説明

車両制御装置

【課題】衝突安全制御による車両の動作を体験できる車両制御装置を提供すること。
【解決手段】車両制御装置20は、自車両と障害物との間の距離および相対速度に基づいて自車両が障害物と衝突する可能性があるか否かを判断し、衝突の可能性がある場合には自車両の走行速度を減速させる衝突安全制御を行う車両制御装置20であって、衝突を回避できるか否かを判断し、衝突回避不可と判断した場合に衝突安全制御を行う通常走行処理手段251と、予め設定された体験走行実行条件を満たすか否かを判断し、体験走行実行条件を満たす場合には、通常走行処理手段251に代えて、衝突安全制御を行う体験走行処理手段252を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両が障害物と衝突する可能性がある場合に自車両の走行速度を自動的に減速させる衝突安全制御を行う車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車販売店の顧客に、車両の走行機能やナビゲーション機能等を体験してもらうことは、顧客の関心を高め販売促進の面で重要な要素である。車両のナビゲーション機能については、車両を動かさなくても、複数の道路地図の表示や音声による案内を体験することができるようになっている(特許文献1)。
【0003】
また、走行機能に関しては、高速道路や一般道路において、自動走行制御における定速走行や前方車追従走行、また近年採用が進んでいるアイドルストップ制御等を体験することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−132582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば衝突時における身体への負担軽減を目的として装備されて、前方の障害物に衝突する可能性がある場合に、自動的に制動を行い減速させる衝突安全制御の機能については、実際にそのような状況にならないと作動しないので、ドライバや顧客が前もって体験することはできなかった。したがって、顧客への説明手段は、紙上による説明に限定され、実際の走行における説明や体験する手段はなかった。したがって、顧客の関心を高めることができず、付加機能による販売促進の向上を図ることは困難であった。
【0006】
また、衝突安全制御装置が、例えば前方の障害物を誤検出してドライバの意図に反した動作(ブレーキの作動)が生じた場合に、ドライバは初めて体験する動作に驚くおそれがある。したがって、そのような機能に慣れるために予めドライバを訓練しておく必要もある。
【0007】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、衝突安全制御による車両の動作を前もって体験することができる車両制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の車両制御装置は、自車両と障害物との間の距離および相対速度に基づいて前記自車両が前記障害物と衝突する可能性があるか否かを判断し、該衝突の可能性がある場合には前記自車両の走行速度を減速させる衝突安全制御を行う車両制御装置であって、前記衝突を回避できるか否かを判断し、衝突回避不可と判断した場合に前記衝突安全制御を行う通常走行処理手段と、予め設定された体験走行実行条件を満たすか否かを判断し、前記体験走行実行条件を満たす場合には、前記通常走行処理手段に代えて、前記衝突安全制御を行う体験走行処理手段を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車両制御装置では、体験走行実行条件を満たすことにより、衝突安全制御による車両の動作を前もって実際に体験することができるので、顧客への説明が容易になり、顧客の車両に対する安全性評価が高くなり、自動車販売促進の効果も得ることができる。
【0010】
また、前もって実際に体験することにより、ドライバを訓練することができ、通常走行において、実際に衝突安全制御の動作が行われたときに、驚くことなく冷静に衝突安全制御によるものであると判断させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1における車両制御装置の構成を説明するブロック図。
【図2】衝突安全制御部の処理を説明するフローチャート。
【図3】デモモードFLAGの処理を説明するフローチャート。
【図4】デモランFLAGのセット処理を説明するフローチャート。
【図5】デモランFLAGのクリア処理を説明するフローチャート。
【図6】ターゲットFLAG1、2の処理を説明するフローチャート。
【図7】デモ走行の具体例を説明する図。
【図8】通常走行処理部の制御ブロック図。
【図9】前方車両の認識判断処理を説明するフローチャート。
【図10】操舵回避不可判断処理を説明するフローチャート。
【図11】制動回避不可判断処理を説明するフローチャート。
【図12】目標減速度演算処理を説明するフローチャート。
【図13】前方車両との車間距離の算出処理を説明するフローチャート。
【図14】前方車両との相対速度の算出処理を説明するフローチャート。
【図15】操舵回避限界距離の算出処理を説明するフローチャート。
【図16】制動回避限界距離の算出処理を説明するフローチャート。
【図17】目標減速度の設定処理を説明するフローチャート。
【図18】実施例2におけるデモ走行の表示画面を示す図。
【図19】実施例3における衝突安全制御部の制御ブロック図。
【図20】実施例4におけるデモ走行の表示画面を示す図。
【図21】実施例4におけるデモランFLAGのセット処理を説明するフローチャート。
【図22】実施例4におけるデモ車両と仮想障害物の表示処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施例1]
次に、本発明の実施例1について図面を参照して説明する。
以下、実施例1を説明するのに当たり、本発明の主課題である車両の衝突安全制御を顧客やドライバ(運転者)に体験させる機能を、仮にデモンストレーション機能と称して説明する。なお、本実施の形態におけるデモンストレーションの概念には、顧客やドライバに衝突安全制御を体験させるための実演に加えて、ドライバを衝突安全制御に慣れさせるための訓練も含まれている。
【0013】
図1は、本発明の実施例1における車両制御装置の構成を示すブロック図である。
車両制御装置20を用いてデモンストレーション(以下、デモンストレーションはデモと略称)走行を行う場合には、車両制御装置20のコネクタ部30にデモ操作部(外部操作部)10が接続される。
【0014】
デモ走行を行う場合には、予め設定されたデモ走行路に車両を移動し、車両販売店の担当者が車両に搭乗してデモ操作部10をコネクタ30に接続し、デモ操作部10を手動で操作してデモ走行(体験走行)を開始する。
【0015】
車両制御装置20は、実際の車両に装備されている制御装置(ECUと略称)を有しており、運転者(ドライバ)のアクセル操作により、エンジンの点火や燃料噴射を制御するエンジンECU21、変速機を制御するトランスミッションECU22、ブレーキを制御するブレーキECU23、自車両と前方障害物との間の距離および相対速度を計測する距離速度センサ24、走行制御を行う走行ECU25で構成されている。
【0016】
走行ECU25は、自動走行や分岐道路の走行などの制御処理を行う自動走行処理部253と、自車両が前方の障害物に衝突する可能性がある場合には自動的に制動を指示する衝突安全制御部250とからなり、衝突安全制御部250は、通常走行時の処理を実行する通常走行処理部(通常走行処理手段)251と、デモ走行処理(体験走行処理)を実行するデモ走行処理部(体験走行処理手段)252を有している。
【0017】
通常走行処理部251は、自車両と障害物との衝突を回避できるか否かを判断し、衝突回避不可と判断した場合に自車両の走行速度を減速させる衝突安全制御を行い、デモ走行処理部252は、予め設定された体験走行実行条件を満たすか否かを判断し、該条件を満たす場合には、通常走行処理部251に代えて、衝突安全制御を行う。
【0018】
車両制御装置20内では、各ECU21〜25が車内LAN26で接続され、必要に応じて各種データの送受信が可能であり、コネクタ30によりデモ操作部10が車内LAN26で接続される例で示している。
【0019】
本実施例のデモ走行は、あらかじめ決められたデモ走行路に障害物を設置し、デモ操作部10によりデモ走行をセットし、障害物の手前(例えば30m)に停車した状態から走行を開始し、障害物に接近するに従って走行速度が低減する減速ブレーキ制御(衝突安全制御)が体験できるようにしている(例えば図7を参照)。
【0020】
図2は、衝突安全制御部の処理を説明するフローチャートであり、図2(a)は、デモ走行処理部の処理フローを示し、図2(b)は、通常走行処理部の処理フローを示す。
【0021】
まず、図2(a)のデモ走行処理部252では、予め設定された体験走行実行条件を満たすか否かを判断すべく、ステップS100でデモ走行の許可、不許可(中止)を判定するデモモードFLAGの処理、ステップS200でデモ走行実行の許可を判定するデモランFLAGのセット処理、ステップS300でデモ走行の不許可(中断)を判定するデモランFLAGのクリア処理、ステップS400でデモ走行と通常走行の切替え判定をするターゲットFLAG1、2の処理が実行される。
【0022】
一方、図2(b)の通常走行処理部251では、ステップS500において、従来から実行されている衝突安全制御部250によるブレーキ信号の出力処理と、通常走行又はデモ走行の切替え処理とが実行される。
【0023】
以下、デモ走行処理部252のステップS100からS400までの具体的な処理について説明する。
【0024】
図3はステップS100のデモ走行の許可、不許可を判定するデモモードFLAGの処理を説明する図である。
【0025】
ステップS101では、例えば自動車販売店のサービス担当者等の操作者によって、デモ操作部10のスイッチ操作が行われて、デモ走行の許可、不許可が入力される(第1判断手段)。例えば、デモ操作部10がオフからオンにスイッチ操作されると、デモ走行の許可がなされて、デモモードFLAGがセットされる。そして、デモ操作部10がオンからオフにスイッチ操作されると、デモ走行が不許可とされて、デモモードFLAGがクリアされる。
【0026】
ステップS102では、デモモードFLAGがセットであるか否かが判断され、セットであればYES判定としてステップS110の車両状態判断部の処理に移行し、クリアであればNO判定としてデモ走行が行われることはない。デモ走行の許可、不許可は、デモ操作部10の操作以外にステップS110の車両状態判断部(第2判断手段)でも判断される。
【0027】
ステップS111は、後述する障害物の認識FLAGであるターゲットFLAG1のセットを判定し、YES判定ではステップS112においてハンドル操作が設定舵角以下であること、ステップS113は、エンジンが起動されエンジン回転数Neが、デモ走行に適さない設定回転数Neset以下であること、かつステップ114のスロットル開度TVOが、デモ走行に適さない設定値TVOset以下であること、かつステップS115の車速Vdemoが、デモ走行に適さない設定値Vdemomax以下であることの各判定がすべてYES判定のとき、デモ走行を許可するデモモードFLAGのセットが保持されるようになっている。
【0028】
ステップS112からS115までに1つでもNO判定があると、自車両の車両状況がデモ走行に適さない状況であると判断して、ステップS103においてデモモードFLAG、及び他の判定FLAG(デモランFLAG、ターゲットFLAG1、2)も同時にクリアされてデモ走行が不許可(デモ走行が中止)とされ、再度、デモ操作部10を操作しない限り、デモ走行ができないようになっている。
【0029】
ステップS112の設定舵角以上のハンドル操作の判定は、デモ走行中の車両がデモ走行路から離脱した場合を想定したもので、離脱後、一般道をデモモードで走行しないようにデモ走行を不許可にするものである。なお、自車両のデモ走行路からの離脱を判断する方法としては、ハンドル操作による舵角以外のものとして、例えば、デモ走行路を表示する表示を画像認識により認識する方法を採用してもよい。また、デモ走行に適さない条件として、距離速度センサ24により障害物が認識できない場合を、ステップS110の処理に加えてもよく、また、ステップS110の一部の処理と入れ替えてもよい。
【0030】
図4は、ステップS200のデモ走行実行の許可を判定するデモランFLAGのセット処理を説明するフローチャートである。
【0031】
ステップS201はデモモードFLAGがセット(デモ走行が許可)でYES判定、ステップS202はデモ走行が許可となった最初の処理ではデモランFLAGがクリアでありYES判定、ステップS203は後述するターゲットFLAG1がセットの時にYES判定、ステップS204は車速Vdemoが0の時にYES判定、ステップS205はギア位置がDレンジの時にYES判定となり、ステップS206でデモランFLAGがセット(デモ走行実行が許可)される。ステップS206でデモランFLAGがセットされると、ステップS202はNO判定となり、デモランFLAGのセット(デモ走行実行の許可)が継続するようになっている。
【0032】
なお、ステップS204の車速Vdemoが0(停止)の判定は、デモ走行の開始は、デモ走行路の障害物の手前(例えば30m)で一旦停止していることを条件(第3判断手段)にしているためであり、一端停止をせずに走行中のままではデモ走行が許可されないようになっている。
【0033】
図5は、ステップS300のデモ走行実行の不許可(デモ走行実行の中断)を判定するデモランFLAGのクリア処理を示すフローチャート(第4の判定手段)である。
【0034】
ステップS301でデモ走行中はデモモードFLAGがセットでYES判定、ステップS302でデモ走行中はデモランFLAGがセットでYES判定、ステップS303で後述するターゲットFLAG2がセットの時にYES判定、ステップS304でブレーキスイッチがオフでYES判定、ステップS305でアクセルスイッチがオフでYES判定、ステップS306で車速Vdemoが0(停止)でYES判定になると、ステップS307においてデモランFLAGがクリアされると共に後述するターゲットFLAG1、2がクリアされてデモ走行実行の不許可(デモ走行実行の中断)とされる。
【0035】
ステップS301がNO判定ではデモ走行は不許可、ステップS302のNO判定ではデモ走行実行は不許可(デモ走行実行の中断)の状態が継続されており、ステップS303とS306のNO判定ではデモ走行実行は許可が継続するようになっている。
【0036】
ステップS303のターゲットFLAG2がセットのYES判定では、後述する衝突安全制御部250からの出力信号でブレーキECU23を動作させて減速ブレーキで走行中(制動制御による減速中)であり、ここで、アクセル操作又はステップS305でブレーキ操作が行われると、ステップS304でNO判定となり、デモ走行実行の不許可(デモ走行実行の中断)とされる。すなわち、本実施例では、衝突安全制御である減速ブレーキ制御は、デモ車両が惰行状態で走行中に動作させるようになっている。
【0037】
なお、ステップS306の車速Vdemoが0の判定は、デモ走行路において、減速ブレーキで走行中に、デモ車両が停止した場合にデモ走行実行の不許可(デモ走行実行の中断)とする判定処理である。
【0038】
図6はステップS400のターゲットFLAG1、2のセット、クリア処理であり、ターゲットFLAG1、2は自車両から前方障害物までの計測距離で処理される。
【0039】
ステップS401ではデモモードFLAGのセット判定が行われ、デモ走行実行が許可されているYES判定の時、ターゲットFLAG1、2のセット処理をする。ステップS402は、ターゲットFLAG1がクリアでYES判定、ステップS403で障害物からデモ車両までの距離Ddemoが、デモ走行を開始するあらかじめ設定した設定距離Dsetより大きいYES判定で、ステップS404においてターゲットFLAG1がセットされると共に、ステップS405で後述する記憶した車速Vmemoを0にする。なお、ステップS403のNO判定は、障害物の認識ができなかった場合の処理を想定したものであり、ターゲットFLAG1はクリアが継続される。
【0040】
ステップS404でターゲットFLAG1がセットされると、ステップS402はNO判定となり、ステップS406でターゲットFLAG2がクリアか否かが判定される。そして、ステップS406でターゲットFLAG2がクリアのYES判定がされると、ステップS407で障害物からデモ車両までの距離Ddemoが設定距離Dsetと等しいか小さいかの判定がされ、YES判定でステップS408に移行し、ステップS408で車速VdemoをVmemoとして記憶し、ステップ409でターゲットFLAG2がセットされる。一方、ステップS406、または、ステップS407でNO判定の場合は、ターゲットFLAG1だけがセットされている。
【0041】
一度、ターゲットFLAG2がセットされるとステップS406はNO判定となり、記憶した車速VmenoとターゲットFLAG2のセットが継続する。ターゲットFLAG2は、ブレーキECU23を動作させる基になるFLAGであり、クリアで衝突安全制御部250の通常走行処理部251により衝突安全制御を実行させ、セットではデモ走行処理部252により衝突安全制御を実行させる切替え判定のFLAGである。切替えによる処理の詳細については後述する。ターゲットFLAG1、2は、図2及び図5の処理においてデモランFLAGがクリアされたときに同時にクリアされる。
【0042】
ところで、図4に示したステップS203のターゲットFLAG1のセット判定は、ステップS404のNO判定のように障害物の認識ができない時にデモランFLAGをセットしないようにしている。
【0043】
また、図5に示したステップS303のターゲットFLAG2のセット判定は、セットされたYES判定においてデモ車両から障害物までの距離Ddemoが設定距離Dset以内にあって、デモ車両を停止(車速Vdemo=0、ステップS306のYES判定)させた場合に、デモ走行実行を不許可とするためデモランFLAGをクリア(デモ走行実行の中断)するようにしている。
【0044】
図7は、デモ走行の具体例を説明する図であり、図2のステップS100からS400で処理されるFLAGについて、デモ車両70がデモ走行路71を走行した場合のセット、クリア処理を示している。
【0045】
デモ走行路71の地点Paは、顧客とサービス担当者がデモ車両70に乗車し、サービス担当者がデモ操作部10を操作して、デモモードFLAGをセット(デモ走行の許可)する走行の開始地点である。
【0046】
デモ走行の終点は、地点Peであり、地点Paから地点Peまでは、常に図3のステップS110に示した車両状況判断部でデモ走行の不許可を判定している。
【0047】
地点Paから地点Pcまでは、衝突安全制御を体験する準備走行であり、地点Paから地点Pbまで準備走行をすると、距離速度センサ24が障害物72を認識して障害物72までの距離Ddemoを計測し、図6に示したステップS403の距離Ddemoが設定距離Dsetより大きいYES判定であればステップS404でターゲットFLAG1をセットする。
【0048】
地点Paから地点Pcまで準備走行したところで一旦停止すると、図4に示したステップS203がYES判定、車速Vdemoが0であるので、デモランFLAGがセット(デモ走行実行の許可)される。
【0049】
デモランFLAGがセットされた地点Pcから衝突安全制御の体験をするデモ走行が開始される。デモ車両70から障害物72までの距離Ddemoが設定距離Dsetより小さくなる地点Pdにおいて、図6に示したステップS407がYES判定となり、ターゲットFLAG2がセットされる。
【0050】
デモ車両70は、ターゲットFLAG2のセットにより、地点Pdから地点Peの区間で衝突安全制御部250からの出力信号によってブレーキECU23が制御され、減速ブレーキ制御が実現される。地点Peでデモ車両70が停止する場合を仮定すると、図5に示したステップS303とS306が共にYES判定、また、設定距離Dsetの期間の減速ブレーキ中に、ドライバによってブレーキ操作又はアクセル操作が行われると、図5のステップS304又はステップS305がNO判定となり、デモランFLAG、ターゲットFLAG1、ターゲットFLAG2がすべてクリアされて、デモ走行実行が不許可となり、デモ走行が中断する。
【0051】
なお、地点Pcは、地点Pbと地点Pdの間、すなわちDdemo>Dsetの範囲でデモ車両70が停止(車速Vdemoが0)であればどの地点であっても、次に走行開始して地点Pdまで走行すると、地点Pd以降で減速ブレーキ制御を体験することができる。
【0052】
また、地点Peでデモ走行を中断した後、ギア位置をRレンジとしてバック走行して設定距離Dsetの地点Pd以上を障害物72から離れた後、一旦停止(車速Vdemoが0)してギア位置をDレンジにすると、その地点で図4のステップS206でデモランFLAGがセットされるので、再びデモ走行を開始することができる。
【0053】
また、地点Peでデモ車両を停止(車速Vdemo=0)させることなく、ハンドル操作によってデモ走行路71を離脱した場合、例えばそのまま一般道路を走行するような場合、衝突安全制御部はデモ走行が許可(デモモードFLAGがセット)のままであり、デモ機能が発生する可能性が皆無とは言えない。
【0054】
そこで、図3に示すステップS112において、ハンドル操作が設定舵角以下の判定において、NO判定となるような大きなハンドル操作では、ステップS103でデモモードFLAG及び他のFLAGをクリアし、デモ走行を不許可とするようになっている。
【0055】
図7では、デモ走行路71がクランク形状に設定し、地点Paで乗車し、デモモードFLAGをセットしてスタートする場合を例に説明しているが、デモ走行路71の形状は、クランク形状である必要はなく、図7の直線部分のデモ走行路71、例えば地点Pbから乗車してデモモードFLAGをセットしてスタートすることもでき、地点Pcにおいて前方の障害物72が認識できるような走行環境であればデモ走行路71に限定されるものではない。
【0056】
次に、地点Pdから地点Peの区間において衝突安全制御部250から指令されるブレーキECU23の制御について説明する。
【0057】
図8は、通常走行処理部251の制御ブロック図、図10〜図17は、図2のステップS500で示した、ブレーキ信号出力処理と通常走行又はデモ走行の切替処理とを示すフローチャートであり、図1と同一部分は同一符号で示してある。
【0058】
距離速度センサ24は、レーダによる測距センサを含むものであって、自車前方の車両との車間距離Dcurrentを計測する機能と、車間距離Dcurrentの時間的変化より前方車両と相対速度Vrを計測する機能とを有する。距離速度センサ24によって計測された車間距離Dcurrentと相対速度Vrは、衝突安全制御部250に送信される。
【0059】
衝突安全制御部250は、車間距離Dcurrentと相対速度Vrに基づいて自車両が前方車両と衝突するか否かを判断する共に、衝突判断が行われる少し前に衝突事前判断を行い、衝突判断に基づいてブレーキECU23から目標減速度をブレーキアクチュエータ27に送信する。
【0060】
まず、通常走行処理部251において、図8のブロックで示されていない処理として、図9の前方車両の認識判断がある。これは、距離速度センサ24の結果からステップS491で前方車両の認識を判定し、認識されないNO判定では、ステップS492において以下に説明する図10から図16の減速ブレーキ制御用の各処理を実行しないようにする。
【0061】
ステップS491で前方車両を認識するYES判定では、ステップS493で認識時間ttargetを計測する。但し、認識時間ttargetは連続した時間であり、途中で認識しなくなった場合は0にリセットする。
【0062】
ステップS494で認識時間ttargetが設定時間ttargetsetより大きいYES判定では、ステップS495において以下説明する図10から図16の処理が実行され、NO判定ではステップS492に移行する。
【0063】
認識時間ttargetの設定時間ttargetsetは、車両の前方を車両や人間や動物が横切った場合等との区別をするためであり、前方車両であることを確実に認識してブレーキ制御を行うようにしている。
【0064】
次に図8のブロックで示されている処理について説明する
通常走行処理部251は、操舵回避限界距離演算部2510と、制動回避限界距離演算部2520と、操舵回避不可判断部2530と、制動回避不可判断部2540と、ANDゲート2550で構成されている。
【0065】
操舵回避限界距離演算部2510は、操舵回避限界距離Dstを下式(1)により算出する。
Dst=Vr・Tst …(1)
【0066】
つまり、距離速度センサ24から入力される前方車両との相対速度Vrに操舵回避限界時間Tstを乗じ、操舵回避限界距離Dstを求める。
【0067】
操舵回避限界時間Tstは、ドライバが操舵によって前方車両をよけられる最小の時間であり、適当値をパラメータ設定される。前方車両との車間距離Dcurrentが操舵回避限界距離Dstより小さくなると、ドライバは前方車両との衝突を、操舵操作により回避することはできない。
【0068】
制動回避限界距離演算部2520は、制動回避限界距離Dbrを下式(2)により算出する。
Dbr=Vr /2Amax …(2)
【0069】
式(2)は、自車両が最大減速度Amaxで減速した場合に、前方車両との相対速度Vrが0になるまでに縮まる前方車両との車間距離を算出する式である。前方車両との車間距離Dcurrentが制動限界距離Dbrより小さくなると、ドライバは前方車両との衝突を、制動操作により回避することはできない。
【0070】
操舵回避不可判断部2530は、図10に示されている処理フローを実行し、距離速度センサ24より間距離Dcurrentを、操舵回避限界距離演算部251より操舵回避限界距離Dstを入力し、前方車両との車間距離Dcurrentが操舵回避限界距離Dstより小さいか否かを判断する(ステップS501)。前方車両との車間距離Dcurrentが操舵回避限界距離Dstより小さい場合には、操舵回避不可信号を出力(セット)し(ステップS502)、そうでない場合には、操舵回避不可信号をクリアする(ステップS503)。
【0071】
制動回避不可判断部2540は、図11に示されている処理フローを実行し、距離速度センサ24より車間距離Dcurrentを、制動回避限界距離演算部252より制動回避限界距離Dbsを入力し、前方車両との車間距離Dcurrentが制動回避限界距離Dbrより小さいか否かを判断する(ステップS511)。前方車両との車間距離Dcurrentが制動回避限界距離Dbrより小さい場合には、制動舵回避不可信号を出力(セット)し(ステップS512)、そうでない場合には、制動回避不可信号をクリアする(ステップS513)。
【0072】
操舵回避不可判断部2530と制動回避不可判断部2540から出力された操舵回避不可信号と制動舵回避不可信号は、図8に示すように、ANDゲート2550に入力される。ANDゲート2550は、論理結果の信号をブレーキECU23に出力する。
【0073】
ブレーキECU23は、操舵回避不可信号と制動舵回避不可信号が共にセットされると、ブレーキ駆動信号をブレーキアクチュエータ27に出力する。ブレーキアクチュエータ27は、ブレーキ駆動信号を入力することにより動作し、ブレーキ(制動)動作が開始される。
【0074】
次にブレーキECU23の動作を、図12に示すフローで説明する。なお、図12では、図8に示す操舵回避不可信号と制動舵回避不可信号を総合して回避不可情報としている。
【0075】
まず、回避不可情報がクリアからセットに変化したか否かを判断する(ステップS521)。回避不可情報がクリアからセットに変化したと判断すると、その時点で目標減速度Ap(後述する図17で得られる減速度。通常走行では最大減速度Amax)にセットし(ステップS522)、その時点から衝突までの時間Ttcを算出する。
【0076】
最大減速度Amaxは、図1のブロック図で示す装置が搭載されている車両において、安全且つ効果的に減速できる最大の減速度であり、目標減速度Apが最大減速度Amaxにセットされることにより、ブレーキアクチュエータ27によって自動ブレーキが掛けられ、車両が目標減速度Apをもって減速する。
【0077】
次に、回避不可情報がセットされているか否かを判断し(ステップS524)、セットされていれば、カウンタをインクリメントする等によって目標減速度Apを最大減速度Amaxにセットした時点からの経過時間である目標減速度Apの出力時間Treを計測する(ステップS525)。
【0078】
そして、目標減速度Apの出力時間Treが、ステップS523で算出された衝突までの時間Ttcを超えたか否かを判断し(ステップS526)、目標減速度Apの出力時間Treが時間Ttcになるか超えた場合には、その時点で、目標減速度Apをゼロにセットする(ステップS527)。これにより、自動ブレーキ(制動)制御が解除される。
【0079】
このように、自動ブレーキ(制動)の制御により、前方車両に到達するまでの車速を低下させることにより、衝突時の衝撃を軽減させるのが衝突安全制御部とブレーキECU23の目的である。
【0080】
上述のように衝突安全制御部250は、衝突時の衝撃を軽減させる装置であり、通常走行においてユーザ(顧客やドライバ)が車両で体験することができないので、本発明では、図3から図6で示したフローによりデモ走行を設定し、実際に衝突安全制御部250の動作を体験するようにしている。
【0081】
次に、図10〜12で示した前方車両との車間距離Dcurrent(デモ走行では、デモ車両と設置されている障害物との距離Dtarg)と、前方車両との相対速度Vr(デモ走行では、デモ車両の車速Vdemo)と、操舵回避限界距離Dstの算出と、制動回避限界距離Dbrの算出と減速度の設定について説明する。
【0082】
ところで、通常走行における衝突安全制御部250の動作は、自動ブレーキによって最大減速度Amaxで減速しても前方車両との距離間隔が短く、衝突が生ずるような状態を仮定しているので、自動ブレーキになってから短時間で衝突が生ずる。
【0083】
しかし、デモ走行では、車両が障害物に衝突する状況になると、運転者はブレーキ操作やハンドル操作で回避しようとするので、自動ブレーキの動作を十分に体験することができない。
【0084】
そこで、デモ走行では、車両が障害物に衝突する以前に自動ブレーキによって止まるように、障害物までの距離が通常走行の時より長くなるように換算するようにしている。
【0085】
図13は、前方車両との車間距離Dcurrentの算出方法を説明するフローチャートである。
【0086】
ステップS531において、図7に示した地点Pdから自動ブレーキを開始するためのターゲットFLAG2がセットか否かが判定され、セットのYES判定では、デモ走行であると判断し、ステップS532でデモ車両から障害物までの距離Dset(図7の地点Pdから障害物72までの距離)を定数Kdemoで除算して車間距離Dcurrentとする。一方、ステップS531にてターゲットFLAG2がクリアのNO判定では、通常走行であると判断し、ステップS533において、距離速度センサ24で実測された車間距離Dcurrentとされる。
【0087】
たとえば、通常走行で車間距離Dcurrent=5mに相当するデモ走行の障害物72までの距離Dtargは、定数Kdemo=6とした場合、Dset=30mとなる。すなわち、デモ走行では、通常走行の車間距離Dcurrentを定数Kdemo倍した障害物72までの距離Dsetによって、図10のステップS501と図11のステップ511の回避不許可判断が実行される。
【0088】
図14は、前方車両との相対速度Vrの算出処理を説明するフローチャートである。ステップS541において、ターゲットFLAG2がセットか否かが判定され、セットのYES判定では、デモ走行であると判断し、ステップS542で相対速度Vrをデモ車両70の車速Vdemoとする。一方、ステップS541でターゲットFLAG2がクリアのNO判定では、通常走行であると判断し、ステップ543で相対速度Vrとされる。
【0089】
図15は、操舵回避限界距離Dstの算出処理を説明するフローチャートである。ステップS551において、ターゲットFLAG2がセットか否かが判定され、セットのYES判定では、デモ走行であると判断し、ステップS552で車間距離Dcurrentに一定値KDstを加算することにより算出されたものが操舵回避限界距離Dstとされ、クリアのNO判定では、通常走行であると判断し、ステップS553で上述の式(1)を用いて算出される。
【0090】
ところで、デモ走行では、通常走行で生ずる可能性がある衝突を前提にするものではないので、図15の操舵回避限界距離Dstと図16の制動回避限界距離Dbrを共に算出する必要はない。図8において操舵回避不可信号と制動回避不可信号がAND2550の入力となるので、ブレーキECU23には共に信号が入力されれば自動ブレーキとなる。
【0091】
デモ走行において、操舵回避限界距離Dstを車間距離Dcurrentに一定値KDstを加算することにより、図10の操舵回避不可判断のステップS501でDcurrent<DstがYES判定になるようにして常時操舵回避不可信号をセット状態にし、操舵回避による許可、不許可を考慮しないようにしている。
【0092】
図16は制動回避限界距離Dbrの算出処理を説明するフローチャートである。ステップS561において、ターゲットFLAG2がセットか否かが判定され、セットのYES判定では、デモ走行であると判断し、ステップS562で、デモ車両の車速Vdemoとデモ走行で設定する減速度Ademoを用いて制動回避限界距離Dbrが算出される。そして、クリアのNO判定では、通常走行であると判断し、ステップS563で上述の式(2)を用いて算出される。
【0093】
図17は、図12のステップS522の自動ブレーキにおける目標減速度Apを設定する処理を説明するフローチャートである。ステップS571において、ターゲットFLAG2がセットか否かが判定され、セットのYES判定では、デモ走行であると判断し、ステップS572で、目標減速度Apを予め設定された減速度Ademoに設定する処理がなされる(Ap=Ademo)。そして、クリアのNO判定では、通常走行であると判断し、ステップS573で、目標減速度Apを最大限速度Amaxに設定する処理がなされる(Ap=Amax)。
【0094】
デモ走行で設定する減速度Ademoは、最大減速度Amax以下の任意の値であり、図7に示した地点Pbで算出されるステップ562の制動回避限界距離Dbrが、図11の制動回避不許可判断処理における地点Pbから障害物までの距離Dset(=Dcurrent)より大きく、ステップS511でYES判定され、ステップS512で制動回避不可信号がセットされるような値である。
【0095】
なお、減速度Ademoは任意の値の一定値以外に、図7の地点Pdから障害物までの距離Dsetを一定値とした場合には、車速Vdemoに応じて算出するようにすることもできる。
【0096】
以上、図7に示すデモ車両70と障害物72の配置において、衝突安全制御部250に構成される図3から図6までのデモ走行処理部252と、図8から図16までの通常走行処理部251の処理が実行され、ユーザは図7の地点Pdから地点Peまで区間で、減速ブレーキ制御による自動ブレーキ動作を実際に体験することができる。
【0097】
したがって、ドライバを訓練することができ、通常走行において、実際に衝突安全制御装置が作動したときに、驚くことなく冷静に衝突安全制御が動作したことを判断させることができる。そして、衝突安全制御によるブレーキ動作を事前に体験することができるので、顧客への説明が容易になり、顧客の車両に対する安全性評価が高くなり、自動車販売促進の効果も得ることができる。
【0098】
以下、上述の実施例1の変形例について説明する。
実施例1では、図1や図8に示すように、衝突安全制御部250とブレーキECU23が別々のブロック図で示されている場合を例に説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、衝突安全制御部250に含んでブレーキアクチュエータ27にブレーキ指令を出力する構成としてもよい。
【0099】
図8から図17に示した衝突安全制御部250の通常走行処理部251は、代表的な例を示したものであり、処理内容が異なっても、デモ走行処理部252と通常走行処理部251の切替え判断部を含んで、デモ走行において減速ブレーキを体感できるものも本発明に含まれる。
【0100】
デモ走行は特殊な条件での走行であり、通常走行との区別を明確にして安全運転できるようにする必要があり、下記のような変形例を採用することができる。
【0101】
図3に示すステップS110の車両状態判断部は、デモ走行の安全性を考慮した一例を示したものであり、必ずしもこの処理である必然性はなく、デモ走行の安全性の確保や運転者による不要な操作では、デモモードFLAGをクリアとしてデモ走行を不許可とすることもでき、さらに安全性が確保される保証のもとに、ステップS113〜S115のいずれかを削除することもできる。
【0102】
また、ステップS103のデモモードFLAGをクリアする処理の他の変形例として、例えばデモ車両のデモ走行からの離脱判断において、デモ走行路付近の特定地域を設定(例えばディーラー周辺等)し、GPSのデータ等に基づいて車両が特定地域外に出たと判断した場合にデモセットFLAGをクリアしてデモ走行を中止するようにしてもよい。
【0103】
さらに、図7に示したデモ走行路の距離Ddemoに制限を設けて、制限を越えた距離の走行を判定した場合に、デモセットFLAGをクリアするようにしてもよい。
【0104】
また、デモ走行の開始は、デモ操作部10の操作と共に、ウインカの点灯や前照灯の点灯を論理積として比較し、ウインカ、前照灯が消灯のままでは、デモセットFLAGがセットされないようにしてデモ走行が不能となるようにしてもよい。
【0105】
また、ドライバにデモ走行であることの報知方法として、デモ走行中は、運転席前方のインスツルメントパネルに設けられたフロントメータにデモ走行の表示をすること、アラームを連続して吹聴すること、スピーカからの連続したアナウンス等が有効となる。
【0106】
さらにデモ走行路に設置する障害物については、距離速度センサ24をレーダとした場合には、電波の反射強度が通常走行では検出できないような値のものを設置して、このような反射強度値の障害物を認識した時はデモ走行とし、この反射強度値が得られる連続時間(図9に置き換えると認識連続時間ttarget)が設定時間(図9で置き換えるとttargetset)以上の時はデモ走行の障害物として、デモ走行の処理をするようにしてもよい。
【0107】
また、障害物を特定形状とし、例えば車載されたカメラの撮像結果から確実にデモ走行用の障害物を認識する方法でデモ走行の処理としてもよく、また、デモ車両のデモ走行からの離脱判断は、図7に示すデモ走行路を区切る両側の道路標示を車載されたカメラで撮像し、道路標示を横切って外に出たことの判定や障害物が認識できなくなったことを判定してデモ走行を中止(デモセットFLAGをクリア)させるようにしてもよい。デモ走行は特殊な条件での走行であり、通常走行との区別をドライバに確実に認識させる必要がある。
【0108】
上記実施例において、例えばデモ走行路を離脱するとデモセットFLAGがクリアされデモ走行が終了するようにしているが、運転しているユーザ、すなわちドライバにはデモ走行であることの認識が継続し、デモ走行で体験した障害物の存在によるブレーキ動作が、常時行われると言う誤った感覚を持つ危険性がある。
【0109】
そこで、デモ走行が終了したらデモ操作部10でデモセットFLAGをクリアした後、又はデモ操作部10を取り外した後、再度デモ走行路を走行させてブレーキ動作が行われないことを確認する手順を含めることも本発明の変形例である。
【0110】
この時、衝突による衝撃を緩和するため、風船やフレキシブルな材料、又は折りたたみ式の障害物として、デモ車両が障害物に衝突する体験をするようにしても良い。
【0111】
さらに、デモ走行が終了したらデモ操作部10でデモセットFLAGをクリアした後、又はデモ操作部10を外した後には、連続してフロントのメータ表示やアナウンスによって通常走行を促す警告を発するようにして、必ず上述の通常走行を行うようにする。
【0112】
もし、通常走行が行われない場合には、同一デモ車両でのデモ走行を禁止するなどの方法をとることもできる。
【0113】
上記実施例では、図3〜図6に示すデモ走行(デモモードFLAG)やデモ走行の実行(デモランFLAG)のセットとクリアの生成や判定は、衝突安全制御部250のデモ走行処理部252のみで処理するようにしている。
【0114】
デモ走行は通常走行と明確に区別する必要があり、デモ走行の生成や判定を多重にすることも安全性を向上させることができる。そこで、図1で示した車両制御装置20の構成において、エンジンECU21とトランスミッションECU22とブレーキECU23それぞれで、デモ走行処理部252と同じようにデモモードFLAGやデモランFLAGのセットとクリアの処理を実行し、その結果をデモ走行処理部252に出力する。
【0115】
そして、デモ走行処理部252ではデモモードFLAGやデモランFLAGがセットであっても、他のECUから入力されたこれらのFLAGがクリアの場合には、デモ走行を中止するようにする。
【0116】
上述では他のECUからのFLAGのクリアを判定しているが、常時フラグの一致比較の処理を実行し、その結果が1つでも異なる結果ではデモ走行を中止するようにすることもできる。
【0117】
図1に示したようにデモ操作部10と車両制御装置20の接続は、必ずしも車内LAN26で接続されるものではなく、衝突安全制御部250のみにデモ走行を指示することもでき、さらにデモ操作10は、販売店で使用される制御装置の自己診断ツールなどで代用することも本発明の変形例である。
【0118】
衝突安全動作の体験走行は安全性を十分確保することが必要であり、ユーザが自ら入力できないようにするため、デモ操作部10のデモ走行のセットは、図3のステップS101に示したスイッチによるオン、オフ入力に代えて、自動車販売店の担当者に限定した暗号化された情報の入力にすることも本発明の変形例である。
【0119】
以上説明した実施例によれば、次のような効果を得ることができる。
本実施例によれば、衝突安全制御による車両の動作を実際に体験できるので、ドライバを訓練することができ、例えば通常走行において、前方車両(障害物)の誤検出等によって、実際に自動ブレーキが作動したときに、驚くことなく冷静に衝突安全制御による動作であると判断させることができる効果がある。
【0120】
また、従来は一般ユーザが通常の走行をしている場合には、衝突安全制御の動作を体験することはできなかったが、デモ走行路を設定し、デモ車両をデモ走行させて衝突安全制御の動作を体感できるので、顧客への説明が容易になり、顧客の自動車に対する安全性評価が向上し、自動車メーカ及び装置メーカの信頼性を確保し、自動車販売促進の効果を得ることができる。
【0121】
本実施例のデモ走行による衝突安全制御では、デモ走行用としての制御装置の装備は不要であり、車両に装備されている衝突安全ECUの通常走行処理とデモ走行処理を所定条件下で切替えるようにしているので、デモ走行用としての制御装置は不要でありコストアップの要素はほとんどない。
【0122】
本実施例のデモ走行処理では、障害物までの距離が通常走行処理に対して長い距離で減速ブレーキを動作させるようにしているので、衝突安全制御の効果を安全に体験できる。
【0123】
本実施例のデモ走行処理では、デモ車両がデモ走行路にあって所定の位置と車両状況判断によって、繰返しデモ走行実行が許可されるようになっているので、ユーザが連続してデモ走行でき、サービスの向上や車両販売店の担当者の煩わしいデモ操作部10の操作を省略できる効果がある。
【0124】
本実施例のデモ走行処理では、デモ車両がデモ走行路からの離脱を判定しているので、一般道に連続して走行した場合、衝突安全ECUは必ず通常走行処理を実行し、安全性を向上できる効果がある。
【0125】
[実施例2]
次に、本発明の実施例2について以下に説明する。図18は、実施例2におけるデモ走行の表示画面を示す図である。
【0126】
衝突安全の体験走行では、体感以外に視覚による動作状況がユーザの興味を引きつけるのに効果がある。したがって、デモ操作部10に直接又は間接的に設けられた表示画面にデモ車両と障害物の状況を映し出すようにしている。
【0127】
図18は、運転者が運転席からみるのと同様の画像を、ディスプレイに表示した表示画面1801であり、この表示画面1801では2つの表示方法を示している。
【0128】
1つは、図7の地点Pbで障害物72を認識し、図6のステップS404でターゲットFLAF1がセットされると、デモ車両1800と障害物1802と認識マーク1803の画面表示を開始して、障害物72までの距離Ddemoに従って障害物72が画面1801上で移動するのに追従して認識マーク1803を移動させる方法である。
【0129】
表示画面1801上では、デモ走行の開始(デモセットFLAGがセット)でデモ車両1800と障害物1802を事前に表示し、障害物1802を認識した時点から認識マーク1803を表示させることもでき、その方法は限定されない。
【0130】
もう1つの表示方法は、衝突時の衝撃がほとんどない、例えば風船を障害物として、デモ車両を障害物に衝突させるものを例としているが、必ずしも衝突させなくても良い。この表示方法では、図3から図6のデモ走行処理部252の処理の後、図9から図17で通常走行処理部251において、ターゲットFLAG2の判定をすべてNO判定となるようにして、障害物に衝突に衝突させるようにする。
【0131】
デモ車両を障害物に衝突させるモードとして衝突モードを設定し、例えばデモ操作部10から衝突モードが設定されると、図9の前方車両の認識判断において認識時間ttargetの設定時間ttargetsetを短くして判定(ステップ494)することにより、障害物を認識後、早い時間でブレーキ制御を開始できるので、デモ走行路が短くでき、狭い領域でのデモ走行を可能にしている。
【0132】
なお、さらに短い時間でブレーキ制御と衝突を体験する場合は、設定時間ttargetsetとの判定をなくし、車速Vdemoが設定値以上でかつ障害物までの距離が設定値になった時点でブレーキ制御を行うようにする。このとき、車速Vdemoの設定値で走行すると、必ず障害物と衝突する距離を設定値にすることになる。
【0133】
そして、図18の表示画面1801では、障害物1802とデモ車両1800が衝突した時点で衝突安全制御が非作動の衝撃と、作動時の衝撃と、デモ車両1800の減速度を枠内1804に表示し、衝突安全制御の効果を数値によって確認できるようにする。
【0134】
図18の表示例では、衝突安全制御が非作動の衝撃は166m/s、作動時の衝撃は138m/sで約20%の衝撃緩和効果があることが解り、衝突した時の減速度が5m/sであることを示している。
【0135】
なお、減速度は、図17のターゲットFLAG2の判定(ステップS571)がNO判定であり、最大減速度Amaxであるが、衝突モードでは減速度を任意に変えるようにして、減速度に対する衝撃の変化を表示画面で知るようにすることもできる。
【0136】
実施例2による衝突安全制御による体験走行では、ドライバであるユーザは、衝突時の数値表示を見ることができるので、体感による効果との相乗効果を得ることができる。
【0137】
[実施例3]
次に、本発明の実施例3について以下に説明する。図19は、実施例3における衝突安全制御部の制御ブロック図である。なお、上述の実施例1、2と同様の構成要素には同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0138】
本実施例3において特徴的なことは、衝突安全制御部250の通常走行処理部251とデモ走行処理部252を互いに独立して設け、出力信号選択部29によっていずれか一方の出力信号を選択させるように構成したことである。
【0139】
図19に示す制御ブロック図では、通常走行処理部251とデモ走行処理部252が独立しており、出力信号選択部29によって、それぞれの出力信号をブレーキECU23に出力するようになっている。
【0140】
これにより、図10から図12の通常走行処理部251の処理においては、目標減速度Apには最大減速度Amaxが設定され、図13から図17のターゲットFLAG2の判定処理がなくなり、通常走行の値(ターゲットFLAG2のセット判定がNOの値)が設定され、AND2550の出力回避不可情報が出力信号選択部29の入力となる。
【0141】
一方、デモ走行処理部252の処理においては、目標減速度Apには設定値Ademoが設定され、図3から図6の処理によりターゲットFLAG2が出力信号選択部29の入力となる。
【0142】
出力信号選択部29を切替える選択信号は、ブレーキ制御となる最終のFLAGであるターゲットFLAG2やデモモードFLAGやデモランFLAGやターゲットFLAG1のいずれかである。
【0143】
実施例3においても実施例1の変形例は適用でき、効果も同等である他、デモ走行処理部252のソフトウエアが独立しているので、通常走行処理部251との関連など煩わしい考慮が不要となる効果がある。
【0144】
[実施例4]
次に、本発明の実施例4について以下に説明する。
図20から図22は実施例4の内容を説明する図であり、図20は、デモ走行の表示画面を示す図、図21は、デモランFLAGのセット処理を説明するフローチャート、図22は、デモ車両と仮想障害物の表示処理を説明するフローチャートである。なお、上述の各実施例と同様の構成要素には同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0145】
実施例1では、障害物72を設置したデモ走行路71を設けて走行する場合であったが、実施例3は、実物の障害物72を設置する代わりに、制御処理上で仮想の障害物を設定して、デモ車両と仮想障害物をデモ操作部10に直接または個別に設けられた表示画面に表示して、減速ブレーキを体感すると同時に視覚によって確認できるようにしている。
【0146】
図20は画面表示2001上にデモ車両2000と仮想障害物2002を設定距離Dimagesetの間隔で表示し、デモランFLAGがセットされて減速ブレーキのブレーキ制御を開始する状態を示している。
【0147】
衝突安全制御部250のデモ走行処理部252では、実施例1と同じフローの図3と図5の処理と、図4に代わる図21のデモランFLAGのセット処理と、仮想障害物の場合は障害物までの距離は計測しないので、図6に代わる図22のターゲットFLAG2の処理とデモ車両と仮想障害物の表示処理が行われる。
【0148】
図21では、ターゲットFLAG1とデモランFLAGは同一FLAGとして、図4に示したステップS203のターゲットFLAG1の判定を省略し、デモ車両2000が停止し、ギア位置がDレンジの時、ステップS206のデモランFLAGとターゲットFLAG1が同時にセットされる。
【0149】
図22に示すステップS600のデモ車両と仮想障害物の表示処理では、ステップS601でデモモードFLAGがセットか否かが判定され、セットではない、すなわち、クリア(NO判定)の場合は、ステップS602で画面2001上は消去された状態とされる。
【0150】
ステップS601でデモモードFLAGがセットされるとYES判定となり、ステップS603でデモランFLAGがクリア(NO判定)では、ステップS604で画面上にデモ車両と仮想障害物を設定距離Dimagesetの間隔で表示して、ステップS603のデモランFLAGがセット(YES判定)されるまで待機する。ステップS603でデモランFLAGがセットされるとYES判定となり、その時点以降はいつでもデモ走行が可能な状態となる。
【0151】
ステップS605は、ブレーキ制御のターゲットFLAG2の判定であり、NO判定では、ステップS606でデモ車両の車速Vdemoと設定車速Vdemominを判定し、設定された最低車速Vdemomin以下ではNO判定となってステップS604により画面表示に変化はない。
【0152】
デモ車両2000の車速Vdemoが設定された最低車速Vdemomin以上であるときにステップS606はYES判定となり、ステップS607でターゲットFLAG2をセットし、ステップS608で今の車速Vdemoを記憶値Vmemoとして記憶し、ステップ609で減速ブレーキの減速度Ademoを設定する。
【0153】
ステップS610でターゲットFLAG2がセットされた以降の減速ブレーキのデモ走行時間tdemoを計測し、ステップS611で仮想障害物2002までの距離Dimage(=Dimageset―(Vmemo−Ademo・tdemo)・tdemoo)を算出し、画面2001上の算出された距離の位置にデモ車両2000を表示する。
【0154】
ステップS607でターゲットFLAG2がセットされると、以降はステップS605はYES判定であり、ステップS610とステップS611が処理されて、時々刻々のデモ車両2000の位置を画面2001上に表示する。
【0155】
ところで、仮想障害物2002を仮定したデモ走行では、衝突安全制御部250の通常走行処理部251が実行されないようにするため、実施例2の図22に示したように、独立させたデモ走行処理部252でソフトウエアを構成して実行することが、ソフトウエアが複雑に絡み合うことがなく、安全上好ましい。すなわち、ターゲットFLAG2を出力信号選択部29の選択信号とブレーキECUの入力信号としてブレーキ制御を行うことになる。
【0156】
上記述べた実施例では、デモ走行路をディラーが設定する小規模のものが前提であるが、十分長いデモ走行路を設置できる、例えば展示会場やテスト走行路においては、障害物を設置せず、図1の自動走行処理部253を動作させてデモ車両を所定の速度で走行させ、デモ操作部10の操作によってブレーキ制御を開始するようにすることもできる。
【0157】
ただし、デモ走行の安全性の面からデモ走行を知らせる報知や、ブレーキ制御の終了によるデモ走行の中止や、デモ走行からの離脱に対するブレーキ制御の中止等の処理を実行することが望ましい。これにより、通常走行中の衝突安全制御部の動作と等価な動作によりブレーキ制御を体験することもできる。
【符号の説明】
【0158】
10…デモ操作部(外部操作部)、20…車両制御装置、21…エンジンECU、22…トランスミッションECU、23…ブレーキECU、24…距離速度センサ、25…走行ECU、250…衝突安全制御部、251…通常走行処理部(通常走行処理手段)、252…デモ走行処理部(体験走行処理手段)、253…自動走行処理部、26…車内LAN、27…ブレーキアクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両と障害物との間の距離および相対速度に基づいて前記自車両が前記障害物と衝突する可能性があるか否かを判断し、該衝突の可能性がある場合には前記自車両の走行速度を減速させる衝突安全制御を行う車両制御装置であって、
前記衝突を回避できるか否かを判断し、衝突回避不可と判断した場合に前記衝突安全制御を行う通常走行処理手段と、
予め設定された体験走行実行条件を満たすか否かを判断し、前記体験走行実行条件を満たす場合には、前記通常走行処理手段に代えて、前記衝突安全制御を行う体験走行処理手段と、
を有することを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記体験走行実行条件には、前記車両制御装置に接続される外部操作部の操作が含まれることを特徴とする請求項1記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記体験走行処理手段は、
前記衝突安全制御を体験する体験走行の実行が許可されているか否かを、前記外部操作部の操作に基づいて判断する第1判断手段と、
前記体験走行の実行が許可されているか否かを、前記自車両の車両状況に基づいて判断する第2判断手段と、
前記自車両から前記障害物までの距離が設定距離以上か否かを判断する第3判断手段と、
前記第1判断手段から前記第3手段までの各判断結果に基づいて前記体験走行の実行を許可するか否かを判断する第4判断手段と、を有し、
前記第4判断手段により前記体験走行の実行が許可されていると判断されている場合に、前記体験走行実行条件を満たすと判断することを特徴とする請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記第2判断手段は、前記自車両の車両状況が予め設定されている体験走行に適さない状況であるときに、前記体験走行の実行を不許可と判断することを特徴とする請求項3に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記体験走行に適さない状況とは、前記自車両が予め設定されている体験走行路から離脱したこと、前記自車両のエンジンのエンジン回転数が設定値以上、前記エンジンのスロットルバルブのスロットル開度が設定値以上、車速が設定値以上のうち、少なくとも一つの条件が成立する状況であることを特徴とする請求項4に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記自車両の前記体験走行路からの離脱の判断は、前記自車両のハンドル操作による舵角が設定値以上、前記体験走行路の走行路を表示する表示の認識不可、前記障害物の認識不可のうち、少なくとも一つの条件が成立することによって離脱と判断されることを特徴とする請求項5に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記第4判断手段による不許可の判断は、前記外部操作部の入力でのみ取り消されることを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記第4判断手段は、前記体験走行の許可条件が成立した後に車速が0となったことを条件に前記体験走行の実行を許可とすることを特徴とする請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項9】
前記体験走行処理手段は、前記体験走行が開始されて、前記第3判断手段によって前記自車両から前記障害物までの距離が前記設定距離よりも短いと判断された後に、前記衝突安全制御による減速を開始させることを特徴とする請求項3から請求項8のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項10】
前記体験走行処理手段は、前記通常走行処理手段よりも前記障害物を認識する時間が短いことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項11】
前記体験走行処理手段によって設定される前記衝突安全制御の制動制御値と前記通常走行処理手段によって設定される前記制動制御値とが互いに異なるように設定されることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項12】
前記制動制御値は、前記障害物までの距離と、少なくとも車速と減速度から算出されるブレーキ回避限界距離であることを特徴とする請求項11記載の車両制御装置。
【請求項13】
前記衝突安全制御により前記減速を開始する地点から前記障害物までの距離は、前記通常走行処理手段により設定される距離よりも前記体験走行処理手段によって設定される距離の方が長くなることを特徴とする請求項12に記載の車両制御装置。
【請求項14】
前記衝突安全制御による減速の開始地点から前記障害物までの距離は、前記通常走行処理手段で計測された実距離を定数値で除算した距離であり、
前記ブレーキ回避限界距離は、前記通常走行処理手段では車両で決まる最大減速度から算出され、前記体験走行処理手段では前記最大減速度以下の所定の減速度から算出されることを特徴とする請求項12記載の車両制御装置。
【請求項15】
前記第4判断手段は、前記体験走行の開始後に走行停止した場合に、前記体験走行の実行を不許可と判断することを特徴とする請求項3から請求項14のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項16】
前記第4判断手段は、前記衝突安全制御による減速中に、アクセルペダルがオン操作された場合に、前記体験走行の実行を不許可とすることを特徴とする請求項3から請求項15のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項17】
前記第4判断手段は、前記衝突安全制御による減速中に、ブレーキペダルがオン操作された場合に、前記体験走行の実行を不許可とすることを特徴とする請求項3から請求項16のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項18】
前記体験走行処理手段は、前記第2判断手段により前記体験走行の実行が許可されていると判断され、かつ、前記第3判断手段により前記自車両から前記障害物までの距離が設定距離以上であると判断され、かつ、前記第4判断手段により、前記体験走行の実行を許可すると判断されている場合には、前記自車両が前記体験走行路内に存在していることを条件として、前記体験走行実行条件を満たすと判断することを特徴とする請求項3から請求項17のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項19】
前記体験走行処理手段によって前記体験走行の実行が許可されていると判断されている間は、体験走行モードであることを示す表示とアラームの少なくとも一方で報知することを特徴とする請求項3から請求項18のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項20】
前記体験走行処理手段が処理を終了した後、前記通常走行処理手段により前記衝突安全制御が実行されない場合には、前記体験走行の実行を不許可とすることを特徴とする請求項3から請求項19のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項21】
車両に搭載されるエンジン制御装置、トランスミッション制御装置、ブレーキ制御装置、走行制御装置の少なくとも一つの制御装置において、前記体験走行の実行を許可するか否かを判断することを特徴とする請求項3から請求項19のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項22】
前記外部操作部は、前記車両制御装置に接続して該車両制御装置の故障を診断する故障診断ツールに含まれていることを特徴とする請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項23】
前記外部操作部は、表示機能を有し、前記体験走行に追従して少なくとも前記障害物との位置関係が表示されることを特徴とする請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項24】
前記障害物は、制御処理上で予め設定された仮想障害物であることを特徴とする請求項2に記載の車両制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−133814(P2011−133814A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295378(P2009−295378)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】