説明

車両監視装置、および車両監視プログラム

【課題】文字パターン領域が汚れているまたは有色系カバーを装着している車両を検出すること。
【解決手段】本車両監視手法では、文字パターンのマッチング率が低い車両101の撮影条件と、車両101の前後に通過した文字パターンのマッチング率が高い車両102,103の撮影条件とを比較する。そして、本車両監視手法では、車両101〜103の撮影条件が同一であった場合に、車両101の文字パターン領域が汚れていると判断する。これにより、画像104の文字パターンのマッチング率の低下が、急激な日照変化によるものである可能性を排除することができる。また、画像105,106の文字パターンのマッチング率はともに高いため、撮影カメラCの汚れの可能性を排除することができる。この結果、画像104の文字列のマッチング率の低下は、車両101の文字パターン領域の汚れ(あるいは、有色系カバー装着)であると判断できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は、車両を監視する車両監視装置、および車両監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車、自動二輪車などの車両の外面の所定の領域には、各車両を一意に特定する文字パターン(たとえば、自動車登録番号標)が付与されている。したがって、車両の文字パターンを自動認識して、有料道路の料金支払所の自動化や駐車場の駐車車両が契約者のものであるか否かの判定、さらには盗難車両や逃走車両の検出などを実現する各種システムが提案されている。
【0003】
通常、文字パターンの認識は、各地に点在する撮影カメラにより撮影した画像を用いて行われる。このため、撮影カメラの前面カバーの汚れ(またはレンズ)による認識性能の低下が問題となっていた。また、汚れは被写体である車両にも存在するため、撮影カメラに起因した汚れか、車両の文字パターンを付与した領域(以下、「文字パターン領域」という)自体の汚れ(あるいは、有色系カバー装着)かの判断が必要であった。
【0004】
従来においては、車両の文字パターン領域の画像を用いて当該文字パターンを認識して、ピントのボケ状態を定量化し、フォーカス調整を行う技術が開示されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。また、車両に搭載されたカメラの汚れを映像の質の劣化により検出し、モニタに表示して運転者に報知する技術がある(たとえば、下記特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−235921号公報
【特許文献2】特開2000−67374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術では、文字パターンの認識性能の低下要因が、車両の文字パターン領域自体の汚れ(あるいは、有色系カバー装着)であることを判定することができないという問題がある。
【0007】
本開示技術は、上述した従来技術による問題点を解消するため、文字パターン領域が汚れている車両または有色系カバーを装着している車両を検出することができる車両監視装置、および車両監視プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本開示技術は、所定の地点に設置されたカメラにより撮影された画像を解析して認識される、車両の文字パターン内の文字列に含まれる文字の形状のテンプレートに対するマッチング率と、前記画像の撮影時刻とを含む車両データを複数取得し、前記複数の車両データから、前記マッチング率が所定の第1の閾値未満である第1車両データを検出し、前記複数の車両データから、前記マッチング率が所定の第2の閾値以上でかつ前記撮影時刻が前記第1車両データの前記撮影時刻から一定時間内である第2車両データを検出し、前記第2車両データが検出された場合、前記第1車両データを出力対象車両データとして決定し、前記出力対象車両データに対応する車両の情報を所定の装置に対して出力することを特徴とする。
【0009】
本開示技術によれば、カメラにより撮影された画像から得られる文字列のマッチング率と、カメラの撮影時刻とを用いて、文字パターン領域が汚れている車両を特定することができる。
【発明の効果】
【0010】
本車両監視装置、および車両監視プログラムによれば、文字パターン領域が汚れているまたは有色系カバーを装着している車両を特定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本車両監視手法の概要を示す説明図である。
【図2】実施の形態にかかる車両監視システムのシステム構成図である。
【図3】実施の形態にかかる車両監視装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】車両データテーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。
【図5】車両監視装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図6】メジャーアラームの一例を示す説明図である。
【図7】マイナーアラームの一例を示す説明図である。
【図8】確認画面の一例を示す説明図である。
【図9】車両監視装置の車両監視処理手順の一例を示すフローチャート(その1)である。
【図10】車両監視装置の車両監視処理手順の一例を示すフローチャート(その2)である。
【図11】車両監視装置の報知処理手順の一例を示すフローチャート(その1)である。
【図12】車両監視装置の報知処理手順の一例を示すフローチャート(その2)である。
【図13】認識装置の認識処理手順の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる車両監視装置、および車両監視プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(本車両監視手法の概要)
まず、本車両監視手法の概要について説明する。図1は、本車両監視手法の概要を示す説明図である。図1において、ある地点に設置された撮影カメラCにより撮影された車両101〜103の文字パターン領域(たとえば、ナンバープレート)の画像104〜106が示されている。なお、車両102,103は、画像101の撮影時刻の一定時間内に撮影地点を通過した車両101の前後の車両である。
【0014】
また、画像104〜106は、同一の撮影条件(撮影カメラCのアイリス値、シャッタースピードなど)で撮影されたものである。なお、撮影条件についての詳細な説明は後述する。また、画像104〜106内のハッチング部分は、砂や泥などの付着により汚れている領域を表わしている。
【0015】
ここで、既存の認識手法により認識された画像104の文字列のマッチング率は50[%]である。マッチング率は、文字パターン領域内の文字列に含まれる文字の形状のテンプレートに対する認識率(類似度)である。また、画像105の文字列のマッチング率は80[%]である。また、画像106の文字列のマッチング率は95[%]である。なお、ここでは車両101の文字パターン領域の汚れにより、画像104の文字列のマッチング率が低下していることを想定する。
【0016】
一般に、パターンマッチングなどの画像処理により得られる認識結果は、日照変化などの影響により同一車両であっても異なる場合がある。具体的には、たとえば、急激な日照変化により撮影カメラCのアイリス値の絞りが追従しきれない場合などには、文字列のマッチング率が低下する傾向にある。
【0017】
すなわち、画像104の文字列のマッチング率の低下は、文字パターン領域の汚れや撮影カメラCの汚れのほか、急激な日照変化によるものである可能性がある。それ故に、画像104の認識結果だけでは、文字列のマッチング率を低下させている要因を一意に特定することができない。
【0018】
そこで、本車両監視手法では、車両101の撮影条件と、車両101の前後に通過した車両102,103の撮影条件とを比較する。ただし、車両102,103は、文字列のマッチング率が高い車両である。そして、本車両監視手法では、たとえば、車両101〜103の撮影条件が同一であった場合に、車両101の文字パターン領域が汚れていると判断する。
【0019】
これにより、画像104の文字列のマッチング率の低下が、急激な日照変化によるものである可能性を排除することができる。また、画像105,106の文字列のマッチング率はともに高いため、撮影カメラCの汚れの可能性を排除することができる。この結果、画像104の文字列のマッチング率の低下は、車両101の文字パターン領域の汚れ(あるいは、有色系カバー装着)であると判断することができる。
【0020】
(車両監視システムのシステム構成)
つぎに、実施の形態にかかる車両監視システムのシステム構成について説明する。図2は、実施の形態にかかる車両監視システムのシステム構成図である。図2において、車両監視システム200は、車両監視装置201と、撮影カメラ202−1〜202−nと、認識装置203−1〜203−nと、を含む構成である。また、車両監視システム200において、車両監視装置201、撮影カメラ202−1〜202−nおよび認識装置203−1〜203−nは、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などのネットワーク210を介して通信可能に接続されている。
【0021】
車両監視装置201は、走行中の車両を撮影した画像を解析して得られる文字パターンを用いて車両を監視する機能を有する。また、車両監視装置201は、各地に点在する撮影カメラ202−1〜202−nに関する各種情報を出力する機能を有する。
【0022】
撮影カメラ202−1〜202−nは、各地の道路上に設置されており、日照変化や被写体速度に応じて撮影条件を自律的に変化させて車両を撮影する機能を有する。また、撮影カメラ202−1〜202−nは、撮影した画像を認識装置203−1〜203−nに送信する機能を有する。
【0023】
認識装置203−1〜203−nは、撮影カメラ202−1〜202−nと1対1で設けられており、撮影カメラ202−1〜202−nにより撮影された画像を解析する機能を有する。具体的には、認識装置203−1〜203−nは、画像から車両が有する文字パターン領域を抽出して、文字パターンの認識処理を行なう。
【0024】
文字パターンの認識手法としては、たとえば、文字の形状と、予め記憶されたテンプレート文字の形状とを比較してマッチング率を求める手法を用いることができる。このとき、認識装置203−1〜203−nは、文字パターンに含まれる文字ごとのマッチング率の平均値を求めることにしてもよい。ただし、認識手法は任意であり、ここで説明した手法に限らない。
【0025】
また、認識装置203−1〜203−nは、画像の平均輝度を算出する機能を有する。ここで、輝度とは、色の濃淡を数値化して表わす指標値であり、たとえば、画素ごとのR(赤)、G(緑)、B(青)の画素値を足し合わせた値である。なお、特定の色を強調させたい場合には、その色の画素値を定数倍(たとえば、3倍)して、他の色の画素値と足し合わせることにしてもよい。
【0026】
また、認識装置203−1〜203−nは、画像、撮影時刻、認識結果(文字パターン、マッチング率を含む)および輝度情報を含む車両データを車両監視装置201に送信する機能を有する。なお、画像は、圧縮して送信することにしてもよい。
【0027】
(車両監視装置のハードウェア構成)
図3は、実施の形態にかかる車両監視装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図3において、車両監視装置201は、CPU(Central Processing Unit)301と、ROM(Read‐Only Memory)302と、RAM(Random Access Memory)303と、磁気ディスクドライブ304と、磁気ディスク305と、光ディスクドライブ306と、光ディスク307と、ディスプレイ308と、I/F(Interface)309と、キーボード310と、マウス311と、スキャナ312と、プリンタ313と、を備えている。また、各構成部はバス300によってそれぞれ接続されている。
【0028】
ここで、CPU301は、車両監視装置201の全体の制御を司る。ROM302は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶している。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。磁気ディスクドライブ304は、CPU301の制御にしたがって磁気ディスク305に対するデータのリード/ライトを制御する。磁気ディスク305は、磁気ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記憶する。
【0029】
光ディスクドライブ306は、CPU301の制御にしたがって光ディスク307に対するデータのリード/ライトを制御する。光ディスク307は、光ディスクドライブ306の制御で書き込まれたデータを記憶したり、光ディスク307に記憶されたデータをコンピュータに読み取らせたりする。
【0030】
ディスプレイ308は、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文書、画像、機能情報などのデータを表示する。このディスプレイ308は、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。
【0031】
インターフェース(以下、「I/F」と略する。)309は、通信回線を通じてLAN、WAN、インターネットなどのネットワーク314に接続され、このネットワーク314を介して他の装置に接続される。そして、I/F309は、ネットワーク314と内部のインターフェースを司り、外部装置からのデータの入出力を制御する。I/F309には、たとえばモデムやLANアダプタなどを採用することができる。
【0032】
キーボード310は、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーを備え、データの入力を行う。また、タッチパネル式の入力パッドやテンキーなどであってもよい。マウス311は、カーソルの移動や範囲選択、あるいはウィンドウの移動やサイズの変更などを行う。ポインティングデバイスとして同様に機能を備えるものであれば、トラックボールやジョイスティックなどであってもよい。
【0033】
スキャナ312は、画像を光学的に読み取り、車両監視装置201内に画像データを取り込む。なお、スキャナ312は、OCR(Optical Character Reader)機能を持たせてもよい。また、プリンタ313は、画像データや文書データを印刷する。プリンタ313には、たとえば、レーザプリンタやインクジェットプリンタを採用することができる。
【0034】
なお、ここでは車両監視装置201のハードウェア構成について説明したが、撮影カメラ202−1〜202−nおよび認識装置203−1〜203−nについても同様のハードウェア構成によって実現できる。以降、特に指定する場合を除いて、撮影カメラ202−1〜202−nを「撮影カメラ202」と表記し、認識装置203−1〜203−nを「認識装置203」と表記する。
【0035】
(車両データテーブルの記憶内容)
つぎに、車両監視装置201が用いる車両データテーブルについて説明する。図4は、車両データテーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。図4において、車両データテーブル400は、地点ID、撮影時刻、文字パターン、マッチング率、アイリス値、シャッタースピード、文字パターン平均輝度、全体平均輝度、第1フラグおよび第2フラグのフィールドを有する。各フィールドに情報を設定することで、車両データがレコードとして記憶されている。
【0036】
ここで、地点IDとは、各地に点在する撮影カメラ202の設置地点を識別する識別子である。撮影時刻とは、撮影カメラ202により車両が撮影された時刻である。文字パターンとは、車両が有する文字パターン領域内の文字列である。マッチング率とは、文字パターンと文字テンプレートとの類似度を表わす指標値である。マッチング率が高いほど、文字テンプレートとの類似度が高く、文字パターン領域内の文字列が鮮明であることを示す。
【0037】
アイリス値とは、撮影カメラ202のレンズの絞り度合(たとえば、焦点開口径)を示す指標値である。アイリス値が高いほど焦点深度が深くなる。シャッタースピードとは、感光体に対して光を当てる時間(たとえば、1/2000〜1[秒])である。文字パターン平均輝度とは、画像内の文字パターン領域の平均輝度である。全体平均輝度とは、画像全体の平均輝度である。
【0038】
第1および第2フラグとは、文字パターンのマッチング率の低下要因を判断するためのフラグである。なお、第1および第2フラグについての説明は後述する。車両データテーブル400は、図3に示したRAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶されている。
【0039】
ここで、車両データD1を例に挙げると、撮影時刻は「3月14日10時55分12秒」、文字パターンは「1234」、マッチング率は「90[%]」、アイリス値は「80」、シャッタースピードは「1/1000[秒]」である。また、文字パターン平均輝度は「120」、全体平均輝度は「180」、第1および第2フラグは未設定である。
【0040】
(車両監視装置の機能的構成)
つぎに、車両監視装置201の機能的構成について説明する。図5は、車両監視装置の機能的構成を示すブロック図である。図5において、車両監視装置201は、取得部501と、検出部502と、判定部503と、決定部504と、計数部505と、作成部506と、出力部507と、を含む構成である。この制御部となる機能(取得部501〜出力部507)は、具体的には、たとえば、図3に示したROM302、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU301に実行させることにより、または、I/F309により、その機能を実現する。
【0041】
取得部501は、車両データを取得する機能を有する。ここで、車両データとは、撮影カメラ201により撮影された画像を解析して得られる車両の文字パターン領域内の文字パターンの認識結果と画像が撮影された撮影条件および撮影時刻とを含む情報である。まは、認識結果とは、たとえば、車両の文字パターン内の文字列に含まれる文字の形状のテンプレートに対するマッチング率を特定する情報である。すなわち、車両データは、たとえば、図4に示した車両データD1〜Dkである。
【0042】
具体的には、たとえば、取得部501が、ネットワーク210を介して認識装置203から車両データを取得する。また、取得部501が、図3に示したキーボード310やマウス311をユーザが操作することで入力された車両データを取得してもよい。なお、取得された車両データは、たとえば、車両データテーブル400(図4参照)に時系列に記憶される。また、車両データには、撮影カメラ201により撮影された画像が添付されていてもよい。
【0043】
検出部502は、取得された複数の車両データから、認識結果から特定されるマッチング率が所定の閾値a未満となる第1車両データを検出する機能を有する。ここで、閾値aは、任意に設定可能であり、たとえば、マッチング率が閾値aを下回ると文字パターンの認識性能が低下していると判断できる値に設定される。なお、閾値aは、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶されている。
【0044】
具体的には、たとえば、検出部502が、車両データテーブル400を参照して、マッチング率が閾値a未満(たとえば、a=70)の車両データD3を検出する。なお、第1車両データが検出されると、車両データテーブル400内の該当レコードの第2フラグのフィールドにフラグBが設定される。これにより、何らかの不具合によりマッチング率が低下している車両の車両データを検出することができる。
【0045】
また、検出部502は、複数の車両データから、画像全体での平均輝度が所定の閾値b以上でかつ文字パターン領域の平均輝度が閾値b未満となる第1車両データを検出することにしてもよい。ここで、閾値bは任意に設定可能である。なお、閾値bは、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶されている。
【0046】
ここで一例として「閾値b:b=100」とする。この場合、検出部502が、たとえば、車両データテーブル400を参照して、全体平均輝度が100以上でかつ文字パターン平均輝度が100未満となる車両データD3を検出する。これにより、画像全体に比べて文字パターン領域の平均輝度が低い車両の車両データを検出することができる。
【0047】
また、検出部502は、複数の車両データから、マッチング率が閾値a’以上でかつ撮影時刻が第1車両データの撮影時刻から一定時間T内の第2車両データを検出する機能を有する。ここで、閾値a’は任意に設定可能であり、たとえば、マッチング率が閾値a’を下回ると文字パターンの認識性能が低下していると判断できる値に設定される。なお、閾値a’は、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶されている。以下の説明では、「閾値a’=閾値a」とする。
【0048】
また、第2車両データの検出対象となる複数の車両データは、たとえば、第1車両データに対応する画像を撮影した撮影カメラ202により撮影された画像に対応する車両データである。すなわち、第1および第2車両データに対応する画像は、同一地点IDの撮影カメラ202により撮影されたものである。
【0049】
また、一定時間Tは、任意に設定可能である。たとえば、一定時間Tは、日照変化の変動が少ない期間、すなわち、撮影カメラ202の撮影条件の変化が少ない期間に設定される。なお、一定時間Tは、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶されている。
【0050】
具体的には、たとえば、検出部502が、マッチング率が閾値a以上でかつ車両データD3の撮影時刻から一定時間T内(T=30[分])で直近の前後の車両データD2,D4を検出する。なお、検出された第2車両データは、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶される。
【0051】
決定部504は、第2車両データが検出された場合、第1車両データを出力対象車両データとして決定する機能を有する。ここで、出力対象車両とは、文字パターン領域の文字パターンの一部または全部が不鮮明である車両である。なお、文字パターンの一部または全部が不鮮明である状態とは、たとえば、文字パターン領域自体が汚れている、または、有色系カバーを装着している状態である。
【0052】
すなわち、マッチング率が閾値a未満の第1車両データの画像撮影時刻から一定期間の間に、マッチング率が閾値a(=a’)以上の第2車両データが存在する場合に、第1車両データにより特定される車両の文字パターンが不鮮明であると決定する。
【0053】
出力部507は、出力対象車両データに対応する車両の情報を所定の装置に対して出力する機能を有する。具体的には、たとえば、出力部507が、文字パターンの一部または全部が不鮮明であると決定された車両を特定する情報として、当該車両の文字パターンを出力することにしてもよい。出力形式としては、たとえば、ディスプレイ308への表示、プリンタ313への印刷出力、I/F309による外部装置への送信がある。また、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶することとしてもよい。
【0054】
判定部503は、第1車両データの撮影条件と、検出された第2車両データの撮影条件とが同一か否かを判定する機能を有する。ここで、撮影条件とは、撮影時における撮影カメラ202の絞り度合(以下、「アイリス値」という)、シャッタースピードなどである。
【0055】
具体的には、たとえば、判定部503が、車両データD3のアイリス値「79」と車両データD2,D4のアイリス値「81」、「80」とのそれぞれの差分が所定範囲c以内か否かを判定してもよい。ここで、範囲cは、任意に設定可能であり、レンズの絞りに関する微調整程度の値が設定される。なお、範囲cは、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶されている。
【0056】
ここで一例として「範囲c:c=5」とすると、車両データD3のアイリス値と車両データD2,D4のアイリス値とのそれぞれの差分は「2」、「1」となる。したがって、判定部503が、車両データD3の撮影条件と、車両データD2,D4の撮影条件とがそれぞれ同一であると判定する。
【0057】
また、判定部503が、車両データD3のシャッタースピード「1/1000[秒]」と車両データD2,D4のシャッタースピード「1/1000[秒]」とがそれぞれ同一(または、所定範囲内)か否かを判定してもよい。この場合、シャッタースピードは共通のため、判定部503が、車両データD3の撮影条件と、車両データD2,D4の撮影条件とがそれぞれ同一であると判定する。
【0058】
なお、判定された判定結果は、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶される。具体的には、たとえば、撮影条件が同一と判定されると、車両データテーブル400内の第1車両データの第1フラグのフィールドにフラグAが設定される。
【0059】
また、決定部504は、撮影条件が同一と判定された場合に、第1車両データを出力対象車両データとして決定することにしてもよい。すなわち、決定部504が、撮影条件が同一と判定された場合に、第1車両データから特定される車両の文字パターンの一部または全部が不鮮明であると決定する。
【0060】
具体的には、たとえば、決定部504が、車両データテーブル400を参照して、第1フラグにフラグAが設定されている車両データD3を特定する。そして、決定部504が、特定された車両データD3から特定される車両の文字パターンの一部または全部が不鮮明であると決定する。なお、決定された決定結果は、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶される。
【0061】
また、検出部502は、複数の車両データから、文字パターン領域内の文字パターンが認識不能である第3車両データを検出する機能を有する。ここで、第3車両データとは、たとえば、マッチング率が「0」または所定の閾値d以下の車両データであり、文字パターンの一部または全部が認識不能な車両データである。
【0062】
なお、閾値dは、任意に設定可能であり、たとえば、閾値dを下回ると文字パターンの一部または全部が認識不能となる値に設定される。なお、閾値dは、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶されている。
【0063】
具体的には、たとえば、検出部502が、車両データテーブル400を参照して、マッチング率が「0」の車両データを検出する。なお、第3車両データが検出されると、たとえば、車両データテーブル400内の第3車両データの第2フラグのフィールドにフラグCが設定される。
【0064】
計数部505は、検出された検出結果に基づいて、特定期間X内の車両データ群のうち第3車両データを計数する機能を有する。ここで、特定期間Xは、任意に設定可能(たとえば、1時間、24時間)である。なお、特定期間Xは、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶されている。
【0065】
また、特定期間X内の車両データ群とは、同一の設置地点の撮影カメラ202により撮影された画像に対応する車両データである。なお、同一の設置地点の撮影カメラ202により撮影された画像に対応する車両データは、地点IDにより識別できる。
【0066】
具体的には、たとえば、計数部505が、車両データテーブル400を参照して、特定期間X内(たとえば、11時〜14時までの3時間)の車両データの数を計数する。また、計数部505が、車両データテーブル400を参照して、特定期間X内のフラグCが設定された第3車両データ(たとえば、車両データD6)の数を計数する。なお、計数された計数結果は、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶される。
【0067】
また、判定部503は、特定期間X内の車両データ群に対する第3車両データの計数結果の割合が所定の閾値e以上か否かを判定する機能を有する。ここで、閾値eは、任意に設定可能(たとえば、30%)であり、たとえば、閾値eを上回ると撮影カメラ202のレンズが汚れている、あるいは、撮影カメラ202が故障していると判断できる値に設定される。
【0068】
具体的には、たとえば、判定部503が、計数された計数結果に基づいて、特定期間Xの車両データの総数に対する第3車両データの総数の割合を求めて、閾値e以上か否かを判定する。なお、閾値eは、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶されている。
【0069】
作成部506は、判定された判定結果に基づいて、撮影カメラ202に関する警告情報を作成する機能を有する。ただし、ここでの撮影カメラ202は、第3車両データに対応する画像を撮影した撮影カメラである。具体的には、たとえば、作成部506が、閾値e以上と判定された場合、撮影カメラ202のレンズが汚れている、あるいは、撮影カメラ202が故障していることを示す警告情報を作成する。なお、作成された作成結果は、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶される。
【0070】
また、出力部507は、撮影カメラ202の識別子(たとえば、地点ID)と対応付けて、作成された警告情報を出力する機能を有する。具体的には、たとえば、出力部507が、図6に示すメジャーアラーム600をディスプレイ308に表示することにしてもよい。ここで、警告情報について説明する。
【0071】
図6は、メジャーアラームの一例を示す説明図である。図6において、撮影カメラ202−1のレンズが汚れている、あるいは、撮影カメラ202−1が故障していることを示すメジャーアラーム600がディスプレイ308に表示されている。
【0072】
メジャーアラーム600を車両監視システム200の管理者などに提示することにより、撮影カメラ202の急激な汚れや故障に迅速に対応することが可能となり、認識性能の低下を防ぐことができる。なお、メジャーアラーム600には、特定期間Xを提示することにしてもよい。これにより、特定期間X中の天候を確認することで、撮影カメラ202−1の汚れが天候の影響による一時的なものか否かを判断することができる。
【0073】
また、計数部505は、検出された検出結果に基づいて、特定期間X内の車両データ群のうち第1車両データを計数する機能を有する。具体的には、たとえば、計数部505が、車両データテーブル400を参照して、特定期間X内(たとえば、11時〜15時までの4時間)の車両データの数を計数する。また、計数部505が、車両データテーブル400を参照して、特定期間X内のフラグBが設定された第1車両データ(たとえば、車両データD3,D5,D8)の数を計数する。
【0074】
また、判定部503は、特定期間X内の車両データ群に対する第1車両データの計数結果の割合が所定の閾値f以上か否かを判定する機能を有する。ここで、閾値fは、任意に設定可能(たとえば、30%)であり、たとえば、閾値fを上回ると撮影カメラ202に起因する汚れが進行していると判断できる値に設定される。
【0075】
具体的には、たとえば、判定部503が、計数された計数結果に基づいて、特定期間Xの車両データの総数に対する第1車両データの総数の割合を求めて、閾値f以上か否かを判定する。なお、閾値fは、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶されている。
【0076】
また、作成部506は、閾値f以上と判定された場合、撮影カメラ202に起因する汚れが存在しかつ汚れが進行していることを示す警告情報を作成する。具体的には、たとえば、図7に示すマイナーアラーム700を警告情報として作成する。
【0077】
なお、上述した特定期間X内の第1車両データの計数処理において、フラグBが設定されている第1車両データのうち、フラグAが設定されている第1車両データを計数対象から排除することにしてもよい。具体的には、たとえば、計数部505が、特定期間X(11時〜15時までの4時間)内のフラグBが設定されている車両データD3,D5,D8のうち車両データD5のみを計数する。
【0078】
これにより、マッチング率が低い(閾値a未満)車両のうち、文字パターン領域自体の汚れ(または、有色系カバー)によりマッチング率が低下している車両を排除することができる。その結果、撮影カメラ202の汚れによりマッチング率が低下している車両をより正確に計数することができる。
【0079】
図7は、マイナーアラームの一例を示す説明図である。図7において、撮影カメラ202−1に起因する汚れが進行していることを報知するマイナーアラーム700がディスプレイ308に表示されている。マイナーアラーム700を車両監視システム200の管理者などに提示することにより、適切な時期での撮影カメラ202の清掃作業が可能となり、認識性能の低下を防ぐことができる。
【0080】
計数部505は、特定期間X内に文字パターンの一部または全部が不鮮明であると決定された回数(または、第1車両データの検出数)を文字パターンごとに計数する機能を有する。具体的には、たとえば、計数部505が、車両データテーブル400を参照して、特定期間X内の車両データ群のうち、フラグA(または、フラグB)が設定されている車両データを文字パターンごとに計数する。
【0081】
ここで一例として特定期間X内の車両データ群を車両データD1〜D9とする。この場合、計数部505が、文字パターン「3344」について、フラグAが設定されている車両データを計数する。ここでは、計数結果は車両データD3,D8の「2」となる。ただし、母集団となる車両データ群は、同一地点のものであってもよく、また、複数地点のものであってもよい。なお、計数された計数結果は、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶される。
【0082】
また、判定部503は、計数された計数結果が所定の閾値g以上か否かを判定する機能を有する。ここで、閾値gは、任意に設定可能(たとえば、5[回])であり、たとえば、閾値gを上回ると意図的に文字パターン領域内の文字パターンを隠蔽していると判断できる値に設定される。なお、閾値gは、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶されている。
【0083】
また、決定部504は、計数結果が閾値g以上と判定された文字パターンがある場合、当該文字パターンに対応する第1車両データを出力対象車両データとして決定する機能を有する。すなわち、決定部504が、計数結果が閾値g以上の文字パターンの車両を、意図的に文字パターンを隠蔽している車両に決定する。この場合、たとえば、出力部507が、意図的に文字パターンを隠蔽している車両を特定する情報として、当該車両の文字パターンを出力することにしてもよい。
【0084】
また、作成部506は、計数結果が閾値g以上と判定された場合、文字パターンの一部または全部が定常的に不鮮明であることを示す情報を作成する機能を有する。具体的には、たとえば、作成部506が、図8に示す確認画面800を作成する。
【0085】
図8は、確認画面の一例を示す説明図である。図8において、文字パターンの一部または全部が定常的に不鮮明であることを示す確認画面800がディスプレイ308に表示されている。また、確認画面800には、文字パターン「3344」の車両を撮影した画像801,802が時系列に表示されている。
【0086】
確認画面800を車両監視システム200の管理者などに提示することにより、定常的に文字パターンが不鮮明な車両を確認することができる。また、文字パターン領域の画像801,802を時系列に提示することにより、汚れの進行状況や犯罪目的に利用される可能性が高い有色系カバーを管理者が目視で確認できる。
【0087】
(車両監視処理手順)
つぎに、車両監視装置201の車両監視処理手順について説明する。図9および図10は、車両監視装置の車両監視処理手順の一例を示すフローチャートである。ただし、「撮影カメラ202−i」が設置された地点を「地点Si」と表記する(i=1,2,…,n)。
【0088】
図9のフローチャートにおいて、まず、検出部502により、「i=1」とし(ステップS901)、車両データテーブル400を参照して、地点Siの車両データの中から任意の車両データを選択する(ステップS902)。このあと、検出部502により、選択された車両データのマッチング率が「0」か否かを判断する(ステップS903)。
【0089】
ここで、マッチング率が「0」の場合(ステップS903:Yes)、検出部502により、選択された車両データの第2フラグにフラグCを設定して(ステップS904)、ステップS907に移行する。
【0090】
一方、マッチング率が「0」でない場合(ステップS903:No)、検出部502により、選択された車両データのマッチング率が閾値a未満か否かを判断する(ステップS905)。ここで、マッチング率が閾値a以上の場合(ステップS905:No)、ステップS907に移行する。
【0091】
一方、マッチング率が閾値a未満の場合(ステップS905:Yes)、検出部502により、選択された車両データの第2フラグにフラグBを設定する(ステップS906)。そして、検出部502により、地点Siの車両データの中から選択されていない未選択の車両データがあるか否かを判断する(ステップS907)。
【0092】
ここで、未選択の車両データがある場合(ステップS907:Yes)、ステップS902に戻る。一方、未選択の車両データがない場合(ステップS907:No)、iをインクリメントして(ステップS908)、「i>n」か否かを判断する(ステップS909)。
【0093】
ここで、「i≦n」の場合(ステップS909:No)、ステップS902に戻る。一方、「i>n」の場合(ステップS909:Yes)、図10に示すステップS1001に移行する。
【0094】
図10のフローチャートにおいて、まず、「i=1」とし(ステップS1001)、検出部502により、車両データテーブル400を参照して、地点Siの車両データの中からフラグBが設定された車両データを選択する(ステップS1002)。このあと、検出部502により、地点Siの車両データの中から、選択された車両データの直近かつフラグBが未設定の前後の車両データを検出する(ステップS1003)。
【0095】
このあと、検出部502により、車両データが検出されたか否かを判断し(ステップS1004)、非検出の場合(ステップS1004:No)、ステップS1009に移行する。一方、車両データが検出された場合(ステップS1004:Yes)、検出された車両データの撮影時刻が、選択された車両データの撮影時刻の一定時間T内か否かを判断する(ステップS1005)。
【0096】
ここで、一定時間T外の場合(ステップS1005:No)、ステップS1009に移行する。一方、一定時間T内の場合(ステップS1005:Yes)、判定部503により、選択された車両データのアイリス値と検出された車両データのアイリス値との差分が範囲c内か否を判定する(ステップS1006)。
【0097】
ここで、範囲c外の場合(ステップS1006:No)、ステップS1009に移行する。一方、範囲c内の場合(ステップS1006:Yes)、判定部503により、選択された車両データのシャッタースピードと検出された車両データのシャッタースピードとが同一か否かを判断する(ステップS1007)。
【0098】
ここで、シャッタースピードが異なる場合(ステップS1007:No)、ステップS1009に移行する。一方、シャッタースピードが同一の場合(ステップS1007:Yes)、判定部503により、選択された車両データの第1フラグにフラグAを設定する(ステップS1008)。そして、検出部502により、地点Siの車両データの中から選択されていないフラグBが設定された未選択の車両データがあるか否かを判断する(ステップS1009)。
【0099】
ここで、未選択の車両データがある場合(ステップS1009:Yes)、ステップS1002に戻る。一方、未選択の車両データがない場合(ステップS1009:No)、iをインクリメントして(ステップS1010)、「i>n」か否かを判断する(ステップS1011)。
【0100】
ここで、「i≦n」の場合(ステップS1011:No)、ステップS1002に戻る。一方、「i>n」の場合(ステップS1011:Yes)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。なお、ステップS1002において、地点Siの車両データの中にフラグBが設定された車両データが存在しない場合はステップS1010に移行することにしてもよい。
【0101】
これにより、撮影カメラ202により撮影された画像から得られる文字パターンのマッチング率が低い車両のうち、文字パターンが不鮮明な車両を特定できる。
【0102】
<報知処理手順>
つぎに、車両監視装置201の報知処理手順について説明する。図11は、車両監視装置の報知処理手順の一例を示すフローチャート(その1)である。ただし、「撮影カメラ202−i」が設置された地点を「地点Si」と表記する(i=1,2,…,n)。
【0103】
図11のフローチャートにおいて、まず、計数部505により、「i=1」とし(ステップS1101)、車両データテーブル400を参照して、特定期間Xの地点Siの車両データ群を特定する(ステップS1102)。このあと、計数部505により、特定された車両データ群のうちフラグCが設定されている車両データを計数する(ステップS1103)。そして、判定部503により、特定期間X内の車両データの総数に対する計数結果の割合が閾値e以上か否かを判定する(ステップS1104)。
【0104】
ここで、閾値e以上の場合(ステップS1104:Yes)、作成部506により、地点Siに設置された撮影カメラ202−iに関するメジャーアラームを作成する(ステップS1105)。そして、出力部507により、作成されたメジャーアラームを出力して(ステップS1106)、ステップS1111に移行する。
【0105】
一方、ステップS1104において、閾値e未満の場合(ステップS1104:No)、計数部505により、特定された車両データ群のうちフラグBが設定されている車両データを計数する(ステップS1107)。そして、判定部503により、特定期間X内の車両データの総数に対する計数結果の割合が閾値f以上か否かを判定する(ステップS1108)。
【0106】
ここで、閾値f未満の場合(ステップS1108:No)、ステップS1111に移行する。一方、閾値f以上の場合(ステップS1108:Yes)、作成部506により、地点Siに設置された撮影カメラ202−iに関するマイナーアラームを作成する(ステップS1109)。そして、出力部507により、作成されたマイナーアラームを出力する(ステップS1110)。
【0107】
このあと、計数部505により、iをインクリメントして(ステップS1111)、「i>n」か否かを判断する(ステップS1112)。ここで、「i≦n」の場合(ステップS1112:No)、ステップS1102に戻る。一方、「i>n」の場合(ステップS1112:Yes)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0108】
なお、ステップS1107において、計数部505により、車両データ群のうち、フラグBが設定され、かつ、フラグAが非設定の車両データを計数することにしてもよい。
【0109】
これにより、撮影カメラ202の汚れが進行していることを管理者に警告することができる。また、撮影カメラ202が汚れている、または撮影カメラ202が故障していることを管理者に警告することができる。
【0110】
なお、図11に示した報知処理手順は、たとえば、定期的(1時間ごと、1日ごと)に実行することにしてもよい。そして、たとえば、単位時間当たりのフラグB、Cの割合が前回測定時と比較して増加傾向にある場合あるいは極端に増加している場合は、急激な認識性能の低下と判断してメジャーアラームを管理者に提示し、目視による運用に切り替えることにしてもよい。
【0111】
図12は、車両監視装置の報知処理手順の一例を示すフローチャート(その2)である。図12のフローチャートにおいて、まず、計数部505により、車両データテーブル400を参照して、特定期間Xの地点S1〜Snの車両データ群を特定する(ステップS1201)。
【0112】
このあと、計数部505により、特定された車両データ群のうちフラグAが設定されている任意の車両データを選択する(ステップS1202)。そして、計数部505により、文字パターンが選択された車両データと同一かつフラグAが設定された車両データを計数する(ステップS1203)。
【0113】
つぎに、判定部503により、計数された計数結果が閾値g以上か否かを判定する(ステップS1204)。ここで、閾値g未満の場合(ステップS1204:No)、ステップS1207に移行する。一方、閾値g以上の場合(ステップS1204:Yes)、作成部506により、文字パターンの一部または全部が定常的に不鮮明であることを示す確認画面を作成する(ステップS1205)。
【0114】
そして、出力部507により、作成された確認画面を出力する(ステップS1206)。このあと、計数部505により、特定された車両データ群のうちフラグAが設定されている未選択の車両データがあるか否かを判断する(ステップS1207)。
【0115】
ここで、未選択の車両データがある場合(ステップS1207:Yes)、ステップS1202に戻る。一方、未選択の車両データがない場合(ステップS1207:No)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0116】
これにより、文字パターンの一部または全部が定常的に不鮮明である車両の文字パターンを管理者に提示することができる。
【0117】
(認識装置の認識処理手順)
つぎに、認識装置203の認識処理手順について説明する。図13は、認識装置の認識処理手順の一例を示す説明図である。図13のフローチャートにおいて、まず、認識装置203により、走行中の車両を撮影した画像を撮影カメラ202から取得したか否かを判断する(ステップS1301)。
【0118】
ここで、画像を取得するのを待って(ステップS1301:No)、取得した場合(ステップS1301:Yes)、認識装置203により、取得した画像を用いて認識処理を実行する(ステップS1302)。なお、取得した画像には、撮影時における撮影カメラ202の撮影条件が付与されている。
【0119】
このあと、認識装置203により、取得した画像を圧縮する(ステップS1303)。そして、認識装置203により、認識結果に基づいて車両データを作成し(ステップS1304)、作成された車両データを車両監視装置201に送信して(ステップS1305)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。なお、車両データには、圧縮された画像が添付されている。
【0120】
なお、車両監視装置201は、撮影カメラ202から取得した画像を受信し、認識装置203において行われる認識処理を認識装置203側で行うこととしてもよい。
【0121】
以上説明したように、本開示技術によれば、撮影カメラ202により撮影された画像から得られる文字パターンのマッチング率から文字パターンが不鮮明な車両を絞り込み、撮影カメラ202の撮影条件から文字パターンが不鮮明な車両を特定できる。
【0122】
また、本開示技術によれば、各車両の撮影時における撮影カメラ202のアイリス値から撮影条件を判断することができる。
【0123】
また、本開示技術によれば、各車両の撮影時における撮影カメラ202のシャッタースピードから撮影条件を判断することができる。
【0124】
また、本開示技術によれば、撮影カメラ202により撮影された画像全体の平均輝度と該画像内の文字パターン領域の平均輝度とから文字パターンが不鮮明な車両を絞り込むことができる。これにより、認識装置203における画像を解析して文字パターンのマッチング率を求める処理が不要となる。
【0125】
また、本開示技術によれば、特定期間X内でのマッチング率の低い車両の割合から撮影カメラ202の汚れの進行度を判断して警告情報(マイナーアラーム)を報知することができる。これにより、従来のように、車両の文字パターン領域自体の汚れを撮影カメラ202の汚れと誤認して、撮影カメラ202の清掃にかかる負担の増加を招くことなく、適切な時期での撮影カメラ202の清掃作業が可能となり、認識性能の低下を防ぐことができる。
【0126】
また、本開示技術によれば、特定期間X内での文字パターンを認識不能な車両の割合から撮影カメラ202の汚れまたは撮影カメラ202の故障を判断して警告情報(メジャーアラーム)を報知することができる。これにより、撮影カメラ202の急激な汚れや故障に迅速に対応することが可能となり、認識性能の低下を防ぐことができる。
【0127】
また、本開示技術によれば、特定期間X内での文字パターンが不鮮明であると判断された回数を車両ごとに計数することにより、定常的に文字パターンが不鮮明な車両を特定して確認情報を報知することができる。
【0128】
また、本開示技術によれば、確認情報とともに文字パターン領域の画像を時系列に提示することにより、汚れの進行状況や有色系カバーの装着をユーザが目視で確認できる。
【0129】
なお、本実施の形態で説明した車両監視方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本車両監視プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、本車両監視プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
【0130】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0131】
(付記1)所定の地点に設置されたカメラにより撮影された画像を解析して認識される、車両の文字パターン内の文字列に含まれる文字の形状のテンプレートに対するマッチング率と、前記画像の撮影時刻とを含む車両データを複数取得する取得手段と、
前記複数の車両データから、前記マッチング率が所定の第1の閾値未満である第1車両データを検出する第1の検出手段と、
前記複数の車両データから、前記マッチング率が所定の第2の閾値以上でかつ前記撮影時刻が前記第1車両データの前記撮影時刻から一定時間内である第2車両データを検出する第2の検出手段と、
前記第2の検出手段により前記第2車両データが検出された場合、前記第1車両データを出力対象車両データとして決定する決定手段と、
前記出力対象車両データに対応する車両の情報を所定の装置に対して出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする車両監視装置。
【0132】
(付記2)前記車両データには、当該車両データに対応する前記画像の撮影条件を示す値が含まれており、
前記第1の検出手段により検出された前記第1車両データの前記撮影条件を示す値の、前記第2の検出手段により検出された前記第2車両データの前記撮影条件を示す値との差分が所定範囲内か否かを判定する判定手段を備え、
前記決定手段は、前記判定手段により前記差分が所定範囲内であると判定された前記第1車両データのみを前記出力対象車両データとして決定することを特徴とする付記1に記載の車両監視装置。
【0133】
(付記3)前記判定手段は、前記第1車両データに含まれる前記カメラの絞り度合と、前記第2車両データに含まれる前記カメラの絞り度合との差分が所定範囲内であるか否かを判定し、
前記決定手段は、
前記判定手段により前記所定範囲内であると判定された前記第1車両データのみを前記出力対象車両データとして決定することを特徴とする付記2に記載の車両監視装置。
【0134】
(付記4)前記判定手段は、前記第1車両データに含まれる前記カメラのシャッタースピードと、前記第2車両データに含まれる前記カメラのシャッタースピードとが同一か否かを判定し、
前記決定手段は、前記判定手段によってシャッタースピードが同一と判定された前記第1車両データのみを前記出力対象車両データとして決定することを特徴とする付記2または3に記載の車両監視装置。
【0135】
(付記5)前記車両データは、前記画像全体での平均輝度および文字パターン領域での平均輝度を含んでおり、
前記第1の検出手段は、前記複数の車両データから、前記画像全体での平均輝度が所定の閾値以上でかつ前記文字パターン領域の平均輝度が前記閾値未満となる第1車両データを検出することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の車両監視装置。
【0136】
(付記6)所定の地点に設置されたカメラにより撮影された画像を解析して認識される、車両の文字パターン内の文字列と、当該文字列に含まれる文字の形状のテンプレートに対するマッチング率と、前記画像の撮影時刻と、を含む車両データを複数取得する取得手段と、
前記複数の車両データから、前記マッチング率が所定の第1の閾値未満である第1車両データを検出する検出手段と、
前記撮影時刻が特定期間内である前記第1車両データの数を、前記文字列ごとに計数する計数手段と、
前記計数手段によって計数された前記第1車両データの数が所定の第2の閾値以上か否かを前記文字列ごとに判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記第2の閾値以上と判定された前記文字列がある場合、当該文字列に対応する前記第1車両データを出力対象車両データとして決定する決定手段と、
前記出力対象車両データに対応する車両の情報を所定の装置に対して出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする車両監視装置。
【0137】
(付記7)前記複数の車両データには、当該各車両データに対応する前記画像を撮影したカメラの識別子が含まれており、
特定のカメラの前記識別子を含みかつ前記撮影時刻が特定期間内である複数の前記車両データからなる車両データ群に含まれる全車両データの数と、当該車両データ群に含まれる前記第1車両データの数とを計数する第2の計数手段と、
前記第2の計数手段により計数された前記全車両データの数に対する当該第2の計数手段により計数された前記第1車両データの数の割合が所定の第3の閾値以上か否かを判定する第2の判定手段と、を備え、
前記出力手段は、前記第2の判定手段によって前記第3の閾値以上と判定された場合に、前記特定のカメラの識別子に対応するカメラの情報を出力することを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の車両監視装置。
【0138】
(付記8)前記複数の車両データには、当該各車両データに対応する前記画像を撮影したカメラの識別子が含まれており、
前記複数の車両データから、前記文字列が認識不能である第3車両データを検出する第3の検出手段と、
特定のカメラの前記識別子を含みかつ前記撮影時刻が特定期間内である複数の前記車両データからなる車両データ群に含まれる全車両データの数と、当該車両データ群に含まれる前記第3車両データの数とを計数する第3の計数手段と、
前記第3の計数手段により計数された前記全車両データの数に対する当該第3の計数手段により計数された前記第3車両データの数の割合が所定の第4の閾値以上か否かを判定する第3の判定手段と、を備え、
前記出力手段は、前記の第3の判定手段によって前記第4の閾値以上と判定された場合に、前記特定のカメラの識別子に対応するカメラの情報を出力することを特徴とする付記1〜7のいずれか一つに記載の車両監視装置。
【0139】
(付記9)コンピュータを、
所定の地点に設置されたカメラにより撮影された画像を解析して認識される、車両の文字パターン内の文字列に含まれる文字の形状のテンプレートに対するマッチング率と、前記画像の撮影時刻とを含む車両データを複数取得する取得手段、
前記複数の車両データから、前記マッチング率が所定の第1の閾値未満である第1車両データを検出する第1の検出手段、
前記複数の車両データから、前記マッチング率が所定の第2の閾値以上でかつ前記撮影時刻が前記第1車両データの前記撮影時刻から一定時間内である第2車両データを検出する第2の検出手段、
前記第2の検出手段により前記第2車両データが検出された場合、前記第1車両データを出力対象車両データとして決定する決定手段、
前記出力対象車両データに対応する車両の情報を所定の装置に対して出力する出力手段、
として機能させることを特徴とする車両監視プログラム。
【符号の説明】
【0140】
200 車両監視システム
201 車両監視装置
202,202−1〜202−n,C 撮影カメラ
203,203−1〜203−n 認識装置
501 取得部
502 検出部
503 判定部
504 決定部
505 計数部
506 作成部
507 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の地点に設置されたカメラにより撮影された画像を解析して認識される、車両の文字パターン内の文字列に含まれる文字の形状のテンプレートに対するマッチング率と、前記画像の撮影時刻とを含む車両データを複数取得する取得手段と、
前記複数の車両データから、前記マッチング率が所定の第1の閾値未満である第1車両データを検出する第1の検出手段と、
前記複数の車両データから、前記マッチング率が所定の第2の閾値以上でかつ前記撮影時刻が前記第1車両データの前記撮影時刻から一定時間内である第2車両データを検出する第2の検出手段と、
前記第2の検出手段により前記第2車両データが検出された場合、前記第1車両データを出力対象車両データとして決定する決定手段と、
前記出力対象車両データに対応する車両の情報を所定の装置に対して出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする車両監視装置。
【請求項2】
前記車両データには、当該車両データに対応する前記画像の撮影条件を示す値が含まれており、
前記第1の検出手段により検出された前記第1車両データの前記撮影条件を示す値の、前記第2の検出手段により検出された前記第2車両データの前記撮影条件を示す値との差分が所定範囲内か否かを判定する判定手段を備え、
前記決定手段は、前記判定手段により前記差分が所定範囲内であると判定された前記第1車両データのみを前記出力対象車両データとして決定することを特徴とする請求項1に記載の車両監視装置。
【請求項3】
所定の地点に設置されたカメラにより撮影された画像を解析して認識される、車両の文字パターン内の文字列と、当該文字列に含まれる文字の形状のテンプレートに対するマッチング率と、前記画像の撮影時刻と、を含む車両データを複数取得する取得手段と、
前記複数の車両データから、前記マッチング率が所定の第1の閾値未満である第1車両データを検出する検出手段と、
前記撮影時刻が特定期間内である前記第1車両データの数を、前記文字列ごとに計数する計数手段と、
前記計数手段によって計数された前記第1車両データの数が所定の第2の閾値以上か否かを前記文字列ごとに判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記第2の閾値以上と判定された前記文字列がある場合、当該文字列に対応する前記第1車両データを出力対象車両データとして決定する決定手段と、
前記出力対象車両データに対応する車両の情報を所定の装置に対して出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする車両監視装置。
【請求項4】
前記複数の車両データには、当該各車両データに対応する前記画像を撮影したカメラの識別子が含まれており、
特定のカメラの前記識別子を含みかつ前記撮影時刻が特定期間内である複数の前記車両データからなる車両データ群に含まれる全車両データの数と、当該車両データ群に含まれる前記第1車両データの数とを計数する第2の計数手段と、
前記第2の計数手段により計数された前記全車両データの数に対する当該第2の計数手段により計数された前記第1車両データの数の割合が所定の第3の閾値以上か否かを判定する第2の判定手段と、を備え、
前記出力手段は、前記第2の判定手段によって前記第3の閾値以上と判定された場合に、前記特定のカメラの識別子に対応するカメラの情報を出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の車両監視装置。
【請求項5】
前記複数の車両データには、当該各車両データに対応する前記画像を撮影したカメラの識別子が含まれており、
前記複数の車両データから、前記文字列が認識不能である第3車両データを検出する第3の検出手段と、
特定のカメラの前記識別子を含みかつ前記撮影時刻が特定期間内である複数の前記車両データからなる車両データ群に含まれる全車両データの数と、当該車両データ群に含まれる前記第3車両データの数とを計数する第3の計数手段と、
前記第3の計数手段により計数された前記全車両データの数に対する当該第3の計数手段により計数された前記第3車両データの数の割合が所定の第4の閾値以上か否かを判定する第3の判定手段と、を備え、
前記出力手段は、前記の第3の判定手段によって前記第4の閾値以上と判定された場合に、前記特定のカメラの識別子に対応するカメラの情報を出力することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の車両監視装置。
【請求項6】
コンピュータを、
所定の地点に設置されたカメラにより撮影された画像を解析して認識される、車両の文字パターン内の文字列に含まれる文字の形状のテンプレートに対するマッチング率と、前記画像の撮影時刻とを含む車両データを複数取得する取得手段、
前記複数の車両データから、前記マッチング率が所定の第1の閾値未満である第1車両データを検出する第1の検出手段、
前記複数の車両データから、前記マッチング率が所定の第2の閾値以上でかつ前記撮影時刻が前記第1車両データの前記撮影時刻から一定時間内である第2車両データを検出する第2の検出手段、
前記第2の検出手段により前記第2車両データが検出された場合、前記第1車両データを出力対象車両データとして決定する決定手段、
前記出力対象車両データに対応する車両の情報を所定の装置に対して出力する出力手段、
として機能させることを特徴とする車両監視プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−271770(P2010−271770A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120957(P2009−120957)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】