説明

車両用ブレーキロック装置及びそれを備えた鞍乗型車両

【課題】ブレーキロック時に機械式ブレーキを制動状態に維持させ、液圧式ブレーキに液圧を発生させない車両用ブレーキロック装置を提供する。
【解決手段】連動操作子62の操作に応じて両ブレーキ51、61に制動力を与える連動装置70と、連動操作子を操作状態に保持できるブレーキロック操作子67とを備える。連動装置は、液圧を発生するマスターシリンダ73を有するシリンダブロック71と、シリンダブロックに、中間部が回動可能に、当接部83がシリンダブロックに当接するように付勢して取り付けられ、付勢力に抗して回動されるとき押圧部95がマスターシリンダを押圧する押圧アーム80と、押圧アームに回動可能に取り付けられ、両端間の中間部に連動操作子からの伝達部材65が接続され、他端側に機械式ブレーキからの伝達部材66が接続されるイコライザ100とを備え、ブレーキロック操作子には押圧アームからの伝達部材68が接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ブレーキロック装置及びそれを備えた鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、後輪ブレーキを操作すると、後輪ブレーキに制動力を与えるとともに、前輪ブレーキにも制動力を与えることができる、ブレーキの連動装置を備えた自動二輪車が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、後輪ブレーキを操作する連動操作子の操作により、比較的廉価な機械式ドラムブレーキを採用したリア機械式ブレーキに制動力を与えるとともに、高い制動力を得やすいディスクブレーキを採用したフロント液圧式ブレーキにも制動力を与えるブレーキの連動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−202650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような自動二輪車において、車両を停止状態に維持させるブレーキロック機構を採用する場合には、後輪ブレーキのみに制動力を与えた状態でブレーキロック機構を作動させることが望ましい。
【0006】
ところが、ブレーキロック機構は、ブレーキの連動装置を介在させているため、後輪ブレーキに制動力を与えると前輪ブレーキも制動状態になる。そして、この状態でブレーキロック機構を作動させると、リア機械式ブレーキは制動状態に維持できるものの、フロント液圧式ブレーキも制動状態に維持されることとなり、液圧が高い状態で保持されることになる。
【0007】
そのため、高負荷対応の配管や継手等を用いることが必要になり、ブレーキシステム全体が大型化するとともに、コストが上昇する傾向にある。
【0008】
一方、後輪ブレーキを制動操作する連動操作子とは別に、ブレーキロック操作子を設けて、このブレーキロック操作子からリア機械式ブレーキまで、ブレーキロック操作を伝達するワイヤ等の伝達部材を用いることも考えられる。
【0009】
しかし、この場合には、伝達部材の全長が長くなるとともに、配索長が増えて作業工数が増加する。また、リア機械式ブレーキのブレーキアームに2系統の伝達部材が作用するため、ブレーキアームが大型化することになる。
【0010】
本発明は、液圧式ブレーキと機械式ブレーキとを連動させることができる連動装置を備えても、伝達部材の増加を極力抑えつつ、ブレーキロック時にリア機械式ブレーキを制動状態に維持させる一方、フロント液圧式ブレーキに液圧を発生させないようにすることができる車両用ブレーキロック装置及びそれを備えた鞍乗型車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、連動操作子の操作に応じて、リア機械式ブレーキ及びフロント液圧式ブレーキに制動力を与える連動装置と、前記連動操作子を所定の操作状態に保持できるブレーキロック操作子と、を備える車両用ブレーキロック装置において、前記連動装置は、押圧されるのに応じて前記フロント液圧式ブレーキに制動力を与えるための液圧を発生するマスターシリンダを有するシリンダブロックと、一端側に当接部を有し、他端側に押圧部を有し、両端間の中間部に第1の軸を有する押圧アームであって、前記シリンダブロックに、前記第1の軸を介して回動可能に、かつ、付勢部材の付勢力により前記当接部が当該シリンダブロックに当接するように付勢して取り付けられ、当該付勢力に抗して回動されるときに前記押圧部が前記マスターシリンダを押圧する押圧アームと、前記押圧アームの前記他端側に、第2の軸を介して回動可能に取り付けられ、当該第2の軸を一端側とする両端間の中間部に、前記連動操作子から延びる第1の伝達部材が接続され、他端側に、前記リア機械式ブレーキから延びる第2の伝達部材が接続されるイコライザと、を備え、前記ブレーキロック操作子には、一端部が前記押圧アームの前記一端側に接続された第3の伝達部材の他端部が接続され、前記連動操作子の操作により前記第1の伝達部材を介して前記イコライザが引っ張られることにより、前記イコライザが前記第2の軸まわりに回動して前記第2の伝達部材を介して前記リア機械式ブレーキに制動力を与え、さらに前記付勢部材の付勢力に抗して前記押圧アームが前記第1の軸まわりに回動して前記フロント液圧式ブレーキに制動力を与えた後、前記ブレーキロック操作子が操作されると、前記第3の伝達部材を介して前記押圧アームが初期位置に向けて引っ張られることにより、前記マスターシリンダの押圧が解除され、かつ、前記連動操作子がロック状態に保持されることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の構成に加えて、前記押圧アームは前記一端側に第1の長孔を有し、前記第3の伝達部材の前記一端部は前記第1の長孔に沿って移動自在に接続されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明においては、請求項1に記載の構成に加えて、前記ブレーキロック操作子は第2の長孔を有し、前記第3の伝達部材の前記他端部は前記第2の長孔に沿って移動自在に接続されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明においては、請求項3に記載の構成に加えて、前記付勢部材は、前記ブレーキロック操作子に設けられ、前記第3の伝達部材の前記他端部を前記第2の長孔に沿って前記押圧アームから離れる方向に付勢することを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明においては、請求項1〜4のいずれか1項に記載の構成に加えて、前記連動操作子及び前記ブレーキロック操作子は、ハンドルにそれぞれ回動中心を異ならせて支持され、前記連動操作子は係合部を有し、前記ブレーキロック操作子は係止部を有し、前記係合部が前記係止部に係止されることで、前記連動操作子が前記ロック状態に保持されることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明においては、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ブレーキロック装置を備えた鞍乗型車両において、ヘッドパイプと、前記ヘッドパイプから下後方に延び、下端部から後方に延びるメインフレームと、を備え、前記連動装置は、前記ヘッドパイプの近傍に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、連動操作子の操作状態で、ブレーキロック操作子を操作すると、押圧アームが初期位置に戻される。このため、マスターシリンダは押圧されず、フロント液圧式ブレーキに制動力は発生しない。一方で、連動操作子の操作状態はブレーキロック操作子により保持されるため、イコライザ及び第2の伝達部材を介してリア機械式ブレーキに制動力が発生し、ブレーキロック状態になる。
【0018】
そして、リア機械式ブレーキ及びフロント液圧式ブレーキに制動力を与える連動装置を備えていても、ブレーキロック時には液圧が発生していないため、高負荷対応の配管や継ぎ手等を用いることが不要になり、ブレーキシステムの小型化とコストを抑えることが可能になる。
【0019】
また、ブレーキロックのための伝達部材は、ブレーキロック操作子から連動装置まで延びていれば足りるため、伝達部材を短くできるとともに、配索長を短くできて作業工数の増加を抑えることができる。また、後輪ブレーキアームには、1系統の第2の伝達部材が接続されるだけなので、後輪ブレーキアームの大型化を抑えることが可能になる。
【0020】
請求項2に係る発明によれば、押圧アームに第1の長孔が形成されていることにより、押圧アームが回動しても、第3の伝達部材の一端部が第1の長孔に沿って動くだけで、第3の伝達部材及びブレーキロック操作子は作動しない。そのため、操作フィーリングを向上させることが可能になる。
【0021】
請求項3に係る発明によれば、ブレーキロック操作子に第2の長孔が形成されることにより、押圧アームの回動によって第3の伝達部材が引っ張られても、その他端部が第2の長孔に沿って動くだけで、ブレーキロック操作子は作動しない。そのため、乗員に違和感を与えないようにすることができる。
【0022】
請求項4に係る発明によれば、付勢部材が、連動装置ではなくブレーキロック操作子側に設けられているため、連動装置をコンパクトにすることが可能になる。
【0023】
請求項5に係る発明によれば、簡単な構成でブレーキロック機構が構成されるため、コストを削減することができる。
【0024】
請求項6に係る発明によれば、伝達部材の増加を極力抑えつつ、ブレーキロック時に機械式ブレーキを制動状態に維持させ、液圧式ブレーキに液圧を発生させない車両用ブレーキロック装置を備えた鞍乗型車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両用ブレーキロック装置を備えた鞍乗型車両としてのスクータ型の自動二輪車を示す左側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るブレーキロック装置の系統図である。
【図3】図2に示すブレーキロック装置に含まれる連動装置の平面図である。
【図4】図2に示すブレーキロック装置に含まれる連動装置の正面図である。
【図5】図2に示すブレーキロック装置に含まれる連動装置の側面図である。
【図6】連動装置のイコライザ、連動回動レバー及びノッカの組み合わせ状態を示す正面図である。
【図7】(a)〜(c)は、連動装置のイコライザ、連動回動レバー及びノッカそれぞれの正面図である。
【図8】(a)は、図2に示すブレーキロック装置に含まれる連動操作子及びブレーキロック操作子の非作動状態を示す平面図である。(b)は、連動操作子及びブレーキロック操作子が(a)に示す状態にあるときの連動装置の正面図である。
【図9】(a)は、連動操作子の作動状態を示す平面図である。(b)は、連動操作子が(a)に実線で示す状態まで引かれたときの連動装置の正面図である。
【図10】(a)は、連動操作子が図9に示す状態からさらに作動した状態を示す平面図である。(b)は、連動操作子が(a)に実線で示す状態まで引かれたときの連動装置の正面図である。
【図11】(a)は、ブレーキロック操作子の作動状態を示す平面図である。(b)は、連動操作子が(a)に実線で示す状態まで戻されてブレーキロック操作子に係止されたときの連動装置の正面図である。
【図12】(a)は、本発明の第2実施形態に係るブレーキロック装置に含まれる連動操作子及びブレーキロック操作子の非作動状態を示す平面図である。(b)は、連動操作子及びブレーキロック操作子が(a)に示す状態にあるときの第2実施形態に係るブレーキロック装置に含まれる連動装置の正面図である。
【図13】(a)は、連動操作子の作動状態を示す平面図である。(b)は、連動操作子が(a)に実線で示す状態まで引かれたときの連動装置の正面図である。
【図14】(a)は、連動操作子が図13に示す状態からさらに作動した状態を示す平面図である。(b)は、連動操作子が(a)に実線で示す状態まで引かれたときの連動装置の正面図である。
【図15】(a)は、ブレーキロック操作子の作動状態を示す平面図である。(b)は、連動操作子が(a)に実線で示す状態まで戻されてブレーキロック操作子に係止されたときの連動装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
先ず、図1を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る車両用ブレーキロック装置を備えた鞍乗型車両としてのスクータ型の自動二輪車1の全体構成について説明する。
【0027】
図1に示すように、本実施形態の自動二輪車1は、車体フレーム10と、車体フレーム10に操舵可能に支持され、前輪21を含んで構成される操舵ユニット20と、車体フレーム10にスイング可能に支持され、後輪31を含んで構成される駆動ユニット30と、車体フレーム10を覆う車体カバー40と、ブレーキ装置50(図2参照)と、連動装置70を含んで構成される車両用ブレーキロック装置としてのブレーキロック装置60(図2参照)と、乗員シート111と、収納ボックス112と、燃料タンク113と、を主体として構成される。
【0028】
車体フレーム10は、ヘッドパイプ11と、メインフレーム12と、第1クロスフレーム13と、左右一対のロアフレーム14と、第2クロスフレーム15と、左右一対のリアフレーム16と、第3クロスフレーム17と、センタパイプ18と、左右一対のピボットブラケット19と、を備える。
【0029】
ヘッドパイプ11は、車両の前端部に配置される。メインフレーム12は、側面視で、ヘッドパイプ11から斜め後下方に延びて設けられる。第1クロスフレーム13は、メインフレーム12の下端部において左右に水平に延びて設けられる。左右一対のロアフレーム14は、メインフレーム12の下部から左右外方に延びて設けられ、さらに各々後方に延びて設けられて、第1クロスフレーム13に支持される。第2クロスフレーム15は、左右一対のロアフレーム14の後端部に掛け渡されている。
【0030】
左右一対のリアフレーム16は、ロアフレーム14から斜め後ろ上方に立ち上がって車両の後部まで延びて設けられ、シートレールを兼ねる。第3クロスフレーム17は、リアフレーム16の中間部から前方に向けて平面視で略U字形状に配置され、リアフレーム16間に掛け渡される。センタパイプ18は、メインフレーム12と第3クロスフレーム17間を連結する。ピボットブラケット19は、左右一対のリアフレーム16に固着され、駆動ユニット30のピボット軸32(後述)を支点として駆動ユニット30をスイング可能に支持する。
【0031】
操舵ユニット20は、ステアリングステム22と、フロントフォーク23と、ハンドル24と、左グリップ25Lと、右グリップ25Rと、支持部としての左ハンドルホルダ26Lと、右ハンドルホルダ26Rと、を備える。
【0032】
ステアリングステム22は、ヘッドパイプ11に対して左右に回動可能に支持される。フロントフォーク23は、ステアリングステム22の下端に連結されて前輪21を軸支する。ハンドル24は、ステアリングステム22の上端に連結され、左右に延びて設けられる。左グリップ25Lは、ハンドル24の左端に固定される。右グリップ25Rは、ハンドル24の右端に固定される。左ハンドルホルダ26Lは、ハンドル24の左グリップ25Lの内側に固定される。右ハンドルホルダ26Rは、ハンドル24の右グリップ25Rの内側に固定される。
【0033】
駆動ユニット30は、ピボット軸32と、エンジン33と、変速機構34と、リアクッション35と、排気管36と、消音器37と、を備える。
【0034】
ピボット軸32は、左右一対のピボットブラケット19にそれぞれ軸支される。駆動ユニット30は、ピボット軸32を支点として左右一対のピボットブラケット19にスイング可能に支持される。エンジン33は、駆動ユニット30に、前方に向けて略水平付近まで傾斜して配置される。変速機構34は、エンジン33の後部に取付けられ、変速機構34の後端部には、駆動輪としての後輪31が取付けられる。リアクッション35は、変速機構34の後端部とリアフレーム16の中間部との間に配置される。排気管36は、エンジン33の下部に接続されており、この排気管36は、後方に延出されて、消音器37に接続されている。
【0035】
車体カバー40は、フロントカバー41と、フロントメータパネル42と、レッグシールド43と、トンネル部材44と、左右一対のステップフロア部45と、ハンドルカバー46と、フロントフェンダ47と、リアフェンダ48と、を備える。
【0036】
フロントカバー41は、車両の前面を構成する。フロントメータパネル42は、乗員シート111の前方に配置され、運転席を構成するカバー部材として設けられる。レッグシールド43は、フロントメータパネル42の下端部に連続して配置され、乗員の足を覆う外装カバーとして設けられる。トンネル部材44は、レッグシールド43の後方に配置され、運転者の股の間に配置される。左右一対のステップフロア部45は、トンネル部材44の左右に配置され、運転者の足置きとして設けられる。
【0037】
収納ボックス112は、リアフレーム16の後部に配置されている。収納ボックス112の上方開口を開閉可能に覆うようにして乗員シート111が取付けられている。燃料タンク113は、エンジン33の前方で、メインフレーム12とセンタパイプ18とロアフレーム14とで囲まれる領域に配置されている。
【0038】
次に、図2を参照して、ブレーキロック装置及びブレーキ装置について説明する。
図2は、本発明の第1実施形態に係るブレーキロック装置の系統図である。図2には、ブレーキ装置も併せて図示される。
図2に示すように、ブレーキ装置50は、フロント液圧式ブレーキ51と、単独操作子(右のブレーキレバー)52と、ハンドル側マスターシリンダ53と、ハンドル側油圧配管54と、を備える。
【0039】
フロント液圧式ブレーキ51は、前輪21に設けられる。単独操作子52は、ハンドル24の右グリップ25Rに隣接して設けられ、フロント液圧式ブレーキ51を操作する。具体的には、単独操作子52は、ハンドル24の右ハンドルホルダ26Rに、支持軸52aによって回動可能に取付けられる。ハンドル側マスターシリンダ53は、ハンドル24の右グリップ25R側に設けられ、単独操作子52により操作されて、フロント液圧式ブレーキ51のみを作動させる。ハンドル側油圧配管54は、ハンドル側マスターシリンダ53とフロント液圧式ブレーキ51とを連結する。
【0040】
ブレーキロック装置60は、リア機械式ブレーキ61と、連動操作子(左のブレーキレバー)62と、ユニット側油圧配管64と、連動操作子62と連動装置70とを繋ぐ第1の伝達部材としての操作子側伝達部材(操作子側ワイヤ)65と、リア機械式ブレーキ61と連動装置70とを繋ぐ第2の伝達部材としてのブレーキ側伝達部材(ブレーキ側ワイヤ)66と、ブレーキロック操作子(ブレーキロックレバー)67と、ブレーキロック操作子67と連動装置70とを繋ぐ第3の伝達部材としてのブレーキロック伝達部材(ブレーキロックワイヤ)68と、連動装置70と、を備える。
【0041】
リア機械式ブレーキ61は、後輪31に設けられる。
連動操作子62は、ハンドル24の左グリップ25Lに隣接して設けられ、フロント液圧式ブレーキ51及びリア機械式ブレーキ61を操作する。具体的には、連動操作子62は、ハンドル24の左ハンドルホルダ26Lに、支持軸62aによって回動可能に取付けられる。連動操作子62は、後述するブレーキロック操作子67の係止部(突起)67bと係合する係合部(凹部)62bを有する。ユニット側油圧配管64は、ユニット側マスターシリンダ73とフロント液圧式ブレーキ51とを連結する。
【0042】
操作子側伝達部材65は、一端65aが連動操作子62に接続され、他端65bが連動装置70に接続される。ブレーキ側伝達部材66は、一端66aがリア機械式ブレーキ61に接続され、他端66bが連動装置70に接続される。
【0043】
ブレーキロック操作子67は、ハンドル24に連動操作子62に隣接して設けられ、リア機械式ブレーキ61を作動状態に保持する。具体的には、ブレーキロック操作子67は、ハンドル24の左ハンドルホルダ26Lに、支持軸67aによって回動可能に取付けられる。ブレーキロック操作子67は、連動操作子62の係合部(凹部)62bと係合する係止部(突起)67bを有する。
ブレーキロック伝達部材68は、一端部68bが連動装置70に接続され、他端部68aがブレーキロック操作子67に接続される。
【0044】
連動装置70は、連動操作子62と、フロント液圧式ブレーキ51及びリア機械式ブレーキ61との間に配置され、フロント液圧式ブレーキ51及びリア機械式ブレーキ61を作動させる。
【0045】
図3は、図2に示すブレーキロック装置に含まれる連動装置の平面図である。図4は、連動装置の正面図である。図5は、連動装置の側面図である。図6は、連動装置のイコライザ、連動回動レバー及びノッカの組み合わせ状態を示す正面図である。図7(a)〜(c)は、イコライザ、連動回動レバー及びノッカそれぞれの正面図である。
【0046】
図3〜図7に示すように、連動装置70は、マスターシリンダとしてのユニット側マスターシリンダ73を有するシリンダブロック71と、押圧アーム80と、イコライザ100と、を備える。
【0047】
シリンダブロック71は、ばね受け部72及びストッパ部76を備える。シリンダブロック71には、上下方向に向いたユニット側マスターシリンダ73が設けられる。ユニット側マスターシリンダ73の内部には、ピストン74が上下方向にスライド可能に収容されている。また、ユニット側マスターシリンダ73の内部には、ピストン74を下向きに付勢するリターンスプリング75が設けられている。
【0048】
押圧アーム80は、連動回動レバー(第1の押圧アーム)81と、ノッカ(第2の押圧アーム)91とで構成される。
連動回動レバー81は、両端間の中間部が第1の軸としての第1回動軸82を介して、シリンダブロック71に回動可能に取り付けられる。連動回動レバー81は、第1回動軸82を挟んで一端側に当接部83を備え、他端側にばね受け部84を備える。連動回動レバー81のばね受け部84と、シリンダブロック71のばね受け部72との間には、ディレイスプリング85が設けられる。連動回動レバー81は、第1回動軸82とばね受け部84との間に、後述するイコライザ100を取り付けるための第2の軸としての第2回動軸86を備える。
【0049】
ノッカ91は、両端間の中間部が第1回動軸82を介して、シリンダブロック71に回動可能に取り付けられる。つまり、連動回動レバー81及びノッカ91は、共通の第1回動軸82を介して、シリンダブロック71に回動可能に取り付けられる。ノッカ91は、第1回動軸82を挟んで一端側に、ストッパ部92、当接部93及び第1の長孔としての長孔94を備え、他端側に押圧部95を備え、押圧部95からさらに外側に延びる延出部96を備える。
【0050】
連動回動レバー81は、ディレイスプリング85の付勢力により、当接部83がシリンダブロック71の当接面71aに当接するように付勢されて、シリンダブロック71に第1回動軸82を介して取り付けられている。
ノッカ91は、ユニット側マスターシリンダ73のリターンスプリング75の付勢力により、ストッパ部92がシリンダブロック71の当接面71aに当接するように付勢されて、シリンダブロック71に第1回動軸82を介して取り付けられている。
すなわち、連動回動レバー81の当接部83がシリンダブロック71の当接面71aに当接し、かつ、ノッカ91のストッパ部92がシリンダブロック71の当接面71aに当接している位置が、押圧アーム80の初期位置である。
【0051】
連動回動レバー81がディレイスプリング85の付勢力に抗して回動されるとき、連動回動レバー81の当接部83は、ノッカ91の当接部93を押してノッカ91とともに回動される。このとき、ノッカ91の押圧部95は、リターンスプリング75の付勢力に抗してユニット側マスターシリンダ73を押圧する。
延出部96は、ユニット側マスターシリンダ73に接続される液圧系(ユニット側油圧配管64とフロント液圧式ブレーキ51)のエア抜き作業のために用いるものであり、連動回動レバー81とは独立して第1回動軸82を中心にノッカ91を回動させてユニット側マスターシリンダ73を押圧できる。独立してノッカ91を動かすことができるので、作業負担を小さくできる。
【0052】
イコライザ100は、その一端部において、第2回動軸86を介して、連動回動レバー81に回動可能に取り付けられる。イコライザ100は、両端間の中間部に、操作子側連結部101を有し、他端側に、ブレーキ側連結部102を有する。操作子側連結部101には、連動操作子62から延びる操作子側伝達部材65が接続される。ブレーキ側連結部102には、リア機械式ブレーキ61から延びるブレーキ側伝達部材66が接続される。
【0053】
次に、図8〜図11を参照して、ブレーキロック装置60の作動について説明する。
図8(a)は、連動操作子及びブレーキロック操作子の非作動状態を示す平面図である。図8(b)は、その状態における連動装置の正面図である。図9(a)は、連動操作子の作動状態を示す平面図である。図9(b)は、その状態における連動装置の正面図である。図10(a)は、連動操作子が図9(a)に示す状態からさらに作動した状態を示す平面図である。図10(b)は、その状態における連動装置の正面図である。図11(a)は、ブレーキロック操作子の作動状態を示す平面図である。図11(b)は、その状態における連動装置の正面図である。
【0054】
図8(a)に示すように、連動操作子62及びブレーキロック操作子67がいずれも非作動状態にあるときには、連動装置70は、図8(b)に示すように初期状態にある。
すなわち、連動回動レバー81は、ディレイスプリング85の付勢力により、当接部83がシリンダブロック71の当接面71aに当接している。ノッカ91は、ユニット側マスターシリンダ73のリターンスプリング75の付勢力により、ストッパ部92においてシリンダブロック71の当接面71aに当接している。イコライザ100は、シリンダブロック71のストッパ部76に当接している。
【0055】
連動操作子62が、操作されることで図9(a)に実線で示すように引かれると、連動装置70は、図9(b)に示すように作動される。
すなわち、操作子側伝達部材65が矢印M1のように引かれることで、イコライザ100は、第2回動軸86を中心としてそのまわりに矢印E1のように回動する。このイコライザ100の回動により、ブレーキ側伝達部材66が矢印B1のように引かれることで、リア機械式ブレーキ61(図2参照)に制動力が与えられる。
【0056】
このようなリア機械式ブレーキ61のブレーキ作動は、イコライザ100を引っ張り上げようとする力M1がディレイスプリング85の付勢力Dを上回るまで、徐々に強く作用していく。
すなわち、イコライザ100を引っ張り上げようとする力M1がディレイスプリング85の付勢力Dを下回っている間は、連動回動レバー81及びノッカ91は初期状態に維持される。そのため、フロント液圧式ブレーキ51(図2参照)は非作動状態に保持される。
【0057】
連動操作子62が、さらに操作されることで図10(a)に鎖線で示す位置から実線で示すようにさらに引かれると、連動装置70は、図10(b)に示すように作動される。
すなわち、操作子側伝達部材65は、矢印M2のように引かれる。この引っ張り力は、ディレイスプリング85の付勢力Dを上回る大きさになる。そのため、連動回動レバー81は、ディレイスプリング85の付勢力に抗して第1回動軸82のまわりに矢印C1のように回動する。この連動回動レバー81の当接部83によりノッカ91の当接部93が押されることで、ノッカ91は、ユニット側マスターシリンダ73のリターンスプリング75の付勢力に抗して第1回動軸82のまわりに矢印N1のように回動する。
【0058】
ノッカ91が矢印N1のように回動することにより、ノッカ91の押圧部95は、ユニット側マスターシリンダ73のピストン74を押圧して、ユニット側マスターシリンダ73を作動させる。ユニット側マスターシリンダ73が、ユニット側油圧配管64からフロント液圧式ブレーキ51にオイルを供給することにより、フロント液圧式ブレーキ51(図2参照)に制動力が与えられる。
【0059】
通常のブレーキ操作の場合には、このようなリア機械式ブレーキ61及びフロント液圧式ブレーキ51の作動状態で、連動操作子62が操作を戻されると、連動装置70は図8(b)に示す初期状態に戻る。これにより、リア機械式ブレーキ61及びフロント液圧式ブレーキ51はいずれも非作動状態に復帰する。
【0060】
これに対して、ブレーキロック操作の場合には、連動操作子62が図10(a)に実線で示すように引かれている状態で、ブレーキロック操作子67が、操作されることで図11(a)に示すように引かれる。これにより、連動装置70は、図11(b)に示すように作動される。
すなわち、ブレーキロック伝達部材68が矢印L1のように引かれる。すると、この引っ張り力によってノッカ91は初期状態に戻される。これにより、ノッカ91の押圧部95はピストン74を押圧しなくなり、ユニット側マスターシリンダ73は不作動となって、フロント液圧式ブレーキ51は解放される。
【0061】
ノッカ91の当接部93により連動回動レバー81の当接部83が押されることで、連動回動レバー81は、ノッカ91とともに、第1回動軸82のまわりに矢印C2のように回動して初期状態に戻される。このとき、イコライザ100は、矢印M3のように幾分引き下げられる。これに応じて、連動操作子62は幾分戻される。
具体的には、連動操作子62は、図11(a)に鎖線で示す位置から実線で示す位置まで戻される。すると、連動操作子62の係合部(凹部)62bがブレーキロック操作子67の係止部(突起)67bに係止されることで、連動操作子62は、ロック状態に保持される。
【0062】
すなわち、連動操作子62は、支持軸62aを介して左ハンドルホルダ26Lに回動可能に支持されている。また、ブレーキロック操作子67は、支持軸67aを介して左ハンドルホルダ26Lに回動可能に支持されている。そのため、連動操作子62の係合部(凹部)62bとブレーキロック操作子67の係止部(突起)67bとが係合すると、連動操作子62及びブレーキロック操作子67のいずれも、外力が加わらない限りその係合状態に保持される。
【0063】
本実施形態では、ノッカ91に長孔94が形成されることにより、連動回動レバー81が回動しても、ブレーキロック伝達部材68の一端部68bは、長孔94に沿って自由に動く。そのため、ブレーキロック操作子67は作動しない。これにより、操作フィーリングを向上させることができる。
【0064】
次に、図12(a)〜図15(b)を参照して、本発明の第2実施形態に係るブレーキロック装置60の作動について説明する。
図12(a)は、連動操作子及びブレーキロック操作子の非作動状態を示す平面図である。図12(b)は、その状態における連動装置の正面図である。図13(a)は、連動操作子の作動状態を示す平面図である。図13(b)は、その状態における連動装置の正面図である。図14(a)は、連動操作子が図13(a)に示す状態からさらに作動した状態を示す平面図である。図14(b)は、その状態における連動装置の正面図である。図15(a)は、ブレーキロック操作子の作動状態を示す平面図である。図15(b)は、その状態における連動装置の正面図である。
【0065】
第2実施形態に係るブレーキロック装置と、第1実施形態に係るブレーキロック装置とは、ディレイスプリング85の設置箇所及び長孔94の箇所が異なるだけであり、その他は同様であるので、同様の部分に同一の符号を付けて示し、構成についての詳細な説明は省略する。
【0066】
本実施形態に係るブレーキロック装置60において、ディレイスプリング85は、連動回動レバー81ではなくブレーキロック操作子67に設けられている。また、長孔94は、ノッカ91ではなくブレーキロック操作子67に設けられている。そのため、ノッカ91には、長孔ではなく丸孔96が形成されている。
【0067】
図12(a)に示すように、連動操作子62及びブレーキロック操作子67がいずれも非作動状態にあるときには、連動装置70は、図12(b)に示すように初期状態にある。
すなわち、連動回動レバー81は、ブレーキロック操作子67に設けられたディレイスプリング85の付勢力により、当接部83においてシリンダブロック71の当接面71aに当接している。ノッカ91は、ユニット側マスターシリンダ73のリターンスプリング75の付勢力により、ストッパ部92はシリンダブロック71の当接面71aに当接している。イコライザ100は、シリンダブロック71のストッパ部76に当接している。
【0068】
連動操作子62が、操作されることで図13(a)に実線で示すように引かれると、連動装置70は、図13(b)に示すように作動される。
すなわち、操作子側伝達部材65が矢印M1のように引かれることで、イコライザ100は、第2回動軸86を中心としてそのまわりに矢印E1のように回動する。このイコライザ100の回動により、ブレーキ側伝達部材66が矢印B1のように引かれることで、リア機械式ブレーキ61(図2参照)に制動力が与えられる。
【0069】
このようなリア機械式ブレーキ61のブレーキ作動は、イコライザ100を引っ張り上げようとする力M1がブレーキロック操作子67に設けられたディレイスプリング85の付勢力Dを上回るまで、徐々に強く作用していく。
すなわち、イコライザ100を引っ張り上げようとする力M1がディレイスプリング85の付勢力Dを下回っている間は、連動回動レバー81及びノッカ91は初期状態に維持される。そのため、フロント液圧式ブレーキ51(図2参照)は非作動状態に保持される。
【0070】
連動操作子62が、さらに操作されることで図14(a)に鎖線で示す位置から実線で示すようにさらに引かれると、連動装置70は、図14(b)に示すように作動される。
すなわち、操作子側伝達部材65は、矢印M2のように引かれる。この引っ張り力は、ブレーキロック操作子67に設けられたディレイスプリング85の付勢力Dを上回る大きさになる。そのため、連動回動レバー81は、ディレイスプリング85の付勢力に抗して第1回動軸82のまわりに矢印C1のように回動する。この連動回動レバー81の当接部83によりノッカ91の当接部93が押されることで、ノッカ91は、ユニット側マスターシリンダ73のリターンスプリング75の付勢力に抗して、第1回動軸82のまわりに矢印N1のように回動する。
【0071】
ノッカ91が矢印N1のように回動することにより、ノッカ91の押圧部95は、ユニット側マスターシリンダ73のピストン74を押圧して、ユニット側マスターシリンダ73を作動させる。ユニット側マスターシリンダ73が、ユニット側油圧配管64からフロント液圧式ブレーキ51にオイルを供給することにより、フロント液圧式ブレーキ51(図2参照)に制動力が与えられる。
【0072】
通常のブレーキ操作の場合には、このようなリア機械式ブレーキ61及びフロント液圧式ブレーキ51の作動状態で、連動操作子62が操作を戻されると、連動装置70は図12(b)に示す初期状態に戻る。これにより、リア機械式ブレーキ61及びフロント液圧式ブレーキ51はいずれも非作動状態に復帰する。
【0073】
これに対して、ブレーキロック操作の場合には、連動操作子62が図14(a)に実線で示すように引かれている状態で、ブレーキロック操作子67が、操作されることで図15(a)に示すように引かれる。これにより、連動装置70は、図15(b)に示すように作動される。
すなわち、ブレーキロック伝達部材68が矢印L1のように引かれる。すると、この引っ張り力によってノッカ91は初期状態に戻される。これにより、ノッカ91の押圧部95はピストン74を押圧しなくなり、ユニット側マスターシリンダ73は不作動となって、フロント液圧式ブレーキ51は解放される。
【0074】
ノッカ91の当接部93により連動回動レバー81の当接部83が押されることで、連動回動レバー81は、ノッカ91とともに、第1回動軸82のまわりに矢印C2のように回動して初期状態に戻される。このとき、イコライザ100は、矢印M3のように幾分引き下げられる。これに応じて、連動操作子62は幾分戻される。
具体的には、連動操作子62は、図15(a)に鎖線で示す位置から実線で示す位置まで戻される。すると、連動操作子62の係合部(凹部)62bがブレーキロック操作子67の係止部(突起)67bに係止されることで、連動操作子62は、ロック状態に保持される。
【0075】
本実施形態では、ブレーキロック操作子67に第2の長孔としての長孔94が形成されることにより、押圧アーム80が回動しても、ブレーキロック伝達部材68の他端部68aは、長孔94に沿って自由に動く。そのため、ブレーキロック操作子67は作動しない。これにより、乗員に違和感を与えないようにすることができる。
【0076】
本実施形態では、ノッカ91に長孔94が形成されることにより、連動回動レバー81が回動しても、ブレーキロック伝達部材68の一端部68bは、長孔94に沿って自由に動く。そのため、ブレーキロック伝達部材68及びブレーキロック操作子67は作動しない。これにより、操作フィーリングを向上させることができる。
【0077】
以上、本発明の好ましい各実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、本発明を鞍乗型車両としてのスクータ型の自動二輪車に適用したが、これに限らない。即ち、本発明を三輪又は四輪の鞍乗型車両に適用してもよい。つまり、鞍乗型車両とは、車体にまたがって乗車する車両全般を含む。
【符号の説明】
【0078】
1…自動二輪車(鞍乗型車両)
11…ヘッドパイプ
12…メインフレーム
24…ハンドル
51…フロント液圧式ブレーキ
60…ブレーキロック装置(車両用ブレーキロック装置)
61…リア機械式ブレーキ
62…連動操作子
62a…支持軸
62b…係合部
65…操作子側伝達部材(第1の伝達部材)
66…ブレーキ側伝達部材(第2の伝達部材)
67…ブレーキロック操作子
67a…支持軸
67b…係止部
68…ブレーキロック伝達部材(第3の伝達部材)
68a…他端部
68b…一端部
70…連動装置
71…シリンダブロック
73…ユニット側マスターシリンダ(マスターシリンダ)
80…押圧アーム
81…連動回動レバー
82…第1回動軸(第1の軸)
83…当接部
85…ディレイスプリング(付勢部材)
86…第2回動軸(第2の軸)
91…ノッカ
94…長孔(第1の長孔、第2の長孔)
95…押圧部
100…イコライザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連動操作子(62)の操作に応じて、リア機械式ブレーキ(61)及びフロント液圧式ブレーキ(51)に制動力を与える連動装置(70)と、
前記連動操作子(62)を所定の操作状態に保持できるブレーキロック操作子(67)と、
を備える車両用ブレーキロック装置(60)において、
前記連動装置(70)は、
押圧されるのに応じて前記フロント液圧式ブレーキ(51)に制動力を与えるための液圧を発生するマスターシリンダ(73)を有するシリンダブロック(71)と、
一端側に当接部(83)を有し、他端側に押圧部(95)を有し、両端間の中間部に第1の軸(82)を有する押圧アーム(80)であって、前記シリンダブロック(71)に、前記第1の軸(82)を介して回動可能に、かつ、付勢部材(85)の付勢力により前記当接部(83)が当該シリンダブロック(71)に当接するように付勢して取り付けられ、当該付勢力に抗して回動されるときに前記押圧部(95)が前記マスターシリンダ(73)を押圧する押圧アーム(80)と、
前記押圧アーム(80)の前記他端側に、第2の軸(86)を介して回動可能に取り付けられ、当該第2の軸(86)を一端側とする両端間の中間部に、前記連動操作子(62)から延びる第1の伝達部材(65)が接続され、他端側に、前記リア機械式ブレーキ(61)から延びる第2の伝達部材(66)が接続されるイコライザ(100)と、を備え、
前記ブレーキロック操作子(67)には、一端部(68b)が前記押圧アーム(80)の前記一端側に接続された第3の伝達部材(68)の他端部(68a)が接続され、
前記連動操作子(62)の操作により前記第1の伝達部材(65)を介して前記イコライザ(100)が引っ張られることにより、前記イコライザ(100)が前記第2の軸(86)まわりに回動して前記第2の伝達部材(66)を介して前記リア機械式ブレーキ(61)に制動力を与え、さらに前記付勢部材(85)の付勢力に抗して前記押圧アーム(80)が前記第1の軸(82)まわりに回動して前記フロント液圧式ブレーキ(51)に制動力を与えた後、前記ブレーキロック操作子(67)が操作されると、前記第3の伝達部材(68)を介して前記押圧アーム(80)が初期位置に向けて引っ張られることにより、前記マスターシリンダ(73)の押圧が解除され、かつ、前記連動操作子(62)がロック状態に保持される
ことを特徴とする車両用ブレーキロック装置。
【請求項2】
前記押圧アーム(80)は前記一端側に第1の長孔(94)を有し、
前記第3の伝達部材(68)の前記一端部(68b)は前記第1の長孔(94)に沿って移動自在に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキロック装置。
【請求項3】
前記ブレーキロック操作子(67)は第2の長孔(94)を有し、
前記第3の伝達部材(68)の前記他端部(68a)は前記第2の長孔(94)に沿って移動自在に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキロック装置。
【請求項4】
前記付勢部材(85)は、前記ブレーキロック操作子(67)に設けられ、前記第3の伝達部材(68)の前記他端部(68a)を前記第2の長孔(94)に沿って前記押圧アーム(80)から離れる方向に付勢する
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用ブレーキロック装置。
【請求項5】
前記連動操作子(62)及び前記ブレーキロック操作子(67)は、ハンドル(24)にそれぞれ回動中心を異ならせて支持され、
前記連動操作子(62)は係合部(62b)を有し、前記ブレーキロック操作子(67)は係止部(67b)を有し、前記係合部(62b)が前記係止部(67b)に係止されることで、前記連動操作子(62)が前記ロック状態に保持される
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ブレーキロック装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ブレーキロック装置(60)を備えた鞍乗型車両(1)において、
ヘッドパイプ(11)と、
前記ヘッドパイプ(11)から下後方に延び、下端部から後方に延びるメインフレーム(12)と、
を備え、
前記連動装置(70)は、前記ヘッドパイプ(11)の近傍に設けられる
ことを特徴とする鞍乗型車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2011−178240(P2011−178240A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43209(P2010−43209)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】