説明

車両用物体認識装置

【課題】レーザレーダセンサ5の高さ方向における中心レーザ光の中心軸角度と基準角度ΔAとのずれ角度を求める対象車種の制限を緩和し、もって、レーザレーダセンサ5の向きの変化を検出する機会を増加すること。
【解決手段】
Y軸方向における個々のレーザ光のビーム幅が、リフレクタ位置の設置高さのばらつき範囲をカバーできるまで広がる距離Zよりも遠方に前方車両が位置する場合に、その前方車両のリフレクタからの反射レーザ光を生じさせたレーザ光の面番号を検出する。これにより、前方車両のリフレクタ設置高さの変化に起因して、そのリフレクタからの反射レーザ光を生じさせるレーザ光の面番号が変化することを抑制できる。従って、複数個のレーザ光の面番号の平均値に基づいて、高さ方向におけるレーザ光の中心軸角度と基準角度ΔAとのずれ角を示す上下光軸ずれ学習角度θuを精度よく算出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車幅方向及び高さ方向それぞれの所定角度範囲内に渡り送信ビームを照射し、その反射ビームに基づいて自車両の前方の物体を認識する車両用物体認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特許文献1に示されるように、レーザ光などの送信ビームを照射し、その反射ビームを検出することによって、前方の物体を認識する車両用物体認識装置が考えられている。この種の装置は、例えば、前方車両を検出して警報を発生する装置や、前方車両と所定の車間距離を維持するように車速を制御する装置などに適用され、それらの制御対象としての前方車両の認識に利用されている。
【0003】
特許文献1に記載された車両用物体認識装置は、車両に装着されたレーダユニットと所定の位置関係に置かれたターゲットに向けて複数のレーザ光を照射し、ターゲットによって反射された反射レーザ光の中から車幅方向(X軸)、及び高さ方向(Y軸)において受光強度の最も高い反射レーザ光を抽出する。それらの受光強度が最も高い反射レーザ光を中心として、X軸、Y軸方向において、所定の角度を設定し、それを自車両の前方の物体を認識するための認識使用エリアとする。
【0004】
上述したようにして設定した認識使用エリア内を走査するようにレーザ光を照射することにより、レーダユニットの車両への装着角度の公差範囲に余裕を持たせながら、前方の物体を認識するための適切な角度範囲にレーザ光を照射することができるようになる。
【0005】
また、上記車両用物体認識装置では、Y軸中心レーザ光の両側のレーザ光の受光強度を計測して、それらの受光強度に基づいて、Y軸中心レーザ光の中心角度の狙いとする基準角度からのずれ角度を上下光軸学習角度として算出する。これは、Y軸方向におけるレーザ光のビーム幅が比較的大きいため、Y軸中心レーザ光の中心角度が基準角度に一致しない場合があるためになされる。上下光軸学習角度を算出することにより、レーザユニットが狙いとする基準角度よりも下向きであるのか上向きであるのかを認識できるので、反射レーザ光に基づく前方車両等の物体の認識精度が向上する。
【0006】
ただし、上述した方法によって、認識使用エリアを設定し、また上下光軸学習角度を算出した場合であっても、実際のレーザ光の照射角度範囲、従って、その中心軸角度は、種々の要因で変動する。例えば、車両における積荷の積載状態や搭乗人員等によって、特にY軸(上下)方向において、レーダユニットのレーザ光照射範囲は、認識使用エリアとして設定した範囲からずれる場合がある。
【0007】
このため、特許文献1の車両用物体認識装置では、乗用車の後面に必ず装着されているリフレクタからの反射レーザ光を用いて、レーダユニットの高さ方向の光軸中心角度と基準角度とのずれ角度を求める。そして、このずれ角度を用いて、上述した上下光軸学習角度を補正する。これにより、積荷の積載状態や搭乗人員が変化しても、レーダユニットが狙いとする角度よりも下向きであるか、上向きであるかを高精度に認識できる。
【特許文献1】特開2004−184331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
車両におけるリフレクタの設置高さにはばらつきがあり(例えば0.25〜1.5m)、特に車種(乗用車と大型車など)による差が大きい。上述した車両用物体認識装置では、乗用車に限定すれば、リフレクタの設置高さのばらつきが小さくなる点に着目して、レーダユニットの高さ方向の光軸中心角度と基準角度とのずれ角度を求める対象を、乗用車のみに限定していた。つまり、前方車両が乗用車に該当する車幅を有する場合に限って、リフレクタからの反射レーザ光を用いて上述したずれ角度を求めていた。
【0009】
これにより、ずれ角度の算出精度を高めることができるが、その一方で、ずれ角度を求める機会は制限されてしまう。つまり、車両が、例えば大型車両に追従して走行する状態が継続した場合などは、積載状態や搭乗人員などによってレーダユニットの下向きや上向きの程度が変化していても、その変化を検出することができない。
【0010】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、レーダユニットの高さ方向の光軸中心角度と基準角度とのずれ角度を求める対象車種の制限を緩和し、もって、レーダユニットの向きの変化を検出する機会を増加することが可能な車両用物体認識装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の車両用物体認識装置は、
車両の車幅方向及び高さ方向それぞれにおいて、所定の角度範囲に渡って複数の送信ビームを照射可能であるとともに、反射物体による反射ビームを受信するレーダユニットと、
レーダユニットの送受信結果に基づいて、反射物体を認識する認識手段とを備えた車両用物体認識装置であって、
レーダユニットは、車両の高さ方向における複数の送信ビームによる全照射角度範囲の中心軸が所定の目標角度に一致するように車両に設置されるものであり、
所定条件を満たす前方車両のリフレクタからの反射ビームを受信したとき、その反射ビームを生じさせた送信ビーム位置を特定する特定手段と、
特定手段によって複数回の送信ビーム位置の特定が行なわれた場合に、複数個の特定送信ビームの全照射角度範囲におけるそれぞれの位置に基づいて、全照射角度範囲の中心軸の角度と、目標角度とのずれ量を算出する算出手段と、
算出手段によって算出されたずれ量に応じて、レーダユニットの高さ方向における照射角度範囲及び認識手段における反射物体を認識するための処理の少なくとも一方を補正する補正手段とを備え、
特定手段は、個々の送信ビームの高さ方向におけるビーム幅が、リフレクタの設置高さのばらつき範囲をカバーできるまで広がる距離よりも遠方に位置することを、前記前方車両を選別するための所定条件として用いることを特徴とする。
【0012】
このように、請求項1に記載の車両用物体認識装置では、個々の送信ビームのビーム幅が、リフレクタ位置の設置高さのばらつき範囲をカバーできるまで広がる距離よりも遠方に前方車両が位置する場合に、その前方車両のリフレクタからの反射ビームを生じさせた送信ビーム位置を特定する。この結果、前方車両のリフレクタ設置高さの変化に起因して、そのリフレクタからの反射ビームを生じさせる送信ビームの位置が変化することを抑制できる。換言すれば、リフレクタ設置高さの変化が大きくても、リフレクタによって反射ビームを生じさせる送信ビームの位置は変化しにくくなる。このため、特定した送信ビームの位置に基づいて、高さ方向におけるレーダユニットの全照射角度範囲の中心軸角度と目標角度とのずれ角を精度よく算出することができる。
【0013】
この場合、請求項2に記載したように、特定手段は、個々の送信ビームの高さ方向におけるビーム幅が、リフレクタの設置高さのばらつき範囲をカバーできるまで広がる距離に所定のマージン距離を加えた距離よりも遠方に位置することを、前方車両を選別するための所定条件として用いることが好ましい。これにより、前方車両のリフレクタ設置高さの変化に起因して、そのリフレクタからの反射ビームを生じさせる送信ビームの位置が変化することをより確実に抑制することができる。
【0014】
請求項3に記載したように、算出手段は、送信ビーム位置の特定回数が所定回数に達した時点で、その所定回数分の送信ビーム位置の平均位置を求め、その平均位置を用いて目標角度とのずれ量を算出するとともに、その所定回数分の送信ビーム位置をクリアすることが好ましい。所定回数分の送信ビーム位置の平均位置を用いることにより、いくつかの送信ビーム位置が道路環境等によって誤って特定されても、その影響が低減されて、精度の高いずれ角を求めることができるためである。また、ずれ角を算出したときに、所定回数分の送信ビーム位置をクリアすると、その後、所定回数分の送信ビーム位置が新たに蓄積されていく。これにより、車両の現状の状態に応じた送信ビーム位置の平均位置が求められる。
【0015】
請求項4に記載したように、高さ方向において隣接する送信ビームは、各々のビーム幅の境界領域において一部重複するように各々の送信ビームの照射角度が設定され、高さ方向において隣接する送信ビームがともにリフレクタからの反射ビームを生じさせたとき、特定手段は、それら隣接送信ビームの中間位置を、送信ビーム位置として特定することが好ましい。これにより、高さ方向における送信ビーム位置の分解能を高めることができる。
【0016】
請求項5に記載したように、前方車両を選別するための所定条件における、個々の送信ビームの高さ方向におけるビーム幅は、隣接する送信ビームのビーム幅との重複部分を除くビーム幅であることが好ましい。これにより、隣接する送信ビーム間に重複部分があっても、リフレクタからの反射ビームは、単一の送信ビームによって発生可能となるので、送信ビーム位置からレーダユニットの高さ方向の全照射角度範囲と目標角度とのずれ角を精度よく算出できる。
【0017】
請求項6に記載したように、車両の走行速度を検出する速度検出手段を備え、
特定手段は、速度検出手段によって検出された走行速度が所定の基準速度を越えている場合に、前方車両のリフレクタからの反射ビームを生じさせた送信ビームの位置の特定を行なうことが好ましい。車両が所定の基準速度以上の速度で走行する場合、その車両が走行している道路は、アップ・ダウンが少なく、比較的平坦な道路であると推測することができる。上述した速度条件を用いることにより、前方車両のリフレクタを基準とするずれ角の算出を、前方車両と自車両とが平坦な道路を走行している状態において行なう可能性を高めることができる。
【0018】
請求項7に記載したように、車両の走行加速度を検出する加速度検出手段を備え、
特定手段は、加速度検出手段によって検出された走行加速度が所定の基準加速度以下である場合に、前方車両のリフレクタからの反射ビームを生じさせた送信ビームの位置の特定を行なうことが好ましい。レーダユニットが装着された車両の走行加速度が基準加速度を超える場合、その車両にはスクォートやダイブ等の姿勢変化が発生し、それによって、レーダユニットの高さ方向の照射方向が変化している可能性が高い。このような車両の走行による姿勢変化は一時的なものであるので、姿勢変化が生じたときの送信ビーム位置は、ずれ角算出のための送信ビーム位置から除外することが好ましい。
【0019】
請求項8に記載したように、車両が走行する道路の曲率を求める曲率検出手段を備え、
特定手段は、曲率検出手段によって検出された曲率が所定の基準曲率よりも大きく、直線に近い場合に、前方車両のリフレクタからの反射ビームを生じさせた送信ビームの位置の特定を行なうことが好ましい。車両が曲線路を走行する場合、車両にはロールが発生して、レーダユニットからの送信ビームの照射角度範囲が斜めに傾く可能性がある。このような状況では、リフレクタによる反射ビームを生じさせた送信ビーム位置を正しく特定できない可能性がある。さらに、曲線路においては、前方車両を見失う可能性も高くなる。
【0020】
請求項9に記載したように、補正手段は、算出手段によって算出されたずれ量が第1の基準範囲から外れている場合、前記レーダユニットの下向き、もしくは上向き判定を行なうとともに、その下向き判定もしくは上向き判定結果を前記認識手段に与え、
認識手段は、下向き判定もしくは上向き判定結果に応じて、中心軸よりも下側もしくは上側の角度に照射される送信ビームによる反射ビームに基づいて、反射物体を車両と認識する確率を低下させても良い。すなわち、中心軸角度が所定の基準角度範囲から外れている場合には、レーダユニットは下向きあるいは上向きに車両に装着されていると判断できる。例えば、レーダユニットが下向きに装着されている場合、中心軸よりも下側の角度に照射される送信波は、路面に設置されたデリニエータ(キャッツアイ)等の反射物体によって反射される可能性が高くなる。また、上向きに装着されている場合には、中心軸よりも上側の角度に照射される送信波は、道路上の標識等によって反射される可能性が高くなる。従って、下向きあるいは上向き判定がなされている場合には、中心軸よりも下側もしくは上側の角度に照射される送信波による反射波に基づいて、反射物体を車両と認識する確率を低下させることにより、誤って非車両を車両と認識する可能性を低減することができる。
【0021】
請求項10に記載したように、レーダユニットが、車両の高さ方向において送信ビームを照射可能な角度範囲は、実際に照射される複数の送信ビームによる全照射角度範囲よりも広いものであって、補正手段は、算出手段によって算出されたずれ量が第1の基準範囲よりも大きな第2の基準範囲から外れている場合、レーダユニットにおける複数の送信ビームによる全照射角度範囲を、照射可能な角度範囲内においてずらすようにしても良い。これにより、高さ方向における適切な角度範囲に向けて、送信ビームを照射することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明による車両用物体認識装置が適用された車両制御装置1について、図面とともに説明する。この車両制御装置1は、自動車に搭載され、警報すべき領域に障害物が存在する場合に警報を出力したり、前車(前方車両)に合わせて車速を制御したりする装置である。
【0023】
図1は、車両制御装置1のシステムブロック図である。車両制御装置1は認識・車間制御ECU3を中心に構成されている。認識・車間制御ECU3はマイクロコンピュータを主な構成として、入出力インターフェース(I/O)および各種の駆動回路や検出回路を備えている。これらのハード構成は一般的なものであるので詳細な説明は省略する。
【0024】
認識・車間制御ECU3は、レーザレーダセンサ5、車速センサ7、ブレーキスイッチ9、スロットル開度センサ11から各々検出信号を入力しており、警報音発生器13、距離表示器15、センサ異常表示器17、ブレーキ駆動器19、スロットル駆動器21および自動変速機制御器23に駆動信号を出力する。また認識・車間制御ECU3には、警報音量を設定する警報音量設定器24、警報判定処理における感度を設定する警報感度設定器25、クルーズコントロールスイッチ26、図示しないステアリングホイールの操作量を検出するステアリングセンサ27、及び自動車に発生したヨーレートを検出するヨーレートセンサ28が接続されている。また認識・車間制御ECU3は、電源スイッチ29を備え、電源スイッチ29がオンされることにより、所定の処理を開始する。
【0025】
レーザレーダセンサ5は、図2に示すように、発光部、受光部及びレーザレーダCPU70などを主要部として構成されている。すなわち、レーザレーダセンサ5は、レーダユニットとしての発光部、受光部に加え、その発光・受光部における検出結果から、反射物体までの距離やその車幅方向及び車高方向における位置を演算するレーザレーダCPU70も備えている。
【0026】
発光部は、パルス状のレーザ光を、発光レンズ71、スキャナ72及びガラス板77を介して放射する半導体レーザダイオード(以下、単にレーザダイオードと記載)75を備えている。レーザダイオード75は、レーザダイオード駆動回路76を介してレーザレーダCPU70に接続され、レーザレーダCPU70からの駆動信号によりレーザ光を放射(発光)する。また、スキャナ72には反射体としてのポリゴンミラー73が回転可能に設けられ、レーザレーダCPU70からの駆動信号がモータ駆動部74を介して入力されると、このポリゴンミラー73は図示しないモータの駆動力により回転する。なお、このモータの回転位置は、モータ回転位置センサ78によって検出され、レーザレーダCPU70に出力される。
【0027】
ポリゴンミラー73は、面倒れ角が異なる6つのミラー(反射面)を備えているため、車幅方向及び車高方向それぞれの所定角度の範囲で不連続にレーザ光を掃引照射(スキャン)して出力することが可能である。
【0028】
レーザレーダセンサ5の受光部は、図示しない物体に反射されたレーザ光を受光レンズ81を介して受光し、その強度に対応する電圧を出力する受光素子(フォトダイオード)83とを備えている。そして、この受光素子83の出力電圧は、増幅器85にて増幅された後にコンパレータ87に出力される。コンパレータ87は増幅器85の出力電圧を基準電圧と比較し、出力電圧>基準電圧となったとき所定の受光信号を時間計測回路89へ出力する。
【0029】
時間計測回路89には、レーザレーダCPU70からレーザダイオード駆動回路76へ出力される駆動信号も入力される。そして、図2(b)に示すように、上記駆動信号をスタートパルスPA、上記受光信号をストップパルスPBとし、2つのパルスPA,PB間の位相差(すなわちレーザ光を出射した時刻T0と反射光を受信した時刻T1との差ΔT)を2進デジタル信号に符号化する。また、ストップパルスPBのパルス幅も時間として計測する。そして、それらの値を2進デジタル信号に符号化してレーザレーダCPU70へ出力する。
【0030】
ここで、レーザ光の照射可能エリア及び、実際に前方車両等の物体を認識する時に使用される認識使用エリアについて、図3〜図5を用いて説明する。
【0031】
図3は、レーザ光の照射可能エリア91を示している。ただし、図3では、レーザ光のパターン92は、照射可能エリア91内の右端と左端に放射された場合のみを示しており、途中は省略している。また、レーザ光パターン92は、図3では一例として楕円形のものを示しているが、この形に限られるものではなく長方形等でもよい。図3に示すように、レーザレーダセンサ5は、レーザ光の照射方向をZ軸としたとき、これに垂直なXY平面における照射可能エリア91内を順次走査することが可能である。
【0032】
図4に示すように、車高方向(Y軸方向)に隣接するレーザ光は、その境界領域において一部重複するようにレーザ光の照射角度が設定されている。Y軸方向において、各レーザ光は1.62degのビーム角を有している。その内、隣接するレーザ光が重複する角度範囲は、0.195degである。従って、各レーザ光の重複領域を除くビーム角は、1.23degとなり、各レーザ光の中心軸間の角度は1.425degとなる。
【0033】
このように、Y軸方向において隣接するレーザ光が一部重複するように照射角度を設定することにより、Y軸方向における分解能を向上することができる。つまり、図4の各レーザ光を上から下に向かってそれぞれ1面、2面、3面と定義した場合、1面のレーザ光のみを反射する場合、1面と2面のレーザ光を反射する場合、2面のレーザ光のみ反射する場合、2面と3面のレーザ光を反射する場合、及び3面のレーザ光のみ反射する場合の5つのパターンに識別できる。特に、2面のレーザ光においては、その両側に重複領域があるため、2面のレーザ光付近の分解能の向上度合いを高めることができる。
【0034】
レーザレーダセンサ5は、X軸方向において、0.08degのビームステップ角で501本のレーザ光を照射可能であり、また、Y軸方向には、6ライン分のレーザ光を照射可能である。従って、照射可能エリア91は、高さ方向であるY軸を基準方向、車幅方向であるX軸を走査方向とし、X軸方向には0.08deg×501点=±20degであり、Y軸方向には1.62deg×6ライン−0.195deg×5(重複領域)=8.745degである。また、スキャン方向はX軸方向については図3において左から右へ、Y軸方向については図3において上から下へである。
【0035】
レーザレーダセンサ5は上述した照射可能エリア91を持つが、実際に前方車両等の物体を認識する際には、照射可能エリア91よりも狭い認識使用エリアを設定して、その認識使用エリア内にのみレーザ光を照射する。このように照射可能エリア91よりも狭い認識使用エリアを設定することにより、レーザレーダセンサ5の車両への装着が容易になったり、レーダレーダセンサ5の光軸が目標角度(基準角度)ΔAから大きくずれた場合に、認識使用エリアを照射可能エリア91内でずらすことにより、適切な角度範囲に修正することが可能になったりする。なお、認識使用エリアは、特開2004―184331号公報に詳しく説明されているように、車両に装着されたレーザレーダセンサ5に対して所定の位置に配置されたターゲットからの反射レーザ光を受信し、その中で受光強度が最も強い、X軸、Y軸方向におけるレーザ光を選定し、そのレーザ光が中心となるように設定する。
【0036】
ただし、認識使用エリアの設定は、特開2004−184331号公報に開示された方法以外に、例えば、レーザレーダセンサ5の照射可能エリア91の中心が所望の方向に一致するように、レーザレーダセンサ5の車両への装着角度を機械的に調整し、かつ、認識使用エリアは、照射可能エリア91の中心を基準として設定しても良い。
【0037】
認識使用エリアは、例えば、X軸方向に±18deg(レーザ光451本に相当)、Y軸方向に4.47deg(レーザ光3本に相当)の角度範囲として設定される。このとき、図5に示すように、Y軸方向の中心レーザ光(図5において、2面のレーザ光に相当)の中心軸角度が、レーザレーダセンサ5の車両への設置位置に応じた基準角度ΔAに一致するように、レーザレーダセンサ5の向きが機械的に調整されたり、認識使用エリアが設定される。例えば、レーザレーダセンサ5がグリルに搭載される場合には、2面レーザ光の光軸が水平方向よりも下側を向くように基準角度ΔAが設定され(例えば、0.2°)、バンパーの下部に搭載される場合には、水平方向よりも上側を向くように基準角度ΔAが設定される(例えば、0.5°)。
【0038】
ただし、Y軸方向におけるレーザ光のビーム角は1.62degであり、分解能は低い。そのため、Y軸方向における中心レーザ光の中心軸角度が基準角度ΔAに一致しない場合があるため、そのずれ角度を上下光軸角度として算出する算出処理を行なう。この上下光軸角度の算出方法についても、特開2004−184331号公報に詳しく説明されているので、ここでは簡潔に説明する。なお、以下に説明する上下光軸角度Δθelvは、図5に示すように、Y軸中心レーザ光の中心軸角度が基準角度ΔAに対してどの程度ずれているかを示すずれ角として算出される。
【0039】
認識使用エリアが設定された後に、その認識使用エリアのX軸及びY軸における中心に対応する位置に設置されたターゲットに対して、Y軸中心レーザ光及びその両側のレーザ光を照射するとともに、その反射光を受光する。例えば図5に示す例では、Y軸中心レーザ光は面番号が2のレーザ光であり、その両側において照射されるレーザ光は、面番号が1及び3のレーザ光となる。
【0040】
そして、Y軸中心レーザ光の両側のレーザ光による反射光の受光強度を計測する。計測した受光強度に基づいて、Y軸中心レーザ光の中心軸角度の基準角度ΔAに対するずれ角度Δθelvを算出する。例えば、Y軸中心レーザ光の両側のレーザ光の受光強度の差、比などに基づいて、Y軸中心レーザ光の中心軸角度が基準角度ΔAに対してどちら向きにどの程度ずれているかを算出することができる。このようにして算出したずれ角度を上下光軸角度Δθelvとして不揮発性メモリに記憶する。上下光軸角度Δθelvを求めることで、後述するように、前方車両等の物体の認識をより高精度に行なうことが可能になる。
【0041】
レーザレーダセンサ5が、実際に自車両の前方に存在する物体を認識する際には、認識使用エリア内を2次元的にレーザ光がスキャンするように、レーザレーダCPU70から発光部に駆動信号が出力される。このような2次元的なスキャンにより、走査方向を示すスキャン角度θx,θyと測距された距離rとが得られる。なお、2つのスキャン角度θx,θyは、それぞれ出射されたレーザビームをYZ平面に投影した線とZ軸との角度を縦スキャン角θy、出射されたレーザビームをXZ平面に投影した線とZ軸との角度を横スキャン角θxと定義する。
【0042】
レーザレーダCPU70は、時間計測回路89から入力された2つのパルスPA,PB間の時間差ΔTから物体までの距離を算出し、その距離及び対応するスキャン角度θx,θyを基にして位置データを作成する。つまり、レーザレーダ中心を原点(0,0,0)とし、車幅方向をX軸、車高方向をY軸、車両前方方向をZ軸とするXYZ直交座標に変換する。そして、このXYZ直交座標に変換された(X,Y,Z)データ及び受光信号強度データ(ストップパルスPBのパルス幅が相当する)を測距データとして認識・車間制御ECU3へ出力する。
【0043】
認識・車間制御ECU3は、レーザレーダセンサ5からの測距データを基にして物体を認識し、その認識物体から得た先行車の状況に合わせて、ブレーキ駆動器19、スロットル駆動器21および自動変速機制御器23に駆動信号を出力することにより車速を制御する、いわゆる車間制御を実施する。また、認識物体が所定の警報領域に所定時間存在した場合等に警報する警報判定処理も同時に実施する。この場合の物体としては、自車の前方を走行する前車やまたは停止している前車等が該当する。
【0044】
続いて認識・車間制御ECU3の内部構成について制御ブロックとして説明する。レーザレーダセンサ5から出力された測距データは物体認識ブロック43に送られる。物体認識ブロック43では、測距データとして得た3次元位置データに基づいて、物体の中心位置(X,Y,Z)、及び幅、高さ、奥行き等の大きさ(W,H,D)を求める。さらに、中心位置(X,Y,Z)の時間的変化に基づいて、自車位置を基準とするその物体の相対速度(Vx,Vy,Vz)を求める。さらに物体認識ブロック43では、車速センサ7の検出値に基づいて車速演算ブロック47から出力される車速(自車速)と上記求められた相対速度(Vx,Vy,Vz)とから物体が停止物体であるか移動物体であるかの識別が行なわれる。この識別結果と物体の中心位置とに基づいて自車両の走行に影響する物体が選択され、その距離が距離表示器15により表示される。
【0045】
また、ステアリングセンサ27からの信号に基づいて操舵角演算ブロック49にて操舵角が求められ、ヨーレートセンサ28からの信号に基づいてヨーレート演算ブロック51にてヨーレートが演算される。そしてカーブ半径(曲率半径)算出ブロック57では、車速演算ブロック47からの車速と操舵角演算ブロック49からの操舵角とヨーレート演算ブロック51からのヨーレートとに基づいて、カーブ半径(曲率半径)Rを算出する。そして物体認識ブロック43では、このカーブ半径Rおよび中心位置座標(X,Z)などに基づいて車両形状確率や自車線確率を算出する。この車両形状確率や自車線確率については後述する。
【0046】
このようなデータを持つ物体のモデルを「物標モデル」と呼ぶこととする。この物体認識ブロック43にて求めたデータが異常な範囲の値かどうかがセンサ異常検出ブロック44にて検出され、異常な範囲の値である場合には、センサ異常表示器17にその旨の表示がなされる。
【0047】
一方、先行車判定ブロック53では、物体認識ブロック43から得た各種データに基づいて先行車を選択し、その先行車に対する距離Zおよび相対速度Vzを求める。そして、車間制御部及び警報判定部ブロック55が、この先行車との距離Z、相対速度Vz、クルーズコントロールスイッチ26の設定状態およびブレーキスイッチ9の踏み込み状態、スロットル開度センサ11からの開度および警報感度設定器25による感度設定値に基づいて、警報判定ならば警報するか否かを判定し、クルーズ判定ならば車速制御の内容を決定する。その結果を、警報が必要ならば、警報発生信号を警報音発生器13に出力する。また、クルーズ判定ならば、自動変速機制御器23、ブレーキ駆動器19およびスロットル駆動器21に制御信号を出力して、必要な制御を実施する。そして、これらの制御実行時には、距離表示器15に対して必要な表示信号を出力して、状況をドライバーに告知する。
【0048】
このような車間制御や警報判定に際しては、その前提となる物体認識、さらに詳しく言えば、ここでの認識対象物体である車両の認識が適切に行われていることが重要である。そこで、その車両認識を適切に行なうため、認識・車間制御ECU3の物体認識ブロック43において実行される物体認識に関する処理について説明する。
【0049】
図6(a)のフローチャートに物体認識に係るメイン処理を示す。図6(a)のステップS110では、レーザレーダセンサ5から1スキャン分の測距データの読み込みを行なう。レーザレーダセンサ5でのスキャン周期は例えば100msecであり、100msec毎にデータを取り込む。
【0050】
ステップS120では、データのセグメント化を行なう。上述したように、測距データとして得た3次元位置データをグルーピングしてセグメントを形成する。このセグメント化においては、所定の接続条件(一体化条件)に合致するデータ同士を集めて1つのプリセグメントデータを生成し、さらにそのプリセグメントデータ同士の内で所定の接続条件(一体化条件)に合致するものを集めて1つの本セグメントデータとするというものである。プリセグメントデータは、例えば点認識されたデータ同士のX軸方向の距離△Xが0.2m以下、Z軸方向の距離△Zが2m以下という2条件を共に満たす場合に、その点集合を一体化して求める。本実施形態では、認識使用エリアにおいてY軸方向に3つの走査ラインがあるが、プリセグメント化によって各ライン毎にプリセグメントデータが生成される。そのため、本セグメント化では、3次元(X,Y,Z)空間で近接するプリセグメントデータ同士を一体化(本セグメント化)する。本セグメントデータは、X軸,Y軸及びZ軸にそれぞれ平行な3辺を持つ直方体の領域であり、その中心座標(X,Y,Z)と大きさを示すための3辺の長さ(W,H,D)をデータ内容とする。なお、特に断らない限り、本セグメント(データ)のことを単にセグメント(データ)と称することとする。
【0051】
ステップS130では、各セグメントデータをプリ物標とし、各プリ物標について、物標モデルとして物標化処理の対象となる確率である物標化優先確率を計算する。ここで、物標モデルとは、一まとまりのセグメントに対して作成される物体のモデルであり、プリ物標とは、物標化処理を行なう物標モデルの候補となるものである。本実施形態においては、プリ物標は最大で18個選択可能であり、物標モデルは、それらプリ物標の中から物標化優先確立の高い順に4個選択される。
【0052】
各プリ物標の物標化優先確率は、車両形状確率が所定確率(例えば50%)以上か否か、移動物か否か、自車両に対する横方向位置が所定距離(例えば左右それぞれに6m)以内であるか否か、所定時間以上継続して検出されているか否か等を判断要素として、該当する項目が多いほど確率が高くなるように算出される。
【0053】
ここで、車両形状確率について説明する。路側にデリニエータが狭い間隔で多数設置されているような場合やガードレールを検出しているような場合には、これらの停止物を移動物であると誤認識してしまう可能性がある。これは、自車両に対して同一位置に常に何かを検出することにより、その位置に自車両と同速度で走行している車両が存在すると判断してしまうからである。そこで、このように移動物であると誤認識した物体が誤って先行車と判断されてしまわないように、車両形状確率を算出する。そして、先行車判定ブロック53においてこの車両形状確率が例えば50%未満の場合に路側物であると判定するようにすれば、繰り返し現れる停止物を誤って前方車両と判断することを防止できる。
【0054】
車両形状確率の取り得る範囲は0〜100%であり、瞬間的なノイズやバラツキによる影響を低減するために、数式1のように加重平均して求める。
(数1) 今回の車両形状確率←前回値×α+今回の瞬時値×(1−α)
なお、初期値は50%とし、αは例えば0.8といった値を採用する。また、車両形状確率の瞬時値は、相対加速度、縦横の長さD,W、検出時間などに基づいて算出する。なお、この車両形状確率の算出方法は、特開2002−40139号公報の段落番号0045から0049に詳しく記載されているため、これ以上の説明は省略する。
【0055】
ステップS140では、物標化優先確率の高い4つのプリ物標を物標として選択し、それらに対して物標化処理を行なう。この物標化処理を図6(b)のフローチャートを参照して説明する。物標化処理においてはまず、物標モデルの対応セグメントを検索する(ステップS141)。これは、前回までに得た物標モデルが、今回検出したセグメントの内のいずれと一致するかを検索する処理であり、物標モデルに対応するセグメントとは次のように定義する。まず、物標モデルが前回処理時の位置から前回処理時における相対速度で移動したと仮定した場合、現在物標モデルが存在するであろう推定位置を算出する。続いて、その推定位置の周囲に、X軸,Y軸,Z軸方向それぞれに所定量の幅を有する推定移動範囲を設定する。そして、その推定移動範囲に少なくとも一部が含まれるセグメントを対応セグメントとする。
【0056】
ステップS142では、物標モデルのデータ更新処理を実行する。この処理は、対応するセグメントがあれば物標モデルの過去データを現在のデータに基づいて更新するもので、更新されるデータは、中心座標(X,Y,Z)、幅W、高さH、奥行きD、X軸方向,Y軸方向、Z軸方向の相対速度(Vx,Vy,Vz)、中心座標(X,Y,Z)の過去4回分のデータ、自車線確率などである。なお、対応するセグメントがない場合は、物標モデルのデータ更新は行なわず、新規物標モデルの登録を行なう。
【0057】
その後、ステップS143にて、自車線確率の算出を行なう。自車線確率とは、物標モデルが自車と同一車線を走行している車両である確からしさを表すパラメータである。具体的には、まず物標モデルの位置を算出し、その算出した位置を自車線確率マップに重ねて、物標モデルの自車線確率瞬時値を求める。なお、自車線確率マップとは、自車の前方の所定の範囲(例えば左右それぞれ5m、前方100m)を複数の領域に分け、距離が近いほど、また、自車の進路上に近いほど、確率が高くなるように各領域に確率が付与されているマップである。
【0058】
自車線確率瞬時値を求めた後は、数式2のように加重平均して自車線確率を求める。
(数2)自車線確率←自車線確率前回値×α+自車線確率瞬時値×(1−α)
ここで、αは一定値でも良いし、物標モデルとの距離や物標モデルが存在する領域に応じて変化するものであっても良い。なお、自車線確率の算出方法についても、特開2002−40139号公報の段落番号0050から0056に詳しく記載されているため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0059】
そして、車両形状確率や自車線確率も含めた物標モデルのデータが、図1に示す物体認識ブロック43から先行車判定ブロック53へ出力される。なお、先行車判定ブロック53では、例えば車両形状確率が所定のしきい値(例えば50%)以上、且つ自車線確率が所定のしきい値(例えば50%)以上の物標モデルの中で、距離Zが最小のものを先行車と判断する。この判断結果は車間制御部及び警報判定部ブロック55に出力されることとなる。
【0060】
次に、レーザレーダセンサ5の上下光軸ずれ学習角度の算出について説明する。上述したように、ターゲットを用いてレーザレーダセンサ5のY軸中心レーザ光の中心軸角度が基準角度ΔAに対してどの程度ずれているかを示す上下光軸角度Δθelvを算出しても、実際のレーザ光の照射範囲は種々の要因で変動するので、Y軸中心レーザ光の中心軸角度と基準角度ΔAとのずれ角度も変化する。
【0061】
例えば、車両の積荷の積載状態や搭乗人員等によって、特にY軸(上下)方向において、レーザレーダセンサ5のレーザ光照射範囲は、認識使用エリアとして設定した範囲からずれる場合がある。また、車両が走行を繰り返すことにより、走行振動等の影響を受けてレーザレーダセンサ5の車両装着状態が変化することもありえる。
【0062】
本実施形態においては、前方車両(乗用車やバス、トラックなどの大型車両)に必ず装着されているリフレクタを用いて、レーザレーダセンサ5のY軸中心レーザ光の中心軸角度が基準角度ΔAからどの程度ずれているかの学習を行なう。すなわち、上下光軸ずれ学習角度θuの演算を行なう。
【0063】
これにより、Y軸中心レーザ光の中心軸角度と基準角度ΔAとの実際のずれ角度が、上述した上下光軸角度Δθelvと異なるか否かが判別でき,異なる場合には、上下光軸ずれ学習角度θuに基づいて、後述する上向き・下向き判定等を行なうことにより、前方車両等の物体の認識精度を向上できる。
【0064】
図7は、上下光軸ずれ学習角度θuを算出するための処理を示すフローチャートである。まず、ステップS210において、上下光軸ずれ学習角度θuの算出を開始する開始条件が成立しているか否かを判定する。この開始条件について、以下に詳しく説明する。
【0065】
第1の開始条件は、自車両の車速が所定の基準車速(例えば40km/h)以上であることである。道路のアップ・ダウンや凹凸がある場合には、自車両と前方車両との高さが異なる場合が生じて、前方車両のリフレクタによって正確な上下光軸ずれ学習角度θuを算出することができない。
【0066】
ここで、車両が所定の基準速度以上の速度で走行する場合、その車両が走行している道路は、アップ・ダウンが少なく、比較的平坦な道路であると推測することができる。従って、上述した速度に関する開始条件を用いることにより、前方車両と自車両とが平坦な道路を走行している状態において、前方車両のリフレクタを基準とする上下光軸ずれ学習角度θuの算出が行なわれる可能性を高めることができる。なお、自車両の車速は、車速演算ブロック47にて演算された車速から得られる。
【0067】
第2の開始条件は、自車両の加速度が所定の基準加速度(例えば0.05G)以下であることである。車両の発進時や加速時には、車両がスクォートし、減速時には、ダイブする。車両にこのような姿勢変化が生じている場合、レーザレーダセンサ5の向きもその姿勢変化に応じて変化している。
【0068】
しかしながら、そのような車両の走行による姿勢変化は一時的なものである。従って、上下光軸ずれ学習角度θuの算出は、そのような姿勢変化が生じているときには開始しない。これにより、積載状態や搭乗人員に起因する定常的なレーザレーダセンサ5の向きの変化を、上下光軸ずれ学習角度θuとして算出できる。なお、加速度は、車速の変化として検出できる。
【0069】
第3の開始条件は、自車両の走行する道路のカーブ半径(曲率半径)が、所定のカーブ半径(例えば1500m)よりも大きく、自車両の走行する道路が略直線とみなせることである。なお、カーブ半径は、カーブ半径算出ブロック57にて算出されたカーブ半径Rが用いられる。
【0070】
車両がカーブ路を走行する場合、車両にはロールが発生して、レーザレーダセンサ5の認識使用エリアが斜めに傾く可能性がある。このような状況では、照射されるレーザ光の位置が正常な位置からずれる可能性がある。さらに、カーブ路においては、レーザレーダセンサ5が、前方車両を見失う可能性も高くなる。このため、カーブ路においては、上下光軸ずれ学習角度θuの算出を開始しないこととした。
【0071】
さらに、例えば朝日や西日がレーザレーダセンサ5の受光部に直接入射して、ノイズレベルが大きくなる太陽光異常状態が発生していないことや、レーザレーダセンサ5の表面に雪や泥等の汚れが付着して、検出性能が低下している状況ではないことを、他の開始条件として採用しても良い。
【0072】
上述した開始条件が全て満足される場合には、ステップS220に進むが、1つの条件でも満足されない場合には、全ての条件が満足されるまで待機される。
【0073】
ステップS220では、複数のプリ物標に対する物標化優先確率を算出する。この物標化優先確立の算出方法は、既に図6(a)のフローチャートのステップS130にて説明した方法と基本的に同様である。
【0074】
ステップS230では、学習対象候補の第1抽出を行なう。この第1抽出では、移動物として認識しており、その認識が所定時間(例えば10秒)以上継続し、前述した車両形状確率が50%以上のプリ物標を第1抽出による学習対象候補とする。
【0075】
次に、ステップS240において、学習対象候補の第2抽出を行なう。この第2抽出では、第1抽出によって選定された学習対象候補に対して、さらに、その幅が所定の範囲(例えば3m以下)に属するか否かを判定して、該当するものを選別する。この幅に関する判定を行なう理由は、乗用車の他、バス、トラック等の大型車両も対象として、後部にリフレクタを備えた車両を抽出するためである。
【0076】
リフレクタは、車両の左右両端に配置され、レーザ光の反射率が他の部分に比較して高いとの特徴がある。このため、リフレクタによる反射レーザ光に基づいて、車両の幅は精度良く算出できる。この幅が所定の範囲に属していれば、前方の移動物体は車両であるとみなすことができる。なお、2輪自動車にもリフレクタが設置されており、これを学習対象候補に含めても良い。
【0077】
続くステップS250では、学習対象候補の第3抽出を行なう。この第3抽出では、第2抽出によって選別された学習対象候補について、自車両との距離Zが基準距離よりも長いか否かを判定する。
【0078】
前述したように、レーザレーダセンサ5から照射されるレーザ光のY軸方向において、1.62degのビーム角度を有し、また、隣接するレーザ光との重複領域を除くビーム角度は、1.23degである。従って、レーザ光が照射される距離が長くなるほど、Y軸方向におけるビーム幅が広がることになる。
【0079】
一方、各種車両のリフレクタの設置高さは、保安基準により所定の高さ範囲(例えば0.25〜1.5m)においてばらつく。このように、リフレクタの設置高さが所定の範囲においてばらついても、それらの設置高さが異なるリフレクタをY軸方向における1面分(1ライン分)のレーザ光によって検出することができれば、設置高さが異なるリフレクタのすべてを対象として、上下光軸ずれ学習角度θuを算出することができる。換言すれば、前方車両のリフレクタ設置高さが異なることによって、そのリフレクタを検出するY軸方向のレーザ光の面が変化してしまうと、いずれの面のレーザ光がリフレクタの設置高さ範囲に向けて照射されているのか分からなくなり、結果として、リフレクタからの反射レーザ光に基づいて、上下光軸ずれ学習角度θuを正確に算出することができなくなる。
【0080】
そのため、本実施形態では、第3の抽出において、図8に示すように、レーザ光のY軸方向におけるビーム幅が、リフレクタの設置高さのばらつき範囲をカバーできる広さまで広がる距離を上記基準距離Zとして、その基準距離Zよりも遠方に存在する学習対象候補を選別する。これにより、リフレクタの設置高さにばらつきがある各種の車両を、上下光軸ずれ学習角度θuを算出するための学習対象候補とすることができる。従って、上下光軸ずれ学習角度θuを算出する機会を、従来に比較して大幅に増加することができる。
【0081】
本実施形態においては、隣接するレーザ光との重複領域を除くビーム角度が、1.23degであるため、自車両との距離Zが約58mのとき、Y軸方向におけるビーム幅がリフレクタの設置高さのばらつき範囲である1.25mまで広がる。従って、基準距離の最小値は、約58mとなる。
【0082】
ただし、基準距離の最小値を用いた場合、レーザレーダセンサ5の向きによっては、複数面のレーザ光によって前方車両のリフレクタが検出されてしまう。従って、上述した基準距離の最小値に所定のマージンを加えた距離を基準距離(例えば80m)として用いることが好ましい。基準距離を80mとした場合には、1.23degのビーム角度を持つレーザ光は、約1.72mのビーム幅まで広がる。このため、リフレクタの設置高さのばらつき範囲(1.25m)を十分にカバーすることができる。
【0083】
上述した第1〜第3抽出の抽出条件をすべて満たす前方車両が、最終的な学習対象候補として選定される。なお、複数の学習対象候補が選定される場合には、いずれの学習対象候補を用いても良いし、例えば、前方車両の幅から平均的なリフレクタ設置高さ(例えば0.75m)を持つ乗用車を含むと判定される場合には、その乗用車を優先的に用いても良い。
【0084】
ステップS260では、最終的に選定された学習対象候補を用いて、レーザ光のリフレクタ検出面番号Target_Faceを算出する。なお、リフレクタの検出面番号Target_Faceとは、学習対象候補となる車両に設けられたリフレクタからの反射レーザ光を生じさせる送信レーザ光の面番号である。このリフレクタ検出面番号Target_Faceは、受光強度に基づいて、リフレクタからの反射レーザ光を特定するとともに、その反射レーダ光を生じさせたレーザ光の面番号を検出することによって得られる。
【0085】
このとき、リフレクタからの反射レーザ光を生じさせたレーザ光が2面に渡っている場合には、リフレクタ検出面番号Target_Faceとして、数式3によって算出される中間値が採用される。
(数3) Target_Face=(上側レーザ光面番号+下側レーザ光面番号)/2
従って、例えば図4、5に示す例において、リフレクタ検出面番号Target_Faceとしては、1(上面)、1.5(上面と中面の中間),2(中面),2.5(中面と下面の中間),3(下面)のいずれかの値となる。
【0086】
このようにして、リフレクタ検出面番号Target_Faceの瞬時値が算出されると、数式4に示すようにリフレクタ検出面番号Target_Faceの算出回数Nをインクリメントするとともに、数式5に示すように、リフレクタ検出面番号Target_Faceの瞬時値の総和を求める。
(数4)N=N+1
【0087】
【数5】

【0088】
さらに、リフレクタ検出面番号Target_Faceの算出回数Nが所定回数(例えば600回)に達した時点で、数式6に示すようにリフレクタ検出面番号Target_Faceの平均値Target_Face aveを算出する。
【0089】
【数6】

【0090】
この平均値Target_Face aveの算出に伴って、算出回数N及び総和ΣTarget_Face はそれぞれ0に初期化される。
【0091】
上述したように、所定回数分のリフレクタ検出面番号Target_Faceの平均値を用いることにより、いくつかのリフレクタ検出面番号Target_Faceが道路環境等によって誤って特定されても、その影響が低減される。また、平均値Target_Face aveを算出したときに、算出回数N及び総和ΣTarget_Faceをクリアすることで、その後、新たに所定回数分のリフレクタ検出面番号Target_Faceの平均値が算出されていく。これにより、車両の現状の状態に応じたリフレクタ検出面番号Target_Face平均値を求めることができる。
【0092】
リフレクタ検出面番号Target_Faceの平均値Target_Face aveが算出されると、次に、上下光軸ずれ学習角度θuを算出する。この上下光軸ずれ角度θuの算出式を数式7に示す。
(数7)
θu[LSB=0.01deg]=(Target_Face ave−2)×1.425[deg]−ΔA[deg]
この数式7によって、Y軸中心レーザ光の中心軸角度が、狙いとする基準角度ΔAからどの程度ずれているのかを示す上下光軸ずれ学習角度θuを算出することができる。なお、中心軸角度が基準角度ΔAよりも上向きにずれている場合には、プラスの符号を付けて表し、下向きにずれている場合には、マイナスの符号を付けて表す。
【0093】
次に、ステップS270において、上下光軸ずれ学習角度θuに基づいて、物体認識処理の補正、または、認識使用エリアの補正を行なう。以下、まず物体認識処理の補正について説明する。
【0094】
上下光軸ずれ学習角度θuが第1の基準範囲(例えば、θu<−0.8、θu>0.8)から外れている場合、レーザレーダセンサの下向き、または上向き判定が行なわれる。この下向き判定または、上向き判定結果は物体認識ブロック43に与えられる。
【0095】
物体認識ブロック43は、下向き判定もしくは上向き判定結果に応じて、中心レーザ光の中心軸角度よりも下側もしくは上側の角度に照射されるレーザ光によって反射物体を検知した場合、その反射物体までの距離が所定の距離以上であれば、車両ではない可能性が高いので、例えばその物標の物標化優先確率を所定の低い確率(例えば20%)に制限する。このようにして、上下光軸ずれ学習角度θuに基づいて物体認識処理の補正が行なわれる。
【0096】
例えば、レーザレーダセンサ5が下向きに装着されている場合、中心レーザ光よりも下側に照射されるレーザ光は、照射距離が長くなるほど路面に設置されたデリニエータ(キャッツアイ)等の反射物体によって反射される可能性が高くなる。また、上向きに装着されている場合には、照射距離が長くなるほど、中心レーザ光及びその上側に照射されるレーザ光は、道路上の標識等によって反射される可能性が高くなる。従って、下向きあるいは上向き判定がなされている場合であって、中心軸角度よりも下側もしくは上側の角度に照射されるレーザ光による反射レーザ光に基づいて、自車両から所定の距離以上離れた反射物体を検知した場合には、物標化優先確率を低下させることにより車両と認識する確率を低下させる。これにより、誤って非車両を車両と認識する可能性を低減することができる。
【0097】
次に、認識使用エリアの補正について説明する。上下光軸ずれ学習角度θuが第1の基準範囲よりも大きい第2の基準範囲(例えば、θu<−1.2、θu>1.2)から外れている場合、レーザレーダセンサ5に対して、Y軸方向における発光開始面を1面上にずらしたり、あるいは1面下にずらすように指示する。これにより、中心レーザ光の中心軸角度が狙いとする基準角度ΔAに近づくように、認識使用エリアが照射可能エリア91内で移動される。
【0098】
なお、本発明はこのような実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得る。
【0099】
上記実施形態では、レーザレーダセンサ5内部において、距離及び対応するスキャン角度θx,θyを極座標系からXYZ直交座標系に変換していたが、その処理を物体認識ブロック43において行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明が適用された車両制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)はレーザレーダセンサの構成を示す構成図であり、(b)はレーザレーダセンサにおける距離検出方法を説明するための説明図である。
【図3】レーザレーダセンサの照射可能エリアを示す斜視図である。
【図4】レーザレーダセンサから照射されるレーザ光の、Y軸方向におけるビーム角及び重複範囲を説明するための説明図である。
【図5】レーザレーダセンサの車両への装着角度を説明するための説明図である。
【図6】(a)は物体認識に係わる処理を示すフローチャートであり、(b)は(a)のフローチャートにおいて実行される物標化処理を示すフローチャートである。
【図7】レーザレーダセンサの光軸中心の学習処理を示すフローチャートである。
【図8】Y軸方向におけるレーザ光のビーム幅と、前方車両との距離Zとの関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0101】
1…車両制御装置、3…認識・車間制御ECU、5…レーザレーダセンサ、7…車速センサ、9…ブレーキスイッチ、11…スロットル開度センサ、13…警報音発生器、15…距離表示器、17…センサ異常表示器、19…ブレーキ駆動器、21…スロットル駆動器、23…自動変速機制御器、24…警報音量設定器、25…警報感度設定器、26…クルーズコントロールスイッチ、27…ステアリングセンサ、28…ヨーレートセンサ、29…電源スイッチ、30…ワイパスイッチ、43…物体認識ブロック、44…センサ異常検出ブロック、47…車速演算ブロック、49…操舵角演算ブロック、51…ヨーレート演算ブロック、53…先行車判定ブロック、55…車間制御部及び警報判定部ブロック、57…カーブ半径算出ブロック、70…レーザレーダCPU、71…発光レンズ、72…スキャナ、73…ミラー、74…モータ駆動回路、75…半導体レーザダイオード、76…レーザダイオード駆動回路、77…ガラス板、81…受光レンズ、83…受光素子、85…アンプ、87…コンパレータ、89…時間計測回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車幅方向及び高さ方向それぞれにおいて、所定の角度範囲に渡って複数の送信ビームを照射可能であるとともに、反射物体による反射ビームを受信するレーダユニットと、
前記レーダユニットの送受信結果に基づいて、前記反射物体を認識する認識手段とを備えた車両用物体認識装置において、
前記レーダユニットは、車両の高さ方向における複数の送信ビームによる全照射角度範囲の中心軸が所定の目標角度に一致するように車両に設置されるものであり、
所定条件を満たす前方車両のリフレクタからの反射ビームを受信したとき、その反射ビームを生じさせた送信ビームの位置を特定する特定手段と、
前記特定手段によって複数回の送信ビーム位置の特定が行なわれた場合に、複数個の特定送信ビームの前記全照射角度範囲におけるそれぞれの位置に基づいて、前記全照射角度範囲の中心軸の角度と、前記目標角度とのずれ量を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出されたずれ量に応じて、前記レーダユニットの高さ方向における照射角度範囲及び前記認識手段における反射物体を認識するための処理の少なくとも一方を補正する補正手段とを備え、
前記特定手段は、個々の送信ビームの高さ方向におけるビーム幅が、前記リフレクタの設置高さのばらつき範囲をカバーできるまで広がる距離よりも遠方に位置することを、前記前方車両を選別するための前記所定条件として用いることを特徴とする車両用物体認識装置。
【請求項2】
前記特定手段は、個々の送信ビームの高さ方向におけるビーム幅が、前記リフレクタの設置高さのばらつき範囲をカバーできるまで広がる距離に所定のマージン距離を加えた距離よりも遠方に位置することを、前記前方車両を選別するための前記所定条件として用いることを特徴とする請求項1に記載の車両用物体認識装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記送信ビーム位置の特定回数が所定回数に達した時点で、その所定回数分の送信ビーム位置の平均位置を求め、その平均位置を用いて前記目標角度とのずれ量を算出するとともに、その所定回数分の送信ビーム位置をクリアすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用物体認識装置。
【請求項4】
前記高さ方向において隣接する送信ビームは、各々のビーム幅の境界領域において一部重複するように各々の送信ビームの照射角度が設定され、高さ方向において隣接する送信ビームがともに前記リフレクタからの反射ビームを生じさせたとき、前記特定手段は、それら隣接送信ビームの中間位置を、前記送信ビーム位置として特定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車両用物体認識装置。
【請求項5】
前記前方車両を選別するための所定条件における、前記個々の送信ビームの高さ方向におけるビーム幅は、隣接する送信ビームのビーム幅との重複部分を除くビーム幅であることを特徴とする請求項4に記載の車両用物体認識装置。
【請求項6】
前記車両の走行速度を検出する速度検出手段を備え、
前記特定手段は、前記速度検出手段によって検出された走行速度が所定の基準速度を越えている場合に、前記前方車両のリフレクタからの反射ビームを生じさせた送信ビームの位置の特定を行なうことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の車両用物体認識装置。
【請求項7】
前記車両の走行加速度を検出する加速度検出手段を備え、
前記特定手段は、前記加速度検出手段によって検出された走行加速度が所定の基準加速度以下である場合に、前記前方車両のリフレクタからの反射ビームを生じさせた送信ビームの位置の特定を行なうことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の車両用物体認識装置。
【請求項8】
前記車両が走行する道路の曲率を求める曲率検出手段を備え、
前記特定手段は、前記曲率検出手段によって検出された曲率が所定の基準曲率よりも大きく、直線に近い場合に、前記前方車両のリフレクタからの反射ビームを生じさせた送信ビームの位置の特定を行なうことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の車両用物体認識装置。
【請求項9】
前記補正手段は、前記算出手段によって算出されたずれ量が第1の基準範囲から外れている場合、前記レーダユニットの下向き、もしくは上向き判定を行なうとともに、その下向き判定もしくは上向き判定結果を前記認識手段に与え、
前記認識手段は、前記下向き判定もしくは上向き判定結果に応じて、前記中心軸よりも下側もしくは上側の角度に照射される送信ビームによる反射ビームに基づいて、反射物体を車両と認識する確率を低下させることを特徴とする請求項1に記載の車両用物体認識装置。
【請求項10】
前記レーダユニットが、前記車両の高さ方向において送信ビームを照射可能な角度範囲は、実際に照射される前記複数の送信ビームによる全照射角度範囲よりも広いものであって、
前記補正手段は、前記算出手段によって算出されたずれ量が前記第1の基準範囲よりも大きな第2の基準範囲から外れている場合、前記レーダユニットにおける複数の送信ビームによる全照射角度範囲を、前記照射可能な角度範囲内においてずらすことを特徴とする請求項9に記載の車両用物体認識装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−146372(P2006−146372A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332401(P2004−332401)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】