車両用スイッチの誤操作防止装置
【課題】 車両の走行状態での安全性を向上することのできる車両用スイッチの誤操作防止装置を提供する。
【解決手段】 ベース体12にシフトレバー体14が変速操作可能に設けられ、車両に搭載される自動変速機の変速操作を行なうシフトレバー装置10と、シフトレバー体14のパーキング位置を検出するパーキング位置検出手段と、車両に搭載された車載電動装置と、車載電動装置を作動させる車両用スイッチ34,35と、そのスイッチ34,35の操作に基づいて車載電動装置を制御する制御手段とを備える。制御手段は、パーキング位置検出手段の検出信号に基づいて、シフトレバー体14がパーキング位置にあるときにのみ車両用スイッチ34,35の操作に基づいて車載電動装置の制御を有効とする。
【解決手段】 ベース体12にシフトレバー体14が変速操作可能に設けられ、車両に搭載される自動変速機の変速操作を行なうシフトレバー装置10と、シフトレバー体14のパーキング位置を検出するパーキング位置検出手段と、車両に搭載された車載電動装置と、車載電動装置を作動させる車両用スイッチ34,35と、そのスイッチ34,35の操作に基づいて車載電動装置を制御する制御手段とを備える。制御手段は、パーキング位置検出手段の検出信号に基づいて、シフトレバー体14がパーキング位置にあるときにのみ車両用スイッチ34,35の操作に基づいて車載電動装置の制御を有効とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用スイッチの誤操作防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載された車両用電動オープナー装置は、フューエルリッドオープナー装置及びラゲッジドアオープナー装置を、それぞれのオープナースイッチの操作により作動させる構成となっている。また、オープナースイッチは、運転席のドア側に近いフロア上に配設されていることが多い。
【0003】
【特許文献1】実開昭61−129075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載された車両用電動オープナー装置では、車両の走行状態において、オープナースイッチが操作されると、オープナー装置が作動されてフューエルリッドあるいはラゲッジドアが開放される。このように、フューエルリッドあるいはラゲッジドアが開放されたまま、車両を走行することは安全性に問題が残る。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、車両の走行状態での安全性を向上することのできる車両用スイッチの誤操作防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、特許請求の範囲の欄に記載された構成を要旨とする車両用スイッチの誤操作防止装置により解決することができる。
すなわち、特許請求の範囲の請求項1にかかる車両用スイッチの誤操作防止装置によると、制御手段は、シフトレバー装置のシフトレバー体のパーキング位置を検出するパーキング位置検出手段の検出信号に基づいて、車両が駐車状態にあるか否かを判断する。そして、制御手段は、シフトレバー体がパーキング位置にあるときは、車両が駐車状態にあると判断し、車両用スイッチの操作に基づいて車載電動装置の制御を有効とする。また、制御手段は、シフトレバー体がパーキング位置以外にあるときに、車両が走行状態にあるものと判断し、車両用スイッチの操作に基づく車載電動装置の制御を無効とする。したがって、車両の走行状態において、不用意に車両用スイッチが操作されることがあっても、車載電動装置が作動されることを防止し、車両の走行状態での安全性を向上することができる。
【0007】
また、特許請求の範囲の請求項2にかかる車両用スイッチの誤操作防止装置によると、車載電動装置が、車両に開閉可能に設けられる開閉部材の施錠を解除するオープナー装置である。したがって、車両の走行状態において、不用意に車両用スイッチが操作されることがあっても、オープナー装置が作動されることがないため、開閉部材が施錠の解除により開放されることを防止することができる。
【0008】
また、特許請求の範囲の請求項3にかかる車両用スイッチの誤操作防止装置によると、制御手段は、開閉部材の開閉状態を検出する開閉状態検出手段の検出信号に基づいて、開閉部材が閉止状態にあるか否かを判断する。そして、制御手段は、開閉部材が閉止位置にあるときは、車両を走行させてよいと判断し、シフトロック手段をアンロック可能とするとともに、所定の条件を満たしたときにシフトロック手段をアンロックする。これにより、シフトレバー体をパーキング位置から変速操作することができる。また、制御手段は、開閉部材が閉止位置にないとき、すなわち開閉部材が開放状態にあるときは、車両の走行を制限する必要があると判断し、シフトロック手段をロック状態に保持する。これにより、シフトレバー体をパーキング位置から変速操作することができない。したがって、開閉状態検出手段の信号をシフトロック手段の制御信号の1つとして使用することにより、開閉部材が開放状態のまま、車両を走行させることを防止し、車両の走行状態での安全性を向上することができる。
【0009】
また、特許請求の範囲の請求項4にかかる車両用スイッチの誤操作防止装置によると、シフトレバー装置に設けられるシフトロック用、キーロック用等のパーキング位置検出スイッチを、パーキング位置検出手段として兼用することにより、専用のパーキング位置検出手段を設ける必要がなく、部品点数の増加を回避することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車両用スイッチの誤操作防止装置によれば、車両の走行状態での安全性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための最良の形態について実施例を参照して説明する。
【実施例】
【0012】
[実施例1]
本発明の実施例1を説明する。まず、シフトレバー装置から説明する。図1はシフトレバー装置を示す斜視図である。
図1に示すように、シフトレバー装置10は、ベース体12とシフトレバー体14とを備えている。ベース体12は、図示しない車両用自動変速機を備えた車両のフロア上のコンソールボックス、あるいはインストルメントパネル等の内部に配置された固定部材に設置されるものである。また、シフトレバー体14は、ベース体12に変速操作可能(本実施例では、シフト操作可能)に設けられている。シフトレバー体14の変速操作すなわちシフト操作に基づいて、自動変速機のシフト位置(シフトポジション、シフトレンジともいう。)が切り替えられるようになっている。なお、本実施例では、「P(パーキング)」、「R(リバース)」、「N(ニュートラル)」、「D(ドライブ)」、「2(セカンド)」、「L(ロー)」の各位置が列状に設定されている。
【0013】
前記ベース体12上には、前記シフトレバー体14をシフト操作可能に支持する支持機構部(図示しない。)を覆うインジケータ部材16が設けられている。インジケータ部材16には、ストレート状のゲート溝17が形成されている。ゲート溝17には、シフトレバー体14がシフト方向に移動可能に挿通されている。インジケータ部材16には、ゲート溝17に平行をなす表示プレート18が取り付けられている。表示プレート18には、シフトレバー体14のシフト位置に対応するP、R、N、D、2、Lが表記されている。また、インジケータ部材16の裏面側には、ゲート溝17を塞ぐためのスライドカバー20が、シフトレバー体14のシフト操作に連動してスライド可能に設けられている。なお、インジケータ部材16は、本明細書でいう「ベース体の意匠面を構成する意匠部材」に相当するもので、アッパハウジング、インジケータハウジング等とも呼ばれるものである。
【0014】
前記シフトレバー体14は、その主体をなす中空円筒軸状の金属製のレバー本体22と、そのレバー本体22の操作端に設けられた樹脂製のシフトノブ24と、レバー本体22に外嵌されかつそのレバー本体22の外周部を覆うほぼ円筒状のカバー部材26とを備えている。シフトノブ24には、シフトレバー体14の所定のシフト操作を規制するシフト規制手段いわゆるディテント機構(図示しない。)による規制を解除するためのノブボタン28が設けられている。また、カバー部材26は、シフトノブ24と連続状をなしており、シフトレバー体14の外観を向上する意匠部材である。なお、図2はカバー部材を示す側面図、図3は図2のIII−III線矢視断面図、図4は図3のIV−IV線矢視断面図である。
【0015】
図3に示すように、前記カバー部材26の上端部及び下端部の内周面には、長手方向すなわち上下方向に沿って延びる適数本(例えば、4〜6本)のリブ30が突出されている(図4参照。)。各リブ30は、レバー本体22の外周面に当接することによって、レバー本体22に対してカバー部材26を同一軸線上に支持している(図3及び図4参照。)。
また、図2及び図3に示すように、前記カバー部材26の一側部(運転席側)には、スイッチユニット32が組込まれている。スイッチユニット32は、EL(エレクトロルミネッセンス)シートを用いたバックライト付きメンブレンスイッチ(シート状スイッチ)からなる。なお、図5はスイッチユニットの組付構造を示す分解斜視図である。
【0016】
図5に示すように、スイッチユニット32は、上下2つのスイッチキーであるスイッチ34,35を有する本体部33と、その本体部33の一側(図5において左側)に上下平行状に突出するスイッチ信号用リード部36とEL電源用リード部37とを備えている。
また、カバー部材26には、ほぼ四角形状の開口孔39が形成されている。開口孔39の一側(図5において左側)の口縁部の裏側には、前記スイッチユニット32の両リード部36,37を通すための逃げ溝40が形成されている。
また、カバー部材26に対するスイッチユニット32の取付けに際しては、ほぼ四角形状の裏板42が用いられる。裏板42は、例えば樹脂製でカバー部材26の内周面に沿う湾曲状をなしている。裏板42の一側(図5において左側)の外面側には、カバー部材26の逃げ溝40と協働して前記スイッチユニット32の両リード部36,37を通すための逃げ溝43が形成されている。
【0017】
次に、前記カバー部材26に前記スイッチユニット32を組込む手順の一例を説明する。まず、スイッチユニット32の本体部33を裏板42の表面上に接着等により貼着する。このとき、スイッチユニット32の両リード部36,37を裏板42の逃げ溝43内を通じて側方へ引き出しておく。次に、スイッチユニット32を裏板42とともにカバー部材26内に装入する。そして、スイッチユニット32の本体部33をカバー部材26の開口孔39に整合させるととともに、両リード部36,37の基端部をカバー部材26の逃げ溝40内に収容する。この状態で、裏板42の周縁部をカバー部材26の内側面に接着等により接合することにより、カバー部材26に対するスイッチユニット32の組付けが完了する(図3参照。)。
【0018】
前記スイッチユニット32の両リード部36,37には、電気配線45に設けられたコネクタ46が接続される(図3参照。)。これとともに、電気配線45は、レバー本体22とカバー部材26との間の隙間48内に収容される(図4参照。)。また、電気配線45は、前記ベース体12側に配置される電気配線(図示しない。)に接続されるようになっている。なお、電気配線45には、両スイッチ34,35にかかる電気配線が含まれている。
【0019】
また、図8に前記スイッチユニット32の別例を示すように、両リード部36,37を、下方へ延出してその両接続端(図8において下端部)がカバー部材26の下端側開口から引き出し可能に形成する。これにより、両リード部36,37の接続端に対して、前記ベース体12側に配置される電気配線(図示しない。)のコネクタを直接的に接続することができる。なお、この場合、両リード部36,37が、レバー本体22とカバー部材26との間の隙間48内に収容される電気配線を兼用する。
【0020】
しかして、前記スイッチユニット32のEL電源用リード部37(図5参照。)には、前記電気配線45(図3参照。)を介して電源供給がなされることにより、本体部33のバックライトが点灯するようになっている。また、スイッチユニット32のスイッチ信号用リード部36(図5参照。)は、前記電気配線45(図3参照。)を介して所定の電気回路(本実施例では、制御回路(ECU)51を含む制御装置50(図7参照。))に接続されている。なお、図7は制御装置の構成を示す概略図である。
【0021】
図7に示すように、前記スイッチユニット32の両スイッチ34,35のうちの一方(例えば、上側)のスイッチ34は、前記制御装置50に組込まれており、電動式のフューエルリッドオープナー装置52を作動するフューエルリッドオープナースイッチ34となっている。すなわち、フューエルリッドオープナースイッチ34を操作すなわち押すことにより、制御回路51を介して制御されるフューエルリッドオープナー装置52が車両54(図6参照。)のフューエルリッド53を開放するように構成されている。なお、フューエルリッドオープナー装置52は、フューエルリッド53の施錠を解除するオープナー装置である。
【0022】
また、図7に示すように、他方(例えば、下側)のスイッチ35は、前記電気配線45を介して制御装置50に組込まれており、電動式のラゲッジドアオープナー装置55を作動するラゲッジドアオープナースイッチ35となっている。すなわち、ラゲッジドアオープナースイッチ35を操作すなわち押すことにより、制御回路51を介して制御されるラゲッジドアオープナー装置55が車両54(図6参照。)のラゲッジドア56を開放するように構成されている。なお、ラゲッジドアオープナー装置55は、ラゲッジドア56の施錠を解除するオープナー装置である。
なお、フューエルリッドオープナー装置52及びラゲッジドアオープナー装置55は、本明細書でいう「車載電動装置」に相当する。また、フューエルリッドオープナースイッチ34及びラゲッジドアオープナースイッチ35は、本明細書でいう「車両用スイッチ」に相当する。
【0023】
また、前記スイッチユニット32の本体部33の表面側には、フューエルリッドオープナースイッチ34、及び、ラゲッジドアオープナースイッチ35であることを明確にするための表記(例えば、図形の表記)がなされるものとする。なお、表記には、図形の他、記号、文字、数字等を用いることができる。
また、前記ELシートによるバックライトは、スイッチユニット32の本体部33を全体的に照明するものでもよいし、前記表記部分のみを照明するものでもよい。
【0024】
次に、前記シフトレバー装置10が備えるフューエルリッドオープナースイッチ34、及び、ラゲッジドアオープナースイッチ35の誤操作を防止するための車両用スイッチの誤操作防止装置について説明する。
前記フューエルリッドオープナースイッチ34によるフューエルリッドオープナー装置52の作動、及び、ラゲッジドアオープナースイッチ35によるラゲッジドアオープナー装置55の作動は、前記シフトレバー10のシフトレバー体14がパーキング位置にあるときのみ有効とされ、パーキング位置以外で無効とされるものとする。
【0025】
そして、シフトレバー装置10に一般的に具備されているシフトロック用、キーロック用等のパーキング位置検出スイッチ(センサを含む。)を、シフトレバー体14のパーキング位置を検出するパーキング位置検出手段58(図7参照。)として兼用する。なお、前記パーキング位置検出スイッチ(センサを含む。)は、シフトロック手段(例えば、特開平6−185610に記載されたシフトロック装置、特開平9−118144に記載されたシフトロック機構等)に具備されている。また、シフトレバー体14のシフト位置と自動変速機のシフト位置とは同期する関係にあるため、シフトロック用、キーロック用等のパーキング位置検出スイッチに代えて、自動変速機に具備されているニュートラルスタートスイッチ(センサを含む。)を、シフトレバー体14のパーキング位置を検出するパーキング位置検出手段58(図7参照。)として兼用することもできる。
【0026】
前記制御回路51は、パーキング位置検出手段58からの信号に基づいて、シフトレバー体14がパーキング位置にあるときにのみ、前記フューエルリッドオープナースイッチ34の操作に基づいて前記フューエルリッドオープナー装置52の制御を有効とし、また、前記ラゲッジドアオープナースイッチ35の操作に基づいて前記ラゲッジドアオープナー装置55の制御を有効とし、シフトレバー体14がパーキング位置以外にあるときに、フューエルリッドオープナースイッチ34の操作に基づくフューエルリッドオープナー装置52の制御を無効とし、また、ラゲッジドアオープナースイッチ35の操作に基づくラゲッジドアオープナー装置55の制御を無効とするように設定されている。
【0027】
また、本実施例におけるシフトレバー装置10は、周知のように、シフトレバー体14をパーキング位置に保持するシフトロック手段(例えば、シフトロックソレノイド)を備えている。シフトロック手段は、イグニションスイッチの信号と、ブレーキペダルの踏込みを検出する検出手段の信号とパーキング位置検出手段58の検出信号とに基づいて制御手段(前記制御回路(ECU)51が相当する。)によりアンロックされ、少なくとも一方の信号がない場合は制御手段によりロック状態に保持されるようになっている。なお、シフトロック手段としては、例えば、特開平6−185610に記載されたシフトロック装置、特開平9−118144に記載されたシフトロック機構等がある。
また、前記フューエルリッド53及び前記ラゲッジドア56のそれぞれの開閉状態を検出する開閉状態検出手段(図示しない。)を設定する。なお、フューエルリッド53及びラゲッジドア56は、本明細書でいう「開閉部材」に相当する。
【0028】
そして、前記制御手段(制御回路(ECU)51)により、前記開閉状態検出手段の検出信号に基づいて、フューエルリッド53及び/又はラゲッジドア56が閉止位置にあるときにのみシフトロック手段をアンロック可能とし、フューエルリッド53及び/又はラゲッジドア56が閉止位置以外にあるときはシフトロック手段をロック状態に保持する。すなわち、開閉状態検出手段の信号を、シフトロックシステムの制御信号の1つとして使用する。
【0029】
上記した車両用スイッチの誤操作防止装置によれば、制御回路(ECU)51は、シフトレバー装置10のシフトレバー体14のパーキング位置を検出するパーキング位置検出手段58の検出信号に基づいて、車両54が駐車状態にあるか否かを判断する。そして、制御回路(ECU)51は、シフトレバー体14がパーキング位置にあるときは、車両54が駐車状態にあると判断し、フューエルリッドオープナースイッチ34の操作に基づいてフューエルリッドオープナー装置52の制御を有効とし、また、ラゲッジドアオープナースイッチ35の操作に基づいてラゲッジドアオープナー装置55の制御を有効とする。また、制御回路(ECU)51は、シフトレバー体14がパーキング位置以外にあるときに、車両54が走行状態にあるものと判断し、フューエルリッドオープナースイッチ34の操作に基づくフューエルリッドオープナー装置52の制御を無効とし、また、ラゲッジドアオープナースイッチ35の操作に基づくラゲッジドアオープナー装置55の制御を無効とする。したがって、車両54の走行状態において、不用意にフューエルリッドオープナースイッチ34及び/又はラゲッジドアオープナースイッチ35が操作されることがあっても、フューエルリッドオープナー装置52及び/又はラゲッジドアオープナー装置55が作動されることを防止し、車両54の走行状態での安全性を向上することができる。
【0030】
また、車載電動装置が、車両54に開閉可能に設けられるフューエルリッド53の施錠を解除するフューエルリッドオープナー装置52である。したがって、車両54の走行状態において、不用意にフューエルリッドオープナースイッチ34が操作されることがあっても、フューエルリッドオープナー装置52が作動されることがないため、フューエルリッド53が施錠の解除により開放されることを防止することができる。
また、車載電動装置が、車両54に開閉可能に設けられるラゲッジドア56の施錠を解除するラゲッジドアオープナー装置55である。したがって、車両54の走行状態において、不用意にラゲッジドアオープナースイッチ35が操作されることがあっても、ラゲッジドアオープナー装置55が作動されることがないため、ラゲッジドア56が施錠の解除により開放されることを防止することができる。
【0031】
また、制御回路(ECU)51は、フューエルリッド53の開閉状態を検出する開閉状態検出手段の検出信号に基づいて、フューエルリッド53が閉止状態にあるか否かを判断し、また、ラゲッジドア56の開閉状態を検出する開閉状態検出手段の検出信号に基づいて、ラゲッジドア56が閉止状態にあるか否かを判断する。そして、制御回路(ECU)51は、フューエルリッド53及びラゲッジドア56が閉止位置にあるときは、車両54を走行させてよいと判断し、シフトロック手段をアンロック可能とするとともに、所定の条件を満たしたときにシフトロック手段をアンロックする。これにより、シフトレバー体14をパーキング位置から変速操作することができる。また、制御回路(ECU)51は、フューエルリッド53及び/又はラゲッジドア56が閉止位置にないとき、すなわちフューエルリッド53及び/又はラゲッジドア56が開放状態にあるときは、車両54の走行を制限する必要があると判断し、シフトロック手段をロック状態に保持する。これにより、シフトレバー体14をパーキング位置から変速操作することができない。なお、フューエルリッド53及び/又はラゲッジドア56が開放状態にあるときは、制御回路(ECU)51が開閉状態検出手段の検出信号に基づいて運転者等に報知するウォーニングランプを点灯させるように構成するとよい。したがって、開閉状態検出手段の信号をシフトロック手段の制御信号の1つとして使用することにより、フューエルリッド53及び/又はラゲッジドア56が開放状態のまま、車両54を走行させることを防止し、車両54の走行状態での安全性を向上することができる。
【0032】
また、開閉状態検出手段として、前記フューエルリッド53及び前記ラゲッジドア56のそれぞれの開閉状態を検出する開閉状態検出手段の他に、車両のサイドドア、バックドア等の開閉状態を検出するカーテシスイッチ、あるいは、そのカーテシスイッチの検出信号に基づいて運転者等に報知するウォーニングランプを点灯させるための制御回路(ECU)100から出力される出力信号を利用すると、サイドドア、バックドア等が開放状態(半開状態を含む。)のまま、車両を走行させることを防止し、車両の走行状態での安全性を向上することができる。また、サイドドア、バックドア等のドアロック装置の施錠を解除すなわちアンロックする装置を、本明細書でいう「車載電動装置」、「オープナー装置」として適用することも可能である。
【0033】
また、シフトレバー装置10に設けられるシフトロック用、キーロック用等のパーキング位置検出スイッチを、パーキング位置検出手段58として兼用することにより、専用のパーキング位置検出手段を設ける必要がなく、部品点数の増加を回避することができる。
【0034】
また、上記したシフトレバー装置10(図1参照。)によれば、シフトレバー体14のレバー本体22の外周部を覆うカバー部材26に対して、フューエルリッドオープナー装置52(図6参照。)を作動するオープナースイッチ34、及び、ラゲッジドアオープナー装置55(図6参照。)を作動するオープナースイッチ35が設けられている。これにより、運転者の手の届きやすい位置にあるとともに運転者の視認しやすい位置にあるカバー部材26に設けられている両オープナースイッチ34,35は、運転者の運転姿勢を大きく変えることなく操作することができ、また、運転者が容易に視認することができる。したがって、両オープナー装置52,55を作動する両オープナースイッチ34,35の操作性を向上することができる。また、カバー部材26を、両オープナースイッチ34,35のホルダ部材として有効利用することができる。
また、カバー部材26は、運転者によるシフトノブ24の通常操作により手指の触れにくい位置にあるため、シフトノブ24の通常操作時における両オープナースイッチ34,35の誤操作を回避することができる。
【0035】
また、両オープナースイッチ34,35を備えるスイッチユニット32(図5参照。)がメンブレンスイッチ等のシート状スイッチにより構成されていることにより、両オープナースイッチ34,35をシフトレバー体14のカバー部材26にコンパクトに装備することができる。なお、両オープナースイッチ34,35は、メンブレンスイッチに限らず、シート状をなすシート状スイッチにより構成されていればよい。
【0036】
また、両オープナースイッチ34,35を備えるスイッチユニット32(図5参照。)が照明付きスイッチにより構成されていることにより、両オープナースイッチ34,35を夜間等において運転者が容易に認識することができる。
【0037】
また、スイッチユニット32のELシートによる照明を、シフトレバー体14のパーキング位置において点灯させ、その他の位置において消灯させることにより、パーキング位置以外でフューエルリッドオープナー装置52及びラゲッジドアオープナー装置55が作動しないことを運転者に容易に認識させることができる。
【0038】
また、両オープナースイッチ34,35を備えるスイッチユニット32(図5参照。)にかかる電気配線45がレバー本体22とカバー部材26との間の隙間48に収容されている(図3及び図4参照。)。これにより、電気配線45によるカバー部材26の外観の低下を回避することができる。また、電気配線45をレバー本体22内に収容する場合に比べて、その収容構造を簡素化することができる。
【0039】
また、フューエルリッドオープナースイッチ34(図1参照。)によるフューエルリッドオープナー装置52(図6参照。)の作動が、シフトレバー体14がパーキング位置にあるときのみ有効とされる構成としたものである。したがって、シフトレバー体14がパーキング位置にあるときは、運転者等がフューエルリッドオープナースイッチ34を操作することにより、フューエルリッドオープナー装置52を作動することができる。また、シフトレバー体14がパーキング位置以外にあるときに、仮に運転者等が誤ってフューエルリッドオープナースイッチ34を操作することがあっても、フューエルリッドオープナー装置52の作動が無効である。このため、フューエルリッド53(図6参照。)の不要な開放を回避することができる。このことは、シフトレバー体14のパーキング位置において必要でありかつそのパーキング位置以外にあるときにおいて不要であるフューエルリッドオープナー装置52を制御する場合に有効である。
【0040】
また、ラゲッジドアオープナースイッチ35(図1参照。)によるラゲッジドアオープナー装置55(図6参照。)の作動が、シフトレバー体14がパーキング位置にあるときのみ有効とされる構成としたものである。したがって、シフトレバー体14がパーキング位置にあるときは、運転者等がラゲッジドアオープナースイッチ35を操作することによりラゲッジドアオープナー装置55を作動することができる。また、シフトレバー体14がパーキング位置以外にあるときに、仮に運転者等が誤ってラゲッジドアオープナースイッチ35を操作することがあっても、ラゲッジドアオープナー装置55の作動が無効である。このため、ラゲッジドア56(図6参照。)の不要な開放を回避することができる。このことは、シフトレバー体14のパーキング位置において必要でありかつそのパーキング位置以外にあるときにおいて不要であるラゲッジドアオープナー装置55を制御する場合に有効である。
【0041】
[実施例2]
本発明の実施例2について説明する。なお、本実施例は、前記実施例1のシフトレバー装置10に変更を加えたものであるので、変更部分について説明し、重複する説明は省略する。なお、図9はシフトレバー装置のシフトノブを示す斜視図である。
図9に示すように、本実施例は、シフトノブ24に、1つの押しボタン式の車両用スイッチ60が設けられているものである。車両用スイッチ60は、運転者によるシフトノブ24の通常操作により手指の触れにくい位置、例えば、運転者の掌が接触する面と反対側の面に配置されている。このため、シフトノブ24の通常操作時における車両用スイッチ60の誤操作を回避することができる。
【0042】
前記車両用スイッチ60は、前記実施例1と同様にして、電気配線45を介して、ハザードランプ62を含む電気回路に組込まれている。すなわち、車両用スイッチ60を押すことにより、図示しない車載電動装置が作動し、もう一度、車両用スイッチ60を押すことで車載電動装置が停止するように構成されている。あるいは、車両用スイッチ60を押した状態で図示しない車載電動装置が作動し、その車両用スイッチ60を解放することで車載電動装置が停止するように構成されている。
【0043】
本実施例のシフトレバー装置10(図9参照。)によると、シフトレバー体14の操作端に設けられたシフトノブ24に対して、車載電動装置(図示しない。)を作動する車両用スイッチ60が設けられている。これにより、運転者の手の届きやすい位置にあるとともに運転者の視認しやすい位置にあるシフトノブ24に設けられている車両用スイッチ60は、運転者の運転姿勢を大きく変えることなく操作することができ、また、運転者が容易に視認することができる。したがって、車両用スイッチ60の操作性を向上することができる。また、シフトノブ24を、車両用スイッチ60のホルダ部材として有効利用することができる。
【0044】
[実施例3]
本発明の実施例3について説明する。なお、本実施例は、前記実施例1のシフトレバー装置10に変更を加えたものであるので、変更部分について説明し、重複する説明は省略する。なお、図10はシフトレバー装置を示す斜視図である。
図10に示すように、本実施例のシフトレバー装置10は、前記実施例1におけるスイッチユニット32を、カバー部材26に代えて、インジケータ部材16に対して、前記実施例1と同様に配置したものである。なお、インジケータ部材16は、本明細書でいう「意匠部材」に相当する。
【0045】
また、本実施例では、インジケータ部材16においてゲート溝17に平行に配列されかつシフトレバー体14のシフト位置に対応するP、R、N、D、2、Lが個々に表記された表示プレート部材18Aの列の後側、すなわち「L」の表示プレート部材18Aの後側に対して、スイッチユニット32が並ぶようにして配置されている。また、スイッチユニット32の両スイッチ34,35は、左右に並んでおり、例えばフューエルリッドオープナースイッチ34が左側に配置され、ラゲッジドアオープナースイッチ35が右側に配置されている。
【0046】
本実施例のシフトレバー装置10(図10参照。)によっても、前記実施例1と同様の作用・効果を得ることができる。
また、ベース体12の意匠面を構成するインジケータ部材16に対して、フューエルリッドオープナー装置52(図6参照。)を作動するオープナースイッチ34、及び、ラゲッジドアオープナー装置55(図6参照。)を作動するオープナースイッチ35が設けられている。これにより、運転者の手の届きやすい位置にあるとともに運転者の視認しやすい位置にあるインジケータ部材16に設けられている両オープナースイッチ34,35は、運転者の運転姿勢を大きく変えることなく操作することができ、また、運転者が容易に視認することができる。したがって、フューエルリッドオープナースイッチ34、及び、ラゲッジドアオープナースイッチ35の操作性を向上することができる。また、インジケータ部材16を、両オープナースイッチ34,35のホルダ部材として有効利用することができる。また、インジケータ部材16に、その回りを取り囲むような意匠カバーが設けられる場合には、その意匠カバーを「意匠部材」としてスイッチユニット32を組込むことができる。
【0047】
[実施例4]
本発明の実施例4について説明する。なお、本実施例は、前記実施例3のシフトレバー装置10に変更を加えたものであるので、変更部分について説明し、重複する説明は省略する。なお、図11はシフトレバー装置を示す斜視図である。
図11に示すように、本実施例のシフトレバー装置10は、前記実施例3におけるインジケータ部材16のゲート溝17(図10参照。)を、階段状のゲート溝17Aに変更したものである。このシフトレバー装置10では、シフトレバー体14の所定のシフト操作を規制するシフト規制手段いわゆるディテント機構(図示しない。)による規制を解除するためのノブボタン28(図10参照。)が省略されているとともに、カバー部材26(図10参照。)が省略されてレバー本体22が露出されている。
【0048】
本実施例のシフトレバー装置10(図11参照。)によっても、前記実施例3と同様の作用・効果を得ることができる。
【0049】
本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明は、自動変速機のシフトレバー装置に限らず、手動変速モードを備えたシーケンシャル式自動変速機のシフトレバー装置に適用することができる。また、本発明は、フロアシフト式、インパネシフト式、コラムシフト式等のシフトレバー装置に適用することができる。また、車載電動装置としては、前記実施例の他、エンジンスタート装置、ヘッドランプのハイビームとロービームを切替えるビーム切替装置、ヘッドランプをパッシングさせるパッシング装置、ワイパー装置、ホーン装置、デフォッガー装置、ウインドウォッシャ装置、方向指示器(方向指示装置)、ドアロック装置、バックドアオープナー装置、エンジンフードオープナー装置、電動シートの姿勢調整装置(前後方向の位置調整装置、上下方向の位置調整装置、シートバックの角度調整装置等を挙げることができる。また、車両用スイッチは、前記実施例で例示したシフトレバー装置の構成部品に設ける他、インストルメントパネル、フロアコンソール等のように、運転席周りの構成部品に設けることができる。また、車両用スイッチのELシートによる照明は、シフトレバー体14のパーキング位置において点灯させ、その他の位置において消灯させたりする他、ヘッドライトの点灯、消灯に連動して点灯、消灯させたりすることができる。また、車両用スイッチのELシートによる照明は、少なくともスイッチによる車載電動装置の作動が有効であるときにおいて点灯させることができる。また、カバー部材26に組込むスイッチの形式、個数、形状、設置位置等は、適宜変更することができる。また、シフトノブ24に組込むスイッチの形式、個数、形状、設置位置等は、適宜変更することができる。また、車両用スイッチの照明には、ELシートの他、LED、電球等を用いることができる。また、車両用スイッチの照明は、省略することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施例1にかかるシフトレバー装置を示す斜視図である。
【図2】カバー部材を示す側面図である。
【図3】図2のIII−III線矢視断面図である。
【図4】図3のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】スイッチユニットの組付構造を示す分解斜視図である。
【図6】車両を示す斜視図である。
【図7】制御装置の構成を示す概略図である。
【図8】別例のスイッチユニットの組付構造を示す分解斜視図である。
【図9】本発明の実施例2にかかるシフトレバー装置のシフトノブを示す斜視図である。
【図10】本発明の実施例3にかかるシフトレバー装置を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施例4にかかるシフトレバー装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
10 シフトレバー装置
12 ベース体
14 シフトレバー体
22 レバー本体
26 カバー部材
34 フューエルリッドオープナースイッチ(車両用スイッチ)
35 ラゲッジドアオープナースイッチ(車両用スイッチ)
51 制御回路(制御手段)
52 フューエルリッドオープナー装置(車載電動装置)
53 フューエルリッド(開閉部材)
55 ラゲッジドアオープナー装置(車載電動装置)
56 ラゲッジドア(開閉部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用スイッチの誤操作防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載された車両用電動オープナー装置は、フューエルリッドオープナー装置及びラゲッジドアオープナー装置を、それぞれのオープナースイッチの操作により作動させる構成となっている。また、オープナースイッチは、運転席のドア側に近いフロア上に配設されていることが多い。
【0003】
【特許文献1】実開昭61−129075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載された車両用電動オープナー装置では、車両の走行状態において、オープナースイッチが操作されると、オープナー装置が作動されてフューエルリッドあるいはラゲッジドアが開放される。このように、フューエルリッドあるいはラゲッジドアが開放されたまま、車両を走行することは安全性に問題が残る。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、車両の走行状態での安全性を向上することのできる車両用スイッチの誤操作防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、特許請求の範囲の欄に記載された構成を要旨とする車両用スイッチの誤操作防止装置により解決することができる。
すなわち、特許請求の範囲の請求項1にかかる車両用スイッチの誤操作防止装置によると、制御手段は、シフトレバー装置のシフトレバー体のパーキング位置を検出するパーキング位置検出手段の検出信号に基づいて、車両が駐車状態にあるか否かを判断する。そして、制御手段は、シフトレバー体がパーキング位置にあるときは、車両が駐車状態にあると判断し、車両用スイッチの操作に基づいて車載電動装置の制御を有効とする。また、制御手段は、シフトレバー体がパーキング位置以外にあるときに、車両が走行状態にあるものと判断し、車両用スイッチの操作に基づく車載電動装置の制御を無効とする。したがって、車両の走行状態において、不用意に車両用スイッチが操作されることがあっても、車載電動装置が作動されることを防止し、車両の走行状態での安全性を向上することができる。
【0007】
また、特許請求の範囲の請求項2にかかる車両用スイッチの誤操作防止装置によると、車載電動装置が、車両に開閉可能に設けられる開閉部材の施錠を解除するオープナー装置である。したがって、車両の走行状態において、不用意に車両用スイッチが操作されることがあっても、オープナー装置が作動されることがないため、開閉部材が施錠の解除により開放されることを防止することができる。
【0008】
また、特許請求の範囲の請求項3にかかる車両用スイッチの誤操作防止装置によると、制御手段は、開閉部材の開閉状態を検出する開閉状態検出手段の検出信号に基づいて、開閉部材が閉止状態にあるか否かを判断する。そして、制御手段は、開閉部材が閉止位置にあるときは、車両を走行させてよいと判断し、シフトロック手段をアンロック可能とするとともに、所定の条件を満たしたときにシフトロック手段をアンロックする。これにより、シフトレバー体をパーキング位置から変速操作することができる。また、制御手段は、開閉部材が閉止位置にないとき、すなわち開閉部材が開放状態にあるときは、車両の走行を制限する必要があると判断し、シフトロック手段をロック状態に保持する。これにより、シフトレバー体をパーキング位置から変速操作することができない。したがって、開閉状態検出手段の信号をシフトロック手段の制御信号の1つとして使用することにより、開閉部材が開放状態のまま、車両を走行させることを防止し、車両の走行状態での安全性を向上することができる。
【0009】
また、特許請求の範囲の請求項4にかかる車両用スイッチの誤操作防止装置によると、シフトレバー装置に設けられるシフトロック用、キーロック用等のパーキング位置検出スイッチを、パーキング位置検出手段として兼用することにより、専用のパーキング位置検出手段を設ける必要がなく、部品点数の増加を回避することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車両用スイッチの誤操作防止装置によれば、車両の走行状態での安全性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための最良の形態について実施例を参照して説明する。
【実施例】
【0012】
[実施例1]
本発明の実施例1を説明する。まず、シフトレバー装置から説明する。図1はシフトレバー装置を示す斜視図である。
図1に示すように、シフトレバー装置10は、ベース体12とシフトレバー体14とを備えている。ベース体12は、図示しない車両用自動変速機を備えた車両のフロア上のコンソールボックス、あるいはインストルメントパネル等の内部に配置された固定部材に設置されるものである。また、シフトレバー体14は、ベース体12に変速操作可能(本実施例では、シフト操作可能)に設けられている。シフトレバー体14の変速操作すなわちシフト操作に基づいて、自動変速機のシフト位置(シフトポジション、シフトレンジともいう。)が切り替えられるようになっている。なお、本実施例では、「P(パーキング)」、「R(リバース)」、「N(ニュートラル)」、「D(ドライブ)」、「2(セカンド)」、「L(ロー)」の各位置が列状に設定されている。
【0013】
前記ベース体12上には、前記シフトレバー体14をシフト操作可能に支持する支持機構部(図示しない。)を覆うインジケータ部材16が設けられている。インジケータ部材16には、ストレート状のゲート溝17が形成されている。ゲート溝17には、シフトレバー体14がシフト方向に移動可能に挿通されている。インジケータ部材16には、ゲート溝17に平行をなす表示プレート18が取り付けられている。表示プレート18には、シフトレバー体14のシフト位置に対応するP、R、N、D、2、Lが表記されている。また、インジケータ部材16の裏面側には、ゲート溝17を塞ぐためのスライドカバー20が、シフトレバー体14のシフト操作に連動してスライド可能に設けられている。なお、インジケータ部材16は、本明細書でいう「ベース体の意匠面を構成する意匠部材」に相当するもので、アッパハウジング、インジケータハウジング等とも呼ばれるものである。
【0014】
前記シフトレバー体14は、その主体をなす中空円筒軸状の金属製のレバー本体22と、そのレバー本体22の操作端に設けられた樹脂製のシフトノブ24と、レバー本体22に外嵌されかつそのレバー本体22の外周部を覆うほぼ円筒状のカバー部材26とを備えている。シフトノブ24には、シフトレバー体14の所定のシフト操作を規制するシフト規制手段いわゆるディテント機構(図示しない。)による規制を解除するためのノブボタン28が設けられている。また、カバー部材26は、シフトノブ24と連続状をなしており、シフトレバー体14の外観を向上する意匠部材である。なお、図2はカバー部材を示す側面図、図3は図2のIII−III線矢視断面図、図4は図3のIV−IV線矢視断面図である。
【0015】
図3に示すように、前記カバー部材26の上端部及び下端部の内周面には、長手方向すなわち上下方向に沿って延びる適数本(例えば、4〜6本)のリブ30が突出されている(図4参照。)。各リブ30は、レバー本体22の外周面に当接することによって、レバー本体22に対してカバー部材26を同一軸線上に支持している(図3及び図4参照。)。
また、図2及び図3に示すように、前記カバー部材26の一側部(運転席側)には、スイッチユニット32が組込まれている。スイッチユニット32は、EL(エレクトロルミネッセンス)シートを用いたバックライト付きメンブレンスイッチ(シート状スイッチ)からなる。なお、図5はスイッチユニットの組付構造を示す分解斜視図である。
【0016】
図5に示すように、スイッチユニット32は、上下2つのスイッチキーであるスイッチ34,35を有する本体部33と、その本体部33の一側(図5において左側)に上下平行状に突出するスイッチ信号用リード部36とEL電源用リード部37とを備えている。
また、カバー部材26には、ほぼ四角形状の開口孔39が形成されている。開口孔39の一側(図5において左側)の口縁部の裏側には、前記スイッチユニット32の両リード部36,37を通すための逃げ溝40が形成されている。
また、カバー部材26に対するスイッチユニット32の取付けに際しては、ほぼ四角形状の裏板42が用いられる。裏板42は、例えば樹脂製でカバー部材26の内周面に沿う湾曲状をなしている。裏板42の一側(図5において左側)の外面側には、カバー部材26の逃げ溝40と協働して前記スイッチユニット32の両リード部36,37を通すための逃げ溝43が形成されている。
【0017】
次に、前記カバー部材26に前記スイッチユニット32を組込む手順の一例を説明する。まず、スイッチユニット32の本体部33を裏板42の表面上に接着等により貼着する。このとき、スイッチユニット32の両リード部36,37を裏板42の逃げ溝43内を通じて側方へ引き出しておく。次に、スイッチユニット32を裏板42とともにカバー部材26内に装入する。そして、スイッチユニット32の本体部33をカバー部材26の開口孔39に整合させるととともに、両リード部36,37の基端部をカバー部材26の逃げ溝40内に収容する。この状態で、裏板42の周縁部をカバー部材26の内側面に接着等により接合することにより、カバー部材26に対するスイッチユニット32の組付けが完了する(図3参照。)。
【0018】
前記スイッチユニット32の両リード部36,37には、電気配線45に設けられたコネクタ46が接続される(図3参照。)。これとともに、電気配線45は、レバー本体22とカバー部材26との間の隙間48内に収容される(図4参照。)。また、電気配線45は、前記ベース体12側に配置される電気配線(図示しない。)に接続されるようになっている。なお、電気配線45には、両スイッチ34,35にかかる電気配線が含まれている。
【0019】
また、図8に前記スイッチユニット32の別例を示すように、両リード部36,37を、下方へ延出してその両接続端(図8において下端部)がカバー部材26の下端側開口から引き出し可能に形成する。これにより、両リード部36,37の接続端に対して、前記ベース体12側に配置される電気配線(図示しない。)のコネクタを直接的に接続することができる。なお、この場合、両リード部36,37が、レバー本体22とカバー部材26との間の隙間48内に収容される電気配線を兼用する。
【0020】
しかして、前記スイッチユニット32のEL電源用リード部37(図5参照。)には、前記電気配線45(図3参照。)を介して電源供給がなされることにより、本体部33のバックライトが点灯するようになっている。また、スイッチユニット32のスイッチ信号用リード部36(図5参照。)は、前記電気配線45(図3参照。)を介して所定の電気回路(本実施例では、制御回路(ECU)51を含む制御装置50(図7参照。))に接続されている。なお、図7は制御装置の構成を示す概略図である。
【0021】
図7に示すように、前記スイッチユニット32の両スイッチ34,35のうちの一方(例えば、上側)のスイッチ34は、前記制御装置50に組込まれており、電動式のフューエルリッドオープナー装置52を作動するフューエルリッドオープナースイッチ34となっている。すなわち、フューエルリッドオープナースイッチ34を操作すなわち押すことにより、制御回路51を介して制御されるフューエルリッドオープナー装置52が車両54(図6参照。)のフューエルリッド53を開放するように構成されている。なお、フューエルリッドオープナー装置52は、フューエルリッド53の施錠を解除するオープナー装置である。
【0022】
また、図7に示すように、他方(例えば、下側)のスイッチ35は、前記電気配線45を介して制御装置50に組込まれており、電動式のラゲッジドアオープナー装置55を作動するラゲッジドアオープナースイッチ35となっている。すなわち、ラゲッジドアオープナースイッチ35を操作すなわち押すことにより、制御回路51を介して制御されるラゲッジドアオープナー装置55が車両54(図6参照。)のラゲッジドア56を開放するように構成されている。なお、ラゲッジドアオープナー装置55は、ラゲッジドア56の施錠を解除するオープナー装置である。
なお、フューエルリッドオープナー装置52及びラゲッジドアオープナー装置55は、本明細書でいう「車載電動装置」に相当する。また、フューエルリッドオープナースイッチ34及びラゲッジドアオープナースイッチ35は、本明細書でいう「車両用スイッチ」に相当する。
【0023】
また、前記スイッチユニット32の本体部33の表面側には、フューエルリッドオープナースイッチ34、及び、ラゲッジドアオープナースイッチ35であることを明確にするための表記(例えば、図形の表記)がなされるものとする。なお、表記には、図形の他、記号、文字、数字等を用いることができる。
また、前記ELシートによるバックライトは、スイッチユニット32の本体部33を全体的に照明するものでもよいし、前記表記部分のみを照明するものでもよい。
【0024】
次に、前記シフトレバー装置10が備えるフューエルリッドオープナースイッチ34、及び、ラゲッジドアオープナースイッチ35の誤操作を防止するための車両用スイッチの誤操作防止装置について説明する。
前記フューエルリッドオープナースイッチ34によるフューエルリッドオープナー装置52の作動、及び、ラゲッジドアオープナースイッチ35によるラゲッジドアオープナー装置55の作動は、前記シフトレバー10のシフトレバー体14がパーキング位置にあるときのみ有効とされ、パーキング位置以外で無効とされるものとする。
【0025】
そして、シフトレバー装置10に一般的に具備されているシフトロック用、キーロック用等のパーキング位置検出スイッチ(センサを含む。)を、シフトレバー体14のパーキング位置を検出するパーキング位置検出手段58(図7参照。)として兼用する。なお、前記パーキング位置検出スイッチ(センサを含む。)は、シフトロック手段(例えば、特開平6−185610に記載されたシフトロック装置、特開平9−118144に記載されたシフトロック機構等)に具備されている。また、シフトレバー体14のシフト位置と自動変速機のシフト位置とは同期する関係にあるため、シフトロック用、キーロック用等のパーキング位置検出スイッチに代えて、自動変速機に具備されているニュートラルスタートスイッチ(センサを含む。)を、シフトレバー体14のパーキング位置を検出するパーキング位置検出手段58(図7参照。)として兼用することもできる。
【0026】
前記制御回路51は、パーキング位置検出手段58からの信号に基づいて、シフトレバー体14がパーキング位置にあるときにのみ、前記フューエルリッドオープナースイッチ34の操作に基づいて前記フューエルリッドオープナー装置52の制御を有効とし、また、前記ラゲッジドアオープナースイッチ35の操作に基づいて前記ラゲッジドアオープナー装置55の制御を有効とし、シフトレバー体14がパーキング位置以外にあるときに、フューエルリッドオープナースイッチ34の操作に基づくフューエルリッドオープナー装置52の制御を無効とし、また、ラゲッジドアオープナースイッチ35の操作に基づくラゲッジドアオープナー装置55の制御を無効とするように設定されている。
【0027】
また、本実施例におけるシフトレバー装置10は、周知のように、シフトレバー体14をパーキング位置に保持するシフトロック手段(例えば、シフトロックソレノイド)を備えている。シフトロック手段は、イグニションスイッチの信号と、ブレーキペダルの踏込みを検出する検出手段の信号とパーキング位置検出手段58の検出信号とに基づいて制御手段(前記制御回路(ECU)51が相当する。)によりアンロックされ、少なくとも一方の信号がない場合は制御手段によりロック状態に保持されるようになっている。なお、シフトロック手段としては、例えば、特開平6−185610に記載されたシフトロック装置、特開平9−118144に記載されたシフトロック機構等がある。
また、前記フューエルリッド53及び前記ラゲッジドア56のそれぞれの開閉状態を検出する開閉状態検出手段(図示しない。)を設定する。なお、フューエルリッド53及びラゲッジドア56は、本明細書でいう「開閉部材」に相当する。
【0028】
そして、前記制御手段(制御回路(ECU)51)により、前記開閉状態検出手段の検出信号に基づいて、フューエルリッド53及び/又はラゲッジドア56が閉止位置にあるときにのみシフトロック手段をアンロック可能とし、フューエルリッド53及び/又はラゲッジドア56が閉止位置以外にあるときはシフトロック手段をロック状態に保持する。すなわち、開閉状態検出手段の信号を、シフトロックシステムの制御信号の1つとして使用する。
【0029】
上記した車両用スイッチの誤操作防止装置によれば、制御回路(ECU)51は、シフトレバー装置10のシフトレバー体14のパーキング位置を検出するパーキング位置検出手段58の検出信号に基づいて、車両54が駐車状態にあるか否かを判断する。そして、制御回路(ECU)51は、シフトレバー体14がパーキング位置にあるときは、車両54が駐車状態にあると判断し、フューエルリッドオープナースイッチ34の操作に基づいてフューエルリッドオープナー装置52の制御を有効とし、また、ラゲッジドアオープナースイッチ35の操作に基づいてラゲッジドアオープナー装置55の制御を有効とする。また、制御回路(ECU)51は、シフトレバー体14がパーキング位置以外にあるときに、車両54が走行状態にあるものと判断し、フューエルリッドオープナースイッチ34の操作に基づくフューエルリッドオープナー装置52の制御を無効とし、また、ラゲッジドアオープナースイッチ35の操作に基づくラゲッジドアオープナー装置55の制御を無効とする。したがって、車両54の走行状態において、不用意にフューエルリッドオープナースイッチ34及び/又はラゲッジドアオープナースイッチ35が操作されることがあっても、フューエルリッドオープナー装置52及び/又はラゲッジドアオープナー装置55が作動されることを防止し、車両54の走行状態での安全性を向上することができる。
【0030】
また、車載電動装置が、車両54に開閉可能に設けられるフューエルリッド53の施錠を解除するフューエルリッドオープナー装置52である。したがって、車両54の走行状態において、不用意にフューエルリッドオープナースイッチ34が操作されることがあっても、フューエルリッドオープナー装置52が作動されることがないため、フューエルリッド53が施錠の解除により開放されることを防止することができる。
また、車載電動装置が、車両54に開閉可能に設けられるラゲッジドア56の施錠を解除するラゲッジドアオープナー装置55である。したがって、車両54の走行状態において、不用意にラゲッジドアオープナースイッチ35が操作されることがあっても、ラゲッジドアオープナー装置55が作動されることがないため、ラゲッジドア56が施錠の解除により開放されることを防止することができる。
【0031】
また、制御回路(ECU)51は、フューエルリッド53の開閉状態を検出する開閉状態検出手段の検出信号に基づいて、フューエルリッド53が閉止状態にあるか否かを判断し、また、ラゲッジドア56の開閉状態を検出する開閉状態検出手段の検出信号に基づいて、ラゲッジドア56が閉止状態にあるか否かを判断する。そして、制御回路(ECU)51は、フューエルリッド53及びラゲッジドア56が閉止位置にあるときは、車両54を走行させてよいと判断し、シフトロック手段をアンロック可能とするとともに、所定の条件を満たしたときにシフトロック手段をアンロックする。これにより、シフトレバー体14をパーキング位置から変速操作することができる。また、制御回路(ECU)51は、フューエルリッド53及び/又はラゲッジドア56が閉止位置にないとき、すなわちフューエルリッド53及び/又はラゲッジドア56が開放状態にあるときは、車両54の走行を制限する必要があると判断し、シフトロック手段をロック状態に保持する。これにより、シフトレバー体14をパーキング位置から変速操作することができない。なお、フューエルリッド53及び/又はラゲッジドア56が開放状態にあるときは、制御回路(ECU)51が開閉状態検出手段の検出信号に基づいて運転者等に報知するウォーニングランプを点灯させるように構成するとよい。したがって、開閉状態検出手段の信号をシフトロック手段の制御信号の1つとして使用することにより、フューエルリッド53及び/又はラゲッジドア56が開放状態のまま、車両54を走行させることを防止し、車両54の走行状態での安全性を向上することができる。
【0032】
また、開閉状態検出手段として、前記フューエルリッド53及び前記ラゲッジドア56のそれぞれの開閉状態を検出する開閉状態検出手段の他に、車両のサイドドア、バックドア等の開閉状態を検出するカーテシスイッチ、あるいは、そのカーテシスイッチの検出信号に基づいて運転者等に報知するウォーニングランプを点灯させるための制御回路(ECU)100から出力される出力信号を利用すると、サイドドア、バックドア等が開放状態(半開状態を含む。)のまま、車両を走行させることを防止し、車両の走行状態での安全性を向上することができる。また、サイドドア、バックドア等のドアロック装置の施錠を解除すなわちアンロックする装置を、本明細書でいう「車載電動装置」、「オープナー装置」として適用することも可能である。
【0033】
また、シフトレバー装置10に設けられるシフトロック用、キーロック用等のパーキング位置検出スイッチを、パーキング位置検出手段58として兼用することにより、専用のパーキング位置検出手段を設ける必要がなく、部品点数の増加を回避することができる。
【0034】
また、上記したシフトレバー装置10(図1参照。)によれば、シフトレバー体14のレバー本体22の外周部を覆うカバー部材26に対して、フューエルリッドオープナー装置52(図6参照。)を作動するオープナースイッチ34、及び、ラゲッジドアオープナー装置55(図6参照。)を作動するオープナースイッチ35が設けられている。これにより、運転者の手の届きやすい位置にあるとともに運転者の視認しやすい位置にあるカバー部材26に設けられている両オープナースイッチ34,35は、運転者の運転姿勢を大きく変えることなく操作することができ、また、運転者が容易に視認することができる。したがって、両オープナー装置52,55を作動する両オープナースイッチ34,35の操作性を向上することができる。また、カバー部材26を、両オープナースイッチ34,35のホルダ部材として有効利用することができる。
また、カバー部材26は、運転者によるシフトノブ24の通常操作により手指の触れにくい位置にあるため、シフトノブ24の通常操作時における両オープナースイッチ34,35の誤操作を回避することができる。
【0035】
また、両オープナースイッチ34,35を備えるスイッチユニット32(図5参照。)がメンブレンスイッチ等のシート状スイッチにより構成されていることにより、両オープナースイッチ34,35をシフトレバー体14のカバー部材26にコンパクトに装備することができる。なお、両オープナースイッチ34,35は、メンブレンスイッチに限らず、シート状をなすシート状スイッチにより構成されていればよい。
【0036】
また、両オープナースイッチ34,35を備えるスイッチユニット32(図5参照。)が照明付きスイッチにより構成されていることにより、両オープナースイッチ34,35を夜間等において運転者が容易に認識することができる。
【0037】
また、スイッチユニット32のELシートによる照明を、シフトレバー体14のパーキング位置において点灯させ、その他の位置において消灯させることにより、パーキング位置以外でフューエルリッドオープナー装置52及びラゲッジドアオープナー装置55が作動しないことを運転者に容易に認識させることができる。
【0038】
また、両オープナースイッチ34,35を備えるスイッチユニット32(図5参照。)にかかる電気配線45がレバー本体22とカバー部材26との間の隙間48に収容されている(図3及び図4参照。)。これにより、電気配線45によるカバー部材26の外観の低下を回避することができる。また、電気配線45をレバー本体22内に収容する場合に比べて、その収容構造を簡素化することができる。
【0039】
また、フューエルリッドオープナースイッチ34(図1参照。)によるフューエルリッドオープナー装置52(図6参照。)の作動が、シフトレバー体14がパーキング位置にあるときのみ有効とされる構成としたものである。したがって、シフトレバー体14がパーキング位置にあるときは、運転者等がフューエルリッドオープナースイッチ34を操作することにより、フューエルリッドオープナー装置52を作動することができる。また、シフトレバー体14がパーキング位置以外にあるときに、仮に運転者等が誤ってフューエルリッドオープナースイッチ34を操作することがあっても、フューエルリッドオープナー装置52の作動が無効である。このため、フューエルリッド53(図6参照。)の不要な開放を回避することができる。このことは、シフトレバー体14のパーキング位置において必要でありかつそのパーキング位置以外にあるときにおいて不要であるフューエルリッドオープナー装置52を制御する場合に有効である。
【0040】
また、ラゲッジドアオープナースイッチ35(図1参照。)によるラゲッジドアオープナー装置55(図6参照。)の作動が、シフトレバー体14がパーキング位置にあるときのみ有効とされる構成としたものである。したがって、シフトレバー体14がパーキング位置にあるときは、運転者等がラゲッジドアオープナースイッチ35を操作することによりラゲッジドアオープナー装置55を作動することができる。また、シフトレバー体14がパーキング位置以外にあるときに、仮に運転者等が誤ってラゲッジドアオープナースイッチ35を操作することがあっても、ラゲッジドアオープナー装置55の作動が無効である。このため、ラゲッジドア56(図6参照。)の不要な開放を回避することができる。このことは、シフトレバー体14のパーキング位置において必要でありかつそのパーキング位置以外にあるときにおいて不要であるラゲッジドアオープナー装置55を制御する場合に有効である。
【0041】
[実施例2]
本発明の実施例2について説明する。なお、本実施例は、前記実施例1のシフトレバー装置10に変更を加えたものであるので、変更部分について説明し、重複する説明は省略する。なお、図9はシフトレバー装置のシフトノブを示す斜視図である。
図9に示すように、本実施例は、シフトノブ24に、1つの押しボタン式の車両用スイッチ60が設けられているものである。車両用スイッチ60は、運転者によるシフトノブ24の通常操作により手指の触れにくい位置、例えば、運転者の掌が接触する面と反対側の面に配置されている。このため、シフトノブ24の通常操作時における車両用スイッチ60の誤操作を回避することができる。
【0042】
前記車両用スイッチ60は、前記実施例1と同様にして、電気配線45を介して、ハザードランプ62を含む電気回路に組込まれている。すなわち、車両用スイッチ60を押すことにより、図示しない車載電動装置が作動し、もう一度、車両用スイッチ60を押すことで車載電動装置が停止するように構成されている。あるいは、車両用スイッチ60を押した状態で図示しない車載電動装置が作動し、その車両用スイッチ60を解放することで車載電動装置が停止するように構成されている。
【0043】
本実施例のシフトレバー装置10(図9参照。)によると、シフトレバー体14の操作端に設けられたシフトノブ24に対して、車載電動装置(図示しない。)を作動する車両用スイッチ60が設けられている。これにより、運転者の手の届きやすい位置にあるとともに運転者の視認しやすい位置にあるシフトノブ24に設けられている車両用スイッチ60は、運転者の運転姿勢を大きく変えることなく操作することができ、また、運転者が容易に視認することができる。したがって、車両用スイッチ60の操作性を向上することができる。また、シフトノブ24を、車両用スイッチ60のホルダ部材として有効利用することができる。
【0044】
[実施例3]
本発明の実施例3について説明する。なお、本実施例は、前記実施例1のシフトレバー装置10に変更を加えたものであるので、変更部分について説明し、重複する説明は省略する。なお、図10はシフトレバー装置を示す斜視図である。
図10に示すように、本実施例のシフトレバー装置10は、前記実施例1におけるスイッチユニット32を、カバー部材26に代えて、インジケータ部材16に対して、前記実施例1と同様に配置したものである。なお、インジケータ部材16は、本明細書でいう「意匠部材」に相当する。
【0045】
また、本実施例では、インジケータ部材16においてゲート溝17に平行に配列されかつシフトレバー体14のシフト位置に対応するP、R、N、D、2、Lが個々に表記された表示プレート部材18Aの列の後側、すなわち「L」の表示プレート部材18Aの後側に対して、スイッチユニット32が並ぶようにして配置されている。また、スイッチユニット32の両スイッチ34,35は、左右に並んでおり、例えばフューエルリッドオープナースイッチ34が左側に配置され、ラゲッジドアオープナースイッチ35が右側に配置されている。
【0046】
本実施例のシフトレバー装置10(図10参照。)によっても、前記実施例1と同様の作用・効果を得ることができる。
また、ベース体12の意匠面を構成するインジケータ部材16に対して、フューエルリッドオープナー装置52(図6参照。)を作動するオープナースイッチ34、及び、ラゲッジドアオープナー装置55(図6参照。)を作動するオープナースイッチ35が設けられている。これにより、運転者の手の届きやすい位置にあるとともに運転者の視認しやすい位置にあるインジケータ部材16に設けられている両オープナースイッチ34,35は、運転者の運転姿勢を大きく変えることなく操作することができ、また、運転者が容易に視認することができる。したがって、フューエルリッドオープナースイッチ34、及び、ラゲッジドアオープナースイッチ35の操作性を向上することができる。また、インジケータ部材16を、両オープナースイッチ34,35のホルダ部材として有効利用することができる。また、インジケータ部材16に、その回りを取り囲むような意匠カバーが設けられる場合には、その意匠カバーを「意匠部材」としてスイッチユニット32を組込むことができる。
【0047】
[実施例4]
本発明の実施例4について説明する。なお、本実施例は、前記実施例3のシフトレバー装置10に変更を加えたものであるので、変更部分について説明し、重複する説明は省略する。なお、図11はシフトレバー装置を示す斜視図である。
図11に示すように、本実施例のシフトレバー装置10は、前記実施例3におけるインジケータ部材16のゲート溝17(図10参照。)を、階段状のゲート溝17Aに変更したものである。このシフトレバー装置10では、シフトレバー体14の所定のシフト操作を規制するシフト規制手段いわゆるディテント機構(図示しない。)による規制を解除するためのノブボタン28(図10参照。)が省略されているとともに、カバー部材26(図10参照。)が省略されてレバー本体22が露出されている。
【0048】
本実施例のシフトレバー装置10(図11参照。)によっても、前記実施例3と同様の作用・効果を得ることができる。
【0049】
本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明は、自動変速機のシフトレバー装置に限らず、手動変速モードを備えたシーケンシャル式自動変速機のシフトレバー装置に適用することができる。また、本発明は、フロアシフト式、インパネシフト式、コラムシフト式等のシフトレバー装置に適用することができる。また、車載電動装置としては、前記実施例の他、エンジンスタート装置、ヘッドランプのハイビームとロービームを切替えるビーム切替装置、ヘッドランプをパッシングさせるパッシング装置、ワイパー装置、ホーン装置、デフォッガー装置、ウインドウォッシャ装置、方向指示器(方向指示装置)、ドアロック装置、バックドアオープナー装置、エンジンフードオープナー装置、電動シートの姿勢調整装置(前後方向の位置調整装置、上下方向の位置調整装置、シートバックの角度調整装置等を挙げることができる。また、車両用スイッチは、前記実施例で例示したシフトレバー装置の構成部品に設ける他、インストルメントパネル、フロアコンソール等のように、運転席周りの構成部品に設けることができる。また、車両用スイッチのELシートによる照明は、シフトレバー体14のパーキング位置において点灯させ、その他の位置において消灯させたりする他、ヘッドライトの点灯、消灯に連動して点灯、消灯させたりすることができる。また、車両用スイッチのELシートによる照明は、少なくともスイッチによる車載電動装置の作動が有効であるときにおいて点灯させることができる。また、カバー部材26に組込むスイッチの形式、個数、形状、設置位置等は、適宜変更することができる。また、シフトノブ24に組込むスイッチの形式、個数、形状、設置位置等は、適宜変更することができる。また、車両用スイッチの照明には、ELシートの他、LED、電球等を用いることができる。また、車両用スイッチの照明は、省略することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施例1にかかるシフトレバー装置を示す斜視図である。
【図2】カバー部材を示す側面図である。
【図3】図2のIII−III線矢視断面図である。
【図4】図3のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】スイッチユニットの組付構造を示す分解斜視図である。
【図6】車両を示す斜視図である。
【図7】制御装置の構成を示す概略図である。
【図8】別例のスイッチユニットの組付構造を示す分解斜視図である。
【図9】本発明の実施例2にかかるシフトレバー装置のシフトノブを示す斜視図である。
【図10】本発明の実施例3にかかるシフトレバー装置を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施例4にかかるシフトレバー装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
10 シフトレバー装置
12 ベース体
14 シフトレバー体
22 レバー本体
26 カバー部材
34 フューエルリッドオープナースイッチ(車両用スイッチ)
35 ラゲッジドアオープナースイッチ(車両用スイッチ)
51 制御回路(制御手段)
52 フューエルリッドオープナー装置(車載電動装置)
53 フューエルリッド(開閉部材)
55 ラゲッジドアオープナー装置(車載電動装置)
56 ラゲッジドア(開閉部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設置されるベース体にシフトレバー体が変速操作可能に設けられ、かつ前記車両に搭載される自動変速機の変速操作を行なうシフトレバー装置と、
前記シフトレバー体のパーキング位置を検出するパーキング位置検出手段と、
前記車両に搭載された車載電動装置と、
前記車載電動装置を作動させる車両用スイッチと、
前記車両用スイッチの操作に基づいて前記車載電動装置を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、前記パーキング位置検出手段の検出信号に基づいて、前記シフトレバー体がパーキング位置にあるときにのみ前記車両用スイッチの操作に基づいて前記車載電動装置の制御を有効とし、前記シフトレバー体がパーキング位置以外にあるときに前記車両用スイッチの操作に基づく前記車載電動装置の制御を無効とする
ことを特徴とする車両用スイッチの誤操作防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用スイッチの誤操作防止装置であって、
前記車載電動装置が、車両に開閉可能に設けられる開閉部材の施錠を解除するオープナー装置であることを特徴とする車両用スイッチの誤操作防止装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用スイッチの誤操作防止装置であって、
前記シフトレバー装置が、前記シフトレバー体をパーキング位置にロックしかつ所定の条件を満たしたときに前記制御手段によって前記シフトレバー体をアンロックするシフトロック手段を備え、
前記開閉部材の開閉状態を検出する開閉状態検出手段を設け、
前記制御手段は、前記シフトレバー体がパーキング位置にあるときにおいて、前記開閉位置検出手段の検出信号に基づいて、前記開閉部材が閉止位置にあるときにのみ前記シフトロック手段をアンロック可能とし、前記開閉部材が閉止位置以外にあるときは前記シフトロック手段をロック状態に保持する
ことを特徴とする車両用スイッチの誤操作防止装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用スイッチの誤操作防止装置であって、
前記シフトレバー装置に設けられるシフトロック用、キーロック用等のパーキング位置検出スイッチを、前記パーキング位置検出手段として兼用することを特徴とする車両用スイッチの誤操作防止装置。
【請求項1】
車両に設置されるベース体にシフトレバー体が変速操作可能に設けられ、かつ前記車両に搭載される自動変速機の変速操作を行なうシフトレバー装置と、
前記シフトレバー体のパーキング位置を検出するパーキング位置検出手段と、
前記車両に搭載された車載電動装置と、
前記車載電動装置を作動させる車両用スイッチと、
前記車両用スイッチの操作に基づいて前記車載電動装置を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、前記パーキング位置検出手段の検出信号に基づいて、前記シフトレバー体がパーキング位置にあるときにのみ前記車両用スイッチの操作に基づいて前記車載電動装置の制御を有効とし、前記シフトレバー体がパーキング位置以外にあるときに前記車両用スイッチの操作に基づく前記車載電動装置の制御を無効とする
ことを特徴とする車両用スイッチの誤操作防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用スイッチの誤操作防止装置であって、
前記車載電動装置が、車両に開閉可能に設けられる開閉部材の施錠を解除するオープナー装置であることを特徴とする車両用スイッチの誤操作防止装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用スイッチの誤操作防止装置であって、
前記シフトレバー装置が、前記シフトレバー体をパーキング位置にロックしかつ所定の条件を満たしたときに前記制御手段によって前記シフトレバー体をアンロックするシフトロック手段を備え、
前記開閉部材の開閉状態を検出する開閉状態検出手段を設け、
前記制御手段は、前記シフトレバー体がパーキング位置にあるときにおいて、前記開閉位置検出手段の検出信号に基づいて、前記開閉部材が閉止位置にあるときにのみ前記シフトロック手段をアンロック可能とし、前記開閉部材が閉止位置以外にあるときは前記シフトロック手段をロック状態に保持する
ことを特徴とする車両用スイッチの誤操作防止装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用スイッチの誤操作防止装置であって、
前記シフトレバー装置に設けられるシフトロック用、キーロック用等のパーキング位置検出スイッチを、前記パーキング位置検出手段として兼用することを特徴とする車両用スイッチの誤操作防止装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−84032(P2007−84032A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28268(P2006−28268)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(591050970)津田工業株式会社 (61)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(591050970)津田工業株式会社 (61)
【Fターム(参考)】
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