説明

車両用アンテナ装置

【課題】異なるダイバーシチ方式に対応した指向性を同一アンテナ構成で実現し、高い受信感度性能を発揮することができる車両用アンテナ装置を提供する。
【解決手段】 第1のアンテナ101および第2のアンテナ102は、導電性の材料で形成し、リア窓ガラス108の左右の側辺に沿って、それぞれリア窓ガラス108上に貼付する。第1のアンテナ101および第2のアンテナ102の近傍から第1の地線109および第2の地線110を第1のアンテナ101および第2のアンテナ102に対して直角に配置する。ダイバーシチ方式に応じて、第1の地線109および第2の地線110と車両100グラウンドとの短絡点を高周波スイッチ111、112で切り替える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のダイバーシチ方式に対応し、車両の窓ガラスに搭載される車両用アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両には,様々な通信システム(例えば、AM/FM放送、地上デジタル放送、GPS、VICS,ETCなど)が搭載され、それらの通信に対応した数多くのアンテナが必要となっており、通信用のアンテナは、固定されたリアやフロントの窓ガラスに貼付して配置されている場合がある。
【0003】
このようなリア窓ガラスに搭載されるアンテナの具体例として、窓ガラスに設けられた複数の導線を含む防曇ヒータと、ヒータよりも上部の窓ガラス上に配置された第1アンテナ素子および第2アンテナ素子と、窓ガラスの左辺側に配置された第1アンテナ素子用の第1給電点および窓ガラスの右辺側に配置された第2アンテナ素子用の第2給電点とを含んだものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載のものは、第1および第2アンテナ素子の給電点の位置を離間させ、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子とが基本的に異なった指向特性を有する。その指向特性は互いを補完しうるものである。
【0005】
また、アンテナ導体3を単極アンテナとして利用し、一のバスバーと他方のバスバーから給電することによって、コの字状のデフォッガーを双極アンテナとして利用し、アンテナ導体3とデフォッガーの受信信号の中から受信感度の強い方の受信信号を選択使用するものが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−520737号公報
【特許文献2】特開平7−336124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および2に記載の構成では、各アンテナの指向性が異なるために、アンテナ切り替えダイバーシチ方式を採用する場合には適しているが、同一指向性が必要なフェーズダイバーシチ方式には不向きな構成となり、フェーズダイバーシチ方式に対応するためには、アンテナ素子構成を大幅に変更する必要があり、製造コストが増大する。
【0008】
また、市街地などのマルチパス環境においては、アンテナ切り替えダイバーシチ方式よりフェーズダイバーシチ方式が有利であるために、高い受信感度性能を確保できない可能性がある。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ダイバーシチ方式によらず同一アンテナ構成で実現できることで低コスト化が図れ、伝搬環境に応じてダイバーシチ方式に応じたアンテナを実現することで、高い受信感度性能を確保した車両リア窓ガラス搭載アンテナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、車両に搭載され少なくともアンテナ切替ダイバーシチ方式およびフェーズダイバーシチ方式のいずれか一方で電波を復調する受信装置が接続される車両用アンテナ装置において、前記車両の窓ガラス上に設けられ、前記窓ガラスの一方の短辺に沿って前記窓ガラスと所定の間隔を隔てて設けられた第1のアンテナと、前記窓ガラス上に前記第1のアンテナとは対向する他方の短辺に沿って前記窓ガラスと所定の間隔を隔てて設けられた第2のアンテナと、前記第1のアンテナの給電部および前記第2のアンテナの給電部は前記窓ガラスの対角にそれぞれ設けられ、前記第1のアンテナの前記給電部に近接して、かつ前記第1のアンテナに対して90度の角度で前記窓ガラスの一方の長辺に沿って設けられた第1の地線と、前記第2のアンテナの前記給電部に近接して、かつ前記第2のアンテナに対して90度の角度で前記窓ガラスの他方の長辺に沿って設けられた第2の地線と、前記第1の地線に接続され前記第1の地線とグラウンドとの接続を高周波的に接続もしくは非接続に切り替える第1の切替部と、前記第2の地線に接続され前記第2の地線とグラウンドとの接続を高周波的に接続もしくは非接続に切り替える第2の切替部とを備えた構成を有している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車両用アンテナ装置によれば、複数のダイバーシチ方式に対応する同一アンテナ構成であるため、製造コストが安価であり、伝搬環境に応じてダイバーシチ方式およびアンテナ指向性を制御できるため、高い受信感度性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態における車両窓ガラス搭載アンテナ装置を示す図
【図2】本発明の実施形態における車両窓ガラス搭載アンテナ装置を搭載する車両を示す図
【図3】本発明の実施形態における車両窓ガラス搭載アンテナ装置の指向性を示す図であって、(a)は第1端子(第4端子)と第2端子(第5端子)とが接続されている場合の指向性を示す図(b)は第1端子(第4端子)と第3端子(第6端子)とが接続されている場合の指向性を示す図
【図4】本発明の第2の実施形態における車両窓ガラス搭載アンテナ装置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の車両用アンテナ装置としての第1の実施形態に係る車両窓ガラス搭載アンテナ装置120を示すものであり、図2は、車両窓ガラス搭載アンテナ装置120をリア窓ガラスに備えた車両100を示す。
【0015】
なお、本発明の車両用アンテナ装置として、例えば、周波数76〜108MHz帯の電波の受信用アンテナとして説明する。
図1に示す車両用アンテナ装置としての車両窓ガラス搭載アンテナ装置120は、図2の車両100に搭載され、リア窓ガラス108と、リア窓ガラス108上の第1のアンテナ101および第2のアンテナ102と、それぞれのアンテナに対応する第1のインピーダンス整合回路103および第2のインピーダンス整合回路104と、それぞれのインピーダンス整合回路に対応する第1の受信回路105および第2の受信回路106と、復調部107と、リア窓ガラス108上の第1の地線109および第2の地線110と、それぞれの地線に接続される第1の切替部としての第1の高周波スイッチ111および第2の切替部としての第2の高周波スイッチ112とを備える。
【0016】
車両窓ガラス搭載アンテナ装置120は、第1のアンテナ101および第2のアンテナ102のそれぞれのアンテナに対応したインピーダンスを50Ωに整合するための第1のインピーダンス整合回路103および第2のインピーダンス整合回路104と、それぞれのインピーダンス整合回路に対応して受信信号を選択および増幅する第1の受信回路105および第2の受信回路106と、受信信号をデータ信号に復調するための復調部107とを備えた受信装置に接続される。
【0017】
この受信装置は、後述するように、少なくともアンテナ切替ダイバーシチ方式およびフェーズダイバーシチ方式のいずれか一方で電波を受信して復調する。
【0018】
ただし、「少なくともアンテナ切替ダイバーシチ方式およびフェーズダイバーシチ方式のいずれか一方」とは、受信装置内部においてアンテナ切替ダイバーシチ方式およびフェーズダイバーシチ方式二つの方式を切り替えて動作させるものも含む。
【0019】
第1のアンテナ101および第2のアンテナ102は、導電性の材料で形成し、リア窓ガラス108上、例えば、左右の側辺(短辺)側にそれぞれ貼付する。
第1のアンテナ101は、リア窓ガラス108の幅方向右側の上端に第1のアンテナ101の第1の給電部113(アンテナと整合回路を接続する部分)を備え、リア窓ガラス108の枠の側辺に沿って略平行に配置する。
【0020】
第2のアンテナ102は、リア窓ガラス108の幅方向左側の下端で、かつ第1のアンテナの給電部に対向して第2のアンテナ102の第2の給電部114(アンテナと整合回路を接続する部分)を備え、リア窓ガラス108の枠の第1のアンテナ101とは対向する側辺に沿って略平行に配置する。
【0021】
したがって、第1のアンテナ101と第2のアンテナ102とが、リア窓ガラス108の対角にそれぞれ位置するように、第1のアンテナ101および第2のアンテナ102が配置される。
【0022】
第1のアンテナ101および第2のアンテナ102の線路長は例えば、FMラジオの動作周波数の略1/4波長とする。
【0023】
第1のアンテナ101および第2のアンテナ102とリア窓ガラス108側辺との間隔は、所定の間隔を隔てて配置されている。
【0024】
ここで、所定の間隔とは、アンテナと車両金属グラウンドとの近接によるアンテナ利得の低下が生じない、例えば略1/50波長の長さとする。
【0025】
第1のインピーダンス整合回路103および第2のインピーダンス整合回路104は、アンテナのインピーダンスを50Ωに整合するものであって、リア窓ガラス108の近傍の車両100上に配置される。
【0026】
第1のインピーダンス整合回路103および第2のインピーダンス整合回路104のそれぞれの一方が第1のアンテナ101および第2のアンテナ102に接続され、それぞれの他方が第1の受信回路105および第2の受信回路106に接続される。
【0027】
第1の受信回路105および第2の受信回路106は、第1のアンテナ101および第2のアンテナ102の受信信号を増幅させる増幅器を備え、ダイバーシチを実現する復調部107と接続する。
【0028】
第1の地線109は、導電性の材料で形成し、第1のアンテナ101の近傍、例えば略1/50波長の間隔で配置し、第1のアンテナ101に対して略90度の角度とし、開放端を側辺側に形成したL字構成で、L字の水平部はリア窓ガラス108の枠の上部辺に沿って略平行に配置し、他方端は第1の高周波スイッチ111と接続される。
【0029】
第2の地線110は、導電性の材料で形成し、第2のアンテナ102の近傍、例えば略1/50波長の間隔で配置し、第2のアンテナ102に対して略90度の角度とし、開放端を側辺側に形成したL字構成で、L字の水平部はリア窓ガラス108の枠の下部辺に沿って略平行に配置し、他方端は第2の高周波スイッチ112と接続される。
【0030】
第1の地線109および第2の地線110の線路長は例えば、FMラジオの動作周波数の略1/4波長とする。
【0031】
第1の高周波スイッチ111は、3つの端子(例えば、第1端子111a、第2端子111b、第3端子111c)を備え、第1端子111aは第1の地線109と接続され、第2端子111bは未接続、第3端子111cは車両100グラウンドに接地される。
【0032】
さらに、第2の高周波スイッチ112は、3つの端子(例えば、第4端子112a、第5端子112b、第6端子112c)を備え、第4端子112aは第2の地線110と接続され、第5端子112bは未接続、第6端子112cは車両100グラウンドに接地される。
【0033】
したがって、第1の高周波スイッチ111(第2の高周波スイッチ112)は、第1端子111a(第4端子112a)と第2端子111b(第5端子112b)とが接続される、もしくは第1端子111a(第4端子112a)と第3端子111c(第6端子112c)とが接続されるように切り替える。
【0034】
なお、第1の高周波スイッチ111(第2の高周波スイッチ112)の第1端子111a(第4端子112a)と第2端子111b(第5端子112b)とが接続された場合には、第1の地線109および第2の地線110は車両100グラウンドとは高周波的には開放(未接続)され、地線としては動作しない。
【0035】
一方、第1の高周波スイッチ111(第2の高周波スイッチ112)の第1端子111a(第4端子112a)と第3端子111c(第6端子112c)とが接続される場合には、第1の地線109(第2の地線110)は車両100グラウンドとは高周波的に短絡(接続)され、地線として動作する。
【0036】
次に、本発明の第1の実施形態における車両用アンテナ装置の動作について、図3の指向性パターンを用いて説明する。
【0037】
ここで、第1の高周波スイッチ111および第2の高周波スイッチ112の第1端子111a(第4端子112a)と第2端子111b(第5端子112b)とが接続される場合、第1の地線109および第2の地線110は高周波的には開放となるため、第1のアンテナ101および第2のアンテナ102のそれぞれアンテナの指向性が得られる。
【0038】
この場合の水平面(XY面)の各アンテナの指向性を図3の(a)に示す。図3の(a)に示すとおり、第1のアンテナ101の指向性の最大方向はX方向になり、第2のアンテナ102の指向性の最大方向は−X方向になる。すなわち、互いに異なる指向性となり、アンテナ切り替えダイバーシチ方式に適した指向性が得られる。
【0039】
一方、第1の高周波スイッチ111および第2の高周波スイッチ112の第1端子111a(第4端子112a)と第3端子111c(第6端子112c)とが接続される場合、第1の地線109および第2の地線110は、高周波的に車両100グラウンドに短絡される。
【0040】
この場合、第1のアンテナ101および第2のアンテナ102の各アンテナ電流は第1の地線109および第2の地線110に分布することから、それぞれのアンテナの電流分布が変化することでアンテナの指向性が変化し、互いに同一の指向性が得られる。
【0041】
この場合の水平面(XY面)の各アンテナの指向性を図3の(b)に示す。図3の(b)より、第1のアンテナ101の指向性の最大方向はX〜Y方向および−X〜―Y方向、第2のアンテナの指向性の最大方向はX〜Y方向および−X〜−Y方向と互いに同じ指向性となり、フェーズダイバーシチ方式に適した指向性が得られる。
【0042】
したがって、第1の高周波スイッチ111および第2の高周波スイッチ112として、スイッチの切り替えを手動で行えるものを用いることにより、製造段階などにおいて、同一アンテナ構成で異なるダイバーシチ方式に適した指向性を第1の地線109および第2の地線110の第1の高周波スイッチ111および第2の高周波スイッチ112を切り替えることで実現できるために、製造コストを安く抑えることができる。
【0043】
本実施形態によれば、第1のアンテナ101および第2のアンテナ102に第1の地線109および第2の地線110を近接させてリア窓ガラス108上に配置し、第1の地線109および第2の地線110と車両100グラウンドとの短絡点を第1の高周波スイッチ111および第2の高周波スイッチ112で切り替えるアンテナ構成とすることにより、同一アンテナ構成で異なるダイバーシチ方式に対応した指向性を実現し簡単な構成で高い受信性能を確保することができ、製造コストを安く抑えることができる。
【0044】
なお、本実施形態では、第1のアンテナ101および第2のアンテナ102と第1の地線109および第2の地線110とをリア窓ガラス108上に配置したが、これによらず、フロント窓ガラス上に配置しても同様な効果が得られる。
【0045】
また、本実施形態では、第1のアンテナ101および第2のアンテナ102をリア窓ガラス108の左右側辺に沿って配置し、第1の地線109および第2の地線110をリア窓ガラス108の上下部辺に沿って配置したが、これによらず、第1のアンテナ101および第2のアンテナ102を上下部辺に沿って配置し、第1の地線109および第2の地線110をリア窓ガラス108の左右側辺に沿って配置しても、同様な効果が得られる。
【0046】
さらに、本実施形態では、FM受信用のアンテナとして説明したが、デジタルテレビ受信用のアンテナであっても、同様な効果が得られる。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図4を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して重複説明を避ける。
【0048】
図4における車両窓ガラス搭載アンテナ装置220と、図1における車両窓ガラス搭載アンテナ装置120との違いは復調部207と第1の高周波スイッチ211および第2の高周波スイッチ212とが制御線で接続され、復調部207が出力する制御信号213および制御信号214によって第1の高周波スイッチ211および第2の高周波スイッチ212が切り替えられる構成とした点である。
【0049】
ここで、本発明の第2の実施形態における車両窓ガラス搭載アンテナ装置220をリア窓ガラスに搭載した場合の動作について説明する。
【0050】
復調部207は、例えば、初期設定としてアンテナ切り替えダイバーシチ方式が選択されている場合、復調部207からの制御信号213および制御信号214によって、第1の高周波スイッチ211(第2の高周波スイッチ212)の第1端子211a(第4端子212a)と第2端子211b(第5端子212b)とが接続されるように設定される。
【0051】
第1の高周波スイッチ211(第2の高周波スイッチ212)の第1端子211a(第4端子212a)と第2端子211b(第5端子212b)とが接続されるように設定されることで、第1の地線109および第2の地線110は高周波的には開放となるため、図3の(a)に示すような互いに異なる指向性となり、アンテナ切り替えダイバーシチ方式に適した指向性でFM放送信号を受信する。
【0052】
ここで、第1のアンテナ101もしくは第2のアンテナ102で受信した信号レベルが、復調部207で復調可能レベル以下となった場合、復調部207でダイバーシチ方式をアンテナ切り替えダイバーシチ方式からフェーズダイバーシチ方式に切り替え、復調部207から高周波スイッチ211(第2の高周波スイッチ212)の第1端子211a(第4端子212a)と第3端子211c(第6端子212c)とが接続されるように高周波スイッチ211および第2の高周波スイッチ212へ制御信号213および制御信号214を出力する。
【0053】
制御信号213および制御信号214によって、高周波スイッチ211(第2の高周波スイッチ212)の第1端子211a(第4端子212a)と第3端子211c(第6端子212c)とが接続されるように切り替えられることで、第1の地線109および第2の地線110は車両100のグラウンドに短絡され、図3の(b)に示すような互いに同一指向性となり、フェーズダイバーシチ方式に適した指向性でFM放送信号を受信する。
【0054】
すなわち、伝搬環境に応じて、ダイバーシチ方式を選択し、かつダイバーシチ方式に応じた指向性に切り替えることで、ダイバーシチの性能を高くでき、高い感度性能を得ることができる。
【0055】
したがって、本実施形態によれば、第1のアンテナ101および第2のアンテナ102に第1の地線109および第2の地線110を近接させてリア窓ガラス108上に配置し、復調部207で受信性能に応じてダイバーシチ方式を選択し、それに応じた指向性となるように第1の地線109および第2の地線110と車両100グラウンドとの短絡点を第1の高周波スイッチ211および第2の高周波スイッチ212で切り替えるアンテナ構成とすることで、伝搬環境に応じて、同一アンテナ構成で異なるダイバーシチ方式に対応した指向性が実現することで簡単な構成でダイバーシチの性能を高くでき、高い受信性能を確保できる。
【0056】
以上説明したとおり、本発明によれば、リア窓ガラス上のガラス枠の一方の側辺に沿って配置される第1のアンテナと、前記第1のアンテナに対向してリア窓ガラス上のガラス枠の他方の側辺に沿って配置される第2のアンテナと、前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナと接続される第1の受信回路および第2の受信回路と、第1の受信回路および第2の受信回路と接続される復調部と、前記第1のアンテナおよび前記第2アンテナに対して略直角に配置された前記リア窓ガラス上の第1の地線および第2の地線と、前記第1の地線および前記第2の地線の短絡点(グランドとの短絡点)と、を備え、前記復調部のダイバーシチ方式に応じてヒータ導線の前記短絡点を高周波的に接続もしくは非接続に
切り替える構成により、各ダイバーシチ方式に応じたアンテナ構成を同一形状で実現できるために、量産コストを安価とする車両用アンテナ装置を提供できる。
【0057】
また、前記ダイバーシチ方式の選択手段およびそれに応じた短絡点切り替え手段として、前記復調部の受信性能の比較結果を用いる構成でもよい。この構成により、伝搬環境に応じてダイバーシチ方式を選択し、それに適したアンテナ指向性に切り替えることで、高い受信感度性能を確保できる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の車両用アンテナ装置は、ダイバーシチ方式に応じた指向性の制御を同一アンテナ構成で実現し、高い感度性能を発揮することができる効果を有し、例えば車両用リア窓ガラスに搭載するアンテナ装置などに有用である。
【符号の説明】
【0059】
100 車両
101 第1のアンテナ
102 第2のアンテナ
103 第1のインピーダンス整合回路
104 第2のインピーダンス整合回路
105 第1の受信回路
106 第2の受信回路
107、207 復調部
108 リア窓ガラス
109 第1の地線
110 第2の地線
111、112 高周波スイッチ
111a 第1端子
111b 第2端子
111c 第3端子
112a 第4端子
112b 第5端子
112c 第6端子
113 第1の給電部
114 第2の給電部
120、220 車両窓ガラス搭載アンテナ装置
211、212 高周波スイッチ
211a 第1端子
211b 第2端子
211c 第3端子
212a 第4端子
212b 第5端子
212c 第6端子
213、214 制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され少なくともアンテナ切替ダイバーシチ方式およびフェーズダイバーシチ方式のいずれか一方で電波を復調する受信装置が接続される車両用アンテナ装置において、
前記車両の窓ガラス上に設けられ、前記窓ガラスの一方の短辺に沿って前記窓ガラスと所定の間隔を隔てて設けられた第1のアンテナと、前記窓ガラス上に前記第1のアンテナとは対向する他方の短辺に沿って前記窓ガラスと所定の間隔を隔てて設けられた第2のアンテナと、前記第1のアンテナの給電部および前記第2のアンテナの給電部は前記窓ガラスの対角にそれぞれ設けられ、前記第1のアンテナの前記給電部に近接して、かつ前記第1のアンテナに対して90度の角度で前記窓ガラスの一方の長辺に沿って設けられた第1の地線と、前記第2のアンテナの前記給電部に近接して、かつ前記第2のアンテナに対して90度の角度で前記窓ガラスの他方の長辺に沿って設けられた第2の地線と、前記第1の地線に接続され前記第1の地線とグラウンドとの接続を高周波的に接続もしくは非接続に切り替える第1の切替部と、前記第2の地線に接続され前記第2の地線とグラウンドとの接続を高周波的に接続もしくは非接続に切り替える第2の切替部とを備えたことを特徴とする車両用アンテナ装置。
【請求項2】
前記第1の切替部は、前記第1の地線に接続される第1端子と、高周波的に開放となる第2端子と、グラウンドに接地される第3端子とを有し、前記第2の切替部は前記第2の地線に接続される第4端子と、高周波的に開放となる第5端子と、グラウンドに接地される第6端子とを有し、
前記第1端子と前記第2端子とが接続され前記第4端子と前記第5端子とが接続される、または、前記第1端子と前記第3端子とが接続され前記第4端子と前記第6端子とが接続されることによって前記第1の地線および前記第2の地線とグラウンドとの接続が高周波的に接続もしくは非接続に切り替えることを特徴とする請求項1記載の車両用アンテナ装置。
【請求項3】
前記受信装置は、入力される電波の受信状況に応じてアンテナ切替ダイバーシチ方式およびフェーズダイバーシチ方式を切替えて電波を復調し、前記受信装置に入力される受信状況に応じた制御信号を出力する受信装置であって、
前記第1の切替部および前記第2の切替部は、前記受信装置から出力された制御信号に応じて前記第1の地線および前記第2の地線とグラウンドとの接続を高周波的に接続もしくは非接続に切り替えることを特徴とする請求項2記載の車両用アンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−175210(P2012−175210A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32802(P2011−32802)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】