説明

車両用動力伝達装置

【課題】エンジンの動力とモータの動力を車軸に伝達する車両用動力伝達装置において、エンジンとモータでギア機構を共用できるようにしながらも、クラッチの数をできるだけ低減する。
【解決手段】出力軸9が、エンジン入力軸2、4およびモータ入力軸6の側方に平行に配置され、エンジン入力軸2、4の動力を出力軸9に伝達するためのエンジン側ギア機構5、10、11が設けられ、モータ入力軸6の動力を、出力軸9に伝達するためのモータ側ギア機構7、12、13が設けられ、エンジン入力軸2、4とモータ入力軸6とが入力側クラッチ8によって相互に断続され、入力側クラッチ8が接続された場合、エンジン入力軸2、4上のエンジン側ギア機構5、10、11が設けられる位置から、モータ入力軸6上のモータ側ギア機構7、12、13が設けられる位置までの間は、常に動力伝達が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用動力伝達装置に関するものであり、ハイブリッド車両に用いて好適で
ある。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド車両に用いる動力伝達装置として、特許文献1に記載のようなもの
が知られている。この動力伝達装置は、特許文献1の図1に示すように、エンジン51の
発生した動力が入力されるエンジン入力軸32と、2、4速用のギアが取り付けられた円
筒状の第1出力軸33とが、第1クラッチ36によって断続されるようになっており、ま
たエンジン入力軸32は、1、3速用のギアが取り付けられた円筒状の第2出力軸34と
、別途第2クラッチ37によって断続されるようになっている。この第2出力軸34には
、モータ53の発生する動力も入力されるようになっている。
【0003】
このような構成を採用することで、エンジン51が第1出力軸33の2、4速用のギア
のみならず、第2クラッチ37を接続してモータ53側の1、3速ギアを使用することが
できる。また、モータ53がモータ53側の1、3速ギアのみならず、第1クラッチ36
および第2クラッチ37を接続して2、4速ギアを使用することができる。
【0004】
この動力伝達装置は上記の通り、ギア選択のバリエーションを増やすための構成として
、エンジン入力軸32から第1クラッチ36および第2クラッチ37を介してそれぞれ2
、4速ギアおよび1、3速ギアに動力伝達可能としている。つまり、1〜4速ギアは、エ
ンジン51とモータ53で共用できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−123773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の動力伝達装置では、エンジン入力軸32から第1出力軸33(2
、4速)への動力伝達経路専用のクラッチ36と、エンジン入力軸32から第2出力軸3
4(1、3速)への動力伝達経路専用のクラッチ37を個々に設けなければならないので
、クラッチの個数が増大してしまい、その結果、動力伝達装置全体のサイズが大きくなっ
てしまう。
【0007】
本発明は上記点に鑑み、エンジンの動力とモータの動力を車軸に伝達する車両用動力伝
達装置において、エンジンとモータでギア機構を共用できるようにしながらも、クラッチ
の数をできるだけ低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、エンジン(1)が発生した動力と
モータ(MG1)が発生した動力を車両の車軸(15)に伝達する車両用動力伝達装置で
あって、前記エンジン(1)が発生した動力が入力され、入力された前記エンジン(1)
の動力を伝達するエンジン入力軸(2、4、19)と、前記モータ(MG1)が発生した
動力が入力され、入力された前記モータ(MG1)の動力を伝達するモータ入力軸(6、
6a、18)と、前記車軸(15)に伝達するための動力を出力する出力軸(9)と、前記エンジン入力軸(2、4、19)に設けられ、前記エンジン入力軸(2、4、19)の動力を、前記モータ入力軸(6、6a、18)を介さずに、前記出力軸(9)に伝達するためのエンジン側ギア機構(5、10、11)と、前記モータ入力軸(6、6a、18)に設けられ、前記モータ入力軸(6、6a、18)の動力を、前記エンジン入力軸(2、4、19)を介さずに、前記出力軸(9)に伝達するための第1モータ側ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、13、13a、13c)と、前記エンジン入力軸(2、4、19)と前記モータ入力軸(6、6a、18)とを相互に断続する入力側クラッチ(8)と、を備え、前記入力側クラッチ(8)が接続された場合、前記エンジン入力軸(2、4、19)上の前記エンジン側ギア機構(5、10、11)から、前記モータ入力軸(6、6a、18)上の前記第1モータ側ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、13、13a、13c)までの間は、動力伝達が可能となることを特徴とする車両用動力伝達装置である。
【0009】
このような構成になっていることで、入力側クラッチ(8)を接続すれば、エンジン(
1)とモータ(MG1)とでエンジン側ギア機構(5、10、11)または第1モータ側
ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、13、13a、13c)を共用する
ことができる。また、入力側クラッチ(8)を切れば、エンジン(1)がエンジン側ギア
機構(5、10、11)を使用しながら、モータ(MG1)が第1モータ側ギア機構(7
、7a、7c、12、12a、12c、13、13a、13c)を使用することができる

【0010】
また、入力側クラッチ(8)が接続された場合、エンジン側ギア機構(5、10、11
)が設けられる位置から第1モータ側ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c
、13、13a、13c)が設けられる位置までの間は、常に動力伝達が可能となってい
る。これは、エンジン側ギア機構(5、10、11)が設けられる位置から第1モータ側
ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、13、13a、13c)までの動力
伝達経路に入力側クラッチ(8)以外のクラッチが介在しないということである。このよ
うになっていることで、クラッチの数を従来よりも低減することができ、ひいては、車両
用動力伝達装置を小型化することが可能となる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用動力伝達装置において、前記入力側クラッチ(8)が切断された場合、前記エンジン入力軸(2、4、19)の動力と、前記モータ入力軸(6、6a、18)の動力を、同時に違う減速比で前記出力軸(9)に伝達することが可能となることを特徴とする。
【0012】
この場合、出力軸(9)の回転数は同一であるので、エンジン(1)の回転数よりもモータ(MG1)の回転数を大きくできたり、あるいは、エンジン(1)の回転数よりもモータ(MG1)の回転数を小さくできたりする。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1ないし2のいずれか1つに記載の車両用動力伝達装置において、前記エンジン側ギア機構(5、10、11)の減速比は、前記第1モータ側ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、13、13a、13c)の減速比よりも小さいことを特徴とする。
【0014】
このようにすることで、エンジン(1)側にはモータ(MG1)よりも減速比の小さいギア機構が設けられることになる。したがって、エンジン(1)は、ハイブリッド車両において一般的にエンジン(1)が使用する頻度の高い小さい減速比のギア機構を、入力側クラッチ(8)の断続に関わらず使用することができ、また、モータ(MG1)は、ハイブリッド車両において一般的にモータ(MG1)が使用する頻度の高い大きい減速比のギア機構を、入力側クラッチ(8)の断続に関わらず使用することができる。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用動力伝達装置において、前記エンジン側ギア機構(5、10、11)の減速比は、当該車両用動力伝達装置に備えられたギア機構の減速比のうちで最も小さく、前記第1モータ側ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、13、13a、13c)の減速比は、当該車両用動力伝達装置に備えられたギア機構の減速比のうちで最も大きいことを特徴とする。
【0016】
このようにすることで、エンジン(1)側には最も減速比の小さいギア機構が設けられ
、また、モータ(MG1)側には最も減速比の大きいギア機構が設けられることになる。
したがって、エンジン(1)は、ハイブリッド車両において一般的にエンジン(1)が使
用する頻度の高いギア機構を、入力側クラッチ(8)の断続に関わらず使用することがで
き、また、モータ(MG1)は、ハイブリッド車両において一般的にモータ(MG1)が
使用する頻度の高いギア機構を、入力側クラッチ(8)の断続に関わらず使用することが
できる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用動力伝達装置において、前記モータ入力軸(6、6a、18)に設けられ、前記モータ入力軸(6、6a、18)の動力を、前記エンジン入力軸(2、4、19)を介さずに、前記出力軸(9)に伝達するための第2モータ側ギア機構(7b、7d、12b、12d、13b、13d)を備え、前記第1モータ側ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、13、13a、13c)の減速比および前記第2モータ側ギア機構(7b、7d、12b、12d、13b、13d)の減速比は、前記エンジン側ギア機構(5、10、11)の減速比よりも大きいことを特徴とする。
【0018】
このようにすることで、エンジン(1)は、ハイブリッド車両において一般的にエンジ
ン(1)が使用する頻度の高いギア機構を、入力側クラッチ(8)の断続に関わらず使用
することができ、また、モータ(MG1)は、ハイブリッド車両において一般的にモータ
(MG1)が使用する頻度の高い第1、第2モータ側ギア機構を、入力側クラッチ(8)
の断続に関わらず使用することができる。
【0019】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用動力
伝達装置において、前記エンジン側ギア機構(5、10、11)は、前記第1モータ側ギ
ア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、13、13a、13c)と前記エンジ
ン(1)との間の位置に配置されていることを特徴とする。
【0020】
特許文献1に記載の動力伝達装置では、特許文献1の図1に示すように、クラッチ36
を境に第1出力軸33をエンジン51側に折り返し、クラッチ37を境に第2出力軸34
をエンジン51側に折り返し、エンジン入力軸32、第1出力軸33、第2出力軸34を
同軸の三重構造としている。
【0021】
しかし、このようにクラッチ36、37で折り返した三重構造とするためには、エンジ
ン51の動力を伝達するエンジン入力軸32を長くしなければならず、その結果、過大な
搭載スペースを必要とするだけでなく、入力軸32のねじれ振動に対する耐性が低くなっ
てしまう。
【0022】
そこで、請求項6に係る発明では、上記のように、エンジン側ギア機構(5、10、1
1)を、第1モータ側ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、13、13a
、13c)とエンジン(1)との間の位置に配置することで、エンジン(1)からエンジ
ン側ギア機構(5、10、11)までの距離を低減することができ、その結果、搭載スペ
ースを削減するとともに、エンジン入力軸(2、4、19)のねじれ振動に対する耐性を
高く保つことができる。
【0023】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の車両用動力伝達装置において、前記
入力側クラッチ(8)は、前記エンジン側ギア機構(5、10、11)と前記第1モータ
側ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、13、13a、13c)との間に
配置されたことを特徴とする。
【0024】
また、請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の車両用動力伝達装置において、前記
入力側クラッチ(8)は、前記モータ(MG1)と前記第1モータ側ギア機構(7、12
、13)の間に配置され、前記モータ入力軸(6、18)は、入力側クラッチ(8)の当
該モータ入力軸(6)と共に回転する部分に取り付けられた円筒状の円筒モータ入力軸(
18)を含み、前記円筒モータ入力軸(18)は、前記入力側クラッチ(8)の前記エン
ジン入力軸(2、4)と共に回転する部分を同軸に取り囲むと共に前記エンジン入力軸(
2、4)を同軸に取り囲んで前記エンジン(1)方向に延びており、前記モータ入力軸(
6、18)の他の部分(6)と共に回転し、前記第1モータ側ギア機構(7、12、13
)は、前記円筒モータ入力軸(18)の前記エンジン(1)に近い方の端部に取り付けら
れることを特徴とする。
【0025】
このようになっているので、円筒モータ入力軸(18)によってエンジン入力軸(2、
4)が回転可能に支持されると共に、円筒モータ入力軸(18)が第2エンジン入力軸(
4)によって回転可能に支持されるので、エンジン入力軸およびモータ入力軸を支持する
ベアリング部材を別途設ける数が少なくて済む。また、エンジン側ギア機構と第1モータ
側ギア機構との間に入力側クラッチ(8)が配置されていないので、エンジン側ギア機構
と第1モータ側ギア機構から成るユニットをコンパクトに製造することが可能となる。
【0026】
また、請求項9に記載の発明は、請求項6に記載の車両用動力伝達装置において、前記
入力側クラッチ(8)は、前記エンジン(1)と前記エンジン側ギア機構(5、10、1
1)の間に配置され、前記エンジン入力軸(2、4、19)は、入力側クラッチ(8)の
当該前記エンジン入力軸(2、4、19)と共に回転する部分に取り付けられた円筒状の
円筒エンジン入力軸(19)を含み、前記円筒エンジン入力軸(19)は、前記入力側ク
ラッチ(8)の前記モータ入力軸(6)と共に回転する部分を同軸に取り囲むと共に前記
モータ入力軸(6)を同軸に取り囲んで前記モータ(MG1)方向に延びており、前記エ
ンジン入力軸(2、4、19)の他の部分(4)と共に回転し、前記エンジン側ギア機構
(5、10、11)は、前記円筒エンジン入力軸(19)の前記モータ(MG1)に近い
方の端部に取り付けられることを特徴とする。
【0027】
このようになっているので、円筒エンジン入力軸(19)によってモータ入力軸(6)
が回転可能に支持されると共に、円筒エンジン入力軸(19)がモータ入力軸(6)によ
って回転可能に支持されるので、エンジン入力軸およびモータ入力軸を支持するベアリン
グ部材を別途設ける数が少なくて済む。また、エンジン側ギア機構と第1モータ側ギア機
構との間に入力側クラッチ(8)が配置されていないので、エンジン側ギア機構と第1モ
ータ側ギア機構から成るユニットをコンパクトに製造することが可能となる。
【0028】
また、請求項10に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用動力伝達装置において、前記モータ(MG1)は、前記エンジン(1)と前記モータ側ギア機構(7、12、13)との間に配置され、前記エンジン側ギア機構(5、10、11)は、前記第1モータ側ギア機構(7、12、13)から見て前記エンジン(1)の反対側に配置されていることを特徴とする。
【0029】
このようになっていることで、従来の車両においてクラッチ、トルクコンバータ等が設
置されていた場所にモータ(MG1)を配置することができるので、スペースの有効利用
が可能となる。
【0030】
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の車両用動力伝達装置において、前記入力側クラッチ(8)は、前記モータ(MG1)と前記エンジン(1)との間に配置されていることを特徴とする。
【0031】
また、請求項12に記載の発明は、請求項10に記載の車両用動力伝達装置において、前記入力側クラッチ(8)は、前記エンジン側ギア機構(5、10、11)と前記第1モータ側ギア機構(7、12、13)との間に配置されていることを特徴とする。
【0032】
また、請求項13に記載の発明は、請求項1ないし12のいずれか1つに記載の車両用
動力伝達装置において、前記入力側クラッチ(8)は、前記エンジン入力軸(2、4、1
9)側から前記モータ入力軸(6、6a、18)側にのみ駆動トルクを伝達するクラッチ
であり、前記モータ側ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、13、13a
、13c)の減速比は、前記エンジン側ギア機構(5、10、11)の減速比よりも大き
いことを特徴とする。
【0033】
このようなワンウェイクラッチを採用することで、アクチュエータを用いて入力側クラ
ッチ(8)の接続、切断を制御する必要がなくなり、その結果、アクチュエータを設ける
必要がなくなる。なぜなら、モータ側ギア機構の減速比は、エンジン側ギア機構の減速比
よりも大きいからである。
【0034】
また、請求項14に記載の発明は、請求項1ないし13のいずれか1つに記載の車両用
動力伝達装置において、前記車両内で取得された物理量に基づいて、前記入力側クラッチ
(8)および前記モータ側ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、13、1
3a、13c)および前記エンジン側ギア機構(5、10、11)の接続、切断を制御す
ることで、前記エンジン(1)および前記モータ(MG1)が発生する動力の伝達経路お
よび減速比を制御する制御装置(20)を備え、前記制御装置(20)は、取得された前
記物理量に割り当てられた前記エンジン(1)および前記モータ(MG1)の作動モード
を、物理量の値に作動モードを割り当てる所定の切替マップに基づいて選択し、前記入力
側クラッチ(8)、前記モータ側ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、1
3、13a、13c)および前記エンジン側ギア機構(5、10、11)の接続、切断を
制御することで、選択した作動モードを実現することを特徴とする。
【0035】
このように、決定した作動モードを実現するよう、前記入力側クラッチ(8)、前記モ
ータ側ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、13、13a、13c)およ
び前記エンジン側ギア機構(5、10、11)の接続、切断を制御する際に、切替マップ
を用いることで、あらかじめ定められた効率のよい走行を実現することができる。
【0036】
また、請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の車両用動力伝達装置において、
前記モータ(MG1)は、前記車両に搭載された車両駆動用バッテリの電力によって回転
し、前記制御装置(20)は、複数種類の切替マップを記憶しており、前記車両駆動用バ
ッテリのSOCを取得し、取得した前記SOCに基づいて、前記複数種類の切替マップの
うち1つを選択することを特徴とする。
【0037】
このようになっていることで、車両駆動用バッテリのSOCに応じた効率のよい走行を
実現することができる。なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許
請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等
との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両用動力伝達装置の構成を示すスケルトン図である。
【図2】制御装置20の入出力関係を示す図である。
【図3】MG1_Lモード時の動力伝達経路23を示す図である。
【図4】MG1_Hモード時の動力伝達経路24を示す図である。
【図5】ENG_Lモード時の動力伝達経路25を示す図である。
【図6】ENG_Hモード時の動力伝達経路26を示す図である。
【図7】発電モード時の動力伝達経路27を示す図である。
【図8】モータMG1、MG2およびエンジン1の特性を示すグラフである。
【図9】EVメインモードにおける切替マップを示す図である。
【図10】エンジンメインモードにおける切替マップを示す図である。
【図11】制御装置20の実行する処理のフローチャートである。
【図12】アクセル開度および車速に基づいて作動モードを選択する処理を示すブロック図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る車両用動力伝達装置の構成を示すスケルトン図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係る車両用動力伝達装置の構成を示すスケルトン図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係る車両用動力伝達装置の構成を示すスケルトン図である。
【図16】第4実施形態における作動モードとクラッチ13a、13b、11、8の制御との関係を示す図である。
【図17】第4実施形態におけるモータMG1およびエンジン1の特性を示すグラフである。
【図18】第4実施形態のEVメインモードにおける切替マップを示す図である。
【図19】第4実施形態のエンジンメインモードにおける切替マップを示す図である。
【図20】本発明の第5実施形態に係る車両用動力伝達装置の構成を示すスケルトン図である。
【図21】本発明の第6実施形態に係る車両用動力伝達装置の構成を示すスケルトン図である。
【図22】本発明の第7実施形態に係る車両用動力伝達装置の構成を示すスケルトン図である。
【図23】本発明の第8実施形態に係る車両用動力伝達装置の構成を示すスケルトン図である。
【図24】本発明の第9実施形態に係る車両用動力伝達装置の構成を示すスケルトン図である。
【図25】本発明の第10実施形態に係る車両用動力伝達装置の構成を示すスケルトン図である。
【図26】本発明の第11実施形態のエンジンメインモードにおける切替マップを示す図である。
【図27】本発明の第12実施形態のエンジンメインモードにおける切替マップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(第1実施形態)
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両用動力伝
達装置の構成を、スケルトン図で示す。この車両用動力伝達装置は、ハイブリッド車両に
搭載され、エンジン1、モータMG1、MG2、第1エンジン入力軸2、ダンパ3、第2
エンジン入力軸4、第1ドライブギア5、第1モータ入力軸6、第2ドライブギア7、入
力側クラッチ8、出力軸9、第1ドリブンギア10、第1出力側クラッチ11、第2ドリ
ブンギア12、第2出力側クラッチ13、ディファレンシャルギア14を備えており、エ
ンジン1、モータMG1、MG2が発生した動力(すなわち駆動トルク)を車軸に伝達し
、それによって駆動輪16、17に駆動力を発生させるようになっている。
【0040】
エンジン1は内燃機関であり、モータMG1、MG2は、車両に搭載された車両駆動用
バッテリ(図示せず)の電力によって回転する電気モータであると共に、車両用動力伝達
装置(具体的にはモータMG1なら第1モータ入力軸6、MG2なら出力軸9)から伝達
された軸トルクを利用して発電して上記駆動用バッテリに充電を行うジェネレータでもあ
る。
【0041】
エンジン1から伸びる第1エンジン入力軸2には、エンジン1が発生した動力が入力さ
れる。この第1エンジン入力軸2は、エンジン1から入力された動力を伝達する軸として
機能する。この第1エンジン入力軸2のエンジン1と反対側の端部には、周知のトーショ
ンダンパ3が取り付けられている。
【0042】
また、ダンパ3の第1エンジン入力軸2とは反対側には、第2エンジン入力軸4が第1
エンジン入力軸2に対して同軸に取り付けられている。したがって、この第2エンジン入
力軸4は、ダンパ3を介して第1エンジン入力軸2の動力を伝達するようになっている。
【0043】
また、第2エンジン入力軸4には、第1ドライブギア5が軸着され、第2エンジン入力
軸4と共に回転するようになっている。
【0044】
また、モータMG1から伸びる第1モータ入力軸6には、モータMG1が発生した動力
が入力される。この第1モータ入力軸6は、モータMG1から入力された動力を伝達する
軸として機能する。
【0045】
また、第1モータ入力軸6には、第2ドライブギア7が軸着され、第1モータ入力軸6
と共に回転するようになっている。
【0046】
また、第2エンジン入力軸4と第1モータ入力軸6は、互いに平行かつ同軸に配置され
ている。また、入力側クラッチ8は、第2エンジン入力軸4と第1モータ入力軸6の間に
設けられ、第2エンジン入力軸4と第1モータ入力軸6を相互に同軸に断続するクラッチ
機構である。入力側クラッチ8としては、湿式クラッチを採用してもよいし、乾式クラッ
チを採用してもよい。
【0047】
また、モータMG2から伸びる出力軸9には、モータMG2が発生した動力が入力され
る。この出力軸9は、第1エンジン入力軸2、第2エンジン入力軸4、第1モータ入力軸
6の側方にこれら入力軸2、4、6に対して平行に配置され、ディファレンシャルギア1
4、車軸15等に伝達するための動力を出力する。
【0048】
また、第1ドリブンギア10は、第1ドライブギア5に噛合し、出力軸9に回動自在に
支持される。また、第1出力側クラッチ11は、出力軸9に取り付けられ、出力軸9と第
1ドリブンギア10とを相互に断続するクラッチ機構である。第1出力側クラッチ11と
しては、湿式クラッチを採用してもよいし、乾式クラッチ、さらにはシンクロ機構等のか
み合い式クラッチを採用してもよい。
【0049】
また、第2ドリブンギア12は、第2ドライブギア7に噛合し、出力軸9に回動自在に
支持される。また、第2出力側クラッチ13は、出力軸9に取り付けられ、出力軸9と第
2ドリブンギア12とを相互に断続するクラッチ機構である。第2出力側クラッチ13と
しては、湿式クラッチを採用してもよいし、乾式クラッチ、さらにはシンクロ機構等のか
み合い式クラッチを採用してもよい。
【0050】
また、出力軸9の動力は、図示しないファイナルギアおよびディファレンシャルギア1
4および車軸15を介して駆動輪16、17に伝達される。
【0051】
以上のような構成の車両用動力伝達装置において、第1出力側クラッチ11を接続する
ことで、出力軸9と第1ドリブンギア10との間で動力伝達が行われる。したがって、第
1ドライブギア5、第1ドリブンギア10、第1出力側クラッチ11を介して第2エンジ
ン入力軸4と出力軸9の間で(第1モータ入力軸6を介さず)動力伝達が行われる。逆に
、第1出力側クラッチ11を切ると、第1ドライブギア5、第1ドリブンギア10、第1
出力側クラッチ11を介して第2エンジン入力軸4と出力軸9の間で動力伝達が行われる
ことがなくなる。これら第1ドライブギア5、第1ドリブンギア10、および第1出力側
クラッチ11が、ハイギア機構(エンジン側ギア機構の一例に相当する)を構成する。な
お、ハイギア機構の減速比は、車両用動力伝達装置に備えられたギア機構の減速比のうち
で最も小さい。
【0052】
また、第2出力側クラッチ13を接続することで、出力軸9と第2ドリブンギア12と
の間で動力伝達が行われる。したがって、第2ドライブギア7、第2ドリブンギア12、
第2出力側クラッチ13を介して第1モータ入力軸6と出力軸9の間で(エンジン入力軸
2、4を介さず)動力伝達が行われる。逆に、第2出力側クラッチ13を切ると、第2ド
ライブギア7、第2ドリブンギア12、第2出力側クラッチ13を介して第1モータ入力
軸6と出力軸9の間で動力伝達が行われることがなくなる。これら第2ドライブギア7、
第2ドリブンギア12、および第2出力側クラッチ13が、ローギア機構(第1モータ側
ギア機構の一例に相当する)を構成する。なお、ローギア機構の減速比は、車両用動力伝
達装置に備えられたギア機構の減速比のうちで最も大きい。したがって、ローギア機構の
減速比は、ハイギア機構の減速比よりも大きくなっている。
【0053】
このように、車両用動力伝達装置においては、動力の伝達経路から見ても配置から見て
も、エンジン1に近い方のギア機構がハイギア機構であり、モータMG1に近い方のギア
機構がローギア機構である。
【0054】
また、入力側クラッチ8を接続すると、入力側クラッチ8を介して第2エンジン入力軸
4と第1モータ入力軸6の間で動力が伝達されるようになり、入力側クラッチ8を切ると
、入力側クラッチ8を介して第2エンジン入力軸4と第1モータ入力軸6の間で動力が伝
達されなくなる。
【0055】
また、入力側クラッチ8が接続された場合、第2エンジン入力軸4上の第1ドライブギ
ア5が設けられる位置から第1モータ入力軸6上の第2ドライブギア7が設けられる位置
までの間は、常に動力伝達が可能となっている。換言すれば、入力軸2、4、6上の第1
ドライブギア5が設けられる位置から第2ドライブギア7までの動力伝達経路に入力側ク
ラッチ8以外のクラッチが介在しない。このようになっていることで、クラッチの数を従
来よりも低減することができ、ひいては、車両用動力伝達装置を小型化することが可能と
なる。
【0056】
また、入力側クラッチ8および第1ドライブギア5を、第2ドライブギア7とエンジン
1との間の位置に配置することで、エンジン1から第1ドライブギア5までの距離を低減
することができ、その結果、エンジン入力軸2、4のねじれ振動に対する耐性を高く保つ
ことができる。
【0057】
また、入力側クラッチ8および第2ドライブギア7を、第1ドライブギア5とモータM
G1との間の位置に配置することで、モータMG1から第2ドライブギア7までの距離を
低減することができ、その結果、第1モータ入力軸6のねじれ振動に対する耐性を高く保
つことができる。
【0058】
またエンジン側ギア機構5、10、11は、エンジン入力軸2、4に沿ったエンジン1
から入力側クラッチ8までの動力伝達経路上のいずれかの位置から、出力軸9に動力を伝
達するようになっているので、特許文献1のように、エンジン1の動力伝達経路をエンジ
ン1から第1ドライブギア5への経路とエンジン1から第2ドライブギア7への経路の2
つに分岐する必要がなく、構成が簡易になる。
【0059】
また、車両用動力伝達装置は、制御装置20を備えている。制御装置20は、車両内で
取得された各種物理量に基づいて、上記のモータMG1、MG2の駆動、非駆動、および
、入力側クラッチ8、第1出力側クラッチ11、第2出力側クラッチ13の接続、切断を
制御することで、エンジン1、モータMG1が発生する動力の伝達経路および減速比を制
御する。制御装置20としては、例えば、プログラムを実行するマイクロコントローラを
備えた電子制御装置を用いる。
【0060】
より具体的には、図2に示すように、車両の車速を示す車速信号、アクセル開度を示す
アクセル開度信号、車両駆動用バッテリの充電率を表すSOC(State of Ch
arge)を示すSOC信号等が、制御装置20に入力される。車速信号としては、例え
ば各車輪に対して搭載された車輪速センサから出力される信号を用いる。アクセル開度信
号は、例えば、アクセル開度検出センサから出力される信号を用いる。SOC信号は、車
両駆動用バッテリのSOCを検出して出力するバッテリ監視装置から出力される信号を用
いる。
【0061】
また制御装置20は、これら入力された信号に基づいて、上記の入力側クラッチ8、第
1出力側クラッチ11、第2出力側クラッチ13の接続、切断を切り替える。具体的には
、制御装置20は、クラッチ8、11、13のそれぞれに対して設けられた、対応する接
続、切断を実現するアクチュエータ(例えばクラッチの断続のための油圧を発生するアク
チュエータ)の作動を制御することで、クラッチ8、11、13の接続、切断を切り替え
る。
【0062】
このような制御装置20によるクラッチ8、11、13の制御によって、モータMG1
の発生する動力は、ローギア機構を介して駆動輪16、17に伝達されることも、ハイギ
ア機構を介して駆動輪16、17に伝達されることも、可能となる。また、エンジン1の
発生する動力についても、ローギア機構を介して駆動輪16、17に伝達されることも、
ハイギア機構を介して駆動輪16、17に伝達されることも、可能となる。
【0063】
例えば、図3に示すMG1_Lモードでは、矢印23に示すような経路で、モータMG
1の動力がローギア機構を介して駆動輪16、17に伝達される。このモードでは、第2
出力側クラッチ13が接続され、他のクラッチ8、11の断続は任意である。ただし、ク
ラッチ8、11、13が全部接続する場合はない。
【0064】
また、図4に示すMG1_Hモードでは、矢印24に示すような経路で、モータMG1
の動力がハイギア機構を介して駆動輪16、17に伝達される。このモードでは、入力側
クラッチ8、第1出力側クラッチ11が接続され、第2出力側クラッチ13が切られる。
【0065】
また、図5に示すENG_Lモードでは、矢印25に示すような経路で、エンジン1の
動力がローギアを介して駆動輪16、17に伝達される。このモードでは、入力側クラッ
チ8、第2出力側クラッチ13が接続され、第1出力側クラッチ11が切られる。
【0066】
また、図6に示すENG_Hモードは、矢印26に示すような経路で、エンジン1の動
力がハイギア機構を介して駆動輪16、17に伝達される。このモードででは、第1出力
側クラッチ11が接続され、他のクラッチ8、13の断続は(全クラッチ8、11、13
が接続する場合を除いて)任意である。
【0067】
また、図7に示す発電モードは、矢印27に示すような経路で、エンジン1の動力が入
力側クラッチ8を介してモータMG1に伝達される。このモードでは、入力側クラッチ8
が接続され、他のクラッチ11、13は切られる。この発電モードでは、エンジン1の動
力を用いてモータMG1が発電して駆動用バッテリに充電を行うことができる。このよう
なモードは、車両の停止時に実現可能であり、また、モータMG2の発生する動力で車両
が低速走行するときにも実現可能である。また、MG1で発電した電力でMG2で走行を
行う、いわゆるシリーズ運転も実現可能である。
【0068】
なお、上記のようなモータMG1の駆動モード(MG1_Lモード、MG1_Hモード
)とエンジン1の駆動モード(ENG_Lモード、ENG_Hモード)は、組み合わせ可
能である。
【0069】
具体的には、モータMG1とエンジン1が共にローギア機構を使用する場合は、上記の
MG1_LモードとENG_Lモードを組み合わせて、入力側クラッチ8、第2出力側ク
ラッチ13を接続し、第1出力側クラッチ11を切るようにすればよい。
【0070】
また、モータMG1とエンジン1が共にハイギア機構を使用する場合は、上記のMG1
_HモードとENG_Hモードを組み合わせて、入力側クラッチ8、第1出力側クラッチ
11を接続し、第2出力側クラッチ13を切るようにすればよい。
【0071】
また、モータMG1がローギア機構を使用し、エンジン1がハイギア機構を使用する場
合は、上記のMG1_LモードとENG_Hモードを組み合わせて、第1出力側クラッチ
11、第2出力側クラッチ13を接続し、入力側クラッチ8を切るようにすればよい。こ
のように、エンジン1とモータMG1とで同時に違う減速比を実現できる。この場合、出力軸9の回転数は同一であるので、エンジン1の回転数よりもモータMG1の回転数を大きくでき、それぞれの駆動源において効率が高い動作点を選択することが可能となる。
【0072】
ただし、モータMG1がハイギア機構を使用し、エンジン1がローギア機構を使用する
ようにクラッチ8、11、13を制御することはできない。しかし、図8を参照して後述
するように、モータMG1がハイギア機構を使用して効率が良い場面と、エンジン1がロ
ーギア機構を使用い使用して効率が良い場面とは、全く異なるので、これら2つを同時に
実現できなくても、車両の燃費への悪影響は小さい。
【0073】
制御装置20は、上記のようなクラッチ8、11、13の接続、切断の組み合わせに加
え、モータMG1、MG2の駆動、非駆動を制御することで、車両の状態に適した走行を
実現するようになっている。
【0074】
従って、上記のようなクラッチ8、11、13の接続、切断の組み合わせと、モータM
G1、MG2による駆動、非駆動とを組み合わせることで、モータMG1の作動モードと
しては、出力軸9に動力を伝達しない非駆動モード、MG1_LモードおよびMG1_H
モードがあり、モータMG2の作動としては、動力を発生しない非駆動モードおよび動力
を発生して出力軸9に入力する駆動モードがあり、エンジン1の作動モードとしては、出
力軸9に動力を伝達しない非駆動モード、ENG_LモードおよびENG_Hモードがあ
る。そして、これらモータMG1、MG2、エンジン1の作動モードは、一部の組み合わ
せを除いて組み合わせ可能である。
【0075】
車両の状態に適した走行について説明するため、図8に、モータMG1、MG2および
エンジン1の特性の一例をグラフで表す。
【0076】
図中、横軸は車速であり、縦軸は車軸15の駆動トルクである。実線30は、平地低速
走行時の各車速において必要な駆動トルクを示している。実線31、32は、それぞれM
G1_Lモード、MG1_Hモードでの各車速におけるモータMG1の出力(発生)可能
な駆動トルクの上限を示し、実線33は、各車速におけるモータMG2の出力(発生)可
能な駆動トルクの上限を示す。
【0077】
また、点線で囲まれた範囲34、35は、それぞれMG1_Lモード、MG1_Hモー
ドで効率(燃費に相当する)が所定の基準以上に高いと想定される範囲を示し、点線で囲
まれた範囲36は、MG_2の駆動モードの効率が所定の基準以上に高いと想定される範
囲を示す。また、実線37、38は、それぞれENG_Lモード、ENG_Hモードで効
率が最大であると想定される範囲(最大効率線)を示す。
【0078】
モータMG1、MG2およびエンジン1の作動モードの選定の基本的な考え方は、モー
タMG2のみで必要な駆動トルクを実現することができる場合はモータMG2のみで車両
を駆動し、また、それ以外の場合は、車速と必要な駆動トルクとの関係において、効率が
最も良い組み合わせを選定する。
【0079】
典型的には、車速が0km/hから約60km/hまでの発進〜低中速加速域39aに
おいては、その領域39a内に高効率域34、37があるモータMG1_Lモードおよび
ENG_Lモードを積極的に使用し、また、車速が約60km/hから約150km/h
までの範囲における高速加速・登坂域39bにおいては、その領域39b内またはその近
傍に高効率域35、36、38があるMG1_Hモード、モータMG2の駆動モード、E
NG_Hモードを積極的に使用する。
【0080】
例として、モータMG1、MG2を主体として車両を駆動するEVメインモードの平地
低速走行について説明する。EVメインモードは、車両駆動用バッテリのSOCに余裕が
ある場合用の走行モードである。
【0081】
このEVメインモードにおいては、平地低速走行時は、130km/hより低い車速で
は、必要な駆動トルクがモータMG2の最大駆動トルクを下回るので、モータMG2の動
力のみで走行可能である。つまり、モータMG1およびエンジン1は非駆動モード、モー
タMG2は駆動モードとする。このためには、制御装置20は、クラッチ8、11、13
をすべて切り、モータMG1を停止させる。このとき、モータMG1は完全に停止するこ
とができるので、モータMG1の連れ回り回転による損失を低減できる。
【0082】
また、平地低速走行時でも、車速が130km/hを上回る場合は、モータMG2の動
力のみで必要な駆動トルクを賄えないので、ENG_HモードとMG1_Hモードを組み
合わせ、かつモータMG2も駆動させるモードで走行する。
【0083】
また別の例として、エンジン1を主体として車両を駆動するエンジンメインモードの平
地低速走行について説明する。エンジンメインモードは、車両駆動用バッテリのSOCに
余裕がない場合用の走行モードである。
【0084】
このエンジンメインモードにおいては、平地低速走行時は、車両駆動用バッテリの電力
を節約するため、モータMG2の駆動モードとENG_Hモードとを組み合わせ、更に、
モータMG1の非駆動モードも組み合わせる。このためには、制御装置20は、第1出力
側クラッチ11を接続し、クラッチ8、13を切り、モータMG1を停止させる。このと
き、モータMG1は完全に停止することができるので、モータMG1の連れ回り回転によ
る損失を低減できる。
【0085】
このように、図8に示したようなモータMG1、MG2およびエンジン1の特性を効率
的に利用するため、制御装置20においては、あらかじめ(例えば工場出荷時に)自装置
の記憶媒体(例えばROM、フラッシュメモリ)中に、図9に示すようなEVメインモー
ドにおける切替マップ、および、図10に示すようなエンジンメインモードにおける切替
マップが記録されるようになっている。
【0086】
これら切替マップは、車速と駆動トルクから成る二次元面を複数の区画41〜47、5
1〜54に分け、これら区画41〜47、51〜54のそれぞれにモータMG1、MG2
、エンジン1の作動モードの組み合わせを1組割り当てるデータである。つまり、切替マ
ップは、車速と駆動トルクの組み合わせに対して作動モードの組み合わせを1組割り当て
るデータである。
【0087】
そして制御装置20は、所定のプログラムを読み出して実行することで、図11に示す
ような走行モード切替処理を所定の制御周期毎に実行し、EVメインモードとエンジンメ
インモードとを相互に切り替える。
【0088】
具体的には、各制御周期において、まずステップ105で、現在の走行モードをRAM
等の記憶媒体中の走行モード変数から読み込むことで取得し、続いてステップ110で、
車両駆動用バッテリの現在のSOCを取得する。続いてステップ115で、ステップ10
5で取得した走行モードがEVメインモードであるか否かを判定し、EVメインモードで
あれば続いてステップ120を実行し、EVメインモードでなければ(すなわちエンジン
メインモードであれば)続いてステップ140を実行する。
【0089】
ステップ120では、現在のSOCが所定のEV走行下限値未満であるか否かを判定し
、EV走行下限値未満でなければ続いてステップ125に進む。ステップ125では、上
述の走行モード変数を書き換えないことで走行モードをEVメインモードに維持し、その
後、今回の走行モード切替処理を終了する。ステップ120でEV走行下限値未満である
と判定すると、続いてステップ130で走行モードをエンジンメインモードに切り替える
ため、走行モード変数にエンジンメインモードを示す値を代入し、今回の走行モード切替
処理を終了する。
【0090】
ステップ140では、現在のSOCが所定のエンジン走行上限値未満であるか否かを判
定し、EV走行下限値未満であれば続いてステップ145に進む。なお、エンジン走行上
限値は、ヒステリシスを設けるため、EV走行下限値よりも大きい値とする。ステップ1
45では、上述の走行モード変数を書き換えないことで走行モードをエンジンメインモー
ドに維持したまま、今回の走行モード切替処理を終了する。ステップ140でエンジン走
行上限値未満でないと判定すると、続いてステップ150で走行モードをEVメインモー
ドに切り替えるため、上記走行モード変数にEVメインモードを示す値を代入し、今回の
走行モード切替処理を終了する。
【0091】
このような処理を制御装置20が繰り返すことによって、走行モードがEVメインモー
ドでSOCがEV走行下限を下回らない間は、ステップ105、110、115、120
、125の順に処理が実行されることで、走行モードがEVメインモードに維持される。
そして、モータMG1、MG2使用等によってSOCが徐々に下がっていった結果、EV
走行下限値を下回るようになると、ステップ105、110、115、120、130の
順に処理が実行されることで、走行モードがEVメインモードからエンジンメインモード
に切り替わる。
【0092】
また、走行モードがエンジンメインモードでSOCがエンジン走行上限を下回っている
間は、ステップ105、110、115、140、145の順に処理が実行されることで
、走行モードがエンジンメインモードに維持される。そして、発電等によってSOCが徐々に上昇していった結果、エンジン走行上限値以上になると、ステップ105、110、115、140、150の順に処理が実行されることで、走行モードがエンジンメインモードからEVメインモードに切り替わる。
【0093】
また、制御装置20は、所定のプログラムを実行することで、図12に示すように、所
定の制御周期毎にその時点のアクセル開度および車速を取得し、取得したアクセル開度お
よび車速に基づいてモータMG1、MG2、エンジン1の作動モードを選択する。具体的
には、あらかじめ制御装置20の記憶媒体(ROM、フラッシュメモリ等)に記録された
アクセル開度−トルクマップ21に従って、取得したアクセル開度から必要な駆動トルク
を算出する。ここで、アクセル開度−トルクマップ21は、アクセル開度とそのアクセル
開度で必要となる駆動トルクとの対応関係を示すデータである。
【0094】
また制御装置20は、算出した駆動トルクと取得した車速に対応するモータMG1、M
G2、およびエンジン1の作動モードの組み合わせを、図9または図10に示した切替マ
ップ22に基づいて選択する。
【0095】
具体的には、現在の走行モードに応じた切替マップを用い、算出した駆動トルクと取得
した車速の組み合わせの位置を含む区画を当該切替マップから読み取り、当該区画に割り
当てられたモータMG1、MG2、エンジン1の作動モードの組み合わせを選択する。
【0096】
ここで、図9、図10の切替マップの具体的な区画分けと割り当て内容について説明す
る。まず、図9のEVメインモード用の切替マップでは、全車速域に渡って、およそ駆動
トルク200Nm以下の範囲が1つの区画41となっており、その区画41には、MG2
の駆動モード、モータMG1の非駆動モード、エンジン1の非駆動モードの組み合わせが
割り当てられている。この組み合わせは、入力側クラッチ8、第1出力側クラッチ11、
第2出力側クラッチ13を切ることで実現する。
【0097】
また、0km/hから約60km/hまでの発進〜低中速加速域においては、区画41
のすぐ上の駆動トルク範囲をカバーする区画42が設けられており、その区画42には、
MG1_Lモード、モータMG2の非駆動モード、エンジン1の非駆動モードの組み合わ
せが割り当てられている。この組み合わせは、入力側クラッチ8、第1出力側クラッチ1
1を切り、第2出力側クラッチ13を接続し、モータMG2を駆動せず出力軸9の回転に
よって空回りさせることで実現する。この区画42は、図8に示したMG1_Lモードの
高効率領域34が含まれているので、このようにすることで効率が高くなる。
【0098】
また、0km/hから約60km/hまでの発進〜低中速加速域においては、区画42
のすぐ上の駆動トルク範囲をカバーする区画43が設けられており、その区画43には、
MG1_Lモード、モータMG2の駆動モード、エンジン1の非駆動モードの組み合わせ
が割り当てられている。この組み合わせは、入力側クラッチ8、第1出力側クラッチ11
を切り、第2出力側クラッチ13を接続することで実現する。このように、モータMG1
とモータMG2とを併用することで、モータMG1の発生する動力自体は、図8のMG1
_Lモードの高効率領域34内またはその近傍の駆動トルクとしつつも、その高効率領域
34よりも大きい車軸15の駆動トルクを実現することができる。
【0099】
また、20km/hから約60km/hまでの車速域においては、区画43のすぐ上の
駆動トルク範囲をカバーする区画44が設けられており、その区画44には、MG1_L
モード、モータMG2の駆動モード、ENG_Hモードの組み合わせが割り当てられてい
る。この組み合わせは、入力側クラッチ8を切り、第1出力側クラッチ11および第2出
力側クラッチ13を接続することで実現する。このように、モータMG1、モータMG2
、エンジン1を併用することで、モータMG1の発生する動力自体は、図8のMG1_L
モードの高効率領域34内またはその近傍の駆動トルクとし、エンジン1の出力は、図8
のENG_Hモードの高効率領域38またはその近傍の駆動トルクとしつつも、その高効
率領域34、38よりも大きい車軸15の駆動トルクを実現することができる。
【0100】
またこのように、モータMG1とエンジン1とで用いるギア機構が異なるようにするこ
とができるので作動モードの選択の幅が広がる。特に図8に示したように、車速が約60
km/h以下の発進〜低中速加速領域39aには、MG1_Lモードの高効率領域34と
ENG_Hモードの高効率領域38の両方が含まれているので、これら2つを組み合わせ
て使用することができる。
【0101】
また、約20km/hから約60km/hまでの車速域においては、区画43、44の
すぐ上の駆動トルク範囲をカバーする区画45が設けられており、その区画45には、M
G1_Lモード、モータMG2の駆動モード、ENG_Lモードの組み合わせが割り当て
られている。この組み合わせは、入力側クラッチ8および第2出力側クラッチ13を接続
し、第1出力側クラッチ11を切ることで実現する。このように、モータMG1、モータ
MG2、エンジン1を併用することで、モータMG1の発生する動力自体は、図8のMG
1_Lモードの高効率領域34内またはその近傍の駆動トルクとし、エンジン1の出力は
、図8のENG_Lモードの高効率領域37またはその近傍の駆動トルクとしつつも、そ
の高効率領域34、37よりも大きい車軸15の駆動トルクを実現することができる。ま
た、領域44と違ってENG_Lモードを用いるので、より大きい駆動トルクを効率よく
実現できる。
【0102】
また、約60km/hを超える領域においては、区画41のすぐ上の駆動トルク範囲を
カバーする区画46が設けられており、その区画46には、MG1非駆動モード、モータ
MG2の駆動モード、ENG_Hモードの組み合わせが割り当てられている。この組み合
わせは、入力側クラッチ8および第2出力側クラッチ13を切り、第1出力側クラッチ1
1を接続することで実現する。このようにモータMG2とエンジン1を併用することで、
モータMG2の発生する動力自体は、図8のMG2駆動モードの高効率領域33内または
その近傍の駆動トルクとし、エンジン1の出力は、図8のENG_Hモードの高効率領域
38内またはその近傍の駆動トルクとしつつも、その高効率領域33、38よりも大きい
車軸15の駆動トルクを実現することができる。
【0103】
また、約60km/hから約150km/hまでの領域においては、区画46のすぐ上
の駆動トルク範囲をカバーする区画47が設けられており、その区画47には、MG1_
Hモード、モータMG2の駆動モード、ENG_Hモードの組み合わせが割り当てられて
いる。この組み合わせは、第2出力側クラッチ13を切り、入力側クラッチ8および第1
出力側クラッチ11を接続することで実現する。このように、モータMG1、モータMG
2、エンジン1を併用することで、モータMG1の発生する動力自体は、図8のMG1_
Hモードの高効率領域35内またはその近傍の駆動トルクとし、エンジン1の出力は、図
8のENG_Hモードの高効率領域38内またはその近傍の駆動トルクとしつつも、その
高効率領域35、38よりも大きい車軸15の駆動トルクを実現することができる。
【0104】
このように、制御装置20は、EVメインモードでは、発進〜低中速加速域39aにお
いては、必要な駆動トルクが大きくなるにつれ、区画41のMG2単独モード、区画42
のMG1_L単独モード、区画43のMG1_L+MG2モード、区画44のMG1_L
+MG2+ENG_Hモード、区画45のMG1_L+MG2+ENG_Lモードの順に
駆動源を選択し、また、高速加速・登坂域39bでは、要求トルクが大きくなるにつれて
、区画41のMG2単独モード、区画46のMG2+ENG_Hモード、区画47のMG
1_H+MG2+ENG_Hモードの順に駆動源を選択する。
【0105】
なお、EVメインモードにおいて、入力側クラッチ8が接続されるのは、エンジン1と
モータMG1が同じギア機構を使用する区画45、47のみである。したがって、必要と
なる駆動トルクが非常に大きくならない限り、入力側クラッチ8が作動しないので、入力
側クラッチ8および入力側クラッチ8の摩擦板の摩耗を大幅に低減させることができると
ともに、アクチュエータの駆動エネルギーを大幅に低減させることができる。
【0106】
次に、図10のエンジンメインモード用の切替マップの内容について説明する。エンジ
ンメインモードでは、EVメインモードとは異なり、常にエンジン1を用いることで、車
両駆動用バッテリのSOCの急な低下を抑えている。
【0107】
図10のエンジンメインモード用の切替マップでは、極低速域(時速約15km未満の
速度域)を除いたすべての車速域に渡って、およそ駆動トルク200〜300Nm以下の
範囲が1つの区画51となっており、その区画51には、MG2の駆動モード、モータM
G1の非駆動モード、ENG_Hモードの組み合わせが割り当てられている。この組み合
わせは、入力側クラッチ8、第2出力側クラッチ13を切り、第1出力側クラッチ11を
接続し、モータMG1を停止させることで実現する。このとき、モータMG1は完全に停
止することができるので、モータMG1の連れ回り回転による損失を低減できる。
【0108】
また、0km/hから約15km/hまでの極低速域かつ約400Nm以下の範囲をカ
バーすると共に、約15km/hから約60km/hまでの発進〜低中速加速域において
、区画51のすぐ上の駆動トルク範囲をカバーする区画52が設けられており、その区画
52には、MG1の非駆動モード、モータMG2の駆動モード、ENG_Lモードの組み
合わせが割り当てられている。この組み合わせは、第1出力側クラッチ11を切り、入力
側クラッチ8および第2出力側クラッチ13を接続し、モータMG1を駆動せず第1モー
タ入力軸6の回転によって空回りさせることで実現する。この区画52は、図8に示した
ENG_Lモードの高効率領域37が含まれているので、このようにすることで効率が高
くなる。
【0109】
また、0km/hから約60km/hまでの発進〜低中速加速域においては、区画52
のすぐ上の駆動トルク範囲をカバーする区画53が設けられており、その区画53には、
MG1_Lモード、モータMG2の駆動モード、ENG_Lモードの組み合わせが割り当
てられている。この組み合わせは、第1出力側クラッチ11を切り、入力側クラッチ8お
よび第2出力側クラッチ13を接続することで実現する。
【0110】
このように、モータMG1、モータMG2、エンジン1を併用することで、モータMG
1の発生する動力自体は、図8のMG1_Lモードの高効率領域34内またはその近傍の
駆動トルクとし、モータMG2の発生する動力は、図8のMG2駆動モードの高効率領域
36内またはその近傍の駆動トルクとし、エンジン1の出力は、図8のENG_Lモード
の高効率領域37またはその近傍の駆動トルクとしつつも、その高効率領域34、36、
37よりも大きい車軸15の駆動トルクを実現することができる。また、領域52と違っ
てMG1_Lモードも用いるので、より大きい駆動トルクを効率よく実現できる。
【0111】
また、約60km/hから約150km/hまでの領域においては、区画51のすぐ上
の駆動トルク範囲をカバーする区画54が設けられており、その区画54には、MG1_
Hモード、モータMG2の駆動モード、ENG_Hモードの組み合わせが割り当てられて
いる。この組み合わせは、第2出力側クラッチ13を切り、入力側クラッチ8および第1
出力側クラッチ11を接続することで実現する。
【0112】
このように、モータMG1、モータMG2、エンジン1を併用することで、モータMG
1の発生する動力自体は、図8のMG1_Hモードの高効率領域35内またはその近傍の
駆動トルクとし、モータMG2の発生する動力は、図8のMG2駆動モードの高効率領域
36内またはその近傍の駆動トルクとし、エンジン1の出力は、図8のENG_Hモード
の高効率領域38またはその近傍の駆動トルクとしつつも、その高効率領域35、36、
38よりも大きい車軸15の駆動トルクを実現することができる。
【0113】
このように、制御装置20は、エンジンメインモードでは、約15km/h未満の極低
速域においては、必要な駆動トルクが大きくなるにつれ、区画52のENG_L+MG2
モード、区画53のMG1_L+MG2+ENG_Lモードの順に駆動源を選択し、また
、低中速加速域39a中で約15km/h以上となる範囲においては、必要な駆動トルク
が大きくなるにつれ、区画51のENG_H+MG2モード、区画52のENG_L+M
G2モード、区画53のMG1_L+MG2+ENG_Lモードの順に駆動源を選択し、
また、高速加速・登坂域39bでは、要求トルクが大きくなるにつれて、区画51のEN
G_H+MG2モード、区画54のMG1_H+MG2+ENG_Hモードの順に駆動源
を選択する。
【0114】
以上説明した通り、制御装置20は、車両駆動用バッテリのSOCに応じてモータMG
1、MG2主体のEVメインモードとエンジン1主体のエンジンメインモードを使い分け
、それぞれにおいて、必要とする駆動トルクと車速に応じて、モータMG1、MG2、エ
ンジン1の作動・非作動および減速比の組み合わせから効率の良い組み合わせを選択し、
選択した組み合わせを実現するよう、入力側クラッチ8、第1出力側クラッチ11、第2
出力側クラッチ13の断続およびモータMG1、MG2の駆動、非駆動を制御する。
【0115】
また、図9、図10の切替マップに示されるように、通常の走行において実現する領域
(車速0km/h〜60km/hかつ駆動トルク0Nm〜300Nm)においては、EN
G_LモードよりもENG_Hモードの方がより多用され、また、MG1_Hモードより
もMG1_Lモードの方が、より多用される。
【0116】
このように、制御装置20は、高速および中速走行時でかつ、モータMG1の動力のみ
で走行が不可能な領域において、モータMG1の効率が良い領域34、35で運転できる
よう、入力側クラッチ8、第1出力側クラッチ11、第2出力側クラッチ13の断続を切
替え、モータMG1の動力伝達の経路を減速比の低いハイギアと高いローギアとを選択可
能とする。
【0117】
また制御装置20は、高速走行時でかつ、エンジン1の動力のみで走行が可能な場合に
おいて、入力側クラッチ8を接続することなく、エンジン1側に設置した減速比の小さい
ハイギア機構を介して、エンジン1とモータMG2の動力を駆動輪に伝達する。
【0118】
また制御装置20は、低速走行時で、モータMG1の動力のみで走行可能な場合におい
て、モータMG1側に設置した減速比の大きいローギアを介してモータMG1の動力を駆
動輪に伝達する。
【0119】
また制御装置20は、低速走行時で、モータMG1の動力のみで走行が不可能な場合に
おいて、入力側クラッチ8を接続することにより、モータMG1側に設置した減速比の大
きいローギアを介して、エンジン1とモータMG1の総力を車軸15に伝達する。
【0120】
以上説明したように車両用動力伝達装置が構成されていることで、入力側クラッチ8を
接続すれば、エンジン1とモータMG1とでエンジン側のハイギア機構5、10、11ま
たはモータ側のローギア機構7、12、13を共用することができる。また、入力側クラ
ッチ8を切れば、エンジン1がハイギア機構5、10、11を使用しながら、モータMG
1がローギア機構7、12、13を使用することができる。
【0121】
また、エンジン1側には最も減速比の小さいハイギア機構が設けられ、また、モータM
G1側には最も減速比の大きいローギア機構が設けられることになる。したがって、エン
ジン1は、ハイブリッド車両において一般的にエンジン1が使用する頻度の高いギア機構
を、入力側クラッチ8の断続に関わらず使用することができ、また、モータMG1は、ハ
イブリッド車両において一般的にモータMG1が使用する頻度の高いギア機構を、入力側
クラッチ8の断続に関わらず使用することができる。
【0122】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態の車両用動力伝達装置は、図13に示すように、第1実施形態とは異なり、第
1モータ入力軸6と第2エンジン入力軸4とを断続する入力側クラッチ8が、第1ドライ
ブギア5と第2ドライブギア7の間ではなく、モータMG1と第2ドライブギア7の間に
配置されている。
【0123】
このような配置を実現するため、入力側クラッチ8の第1モータ入力軸6と共に回転す
る部分に、円筒状の円筒モータ入力軸18が取り付けられている。この円筒モータ入力軸
18は、入力側クラッチ8の第2エンジン入力軸4と共に回転する部分を同軸に取り囲む
と共に第2エンジン入力軸4を同軸に取り囲んでエンジン1方向に延びており、第1モー
タ入力軸6と共に回転する。そして、第2ドライブギア7は、第1モータ入力軸6ではな
く、円筒モータ入力軸18のエンジン1に近い方の端部に取り付けられ、この円筒モータ
入力軸18と共に回転するようになっている。
【0124】
本実施形態では、円筒モータ入力軸18によって第2エンジン入力軸4が回転可能に支
持されると共に、円筒モータ入力軸18が第2エンジン入力軸4によって回転可能に支持
されるので、第1実施形態の車両用動力伝達装置に比べて、入力軸4、6、18を支持す
るベアリング部材を別途設ける数が少なくて済む。また、ローギア機構とハイギア機構と
の間に入力側クラッチ8が配置されていないので、ローギア機構とハイギア機構から成る
ユニットをコンパクトに製造することが可能となる。
【0125】
また、本実施形態においては、エンジン1、エンジン入力軸2、4、第1ドライブギア
5、第2ドライブギア7、入力側クラッチ8、第1モータ入力軸6、モータMG1が、こ
の順で同軸上に配置されている。このようにすることで、第1モータ入力軸6のシャフト
長が短くでき、ねじれ振動に対する耐性が増加する。
【0126】
本実施形態の他の構成および制御装置20の作動は、第1実施形態と同じである。した
がって、第1実施形態と同様、エンジン1から第1ドライブギア5へ動力を伝達する第2
エンジン入力軸4と、モータMG1から第2ドライブギア7へ動力を伝達する第1モータ
入力軸6とが、入力側クラッチ8によって断続可能となっている点も同じであるので、第
1実施形態と同様の作動モードの組み合わせの選択が可能となる。
【0127】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態の車両用動力伝達装置は、第1実施形態とは異なり、図14に示すように、第
1モータ入力軸6と第2エンジン入力軸4とを断続する入力側クラッチ8が、第1ドライ
ブギア5と第2ドライブギア7の間ではなく、エンジン1と第1ドライブギア5の間に配
置されている。
【0128】
このような配置を実現するため、入力側クラッチ8の第2エンジン入力軸4と共に回転
する部分に、円筒状の円筒エンジン入力軸19が取り付けられている。この円筒エンジン
入力軸19は、入力側クラッチ8の第1モータ入力軸6と共に回転する部分を同軸に取り
囲むと共に第1モータ入力軸6を同軸に取り囲んでモータMG1方向に延びており、第2
エンジン入力軸4と共に回転する。そして、第1ドライブギア5は、第2エンジン入力軸
4ではなく、円筒エンジン入力軸19のモータMG1に近い方の端部に取り付けられ、こ
の円筒エンジン入力軸19と共に回転するようになっている。
【0129】
本実施形態では、円筒エンジン入力軸19によって第1モータ入力軸6が回転可能に支
持されると共に、円筒エンジン入力軸19が第1モータ入力軸6によって回転可能に支持
されるので、第1実施形態の車両用動力伝達装置に比べて、入力軸4、6、19を支持す
るベアリング部材を別途設ける数が少なくて済む。また、ローギア機構とハイギア機構と
の間に入力側クラッチ8が配置されていないので、ローギア機構とハイギア機構から成る
ユニットをコンパクトに製造することが可能となる。
【0130】
また、本実施形態においては、エンジン1、エンジン入力軸2、4、入力側クラッチ8
、第1ドライブギア5、第2ドライブギア7、第1モータ入力軸6、モータMG1が、こ
の順で同軸上に配置されている。このようにすることで、エンジン入力軸2、4のシャフ
ト長が短くでき、ねじれ振動に対する耐性が増加する。
【0131】
本実施形態の他の構成および制御装置20の作動は、第1実施形態と同じである。した
がって、第1実施形態と同様、エンジン1から第1ドライブギア5へ動力を伝達する第2
エンジン入力軸4と、モータMG1から第2ドライブギア7へ動力を伝達する第1モータ
入力軸6とが、入力側クラッチ8によって断続可能となっている点も同じであるので、第
1実施形態と同様の作動モードの組み合わせの選択が可能となる。
【0132】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。図
15に、本実施形態に係る車両用動力伝達装置の構成を示す(ただし、制御装置20は図
示しない)。この図中、第1実施形態と同じ構成部品には、第1実施形態と同じ参照符号
を付し、それらの説明は省略または簡略化する。
【0133】
本実施形態が第1実施形態と大きく異なるのは、ギア機構がローとハイの2段に加え、
ミドルギア機構(第2モータ側ギア機構の一例に相当する)も設けられている点である。
ミドルギア機構の減速比は、ローギア機構の減速比よりも小さく、ハイギア機構の減速比
よりも大きい。
【0134】
具体的には、動力伝達経路で見た入力側クラッチ8のモータMG1側に、ローとミドル
の2段のギア機構が設けられている。このようにすることで、エンジン1は、ハイブリッ
ド車両において一般的にエンジン1が使用する頻度の高いギア機構を、入力側クラッチ8
の断続に関わらず使用することができ、また、モータMG1は、ハイブリッド車両におい
て一般的にモータMG1が使用する頻度の高い第1、第2モータ側ギア機構を、入力側ク
ラッチ8の断続に関わらず使用することができる。
【0135】
より詳細には、本実施形態においてモータMG1から伸びてモータMG1の発生した動
力が入力される第1モータ入力軸6aは、円筒状の軸となっており、入力側クラッチ8か
らエンジン1側に伸びて第2エンジン入力軸4を同軸に取り囲むような構造となっている
。したがって、第1モータ入力軸6は、入力側クラッチ8よりもエンジン1に近い側に配
置されている。
【0136】
また、モータMG1のロータは、この第1モータ入力軸6aと同軸に固定される。した
がって、モータMG1が駆動されて動力を発生し、このロータがモータMG1のステータ
に対して回転すると、それと共に第1モータ入力軸6aも回転する。
【0137】
また、第1モータ入力軸6a上のモータMG1よりもエンジン1に近い側には、第2ド
ライブギア7aおよび第3ドライブギア7bが軸着されており、第1モータ入力軸6aの
回転と共に回転するようになっている。
【0138】
また、第2ドライブギア7aは、第2ドリブンギア12aに噛合しており、この第2ド
リブンギア12aは、出力軸9に回動自在に支持される。また、第2出力側クラッチ13
aが、出力軸9に取り付けられ、出力軸9と第2ドリブンギア12aとを相互に断続する

【0139】
また、第3ドライブギア7bは、第3ドリブンギア12bに噛合しており、この第3ド
リブンギア12bは、出力軸9に回動自在に支持される。また、第3出力側クラッチ13
bが、出力軸9に取り付けられ、出力軸9と第3ドリブンギア12bとを相互に断続する

【0140】
また、第1ドライブギア5は、エンジン1と第2ドライブギア7a(および第3ドライ
ブギア7b)との間に設けられている。このようにすることで、エンジン1からエンジン
側ギア機構5、10、11までの距離を低減することができ、その結果、エンジン入力軸
2、4のねじれ振動に対する耐性を高く保つことができる。
【0141】
また、本実施形態においては、モータMG2は、図15に点線で示すように出力軸9に
取り付けられていてもよいし、あるいは、モータMG2は設けられていなくてもよいが、
以下では、モータMG2は設けられていないものとして説明する。
【0142】
以上のような構成の車両用動力伝達装置において、第1実施形態と同様、第1ドライブ
ギア5、第1ドリブンギア10、および第1出力側クラッチ11が、ハイギア機構を構成
する。
【0143】
また、第2出力側クラッチ13aを接続することで、出力軸9と第2ドリブンギア12
aとの間で動力伝達が行われる。したがって、第2ドライブギア7a、第2ドリブンギア
12a、第2出力側クラッチ13aを介して第1モータ入力軸6aと出力軸9の間で(エ
ンジン入力軸2、4を介さず)動力伝達が行われる。逆に、第2出力側クラッチ13aを
切ると、第2ドライブギア7a、第2ドリブンギア12a、第2出力側クラッチ13aを
介して第1モータ入力軸6aと出力軸9の間で動力伝達が行われることがなくなる。これ
ら第2ドライブギア7a、第2ドリブンギア12a、および第2出力側クラッチ13aが
、ローギア機構(第1モータ側ギア機構の一例に相当する)を構成する。
【0144】
また、第3出力側クラッチ13bを接続することで、出力軸9と第3ドリブンギア12
bとの間で動力伝達が行われる。したがって、第3ドライブギア7b、第3ドリブンギア
12b、第3出力側クラッチ13bを介して第1モータ入力軸6aと出力軸9の間で動力
伝達が行われる。逆に、第3出力側クラッチ13bを切ると、第3ドライブギア7b、第
3ドリブンギア12b、第3出力側クラッチ13bを介して第1モータ入力軸6aと出力
軸9の間で(エンジン入力軸2、4を介さず)動力伝達が行われることがなくなる。これ
ら第2ドライブギア7b、第2ドリブンギア12b、および第2出力側クラッチ13bが
、ミドルギア機構(第2モータ側ギア機構の一例に相当する)を構成する。
【0145】
ローギア機構の減速比は、ミドルギア機構の減速比よりも大きくなっており、ミドルギ
ア機構の減速比は、ハイギア機構の減速比よりも大きくなっている。したがって、車両用
動力伝達装置においては、動力の伝達経路から見ても配置から見ても、エンジン1に最も
近いギア機構がハイギア機構であり、モータMG1に最も近いギア機構がローギア機構で
ある。
【0146】
このような構成において、制御装置20は、車両内で取得された第1実施形態と同様の
各種物理量に基づいて、上記のモータMG1の駆動、非駆動、および、入力側クラッチ8
、第1出力側クラッチ11、第2出力側クラッチ13a、第3出力側クラッチ13bの接
続、切断を制御することで、エンジン1、モータMG1が発生する動力の伝達経路および
減速比を制御する。
【0147】
このような制御装置20によるクラッチ8、11、13a、13bの制御によって、モ
ータMG1の発生する動力は、ローギア機構を介して駆動輪16、17に伝達されること
も、ミドルギア機構を介して駆動輪16、17に伝達されることも、ハイギア機構を介し
て駆動輪16、17に伝達されることも、可能となる。また、エンジン1の発生する動力
についても、ローギア機構を介して駆動輪16、17に伝達されることも、ミドルギア機
構を介して駆動輪16、17に伝達されることも、ハイギア機構を介して駆動輪16、1
7に伝達されることも、可能となる。
【0148】
図16に、制御装置20によるクラッチ8、11、13a、13bの制御内容と、モー
タMG1およびエンジン1の使用するギア機構との対応関係を示す。この図では、丸印が
クラッチの接続を示し、無印がクラッチの切断を示す。
【0149】
例えば、エンジン1がミドルギア機構を介して動力を伝達するENG_Mモードと、モ
ータMG1がミドルギア機構を介して動力を伝達するMG1_Mモードとを組み合わせた
ENG_M+MG1_Mモードは、入力側クラッチ8および第3出力側クラッチ13bを
接続し、第1出力側クラッチ11および第2出力側クラッチ13aを切ることで実現する
。このように、エンジン1とモータMG1とで同じギア機構を共用することができる。
【0150】
また例えば、エンジン1がハイギア機構を介して動力を伝達するENG_Hモードと、
モータMG1がミドルギア機構を介して動力を伝達するMG1_Mモードとを組み合わせ
たENG_H+MG1_Mモードは、第1出力側クラッチ11および第3出力側クラッチ
13bを接続し、入力側クラッチ8および第2出力側クラッチ13aを切ることで実現す
る。このように、エンジン1とモータMG1とで異なるギア機構を用いることもできる。
ただし、その場合は、車両用動力伝達装置の構造上、エンジン1の使用するギア機構はハ
イギア機構に限定され、モータMG1の使用するギア機構はローギア機構またはミドルギ
ア機構に限定される。
【0151】
また例えば、エンジン1がハイギア機構を介して動力を伝達するENG_Hモードのみ
を使用するENG_H単独モードは、第1出力側クラッチ11を接続し、入力側クラッチ
8、第2出力側クラッチ13a、第3出力側クラッチ13bを切ることで実現する。
【0152】
また、図17に、モータMG1およびエンジン1の特性の一例を、図8と同じ形式で示
す。図中、実線60は、平地低速走行時の各車速において必要な駆動トルクを示している
。実線61、62、63は、それぞれMG1_Lモード、MG1_Mモード、MG1_H
モードでの各車速におけるモータMG1の発生可能な駆動トルクの上限を示す。
【0153】
また、点線で囲まれた範囲64、65、66は、それぞれMG1_Lモード、MG1_
Mモード、MG1_Hモードで効率(燃費に相当する)が所定の基準以上に高いと想定さ
れる範囲を示す。また、実線67、68、69は、それぞれENG_Lモード、ENG_
Mモード、ENG_Hモードで効率が最大になると想定される範囲(最大効率線)を示す

【0154】
本実施形態においても、このようなエンジン1とモータMG1の特性を勘案して、車両
の状態に適した走行を実現するために、モータMG1およびエンジン1の作動モードを選
定する。
【0155】
モータMG1およびエンジン1の作動モードの選定の基本的な考え方は、車速と必要な
駆動トルクとの関係において、効率が最も良い組み合わせを選定する。具体的には、制御
装置20は、第1実施形態と同様の方法で、SOCに基づいてEVメインモードとエンジ
ンメインモードの間で走行モードを切り替え、EVメインモードとエンジンメインモード
のそれぞれにおいて、対応する切替マップを用いて、必要とする駆動トルクと取得した車
速に対応するモータMG1およびエンジン1の作動モードの組み合わせを選択する。
【0156】
ただし、本実施形態においては、EVメインモード用の切替マップとしては、図18に
示す切替マップを採用し、エンジンメインモード用の切替マップとしては、図19に示し
た切替マップを採用する。
【0157】
ここで、図18、図19の切替マップの具体的な区画分けと割り当て内容について説明
する。まず、図18のEVメインモード用の切替マップでは、全車速域に渡って、およそ
駆動トルク400Nm以下の範囲が1つの区画71となっており、その区画71には、M
G1_Mモードとエンジン1の非駆動モードの組み合わせが割り当てられている。このよ
うにするのは、区画71内の中央に、MG1_Mモードの効率が高い領域65があるから
である。この組み合わせは、入力側クラッチ8、第1出力側クラッチ11、第2出力側ク
ラッチ13aを切り、第3出力側クラッチ13bを接続することで実現する。
【0158】
また、0km/hから約70km/hまでの発進〜低中速加速域においては、区画71
のすぐ上の駆動トルク範囲をカバーする区画72が設けられており、その区画72には、
MG1_Lモードとエンジン1の非駆動モードの組み合わせが割り当てられている。この
ようにするのは、区画72内の中央に、MG1_Lモードの効率が高い領域64があるか
らである。この組み合わせは、入力側クラッチ8、第1出力側クラッチ11、第3出力側
クラッチ13bを切り、第2出力側クラッチ13aを接続することで実現する。
【0159】
また、0km/hから約70km/hまでの発進〜低中速加速域においては、区画72
のすぐ上の駆動トルク範囲をカバーする区画73が設けられており、その区画73には、
MG1_LモードとENG_Lモードの組み合わせが割り当てられている。このように、
モータMG1とエンジン1とを併用することで、モータMG1の発生する動力自体は、図
17のMG1_Lモードの高効率領域64内またはその近傍の駆動トルクとし、エンジン
1の発生する動力自体は、図17のENG_Lモードの高効率領域67内またはその近傍
の駆動トルクとしつつも、その高効率領域64、67よりも大きい車軸15の駆動トルク
を実現することができる。この組み合わせは、第1出力側クラッチ11および第3出力側
クラッチ13bを切り、入力側クラッチ8および第2出力側クラッチ13aを接続するこ
とで実現する。
【0160】
また、時速70kmを超える高速域においては、区画71のすぐ上の駆動トルク範囲を
カバーする区画74が設けられており、その区画74には、MG1_MモードとENG_
Hモードの組み合わせが割り当てられている。このように、モータMG1とエンジン1と
を併用することで、モータMG1の発生する動力自体は、図17のMG1_Mモードの高
効率領域65内またはその近傍の駆動トルクとし、エンジン1の発生する動力自体は、図
17のENG_Hモードの高効率領域69内またはその近傍の駆動トルクとしつつも、そ
の高効率領域65、69よりも大きい車軸15の駆動トルクを実現することができる。こ
の組み合わせは、入力側クラッチ8および第2出力側クラッチ13aを切り、第1出力側
クラッチ11および第3出力側クラッチ13bを接続することで実現する。
【0161】
また、時速60kmを超える高速域においては、区画74のすぐ上の駆動トルク範囲を
カバーする区画75が設けられており、その区画75には、MG1_MモードとENG_
Mモードの組み合わせが割り当てられている。このように、モータMG1とエンジン1と
を併用することで、モータMG1の発生する動力自体は、図17のMG1_Mモードの高
効率領域65内またはその近傍の駆動トルクとし、エンジン1の発生する動力自体は、図
17のENG_Mモードの高効率領域68内またはその近傍の駆動トルクとしつつも、そ
の高効率領域65、68よりも大きい車軸15の駆動トルクを実現することができる。ま
た、ENG_Mモードの高効率領域68は、ENG_Hモードの高効率領域69よりも駆
動トルクの値が高いので、より高い駆動トルクを実現できる。この組み合わせは、第1出
力側クラッチ11および第2出力側クラッチ13aを切り、入力側クラッチ8および第3
出力側クラッチ13bを接続することで実現する。
【0162】
なお、EVメインモードにおいて、入力側クラッチ8が接続されるのは、エンジン1と
モータMG1が同じギア機構を使用する区画73、75のみである。したがって、必要と
なる駆動トルクが非常に大きくならない限り、入力側クラッチ8が作動しないので、入力
側クラッチ8および入力側クラッチ8の摩擦板の摩耗を大幅に低減させることができると
ともに、アクチュエータの駆動エネルギーを大幅に低減させることができる。
【0163】
次に、図19のエンジンメインモード用の切替マップでは、0km/hから20km/
hまでの極低速域において、必要とする駆動トルクが約400Nm以下の範囲の区画81
では、MG1_Mモードのみで駆動するMG1_M単独モードが割り当てられている。こ
のように、エンジン1の使用を主体とするエンジンメインモードにおいても、電力消費が
あまり大きくない極低速域においては、モータMG1のみで車両を駆動する。この組み合
わせは、入力側クラッチ8、第1出力側クラッチ11、第2出力側クラッチ13aを切り
、第3出力側クラッチ13bを接続することで実現する。
【0164】
また、極低速域において、区画81のすぐ上の駆動トルク範囲をカバーする区画82が
設けられており、その区画82には、MG1_Lモードのみで駆動するMG1_L単独モ
ードが割り当てられている。このように、エンジン1の使用を主体とするエンジンメイン
モードにおいても、電力消費があまり大きくない極低速域においては、モータMG1のみ
で車両を駆動する。また、区画81に比べて駆動トルクが大きいので、MG1_Mモード
の代わりに、高い駆動トルク域に高効率領域64を有するMG1_Lモードを用いる。
この組み合わせは、入力側クラッチ8、第1出力側クラッチ11、第3出力側クラッチ1
3bを切り、第2出力側クラッチ13aを接続することで実現する。
【0165】
また、MG1_Mモードの高効率領域を中央に含む区画83では、MG1_Mモードと
ENG_Hモードの組み合わせが割り当てられている。また、MG1_H高効率領域を中
央に含む区画84では、MG1_HモードとENG_Hモードの組み合わせが割り当てら
れている。この区画84に割り当てられた組み合わせは、第2出力側クラッチ13aおよ
び第3出力側クラッチ13bを切り、入力側クラッチ8および第1出力側クラッチ11を
接続することで実現する。
【0166】
また、約20km/h〜約150km/hの中高速域において、区画83、84のすぐ
上の駆動トルク範囲をカバーする区画85が設けられており、その区画86には、MG1
モードとENG_Mモードの組み合わせが割り当てられている。このように、モータMG
1とエンジン1とを併用することで、モータMG1の発生する動力自体は、図17のMG
1_Mモードの高効率領域65内またはその近傍の駆動トルクとし、エンジン1の発生す
る動力自体は、図17のENG_Mモードの高効率領域68内またはその近傍の駆動トル
クとしつつも、その高効率領域65、68よりも大きい車軸15の駆動トルクを実現する
ことができる。
【0167】
また、約20km/h〜約60km/hの中速域において、区画82、85のすぐ上の
駆動トルク範囲をカバーする区画86が設けられており、その区画86には、MG1_L
モードとENG_Lモードの組み合わせが割り当てられている。このように、モータMG
1とエンジン1とを併用することで、モータMG1の発生する動力自体は、図17のMG
1_Lモードの高効率領域64内またはその近傍の駆動トルクとし、エンジン1の発生す
る動力自体は、図17のENG_Lモードの高効率領域67内またはその近傍の駆動トル
クとしつつも、その高効率領域64、67よりも大きい車軸15の駆動トルクを実現する
ことができる。
【0168】
なお、エンジンメインモードにおいて、入力側クラッチ8が接続されるのは、エンジン
1とモータMG1が同じギア機構を使用する区画84、85、86のみである。したがっ
て、必要となる駆動トルクが非常に大きくなるか、車速が非常に大きくならない限り、入
力側クラッチ8が作動しないので、入力側クラッチ8および入力側クラッチ8の摩擦板の
摩耗を大幅に低減させることができるとともに、アクチュエータの駆動エネルギーを大幅
に低減させることできる。
【0169】
以上説明した通り、制御装置20は、車両駆動用バッテリのSOCに応じてモータMG
1主体のEVメインモードとエンジン1主体のエンジンメインモードを使い分け、それぞ
れにおいて、必要とする駆動トルクと車速に応じて、モータMG1、エンジン1の作動・
非作動および減速比の組み合わせから効率の良い組み合わせを選択し、選択した組み合わ
せを実現するよう、入力側クラッチ8、第1出力側クラッチ11、第2出力側クラッチ1
3a、第3出力側クラッチ13bの断続およびモータMG1の駆動、非駆動を制御する。
【0170】
また、図18、図19の切替マップに示されるように、通常の走行において実現する領
域(車速0km/h〜60km/hかつ駆動トルク0Nm〜300Nm)においては、E
NG_LモードよりもENG_Hモードの方がより多用され、また、MG1_Hモードよ
りもMG1_Mモード、MG1_Lモードの方が、より多用される。
【0171】
このように、ギア機構を3段以上の多段構成としても、第1実施形態と同様の効果を得
ることができる。
【0172】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。図
20に、本実施形態に係る車両用動力伝達装置の構成を示す(ただし、制御装置20は図
示しない)。この図中、第1実施形態と同じ構成部品には、第1実施形態と同じ参照符号
を付し、それらの説明は省略または簡略化する。
【0173】
本実施形態が第1実施形態と大きく異なるのは、第4実施形態と同様、ギア機構がロー
とハイの2段に加え、ミドルギア機構も設けられている点である。具体的には、動力伝達
経路で見ても配置から見ても、入力側クラッチ8のモータMG1側には、ローとミドルの
2段のギア機構が設けられている。
【0174】
より詳細には、第1モータ入力軸6には、第2ドライブギア7cおよび第3ドライブギ
ア7dが軸着されており、第1モータ入力軸6の回転と共に回転するようになっている。
【0175】
また、第2ドライブギア7cは、第2ドリブンギア12cに噛合しており、この第2ド
リブンギア12cは、出力軸9に回動自在に支持される。また、第2出力側クラッチ13
cが、出力軸9に取り付けられ、出力軸9と第2ドリブンギア12cとを相互に断続する

【0176】
また、第3ドライブギア7dは、第3ドリブンギア12dに噛合しており、この第3ド
リブンギア12dは、出力軸9に回動自在に支持される。また、第3出力側クラッチ13
dが、出力軸9に取り付けられ、出力軸9と第3ドリブンギア12dとを相互に断続する
。また、本実施形態においては、モータMG2設けられていない。
【0177】
以上のような構成の車両用動力伝達装置において、制御装置20の作動は、第4実施形
態と同じである。
【0178】
このように、ギア機構を3段以上の多段構成としても、第1実施形態と同様の効果を得
ることができる。
【0179】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態の車両用動力伝達装置では、図21に示すように、モータMG1および第2ド
ライブギア7(ローギア機構を構成する)が、第1実施形態とは異なり、第1ドライブギ
ア5(ハイギア機構を構成する)とエンジン1の間の位置に配置されている。
【0180】
より具体的には、第2エンジン入力軸4上のダンパ3と第1ドライブギア5の間に、入
力側クラッチ8が取り付けられ、この入力側クラッチ8には、第1実施形態と違って円筒
状となっている第1モータ入力軸6が取り付けられている。この入力側クラッチ8により
、第2エンジン入力軸4と第1モータ入力軸6が互いに断続される点は、第1実施形態と
同じである。
【0181】
この第1モータ入力軸6は、第2エンジン入力軸4を同軸に取り囲んで入力側クラッチ
8から第1ドライブギア5側に延びている。そして、この第1モータ入力軸6には、入力
側クラッチ8に近い側から順にモータMG1および第2ドライブギア7が取り付けられて
いる。したがって、入力側クラッチ8はモータMG1とエンジン1の間の位置に配置され
ていることになる。
【0182】
また、第2ドリブンギア12および第2出力側クラッチ13も、第2ドライブギア7の
配置に合わせて、第1ドリブンギア10および第1出力側クラッチ11よりもディファレ
ンシャルギア14側に配置される。したがって、ハイギア機構5、10、11は、第1実
施形態とは異なり、ローギア機構7、12、13から見てエンジン1の反対側に配置され
るようになっている。
【0183】
このように、モータMG1は第1ドライブギア5(ハイギア機構)よりも第2ドライブ
ギア7(ローギア機構)よりもエンジン1に近く配置されている。したがって、従来の車
両においてクラッチ、トルクコンバータ等が設置されていた場所にモータMG1を配置す
ることができるので、スペースの有効利用が可能となる。また、モータMG1とモータM
G2の位置を離すことで、モータMG1との干渉を避けることができ、モータMG2の設
置寸法の自由度が増加する。
【0184】
なお、本実施形態の他の構成および制御装置20の作動は、第1実施形態と同じである
ので、第1実施形態と同様の作動モードの組み合わせの選択が可能となる。図21におい
て、図1と同じ構成要素には、同じ符号が付されている。
【0185】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態の車両用動力伝達装置では、図22に示すように、モータMG1および第2ド
ライブギア7(ローギア機構を構成する)が、第1実施形態とは異なり、第1ドライブギ
ア5(ハイギア機構を構成する)とエンジン1の間の位置に配置されている。
【0186】
より具体的には、第2エンジン入力軸4上のダンパ3と第1ドライブギア5の間に、入
力側クラッチ8が取り付けられ、この入力側クラッチ8には、第1実施形態と違って円筒
状となっている第1モータ入力軸6が取り付けられている。この入力側クラッチ8により
、第2エンジン入力軸4と第1モータ入力軸6が互いに断続される点は、第1実施形態と
同じである。
【0187】
この第1モータ入力軸6は、第2エンジン入力軸4を同軸に取り囲んで入力側クラッチ
8からエンジン1側に延びている。そして、この第1モータ入力軸6には、入力側クラッ
チ8に近い側から順に第2ドライブギア7およびモータMG1が取り付けられている。し
たがって、入力側クラッチ8は第1ドライブギア5(ハイギア機構)と第2ドライブギア
7(ローギア機構)の間の位置に配置されていることになる。
【0188】
また、第2ドリブンギア12および第2出力側クラッチ13も、第2ドライブギア7の
配置に合わせて、第1ドリブンギア10および第1出力側クラッチ11よりもディファレ
ンシャルギア14側に配置される。したがって、ハイギア機構5、10、11は、第1実
施形態とは異なり、ローギア機構7、12、13から見てエンジン1の反対側に配置され
るようになっている。
【0189】
このように、モータMG1は第1ドライブギア5(ハイギア機構)よりも第2ドライブ
ギア7(ローギア機構)よりもエンジン1に近く配置されている。したがって、従来の車
両においてクラッチ、トルクコンバータ等が設置されていた場所にモータMG1を配置す
ることができるので、スペースの有効利用が可能となる。また、モータMG1とモータM
G2の位置を離すことで、モータMG1との干渉を避けることができ、モータMG2の設
置寸法の自由度が増加する。
【0190】
なお、本実施形態の他の構成および制御装置20の作動は、第1実施形態と同じである
ので、第1実施形態と同様の作動モードの組み合わせの選択が可能となる。図22におい
て、図1と同じ構成要素には、同じ符号が付されている。
【0191】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。図23に、本実施形態に係る車両用動力伝達装置の構成を示す(ただし、制御装置20は図示しない)。この図中、第1実施形態と同じ構成部品には、第1実施形態と同じ参照符号を付し、それらの説明は省略または簡略化する。
【0192】
本実施形態が第1実施形態と異なるのは、ハイギア機構(エンジン側ギア機構の一例に相当する)、ローギア機構(第1モータ側ギア機構の一例に相当する)、および出力軸の構成である。
【0193】
まずハイギア機構について具体的に説明する。第1実施形態のハイギア機構(図1参照)は、第1ドライブギア5、第1ドリブンギア10、および第1出力側クラッチ11から構成されていたが、本実施形態のハイギア機構は、エンジン側遊星歯車機構Peおよびクラッチ21から構成されている。
【0194】
エンジン側遊星歯車機構Peにおいては、サンギアSeが第1エンジン入力軸2に接続され、リングギアReが(例えば車両のボディに)固定されている。そして、クラッチ21は、制御装置20の制御に従って、エンジン側遊星歯車機構PeのキャリアCeと第1出力軸9aの一端(エンジン1側端)とを相互に断続するようになっている。
【0195】
このようになっていることで、第1エンジン入力軸2に(エンジン1または入力側クラッチ8から)伝達された動力が、エンジン側遊星歯車機構Peの構成に応じた減速比で、サンギアSeからキャリアCeに伝達され、さらに、クラッチ21が接続している場合、キャリアCeから第1出力軸9aに伝達される。
【0196】
次に、ローギア機構について具体的に説明する。第1実施形態のローギア機構(図1参照)は、第2ドライブギア7、第2ドリブンギア12、および第2出力側クラッチ13から構成されていたが、本実施形態のローギア機構は、モータ側遊星歯車機構Pmおよびクラッチ23から構成されている。
【0197】
モータ側遊星歯車機構Pmにおいては、サンギアSmが第1モータ入力軸6に接続され、リングギアRmが(例えば車両のボディに)固定されている。そして、クラッチ23は、制御装置20の制御に従って、モータ側遊星歯車機構PmのキャリアCmと第1出力軸9aの他端(モータMG1側端)とを相互に断続するようになっている。
【0198】
このようになっていることで、第1モータ入力軸6に(モータMG1または入力側クラッチ8から)伝達された動力が、モータ側遊星歯車機構Pmの構成に応じた減速比(上述のエンジン側遊星歯車機構Peの構成に応じた減速比より大きい)で、サンギアSmからキャリアCmに伝達され、さらに、クラッチ23が接続している場合、キャリアCmから第1出力軸9aに伝達される。
【0199】
なお、本実施形態においては、ハイギア機構およびローギア機構の減速比は、共に1より大きく、ローギア機構の減速比の方がハイギア機構の減速比よりも大きい。
【0200】
次に、出力軸について具体的に説明する。本実施形態では、第1実施形態の出力軸9(図1参照)に代えて、第1出力軸9a、ギア9b、ギア9c、および第2出力軸9dを設けている。
【0201】
第1出力軸9aは、第1エンジン入力軸2、第1モータ入力軸6、および入力側クラッチ8を囲む円筒形状の動力伝達軸であり、第1エンジン入力軸2および第1モータ入力軸6と同軸に配置されている。
【0202】
モータMG2から伸びる第2出力軸9dには、モータMG2が発生した動力が入力される。この第2出力軸9dは、第1エンジン入力軸2、第1モータ入力軸6、および第1出力軸9aの側方にこれら入力軸2、4、6に対して平行に配置され、ディファレンシャルギア14、車軸15等に伝達するための動力を出力する。
【0203】
ギア9bは、第1出力軸9aに取り付けられ、この第1出力軸9aと共に回転するようになっている。ギア9cは、第2出力軸9dに取り付けられ、この第2出力軸9dと共に回転するようになっている。そして、ギア9bとギア9cは、互いに噛合することで、互いの歯数の比に応じた回転数比で共に回転する。
【0204】
このような構成を用いても、第1実施形態と同様、入力側クラッチ8が接続された場合、第1エンジン入力軸2上のハイギア機構Pe、11と、第1モータ入力軸6上のローギア機構Pm、13との間は、動力伝達が可能となる。また、入力側クラッチ8が切断された場合、第1エンジン入力軸2の動力と、第1モータ入力軸6の動力を、同時に違う減速比で第1出力軸9a、ギア9b、ギア9c、第2出力軸9dに伝達することが可能となる。
【0205】
なお、本実施形態の制御装置20の作動は、第1実施形態と同じである。ただし、第1出力側クラッチ11に対する断続の制御と同じ制御を、第1出力側クラッチ11に代えてクラッチ21に対して行う。また、第2出力側クラッチ13に対する断続の制御と同じ制御を、第2出力側クラッチ13に代えてクラッチ23に対して行う。
【0206】
(第9実施形態)
次に、本発明の第9実施形態について、第8実施形態との違いを中心に説明する。図24に、本実施形態に係る車両用動力伝達装置の構成を示す(ただし、制御装置20は図示しない)。この図中、第1実施形態と同じ構成部品には、第1実施形態と同じ参照符号を付し、それらの説明は省略または簡略化する。
【0207】
本実施形態の制御装置20の作動は、第8実施形態と同じである。本実施形態の車両用動力伝達装置の構成が第1実施形態と異なるのは、ハイギア機構(エンジン側遊星歯車機構Peおよびクラッチ21)の構成である。
【0208】
具体的には、エンジン側遊星歯車機構Peにおいては、キャリアCeが第1エンジン入力軸2に接続され、リングギアReが(例えば車両のボディに)固定されている。そして、クラッチ21は、制御装置20の制御に従って、エンジン側遊星歯車機構PeのサンギアSeと第1出力軸9aの一端(エンジン1側端)とを相互に断続するようになっている。
【0209】
このようになっていることで、第1エンジン入力軸2に(エンジン1または入力側クラッチ8から)伝達された動力が、エンジン側遊星歯車機構Peの構成に応じた減速比で、キャリアCeからサンギアSeに伝達され、さらに、クラッチ21が接続している場合、サンギアSeから第1出力軸9aに伝達される。
【0210】
このような構成を用いても、第8実施形態と同様の効果を得ることができる。また、このように、本実施形態では、サンギアSeとキャリアCeの接続関係が第8実施形態と逆にすることで、ハイギア機構の減速比を1よりも小さくしたオーバードライブを実現することができる。
【0211】
(第10実施形態)
次に、本発明の第10実施形態について、第8実施形態との違いを中心に説明する。図25に、本実施形態に係る車両用動力伝達装置の構成を示す(ただし、制御装置20は図示しない)。この図中、第1実施形態と同じ構成部品には、第1実施形態と同じ参照符号を付し、それらの説明は省略または簡略化する。
【0212】
本実施形態の制御装置20の作動は、第8実施形態と同じである。本実施形態の車両用動力伝達装置の構成が第1実施形態と異なるのは、ハイギア機構(エンジン側遊星歯車機構Peおよびクラッチ21)およびローギア機構(モータ側遊星歯車機構Pmおよびクラッチ23)の構成である。
【0213】
まず、ハイギア機構について具体的に説明する、エンジン側遊星歯車機構Peにおいては、サンギアSeが第1エンジン入力軸2に接続され、キャリアCeが(例えば車両のボディに)固定されている。そして、クラッチ21は、制御装置20の制御に従って、エンジン側遊星歯車機構PeのリングギアReと第1出力軸9aの一端(エンジン1側端)とを相互に断続するようになっている。
【0214】
このようになっていることで、第1エンジン入力軸2に(エンジン1または入力側クラッチ8から)伝達された動力が、エンジン側遊星歯車機構Peの構成に応じた減速比で、サンギアSeからリングギアReに伝達され、さらに、クラッチ21が接続している場合、リングギアReから第1出力軸9aに伝達される。
【0215】
次に、ローギア機構について具体的に説明する。モータ側遊星歯車機構Pmにおいては、サンギアSmが第1モータ入力軸6に接続され、キャリアCmが(例えば車両のボディに)固定されている。そして、クラッチ23は、制御装置20の制御に従って、モータ側遊星歯車機構PmのリングギアRmと第1出力軸9aの他端(モータMG1側端)とを相互に断続するようになっている。
【0216】
このようになっていることで、第1モータ入力軸6に(モータMG1または入力側クラッチ8から)伝達された動力が、モータ側遊星歯車機構Pmの構成に応じた減速比(上述のエンジン側遊星歯車機構Peの構成に応じた減速比より大きい)で、サンギアSmからリングギアRmに伝達され、さらに、クラッチ23が接続している場合、リングギアRmから第1出力軸9aに伝達される。
【0217】
このような構成を用いても、第8実施形態と同様、入力側クラッチ8が接続された場合、第1エンジン入力軸2上のハイギア機構Pe、11と、第1モータ入力軸6上のローギア機構Pm、13との間は、動力伝達が可能となる。また、入力側クラッチ8が切断された場合、第1エンジン入力軸2の動力と、第1モータ入力軸6の動力を、同時に違う減速比で第1出力軸9a、ギア9b、ギア9c、第2出力軸9dに伝達することが可能となる。
【0218】
(第11実施形態)
次に、本発明の第11実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、エンジンメインモードにおける切替マップとして、図10に示した切替マップに代えて、図26に示す切替マップを使用する点のみである。図10の切替マップに対して図26の切替マップが異なる点は、図10の区画51および52の一部が、発電モードを実施するための区画55に置き換えられている点である。置き換えられている部分は、具体的には、図10の区画51のうち、最も低速(本例では車速が0km/hから約30km/hまでの範囲)かつ最も低負荷(本例では駆動トルクが0Nmから約200Nmまでの範囲)な領域55である。
【0219】
このように、低速かつ低負荷の領域では、発電モードにおいて、エンジン1において発生した動力をモータMG1により発電することで、ギア機構(5、7、7a、7c、10、11、12、12a、12c、13、13a、13c)を介さずに車両駆動用バッテリに充電可能になるため、効率が向上しSOCの低下を抑制できる。
【0220】
(第12実施形態)
次に、本発明の第11実施形態について説明する。本実施形態が第11実施形態と異なるのは、エンジンメインモードにおける切替マップとして、図26に示した切替マップに代えて、図27に示す切替マップを使用する点のみである。図26の切替マップに対して図27の切替マップが異なる点は、図26においてMG1_Hモード、モータMG2の駆動モード、ENG_Hモードの組み合わせが割り当てられた区画54が、図10の区画52およびの全体および区画53のうちトルクの低い部分まで拡張されて区画56となっている点である。
【0221】
このようにすることで、点線矢印91に代表されるような、市街地走行での頻度が多い、低速低負荷から低速中負荷に推移する走行において、区画55から区画52に入った後は、既に説明した通りENG_Hモード主体で走行することで、変速回数を減らすことができる。実際、図26のような切替マップを用いた場合は、×印92の状態において変速が発生するが、本実施形態では、変速が発生しない。
【0222】
また、点線矢印93に代表されるような、追い越し加速時(中速低負荷から中速中負荷に推移する場合)に、既に説明した通りENG_Hモード主体で走行することで、変速回数を減らすことができる。実際、図26のような切替マップを用いた場合は、×印94の状態において変速が発生するが、本実施形態では、変速が発生しない。また、区画51から区画56へ移り変わるときも、モータMG1を作動させるのみなので、変速が発生しない。
【0223】
このように、本実施形態においては、図27の切替マップを用いることで、変速回数を減らすことができ、それにより、乗り心地を改善することができる。
【0224】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限
定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含す
るものである。
【0225】
(1)例えば、上記各実施形態では、入力側クラッチ8は、アクチュエータによって接
続、切断が制御され、接続時には、第2エンジン入力軸4から第1モータ入力軸6(また
は第1モータ入力軸6a)への駆動トルクの伝達、および、第1モータ入力軸6(または
第1モータ入力軸6a)から第2エンジン入力軸4への駆動トルクの伝達を行うようにな
っている。つまり、接続時には駆動トルクを双方向伝達できるようになっている。
【0226】
しかし、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、各実施形態の入力側クラ
ッチ8として、上記のようなものに代えて、周知のワンウェイクラッチやツーウェイクラ
ッチを採用してもよい。このワンウェイクラッチやツーウェイクラッチは、第2エンジン
入力軸4側から第1モータ入力軸6(または第1モータ入力軸6a)側にしか駆動トルク
を伝達しないように取り付ける。
【0227】
このようなワンウェイクラッチやツーウェイクラッチを採用することで、アクチュエー
タを用いて入力側クラッチ8の接続、切断を制御する必要がなくなり、その結果、アクチ
ュエータを設ける必要がなくなる。なぜなら、第1モータ入力軸6(または第1モータ入
力軸6a)側に設けられたギア機構(ロー、ミドル)は、第2エンジン入力軸4側に設け
られたハイギア機構よりも、減速比が大きいからである。
【0228】
つまり、例えば第5実施形態において、MG1_M+ENG_Hモードを選択する場合
、第1モータ入力軸6の回転速度は第2エンジン入力軸4の回転速度よりも大きくなるの
で、ワンウェイクラッチは空回りし、入力側クラッチ8が切れているのと同じことになり
、その結果、MG1_M+ENG_Hが実現する。つまり、モータMG1とエンジン1と
で異なる減速比を選択できる。
【0229】
また、MG1_L+ENG_Lモードを選択する場合、第2エンジン入力軸4から第1
モータ入力軸6に駆動トルクが伝達されるので、MG1_L+ENG_Lモードが実現す
る。ただし、第1モータ入力軸6から第2エンジン入力軸4に駆動トルクは伝達されない
ので、モータMG1_HモードおよびモータMG1_Hモードを組み合わせた作動モード
は実現しなくなるが、第5実施形態のEVメインモードのように、モータMG1_Hモー
ドおよびモータMG1_Hモードを組み合わせた作動モードを選択しなくとも、効率の良
い走行は可能である。
【0230】
このように、入力側クラッチ8としてワンウェイクラッチやツーウェイクラッチを採用
することで、モータMG1_HモードおよびモータMG1_Hモードを組み合わせた作動
モードが実現しなくなるものの、燃費をさほど悪化させることなく、入力側クラッチ8用
のアクチュエータを廃することができ、その分、車両用動力伝達装置の構成および制御が
簡易になる。
【0231】
(2)また、上記各実施形態においては、エンジン1と第1ドライブギア5との間にダ
ンパ3が設けられているが、このダンパを廃し、第1エンジン入力軸2と第2エンジン入
力軸4とを一体にしてもよい。
【0232】
(3)また、上記各実施形態において、ダンパ3と第1ドライブギア5の間の第2エン
ジン入力軸4にクラッチを設けてもよい。
【0233】
(4)また、上記第4実施形態において、第2出力側クラッチ13aと第3出力側クラ
ッチ13bは、互いに一体に形成されていてもよい。また、上記第5実施形態において、
第2出力側クラッチ13cと第3出力側クラッチ13dは、互いに一体に形成されていて
もよい。
【0234】
(5)また、クラッチ11、13、13a〜13dは、出力軸9側でなく、入力軸4、
6、6a、18、19側に取り付けられていてもよい。その場合、ドライブギア5、7、
7a〜7dは、入力軸に回動自在に取り付けられ、ドリブンギア10、12、12a〜1
2dは、出力軸9に軸着され、クラッチ11、13、13a〜13dは、入力軸4、6、
6a、18、19とドライブギア5、7、7a〜7dとを相互に断続するようにすればよ
い。
【0235】
(6)また、上記の実施形態において、制御装置20がプログラムを実行することで実
現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラム
することが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0236】
1 エンジン
2、4 エンジン入力軸
3 ダンパ
5 第1ドライブギア
6、6a モータ入力軸
7、7a、7c 第2ドライブギア
7b、7d 第3ドライブギア
8 入力側クラッチ
9 出力軸
9a 第1出力軸
9d 第2出力軸
11 第1出力側クラッチ
12、12a、12c 第2ドリブンギア
13、13a、13c 第2出力側クラッチ
12b、12d 第3ドリブンギア
13b、13d 第3出力側クラッチ
15 車軸
18 円筒モータ入力軸
19 円筒エンジン入力軸
20 制御装置
MG1、MG2 モータ
Pe エンジン側遊星歯車機構
Pm モータ側遊星歯車機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(1)が発生した動力とモータ(MG1)が発生した動力を車両の車軸(15
)に伝達する車両用動力伝達装置であって、
前記エンジン(1)が発生した動力が入力され、入力された前記エンジン(1)の動力
を伝達するエンジン入力軸(2、4、19)と、
前記モータ(MG1)が発生した動力が入力され、入力された前記モータ(MG1)の
動力を伝達するモータ入力軸(6、6a、18)と、
前記車軸(15)に伝達するための動力を出力する出力軸(9)と、
前記エンジン入力軸(2、4、19)に設けられ、前記エンジン入力軸(2、4、19
)の動力を、前記モータ入力軸(6、6a、18)を介さずに、前記出力軸(9)に伝達
するためのエンジン側ギア機構(5、10、11)と、
前記モータ入力軸(6、6a、18)に設けられ、前記モータ入力軸(6、6a、18
)の動力を、前記エンジン入力軸(2、4、19)を介さずに、前記出力軸(9)に伝達
するための第1モータ側ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、13、13
a、13c)と、
前記エンジン入力軸(2、4、19)と前記モータ入力軸(6、6a、18)とを相互
に断続する入力側クラッチ(8)と、を備え、
前記入力側クラッチ(8)が接続された場合、前記エンジン入力軸(2、4、19)上
の前記エンジン側ギア機構(5、10、11)と、前記モータ入力軸(6、6a、18)
上の前記第1モータ側ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、13、13a
、13c)との間は、動力伝達が可能となることを特徴とする車両用動力伝達装置。
【請求項2】
前記入力側クラッチ(8)が切断された場合、前記エンジン入力軸(2、4、19)の動力と、前記モータ入力軸(6、6a、18)の動力を、同時に違う減速比で前記出力軸(9)に伝達することが可能となることを特徴とする請求項1に記載の車両用動力伝達装置。
【請求項3】
前記エンジン側ギア機構(5、10、11)の減速比は、前記第1モータ側ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、13、13a、13c)の減速比よりも小さいことを特徴とする請求項1ないし2のいずれか1つに記載の車両用動力伝達装置。
【請求項4】
前記エンジン側ギア機構(5、10、11)の減速比は、当該車両用動力伝達装置に備
えられたギア機構の減速比のうちで最も小さく、前記第1モータ側ギア機構(7、7a、
7c、12、12a、12c、13、13a、13c)の減速比は、当該車両用動力伝達
装置に備えられたギア機構の減速比のうちで最も大きいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用動力伝達装置。
【請求項5】
前記モータ入力軸(6、6a、18)に設けられ、前記モータ入力軸(6、6a、18
)の動力を、前記エンジン入力軸(2、4、19)を介さずに、前記出力軸(9)に伝達
するための第2モータ側ギア機構(7b、7d、12b、12d、13b、13d)を備
え、
前記第1モータ側ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、13、13a、
13c)の減速比および前記第2モータ側ギア機構(7b、7d、12b、12d、13
b、13d)の減速比は、前記エンジン側ギア機構(5、10、11)の減速比よりも大
きいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用動力伝達装置。
【請求項6】
前記エンジン側ギア機構(5、10、11)は、前記第1モータ側ギア機構(7、7a
、7c、12、12a、12c、13、13a、13c)と前記エンジン(1)との間の
位置に配置されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用
動力伝達装置。
【請求項7】
前記入力側クラッチ(8)は、前記エンジン側ギア機構(5、10、11)と前記第1
モータ側ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、13、13a、13c)と
の間に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の車両用動力伝達装置。
【請求項8】
前記入力側クラッチ(8)は、前記モータ(MG1)と前記第1モータ側ギア機構(7
、12、13)の間に配置され、
・ 前記モータ入力軸(6、18)は、入力側クラッチ(8)の当該モータ入力軸(6
)と共に回転する部分に取り付けられた円筒状の円筒モータ入力軸(18)を含み、
前記円筒モータ入力軸(18)は、前記入力側クラッチ(8)の前記エンジン入力軸(
2、4)と共に回転する部分を取り囲むと共に前記エンジン入力軸(2、4)を取り囲ん
で前記エンジン(1)方向に延びており、前記モータ入力軸(6、18)の他の部分(6
)と共に回転し、
前記第1モータ側ギア機構(7、12、13)は、前記円筒モータ入力軸(18)の前
記エンジン(1)に近い方の端部に取り付けられることを特徴とする請求項6に記載の車
両用動力伝達装置。
【請求項9】
前記入力側クラッチ(8)は、前記エンジン(1)と前記エンジン側ギア機構(5、1
0、11)の間に配置され、
前記エンジン入力軸(2、4、19)は、入力側クラッチ(8)の当該前記エンジン入
力軸(2、4、19)と共に回転する部分に取り付けられた円筒状の円筒エンジン入力軸
(19)を含み、
前記円筒エンジン入力軸(19)は、前記入力側クラッチ(8)の前記モータ入力軸(
6)と共に回転する部分を取り囲むと共に前記モータ入力軸(6)を取り囲んで前記モー
タ(MG1)方向に延びており、前記エンジン入力軸(2、4、19)の他の部分(4)
と共に回転し、
前記エンジン側ギア機構(5、10、11)は、前記円筒エンジン入力軸(19)の前
記モータ(MG1)に近い方の端部に取り付けられることを特徴とする請求項6に記載の
車両用動力伝達装置。
【請求項10】
前記モータ(MG1)は、前記エンジン(1)と前記第1モータ側ギア機構(7、12
、13)との間に配置され、前記エンジン側ギア機構(5、10、11)は、前記第1モ
ータ側ギア機構(7、12、13)から見て前記エンジン(1)の反対側に配置されてい
ることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用動力伝達装置。
【請求項11】
前記入力側クラッチ(8)は、前記モータ(MG1)と前記エンジン(1)との間に配
置されていることを特徴とする請求項10に記載の車両用動力伝達装置。
【請求項12】
前記入力側クラッチ(8)は、前記エンジン側ギア機構(5、10、11)と前記第1
モータ側ギア機構(7、12、13)との間に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の車両用動力伝達装置。
【請求項13】
前記入力側クラッチ(8)は、前記エンジン入力軸(2、4、19)側から前記モータ
入力軸(6、6a、18)側にのみ駆動トルクを伝達するクラッチであり、
前記モータ側ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、13、13a、13
c)の減速比は、前記エンジン側ギア機構(5、10、11)の減速比よりも大きいこと
を特徴とする請求項1ないし12のいずれか1つに記載の車両用動力伝達装置。
【請求項14】
前記車両内で取得された物理量に基づいて、前記入力側クラッチ(8)および前記モー
タ側ギア機構(7、7a、7c、12、12a、12c、13、13a、13c)および
前記エンジン側ギア機構(5、10、11)の接続、切断を制御することで、前記エンジ
ン(1)および前記モータ(MG1)が発生する動力の伝達経路および減速比を制御する
制御装置(20)を備え、
前記制御装置(20)は、取得された前記物理量に割り当てられた前記エンジン(1)
および前記モータ(MG1)の作動モードを、物理量の値に作動モードを割り当てる所定
の切替マップに基づいて選択し、前記入力側クラッチ(8)、前記モータ側ギア機構(7
、7a、7c、12、12a、12c、13、13a、13c)および前記エンジン側ギ
ア機構(5、10、11)の接続、切断を制御することで、選択した作動モードを実現す
ることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1つに記載の車両用動力伝達装置。
【請求項15】
前記モータ(MG1)は、前記車両に搭載された車両駆動用バッテリの電力によって回
転し、
前記制御装置(20)は、複数種類の切替マップを記憶しており、前記車両駆動用バッ
テリのSOCを取得し、取得した前記SOCに基づいて、前記複数種類の切替マップのう
ち1つを選択することを特徴とする請求項14に記載の車両用動力伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−30775(P2012−30775A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20690(P2011−20690)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】