説明

車両用駆動装置

【課題】簡単な構成で、車両の走行状態に応じて速やかに2輪駆動乃至4輪駆動の切り替えを行う車両用駆動装置を提供する。
【解決手段】動力伝達機構18は、駆動力発生機構16の出力軸20と前輪14との間にワンウェイクラッチOWC1〜OWC3を備えることにより、車両加速時において駆動力発生機構16により発生させられた駆動力が専ら後輪12に伝達される2輪駆動状態が成立し、車両減速時において駆動力発生機構16により発生させられた駆動力が後輪12及び前輪14に伝達される4輪駆動状態が成立するものであることから、車両加速時には2輪駆動状態が、車両減速時には4輪駆動状態が、前記ワンウェイクラッチOWC1〜OWC3の作動によりそれぞれ瞬時に成立させられ、車両加速時における損失を低減する一方、車両減速時における車両挙動の安定性を向上させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動力発生機構により発生させられた駆動力を主駆動輪及び副駆動輪に選択的に伝達する動力伝達機構を備えた車両用駆動装置に関し、特に、簡単な構成で、車両の走行状態に応じて速やかに2輪駆動乃至4輪駆動の切り替えを実現するための改良に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動源を備えて駆動力を発生させる駆動力発生機構と、その駆動力発生機構により発生させられた駆動力を主駆動輪及び副駆動輪に選択的に伝達する動力伝達機構とを、備えた車両用駆動装置が知られている。斯かる車両用駆動装置は、例えば主駆動源としてのエンジンと、副駆動源としての電動機とを、備え、車両減速時においてその電動機により回生が可能とされたハイブリッド駆動機構を有するハイブリッド車両等に好適に用いられる。また、斯かる車両用駆動装置において、車両減速時における車両の安定化を図る技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載された四輪駆動車両用動力伝達装置の制御装置がそれである。この技術によれば、回生制動時にクラッチにより前輪と後輪とを連結し、回生制動トルクの一部を前輪へ伝達することで、車両減速時における車両挙動の安定性を向上させられると共に、電動機による効率的な回生を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−149745号公報
【特許文献2】特開昭59−45223号公報
【特許文献3】特開平9−323557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の技術では、回生制動時に前輪と後輪とを連結するために例えば油圧式摩擦係合装置等のクラッチを設ける必要があり、装置が大型化すると共に構成が複雑なものになるという弊害があった。また、油圧応答性の遅れ等により前記クラッチの係合が必ずしも速やかに行われない場合があり、車両減速時における車両挙動の安定性向上或いは電動機による回生効率の向上には改善の余地があった。一方、常時4輪駆動(フルタイム4WD)とした場合には損失の増加が問題となる。このため、簡単な構成で、車両の走行状態に応じて速やかに2輪駆動乃至4輪駆動の切り替えを行う車両用駆動装置の開発が求められていた。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で、車両の走行状態に応じて速やかに2輪駆動乃至4輪駆動の切り替えを行う車両用駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、駆動源を備えて駆動力を発生させる駆動力発生機構と、その駆動力発生機構により発生させられた駆動力を主駆動輪及び副駆動輪に選択的に伝達する動力伝達機構とを、備えた車両用駆動装置であって、前記動力伝達機構は、前記駆動力発生機構の出力部材と前記副駆動輪との間に単数乃至複数の一方向クラッチを備えることにより、車両加速時において前記駆動力発生機構により発生させられた駆動力が専ら前記主駆動輪に伝達される2輪駆動状態が成立し、車両減速時において前記駆動力発生機構により発生させられた駆動力が前記主駆動輪及び副駆動輪に伝達される4輪駆動状態が成立することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
このようにすれば、前記動力伝達機構は、前記駆動力発生機構の出力部材と前記副駆動輪との間に単数乃至複数の一方向クラッチを備えることにより、車両加速時において前記駆動力発生機構により発生させられた駆動力が専ら前記主駆動輪に伝達される2輪駆動状態が成立し、車両減速時において前記駆動力発生機構により発生させられた駆動力が前記主駆動輪及び副駆動輪に伝達される4輪駆動状態が成立するものであることから、車両加速時には2輪駆動状態が、車両減速時には4輪駆動状態が、前記一方向クラッチの作動によりそれぞれ瞬時に成立させられ、車両加速時における損失を低減する一方、車両減速時における車両挙動の安定性を向上させられる。すなわち、簡単な構成で、車両の走行状態に応じて速やかに2輪駆動乃至4輪駆動の切り替えを行う車両用駆動装置を提供することができる。
【0008】
ここで、好適には、前記駆動力発生機構は、車両減速時における前記出力部材の回転により回生する電動機を備えたものである。このようにすれば、車両減速時において瞬時に4輪駆動状態が成立させられ、車両挙動の安定性を向上させられると共に、電動機による効率的な回生を行うことができる。
【0009】
また、好適には、2輪駆動状態及び4輪駆動状態を切り替えるスイッチを備え、前記一方向クラッチのうち少なくとも一部は、そのスイッチの操作に応じて空転方向を切り替える切替型一方向クラッチである。このようにすれば、車両加速時において必要とされる場合には簡便に4輪駆動状態を成立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の車両用駆動装置の一実施例であるハイブリッド車両用駆動装置の構成を説明する骨子図である。
【図2】図1のハイブリッド車両用駆動装置に備えられた駆動力発生機構の一例であるハイブリッド駆動機構の構成を説明する骨子図である。
【図3】図1のハイブリッド車両用駆動装置に備えられた駆動力発生機構の他の一例であるハイブリッド駆動機構の構成を説明する骨子図である。
【図4】図1のハイブリッド車両用駆動装置に備えられた駆動力発生機構の更に別の一例である電気式駆動機構の構成を説明する骨子図である。
【図5】図1のハイブリッド車両用駆動装置に備えられた複数の一方向クラッチそれぞれの回転許可/阻止方向について説明する図である。
【図6】本発明の車両用駆動装置の他の実施例であるハイブリッド車両用駆動装置の構成を説明する骨子図である。
【図7】図6のハイブリッド車両用駆動装置に備えられた電子的な制御系統の一例を説明する図である。
【図8】図6のハイブリッド車両用駆動装置に備えられた複数の一方向クラッチそれぞれの回転許可/阻止方向について説明する図である。
【図9】図6のハイブリッド車両用駆動装置に備えられた切替型一方向クラッチの構成を説明する部分断面図であり、両方向に空転させられる状態を示している。
【図10】図6のハイブリッド車両用駆動装置に備えられた切替型一方向クラッチの構成を説明する部分断面図であり、一方向に回転が阻止される状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の車両用駆動装置の一実施例であるハイブリッド車両用駆動装置10の構成を説明する骨子図である。図1に示すように、本実施例のハイブリッド車両用駆動装置10(以下、単に駆動装置10という)は、左右1対の後輪12l、12r(以下、特に区別しない場合には単に後輪12という)を主駆動輪、左右1対の前輪14l、14r(以下、特に区別しない場合には単に前輪14という)を副駆動輪として、少なくとも主駆動輪である上記1対の後輪12を駆動輪として走行する一方、車両の走行状態に応じて副駆動輪である上記1対の前輪14へ駆動力を分配することで4輪駆動(前後輪駆動)状態を成立させる。すなわち、図1に示す駆動装置10は、駆動力源により発生させられたトルクを走行状態に応じて前後輪に配分するトルクスプリット式四輪駆動車両の駆動系の一例である。
【0013】
上記駆動装置10は、駆動源を備えて駆動力を発生させる駆動力発生機構16と、その駆動力発生機構16により発生させられた駆動力を主駆動輪である上記1対の後輪12及び副駆動輪である上記1対の前輪14に選択的に伝達する動力伝達機構18とを、備えている。図1に示すように、上記動力伝達機構18は、上記駆動力発生機構16の出力部材である出力軸20に連結されており、その駆動力発生機構16により発生させられた駆動力が上記動力伝達機構18及び後輪用差動歯車装置22及び左右1対の後輪車軸24l、24r(以下、特に区別しない場合には単に後輪車軸24という)を介して上記1対の後輪12に伝達されると共に、上記駆動力発生機構16により発生させられた駆動力の一部が車両の走行状態に応じて上記動力伝達機構18、中間出力軸26、前輪用差動歯車装置28、及び左右1対の前輪車軸30l、30r(以下、特に区別しない場合には単に前輪車軸30という)を介して上記1対の前輪14に伝達(配分)されるように構成されている。すなわち、上記動力伝達機構18は、換言すれば、上記駆動力発生機構16により発生させられた駆動力を上記1対の後輪12及び1対の前輪14に配分する4WDトランスファ機構(前後輪駆動力配分機構)である。
【0014】
図2は、上記駆動力発生機構16の一例であるハイブリッド駆動機構16aの構成を説明する骨子図である。図2に示すように、このハイブリッド駆動機構16aは、主駆動源であるエンジン32と、そのエンジン12のクランク軸34に連結された差動部36と、第1電動機MG1と、第2電動機MG2とを、備えて構成されている。上記エンジン12は、例えば気筒内噴射されるガソリン等の燃料の燃焼によって駆動力を発生させるガソリンエンジン等の内燃機関である。また、上記第1電動機MG1及び第2電動機MG2は、好適には、何れも駆動力を発生させるモータ(発動機)及び反力を発生させるジェネレータ(発電機)としての機能を有する所謂モータジェネレータであるが、上記第1電動機MG1は少なくともジェネレータとしての機能を備えたものであり、上記第2電動機MG2は少なくともモータとしての機能を備えたものである。
【0015】
上記差動部18は、例えばシングルピニオン型の遊星歯車装置38を主体として構成されている。この遊星歯車装置38は、サンギヤS1、複数の遊星歯車P1、それら複数の遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリアCA1、遊星歯車P1を介してサンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を回転要素(要素)として備えている。この遊星歯車装置38においては、上記キャリアCA1が上記エンジン32のクランク軸34に連結されており、そのクランク軸34と一体的に回転させられる入力回転部材に対応する。また、上記リングギヤR1が前記出力軸20に連結されており、その出力軸20と一体的に回転させられる出力回転部材に対応する。
【0016】
前記第1電動機MG1のロータは、上記遊星歯車装置38のサンギヤS1に連結されており、そのサンギヤS1と一体的に回転させられるようになっている。また、前記第2電動機MG2のロータは、上記遊星歯車装置38のリングギヤR1に連結されており、そのリングギヤR1(出力軸20)と一体的に回転させられるようになっている。斯かる構成により、前記差動部36は、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2を介して運転状態が制御されることにより、入力回転速度(クランク軸34の回転速度)と出力回転速度(出力軸20の回転速度)との差動状態が制御される電気式差動部として機能する。
【0017】
以上のように構成された前記ハイブリッド駆動機構16aでは、前記遊星歯車装置38における3つの回転要素であるサンギヤS1、キャリアCA1、リングギヤR1がそれぞれ相互に相対回転可能とされることにより差動作用が働く差動状態とされる。これにより、前記エンジン32の出力が前記第1電動機MG1と出力軸20とに分配されると共に、分配された出力の一部により前記第1電動機MG1から発生させられた電気エネルギが蓄電されたり、前記第2電動機MG2が回転駆動されるといった作動が実現されることにより、前記差動部36は電気的な差動装置として機能させられる。すなわち、前記差動部36が所謂電気的無段変速機(電気的CVT)として機能させられ、前記エンジン32の回転にかかわらず前記出力軸20の回転が連続的に変化させられる無段変速状態が実現される。
【0018】
図3は、前記駆動力発生機構16の他の一例であるハイブリッド駆動機構16bの構成を説明する骨子図である。なお、以下の図3及び図4の説明において、図2に示す構成と共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。図3に示すように、斯かるハイブリッド駆動機構16bにおいては、前記エンジン32のクランク軸34と出力軸20との間にクラッチ40が設けられている。このクラッチ40は、例えば油圧式摩擦係合装置等の動力断続装置であり、その係合状態に応じて前記クランク軸34と出力軸20との間の動力伝達経路を接続乃至遮断する。すなわち、上記クラッチ40の係合時においては前記クランク軸34と出力軸20との間の動力伝達経路を接続(動力伝達を許容)する一方、解放時においては前記クランク軸34と出力軸20との間の動力伝達経路を遮断(動力伝達を遮断)する。また、前記出力軸20には電動機MGのロータが連結されている。この電動機MGは、駆動力を発生させるモータ(発動機)及び反力を発生させるジェネレータ(発電機)としての機能を有する所謂モータジェネレータである。なお、図3に示す構成に加えて、更に別の電動機が設けられてもよく、例えば上記電動機MGとは別の電動機が前記クランク軸34に連結されたものであってもよい。
【0019】
以上のように構成された上記ハイブリッド駆動機構16bでは、前記エンジン32が主動力源として機能する一方、上記電動機MGが副駆動源として機能する。すなわち、前記エンジン32による前記出力軸20の回転駆動において、上記電動機MGによりその出力軸20を補助的に回転駆動するアシスト駆動力が発生させられる。また、例えば車両減速時等において前記出力軸20からトルクが入力された場合、上記電動機MGではその出力軸20の回転により回生が行われ、回生制動力が発生させられると共に発電が行われる。このようにして発生させられた電気エネルギが図示しない蓄電装置に蓄電され、車両加速時において上記電動機MGによるアシスト駆動力の発生等に用いられる。
【0020】
図4は、前記駆動力発生機構16の更に別の一例である電気式駆動機構16cの構成を説明する骨子図である。図4に示すように、この電気式駆動機構16cは、前記出力軸20に電動機MGのロータが連結されている。この電動機MGは、駆動力を発生させるモータ(発動機)及び反力を発生させるジェネレータ(発電機)としての機能を有する所謂モータジェネレータであり、車両走行用の駆動力を発生させる主動力源として機能する。すなわち、車両走行時(加速時)において上記電動機MGにより前記出力軸20を回転駆動する駆動力が発生させられる。また、例えば車両減速時等において前記出力軸20からトルクが入力された場合、上記電動機MGではその出力軸20の回転により回生が行われ、回生制動力が発生させられると共に発電が行われる。このようにして発生させられた電気エネルギが図示しない蓄電装置に蓄電され、車両加速時において上記電動機MGによる駆動力の発生等に用いられる。
【0021】
図1に戻って、前記動力伝達機構18は、シングルピニオン型の遊星歯車装置42を備えている。この遊星歯車装置42は、サンギヤS2、複数の遊星歯車P2、それら複数の遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリアCA2、遊星歯車P2を介してサンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を回転要素(要素)として備えている。この遊星歯車装置42においては、上記キャリアCA2が前記出力軸20に連結されており、その出力軸20と一体的に回転させられる入力回転部材に対応する。また、上記リングギヤR2が前記後輪用差動歯車装置22の駆動軸44に連結されており、その駆動軸44と一体的に回転させられる出力回転部材に対応する。また、上記サンギヤS2が後述する第2ワンウェイクラッチOWC2を介してドライブギヤ46に連結されると共に、前記中間出力軸26にドリブンギヤ48が連結されており、それらドライブギヤ46及びドリブンギヤ48の間に動力伝達部材としてのチェーン50等が巻回されることで、上記遊星歯車装置42のサンギヤS2から前記中間出力軸26への動力伝達が可能とされている。
【0022】
また、前記駆動装置10には、一方向の回転(第1軸に対する第2軸の相対回転、以下の説明において同じ)を許可するがその逆方向の回転を阻止する一方向クラッチである第1ワンウェイクラッチOWC1、第2ワンウェイクラッチOWC2、及び第3ワンウェイクラッチOWC3が設けられている。すなわち、前記前輪用差動歯車装置28と右側の前輪車軸30rとの間の動力伝達経路に上記第1ワンウェイクラッチOWC1が設けられている。また、前記動力伝達機構18における前記遊星歯車装置42のサンギヤS2と前記ドライブギヤ46との間の動力伝達経路に上記第2ワンウェイクラッチOWC2が設けられている。また、前記動力伝達機構18における前記遊星歯車装置42のサンギヤS2と非回転部材であるハウジング52との間に上記第3ワンウェイクラッチOWC3が設けられている。
【0023】
図5は、上記第1ワンウェイクラッチOWC1、第2ワンウェイクラッチOWC2、及び第3ワンウェイクラッチOWC3それぞれの回転許可/阻止方向について説明する図である。この図5に示すように、上記第1ワンウェイクラッチOWC1は、車両駆動時(加速時)において回転が許可される一方、車両減速時(回生時)において回転が阻止されるように設けられている。また、上記第2ワンウェイクラッチOWC2は、車両駆動時において回転が許可される一方、車両減速時において回転が阻止されるように設けられている。また、上記第3ワンウェイクラッチOWC3は、車両駆動時において回転が阻止される一方、車両減速時において回転が許可されるように設けられている。ここで、車両駆動時とは、前記駆動力発生機構16から前記入力軸20に入力される車両前進方向の入力トルクが前記後輪12及び前輪14等から入力される逆方向のトルクよりも大きい場合に相当し、車両前進方向の加速度は正となる。また、車両減速時とは、前記駆動力発生機構16から前記入力軸20に入力される車両前進方向の入力トルクが前記後輪12及び前輪14等から入力される逆方向のトルクよりも小さい場合に相当し、車両前進方向の加速度が負となる。
【0024】
以上のように構成された前記動力伝達機構18では、前記駆動力発生機構16の出力軸20と副駆動輪である前記1対の前輪14との間の動力伝達経路に前記第1ワンウェイクラッチOWC1、第2ワンウェイクラッチOWC2、及び第3ワンウェイクラッチOWC3を備えることにより、車両加速時において前記駆動力発生機構16により発生させられた駆動力が専ら主駆動輪である前記1対の後輪12に伝達される2輪駆動状態が成立し、車両減速時において前記駆動力発生機構16により発生させられた駆動力が前記1対の後輪12及び前記1対の前輪14に伝達される4輪駆動状態が成立する。換言すれば、車両減速時においては前記1対の後輪12及び前記1対の後輪14すなわち路面と接触する4輪からの入力トルクが前記駆動力発生機構16に入力される状態となる。なお、斯かる作動を実現するために上記第1ワンウェイクラッチOWC1は必ずしも設けられる必要はない。
【0025】
すなわち、車両駆動時(加速時)においては、前記第1ワンウェイクラッチOWC1が回転を許可する状態となり、前記前輪用差動歯車装置28から右側の前輪車軸30rへは動力が伝達されない。また、前記第2ワンウェイクラッチOWC2が回転を許可する状態となり、前記動力伝達機構18における前記遊星歯車装置42のサンギヤS2から前記ドライブギヤ46へは動力が伝達されない。また、前記第3ワンウェイクラッチOWC3が回転を阻止する状態となり、前記動力伝達機構18における前記遊星歯車装置42のサンギヤS2のハウジング52に対する相対回転が不能とされる。斯かる状態においては、前記動力伝達機構18における前記遊星歯車装置42のサンギヤS2から前記ドライブギヤ46へは動力が伝達されないため、前記駆動力発生機構16により発生させられた駆動力は副駆動輪である前記1対の前輪14へは伝達されず、更に前記遊星歯車装置42におけるサンギヤS2のハウジング52に対する相対回転が不能とされていることで、前記駆動力発生機構16により発生させられた駆動力は専ら主駆動輪である前記1対の後輪12へ伝達される。すなわち、前記第1ワンウェイクラッチOWC1、第2ワンウェイクラッチOWC2、及び第3ワンウェイクラッチOWC3の作動により、車両駆動時(加速時)においては前記駆動力発生機構16により発生させられた駆動力が専ら主駆動輪である前記1対の後輪12に伝達される2輪駆動状態が成立させられる。
【0026】
また、車両減速時(回生時)においては、前記第1ワンウェイクラッチOWC1が回転を阻止する状態となり、前記前輪用差動歯車装置28から右側の前輪車軸30rへ動力が伝達される。また、前記第2ワンウェイクラッチOWC2が回転を阻止する状態となり、前記動力伝達機構18における前記遊星歯車装置42のサンギヤS2から前記ドライブギヤ46へ動力が伝達される。また、前記第3ワンウェイクラッチOWC3が回転を許可する状態となり、前記動力伝達機構18における前記遊星歯車装置42のサンギヤS2のハウジング52に対する相対回転が可能とされる。斯かる状態においては、前記動力伝達機構18における前記遊星歯車装置42のサンギヤS2から前記ドライブギヤ46へ動力が伝達されると共に、前記前輪用差動歯車装置28から右側の前輪車軸30rへ動力が伝達されるため、前記駆動力発生機構16により発生させられた駆動力は副駆動輪である前記1対の前輪14へ伝達される。換言すれば、前記動力伝達機構18が、前記駆動力発生機構16により発生させられた駆動力を主駆動輪である前記1対の後輪12及び副駆動輪である前記1対の前輪14に分配する動力分配装置(トランスファ機構)として機能する。すなわち、前記第1ワンウェイクラッチOWC1、第2ワンウェイクラッチOWC2、及び第3ワンウェイクラッチOWC3の作動により、車両減速時(回生時)においては前記駆動力発生機構16により発生させられた駆動力が主駆動輪である前記1対の後輪12及び副駆動輪である前記1対の前輪14に伝達される4輪駆動状態が成立させられる。
【0027】
以上、説明したように、前記駆動装置10では、車両加速時において前記駆動力発生機構16により発生させられた駆動力が専ら主駆動輪である前記1対の後輪12に伝達される2輪駆動状態が成立し、車両減速時において前記駆動力発生機構16により発生させられた駆動力が前記1対の後輪12及び前記1対の前輪14に伝達される4輪駆動状態が成立する。これにより、車両減速時における車両挙動の安定性向上及び電動機による回生効率の向上等が実現される。例えば走行路面の摩擦係数が低く(低μ路)タイヤのグリップが利きにくい場合においては、減速時における車両挙動の安定性が求められるが、前記駆動装置10では車両減速時に前記ワンウェイクラッチOWC1〜OWC3の作動により4輪駆動状態が瞬時に成立させられることで、優れた車両挙動の安定性が得られる。また、車両減速時に前記電動機MG、MG1等により回生(発電)を行う場合、2輪駆動状態よりも4輪駆動状態の方が回生効率が高くなる(回生量が大きくなる)が、前記駆動装置10では車両減速時に前記ワンウェイクラッチOWC1〜OWC3の作動により4輪駆動状態が瞬時に成立させられることで、優れた回生効率が実現される。更に、車両加速時には前記ワンウェイクラッチOWC1〜OWC3の作動により2輪駆動状態が瞬時に成立させられることで、フルタイム4輪駆動とする場合よりも損失が低減されるという利点がある。このような効果は、前記ハイブリッド駆動機構16a、16b、電気式駆動機構16c何れの駆動力発生機構16を備えた駆動装置10においても実現される。
【0028】
このように、本実施例によれば、前記動力伝達機構18は、前記駆動力発生機構16の出力部材である出力軸20と副駆動輪である前記1対の前輪14との間に一方向クラッチすなわち前記第1ワンウェイクラッチOWC1、第2ワンウェイクラッチOWC2、及び第3ワンウェイクラッチOWC3を備えることにより、車両加速時において前記駆動力発生機構16により発生させられた駆動力が専ら主駆動輪である前記1対の後輪12に伝達される2輪駆動状態が成立し、車両減速時において前記駆動力発生機構16により発生させられた駆動力が前記1対の後輪12及び前記1対の前輪14に伝達される4輪駆動状態が成立するものであることから、車両加速時には2輪駆動状態が、車両減速時には4輪駆動状態が、前記第1ワンウェイクラッチOWC1、第2ワンウェイクラッチOWC2、及び第3ワンウェイクラッチOWC3の作動によりそれぞれ瞬時に成立させられ、車両加速時における損失を低減する一方、車両減速時における車両挙動の安定性を向上させられる。すなわち、簡単な構成で、車両の走行状態に応じて速やかに2輪駆動乃至4輪駆動の切り替えを行うハイブリッド車両用駆動装置10を提供することができる。
【0029】
また、前記駆動力発生機構16は、車両減速時における前記出力軸20の回転により回生する電動機MG、MG1等を備えたものであるため、車両減速時において瞬時に4輪駆動状態が成立させられ、車両挙動の安定性を向上させられると共に、電動機MG、MG1等による効率的な回生を行うことができる。
【0030】
続いて、本発明の他の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、実施例相互に共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【実施例2】
【0031】
図6は、本発明の車両用駆動装置の他の実施例であるハイブリッド車両用駆動装置60の構成を説明する骨子図である。図6に示すように、本実施例のハイブリッド車両用駆動装置60(以下、単に駆動装置60という)における動力伝達機構62には、一方向の回転を許可するがその逆方向の回転を阻止する一方向クラッチであって空転方向を切り替え得る切替型一方向クラッチである第1ツーウェイクラッチTWC1及び第2ツーウェイクラッチTWC2が設けられている。すなわち、前記動力伝達機構18における前記遊星歯車装置42のサンギヤS2と前記ドライブギヤ46との間の動力伝達経路に上記第1ツーウェイクラッチTWC1が設けられている。また、前記動力伝達機構18における前記遊星歯車装置42のサンギヤS2と非回転部材であるハウジング52との間に上記第2ツーウェイクラッチTWC2が設けられている。なお、本実施例の駆動装置60では、図1に示す構成との比較において、前記前輪用差動歯車装置28と右側の前輪車軸30rとの間の動力伝達経路には前記第1ワンウェイクラッチOWC1が設けられていない。
【0032】
上記第1ツーウェイクラッチTWC1及び第2ツーウェイクラッチTWC2は、例えば電気的な制御によりその空転方向を切り替えるように構成されたものであり、斯かる切り替えを行うために後述する電磁式アクチュエータ64、66(図7を参照)を備えている。例えば、図9に示すように、第1軸(入力軸又は出力軸)に対応する内輪(内周側回転部材)72と、第2軸(第1軸とは逆側の回転軸)に対応する外輪(外周側回転部材)74と、それら内輪72及び外輪74の間に配設された複数の転動体76と、それら転動体76を上記内輪72と外輪74との間に等間隔で保持するケージ78とを、備えて構成されている。また、上記外輪74の内周側における上記複数の転動体76それぞれに対応する位置にカム溝80が形成されている。
【0033】
上記のように構成されたツーウェイクラッチTWC1、TWC2においては、例えば電磁式アクチュエータ64、66により上記外輪74に対して上記ケージ78が共通の軸心まわりに相対回転させられる(位相が変化させられる)ことにより空転方向が切り替えられる。すなわち、上記外輪74とケージ78とが図9に示すような相対位置とされた状態においては、上記内輪72及び外輪74は図9に矢印で示す両方向に相対回転させられる。すなわち、前記ツーウェイクラッチTWC1、TWC2においては、両方向の回転が許可(両方向に空転)される。一方、上記外輪74とケージ78とが図10に示すような相対位置とされた状態においては、上記外輪74に対する内輪72の左回転(内輪72に対する外輪74の右回転)は許可されるが、上記外輪74に対する内輪72の右回転(内輪72に対する外輪74の左回転)はその内輪72とカム溝80との間に転動体76が嵌り込むことによるくさび作用により阻止される。すなわち、前記ツーウェイクラッチTWC1、TWC2においては、第1軸に対する第2軸の右回転(第2軸に対する第1軸の左回転)が許可されるが、逆方向の回転が阻止される状態となる。また、上記アクチュエータ64、66により上記ケージ78が上記外輪74に対して図10とは逆の方向に回転させられることで、前記ツーウェイクラッチTWC1、TWC2においては、第1軸に対する第2軸の左回転(第2軸に対する第1軸の右回転)が許可されるが、逆方向の回転が阻止される状態となる。換言すれば、上記第1ツーウェイクラッチTWC1及び第2ツーウェイクラッチTWC2では、電気的な制御による上記アクチュエータ64、66の作動により空転方向(回転を許可する方向)の切り替えが可能とされている。
【0034】
図7は、前記駆動装置60に備えられた電子的な制御系統の一例を説明する図である。この図7に示すように、前記駆動装置60には、前記第1ツーウェイクラッチTWC1及び第2ツーウェイクラッチTWC2それぞれに備えられたアクチュエータ64、66の作動を制御する電子制御装置68が設けられている。この電子制御装置68は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェイス等を含んで構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を実行する所謂マイクロコンピュータであり、上記アクチュエータ64、66の作動を制御することで前記第1ツーウェイクラッチTWC1及び第2ツーウェイクラッチTWC2それぞれにおける回転の許可(空転)乃至阻止(係合)、更にはその空転方向を切り替える制御を行う。また、図7に示すように、前記駆動装置60には、2輪駆動状態及び4輪駆動状態を切り替えるスイッチ70が運転席付近に設けられており、そのスイッチ70からのオン/オフ信号が上記電子制御装置68に入力されるように構成されている。
【0035】
図8は、車両の走行状態に応じた、或いは上記電子制御装置68の制御による前記第1ツーウェイクラッチTWC1及び第2ツーウェイクラッチTWC2それぞれの回転許可/阻止方向について説明する図である。この図8に示すように、上記第1ツーウェイクラッチTWC1は、上記電子制御装置68からの指令がない状態においては、車両駆動時(加速時)において回転が許可される一方、車両減速時(回生時)において回転が阻止されるように設けられている。また、上記スイッチ70がオンとされた場合には、上記電子制御装置68からの指令に応じて車両駆動時(加速時)であってもその車両駆動時における回転方向の回転が阻止されるように空転方向が切り替えられる。また、上記第2ツーウェイクラッチTWC2は、上記電子制御装置68からの指令がない状態においては、車両駆動時において回転が阻止される一方、車両減速時において回転が許可されるように設けられている。また、上記スイッチ70がオンとされた場合には、上記電子制御装置68からの指令に応じて車両駆動時(加速時)であってもその車両駆動時における回転方向の回転が許可されるように空転方向が切り替えられる。
【0036】
以上のように構成された前記動力伝達機構62では、前記駆動力発生機構16の出力軸20と副駆動輪である前記1対の前輪14との間の動力伝達経路に前記第1ツーウェイクラッチTWC1及び第2ツーウェイクラッチTWC2を備えることにより、車両加速時において前記駆動力発生機構16により発生させられた駆動力が専ら主駆動輪である前記1対の後輪12に伝達される2輪駆動状態が成立し、車両減速時において前記駆動力発生機構16により発生させられた駆動力が前記1対の後輪12及び前記1対の前輪14に伝達される4輪駆動状態が成立する。また、前記スイッチ70がオンとされた場合には、車両駆動時(加速時)であっても前記駆動力発生機構16により発生させられた駆動力が前記1対の後輪12及び前記1対の前輪14に伝達される4輪駆動状態が成立する。
【0037】
以上、説明したように、前記駆動装置60では、車両加速時において前記駆動力発生機構16により発生させられた駆動力が専ら主駆動輪である前記1対の後輪12に伝達される2輪駆動状態が成立し、車両減速時において前記駆動力発生機構16により発生させられた駆動力が前記1対の後輪12及び前記1対の前輪14に伝達される4輪駆動状態が成立することにより、前記駆動装置10と同様に、車両減速時における車両挙動の安定性向上及び電動機による回生効率の向上等が実現されると共に、車両加速時における損失が低減される。更に、悪路走行時等においては車両駆動時(加速時)においても4輪駆動状態の成立が要求される場合が考えられるが、そのような場合に前記スイッチ70がオンとされることで4輪駆動状態が成立させられ、悪路走破性が確保される。このような効果は、前記駆動装置10と同様に、前記ハイブリッド駆動機構16a、16b、電気式駆動機構16c何れの駆動力発生機構16を備えた駆動装置10においても実現される。
【0038】
このように、本実施例によれば、2輪駆動状態及び4輪駆動状態を切り替えるスイッチ70を備え、前記一方向クラッチのうち少なくとも一部は、そのスイッチ70の操作に応じて空転方向を切り替える切替型一方向クラッチTWC1及びTWC2であるため、車両加速時において必要とされる場合には簡便に4輪駆動状態を成立させることができる。
【0039】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0040】
例えば、前述の実施例において、前記駆動装置10、60は何れも後輪駆動を基本として前記1対の後輪12が主駆動輪、前記1対の前輪14が副駆動輪とされた駆動機構であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば前輪駆動を基本として前記1対の後輪12が副駆動輪、前記1対の前輪14が主駆動輪とされた駆動機構にも本発明は好適に適用される。
【0041】
また、前述の実施例において、前記駆動装置10、60における駆動力発生機構16は何れも、車両減速時における前記出力軸20の回転により回生する電動機MG、MG1等を備えたものであったが、電動機を備えず例えば駆動源として前記エンジン32のみを備えた車両においても、本発明が適用されることにより車両減速時における車両挙動の安定性向上等の一応の効果が得られる。
【0042】
また、前述の実施例において図1、図6等に例示した構成における複数の一方向クラッチの配置はあくまで好適な例に過ぎず、駆動力発生機構の出力部材と副駆動輪との間に単数乃至複数の一方向クラッチを備えることにより、車両加速時において駆動力発生機構により発生させられた駆動力が専ら主駆動輪に伝達される2輪駆動状態が成立し、車両減速時において駆動力発生機構により発生させられた駆動力が主駆動輪及び副駆動輪に伝達される4輪駆動状態が成立するものであればその態様は問わない。
【0043】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0044】
10、60:ハイブリッド車両用駆動装置
12:後輪(主駆動輪)
14:前輪(副駆動輪)
16:駆動力発生機構
18、62:動力伝達機構
20:出力軸(出力部材)
70:スイッチ
MG:電動機
MG1:第1電動機
MG2:第2電動機
OWC1:第1ワンウェイクラッチ(一方向クラッチ)
OWC2:第2ワンウェイクラッチ(一方向クラッチ)
OWC3:第3ワンウェイクラッチ(一方向クラッチ)
TWC1:第1ツーウェイクラッチ(切替型一方向クラッチ)
TWC2:第2ツーウェイクラッチ(切替型一方向クラッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源を備えて駆動力を発生させる駆動力発生機構と、該駆動力発生機構により発生させられた駆動力を主駆動輪及び副駆動輪に選択的に伝達する動力伝達機構とを、備えた車両用駆動装置であって、
前記動力伝達機構は、前記駆動力発生機構の出力部材と前記副駆動輪との間に単数乃至複数の一方向クラッチを備えることにより、車両加速時において前記駆動力発生機構により発生させられた駆動力が専ら前記主駆動輪に伝達される2輪駆動状態が成立し、車両減速時において前記駆動力発生機構により発生させられた駆動力が前記主駆動輪及び副駆動輪に伝達される4輪駆動状態が成立するものであることを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項2】
前記駆動力発生機構は、車両減速時における前記出力部材の回転により回生する電動機を備えたものである請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
2輪駆動状態及び4輪駆動状態を切り替えるスイッチを備え、
前記一方向クラッチのうち少なくとも一部は、該スイッチの操作に応じて空転方向を切り替える切替型一方向クラッチである請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−162159(P2012−162159A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23333(P2011−23333)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】