説明

車両ガイドシステム

交通状況を表す入力量(V,e1,ek,di,vri,φi)に従って,かつ動的に変化可能なパラメータに従って,車両をガイドするための操作量(am,ab)を用意する方法は,複数の入力量のセットから,唯一の評価量(g)が形成され,かつパラメータの複数のものが,同一の評価量を用いて定められることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,車両をガイドするための操作量を用意する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の縦ガイド(加速及び減速)において及び/又は横ガイド(車線維持,操舵)において運転者を支援する車両ガイドシステムが知られている。かかるガイドシステムの機能は,適応的な速度制御(ACC;Adaptive Cruise Control)を介して(この場合には,先行車両に対する間隔も考慮される),運転者により選択可能な意図速度への単純な速度制御から,車両の完全に自律的なガイドまで達している。かかる車両ガイドシステムの機能についての他の例は,衝突警告の自動的な生成あるいは衝突の作用を回避し,あるいは減少させるための非常ブレーキあるいは回避行動の自動的な導入である。交通状況が,車両に配置されたセンサによって検出され,そのセンサの信号が制御ユニットに入力量として供給される。入力量は,一方では,案内される車両自体の運動量(即ち,例えばその走行速度,加速度,ヨー速度など)に関し,他方では交通環境に関する情報(特に,先行車両とその他の障害物の位置測定データ並びに場合によっては走行路推移,走行路特性などに関する情報)にも関する。位置測定データを検出するために,典型的には,1つ又は複数の間隔センサ,例えばレーダ目標の間隔と相対速度を測定するため(角度解像するレーダセンサの場合には,レーダ目標のアジマス角も測定するため)のレーダセンサあるいはリーダセンサ又はカメラシステム,特に電子的な画像処理を有するステレオカメラシステムが設けられている。これらのセンサから供給される入力量を用いて,制御ユニットが操作量を計算し,その操作量が駆動システムと場合によってはブレーキシステムの操作部材を介して車両に作用する。この種のACCシステムの例は,SAEペーパーNr.961010,ヴィナー他の「アダプティブクルーズコントロール,システムアスペクトと開発傾向」(”Adaptive Cruise Control, System Aspects and Development Trends”, Winner et al.,1996)に記載されている。
【0003】
制御ユニットによる操作量の計算は,幾つかのパラメータに依存しており,それらパラメータの幾つかは制御駆動の間も動的に,交通状況に従って,変化させることができる。
【0004】
例えば,レーダ支援される間隔制御において,大体において複数の対象がレーダセンサによって同時に位置測定される。その後,対象リストが作成され,その対象リスト内で個々の対象は,その間隔,相対速度及び角度データによって表される。レーダ測定が周期的に繰り返される場合には,いわゆるトラッキングプロシージャによって今回の測定で検出された対象が,先行する測定において認識された対象によって同定され,個々の対象の運動が追跡される。間隔制御の範囲内では,自己の走行車線上で直前を走行する車両に好適な安全間隔で追従しようとするので,複数の対象のうちどれが間隔制御のための目標対象として選択されるべきか,を定めるパラメータが必要である。このパラメータは,適当な判断基準を用いて,各々の交通状況に適合させなければならない。
【0005】
センサから制御ユニットへ伝達された入力量は,実際においては多かれ少なかれノイズを有しており,従って好適なフィルタによって処理しなければならない。これらのフィルタプロシージャの各々は,特にフィルタの時間的な解像を定める1つ又は複数のパラメータ,例えば積分時間,過渡率又は信号の周波数スペクトル内の周波数領域の選択によって影響を受ける。フィルタは各々,一方で十分なノイズ及び干渉信号抑圧が達成され,しかし他方では入力量の変化が迅速に伝えられて,ガイドシステムの正しい時期の反応が可能となるように,パラメータ化されなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しばしば,制御ユニット内で予測的な制御器が使用され,その制御器は自己車両の運動と位置測定された対象の運動を未来へ補外し,それによって未来にある時点の交通状況を予測する。その場合には操作量は,所定の最適化タイムインターバル内に予測された交通状況への最適な適合が達成されるように,計算される。比較的長い予測時間と最適化タイムインターバルは,ガイドシステムの「予見する」行動とそれに伴って高い走行快適性をもたらすが,誤診断の確率が増加し,場合によっては突然発生した変化に好適に反応しない,という欠点を有している。従ってこのパラメータも,好適に定められる。
【0007】
さらに,入力量(例えば,目標に対する間隔)の未来の展開を予測する場合に,相対速度が一定に留まるという仮定に従って,線形の補外を実施すべきか,あるいは一定の加速を仮定して2次の補外あるいはまたさらに高い次数の補外を実施すべきか,が決定される。場合によっては,例えば先行車両の突然のブレーキ行動において,突然状態が変化した場合には,予測の際に,この状態がどのくらい維持されるか,についての蓋然的な推測も行わなければならない。
【0008】
一般に,制御ユニットの種々の制御機能の行動を定めるパラメータの決定は,交通状況の評価を必要とする。これまでは,この評価のために状態固有の変量として,自己車両と検出された対象の測定された,あるいは導き出された運動学的な状態量,例えば自己車両の速度,先行車両の間隔と相対速度など,あるいはこの状態量から導き出される単純な変量,例えば”time to collision” (TTC),従って衝突までの計算された時間,が利用されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の特徴を有する,本発明に基づく方法と,第1の装置請求項に記載されている特徴を有する装置は,種々のパラメータを各々の交通状況に効率的に適合させることが可能である,という利点を有している。
【0010】
本発明に基づく方法においては,交通状況を評価するために,少なくとも2つの入力量を有する,入力量のセットから,唯一の評価量が形成され,その評価量は交通状況を特徴づけ,かつ複数のパラメータを決定するための基礎として用いられる。数学的には,唯一の評価量は,複数の入力量によって定義されるベクトル空間上のスカラー関数である。例えばこの評価量は,状況の危険性のための尺度と考えることができる。従って評価量が極めて高い値を有する場合には,制御ユニット内でパラメータは,より短い応答時間で状況に反応できるように,適合される。この評価量が一度計算されている場合に,それは常に複数のパラメータの決定のため提供されるので,個々のパラメータを決定する場合に毎回また複雑なシステムを評価判断基準によって検査する必要はない。このようにして,まさにクリティカルな状況において,最小限の計算の手間で,交通状況にシステム行動を迅速かつ効率的に適合させることができる。
【0011】
本発明の他の形態と展開が,従属請求項に記載されている。
【0012】
好ましくは,評価量の入力量との関係が,少なくとも2次元のマップによって与えられており,そのマップはデジタル形式で制御ユニット内に記憶させることができる。マップの次元の数は,該当するセットに属する入力量の数に相当する。これらの入力量は,直接マップメモリのアドレッシングに利用することができるので,最短の時間内で評価量を定めることができる。すべての,あるいは少なくとも複数のパラメータが同一の評価量に依存しているので,マップメモリのためのメモリスペース需要は,支持し得る限界内に留まる。
【0013】
評価量が,特に目標対象選択のために利用されると,効果的である。その場合には各位置測定された対象に,入力量のセットを対応づけることができ,そのセットは特に対象の間隔と相対速度を有し,かつそのセットからこの対象にとって特徴的な評価量が形成される。高次元のマップにおいては,入力量のセットは,例えば付加的に対象の相対加速度,対象のアジマス角,自己車両の速度などを有することができる。その場合には,評価量は,好ましくは対象の重要性のための尺度となるので,単純に,評価量が最大の対象が選択されることにより,目標対象選択を行うことができる。その場合に最大の評価量は,同時に,フィルタパラメータ,最適化タイムインターバルなどのような残りのパラメータの決定のための基礎を形成する。
【0014】
評価量は,純粋に虚構の変量とすることができるが,選択的に所定の物理的な意味を有することができる。例えば,先行車両に接近する状況において,評価量を,自己車両の速度を先行車両の速度に適合させるため,従って,目標対象の間隔がクリティカルな最小間隔の下へ低下することなしに,目標対象の相対速度をゼロに減少させるために必要な,一定の(負の)加速度によって定義することができる。この最小間隔自体も,他の入力量,例えば自己車両の速度及び運転者によって選択された,目標対象に追従するタイムギャップ(相対速度で割り算された対象間隔)に従うことができる。
【0015】
目標対象の実際間隔がすでに,クリティカルな間隔よりも小さい場合には,評価量は,それ自体も他の入力量に依存することのできる,所定のタイムインターバル内に,対象間隔をクリティカルな間隔へ拡大するために必要な,一定の加速度と定義することができる。その場合に全体として,評価量は,マップの異なる領域について異なるように定義されており,2つの定義は,マップの領域境界において評価量が連続しているように,互いに適合される。好ましくは評価量は,「対象間隔」次元においてモノトーンに下降し,かつ「相対速度」次元においても同様にモノトーンに下降する。従って評価量は,対象が近づくほど,かつ接近速度(負の相対速度)が増大するほど,大きくなる。
【発明の効果】
【0016】
交通状況を評価するために,少なくとも2つの入力量を有する,入力量のセットから,唯一の評価量が形成され,その評価量は交通状況を特徴づけ,かつ複数のパラメータを決定するための基礎として用いられる。数学的には,唯一の評価量は,複数の入力量によって定義されるベクトル空間上のスカラー関数である。例えばこの評価量は,状況の危険性のための尺度と考えることができる。従って評価量が極めて高い値を有する場合には,制御ユニット内でパラメータは,より短い応答時間で状況に反応できるように,適合される。この評価量が一度計算されている場合に,それは常に複数のパラメータの決定のため提供されるので,個々のパラメータを決定する場合に毎回また複雑なシステムを評価判断基準によって検査する必要はない。このようにして,まさにクリティカルな状況において,最小限の計算の手間で,交通状況にシステム行動を迅速かつ効率的に適合させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施例を図面に示し,以下で詳細に説明する。
【0018】
図1には,制御ユニット10が示されており,その制御ユニットは車両内に設置されており,かつ,車両ガイドのための操作量を用意するために用いられる。制御ユニット10は,入力回路12を有しており,その入力回路は車両の種々のセンサから,特に車両の固有速度Vを測定する速度センサ14と,先行車両と他の可能な障害物の位置測定データを用意する位置測定装置16(例えばレーダセンサ)から入力量を受信する。他の入力量e1−ekを供給する他のセンサ18,20は,図1では概念的にしか示されていない。選択的に,センサ14,18,20の機能を,入力量を用意することのできる,車両の他のシステムコンポーネントによって引き受けることもできる。即ち例えば,車両の固有速度V,ヨー速度又は走行路の摩擦係数μを表す入力量を,車両の電子的な安定化システム(ESP)によって用意することもできる。
【0019】
位置測定装置16の信号から,図示の例において入力回路12は,各々位置測定された対象iについて3つの入力量(即ち,対象間隔di,対象の相対速度vri及び対象のアジマス角φi)のセットを形成する。
【0020】
入力回路12の後段には,フィルタ回路22が配置されており,そのフィルタ回路において各入力量は好適なフィルタによって処理される。フィルタ回路22内の各フィルタの機能は,1つ又は複数のフィルタパラメータに依存する。例えば,ノイズ及び干渉信号を抑圧するために,フィルタ回路22内で入力量が所定の積分タイムインターバルにわたって平均されることが考えられる。その場合に積分タイムインターバルの長さが,この種のフィルタパラメータとなる。同様に,複数の先行する測定サイクルにおいて測定された,これらの入力量の値から重み付けされた合計が計算されることにより,入力量から移動平均値が形成されることが,考えられ,その場合に重み付け係数は所定の時定数により指数的に小さくなる。その場合に,この時定数も,フィルタパラメータの例となる。
【0021】
フィルタリングされた入力量は,図示の例においては予測ユニット24へ供給され,その予測ユニットは入力量とその時間的な微分を用いて,入力量の未来の時間的な展開を予測して,該当する入力量が未来における所定の時点で,従って所定の予測期間の経過後に,どの値を有するかを定める。この予測期間は,個々の入力量について異なる長さとすることができ,状況のダイナミズムに従って,かつ車両ガイドシステムの反応時間を考慮して定められる。
【0022】
各個々の対象iについて受信され,フィルタリングされ,かつ予測された入力量di,vri及びφiは,選択モジュール26へ供給され,その選択モジュールは複数の対象の元で唯一の対象を目標対象として選択する。通常,選択される目標対象は,自己の走行車線上で直前を走行する車両である。目標対象を選択する場合に,まず,各個々の対象についてアジマス角と間隔を用いて,それが自己の走行車線上の対象である確率が計算される。この確率が,所定のしきい置の上にある場合には,その対象が自己の走行車線に対応づけられる。複数の対象が自己の走行車線に対応づけられた場合には,正常場合において最小の対象間隔diを有する対象が,目標対象として選択される。
【0023】
選択された目標対象の位置測定データd,vr及びφは,残りの入力量と共に制御器28へ供給され,その制御器はこれらの入力量から既知の制御アルゴリズムを用いて車両の駆動システムの操作部材30のための操作量am又は車両のブレーキシステムの操作部材32のための操作量abを計算する。
【0024】
図示の例においては,制御器28の後段に制限ユニット34が配置されており,その制限ユニットは操作量amとab及び/又はその変化率を,急激な加速プロセス又は減速プロセスが回避され,従って高い走行快適性が達成されるように,制限する。このようにして制限された操作量は,その後,出力回路36を介して操作部材30,32へ出力される。
【0025】
図1には見やすくする理由から分離されたブロックとして図示されている,フィルタユニット22,予測ユニット24,選択モジュール26,制御器28及び制限ユニット34の機能は,実際においては1つ又は複数のマイクロプロセッサによって実施することができる。
【0026】
フィルタリングされた入力量V,el−ek,di,vri,φi及び場合によってはそれから導き出された変量,例えば時間的な微分は,評価モジュール38へ供給され,その評価モジュールはこれらの変量から各位置測定された対象について唯一の評価量を形成し,その評価量は,各々の交通状況が該当する対象に関してどのくらいクリティカルであるか,を表す尺度となる。対象固有の評価量giは,評価モジュール26へ供給されて,そこで目標対象選択のための判断基準として用いられる:目標対象として,評価量giが最大の対象が選択される。この最大の評価量gは,その後評価モジュール26からフィルタユニット22,予測ユニット24,制御器28及び制限ユニット34へさらに伝達されて,そこでフィルタパラメータ,予測期間の選択と制御器28内で実施される制御アルゴリズム及び制限ユニット34の制限機能の他のパラメータを定める。このようにして,各々の交通状況に関して,これらのパラメータの最適化が達成される。
【0027】
最大の評価量gの高い値が,クリティカルな状況を示唆している場合には,一般に,フィルタユニット22内のフィルタパラメータと制御器28内のパラメータは,応答時間が短くなるように変化され,かつ予測ユニット24内の予測期間を短縮することができる。制限ユニット34内の制限関数は,クリティカルな状況においてより高い加速又は減速と加速及び減速値のより急速な変化が許されるように,変化させることができる。
【0028】
評価モジュール38のコア片は,例えばデジタルのマップメモリの形式の,多次元のマップであって,そのマップは1つ又は複数のマイクロプロセッサから,入力量を表すデジタルのデータによってアドレスされる。マップの次元の数は,場合によってはそこから導き出される変量を含めて,考慮される入力量の数に相当する。しかし,種々の対象の対象間隔diのためには,1つの次元だけが設けられており,対象の相対速度及びアジマス角についても同様である。評価量giは,マップメモリが各々該当する対象についてのデータによってアドレスされることにより,次々と形成される。
【0029】
図2は,単純化された例として,次元d(対象間隔)とvr(対象の相対速度)を有するマップ40の2次元の部分を示している。マップに記入されているカーブ42は,「Iso−ライン」を示しており,同ラインついて評価量g(対象インデックスiは,ここでは省かれている)は各々一定の値を有する。従ってIso−ライン42は,マップをgの異なる値(g=1,g=2,…)を有するゾーンに分割する。
【0030】
図示の例において,Iso−ライン42は,各々関数
d=d0+vr/(2*g) (1)
に従って各々放物線状の部分を有している。
【0031】
その裏には,次の物理的解釈が隠れている:自己車両は間隔dで先行車両に相対速度vrで接近するものと仮定する(vrは負である)。その場合に評価量gは,自己車両が対象に所定のクリティカルな距離d0まで接近し,その場合に対象の絶対速度まで制動され,それによってvr=0が成立するようにするために,必要とされる,車両の一定の減速(負の加速)を表す。その場合に,対象の絶対速度は,一定と見なされる。
【0032】
当然ながら,上記解釈は,実際の対象間隔dがd0よりも大きい場合にだけ,意味を持つ。限界場合d=d0においては,車両減速とそれに伴って評価値gは無限に高い値をとらなければならず,それは物理的に不可能である。従って小さい対象間隔については,上述した方程式(1)の代わりに,次の式(2)がIso−ライン42のための決定方程式として利用される:
d=d0−T*vr−g*T/2
【0033】
この方程式(2)の物理的な解釈は,評価量gが,所定の期間T内でクリティカルな間隔d0が達成されるために必要な,一定の車両減速に相当することにある。この定義は,条件d<d0の元でも利用することができる。方程式(2)は,直線の式であって,従って該当するIso−ライン42の直線的な部分に相当する。gの各値について,放物線状の部分と直線的な部分が常に突き合わされているので,全体として,dにおいてもvrにおいてもモノトーンに下降する,恒常的なマップが得られる。
【0034】
図2には示されていない,マップの他の次元は,車両の固有速度Vと運転者によって選択された,先行車両に追従すべき目標タイムギャップτ=d/vrに関する。変量Vとτの値の各組合わせについて,図2と同様の他の2次元のマップが得られ,それは図2に示すマップとは,例えばクリティカルな間隔d0の選択とタイムインターバルTの選択において異なることができる。
【0035】
図2には,例として2つの対象44,46が記入されており,それらは各々該当する値ペア(vr,d)によって表される。2つの対象44,46が,自己の走行車線上にあるものとする。対象44は,直前を走行する車両であり,対象46はその次の車両であって,従ってより大きい間隔を有している。通常,直前を走行する車両(即ち,対象)44が目標対象として選択されるが,ここで説明した,対象を選択する方法は,図2に示す状況において対象(即ち,その次の車両)46が目標対象として選択される,という結果をもたらす。というのは,この対象46の方が,評価量gが大きいからである。実際においては,これは,その次の車両(対象46)が急にブレーキをかけたので,その相対速度の絶対値が極めて大きくなったことに相当する。直前を走行する車両(対象44)は,この制動プロセスにはまだ反応していないため,まだ相対速度は0の近傍にある。ここで説明した方法によれば,目標対象として対象46を選択することにより,一時的にこの車両の制動プロセスが考慮され,自己車両の速度は,先行車両がブレーキプロセスに反応する前に,すでに減少される。このシステム行動は,実際においては走行安全性を高めることに寄与するだけでなく,交通密度が高い場合には交通の流れの著しい安定化にも寄与する。
【0036】
図2では,マップ40は方形又は矩形のセル48に分割されている。これらセル48の各々が,デジタルのマップメモリのメモリセルを表している。セル48は,マップ40の様々な領域内で様々な変量を有しており,その変量は評価値gが最も激しく変化するところ(即ち,Iso−ライン42)が最も密になっているところで,最小になる。セル48の可変の変量によって,一方では,マップの十分に高い解像度が,そして他方では,特に高次元のマップにおいて,メモリスペース需要の著しい削減が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】車両ガイドのための操作量を用意する装置を示すブロック回路図である。
【図2】2次元のマップによって定められる評価量の例を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通状況を表す入力量(V,e1,ek,di,vri,φi)に従って,かつ動的に変化可能なパラメータに従って,車両をガイドするための操作量(am,ab)を用意する方法において,
複数の入力量のセットから,唯一の評価量(g)が形成され,かつ
パラメータの複数のものが,同一の評価量を用いて定められる,
ことを特徴とする車両をガイドするための操作量を用意する方法。
【請求項2】
前記入力量が,位置測定された対象,特に他の車両の,位置測定データ(di,vri,φi)を有しており,かつ
本方法によって車両の適応的な速度制御のための操作量が用意される,
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記評価量(g)を用いて選択されたパラメータの1つが,複数の位置測定された対象の元で1つの目標対象を選択することに関する,ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複数の位置測定された対象について,該当する対象についての位置データ(di,vri,φi)を用いて,各々対象固有の評価量(g)が形成され,かつ
前記評価量(g)が最大となる対象が,目標対象として選択される,ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記評価量(g)は,位置測定された対象の対象間隔(di)にモノトーンに依存し,かつ相対速度(vri)にモノトーンに依存する,ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記評価量(g)は,入力量のセットから多次元のマップ(40)を用いて定められる,ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記マップ(40)が,少なくとも2つのゾーンに分割されており,前記ゾーンは対象間隔(d)の異なる領域に相当し,かつ前記ゾーン内で評価量(g)は様々な関数に従って計算され,かつ
前記各関数がゾーン間の境界(d0)において互いに連続的に移行する,ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記評価量(g)を用いて定められたパラメータの少なくとも1つは,どのくらい急速に及び/又はどの程度において,操作量(am,ab)の変化によって入力量の変化に反応するかを定めるパラメータである,ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記評価量(g)を用いて定められたパラメータの少なくとも1つは,入力量の1つをフィルタリングするためのフィルタパラメータである,ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
制御ユニット(10)を有し,前記制御ユニットはセンサ(14,16,18,20)から交通状況を表す入力量を受信して,これらの入力量から操作量を計算して,車両の駆動システム及び選択的にブレーキシステムの操作部材(30,32)へ出力する,車両をガイドするための操作量(am,ab)を用意する装置において,
前記制御ユニット(10)が,請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法を実施するように整えられている,ことを特徴とする操作量を用意する装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−504575(P2006−504575A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−549035(P2004−549035)
【出願日】平成15年5月19日(2003.5.19)
【国際出願番号】PCT/DE2003/001596
【国際公開番号】WO2004/041578
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(501125231)ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (329)
【Fターム(参考)】