説明

車両搭載受電装置

【課題】車両搭載受電装置において、磁気結合または磁気共鳴を利用する受電コイルの冷却と、受電電力を蓄電する蓄電装置の暖機とを、簡単な構成で共に可能とすることである。
【解決手段】車両搭載受電装置50は、受電コイル52と、受電コイル52を収納するコイル室60と、回転方向を正回転と逆回転の間で切り替えることができる双方向ファン54とを含んで構成される。制御部40は、蓄電装置温度計30が検出する温度と車室温度計32が検出する温度に応じて、双方向ファン54の回転方向を切り替える。回転方向が正回転のときに、空気の流れは、外気6側から受電コイル52を経由して車室24側に向かう。回転方向を逆回転にすると、空気の流れは、車室24側から受電コイル52を経由して外気6側に向かう流れに切り替わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両搭載受電装置に係り、特に、道路等に設けられる1次コイルと、車両に設けられる2次コイルとの間の磁気結合または磁気共鳴を利用して、1次コイルからの高周波電力を受け取る車両搭載受電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の充電システムとして、磁気結合を利用した非接触式で給電側から車両側に電力を供給することが行われる。例えば、特許文献1には、車両用非接触充電装置として、道路に1次側の磁気コアを設け、電気自動車の底部に2次側磁気コアを設けて、2つの磁気コアの間で非接触式の磁気結合部を形成し、インバータからの高周波交流電力を電気自動車に供給し、電気自動車のバッテリーの充電を行うことが述べられている。ここでは、充電装置に横穴式の空所に1次コイルを設け、充電時には、1次コイルが横方向からせり出して電気自動車の床下に入り込む構成が開示されている。
【0003】
磁気結合を利用する充電システムでは、高周波電力をやり取りするコイルが発熱するので、その冷却が行われる。磁気共鳴を利用する充電システムでも同様である。
【0004】
例えば、特許文献2には、電気的に非接触の送電側カプラと受電側カプラを用いる給電カプラ装置において、送電側カプラのコイルカバーと受電側カプラのコイルカバーに放熱用のフィンを設けることが開示されている。また、受電側カプラケースには冷却ファンが設けられ、カプラ挿入口側に設けられる吸入口から冷却風を流入させ、排出口から流出させることが述べられている。
【0005】
特許文献3には、自動車バッテリ充電変圧器の1次コイル部分が冷却流体で冷却される構成が述べられている。ここでは、電気ケーブルと冷却気体管を兼ねるケーブルが用いられ、この冷却気体管から冷却空気が1次コイルを含む充電結合器に導入され、コアの周囲を経由して外気に排出される構成、再び冷却気体管に戻される構成等が述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−269687号公報
【特許文献2】特開2000−133536号公報
【特許文献3】特公平8−8185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、車両に磁気結合または磁気共鳴を利用する受電コイルを登載すると、受電の際に受電コイルが発熱するので、冷却装置が必要となる。また、受電した電力を蓄電する蓄電装置は温度特性を有し、低温では性能が低下する場合がある。例えば、リチウムイオン電池は低温時に性能が低下する。このようなときは、蓄電装置の暖機装置が必要になる。冷却装置と暖機装置を別々に設けるのは、スペース的にもコスト的にも好ましくない。
【0008】
本発明の目的は、磁気結合または磁気共鳴を利用する受電コイルの冷却と、受電電力を蓄電する蓄電装置の暖機とを、簡単な構成で共に可能とする車両搭載受電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る車両搭載受電装置は、外部電源に接続される道路側の給電コイルと磁気結合または磁気共鳴し、非接触式で給電側コイルから電力を受電して、受電した電力を蓄電装置に供給する車両側の受電コイルと、受電コイルの発熱を熱交換によって受ける熱交換媒体の流れを、車室側から受電コイルを経由して外気側に流す放熱流れと、外気側から受電コイルを経由して車室側に流す暖機流れとの間で切り替える媒体流れ切替部と、蓄電装置および車室の温度に応じて媒体流れ切替部の媒体流れ切替を制御する制御部と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る車両搭載受電装置は、外部電源に接続される道路側の給電コイルと磁気結合または磁気共鳴し、非接触式で給電側コイルから電力を受電して、受電した電力を蓄電装置に供給する車両側の受電コイルと、受電コイルを収納し、車室側に連通する車室側連通口と、外気側に連通する外気側連通口とを有するコイル室と、コイル室の外気側連通口側に設けられ、回転方向を正回転と逆回転との間で切り替えることで送風と排気の間の切り替えを行える双方向ファンと、蓄電装置および車室の温度に応じて双方向ファンの回転方向を制御する制御部と、を含むことが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る車両搭載受電装置において、受電コイルは、コイル導線と、コイル導線を内部に配置するとともに、気体流が通る流路となるコイル用パイプと、を有し、コイル用パイプの一方側開口端がコイル室の車室側連通口に接続され、他方側開口端がコイル室の外気側連通口に接続されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
上記構成の少なくとも1つにより、車両搭載受電装置は、蓄電装置および車室の温度に応じて、受電コイルの発熱を熱交換によって受ける熱交換媒体の流れを、車室側から受電コイルを経由して外気側に流す放熱流れと、外気側から受電コイルを経由して車室側に流す暖機流れとの間で切り替える。
【0013】
これにより、受電コイルの冷却が必要なときは、車室側から受電コイルを経由して外気側に流す放熱流れとし、蓄電装置の暖機が必要なときは、外気側から受電コイルを経由して車室側に流す暖機流れとすることができる。このように、暖機流れの流れ方向を切り替えるだけで、受電コイルの発熱を利用して蓄電装置の暖機、車室空調を行うことができ、また、蓄電装置の暖機等が必要ないときには、受電コイルの冷却を行うことができる。
【0014】
また、上記構成の少なくとも1つにより、車両搭載受電装置は、受電コイルを収納するコイル室に、車室側に連通する車室側連通口と、外気側に連通する外気側連通口とを設け、また、コイル室の外気側連通口側に、回転方向を正回転と逆回転との間で切り替えることで送風と排気の間の切り替えを行える双方向ファンを設ける。そして、蓄電装置および車室の温度に応じて、双方向ファンの回転方向を切り替える。
【0015】
これにより、受電コイルの冷却が必要なときは、車室側から受電コイルを経由して外気側に流す放熱流れとなるような双方向ファンの回転方向とし、蓄電装置の暖機が必要なときは、外気側から受電コイルを経由して車室側に流す暖機流れとなるような双方向ファンの回転方向とする。このように、双方向ファンの回転方向を切り替えるだけで、受電コイルの発熱を利用して蓄電装置の暖機、車室空調を行うことができ、また、蓄電装置の暖機等が必要ないときには、受電コイルの冷却を行うことができる。
【0016】
また、車両搭載受電装置において、受電コイルは、コイル導線と、コイル導線を内部に配置するとともに、気体流が通る流路となるコイル用パイプとを有する。このコイル用パイプの一方側開口端がコイル室の車室側連通口に接続され、他方側開口端がコイル室の外気側連通口に接続される。そして、コイル室の外気側連通口には双方向ファンが設けられる。
【0017】
これにより、受電コイルの冷却が必要なときは、コイル用パイプの中の空気の流れが、車室側から受電コイルを経由して外気側に流す放熱流れとなるような双方向ファンの回転方向とし、蓄電装置の暖機が必要なときは、コイル用パイプの中の空気の流れが、外気側から受電コイルを経由して車室側に流す暖機流れとなるような双方向ファンの回転方向とする。このように、双方向ファンの回転方向を切り替えるだけで、受電コイルの発熱を利用して蓄電装置の暖機、車室空調を行うことができ、また、蓄電装置の暖機等が必要ないときには、受電コイルの冷却を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る実施の形態の車両搭載受電装置を用いる空調システムの構成を説明する図である。
【図2】本発明に係る実施の形態の車両搭載受電装置の構成を説明する図である。
【図3】本発明に係る実施の形態の車両搭載受電装置の他の構成例を説明する図である。
【図4】本発明に係る実施の形態の車両搭載受電装置の別の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下では、道路側と車両側にそれぞれコイルを設けて道路側から車両側に非接触方式で電力を供給する方式として、磁気結合方式を説明するが、給電側にコイルとコンデンサを設ける磁気共鳴方式であってもよい。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0020】
図1は、車両搭載受電装置50を用いる空調システム20の構成を説明する図である。車両搭載受電装置50は、外部電源10に接続される道路8側の給電コイル12と磁気結合し、非接触式で給電コイル12から電力を受電して、受電した電力を蓄電装置28に供給する受電コイル52を備える装置である。なお、図1ではさらに、外気6、車両22、車両22の室内空間である車室24が図示されている。
【0021】
ここで、車両22は、蓄電装置28の電力を利用する電気自動車、ハイブリッド自動車である。具体的には、蓄電装置28の電力を用いて図示されていない車両搭載回転電機によって走行できる車両である。
【0022】
車室24は、車両22のボディ等で囲まれた空間で、ここでは、運転者、乗客が座る座席空間の他に、蓄電装置28、蓄電装置28、AC/DCコンバータ26、制御部40等が配置される空間も含む。その意味では、ここでいう車室24とは、車両22のボディ等で囲まれた空間の内で、車両搭載受電装置50のための空間を除いた空間である。
【0023】
車室温度計32は、主に座席空間の空調制御のために設けられる温度センサである。車室温度計32の検出値は、適当な信号線で、後述する制御部40に伝送される。
【0024】
車両搭載受電装置50は、受電コイル52と、受電コイル52を収納するコイル室60と、双方向ファン54とを含んで構成される。受電コイル52は、上記のように磁気結合を利用して給電コイル12から高周波電力を受け取るコイルである。具体的には、螺旋状に巻かれた絶縁被覆導体で受電コイル52が構成される。コイル室60は、受電コイル52を収容する容器である。双方向ファン54は、受電コイル52の発熱に関する空調を行うために、回転方向を正回転と逆回転の間で切り替えることができる電動扇である。車両搭載受電装置50の詳細な内容については、図2を用いて後述する。
【0025】
AC/DCコンバータ26は、受電コイル52が受電した高周波電力を直流電力に変換する交直流変換回路である。具体的には、インバータ回路とコンデンサ等で構成することができる。
【0026】
図1ではBATとして示される蓄電装置28は、充放電可能な高電圧用2次電池である。蓄電装置28としては、例えば、約200Vから約300Vの端子電圧を有するリチウムイオン組電池あるいはニッケル水素組電池、またはキャパシタ等を用いることができる。組電池は、単電池または電池セルと呼ばれる端子電圧が1Vから数Vの電池を複数個組み合わせて、上記の所定の端子電圧を得るようにしたものである。
【0027】
なお、蓄電装置28は、温度特性を有し、一般的には、低温下において特性が低下する。特に、リチウムイオン電池は、その傾向が大きい。蓄電装置温度計30は、蓄電装置28の温度を検出する温度センサである。蓄電装置温度計30の検出値は、適当な信号線で、制御部40に伝送される。
【0028】
制御部40は、受電コイル52の発熱に関する空調を行うための双方向ファン54の動作を制御する機能を有する。具体的には、蓄電装置温度計30が検出する蓄電装置28の温度、車室温度計32が検出する車室24内の座席空間の温度に応じて、双方向ファン54の回転方向を切り替える。双方向ファン54の回転方向を切り替えると、双方向ファン54によって吸い出され吐出される空気の流れの方向が相互に反対方向となるように切り替わる。
【0029】
例えば、正回転のときに、双方向ファン54によって吸い出され吐出される空気の流れが、外気6側から受電コイル52を経由して車室24側に向かう流れであるとする。ここで、双方向ファン54の回転方向を逆回転に切り替えると、双方向ファン54によって吸い出され吐出される空気の流れは、車室24側から受電コイル52を経由して外気6側に向かう流れに切り替わる。このように、双方向ファン54は、空気の流れの方向を切り替える機能を有するもので、その点では、空気を熱交換媒体として、熱交換媒体の流れを切り替える媒体流れ切替部と呼ぶことができる。
【0030】
これを利用して、蓄電装置28の温度が低く、蓄電装置28の特性が低下しているときは、双方向ファン54の回転方向を正回転とし、受電コイル52の発熱を利用して、外気6側からの空気を加熱して、蓄電装置28に供給できる。蓄電装置28の温度が十分高くて、蓄電装置28の特性に問題がないときは、双方向ファン54の回転方向を逆回転として、受電コイル52の発熱を外気6側に放出することができる。この場合の双方向ファン54の回転方向の切替は、蓄電装置28の温度特性に基づいて定めた閾値温度に基づいて行うことができる。例えば、蓄電装置28の温度特性からみて暖機が必要とされる閾値温度をT0とすると、蓄電装置温度計30の検出温度が閾値温度T0以下のときに、双方向ファン54の回転方向を正回転とし、閾値温度T0を超えるときは双方向ファン54の回転方向を逆回転とするものとできる。
【0031】
また、車室24の座席空間の温度が低く、車室24の暖房が必要なときは、双方向ファン54の回転方向を正回転とし、受電コイル52の発熱を利用して、外気6側からの空気を加熱して、車室24に供給できる。車室24の温度が十分高くて、車室24の暖房が不必要であるときは、双方向ファン54の回転方向を逆回転として、受電コイル52の発熱を外気6側に放出することができる。この場合の双方向ファン54の回転方向の切替は、車室24の快適性に基づいて定めた閾値温度に基づいて行うことができる。このための閾値温度は、蓄電装置28の暖機のための閾値温度と異なるものとできる。例えば、車室24の快適性からみて暖房が必要とされる閾値温度をT1とすると、車室温度計32の検出温度が閾値温度T1以下のときに、双方向ファン54の回転方向を正回転とし、閾値温度T1を超えるときは双方向ファン54の回転方向を逆回転とするものとできる。
【0032】
図2は、車両搭載受電装置50の構成を説明する図である。図2の上段側の図は、車両搭載受電装置50を上面側から見た上面図である。上面側からとは、車両22において、道路8を見下ろす側からの意味である。図2の下段側の図は、車両搭載受電装置50の内部断面図で、上段側の図から、コイル室60の上面部材を取り除いたときの様子を示す図である。
【0033】
コイル室60は、受電コイル52を収納する容器で、ここでは円筒形のケースである。材質は、表面が絶縁コートされた金属、あるいは適当な強度を有するプラスチックを用いることができる。コイル室60には、車室24側に連通する車室側連通口64と、外気6側に連通する外気側連通口62とが設けられる。図2では、車室側連通口64と外気側連通口62が共にコイル室60の上面部材に設けられるが、勿論、いずれか一方、或いは両方とも、コイル室60の側面部材に設け、あるいは場合に応じて底面部材に設けるものとしてもよい。
【0034】
コイル室60の中に収容される受電コイル52は、コア56と呼ばれる鉄心に螺旋状に巻かれた絶縁被覆導体である。その両端端子は、AC/DCコンバータ26の入力端子に接続される。
【0035】
双方向ファン54は、コイル室60の外気側連通口62側に設けられ、回転方向を正回転と逆回転との間で切り替えることで、送風と排気の間の切り替えを行える電動扇である。制御部40で説明したように、正回転のときは、双方向ファン54によって吸い出され吐出される空気の流れが、外気6側から受電コイル52を経由して車室24側に向かう流れとなるので、コイル室60に対する送風となる。逆回転のときは、双方向ファン54によって吸い出され吐出される空気の流れは、車室24側から受電コイル52を経由して外気6側に向かう流れとなるので、コイル室60からの排気が行われる。
【0036】
図3は、他の構成の車両搭載受電装置70を説明する図である。ここでは、受電コイル52は、コイル導線72と、コイル導線72を内部に配置するとともに、気体流が通る流路となるコイル用パイプ74とで構成される。コイル用パイプ74は、内部が耐熱性および絶縁性を有する螺旋状管で、材質としては、内面に絶縁処理が施された金属、あるいは耐熱性のあるプラスチックを用いることができる。
【0037】
コイル用パイプ74の一方側開口端がコイル室61の車室側連通口64に接続され、他方側開口端がコイル室61の外気側連通口62に接続される。なお、図3ではコイル室61が矩形形状で示されているが、これは、コイル導線72の引き出しを図2と合わせるための説明の便宜上であって、勿論、図2と同様な円筒形とすることができる。
【0038】
この車両搭載受電装置70では、双方向ファン54による空気の流れは、コイル用パイプ74の内部空間を通る。これによって、コイル導線72のごく近傍に熱交換媒体である空気を流すことができるので、コイル導線72の発熱を効果的に空気の流れに移すことができる。
【0039】
図1から図3の構成においては、熱交換媒体として空気を用いるものとして説明した。熱交換媒体は、空気以外で、熱を吸収し放熱する流体とすることができる。たとえば、熱交換媒体として、冷却水等の冷媒を用いることができる。図4は、図2のコイル室60を用い、熱交換媒体として、空気以外の冷媒を用いる車両搭載受電装置80を説明する図である。
【0040】
この車両搭載受電装置80は、冷媒が車室24に放出されないように、循環流路82が用いられる。循環流路82は、コイル室60から室内熱交換器86と外気熱交換器88を通り、再びコイル室60に戻る管路である。循環流路82の途中に双方向ポンプ84が設けられる。双方向ポンプ84は、その回転方向を正回転と逆回転との間で切替でき、これによって、熱交換媒体である冷媒の流れる方向を切り替えることができる媒体流れ切替部の機能を有する。双方向ポンプ84は、図1から図3の双方向ファン54と同様に、制御部40によってその動作が制御される。
【0041】
例えば、双方向ポンプ84の回転方向が正回転のときは、冷媒は、外気熱交換器88側から受電コイル52が収納されるコイル室60経由して室内熱交換器86に流される。冷媒は、受電コイル52によって加熱され、室内熱交換器86によってその熱が車室24側に放熱される。これによって、蓄電装置28を暖機でき、車室24を暖房することができる。また、双方向ポンプ84が逆回転のときは、冷媒は、室内熱交換器86から受電コイル52が収納されるコイル室60を経由して外気熱交換器88に流される。冷媒は、受電コイル52によって加熱され、外気熱交換器88によってその熱が外気6側に放熱される。これによって、受電コイル52が冷却される。
【0042】
このように、双方向ファン、双方向ポンプ等の双方向性の媒体流れ切替部を用いるので、媒体流入ダクトが不要になる。また、冷却装置と暖機装置を兼ねるので、部品点数が低減する。また、受電コイル52に熱交換媒体を流すので、受電コイル52と熱交換媒体との間の接触面積が増加し、熱交換効率が向上する。また、蓄電装置28の暖機と車室24の空調とを同時に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る車両搭載受電装置は、磁気結合によって電力のやり取りをする電気自動車、ハイブリッド車両に利用できる。
【符号の説明】
【0044】
6 外気、8 道路、10 外部電源、12 給電コイル、20 車両搭載受電装置を用いる空調システム、22 車両、24 車室、26 AC/DCコンバータ、28 蓄電装置、30 蓄電装置温度計、32 車室温度計、40 制御部、50,70,80 車両搭載受電装置、52 受電コイル、54 双方向ファン、56 コア、60,61 コイル室、62 外気側連通口、64 車室側連通口、72 コイル導線、74 コイル用パイプ、82 循環流路、84 双方向ポンプ、86 室内熱交換器、88 外気熱交換器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源に接続される道路側の給電コイルと磁気結合または磁気共鳴し、非接触式で給電側コイルから電力を受電して、受電した電力を蓄電装置に供給する車両側の受電コイルと、
受電コイルの発熱を熱交換によって受ける熱交換媒体の流れを、車室側から受電コイルを経由して外気側に流す放熱流れと、外気側から受電コイルを経由して車室側に流す暖機流れとの間で切り替える媒体流れ切替部と、
蓄電装置および車室の温度に応じて媒体流れ切替部の媒体流れ切替を制御する制御部と、
を含むことを特徴とする車両搭載受電装置。
【請求項2】
外部電源に接続される道路側の給電コイルと磁気結合または磁気共鳴し、非接触式で給電側コイルから電力を受電して、受電した電力を蓄電装置に供給する車両側の受電コイルと、
受電コイルを収納し、車室側に連通する車室側連通口と、外気側に連通する外気側連通口とを有するコイル室と、
コイル室の外気側連通口側に設けられ、回転方向を正回転と逆回転との間で切り替えることで送風と排気の間の切り替えを行える双方向ファンと、
蓄電装置および車室の温度に応じて双方向ファンの回転方向を制御する制御部と、
を含むことを特徴とする車両搭載受電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両搭載受電装置において、
受電コイルは、
コイル導線と、
コイル導線を内部に配置するとともに、気体流が通る流路となるコイル用パイプと、
を有し、
コイル用パイプの一方側開口端がコイル室の車室側連通口に接続され、他方側開口端がコイル室の外気側連通口に接続されることを特徴とする車両搭載受電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−156083(P2012−156083A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16019(P2011−16019)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】