車両のナビゲーション装置
【課題】自車両が走行する経路について、強風に関する情報を適宜運転者に提供して、安全かつ効率的な運転を両立させることができるシステムの提供。
【解決手段】車両に搭載されたナビゲーション装置は、車両の現在位置を検出し、地図データ上で該車両が走行する経路を走行予定経路として算出する。風に関する気象情報を該車両の外部から取得し、該風に関する気象情報に基づいて、強風が生じる可能性のある領域を示す強風エリアを地図データ上に設定する。車両の走行予定経路が、強風エリア内に進入するかどうかを判定し、進入すると判定した場合、走行予定経路上の該強風エリアに進入する進入予定地点を判定する。車両が進入予定地点に近づいたならば、強風に関する報知を行い、運転者に、強風の生じる可能性のある領域に入ることを事前に知らせる。強風エリアの設定および進入予定地点の判定は、ナビゲーション装置に通信接続されたサーバで行ってもよい。
【解決手段】車両に搭載されたナビゲーション装置は、車両の現在位置を検出し、地図データ上で該車両が走行する経路を走行予定経路として算出する。風に関する気象情報を該車両の外部から取得し、該風に関する気象情報に基づいて、強風が生じる可能性のある領域を示す強風エリアを地図データ上に設定する。車両の走行予定経路が、強風エリア内に進入するかどうかを判定し、進入すると判定した場合、走行予定経路上の該強風エリアに進入する進入予定地点を判定する。車両が進入予定地点に近づいたならば、強風に関する報知を行い、運転者に、強風の生じる可能性のある領域に入ることを事前に知らせる。強風エリアの設定および進入予定地点の判定は、ナビゲーション装置に通信接続されたサーバで行ってもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載されたナビゲーション装置を利用して、経路および標識等の様々な案内を事前に運転者に提供することが行われている。
【0003】
このようなナビゲーション装置を利用した技術として、下記の特許文献1には、車両への風の影響を勘案して誘導経路を算出することが記載されている。このナビゲーション装置は、車両の許容風力を特定し、該許容風力に鑑みて現在の誘導経路が安全であるか否かを判定する。安全でないと判定すれば、他の経路を探索する。
【0004】
また、下記の特許文献2では、走行中の車両がトンネル出口において横風を受けて不安定な走行状態にならないように、適切なタイミング、適切な走行速度を運転者に告知すると共に、安全速度まで速度制御させることが記載されている。この装置では、路車間通信により外部から送信された現在車両が走行しているトンネルの出口付近の風情報を受信し、該受信した風情報に基づいて、トンネル出口付近の風を受けても安全に走行できる安全速度を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−220547号公報
【特許文献2】特開平10−247299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ナビゲーション装置は、車両を、より最適な経路で誘導することができるため、ナビゲーション装置を利用することにより、車両は、より効率的に目的地に到達することができる。他方、車両が強風にさらされると、車両が傾くおそれがあり、より注意深い運転操作を行うことが望まれる。
【0007】
上記の特許文献1では、許容風力に基づいて経路を誘導している。この文献の技術によれば、風にあおられにくい経路を選択できるものの、目的地までの走行距離および走行時間が伸長し、燃料消費量が増えるおそれがある。また、比較的風の強いエリアが広い場合には、目的地までの経路を何ら呈示することができないおそれがある。しかしながら、これでは、ナビゲーション装置としての機能が成立しなくなり、運転者がナビゲーション装置自体を使用しなくなるおそれもある。また、運転者が、目的地に向かおうとした場合には、有益な情報を何ら提供することができなくなり、安全かつ効率的な運転を両立させることが困難となる。
【0008】
したがって、車両の走行経路が強風の影響が受けるおそれがあるのであれば、事前に運転者に注意喚起して、より安全な運転を心がけるように運転者を促すようにするのが好ましい。
【0009】
路上には、吹き流しや風速計が設置されている場所であり、これらを参照すれば、運転者は、風についての強さをある程度認識することができる。しかしながら、運転中にこれらを的確に視認することは、困難なことが多い。また、上記の特許文献2のように、路車間通信を前提とすると、路上に風を計測する機器が設置されていない場所では風の強さを把握することができない。特に、突風のような予測困難な強風は、このような機器が設置されていない場所でも生じるおそれがあり、このような強風に対して対処することが困難となる。
【0010】
したがって、自車両が走行する経路について、強風に関する情報を適宜運転者に提供して、安全かつ効率的な運転を両立させることができるシステムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の一つの側面によると、車両に搭載されたナビゲーション装置であって、車両の現在位置を検出する手段と、前記検出された現在位置に基づいて、地図データ上で該車両が走行する経路を走行予定経路として算出する手段と、風に関する気象情報を該車両の外部から取得する手段と、前記取得した風に関する気象情報に基づいて、強風が生じる可能性のある領域を示す強風エリアを地図データ上に設定する手段と、前記車両の走行予定経路が、前記強風エリア内に進入するかどうかを判定する手段と、前記車両の走行予定経路が前記強風エリア内に進入すると判定した場合、前記走行予定経路上の該強風エリアに進入する進入予定地点を判定する手段と、前記車両が前記進入予定地点に近づいたならば、強風に関する報知を行う報知手段と、を備える。
【0012】
この発明によれば、強風に関する気象情報を取得し、該気象情報に基づいて、強風の生じる可能性のある領域を示す強風エリアを設定することにより、車両が該強風エリアに進入することを、事前に運転者に報知することができる。したがって、車両の運転者は、今から強風エリアに入ることを認識することができるので、より注意深い運転を実行することができる。
【0013】
この発明の一実施形態によると、車両の運転が強風の影響を受けやすい強風注意地点を予め記憶した記憶手段を備え、前記報知手段は、前記設定された強風エリアに前記強風注意地点が含まれる場合のみ、前記報知を行う。
【0014】
強風注意地点は、経験的に、車両の運転が強風の影響を受けやすいと判断されている地点である。したがって、強風エリア内に該強風注意地点が含まれていれば、該設定された強風エリアは信頼性の高いものであり、該強風エリアにおいて、車両の運転が強風の影響を受ける可能性がかなり高いと考えられる。したがって、このような場合にのみ報知を行うことにより、報知が多発するのを抑制しつつ、強風に注意して運転するよう運転者を促すことができる。
【0015】
この発明の一実施形態によると、前記走行予定経路は、前記ナビゲーション装置によって、目的地まで誘導される経路である。
【0016】
誘導経路は、目的地に至る経路として設定されるものであるから、該誘導経路上のどの領域で強風エリアに遭遇するかを早期に見極めることができる。また、車両の速度を用いることにより、どの時点で強風エリアに遭遇するかについても早期に見極めることができる。したがって、強風についての報知を、現在位置からの距離および時間の両方の観点から、より早期に行うことができる。
【0017】
この発明の一実施形態によると、前記報知手段は、前記進入予定地点が、同一の道路種別の道路上に複数存在する場合、または所定距離の区間内に複数存在する場合には、前記車両が初めて通過する進入予定地点についてのみ前記報知を行う。
【0018】
道路種別が変化しない場合や比較的短い距離内に複数の進入予定地点が存在する場合、すべての進入予定地点について報知を行うと、運転者にわずらわしさを感じさせるおそれがある。この発明によれば、このような複数の進入予定地点については、最初に通過する進入予定地点についての報知に制限するので、このようなわずらわしさを回避することができる。
【0019】
この発明の一実施形態によると、前記報知手段は、前記車両の速度が所定値以上の場合にのみ、前記報知を行う。
【0020】
横風等の風が車両の走行に影響を与える度合いは、該車両の速度に依存している。車両の速度が低ければ、風による影響を抑制することができる。したがって、このような場合には報知を抑制し、車両の速度が高い場合にのみ、運転者の注意を喚起することができる。
【0021】
この発明の他の側面によると、車両に搭載されたナビゲーション装置であって、該ナビゲーション装置は、所定のサーバと通信可能なように構成されており、該ナビゲーション装置は、車両の現在位置を検出して該セサーバに送信する手段を備え、該サーバは、該受信した現在位置に基づいて、地図データ上で該車両が走行する経路を走行予定経路として算出し、風に関する気象情報を外部から取得し、前記取得した風に関する気象情報に基づいて、強風が生じる可能性のある領域を示す強風エリアを地図データ上に設定し、前記車両の走行予定経路が、前記強風エリア内に進入するかどうかを判定し、前記車両の走行予定経路が前記強風エリア内に進入すると判定した場合、前記走行予定経路上の該強風エリアに進入する進入予定地点を判定し、前記進入予定地点に前記車両が近づいたならば、報知の起動を指示するデータを、ナビゲーション装置に送信するよう構成されており、該ナビゲーション装置は、さらに、該報知の起動を指示するデータを受信したことに応じて、車両の運転者に、強風に関する報知を行う報知手段と、を備える。
【0022】
この発明では、所定のサーバ側で、強風エリアの設定とそこへの進入予定地点の判定を行う。したがって、車両に搭載されるナビゲーション装置の処理負荷を低減することができ、コストを削減することができる。また、複数の車両に対して強風に関する報知を起動することができるので、これらの車両すべての運転者に注意を喚起させることができる。
【0023】
本発明のその他の特徴及び利点については、以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の一実施例に従う、ナビゲーション装置のブロック図。
【図2】この発明の一実施例に従う、強風エリアの設定の一例を説明するための図。
【図3】この発明の一実施例に従う、強風エリアの設定の一例を説明するための図。
【図4】この発明の一実施例に従う、強風エリアの設定の一例を説明するための図。
【図5】この発明の一実施例に従う、報知形態の一例を示す図。
【図6】この発明の一実施例に従う、報知形態の一例を示す図。
【図7】この発明の一実施例に従う、強風エリアを設定するプロセスのフローチャート。
【図8】この発明の一実施例に従う、強風に関する報知を行うプロセスのフローチャート。
【図9】この発明の他の実施例に従う、強風に関する報知を行うプロセスのフローチャート。
【図10】この発明の他の実施例に従う、強風に関する報知を行うプロセスのフローチャート。
【図11】この発明の他の実施例に従う、ナビゲーションシステムのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
【0026】
図1は、この発明の一実施形態に従う、車両に搭載されるナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。該装置10は、現在位置検出部11、地図情報記憶部12、気象情報受信部25、処理装置13、入力装置14、表示装置15、およびスピーカ16を備える。
【0027】
現在位置検出部11は、たとえば人工衛星を利用して車両の位置を測定するためのGPS信号や、たとえば適宜の基地局を利用してGPS信号の誤差を補正して測位精度を向上させるためのD(differential)GPS信号等の測位信号を受信する測位信号受信部21と、水平面内での車両の向きや鉛直方向に対する傾斜角度(たとえば、車両の前後方向軸の鉛直方向に対する傾斜角度や車両重心の上下方向軸周りの回転角であるヨー角等)および傾斜角度の変化量(たとえば、ヨーレート等)を検出するジャイロセンサ22と、車両の速度(車速)を検出する車速センサ23を備える。現在位置検出部11は、受信した測位信号によって、あるいは、車速やヨーレート等の検出信号に基づく自律航法の算出処理によって、車両の現在位置を算出する。こうして検出された車両の現在位置は、処理装置13に渡される。
【0028】
地図情報記憶部12は、任意の記憶装置(記憶媒体、ハードディスクドライブ等)に実現されることができ、地図情報(地図データ)を記憶する。地図情報は、表示装置15の表示画面上に地図画像を描画するのに必要なデータを含む。たとえば、地図情報は、地形図のデータと、各種の施設、街区、および湖沼等に対応したポリゴンデータと、各ポリゴンに対応づけられた施設名および地名等の文字データと、各種の記号のデータを備えている。さらに、地図情報は、道路の接続状態に関する情報を示す道路データを含む。道路データは、たとえばノード(交差点等の節目となる座標点)および各ノード間を結ぶ線であるリンク(走行路の最小単位)と、各リンクの距離とを備えている。また、道路データには、各道路について、該道路の属性を示す属性情報が含まれている。属性情報には、任意のものを含めることができ、たとえば、道路の種別(国道、県道、有料道路等の区別)、道路の形状、道路の勾配、道路の曲率、道路の幅員、レーンの数、規制(幅、高さ、レーン数等)に関する情報、停止線および信号に関する情報(停止線および信号の数等)などが含まれる。
【0029】
気象情報受信部25は、ナビゲーション装置10に備えられた、車両外部の所定のセンタと通信可能な通信装置(図示せず)を介して、該所定のセンタから、所定時間の間隔で、気象情報を受信する。この実施形態では、気象庁が発表する各種の気象情報に基づいて日本気象協会によって提供される、風に関する情報(風情報と呼ぶ)を、気象情報として取得する。
【0030】
一実施形態では、気象情報として受信する該風情報には、いわゆるアメダス(地域気象観測システム)により提供される気象観測データのうちの、風に関する情報が含まれる。該風に関する気象観測データは、地域毎に、少なくとも風速(風の強さ)を示す情報を含む。風速だけでなく、風向を示す情報をも含めて、気象観測データを取得してもよい。
【0031】
他の実施形態では、上記の気象情報として受信する風情報には、台風情報が含まれる。気象庁により発表される台風情報には、台風の暴風域および暴風警戒域に関する情報が含まれている。
【0032】
さらに他の実施形態では、上記の気象情報として受信する風情報には、気象庁により発表される警報・注意報が含まれる。気象庁の定義によると、注意報は、大雨や強風などの気象現象によって災害が起こるおそれのあるときに出され、警報は、重大な災害が起こるおそれのあるときに出されるものである。警報・注意報は、所定の区域毎に予め決められた基準を満たすことに応じて気象庁より出されるものなので、各区域の地理的な特性をより反映した情報となっている。したがって、警報・注意報は、上記のリアルタイムに得られる気象観測データでは把握の困難な情報をユーザに提供することができる。警報・注意報の種類は気象庁により予め決められている。たとえば風に関しては、現時点では、強風注意報、風雪注意報、暴風警報、暴風雪警報があり、これらは、対応する区域で所定値(区域毎に決められている)以上の風速の風が吹くおそれがある場合に出される。
【0033】
代替的に、ナビゲーション装置10に、車両外部の所定のサーバと通信可能な通信装置を設け、上記のような日本気象協会によって提供される気象情報を、該サーバを経由して受け取ってもよい。また、いわゆるVICS(道路交通情報通信システムセンタ)のようなセンタにより、上記のような気象情報が提供される場合には、該センタから直接、または上記の所定のサーバを経由して、該気象情報を取得してもよい。
【0034】
処理装置13は、中央処理装置(CPU)およびメモリを備えるコンピュータである電子制御装置(ECU)に実現されることができる。入力装置14は、乗員によってデータを入力することができる装置であり、入力装置14を介して入力されたデータは処理装置13に渡される。処理装置13によって処理された結果は、乗員が閲覧することができるように表示装置15上に表示され、および(または)スピーカ16を介して音または音声として出力される。この実施例では、表示装置15の表示画面は、入力装置14として機能するタッチパネルから構成されている。
【0035】
処理装置13は、走行予定経路算出部31、強風エリア設定部33、進入予定地点判定部35、報知制御部37、および表示制御部39を備えている。
【0036】
走行予定経路算出部31は、車両の現在位置および地図情報に基づいて、車両が、現在の位置から走行する予定の経路(走行予定経路)を算出する。走行予定経路として、誘導経路および走行推定経路を含むことができる。誘導経路は、乗員によって入力装置14を介して目的地が入力されたことに応じて、車両の現在位置から該目的地まで、最適な経路を探索することによって算出される経路である。走行予定経路算出部31は、入力された目的地までの経路を、任意の適切なアルゴリズムを用いて探索する。様々な探索手法が提案されており、所望のものを用いることができる。車両が誘導経路を逸脱した場合には、走行予定経路算出部31は、再び、車両の現在位置から目的地までの経路を探索して誘導経路を算出することができる。
【0037】
走行推定経路は、車両が現在の進行方向を維持すると仮定して、車両の現在位置から、たとえば所定距離だけ算出される経路である。たとえば、或る道路を走行している車両の場合、該道路を”道なり”に進行する経路が、走行推定経路となる。車両が、たとえば分岐点で分岐道路に進入したり、右左折によって他の道路へと曲がった場合には、該進入先の道路が走行推定経路となる。
【0038】
こうして算出された走行予定経路は、表示制御部39に渡される。表示制御部39は、車両の現在位置の周辺の地図データを地図情報記憶部12から読み出し、該地図データ上に、該車両の現在位置を表すマークおよび走行予定経路を示すラインを重ねて、表示装置15上に表示する。こうして、車両の運転者は、車両が現在どこを走行しているかを視認することができる。特に、走行予定経路が誘導経路の場合には、該誘導経路に沿って運転することにより、車両を目的地に到達させることができる。
【0039】
強風エリア設定部33は、強風が生じる可能性のある領域を、強風エリアとして地図データ上に設定する。一実施形態では、上記のように受信した気象観測データから、所定値以上の風速の地域を抽出し、該地域を含む領域として強風エリアを地図データ上に設定する。所定値は、任意の適切な値に設定されることができる(たとえば、風速20メートル)。ここで、強風エリアを設定する対象領域として、車両の走行予定経路周辺(たとえば、走行予定経路の各点を中心に所定距離範囲内)に制限してもよいし、車両の現在位置から所定距離の範囲内に制限してもよい。
【0040】
他の実施形態では、強風エリア設定部33は、上記のように受信した台風情報から、台風の暴風域(平均風速25メートル以上の風が吹いているか、吹く可能性のある地域)および暴風警戒域(台風の中心が予報円内に進んだときに、暴風域に入るおそれのある領域)に関する情報を抽出し、該暴風域および暴風警戒域の領域を、強風エリアとして地図データ上に設定する。この場合も、強風エリアを設定する対象領域として、車両の走行予定経路周辺に制限してもよいし、車両の現在位置から所定距離の範囲内に制限してもよい。
【0041】
さらに他の実施形態では、強風エリア設定部33は、上記のように受信した警報・注意報に関する情報から、該警報・注意報が出された区域に相当する領域を、強風エリアとして地図データ上に設定する。この場合も、強風エリアを設定する対象領域として、車両の走行予定経路周辺に制限してもよいし、車両の現在位置から所定距離の範囲内に制限してもよい。
【0042】
なお、上記の3つの実施形態のうちの任意のものを組み合わせることができる。すなわち、気象観測データ、台風情報、および警報・注意報のうちの1つまたは複数に基づいて強風エリアを設定することができる。上記の気象観測データ、台風情報、警報・注意報および走行予定経路は、時間の経過と共に変化するおそれがあるので、強風エリアは、所定の時間間隔で更新されるのが良い。
【0043】
進入予定地点判定部35は、こうして設定された強風エリアと、走行予定経路とを比較し、強風エリアに走行予定経路が進入するかどうかを判断する。進入すると判断したならば、進入予定の地点(位置)を判定する。
【0044】
報知制御部37は、上記のように検出された車両の現在位置に基づいて、判定された進入予定地点付近(進入予定地点でもよいし、進入予定地点から所定距離だけ手前に離れた地点でもよい)に実際に車両が到達したかどうかを判定し、到達したと判定したならば、運転者に、今から強風エリアに車両が進入することを知らせる報知を実行する。上記の所定距離は、任意の値に設定されることができる(たとえば、200メートル)。こうして、今から強風エリアに車両が進入することを事前に運転者に知らせることができる。強風エリアが更新されるたびに、進入予定地点判定部35も、進入予定地点を更新する。
【0045】
報知は、任意の形態で行うことができる。たとえば、スピーカ16を介して、所定の音により、または音声により、知らせることができる。音声として、強風に注意する旨のメッセージを含めることができる。また、表示装置15を介して視覚的な表示により知らせることができる。表示装置15上に、強風に注意する旨のメッセージを表示したり、強風エリアまでの走行距離や走行時間を表示することができる。音または音声による報知と、視覚的な表示による報知とを組み合わせてもよい。
【0046】
ここで、走行予定経路が誘導経路である場合には、目的地までの経路が算出されているので、車両の現在位置からより遠方の進入予定地点を判定することができ、該進入予定地点に車両が到達するまでの走行距離や走行時間を算出し、これを報知することができる。したがって、誘導経路の場合には、走行推定経路である場合に比べて、より早期に、運転者に、強風の起こりうる領域までの距離や時間等を知らせて注意を喚起させることができる。
【0047】
一実施形態では、報知制御部37は、車両の現在位置が、上記の進入予定地点付近に到達し、かつ、車速センサ23により検出された車両の速度が所定値以上の場合に、上記の報知を行う。車両に対する風の影響は、車両の速度に依存する。車両の速度が低ければ、風の影響を小さくすることができる。したがって、車両の速度が所定値より低ければ、運転者が注意して運転していると考え、報知の頻度を抑制するためにも、報知を禁止する。車両の速度が所定値以上の場合に報知を行うことで、より注意した運転を行うよう運転者に促すことができる。この場合の報知は、車両の速度を低めることを促すメッセージを含んでもよい。
【0048】
また、一実施形態では、同一種別の道路上に進入予定地点が複数存在する場合、または所定距離の区間内に進入予定地点が複数存在する場合、これらの複数の進入予定地点についての報知は、車両が最初に通過する進入予定地点についてのみ行うようにしてもよい。たとえば、車両の走行予定経路が高速道路であり、該高速道路に複数の進入予定地点が判定されたならば、車両が最初の進入予定地点付近に達したときのみ報知を行う。これは、同一種別の道路を走行している間や、比較的短い距離の区間内を走行している間は、一旦報知が行われれば、運転者の注意を喚起することができるためである。また、このような走行を行っているときに報知を多発すると、運転者にわずらわしさを感じさせるおそれがあるためである。ここで、道路種別は、たとえば、道路データに予め属性情報として格納されているものを用いることができ、たとえば、高速道路とそれ以外の一般道路の種別でもよい。また、一般道路については、国道およびその他の道路という種別を用いてもよい。さらに、同じ法定速度の道路を、同一種別とみなしてもよい。
【0049】
一実施形態では、地図情報記憶部12に記憶された地図情報から強風注意場所を読み出す強風注意場所抽出部41が備えられる。この場合、地図情報には、予め、強風注意場所が格納されている。強風注意場所は、たとえば吹き流しや「横風注意」のような、強風に注意することを促す標識が設置されている場所である。このような強風注意場所は、経験的に、強風によって車両の運転が影響されやすい場所を示している。したがって、強風注意場所を利用して、強風エリアの設定や報知制御を行うことができ、この形態について、以下にいくつか説明する。
【0050】
一実施形態では、強風注意場所が集中して存在している場所を含むように、強風エリアを設定することができる。たとえば、複数の強風注意場所が、所定距離範囲内に存在している場所を地図情報から読み出し、該複数の強風注意場所を含むように強風エリアを設定する。代替的に、隣接する強風注意場所間の距離が所定値以下である強風注意場所を地図情報から読み出し、これらの強風注意場所を含むように強風エリアを設定してもよい。こうして設定された強風エリアに基づいて、上記のように進入予定地点を判定して報知を行うようにしてもよい。なお、このような強風注意場所に基づく強風エリアの設定は、上記の気象情報に基づく強風エリアの設定に追加して行うことができる。この場合、強風注意場所に基づく強風エリアについては、実際に強風が生じる可能性があるかどうかは現在の気象状況に依存する。したがって、報知の形態を、気象情報に基づいて設定された強風エリアの場合と異ならせ、たとえば、強風注意場所が集中した領域に車両が進入する旨を伝える報知を行うようにしてもよい。
【0051】
他の実施形態では、強風注意場所が、外部からの気象情報に基づいて設定された強風エリアに含まれるか否かで、報知形態を変化させることができる。一例では、報知制御部37が、気象情報に基づいて設定された強風エリア内に、強風注意場所が存在するかどうかを判断する。存在するならば報知を行い、存在しなければ報知を抑制する。他の例では、強風エリア内を通過する走行予定経路について、強風注意場所が存在するかどうかを判断する。強風注意場所が存在する場合には報知を行い、存在しない場合には、報知を抑制するようにしてもよい。強風注意場所は、経験的に強風により車両が影響を受けやすい場所であるので、設定された強風エリアに強風注意場所が含まれるということは、強風エリア内で実際に強風が生じて車両に影響する可能性が高いことを示す。したがって、このような場合にのみ報知を行うことで、報知の多発を抑制することができる。
【0052】
代替的に、上記のように報知の有無で違いをつけるのではなく、報知の内容を変化させてもよい。強風エリア内または該強風エリア内の走行予定経路に強風注意場所が存在しない場合には、運転者の注意を軽く喚起するメッセージ(たとえば、単に、強風に注意する旨を音声で知らせる)とし、強風注意場所が存在する場合には、運転者の注意をより強く喚起するメッセージ(たとえば、強風に注意する旨を音声で知らせると共に、注意を喚起する図形や文字等を表示装置15上に表示する)とすることができる。
【0053】
ここで、図2〜図4を参照して、上記に説明した、強風エリアの設定と進入予定地点の判定のいくつかの例を説明する。
【0054】
図2は、日本気象協会から取得した地域毎の風に関する気象観測データ(風速を含む)に基づいて、強風エリアを設定する形態を示す。符号201〜203で示される網掛けされた矢印は、それぞれ、風速5メートル以上の地域、風速10メートル以上の地域、風速20メートル以上の地域を示している。
【0055】
走行予定経路算出部31により算出される走行予定経路の一例が、符号211によって示されており、自車両の現在位置は、符号P1によって表されている。強風エリア設定部33は、風速20メートル以上の地域を抽出し、これらの地域を含むように、強風エリア213を設定する。たとえば、各矢印205について、該矢印205で示される地域を含み、かつ該地域から所定距離範囲内の領域を設定し、該領域が、他の矢印205の領域と重なるか隣接する場合には、これを、1つの強風エリアに設定する。この例の場合には、すべての矢印205について設定された領域が重なるか、もしくは隣接しており、よって、1つの強風エリア213が設定されている。この例では、わかりやすくするため、強風エリア213は楕円形で示されているが、強風エリア213の形状は、任意に設定されることができる。
【0056】
進入予定地点判定部35は、強風エリア213と走行予定経路211とを比較することで、走行予定経路211が強風エリア213に進入すると判断し、進入予定地点P2を判定する。報知制御部37は、進入予定地点P2から、所定距離d1だけ離れた地点P3を報知実行地点とし、車両が、報知実行地点P3に到達したかどうかを判断する。到達したならば、音/音声および(または)視覚的表示を介して運転者に報知を行う。
【0057】
図3は、日本気象協会から取得した台風情報(暴風域および暴風警戒域に関する情報を含む)に基づいて、強風エリアを設定する形態を示す。符号221で示される円は、台風の暴風域を示しており、符号223および225で示される円は、台風が予報円の通りに進んだ場合に、所定時刻において暴風域となる可能性のある暴風警戒域を示している。図には、暴風域および暴風警戒域を接線227および229で接続しており、これらの接線で囲まれる領域は、強風となる可能性のある領域(以下、単に暴風警戒域と呼ぶ)といえる。
【0058】
走行予定経路算出部31により算出される走行予定経路の一例が、符号231によって示されており、自車両の現在位置は、符号P1によって表されている。強風エリア設定部33は、上記の暴風警戒域を抽出し、該抽出した暴風警戒域に基づいて、強風エリア233に設定する。この例では、暴風警戒域内の、走行予定経路を含む所定範囲の大きさの領域が、強風エリア233として設定されている。
【0059】
進入予定地点判定部35は、強風エリア233と走行予定経路231とを比較することによって、走行予定経路231が、強風エリア233に進入すると判断し、進入予定地点P2を判定する。報知制御部37は、進入予定地点P2から、所定距離d1だけ離れた地点P3を報知実行地点とし、車両が、該報知実行地点P3に到達したならば、音/音声および(または)視覚的表示を介して運転者に報知を行う。
【0060】
このように、強風が生じるおそれのある領域が、強風エリアとして、現在の気象情報に基づいてリアルタイムに設定され、該強風エリアに車両が進入する予定の地点が判定され、該地点に至る前に強風に関する情報を運転者に報知することができる。したがって、運転者は、今から車両が強風の起こりうる場所を走行することになるのを認識することができ、よってより注意深い運転を行うことができる。また、日本気象協会(気象庁)からの風に関する情報(気象観測データ、台風情報、警報・注意報等)を用いるので、風を計測するための機器が設置されていない場所でも、強風の生じうる領域を推定して、運転者に知らせることができる。
【0061】
図4は、地図情報に予め設定された強風注意場所に基づいて、強風エリアを設定する形態を示す。符号241で示される図形は、横風注意の標識または吹き流しが設置されている強風注意場所を示しており、該強風注意場所は、地図情報に予め記憶されている。
【0062】
走行予定経路算出部31により算出される走行予定経路の一例が、符号251によって示されており、自車両の現在位置は、符号P1によって表されている。強風エリア設定部33は、強風注意場所241を地図情報から探索し、該強風注意場所241を含む領域を、強風エリア253に設定する。この例では、所定距離の範囲内の3箇所に強風注意場所241が集中して設けられており、該3箇所の強風注意場所241を含むよう強風エリア253が設定されている。
【0063】
進入予定地点判定部35は、強風エリア253と走行予定経路251とを比較することによって、走行予定経路251が、強風エリア253に進入すると判断し、進入予定地点P2を判定する。報知制御部37は、進入予定地点P2から所定距離d1だけ離れた地点P3を、報知実行地点とし、車両が、該報知実行地点P2に到達したならば、音/音声および(または)視覚的表示を介して運転者に報知を行う。
【0064】
このように、経験的に強風に注意すべきと判断された場所が集中して存在している場合には、強風エリアとして設定し、該強風エリアに車両が入る際に報知を行うことができる。この報知により、運転者は、強風注意の領域に進入することを認識することができるので、より注意した運転を実行することができる。
【0065】
図5および図6は、報知制御部37による報知形態についての例を示す図である。
【0066】
図5は、表示制御部39によって表示装置15上に表示された地図データ301であり、該地図データ上に、自車両の現在位置P1と走行予定経路311が重ねて表示されている。符号321は、スピーカによる報知を模式的に表したものであり、この例での報知が、スピーカ16を介した音声によって行われることを示す。
【0067】
報知制御部37は、前述したように、車両が、進入予定地点または進入予定地点から所定距離だけ離れた地点に到達したと判断したことによって、スピーカ16を介して、「この先、横風に注意してください」等の、注意を喚起するメッセージを伝えることにより、報知を行う。
【0068】
また、他の例では、「この先約10キロメートルまで横風に注意してください」等の、強風エリアの大きさを示唆するようなメッセージを伝えてもよい。たとえば、地図情報に基づいて、強風エリアに重なる走行予定経路の距離を算出することにより、このようなメッセージをリアルタイムに作成して発行することができる。また、たとえば高速道路を走行しており、設定された強風エリアが、次のサービスエリア、パーキングエリア、またはジャンクションまで広がっている場合には、たとえば、「次のサービスエリアまで横風に注意してください」等のメッセージをリアルタイムに作成して発行することができる。
【0069】
図6は、表示装置15上の視覚的な表示によって報知を行う場合の例を示す。(a)の例では、強風注意を示す表示401を行うと共に、暴風域までの走行距離および走行時間を、表示403によって知らせている。このような表示は、進入予定地点よりも前の地点で報知を行う場合に適用される。報知制御部37は、強風エリアへの進入予定地点までの距離を地図情報に基づいて算出し、該距離を、車速センサ23によって検出された車両の速度で除算することにより、該進入予定地点に到達するまでの時間を算出する。こうして算出された距離および時間を、表示403のように表示することができる。また、図に示す表示403は、台風の暴風域を示しているが、台風でない場合には、この表示を変更することができる。たとえば「風速20メートル以上の地域」等のように、風の強さを知らせるメッセージとしてもよい。
【0070】
また、前述したように、当該強風エリアについて、警報および注意報のいずれかが出されている場合には、該出されている警報および注意報を画面に表示するようにしてもよい。たとえば、「気象庁により暴風警報が出されています」のようなメッセージを表示することができる。このようなメッセージ表示により、乗員は、暴風により重大な災害が発生するおそれがあると気象庁により予想されていることを、認識することができる。
【0071】
(b)の例では、表示制御部39によって表示装置15上に地図データ411が表示され、自車両の現在位置P1と走行予定経路413(太い実線)が重ねて表示されている。また、強風エリア415(網掛けされている)が、該地図データ上に重ねて表示されている。報知制御部37は、報知を実行する地点に車両が到達したことに応じて、表示制御部39により表示される地図データ上に、強風エリアを重ねて表示することができる。このような表示を行うことにより、運転者は、進行方向上に強風の生じうる領域が存在していることを視覚的に認識することができると共に、該領域の大きさについても、視覚的に認識することができる。
【0072】
(a)のような表示と(b)のような表示を、自動的に、または乗員の何らかの操作に応じて、交互に表示されるようにしてもよい。
【0073】
図7は、この発明の一実施形態に従う、処理装置13により実行される、気象情報を受信して強風エリアを設定するプロセスのフローチャートである。該プロセスは、所定の時間間隔で実行されることができる。ここで、走行予定経路は、処理装置13によって算出されているものとする。
【0074】
ステップS11において、気象情報として、風情報(前述したように、気象観測データ、台風情報および警報・注意報のうちの任意のものを含むことができる)を受信する。ステップS12において、受信した風情報に、強風に関する情報があるかどうかを判断する。具体的には、受信した風情報に基づいて、風速が所定値以上の地域、台風情報の暴風域または暴風警戒域の地域、または警報・注意報が出されている区域があるかどうかを判断する。この判断において、前述したように、車両の現在位置から、または走行予定経路から所定距離の範囲内に制限して、風速が所定値以上の地域等があるかどうかを判断してもよい。
【0075】
ステップS12の判断がYesであれば、ステップS13において、該風速が所定値以上の地域等を、地図情報記憶部12に記憶された地図データ上にプロットし、これらの地域を含むように強風エリアを地図データ上に設定する。該風速が所定値以上の地域等がなければ、強風エリアを設定することなく、当該プロセスを抜ける。
【0076】
なお、当該プロセスは、所定時間間隔で実行されるので、該所定時間間隔で強風エリアは最新の状態に更新されることができる。
【0077】
図8は、この発明の一実施形態に従う、処理装置13により実行される、強風に関する報知を行うためのプロセスのフローチャートである。該プロセスは、図7のプロセスにおいて強風エリアが設定されたことに応じて実行される。ここで、走行予定経路は、処理装置13によって算出されているものとする。
【0078】
ステップS21において、設定された強風エリアと、車両の走行予定経路とを比較することで、該走行予定経路が強風エリアに進入するかどうかを判断し、進入すると判断した場合には、進入予定地点を判定する。なお、たとえば強風エリアが設定されていない場合や、走行予定経路が強風エリアに進入しない場合には、進入予定地点を判定することはできないので、当該プロセスを抜けるようにするのがよい。
【0079】
ステップS22において、現在位置検出部11を介して取得された車両の現在位置から、進入予定地点までの距離が、所定値(たとえば、200メートル)以下かどうかを判断する。この判断がNoであれば、報知すべき地点に車両が未だ到達していないことを示すので、当該プロセスを抜ける。この判断がYesであれば、報知すべき地点に車両が到達したことを示すので、ステップS23に進む。
【0080】
ステップS23において、車速センサ23を介して取得された車両の現在の速度が、所定値(たとえば、時速20キロメートル)以上かどうかを判断する。この判断がYesならば、車速が比較的高いために横風の影響を受けやすい状況にあることを示す。したがって、ステップS24において、前述したように、音または音声を介して、および(または)視覚的な表示を介して、運転者に報知を行う。この判断がNoであれば、車速が比較的低く、運転者が注意して運転していると考えられるため、報知を行うことなく、当該プロセスを抜ける。
【0081】
図9は、この発明の他の実施形態に従う、処理装置13により実行される、報知を行うためのプロセスのフローチャートである。該プロセスは、図7のプロセスにおいて強風エリアが設定されたことに応じて実行される。
【0082】
図8と異なるのは、ステップS31の判断ステップが含まれている点であり、設定された強風エリア内を通る走行予定経路上に、前述したように予め地図情報に格納された強風注意場所が存在するかどうかを判断する。強風注意場所が存在する場合には、設定された強風エリアの信頼性が高く、該強風エリアを走行中に車両が強風の影響を受ける可能性が高いことを示すので、ステップS21に進む。ステップS21以下の処理は、図8と同様である。
【0083】
ステップS31において強風注意場所が存在しない場合には、強風エリア内を走行する場合でも、経験的に、風の影響で車両に影響を及ぼす可能性が比較的低いと考えられるため、報知の多発を抑制するためにも、報知を実行することなく当該プロセスを抜ける。前述したように、ステップS31がYesの場合とNoの場合とで、報知の形態や内容を変更するようにしてもよい。
【0084】
図10は、この発明のさらに他の実施形態に従う、処理装置13により実行される、報知を行うためのプロセスのフローチャートである。該プロセスは、図7のプロセスにおいて強風エリアが設定されたことに応じて実行される。また、該プロセスは、進入予定地点が複数判定された場合の報知形態に関するものであり、走行予定経路が高速道路である場合を例としている。
【0085】
ステップS41において、走行予定経路と強風エリアとを比較し、該走行予定経路上の次のインターチェンジ(IC)、サービスエリア(SA)(これには、パーキングエリア(PA)を含めてもよい)、またはジャンクション(JCT)までの、該走行予定経路の強風エリアへの進入予定地点をすべて判定する。
【0086】
ステップS42において、少なくとも1つの進入予定地点が判定されたかどうかを判断する。1つの進入予定地点も判定されなければ、報知する必要はないので、当該プロセスを抜ける。少なくとも1つの進入予定地点が判定されたならば、ステップS43に進む。
【0087】
ステップS43において、上記のように判定された進入予定地点が複数かどうかを判断する。複数であればステップS51に進み、単数であればステップS61に進む。ここで、進入予定地点が複数であれば、現在位置検出部11を介して取得された車両の現在位置から、最も近い進入予定地点を選択し、該選択された進入予定地点を、最近傍進入予定地点として、次のIC、SAまたはJCTまでの区間について固定する(すなわち、次のIC、SAまたはJCTを通過して次の区間に入るまでは、他の進入予定地点は、最近傍進入予定地点とはならない)。
【0088】
ステップS51において、車両の現在位置から、上記の最近傍進入予定地点までの距離が、所定値(たとえば、200メートル)以下かどうかを判断する。この判断がNoであれば、報知すべき地点に車両が未だ到達していないことを示すので、当該プロセスを抜ける。この判断がYEsであれば、報知すべき地点に車両が到達したことを示すので、ステップS52に進む。
【0089】
ステップS52において、車速センサ23を介して取得された車両の現在の速度が、所定値(たとえば、時速20キロメートル)以上かどうかを判断する。この判断がYesならば、車速が比較的高いために横風の影響を受けやすい状況にあることを示す。したがって、ステップS53において、前述したように、音または音声を介して、および(または)視覚的な表示を介して、運転者に報知を行う。この判断がNoであれば、車速が比較的低く、運転者が注意して運転していると考えられるため、報知を行うことなく、当該プロセスを抜ける。
【0090】
最近傍進入予定地点を通過した後に当該プロセスを実行したときには、ステップS51の判断がNoとなり、報知は行われない。したがって、次のIC、SA、JCTまでの区間において、最初の進入予定地点でのみ報知が行われ、他の進入予定地点では報知が行われないので、報知が多発して運転者にわずらわしさを感じさせるのを回避することができる。
【0091】
判定された進入予定地点が単数(1つ)である場合には、ステップS61〜S63が実行され、これは、図8を参照して説明したステップS22〜S24と同様であるので、説明を省略する。
【0092】
この図では、高速道路を例にして説明しているが、高速道路および他の道路において、前述したように、走行予定経路を所定の距離毎に複数の区間に限り、区間毎に1回の報知のみを行うようにしてもよい。この場合、ステップS41では、次の区間に入るまでの進入予定地点をすべて判定すればよい。
【0093】
図11は、この発明の他の実施形態に従う、ナビゲーションシステムのブロック図であり、車両に搭載されたナビゲーション装置10と、所定のサーバ100とを備える。ナビゲーション装置10とサーバ100は、所定の無線ネットワークを介して相互に通信可能なように、それぞれ通信装置(図示せず)を備えている。図1と異なるのは、強風エリアの設定、および進入予定地点の判定の処理が、サーバ100によって行われる点である。
【0094】
現在位置検出部11および地図情報記憶部12は、図1のものと同じである。しかしながら、地図情報は、車両のナビゲーション装置10に備えられるだけでなく、サーバ100にも、地図情報記憶部112として備えられる。
【0095】
また、図1の形態では、気象情報受信部25がナビゲーション装置10に備えられていたが、この形態では、サーバ100に備えられている。サーバは、所定のセンタと通信可能な通信装置(図示せず)を備えており、気象情報受信部25は、該通信装置を介して、前述したように、該所定のセンタから、所定時間の間隔で気象情報を受信する。該受信する気象情報には、前述したように、気象庁からの情報に基づく、アメダスによる気象観測データ、台風情報、警報・注意報(強風注意報、風雪注意報、暴風警報、暴風雪警報等)のうちの1つまたは複数からなる風情報が含まれる。
【0096】
処理装置13に備えられる入力装置14、表示装置15およびスピーカ16は、図1のものと同様であるので、説明を省略する。この実施形態では、処理装置13は、車両状態送信制御部51および報知制御部53を備え、サーバ100に、走行予定経路算出部131、強風エリア設定部133、進入予定地点判定部135、および報知判定部137が備えられている。
【0097】
車両状態送信制御部51は、現在位置検出部11を介して検出された車両の現在の位置および車速センサ23を介して検出された車両の現在の速度を、サーバ100に、通信装置を介して送信する。
【0098】
走行予定経路算出部131は、図1のものと同様の機能を実現するものであり、ナビゲーション装置10から受信した車両の現在位置、および地図情報記憶部112に記憶された地図情報に基づいて、車両の走行予定経路を算出する。ここで、走行予定経路が誘導経路である場合には、サーバ100は、車両状態送信制御部51から、入力装置14を介して乗員によって入力された目的地を受信する。走行予定経路算出部131は、車両の現在位置から該目的地までの最適な経路を、地図情報に基づいて算出することができる。走行予定経路算出部131によって算出された走行予定経路を示すデータを、ナビゲーション装置10に送信する。ナビゲーション装置10の表示制御部39は、地図情報記憶部12から、車両の現在位置の周辺の地図データを読み出し、該地図データ上に、該車両の現在位置を表すマークおよび受信した走行予定経路を示すラインを重ねて、表示装置15上に表示することができる。
【0099】
強風エリア設定部133は、図1のものと同様の機能を実現するものであり、前述したように、一実施形態では、上記のように受信した気象観測データから、所定値以上の風速の地域を抽出し、該地域を含む領域として強風エリアを地図データ上に設定する。他の実施形態では、上記のように受信した台風情報から、台風の暴風域および暴風警戒域に関する情報を抽出し、これらの地域を含む領域を、強風エリアとして地図データ上に設定する。さらに他の実施形態では、上記のように受信した警報・注意報から、該警報・注意報が出された区域を抽出し、該区域に対応する領域を、強風エリアとして地図データ上に設定する。前述したように、これらの実施形態のうちの任意のものを用いて強風エリアを設定してよい。
【0100】
進入予定地点判定部135も、図1のものと同様の機能を実現するものであり、こうして設定された強風エリアと走行予定経路とを比較することで、走行予定経路が強風エリアに進入するかどうかを判断し、進入すると判断した場合には、強風エリアに走行予定経路が進入する予定の地点(位置)を判定する。
【0101】
報知判定部137は、上記のように検出された車両の現在位置に基づいて、判定された進入予定地点付近(進入予定地点でもよいし、進入予定地点から所定距離だけ手前に離れた地点でもよい)に実際に車両が到達したかどうかを判定し、到達したと判定したならば、報知の実行を指示するデータ(信号)を、ナビゲーション装置10に送信する。ナビゲーション装置10の報知制御部53は、指示データを受信したことに応じて、運転者に、今から強風エリアに車両が進入することを知らせる報知を実行する。報知は、前述したように、任意の所望の形態で行うことができる。
【0102】
図1を参照して説明した、車両の速度を考慮した形態の場合、サーバ100の報知判定部137が、ナビゲーション装置10の車両状態送信制御部51から受信した車両の現在位置および車両の速度に基づいて、車両の現在位置が、上記の進入予定地点付近に到達し、かつ、車両の速度が所定値以上かどうかを判断する。車両の現在位置が、進入予定地点付近に到達し、かつ車両の速度が所定値以上ならば、報知の実行を指示するデータ(信号)を、ナビゲーション装置10に送信する。
【0103】
また、図1を参照して説明した、同一種別の道路上に進入予定地点が複数存在する場合、または所定距離の区間内に進入予定地点が複数存在する形態の場合、サーバ100の報知判定部137が、車両が最初の進入予定地点付近に達したことを判定し、該判定に応じて、報知の実行を指示するデータ(信号)を、ナビゲーション装置10に送信する。
【0104】
さらに、図1の形態と同様に、サーバ100に、地図情報記憶部112に記憶された地図情報から強風注意場所を読み出す強風注意場所抽出部141を備えてもよい。この場合、前述したように、強風エリア設定部133は、強風注意場所が集中して存在している場所を含むように、強風エリアを設定することができる。
【0105】
さらに、やはり前述したように、上記の気象情報を用いた強風エリアの設定と、強風注意場所とを組み合わせて、報知形態を変化させることができ、一例では、報知判定部137が、気象情報に基づいて設定された強風エリア内に、強風注意場所が存在するかどうかを判断する。存在するならば、報知の実行を指示するデータ(信号)をナビゲーション装置10に送信し、存在しなければ、このような指示データをナビゲーション装置10には送信しない(すなわち、報知しない)。他の例では、強風エリアを通過する走行予定経路について、強風注意場所が存在するかどうかを判断する。強風注意場所が存在する場合には、報知の実行を指示するデータ(信号)をナビゲーション装置10に送信し、存在しなければ、このような指示データをナビゲーション装置10には送信しない。前述したように、代替的に、報知の有無で違いをつけるのではなく、報知の内容および(または)形態を変化させてもよい。
【0106】
図2〜図6を参照して行った説明は、この形態にも同様に適用されうる。また、図7〜図10のプロセスは、サーバ100により実行されることとなる。ここで、図8および図9のステップS24、および図10のステップS53およびS63の報知実行処理は、サーバ100からナビゲーション装置10に、報知の実行を指示するデータ(信号)を送信する処理に代えられる。該指示データを受信したナビゲーション装置10は、前述したように、強風に関する報知を実行する。
【0107】
この形態では、強風に関する報知のタイミングをサーバ100からナビゲーション装置10に指示するものとなっている。代替的に、判定した進入予定地点を示すデータをナビゲーション装置10に送信するようにしてもよい。ナビゲーション装置10は、車両が、進入予定地点付近に到達したならば、報知を実行する。また、複数の進入予定地点が判定される形態の場合には、最初の進入予定地点(図10では、最近傍進入予定地点)を示すデータのみを、ナビゲーション装置10に送信するようにしてもよい。
【0108】
なお、図11の形態では、走行予定経路はサーバ100で算出されるようになっているが、図1のように、走行予定経路を、ナビゲーション装置10で算出するようにしてもよい。この場合、算出された走行予定経路が、車両状態送信制御部51によってサーバ100に送信される。
【0109】
このようにサーバに、強風に関する報知を行うためのプロセスを行わせることにより、車両のナビゲーション装置10の計算負荷が低減され、気象情報を受け取るための通信負荷やコストを低減することができる。また、サーバ100には、複数の車両が通信接続されることができる。したがって、サーバ100は、強風に関する支援を、複数の車両に一度に提供することができる。サーバ100に接続される車両が、該サーバ100から、交通に関する情報等の様々な情報提供を受ける場合、これらの情報と合わせて、強風に関する情報を受けることができる。
【0110】
以上のように、この発明の特定の実施形態について説明したが、本願発明は、これら実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0111】
10 ナビゲーション装置
11 現在位置検出部
12 地図情報記憶部
13 処理装置
100 サーバ
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載されたナビゲーション装置を利用して、経路および標識等の様々な案内を事前に運転者に提供することが行われている。
【0003】
このようなナビゲーション装置を利用した技術として、下記の特許文献1には、車両への風の影響を勘案して誘導経路を算出することが記載されている。このナビゲーション装置は、車両の許容風力を特定し、該許容風力に鑑みて現在の誘導経路が安全であるか否かを判定する。安全でないと判定すれば、他の経路を探索する。
【0004】
また、下記の特許文献2では、走行中の車両がトンネル出口において横風を受けて不安定な走行状態にならないように、適切なタイミング、適切な走行速度を運転者に告知すると共に、安全速度まで速度制御させることが記載されている。この装置では、路車間通信により外部から送信された現在車両が走行しているトンネルの出口付近の風情報を受信し、該受信した風情報に基づいて、トンネル出口付近の風を受けても安全に走行できる安全速度を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−220547号公報
【特許文献2】特開平10−247299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ナビゲーション装置は、車両を、より最適な経路で誘導することができるため、ナビゲーション装置を利用することにより、車両は、より効率的に目的地に到達することができる。他方、車両が強風にさらされると、車両が傾くおそれがあり、より注意深い運転操作を行うことが望まれる。
【0007】
上記の特許文献1では、許容風力に基づいて経路を誘導している。この文献の技術によれば、風にあおられにくい経路を選択できるものの、目的地までの走行距離および走行時間が伸長し、燃料消費量が増えるおそれがある。また、比較的風の強いエリアが広い場合には、目的地までの経路を何ら呈示することができないおそれがある。しかしながら、これでは、ナビゲーション装置としての機能が成立しなくなり、運転者がナビゲーション装置自体を使用しなくなるおそれもある。また、運転者が、目的地に向かおうとした場合には、有益な情報を何ら提供することができなくなり、安全かつ効率的な運転を両立させることが困難となる。
【0008】
したがって、車両の走行経路が強風の影響が受けるおそれがあるのであれば、事前に運転者に注意喚起して、より安全な運転を心がけるように運転者を促すようにするのが好ましい。
【0009】
路上には、吹き流しや風速計が設置されている場所であり、これらを参照すれば、運転者は、風についての強さをある程度認識することができる。しかしながら、運転中にこれらを的確に視認することは、困難なことが多い。また、上記の特許文献2のように、路車間通信を前提とすると、路上に風を計測する機器が設置されていない場所では風の強さを把握することができない。特に、突風のような予測困難な強風は、このような機器が設置されていない場所でも生じるおそれがあり、このような強風に対して対処することが困難となる。
【0010】
したがって、自車両が走行する経路について、強風に関する情報を適宜運転者に提供して、安全かつ効率的な運転を両立させることができるシステムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の一つの側面によると、車両に搭載されたナビゲーション装置であって、車両の現在位置を検出する手段と、前記検出された現在位置に基づいて、地図データ上で該車両が走行する経路を走行予定経路として算出する手段と、風に関する気象情報を該車両の外部から取得する手段と、前記取得した風に関する気象情報に基づいて、強風が生じる可能性のある領域を示す強風エリアを地図データ上に設定する手段と、前記車両の走行予定経路が、前記強風エリア内に進入するかどうかを判定する手段と、前記車両の走行予定経路が前記強風エリア内に進入すると判定した場合、前記走行予定経路上の該強風エリアに進入する進入予定地点を判定する手段と、前記車両が前記進入予定地点に近づいたならば、強風に関する報知を行う報知手段と、を備える。
【0012】
この発明によれば、強風に関する気象情報を取得し、該気象情報に基づいて、強風の生じる可能性のある領域を示す強風エリアを設定することにより、車両が該強風エリアに進入することを、事前に運転者に報知することができる。したがって、車両の運転者は、今から強風エリアに入ることを認識することができるので、より注意深い運転を実行することができる。
【0013】
この発明の一実施形態によると、車両の運転が強風の影響を受けやすい強風注意地点を予め記憶した記憶手段を備え、前記報知手段は、前記設定された強風エリアに前記強風注意地点が含まれる場合のみ、前記報知を行う。
【0014】
強風注意地点は、経験的に、車両の運転が強風の影響を受けやすいと判断されている地点である。したがって、強風エリア内に該強風注意地点が含まれていれば、該設定された強風エリアは信頼性の高いものであり、該強風エリアにおいて、車両の運転が強風の影響を受ける可能性がかなり高いと考えられる。したがって、このような場合にのみ報知を行うことにより、報知が多発するのを抑制しつつ、強風に注意して運転するよう運転者を促すことができる。
【0015】
この発明の一実施形態によると、前記走行予定経路は、前記ナビゲーション装置によって、目的地まで誘導される経路である。
【0016】
誘導経路は、目的地に至る経路として設定されるものであるから、該誘導経路上のどの領域で強風エリアに遭遇するかを早期に見極めることができる。また、車両の速度を用いることにより、どの時点で強風エリアに遭遇するかについても早期に見極めることができる。したがって、強風についての報知を、現在位置からの距離および時間の両方の観点から、より早期に行うことができる。
【0017】
この発明の一実施形態によると、前記報知手段は、前記進入予定地点が、同一の道路種別の道路上に複数存在する場合、または所定距離の区間内に複数存在する場合には、前記車両が初めて通過する進入予定地点についてのみ前記報知を行う。
【0018】
道路種別が変化しない場合や比較的短い距離内に複数の進入予定地点が存在する場合、すべての進入予定地点について報知を行うと、運転者にわずらわしさを感じさせるおそれがある。この発明によれば、このような複数の進入予定地点については、最初に通過する進入予定地点についての報知に制限するので、このようなわずらわしさを回避することができる。
【0019】
この発明の一実施形態によると、前記報知手段は、前記車両の速度が所定値以上の場合にのみ、前記報知を行う。
【0020】
横風等の風が車両の走行に影響を与える度合いは、該車両の速度に依存している。車両の速度が低ければ、風による影響を抑制することができる。したがって、このような場合には報知を抑制し、車両の速度が高い場合にのみ、運転者の注意を喚起することができる。
【0021】
この発明の他の側面によると、車両に搭載されたナビゲーション装置であって、該ナビゲーション装置は、所定のサーバと通信可能なように構成されており、該ナビゲーション装置は、車両の現在位置を検出して該セサーバに送信する手段を備え、該サーバは、該受信した現在位置に基づいて、地図データ上で該車両が走行する経路を走行予定経路として算出し、風に関する気象情報を外部から取得し、前記取得した風に関する気象情報に基づいて、強風が生じる可能性のある領域を示す強風エリアを地図データ上に設定し、前記車両の走行予定経路が、前記強風エリア内に進入するかどうかを判定し、前記車両の走行予定経路が前記強風エリア内に進入すると判定した場合、前記走行予定経路上の該強風エリアに進入する進入予定地点を判定し、前記進入予定地点に前記車両が近づいたならば、報知の起動を指示するデータを、ナビゲーション装置に送信するよう構成されており、該ナビゲーション装置は、さらに、該報知の起動を指示するデータを受信したことに応じて、車両の運転者に、強風に関する報知を行う報知手段と、を備える。
【0022】
この発明では、所定のサーバ側で、強風エリアの設定とそこへの進入予定地点の判定を行う。したがって、車両に搭載されるナビゲーション装置の処理負荷を低減することができ、コストを削減することができる。また、複数の車両に対して強風に関する報知を起動することができるので、これらの車両すべての運転者に注意を喚起させることができる。
【0023】
本発明のその他の特徴及び利点については、以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の一実施例に従う、ナビゲーション装置のブロック図。
【図2】この発明の一実施例に従う、強風エリアの設定の一例を説明するための図。
【図3】この発明の一実施例に従う、強風エリアの設定の一例を説明するための図。
【図4】この発明の一実施例に従う、強風エリアの設定の一例を説明するための図。
【図5】この発明の一実施例に従う、報知形態の一例を示す図。
【図6】この発明の一実施例に従う、報知形態の一例を示す図。
【図7】この発明の一実施例に従う、強風エリアを設定するプロセスのフローチャート。
【図8】この発明の一実施例に従う、強風に関する報知を行うプロセスのフローチャート。
【図9】この発明の他の実施例に従う、強風に関する報知を行うプロセスのフローチャート。
【図10】この発明の他の実施例に従う、強風に関する報知を行うプロセスのフローチャート。
【図11】この発明の他の実施例に従う、ナビゲーションシステムのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
【0026】
図1は、この発明の一実施形態に従う、車両に搭載されるナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。該装置10は、現在位置検出部11、地図情報記憶部12、気象情報受信部25、処理装置13、入力装置14、表示装置15、およびスピーカ16を備える。
【0027】
現在位置検出部11は、たとえば人工衛星を利用して車両の位置を測定するためのGPS信号や、たとえば適宜の基地局を利用してGPS信号の誤差を補正して測位精度を向上させるためのD(differential)GPS信号等の測位信号を受信する測位信号受信部21と、水平面内での車両の向きや鉛直方向に対する傾斜角度(たとえば、車両の前後方向軸の鉛直方向に対する傾斜角度や車両重心の上下方向軸周りの回転角であるヨー角等)および傾斜角度の変化量(たとえば、ヨーレート等)を検出するジャイロセンサ22と、車両の速度(車速)を検出する車速センサ23を備える。現在位置検出部11は、受信した測位信号によって、あるいは、車速やヨーレート等の検出信号に基づく自律航法の算出処理によって、車両の現在位置を算出する。こうして検出された車両の現在位置は、処理装置13に渡される。
【0028】
地図情報記憶部12は、任意の記憶装置(記憶媒体、ハードディスクドライブ等)に実現されることができ、地図情報(地図データ)を記憶する。地図情報は、表示装置15の表示画面上に地図画像を描画するのに必要なデータを含む。たとえば、地図情報は、地形図のデータと、各種の施設、街区、および湖沼等に対応したポリゴンデータと、各ポリゴンに対応づけられた施設名および地名等の文字データと、各種の記号のデータを備えている。さらに、地図情報は、道路の接続状態に関する情報を示す道路データを含む。道路データは、たとえばノード(交差点等の節目となる座標点)および各ノード間を結ぶ線であるリンク(走行路の最小単位)と、各リンクの距離とを備えている。また、道路データには、各道路について、該道路の属性を示す属性情報が含まれている。属性情報には、任意のものを含めることができ、たとえば、道路の種別(国道、県道、有料道路等の区別)、道路の形状、道路の勾配、道路の曲率、道路の幅員、レーンの数、規制(幅、高さ、レーン数等)に関する情報、停止線および信号に関する情報(停止線および信号の数等)などが含まれる。
【0029】
気象情報受信部25は、ナビゲーション装置10に備えられた、車両外部の所定のセンタと通信可能な通信装置(図示せず)を介して、該所定のセンタから、所定時間の間隔で、気象情報を受信する。この実施形態では、気象庁が発表する各種の気象情報に基づいて日本気象協会によって提供される、風に関する情報(風情報と呼ぶ)を、気象情報として取得する。
【0030】
一実施形態では、気象情報として受信する該風情報には、いわゆるアメダス(地域気象観測システム)により提供される気象観測データのうちの、風に関する情報が含まれる。該風に関する気象観測データは、地域毎に、少なくとも風速(風の強さ)を示す情報を含む。風速だけでなく、風向を示す情報をも含めて、気象観測データを取得してもよい。
【0031】
他の実施形態では、上記の気象情報として受信する風情報には、台風情報が含まれる。気象庁により発表される台風情報には、台風の暴風域および暴風警戒域に関する情報が含まれている。
【0032】
さらに他の実施形態では、上記の気象情報として受信する風情報には、気象庁により発表される警報・注意報が含まれる。気象庁の定義によると、注意報は、大雨や強風などの気象現象によって災害が起こるおそれのあるときに出され、警報は、重大な災害が起こるおそれのあるときに出されるものである。警報・注意報は、所定の区域毎に予め決められた基準を満たすことに応じて気象庁より出されるものなので、各区域の地理的な特性をより反映した情報となっている。したがって、警報・注意報は、上記のリアルタイムに得られる気象観測データでは把握の困難な情報をユーザに提供することができる。警報・注意報の種類は気象庁により予め決められている。たとえば風に関しては、現時点では、強風注意報、風雪注意報、暴風警報、暴風雪警報があり、これらは、対応する区域で所定値(区域毎に決められている)以上の風速の風が吹くおそれがある場合に出される。
【0033】
代替的に、ナビゲーション装置10に、車両外部の所定のサーバと通信可能な通信装置を設け、上記のような日本気象協会によって提供される気象情報を、該サーバを経由して受け取ってもよい。また、いわゆるVICS(道路交通情報通信システムセンタ)のようなセンタにより、上記のような気象情報が提供される場合には、該センタから直接、または上記の所定のサーバを経由して、該気象情報を取得してもよい。
【0034】
処理装置13は、中央処理装置(CPU)およびメモリを備えるコンピュータである電子制御装置(ECU)に実現されることができる。入力装置14は、乗員によってデータを入力することができる装置であり、入力装置14を介して入力されたデータは処理装置13に渡される。処理装置13によって処理された結果は、乗員が閲覧することができるように表示装置15上に表示され、および(または)スピーカ16を介して音または音声として出力される。この実施例では、表示装置15の表示画面は、入力装置14として機能するタッチパネルから構成されている。
【0035】
処理装置13は、走行予定経路算出部31、強風エリア設定部33、進入予定地点判定部35、報知制御部37、および表示制御部39を備えている。
【0036】
走行予定経路算出部31は、車両の現在位置および地図情報に基づいて、車両が、現在の位置から走行する予定の経路(走行予定経路)を算出する。走行予定経路として、誘導経路および走行推定経路を含むことができる。誘導経路は、乗員によって入力装置14を介して目的地が入力されたことに応じて、車両の現在位置から該目的地まで、最適な経路を探索することによって算出される経路である。走行予定経路算出部31は、入力された目的地までの経路を、任意の適切なアルゴリズムを用いて探索する。様々な探索手法が提案されており、所望のものを用いることができる。車両が誘導経路を逸脱した場合には、走行予定経路算出部31は、再び、車両の現在位置から目的地までの経路を探索して誘導経路を算出することができる。
【0037】
走行推定経路は、車両が現在の進行方向を維持すると仮定して、車両の現在位置から、たとえば所定距離だけ算出される経路である。たとえば、或る道路を走行している車両の場合、該道路を”道なり”に進行する経路が、走行推定経路となる。車両が、たとえば分岐点で分岐道路に進入したり、右左折によって他の道路へと曲がった場合には、該進入先の道路が走行推定経路となる。
【0038】
こうして算出された走行予定経路は、表示制御部39に渡される。表示制御部39は、車両の現在位置の周辺の地図データを地図情報記憶部12から読み出し、該地図データ上に、該車両の現在位置を表すマークおよび走行予定経路を示すラインを重ねて、表示装置15上に表示する。こうして、車両の運転者は、車両が現在どこを走行しているかを視認することができる。特に、走行予定経路が誘導経路の場合には、該誘導経路に沿って運転することにより、車両を目的地に到達させることができる。
【0039】
強風エリア設定部33は、強風が生じる可能性のある領域を、強風エリアとして地図データ上に設定する。一実施形態では、上記のように受信した気象観測データから、所定値以上の風速の地域を抽出し、該地域を含む領域として強風エリアを地図データ上に設定する。所定値は、任意の適切な値に設定されることができる(たとえば、風速20メートル)。ここで、強風エリアを設定する対象領域として、車両の走行予定経路周辺(たとえば、走行予定経路の各点を中心に所定距離範囲内)に制限してもよいし、車両の現在位置から所定距離の範囲内に制限してもよい。
【0040】
他の実施形態では、強風エリア設定部33は、上記のように受信した台風情報から、台風の暴風域(平均風速25メートル以上の風が吹いているか、吹く可能性のある地域)および暴風警戒域(台風の中心が予報円内に進んだときに、暴風域に入るおそれのある領域)に関する情報を抽出し、該暴風域および暴風警戒域の領域を、強風エリアとして地図データ上に設定する。この場合も、強風エリアを設定する対象領域として、車両の走行予定経路周辺に制限してもよいし、車両の現在位置から所定距離の範囲内に制限してもよい。
【0041】
さらに他の実施形態では、強風エリア設定部33は、上記のように受信した警報・注意報に関する情報から、該警報・注意報が出された区域に相当する領域を、強風エリアとして地図データ上に設定する。この場合も、強風エリアを設定する対象領域として、車両の走行予定経路周辺に制限してもよいし、車両の現在位置から所定距離の範囲内に制限してもよい。
【0042】
なお、上記の3つの実施形態のうちの任意のものを組み合わせることができる。すなわち、気象観測データ、台風情報、および警報・注意報のうちの1つまたは複数に基づいて強風エリアを設定することができる。上記の気象観測データ、台風情報、警報・注意報および走行予定経路は、時間の経過と共に変化するおそれがあるので、強風エリアは、所定の時間間隔で更新されるのが良い。
【0043】
進入予定地点判定部35は、こうして設定された強風エリアと、走行予定経路とを比較し、強風エリアに走行予定経路が進入するかどうかを判断する。進入すると判断したならば、進入予定の地点(位置)を判定する。
【0044】
報知制御部37は、上記のように検出された車両の現在位置に基づいて、判定された進入予定地点付近(進入予定地点でもよいし、進入予定地点から所定距離だけ手前に離れた地点でもよい)に実際に車両が到達したかどうかを判定し、到達したと判定したならば、運転者に、今から強風エリアに車両が進入することを知らせる報知を実行する。上記の所定距離は、任意の値に設定されることができる(たとえば、200メートル)。こうして、今から強風エリアに車両が進入することを事前に運転者に知らせることができる。強風エリアが更新されるたびに、進入予定地点判定部35も、進入予定地点を更新する。
【0045】
報知は、任意の形態で行うことができる。たとえば、スピーカ16を介して、所定の音により、または音声により、知らせることができる。音声として、強風に注意する旨のメッセージを含めることができる。また、表示装置15を介して視覚的な表示により知らせることができる。表示装置15上に、強風に注意する旨のメッセージを表示したり、強風エリアまでの走行距離や走行時間を表示することができる。音または音声による報知と、視覚的な表示による報知とを組み合わせてもよい。
【0046】
ここで、走行予定経路が誘導経路である場合には、目的地までの経路が算出されているので、車両の現在位置からより遠方の進入予定地点を判定することができ、該進入予定地点に車両が到達するまでの走行距離や走行時間を算出し、これを報知することができる。したがって、誘導経路の場合には、走行推定経路である場合に比べて、より早期に、運転者に、強風の起こりうる領域までの距離や時間等を知らせて注意を喚起させることができる。
【0047】
一実施形態では、報知制御部37は、車両の現在位置が、上記の進入予定地点付近に到達し、かつ、車速センサ23により検出された車両の速度が所定値以上の場合に、上記の報知を行う。車両に対する風の影響は、車両の速度に依存する。車両の速度が低ければ、風の影響を小さくすることができる。したがって、車両の速度が所定値より低ければ、運転者が注意して運転していると考え、報知の頻度を抑制するためにも、報知を禁止する。車両の速度が所定値以上の場合に報知を行うことで、より注意した運転を行うよう運転者に促すことができる。この場合の報知は、車両の速度を低めることを促すメッセージを含んでもよい。
【0048】
また、一実施形態では、同一種別の道路上に進入予定地点が複数存在する場合、または所定距離の区間内に進入予定地点が複数存在する場合、これらの複数の進入予定地点についての報知は、車両が最初に通過する進入予定地点についてのみ行うようにしてもよい。たとえば、車両の走行予定経路が高速道路であり、該高速道路に複数の進入予定地点が判定されたならば、車両が最初の進入予定地点付近に達したときのみ報知を行う。これは、同一種別の道路を走行している間や、比較的短い距離の区間内を走行している間は、一旦報知が行われれば、運転者の注意を喚起することができるためである。また、このような走行を行っているときに報知を多発すると、運転者にわずらわしさを感じさせるおそれがあるためである。ここで、道路種別は、たとえば、道路データに予め属性情報として格納されているものを用いることができ、たとえば、高速道路とそれ以外の一般道路の種別でもよい。また、一般道路については、国道およびその他の道路という種別を用いてもよい。さらに、同じ法定速度の道路を、同一種別とみなしてもよい。
【0049】
一実施形態では、地図情報記憶部12に記憶された地図情報から強風注意場所を読み出す強風注意場所抽出部41が備えられる。この場合、地図情報には、予め、強風注意場所が格納されている。強風注意場所は、たとえば吹き流しや「横風注意」のような、強風に注意することを促す標識が設置されている場所である。このような強風注意場所は、経験的に、強風によって車両の運転が影響されやすい場所を示している。したがって、強風注意場所を利用して、強風エリアの設定や報知制御を行うことができ、この形態について、以下にいくつか説明する。
【0050】
一実施形態では、強風注意場所が集中して存在している場所を含むように、強風エリアを設定することができる。たとえば、複数の強風注意場所が、所定距離範囲内に存在している場所を地図情報から読み出し、該複数の強風注意場所を含むように強風エリアを設定する。代替的に、隣接する強風注意場所間の距離が所定値以下である強風注意場所を地図情報から読み出し、これらの強風注意場所を含むように強風エリアを設定してもよい。こうして設定された強風エリアに基づいて、上記のように進入予定地点を判定して報知を行うようにしてもよい。なお、このような強風注意場所に基づく強風エリアの設定は、上記の気象情報に基づく強風エリアの設定に追加して行うことができる。この場合、強風注意場所に基づく強風エリアについては、実際に強風が生じる可能性があるかどうかは現在の気象状況に依存する。したがって、報知の形態を、気象情報に基づいて設定された強風エリアの場合と異ならせ、たとえば、強風注意場所が集中した領域に車両が進入する旨を伝える報知を行うようにしてもよい。
【0051】
他の実施形態では、強風注意場所が、外部からの気象情報に基づいて設定された強風エリアに含まれるか否かで、報知形態を変化させることができる。一例では、報知制御部37が、気象情報に基づいて設定された強風エリア内に、強風注意場所が存在するかどうかを判断する。存在するならば報知を行い、存在しなければ報知を抑制する。他の例では、強風エリア内を通過する走行予定経路について、強風注意場所が存在するかどうかを判断する。強風注意場所が存在する場合には報知を行い、存在しない場合には、報知を抑制するようにしてもよい。強風注意場所は、経験的に強風により車両が影響を受けやすい場所であるので、設定された強風エリアに強風注意場所が含まれるということは、強風エリア内で実際に強風が生じて車両に影響する可能性が高いことを示す。したがって、このような場合にのみ報知を行うことで、報知の多発を抑制することができる。
【0052】
代替的に、上記のように報知の有無で違いをつけるのではなく、報知の内容を変化させてもよい。強風エリア内または該強風エリア内の走行予定経路に強風注意場所が存在しない場合には、運転者の注意を軽く喚起するメッセージ(たとえば、単に、強風に注意する旨を音声で知らせる)とし、強風注意場所が存在する場合には、運転者の注意をより強く喚起するメッセージ(たとえば、強風に注意する旨を音声で知らせると共に、注意を喚起する図形や文字等を表示装置15上に表示する)とすることができる。
【0053】
ここで、図2〜図4を参照して、上記に説明した、強風エリアの設定と進入予定地点の判定のいくつかの例を説明する。
【0054】
図2は、日本気象協会から取得した地域毎の風に関する気象観測データ(風速を含む)に基づいて、強風エリアを設定する形態を示す。符号201〜203で示される網掛けされた矢印は、それぞれ、風速5メートル以上の地域、風速10メートル以上の地域、風速20メートル以上の地域を示している。
【0055】
走行予定経路算出部31により算出される走行予定経路の一例が、符号211によって示されており、自車両の現在位置は、符号P1によって表されている。強風エリア設定部33は、風速20メートル以上の地域を抽出し、これらの地域を含むように、強風エリア213を設定する。たとえば、各矢印205について、該矢印205で示される地域を含み、かつ該地域から所定距離範囲内の領域を設定し、該領域が、他の矢印205の領域と重なるか隣接する場合には、これを、1つの強風エリアに設定する。この例の場合には、すべての矢印205について設定された領域が重なるか、もしくは隣接しており、よって、1つの強風エリア213が設定されている。この例では、わかりやすくするため、強風エリア213は楕円形で示されているが、強風エリア213の形状は、任意に設定されることができる。
【0056】
進入予定地点判定部35は、強風エリア213と走行予定経路211とを比較することで、走行予定経路211が強風エリア213に進入すると判断し、進入予定地点P2を判定する。報知制御部37は、進入予定地点P2から、所定距離d1だけ離れた地点P3を報知実行地点とし、車両が、報知実行地点P3に到達したかどうかを判断する。到達したならば、音/音声および(または)視覚的表示を介して運転者に報知を行う。
【0057】
図3は、日本気象協会から取得した台風情報(暴風域および暴風警戒域に関する情報を含む)に基づいて、強風エリアを設定する形態を示す。符号221で示される円は、台風の暴風域を示しており、符号223および225で示される円は、台風が予報円の通りに進んだ場合に、所定時刻において暴風域となる可能性のある暴風警戒域を示している。図には、暴風域および暴風警戒域を接線227および229で接続しており、これらの接線で囲まれる領域は、強風となる可能性のある領域(以下、単に暴風警戒域と呼ぶ)といえる。
【0058】
走行予定経路算出部31により算出される走行予定経路の一例が、符号231によって示されており、自車両の現在位置は、符号P1によって表されている。強風エリア設定部33は、上記の暴風警戒域を抽出し、該抽出した暴風警戒域に基づいて、強風エリア233に設定する。この例では、暴風警戒域内の、走行予定経路を含む所定範囲の大きさの領域が、強風エリア233として設定されている。
【0059】
進入予定地点判定部35は、強風エリア233と走行予定経路231とを比較することによって、走行予定経路231が、強風エリア233に進入すると判断し、進入予定地点P2を判定する。報知制御部37は、進入予定地点P2から、所定距離d1だけ離れた地点P3を報知実行地点とし、車両が、該報知実行地点P3に到達したならば、音/音声および(または)視覚的表示を介して運転者に報知を行う。
【0060】
このように、強風が生じるおそれのある領域が、強風エリアとして、現在の気象情報に基づいてリアルタイムに設定され、該強風エリアに車両が進入する予定の地点が判定され、該地点に至る前に強風に関する情報を運転者に報知することができる。したがって、運転者は、今から車両が強風の起こりうる場所を走行することになるのを認識することができ、よってより注意深い運転を行うことができる。また、日本気象協会(気象庁)からの風に関する情報(気象観測データ、台風情報、警報・注意報等)を用いるので、風を計測するための機器が設置されていない場所でも、強風の生じうる領域を推定して、運転者に知らせることができる。
【0061】
図4は、地図情報に予め設定された強風注意場所に基づいて、強風エリアを設定する形態を示す。符号241で示される図形は、横風注意の標識または吹き流しが設置されている強風注意場所を示しており、該強風注意場所は、地図情報に予め記憶されている。
【0062】
走行予定経路算出部31により算出される走行予定経路の一例が、符号251によって示されており、自車両の現在位置は、符号P1によって表されている。強風エリア設定部33は、強風注意場所241を地図情報から探索し、該強風注意場所241を含む領域を、強風エリア253に設定する。この例では、所定距離の範囲内の3箇所に強風注意場所241が集中して設けられており、該3箇所の強風注意場所241を含むよう強風エリア253が設定されている。
【0063】
進入予定地点判定部35は、強風エリア253と走行予定経路251とを比較することによって、走行予定経路251が、強風エリア253に進入すると判断し、進入予定地点P2を判定する。報知制御部37は、進入予定地点P2から所定距離d1だけ離れた地点P3を、報知実行地点とし、車両が、該報知実行地点P2に到達したならば、音/音声および(または)視覚的表示を介して運転者に報知を行う。
【0064】
このように、経験的に強風に注意すべきと判断された場所が集中して存在している場合には、強風エリアとして設定し、該強風エリアに車両が入る際に報知を行うことができる。この報知により、運転者は、強風注意の領域に進入することを認識することができるので、より注意した運転を実行することができる。
【0065】
図5および図6は、報知制御部37による報知形態についての例を示す図である。
【0066】
図5は、表示制御部39によって表示装置15上に表示された地図データ301であり、該地図データ上に、自車両の現在位置P1と走行予定経路311が重ねて表示されている。符号321は、スピーカによる報知を模式的に表したものであり、この例での報知が、スピーカ16を介した音声によって行われることを示す。
【0067】
報知制御部37は、前述したように、車両が、進入予定地点または進入予定地点から所定距離だけ離れた地点に到達したと判断したことによって、スピーカ16を介して、「この先、横風に注意してください」等の、注意を喚起するメッセージを伝えることにより、報知を行う。
【0068】
また、他の例では、「この先約10キロメートルまで横風に注意してください」等の、強風エリアの大きさを示唆するようなメッセージを伝えてもよい。たとえば、地図情報に基づいて、強風エリアに重なる走行予定経路の距離を算出することにより、このようなメッセージをリアルタイムに作成して発行することができる。また、たとえば高速道路を走行しており、設定された強風エリアが、次のサービスエリア、パーキングエリア、またはジャンクションまで広がっている場合には、たとえば、「次のサービスエリアまで横風に注意してください」等のメッセージをリアルタイムに作成して発行することができる。
【0069】
図6は、表示装置15上の視覚的な表示によって報知を行う場合の例を示す。(a)の例では、強風注意を示す表示401を行うと共に、暴風域までの走行距離および走行時間を、表示403によって知らせている。このような表示は、進入予定地点よりも前の地点で報知を行う場合に適用される。報知制御部37は、強風エリアへの進入予定地点までの距離を地図情報に基づいて算出し、該距離を、車速センサ23によって検出された車両の速度で除算することにより、該進入予定地点に到達するまでの時間を算出する。こうして算出された距離および時間を、表示403のように表示することができる。また、図に示す表示403は、台風の暴風域を示しているが、台風でない場合には、この表示を変更することができる。たとえば「風速20メートル以上の地域」等のように、風の強さを知らせるメッセージとしてもよい。
【0070】
また、前述したように、当該強風エリアについて、警報および注意報のいずれかが出されている場合には、該出されている警報および注意報を画面に表示するようにしてもよい。たとえば、「気象庁により暴風警報が出されています」のようなメッセージを表示することができる。このようなメッセージ表示により、乗員は、暴風により重大な災害が発生するおそれがあると気象庁により予想されていることを、認識することができる。
【0071】
(b)の例では、表示制御部39によって表示装置15上に地図データ411が表示され、自車両の現在位置P1と走行予定経路413(太い実線)が重ねて表示されている。また、強風エリア415(網掛けされている)が、該地図データ上に重ねて表示されている。報知制御部37は、報知を実行する地点に車両が到達したことに応じて、表示制御部39により表示される地図データ上に、強風エリアを重ねて表示することができる。このような表示を行うことにより、運転者は、進行方向上に強風の生じうる領域が存在していることを視覚的に認識することができると共に、該領域の大きさについても、視覚的に認識することができる。
【0072】
(a)のような表示と(b)のような表示を、自動的に、または乗員の何らかの操作に応じて、交互に表示されるようにしてもよい。
【0073】
図7は、この発明の一実施形態に従う、処理装置13により実行される、気象情報を受信して強風エリアを設定するプロセスのフローチャートである。該プロセスは、所定の時間間隔で実行されることができる。ここで、走行予定経路は、処理装置13によって算出されているものとする。
【0074】
ステップS11において、気象情報として、風情報(前述したように、気象観測データ、台風情報および警報・注意報のうちの任意のものを含むことができる)を受信する。ステップS12において、受信した風情報に、強風に関する情報があるかどうかを判断する。具体的には、受信した風情報に基づいて、風速が所定値以上の地域、台風情報の暴風域または暴風警戒域の地域、または警報・注意報が出されている区域があるかどうかを判断する。この判断において、前述したように、車両の現在位置から、または走行予定経路から所定距離の範囲内に制限して、風速が所定値以上の地域等があるかどうかを判断してもよい。
【0075】
ステップS12の判断がYesであれば、ステップS13において、該風速が所定値以上の地域等を、地図情報記憶部12に記憶された地図データ上にプロットし、これらの地域を含むように強風エリアを地図データ上に設定する。該風速が所定値以上の地域等がなければ、強風エリアを設定することなく、当該プロセスを抜ける。
【0076】
なお、当該プロセスは、所定時間間隔で実行されるので、該所定時間間隔で強風エリアは最新の状態に更新されることができる。
【0077】
図8は、この発明の一実施形態に従う、処理装置13により実行される、強風に関する報知を行うためのプロセスのフローチャートである。該プロセスは、図7のプロセスにおいて強風エリアが設定されたことに応じて実行される。ここで、走行予定経路は、処理装置13によって算出されているものとする。
【0078】
ステップS21において、設定された強風エリアと、車両の走行予定経路とを比較することで、該走行予定経路が強風エリアに進入するかどうかを判断し、進入すると判断した場合には、進入予定地点を判定する。なお、たとえば強風エリアが設定されていない場合や、走行予定経路が強風エリアに進入しない場合には、進入予定地点を判定することはできないので、当該プロセスを抜けるようにするのがよい。
【0079】
ステップS22において、現在位置検出部11を介して取得された車両の現在位置から、進入予定地点までの距離が、所定値(たとえば、200メートル)以下かどうかを判断する。この判断がNoであれば、報知すべき地点に車両が未だ到達していないことを示すので、当該プロセスを抜ける。この判断がYesであれば、報知すべき地点に車両が到達したことを示すので、ステップS23に進む。
【0080】
ステップS23において、車速センサ23を介して取得された車両の現在の速度が、所定値(たとえば、時速20キロメートル)以上かどうかを判断する。この判断がYesならば、車速が比較的高いために横風の影響を受けやすい状況にあることを示す。したがって、ステップS24において、前述したように、音または音声を介して、および(または)視覚的な表示を介して、運転者に報知を行う。この判断がNoであれば、車速が比較的低く、運転者が注意して運転していると考えられるため、報知を行うことなく、当該プロセスを抜ける。
【0081】
図9は、この発明の他の実施形態に従う、処理装置13により実行される、報知を行うためのプロセスのフローチャートである。該プロセスは、図7のプロセスにおいて強風エリアが設定されたことに応じて実行される。
【0082】
図8と異なるのは、ステップS31の判断ステップが含まれている点であり、設定された強風エリア内を通る走行予定経路上に、前述したように予め地図情報に格納された強風注意場所が存在するかどうかを判断する。強風注意場所が存在する場合には、設定された強風エリアの信頼性が高く、該強風エリアを走行中に車両が強風の影響を受ける可能性が高いことを示すので、ステップS21に進む。ステップS21以下の処理は、図8と同様である。
【0083】
ステップS31において強風注意場所が存在しない場合には、強風エリア内を走行する場合でも、経験的に、風の影響で車両に影響を及ぼす可能性が比較的低いと考えられるため、報知の多発を抑制するためにも、報知を実行することなく当該プロセスを抜ける。前述したように、ステップS31がYesの場合とNoの場合とで、報知の形態や内容を変更するようにしてもよい。
【0084】
図10は、この発明のさらに他の実施形態に従う、処理装置13により実行される、報知を行うためのプロセスのフローチャートである。該プロセスは、図7のプロセスにおいて強風エリアが設定されたことに応じて実行される。また、該プロセスは、進入予定地点が複数判定された場合の報知形態に関するものであり、走行予定経路が高速道路である場合を例としている。
【0085】
ステップS41において、走行予定経路と強風エリアとを比較し、該走行予定経路上の次のインターチェンジ(IC)、サービスエリア(SA)(これには、パーキングエリア(PA)を含めてもよい)、またはジャンクション(JCT)までの、該走行予定経路の強風エリアへの進入予定地点をすべて判定する。
【0086】
ステップS42において、少なくとも1つの進入予定地点が判定されたかどうかを判断する。1つの進入予定地点も判定されなければ、報知する必要はないので、当該プロセスを抜ける。少なくとも1つの進入予定地点が判定されたならば、ステップS43に進む。
【0087】
ステップS43において、上記のように判定された進入予定地点が複数かどうかを判断する。複数であればステップS51に進み、単数であればステップS61に進む。ここで、進入予定地点が複数であれば、現在位置検出部11を介して取得された車両の現在位置から、最も近い進入予定地点を選択し、該選択された進入予定地点を、最近傍進入予定地点として、次のIC、SAまたはJCTまでの区間について固定する(すなわち、次のIC、SAまたはJCTを通過して次の区間に入るまでは、他の進入予定地点は、最近傍進入予定地点とはならない)。
【0088】
ステップS51において、車両の現在位置から、上記の最近傍進入予定地点までの距離が、所定値(たとえば、200メートル)以下かどうかを判断する。この判断がNoであれば、報知すべき地点に車両が未だ到達していないことを示すので、当該プロセスを抜ける。この判断がYEsであれば、報知すべき地点に車両が到達したことを示すので、ステップS52に進む。
【0089】
ステップS52において、車速センサ23を介して取得された車両の現在の速度が、所定値(たとえば、時速20キロメートル)以上かどうかを判断する。この判断がYesならば、車速が比較的高いために横風の影響を受けやすい状況にあることを示す。したがって、ステップS53において、前述したように、音または音声を介して、および(または)視覚的な表示を介して、運転者に報知を行う。この判断がNoであれば、車速が比較的低く、運転者が注意して運転していると考えられるため、報知を行うことなく、当該プロセスを抜ける。
【0090】
最近傍進入予定地点を通過した後に当該プロセスを実行したときには、ステップS51の判断がNoとなり、報知は行われない。したがって、次のIC、SA、JCTまでの区間において、最初の進入予定地点でのみ報知が行われ、他の進入予定地点では報知が行われないので、報知が多発して運転者にわずらわしさを感じさせるのを回避することができる。
【0091】
判定された進入予定地点が単数(1つ)である場合には、ステップS61〜S63が実行され、これは、図8を参照して説明したステップS22〜S24と同様であるので、説明を省略する。
【0092】
この図では、高速道路を例にして説明しているが、高速道路および他の道路において、前述したように、走行予定経路を所定の距離毎に複数の区間に限り、区間毎に1回の報知のみを行うようにしてもよい。この場合、ステップS41では、次の区間に入るまでの進入予定地点をすべて判定すればよい。
【0093】
図11は、この発明の他の実施形態に従う、ナビゲーションシステムのブロック図であり、車両に搭載されたナビゲーション装置10と、所定のサーバ100とを備える。ナビゲーション装置10とサーバ100は、所定の無線ネットワークを介して相互に通信可能なように、それぞれ通信装置(図示せず)を備えている。図1と異なるのは、強風エリアの設定、および進入予定地点の判定の処理が、サーバ100によって行われる点である。
【0094】
現在位置検出部11および地図情報記憶部12は、図1のものと同じである。しかしながら、地図情報は、車両のナビゲーション装置10に備えられるだけでなく、サーバ100にも、地図情報記憶部112として備えられる。
【0095】
また、図1の形態では、気象情報受信部25がナビゲーション装置10に備えられていたが、この形態では、サーバ100に備えられている。サーバは、所定のセンタと通信可能な通信装置(図示せず)を備えており、気象情報受信部25は、該通信装置を介して、前述したように、該所定のセンタから、所定時間の間隔で気象情報を受信する。該受信する気象情報には、前述したように、気象庁からの情報に基づく、アメダスによる気象観測データ、台風情報、警報・注意報(強風注意報、風雪注意報、暴風警報、暴風雪警報等)のうちの1つまたは複数からなる風情報が含まれる。
【0096】
処理装置13に備えられる入力装置14、表示装置15およびスピーカ16は、図1のものと同様であるので、説明を省略する。この実施形態では、処理装置13は、車両状態送信制御部51および報知制御部53を備え、サーバ100に、走行予定経路算出部131、強風エリア設定部133、進入予定地点判定部135、および報知判定部137が備えられている。
【0097】
車両状態送信制御部51は、現在位置検出部11を介して検出された車両の現在の位置および車速センサ23を介して検出された車両の現在の速度を、サーバ100に、通信装置を介して送信する。
【0098】
走行予定経路算出部131は、図1のものと同様の機能を実現するものであり、ナビゲーション装置10から受信した車両の現在位置、および地図情報記憶部112に記憶された地図情報に基づいて、車両の走行予定経路を算出する。ここで、走行予定経路が誘導経路である場合には、サーバ100は、車両状態送信制御部51から、入力装置14を介して乗員によって入力された目的地を受信する。走行予定経路算出部131は、車両の現在位置から該目的地までの最適な経路を、地図情報に基づいて算出することができる。走行予定経路算出部131によって算出された走行予定経路を示すデータを、ナビゲーション装置10に送信する。ナビゲーション装置10の表示制御部39は、地図情報記憶部12から、車両の現在位置の周辺の地図データを読み出し、該地図データ上に、該車両の現在位置を表すマークおよび受信した走行予定経路を示すラインを重ねて、表示装置15上に表示することができる。
【0099】
強風エリア設定部133は、図1のものと同様の機能を実現するものであり、前述したように、一実施形態では、上記のように受信した気象観測データから、所定値以上の風速の地域を抽出し、該地域を含む領域として強風エリアを地図データ上に設定する。他の実施形態では、上記のように受信した台風情報から、台風の暴風域および暴風警戒域に関する情報を抽出し、これらの地域を含む領域を、強風エリアとして地図データ上に設定する。さらに他の実施形態では、上記のように受信した警報・注意報から、該警報・注意報が出された区域を抽出し、該区域に対応する領域を、強風エリアとして地図データ上に設定する。前述したように、これらの実施形態のうちの任意のものを用いて強風エリアを設定してよい。
【0100】
進入予定地点判定部135も、図1のものと同様の機能を実現するものであり、こうして設定された強風エリアと走行予定経路とを比較することで、走行予定経路が強風エリアに進入するかどうかを判断し、進入すると判断した場合には、強風エリアに走行予定経路が進入する予定の地点(位置)を判定する。
【0101】
報知判定部137は、上記のように検出された車両の現在位置に基づいて、判定された進入予定地点付近(進入予定地点でもよいし、進入予定地点から所定距離だけ手前に離れた地点でもよい)に実際に車両が到達したかどうかを判定し、到達したと判定したならば、報知の実行を指示するデータ(信号)を、ナビゲーション装置10に送信する。ナビゲーション装置10の報知制御部53は、指示データを受信したことに応じて、運転者に、今から強風エリアに車両が進入することを知らせる報知を実行する。報知は、前述したように、任意の所望の形態で行うことができる。
【0102】
図1を参照して説明した、車両の速度を考慮した形態の場合、サーバ100の報知判定部137が、ナビゲーション装置10の車両状態送信制御部51から受信した車両の現在位置および車両の速度に基づいて、車両の現在位置が、上記の進入予定地点付近に到達し、かつ、車両の速度が所定値以上かどうかを判断する。車両の現在位置が、進入予定地点付近に到達し、かつ車両の速度が所定値以上ならば、報知の実行を指示するデータ(信号)を、ナビゲーション装置10に送信する。
【0103】
また、図1を参照して説明した、同一種別の道路上に進入予定地点が複数存在する場合、または所定距離の区間内に進入予定地点が複数存在する形態の場合、サーバ100の報知判定部137が、車両が最初の進入予定地点付近に達したことを判定し、該判定に応じて、報知の実行を指示するデータ(信号)を、ナビゲーション装置10に送信する。
【0104】
さらに、図1の形態と同様に、サーバ100に、地図情報記憶部112に記憶された地図情報から強風注意場所を読み出す強風注意場所抽出部141を備えてもよい。この場合、前述したように、強風エリア設定部133は、強風注意場所が集中して存在している場所を含むように、強風エリアを設定することができる。
【0105】
さらに、やはり前述したように、上記の気象情報を用いた強風エリアの設定と、強風注意場所とを組み合わせて、報知形態を変化させることができ、一例では、報知判定部137が、気象情報に基づいて設定された強風エリア内に、強風注意場所が存在するかどうかを判断する。存在するならば、報知の実行を指示するデータ(信号)をナビゲーション装置10に送信し、存在しなければ、このような指示データをナビゲーション装置10には送信しない(すなわち、報知しない)。他の例では、強風エリアを通過する走行予定経路について、強風注意場所が存在するかどうかを判断する。強風注意場所が存在する場合には、報知の実行を指示するデータ(信号)をナビゲーション装置10に送信し、存在しなければ、このような指示データをナビゲーション装置10には送信しない。前述したように、代替的に、報知の有無で違いをつけるのではなく、報知の内容および(または)形態を変化させてもよい。
【0106】
図2〜図6を参照して行った説明は、この形態にも同様に適用されうる。また、図7〜図10のプロセスは、サーバ100により実行されることとなる。ここで、図8および図9のステップS24、および図10のステップS53およびS63の報知実行処理は、サーバ100からナビゲーション装置10に、報知の実行を指示するデータ(信号)を送信する処理に代えられる。該指示データを受信したナビゲーション装置10は、前述したように、強風に関する報知を実行する。
【0107】
この形態では、強風に関する報知のタイミングをサーバ100からナビゲーション装置10に指示するものとなっている。代替的に、判定した進入予定地点を示すデータをナビゲーション装置10に送信するようにしてもよい。ナビゲーション装置10は、車両が、進入予定地点付近に到達したならば、報知を実行する。また、複数の進入予定地点が判定される形態の場合には、最初の進入予定地点(図10では、最近傍進入予定地点)を示すデータのみを、ナビゲーション装置10に送信するようにしてもよい。
【0108】
なお、図11の形態では、走行予定経路はサーバ100で算出されるようになっているが、図1のように、走行予定経路を、ナビゲーション装置10で算出するようにしてもよい。この場合、算出された走行予定経路が、車両状態送信制御部51によってサーバ100に送信される。
【0109】
このようにサーバに、強風に関する報知を行うためのプロセスを行わせることにより、車両のナビゲーション装置10の計算負荷が低減され、気象情報を受け取るための通信負荷やコストを低減することができる。また、サーバ100には、複数の車両が通信接続されることができる。したがって、サーバ100は、強風に関する支援を、複数の車両に一度に提供することができる。サーバ100に接続される車両が、該サーバ100から、交通に関する情報等の様々な情報提供を受ける場合、これらの情報と合わせて、強風に関する情報を受けることができる。
【0110】
以上のように、この発明の特定の実施形態について説明したが、本願発明は、これら実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0111】
10 ナビゲーション装置
11 現在位置検出部
12 地図情報記憶部
13 処理装置
100 サーバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたナビゲーション装置であって、
該車両の現在位置を検出する手段と、
前記検出された現在位置に基づいて、地図データ上で該車両が走行する経路を走行予定経路として算出する手段と、
風に関する気象情報を該車両の外部から取得する手段と、
前記取得した風に関する気象情報に基づいて、強風が生じる可能性のある領域を示す強風エリアを地図データ上に設定する手段と、
前記車両の走行予定経路が、前記強風エリア内に進入するかどうかを判定する手段と、
前記車両の走行予定経路が前記強風エリア内に進入すると判定した場合、前記走行予定経路上の該強風エリアに進入する進入予定地点を判定する手段と、
前記車両が前記進入予定地点に近づいたならば、強風に関する報知を行う報知手段と、
を備える、ナビゲーション装置。
【請求項2】
車両の運転が強風の影響を受けやすい強風注意地点を予め記憶した記憶手段を備え、
前記報知手段は、前記設定された強風エリアに前記強風注意地点が含まれる場合のみ、前記報知を行う、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記走行予定経路は、前記ナビゲーション装置によって、目的地まで誘導される経路である、請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記報知手段は、前記進入予定地点が、同一の道路種別の道路上に複数存在する場合、または所定距離の区間内に複数存在する場合には、前記車両が初めて通過する進入予定地点についてのみ前記報知を行う、
請求項1から3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記報知手段は、前記車両の速度が所定値以上の場合にのみ、前記報知を行う、請求項1から4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
車両に搭載されたナビゲーション装置であって、該ナビゲーション装置は、所定のサーバと通信可能なように構成されており、
該ナビゲーション装置は、車両の現在位置を検出して該セサーバに送信する手段を備え、該サーバは、
該受信した現在位置に基づいて、地図データ上で該車両が走行する経路を走行予定経路として算出し、
風に関する気象情報を外部から取得し、前記取得した風に関する気象情報に基づいて、強風が生じる可能性のある領域を示す強風エリアを地図データ上に設定し、
前記車両の走行予定経路が、前記強風エリア内に進入するかどうかを判定し、
前記車両の走行予定経路が前記強風エリア内に進入すると判定した場合、前記走行予定経路上の該強風エリアに進入する進入予定地点を判定し、
前記進入予定地点に前記車両が近づいたならば、報知の起動を指示するデータをナビゲーション装置に送信する、よう構成されており、
該ナビゲーション装置は、さらに、該報知の起動を指示するデータを受信したことに応じて、車両の運転者に、強風に関する報知を行う報知手段と、を備える、ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記サーバは、前記進入予定地点が、同一の道路種別の道路上に複数存在する場合、または所定距離の区間内に複数存在する場合には、前記車両が初めて通過する進入予定地点についてのみ前記報知の起動を指示するデータを前記ナビゲーション装置に送信する、
請求項6に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記サーバは、前記車両の速度が所定値以上の場合にのみ、前記報知の起動を指示するデータを前記ナビゲーション装置に送信する、
請求項6または7に記載のナビゲーション装置。
【請求項1】
車両に搭載されたナビゲーション装置であって、
該車両の現在位置を検出する手段と、
前記検出された現在位置に基づいて、地図データ上で該車両が走行する経路を走行予定経路として算出する手段と、
風に関する気象情報を該車両の外部から取得する手段と、
前記取得した風に関する気象情報に基づいて、強風が生じる可能性のある領域を示す強風エリアを地図データ上に設定する手段と、
前記車両の走行予定経路が、前記強風エリア内に進入するかどうかを判定する手段と、
前記車両の走行予定経路が前記強風エリア内に進入すると判定した場合、前記走行予定経路上の該強風エリアに進入する進入予定地点を判定する手段と、
前記車両が前記進入予定地点に近づいたならば、強風に関する報知を行う報知手段と、
を備える、ナビゲーション装置。
【請求項2】
車両の運転が強風の影響を受けやすい強風注意地点を予め記憶した記憶手段を備え、
前記報知手段は、前記設定された強風エリアに前記強風注意地点が含まれる場合のみ、前記報知を行う、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記走行予定経路は、前記ナビゲーション装置によって、目的地まで誘導される経路である、請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記報知手段は、前記進入予定地点が、同一の道路種別の道路上に複数存在する場合、または所定距離の区間内に複数存在する場合には、前記車両が初めて通過する進入予定地点についてのみ前記報知を行う、
請求項1から3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記報知手段は、前記車両の速度が所定値以上の場合にのみ、前記報知を行う、請求項1から4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
車両に搭載されたナビゲーション装置であって、該ナビゲーション装置は、所定のサーバと通信可能なように構成されており、
該ナビゲーション装置は、車両の現在位置を検出して該セサーバに送信する手段を備え、該サーバは、
該受信した現在位置に基づいて、地図データ上で該車両が走行する経路を走行予定経路として算出し、
風に関する気象情報を外部から取得し、前記取得した風に関する気象情報に基づいて、強風が生じる可能性のある領域を示す強風エリアを地図データ上に設定し、
前記車両の走行予定経路が、前記強風エリア内に進入するかどうかを判定し、
前記車両の走行予定経路が前記強風エリア内に進入すると判定した場合、前記走行予定経路上の該強風エリアに進入する進入予定地点を判定し、
前記進入予定地点に前記車両が近づいたならば、報知の起動を指示するデータをナビゲーション装置に送信する、よう構成されており、
該ナビゲーション装置は、さらに、該報知の起動を指示するデータを受信したことに応じて、車両の運転者に、強風に関する報知を行う報知手段と、を備える、ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記サーバは、前記進入予定地点が、同一の道路種別の道路上に複数存在する場合、または所定距離の区間内に複数存在する場合には、前記車両が初めて通過する進入予定地点についてのみ前記報知の起動を指示するデータを前記ナビゲーション装置に送信する、
請求項6に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記サーバは、前記車両の速度が所定値以上の場合にのみ、前記報知の起動を指示するデータを前記ナビゲーション装置に送信する、
請求項6または7に記載のナビゲーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−133427(P2011−133427A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294932(P2009−294932)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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