説明

車両制御装置および車両制御方法

【課題】運転者の心理状態(感情)を総合的に判断し、判断結果に基づいた車両制御を行なうこと。
【解決手段】状況判断結果と運転者の感情推定結果を関連付けて感情推定実績として記憶し、また事故の履歴を記憶し、時刻情報、位置情報、道路形状、自車両の挙動と周辺状況などを感情推定実績や事故実績と比較して運転者の感情を推定することで、運転者の心理状態を総合的に判断し、制御内容決定部15による運転者への通知制御と、車両の挙動制御へ反映させることで、積極的に事故などを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の状況に応じた制御を行なう車両制御装置および車両制御方法に関し、特に運転者の感情に対応した制御を行なう車両制御装置および車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の走行に関する情報を収集して状況判断し、運転者への情報提供や車両の動作制御を行なうことで車両の運転を支援する装置が考案されてきた。
【0003】
さらに近年では、運転者の心理状態などを監視し、運転に適した状態であるか否かを運転者自身に通知する技術も考案されている。例えば、特許文献1は、運転者の表情、眼球挙動、心拍数などから運転者の緊張や疲労、眠気など運転に支障をきたす状態を判別し、判別結果を模擬したシンボルマークを表示する技術を開示している。
【0004】
【特許文献1】特開2003−339681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、判別できるのが身体状態に直結した心理状態のみに限定され、例えば怒りや悲しさなどの感情を判別することができなかった。
【0006】
また、判別した状態を単に通知するのみであり、例えば眠気を感じている場合に判別結果を表示したとしても、眠気によって表示の確認自体が行なわれない可能性が高い。
【0007】
すなわち、従来の技術では、極めて限定された心理状態しか判別できず、また、判別結果を有効利用することができないという問題点があった。そのため、運転者の心理状態(感情)を総合的に判断し、判断結果に基づいて積極的に事故などの防止を行なうことのできる技術の実現が重要な課題となっていた。
【0008】
本発明は、上述した従来技術における問題点を解消し、課題を解決するためになされたものであり、運転者の心理状態(感情)を総合的に判断し、判断結果に基づいた制御を行なう車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係る車両制御装置および車両制御方法は、時刻情報、位置情報、道路形状、自車両の挙動と周辺状況のうち少なくともいずれかを用いて運転者の感情を推定し、推定結果を利用して車両の動作制御や運転者への通知制御の内容を決定する際に、現在の状況と、前記事故履歴手段に記憶された事故当時の状況とが類似する場合に、運転者に感情の変化が発生する可能性があると推定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば車両制御装置および車両制御方法は、時刻情報、位置情報、道路形状、自車両の挙動と周辺状況、さらに過去の事故の状況などを運転者の情動要因として用いて運転者の心理状態(感情)を総合的に判断し、判断結果に基づいた制御を行なう車両制御装置および車両制御方法を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る車両制御装置および車両制御方法の好適な実施例について詳細に説明する。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明の実施例である車両制御装置10の概要構成を示す概要構成図である。同図に示すように車両1に搭載された車両制御装置10は、ナビゲーション装置20、車外カメラ31、車速センサ32、加速度センサ32、通信装置34、レーダ35、心拍数センサ41、呼吸センサ42、圧力センサ43、発汗センサ44、マイクロフォン45、車内カメラ46、車内通知系50および車両制御系60に接続する。
【0013】
ナビゲーション装置20は、GPS(Global Positioning System)受信機22が人工衛星と通信して特定した自車両の位置、地図データ21、VICS(Vehicle Information and Communication System)受信機23が受信した道路交通情報などを利用して、走行経路の設定および誘導を行なう車載装置である。
【0014】
この経路の誘導は具体的には車内通知系50を用いて行なう。また、ナビゲーション装置20は、車両制御装置10に対して自車両の位置情報や周辺の地図情報、交通情報などを供給する。
【0015】
車外カメラ31は、自車両の周囲を撮影する撮影手段である。また、速度センサ32は自車両の走行速度を測定する測定手段であり、加速度センサ33は自車両にかかる加速度を測定する測定手段である。
【0016】
さらに、通信装置34は、自車両周辺、例えば他車両や道路近傍に設置された通信機と通信する通信装置であり、レーダ35は、ミリ波やマイクロ波を用いて自車両周辺の物体を検出する検知手段である。
【0017】
心拍数センサ41は、運転者の心拍数(脈拍)を計測するセンサであり、呼吸センサ42は、運転者の呼吸の状態を監視するセンサである。また、圧力センサ43は、運転席の座面にかかる圧力を計測することで、運転者の体勢の変化を監視するセンサである。
【0018】
発汗センサ44は、例えばハンドルなどに設けられ、運転者の発汗状態を監視するセンサである。さらに、マイクロフォン45は運転者の音声を取得する集音手段であり、車内カメラ46は自車両内部、特に運転者を撮影する撮影手段である。
【0019】
車内通知系50は、自車両の乗員に対して通知を行なう装置群であり、表示による通知を行なうディスプレイ51や音声による通知を行なうスピーカ52などを含む。この車内通知系50は、車両制御装置10、ナビゲーション装置20の他、車載オーディオ装置など各種車載装置で共用することができる。
【0020】
車両制御系60は、車両の動作制御を行なう装置群であり、アクセル操作に基づいてエンジンの動作を制御するエンジン制御機構61、ブレーキペダルの操作に基づいて車両の制動を行なうブレーキ制御機構62、ハンドル操作に基づいて車両の舵角を制御する舵角制御機構63などを含む。
【0021】
この車両制御系60は、運転者の操作に応答して車両制御を行なう他、車両制御装置10からの制御指示を受けて車両の動作を制御する。また、車両制御系60は、車両の動作状態を車両制御装置10に出力する。
【0022】
車両制御装置10は、自車両の状況に対応して運転者への通知制御や車両の動作制御を行なうことで、運転操作を支援する装置であり、その内部に状況判断部11、情動要因検知部12、生体状態監視部13、個人識別部14、制御内容決定部15、感情推定部16およびユーザ状態データベース17を有する。
【0023】
状況判断部11は、自車両の状況を判断する処理部である。この状況判断には、ナビゲーション装置20から取得した自車両の位置情報や周辺の地図情報、交通情報、車外カメラ31が撮影した画像に対する画像認識、車速センサ32が測定した自車両の走行速度、加速度センサ33が測定した自車両に加わる加速度、通知新装置34による通信結果、レーダ35による物体検知結果、車両制御系60から取得した車両の動作状態を用いる。
【0024】
情動要因検知部12は、運転者の感情の変化(情動)を誘発する要因を検知する処理を行なう。この情動要因としては、状況判断部11の判断結果を用いることができる。
【0025】
生体情報監視部13は、運転者の身体状態を監視する処理を行なう。身体状態としては、心拍数センサ41が計測した心拍数、呼吸センサ42が監視した呼吸の状態、圧力センサ43が検知した体勢の変化、発汗センサ44が検知した発汗状態、マイクロフォン45が取得した音声、車内カメラ46が撮影した運転者画像に対する画像認識結果などを用いることができる。
【0026】
個人識別部14は、運転者を識別する処理を行なう処理部である。この運転者の個人識別は、車内カメラ36が撮影した運転者の顔画像に対する画像認識によって実現しても良いし、例えば運転者ごとに個別に割り当てられたキーなどを認識することで行なっても、また運転者自身による入力によって行なっても良い。
【0027】
感情推定部16は、情動要因検知部12による検知結果、生体情報監視部13による監視結果、個人識別部14による識別結果を用いて、運転者の感情を推定する処理を行なう。
【0028】
たとえば、情動要因として自車両の前に他車両が割り込んだ、渋滞が発生中、などを検知した場合には、運転者がイライラする、怒る、などの感情を持つ可能性があると推定することができる。同様に、生体状態の変化からも、怒りや不安などの感情を推定することが可能である。
【0029】
ここで、同じ情動要因に対してどのように反応するか、また生体状態の変化度合いと感情と対応関係については個人差が大きいので、個人識別部14による識別結果を利用することが好ましい。
【0030】
ユーザ状態データベース17は、状況判断部11による判断結果と、感情推定部16による推定結果、また個人識別部14による識別結果とを関連付けて記憶する記憶手段である。
【0031】
制御内容決定部15は、状況判断部11による判断結果と、感情推定部16による感情の推定結果と、に基づいて制御内容を決定する。すなわち、車両の状況(状況判断部11の判断結果)が同一であっても、運転者の感情によってそれぞれ異なる適切な制御を選択して実行することができる。
【0032】
また、制御内容決定部15は、その内部に特殊制御開始部15a、予測制御部15b、閾値制御部15c、リソース配分部15dを有する。特殊制御開始部15aは、特定の感情に対応する制御を開始する処理を行なう処理部であり、予測制御部15bは、感情に起因して発生が予測される状態の事前対処を行なう処理部である。また、閾値制御部15cは、運転者の感情に応じて車両制御における閾値の調整する処理部であり、リソース配分部15dは、運転者の感情に応じて車両制御に対するリソース配分を調整する処理部である。
【0033】
このように、運転者の情動を誘発する情動要因を用いて運転者の感情を推定することで、運転者の心理状態を総合的に判断することができる。そして、判断結果から運転者への通知と、車両の挙動制御への介入を行なうことで、積極的に事故などを防止することができる。
【0034】
具体的には、車両制御装置10は、時刻情報、位置情報、道路形状、自車両の挙動と周辺状況などを情動要因として用いて運転者の感情を推定する。例えば、交差点の右折が苦手な運転者は、図2に示すように交差点を右折する場合に緊張や不安などの感情を示し、適切な運転操作を行なうことができなくなったり、特定の方向にのみ意識を取られて他の方向への注意が疎かになることが考えられる。
【0035】
また、通勤時間など特定の時間帯に焦る傾向のある運転者や、特定の場所が苦手な運転者、特定の状況に遭遇したときに不安を感じる運転者も居る。
【0036】
そこで、まず生体情報などから運転者の感情を推定し、自車両の状況(時刻情報、位置情報、道路形状、自車両の挙動と周辺状況)と関連付けて蓄積することで、どのような状況下でどのような感情が誘発されるかを解析することができる。
【0037】
また、事故を経験した運転者は、事故当時の状況と類似した状況下で緊張したり、不安を感じることが推測できる。たとえば、対向車両を待たせて右折する際に、対向車両の陰から出てきた二輪車両と接触・衝突する事故(いわゆるサンキュー事故)を経験した運転者は、図3に示すように同様の状況下において対向車両の陰の方向に意識が集中し、他の歩行者の存在を見落とす可能性がある。
【0038】
このように、過去の事故履歴についてもその状況を記憶しておくことで、類似の状況下における感情変化を推測することができる。
【0039】
この感情推定実績と事故履歴に基づく感情推定を実現するために、ユーザ状態データベース17は、図4に示すように、状況判断部11の判断結果(すなわち時刻情報、位置情報、道路形状、自車両の挙動と周辺状況)と誕生推定部16の推定結果(すなわち運転者の感情)とを関連付けて記憶している。
【0040】
なお、この時の感情推定は、主に生体情報に基づいて行なう。生体情報に基づく感情推定の具体例を図5に示す。同図に示したように車内カメラ46で眉間のしわを撮影し、通常よりもしわが多い場合には運転者が怒っている可能性が高いと推定することができる。同様に、画像認識によって運転者の視線を取得し、視線が定まっていない場合には運転者が不安を感じている可能性が高いと推定することができる。
【0041】
また、マイクロフォン45によって運転者の音声を取得した結果、ため息を検知したならば運転者が不安を感じている可能性が高いと推定し、舌打ちを検知したならば運転者が怒りを感じている可能性が高いと推定することができる。
【0042】
また、発汗センサ44の出力から運転者の発汗量が通常よりも多いことが検知されたならば、運転者が緊張していると推定することができる。この他、例えば運転者がハンドルを強く握っている場合には運転者が緊張していると推定する、などのように、任意の生体情報を用いて運転者の感情を推定することが可能である。
【0043】
一旦ユーザ状態データベース17に記憶された記憶内容は、それ以降の感情推定に使用することができる。記憶内容を感情推定に使用する場合、図6に示したように、状況判断部11の判断結果を感情推定部16が取得し、状況判断結果をキーにしてユーザ状態データベース17を検索する。
【0044】
この検索をおこなうことで、現在の車両の状況と類似の状況下において、過去、運転者がどのような感情を示したか、類似の状況における事故履歴があるか否かを読み出すことができる。
【0045】
なお、感情と車両状況との対応関係には個人差があるので、ユーザ状態データベース17は図7に示すように、ユーザ(運転者ごと)に記憶を管理する。たとえば、同図では、ユーザAは16時頃に焦る傾向があり、ユーザBは交差点の右折で不安を感じる傾向がある。さらに、ユーザCは、対向車を待たせての右折で事故を起こした履歴を有する。
【0046】
そのため、ユーザAが16時頃に運転中であれば、生体情報の変化が十分に取得できなかったとしても運転者が焦っている可能性が高いと推定し、ユーザBが運転中に交差点を右折する場合には、運転者が不安を感じている可能性があると推定することができる。
【0047】
同様に、ユーザCが運転中に、時刻や位置、道路形状、シチュエーション(自車両の挙動と周辺状況)が事故当時の状況と類似している場合には、ユーザCが緊張や不安を感じている可能性があると推定することができる。
【0048】
つづいて、運転者の感情と制御の具体例について、図8を参照して説明する。同図に示すように、運転者が「怒り」「イライラ」「焦り」などの感情を示している場合には、運転者の状態、すなわち予想される(予測制御部15bが予測する)危険としては、「運転が荒くなる」、「前方や特定の対象に集中し、他への注意が疎かになる」などがある。
【0049】
「運転が荒くなる」ことが予想された場合、車両制御としてエンジン制御機構61に対する加速抑制、ブレーキ制御機構62に対する減速支援などを実行し、運転者への通知制御としてリラックスを促す通知を行なう。リラックスを促す通知の具体例としては、メッセージや音楽などの出力、リラックス効果のある香りを出す、など任意の方法を用いることができる。
【0050】
ここで、加速制御や減速支援は、具体的には、閾値制御部15cがエンジン制御やブレーキ制御にかかる各種閾値を変更することで、加速や減速の開始タイミングや制御強度などを調節する処理である。
【0051】
また、「前方や特定の対象に集中し、他への注意が疎かになる」ことが予想された場合、カメラやレーダの監視範囲や演算処理能力などのリソース配分の調整によって、周辺監視を強化し、周辺監視の結果を運転者に提供する情報通知を行なう。
【0052】
運転者が「悲しんでいる」場合、予想される危険は「見落としの発生、反応遅れ」、「速度低下」などである。
【0053】
「見落としの発生、反応遅れ」の発生が予想された場合、車両制御としてブレーキ制御機構62に対する減速支援、カメラやレーダの監視範囲や演算処理能力などのリソース配分の調整による周辺監視の強化を行ない、運転者への通知制御として周辺監視の結果を情報通知や運転への集中を促す通知を行なう。
【0054】
また、「速度低下」が予測された場合、車両制御としては走行速度が所定速度以下となった場合に警告を行なう特殊な制御である低速警告処理を起動し、運転者への通知制御として運転への集中を促す通知を行なう。
【0055】
運転者が「喜び」「楽しい」などの感情を示している場合、予想される危険としては「見落としの発生、反応遅れ」、「スピードオーバー」、「急加速」などがある。
【0056】
「見落としの発生、反応遅れ」の発生が予想された場合、車両制御としてブレーキ制御機構62に対する減速支援、カメラやレーダの監視範囲や演算処理能力などのリソース配分の調整による周辺監視の強化を行ない、運転者への通知制御として周辺監視の結果を情報通知や運転への集中を促す通知を行なう。
【0057】
また、「スピードオーバー」の発生が予想された場合、車両制御としてエンジン制御機構61に対する加速抑制、速度監視の強化などを行ない、運転者への通知制御として安全運転を促す通知を行なう。
【0058】
同様に「急加速」の発生が予想された場合、車両制御としてエンジン制御機構61に対する加速抑制などを行ない、運転者への通知制御として安全運転を促す通知を行なう。
【0059】
運転者が「不安」「緊張」などの感情を示している場合、予想される危険としては「発汗、ハンドルを握り締めるなどによる運転ミスの発生」、「特定箇所に意識が集中し、他への注意が疎かになる」などがある。
【0060】
「運転ミスの発生」が予想された場合、車両制御としてブレーキ制御機構62に対する減速支援、舵角制御機構63に対する操舵支援などを実行し、運転者への通知制御としてリラックスを促す通知を行なう。
【0061】
また、「前方や特定の対象に集中し、他への注意が疎かになる」ことが予想された場合、カメラやレーダの監視範囲や演算処理能力などのリソース配分の調整によって、周辺監視を強化し、周辺監視の結果を運転者に提供する情報通知を行なう。
【0062】
つづいて、車両制御装置10の処理動作について説明する。図9は、車両制御装置10の電源がオンになった場合に開始され、繰り返し実行されるルーチン処理の処理動作を説明するフローチャートである。
【0063】
同図に示すように、車両制御装置10は、まず、運転者の身体状態を生体情報として取得し(ステップS101)、さらに運転者の情動を誘発する情動要因を取得する(ステップS102)。
【0064】
そして、生体情報と情動要因から運転者の感情を推定し(ステップS103)、運転に影響を及ぼすような特定の感情の発生が推定されなければ(ステップS104,No)、通常の通知や車両挙動の制御を行なって(ステップS106)、処理を終了する。
【0065】
一方、運転に影響を及ぼす特定の感情の発生が推定された場合には(ステップS104,Yes)、推定された感情に基づいて処理内容を変更(ステップS105)した上で通知や車両挙動の制御を行なって(ステップS106)、処理を終了する。
【0066】
上述してきたように、本実施例にかかる車両制御装置10は、状況判断結果と運転者の感情推定結果を関連付けて感情推定実績として記憶し、また事故の履歴を記憶し、時刻情報、位置情報、道路形状、自車両の挙動と周辺状況などを感情推定実績や事故実績と比較して運転者の感情を推定することで、運転者の心理状態を総合的に判断し、制御内容決定部15による運転者への通知制御と、車両の挙動制御へ反映させることで、積極的に事故などを防止することができる。
【0067】
なお、本実施例はあくまで一例をしめしたものであり、発明の内容を限定するものではない。本発明の実施に当たっては、その構成を適宜変更して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明にかかる車両制御装置および車両制御方法は、運転操作の支援に有用であり、特に運転者の感情に対応した制御に適している。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施例にかかる車両制御装置の概要構成を示す概要構成図である。
【図2】交差点右折時の状況について説明する説明図である。
【図3】対向車両を待たせて右折する場合の状況について説明する説明図である。
【図4】ユーザ状態データベースの作成について説明する説明図である。
【図5】生体情報に基づく感情推定の具体例について説明する説明図である。
【図6】ユーザ状態データベースを利用した感情推定について説明する説明図である。
【図7】ユーザ状態データベースの記憶内容について説明する説明図である。
【図8】運転者の感情と制御の具体例について説明する説明図である。
【図9】車両制御装置の処理動作について説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1 車両
10 車両制御装置
11 状況判断部
12 情動要因検知部
13 生体状態監視部
14 個人識別部
15 制御内容決定部
15a 特殊制御開始部
15b 予測制御部
15c 閾値制御部
15d リソース配分部
16 感情推定部
17 ユーザ状態データベース
20 ナビゲーション装置
21 地図データ
22 GPS受信機
23 VICS受信機
31 車外カメラ
32 車速センサ
33 加速度センサ
34 通信装置
35 レーダ
41 心拍数センサ
42 呼吸センサ
43 圧力センサ
44 発汗センサ
45 マイクロフォン
46 車内カメラ
50 車内通知系
51 ディスプレイ
52 スピーカ
60 車両制御系
61 エンジン制御機構
62 ブレーキ制御機構
63 舵角制御機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻情報、位置情報、道路形状、自車両の挙動と周辺状況のうち少なくともいずれかを用いて運転者の感情を推定する感情推定手段と、
自車両の状況を判断する状況判断手段と、
前記状況判断の結果と前記感情の推定結果に基づいて車両の動作制御および/または運転者への通知制御の内容を決定する制御内容決定手段と、
過去の事故履歴を記憶する事故履歴記憶手段と、
を備え、
前記感情推定手段は、現在の状況と、前記事故履歴手段に記憶された事故当時の状況とが類似する場合に、運転者に感情の変化が発生する可能性があると推定することを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記制御内容決定手段は、前記感情の推定結果に基づいて、特定の感情に対応する制御の起動、感情に起因して発生が予測される状態の事前対処、車両制御における閾値の調整、車両制御に対するリソース配分調整のうち、少なくともいずれかを行なうことを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
時刻情報、位置情報、道路形状、自車両の挙動と周辺状況のうち少なくともいずれかを用いて運転者の感情を推定する感情推定工程と、
自車両の状況を判断する状況判断工程と、
前記状況判断の結果と前記感情の推定結果に基づいて車両の動作制御および/または運転者への通知制御の内容を決定する制御内容決定工程と、
を含み、
前記感情推定工程は、現在の状況と、過去の事故履歴として記憶された事故当時の状況とが類似する場合に、運転者に感情の変化が発生する可能性があると推定することを特徴とする車両制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−70965(P2008−70965A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246944(P2006−246944)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】