説明

車両駆動ユニットの制御装置

【課題】特定の車両制御のために振動成分を含むトルクが要求され、且つ、特定車両制御以外の車両制御のための効率要求も存在する場合に、スロットルをばたつかせることなくそれら要求に沿ったトルクと効率とを実現する。
【解決手段】振動成分を含む特定要求トルクの発生に連動して特定車両制御用のモデルトルクを生成し、特定要求トルクのモデルトルクに対する比率を特定要求効率として算出する。そして、特定要求効率にその他の要求効率を乗じて得られる値を総合要求効率として算出する。次に、特定要求トルクを総合要求効率で除算することにより得られる要求潜在トルクをその実現に必要な筒内空気量に変換し、その筒内空気量に基づいてスロットルへ向けた開度指令値を決定する。また、開度指令値に従ってスロットルを操作した場合の推定潜在トルクを算出し、推定潜在トルクに対する特定要求トルクの比率を指示効率として点火時期を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力装置として内燃機関を備える車両駆動ユニットの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関を備える車両駆動ユニットの制御方法の1つとして、例えば特開2009−047102号公報に開示されているように、トルクとともに効率を制御量として各アクチュエータの操作量を決定する方法が知られている。ここでいう効率とは、内燃機関が出力しうる潜在トルクに対する実際に出力されるトルクの比率を意味する。この効率が1よりも小さい場合、潜在トルクと実際の出力トルクとの間に余裕が生じ、その余裕分のエネルギはトルク以外の形態で内燃機関から出力されることになる。その代表例が排気ガスの内部エネルギであり、効率を低下させることで排気ガスの温度を上昇させることができる。これは触媒の昇温に利用することができる。効率を制御するための手段としては点火時期を用いることができる。点火時期のMBTを基準にした遅角量を大きくするほど、効率は低下して潜在トルクと実際の出力トルクとの間の余裕は大きくなる。点火時期の操作に対するトルクの応答性はスロットルの操作に対するそれよりも優れていることから、効率を低く設定して前記の余裕分をリザーブトルクとして確保しておくことで、緊急のトルク需要にも対応することが可能となる。
【0003】
制御量としてのトルクや効率には、様々な観点からの要求がある。トルクの場合は、ドライバの加速要求を満たすための要求トルクや、横滑り防止等の駆動制御のための要求トルク等がある。効率の場合は、触媒の暖機のための要求効率や、リザーブトルクを確保するための要求効率等がある。各要求効率のデフォルトは1であり、要求が大きいほど効率の値は1よりも小さい値とされる。前述の特許公報に記載されている制御装置(以下、先行装置)では、このように1つの制御量に対して複数の要求が存在する場合、調停によって最終的な要求制御量が決定されている。ここでいう調停とは、予め定められた規則に従って行われる複数の数値から1つの数値を得るための計算処理である。その具体的な計算規則としては、最大値選択、最小値選択、平均、或いは重ね合わせ等が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−047102号公報
【特許文献2】特開2009−162198号公報
【特許文献3】特開2009−047100号公報
【特許文献4】特開2009−162185号公報
【特許文献5】特開2008−280984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
内燃機関に出力が要求されるトルクには、アイドル回転数制御のための要求トルク(以下、ISC要求トルク)が含まれる。アイドル回転数制御では、内燃機関の回転数が所定の目標アイドル回転数になるように、目標アイドル回転数と実際の回転数との偏差がISC要求トルクにフィードバックされる。このため、ISC要求トルクには比較的高い周波数の振動成分が含まれる場合がある。
【0006】
前述の先行技術では、要求トルクは要求効率で除算されて嵩上され、嵩上された要求トルクを空気量に変換したものからスロットル開度が算出される。このため、高周波成分を含むISC要求トルクがそのまま空気量に変換された場合は、それに基づき算出されるスロットル開度も振動的になってしまう。振動的なスロットル開度を操作量としてスロットルを操作した場合、スロットルのばたつきによってその動作量が増加し、結果、スロットルの耐久性を悪化させてしまう。
【0007】
このような問題の対策としては、ISC要求トルクと同じ振動成分を有する要求効率(以下、ISC要求効率)を生成し、ISC要求トルク及びISC要求効率を用いて各操作量の演算を行うことが有効である。同じ振動成分を有するISC要求効率によってISC要求トルクを除算することで、ISC要求トルクに含まれる高周波成分はキャンセルされる。これにより、スロットル開度は高周波成分を有しない空気量に基づいて算出されることになって、高周波成分の影響によるスロットルのばたつきは防止される。
【0008】
ところが、内燃機関の制御量として要求される効率はISC要求効率のみとは限らない。例えば内燃機関の冷間始動時であれば、触媒の暖機のための要求効率(以下、触媒暖機要求効率)がISC要求効率と並んで存在する場合がある。この場合、前述の先行技術によれば、最小値選択によってISC要求効率と触媒暖機要求効率との調停が行われ、選択されたほうが最終的な要求効率としてスロットル開度の計算に反映されることになる。触媒暖機要求効率が最終的な要求効率として選択された場合、そこにはISC要求トルクの高周波成分をキャンセルするような振動成分は含まれていない。このため、操作量として算出されるスロットル開度は振動的なものになってしまい、スロットルのばたつきを発生させてしまう。
【0009】
本発明は上述のような課題に鑑みなされたもので、車両駆動ユニットの制御装置に関し、特定の車両制御のために振動成分を含むトルクが要求され、且つ、特定車両制御以外の車両制御のための効率要求も存在する場合に、スロットルをばたつかせることなくそれら要求に沿ったトルクと効率とを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、第1の発明の車両駆動ユニットの制御装置は、
内燃機関により出力されるトルクと前記内燃機関が出力しうる潜在トルクに対する実際に出力されるトルクの比率(以下、効率)とを制御量とし、スロットルの開度と点火時期とを操作量として前記内燃機関の運転を制御する車両駆動ユニットの制御装置において、
特定の車両制御のために振動成分を含む要求トルク(以下、特定要求トルク)を発生させる要求トルク発生手段と、
前記特定要求トルクの発生に連動して前記特定車両制御のためのモデルトルクを生成するモデルトルク生成手段と、
前記特定要求トルクの前記モデルトルクに対する比率を特定要求効率として算出する特定要求効率算出手段と、
前記特定車両制御以外の車両制御のために要求効率(以下、その他の要求効率)を発生させる要求効率発生手段と、
前記特定要求効率に前記その他の要求効率を乗じて得られる値を総合要求効率として算出する総合要求効率算出手段と、
前記要求トルクを前記総合要求効率で除算することにより要求潜在トルクを算出する要求潜在トルク算出手段と、
前記要求潜在トルクの実現に必要な筒内空気量(以下、要求筒内空気量)を算出する要求筒内空気量算出手段と、
前記要求筒内空気量に基づいて前記スロットルへ向けた開度指令値を決定する開度指令値決定手段と、
前記開度指令値に従って前記スロットルを操作した場合の推定潜在トルクを算出する推定潜在トルク算出手段と、
前記要求トルクの前記推定潜在トルクに対する比率(以下、推定効率)を算出する推定効率算出手段と、
前記推定効率を指示効率として前記要求トルクを実現させるための点火時期を決定する点火時期決定手段と、
を備えることを特徴としている。
【0011】
また、第2の発明の車両駆動ユニットの制御装置は、第1の発明の車両駆動ユニットの制御装置において、前記特定車両制御はアイドル運転時に行われるアイドル回転数制御であり、前記特定車両制御以外の車両制御には触媒の暖機のための排気温度制御が含まれることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明の車両駆動ユニットの制御装置によれば、特定要求トルクに含まれる振動成分は、特定要求トルクとモデルトルクとの比として算出される特定要求効率に反映され、さらに、特定要求効率にその他の要求効率を乗じて得られる総合要求効率に反映される。したがって、特定要求トルクを総合要求効率で除算して得られる要求潜在トルクからは、特定要求トルクに含まれる振動成分は除去される。これにより、要求潜在トルクを基礎として算出される開度指令値は振動のない安定したものとなり、開度指令値に従いスロットルが操作されたときのスロットルのばたつきは防止される。また、点火時期の計算の基礎となる指示効率は、前記開度指令値に従ってスロットルを操作した場合の推定潜在トルクに対する特定要求トルクの比率であり、定常状態においては特定要求効率とその他の要求効率との積である総合要求効率に一致する。したがって、前記開度指令値に従いスロットルが操作されるとともに、前記指示効率に従って点火時期が操作されることで、要求に沿ったトルクと効率とが同時に実現されることになる。
【0013】
第2の発明の車両駆動ユニットの制御装置によれば、スロットルをばたつかせることなく、アイドル回転数制御と触媒の暖機のための排気温度制御とを並行して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態の車両駆動ユニットの制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図1を参照して説明する。
【0016】
本実施の形態において制御対象とされる内燃機関は、火花点火式の4サイクルレシプロエンジンである。車両駆動ユニットの制御装置は、スロットルと点火装置とを操作することで内燃機関の運転を制御する。制御装置によるスロットルの操作量はスロットル開度であり、点火装置の操作量は点火時期である。制御装置は、内燃機関に対して各操作量の指令値、すなわち、開度指令値と点火時期指令値とを出力する。
【0017】
図1は本発明の実施の形態の車両駆動ユニットの制御装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の制御装置は、アイドル回転数制御を実施するためのISC機能部2を備えている。ISC機能部2には、ISC要求トルクを発生させるISC要求トルク発生部4、ISC基本トルク生成部6、そして、ISC要求効率算出部8が設けられている。
【0018】
ISC要求トルク発生部4は、車両のアイドル運転時、内燃機関の回転数が目標回転数になるようにフィードバック制御によってISC要求トルクを調整する。このため、図1中に波形を示すように、ISC要求トルク発生部4から出力されるISC要求トルクには高周波成分が含まれる。
【0019】
モデルトルク生成部6は、ISC要求トルク発生部4によるISC要求トルクの発生に連動してアイドル回転数制御用のモデルトルクを生成する。モデルトルクは、後述の触媒暖機要求効率とその他要求効率が何れも1と仮定した場合の許容最大トルクである。図1中に波形を示すように、このモデルトルクには振動成分は含まれない。
【0020】
ISC要求効率算出部8は、ISC要求トルクのモデルトルクに対する比率をISC要求効率として算出する。得られたISC要求効率には、図1中に波形を示すように、ISC要求トルクに含まれる高周波成分と同様の高周波成分が含まれることになる。
【0021】
ISC機能部2は、ISC要求トルク発生部4で発生するISC要求トルクと、ISC要求効率算出部8で算出されるISC要求効率とをアイドル回転数制御のための要求制御量として出力する。ただし、出力されるISC要求効率のデフォルトは1であり、ISC要求効率算出部8でISC要求効率の計算が行われた場合のみ、その算出値がISC要求効率として出力される。したがって、アイドル運転が行われていない場合には、ISC機能部2から出力されるISC要求トルクはゼロとなり、また、出力されるISC要求効率は1となる。
【0022】
ISC機能部2から出力されるISC要求トルクは、目標トルク算出部14に入力される。目標トルク算出部14には、ISC要求トルクのみならず、ドライバ要求トルク等の様々な種類の要求トルクが入力される。目標トルク算出部14は、入力された様々な種類の要求トルクを調停し、その調停結果を目標トルクとして算出する。ただし、車両が非走行状態となるアイドル運転時には、ドライバ要求トルクを始めとして駆動に関係する要求トルクは発生せず、目標トルク算出部14にはISC要求トルクのみが入力される。このため、アイドル運転時には、ISC要求トルクがそのまま目標トルクとして目標トルク算出部14から出力される。
【0023】
ISC機能部2から出力されるISC要求効率は、目標効率算出部16に入力される。目標効率算出部16に入力される要求効率には、ISC要求効率の他に触媒暖機機能部10からの要求効率も含まれている。触媒暖機機能部10は、冷間始動時のように触媒温度が低いと予想される場合に、1よりも小さい効率を要求することで内燃機関からの排出熱を増大させ、それによって触媒の暖機を促進する。目標効率算出部16は、ISC要求効率と触媒暖機要求効率とを含む様々な種類の要求効率を総合して調停し、その調停結果である総合要求効率を目標効率として算出する。
【0024】
目標効率算出部16における調停の方法、すなわち、調停のための計算規則は本実施の形態における1つの特徴である。目標効率算出部16は、集めた全ての要求効率を掛け合わせてその積を目標効率として算出する。このため、アイドル運転時、ISC要求の他に要求がない場合には、ISC要求効率以外の要求効率は全て1になることから、ISC要求効率がそのまま目標効率として目標効率算出部16から出力される。一方、ISC要求と並行して触媒暖機要求が存在する場合には、ISC要求効率と触媒暖機要求効率との積が目標効率として目標効率算出部16から出力される。何れにしても、図1中に波形を示すように、目標効率にはISC要求効率と同様の高周波成分が含まれることになる。
【0025】
以上のようにして決定された目標トルクと目標効率は、目標MBTトルク算出部18に入力される。目標MBTトルク算出部18は、目標効率によって目標トルクを除算することによって目標MBTトルクを得る。目標MBTトルクは点火時期がMBTであることを前提としたときの出力トルクの目標値であり、前述の潜在トルクの要求値、すなわち、要求潜在トルクである。
【0026】
目標トルクがISC要求トルクである場合、そこに含まれる高周波成分は、同様の高周波成分を含む目標効率による除算によってキャンセルされる。この点について式を用いて具体的に説明する。まず、図1中に記号で示しているように、ISC要求トルクをA、モデルトルクをB、ISC要求効率をC、触媒暖機要求効率をD、目標効率をE、そして、目標MBTトルクをFと表記する。すると、触媒暖機要求が無い場合、すなわち、触媒暖機要求効率D=1の場合には、目標MBTトルクは以下の式(1)で表すことができる。一方、触媒暖機要求が有る場合、すなわち、触媒暖機要求効率D<1の場合には、目標MBTトルクは以下の式(2)で表すことができる。
F=A/E=A/C=B ・・・式(1)
F=A/E=A/(C×D)=B/D ・・・式(2)
【0027】
式(1)に示すように、触媒暖機要求が無い場合には、目標MBTトルクは高周波成分を有しないモデルトルクに一致する。また、触媒暖機要求が有る場合には、式(2)に示すように、目標MBTトルクはモデルトルクを触媒暖機要求効率で除算した値に一致する。つまり、本実施の形態の制御装置によれば、図1中に波形を示すように、目標MBTトルクからはISC要求トルクに含まれる高周波成分は除去される。
【0028】
目標MBTトルクは、筒内空気量算出部20において筒内空気量(或いは充填効率)の値に変換される。筒内空気量算出部20は、トルクの筒内空気量への変換にマップを使用する。このマップは、点火時期がMBTであることを前提にして、トルクと筒内空気量とが種々の機関情報をキーにして関連付けられたマップである。ここでは、要求潜在トルクである目標MBTトルクの実現に必要な筒内空気量、すなわち、要求筒内空気量が計算される。
【0029】
次に、スロットル開度算出部22において、要求筒内空気量がスロットルへの開度指令値に変換される。変換にはエアモデルの逆モデル(エア逆モデル)が用いられる。エアモデルはスロットルの動作に対する筒内空気量の応答を流体力学等に基づいてモデル化した吸気系の物理モデルである。その逆モデルによって算出されたスロットル開度は要求筒内空気量の達成に必要なスロットル開度であり、制御装置はそれを開度指令値としてスロットルに出力する。図1中に波形を示すように、目標MBTトルクを基礎として算出される開度指令値は振動のない安定したものとなる。これにより、開度指令値に従いスロットルが操作されたときのスロットルのばたつきは防止される。
【0030】
本実施の形態の制御装置は、上記の処理と並行して、実際のスロットル開度に基づいた推定MBTトルクの計算を推定MBTトルク算出部24にて実施する。推定MBTトルクは点火時期をMBTと仮定した場合の推定トルクであり、これは現在のスロットル開度のもとで内燃機関が潜在的に出力可能なトルク(推定潜在トルク)を意味する。推定MBTトルクの計算にはマップが用いられる。このマップは、点火時期がMBTであることを前提にして、トルクと空気量とが種々の機関情報をキーにして関連付けられたマップである。
【0031】
推定MBTトルクは複製された目標トルクとともにトルク効率算出部26に入力される。トルク効率算出部26では、目標トルクの推定MBTトルクに対する比率がトルク効率として算出される。トルク効率は、現在のスロットル開度のもとで目標トルクを達成するように点火装置を操作した場合の推定効率であり、定常状態においては目標効率に一致する。このため、図1中に波形を示すように、トルク効率には目標効率と同様の高周波成分が含まれることになる。
【0032】
トルク効率算出部26で計算されたトルク効率は、点火時期算出部28に指示効率として入力される。点火時期算出部28は目標トルクを実現させるための点火時期を指示効率に基づいて計算する。その計算には、指示効率と点火時期とを種々の機関情報をキーにして関連付けたマップが用いられる。このマップでは、指示効率が1よりも小さいほど点火時期のMBTからの遅角量は大きくされている。点火時期算出部28は、その算出値を点火時期指令値として点火装置に出力する。点火装置にはスロットルのような指令信号に対する動作の応答遅れはないので、図1中に波形を示すような高周波数の点火時期指令値が入力された場合であっても、指令通りに点火時期の操作が行われる。これにより、目標通りのトルクと効率とが同時に実現されることになる。
【0033】
以上説明したように、本実施の形態の制御装置によれば、スロットルをばたつかせることなく、アイドル回転数制御と触媒の暖機のための排気温度制御とを並行して行うことができる。
【符号の説明】
【0034】
2 ISC機能部
4 ISC要求トルク発生部
6 モデルトルク生成部
8 ISC要求トルク算出部
10 触媒暖機機能部
14 目標トルク算出部
16 目標効率算出部
18 目標MBTトルク算出部
20 筒内空気量算出部
22 スロットル開度算出部
24 推定MBTトルク算出部
26 トルク効率算出部
28 点火時期算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関により出力されるトルクと前記内燃機関が出力しうる潜在トルクに対する実際に出力されるトルクの比率(以下、効率)とを制御量とし、スロットルの開度と点火時期とを操作量として前記内燃機関の運転を制御する車両駆動ユニットの制御装置において、
特定の車両制御のために振動成分を含む要求トルク(以下、特定要求トルク)を発生させる要求トルク発生手段と、
前記特定要求トルクの発生に連動して前記特定車両制御のためのモデルトルクを生成するモデルトルク生成手段と、
前記特定要求トルクの前記モデルトルクに対する比率を特定要求効率として算出する特定要求効率算出手段と、
前記特定車両制御以外の車両制御のために要求効率(以下、その他の要求効率)を発生させる要求効率発生手段と、
前記特定要求効率に前記その他の要求効率を乗じて得られる値を総合要求効率として算出する総合要求効率算出手段と、
前記特定要求トルクを前記総合要求効率で除算することにより要求潜在トルクを算出する要求潜在トルク算出手段と、
前記要求潜在トルクの実現に必要な筒内空気量(以下、要求筒内空気量)を算出する要求筒内空気量算出手段と、
前記要求筒内空気量に基づいて前記スロットルへ向けた開度指令値を決定する開度指令値決定手段と、
前記開度指令値に従って前記スロットルを操作した場合の推定潜在トルクを算出する推定潜在トルク算出手段と、
前記特定要求トルクの前記推定潜在トルクに対する比率(以下、推定効率)を算出する推定効率算出手段と、
前記推定効率を指示効率として前記特定要求トルクを実現させるための点火時期を決定する点火時期決定手段と、
を備えることを特徴とする車両駆動ユニットの制御装置。
【請求項2】
前記特定車両制御はアイドル運転時に行われるアイドル回転数制御であり、前記特定車両制御以外の車両制御には触媒の暖機のための排気温度制御が含まれることを特徴とする請求項1記載の車両駆動ユニットの制御装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−163182(P2011−163182A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25657(P2010−25657)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】