説明

車両用駆動装置

【課題】液状媒体供給装置の組立作業性が向上し、作業時間を短縮することができる車両用駆動装置を提供する。
【解決手段】後輪駆動装置は、電動機と、この被冷却部と被潤滑部の少なくとも一方に液状媒体を供給する電動オイルポンプ70と、オイルを貯留するストレーナ収容室と、電動オイルポンプ70と電動機の被冷潤部とを連通する第1及び第2電動機用冷却流路、及び潤滑流路を有するケースと、を備える。ケースには、着脱可能に設けられた、電動オイルポンプ70が取り付けられる蓋部材72と、外側に向かって開口する前方開口部105aを備え、ケースに形成された蓋部材固定部105bと、蓋部材72に形成されたケース固定部72aとが固定され、ケースの前方開口部105aが蓋部材72によって閉塞されると共に、蓋部材72のオイル吐出路と、ケースの第1及び第2電動機用冷却流路120B、と潤滑流路121Bとが接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用駆動装置に関し、より詳細には、電動機の冷却、潤滑、変速機の冷却、潤滑の少なくとも一つを行う車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用駆動装置として、特許文献1に記載の電動車両では、左右に一対の電動機を備えるとともに、これら電動機間に機械式オイルポンプを備え、駆動軸内の油路に油を供給してトルク伝達系を潤滑し、また、別途設けられた電動式オイルポンプによって、走行用モータを冷却することが開示されている。この機械式オイルポンプは、ケースの隔壁とポンプカバーによって、回転体が収容されるポンプ室を構成し、電動機を駆動することで回転している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−098417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の電動車両では、機械式オイルポンプからの油は直接駆動軸内の油路に供給されるため、油の放熱が不足して別途オイルクーラを設けるなどの対策が必要であった。また、電動式オイルポンプについては、具体的な配置が記載されておらず、また、クーラを用いて冷却した油を走行用モータに供給している。また、機械式オイルポンプのポンプ室は、ケースの隔壁とポンプカバーとによって構成されるので、ポンプの組立作業性において改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、液状媒体供給装置の組立作業性が向上し、組立作業時間を短縮することができる車両用駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
車両の車輪(例えば、後述の実施形態の左後輪LWr、右後輪RWr)に接続される電動機(例えば、後述の実施形態の電動機2A、2B)と、
前記電動機の被冷却部(例えば、後述の実施形態の被冷却部A1、B1)と被潤滑部(例えば、後述の実施形態の被潤滑部A2、B2)の少なくとも一方である被冷潤部に液状媒体を供給する液状媒体供給装置(例えば、後述の実施形態の電動オイルポンプ70)と、
前記電動機を収容するとともに、前記液状媒体を貯留する貯留部(例えば、後述の実施形態のストレーナ収容室105)と、前記液状媒体供給装置と前記電動機の被冷潤部とを連通する冷潤流路(例えば、後述の実施形態の第1及び第2電動機用冷却流路120A、120B、第1及び第2電動機用潤滑流路121A、121B)と、を有するケース(例えば、後述の実施形態のケース11)と、
を備え、前記液状媒体供給装置は、前記貯留部から吸入した液状媒体を吐出して前記冷潤流路を介して前記被冷潤部に供給する車両用駆動装置(例えば、後述の実施形態の後輪駆動装置1)であって、
前記ケースに着脱可能に設けられ、前記液状媒体供給装置が配置される別体部材(例えば、後述の実施形態の蓋部材72)をさらに有し、
前記ケースは、外側に向かって開口する開口部(例えば、後述の実施形態の前方開口部105a)を備え、
前記ケースに形成された別体部材固定部(例えば、後述の実施形態の蓋部材固定部105b)と、前記別体部材に形成されたケース固定部(例えば、後述の実施形態のケース固定部72a)とが固定された取付状態において、前記ケースの前記開口部が前記別体部材によって閉塞されると共に、前記別体部材に形成された前記液状媒体供給装置の吐出側流路(例えば、後述の実施形態のオイル吐出路95)と前記ケースの前記冷潤流路とが接続されることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、
前記取付状態において、前記吐出側流路と前記冷潤流路との接続部(例えば、後述の実施形態の出口パイプ97bと冷却/潤滑用ポート108bとの接続部)は、前記開口部の外縁よりも内側に位置することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加えて、
前記開口部の少なくとも一部は、前記貯留部と重なる位置に形成され、
前記取付状態において、前記別体部材は前記貯留部の壁面を構成することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の構成に加えて、
前記接続部は、前記ケースの別体部材固定部よりも取付方向において前記ケースの内側に離間した位置に設けられ、
前記取付方向において前記接続部と前記別体部材固定部との間の離間空間(例えば、後述の実施形態の離間空間D)には、前記冷潤流路に介装される流路を切り換える弁手段(例えば、後述の実施形態の低圧油路切替弁73、ブレーキ油路切替弁74、リリーフ弁84)が配設されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路(例えば、後述の実施形態のオイル吸入路94)が、前記別体部材のケース固定部よりもケース側に延出し、
前記取付状態において、前記吸入側流路の吸入口が前記貯留部内に位置することを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路が、前記別体部材によって形成されることを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の構成に加えて、
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路が、前記別体部材と、前記別体部材に着脱可能に固定される他の別体部材(例えば、後述の実施形態のストレーナ71)と、によって形成され、
前記他の別体部材は、前記別体部材のみに固定されることを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に記載の発明は、請求項5〜7のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記吸入側流路は、前記別体部材のケース固定部の外縁平行投影内に納まるように形成されることを特徴とする。
【0014】
また、請求項9に記載の発明は、請求項5〜8のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記吸入側流路には、前記液状媒体を濾過する濾過部材(例えば、後述の実施形態のストレーナ71)が配設されることを特徴とする。
【0015】
また、請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記電動機と前記車輪との動力伝達経路上に配置され、動力を断接する液圧式断接手段(例えば、後述の実施形態の油圧ブレーキ60)を備え、
前記ケースは、前記液状媒体供給装置と、前記液圧式断接手段の液圧室(例えば、後述の実施形態の作動室S)とを連通する液圧路(例えば、後述の実施形態のブレーキ油路77)を有し、
前記液状媒体供給装置は、前記液状媒体を前記液圧路を介して前記液圧式断接手段の液圧室に供給することを特徴とする。
【0016】
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の構成に加えて、
前記取付状態において、前記別体部材に形成された前記吐出側流路と前記ケースの前記液圧路とが接続されることを特徴とする。
【0017】
また、請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の構成に加えて、
前記取付状態において、前記吐出側流路と前記液圧路との接続部(例えば、後述の実施形態の出口パイプ97aと作動室用ポート108aとの接続部)は、前記開口部の外縁よりも内側に位置することを特徴とする。
【0018】
また、請求項13に記載の発明は、請求項1〜12のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記液状媒体供給装置は、前記電動機と異なる、他の電動機(例えば、後述の実施形態の他の電動機90)によって駆動されることを特徴とする。
【0019】
また、請求項14に記載の発明は、請求項1〜13のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記電動機は、第1及び第2電動機を備え、
前記冷潤流路は、前記液状媒体供給装置と前記第1電動機の被冷潤部とを連通する第1冷潤流路(例えば、後述の実施形態の第1電動機用冷却流路120A、第1電動機用潤滑流路121A)と、前記液状媒体供給装置と前記第2電動機の被冷潤部とを連通する第2冷潤流路(例えば、後述の実施形態の第2電動機用冷却流路120B、第2電動機用潤滑流路121B)と、を備えるとともに、前記第1冷潤流路と前記第2冷潤流路は前記液状媒体供給装置側において共用化された共用流路(例えば、後述の実施形態の前方鉛直油路109)を備え、
前記取付状態において、前記別体部材に形成された前記吐出側流路と、前記ケースの前記共用流路とが接続されることを特徴とする。
【0020】
また、請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の構成に加えて、
前記第1電動機は、車両の左車輪(例えば、後述の実施形態の左後輪LWr)を駆動し、
前記第2電動機は、車両の右車輪(例えば、後述の実施形態の右後輪RWr)を駆動することを特徴とする。
【0021】
また、請求項16に記載の発明は、
車両の車輪(例えば、後述の実施形態の左後輪LWr、右後輪RWr)に接続される電動機(例えば、後述の実施形態の電動機2A、2B)と、
前記電動機の被冷却部(例えば、後述の実施形態の被冷却部A1、B1)と被潤滑部(例えば、後述の実施形態の被潤滑部A2、B2)の少なくとも一方である被冷潤部に液状媒体を供給する液状媒体供給装置(例えば、後述の実施形態の電動オイルポンプ70)と、
前記電動機を収容するとともに、前記液状媒体を貯留する貯留部(例えば、後述の実施形態のストレーナ収容室105)と、を有するケース(例えば、後述の実施形態のケース11)と、
を備え、前記液状媒体供給装置は、前記貯留部から吸入した液状媒体を吐出して前記被冷潤部に供給する車両用駆動装置(例えば、後述の実施形態の後輪駆動装置1)であって、
前記ケースに着脱可能に設けられ、前記液状媒体供給装置が配置される別体部材(例えば、後述の実施形態の蓋部材72)をさらに有し、
前記ケースは、外側に向かって開口する開口部(例えば、後述の実施形態の前方開口部105a)を備え、
前記開口部の少なくとも一部は、前記貯留部と重なる位置に形成され、
前記ケースに形成された別体部材固定部(例えば、後述の実施形態の蓋部材固定部105b)と、前記別体部材に形成されたケース固定部(例えば、後述の実施形態のケース固定部72a)とが固定された取付状態において、前記ケースの前記開口部が前記別体部材によって閉塞されると共に、前記別体部材は前記貯留部の壁面を構成することを特徴とする。
【0022】
また、請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の構成に加えて、
前記別体部材は、前記液状媒体が通過する流路を切り換える弁手段(例えば、後述の実施形態の低圧油路切替弁73、ブレーキ油路切替弁74、リリーフ弁84)を備え、
前記取付状態において、前記弁手段は、前記ケースの開口部よりケース内に突出した状態で配設されることを特徴とする。
【0023】
また、請求項18に記載の発明は、請求項16又は17に記載の構成に加えて、
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路(例えば、後述の実施形態のオイル吸入路94)が、前記別体部材のケース固定部よりもケース側に延出し、
前記取付状態において、前記吸入側流路の吸入口が前記貯留部内に位置することを特徴とする。
【0024】
また、請求項19に記載の発明は、請求項16〜18のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路が、前記別体部材によって形成されることを特徴とする。
【0025】
また、請求項20に記載の発明は、請求項19に記載の構成に加えて、
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路が、前記別体部材と、前記別体部材に着脱可能に固定される他の別体部材(例えば、後述の実施形態のストレーナ71)と、によって形成され、
前記他の別体部材は、前記別体部材のみに固定されることを特徴とする。
【0026】
また、請求項21に記載の発明は、請求項18〜20のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記吸入側流路は、前記別体部材のケース固定部の外縁平行投影内に納まるように形成されることを特徴とする。
【0027】
また、請求項22に記載の発明は、請求項18〜21のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記吸入側流路には、前記液状媒体を濾過する濾過部材(例えば、後述の実施形態のストレーナ71)が配設されることを特徴とする。
【0028】
また、請求項23に記載の発明は、請求項16〜22のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記液状媒体供給装置は、前記電動機と異なる、他の電動機(例えば、後述の実施形態の他の電動機90)によって駆動されることを特徴とする。
【0029】
また、請求項24に記載の発明は、
車両の車輪(例えば、後述の実施形態の左後輪LWr、右後輪RWr)と動力源との動力伝達経路上に配置される変速機(例えば、後述の実施形態の遊星歯車式減速機12A、12B)と、
前記変速機の被冷却部と被潤滑部(例えば、後述の実施形態の被潤滑部A3、B3)の少なくとも一方である被冷潤部に液状媒体を供給する液状媒体供給装置(例えば、後述の実施形態の電動オイルポンプ70)と、
前記変速機を収容するとともに、前記液状媒体を貯留する貯留部(例えば、後述の実施形態のストレーナ収容室105)と、前記液状媒体供給装置と前記変速機の被冷潤部とを連通する冷潤流路(例えば、後述の実施形態の第1及び第2遊星歯車式減速機用潤滑流路122A、122B)と、を有するケース(例えば、後述の実施形態のケース11)と、
を備え、前記液状媒体供給装置は、前記貯留部から吸入した液状媒体を吐出して前記冷潤流路を介して前記被冷潤部に供給する車両用駆動装置(例えば、後述の実施形態の後輪駆動装置1)であって、
前記ケースに着脱可能に設けられ、前記液状媒体供給装置が配置される別体部材(例えば、後述の実施形態の蓋部材72)をさらに有し、
前記ケースは、外側に向かって開口する開口部(例えば、後述の実施形態の前方開口部105a)を備え、
前記ケースに形成された別体部材固定部(例えば、後述の実施形態の蓋部材固定部105b)と、前記別体部材に形成されたケース固定部(例えば、後述の実施形態のケース固定部72a)とが固定された取付状態において、前記ケースの前記開口部が前記別体部材によって閉塞されると共に、前記別体部材に形成された前記液状媒体供給装置の吐出側流路(例えば、後述の実施形態のオイル吐出路95)と前記ケースの前記冷潤流路とが接続されることを特徴とする。
【0030】
また、請求項25に記載の発明は、請求項24に記載の構成に加えて、
前記取付状態において、前記吐出側流路と前記冷潤流路との接続部(例えば、後述の実施形態の出口パイプ97bと冷却/潤滑用ポート108bとの接続部)は、前記開口部の外縁よりも内側に位置することを特徴とする。
【0031】
また、請求項26に記載の発明は、請求項24又は25に記載の構成に加えて、
前記開口部の少なくとも一部は、前記貯留部と重なる位置に形成され、
前記取付状態において、前記別体部材は前記貯留部の壁面を構成することを特徴とする。
【0032】
また、請求項27に記載の発明は、請求項24〜26のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路(例えば、後述の実施形態のオイル吸入路94)は、前記別体部材のケース固定部よりもケース側に延出するように、前記別体部材と、前記別体部材に着脱可能に固定される他の別体部材(例えば、後述の実施形態のストレーナ71)と、によって形成され、
前記他の別体部材は、前記別体部材のみに固定され、
前記取付状態において、前記他の別体部材に形成された前記吸入側流路の吸入口が前記貯留部内に位置することを特徴とする。
【0033】
また、請求項28に記載の発明は、請求項27に記載の構成に加えて、
前記吸入側流路は、前記別体部材のケース固定部の外縁平行投影内に納まるように形成されることを特徴とする。
【0034】
また、請求項29に記載の発明は、請求項27又は28に記載の構成に加えて、
前記吸入側流路には、前記液状媒体を濾過する濾過部材(例えば、後述の実施形態のストレーナ71)が配設されることを特徴とする。
【0035】
また、請求項30に記載の発明は、請求項24〜29のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記液状媒体供給装置は、前記電動機と異なる、他の電動機(例えば、後述の実施形態の他の電動機90)によって駆動されることを特徴とする。
【0036】
また、請求項31に記載の発明は、請求項24〜30のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記変速機は、第1及び第2変速機を備え、
前記冷潤流路は、前記液状媒体供給装置と前記第1変速機の被冷潤部とを連通する第1冷潤流路(例えば、後述の実施形態の第1遊星歯車式減速機用潤滑流路122A)と、前記液状媒体供給装置と前記第2変速機の被冷潤部とを連通する第2冷潤流路(例えば、後述の実施形態の第2遊星歯車式減速機用潤滑流路122Bと、を備えるとともに、前記第1冷潤流路と前記第2冷潤流路は前記液状媒体供給装置側において共用化された共用流路(例えば、後述の実施形態の前方鉛直油路109)を備え、
前記取付状態において、前記別体部材に形成された前記吐出側流路と、前記ケースの前記共用流路とが接続されることを特徴とする。
【0037】
また、請求項32に記載の発明は、
車両の車輪(例えば、後述の実施形態の左後輪LWr、右後輪RWr)と動力源との動力伝達経路上に配置される変速機(例えば、後述の実施形態の遊星歯車式減速機12A、12B)と、
前記変速機の被冷却部と被潤滑部の少なくとも一方である被冷潤部に液状媒体を供給する液状媒体供給装置(例えば、後述の実施形態の電動オイルポンプ70)と、
前記変速機を収容するとともに、前記液状媒体を貯留する貯留部(例えば、後述の実施形態のストレーナ収容室105)を有するケース(例えば、後述の実施形態のケース11)と、
を備え、前記液状媒体供給装置は、前記貯留部から吸入した液状媒体を吐出して前記被冷潤部に供給する車両用駆動装置(例えば、後述の実施形態の後輪駆動装置1)であって、
前記ケースに着脱可能に設けられ、前記液状媒体供給装置が配置される別体部材(例えば、後述の実施形態の蓋部材72)をさらに有し、
前記ケースは、外側に向かって開口する開口部(例えば、後述の実施形態の前方開口部105a)を備え、
前記開口部の少なくとも一部は、前記貯留部と重なる位置に形成され、
前記ケースに形成された別体部材固定部(例えば、後述の実施形態の蓋部材固定部105b)と、前記別体部材に形成されたケース固定部(例えば、後述の実施形態のケース固定部72a)とが固定された取付状態において、前記ケースの前記開口部が前記別体部材によって閉塞されると共に、前記別体部材は前記貯留部の壁面を構成することを特徴とする。
【0038】
また、請求項33に記載の発明は、請求項32に記載の構成に加えて、
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路(例えば、後述の実施形態のオイル吸入路94)は、前記別体部材のケース固定部よりもケース側に延出するように、前記別体部材と、前記別体部材に着脱可能に固定される他の別体部材(例えば、後述の実施形態のストレーナ71)と、によって形成され、
前記他の別体部材は、前記別体部材のみに固定され、
前記取付状態において、前記他の別体部材に形成された前記吸入側流路の吸入口が前記貯留部内に位置することを特徴とする。
【0039】
また、請求項34に記載の発明は、請求項33に記載の構成に加えて、
前記吸入側流路は、前記別体部材のケース固定部の外縁平行投影内に納まるように形成されることを特徴とする。
【0040】
また、請求項35に記載の発明は、請求項33又は34に記載の構成に加えて、
前記吸入側流路には、前記液状媒体を濾過する濾過部材(例えば、後述の実施形態のストレーナ71)が配設されることを特徴とする。
【0041】
また、請求項36に記載の発明は、請求項32〜35のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記液状媒体供給装置は、前記電動機と異なる、他の電動機(例えば、後述の実施形態の他の電動機90)によって駆動されることを特徴とする。
【0042】
また、請求項37に記載の発明は、
車両の車輪(例えば、後述の実施形態の左後輪LWr、右後輪RWr)と動力源との動力伝達経路上に配置され、前記動力源からの動力を断接する液圧式断接手段(例えば、後述の実施形態の油圧ブレーキ60)と、
前記液圧式断接手段の液圧室(例えば、後述の実施形態の作動室S)に液状媒体を供給する液状媒体供給装置(例えば、後述の実施形態の電動オイルポンプ70)と、
前記液圧式断接手段を収容するとともに、前記液状媒体を貯留する貯留部(例えば、後述の実施形態のストレーナ収容室105)と、前記液状媒体供給装置と前記液圧式断接手段の液圧室とを連通する液圧路(例えば、後述の実施形態のブレーキ油路77)と、を有するケース(例えば、後述の実施形態のケース11)と、
を備え、前記液状媒体供給装置は、前記貯留部から吸入した液状媒体を吐出して前記液圧路を介して前記液圧式断接手段の液圧室に供給する車両用駆動装置(例えば、後述の実施形態の後輪駆動装置1)であって、
前記ケースに着脱可能に設けられ、前記液状媒体供給装置が配置される別体部材(例えば、後述の実施形態の蓋部材72)をさらに有し、
前記ケースは、外側に向かって開口する開口部(例えば、後述の実施形態の前方開口部105a)を備え、
前記ケースに形成された別体部材固定部(例えば、後述の実施形態の蓋部材固定部105b)と、前記別体部材に形成されたケース固定部(例えば、後述の実施形態のケース固定部72a)とが固定された取付状態において、前記ケースの前記開口部が前記別体部材によって閉塞されると共に、前記別体部材に形成された前記液状媒体供給装置の吐出側流路(例えば、後述の実施形態のオイル吐出路95)と前記ケースの前記液圧路とが接続されることを特徴とする。
【0043】
また、請求項38に記載の発明は、請求項37に記載の構成に加えて、
前記取付状態において、前記吐出側流路と前記液圧路との接続部(例えば、後述の実施形態の出口パイプ97aと作動室用ポート108aとの接続部)は、前記開口部の外縁よりも内側に位置することを特徴とする。
【0044】
また、請求項39に記載の発明は、請求項37又は38に記載の構成に加えて、
前記開口部の少なくとも一部は、前記貯留部と重なる位置に形成され、
前記取付状態において、前記別体部材は前記貯留部の壁面を構成することを特徴とする。
【0045】
また、請求項40に記載の発明は、請求項38又は39に記載の構成に加えて、
前記接続部は、前記ケースの別体部材固定部よりも取付方向において前記ケースの内側に離間した位置に設けられ、
前記取付方向において前記接続部と前記別体部材固定部との間の離間空間(例えば、後述の実施形態の離間空間D)には、前記冷潤流路に介装される流路を切り換える弁手段(例えば、後述の実施形態の低圧油路切替弁73、ブレーキ油路切替弁74、リリーフ弁84)が配設されていることを特徴とする。
【0046】
また、請求項41に記載の発明は、請求項37〜40のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路(例えば、後述の実施形態のオイル吸入路94)が、前記別体部材のケース固定部よりもケース側に延出し、
前記取付状態において、前記吸入側流路の吸入口が前記貯留部内に位置することを特徴とする。
【0047】
また、請求項42に記載の発明は、請求項37〜41のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路が、前記別体部材によって形成されることを特徴とする。
【0048】
また、請求項43に記載の発明は、請求項42に記載の構成に加えて、
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路が、前記別体部材と、前記別体部材に着脱可能に固定される他の別体部材(例えば、後述の実施形態のストレーナ71)と、によって形成され、
前記他の別体部材は、前記別体部材のみに固定されることを特徴とする。
【0049】
また、請求項44に記載の発明は、請求項41〜43のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記吸入側流路は、前記別体部材のケース固定部の外縁平行投影内に納まるように形成されることを特徴とする。
【0050】
また、請求項45に記載の発明は、請求項41〜44のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記吸入側流路には、前記液状媒体を濾過する濾過部材(例えば、後述の実施形態のストレーナ71)が配設されることを特徴とする。
【0051】
また、請求項46に記載の発明は、請求項37〜45のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記液状媒体供給装置は、前記電動機と異なる、他の電動機(例えば、後述の実施形態の他の電動機90)によって駆動されることを特徴とする。
【0052】
また、請求項47に記載の発明は、
車両の車輪(例えば、後述の実施形態の左後輪LWr、右後輪RWr)と動力源との動力伝達経路上に配置され、前記動力源からの動力を断接する液圧式断接手段(例えば、後述の実施形態の油圧ブレーキ60)と、
前記液圧式断接手段の液圧室(例えば、後述の実施形態の作動室S)に液状媒体を供給する液状媒体供給装置(例えば、後述の実施形態の電動オイルポンプ70)と、
前記液圧式断接手段を収容するとともに、前記液状媒体を貯留する貯留部(例えば、後述の実施形態のストレーナ収容室105)を有するケース(例えば、後述の実施形態のケース11)と、
を備え、前記液状媒体供給装置は、前記貯留部から吸入した液状媒体を吐出して前記液圧式断接手段の液圧室に供給する車両用駆動装置(例えば、後述の実施形態の後輪駆動装置1)であって、
前記ケースに着脱可能に設けられ、前記液状媒体供給装置が配置される別体部材(例えば、後述の実施形態の蓋部材72)をさらに有し、
前記ケースは、外側に向かって開口する開口部(例えば、後述の実施形態の前方開口部105a)を備え、
前記開口部の少なくとも一部は、前記貯留部と重なる位置に形成され、
前記ケースに形成された別体部材固定部(例えば、後述の実施形態の蓋部材固定部105b)と、前記別体部材に形成されたケース固定部(例えば、後述の実施形態のケース固定部72a)とが固定された取付状態において、前記ケースの前記開口部が前記別体部材によって閉塞されると共に、前記別体部材は前記貯留部の壁面を構成することを特徴とする。
【0053】
また、請求項48に記載の発明は、請求項47に記載の構成に加えて、
前記別体部材は、前記液状媒体が通過する流路を切り換える弁手段(例えば、後述の実施形態の低圧油路切替弁73、ブレーキ油路切替弁74、リリーフ弁84)を備え、
前記取付状態において、前記弁手段は、前記ケースの開口部よりケース内に突出した状態で配設されることを特徴とする。
【0054】
また、請求項49に記載の発明は、請求項47又は48に記載の構成に加えて、
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路(例えば、後述の実施形態のオイル吸入路94)が、前記別体部材のケース固定部よりもケース側に延出し、
前記取付状態において、前記吸入側流路の吸入口が前記貯留部内に位置することを特徴とする。
【0055】
また、請求項50に記載の発明は、請求項47〜49のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路が、前記別体部材によって形成されることを特徴とする。
【0056】
また、請求項51に記載の発明は、請求項50に記載の構成に加えて、
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路が、前記別体部材と、前記別体部材に着脱可能に固定される他の別体部材(例えば、後述の実施形態のストレーナ71)と、によって形成され、
前記他の別体部材は、前記別体部材のみに固定されることを特徴とする。
【0057】
また、請求項52に記載の発明は、請求項49〜51のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記吸入側流路は、前記別体部材のケース固定部の外縁平行投影内に納まるように形成されることを特徴とする。
【0058】
また、請求項53に記載の発明は、請求項49〜52のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記吸入側流路には、前記液状媒体を濾過する濾過部材(例えば、後述の実施形態のストレーナ71)が配設されることを特徴とする。
【0059】
また、請求項54に記載の発明は、請求項47〜53のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記液状媒体供給装置は、前記電動機と異なる、他の電動機(例えば、後述の実施形態の他の電動機90)によって駆動されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0060】
請求項1に記載の発明によれば、液状媒体供給装置が配置される別体部材をケースに固定した際に、ケースの開口部が閉塞されると同時に、流路の接続が行われるので、液状媒体供給装置の組立作業性が向上し、組立作業時間を短縮することができる。また、液状媒体供給装置はケースから着脱可能な別体部材側に配設されるので、液状媒体供給装置のメンテナンスや交換、組立てが容易になる。
【0061】
請求項2に記載の発明によれば、液状媒体が吐出側流路と冷潤流路との接続部から漏出しても、ケース内に貯留することができる。
【0062】
請求項3に記載の発明によれば、液状媒体供給装置が配置される別体部材と貯留部とを近接して配置が可能となり、液状媒体供給装置の吸入側流路長を短くすることができる。また、別体部材を外した状態では、貯留部の壁面の一部が取り除かれる状態となるので、貯留部内を視認しやすく、また、貯留部の清掃なども容易に行うことができる。
【0063】
請求項4に記載の発明によれば、弁手段をケース内に配設することができ、ケースの外側に突出する部分を小さくすることができる。
【0064】
請求項5に記載の発明によれば、別体部材をケースに取り付けた状態とすることで、吸入側流路の吸入口がケースの貯留部内の適切な位置に配置され、液状媒体を確実に吸入することができる。
【0065】
請求項6に記載の発明によれば、吸入側流路を別体部材と一体に取り扱うことが可能で、脱着の作業性が良好となり、また、吸入側流路をケース側に形成しなくてもよく、ケースの構造を簡素化、及び軽量化することができる。
【0066】
請求項7に記載の発明によれば、吸入側流路を形成する他の別体部材のケースに対する脱着は、別体部材の着脱と同時に取り扱われるので、ケースへの取り付け、取り外しを容易に行うことができる。また、他の別体部材は、別体部材と着脱可能であるので、吸入側流路の整備や交換も容易に行うことができる。
【0067】
請求項8に記載の発明によれば、別体部材を取り外す際に吸入側流路をケースに引っ掛けずに容易に取り外すことができる。
【0068】
請求項9に記載の発明によれば、濾過部材を別体部材と一体的に取り扱うことが可能で、濾過部材の整備や交換を容易に行うことでき、濾過部材を配置するためのスペースを別途確保する必要が無い。
【0069】
請求項10に記載の発明によれば、液状媒体供給装置が、ケースの冷潤流路と液圧式断接手段の液圧室の両方に液状媒体を供給することができ、構成を簡素化することができる。
【0070】
請求項11に記載の発明によれば、開口部の閉塞と冷潤流路の接続に加えて、液圧路の接続も同時に行われるので、液状媒体供給装置の組立作業性が向上し、組立作業時間を短縮することができる。
【0071】
請求項12に記載の発明によれば、液状媒体が吐出側流路と液圧路との接続部から漏出しても、ケース内に貯留することができる。
【0072】
請求項13に記載の発明によれば、液状媒体供給装置を電動式とすることで、別体部材をより適切な位置に配置することができる。
【0073】
請求項14に記載の発明によれば、第1及び第2冷潤流路を有する場合であっても、別体部材の吐出側流路とケースの共用流路とをするだけで各流路が接続され、液状媒体供給装置の組立作業性が向上し、組立作業時間を短縮することができる。
【0074】
請求項15に記載の発明によれば、左車輪と右車輪を独立して駆動することができる。
【0075】
請求項16に記載の発明によれば、液状媒体供給装置が配置される別体部材と貯留部とを近接して配置が可能となり、液状媒体供給装置の吸入側流路長を短くすることができる。また、別体部材を外した状態では、貯留部の壁面の一部が取り除かれる状態となるので、貯留部内を視認しやすく、また、貯留部の清掃なども容易に行うことができる。
【0076】
請求項17に記載の発明によれば、弁手段をケース内に配設することができ、ケースの外側に突出する部分を小さくすることができる。
【0077】
請求項18に記載の発明によれば、別体部材をケースに取り付けた状態とすることで、吸入側流路の吸入口がケースの貯留部内の適切な位置に配置され、液状媒体を確実に吸入することができる。
【0078】
請求項19に記載の発明によれば、吸入側流路を別体部材と一体に取り扱うことが可能で、脱着の作業性が良好となり、また、吸入側流路をケース側に形成しなくてもよく、ケースの構造を簡素化、及び軽量化することができる。
【0079】
請求項20に記載の発明によれば、吸入側流路を形成する他の別体部材のケースに対する脱着は、別体部材の着脱と同時に取り扱われるので、ケースへの取り付け、取り外しを容易に行うことができる。また、他の別体部材は、別体部材と着脱可能であるので、吸入側流路の整備や交換も容易に行うことができる。
【0080】
請求項21に記載の発明によれば、別体部材を取り外す際に吸入側流路をケースに引っ掛けずに容易に取り外すことができる。
【0081】
請求項22に記載の発明によれば、濾過部材を別体部材と一体的に取り扱うことが可能で、濾過部材の整備や交換を容易に行うことでき、濾過部材を配置するためのスペースを別途確保する必要が無い。
【0082】
請求項23に記載の発明によれば、液状媒体供給装置を電動式とすることで、別体部材をより適切な位置に配置することができる。
【0083】
請求項24に記載の発明によれば、液状媒体供給装置が配置される別体部材をケースに固定した際に、ケースの開口部が閉塞されると同時に、流路の接続が行われるので、液状媒体供給装置の組立作業性が向上し、組立作業時間を短縮することができる。また、液状媒体供給装置はケースから着脱可能な別体部材側に配設されるので、液状媒体供給装置のメンテナンスや交換、組立てが容易になる。
【0084】
請求項25に記載の発明によれば、液状媒体が吐出側流路と冷潤流路との接続部から漏出しても、ケース内に貯留することができる。
【0085】
請求項26に記載の発明によれば、液状媒体供給装置が配置される別体部材と貯留部とを近接して配置が可能となり、液状媒体供給装置の吸入側流路長を短くすることができる。また、別体部材を外した状態では、貯留部の壁面の一部が取り除かれる状態となるので、貯留部内を視認しやすく、また、貯留部の清掃なども容易に行うことができる。
【0086】
請求項27に記載の発明によれば、別体部材をケースに取り付けた状態とすることで、吸入側流路の吸入口がケースの貯留部内の適切な位置に配置され、液状媒体を確実に吸入することができる。また、吸入側流路を別体部材及び他の別体部材と一体に取り扱うことが可能で、脱着の作業性が良好となり、また、吸入側流路をケース側に形成しなくてもよく、ケースの構造を簡素化、及び軽量化することができる。加えて、吸入側流路を形成する他の別体部材のケースに対する脱着は、別体部材の着脱と同時に取り扱われるので、ケースへの取り付け、取り外しを容易に行うことができる。また、他の別体部材は、別体部材と着脱可能であるので、吸入側流路の整備や交換も容易に行うことができる。
【0087】
請求項28に記載の発明によれば、別体部材を取り外す際に吸入側流路をケースに引っ掛けずに容易に取り外すことができる。
【0088】
請求項29に記載の発明によれば、濾過部材を別体部材と一体的に取り扱うことが可能で、濾過部材の整備や交換を容易に行うことでき、濾過部材を配置するためのスペースを別途確保する必要が無い。
【0089】
請求項30に記載の発明によれば、液状媒体供給装置を電動式とすることで、別体部材をより適切な位置に配置することができる。
【0090】
請求項31に記載の発明によれば、第1及び第2冷潤流路を有する場合であっても、別体部材の吐出側流路とケースの共用流路とをするだけで各流路が接続され、液状媒体供給装置の組立作業性が向上し、組立作業時間を短縮することができる。
【0091】
請求項32に記載の発明によれば、液状媒体供給装置が配置される別体部材と貯留部とを近接して配置が可能となり、液状媒体供給装置の吸入側流路長を短くすることができる。また、別体部材を外した状態では、貯留部の壁面の一部が取り除かれる状態となるので、貯留部内を視認しやすく、また、貯留部の清掃なども容易に行うことができる。
【0092】
請求項33に記載の発明によれば、別体部材をケースに取り付けた状態とすることで、吸入側流路の吸入口がケースの貯留部内の適切な位置に配置され、液状媒体を確実に吸入することができる。また、吸入側流路を別体部材及び他の別体部材と一体に取り扱うことが可能で、脱着の作業性が良好となり、また、吸入側流路をケース側に形成しなくてもよく、ケースの構造を簡素化、及び軽量化することができる。加えて、吸入側流路を形成する他の別体部材のケースに対する脱着は、別体部材の着脱と同時に取り扱われるので、ケースへの取り付け、取り外しを容易に行うことができる。また、他の別体部材は、別体部材と着脱可能であるので、吸入側流路の整備や交換も容易に行うことができる。
【0093】
請求項34に記載の発明によれば、別体部材を取り外す際に吸入側流路をケースに引っ掛けずに容易に取り外すことができる。
【0094】
請求項35に記載の発明によれば、濾過部材を別体部材と一体的に取り扱うことが可能で、濾過部材の整備や交換を容易に行うことでき、濾過部材を配置するためのスペースを別途確保する必要が無い。
【0095】
請求項36に記載の発明によれば、液状媒体供給装置を電動式とすることで、別体部材をより適切な位置に配置することができる。
【0096】
請求項37に記載の発明によれば、液状媒体供給装置が配置される別体部材をケースに固定した際に、ケースの開口部が閉塞されると同時に、流路の接続が行われるので、液状媒体供給装置の組立作業性が向上し、組立作業時間を短縮することができる。また、液状媒体供給装置はケースから着脱可能な別体部材側に配設されるので、液状媒体供給装置のメンテナンスや交換、組立てが容易になる。
【0097】
請求項38に記載の発明によれば、液状媒体が吐出側流路と液圧路との接続部から漏出しても、ケース内に貯留することができる。
【0098】
請求項39に記載の発明によれば、液状媒体供給装置が配置される別体部材と貯留部とを近接して配置が可能となり、液状媒体供給装置の吸入側流路長を短くすることができる。また、別体部材を外した状態では、貯留部の壁面の一部が取り除かれる状態となるので、貯留部内を視認しやすく、また、貯留部の清掃なども容易に行うことができる。
【0099】
請求項40に記載の発明によれば、弁手段をケース内に配設することができ、ケースの外側に突出する部分を小さくすることができる。
【0100】
請求項41に記載の発明によれば、別体部材をケースに取り付けた状態とすることで、吸入側流路の吸入口がケースの貯留部内の適切な位置に配置され、液状媒体を確実に吸入することができる。
【0101】
請求項42に記載の発明によれば、吸入側流路を別体部材と一体に取り扱うことが可能で、脱着の作業性が良好となり、また、吸入側流路をケース側に形成しなくてもよく、ケースの構造を簡素化、及び軽量化することができる。
【0102】
請求項43に記載の発明によれば、吸入側流路を形成する他の別体部材のケースに対する脱着は、別体部材の着脱と同時に取り扱われるので、ケースへの取り付け、取り外しを容易に行うことができる。また、他の別体部材は、別体部材と着脱可能であるので、吸入側流路の整備や交換も容易に行うことができる。
【0103】
請求項44に記載の発明によれば、別体部材を取り外す際に吸入側流路をケースに引っ掛けずに容易に取り外すことができる。
【0104】
請求項45に記載の発明によれば、濾過部材を別体部材と一体的に取り扱うことが可能で、濾過部材の整備や交換を容易に行うことでき、濾過部材を配置するためのスペースを別途確保する必要が無い。
【0105】
請求項46に記載の発明によれば、液状媒体供給装置を電動式とすることで、別体部材をより適切な位置に配置することができる。
【0106】
請求項47に記載の発明によれば、液状媒体供給装置が配置される別体部材と貯留部とを近接して配置が可能となり、液状媒体供給装置の吸入側流路長を短くすることができる。また、別体部材を外した状態では、貯留部の壁面の一部が取り除かれる状態となるので、貯留部内を視認しやすく、また、貯留部の清掃なども容易に行うことができる。
【0107】
請求項48に記載の発明によれば、弁手段をケース内に配設することができ、ケースの外側に突出する部分を小さくすることができる。
【0108】
請求項49に記載の発明によれば、別体部材をケースに取り付けた状態とすることで、吸入側流路の吸入口がケースの貯留部内の適切な位置に配置され、液状媒体を確実に吸入することができる。
【0109】
請求項50に記載の発明によれば、吸入側流路を別体部材と一体に取り扱うことが可能で、脱着の作業性が良好となり、また、吸入側流路をケース側に形成しなくてもよく、ケースの構造を簡素化、及び軽量化することができる。
【0110】
請求項51に記載の発明によれば、吸入側流路を形成する他の別体部材のケースに対する脱着は、別体部材の着脱と同時に取り扱われるので、ケースへの取り付け、取り外しを容易に行うことができる。また、他の別体部材は、別体部材と着脱可能であるので、吸入側流路の整備や交換も容易に行うことができる。
【0111】
請求項52に記載の発明によれば、別体部材を取り外す際に吸入側流路をケースに引っ掛けずに容易に取り外すことができる。
【0112】
請求項53に記載の発明によれば、濾過部材を別体部材と一体的に取り扱うことが可能で、濾過部材の整備や交換を容易に行うことでき、濾過部材を配置するためのスペースを別途確保する必要が無い。
【0113】
請求項54に記載の発明によれば、液状媒体供給装置を電動式とすることで、別体部材をより適切な位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明に係る車両用駆動装置を搭載可能な車両の一実施形態であるハイブリッド車両の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図9に示すII−II線に沿った、一実施形態の後輪駆動装置の縦断面図である。
【図3】図2に示す後輪駆動装置の上部部分拡大断面図である。
【図4】図1の車両用駆動装置がフレームに搭載された状態を示す斜視図である。
【図5】電動オイルポンプが取り外された後輪駆動装置の外観斜視図である。
【図6】(a)は、電動オイルポンプが取り付けられた蓋部材を内側から見た斜視図であり、(b)は、蓋部材を内側から見た正面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿った電動オイルポンプの断面図である。
【図8】オイルの流れを模式的に示す後輪駆動装置の正面図である。
【図9】オイルの流れを模式的に示す後輪駆動装置の側面図である。
【図10】オイルの流れを模式的に示す後輪駆動装置の要部拡大断面図である。
【図11】後輪駆動装置の電動機の冷却及び/または潤滑と、変速機の潤滑とを行うための油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0115】
本発明に係る車両用駆動装置は、電動機を車輪駆動用の駆動源とするものであり、例えば、図1に示すような駆動システムの車両に用いられる。以下の説明では車両用駆動装置を後輪駆動用として用いる場合を例に説明するが、前輪駆動用に用いてもよい。
図1に示す車両3は、内燃機関4と電動機5が直列に接続された駆動装置6(以下、前輪駆動装置と呼ぶ。)を車両前部に有するハイブリッド車両であり、この前輪駆動装置6の動力がトランスミッション7を介して前輪Wfに伝達される一方で、この前輪駆動装置6と別に車両後部に設けられた駆動装置1(以下、後輪駆動装置と呼ぶ。)の動力が後輪Wr(RWr、LWr)に伝達されるようになっている。前輪駆動装置6の電動機5と後輪Wr側の後輪駆動装置1の第1及び第2電動機2A、2Bは、バッテリ9に接続され、バッテリ9からの電力供給と、バッテリ9へのエネルギー回生が可能となっている。図1中、符号8は車両全体を制御するための制御装置である。
【0116】
先ず、本発明に係る一実施形態の車両用駆動装置について、図2〜図10に基づいて説明する。
図2は、後輪駆動装置1の全体の縦断面図を示すものであり、図3は、図2の上部部分拡大断面図である。同図において、符号11は、後輪駆動装置1のケースであり、ケース11は、車幅方向略中央部に配置される中央ケース11Mと、中央ケース11Mを挟むように中央ケース11Mの左右に配置される側方ケース11A、11Bと、から構成され、全体が略円筒状に形成される。ケース11の内部には、後輪Wr用の車軸10A、10Bと、車軸駆動用の第1及び第2電動機2A、2Bと、この電動機2A、2Bの駆動回転を減速する第1及び第2変速機としての第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bとが、同一軸線上にそれぞれ並んで配置されている。この車軸10A、第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aは左後輪LWrを駆動制御し、車軸10B、第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bは右後輪RWrを駆動制御する。車軸10A、第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aと、車軸10B、第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bは、ケース11内で車幅方向に左右対称に配置されている。左後輪LWrは、第1電動機2Aに対して第1遊星歯車式減速機12Aと反対側に位置し、右後輪RWrも、第2電動機2Bに対して第2遊星歯車式減速機12Bと反対側に位置する。
【0117】
側方ケース11A、11Bの中央ケース11M側には、それぞれ径方向内側に延びる隔壁18A、18Bが設けられ、側方ケース11A、11Bと隔壁18A、18Bとの間には、それぞれ第1及び第2電動機2A、2Bが配置される。また、中央ケース11Mと隔壁18A、18Bとに囲まれた空間には、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bが配置されている。なお、図2に示すように、本実施形態では、左側方ケース11Aと中央ケース11Mは、第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aを収容する第1ケース11Lを構成し、また、右側方ケース11Bと中央ケース11Mは、第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bを収容する第2ケース11Rを構成している。そして、第1ケース11Lは、第1電動機2Aと動力伝達経路の少なくとも一方の潤滑及び/又は冷却に供される液状媒体としてのオイルを貯留する左貯留部RLを有し、第2ケース11Rは、第2電動機2Bと動力伝達経路の少なくとも一方の潤滑及び/又は冷却に供されるオイルを貯留する右貯留部RRを有する。そして、ケース11は、図4に示すように、車両3の骨格となるフレームの一部であるフレーム部材13の支持部13a、13bと、不図示の駆動装置1のフレームで支持されている。支持部13a、13bは、車幅方向でフレーム部材13の中心に対し左右に設けられている。また、図2〜10中の矢印は、後輪駆動装置1が車両に搭載された状態における位置関係を示している。
【0118】
後輪駆動装置1には、ケース11の内部と外部を連通するブリーザ装置40が設けられ、内部の空気が過度に高温・高圧とならないように内部の空気をブリーザ室41を介して外部に逃がすように構成される。ブリーザ室41は、ケース11の鉛直方向上部に配置され、中央ケース11Mの外壁と、中央ケース11M内に左側方ケース11A側に略水平に延設された第1円筒壁43と、右側方ケース11B側に略水平に延設された第2円筒壁44と、第1及び第2円筒壁43、44の内側端部同士をつなぐ左右分割壁45と、第1円筒壁43の左側方ケース11A側先端部に当接するように取り付けられたバッフルプレート47Aと、第2円筒壁44の右側方ケース11B側先端部に当接するように取り付けられたバッフルプレート47Bと、により形成された空間により構成される。
【0119】
ブリーザ室41の下面を形成する第1及び第2円筒壁43、44と左右分割壁45は、第1円筒壁43が第2円筒壁44より径方向内側に位置し、左右分割壁45が、第2円筒壁44の内側端部から縮径しつつ屈曲しながら第1円筒壁43の内側端部まで延設され、さらに径方向内側に延設されて略水平に延設された第3円筒壁46に達する。第3円筒壁46は、第1円筒壁43と第2円筒壁44の両外側端部より内側に且つその略中央に位置している。
【0120】
中央ケース11Mには、バッフルプレート47A、47Bが、第1円筒壁43と中央ケース11Mの外壁との間の空間又は第2円筒壁44と中央ケース11Mの外壁との間の空間を遊星歯車式減速機12A又は遊星歯車式減速機12Bからそれぞれ区画するように固定されている。
【0121】
また、中央ケース11Mには、ブリーザ室41と外部とを連通する外部連通路49がブリーザ室41の鉛直方向上面に接続される。外部連通路49のブリーザ室側端部49aは、鉛直方向下方を指向して配置されている。従って、オイルが外部連通路49を通って外部に排出されるのが抑制される。
【0122】
第1及び第2電動機2A、2Bは、ステータ14A、14Bがそれぞれ側方ケース11A、11Bに固定され、このステータ14A、14Bの内周側に環状のロータ15A、15Bが回転可能に配置されている。ロータ15A、15Bの内周部には車軸10A、10Bの外周を囲繞する円筒軸16A、16Bが結合され、この円筒軸16A、16Bが車軸10A、10Bと同軸上に相対回転可能となるように側方ケース11A、11Bの端部壁17A、17Bと隔壁18A、18Bに軸受19A、19Bを介して支持されている。また、円筒軸16A、16Bの一端側の外周であって端部壁17A、17Bには、ロータ15A、15Bの回転位置情報を電動機2A、2Bの制御コントローラ(図示せず)にフィードバックするためのレゾルバ20A、20Bが設けられている。ステータ14A、14B、及びロータ15A、15Bを含む第1及び第2電動機2A、2Bは、同一半径を有し、第1及び第2電動機2A、2Bは互いに鏡面対称に配置される。また、車軸10A及び円筒軸16Aは、第1電動機2A内を貫通して、第1電動機2Aの両端部から延出しており、車軸10B及び円筒軸16Bも、第2電動機2B内を貫通して、第2電動機2Bの両端部から延出している。
【0123】
また、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bは、サンギヤ21A、21Bと、このサンギヤ21に噛合される複数のプラネタリギヤ22A、22Bと、これらのプラネタリギヤ22A、22Bを支持するプラネタリキャリア23A、23Bと、プラネタリギヤ22A、22Bの外周側に噛合されるリングギヤ24A、24Bと、を備え、サンギヤ21A、21Bから電動機2A、2Bの駆動力が入力され、減速された駆動力がプラネタリキャリア23A、23Bを通して車軸10A、10Bに出力されるようになっている。
【0124】
サンギヤ21A、21Bは円筒軸16A、16Bに一体に形成されている。また、プラネタリギヤ22A、22Bは、サンギヤ21A、21Bに直接噛合される大径の第1ピニオン26A、26Bと、この第1ピニオン26A、26Bよりも小径の第2ピニオン27A、27Bを有する2連ピニオンであり、これらの第1ピニオン26A、26Bと第2ピニオン27A、27Bが同軸にかつ軸方向にオフセットした状態で一体に形成されている。このプラネタリギヤ22A、22Bはニードルベアリング31A、31Bを介してプラネタリキャリア23A、23Bのピニオンシャフト32A、32Bに支持され、プラネタリキャリア23A、23Bは、軸方向内側端部が径方向内側に伸びて車軸10A、10Bにスプライン嵌合され一体回転可能に支持されるとともに、軸受33A、33Bを介して隔壁18A、18Bに支持されている。
【0125】
リングギヤ24A、24Bは、その内周面が小径の第2ピニオン27A、27Bに噛合されるギヤ部28A、28Bと、ギヤ部28A、28Bより小径でケース11の中間位置で互いに対向配置される小径部29A、29Bと、ギヤ部28A、28Bの軸方向内側端部と小径部29A、29Bの軸方向外側端部を径方向に連結する連結部30A、30Bとを備えて構成されている。
【0126】
ギヤ部28A、28Bは、中央ケース11Mの左右分割壁45の内径側端部に形成された第3円筒壁46を挟んで軸方向に対向している。小径部29A、29Bは、その外周面がそれぞれ後述する一方向クラッチ50のインナーレース51とスプライン嵌合し、リングギヤ24A、24Bは一方向クラッチ50のインナーレース51と一体回転するように互いに連結されて構成されている。
【0127】
遊星歯車式減速機12B側であって、ケース11を構成する中央ケース11Mの第2円筒壁44とリングギヤ24Bのギヤ部28Bとの間には、リングギヤ24Bに対する制動手段を構成する油圧ブレーキ60が第1ピニオン26Bと径方向でオーバーラップし、第2ピニオン27Bと軸方向でオーバーラップするように配置されている。油圧ブレーキ60は、第2円筒壁44の内周面にスプライン嵌合された複数の固定プレート35と、リングギヤ24Bのギヤ部28Bの外周面にスプライン嵌合された複数の回転プレート36が軸方向に交互に配置され、これらのプレート35,36が環状のピストン37によって締結及び解放操作されるようになっている。ピストン37は、中央ケース11Mの左右分割壁45と第3円筒壁46間に形成された環状のシリンダ室に進退自在に収容されており、さらに第3円筒壁46の外周面に設けられた受け座38に支持される弾性部材39によって、常時、固定プレート35と回転プレート36とを解放する方向に付勢される。
【0128】
また、さらに詳細には、左右分割壁45とピストン37の間はオイルが直接導入される作動室Sとされ、作動室Sに導入されるオイルの圧力が弾性部材39の付勢力に勝ると、ピストン37が前進(右動)し、固定プレート35と回転プレート36とが相互に押し付けられて締結することとなる。また、弾性部材39の付勢力が作動室Sに導入されるオイルの圧力に勝ると、ピストン37が後進(左動)し、固定プレート35と回転プレート36とが離間して解放することとなる。なお、油圧ブレーキ60は液状媒体供給装置としての電動オイルポンプ70(図4参照)に接続されている。
【0129】
この油圧ブレーキ60の場合、固定プレート35がケース11を構成する中央ケース11Mの左右分割壁45から伸びる第2円筒壁44に支持される一方で、回転プレート36がリングギヤ24Bのギヤ部28Bに支持されているため、両プレート35、36がピストン37によって押し付けられると、両プレート35、36間の摩擦締結によってリングギヤ24Bに制動力が作用し固定される。その状態からピストン37による締結が解放されると、リングギヤ24Bの自由な回転が許容される。なお、上述したように、リングギヤ24A、24Bは互いに連結されているため、油圧ブレーキ60が締結することによりリングギヤ24Aにも制動力が作用し固定され、油圧ブレーキ60が解放することによりリングギヤ24Aも自由な回転が許容される。
【0130】
また、軸方向で対向するリングギヤ24A、24Bの連結部30A、30B間にも空間部が確保され、その空間部内に、リングギヤ24A、24Bに対し一方向の動力のみを伝達し他方向の動力を遮断する一方向クラッチ50が配置されている。一方向クラッチ50は、インナーレース51とアウターレース52との間に多数のスプラグ53を介在させたものであって、そのインナーレース51がスプライン嵌合によりリングギヤ24A、24Bの小径部29A、29Bと一体回転するように構成されている。またアウターレース52は、第3円筒壁46により位置決めされるとともに、回り止めされている。
【0131】
一方向クラッチ50は、車両3が電動機2A、2Bの動力で前進する際に係合してリングギヤ24A、24Bの回転をロックするように構成されている。より具体的に説明すると、一方向クラッチ50は、電動機2A、2B側の順方向(車両3を前進させる際の回転方向)の回転動力が車輪Wr側に入力されるときに係合状態となるとともに電動機2A、2B側の逆方向の回転動力が車輪Wr側に入力されるときに非係合状態となり、車輪Wr側の順方向の回転動力が電動機2A、2B側に入力されるときに非係合状態となるとともに車輪Wr側の逆方向の回転動力が電動機2A、2B側に入力されるときに係合状態となる。
【0132】
このように本実施形態の後輪駆動装置1では、電動機2A、2Bと車輪Wrとの動力伝達経路上に一方向クラッチ50と油圧ブレーキ60とが並列に設けられている。なお、油圧ブレーキ60は、車両の走行状態や一方向クラッチ50の係合・非係合状態に応じて、オイルポンプ70から供給されるオイルの圧力により、解放状態、弱締結状態、締結状態に制御される。例えば、車両3が電動機2A、2Bの力行駆動により前進する時(低車速時、中車速時)は、一方向クラッチ50が締結するため動力伝達可能な状態となるが油圧ブレーキ60が弱締結状態に制御されることで、電動機2A、2B側からの順方向の回転動力の入力が一時的に低下して一方向クラッチ50が非係合状態となった場合にも、電動機2A、2B側と車輪Wr側とで動力伝達不能になることが抑制される。また、車両3が内燃機関4及び/又は電動機5の力行駆動により前進する時(高車速時)は、一方向クラ
ッチ50が非係合となりさらに油圧ブレーキが解放状態に制御されることで、電動機2A、2Bの過回転が防止される。一方、車両3の後進時や回生時には、一方向クラッチ50が非係合となるため油圧ブレーキ60が締結状態に制御されることで、電動機2A、2B側からの逆方向の回転動力が車輪Wr側に出力され、又は車輪Wr側の順方向の回転動力が電動機2A、2B側に入力される。
【0133】
また、図5及び図8に示すように、中央ケース11Mの第1及び第2円筒壁43、44と左右分割壁45の外周面は、ブリーザ室41を形成する以外の部分において外部に露出しており、第1及び第2円筒壁43、44と左右分割壁45の外周面には、その軸方向両端部から半径方向に張り出した一対の張り出し部101,102が形成されている。
【0134】
そして、第1及び第2円筒壁43、44と左右分割壁45の周囲で、斜め前方且つ下方には、一対の張り出し部101,102と、底壁103と、上壁104とによって略四角筒状に画成され、後述のストレーナ71を収容し、オイルを貯留する貯留部としてのストレーナ収容室105が形成されている。このストレーナ収容室105を構成する、一対の張り出し部101,102、底壁103、及び上壁104の先端面は、蓋部材固定部105bをなし、外側に向かって開口する前方開口部105aの外縁を形成する。ストレーナ収容室105の下方は、電動機2A、2Bのロータ15A、15Bの下端が油没しない程度の油面高さとなるようにして、オイルを貯留する貯留部となっていて、前方開口部105aは、このストレーナ収容室105の貯留部と重なる位置に形成される。ストレーナ収容室105の前方開口部105aは、電動オイルポンプ70が取り付けられる別体部材である蓋部材72によって塞がれている。蓋部材72には、ケース11の蓋部材固定部105bと対向する位置に、略四角形状の端面を有するケース固定部72aが設けられる。図5及び図6に示すように、電動オイルポンプ70は、蓋部材72に形成されたケース固定部72aと、ストレーナ収容室105の前方開口部105aに形成された蓋部材固定部105bとを複数のボルト106により締結固定することで、ストレーナ収容室105の前方開口部105aに取り付けられる。
【0135】
従って、ケース11に取り付けられた電動オイルポンプ70は、図5に示すように、第1及び第2電動機2A、2Bの軸方向と直交し、第1及び第2電動機2A、2Bから等距離に位置する仮想平面Pと交差する位置に配置される。また、電動オイルポンプ70は、第1及び第2電動機2A、2Bの軸方向において、第1及び第2電動機2A、2Bに対して第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bと同じ中央側(一方側)に配置される。さらに、電動オイルポンプ70は、第1及び第2電動機2A、2Bの軸方向において第1及び第2円筒壁43、44とオーバーラップしており、従って、電動オイルポンプ70と第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bの少なくとも一部(本実施形態では、リングギヤ24A、24B及び第2ピニオン27A、27B)が第1及び第2電動機2A、2Bの軸方向においてオーバーラップする。
【0136】
ストレーナ収容室105を形成する一対の張り出し部101,102には、左貯留部RLとストレーナ収容室105とを連通する左中連通路としての貫通孔107a,107bと、右貯留部RRとストレーナ収容室105とを連通する右中連通路としての貫通孔(図示せず)とがそれぞれ形成されている。これにより、左貯留部RLと右貯留部RRは、ストレーナ収容室105を介して連通する。
【0137】
図6、図7及び図9に示すように、電動オイルポンプ70は、いわゆる、トロコイドポンプであり、位置センサレス・ブラシレス直流モータからなる他の電動機90によって駆動され、高圧モードと低圧モードの少なくとも2つのモードで運転可能となっており、PID制御で制御されている。そして、吸引部93に設けられた図示しないインナーロータまたはアウターロータを回転することで吐出量を調整しながら、ストレーナ71から電動オイルポンプ70及び蓋部材72に設けられたオイル吸入路94に流入したオイルを電動オイルポンプ70及び蓋部材72に設けられたオイル吐出路95に吐出する。
【0138】
また、電動オイルポンプ70は、蓋部材72がケース11に固定されたとき、蓋部材72の前方に位置するように蓋部材72に取り付けられている。蓋部材72の内側には、蓋部材72とともに、後述する油圧回路99の油路の一部を画成する油路形成カバー96がボルト69によって固定されている。蓋部材72と油路形成カバー96との間には、下から順に、後述する低圧油路切替弁73、ブレーキ油路切替弁74、リリーフ弁84が配置されている。図9に示すように、蓋部材72の油路形成カバー96と反対側には、ソレノイド弁83が取り付けられており、通電によって、低圧油路切替弁73とブレーキ油路切替弁74との間に設けられた後述するパイロット油路81の連通・遮断を行う。
【0139】
また、ストレーナ71は、その排出口71aが蓋部材72に挿入され、油路形成カバー96を蓋部材72に締結するボルト69で共締めされることで、蓋部材72のみに着脱可能に固定されている。ストレーナ71は、その下面に設けられた吸入口(図示せず)から吸入されたオイルの異物を除去し、異物が除去されたオイルは、電動オイルポンプ70へと送られる。
電動オイルポンプ70及び蓋部材72とともにオイル吸入路94を構成する他の別体部材であるストレーナ71は、蓋部材72のケース固定部72aよりもケース側に延出しており、ストレーナ71の吸入口は、蓋部材72がケース11に固定された取付状態において、ストレーナ収容室105の貯留部内に位置する。
さらに、図6(b)に示すように、前後方向において、ストレーナ71は、蓋部材72のケース固定部72aの外縁平行投影内に納まるように形成されている。
【0140】
油路形成カバー96には、ストレーナ収容室105内で、中央ケース11Mの外周面に形成された、後述するブレーキ油路77の作動室用ポート108aと、後述する冷潤流路120A、121A、120B、121Bや潤滑流路122A、122Bの冷却/潤滑用ポート108bにそれぞれ接続される、2つの出口パイプ97a、97bが取り付けられている。
【0141】
これら出口パイプ97a、97bは、上述したように、電動オイルポンプ70が取り付けられた蓋部材72がストレーナ収容室105の前方開口部105aに取り付けられた状態において、作動室用ポート108aと、冷却/潤滑用ポート108bとにそれぞれ接続される。また、同時に、ストレーナ収容室105の貯留部と重なる位置に形成された前方開口部105aは蓋部材72によって閉塞され、油路形成カバー96を含む蓋部材72の内壁面は、ストレーナ収容室105の壁面を構成する。
従って、出口パイプ97aと作動室用ポート108aとの接続部は、オイル吐出路95と作動室Sへのブレーキ油路77との接続部を構成し、出口パイプ97bと冷却/潤滑用ポート108bとの接続部は、オイル吐出路95と後述する第1冷潤流路120A、121A(又は、第2冷潤流路120B、121B、潤滑流路122A、122B)との接続部を構成する。
【0142】
また、出口パイプ97aと作動室用ポート108aとの接続部、及び、出口パイプ97bと冷却/潤滑用ポート108bとの接続部は、前方開口部105aの外縁である蓋部材固定部105bよりも取付方向において、ケース11の内側に離間した位置に設けられ、これら接続部と蓋部材固定部105bとの間に離間空間D(図9参照)が形成されている。そして、この離間空間Dには、弁手段としての、低圧油路切替弁73、ブレーキ油路切替弁74、リリーフ弁84が配設されている。
【0143】
また、ケース11には、作動室用ポート108aから作動室Sまで連通するブレーキ油路77(図11参照)が形成されるとともに、冷却/潤滑用ポート108bから中央ケース11Mの前部で鉛直方向に延びる前方鉛直油路109と、前方鉛直油路109から左右に分岐し、各ケース11A,11B,11Mの車両前方を向く外壁面11A1、11B1、11M1によって形成され、各ケース11A,11B,11Mの前方を水平方向にそれぞれ延びる前方水平油路110A、110Bと、各ケース11A,11Bの前方水平油路110A、110Bの外側端部から後方へ延出する前後方向水平油路111A、111Bが形成される。これら前後方向水平油路111A、111Bには、第1及び第2電動機2A、2Bの被冷却部A1、B1、即ち、ステータ14A、14Bのコイル側面へオイルを供給する複数の吐出口112A、112Bが形成される(図2、10参照)とともに、下方に延びて車軸10A、10B内へ油を供給するように軸方向に向く潤滑用油路113A、113B(図2、9参照)が接続されている。
【0144】
図2及び図10に示すように、左方に延びる前方水平油路110Aと連通する、前後方向水平油路111A及び潤滑用油路113Aは、第1電動機2Aの第2電動機2Bと反対側の端部である一方端E1よりも軸方向外側に位置する。また、右方に延びる前方水平油路110Bと連通する、前後方向水平油路111B及び潤滑用油路113Bは、第2電動機2Bの第1電動機2Aと反対側の端部である他方端E2よりも軸方向外側に位置する。
【0145】
車軸10A,10Bには、第1及び第2電動機2A、2Bの軸方向に沿って延出する軸方向孔114A、114Bが形成されており、また、潤滑用油路113A、113Bと軸方向に重なる位置には、潤滑用油路113A、113Bと連通する第1径方向孔115A、115Bが、プラネタリキャリア23A,23Bと軸方向に重なる位置には、プラネタリキャリア23A,23Bに設けられた油路116と連通する第2径方向孔117A、117Bが形成されている。
【0146】
このため、電動オイルポンプ70は、第1電動機2Aに対して外側(第1遊星歯車式減速機12Aと反対の他方側)で軸方向孔114Aと連通して接続され、第1遊星歯車式減速機12Aの被潤滑部A3(例えば、ニードルベアリング31Aや各ギヤ21A、22A、23A、24Aの噛合部分)が第1電動機2Aに対して中央側で軸方向孔114Aと連通して接続される。また、電動オイルポンプ70は、第2電動機2Bに対して外側(第2遊星歯車式減速機12Bと反対の他方側)で軸方向孔114Bと連通して接続され、第2遊星歯車式減速機12Bの被潤滑部B3(例えば、ニードルベアリング31Bや各ギヤ21B、22B、23B、24Bの噛合部分)が第2電動機2Bに対して中央側で軸方向孔114Bと連通して接続される。
【0147】
従って、ケース11に設けられた前方鉛直油路109、左側前方水平油路110A、前後方向水平油路111A、及び吐出口112Aは、第1電動機2Aのステータ14Aのコイルを冷却する第1冷却流路120Aを構成する。また、ケース11に設けられた前方鉛直油路109、左側前方水平油路110A、前後方向水平油路111A、潤滑用油路113Aは、第1電動機2Aの被潤滑部A2(例えば、軸受19A)を潤滑する第1電動機用潤滑流路121Aを構成する。さらに、ケース11に設けられたケース内潤滑流路、即ち、前方鉛直油路109、左側前方水平油路110A、前後方向水平油路111A、潤滑用油路113A、及び車軸10Aに設けられた第1径方向孔115A、軸方向孔114A、第2径方向孔117Aは、第1遊星歯車式減速機12Aの被潤滑部A3を潤滑する第1遊星歯車式減速機用潤滑流路122Aを構成する。
【0148】
また、ケース11に設けられた前方鉛直油路109、右側前方水平油路110B、前後方向水平油路111B、及び吐出口112Bは、第2電動機2Bのステータ14Bのコイルを冷却する第2冷却流路120Bを構成する。また、ケース11に設けられた前方鉛直油路109、右側前方水平油路110B、前後方向水平油路111B、潤滑用油路113Bは、第1電動機2Aの被潤滑部B2(例えば、軸受19B)を潤滑する第2電動機用潤滑流路121Bを構成する。さらに、ケース11に設けられたケース内潤滑流路、即ち、前方鉛直油路109、右側前方水平油路110B、前後方向水平油路111B、潤滑用油路113B、及び車軸10Bに設けられた第1径方向孔115B、軸方向孔114B、第2径方向孔117Bは、第2遊星歯車式減速機12Bの被潤滑部B3を潤滑する第2遊星歯車式減速機用潤滑流路122Bを構成する。
【0149】
従って、第1冷却流路120Aと第1電動機用潤滑流路121Aとは、電動オイルポンプ70から吐出されたオイルが、第1電動機2Aの一方端E1よりも外側を経由して、第1電動機2Aの被冷却部A1の冷却や被潤滑部A2の潤滑を行うように形成され、第2冷却流路120Bと第2電動機用潤滑流路121Bとは、電動オイルポンプ70から吐出されたオイルが、第2電動機2Bの他方端E2よりも外側を経由して、第2電動機2Bの被冷却部B1の冷却及び被潤滑部B2の潤滑を行うように形成される。なお、以下の説明では、第1電動機用冷却流路120A及び第1電動機用潤滑流路121Aを併せて「第1冷潤流路120A、121A」とも称し、第2電動機用冷却流路120B及び第2電動機用潤滑流路121Bを併せて「第2冷潤流路120B、121B」とも称す。
【0150】
また、第1遊星歯車式減速機用潤滑流路122Aは、電動オイルポンプ70から吐出されたオイルが、ケース11の略中央部からケース内潤滑流路を通過して、第1電動機2Aに対して第1遊星歯車式減速機12Aと反対の外側を経由して、該変速機12Aの被潤滑部A3を潤滑するように形成される。第2遊星歯車式減速機用潤滑流路122Bは、電動オイルポンプ70から吐出されたオイルが、ケース11の略中央部からケース内潤滑流路を通過して、第2電動機2Bに対して第2遊星歯車式減速機12Bと反対の外側を経由して、該変速機12Bの被潤滑部B3を潤滑するように形成される。
【0151】
さらに、軸方向孔114A、114Bの開口端118A、118Bから流出したオイルは、プラネタリキャリア23A、23Bに形成された貫通孔119A、119Bや、プラネタリキャリア23A、23B間及びリングギヤ24A、24Bの小径部29A、29B間に形成されたすき間gを介して一方向クラッチ50の各部を潤滑している。
【0152】
次に、図11を参照して、上述した電動機2A、2Bの冷却及び/または潤滑と、変速機12A、12Bの潤滑とを行う油圧回路99について説明する。
【0153】
油圧回路99は、ストレーナ収容室105に配設したストレーナ71から吸入され、電動オイルポンプ70から吐出されるオイルを低圧油路切替弁73とブレーキ油路切替弁74とを介して油圧ブレーキ60の作動室Sに給油可能に構成されるとともに、低圧油路切替弁73を介して電動機2A、2Bの被冷却部A1、B1、被潤滑部A2、B2、及び遊星歯車式減速機12A、12Bの被潤滑部A3、B3(以下、「被潤滑・冷却部A1〜B3」とも称す)に供給可能に構成される。なお、油圧回路99には、ブレーキ油路77の油圧及び温度等を検出するセンサ92(図5及び図6参照)が設けられている。
【0154】
低圧油路切替弁73は、ライン油路75を構成する電動オイルポンプ70側の第1ライン油路75aと、ライン油路75を構成するブレーキ油路切替弁74側の第2ライン油路75bと、被潤滑・冷却部A1〜B3に連通する第1低圧油路76aと、被潤滑・冷却部A1〜B3に連通する第2低圧油路76bと、に接続される。また、低圧油路切替弁73は、第1ライン油路75aと第2ライン油路75bとを常時連通させるとともにライン油路75を第1低圧油路76a又は第2低圧油路76bに選択的に連通させる弁体73aと、弁体73aをライン油路75と第1低圧油路76aとを連通する方向(図11において右方)へ付勢するスプリング73bと、弁体73aをライン油路75の油圧によってライン油路75と第2低圧油路76bとを連通する方向(図11において左方)へ押圧する油室73cと、を備える。従って、弁体73aは、スプリング73bによってライン油路75と第1低圧油路76aとを連通する方向(図11において右方)へ付勢されるとともに、図中右端の油室73cに入力されるライン油路75の油圧によってライン油路75と第2低圧油路76bとを連通する方向(図11において左方)へ押圧される。
【0155】
ここで、スプリング73bの付勢力は、電動オイルポンプ70が低圧モードで運転中に油室73cに入力されるライン油路75の油圧では、弁体73aが移動せずライン油路75を第2低圧油路76bから遮断し第1低圧油路76aに連通させるように設定され(以下、この弁体73aの位置を低圧側位置と呼ぶ。)、電動オイルポンプ70が高圧モードで運転中に油室73cに入力されるライン油路75の油圧では、弁体73aが移動してライン油路75を第1低圧油路76aから遮断し第2低圧油路76bに連通させるように設定されている(以下、この弁体73aの位置を高圧側位置と呼ぶ。)。
【0156】
ブレーキ油路切替弁74は、ライン油路75を構成する第2ライン油路75bと、油圧ブレーキ60に接続されるブレーキ油路77と、ハイポジションドレン78を介して貯留部79と、に接続される。また、ブレーキ油路切替弁74は、第2ライン油路75bとブレーキ油路77とを連通・遮断させる弁体74aと、弁体74aを第2ライン油路75bとブレーキ油路77とを遮断する方向(図11において右方)へ付勢するスプリング74bと、弁体74aをライン油路75の油圧によって第2ライン油路75bとブレーキ油路77とを連通する方向(図11において左方)へ押圧する油室74cと、を備える。従って、弁体74aは、スプリング74bによって第2ライン油路75bとブレーキ油路77とを遮断する方向(図11において右方)へ付勢されるとともに、油室74cに入力されるライン油路75の油圧によって第2ライン油路75bとブレーキ油路77とを連通する方向(図11において左方)へ押圧可能にされる。
【0157】
スプリング74bの付勢力は、電動オイルポンプ70が低圧モード及び高圧モードで運転中に、油室74cに入力されるライン油路75の油圧で、弁体74aを閉弁位置から開弁位置に移動させて、ブレーキ油路77をハイポジションドレン78から遮断し第2ライン油路75bに連通させるように設定されている。即ち、電動オイルポンプ70が低圧モードで運転されても高圧モードで運転されても、油室74cに入力されるライン油路75の油圧がスプリング74bの付勢力を上回り、ブレーキ油路77をハイポジションドレン78から遮断し第2ライン油路75bに連通させる。
【0158】
第2ライン油路75bとブレーキ油路77とを遮断した状態においては、油圧ブレーキ60はブレーキ油路77とハイポジションドレン78を介して貯留部79に連通される。ここで、貯留部79は、ストレーナ収容室105よりも鉛直方向で高い位置、より好ましくは、貯留部79の鉛直方向最上部が、油圧ブレーキ60の作動室Sの鉛直方向最上部と鉛直方向最下部との中分点よりも鉛直方向で高い位置となるように配設される。従って、ブレーキ油路切替弁74が閉弁した状態においては、油圧ブレーキ60の作動室Sに貯留していたオイルが直接ストレーナ収容室105に排出されず、貯留部79に排出されて蓄えられるように構成される。なお、貯留部79から溢れたオイルは、ストレーナ収容室105に排出されるように構成される。また、ハイポジションドレン78の貯留部側端部78aは、貯留部79の底面に接続される。
【0159】
ブレーキ油路切替弁74の油室74cは、パイロット油路81とソレノイド弁83を介してライン油路75を構成する第2ライン油路75bに接続可能にされている。ソレノイド弁83は、ECU(図示せず)によって制御される電磁三方弁で構成されており、ECUによるソレノイド弁83の非通電時に第2ライン油路75bをパイロット油路81に接続し、油室74cにライン油路75の油圧を入力する。
【0160】
また、ソレノイド弁83は、通電状態において、油室74cに貯留していたオイルが、排出油路83aを介してストレーナ収容室105に排出され、第2ライン油路75bとパイロット油路81とが遮断される。
【0161】
また、油圧回路99では、第1低圧油路76aと第2低圧油路76bは下流側で合流して共通の低圧共通油路76cを構成しており、合流部には、低圧共通油路76cのライン圧が所定圧以上になった場合に低圧共通油路76c内のオイルをリリーフドレン86を介して貯留部79に排出させ、油圧を低下させるリリーフ弁84が接続されている。なお、リリーフドレン86の油貯留部側端部86aは貯留部79の鉛直方向最上部よりも高い位置に配置される。
【0162】
ここで、第1低圧油路76aと第2低圧油路76bには、それぞれ流路抵抗手段としてのオリフィス85a、85bが形成されており、第1低圧油路76aのオリフィス85aが第2低圧油路76bのオリフィス85bよりも大径となるように構成されている。従って、第2低圧油路76bの流路抵抗は第1低圧油路76aの流路抵抗よりも大きく、電動オイルポンプ70を高圧モードで運転中における第2低圧油路76bでの減圧量が、電動オイルポンプ70を低圧モードで運転中における第1低圧油路76aでの減圧量よりも大きくなって、高圧モード及び低圧モードにおける低圧共通油路76cの油圧は略等しくなっている。
【0163】
このように第1低圧油路76aと第2低圧油路76bとに接続された低圧油路切替弁73は、電動オイルポンプ70が低圧モードで運転中においては、油室73c内の油圧よりもスプリング73bの付勢力が勝りスプリング73bの付勢力により弁体73aが低圧側位置に位置して、ライン油路75を第2低圧油路76bから遮断し第1低圧油路76aに連通させる。第1低圧油路76aを流れるオイルは、オリフィス85aで流路抵抗を受けて減圧され、低圧共通油路76cを経由して被潤滑・冷却部A1〜B3に至る。一方、電動オイルポンプ70が高圧モードで運転中においては、スプリング73bの付勢力よりも油室73c内の油圧が勝りスプリング73bの付勢力に抗して弁体73aが高圧側位置に位置して、ライン油路75を第1低圧油路76aから遮断し第2低圧油路76bに連通させる。第2低圧油路76bを流れるオイルは、オリフィス85bでオリフィス85aよりも大きな流路抵抗を受けて減圧され、低圧共通油路76cを経由して被潤滑・冷却部A1〜B3に至る。
【0164】
従って、電動オイルポンプ70が低圧モードから高圧モードに切り替わると、ライン油路75の油圧の変化に応じて自動的に流路抵抗の小さい油路から流路抵抗の大きい油路に切り替わるので、高圧モードのときに被潤滑・冷却部A1〜B3に過度のオイルが供給されることが抑制される。
【0165】
また、低圧共通油路76cから被潤滑・冷却部A1〜B3に至る油路には、他の流路抵抗手段としての複数のオリフィス85cが設けられている。複数のオリフィス85cは、第1低圧油路76aのオリフィス85aの最小流路断面積の方が複数のオリフィス85cの最小流路断面積よりも小さくなるように設定されている。即ち、複数のオリフィス85cの流路抵抗よりも第1低圧油路76aのオリフィス85aの流路抵抗の方が大きく設定されている。このとき、複数のオリフィス85cの最小流路断面積は、各オリフィス85cの最小流路断面積の総和である。これにより、第1低圧油路76aのオリフィス85aと第2低圧油路76bのオリフィス85bで所望の流量を流すことが調整可能になっている。
【0166】
以上説明したように、本実施形態の後輪駆動装置1によれば、ケース11に着脱可能に設けられ、電動オイルポンプ70が取り付けられる蓋部材72が設けられ、ケース11は、外側に向かって開口する前方開口部105aを備え、ケース11に形成された蓋部材固定部105bと、蓋部材72に形成されたケース固定部72aとが固定された取付状態において、ケース11の前方開口部105aが蓋部材72によって閉塞されると共に、蓋部材72に形成された電動オイルポンプ70のオイル吐出路95と、ケース11の第1及び第2電動機用冷却流路120A、120B、第1及び第2電動機用潤滑流路121A、121B、第1及び第2遊星歯車式減速機用潤滑流路122A、122Bとが接続、即ち、出口パイプ97bと冷却/潤滑用ポート108bとが接続される。これにより、電動オイルポンプ70が取り付けられる蓋部材72をケース11に固定した際に、ケース11の前方開口部105aが閉塞されると同時に、流路の接続が行われるので、電動オイルポンプ70の組立作業性が向上し、組立作業時間を短縮することができる。また、電動オイルポンプ70はケース11から着脱可能な蓋部材72側に配設されるので、電動オイルポンプ70のメンテナンスや交換、組立てが容易になる。
【0167】
また、出口パイプ97bと冷却/潤滑用ポート108bとの接続部は、前方開口部105aの外縁よりも内側に位置する。これにより、オイルが出口パイプ97bと冷却/潤滑用ポート108bとの接続部から漏出しても、ケース11内に貯留することができる。
【0168】
また、前方開口部105aの少なくとも一部は、ストレーナ収容室105の貯留部と重なる位置に形成され、取付状態において、蓋部材72はストレーナ収容室105の壁面を構成する。これにより、電動オイルポンプ70が取り付けられた蓋部材72とストレーナ収容室105とを近接して配置が可能となり、電動オイルポンプ70の吸入側流路長を短くすることができる。また、蓋部材72を外した状態では、ストレーナ収容室105の壁面の一部が取り除かれる状態となるので、ストレーナ収容室105内を視認しやすく、また、ストレーナ収容室105の清掃なども容易に行うことができる。
【0169】
また、取付状態において、出口パイプ97bと冷却/潤滑用ポート108bとの接続部は、ケース11の蓋部材固定部105bよりも取付方向においてケース11の内側に離間した位置に設けられ、取付方向において当該接続部と蓋部材固定部105bとの間の、ケース11の離間空間Dには、第1及び第2冷潤流路120A、120B、121A、121B、潤滑流路122A、122B、ブレーキ油路77に介装される流路を切り換える低圧油路切替弁73、ブレーキ油路切替弁74、及びリリーフ弁84が配設されている。従って、これらの弁73、74、84をケース11内に配設することができ、ケース11の外側に突出する部分を小さくすることができる。
【0170】
また、ストレーナ収容室105と電動オイルポンプ70とを連通するオイル吸入路94が、蓋部材72のケース固定部72aよりもケース側に延出し、取付状態において、オイル吸入路94の吸入口がストレーナ収容室105の貯留部内に位置する。これにより、蓋部材72をケース11に取り付けることで、オイル吸入路94の吸入口がケースのストレーナ収容室105の貯留部内からオイルを吸入することができる。
【0171】
また、ストレーナ収容室105と電動オイルポンプ70とを連通するオイル吸入路94が、蓋部材72によって形成される。これにより、オイル吸入路94を蓋部材72と一体に取り扱うことが可能で、脱着の作業性が良好となり、また、オイル吸入路94をケース側に形成しなくてもよく、ケース11の構造を簡素化、及び軽量化することができる。
【0172】
また、ストレーナ収容室105と電動オイルポンプ70とを連通するオイル吸入路94が、蓋部材72と、蓋部材72に着脱可能に固定されるストレーナ71と、によって形成され、ストレーナ71は、蓋部材72のみに固定される。これにより、オイル吸入路94を形成するストレーナ71のケース11に対する脱着は、蓋部材72の着脱と同時に取り扱われるので、ケース11への取り付け、取り外しを容易に行うことができる。また、ストレーナ71は、蓋部材72と着脱可能であるので、オイル吸入路94の整備や交換も容易に行うことができる。
【0173】
また、ストレーナ収容室105と電動オイルポンプ70とを連通するオイル吸入路94は、蓋部材72のケース固定部72aの外縁平行投影内に納まるように形成される。これにより、蓋部材72を取り外す際にオイル吸入路94をケース11に引っ掛けずに容易に取り外すことができる。
【0174】
また、ストレーナ収容室105と電動オイルポンプ70とを連通するオイル吸入路94には、オイルを濾過するストレーナ71が配設される。オイル吸入路94を通過するオイルを濾過することができる。
【0175】
また、電動機2A,2Bに接続される動力伝達経路上に配置され、動力を断接する油圧ブレーキ60を備え、ケース11は、電動オイルポンプ70と、油圧ブレーキ60の作動室Sとを連通するブレーキ油路77を有し、電動オイルポンプ70は、オイルをブレーキ油路77を介して作動室Sに供給する。これにより、電動オイルポンプ70が、ケース11の第1及び第2冷潤流路120A、120B、121A、121Bと油圧ブレーキ60の作動室Sの両方にオイルを供給することができ、構成を簡素化することができる。
【0176】
また、取付状態において、蓋部材72に形成されたオイル吐出路95とケース11のブレーキ油路77とが接続、即ち、出口パイプ97aと作動室用ポート108aとが接続される。これにより、前方開口部105aの閉塞と第1及び第2冷潤流路120A、120B、121A、121Bの接続に加えて、ブレーキ油路77の接続も同時に行われるので、電動オイルポンプ70の組立作業性が向上し、組立作業時間を短縮することができる。
【0177】
また、出口パイプ97aと作動室用ポート108aとの接続部は、前方開口部105aの外縁よりも内側に位置する。これにより、オイルが出口パイプ97aと作動室用ポート108aとの接続部から漏出しても、ケース11内に貯留することができる。
【0178】
また、電動オイルポンプ70は、電動機2A、2Bと異なる、他の電動機90によって駆動される。これにより、電動オイルポンプ70を電動式とすることで、蓋部材72をより適切な位置に配置することができる。
【0179】
また、第1電動機用冷却流路120A、第1電動機用潤滑流路121A、第1遊星歯車式減速機用潤滑流路122Aと、第2電動機用冷却流路120B、第2電動機用潤滑流路121B、第2遊星歯車式減速機用潤滑流路122Bとは電動オイルポンプ70側において共用化された前方鉛直油路109を備え、取付状態において、蓋部材72のオイル吐出路95と、ケース11の前方鉛直油路109とが接続される。これにより、第1及び第2冷潤流路120A、120B、121A、121B、122A、122Bを有する場合であっても、蓋部材72に形成されたオイル吐出路95とケース11の前方鉛直油路109とを接続するだけで各流路が接続され、電動オイルポンプ70の組立作業性が向上し、組立作業時間を短縮することができる。
【0180】
また、第1電動機2Aは、車両の左後輪LWrを駆動し、第2電動機2Bは、車両の右後輪RWrを駆動するので、左後輪LWrと右後輪RWrを独立して駆動することができる。
【0181】
また、本実施形態の後輪駆動装置1によれば、ケース11に着脱可能に設けられると共に、電動オイルポンプ70が取り付けられる蓋部材72が設けられており、ケース11は、外側に向かって開口する前方開口部105aを備え、ケース11に形成された蓋部材固定部105bと、蓋部材72に形成されたケース固定部72aとが固定された取付状態において、ケース11の前方開口部105aが蓋部材72によって閉塞されると共に、蓋部材72に形成された電動オイルポンプ70のオイル吐出路95とケース11のブレーキ油路77とが接続、即ち、出口パイプ97aと作動室用ポート108aとが接続される。これにより、電動オイルポンプ70が取り付けられる蓋部材72をケース11に固定した際に、ケース11の前方開口部105aが閉塞されると同時に、流路の接続が行われるので、電動オイルポンプ70の組立作業性が向上し、組立作業時間を短縮することができる。また、電動オイルポンプ70はケース11から着脱可能な蓋部材72側に配設されるので、電動オイルポンプ70のメンテナンスや交換、組立てが容易になる。
【0182】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
また、前輪駆動装置6を内燃機関4を用いずに電動機5を唯一の駆動源とするものでもよい。
【0183】
本実施形態では、左側方ケース11Aと中央ケース11Mとで第1ケース11Lを、また、右側方ケース11Bと中央ケース11Mとで第2ケース11Rをそれぞれ構成している。しかしながら、本実施形態の第1ケース11Lは、第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aを収容し、左貯留部RLを有するものであれば、また、第2ケース11Rは、第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bを収容し、右貯留部RRを有するものであれば、この構成に限定されるものでない。
【0184】
また、本実施形態では、第1及び第2電動機用冷却流路120A、120B、第1及び第2電動機用潤滑流路121A、121B、第1及び第2遊星歯車式減速機用潤滑流路122A、122Bが、ケース11の前方鉛直油路109から分岐するように構成されている。このため、ケース11と蓋部材72とが固定された取付状態において、出口パイプ97bと前方鉛直油路109に繋がる冷却/潤滑用ポート108bとが接続されることで、蓋部材72に形成された電動オイルポンプ70のオイル吐出路95と、ケース11の第1及び第2電動機用冷却流路120A、120B、第1及び第2電動機用潤滑流路121A、121B、第1及び第2遊星歯車式減速機用潤滑流路122A、122Bとがすべて接続されることになる。しかしながら、本発明は、このような構成に限らず、ケース11と蓋部材72とが固定された取付状態において、ケース11の前方開口部105aが蓋部材72によって閉塞されると共に、第1及び第2電動機用冷却流路120A、120B、第1及び第2電動機用潤滑流路121A、121B、第1及び第2遊星歯車式減速機用潤滑流路122A、122Bの少なくとも一つが、蓋部材72に形成されたオイル吐出路95と接続される構成であればよい。
また、本発明は、ケース11内に電動機2A、2Bと変速機12A、12Bのいずれかを有する構成であってもよく、それに対応して、第1及び第2電動機用冷却流路120A、120B、第1及び第2電動機用潤滑流路121A、121B、第1及び第2遊星歯車式減速機用潤滑流路122A、122Bのいずれかがケース11に形成される構成であってもよい。
【0185】
また、本実施形態では、ストレーナ収容室105の下方が貯留部を構成し、前方開口部105aの少なくとも一部がストレーナ収容室105の貯留部と重なる位置に配置され、前方開口部105aを閉塞する蓋部材72の少なくとも一部がストレーナ収容室105の貯留部の壁面を構成するように配置されているが、本発明は、前方開口部105aが貯留部と重ならない位置に配置され、蓋部材72が貯留部の壁面を構成しないように配置されてもよい。例えば、ストレーナ71が蓋部材72のケース固定部72aの外縁平行投影から外れて下方に延出するように形成されており、前方開口部105aが貯留部を規定するオイル油面よりも上方に形成されていてもよい。
また、本発明の液状媒体供給装置が配置される別体部材とは、本実施形態のような、電動オイルポンプ70が、ケース11に着脱可能な蓋部材72に取り付けられる構成に限定されるものでなく、電動オイルポンプ70自体が別体部材をなしてケースの開口部を閉塞するような電動オイルポンプ集合体によって構成されてもよい。
また、本発明は、冷却、潤滑に供される液状媒体としてオイルを用いたが、他の液体を用いてもよい。
【符号の説明】
【0186】
1 後輪駆動装置(車両用駆動装置)
2A 第1電動機
2B 第2電動機
10A、10B 車軸
11 ケース
11A1、11B1、11M1 外壁面
12A、12B 遊星歯車式減速機(変速機)
60 油圧ブレーキ(液圧式断接手段)
70 電動オイルポンプ(液状媒体供給装置)
71 ストレーナ
72 蓋部材(別体部材)
72a ケース固定部
73 低圧油路切替弁(弁手段)
74 ブレーキ油路切替弁(弁手段)
77 ブレーキ油路(液圧路)
84 リリーフ弁(弁手段)
94 オイル吸入路(吸入側流路)
95 オイル吐出路(吐出側流路)
105 ストレーナ収容室(貯留部)
105a 前方開口部
105b 蓋部材固定部(別体部材固定部)
108a 作動室用ポート
109 前方鉛直油路(共用流路)
110A、110B 前方水平油路
111A、111B 前後方向水平油路
113 潤滑用油路
120A 第1冷却流路
120B 第2冷却流路
121A 第1電動機用潤滑流路
121B 第2電動機用潤滑流路
122A 第1遊星歯車式減速機用潤滑流路
122B 第2遊星歯車式減速機用潤滑流路
A1、B1 電動機の被冷却部(被冷潤部)
A2、B2 電動機の被潤滑部(被冷潤部)
A3、B3 遊星歯車式減速機の被潤滑部
LWr 左後輪(左車輪)
RWr 右後輪(右車輪)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪に接続される電動機と、
前記電動機の被冷却部と被潤滑部の少なくとも一方である被冷潤部に液状媒体を供給する液状媒体供給装置と、
前記電動機を収容するとともに、前記液状媒体を貯留する貯留部と、前記液状媒体供給装置と前記電動機の被冷潤部とを連通する冷潤流路と、を有するケースと、
を備え、前記液状媒体供給装置は、前記貯留部から吸入した液状媒体を吐出して前記冷潤流路を介して前記被冷潤部に供給する車両用駆動装置であって、
前記ケースに着脱可能に設けられ、前記液状媒体供給装置が配置される別体部材をさらに有し、
前記ケースは、外側に向かって開口する開口部を備え、
前記ケースに形成された別体部材固定部と、前記別体部材に形成されたケース固定部とが固定された取付状態において、前記ケースの前記開口部が前記別体部材によって閉塞されると共に、前記別体部材に形成された前記液状媒体供給装置の吐出側流路と前記ケースの前記冷潤流路とが接続されることを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項2】
前記取付状態において、前記吐出側流路と前記冷潤流路との接続部は、前記開口部の外縁よりも内側に位置することを特徴とする請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記開口部の少なくとも一部は、前記貯留部と重なる位置に形成され、
前記取付状態において、前記別体部材は前記貯留部の壁面を構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記接続部は、前記ケースの別体部材固定部よりも取付方向において前記ケースの内側に離間した位置に設けられ、
前記取付方向において前記接続部と前記別体部材固定部との間の離間空間には、前記冷潤流路に介装される流路を切り換える弁手段が配設されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の車両用駆動装置。
【請求項5】
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路が、前記別体部材のケース固定部よりもケース側に延出し、
前記取付状態において、前記吸入側流路の吸入口が前記貯留部内に位置することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項6】
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路が、前記別体部材によって形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項7】
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路が、前記別体部材と、前記別体部材に着脱可能に固定される他の別体部材と、によって形成され、
前記他の別体部材は、前記別体部材のみに固定されることを特徴とする請求項6に記載の車両用駆動装置。
【請求項8】
前記吸入側流路は、前記別体部材のケース固定部の外縁平行投影内に納まるように形成されることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項9】
前記吸入側流路には、前記液状媒体を濾過する濾過部材が配設されることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項10】
前記電動機と前記車輪との動力伝達経路上に配置され、動力を断接する液圧式断接手段を備え、
前記ケースは、前記液状媒体供給装置と、前記液圧式断接手段の液圧室とを連通する液圧路を有し、
前記液状媒体供給装置は、前記液状媒体を前記液圧路を介して前記液圧式断接手段の液圧室に供給することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項11】
前記取付状態において、前記別体部材に形成された前記吐出側流路と前記ケースの前記液圧路とが接続されることを特徴とする請求項10に記載の車両用駆動装置。
【請求項12】
前記取付状態において、前記吐出側流路と前記液圧路との接続部は、前記開口部の外縁よりも内側に位置することを特徴とする請求項11に記載の車両用駆動装置。
【請求項13】
前記液状媒体供給装置は、前記電動機と異なる、他の電動機によって駆動されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項14】
前記電動機は、第1及び第2電動機を備え、
前記冷潤流路は、前記液状媒体供給装置と前記第1電動機の被冷潤部とを連通する第1冷潤流路と、前記液状媒体供給装置と前記第2電動機の被冷潤部とを連通する第2冷潤流路と、を備えるとともに、前記第1冷潤流路と前記第2冷潤流路は前記液状媒体供給装置側において共用化された共用流路を備え、
前記取付状態において、前記別体部材に形成された前記吐出側流路と、前記ケースの前記共用流路とが接続されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項15】
前記第1電動機は、車両の左車輪を駆動し、
前記第2電動機は、車両の右車輪を駆動することを特徴とする請求項14に記載の車両用駆動装置。
【請求項16】
車両の車輪に接続される電動機と、
前記電動機の被冷却部と被潤滑部の少なくとも一方である被冷潤部に液状媒体を供給する液状媒体供給装置と、
前記電動機を収容するとともに、前記液状媒体を貯留する貯留部と、を有するケースと、
を備え、前記液状媒体供給装置は、前記貯留部から吸入した液状媒体を吐出して前記被冷潤部に供給する車両用駆動装置であって、
前記ケースに着脱可能に設けられ、前記液状媒体供給装置が配置される別体部材をさらに有し、
前記ケースは、外側に向かって開口する開口部を備え、
前記開口部の少なくとも一部は、前記貯留部と重なる位置に形成され、
前記ケースに形成された別体部材固定部と、前記別体部材に形成されたケース固定部とが固定された取付状態において、前記ケースの前記開口部が前記別体部材によって閉塞されると共に、前記別体部材は前記貯留部の壁面を構成することを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項17】
前記別体部材は、前記液状媒体が通過する流路を切り換える弁手段を備え、
前記取付状態において、前記弁手段は、前記ケースの開口部よりケース内に突出した状態で配設されることを特徴とする請求項16に記載の車両用駆動装置。
【請求項18】
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路が、前記別体部材のケース固定部よりもケース側に延出し、
前記取付状態において、前記吸入側流路の吸入口が前記貯留部内に位置することを特徴とする請求項16又は17に記載の車両用駆動装置。
【請求項19】
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路が、前記別体部材によって形成されることを特徴とする請求項16〜18のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項20】
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路が、前記別体部材と、前記別体部材に着脱可能に固定される他の別体部材と、によって形成され、
前記他の別体部材は、前記別体部材のみに固定されることを特徴とする請求項19に記載の車両用駆動装置。
【請求項21】
前記吸入側流路は、前記別体部材のケース固定部の外縁平行投影内に納まるように形成されることを特徴とする請求項18〜20のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項22】
前記吸入側流路には、前記液状媒体を濾過する濾過部材が配設されることを特徴とする請求項18〜21のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項23】
前記液状媒体供給装置は、前記電動機と異なる、他の電動機によって駆動されることを特徴とする請求項16〜22のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項24】
車両の車輪と動力源との動力伝達経路上に配置される変速機と、
前記変速機の被冷却部と被潤滑部の少なくとも一方である被冷潤部に液状媒体を供給する液状媒体供給装置と、
前記変速機を収容するとともに、前記液状媒体を貯留する貯留部と、前記液状媒体供給装置と前記変速機の被冷潤部とを連通する冷潤流路と、を有するケースと、
を備え、前記液状媒体供給装置は、前記貯留部から吸入した液状媒体を吐出して前記冷潤流路を介して前記被冷潤部に供給する車両用駆動装置であって、
前記ケースに着脱可能に設けられ、前記液状媒体供給装置が配置される別体部材をさらに有し、
前記ケースは、外側に向かって開口する開口部を備え、
前記ケースに形成された別体部材固定部と、前記別体部材に形成されたケース固定部とが固定された取付状態において、前記ケースの前記開口部が前記別体部材によって閉塞されると共に、前記別体部材に形成された前記液状媒体供給装置の吐出側流路と前記ケースの前記冷潤流路とが接続されることを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項25】
前記取付状態において、前記吐出側流路と前記冷潤流路との接続部は、前記開口部の外縁よりも内側に位置することを特徴とする請求項24に記載の車両用駆動装置。
【請求項26】
前記開口部の少なくとも一部は、前記貯留部と重なる位置に形成され、
前記取付状態において、前記別体部材は前記貯留部の壁面を構成することを特徴とする請求項24又は25に記載の車両用駆動装置。
【請求項27】
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路は、前記別体部材のケース固定部よりもケース側に延出するように、前記別体部材と、前記別体部材に着脱可能に固定される他の別体部材と、によって形成され、
前記他の別体部材は、前記別体部材のみに固定され、
前記取付状態において、前記他の別体部材に形成された前記吸入側流路の吸入口が前記貯留部内に位置することを特徴とする請求項24〜26のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項28】
前記吸入側流路は、前記別体部材のケース固定部の外縁平行投影内に納まるように形成されることを特徴とする請求項27に記載の車両用駆動装置。
【請求項29】
前記吸入側流路には、前記液状媒体を濾過する濾過部材が配設されることを特徴とする請求項27又は28に記載の車両用駆動装置。
【請求項30】
前記液状媒体供給装置は、前記電動機と異なる、他の電動機によって駆動されることを特徴とする請求項24〜29のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項31】
前記変速機は、第1及び第2変速機を備え、
前記冷潤流路は、前記液状媒体供給装置と前記第1変速機の被冷潤部とを連通する第1冷潤流路と、前記液状媒体供給装置と前記第2変速機の被冷潤部とを連通する第2冷潤流路と、を備えるとともに、前記第1冷潤流路と前記第2冷潤流路は前記液状媒体供給装置側において共用化された共用流路を備え、
前記取付状態において、前記別体部材の前記吐出側流路と、前記ケースの前記共用流路とが接続されることを特徴とする請求項24〜30のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項32】
車両の車輪と動力源との動力伝達経路上に配置される変速機と、
前記変速機の被冷却部と被潤滑部の少なくとも一方である被冷潤部に液状媒体を供給する液状媒体供給装置と、
前記変速機を収容するとともに、前記液状媒体を貯留する貯留部を有するケースと、
を備え、前記液状媒体供給装置は、前記貯留部から吸入した液状媒体を吐出して前記被冷潤部に供給する車両用駆動装置であって、
前記ケースに着脱可能に設けられ、前記液状媒体供給装置が配置される別体部材をさらに有し、
前記ケースは、外側に向かって開口する開口部を備え、
前記開口部の少なくとも一部は、前記貯留部と重なる位置に形成され、
前記ケースに形成された別体部材固定部と、前記別体部材に形成されたケース固定部とが固定された取付状態において、前記ケースの前記開口部が前記別体部材によって閉塞されると共に、前記別体部材は前記貯留部の壁面を構成することを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項33】
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路は、前記別体部材のケース固定部よりもケース側に延出するように、前記別体部材と、前記別体部材に着脱可能に固定される他の別体部材と、によって形成され、
前記他の別体部材は、前記別体部材のみに固定され、
前記取付状態において、前記他の別体部材に形成された前記吸入側流路の吸入口が前記貯留部内に位置することを特徴とする請求項32に記載の車両用駆動装置。
【請求項34】
前記吸入側流路は、前記別体部材のケース固定部の外縁平行投影内に納まるように形成されることを特徴とする請求項33に記載の車両用駆動装置。
【請求項35】
前記吸入側流路には、前記液状媒体を濾過する濾過部材が配設されることを特徴とする請求項33又は34に記載の車両用駆動装置。
【請求項36】
前記液状媒体供給装置は、前記電動機と異なる、他の電動機によって駆動されることを特徴とする請求項32〜35のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項37】
車両の車輪と動力源との動力伝達経路上に配置され、前記動力源からの動力を断接する液圧式断接手段と、
前記液圧式断接手段の液圧室に液状媒体を供給する液状媒体供給装置と、
前記液圧式断接手段を収容するとともに、前記液状媒体を貯留する貯留部と、前記液状媒体供給装置と前記液圧式断接手段の液圧室とを連通する液圧路と、を有するケースと、
を備え、前記液状媒体供給装置は、前記貯留部から吸入した液状媒体を吐出して前記液圧路を介して前記液圧式断接手段の液圧室に供給する車両用駆動装置であって、
前記ケースに着脱可能に設けられ、前記液状媒体供給装置が配置される別体部材をさらに有し、
前記ケースは、外側に向かって開口する開口部を備え、
前記ケースに形成された別体部材固定部と、前記別体部材に形成されたケース固定部とが固定された取付状態において、前記ケースの前記開口部が前記別体部材によって閉塞されると共に、前記別体部材に形成された前記液状媒体供給装置の吐出側流路と前記ケースの前記液圧路とが接続されることを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項38】
前記取付状態において、前記吐出側流路と前記液圧路との接続部は、前記開口部の外縁よりも内側に位置することを特徴とする請求項37に記載の車両用駆動装置。
【請求項39】
前記開口部の少なくとも一部は、前記貯留部と重なる位置に形成され、
前記取付状態において、前記別体部材は前記貯留部の壁面を構成することを特徴とする請求項37又は38に記載の車両用駆動装置。
【請求項40】
前記接続部は、前記ケースの別体部材固定部よりも取付方向において前記ケースの内側に離間した位置に設けられ、
前記取付方向において前記接続部と前記別体部材固定部との間の離間空間には、前記冷潤流路に介装される流路を切り換える弁手段が配設されていることを特徴とする請求項38又は39に記載の車両用駆動装置。
【請求項41】
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路が、前記別体部材のケース固定部よりもケース側に延出し、
前記取付状態において、前記吸入側流路の吸入口が前記貯留部内に位置することを特徴とする請求項37〜40のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項42】
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路が、前記別体部材によって形成されることを特徴とする請求項37〜41のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項43】
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路が、前記別体部材と、前記別体部材に着脱可能に固定される他の別体部材と、によって形成され、
前記他の別体部材は、前記別体部材のみに固定されることを特徴とする請求項42に記載の車両用駆動装置。
【請求項44】
前記吸入側流路は、前記別体部材のケース固定部の外縁平行投影内に納まるように形成されることを特徴とする請求項41〜43のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項45】
前記吸入側流路には、前記液状媒体を濾過する濾過部材が配設されることを特徴とする請求項41〜44のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項46】
前記液状媒体供給装置は、前記電動機と異なる、他の電動機によって駆動されることを特徴とする請求項37〜45のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項47】
車両の車輪と動力源との動力伝達経路上に配置され、前記動力源からの動力を断接する液圧式断接手段と、
前記液圧式断接手段の液圧室に液状媒体を供給する液状媒体供給装置と、
前記液圧式断接手段を収容するとともに、前記液状媒体を貯留する貯留部を有するケースと、
を備え、前記液状媒体供給装置は、前記貯留部から吸入した液状媒体を吐出して前記液圧式断接手段の液圧室に供給する車両用駆動装置であって、
前記ケースに着脱可能に設けられ、前記液状媒体供給装置が配置される別体部材をさらに有し、
前記ケースは、外側に向かって開口する開口部を備え、
前記開口部の少なくとも一部は、前記貯留部と重なる位置に形成され、
前記ケースに形成された別体部材固定部と、前記別体部材に形成されたケース固定部とが固定された取付状態において、前記ケースの前記開口部が前記別体部材によって閉塞されると共に、前記別体部材は前記貯留部の壁面を構成することを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項48】
前記別体部材は、前記液状媒体が通過する流路を切り換える弁手段を備え、
前記取付状態において、前記弁手段は、前記ケースの開口部よりケース内に突出した状態で配設されることを特徴とする請求項47に記載の車両用駆動装置。
【請求項49】
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路が、前記別体部材のケース固定部よりもケース側に延出し、
前記取付状態において、前記吸入側流路の吸入口が前記貯留部内に位置することを特徴とする請求項47又は48に記載の車両用駆動装置。
【請求項50】
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路が、前記別体部材によって形成されることを特徴とする請求項47〜49のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項51】
前記貯留部と前記液状媒体供給装置とを連通する吸入側流路が、前記別体部材と、前記別体部材に着脱可能に固定される他の別体部材と、によって形成され、
前記他の別体部材は、前記別体部材のみに固定されることを特徴とする請求項50に記載の車両用駆動装置。
【請求項52】
前記吸入側流路は、前記別体部材のケース固定部の外縁平行投影内に納まるように形成されることを特徴とする請求項49〜51のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項53】
前記吸入側流路には、前記液状媒体を濾過する濾過部材が配設されることを特徴とする請求項49〜52のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項54】
前記液状媒体供給装置は、前記電動機と異なる、他の電動機によって駆動されることを特徴とする請求項47〜53のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−13195(P2013−13195A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143213(P2011−143213)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】