説明

車両用表示装置

【課題】表示目的の異なる複数画像を各々の目的に応じて適切に表示する車両用表示装置の提供。
【解決手段】表示制御部60は、液晶パネル10の第一画素領域14において通常時及び特定時にメータ画像を表示する画素の階調比率をメータ表示階調比率として制御し、液晶パネル10の第二画素領域18において特定時に外界画像を表示する画素の階調比率を外界表示階調比率として制御する。そして、表示制御部60は、メータ及び外界表示階調比率を最大比率R1max,R2maxに保持した状態で、基準値Cbよりも明るい側の調整値に従って光源20の発光輝度を可変にする第一制御モードと、光源20の発光輝度を最小輝度Lminに保持した状態で、基準値Cbよりも暗い側の調整値に従ってメータ表示階調比率を可変にする一方、外界表示階調比率を最大比率R2maxに保持する第二制御モードとを切換え実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルとその照明用の光源とを備えた車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像を表示する液晶パネルを光源の発光により照明するようにした車両用等の表示装置として、液晶パネルにおける表示画像の明るさを調整するための調整値に応じて液晶パネルの画素階調値と光源の発光輝度とを可変にしたものが知られている。
【0003】
例えば特許文献1の表示装置では、調整値としてのユーザ設定値が所定値よりも明るい側となる場合に、液晶パネルの画素階調値を保持する一方で光源の発光輝度を可変にし、逆にユーザ設定値が所定値よりも暗い側となる場合に、光源の発光輝度を保持する一方で液晶パネルの画素階調値を可変にしている。これにより、光源の発光輝度により明るさの調整が困難な輝度範囲を画素階調値の可変制御により補って、ユーザの嗜好に応じた見易い画像表示を実現可能となっている。
【特許文献1】特開平11−194736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、表示装置の中でも特に車両用の表示装置は、外光照度の高い環境下だけでなく、車両の夜間走行時や暗所走行時等の外光照度の低い環境下でも使用される。したがって、外光照度の低い環境下では、上記特許文献1に準じて光源の発光輝度を保持しながら液晶パネルの画素階調値を変化させることにより、液晶パネルにおける表示画像の明るさを抑えて当該画像の見易さを高めることが可能になる。しかしながら、車両乗員に対して注意を喚起するための画像、例えば注意の必要な車両外界を撮像してなる外界画像や、注意すべき車両異常を警告する警告画像等については、ある程度の明るさを確保して画像本来の表示目的を達成することが不可欠である。したがって、上記特許文献1に準じて液晶パネルの画素階調値を変化させた場合、明るさの必要な画像までもが暗く表示されることになるため、画像本来の表示目的を達成し得ないといった問題が生じてしまうのである。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、表示目的の異なる複数画像を各々の目的に応じて適切に表示する車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、車両において画像を表示する液晶パネルと、発光により液晶パネルを照明する光源と、液晶パネルにおける表示画像の明るさを調整するための調整値に応じて液晶パネル及び光源を制御する制御手段とを備えた車両用表示装置であって、液晶パネルは、特定時に特定画像を表示する特定表示画素と、特定表示画素により特定画像を表示しない通常時及び特定時に通常画像を表示する通常表示画素とを有し、制御手段は、特定表示画素の設定階調値に対する特定表示画素の階調値の比率を特定表示画素の階調比率として制御し、通常表示画素の設定階調値に対する通常表示画素の階調値の比率を通常表示画素の階調比率として制御し、且つ制御手段は、特定表示画素及び通常表示画素の階調比率を最大比率に保持した状態で、基準値よりも明るい側の調整値に従って光源の発光輝度を可変にする第一制御モードと、光源の発光輝度を最小輝度に保持した状態で、基準値よりも暗い側の調整値に従って通常表示画素の階調比率を可変にする一方、特定表示画素の階調比率を最大比率に保持する第二制御モードとを、切換えて実行することを特徴とする。
【0007】
この発明によると、液晶パネルにおける表示画像の明るさを調整するための調整値が基準値よりも明るい側である間は、第一制御モードの実行により、特定表示画素及び通常表示画素の階調比率が最大比率に保持されるが、光源の発光輝度は当該調整値に従って可変とされる。これによれば、特定表示画素及び通常表示画素の各々が表示する特定画像及び通常画像の明るさを、基準値に対応する明るさまでは、光源発光輝度の変化により正しく調整することができる。一方、調整値が基準値よりも暗い側になると、第二制御モードの実行により、光源の発光輝度が最小輝度に保持された状態で通常表示画素の階調比率が当該調整値に従って可変とされるが、特定表示画素の階調比率は最大比率に保持される。これによれば、通常表示画素が表示する通常画像の明るさを通常表示画素の階調比率の変化によって抑えつつも、特定表示画素が表示する特定画像の明るさを光源の発光輝度及び特定表示画素の階調比率の保持によって、基準値に対応する明るさに保持することができる。以上より、通常時にも特定時にも表示の通常画像については、車両乗員の嗜好に合った見易い明るさに自由に調整し得る一方で、特定時に表示の特定画像については、本来の表示目的を達成するための明るさを確保し得るのである。
【0008】
請求項2に記載の発明によると、基準値は、特定画像の表示に最低限必要な明るさに対応する調整値である。これによれば、調整値が基準値よりも暗い側になっても、特定画像の明るさとして基準値に対応する明るさ、即ち特定画像の表示に最低限必要な明るさを確保し得るので、特定時における特定画像の表示目的を確実に達成することができる。また、調整値が基準値よりも明るい側においては、特定画像の明るさをその表示に最低限必要な明るさにまで低下させることが可能になるので、特定画像の明るさの調整範囲を可及的に広げて車両乗員の嗜好に対する適合性を高めることもできるのである。
【0009】
請求項3に記載の発明によると、第一制御モードにおいて制御手段は、調整値が基準値となる場合に光源の発光輝度を最小輝度に制御し、第二制御モードにおいて制御手段は、調整値が基準値となる場合に通常表示画素の階調比率を最大比率に制御する。これによれば、光源の発光輝度を可変にする第一制御モードにおいて調整値が基準値となる場合、当該基準値よりも暗い側の第二制御モードにおいて保持される最小輝度に光源の発光輝度が制御される。故に、制御モード間の切換え時において光源の発光輝度には、変化が生じない。また、通常表示画素の階調比率を可変にする第二制御モードにおいて調整値が基準値となる場合には、当該基準値よりも明るい側の第一制御モードにおいて保持される最大比率に通常表示画素の階調比率が制御される。故に、制御モード間の切換え時において通常表示画素の階調比率には、変化が生じない。さらに、第一及び第二制御モードの双方において最大比率に保持される特定表示画素の階調比率についても、それら制御モード間の切換え時には、変化が生じない。以上より、特定表示画素及び通常表示画素の各々によって表示される特定画像及び通常画像の明るさを、基準値を境とする制御モードの切換えによっては急変させずにスムーズに調整することができるので、車両乗員に違和感を与える事態の回避が可能となるのである。
【0010】
請求項4に記載の発明によると、特定画像は、車両の外界に対する注意が必要な特定時時に当該外界を撮像してなる外界画像を含み、通常画像は、通常時及び特定時の双方において車両の状態値を指示するメータ画像を含む。これによれば、通常画像としてのメータ画像については、車両乗員の嗜好に適合した明るさで常に表示させて見易さを優先させる一方で、特定画像としての外界画像については、基準値に対応する明るさを確保して車両外界に対する注意喚起という表示目的を達成することができる。
【0011】
請求項5に記載の発明によると、特定画像は、車両に異常が発生した特定時に当該異常を警告する警告画像を含み、通常画像は、通常時及び特定時の双方において車両の状態値を指示するメータ画像を含む。これによれば、通常画像としてのメータ画像については、車両乗員の嗜好に適合した明るさで常に表示させて見易さを優先させる一方で、特定画像としての警告画像については、基準値に対応する明るさを確保して車両異常に対する注意喚起という表示目的を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
(第一実施形態)
図2,3は、本発明の第一実施形態による車両用表示装置1の概略構成を示し、図4は、装置1の電気回路構成を示している。
【0014】
図2〜4に示すように、車両用表示装置1はコンビネーションメータとして機能するものであり、液晶パネル10、光源20、入力部30、撮像部40、液晶駆動部50及び表示制御部60等から構成されている。
【0015】
液晶パネル10はTFT透過液晶パネルであり、画面11が車両の運転席側を向くようにして当該運転席の前方に設置される。この液晶パネル10は、マトリクス状に配された複数の画素を有するドットマトリクス型であり、それら各画素が駆動されることによってフルカラーの画像表示を画面11にて実現する。ここで、本実施形態の液晶パネル10の画素は、赤,緑,青のカラーフィルタがそれぞれ配設された三色のサブ画素R,G,Bからなり、液晶パネル10を駆動する液晶駆動部50には、それらサブ画素についての階調値を画素毎に選択する表示指令信号が与えられるようになっている。
【0016】
詳細には、図5に例示するように本実施形態においては、同一画素を構成して特定の色合い(色相)を表現するサブ画素のうち、その色合い表現に濃度が必要とされるサブ画素について、階調値が0よりも大きく且つ設定階調値以下の範囲となるように、当該設定階調値に対する比率(以下、単に「階調比率」と言う)が決定される。尚、色合い表現に必要なサブ画素が複数存在する場合には、それら各サブ画素についての階調比率が互いに同一比率に設定されることによって、色合いが変わらないようにすることが重要となる。これは、色合いが変わらないことによって、表示が車両の乗員にとって見易くなり、見間違えを防止することができるからである。
【0017】
そして、本実施形態においては、色合い表現に必要なサブ画素について上記の如く決定された階調比率を成立させるように階調値を選択すると共に、残りのサブ画素の階調値として0を選択する表示指令信号を液晶駆動部50へと与えることになるのである。そこで、以下では説明を判り易くするために、画素を構成するサブ画素のうち、色合い表現に必要なサブ画素についての階調比率を「画素の階調比率」として、説明する。
【0018】
ここで、色合い表現に必要なサブ画素の階調値について階調比率の基準となる設定階調値としては、例えば図5に示す0〜63の64段階の階調値を有するテーブルが液晶駆動部50の画像メモリ54に記憶されており、それら64段階の階調値の中から適宜の数値に設定することが可能である。具体的に、図5に示す例においては、赤色表現に必要なサブ画素Rの場合は63が設定階調値とされ、黄色表現に必要なサブ画素R,Gの場合はそれぞれ63,31が設定階調値とされ、白色表現に必要なサブ画素R,G,Bの場合はそれぞれ63,63,63が設定階調値とされている。このように設定階調値は、選択される階調値のうち最大値となるものであり、故に、この設定階調値のときの階調比率が最大比率としての100%となる。ここで特に本実施形態では、後述の第一制御モードにおいて画像の輝度が最大となるときの階調比率が、最大比率とされている。
【0019】
尚、設定階調値については、例えば64段階の階調値が画像メモリ54に記憶されていたとしても、64及び0以外の数値としてもよい。具体的に、図5に示す例の黄色表現においては、最大比率100%のときのサブ画素Gの設定階調値を31としており、故に、サブ画素Gの階調比率を50%に変更するときには、サブ画素Gの階調値として15を選択するようになっている。またこれに準じて、例えば赤色表現に必要なサブ画素Rの設定階調値を31とし、サブ画素Rの階調値として15を選択することにより、サブ画素Rの階調比率を最大比率100%から50%に変更するようにしても、勿論よいのである。
【0020】
図3に示すように液晶パネル10は、複数の画素からなりメータ画像12及び背景画像13を表示する第一画素領域14と、複数の画素からなり外界画像16を表示する第二画素領域18とを有している。
【0021】
具体的に第一画素領域14は、液晶パネル10の画面11において向かって右側の略半分に設定されており、当該領域14を構成する画素の駆動によってメータ画像12及び背景画像13を表示する。ここでメータ画像12は、車両の状態値を車両の乗員へ指示するための画像であり、図6に示す通常時及び図3に示す特定時の双方において表示されるようになっている。特に本実施形態においてメータ画像12は、車速を示す車速表示画像12aと、燃料残量を示す残量表示画像12bとを含んでいる。また、背景画像13は、メータ画像12を際立たって表示させるための画像であり、図6の通常時及び図3の特定時の双方において表示されるようになっている。
【0022】
第二画素領域18は、液晶パネル10の画面11において向かって左側の略半分に第一画素領域14と隣接して設定されており、当該領域18を構成する画素の駆動によって外界画像16を表示する。ここで外界画像16は、車両の外界状況に対して注意を喚起するために撮像部40により当該外界の所定領域を撮影して得られる画像であり、当該注意の必要な特定時には図3の如く表示される一方、通常時には図6の如く見かけ上表示されないようになっている。特に本実施形態において外界画像16は、例えば車両の夜間走行時又は車両の暗所走行時等の特定時に車両の前照灯の可視光が届かない前方領域を撮像してなる画像、即ちナイトビュー画像とされている。
【0023】
図2,4に示すように光源20は、発光ダイオード22及び拡散板24を備えている。発光ダイオード22はチップタイプであり、車両において液晶パネル10の斜め後方に設置されている。発光ダイオード22は表示制御部60と電気接続されており、当該制御部60から与えられる発光駆動信号に従い駆動されることで光を放射する。拡散板24は光透過性の樹脂で平板状に形成されており、液晶パネル10の後方に当該パネル10と平行に配置されている。拡散板24は、隣接して位置する発光ダイオード22からの入射光を拡散して液晶パネル10側の発光面26から出射することにより、発光面26における発光輝度をその全域に亘って略均一にする。以上により光源20は、発光面26からの光により液晶パネル10の全体を後方から透過照明するバックライトとして、液晶パネル10における表示画像を発光させるのである。
【0024】
図4に示すように入力部30は、液晶調整スイッチ32及び表示許否スイッチ34を備えている。
【0025】
液晶調整スイッチ32は例えば液晶パネル10の周囲に設置され、液晶パネル10における表示画像の明るさを調整するために乗員によって操作される。ここで本実施形態の液晶調整スイッチ32には、液晶パネル10の表示画像の明るさについて段階的に又は連続的に規定された調整値と対応するように、段階的な又は連続的な操作位置が設定されている。したがって、乗員は、液晶調整スイッチ32を希望の位置に操作することで、当該操作位置に対応した調整値を入力可能となっている。また特に本実施形態では、液晶調整スイッチ32により入力される調整値の一中間値として、外界画像16の明るさをその表示目的達成に最低限必要な明るさB2minに調整するための基準値Cbが、設定されている。
【0026】
表示許否スイッチ34は例えば液晶パネル10の周囲に設置され、所定画像の表示を許否するために乗員によってオンオフ操作される。ここで本実施形態の表示許否スイッチ34は、液晶パネル10の第二画素領域18における外界画像16の表示をその許否対象としている。したがって、乗員は表示許否スイッチ34を、外界に対する注意の必要な特定時にオン位置へ又は注意必要のない通常時にオフ位置へ操作することで、外界画像16の表示の実施指令又は停止指令を入力可能となっている。
【0027】
以上の各スイッチ32,34は表示制御部60と電気接続されており、それぞれの操作位置に対応した入力内容を表す信号を表示制御部60へ送信する。
【0028】
撮像部40は、外界カメラ42及び画像処理回路44を備えている。外界カメラ42は、CCD等の撮像素子により車両の外界領域を撮影するものである。ここで本実施形態の外界カメラ42は、例えば車両のフロントバンパー又はフロントグリルに設置されて赤外光を専用の投光器又は車両の前照灯から車両前方へと照射し、当該照射光に対する反射光を撮像素子により受光して画像信号に変換する。画像処理回路44はマイクロコンピュータからなり、車両に設置されて外界カメラ42と電気接続されている。画像処理回路44は、外界カメラ42からの画像信号を処理することにより、車両前方の外界画像16を生成する。以上より撮像部40は、前照灯の可視光が届かない領域を外界カメラ42により撮影して、当該領域に関する外界画像16を取得する。
【0029】
図2,4に示すように液晶駆動部50は、駆動回路52及び画像メモリ54を備えている。駆動回路52はASIC等のICチップからなり、車両において発光ダイオード22の後方に設置されて液晶パネル10及び表示制御部60と電気接続されている。画像メモリ54はEEPROMからなり、駆動回路52と電気接続されている。画像メモリ54には、装置1の工場出荷前等においてメータ画像12等が画像情報として予め記憶されている。以上により駆動回路52は、表示制御部60からの表示指令信号に応答して画像メモリ54から所定のメータ画像12を読み出し、当該表示指令信号に従って第一画素領域14の各構成画素を駆動することにより、メータ画像12及びそれに応じた背景画像13を画面11に表示させる。
【0030】
また、本実施形態の液晶駆動部50では、駆動回路52が撮像部40の画像処理回路44とも電気接続されている。これにより駆動回路52は、表示制御部60からの表示指令信号に応答して撮像部40から外界画像16を読み込み、当該表示指令信号に従って第二画素領域18の各構成画素を駆動することにより外界画像16を画面11に表示させる。
【0031】
表示制御部60は、制御回路62及び制御情報メモリ64を備えている。表示制御部60はマイクロコンピュータからなり、車両において発光ダイオード22の後方に設置されている。制御回路62は、光源20の発光ダイオード22、入力部30の各スイッチ32,36、液晶駆動部50の駆動回路52及び状態値センサ部66と電気接続されている。ここで状態値センサ部66は、液晶パネル10の第一画素領域14によりメータ画像12として表示される車両状態値、即ち車速及び燃料残量等を検出し、それら検出結果を表す信号を制御回路62へ送信するものである。
【0032】
制御情報メモリ64は、例えばEEPROM又はROM等からなり、制御回路62と電気接続されている。制御情報メモリ64には、二種類の制御情報が装置1の工場出荷前等において予め記憶されている。
【0033】
図7に示すように光源制御情報は、光源20の発光面26における発光輝度(以下、単に「発光輝度」という)と、液晶調整スイッチ32により入力される調整値(以下、「入力調整値」という)との相関を表している。特に本実施形態の光源制御情報は、入力調整値が基準値Cbから明るい側へ変化するほど、光源20の発光輝度が最小輝度Lminから最大輝度Lmaxへ向かって漸次増大するように、設定されている。尚、光源20の発光輝度と入力調整値との相関については、図7の如き線形相関の他、対数相関やステップ関数等であってもよく、またいずれの場合にも、制御情報メモリ64への記憶データ形式については、テーブル形式又は関数形式等であってもよい。
【0034】
図8に示すようにメータ制御情報は、第一画素領域14においてメータ画像12を表示する画素の階調比率(以下、「メータ表示階調比率」という)と、入力調整値との相関を表している。特に本施形態のメータ制御情報は、入力調整値が基準値Cbから暗い側へ変化するほど、メータ表示階調比率が最大比率R1maxから最小比率R1minへ向かって漸次減少するように、設定されている。尚、メータ表示階調比率と入力調整値との相関については、図8の如き線形相関の他、対数相関やステップ関数等であってもよく、またいずれの場合も、制御情報メモリ64への記憶データ形式については、テーブル形式又は関数形式等であってもよい。
【0035】
以上より図4の制御回路62は、各スイッチ32,34及び状態値センサ部66からの信号と、制御情報メモリ64から読み出した光源制御情報とに基づいて、発光駆動信号を生成する。この発光駆動信号は、光源20の発光ダイオード22へ与えられることによって発光ダイオード22の駆動を制御するものであり、以下では、「発光駆動信号を発光ダイオード22へ与える」ことを「光源20を制御する」こととして説明する。
【0036】
また、制御回路62は、各スイッチ32,34及び状態値センサ部66からの信号と、制御情報メモリ64から読み出したメータ制御情報とに基づいて、表示指令信号を生成する。この表示指令信号は、液晶駆動部50の駆動回路52へ与えられることによって液晶パネル10の各構成画素の駆動を制御するものであり、以下では、「表示指令信号を駆動回路52へ与える」ことを「液晶パネル10を制御する」こととして説明する。
【0037】
次に、第一実施形態による車両用表示装置1の表示作動について、図1,9を参照しつつ説明する。ここで図1は、光源20の発光輝度と、第一画素領域14におけるメータ表示階調比率と、第二画素領域18において外界画像16を表示する画素の階調比率(以下、「外界表示階調比率」という)とを、示している。また、図9は、第一画素領域14に表示されるメータ画像12の明るさ(表示輝度)と、第二画素領域18に表示される外界画像16の明るさとを、示している。
【0038】
表示制御部60の制御回路62は、液晶調整スイッチ32からの信号が表す入力調整値とその基準値Cbとの比較結果に応じて、光源20及び液晶パネル10を制御するための制御モードを第一制御モード及び第二制御モードの間で切換える。尚、第一実施形態の表示作動及び制御フロー(後述)では、メータ画像12の表示を際立たせるように、第一画素領域14において背景画像13を表示する画素の階調比率及び色合いが制御モードに拘らず固定されるようになっている。したがって、以下において背景画像13の表示画素の階調比率及び色合いについては、説明を割愛する。
【0039】
(1)第一制御モード
制御回路62は、入力調整値が基準値Cbよりも明るい側となる場合に第一制御モードを実行する。
【0040】
具体的には、第一制御モードにおいて制御回路62は、表示許否スイッチ34からの信号に拘らず光源20を制御することで、その発光輝度を制御情報メモリ64の光源制御情報に基づき可変にする。即ち、第一制御モードにおける光源20の発光輝度は、最大輝度Lmax及び最小輝度Lmin間の範囲ΔL(図1)のうち、入力調整値に従う輝度に制御されるのである。これにより、特に入力調整値が基準値Cbであるときには、後に詳述の第二制御モードと同じ最小輝度Lminに光源20の発光輝度が制御されるようになっている。
【0041】
また、第一制御モードにおいて制御回路62は、表示許否スイッチ34からの信号に拘らず液晶パネル10を制御することで、第一画素領域14のメータ表示階調比率を、入力調整値の変化に対して一定の最大比率R1max(図1)に保持する。したがって、光源20の発光輝度の可変により第一制御モードの第一画素領域14においては、最大明るさB1max及び中間明るさB1mid間の範囲ΔB1b(図9)のうち入力調整値に従う明るさにて、メータ画像12が表示されることとなる。
【0042】
さらにまた、第一制御モードにおいて制御回路62は、表示許否スイッチ34からの信号が外界画像16の表示の実施指令を表す特定時に液晶パネル10を制御することで、第二画素領域18の外界表示階調比率を、入力調整値の変化に対して一定の最大比率R2max(図1)に保持する。したがって、光源20の発光輝度の可変により第一制御モードの特定時の第二画素領域18においては、最大明るさB2max及び最小明るさB2min間の範囲ΔB2b(図9)のうち入力調整値に従う明るさにて、外界画像16が表示されることとなる。
【0043】
尚、第一制御モードにおいて表示許否スイッチ34からの信号が外界画像16の表示の停止指令を表す通常時には、外界画像16が背景画像13と同化するように、液晶パネル10における第二画素領域18の外界表示階調比率及び色合いが制御回路62によって制御される。したがって、第一制御モードの通常時において第二画素領域18には、図6の如く外界画像16が見かけ上は表示されないこととなる。
【0044】
(2)第二制御モード
制御回路62は、入力調整値が基準値Cbよりも暗い側となる場合に第二制御モードを実行する。
【0045】
具体的には、第二制御モードにおいて制御回路62は、表示許否スイッチ34からの信号に拘らず光源20を制御することで、その発光輝度を入力調整値の変化に対して一定の最小輝度Lmin(図1)に保持する。
【0046】
また、第二制御モードにおいて制御回路62は、表示許否スイッチ34からの信号に拘らず液晶パネル10を制御することで、第一画素領域14のメータ表示階調比率を制御情報メモリ64のメータ制御情報に基づき可変制御する。即ち、第二制御モードにおける第一画素領域14のメータ表示階調比率は、最大比率R1max及び最小比率R1min間の範囲ΔR1(図1)のうち、入力調整値に従う比率に制御されるのである。これにより、特に入力調整値が基準値Cbであるときには、上述の第一制御モードと同じ最大比率R1maxに第一画素領域14のメータ表示階調比率が制御されるようになっている。このような第二制御モードの第一画素領域14においては、中間明るさB1mid及び最小明るさB1min間の範囲ΔB1d(図9)のうち入力調整値に従う明るさにて、メータ画像12が表示されることとなる。
【0047】
さらにまた、第二制御モードにおいて制御回路62は、表示許否スイッチ34からの信号が外界画像16の表示の実施指令を表す特定時に液晶パネル10を制御することで、第二画素領域18の外界表示階調比率を、入力調整値の変化に対して一定の最大比率R2max(図1)に保持する。したがって、第二制御モードの特定時においては、明るさ可変のメータ画像12の表示が第一画素領域14において実現される一方で、最小明るさB2min(図9)の外界画像16の表示が第二画素領域18において実現されることとなる。
【0048】
尚、第二制御モードにおいて表示許否スイッチ34からの信号が外界画像16の表示の停止指令を表す通常時には、制御回路62は、上述した第一制御モードの通常時と同様に液晶パネル10を制御する。したがって、第二制御モードの通常時においても第二画素領域18には、外界画像16が見かけ上は表示されないこととなる。
【0049】
次に、第一実施形態の制御回路62による制御フローについて、図10を参照しつつ説明する。この第一実施形態の制御フローは、車両のイグニッションスイッチがオン操作されると、スタートするようになっている。
【0050】
まず、ステップS101では、液晶調整スイッチ32からの信号が表す入力調整値に応じて、制御モードを第一制御モード及び第二制御モードのいずれかに設定する。
【0051】
ステップS101において基準値Cbよりも明るい側の入力調整値により制御モードが第一制御モードに設定された場合には、ステップS102へ移行する。このステップS102では、光源20の発光輝度を、制御情報メモリ64の光源制御情報に基づく最大輝度Lmax及び最小輝度Lminの間にて、入力調整値に従い可変制御する。
【0052】
続いてステップS103では、液晶パネル10における第一画素領域14のメータ表示階調比率を、最大比率R1maxに保持制御する。これにより、最大明るさB1max及び中間明るさB1midの間にて入力調整値に対応した明るさのメータ画像12を、第一画素領域14に表示させる。
【0053】
さらにステップS104では、表示許否スイッチ34からの信号が表す指令内容を判定する。その結果、判定した指令内容が外界画像16の表示の実施指令である場合には、ステップS105へ移行する一方、判定した指令内容が外界画像16の表示の停止指令である場合には、ステップS106へと移行する。
【0054】
外界画像16の表示の実施指令により移行したステップS105では、液晶パネル10における第二画素領域18の外界表示階調比率を、最大比率R2maxに保持制御する。これにより、最大明るさB2max及び最小明るさB2minの間にて入力調整値に対応した明るさの外界画像16を、第二画素領域18に表示させる。
【0055】
これに対し、外界画像16の表示の停止指令により移行したステップS106では、液晶パネル10における第二画素領域18の外界表示階調比率及び色合いを、外界画像16が背景画像13と同化するように保持制御する。これにより、第二画素領域18において外界画像16を見かけ上の非表示状態とする。
【0056】
以上、制御モードとして第一制御モードが設定された場合を説明したが、ステップS101において基準値Cbよりも暗い側の入力調整値により制御モードが第二制御モードに設定された場合には、ステップS107へ移行する。このステップS107では、光源20の発光輝度を最小輝度Lminに保持制御する。
【0057】
続いてステップS108では、液晶パネル10における第一画素領域14のメータ表示階調比率を、制御情報メモリ64のメータ制御情報に基づく最大比率R1max及び最小比率R1min間にて、入力調整値に従い可変制御する。これにより、中間明るさB1mid及び最小明るさB1min及びの間にて入力調整値に対応した明るさのメータ画像12を、第一画素領域14に表示させる。
【0058】
さらにステップS109では、表示許否スイッチ34からの信号に基づき上述のステップS104と同様の判定を行うことで、外界画像16の表示の実施指令の場合はステップS110へ、当該表示の停止指令の場合はステップS111へ移行する。
【0059】
表示の実施指令により移行したステップS110では、液晶パネル10における第二画素領域18の外界表示階調比率を、最大比率R2maxに保持制御する。これにより、第一画素領域14にて明るさ可変とされるメータ画像12に拘らず、最小明るさB2minの外界画像16を第二画素領域18に表示させる。
【0060】
これに対し、表示の停止指令により移行したステップS111では、液晶パネル10における第二画素領域18の外界表示階調比率及び色合いを上述のステップS106と同様に保持制御し、外界画像16を見かけ上の非表示状態とする。
【0061】
尚、本制御フローにおいてステップS105,S106,S110,S111の実行後は、いずれもステップS112へと移行して、イグニッションスイッチがオフされたか否かを判定する。その結果、肯定判定がなされた場合には、本制御フローを終了するのに対し、否定判定がなされた場合には、ステップS101へリターンして本制御フローを継続する。
【0062】
以上説明した第一実施形態によれば、入力調整値が基準値Cbよりも明るい側である間は、第一制御モードが実行されることで、メータ画像12及び外界画像16の明るさが光源20の発光輝度変化によって正しく調整され得る。さらに、入力調整値が基準値Cbよりも暗い側になると、第二制御モードが実行されることで、メータ画像12の明るさがメータ表示階調比率の変化によって低く抑えられる一方、外界画像16の明るさは光源20の発光輝度及び外界表示階調比率の保持によって必要最低限B2minに保持され得る。これらのことから、メータ画像12については乗員嗜好に合った見易い明るさを常に優先させられるのみならず、外界画像16については可及的に広範囲で乗員嗜好に合わせつつ、最低限の明るさを確保して外界に対する注意喚起目的を確実に達成することができるのである。
【0063】
さらに、第一実施形態によれば、第一制御モードにおいて入力調整値が基準値Cbとなる場合、第二制御モードにおける保持輝度Lminに光源20の発光輝度が制御されるので、それら制御モード間の切換え時に当該発光輝度の変化が生じない。また、第二制御モードにおいて入力調整値が基準値Cbとなる場合には、第一制御モードにおける保持比率R1maxにメータ表示階調比率が制御されるので、それら制御モード間の切換え時に当該階調比率の変化が生じない。さらに、いずれの制御モードにおいても最大比率R2maxに保持される外界表示階調比率については、それら制御モード間の切換え時に変化は生じない。以上のことから、メータ画像12及び外界画像16の明るさを、基準値Cbを境とする制御モードの切換えによっては急変させることなくスムーズに調整することができるので、乗員に違和感を与える事態が回避されることとなる。
【0064】
加えて、第一実施形態によれば、光源20の発光輝度を第一制御モードにおいて可変としているので、当該第一制御モードよりも暗い側となる第二制御モードにおいて光源20の発光輝度を最小に絞った状態に保持することができる。故に、液晶パネル10においては、暗い表示が求められる黒色表示部分(例えば背景画像13)での光抜けを、抑制することができるのである。しかも、第一実施形態によれば、入力調整値に応じた制御モードのうち一方の第二制御モードのみでメータ表示階調比率を可変としているので、メータ表示階調比率が小さくなり過ぎることにより色合いの低下を招く事態も、抑制することができるのである。
【0065】
尚、ここまでの第一実施形態では、表示制御部60が「制御手段」に相当し、メータ画像12が「通常画像」に相当し、第一画素領域14が「通常表示画素」に相当し、外界画像16が「特定画像」に相当し、第二画素領域18が「特定表示画素」に相当する。
【0066】
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。尚、以下では、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0067】
図11,12に示すように、第二実施形態による車両用表示装置200の液晶パネル210には、構成画素の駆動によって警告画像216及び背景画像217を表示する第二画素領域218が、第一画素領域14の下方に設定されている。尚、図11において二点鎖線は、第一画素領域14と第二画素領域218との境界を仮想的に表している。
【0068】
ここで警告画像216は、車両に発生の異常に対して注意を喚起するために当該異常を警告する画像であり、当該異常の発生した特定時には図11の如く表示される一方、通常時には図13の如く見かけ上表示されないようになっている。特に本実施形態において警告画像216は、燃料残量のエンプティ異常を示す燃料異常画像216aと、冷却水温度の上昇異常を示す水温異常画像216bとを含んでいる。また、背景画像217は、警告画像216を際立たって表示させるための画像であり、図11の特定時及び図13の通常時の双方において表示されるようになっている。尚、以下では、各画素領域14,218にて表示される背景画像13,217を区別するために、第一画素領域14の背景画像13を「第一背景画像13」といい、第二画素領域218の背景画像217を「第二背景画像217」という。
【0069】
以上の変形に伴い、図12に示すように表示許否スイッチ34は、入力部230において省かれている。また、液晶駆動部250の画像メモリ254には、メータ画像12と共に警告画像216等が画像情報として予め記憶されている。さらにまた、表示制御部260の制御回路262は、燃料残量及び冷却水温度を車速等と共に検出する状態値センサ部266からの信号により、燃料残量のエンプティ異常及び冷却水温度の上昇異常を監視し、当該監視結果に基づく液晶パネル10の制御を実施する。
【0070】
次に、第二実施形態による車両用表示装置200の表示作動について、図14,15を参照しつつ説明する。ここで図14は、光源20の発光輝度と、第一画素領域14におけるメータ表示階調比率と、第二画素領域218において警告画像216を表示する画素の階調比率(以下、「警告表示階調比率」という)とを、示している。また、図15は、第一画素領域14に表示されるメータ画像12の明るさ(表示輝度)と、第二画素領域218に表示される警告画像216の明るさとを、示している。
【0071】
表示制御部260の制御回路262も、入力調整値とその基準値Cbとの比較結果に応じて、制御モードを第一制御モード及び第二制御モードの間で切換える。尚、第二実施形態の表示作動及び制御フロー(後述)では、メータ画像12及び警告画像216の表示を際立たせるように、各画素領域14,218において背景画像13,217を表示する画素の階調比率及び色合いが制御モードに拘らず固定されるようになっている。したがって、以下において背景画像13,217の表示画素の階調比率及び色合いについては、説明を割愛する。
【0072】
(1)第一制御モード
入力調整値が基準値Cbよりも明るい側となる場合に実行される第一制御モードにおいて、制御回路262は、光源20の発光輝度並びに液晶パネル210における第一画素領域14のメータ表示階調比率を、第一実施形態の第一制御モードと同様(図14)に制御する。これにより第一画素領域14においては、最大明るさB1max及び中間明るさB1mid間の範囲ΔB1b(図15)のうち入力調整値に従う明るさにて、メータ画像12が表示されることとなる。
【0073】
また、第一制御モードにおいて制御回路262は、状態値センサ部266からの信号が燃料残量のエンプティ異常又は冷却水温度の上昇異常を表す特定時に、液晶パネル210における第二画素領域218の警告表示階調比率を、最大比率R2max(図14)に保持制御する。したがって、第一実施形態と同様な光源20の発光輝度の可変により第二画素領域218においては、最大明るさB2max及び最小明るさB2min間の範囲ΔB2b(図15)のうち入力調整値に従う明るさにて、警告画像216が表示されることとなる。
【0074】
尚、第一制御モードにおいて状態値センサ部266からの信号がいずれの異常も表していない通常時には、警告画像216が第二背景画像217と同化するように、液晶パネル210における第二画素領域218の外界表示階調比率及び色合いが制御回路262によって制御される。したがって、第一制御モードの通常時において第二画素領域218には、図13の如く警告画像216が見かけ上は表示されないこととなる。
【0075】
(2)第二制御モード
入力調整値が基準値Cbよりも暗い側となる場合に実行される第二制御モードにおいて制御回路262は、光源20の発光輝度並びに液晶パネル210における第一画素領域14のメータ表示階調比率を、第一実施形態の第二制御モードと同様(図14)に制御する。これにより第一画素領域14においては、中間明るさB1mid及び最小明るさB1min間の範囲ΔB1d(図15)のうち入力調整値に従う明るさにて、メータ画像12が表示されることとなる。
【0076】
また、第二制御モードにおいて制御回路262は、状態値センサ部266からの信号が燃料残量のエンプティ異常又は冷却水温度の上昇異常を表す特定時に、液晶パネル210における第二画素領域218の警告表示階調比率を、最大比率R2max(図14)に保持制御する。したがって、第二制御モードの特定時においては、明るさ可変のメータ画像12の表示が第一画素領域14において実現される一方で、最小明るさB2min(図15)の警告画像216の表示が第二画素領域218において実現されることとなる。
【0077】
尚、第二制御モードにおいて状態値センサ部266からの信号がいずれの異常も表していない通常時には、上述した第一制御モードの通常時と同様に液晶パネル210が制御されて、警告画像216が見かけ上は第二画素領域18に表示されないこととなる。
【0078】
次に、第二実施形態の制御回路262による制御フローについて、図16を参照しつつ説明する。この第二実施形態の制御フローも、車両のイグニッションスイッチがオン操作されると、スタートするようになっている。
【0079】
まず、ステップS201では、第一実施形態のステップS101と同様にして、制御モードが設定される。その結果、基準値Cbよりも明るい側の入力調整値により制御モードが第一制御モードに設定された場合には、第一実施形態のステップS102,S103と同様な内容のステップS202,S203が実行された後、ステップS204へと移行する。
【0080】
ステップS204では、状態値センサ部266からの信号が燃料残量のエンプティ異常又は冷却水温度の上昇異常を表しているか否かを、判定する。その結果、信号がいずれかの異常を表している場合には、ステップS205へ移行する一方、信号がいずれの異常も表していない場合には、ステップS206へと移行する。
【0081】
燃料残量のエンプティ異常又は冷却水温度の上昇異常の発生により移行したステップS205では、液晶パネル210における第二画素領域218の警告表示階調比率を、最大比率R2maxに保持制御する。これにより、最大明るさB2max及び最小明るさB2minの間にて入力調整値に対応した明るさの警告画像216を、第二画素領域218に表示させる。
【0082】
これに対し、いずれの異常も発生していないことにより移行したステップS206では、液晶パネル210における第二画素領域218の警告表示階調比率及び色合いを、警告画像216が第二背景画像217と同化するように保持制御する。これにより、第二画素領域218において警告画像216を見かけ上の非表示状態とする。
【0083】
以上、制御モードとして第一制御モードが設定された場合を説明したが、ステップS201において基準値Cbよりも暗い側の入力調整値により制御モードが第二制御モードに設定された場合には、第一実施形態のステップS107,S108と同様な内容のステップS207,S208が実行された後、ステップS209へと移行する。
【0084】
ステップS209では、状態値センサ部266からの信号に基づき上述のステップS204と同様の判定を行うことで、異常の場合はステップS210へ、異常のない場合はステップS211へ移行する。
【0085】
異常の発生により移行したステップS210では、液晶パネル210における第二画素領域218の警告表示階調比率を、最大比率R2maxに保持制御する。これにより、第一画素領域14にて明るさ可変とされるメータ画像12に拘らず、最小明るさB2minの警告画像216を第二画素領域218に表示させる。
【0086】
これに対し、異常の発生がないことにより移行したステップS211では、液晶パネル210における第二画素領域218の警告表示階調比率及び色合いを上述のステップS206と同様に保持制御し、警告画像216を見かけ上の非表示状態とする。
【0087】
尚、ステップS205,S206,S210,S211の実行後は、イグニッションスイッチのオフを判定するステップS212へと移行し、肯定判定の場合は本制御フローを終了する一方、否定判定の場合はステップS201へリターンして本制御フローを継続する。
【0088】
以上説明した第二実施形態によれば、入力調整値が基準値Cbよりも明るい側である間は、第一制御モードが実行されることで、警告画像216の明るさが光源20の発光輝度変化によって正しく調整され得る。さらに、入力調整値が基準値Cbよりも暗い側になると、第二制御モードが実行されることで、警告画像216の明るさは光源20の発光輝度及び警告表示階調比率の保持によって必要最低限B2minに保持され得る。ここで、メータ画像12の明るさについては第一実施形態と同様に調整されることから、見易さ優先のメータ画像12に対して警告画像216については、可及的に広範囲で乗員嗜好に合わせつつ、最低限の明るさを確保して異常に対する注意喚起目的を確実に達成することができるのである。
【0089】
尚、ここまでの第二実施形態では、表示制御部260が「制御手段」に相当し、警告画像216が「特定画像」に相当し、第二画素領域218が「特定表示画素」に相当する。
【0090】
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明してきたが、本発明はそれらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
【0091】
例えば第一実施形態では、可視光の反射光を利用して車両の前方、後方、側方の外界領域を撮影することにより得られた外界画像16を、「特定画像」として表示してもよい。また、第二実施形態では、燃料残量のエンプティ異常及び冷却水温度の上昇異常の他にも、例えばABSシステムが作動する車輪のロック異常等を検出し、その検出結果に対応する警告画像216を「特定画像」として表示してもよい。さらに、第一実施形態と第二実施形態とを組み合わせて、外界画像16と警告画像216との双方を「特定画像」として表示してもよい。またさらに、第一実施形態及び第二実施形態では、車速及び燃料残量以外にも、例えば走行距離等の車両状態値を状態値センサ部66,266により検出し、その検出結果に対応するメータ画像12を「通常画像」として表示するようにしてもよい。
【0092】
第一及び第二実施形態では、液晶調整スイッチ32により入力される調整値に応じて液晶パネル10,210及び光源20を制御しているが、例えば外光照度や車両のライトスイッチの操作位置に従って制御回路62,262等が設定する調整値に応じて液晶パネル10,210及び光源20を制御してもよい。また、第一及び第二実施形態では、画像同士を同化させるように階調制御する場合、通常、液晶パネル10,210において表示画素の各サブ画素の電極に対応する薄膜トランジスタを常に通電させて該当部分の液晶をオン状態とさせることになる。これに対し、表示画素の各サブ画素の電極に対応する薄膜トランジスタの通電をカットして該当部分の液晶をオフ状態とすることにより、画像同士を同化させることも可能である。
【0093】
第一及び第二実施形態では、透過型の液晶パネル10,210の他にも、例えば反射型の液晶パネル等を採用してもよい。また、第一及び第二実施形態では、発光ダイオード22及び拡散板24を組み合わせた光源20以外にも、発光輝度を調整可能な各種の光源のうち上記液晶パネルの種類等に応じたものを適宜採用してもよい。そして本発明は、コンビネーションメータとして機能する車両用表示装置1,200の他にも、例えば液晶パネルの表示画像をコンバイナに虚像表示させるヘッドアップディスプレイとしての車両用表示装置等に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第一実施形態による光源の発光輝度並びにメータ及び外界表示階調比率について説明するための模式図である。
【図2】本発明の第一実施形態による車両用表示装置の概略構成を示す図であって、図3のII−II線断面図である。
【図3】本発明の第一実施形態による車両用表示装置について、その概略構成並びに特定時における液晶パネルの表示状態を示す正面図である。
【図4】本発明の第一実施形態による車両用表示装置の電気回路構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第一実施形態の画素階調比率について例示説明するための模式図である。
【図6】本発明の第一実施形態による車両用表示装置について、通常時における液晶パネルの表示状態を示す正面図である。
【図7】本発明の第一実施形態による光源制御情報について説明するための模式図である。
【図8】本発明の第一実施形態によるメータ制御情報について説明するための模式図である。
【図9】本発明の第一実施形態によるメータ画像及び外界画像の明るさについて説明するための模式図である。
【図10】本発明の第一実施形態による制御フローを示すフローチャートである。
【図11】本発明の第二実施形態による車両用表示装置について、その概略構成並びに特定時における液晶パネルの表示状態を示す正面図である。
【図12】本発明の第二実施形態による車両用表示装置の電気回路構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第二実施形態による車両用表示装置について、通常時における液晶パネルの表示状態を示す正面図である。
【図14】本発明の第二実施形態による光源の発光輝度並びにメータ及び警告表示階調比率について説明するための模式図である。
【図15】本発明の第二実施形態によるメータ画像及び警告画像の明るさについて説明するための模式図である。
【図16】本発明の第二実施形態による制御フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1,200 車両用表示装置、10,210 液晶パネル、11 画面、12 メータ画像(通常画像)、12a 車速表示画像(通常画像)、12b 残量表示画像(通常画像)、13 背景画像・第一背景画像、14 第一画素領域(通常表示画素)、16 外界画像(特定画像)、18,218 第二画素領域(特定表示画素)、20 光源、22 発光ダイオード、24 拡散板、26 発光面、30,230 入力部、32 液晶調整スイッチ、34 表示許否スイッチ、40 撮像部、42 外界カメラ、44 画像処理回路、50,250 液晶駆動部、52 駆動回路、54,254 画像メモリ、60,260 表示制御部(表示制御手段)、62,262 制御回路、64 制御情報メモリ、66,266 状態値センサ部、213 第一背景画像、216 警告画像(特定画像)、216a 燃料異常画像(特定画像)、216b 水温異常画像(特定画像)、217 背景画像・第二背景画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両において画像を表示する液晶パネルと、発光により前記液晶パネルを照明する光源と、前記液晶パネルにおける表示画像の明るさを調整するための調整値に応じて前記液晶パネル及び前記光源を制御する制御手段とを備えた車両用表示装置において、
前記液晶パネルは、特定時に特定画像を表示する特定表示画素と、前記特定表示画素により前記特定画像を表示しない通常時及び前記特定時に通常画像を表示する通常表示画素とを有し、
前記制御手段は、前記特定表示画素の設定階調値に対する前記特定表示画素の階調値の比率を前記特定表示画素の階調比率として制御し、前記通常表示画素の設定階調値に対する前記通常表示画素の階調値の比率を前記通常表示画素の階調比率として制御し、
且つ前記制御手段は、前記特定表示画素及び前記通常表示画素の階調比率を最大比率に保持した状態で、基準値よりも明るい側の前記調整値に従って前記光源の発光輝度を可変にする第一制御モードと、前記光源の発光輝度を最小輝度に保持した状態で、前記基準値よりも暗い側の前記調整値に従って前記通常表示画素の階調比率を可変にする一方、前記特定表示画素の階調比率を最大比率に保持する第二制御モードとを、切換えて実行することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記基準値は、前記特定画像の表示に最低限必要な明るさに対応する前記調整値であることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記第一制御モードにおいて前記制御手段は、前記調整値が前記基準値となる場合に前記光源の発光輝度を最小輝度に制御し、
前記第二制御モードにおいて前記制御手段は、前記調整値が前記基準値となる場合に前記通常表示画素の階調比率を最大比率に制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記特定画像は、前記車両の外界に対する注意が必要な前記特定時に当該外界を撮像してなる外界画像を含み、
前記通常画像は、前記通常時及び前記特定時の双方において前記車両の状態値を指示するメータ画像を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記特定画像は、前記車両に異常が発生した前記特定時に当該異常を警告する警告画像を含み、
前記通常画像は、前記通常時及び前記特定時の双方において前記車両の状態値を指示するメータ画像を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−32560(P2010−32560A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191406(P2008−191406)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】