車両用開閉体制御装置
【課題】運転席からの遠隔操作により他席の窓の開閉を行う場合に、他席の乗員の安全を確保する。
【解決手段】車両用開閉体制御装置は、運転席に設けられて運転席以外の他席の窓を開閉するためのスイッチS2と、他席に設けられて他席の窓を開閉するためのスイッチS3と、他席の乗員の有無を検出する着座センサKとを備える。着座センサKが着座を検出している状態で、運転席のスイッチS2の遠隔操作により他席の窓を閉じる場合は、リレーRYが動作し、電流制限抵抗Rを介してモータM2に電流が流れる。この結果、モータM2に流れる電流が小さくなって、モータM2が通常よりも低い速度で回転するので、他席の窓はゆっくりと閉じる。
【解決手段】車両用開閉体制御装置は、運転席に設けられて運転席以外の他席の窓を開閉するためのスイッチS2と、他席に設けられて他席の窓を開閉するためのスイッチS3と、他席の乗員の有無を検出する着座センサKとを備える。着座センサKが着座を検出している状態で、運転席のスイッチS2の遠隔操作により他席の窓を閉じる場合は、リレーRYが動作し、電流制限抵抗Rを介してモータM2に電流が流れる。この結果、モータM2に流れる電流が小さくなって、モータM2が通常よりも低い速度で回転するので、他席の窓はゆっくりと閉じる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の窓や扉の開閉を制御する車両用開閉体制御装置に関し、特に、開閉時における安全を確保するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータにより車両の窓を開閉するパワーウィンドウ装置においては、操作スイッチの操作状況に応じて、モータを正転方向または逆転方向へ回転させ、窓の開閉を行うようにしている。例えば、操作スイッチをUP側(窓閉側)へ操作すると、モータが正転方向に駆動されて窓が閉じ、操作スイッチをDOWN側(窓開側)へ操作すると、モータが逆転方向に駆動されて窓が開く。モータの正転と逆転の制御は、操作スイッチからの信号に基づき、モータ駆動回路においてモータに流れる電流の方向を切り替えることにより行う。
【0003】
一般に、自動車においては、運転席と、それ以外の座席(助手席および後部座席)のそれぞれに、窓開閉用の操作スイッチが備わっている。運転席に備わる操作スイッチには、運転席の窓の開閉を操作する運転席用スイッチのほかに、助手席などの他席の窓の開閉を操作する他席用スイッチが含まれている。そして、運転席側の制御ユニットと他席側の制御ユニットとは、電気的に接続されている。このため、運転席で他席用スイッチを操作することにより、助手席や後部座席の窓を遠隔操作で開閉することができる。このような運転席からの遠隔操作により他席の窓の開閉を行うパワーウィンドウ装置は、例えば下記の特許文献1、2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−358922号公報
【特許文献2】特開平11−268531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パワーウィンドウ装置によって窓を閉じる場合、異物の挟み込みなどが発生しないようにして、安全を確保する必要がある。特に、運転席で他席用スイッチを操作して他席の窓を閉じる場合は、運転者が、他席に着座している乗員の状態をよく確認しないままスイッチを操作すると、乗員にとっては、急速に窓が閉じることで安全が脅かされる。
【0006】
本発明の課題は、窓などの開閉体から離れた場所で、遠隔操作により開閉体の開閉を行う場合に、開閉体付近にいる乗員の安全を確保することができる車両用開閉体制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用開閉体制御装置は、車両に備わる開閉体を開閉するために当該開閉体の付近で操作される第1操作部と、開閉体を遠隔操作により開閉するために当該開閉体から離れた場所で操作される第2操作部と、第1操作部または第2操作部の開操作により開閉体を開き、第1操作部または第2操作部の閉操作により開閉体を閉じる開閉体駆動手段とを有する車両用開閉体制御装置であって、 開閉体付近の乗員の有無を検出する検出手段を備え、開閉体駆動手段は、検出手段が乗員を検出し、かつ、第2操作部で閉操作が行われた場合に、開閉体を、第1操作部で閉操作が行われた場合よりも低い速度で閉じる。
【0008】
このようにすると、開閉体付近に乗員がいる状態で、第2操作部の遠隔操作により開閉体を閉じる場合は、開閉体が通常の場合よりも低速度で閉じる。したがって、例えば、車両の後部座席に乗員がいて、運転者が後方をよく確認しないまま、第2操作部で後部座席の窓を閉じる操作を行った場合でも、後部座席の窓はゆっくりと閉じるので、乗員の安全が脅かされることはない。
【0009】
本発明において、第1操作部は、例えば、運転席以外の他席に設けられて他席の窓を開閉するためのスイッチであり、第2操作部は、例えば、運転席に設けられて他席の窓を開閉するためのスイッチである。
【0010】
本発明において、開閉体駆動手段は、例えば、第1操作部の操作により切り替わる第1接点と、第2操作部の操作により切り替わる第2接点と、開閉体を開閉するためのモータに流れる電流を制限する電流制限抵抗とを備えている。この場合、開閉体駆動手段は、検出手段が乗員を検出し、かつ、第2操作部で閉操作が行われた場合に、第2接点および電流制限抵抗を介して、第1操作部で閉操作が行われた場合よりも小さい電流をモータに流す。
【0011】
本発明において、開閉体駆動手段は、開閉体を開閉するためのモータを駆動するモータ駆動回路と、このモータ駆動回路を制御する制御部とを備えていてもよい。この場合、制御部は、検出手段が乗員を検出し、かつ、第2操作部で閉操作が行われた場合に、モータに流れる電流が、第1操作部で閉操作が行われた場合よりも小さい電流となるようにモータ駆動回路を制御する。
【0012】
本発明において、検出手段は、例えば、乗員の着座を検出する着座センサである。
【0013】
本発明において、検出手段に代えて、車両のドアをロックするためのロックスイッチを用いてもよい。この場合、開閉体駆動手段は、ロックスイッチがオン状態にあり、かつ、第2操作部で閉操作が行われた場合に、開閉体を、第1操作部で閉操作が行われた場合よりも低い速度で閉じる。
【0014】
本発明において、第2操作部は、車両の外部から遠隔操作が可能な携帯型のリモートコントローラであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、開閉体付近に乗員がいる状態で、第2操作部の遠隔操作により開閉体を閉じる場合は、開閉体が低速度で閉じるので、乗員の安全を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係るパワーウィンドウ装置の回路図である。
【図2】スイッチの上面図である。
【図3】運転席で運転席窓を閉じる操作をした場合の通電状態を示す図である。
【図4】運転席で運転席窓を開く操作をした場合の通電状態を示す図である。
【図5】他席で他席窓を閉じる操作をした場合の通電状態を示す図である。
【図6】他席で他席窓を開く操作をした場合の通電状態を示す図である。
【図7】運転席で他席窓を閉じる操作をした場合の通電状態を示す図である。
【図8】運転席で他席窓を開く操作をした場合の通電状態を示す図である。
【図9】着座センサが動作した場合の通電状態を示す図である。
【図10】着座センサが動作した状態で、運転席で他席窓を閉じる操作をした場合の通電状態を示す図である。
【図11】着座センサが動作した状態で、運転席で他席窓を開く操作をした場合の通電状態を示す図である。
【図12】第2実施形態に係るパワーウィンドウ装置の回路図である。
【図13】第3実施形態に係るパワーウィンドウ装置のブロック図である。
【図14】第4実施形態に係るパワーウィンドウ装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をパワーウィンドウ装置に適用した場合の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分または対応部分には、同じ符号を付してある。
【0018】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るパワーウィンドウ装置100を示している。パワーウィンドウ装置100は、窓開閉用のスイッチS1〜S3と、窓開閉用のモータM1、M2と、リレーRYと、着座センサKと、電流制限抵抗Rと、電源Bとを備えている。
【0019】
スイッチS1は、運転席のドアに設けられ、運転席の窓を開閉するために操作されるスイッチである。スイッチS2は、運転席のドアに設けられ、運転席以外の他席(助手席および後部座席)の窓を開閉するために操作されるスイッチである。スイッチS3は、他席のドアに設けられ、他席の窓を開閉するために操作されるスイッチである。なお、ここでは、説明を簡単にするため、他席用のスイッチS2、S3は、それぞれ1つだけ図示されている。
【0020】
モータM1は、運転席の窓を開閉するためのモータであって、スイッチS1に接続されている。スイッチS1は、2つの接点S1u、S1dを有している。接点S1uは、スイッチS1が閉操作(窓を閉じる操作)されたときに、b側からa側に切り替わる。接点S1dは、スイッチS1が開操作(窓を開く操作)されたときに、b側からa側に切り替わる。接点S1u、S1dのそれぞれのa側は、電源Bに接続されている。接点S1u、S1dのそれぞれのb側は、グランドに接続されている。
【0021】
モータM2は、他席の窓を開閉するためのモータであって、スイッチS3に接続されている。スイッチS3は、2つの接点S3u、S3dを有している。接点S3uは、スイッチS3が閉操作されたときに、b側からa側に切り替わる。接点S3dは、スイッチS3が開操作されたときに、b側からa側に切り替わる。接点S3u、S3dのそれぞれのa側は、電源Bに接続されている。接点S3uのb側は、スイッチS2の接点S2uに接続されている。接点S3dのb側は、スイッチS2の接点S2dに接続されている。
【0022】
スイッチS2の接点S2uは、スイッチS2が閉操作されたときに、b側からa側に切り替わる。接点S2dは、スイッチS2が開操作されたときに、b側からa側に切り替わる。接点S2uのa側は、リレーRYの接点Yに接続されている。接点S2dのa側は、電源Bに接続されている。接点S2u、S2dのそれぞれのb側は、グランドに接続されている。
【0023】
リレーRYは、コイルXと、接点Yを有している。コイルXの一端は、着座センサKを介して、電源Bに接続されている。コイルXの他端は、グランドに接続されている。接点Yは、コイルXに通電されたときに、b側からa側に切り替わる。接点Yのa側は、電流制限抵抗Rを介して、電源Bに接続されている。接点Yのb側は、直接、電源Bに接続されている。
【0024】
上述した接点S1u、接点S1d、接点S2u、接点S2d、リレーRYおよび電流制限抵抗Rは、1つの制御ユニット内に設けられている。
【0025】
着座センサKは、例えば、圧力センサから構成されていて、他席のシートの内部に設けられている。乗員がシートに着座すると、乗員の体重により圧力センサが圧力を検知して、検知信号を出力する。図1では、便宜上、着座センサKを接点で表してある。接点が開いている状態(オフ状態)では、圧力センサから検知信号が出力されておらず、接点が閉じている状態(オン状態)では、圧力センサから検知信号が出力されているものとする。
【0026】
図2は、スイッチS1〜S3の例を示す上面図である。運転席のドアには、図2(a)に示すようなスイッチボックス10が設けられている。スイッチボックス10には、運転席窓用のスイッチS1と、他席窓用のスイッチS2が設けられているほか、後部座席のドアをロックするためのロックスイッチS4(左ドア用)、S5(右ドア用)が設けられている。ロックスイッチS4、S5が操作されると、後部座席の車内側からのドアノブ操作が無効になる。すなわち、ロックスイッチS4、S5により、子供が車両の内側からドアを開くことができないようにしている。このロックスイッチS4、S5は、チャイルドロックスイッチと呼ばれている。また、助手席と後部座席のドアには、それぞれ、図2(b)に示すようなスイッチボックス20が設けられている。スイッチボックス20には、他席窓用のスイッチS3のみが設けられている。スイッチS1〜S5の詳細な構造は、例えば、特許第4312739号公報に記載されている。
【0027】
以上の構成において、スイッチS3は、他席の窓付近で操作されるスイッチであり、本発明における「第1操作部」に相当する。スイッチS2は、他席の窓から離れた運転席で遠隔操作されるスイッチであり、本発明における「第2操作部」に相当する。接点S2u、接点S2d、接点S3u、接点S3d、リレーRYおよび電流制限抵抗Rは、本発明における「開閉体駆動手段」に相当する。接点S3uおよび接点S3dは、本発明における「第1接点」に相当し、接点S2uおよび接点S2dは、本発明における「第2接点」に相当する。着座センサKは、本発明における「検出手段」に相当する。また、スイッチS1〜S3、リレーRY、着座センサKおよび電流制限抵抗Rにより、車両用開閉体制御装置が構成される。
【0028】
次に、上述したパワーウィンドウ装置100の動作について説明する。スイッチS1〜S3がいずれも操作されておらず、かつ、着座センサKが検知信号を出力していないとき(オフ状態のとき)は、回路は図1の状態にある。この状態では、電源BからモータM1、M2への通電経路が形成されないので、モータM1、M2は回転しない。したがって、窓の開閉は行われない。
【0029】
窓の開閉を行う場合の動作について、図3〜図11を用いて説明する。以下では、窓を閉じる操作(閉操作)を「UP操作」と表記し、窓を開く操作(開操作)を「DOWN操作」と表記する。
【0030】
(1)運転席で運転席窓を閉じるUP操作をした場合(図3)
スイッチS1をUP操作すると、接点S1uがb側からa側に切り替わる。このため、図3の太線矢印のように、電源B→接点S1u→モータM1→接点S1d→グランドの経路で電流が流れる。このときのモータM1に流れる電流の方向を「正方向」とする。モータM1に正方向の電流が流れることで、モータM1が正転し、運転席の窓が閉じる。
【0031】
(2)運転席で運転席窓を開くDOWN操作をした場合(図4)
スイッチS1をDOWN操作すると、接点S1dがb側からa側に切り替わる。このため、図4の太線矢印のように、電源B→接点S1d→モータM1→接点S1u→グランドの経路で電流が流れる。このときのモータM1に流れる電流の方向を「逆方向」とする。モータM1に逆方向の電流が流れることで、モータM1が逆転し、運転席の窓が開く。
【0032】
(3)他席で他席窓を閉じるUP操作をした場合(図5)
スイッチS3をUP操作すると、接点S3uがb側からa側に切り替わる。このため、図5の太線矢印のように、電源B→接点S3u→モータM2→接点S3d→接点S2d→グランドの経路で電流が流れる。このときのモータM2に流れる電流の方向を「正方向」とする。モータM2に正方向の電流が流れることで、モータM2が正転し、他席の窓が閉じる。
【0033】
(4)他席で他席窓を開くDOWN操作をした場合(図6)
スイッチS3をDOWN操作すると、接点S3dがb側からa側に切り替わる。このため、図6の太線矢印のように、電源B→接点S3d→モータM2→接点S3u→接点S2u→グランドの経路で電流が流れる。このときのモータM2に流れる電流の方向を「逆方向」とする。モータM2に逆方向の電流が流れることで、モータM2が逆転し、他席の窓が開く。
【0034】
(5)運転席で他席窓を閉じるUP操作をした場合(図7)
スイッチS2をUP操作すると、接点S2uがb側からa側に切り替わる。このため、図7の太線矢印のように、電源B→リレーRYの接点Y→接点S2u→接点S3u→モータM2→接点S3d→接点S2d→グランドの経路で電流が流れる。このときのモータM2に流れる電流の方向は、正方向である。したがって、モータM2が正転して他席の窓が閉じる。こうして、運転席からの遠隔操作により、他席の窓を閉じることができる。
【0035】
(6)運転席で他席窓を開くDOWN操作をした場合(図8)
スイッチS2をDOWN操作すると、接点S2dがb側からa側に切り替わる。このため、図8の太線矢印のように、電源B→接点S2d→接点S3d→モータM2→接点S3u→接点S2u→グランドの経路で電流が流れる。このときのモータM2に流れる電流の方向は、逆方向である。したがって、モータM2が逆転して他席の窓が開く。こうして、運転席からの遠隔操作により、他席の窓を開くことができる。
【0036】
(7)着座センサが着座を検知した場合(図9)
他席に乗員が着座して、着座センサKが着座を検知すると、着座センサKはオン状態となる。このため、図9の太線矢印のように、電源B→着座センサK→リレーRYのコイルX→グランドの経路で電流が流れる。そして、リレーRYのコイルXに通電されることにより、リレーRYの接点Yがb側からa側に切り替わる。しかし、スイッチS1〜S3が操作されていない場合は、各接点S1u、S1d、S2u、S2d、S3u、S3dが切り替わらないので、電源BからモータM1、M2への通電経路が形成されない。したがって、モータM1、M2は回転せず、窓の開閉は行われない。
【0037】
(8)着座センサが着座を検知した状態で、運転席で他席窓を閉じるUP操作をした場合(図10)
この場合の動作が、本発明の特徴である。着座センサKが着座を検知すると、上述したように、電源B→着座センサK→リレーRYのコイルX→グランドの経路で電流が流れ、リレーRYの接点Yがb側からa側に切り替わる。また一方で、スイッチS2のUP操作により、接点S2uがb側からa側に切り替わる。このため、電源B→電流制限抵抗R→リレーRYの接点Y→接点S2u→接点S3u→モータM2→接点S3d→接点S2d→グランドの経路で電流が流れる。このときのモータM2に流れる電流の方向は、正方向であるから、モータM2が正転して他席の窓が閉じる。しかしながら、モータM2に流れる電流は、電流制限抵抗Rを介して流れるので、図5(他席のスイッチS3でUP操作が行われた場合)においてモータM2に流れる電流よりも小さい電流となる。この結果、モータM2は、図5の場合と比較して低速度で回転するので、他席の窓はゆっくりと閉じる。
【0038】
(9)着座センサが着座を検知した状態で、運転席で他席窓を開くDOWN操作をした場合(図11)
着座センサKが着座を検知すると、上述したように、電源B→着座センサK→リレーRYのコイルX→グランドの経路で電流が流れ、リレーRYの接点Yがb側からa側に切り替わる。また一方で、スイッチS2のDOWN操作により、接点S2dがb側からa側に切り替わる。このため、電源B→接点S2d→接点S3d→モータM2→接点S3u→接点S2u→グランドの経路で電流が流れる。このときのモータM2に流れる電流の方向は、逆方向であるから、モータM2が逆転して他席の窓が開く。この場合は、モータM2に流れる電流は、電流制限抵抗Rを介して流れないので、他席の窓は通常の速度で閉じる。
【0039】
以上述べた第1実施形態によれば、他席に乗員が着座している状態で、運転席のスイッチS2の遠隔操作により他席の窓を閉じる場合は、モータM2が通常より低速度で回転する。このため、例えば、車両の後部座席に乗員がいて、運転者が後方をよく確認しないまま、スイッチS2で後部座席の窓を閉じる操作を行った場合でも、後部座席の窓はゆっくりと閉じる。これにより、後部座席における異物の挟み込みを防止できる。特に、子供など自動車の扱い方に不慣れな者が、誤って異物を窓に挟み込んでしまうことを防止でき、安全を確保することができる。
【0040】
<第2実施形態>
図12は、第2実施形態に係るパワーウィンドウ装置200を示している。ここでは、図1における着座センサKに代えて、ロックスイッチS4(図2参照)が用いられている。なお、説明を簡単にするため、ロックスイッチは1つだけ図示されている。
【0041】
パワーウィンドウ装置200の構成は、図1の着座センサKがロックスイッチS4に置き換わっているだけで、他の構成は第1実施形態のパワーウィンドウ装置100と同じである。したがって、図12の回路の動作も、図3〜図11で説明した動作から容易に理解することができる。
【0042】
例えば、ドアがロックされている状態、すなわちロックスイッチS4がオン状態にある場合に、運転席で他席窓を閉じるUP操作がされたときの動作は、以下のようになる。
【0043】
ロックスイッチS4がオンすると、電源B→ロックスイッチS4→リレーRYのコイルX→グランドの経路で電流が流れ、リレーRYの接点Yがb側からa側に切り替わる。また一方で、スイッチS2のUP操作により、接点S2uがb側からa側に切り替わる。このため、電源B→電流制限抵抗R→リレーRYの接点Y→接点S2u→接点S3u→モータM2→接点S3d→接点S2d→グランドの経路で電流が流れる。このときのモータM2に流れる電流の方向は、正方向であるから、モータM2が正転して他席の窓が閉じる。しかしながら、モータM2に流れる電流は、電流制限抵抗Rを介して流れるので、図5(他席のスイッチS3でUP操作が行われた場合)においてモータM2に流れる電流よりも小さい電流となる。この結果、モータM2は、図5の場合と比較して低速度で回転するので、他席の窓はゆっくりと閉じる。
【0044】
第2実施形態の場合、ロックスイッチS4は、前述のように、子供が勝手にドアを開かないようにドアをロックするためのチャイルドロックスイッチであり、運転者により操作される。したがって、ロックスイッチS4がオンの状態では、他席に子供がいることが前提となるので、この場合にモータM2を低速度で回転させて窓をゆっくりと閉じることで、第1実施形態の場合と同様に、異物の挟み込みを防止できるとともに、乗員(特に子供)の安全を確保することができる。
【0045】
<第3実施形態>
図13は、第3実施形態に係るパワーウィンドウ装置300を示している。第1および第2実施形態では、モータM2を低速度で回転させるために、電流制限抵抗Rによってモータ電流を制限したが、第3実施形態では、モータ駆動回路を制御部で制御することにより、モータ電流を制限する。
【0046】
図13において、パワーウィンドウ装置300は、制御部を構成するCPU1、運転席のモータM1を駆動するモータ駆動回路2、モータM1の回転数を検出する回転数検出センサ3、他席のモータM2を駆動するモータ駆動回路4、モータM2の回転数を検出する回転数検出センサ5、スイッチS1〜S3および着座センサKを備えている。スイッチS1〜S3と着座センサKは、図1で示したものと同じものである。
【0047】
CPU1には、スイッチS1〜S3および着座センサKからの信号と、回転数検出センサ3、5からの信号とが入力される。回転数検出センサ3、5は、例えば、ロータリーエンコーダから構成される。モータ駆動回路2、4は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)回路と、4個のトランジスタからなるブリッジ回路とを備えた公知の回路で構成される。このようなモータ駆動回路は、例えば、特開2007−131017号公報、特開2001−268977号公報に記載されている。
【0048】
CPU1は、回転数検出センサ3、5で検出されたモータM1、M2の回転数を目標値と比較し、その偏差に基づいて、モータにM1、M2に対する指令値を算出する。ここでは、モータM1、M2を駆動するPWM信号のデューティ比が指令値となる。CPU1は、この指令値をモータ駆動回路2、4に出力する。モータ駆動回路2、4は、上記指令値に応じたデューティ比のPWM信号を生成し、このPWM信号に基づいてモータM1、M2を駆動する。これによって、モータM1、M2に対するフィードバック制御が行なわれる。
【0049】
以上の構成において、CPU1とモータ駆動回路2、4は、本発明における「開閉体駆動手段」に相当する。また、スイッチS1〜S3、着座センサK、CPU1およびモータ駆動回路2、4により、車両用開閉体制御装置が構成される。
【0050】
次に、第3実施形態のパワーウィンドウ装置300の動作について説明する。
(1)運転席で運転席窓を閉じるUP操作をした場合
スイッチS1をUP操作すると、CPU1からモータ駆動回路2に、モータM1を通常の回転速度で正転させるための指令が与えられる。モータ駆動回路2は、この指令に応じたPWM信号を生成し、当該PWM信号でブリッジ回路のトランジスタをスイッチングすることにより、モータM1を駆動する。これにより、モータM1が正転して、通常の速度で運転席の窓が閉じる。
【0051】
(2)運転席で運転席窓を開くDOWN操作をした場合
スイッチS1をDOWN操作すると、CPU1からモータ駆動回路2に、モータM1を通常の回転速度で逆転させるための指令が与えられる。モータ駆動回路2は、この指令に応じたPWM信号を生成し、当該PWM信号でブリッジ回路のトランジスタをスイッチングすることにより、モータM1を駆動する。これにより、モータM1が逆転して、通常の速度で運転席の窓が開く。
【0052】
(3)他席で他席窓を閉じるUP操作をした場合
スイッチS3をUP操作すると、CPU1からモータ駆動回路4に、モータM2を通常の回転速度で正転させるための指令が与えられる。モータ駆動回路4は、この指令に応じたPWM信号を生成し、当該PWM信号でブリッジ回路のトランジスタをスイッチングすることにより、モータM2を駆動する。これにより、モータM2が正転して、通常の速度で他席の窓が閉じる。
【0053】
(4)他席で他席窓を開くDOWN操作をした場合
スイッチS3をDOWN操作すると、CPU1からモータ駆動回路4に、モータM2を通常の回転速度で逆転させるための指令が与えられる。モータ駆動回路4は、この指令に応じたPWM信号を生成し、当該PWM信号でブリッジ回路のトランジスタをスイッチングすることにより、モータM2を駆動する。これにより、モータM2が逆転して、通常の速度で他席の窓が開く。
【0054】
(5)運転席で他席窓を閉じるUP操作をした場合
スイッチS2をUP操作すると、CPU1からモータ駆動回路4に、モータM2を通常の回転速度で正転させるための指令が与えられる。モータ駆動回路4は、この指令に応じたPWM信号を生成し、当該PWM信号でブリッジ回路のトランジスタをスイッチングすることにより、モータM2を駆動する。これにより、モータM2が正転して、通常の速度で他席の窓が閉じる。
【0055】
(6)運転席で他席窓を開くDOWN操作をした場合
スイッチS2をDOWN操作すると、CPU1からモータ駆動回路4に、モータM2を通常の回転速度で逆転させるための指令が与えられる。モータ駆動回路4は、この指令に応じたPWM信号を生成し、当該PWM信号でブリッジ回路のトランジスタをスイッチングすることにより、モータM2を駆動する。これにより、モータM2が逆転して、通常の速度で他席の窓が開く。
【0056】
(7)着座センサが着座を検知した場合
他席に乗員が着座して、着座センサKが着座を検知すると、着座センサKからCPU1に着座検知信号が入力される。しかし、スイッチS1〜S3が操作されていない場合は、CPU1からモータ駆動回路2、4に指令が出力されない。このため、モータM1、M2は回転せず、窓の開閉は行われない。
【0057】
(8)着座センサが着座を検知した状態で、運転席で他席窓を閉じるUP操作をした場合
この場合の動作が、本発明の特徴である。着座センサKが着座を検知すると、上述したように、CPU1に着座検知信号が入力される。また一方で、スイッチS2のUP操作により、CPU1にスイッチS2から窓閉信号が入力される。このため、CPU1からモータ駆動回路4に、モータM2を通常の回転速度よりも遅い速度で正転させるための指令が与えられる。この指令では、PWM信号のデューティ比が、通常の場合より小さく設定されている。モータ駆動回路4は、この指令に応じたデューティ比のPWM信号を生成し、当該PWM信号でブリッジ回路のトランジスタをスイッチングすることにより、モータM2を駆動する。これにより、モータM2が低速度で正転して、通常の速度よりも遅い速度で他席の窓が閉じる。
【0058】
(9)着座センサが着座を検知した状態で、運転席で他席窓を開くDOWN操作をした場合
着座センサKが着座を検知すると、上述したように、CPU1に着座検知信号が入力される。また一方で、スイッチS2のDOWN操作により、CPU1にスイッチS2から窓開信号が入力される。このため、CPU1からモータ駆動回路4に、モータM2を通常の回転速度で逆転させるための指令が与えられる。モータ駆動回路4は、この指令に応じたPWM信号を生成し、当該PWM信号でブリッジ回路のトランジスタをスイッチングすることにより、モータM2を駆動する。これにより、モータM2が逆転して、通常の速度で他席の窓が開く。
【0059】
以上述べた第3実施形態によれば、他席に乗員が着座している状態で、運転席のスイッチS2の遠隔操作により他席の窓を閉じる場合は、モータM2が通常より低速度で回転するので、窓はゆっくりと閉じる。このため、第1実施形態の場合と同様に、異物の挟み込みを防止できるとともに、乗員の安全を確保することができる。
【0060】
<第4実施形態>
図14は、第4実施形態に係るパワーウィンドウ装置400を示している。ここでは、図13の構成に加えて、携帯型のリモートコントローラ6が設けられている。このリモートコントローラ6は、車両の外部から遠隔操作が可能であり、本発明における「第2操作部」に相当する。リモートコントローラ6とCPU1との間の通信は、無線によって行われる。
【0061】
リモートコントローラ6には、スイッチS1〜S3と同じ機能を有するキー(図示省略)が設けられている。したがって、リモートコントローラ6を操作することで、第3実施形態の場合と同様の動作が行われる。例えば、着座センサKが着座を検知した状態で、リモートコントローラ6において他席窓を閉じるUP操作が行われた場合の動作は、以下のようになる。
【0062】
着座センサKが着座を検知すると、CPU1に着座検知信号が入力される。また一方で、リモートコントローラ6でのUP操作により、CPU1にリモートコントローラ6から窓閉信号が入力される。このため、CPU1からモータ駆動回路4に、モータM2を通常の回転速度よりも遅い速度で正転させるための指令が与えられる。この指令では、PWM信号のデューティ比が、通常の場合より小さく設定されている。モータ駆動回路4は、この指令に応じたデューティ比のPWM信号を生成し、当該PWM信号でブリッジ回路のトランジスタをスイッチングすることにより、モータM2を駆動する。これにより、モータM2が低速度で正転して、通常の速度よりも遅い速度で他席の窓が閉じる。
【0063】
第4実施形態によれば、他席に乗員が着座している状態で、リモートコントローラ6を遠隔操作して他席の窓を閉じる場合は、モータM2が通常より低速度で回転するので、窓はゆっくりと閉じる。このため、第1実施形態の場合と同様に、異物の挟み込みを防止できるとともに、乗員の安全を確保することができる。
【0064】
本発明では、以上述べた以外にも種々の実施形態を採用することができる。例えば、第3実施形態(図13)において、着座センサKに代えて、図12のロックスイッチS4を用いてもよい。第4実施形態(図14)においても同様である。
【0065】
また、上記実施形態では、乗員の有無を検出する検出手段として、圧力センサからなる着座センサKを例に挙げたが、これに限らず、光センサなどを検出手段として用いてもよい。
【0066】
また、後部座席のそれぞれに設けた着座センサのいずれかが乗員を検出した場合には、後部座席のいずれの窓の閉操作が行われた場合でも、モータM2を低速で駆動するようにしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、着座センサKが車両用開閉体制御装置に含まれる場合を例に挙げたが、着座センサKは、車両用開閉体制御装置に外付けされてもよい。その場合は、着座センサKからの信号に基づいて所定の動作を行うリレーRY(図1)やCPU1(図13、図14)が、本発明における「検出手段」に相当する。
【0068】
さらに、以上述べた各実施形態においては、開閉体として車両の窓を例に挙げたが、本発明は、車両の扉を開閉する場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 CPU
2 モータ駆動回路
4 モータ駆動回路
6 リモートコントローラ
M1 モータ
M2 モータ
K 着座センサ
R 電流制限抵抗
RY リレー
S2 運転席の他席窓用スイッチ
S3 他席の他席窓用スイッチ
S4 ロックスイッチ
100、200、300、400 パワーウィンドウ装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の窓や扉の開閉を制御する車両用開閉体制御装置に関し、特に、開閉時における安全を確保するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータにより車両の窓を開閉するパワーウィンドウ装置においては、操作スイッチの操作状況に応じて、モータを正転方向または逆転方向へ回転させ、窓の開閉を行うようにしている。例えば、操作スイッチをUP側(窓閉側)へ操作すると、モータが正転方向に駆動されて窓が閉じ、操作スイッチをDOWN側(窓開側)へ操作すると、モータが逆転方向に駆動されて窓が開く。モータの正転と逆転の制御は、操作スイッチからの信号に基づき、モータ駆動回路においてモータに流れる電流の方向を切り替えることにより行う。
【0003】
一般に、自動車においては、運転席と、それ以外の座席(助手席および後部座席)のそれぞれに、窓開閉用の操作スイッチが備わっている。運転席に備わる操作スイッチには、運転席の窓の開閉を操作する運転席用スイッチのほかに、助手席などの他席の窓の開閉を操作する他席用スイッチが含まれている。そして、運転席側の制御ユニットと他席側の制御ユニットとは、電気的に接続されている。このため、運転席で他席用スイッチを操作することにより、助手席や後部座席の窓を遠隔操作で開閉することができる。このような運転席からの遠隔操作により他席の窓の開閉を行うパワーウィンドウ装置は、例えば下記の特許文献1、2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−358922号公報
【特許文献2】特開平11−268531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パワーウィンドウ装置によって窓を閉じる場合、異物の挟み込みなどが発生しないようにして、安全を確保する必要がある。特に、運転席で他席用スイッチを操作して他席の窓を閉じる場合は、運転者が、他席に着座している乗員の状態をよく確認しないままスイッチを操作すると、乗員にとっては、急速に窓が閉じることで安全が脅かされる。
【0006】
本発明の課題は、窓などの開閉体から離れた場所で、遠隔操作により開閉体の開閉を行う場合に、開閉体付近にいる乗員の安全を確保することができる車両用開閉体制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用開閉体制御装置は、車両に備わる開閉体を開閉するために当該開閉体の付近で操作される第1操作部と、開閉体を遠隔操作により開閉するために当該開閉体から離れた場所で操作される第2操作部と、第1操作部または第2操作部の開操作により開閉体を開き、第1操作部または第2操作部の閉操作により開閉体を閉じる開閉体駆動手段とを有する車両用開閉体制御装置であって、 開閉体付近の乗員の有無を検出する検出手段を備え、開閉体駆動手段は、検出手段が乗員を検出し、かつ、第2操作部で閉操作が行われた場合に、開閉体を、第1操作部で閉操作が行われた場合よりも低い速度で閉じる。
【0008】
このようにすると、開閉体付近に乗員がいる状態で、第2操作部の遠隔操作により開閉体を閉じる場合は、開閉体が通常の場合よりも低速度で閉じる。したがって、例えば、車両の後部座席に乗員がいて、運転者が後方をよく確認しないまま、第2操作部で後部座席の窓を閉じる操作を行った場合でも、後部座席の窓はゆっくりと閉じるので、乗員の安全が脅かされることはない。
【0009】
本発明において、第1操作部は、例えば、運転席以外の他席に設けられて他席の窓を開閉するためのスイッチであり、第2操作部は、例えば、運転席に設けられて他席の窓を開閉するためのスイッチである。
【0010】
本発明において、開閉体駆動手段は、例えば、第1操作部の操作により切り替わる第1接点と、第2操作部の操作により切り替わる第2接点と、開閉体を開閉するためのモータに流れる電流を制限する電流制限抵抗とを備えている。この場合、開閉体駆動手段は、検出手段が乗員を検出し、かつ、第2操作部で閉操作が行われた場合に、第2接点および電流制限抵抗を介して、第1操作部で閉操作が行われた場合よりも小さい電流をモータに流す。
【0011】
本発明において、開閉体駆動手段は、開閉体を開閉するためのモータを駆動するモータ駆動回路と、このモータ駆動回路を制御する制御部とを備えていてもよい。この場合、制御部は、検出手段が乗員を検出し、かつ、第2操作部で閉操作が行われた場合に、モータに流れる電流が、第1操作部で閉操作が行われた場合よりも小さい電流となるようにモータ駆動回路を制御する。
【0012】
本発明において、検出手段は、例えば、乗員の着座を検出する着座センサである。
【0013】
本発明において、検出手段に代えて、車両のドアをロックするためのロックスイッチを用いてもよい。この場合、開閉体駆動手段は、ロックスイッチがオン状態にあり、かつ、第2操作部で閉操作が行われた場合に、開閉体を、第1操作部で閉操作が行われた場合よりも低い速度で閉じる。
【0014】
本発明において、第2操作部は、車両の外部から遠隔操作が可能な携帯型のリモートコントローラであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、開閉体付近に乗員がいる状態で、第2操作部の遠隔操作により開閉体を閉じる場合は、開閉体が低速度で閉じるので、乗員の安全を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係るパワーウィンドウ装置の回路図である。
【図2】スイッチの上面図である。
【図3】運転席で運転席窓を閉じる操作をした場合の通電状態を示す図である。
【図4】運転席で運転席窓を開く操作をした場合の通電状態を示す図である。
【図5】他席で他席窓を閉じる操作をした場合の通電状態を示す図である。
【図6】他席で他席窓を開く操作をした場合の通電状態を示す図である。
【図7】運転席で他席窓を閉じる操作をした場合の通電状態を示す図である。
【図8】運転席で他席窓を開く操作をした場合の通電状態を示す図である。
【図9】着座センサが動作した場合の通電状態を示す図である。
【図10】着座センサが動作した状態で、運転席で他席窓を閉じる操作をした場合の通電状態を示す図である。
【図11】着座センサが動作した状態で、運転席で他席窓を開く操作をした場合の通電状態を示す図である。
【図12】第2実施形態に係るパワーウィンドウ装置の回路図である。
【図13】第3実施形態に係るパワーウィンドウ装置のブロック図である。
【図14】第4実施形態に係るパワーウィンドウ装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をパワーウィンドウ装置に適用した場合の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分または対応部分には、同じ符号を付してある。
【0018】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るパワーウィンドウ装置100を示している。パワーウィンドウ装置100は、窓開閉用のスイッチS1〜S3と、窓開閉用のモータM1、M2と、リレーRYと、着座センサKと、電流制限抵抗Rと、電源Bとを備えている。
【0019】
スイッチS1は、運転席のドアに設けられ、運転席の窓を開閉するために操作されるスイッチである。スイッチS2は、運転席のドアに設けられ、運転席以外の他席(助手席および後部座席)の窓を開閉するために操作されるスイッチである。スイッチS3は、他席のドアに設けられ、他席の窓を開閉するために操作されるスイッチである。なお、ここでは、説明を簡単にするため、他席用のスイッチS2、S3は、それぞれ1つだけ図示されている。
【0020】
モータM1は、運転席の窓を開閉するためのモータであって、スイッチS1に接続されている。スイッチS1は、2つの接点S1u、S1dを有している。接点S1uは、スイッチS1が閉操作(窓を閉じる操作)されたときに、b側からa側に切り替わる。接点S1dは、スイッチS1が開操作(窓を開く操作)されたときに、b側からa側に切り替わる。接点S1u、S1dのそれぞれのa側は、電源Bに接続されている。接点S1u、S1dのそれぞれのb側は、グランドに接続されている。
【0021】
モータM2は、他席の窓を開閉するためのモータであって、スイッチS3に接続されている。スイッチS3は、2つの接点S3u、S3dを有している。接点S3uは、スイッチS3が閉操作されたときに、b側からa側に切り替わる。接点S3dは、スイッチS3が開操作されたときに、b側からa側に切り替わる。接点S3u、S3dのそれぞれのa側は、電源Bに接続されている。接点S3uのb側は、スイッチS2の接点S2uに接続されている。接点S3dのb側は、スイッチS2の接点S2dに接続されている。
【0022】
スイッチS2の接点S2uは、スイッチS2が閉操作されたときに、b側からa側に切り替わる。接点S2dは、スイッチS2が開操作されたときに、b側からa側に切り替わる。接点S2uのa側は、リレーRYの接点Yに接続されている。接点S2dのa側は、電源Bに接続されている。接点S2u、S2dのそれぞれのb側は、グランドに接続されている。
【0023】
リレーRYは、コイルXと、接点Yを有している。コイルXの一端は、着座センサKを介して、電源Bに接続されている。コイルXの他端は、グランドに接続されている。接点Yは、コイルXに通電されたときに、b側からa側に切り替わる。接点Yのa側は、電流制限抵抗Rを介して、電源Bに接続されている。接点Yのb側は、直接、電源Bに接続されている。
【0024】
上述した接点S1u、接点S1d、接点S2u、接点S2d、リレーRYおよび電流制限抵抗Rは、1つの制御ユニット内に設けられている。
【0025】
着座センサKは、例えば、圧力センサから構成されていて、他席のシートの内部に設けられている。乗員がシートに着座すると、乗員の体重により圧力センサが圧力を検知して、検知信号を出力する。図1では、便宜上、着座センサKを接点で表してある。接点が開いている状態(オフ状態)では、圧力センサから検知信号が出力されておらず、接点が閉じている状態(オン状態)では、圧力センサから検知信号が出力されているものとする。
【0026】
図2は、スイッチS1〜S3の例を示す上面図である。運転席のドアには、図2(a)に示すようなスイッチボックス10が設けられている。スイッチボックス10には、運転席窓用のスイッチS1と、他席窓用のスイッチS2が設けられているほか、後部座席のドアをロックするためのロックスイッチS4(左ドア用)、S5(右ドア用)が設けられている。ロックスイッチS4、S5が操作されると、後部座席の車内側からのドアノブ操作が無効になる。すなわち、ロックスイッチS4、S5により、子供が車両の内側からドアを開くことができないようにしている。このロックスイッチS4、S5は、チャイルドロックスイッチと呼ばれている。また、助手席と後部座席のドアには、それぞれ、図2(b)に示すようなスイッチボックス20が設けられている。スイッチボックス20には、他席窓用のスイッチS3のみが設けられている。スイッチS1〜S5の詳細な構造は、例えば、特許第4312739号公報に記載されている。
【0027】
以上の構成において、スイッチS3は、他席の窓付近で操作されるスイッチであり、本発明における「第1操作部」に相当する。スイッチS2は、他席の窓から離れた運転席で遠隔操作されるスイッチであり、本発明における「第2操作部」に相当する。接点S2u、接点S2d、接点S3u、接点S3d、リレーRYおよび電流制限抵抗Rは、本発明における「開閉体駆動手段」に相当する。接点S3uおよび接点S3dは、本発明における「第1接点」に相当し、接点S2uおよび接点S2dは、本発明における「第2接点」に相当する。着座センサKは、本発明における「検出手段」に相当する。また、スイッチS1〜S3、リレーRY、着座センサKおよび電流制限抵抗Rにより、車両用開閉体制御装置が構成される。
【0028】
次に、上述したパワーウィンドウ装置100の動作について説明する。スイッチS1〜S3がいずれも操作されておらず、かつ、着座センサKが検知信号を出力していないとき(オフ状態のとき)は、回路は図1の状態にある。この状態では、電源BからモータM1、M2への通電経路が形成されないので、モータM1、M2は回転しない。したがって、窓の開閉は行われない。
【0029】
窓の開閉を行う場合の動作について、図3〜図11を用いて説明する。以下では、窓を閉じる操作(閉操作)を「UP操作」と表記し、窓を開く操作(開操作)を「DOWN操作」と表記する。
【0030】
(1)運転席で運転席窓を閉じるUP操作をした場合(図3)
スイッチS1をUP操作すると、接点S1uがb側からa側に切り替わる。このため、図3の太線矢印のように、電源B→接点S1u→モータM1→接点S1d→グランドの経路で電流が流れる。このときのモータM1に流れる電流の方向を「正方向」とする。モータM1に正方向の電流が流れることで、モータM1が正転し、運転席の窓が閉じる。
【0031】
(2)運転席で運転席窓を開くDOWN操作をした場合(図4)
スイッチS1をDOWN操作すると、接点S1dがb側からa側に切り替わる。このため、図4の太線矢印のように、電源B→接点S1d→モータM1→接点S1u→グランドの経路で電流が流れる。このときのモータM1に流れる電流の方向を「逆方向」とする。モータM1に逆方向の電流が流れることで、モータM1が逆転し、運転席の窓が開く。
【0032】
(3)他席で他席窓を閉じるUP操作をした場合(図5)
スイッチS3をUP操作すると、接点S3uがb側からa側に切り替わる。このため、図5の太線矢印のように、電源B→接点S3u→モータM2→接点S3d→接点S2d→グランドの経路で電流が流れる。このときのモータM2に流れる電流の方向を「正方向」とする。モータM2に正方向の電流が流れることで、モータM2が正転し、他席の窓が閉じる。
【0033】
(4)他席で他席窓を開くDOWN操作をした場合(図6)
スイッチS3をDOWN操作すると、接点S3dがb側からa側に切り替わる。このため、図6の太線矢印のように、電源B→接点S3d→モータM2→接点S3u→接点S2u→グランドの経路で電流が流れる。このときのモータM2に流れる電流の方向を「逆方向」とする。モータM2に逆方向の電流が流れることで、モータM2が逆転し、他席の窓が開く。
【0034】
(5)運転席で他席窓を閉じるUP操作をした場合(図7)
スイッチS2をUP操作すると、接点S2uがb側からa側に切り替わる。このため、図7の太線矢印のように、電源B→リレーRYの接点Y→接点S2u→接点S3u→モータM2→接点S3d→接点S2d→グランドの経路で電流が流れる。このときのモータM2に流れる電流の方向は、正方向である。したがって、モータM2が正転して他席の窓が閉じる。こうして、運転席からの遠隔操作により、他席の窓を閉じることができる。
【0035】
(6)運転席で他席窓を開くDOWN操作をした場合(図8)
スイッチS2をDOWN操作すると、接点S2dがb側からa側に切り替わる。このため、図8の太線矢印のように、電源B→接点S2d→接点S3d→モータM2→接点S3u→接点S2u→グランドの経路で電流が流れる。このときのモータM2に流れる電流の方向は、逆方向である。したがって、モータM2が逆転して他席の窓が開く。こうして、運転席からの遠隔操作により、他席の窓を開くことができる。
【0036】
(7)着座センサが着座を検知した場合(図9)
他席に乗員が着座して、着座センサKが着座を検知すると、着座センサKはオン状態となる。このため、図9の太線矢印のように、電源B→着座センサK→リレーRYのコイルX→グランドの経路で電流が流れる。そして、リレーRYのコイルXに通電されることにより、リレーRYの接点Yがb側からa側に切り替わる。しかし、スイッチS1〜S3が操作されていない場合は、各接点S1u、S1d、S2u、S2d、S3u、S3dが切り替わらないので、電源BからモータM1、M2への通電経路が形成されない。したがって、モータM1、M2は回転せず、窓の開閉は行われない。
【0037】
(8)着座センサが着座を検知した状態で、運転席で他席窓を閉じるUP操作をした場合(図10)
この場合の動作が、本発明の特徴である。着座センサKが着座を検知すると、上述したように、電源B→着座センサK→リレーRYのコイルX→グランドの経路で電流が流れ、リレーRYの接点Yがb側からa側に切り替わる。また一方で、スイッチS2のUP操作により、接点S2uがb側からa側に切り替わる。このため、電源B→電流制限抵抗R→リレーRYの接点Y→接点S2u→接点S3u→モータM2→接点S3d→接点S2d→グランドの経路で電流が流れる。このときのモータM2に流れる電流の方向は、正方向であるから、モータM2が正転して他席の窓が閉じる。しかしながら、モータM2に流れる電流は、電流制限抵抗Rを介して流れるので、図5(他席のスイッチS3でUP操作が行われた場合)においてモータM2に流れる電流よりも小さい電流となる。この結果、モータM2は、図5の場合と比較して低速度で回転するので、他席の窓はゆっくりと閉じる。
【0038】
(9)着座センサが着座を検知した状態で、運転席で他席窓を開くDOWN操作をした場合(図11)
着座センサKが着座を検知すると、上述したように、電源B→着座センサK→リレーRYのコイルX→グランドの経路で電流が流れ、リレーRYの接点Yがb側からa側に切り替わる。また一方で、スイッチS2のDOWN操作により、接点S2dがb側からa側に切り替わる。このため、電源B→接点S2d→接点S3d→モータM2→接点S3u→接点S2u→グランドの経路で電流が流れる。このときのモータM2に流れる電流の方向は、逆方向であるから、モータM2が逆転して他席の窓が開く。この場合は、モータM2に流れる電流は、電流制限抵抗Rを介して流れないので、他席の窓は通常の速度で閉じる。
【0039】
以上述べた第1実施形態によれば、他席に乗員が着座している状態で、運転席のスイッチS2の遠隔操作により他席の窓を閉じる場合は、モータM2が通常より低速度で回転する。このため、例えば、車両の後部座席に乗員がいて、運転者が後方をよく確認しないまま、スイッチS2で後部座席の窓を閉じる操作を行った場合でも、後部座席の窓はゆっくりと閉じる。これにより、後部座席における異物の挟み込みを防止できる。特に、子供など自動車の扱い方に不慣れな者が、誤って異物を窓に挟み込んでしまうことを防止でき、安全を確保することができる。
【0040】
<第2実施形態>
図12は、第2実施形態に係るパワーウィンドウ装置200を示している。ここでは、図1における着座センサKに代えて、ロックスイッチS4(図2参照)が用いられている。なお、説明を簡単にするため、ロックスイッチは1つだけ図示されている。
【0041】
パワーウィンドウ装置200の構成は、図1の着座センサKがロックスイッチS4に置き換わっているだけで、他の構成は第1実施形態のパワーウィンドウ装置100と同じである。したがって、図12の回路の動作も、図3〜図11で説明した動作から容易に理解することができる。
【0042】
例えば、ドアがロックされている状態、すなわちロックスイッチS4がオン状態にある場合に、運転席で他席窓を閉じるUP操作がされたときの動作は、以下のようになる。
【0043】
ロックスイッチS4がオンすると、電源B→ロックスイッチS4→リレーRYのコイルX→グランドの経路で電流が流れ、リレーRYの接点Yがb側からa側に切り替わる。また一方で、スイッチS2のUP操作により、接点S2uがb側からa側に切り替わる。このため、電源B→電流制限抵抗R→リレーRYの接点Y→接点S2u→接点S3u→モータM2→接点S3d→接点S2d→グランドの経路で電流が流れる。このときのモータM2に流れる電流の方向は、正方向であるから、モータM2が正転して他席の窓が閉じる。しかしながら、モータM2に流れる電流は、電流制限抵抗Rを介して流れるので、図5(他席のスイッチS3でUP操作が行われた場合)においてモータM2に流れる電流よりも小さい電流となる。この結果、モータM2は、図5の場合と比較して低速度で回転するので、他席の窓はゆっくりと閉じる。
【0044】
第2実施形態の場合、ロックスイッチS4は、前述のように、子供が勝手にドアを開かないようにドアをロックするためのチャイルドロックスイッチであり、運転者により操作される。したがって、ロックスイッチS4がオンの状態では、他席に子供がいることが前提となるので、この場合にモータM2を低速度で回転させて窓をゆっくりと閉じることで、第1実施形態の場合と同様に、異物の挟み込みを防止できるとともに、乗員(特に子供)の安全を確保することができる。
【0045】
<第3実施形態>
図13は、第3実施形態に係るパワーウィンドウ装置300を示している。第1および第2実施形態では、モータM2を低速度で回転させるために、電流制限抵抗Rによってモータ電流を制限したが、第3実施形態では、モータ駆動回路を制御部で制御することにより、モータ電流を制限する。
【0046】
図13において、パワーウィンドウ装置300は、制御部を構成するCPU1、運転席のモータM1を駆動するモータ駆動回路2、モータM1の回転数を検出する回転数検出センサ3、他席のモータM2を駆動するモータ駆動回路4、モータM2の回転数を検出する回転数検出センサ5、スイッチS1〜S3および着座センサKを備えている。スイッチS1〜S3と着座センサKは、図1で示したものと同じものである。
【0047】
CPU1には、スイッチS1〜S3および着座センサKからの信号と、回転数検出センサ3、5からの信号とが入力される。回転数検出センサ3、5は、例えば、ロータリーエンコーダから構成される。モータ駆動回路2、4は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)回路と、4個のトランジスタからなるブリッジ回路とを備えた公知の回路で構成される。このようなモータ駆動回路は、例えば、特開2007−131017号公報、特開2001−268977号公報に記載されている。
【0048】
CPU1は、回転数検出センサ3、5で検出されたモータM1、M2の回転数を目標値と比較し、その偏差に基づいて、モータにM1、M2に対する指令値を算出する。ここでは、モータM1、M2を駆動するPWM信号のデューティ比が指令値となる。CPU1は、この指令値をモータ駆動回路2、4に出力する。モータ駆動回路2、4は、上記指令値に応じたデューティ比のPWM信号を生成し、このPWM信号に基づいてモータM1、M2を駆動する。これによって、モータM1、M2に対するフィードバック制御が行なわれる。
【0049】
以上の構成において、CPU1とモータ駆動回路2、4は、本発明における「開閉体駆動手段」に相当する。また、スイッチS1〜S3、着座センサK、CPU1およびモータ駆動回路2、4により、車両用開閉体制御装置が構成される。
【0050】
次に、第3実施形態のパワーウィンドウ装置300の動作について説明する。
(1)運転席で運転席窓を閉じるUP操作をした場合
スイッチS1をUP操作すると、CPU1からモータ駆動回路2に、モータM1を通常の回転速度で正転させるための指令が与えられる。モータ駆動回路2は、この指令に応じたPWM信号を生成し、当該PWM信号でブリッジ回路のトランジスタをスイッチングすることにより、モータM1を駆動する。これにより、モータM1が正転して、通常の速度で運転席の窓が閉じる。
【0051】
(2)運転席で運転席窓を開くDOWN操作をした場合
スイッチS1をDOWN操作すると、CPU1からモータ駆動回路2に、モータM1を通常の回転速度で逆転させるための指令が与えられる。モータ駆動回路2は、この指令に応じたPWM信号を生成し、当該PWM信号でブリッジ回路のトランジスタをスイッチングすることにより、モータM1を駆動する。これにより、モータM1が逆転して、通常の速度で運転席の窓が開く。
【0052】
(3)他席で他席窓を閉じるUP操作をした場合
スイッチS3をUP操作すると、CPU1からモータ駆動回路4に、モータM2を通常の回転速度で正転させるための指令が与えられる。モータ駆動回路4は、この指令に応じたPWM信号を生成し、当該PWM信号でブリッジ回路のトランジスタをスイッチングすることにより、モータM2を駆動する。これにより、モータM2が正転して、通常の速度で他席の窓が閉じる。
【0053】
(4)他席で他席窓を開くDOWN操作をした場合
スイッチS3をDOWN操作すると、CPU1からモータ駆動回路4に、モータM2を通常の回転速度で逆転させるための指令が与えられる。モータ駆動回路4は、この指令に応じたPWM信号を生成し、当該PWM信号でブリッジ回路のトランジスタをスイッチングすることにより、モータM2を駆動する。これにより、モータM2が逆転して、通常の速度で他席の窓が開く。
【0054】
(5)運転席で他席窓を閉じるUP操作をした場合
スイッチS2をUP操作すると、CPU1からモータ駆動回路4に、モータM2を通常の回転速度で正転させるための指令が与えられる。モータ駆動回路4は、この指令に応じたPWM信号を生成し、当該PWM信号でブリッジ回路のトランジスタをスイッチングすることにより、モータM2を駆動する。これにより、モータM2が正転して、通常の速度で他席の窓が閉じる。
【0055】
(6)運転席で他席窓を開くDOWN操作をした場合
スイッチS2をDOWN操作すると、CPU1からモータ駆動回路4に、モータM2を通常の回転速度で逆転させるための指令が与えられる。モータ駆動回路4は、この指令に応じたPWM信号を生成し、当該PWM信号でブリッジ回路のトランジスタをスイッチングすることにより、モータM2を駆動する。これにより、モータM2が逆転して、通常の速度で他席の窓が開く。
【0056】
(7)着座センサが着座を検知した場合
他席に乗員が着座して、着座センサKが着座を検知すると、着座センサKからCPU1に着座検知信号が入力される。しかし、スイッチS1〜S3が操作されていない場合は、CPU1からモータ駆動回路2、4に指令が出力されない。このため、モータM1、M2は回転せず、窓の開閉は行われない。
【0057】
(8)着座センサが着座を検知した状態で、運転席で他席窓を閉じるUP操作をした場合
この場合の動作が、本発明の特徴である。着座センサKが着座を検知すると、上述したように、CPU1に着座検知信号が入力される。また一方で、スイッチS2のUP操作により、CPU1にスイッチS2から窓閉信号が入力される。このため、CPU1からモータ駆動回路4に、モータM2を通常の回転速度よりも遅い速度で正転させるための指令が与えられる。この指令では、PWM信号のデューティ比が、通常の場合より小さく設定されている。モータ駆動回路4は、この指令に応じたデューティ比のPWM信号を生成し、当該PWM信号でブリッジ回路のトランジスタをスイッチングすることにより、モータM2を駆動する。これにより、モータM2が低速度で正転して、通常の速度よりも遅い速度で他席の窓が閉じる。
【0058】
(9)着座センサが着座を検知した状態で、運転席で他席窓を開くDOWN操作をした場合
着座センサKが着座を検知すると、上述したように、CPU1に着座検知信号が入力される。また一方で、スイッチS2のDOWN操作により、CPU1にスイッチS2から窓開信号が入力される。このため、CPU1からモータ駆動回路4に、モータM2を通常の回転速度で逆転させるための指令が与えられる。モータ駆動回路4は、この指令に応じたPWM信号を生成し、当該PWM信号でブリッジ回路のトランジスタをスイッチングすることにより、モータM2を駆動する。これにより、モータM2が逆転して、通常の速度で他席の窓が開く。
【0059】
以上述べた第3実施形態によれば、他席に乗員が着座している状態で、運転席のスイッチS2の遠隔操作により他席の窓を閉じる場合は、モータM2が通常より低速度で回転するので、窓はゆっくりと閉じる。このため、第1実施形態の場合と同様に、異物の挟み込みを防止できるとともに、乗員の安全を確保することができる。
【0060】
<第4実施形態>
図14は、第4実施形態に係るパワーウィンドウ装置400を示している。ここでは、図13の構成に加えて、携帯型のリモートコントローラ6が設けられている。このリモートコントローラ6は、車両の外部から遠隔操作が可能であり、本発明における「第2操作部」に相当する。リモートコントローラ6とCPU1との間の通信は、無線によって行われる。
【0061】
リモートコントローラ6には、スイッチS1〜S3と同じ機能を有するキー(図示省略)が設けられている。したがって、リモートコントローラ6を操作することで、第3実施形態の場合と同様の動作が行われる。例えば、着座センサKが着座を検知した状態で、リモートコントローラ6において他席窓を閉じるUP操作が行われた場合の動作は、以下のようになる。
【0062】
着座センサKが着座を検知すると、CPU1に着座検知信号が入力される。また一方で、リモートコントローラ6でのUP操作により、CPU1にリモートコントローラ6から窓閉信号が入力される。このため、CPU1からモータ駆動回路4に、モータM2を通常の回転速度よりも遅い速度で正転させるための指令が与えられる。この指令では、PWM信号のデューティ比が、通常の場合より小さく設定されている。モータ駆動回路4は、この指令に応じたデューティ比のPWM信号を生成し、当該PWM信号でブリッジ回路のトランジスタをスイッチングすることにより、モータM2を駆動する。これにより、モータM2が低速度で正転して、通常の速度よりも遅い速度で他席の窓が閉じる。
【0063】
第4実施形態によれば、他席に乗員が着座している状態で、リモートコントローラ6を遠隔操作して他席の窓を閉じる場合は、モータM2が通常より低速度で回転するので、窓はゆっくりと閉じる。このため、第1実施形態の場合と同様に、異物の挟み込みを防止できるとともに、乗員の安全を確保することができる。
【0064】
本発明では、以上述べた以外にも種々の実施形態を採用することができる。例えば、第3実施形態(図13)において、着座センサKに代えて、図12のロックスイッチS4を用いてもよい。第4実施形態(図14)においても同様である。
【0065】
また、上記実施形態では、乗員の有無を検出する検出手段として、圧力センサからなる着座センサKを例に挙げたが、これに限らず、光センサなどを検出手段として用いてもよい。
【0066】
また、後部座席のそれぞれに設けた着座センサのいずれかが乗員を検出した場合には、後部座席のいずれの窓の閉操作が行われた場合でも、モータM2を低速で駆動するようにしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、着座センサKが車両用開閉体制御装置に含まれる場合を例に挙げたが、着座センサKは、車両用開閉体制御装置に外付けされてもよい。その場合は、着座センサKからの信号に基づいて所定の動作を行うリレーRY(図1)やCPU1(図13、図14)が、本発明における「検出手段」に相当する。
【0068】
さらに、以上述べた各実施形態においては、開閉体として車両の窓を例に挙げたが、本発明は、車両の扉を開閉する場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 CPU
2 モータ駆動回路
4 モータ駆動回路
6 リモートコントローラ
M1 モータ
M2 モータ
K 着座センサ
R 電流制限抵抗
RY リレー
S2 運転席の他席窓用スイッチ
S3 他席の他席窓用スイッチ
S4 ロックスイッチ
100、200、300、400 パワーウィンドウ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備わる開閉体を開閉するために当該開閉体の付近で操作される第1操作部と、
前記開閉体を遠隔操作により開閉するために当該開閉体から離れた場所で操作される第2操作部と、
前記第1操作部または第2操作部の開操作により前記開閉体を開き、前記第1操作部または第2操作部の閉操作により前記開閉体を閉じる開閉体駆動手段と、
を有する車両用開閉体制御装置において、
前記開閉体付近の乗員の有無を検出する検出手段を備え、
前記開閉体駆動手段は、前記検出手段が乗員を検出し、かつ、前記第2操作部で閉操作が行われた場合に、前記開閉体を、前記第1操作部で閉操作が行われた場合よりも低い速度で閉じることを特徴とする車両用開閉体制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記第1操作部は、運転席以外の他席に設けられて他席の窓を開閉するためのスイッチであり、
前記第2操作部は、運転席に設けられて前記他席の窓を開閉するためのスイッチであることを特徴とする車両用開閉体制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記開閉体駆動手段は、
前記第1操作部の操作により切り替わる第1接点と、
前記第2操作部の操作により切り替わる第2接点と、
前記開閉体を開閉するためのモータに流れる電流を制限する電流制限抵抗と、を備え、
前記検出手段が乗員を検出し、かつ、前記第2操作部で閉操作が行われた場合に、前記第2接点および前記電流制限抵抗を介して、前記第1操作部で閉操作が行われた場合よりも小さい電流を前記モータに流すことを特徴とする車両用開閉体制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記開閉体駆動手段は、
前記開閉体を開閉するためのモータを駆動するモータ駆動回路と、
前記モータ駆動回路を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記検出手段が前記乗員を検出し、かつ、前記第2操作部で閉操作が行われた場合に、前記モータに流れる電流が、前記第1操作部で閉操作が行われた場合よりも小さい電流となるように前記モータ駆動回路を制御することを特徴とする車両用開閉体制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記検出手段が、乗員の着座を検出する着座センサであることを特徴とする車両用開閉体制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記検出手段に代えて、車両のドアをロックするためのロックスイッチが用いられ、
前記開閉体駆動手段は、前記ロックスイッチがオン状態にあり、かつ、前記第2操作部で閉操作が行われた場合に、前記開閉体を、前記第1操作部で閉操作が行われた場合よりも低い速度で閉じることを特徴とする車両用開閉体制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記第2操作部は、車両の外部から遠隔操作が可能な携帯型のリモートコントローラであることを特徴とする車両用開閉体制御装置。
【請求項1】
車両に備わる開閉体を開閉するために当該開閉体の付近で操作される第1操作部と、
前記開閉体を遠隔操作により開閉するために当該開閉体から離れた場所で操作される第2操作部と、
前記第1操作部または第2操作部の開操作により前記開閉体を開き、前記第1操作部または第2操作部の閉操作により前記開閉体を閉じる開閉体駆動手段と、
を有する車両用開閉体制御装置において、
前記開閉体付近の乗員の有無を検出する検出手段を備え、
前記開閉体駆動手段は、前記検出手段が乗員を検出し、かつ、前記第2操作部で閉操作が行われた場合に、前記開閉体を、前記第1操作部で閉操作が行われた場合よりも低い速度で閉じることを特徴とする車両用開閉体制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記第1操作部は、運転席以外の他席に設けられて他席の窓を開閉するためのスイッチであり、
前記第2操作部は、運転席に設けられて前記他席の窓を開閉するためのスイッチであることを特徴とする車両用開閉体制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記開閉体駆動手段は、
前記第1操作部の操作により切り替わる第1接点と、
前記第2操作部の操作により切り替わる第2接点と、
前記開閉体を開閉するためのモータに流れる電流を制限する電流制限抵抗と、を備え、
前記検出手段が乗員を検出し、かつ、前記第2操作部で閉操作が行われた場合に、前記第2接点および前記電流制限抵抗を介して、前記第1操作部で閉操作が行われた場合よりも小さい電流を前記モータに流すことを特徴とする車両用開閉体制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記開閉体駆動手段は、
前記開閉体を開閉するためのモータを駆動するモータ駆動回路と、
前記モータ駆動回路を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記検出手段が前記乗員を検出し、かつ、前記第2操作部で閉操作が行われた場合に、前記モータに流れる電流が、前記第1操作部で閉操作が行われた場合よりも小さい電流となるように前記モータ駆動回路を制御することを特徴とする車両用開閉体制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記検出手段が、乗員の着座を検出する着座センサであることを特徴とする車両用開閉体制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記検出手段に代えて、車両のドアをロックするためのロックスイッチが用いられ、
前記開閉体駆動手段は、前記ロックスイッチがオン状態にあり、かつ、前記第2操作部で閉操作が行われた場合に、前記開閉体を、前記第1操作部で閉操作が行われた場合よりも低い速度で閉じることを特徴とする車両用開閉体制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の車両用開閉体制御装置において、
前記第2操作部は、車両の外部から遠隔操作が可能な携帯型のリモートコントローラであることを特徴とする車両用開閉体制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−122233(P2012−122233A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272876(P2010−272876)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(510123839)オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社 (110)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(510123839)オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社 (110)
【Fターム(参考)】
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