説明

車両の制御装置

【課題】エンジンの自動停止条件成立直後に摩擦要素の締結が必要となった場合の摩擦要素締結時に生じるショックを抑制する。
【解決手段】本発明は、車両の制御装置であって、エンジン自動停止条件が成立した時、エンジン5を自動停止し、エンジン自動停止条件が非成立となった時、エンジン5を再始動するエンジン自動停止手段19と、エンジン自動停止中に摩擦要素7b、7cの締結が必要となった場合に、油圧を供給することで摩擦要素を締結状態へと移行させる摩擦要素締結手段12と、エンジン5を自動停止中に、摩擦要素7b、7cの差回転を演算する差回転演算手段12と、エンジン自動停止条件が成立してから摩擦要素7b、7cの差回転が収束するまでの間に摩擦要素7b、7cの締結が必要となった場合、差回転が収束した後に締結が必要となった場合と比べて、摩擦要素7b、7cの締結完了までに要する時間を遅延させる締結時間遅延手段12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンを自動停止可能な車両における摩擦要素の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
自動変速機を搭載した車両は、エンジンと変速機との間に、油圧に応じて締結・解放状態を切り替え可能な前後進切り換え機構(摩擦要素)を備え、DレンジやRレンジなどの走行レンジが選択されている時、摩擦要素を締結状態とし、NレンジやPレンジなどの非走行レンジが選択されている時、摩擦要素を解放状態としている。摩擦要素の締結・解放状態は、エンジンによって駆動されるオイルポンプから供給される油圧であるライン圧によって制御される。エンジンが停止するとオイルポンプも停止するのでライン圧が低下して摩擦要素が解放状態となる。
【0003】
このような車両において、停車中に所定の自動停止条件が成立するとエンジンを自動停止させ、再始動条件が成立するとエンジンを再始動させることが知られている。また、特許文献1には、エンジンの再始動条件が成立した時、摩擦要素の早期締結のためにエンジンを再始動するとともに摩擦要素への指示圧を急激に増大させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−153726公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、エンジンの自動停止条件が成立し、エンジンを自動停止させるために燃料供給を停止しても、エンジンの回転はすぐには停止しない。また、オイルポンプはエンジンによって駆動されているので、同様にライン圧はすぐにはゼロとならず、エンジンの回転低下に伴って低下していく。
【0006】
エンジンの自動停止条件が成立するのは、エンジンが作動中であってかつ車両が停止中であるので、自動停止条件成立直後は摩擦要素の入力側(エンジン側)と出力側(変速機側)との間に差回転が生じる。
【0007】
例えば、Nレンジで停車中、摩擦要素は解放状態に保持されるので、自動停止条件成立時には、摩擦要素の入力側はトルクコンバータを介してエンジンに連れ回され、出力側は駆動輪の回転がゼロであるので停止している。すなわち、自動停止条件成立からエンジンが完全停止するまでの間は、摩擦要素に差回転が生じている。
【0008】
また、Dレンジで停車中、エンジン側と変速機側との差回転はトルクコンバータにおいて吸収されているが、自動停止条件成立によってエンジンが自動停止すると、ライン圧の低下に応じて摩擦要素の締結圧も低下し、摩擦要素が解放状態となる。すると、摩擦要素の入力側はトルクコンバータのタービンによって連れ回され、摩擦要素の入力側と出力側との間に差回転が生じる。
【0009】
このように摩擦要素に差回転が生じている間に、摩擦要素の締結が必要であると判定された時、例えば、Nレンジで停車中にDレンジに切り替えられた時、又はDレンジで停車中にエンジン自動停止条件が非成立となった時、摩擦要素の指示圧を急激に増大させると、摩擦要素の急締結に伴って差回転分に応じたショックが発生する可能性がある。
【0010】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、エンジンの自動停止条件成立直後に摩擦要素の締結が必要となった場合の摩擦要素締結時に生じるショックを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある態様によれば、エンジンの駆動力によって駆動されることで油圧を発生するオイルポンプと、エンジンと駆動輪との間に介装され、油圧を供給することで締結状態になる摩擦要素と、を備える車両の制御装置であって、エンジン自動停止条件が成立した時、エンジンを自動停止し、エンジン自動停止条件が非成立となった時、エンジンを再始動するエンジン自動停止手段と、エンジンを自動停止中に、選択ポジションが、摩擦要素が解放状態に保持される非走行ポジションから、摩擦要素が締結状態に保持される走行ポジションへと切り換えられたことを検出するポジション切換検出手段と、走行ポジションへの切り換えが検出されると、油圧を供給することで摩擦要素を締結状態へと移行させる摩擦要素締結手段と、エンジンを自動停止中に、摩擦要素の入力側と出力側との回転速度差である差回転を演算する差回転演算手段と、エンジン自動停止条件が成立してから摩擦要素の差回転が収束するまでの間に走行ポジションへの切り換えが検出された場合、摩擦要素の差回転が収束した後に走行ポジションへの切り換えが検出された場合と比べて、摩擦要素の締結完了までに要する時間を遅延させる締結時間遅延手段と、を備えることを特徴とする車両の制御装置が提供される。
【0012】
また、本発明の別の態様によれば、エンジンの駆動力によって駆動されることで油圧を発生するオイルポンプと、エンジンと駆動輪との間に介装され、油圧を供給することで締結状態になる摩擦要素と、を備える車両の制御装置であって、エンジン自動停止条件が成立した時、エンジンを自動停止し、エンジン自動停止条件が非成立となった時、エンジンを再始動するエンジン自動停止手段と、エンジンを自動停止中に、摩擦要素の入力側と出力側との回転速度差である差回転を演算する差回転演算手段と、エンジン自動停止条件が成立してから摩擦要素の差回転が収束するまでの間にエンジン自動停止条件が非成立となった場合、摩擦要素の差回転が収束した後にエンジン自動停止条件が非成立となった場合と比べて、摩擦要素への供給油圧を緩やかに上昇させることで、摩擦要素の締結完了までに要する時間を遅延させる締結時間遅延手段と、を備えることを特徴とする車両の制御装置が提供される。
【0013】
さらに、本発明の別の態様によれば、エンジンの駆動力によって駆動されることで油圧を発生するオイルポンプと、エンジンと駆動輪との間に介装され、油圧を供給することで締結状態になる摩擦要素と、を備える車両の制御方法であって、エンジン自動停止条件が成立した時、エンジンを自動停止し、エンジン自動停止条件が非成立となった時、エンジンを再始動する工程と、エンジンを自動停止中に、選択ポジションが、摩擦要素が解放状態に保持される非走行ポジションから、摩擦要素が締結状態に保持される走行ポジションへと切り換えられたことを検出する工程と、走行ポジションへの切り換えが検出されると、油圧を供給することで摩擦要素を締結状態へと移行させる工程と、エンジンを自動停止中に、摩擦要素の入力側と出力側との回転速度差である差回転を演算する工程と、エンジン自動停止条件が成立してから摩擦要素の差回転が収束するまでの間に走行ポジションへの切り換えが検出された場合、摩擦要素の差回転が収束した後に走行ポジションへの切り換えが検出された場合と比べて、摩擦要素の締結完了までに要する時間を遅延させる工程と、を含むことを特徴とする車両の制御方法が提供される。
【0014】
さらに、本発明の別の態様によれば、エンジンの駆動力によって駆動されることで油圧を発生するオイルポンプと、エンジンと駆動輪との間に介装され、油圧を供給することで締結状態になる摩擦要素と、を備える車両の制御方法であって、エンジン自動停止条件が成立した時、エンジンを自動停止し、エンジン自動停止条件が非成立となった時、エンジンを再始動する工程と、エンジンを自動停止中に、摩擦要素の入力側と出力側との回転速度差である差回転を演算する工程と、エンジン自動停止条件が成立してから摩擦要素の差回転が収束するまでの間にエンジン自動停止条件が非成立となった場合、摩擦要素の差回転が収束した後にエンジン自動停止条件が非成立となった場合と比べて、摩擦要素への供給油圧を緩やかに上昇させることで、摩擦要素の締結完了までに要する時間を遅延させる工程と、を含むことを特徴とする車両の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
これらの態様によれば、エンジンを自動停止してから摩擦要素の差回転が収束するまでの間に摩擦要素を締結させる場合には、摩擦要素の締結完了までに要する時間を遅延させるので、摩擦要素締結時にオイルポンプから摩擦要素に供給される油圧が急激に立ち上がることを防止でき、摩擦要素の差回転に応じて発生するショックを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態における車両の制御装置の構成を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態における変速制御油圧回路及び変速機コントローラの構成を示す概略構成図である。
【図3】第1実施形態における制御の流れを示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態の作用を示すタイムチャートである。
【図5】第2実施形態における制御の流れを示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態の作用を示すタイムチャートである。
【図7】第3実施形態における制御の流れを示すフローチャートである。
【図8】第3実施形態の作用を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0018】
初めに、第1実施形態について説明する。
【0019】
図1は、Vベルト式無段変速機1の概略を示す概略構成図である。Vベルト式無段変速機1は、プライマリプーリ2及びセカンダリプーリ3を両者のV溝が整列するよう配して備え、これらプーリ2、3のV溝にVベルト(ベルト)4が掛け渡されている。プライマリプーリ2の同軸にエンジン5を配置し、このエンジン5及びプライマリプーリ2間に、エンジン5の側から順次ロックアップクラッチを備えたトルクコンバータ6および前後進切り替え機構(摩擦要素)7を設ける。
【0020】
前後進切り替え機構7は、ダブルピニオン遊星歯車組7aを主たる構成要素とし、そのサンギヤを、トルクコンバータ6を介してエンジン5に結合し、キャリアをプライマリプーリ2に結合する。前後進切り替え機構7は更に、ダブルピニオン遊星歯車組7aのサンギヤおよびキャリア間を直結する前進クラッチ7b、およびリングギヤを固定する後進ブレーキ7cを備えている。この前進クラッチ7bの締結時にエンジン5からトルクコンバータ6を経由した入力回転をそのままプライマリプーリ2に伝達し、後進ブレーキ7cの締結時にエンジン5からトルクコンバータ6を経由した入力回転を逆転させプライマリプーリ2へ伝達する。
【0021】
プライマリプーリ2の回転はVベルト4を介してセカンダリプーリ3に伝達され、セカンダリプーリ3の回転はその後、出力軸8、歯車組9およびディファレンシャルギヤ装置10を経て車輪に伝達される。
【0022】
前述の動力伝達中に、プライマリプーリ2及びセカンダリプーリ3間における回転伝動比(変速比)を変更可能にするために、プライマリプーリ2及びセカンダリプーリ3のV溝を形成する円錐板のうち一方を固定円錐板2a、3aとし、他方の円錐板2b、3bを軸線方向へ変位可能な可動円錐板(可動フランジ)とする。これら可動円錐板2b、3bはライン圧を元圧として作り出したプライマリプーリ圧Ppriおよびセカンダリプーリ圧Psecをプライマリプーリ室2c及びセカンダリプーリ室3cに供給することにより固定円錐板2a、3aに向け付勢され、これによりVベルト4を円錐板に摩擦係合させてプライマリプーリ2およびセカンダリプーリ3間での動力伝達を行う。
【0023】
変速に際しては、目標変速比Ratio0に対応させて発生させたプライマリプーリ圧Ppriおよびセカンダリプーリ圧Psec間の差圧により両プーリ2、3のV溝幅を変化させ、プーリ2、3に対するVベルト4の巻き掛け円弧径を連続的に変化させることで実変速比Ratioを変更し、目標変速比Ratio0を実現する。
【0024】
プライマリプーリ圧Ppri及びセカンダリプーリ圧Psecは、前進走行レンジの選択時に締結する前進クラッチ7b及び後進走行レンジの選択時に締結する後進ブレーキ7cの締結油圧の出力と共に変速制御油圧回路11により制御される。変速制御油圧回路11は変速機コントローラ12からの信号に応答して制御を行う。
【0025】
変速機コントローラ12には、プライマリプーリ回転速度Npriを検出するプライマリプーリ回転速度センサ13からの信号と、セカンダリプーリ回転速度Nsecを検出するセカンダリプーリ回転速度センサ14からの信号と、セカンダリプーリ圧Psecを検出するセカンダリプーリ圧センサ15からの信号と、スロットルバルブの開度TVOを検出するスロットル開度センサ16からの信号と、インヒビタスイッチ17からの選択レンジ信号と、変速作動油温TMPを検出する油温センサ18からの信号と、エンジン5の制御を司るエンジンコントローラ19からの入力トルクTiに関した信号(エンジン回転速度や燃料噴射時間)と、ブレーキペダルが操作されたか否かを検出するブレーキペダルSW28からのブレーキ信号と、加速度センサ20からの信号と、トルクコンバータのタービンランナの回転速度を検出するタービン回転速度センサ29からの信号と、が入力される。
【0026】
次に、変速制御油圧回路11及び変速機コントローラ12について、図2の概略構成図を用いて説明する。まず、変速制御油圧回路11について以下に説明する。
【0027】
変速制御油圧回路11は、エンジン駆動されるメカオイルポンプ21mと、車両に搭載されるバッテリから供給される電力によって駆動する電動オイルポンプ21eとを備え、各オイルポンプ21m、21eから油路22に供給される作動油の圧力をプレッシャレギュレータ弁23により所定のライン圧PLに調圧する。プレッシャレギュレータ弁23は、ソレノイド23aへの駆動デューティーに応じてライン圧PLを制御する。
【0028】
油路22のライン圧PLは、一方で減圧弁24により調圧されセカンダリプーリ圧Psecとしてセカンダリプーリ室3cに供給され、他方で変速制御弁25により調圧されプライマリプーリ圧Ppriとしてプライマリプーリ室2cに供給される。減圧弁24は、ソレノイド24aへの駆動デューティーに応じてセカンダリプーリ圧Psecを制御する。
【0029】
変速制御弁25は、中立位置25aと、増圧位置25bと、減圧位置25cと、を有し、これら弁位置を切り換えるために変速制御弁25を変速リンク26の中程に連結する。変速リンク26は一方の端に、変速アクチュエータとしてのステップモータ27を連結し、もう一方の端にプライマリプーリ2の可動円錐板2bを連結する。
【0030】
ステップモータ27は、基準位置から目標変速比Ratio0に対応したステップ数Stepだけ進んだ操作位置にされ、ステップモータ27の操作により変速リンク26が可動円錐板2bとの連結部を支点にして揺動することにより、変速制御弁25を中立位置25aから増圧位置25bまたは減圧位置25cへ移動させる。これにより、プライマリプーリ圧Ppriがライン圧PLを元圧として増圧され、またはドレンにより減圧され、セカンダリプーリ圧Psecとの差圧が変化することでHigh側変速比へのアップシフトまたはLow側変速比へのダウンシフトを生じ、実変速比Ratioが目標変速比Ratio0に追従して変化する。
【0031】
変速の進行は、プライマリプーリ2の可動円錐板2bを介して変速リンク26の対応端にフィードバックされ、変速リンク26がステップモータ27との連結部を支点にして、変速制御弁25を増圧位置25bまたは減圧位置25cから中立位置25aに戻す方向へ揺動する。これにより、目標変速比Ratio0が達成される時に変速制御弁25が中立位置25aに戻され、変速比Ratioを目標変速比Ratio0に保つことができる。
【0032】
プレッシャレギュレータ弁23のソレノイド駆動デューティー、減圧弁24のソレノイド駆動デューティー、およびステップモータ27への変速指令(ステップ数)は、変速機コントローラ12により行われる。変速機コントローラ12は圧力制御部12aおよび変速制御部12bによって構成する。
【0033】
圧力制御部12aは、プレッシャレギュレータ弁23のソレノイド駆動デューティー、及び減圧弁24のソレノイド駆動デューティーを決定するとともに、図1に示すように前進クラッチ及び後進ブレーキへ締結油圧を供給する。変速制御部12bは到達変速比DsrRTO、目標変速比Ratio0を算出する。
【0034】
ここで、メカオイルポンプ21m及び電動オイルポンプ21eの作動について説明する。
【0035】
メカオイルポンプ21mは、エンジン5の動力の一部を利用して駆動されるので、エンジン5が停止している間は油圧を変速制御油圧回路11へ供給することができなくなる。そこで、エンジン停止中における油圧を確保するため、エンジン5が停止している間は電動オイルポンプ21eを駆動させる。
【0036】
なお、ここでいう「エンジン5が停止している間」は、車両が駐車状態(キーオフ)である場合は含まず、車両が運転状態(エンジン始動後、キーオンされている状態)であって(車速=0を含む)エンジン5が停止している状態を意味する。また、「エンジン5が停止」はエンジン5の回転が必ずしも完全に停止していることを要件とせず、メカオイルポンプ21mだけでは必要油圧を確保できなくなるような極低速回転も含む。
【0037】
すなわち、電動オイルポンプ21eが作動する場合は、エンジン5がアイドルストップ制御によって自動停止している場合である。アイドルストップ中、電動オイルポンプ21eで発生させた油圧で前後進切り換え機構7の摩擦要素7b、7cを締結又はピストンをストロークさせておくことで、エンジン再始動時に摩擦要素7b、7cが動力伝達可能となるまでに要する時間を短縮することができる。
【0038】
以下、アイドルストップ制御について説明する。
【0039】
アイドルストップ制御は、停車中にエンジン5を自動的に停止(アイドルストップ)させて燃料消費量を抑制する制御であり、エンジンコントローラ19によって制御される。
【0040】
アイドルストップを実行するにあたり、エンジンコントローラ19は、例えば、以下に示す条件a1〜a3を判定する。
【0041】
a1:車両が停車中(VSP=0)
a2:ブレーキペダルが踏み込まれている(ブレーキ液圧が所定値以上)
a3:アクセルペダルから足が離されている(アクセル開度APO=0)
【0042】
エンジンコントローラ19は、これらの条件a1〜a3が全て成立した場合にアイドルストップ条件成立と判定してアイドルストップを許可し、燃料噴射をカットしてエンジン5を停止させる。
【0043】
また、エンジンコントローラ19は、アイドルストップ中も上記条件a1〜a3がそれぞれ継続して成立しているかを判定し、一つでも成立しなくなるとアイドルストップ条件非成立と判定し、アイドルストップを終了、すなわち、エンジン5を再始動する。
【0044】
このように構成された車両において、非走行レンジが選択された状態で上記アイドルストップ条件a1〜a3が成立した時、アイドルストップが実行され、エンジン5の燃料供給が停止される。このとき、前進クラッチ7bは解放状態であり、前進クラッチ7bの入力側はトルクコンバータ6を介してエンジン5に連れ回され、前進クラッチ7bの出力側は駆動輪の回転がゼロであるので停止している状態となる。すなわち、前進クラッチ7bの入力側と出力側との間に差回転が生じる状態となる。差回転はエンジン回転の低下に伴って徐々に低下し収束する。
【0045】
その後、運転者の操作によって、例えばNレンジからDレンジへと切り替えられた場合には、アイドルストップを継続したまま前進クラッチ7bの指示圧を急激に立ち上げる。これは、電動オイルポンプ21eはメカオイルポンプ21mより容量が小さく、前進クラッチ7bの早期締結のためには指示圧をステップ的に上昇させる必要があるためである。
【0046】
しかし、アイドルストップ条件が成立してエンジン5の燃料供給が停止しても、すぐにはエンジン回転がゼロにならない。メカオイルポンプ21mはエンジン5によって駆動され、エンジン5が回転している間は油圧を発生させている。したがって、アイドルストップ条件成立後(エンジン5の自動停止開始後)すぐにDレンジへと切り替えられた場合には、電動オイルポンプ21eからの油圧に加えて、まだメカオイルポンプ21mからの油圧も供給できる状態にあるので、前進クラッチ7bへの指示圧を急激に立ち上げると実圧がメカオイルポンプ21mの分だけ高くなり、前進クラッチ7bの急締結によってショックが発生する可能性がある。
【0047】
また、同様に、NレンジからRレンジへと切り替えた場合には、後進ブレーキ7cにおいて急締結によるショックが発生する可能性がある。なお、この場合には、アイドルストップ条件が非成立となるので、後進ブレーキ7cの締結とともに、エンジン5が再始動される。
【0048】
なお、「差回転が収束する」とは、「摩擦要素7b、7cの入力側と出力側との回転速度差がゼロとなる」ことを意味する。
【0049】
そこで、本実施形態では、変速機コントローラ12において以下のような制御を行っている。図3は、本実施形態における前進クラッチ7b及び後進ブレーキ7cの油圧制御の流れを示すフローチャートである。なお、以下の説明において、前進クラッチ7b及び後進ブレーキ7cをまとめて「摩擦要素7b、7c」という。
【0050】
ステップS11において、変速機コントローラ12は、非走行レンジが選択されているか否かを判定する。非走行レンジが選択されていると判定されると処理がステップS12へ進み、走行レンジが選択されていると判定されると処理が終了する。非走行レンジは例えばNレンジ、Pレンジ等であり、走行レンジは例えばDレンジ、Rレンジ等である。
【0051】
ステップS12において、変速機コントローラ12は、エンジン5が自動停止中であるか(アイドルストップ中であるか)否かを判定する。エンジン5が自動停止中であると判定されると処理がステップS13へ進み、自動停止中でないと判定されると処理が終了する。エンジン5が自動停止中であることは、アイドルストップ制御を行うエンジンコントローラ19から送信される信号に基づいて判定される。
【0052】
ステップS13において、変速機コントローラ12は、トルクコンバータ6の出力側であるタービンランナの回転速度がゼロであるか否かを判定する。タービンの回転速度がゼロであると判定されると処理が終了し、タービンの回転速度がゼロでないと判定されると処理がステップS14へ進む。
【0053】
ステップS14において、変速機コントローラ12は、選択レンジが非走行レンジから走行レンジに切り替えられたか否かを判定する。走行レンジに切り替えられたと判定されると処理がステップS15へ進み、切り替えられていないと判定されると処理がステップS13へ戻る。
【0054】
ステップS15において、変速機コントローラ12は、タービンの回転速度が第1の閾値以下であるか否かを判定する。タービンの回転速度が第1の閾値以下であると判定されると処理がステップS16へ進み、第1の閾値より高いと判定されると再度ステップS15が実行される。第1の閾値(締結判定回転速度)は、摩擦要素7b、7cを締結する際に発生するショックが運転者に不快感を与えないと判断できる程度の値であり、予め設定される。すなわち、タービンの回転速度が第1の閾値以上である時には摩擦要素7b、7cを締結すると、不快なショックが発生する可能性がある。
【0055】
ここで、摩擦要素締結時に生じるショックは、摩擦要素締結時の摩擦要素7b、7cの差回転に応じて、差回転が大きいほどショックが大きくなる。本ステップ実行時はアイドルストップ中であるので、車速(摩擦要素の出力側回転速度)はゼロである。すなわち、摩擦要素7b、7cの差回転はタービンの回転速度と等しくなっているので、本ステップでは、タービン回転速度と第1の閾値とに基づいて判定が行われる。
【0056】
ステップS16において、変速機コントローラ12は、摩擦要素7b、7cに対する指示圧を通常締結時の指示圧までステップ的に上昇させる。これにより、摩擦要素7b、7cが締結される。
【0057】
以上のように上記制御では、エンジン5が自動停止されてからタービンの回転速度がゼロとなるまでの間に選択レンジが走行レンジに切り替えられた場合には、タービンの回転速度が第1の閾値以下になるまで待ってから、摩擦要素7b、7cに対する指示圧を上昇させる。また、選択レンジが切り替えられない場合には、タービンの回転速度がゼロとなった時、処理を終了する。
【0058】
次に、図4を参照しながら本実施形態の作用について説明する。
【0059】
Nレンジで停車中、時刻t1において、アイドルストップ条件が成立してエンジン5の燃料供給が停止される。これにより、エンジン5の回転速度が徐々に低下していくとともに、遅れてタービンの回転速度が低下していく。
【0060】
時刻t2において、運転者によってセレクトレバーがNレンジからDレンジへと切り替えられる。しかしこの時、タービンの回転速度は第1の閾値より高いので、摩擦要素7b、7cの指示圧はまだ上昇させない。
【0061】
その後、タービンの回転速度は、エンジン5の回転速度の低下から少し遅れて低下していく。また、電動オイルポンプ21eから供給される油圧によってライン圧が立ち上がる。しかし、この時点では摩擦要素7b、7cに対する指示圧はゼロであるので、摩擦要素7b、7cはまだ解放状態である。
【0062】
時刻t3において、タービンの回転速度が第1の閾値以下となると、摩擦要素7b、7cに対する指示圧をステップ的に上昇させる。この時、メカオイルポンプ21mから吐出される油圧は電動オイルポンプ21eから吐出される油圧より低くなっているので、ライン圧は電動オイルポンプ21eの吐出圧相当となっている。また、タービンの回転速度が第1の閾値以下となっているので、摩擦要素7b、7cにおける差回転も低くなっている。したがって、摩擦要素7b、7cの指示圧をステップ的に上昇させても、運転者に不快感を与える程度のショックは発生しない。
【0063】
以上のように本実施形態では、アイドルストップ条件が成立してエンジン5を自動停止した直後に非走行レンジから走行レンジへ切り替えられた場合であって、摩擦要素7b、7cの差回転が収束していない場合には、摩擦要素7b、7cの締結完了までに要する時間を遅延させる。これにより、例えば、運転者がセレクトレバーをDレンジからNレンジへと切り替えた直後に再度Dレンジへと切り替えるような場合に、オイルポンプ21m、21eから摩擦要素7b、7cに供給される油圧が急激に立ち上がることを防止でき、摩擦要素7b、7cの差回転に応じたショックの発生を抑制することができる(請求項1、7に対応)。
【0064】
また、アイドルストップ直後にNレンジからDレンジへ切り換えられた時、摩擦要素7b、7cの差回転が第1の閾値以下となってから摩擦要素7b、7cの指示圧を上昇させるので、摩擦要素7b、7cの締結完了までに要する時間を極力短縮しながら、締結に伴うショックを抑制することができる(請求項3に対応)。
【0065】
次に、第2実施形態について説明する。
【0066】
本実施形態では、前提となる構成は第1実施形態(図1、図2)と同一であり、制御の内容が異なる。図5は、本実施形態における摩擦要素7b、7cの油圧制御の流れを示すフローチャートである。
【0067】
ステップS21〜S25は、第1実施形態のステップS11〜S15と制御内容が同一である。本実施形態では、ステップS25においてタービン回転速度が第1の閾値以下であると判定されると処理がステップS26へ進み、第1の閾値より高いと判定されると処理がステップS27へ進む。
【0068】
ステップS26において、変速機コントローラ12は、摩擦要素7b、7cに対する指示圧を、通常アイドルストップ時の指示圧へと上昇させる。通常アイドルストップ時の指示圧は、第1実施形態のステップS16において指示されるのと同一の指示圧であり、指示圧をステップ的に上昇させる。これにより、摩擦要素7b、7cが締結される。
【0069】
ステップS27において、変速機コントローラ12は、摩擦要素7b、7cに対する指示圧を、一定値に設定するのではなく、時間とともに徐々に上昇させる。これにより、摩擦要素7b、7cは徐々に締結される。
【0070】
以上のように上記制御では、エンジン5が自動停止されてからタービンの回転速度がゼロとなるまでの間に選択レンジが走行レンジに切り替えられた時、タービンの回転速度が第1の閾値以下である場合には、通常どおり摩擦要素7b、7cに対する指示圧を上昇させ、タービンの回転速度が第1の閾値より高い場合には、指示圧を徐々に上昇させる。
【0071】
次に、図6を参照しながら本実施形態の作用について説明する。
【0072】
Nレンジで停車中、時刻t1において、アイドルストップ条件が成立してエンジン5の燃料供給が停止される。これにより、エンジン5の回転速度が徐々に低下していく。
【0073】
時刻t2において、運転者によってセレクトレバーがNレンジからDレンジへと切り替えられる。この時、タービンの回転速度は第1の閾値より高いので、摩擦要素7b、7cの指示圧を徐々に上昇させる。これにより、指示圧は徐々に上昇し、実圧も指示圧に応じて徐々に上昇していく。
【0074】
したがって、摩擦要素7b、7cを締結しても、運転者に不快感を与える程度のショックは発生しない。
【0075】
以上のように本実施形態では、アイドルストップ直後にNレンジからDレンジへ切り換えられた時、摩擦要素7b、7cの差回転が収束した後にDレンジへ切り替えられた場合と比べて、摩擦要素7b、7cへの供給油圧を緩やかに上昇させるので、締結開始から締結完了までに要する時間が長くなり、摩擦要素7b、7cの締結時に生じるショックを抑制することができる(請求項5に対応)。
【0076】
次に、第3実施形態について説明する。
【0077】
本実施形態では、第1実施形態と異なり、電動オイルポンプ21eを備えておらず、エンジン5が停止してメカオイルポンプ21mの吐出圧が低下するのに伴ってライン圧も低下する構成を前提とする。
【0078】
また、制御の内容も第1実施形態と異なる。第1実施形態及び第2実施形態では、選択レンジが非走行レンジでアイドルストップしている場合について説明したが、本実施形態では、Dレンジで停車中にアイドルストップが行われる場合について説明する。
【0079】
Dレンジで停車中、前進クラッチ7bは締結状態であるので、トルクコンバータ6の入力側(インペラ側)はエンジン5に連れ回され、出力側(タービン側)は駆動輪の回転がゼロであるので停止している。すなわち、トルクコンバータ6が差回転を吸収している状態である。この状態でアイドルストップ条件が成立すると、エンジン5の燃料供給が停止し、エンジン回転が低下していく。
【0080】
エンジン回転の低下に応じてメカオイルポンプ21mから吐出される油圧も低下し、ライン圧が低下する。ライン圧の低下に応じて前進クラッチ7bの締結が解除されるので、トルクコンバータ6のタービン側から前進クラッチ7bの入力側までの部材がトルクコンバータ6を介してエンジン5に連れ回されて回転する。これにより、前進クラッチ7bの入力側と出力側との間に差回転が生じる。
【0081】
この状態で、例えば運転者の操作によって、ブレーキペダルの踏み込みが解除されると、アイドルストップ条件が非成立となる。前進クラッチ7bの指示圧はアイドルストップ中(アイドルストップ条件が非成立となる前)も通常時の指示圧で保持されているため、差回転が生じている前進クラッチ7bが急締結され、これに伴ってショックが発生する可能性がある。
【0082】
そこで、本実施形態では、変速機コントローラ12において以下のような制御を行っている。図7は、本実施形態における摩擦要素7bの油圧制御の流れを示すフローチャートである。
【0083】
ステップS31において、変速機コントローラ12は、前進走行レンジ(Dレンジ)が選択されているか否かを判定する。前進走行レンジが選択されていると判定されると処理がステップS32へ進み、前進走行レンジが選択されていないと判定されると処理が終了する。
【0084】
ステップS32において、変速機コントローラ12は、エンジン5が自動停止中であるか(アイドルストップ中であるか)否かを判定する。エンジン5が自動停止中であると判定されると処理がステップS33へ進み、自動停止中でないと判定されると処理が終了する。エンジン5が自動停止中であることは、アイドルストップ制御を行うエンジンコントローラ19から送信される信号に基づいて判定される。
【0085】
ステップS33において、変速機コントローラ12は、アイドルストップ制御が解除されたか否かを判定する。アイドルストップ制御が解除されたと判定されると処理がステップS34へ進み、解除されていないと判定されると再度ステップS33を実行する。
【0086】
ステップS34において、変速機コントローラ12は、タービンの回転速度が第2の閾値より高いか否かを判定する。タービンの回転速度が第2の閾値より高いと判定されると処理がステップS35へ進み、第2の閾値以下であると判定されると処理がステップS36へ進む。第2の閾値は、摩擦要素7bを急締結すると不快なショックが発生すると判断できる程度の値であり、予め設定される。すなわち、タービンの回転速度が第2の閾値より高い時には摩擦要素7bを締結すると、不快なショックが発生する可能性がある。
【0087】
ステップS35において、変速機コントローラ12は、摩擦要素7bを緩やかに締結させるように指示圧を出力する。アイドルストップ中も指示圧は通常時の指示圧で保持されているので、本ステップでは、指示圧を一旦所定の低圧まで下げた後、徐々に上昇させる。これにより、摩擦要素7bは緩やかに締結される。
【0088】
ステップS36において、変速機コントローラ12は、エンジン5が完爆したか否かを判定する。エンジン5が完爆したと判定されると処理が終了し、完爆していないと判定されると処理がステップS34へ戻る。
【0089】
以上のように上記制御では、エンジン5が自動停止された後であって、タービン回転が上昇してから再度低下するまでの間にアイドルストップ条件が非成立となった時、摩擦要素7bの指示圧を徐々に上昇させる。また、タービン回転が低下した後にアイドルストップ条件が非成立となった場合には、摩擦要素7bを通常どおりステップ的に上昇させる。
【0090】
次に、図8を参照しながら本実施形態の作用について説明する。
【0091】
Dレンジで停車中、時刻t1において、アイドルストップ条件が成立してエンジン5の燃料供給が停止される。これにより、エンジン5の回転速度が徐々に低下するとともに、ライン圧及び摩擦要素7bの締結圧が低下する。
【0092】
摩擦要素7bの締結圧が低下することで、時刻t2において、摩擦要素7bの入力側と出力側との間に差回転が生じる。
【0093】
その後、時刻t3において、ブレーキペダルの踏み込みが解除されるとアイドルストップ条件が非成立となり、エンジンコントローラ19からアイドルストップ解除信号が送信される。この時、タービンの回転速度は第2の閾値以上であるので、摩擦要素7bの指示圧を一旦所定の低圧まで下げた後、徐々に上昇させる。これにより、実圧は指示圧に応じて徐々に上昇していく。
【0094】
したがって、摩擦要素7bを締結する際に差回転に応じて生じるショックが抑制される。
【0095】
以上のように本実施形態では、Dレンジでアイドルストップした直後にアイドルストップ条件が非成立となった場合であって、摩擦要素7b、7cの差回転が収束していない場合には、摩擦要素7b、7cの差回転が収束した後にアイドルストップ条件が非成立となった場合と比べて、摩擦要素7b、7cへの供給油圧を緩やかに上昇させるので、締結開始から締結完了までに要する時間が長くなり、摩擦要素7b、7cの締結時に生じるショックを抑制することができる(請求項6、8に対応)。
【0096】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0097】
例えば、第1及び第2実施形態において、第1の閾値は、ゼロに設定されてもよい。タービンの回転速度がゼロであれば、摩擦要素7b、7cを締結する際の差回転がゼロであるので、より確実に締結時のショックの発生を防止することができるとともに、摩擦要素7b、7cの耐久性を向上させることができる(請求項4に対応)。
【0098】
また、第1及び第2実施形態のステップS15、S25において、タービンの回転速度が第1の閾値以下であると判定することに代えて、ステップS14、S24において選択レンジが非走行レンジから走行レンジに切り替えられたと判定されてから所定の締結遅延時間が経過したことを判定してもよい。この場合には、締結遅延時間は、摩擦要素7b、7cを締結しても、運転者に不快となるショックが発生しない程度の時間に設定される。
【0099】
これにより、摩擦要素7b、7cの締結が必要であると判定されてから所定の締結遅延時間が経過した後に、摩擦要素7b、7cの指示圧を上昇させることになるので、切り換え直後に摩擦要素7b、7cの指示圧を上昇させる場合に比べて、締結時の差回転が低くなり、その分締結時のショックを抑制することができる(請求項2に対応)。
【符号の説明】
【0100】
5 エンジン
7b 前進クラッチ(摩擦要素)
7c 後進ブレーキ(摩擦要素)
12 変速機コントローラ(ポジション切換検出手段、摩擦要素締結手段、差回転演 算手段、締結時間遅延手段、)
19 エンジンコントローラ(エンジン自動停止手段)
21m メカオイルポンプ(オイルポンプ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの駆動力によって駆動されることで油圧を発生するオイルポンプと、前記エンジンと駆動輪との間に介装され、油圧を供給することで締結状態になる摩擦要素と、を備える車両の制御装置であって、
エンジン自動停止条件が成立した時、前記エンジンを自動停止し、前記エンジン自動停止条件が非成立となった時、前記エンジンを再始動するエンジン自動停止手段と、
前記エンジンを自動停止中に、選択ポジションが、前記摩擦要素が解放状態に保持される非走行ポジションから、前記摩擦要素が締結状態に保持される走行ポジションへと切り換えられたことを検出するポジション切換検出手段と、
前記走行ポジションへの切り換えが検出されると、油圧を供給することで前記摩擦要素を締結状態へと移行させる摩擦要素締結手段と、
前記エンジンを自動停止中に、前記摩擦要素の入力側と出力側との回転速度差である差回転を演算する差回転演算手段と、
前記エンジン自動停止条件が成立してから前記摩擦要素の差回転が収束するまでの間に前記走行ポジションへの切り換えが検出された場合、前記摩擦要素の差回転が収束した後に前記走行ポジションへの切り換えが検出された場合と比べて、前記摩擦要素の締結完了までに要する時間を遅延させる締結時間遅延手段と、
を備えることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記締結時間遅延手段は、前記走行ポジションへの切り換えが検出されてから締結遅延時間が経過した後に、前記摩擦要素を締結状態へと移行させることで前記摩擦要素の締結完了までに要する時間を遅延させることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記締結時間遅延手段は、前記差回転が締結判定回転速度以下になると前記摩擦要素を締結状態へと移行させることで前記摩擦要素の締結完了までに要する時間を遅延させることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記締結判定回転速度はゼロであることを特徴とする請求項3に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記締結時間遅延手段は、前記摩擦要素の差回転が収束した後に前記走行ポジションへの切り換えが検出された場合と比べて、前記摩擦要素への供給油圧を緩やかに上昇させることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項6】
エンジンの駆動力によって駆動されることで油圧を発生するオイルポンプと、前記エンジンと駆動輪との間に介装され、油圧を供給することで締結状態になる摩擦要素と、を備える車両の制御装置であって、
エンジン自動停止条件が成立した時、前記エンジンを自動停止し、前記エンジン自動停止条件が非成立となった時、前記エンジンを再始動するエンジン自動停止手段と、
前記エンジンを自動停止中に、前記摩擦要素の入力側と出力側との回転速度差である差回転を演算する差回転演算手段と、
前記エンジン自動停止条件が成立してから前記摩擦要素の差回転が収束するまでの間に前記エンジン自動停止条件が非成立となった場合、前記摩擦要素の差回転が収束した後に前記エンジン自動停止条件が非成立となった場合と比べて、前記摩擦要素への供給油圧を緩やかに上昇させることで、前記摩擦要素の締結完了までに要する時間を遅延させる締結時間遅延手段と、
を備えることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項7】
エンジンの駆動力によって駆動されることで油圧を発生するオイルポンプと、前記エンジンと駆動輪との間に介装され、油圧を供給することで締結状態になる摩擦要素と、を備える車両の制御方法であって、
エンジン自動停止条件が成立した時、前記エンジンを自動停止し、前記エンジン自動停止条件が非成立となった時、前記エンジンを再始動する工程と、
前記エンジンを自動停止中に、選択ポジションが、前記摩擦要素が解放状態に保持される非走行ポジションから、前記摩擦要素が締結状態に保持される走行ポジションへと切り換えられたことを検出する工程と、
前記走行ポジションへの切り換えが検出されると、油圧を供給することで前記摩擦要素を締結状態へと移行させる工程と、
前記エンジンを自動停止中に、前記摩擦要素の入力側と出力側との回転速度差である差回転を演算する工程と、
前記エンジン自動停止条件が成立してから前記摩擦要素の差回転が収束するまでの間に前記走行ポジションへの切り換えが検出された場合、前記摩擦要素の差回転が収束した後に前記走行ポジションへの切り換えが検出された場合と比べて、前記摩擦要素の締結完了までに要する時間を遅延させる工程と、
を含むことを特徴とする車両の制御方法。
【請求項8】
エンジンの駆動力によって駆動されることで油圧を発生するオイルポンプと、前記エンジンと駆動輪との間に介装され、油圧を供給することで締結状態になる摩擦要素と、を備える車両の制御方法であって、
エンジン自動停止条件が成立した時、前記エンジンを自動停止し、前記エンジン自動停止条件が非成立となった時、前記エンジンを再始動する工程と、
前記エンジンを自動停止中に、前記摩擦要素の入力側と出力側との回転速度差である差回転を演算する工程と、
前記エンジン自動停止条件が成立してから前記摩擦要素の差回転が収束するまでの間に前記エンジン自動停止条件が非成立となった場合、前記摩擦要素の差回転が収束した後に前記エンジン自動停止条件が非成立となった場合と比べて、前記摩擦要素への供給油圧を緩やかに上昇させることで、前記摩擦要素の締結完了までに要する時間を遅延させる工程と、
を含むことを特徴とする車両の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−112504(P2012−112504A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264117(P2010−264117)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000231350)ジヤトコ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】