外線撮像装置。
【請求項1】
光学系に間隔をおいて対向配置されかつ前記光学系と対向する面にその面の裏側へ向けて窪む凹状の複数の空洞部が設けられた基材と、
前記複数の空洞部にそれぞれ配置され、被写体を撮像するための複数の撮像画素と
を備える赤外線撮像装置であって、
前記複数の撮像画素のそれぞれは、
前記基材に接続され、かつ前記空洞部内に配置された支持脚と、
前記支持脚を介して前記空洞部内に配置され、前記空洞部内の温度に応じた信号を生成するための温度検出部と、
前記空洞部の開口を覆うように面状に前記基材に設けられ、面全体における前記光学系からの赤外線が当る箇所に前記光学系からの赤外線を前記空洞部内の前記温度検出部へ通すための撮像画素開口が空けられ、前記光学系以外の物体から前記撮像素子へ向けて放射され外乱となる赤外線である外乱赤外線を面全体における前記撮像画素開口以外の箇所で遮断する被覆面部と
を有することを特徴とする赤外線撮像装置。
【請求項2】
前記温度検出部からの信号である撮像画素信号を受け、前記撮像画素信号の信号レベルを、前記基材の温度に応じて補正する温度変化補正部
をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の赤外線撮像装置。
【請求項3】
前記基材に形成され、前記基材の温度に応じた信号である参照画素信号を生成するための参照画素
をさらに備え、
前記温度変化補正部は、前記参照画素からの前記参照画素信号を受け、前記参照画素信号の信号レベルを用いて前記撮像画素信号の信号レベルを補正する
ことを特徴とする請求項2記載の赤外線撮像装置。
【請求項4】
前記参照画素は、前記基板に複数形成されており、
前記温度変化補正部は、前記複数の参照画素の前記参照画素信号の信号レベルを用いて、前記撮像画素信号の信号レベルを補正する
ことを特徴とする請求項3記載の赤外線撮像装置。
【請求項5】
前記複数の撮像画素は、行列で表される画素アレイをなすように二次元的に並べられて配置されており、
前記複数の参照画素は、前記画素アレイにおける行あるいは列に属するように、一次元的あるいは二次元的に並べられて配置されており、
前記温度変化補正部は、前記撮像画素信号の信号レベルを補正する際に、その撮像画素の属する行あるいは列と同一の行あるいは列に属する前記参照画像の前記参照画素信号の信号レベルを用いて、前記撮像画素信号の信号レベルを補正する
ことを特徴とする請求項4記載の赤外線撮像装置。
【請求項6】
前記基材に熱的に接続され前記基材の温度に応じた信号を生成する基材温度検出手段
をさらに備え、
前記温度変化補正部は、
前記基材温度検出手段を介して前記基材の温度を監視し、
前記基材の温度と、その温度での前記撮像画素信号の信号レベルである事前登録信号レベルとを互いに対応付けて温度対応出力情報として予め記憶し、
監視している前記基材の温度に対応する前記事前登録信号レベルを、前記温度対応出力情報に基づいて取得し、
その取得した前記事前登録信号レベルを用いて、前記撮像画素から受けた前記撮像画素信号の信号レベルを補正する
ことを特徴とする請求項2記載の赤外線撮像装置。
【請求項7】
前記被覆面部は、
前記基材における前記光学系側の面に前記空洞部を覆うように設けられ、前記外乱赤外線を遮断するための遮蔽膜と、
前記遮蔽膜における前記光学系側の面に設けられ、前記外乱赤外線を反射させるための反射膜と
を有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の赤外線撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−232157(P2011−232157A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102247(P2010−102247)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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