説明

車両用キー

【課題】操作部を無駄に操作して電力が消費されるのを防止することができる車両用キーを提供する。
【解決手段】車両側のキーシャッタに連結される回転部材に係合して回転部材を所定の回転方向に回転させてキー孔を開閉するために用いられるマグネット部63と、IDコードを送出するための操作部64とを有するホルダ部61を備える。マグネット部63と操作部64との間に凹部66が形成される。ホルダ部61が、表面60A、裏面、および側面60Cを有する外部形状をなし、操作部64および凹部66が、ホルダ部61の表面60Aに配置される。操作部64が、マグネット部63が突出している角部とは対角位置にある別の角部寄りに偏った位置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用キーに関し、特に、固有コードを含む信号を送出するための操作部と、車両側のキーシリンダの保護シャッタを開閉するための係合部とを有するものにおいて、操作性を向上するのに好適な車両用キーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用キーとして、固有コードを含む信号を送出するための操作部を備えたものが知られる。特許文献1には、ケース本体の表面(上面)に、キーホールにキー部を挿入して捻る場合等に親指を添えるための指添え部4を有する車両用キーが開示されている。この車両用キーを使用する際は、窪みと滑り止めを有する指添え部4に親指を添え、人差し指をケース本体の裏側に添えてキーホールに差し込んで回すことにより、イグニッションスイッチのオン・オフ等を行う。この際、ユーザは自然に窪みや滑り止めがある指添え部4を持つようになるので、アンテナ部やスイッチ部等、他の部分によけいな応力がかかることがない。
【0003】
また、特許文献2には、イグニッションキー孔をシャッタで閉塞するマグネット錠を設け、イグニッションキーのつまみ部に磁石からなるマグネットキーを一体的に設けると共に、該マグネットキーの外形形状を前記シャッタのマグネットキー嵌合凹部に方向性を有して略合致させ得る形状に形成し、マグネットキー嵌合凹部にマグネットキーをセットしてシャッタを回動させることにより、マグネット錠を解錠すると共にシャッタをリセット位置に保持してイグニッションキー孔を開放させる車両用シリンダ錠の保護装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3268743号公報
【特許文献2】特開2000−104426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている車両用キーに対して特許文献2に記載されているマグネットキーを一体的に設けることを考えた場合、車両用キーに設けられる操作部がマグネット部と指添え部である窪み(凹部)との間に位置することになる。したがって、ユーザが車両用キーのホルダ部を持ってマグネット部でマグネット錠を操作する際に、操作部に指が触れるおそれがあり、触れる強さによっては固有コードを含む信号が送出され、この信号の送信のために電力を無駄に消費してしまうという解決すべき課題がある。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題に対して、必要がないときに操作部を押して無駄に電力消費することがないようにする車両用キーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための本発明は、キー部と、車両側に設けられるキーシリンダのキー孔を覆うキーシャッタに連結される回転部材に係合して該回転部材を所定の回転方向に回転させて前記キー孔を開閉するためのマグネット部と、IDコードを含む信号を送出する操作を行うための操作部とを有するホルダ部を備えた車両用キーにおいて、前記ホルダ部が、前記マグネット部と前記操作部との間に形成された凹部を有している点に第1の特徴がある。
【0008】
また、本発明は、前記ホルダ部が、表面および裏面と、該表面および裏面で挟まれた側面とを有する外部形状をなし、前記操作部および前記凹部が、前記ホルダ部の前記表面に配置されている点に第2の特徴がある。
【0009】
また、本発明は、前記ホルダ部が、前記マグネット部がホルダ部の前記側面から前記略矩形の一つの角部に突出して設けられ、前記操作部が、前記マグネット部が突出している一つの角部とは対角位置にある別の角部寄りに偏った位置で前記ホルダ部の前記表面に配置されている点に第3の特徴がある。
【0010】
また、本発明は、前記凹部が、前記ホルダ部の前記表面のうち、マグネット部が設けられる角部に隣接する二つの角部を結ぶ対角線を境に、前記マグネット部が設けられる角部側の略三角形の範囲に延在して形成されている点に第4の特徴がある。
【0011】
また、本発明は、前記凹部には、前記ホルダ部の表裏方向に貫通する貫通孔が形成されている点に第5の特徴がある。
【0012】
また、本発明は、前記貫通孔が、前記凹部のうち、前記二つの角部の一方側に偏った位置に形成されており、前記対角線に対して前記操作部寄りの位置にあって、前記凹部のうち、前記貫通孔が形成されている側とは反対側寄りに隣接して設けられる表示灯を備えている点に第6の特徴がある。
【発明の効果】
【0013】
第1の特徴を有する本発明によれば、マグネット部と操作部とが凹部を間において配置されるので、ユーザがホルダ部を持ってマグネット部を使ってキーシャッタを開閉しようとする際に、操作部を押してしまうことを抑制でき、IDコードを送出する電力を無駄に消費してしまうのを抑制することができる。
【0014】
なお、ホルダ部において、凹部は、操作部がある面と同じ面または反対側の面に設けることができるが、操作部がある面と反対側の面に凹部を設ける場合でも、キーシャッタを開閉操作する際には、ユーザは、凹部とその凹部の反対側を、例えば、親指と人差し指で把持してキーシャッタを操作するため、上記と同様の効果を奏することができる。
【0015】
第2の特徴を有する本発明によれば、操作部と凹部とがホルダ部の同一面側に配置されるので、ユーザによる操作部の操作およびマグネット部によるキーシャッタの開閉操作を、ホルダ部を持ち替えることなく行え、操作性を向上させることができる。
【0016】
第3の特徴を有する本発明によれば、略矩形表面および裏面を有する略直方体のホルダ部において、マグネット部と操作部とを互いにより離れた位置に配置することができるので、マグネット部を使ってキーシャッタを開閉しようとする際に、操作部を押してしまうことをより効果的に防止することができる。
【0017】
第4の特徴を有する本発明によれば、操作部をマグネット部から分離しつつ、広い面積で凹部を形成しやすくなるので、ユーザがホルダ部を把持しやすくなる。
【0018】
第5の特徴を有する本発明によれば、例えば、貫通孔を、ストラップ等を取り付ける孔として使用できるうえ、該貫通孔も凹部の一部として使うことができるので、凹部を広い範囲に亘って形成しながら、スペース効率を高めることもできる。
【0019】
第6の特徴を有する本発明によれば、操作部の操作時に、表示灯が指で隠れにくくすることができる上、操作部の近傍に表示灯を配置することで、操作部の操作時の視認性を向上することができる。さらに、操作部と凹部との間のスペースに効率よく表示灯を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用キーを適用する自動二輪車の側面図である。
【図2】アンサーバックのシステム構成を示すブロック図である。
【図3】車両用キーの斜視図である。
【図4】車両用キーの正面図である。
【図5】車両用キーの背面図である。
【図6】図4のA−A位置での断面図である。
【図7】キー孔をキーシャッタで閉じた状態のキーシリンダの正面図である。
【図8】キーシャッタを開いた状態のキーシリンダの正面図である。
【図9】アンサーバック装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図10】キー登録設定動作のタイミングチャートである。
【図11】ブザー音量設定のタイミングチャートである。
【図12】ブザー音量設定のフローチャートである。
【図13】ブザー音パターンの設定動作を示すタイミングチャートである。
【図14】ブザー音パターン設定処理のフローチャートである。
【図15】ブザー停止モードへの切り換え制御のタイミングチャートである。
【図16】ブザー吹鳴モードへの切り換え制御のタイミングチャートである。
【図17】エラー時のアンサーバック装置の動作例を示すタイミングチャートである。
【図18】ブザー音量およびブザー音パターンの設定モードのいずれかを選択する設定モード選択手段に係る要部機能を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る車両用キーによって制御される被制御部を有する自動二輪車の側面図である。鞍乗型の自動二輪車1は、低床フロアを有するスクータ型である。自動二輪車1の車体フレーム3は、前輪WFを軸支する左右一対のフロントフォーク5および該フロントフォーク5に連結されるヘッドパイプ2を備える。ヘッドパイプ2は操向軸6を回動自在に支持し、操向軸6の上端には操向ハンドル7が連結される。操向ハンドル7の、車両幅方向両端部には、グリップ8が設けられる。
【0022】
車体フレーム3の後方下部には、車体前方に指向するシリンダ13を有するエンジン10を含んでいるとともに、無段変速機を収容し、かつ車体フレーム3に上下動自在に支承されるスイングユニット11を有する。スイングユニット11は車軸12によって後輪WRを回転自在に軸支する。スイングユニット11の前方側は、リンクプレート17を介して車体フレーム3に支承される。一方、スイングユニット11の後端部は、リヤクッション14を介してシートフレーム18の後端部に吊り下げられる。スイングユニット11の車体右側には、消音器としてのマフラ15が配設される(後端のみ図示されている)。
【0023】
車体フレーム3の前方下部で、ヘッドパイプ2から下部へ延びるダウンフレーム4には、車体側面視で上下に長く形成される燃料タンク25およびエンジン冷却水のラジエータ24が取り付けられる。車体フレーム3の中央部から後部にかけて延在するシートフレーム18には、乗員Mが着座する乗員用シートおよび図示しない同乗者が着座する同乗者用シートからなるシート9が支持される。シート9は、輪郭線19で示されるヘルメット等の収納空間(荷室)の上方に位置し、ユーザが該周の空間にアクセスできるように、図示しないヒンジによって開閉自在にシートフレーム18に取り付けられる。シートフレーム18の後方には尾灯装置28が、下後方にはリヤフェンダ29がそれぞれ取り付けられる。尾灯装置28の上方左右には後部ウィンカ装置27が設けられる。
【0024】
自動二輪車1の前部はフロントカバー21で覆われており、フロントカバー21の前部にはヘッドライト22が配置される。ヘッドライト22の下方左右には、前部ウィンカ装置26が設けられる。
【0025】
ヘッドパイプ2の車体前方側は、ヘッドライト22が取り付けられたフロントカバー21で覆われる。フロントフォーク5には、前輪WFの上部を覆うフロントフェンダ23が取り付けられる。
【0026】
フロントカバー21で覆われたヘッドパイプ2の周辺には、上方から順に、無線通信受信器30、アンサーバック制御装置31、およびアンサーバック用の発音体であるブザー32が配置される。これら無線通信受信器30、アンサーバック制御装置31、およびブザー32は、例えば、ヘッドパイプ2に結合される図示しないステーやブラケットを利用して取り付けることができる。
【0027】
さらに、ヘッドパイプ2の周辺(車幅方向右側)には、フロントカバー21で覆われたキーシリンダ40と、該キーシリンダ40のうち、フロントカバー21から表面に露出している部分(キーシャッタ)を照明するキーシャッタ照明灯33とを有する。また、シート9の下方に位置する荷室19には、荷室の内部を照明する荷室照明灯34が設けられる。
【0028】
図2は、アンサーバックシステムの構成を示すブロック図である。図2において、アンサーバックシステムは、自動二輪車1側に設けられるアンサーバック装置100と、アンサーバックスイッチを有する車両用キー(送信手段)60とからなり、アンサーバック装置100は、無線通信受信器(受信手段)30、アンサーバック制御装置31、ブザー32、前部および後部ウィンカ装置26、27、キーシャッタ照明灯33、荷室照明灯34、およびキーシリンダ40からなる。キーシリンダ40は、イグニッションスイッチ(IGNスイッチ)41を含む。
【0029】
車両用キー60は、ホルダ部61とホルダ部61に収容されるアンサーバックスイッチの操作部64と、ホルダ部61から突出したキー部68とを備える。車両用キー60の形状等は、さらに後述する。
【0030】
車両用キー60のホルダ部61には、記憶部および送信部(後述)が収納され、記憶部に予め記憶されている固有のコード(以下、「IDコード」という)が、操作部64を押す(オンする)ことによって送信部から送出される。なお、このIDコードは、少なくともアンサーバックを行う上で必要となるコードである。
【0031】
無線通信受信器30は、車両用キー60の送信部から送出されるIDコードを受信すると、受信したIDコードをアンサーバック制御装置31に入力する。アンサーバック制御装置31は、照合用IDコードを予め記憶する記憶部を有しており、IDコードを無線通信受信器30から転送されたときに、受信したIDコードを照合用IDコードと比較する。受信したIDコードと照合用IDコードとが一致していれば、アンサーバック手段であるウィンカ装置26、27、ブザー32、およびキーシャッタ照明灯33、および荷室照明灯34に駆動信号を供給する。駆動信号の供給は有線で行うのがよい。ウィンカ装置26、27は、駆動信号に応答してハザードランプとして予め設定される時間間隔で点滅する。ブザー32は駆動信号に応答して吹鳴する。またキーシャッタ照明灯33および荷室照明灯34は灯具(例えば、LED)を点灯する。アンサーバック制御装置31は、マイクロコンピュータによって実現できる。
【0032】
図3は車両用キーの斜視図、図4は車両用キーの正面図、図5は車両用キーの背面図である。また、図6は図4のA−A位置での断面図である。図3乃至図6において、略直方体の外形を有するホルダ部61は、略矩形の表面60Aおよび裏面60Bと、該表面60Aおよび裏面60Bで挟まれた側面60Cとを有する外部形状をなしている。略直方体のホルダ部61には、キー部68が設けられ、4つの側面60Cの一つから突出している。
【0033】
ホルダ部61の表面60Aには、キー部68を保持している側面60Cに近い側に偏った位置に略三角形の表面形状を有する操作部64が配置されている。操作部64に隣接する領域は、表面から一段下がった凹部66になっており、この凹部66は、ユーザが車両用キー60をしっかりと把持できるように、滑り止めとして複数のディンプル(窪み)67が形成される。
【0034】
ホルダ部61の角部C1〜C4のうち、操作部64から遠い角部C1は、略6角柱を呈した突部に形成されており、この突出部にマグネット63が設けられる。マグネット63は、キーシリンダ40のキーシャッタ(後述)を開閉して、開放時にキーシリンダ40のキー孔に車両用キー60のキー部68を抜き差しできるようにするためのものである。
【0035】
凹部66は、前記ホルダ部61の表面60Aのうち、マグネット部63が設けられる角部C1に隣接する二つの角部C2、C4を結ぶ対角線66aを境に、前記マグネット部63が設けられる角部C1側の略三角形の範囲に延在して形成される。
【0036】
凹部66の一部分はホルダ部61の厚さ方向(表裏方向)に貫通されており、ストラップ等を通すことができる貫通孔62を形成する。貫通孔62は、凹部66のうち、前記二つの角部C2、C4のうち、一方側に偏った位置に形成される。
【0037】
操作部64と凹部66との間には、LED表示部65が配置される。つまり、前記対角線66aに対して操作部64側の位置にあって、凹部66のうち、貫通孔62が形成されて角部C4寄りとは反対側の角部C2寄りにLED表示部65が設けられる。LED表示部65は、操作部64のオン・オフ操作に応答し、後述するブザー吹鳴・停止モードに応じて緑色および赤色のいずれかが選択されて点灯する。
【0038】
図6の断面図から理解されるように、ホルダ部61の内部には、記憶部74aおよび送信部74bを含む電子回路74が収容されるほか、動作用のバッテリ75が設けられる。また、操作部64の下方に位置して、基板76上に取り付けられるリモコンスイッチ69が配設される。操作部64は、該操作部64を押した指を離すと元の位置(オフ位置)に復帰するように基板76との間にシール部材も兼ねることができるゴム等の弾性部材を配する。
【0039】
図3乃至図6に示した車両用キーによれば、キーシャッタを操作するためのマグネット63と操作部64との間の表面に凹部66を形成したので、ユーザは指の感触で容易に凹部66を探りあてて、凹部66とホルダ部61の裏面とをつまんで車両用キー60を操作できる。また、凹部63を間に挟んでマグネット63から離れた位置に操作部64が配置されているので、ユーザがホルダ部61を持ってマグネット63をキーシャッタに係合させる操作をした際に、誤って操作部64を押し下げるということを回避できる。
【0040】
図7はキー孔をキーシャッタで閉じた状態のキーシリンダの正面図、図8はキーシャッタを開いてキー孔を露出させた状態のキーシリンダの正面図である。キーシリンダ40には、該キーシリンダ40の前面つまり車両用キー60のキー部68が挿入されるイグニッションスイッチ41のキー孔41aが設けられる側を覆うトップカバー70を備える。トップカバー70には、キー孔41aと整列して配置される第1開口71と、マグネット63が係合される略6角形の係合溝43と整列して配置される第2開口72が設けられる。第1開口71は円形であり、第2開口72は円形部分72aと円形部分72aにつながる円弧部分72bを有し、円弧部分72bには、該円弧部分72bに沿って変位自在な操作ノブ44が遊嵌される。
【0041】
係合溝43は、回転部材73の頂部に形成され、回転部材73とキーシャッタ42とは、図示しないリンクを介して連結される。図7に示した状態のキーシリンダ40の係合溝43に車両用キー60のマグネット63を係合させてマグネット63を回転部材73に連結させる。こうして、車両用キー60を時計方向に回すと回動部材73も時計方向(OPEN側)に回わり、第1開口72を下面から覆っているキーシャッタ42が開く(図8の状態)。このようにキーシャッタ42が開いている(第2開口71が開いている)状態では、キー孔41aが露出されるので、このキー孔41aに車両用キー60のキー部68に差し込むことで、キーシリンダ40を回してキー操作をすることができる。
【0042】
キー部68によるキーシリンダ40の回動位置は、図7に示すように、ロック位置(LOCK)、オフ位置(OFF)、およびオン位置(ON)である。オン位置とオフ位置との間には、キー部68を押し込める位置(SEAT)が設定されており、シート9のロックが解除される。ロック位置とオフ位置との間の切り換えは、キー部68を押し込みながら操作する。
【0043】
自動二輪車1の運転を終了する場合は、キー部68をオン位置からオフ位置に回してイグニッションスイッチをオフに切り替え、更にオフ位置からロック位置に回して、車両用キー60を抜き出し、車両用キー60のマグネット63を使って回転部材73を反時計方向(SHUT側)に回す。これにより、キーシャッタ42は閉じられる。
【0044】
車両用キー60無しでもキーシャッタ42を閉じることができるようにノブ44が回転部材73に連結される。キーシャッタ42を閉じる際には、ノブ44を図8に示す位置から図7に示す位置に移動させることにより回転部材73を回すことができる。ノブ44は、キーシャッタ42を開く側に操作することができないように構成される。
【0045】
キーシャッタ42を有するキーシリンダ40のより具体的な構成は、本出願人による特許出願に係る特開2007−176239号公報に開示されており、この構成を本実施形態に適用することができる。
【0046】
図9は、本実施形態に係る車両用キーを使ったアンサーバック装置の動作を示すタイミングチャートである。図9の1段目にはイグニッションスイッチの動作を示す。イグニッションスイッチはタイミングt4でオンになり、タイミングt5でオフになる動作を想定する。
【0047】
2段目は、車両用キー60および車両用キー60内の送信部74bの動作、つまり、車両用キー60のアンサーバックスイッチのオン・オフに対応して出力されるIDコード(UHF出力)の変化およびLED表示部65の動作を示す。タイミングt1で車両用キー60の操作部64を押すと、リモコンスイッチはオフ(H)からオン(L)に切り替わる。操作部64を押している間、リモコンスイッチの信号はオン(L)に維持される。リモコンスイッチの信号がオンに維持された状態で所定時間T1を経過したタイミングt2では、図9の3段目に示すように、車両用キー60内の送信部74bはIDコードを含むUHF信号を所定時間T2の間送出する(オンにする)。これとともに、図9の4段目に示すように、LED表示部65を所定時間T3の間点灯させる(オンにする)。LED表示部65の点灯により、ユーザは、操作部64の操作が確実に行われたのを認識することができる。
【0048】
図9の5段目乃至7段目には、車両用キー60内の送信部74bから送出されるUHF信号に応答してタイミングt3から開始されるアンサーバックの動作、つまり車体側のアンサーバック制御装置31による動作を示す。まず、5段目にハザードランプの動作を示す。ハザードランプの動作はウィンカ装置26、27の機能として実現でき、車体左右のウィンカ装置26、27を所定時間T4の間オンにし、所定時間T5の間オフにする点滅動作である。6段目はブザー32の動作を示す。ブザー32を所定時間T6の間オンにし、所定時間T7の間オフにして間欠的に吹鳴させる。
【0049】
図9の7段目は、キーシャッタ周辺を照明するキーシャッタ照明灯33と荷室の内部を照明する荷室照明灯34の動作を示す。キーシャッタ照明灯33と荷室照明灯34は、ハザードランプやブザー32の動作開始とともにタイミングt3で点灯し、車両用キー60によって、イグニッションスイッチ41がオンされるタイミングt4まで、時間T8の間点灯を維持する。つまりエンジンの始動操作が開始されたならば、アンサーバックは終了する。この例では、イグニッション操作はタイミングt5で終了する。
【0050】
次に、車両用キー60の登録について説明する。図10はキー登録設定動作のタイミングチャートである。キー登録設定とは、予め登録されているメインの車両用キー60のほか、予備の車両用キー60を所有する場合、予備の各車両用キーから送出されるIDコードを車両側のアンサーバック制御装置31に記憶させることをいう。
【0051】
図10において、メインの車両用キー60を使ってイグニッションスイッチ41をオン位置に回すことで、タイミングt10でイグニッション信号がオンになる。イグニッション信号がオンになっている間にメインの車両用キー60の操作部64を操作してIDコードを送出する。イグニッション信号がオンになっている時間はユーザの操作によるが、1回のイグニッションオンから次のイグニッションオンまでの時間T10は、例えば、5秒以内とする。なお、イグニッション信号がオンからオフになった後、イグニッション信号がオフのまま所定時間(例えば、5秒以上)維持された場合、このキー登録操作による処理はリセットされる。複数のタイミング(ここではタイミングt10、t20、t30の3回)でイグニッションオン操作されている間に操作部64がオン操作されてIDコードa、b、cがそれぞれ送信されると、次に、タイミングt40でイグニッションオン操作が行われて、その後、操作部64がオン操作されてIDコードdが送信されると、タイミングt50でキー登録モードに移行する。
【0052】
タイミングt50の後、所定時間T20(例えば、10秒)またはイグニッション信号がオフになるタイミングt60までのキー登録モードの間に、予備の車両用キー60の操作部64をオン操作すると、その予備の車両用キー60から送出されるIDコードは、車両側の無線通信受信器30で受信されてアンサーバック制御装置31に記憶登録される。
【0053】
時間T20の間に送出されて車体側で受信されたIDコードは複数(例えば3つ)まで記憶される。時間T20の間に予定数(3つ)以上のIDコードを送信した場合は、最新に入力された予定数(3つ)が登録される。この例では予備の車両用キー60は2つのIDコードe、fが記憶され、予備の車両用キー60が2つ登録される。
【0054】
キー登録モードに切り替わっていることを示すためアンサーバックが起動される。このアンサーバックでは、ハザードランプ(ウィンカ装置)26、27が点滅し、ブザー32が間欠的に吹鳴する。さらに、キーシャッタ照明灯33および荷室照明灯34がタイミングt50からt60までの間連続点灯される。
【0055】
時間T20が経過して登録モードから通常モードに戻ると、登録された予備の車両用キー60とメインの車両用キー60の合わせて3本を使用することができる。したがって、通常モードでIDコードe、fを送出する予備の車両用キー60を使用することができる。
【0056】
次に、登録された車両用キーを使った、アンサーバック態様設定について説明する。ここでは、アンサーバック態様として、ブザー32の音量およびブザー音パターン(吹鳴回数や吹鳴間隔のバリエーション)を取り上げる。図11はブザー音量設定のタイミングチャートであり、図12は、ブザー音量設定のフローチャートである。
【0057】
図11において、イグニッションスイッチ41がタイミングt11、t21、t31でオンになり、オン状態が時間T11の間持続されている。このイグニッションスイッチ41がオンの間に、車両用キー60から送信されたIDコードが無線通信受信器30で2つ受信され、その動作が予定回数(この例では3回)繰り返されると、次にイグニッションスイッチ41がオンになったタイミングt41で音量設定モードへ移行する準備ができる。そして、その後、時間T12が経過するまでにIDコードが1回受信されたタイミングt51で音量設定モードに移行する。なお、イグニッション信号がオンからオフになった後、イグニッション信号がオフのまま所定時間(例えば、5秒以上)維持された場合、このキー登録操作による処理はリセットされる。
【0058】
音量設定モードはイグニッションスイッチ41がオフになるタイミングt61まで持続され、この間に車両用キー60の操作部64を押し下げて、音量設定操作を行う。まず、音量設定モードに移行したときに、ブザー32は、初期設定値に従って「大」の音量で吹鳴し、ユーザは現在の設定値を認識できる。音量設定モードの間、操作部64が操作されてIDコードが受信されると、そのつど、音量設定値は、「大、中、小、音なし」の順で循環的に変化し、音量設定値に応じたブザー音が発生される。音量設定モードは、イグニッションスイッチ41がオンの間継続されるが、時間T13を越えた場合は、イグニッションスイッチ41がオンであるか否かにかかわらず、その時点で音量設定モードは終了し、通常動作モードに移行する。時間T13は、例えば60秒とする。
【0059】
図12において、ステップS1ではイグニッションスイッチ41がオンか否かを判断する。イグニッションスイッチ41がオンならば、ステップS2に進み、IDコードを2回受信したか否か、つまり車両用キー60の押し下げボタンつまり操作部64が2回押されたかか否かを判断する。ステップS2でIDコードを2回受信したならば、ステップS3では、イグニッションスイッチ41がオフになったか否かを判断する。イグニッションスイッチ41がオフになれば、ステップS4に進んで、ステップS1〜S3が3回繰り返し実行されたか否かを判断する。
【0060】
ステップS4が肯定ならば、ステップS5に進んでイグニッションスイッチ41がオンか否かを判断する。イグニッションスイッチ41がオンならば、ステップS6に進んでIDコードを受信したか否かを判断する。ステップS6が肯定ならば、ステップS7に進んで音量設定モードに移行する。このとき、音量設定モードに移行したことを表示するため、キーシャッタ照明灯33および荷室照明灯34の少なくとも一方を点灯することができる。
【0061】
音量設定モードに移行した後、ステップS8では、車両用キー60の操作部64を押し下げてブザー音量を設定する。ブザー音量は操作部64が押し下げられてIDコードがアンサーバック制御装置31で認識される毎に、ブザー音量設定が「大、中、小、音なし、大、…」の順で循環的に切り替わる。例えば、設定値の初期値は「音量大」とする。設定された音量を確認できるように、操作部64が押し下げられる毎にブザー32を吹鳴させる。
【0062】
ステップS9では、イグニッションスイッチ41がオフまたは音量設定モードに移行してからの時間が予定の音量設定時間を経過したか否かを判断する。ステップS9が肯定ならば、ステップS10に進み、音量設定モードから通常の動作モードへ移行する。つまり、車両用キー60の操作に応答してアンサーバックを行うモードに移行する。
【0063】
ステップS9が否定の間は、ブザー32の音量設定は継続することができる。ステップS9が肯定となった時点の音量設定がアンサーバック制御装置31の記憶部に記憶され、次に音量設定モードに入ったときには、記憶部に記憶されている音量から設定が開始される。例えば、前回のブザー音の音量設定値が「中」であれば、「小、音なし、大、中、小、…」の順で設定値が切り換えられる。
【0064】
次に、ブザー音パターンの設定について説明する。図13は、ブザー音パターンの設定動作を示すタイミングチャートであり、図14は、ブザー音パターン設定処理のフローチャートである。
【0065】
図13において、イグニッションスイッチ41がタイミングt12、t22、t32でオンになり、オン状態が時間T14の間持続されている。このイグニッションスイッチ41がオンの間に、車両用キー60から送信されたIDコードが無線通信受信器30でそれぞれ3回受信されると、次にイグニッションスイッチ41がオンになったタイミングt42でブザー音パターン設定モードへ移行する準備ができる。そして、その後、時間T15が経過するまでにIDコードが1回受信されたタイミングt52でブザー音パターン設定モードに移行する。なお、イグニッション信号がオンからオフになった後、イグニッション信号がオフのまま所定時間(例えば、5秒以上)維持された場合、このキー登録操作による処理はリセットされる。
【0066】
ブザー音パターン設定モードはイグニッションスイッチ41がオフになるタイミングt62まで持続され、この間に車両用キー60の操作部64を押し下げて、ブザー音パターンの設定操作を行う。まず、ブザー音パターン設定モードに移行したときに、ブザー32は、初期設定パターンの設定値に従って吹鳴し、ユーザはブザー音の初期設定パターンを認識できる。音量設定モードの間、操作部64が操作されてIDコードが受信されると、そのつど、ブザー音パターンは循環的に変化し、予定のブザー音パターン設定に応じたブザー音が発生される。
【0067】
ブザー音パターンは、図13に示されるように、ブザー32を吹鳴させる時間や回数によって設定されている。例えば、パターンP1は長さが長い音が2回連続するものであり、パターンP2は長さがパターンP1より短い音が2回連続するものである。また、パターンP3はパターンP2と同じ長さの短い音が3回連続するものである。パターンP1、P2、およびP3はIDコードが受信される毎に、例えば、「P1、P2、P3、P1、…」のごとく変化する。
【0068】
ブザー音パターン設定モードは、イグニッションスイッチ41がオフになるタイミング62まで継続されるが、時間T16を越えた場合は、イグニッションスイッチ41がオンであるか否かにかかわらず、その時点でブザー音パターン設定モードは終了し、通常動作モードに移行する。時間T16は、例えば、60秒とする。
【0069】
図14において、ステップS10ではイグニッションスイッチ41がオンか否かを判断する。イグニッションスイッチ41がオンならば、ステップS11に進み、IDコードを3回受信したか否か、つまり車両用キー60の押し下げボタンつまり操作部64が3回押されたかか否かを判断する。ステップS11でIDコードを3回受信したならば、ステップS12では、イグニッションスイッチ41がオフになったか否かを判断する。イグニッションスイッチ41がオフになれば、ステップS13に進んで、ステップS10〜S12が3回繰り返し実行されたか否かを判断する。
【0070】
ステップS13が肯定ならば、ステップS14に進んでイグニッションスイッチ41がオンか否かを判断する。イグニッションスイッチ41がオンならば、ステップS15に進んでIDコードを受信したか否かを判断する。ステップS15が肯定ならば、ステップS16に進んでブザー音パターン設定モードに移行する。このとき、ブザー音パターン設定モードに移行したことを表示するため、キーシャッタ照明灯33および荷室照明灯34の少なくとも一方を点灯することができる。
【0071】
ブザー音パターン設定モードに移行した後、ステップS17では、車両用キー60の操作部64を押し下げてブザー音パターンを設定する。ブザー音パターンは操作部64が押し下げられてIDコードがアンサーバック制御装置31で認識される毎に、ブザー音パターンが「パターンP1、パターンP2、パターンP3、…」の順で循環的に切り替わる。例えば、設定値の初期値は「パターンP1」とする。設定されたパターンを確認できるように、操作部64が押し下げられる毎にブザー32を吹鳴させる。
【0072】
ステップS18では、イグニッションスイッチ41がオフまたはブザー音パターン設定モードに移行してからの時間が予定のパターン設定時間を経過したか否かを判断する。ステップS18が肯定ならば、ステップS19に進み、ブザー音パターン設定モードから通常の動作モードへ移行する。つまり、車両用キー60の操作に応答してアンサーバックを行うモードに移行する。
【0073】
ステップS18が否定の間は、ブザー32の音パターン設定は継続することができる。ステップS19が肯定となった時点のブザー音パターンがアンサーバック制御装置31の記憶部に記憶され、次に音量設定モードに入ったときには、記憶部に記憶されている音量から設定が開始される。例えば、前回のパターンP2であれば、「パターンP3、パターンP1、パターンP2、…」の順で設定が切り換えられる。
【0074】
次に、ブザー32の吹鳴及び吹鳴停止の動作を説明する。図15は、ブザー停止モードへの切り換え制御のタイミングチャートであり、図16はブザー吹鳴モードへの切り換え制御のタイミングチャートである。
【0075】
図15において、車両用キー60の操作部64をタイミングt13から長押しすると、無線通信受信器30は、長押しによる搬送波を検知するとともに、搬送波に含まれるIDコードが、登録されている車両用キー60からのIDコードであるか否かを判断する。そして、IDコードが認識され、長押しが時間T20(例えば、2秒)以上であると判断したときに、タイミングt23でブザー吹鳴モードからブザー停止モードに切り換える。
【0076】
車両用キー60の長押しの間にIDコードが送出されると、現モードはブザー吹鳴モードであるので、LED表示部65は緑色で所定時間T21の間点灯される。これとともに、ウィンカ装置26、27が点滅してハザード表示を行い、ブザー32が吹鳴される。また、時間T20が経過した時点で、LED表示部65はブザー停止モードを表示するため、赤色で所定時間T21の間点灯される。ブザー停止モードでは、車両用キー60の操作部64がオン操作された場合、LED表示部65は所定時間T21の間、赤色で点灯し、IDコードの受信に応答してハザード動作は行われるが、ブザー32は吹鳴されない。
【0077】
ブザー停止モードからブザー吹鳴モードへの切り換え制御は、図16に示すとおりである。図16において、車両用キー60の操作部64をタイミングt14から長押しすると、無線通信受信器30は、長押しによる搬送波を検知するとともに、搬送波に含まれるIDコードが、登録されている車両用キー60からのIDコードであるか否かを判断する。そして、IDコードが認識され、長押しが時間T20(例えば、2秒)以上であると判断したときに、タイミングt24でブザー停止モードからブザー吹鳴モードに切り換える。
【0078】
車両用キー60の長押しの間にIDコードが送出されると、現モードがブザー停止モードであるのでLED表示部65は所定時間T21の間、赤色で点灯される。これとともに、ウィンカ装置26、27が点滅してハザード表示を行う。ここでは、ブザー32は吹鳴されない。時間T20が経過した時点で、LED表示部65はブザー停止モードからブザー吹鳴モードに切り替わったことを表示するため、所定時間T21の間、緑色で点灯される。ブザー吹鳴モードでは、車両用キー60の操作部64がオン操作された場合、LED表示部65は所定時間T21の間、緑で点灯し、IDコードの受信に応答してハザード動作は行われ、ブザー32が吹鳴される。
【0079】
なお、イグニッションスイッチ41がオンになっている間に、IDコードを予定数(2個、又は3個)受信する動作が予定回数(3回)繰り返されたときに、ブザー音量設定モードまたはブザー音パターン設定モードに移行する例を挙げた。この制御の中で、IDコードを規則的に受信できないことが想定される。例えば、ユーザが操作部64を規則的に予定回数操作しなかった場合や、無線通信受信器30で受信エラーを起こした場合などである。
【0080】
このような、ユーザのエラーや無線通信受信器30のエラーなどが生じた場合の動作例を説明する。図17はエラー時のアンサーバック装置の動作例を示すタイミングチャートである。図17において、タイミングt15から開始されるイグニッションスイッチ41のオン時に3つのIDコードを検出し、タイミングt25から開始されるイグニッションスイッチ41のオン時に2つのIDコードを検出した場合を想定する。このように、連続する2回の受信で検出したIDコードの数が異なる場合、それまでのIDコードの検出動作は無効にされる(キャンセルされる)。そして、その後に検出されるIDコードについて検出回数を判断する。この例では、タイミングt35から開始されるイグニッションスイッチ41のオンの間に2つのIDコードが第1回目の検出結果として得られる。そして、タイミングt45から開始されるイグニッションスイッチ41のオンの間に2つのIDコードが第2回目の検出結果として得られる。さらに、タイミングt55から開始されるイグニッションスイッチ41のオンの間に2つのIDコードが第3回目の検出結果として得られる。これによって、タイミングt65からブザー音量設定モードに移行することができる。ブザー音量設定モードの詳細は図11に関して説明した。
【0081】
図18は、ブザー音量およびブザー音パターンを設定する設定モードのいずれかを選択する設定モード選択手段に係るアンサーバック制御装置31の要部機能を示すブロック図である。図18において、設定モード選択手段101のイグニッションスイッチ判別部45は、イグニッションスイッチ41のオン状態とオフ状態とを検出し、検出結果に応じてスイッチオン信号およびスイッチオフ信号を出力する。第1カウンタ46は、車両用キー60の操作部64の操作に応じて送信部74bから送出されるIDコードの受信回数を計数する。受信回数は、イグニッションスイッチ判別部45からオン信号が第1カウンタ46に入力されている間、計数される。第1判別部47は、イグニッションスイッチ判別部45からオフ信号が入力されたときに、第1カウンタ46のカウンタ値C1を読み込んで、カウンタ値C1が、ブザー音量設定に対応する予定値「2」であるか否か判断する。
【0082】
イグニッションスイッチ判別部45からオフ信号は第2判別部48にも入力され、該オフ信号に応答して、第2の判別部48は、カウンタ値C1が、ブザー音パターン設定に対応する予定値「3」であるか否かを判断する。
【0083】
第1判別部47および第2判別部48は、カウンタ値C1がそれぞれの予定値「2」または「3」であると判断したときに、アンサーバックモード設定部49に検出信号d1、d2をそれぞれ入力する。アンサーバックモード設定部49は、ブザー音量設定部50とブザー音パターン設定部51とを有しており、検出信号d1はブザー音量設定部50に入力され、検出信号d2はブザー音パターン設定部51に入力される。
【0084】
第2カウンタ52にも、検出信号d1、d2が入力される。第2カウンタ52は、検出信号d1またはd2が入力される毎にカウントアップ(初期値からのカウントダウンでもよい)されるカウンタからなり、このカウンタのカウンタ値C2(「3」)が計数されたときにアンサーバックモード設定部49のブザー音量設定部50およびブザー音パターン設定部51のうち、検出信号d1またはd2が入力されている方が動作する。
【0085】
ブザー音量設定部50およびブザー音パターン設定部51は、第2カウンタ52からカウントアウト信号が入力された後、イグニッションスイッチ判別部45からオン信号が入力されると、その後に車両用キー60から送信されて無線通信受信器30で受信されるIDコードが、イグニッションスイッチ41がオンの間または所定時間(例えば60秒)の間に受信された回数に応じて音量または音パターンを設定する。
【0086】
なお、上記車両用キー60の操作部64と凹部66は、これら双方をホルダ部61の表面60Aに配置するのに限らず、例えば、操作部64を表面60Aに配置し、凹部66はホルダ部61の裏面60Bに形成してもよい。なお、この場合においても、操作部64と凹部66とはホルダ部61の平面視において重複しないように、つまり、操作部64は角部C3寄りに、凹部66は前記マグネット部63が設けられる角部C1寄りに配置することに変わりはない。また、本発明は、上述のアンサーバックシステムに使用される車両用キーに限らず、無線通信によって車両のロックを解除することができるシステムを搭載した携帯型の電子キーに採用することもできる。
【符号の説明】
【0087】
40…キーシリンダ、 41…イグニッションスイッチ、 42…キーシャッタ、 60…車両用キー、 61…ホルダ部、 63…マグネット部、 64…操作部、 66…凹部、 68…キー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キー部(68)と、車両側に設けられるキーシリンダ(40)のキー孔(41a)を覆うキーシャッタ(42)に連結される回転部材(73)に係合して該回転部材(73)を所定の回転方向に回転させて前記キー孔(41a)を開閉するためのマグネット部(63)と、少なくともアンサーバック機能のためのIDコードを含む信号を送出する操作を行うための操作部(64)とを有するホルダ部(61)を備えた車両用キーにおいて、
前記ホルダ部(61)が、前記マグネット部(63)と前記操作部(64)との間に形成された凹部(66)を有していることを特徴とする車両用キー。
【請求項2】
前記ホルダ部(61)が、表面(60A)および裏面(60B)と、該表面(60A)および裏面(60B)で挟まれた側面(60C)とを有する外部形状をなし、
前記操作部(64)および前記凹部(66)が、前記ホルダ部(61)の前記表面(60A)に配置されていることを特徴とする請求項1記載の車両用キー。
【請求項3】
前記表面(60A)および裏面(60B)が、それぞれ略矩形をなし、
前記マグネット部(63)が、前記略矩形の一つの角部において、前記ホルダ部(61)の前記側面(60C)から突出して設けられ、
前記操作部(64)が、前記マグネット部(63)が突出している一つの角部とは対角位置にある別の角部寄りに偏った位置で前記ホルダ部(61)の前記表面(60A)に配置されていることを特徴とする請求項2記載の車両用キー。
【請求項4】
前記凹部(66)が、前記ホルダ部(61)の表面(60A)のうち、マグネット部(63)が設けられる角部(C1)に隣接する二つの角部(C2、C4)を結ぶ対角線(66a)を境に、前記マグネット部(63)が設けられる角部(C1)側の略三角形の範囲に延在して形成されていることを特徴とする請求項3記載の車両用キー。
【請求項5】
前記凹部(66)には、前記ホルダ部(61)の表裏方向に貫通する貫通孔(62)が形成されていることを特徴とする請求項4記載の車両用キー。
【請求項6】
前記貫通孔(62)が、前記凹部(66)のうち、前記二つの角部の一方側に偏った位置に形成されており、
前記対角線(66a)に対して前記操作部(64)寄りの位置にあって、前記凹部(66)のうち、前記貫通孔(62)が形成されている側とは反対側寄りに隣接して設けられる表示灯(65)を備えていることを特徴とする請求項5記載の車両用キー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−82596(P2012−82596A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228450(P2010−228450)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000155067)株式会社ホンダロック (164)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】