車両駆動制御装置
【課題】運転者が正規運転の状態にあるか否かを判断する。
【解決手段】運転者Dの正規運転時におけるヘルメット80のヘルメット輪郭基準データを記憶した記憶部104a〜104cと、ヘルメット80に相当する方向を略指向して撮像をするカメラ68と、該方向を略指向して赤外光を投光する赤外線LED70と、カメラ68により得られた画像とヘルメット輪郭基準データとを比較し、画像がヘルメット輪郭基準データに対応しているときにエンジンEの作動を許容し、非対応であるときに作動を禁止させる比較部106とを有する。
【解決手段】運転者Dの正規運転時におけるヘルメット80のヘルメット輪郭基準データを記憶した記憶部104a〜104cと、ヘルメット80に相当する方向を略指向して撮像をするカメラ68と、該方向を略指向して赤外光を投光する赤外線LED70と、カメラ68により得られた画像とヘルメット輪郭基準データとを比較し、画像がヘルメット輪郭基準データに対応しているときにエンジンEの作動を許容し、非対応であるときに作動を禁止させる比較部106とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者の正規運転時における特定箇所の情報に基づいて車両の駆動源の作動を許容し、又は禁止させる車両駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車の運転時に運転者はヘルメットを装着することが励行されて、このようなことを促進させるための装置が特許文献1及び特許文献2に提案されている。
【0003】
特許文献1及び特許文献2では、ヘルメットに所定のユニットが設けられ、該ユニットは、該ヘルメットが運転者の頭に正しく装着されたことを検出する手段と、正しく装着されたときに電波により運転許可を示す信号を送信する手段とを含んでいる。自動二輪車側では、該信号を受けてエンジン動作を許容する構成となっている。したがって、運転者がヘルメットを正しく装着しなければ自動二輪車を走行させることができず、ヘルメット着用を励行することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平2−31988号公報
【特許文献2】特開昭63−272969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記の特許文献1及び特許文献2記載の装置では、ヘルメット側に特殊なユニットを設けなければならず、通常のヘルメットに対しては適用することが難しく、又は相当の対応処置が必要である。また、該ユニットでは電力が必要であり、電池を搭載しなければならず、電池切れになるとヘルメットを装着していても運転ができないことになる。さらに、このようなユニットはある程度の重量があり、ヘルメット自体が重くなってしまう。さらに、ヘルメットの買い換え時の費用が高くなることが予測される。
【0006】
さらに、運転者はシートに正しい姿勢で乗車して、始動及び運転をすることが望まれており、例えば、シートから降りて側方に立った状態でエンジンの作動をすることは望ましくない。
【0007】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、該運転者が正規運転の状態にあるか否かを判断することのできる車両駆動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車両駆動制御装置は、以下の特徴を有する。
【0009】
第1の特徴; 運転者の正規運転時における特定箇所の基準情報が記録されている記憶部と、前記特定箇所に相当する方向を略指向して撮像をする撮像部と、前記撮像部により得られた画像と前記記憶部の前記基準情報とを比較し、前記画像が前記基準情報に対応しているときに車両の駆動源の作動を許容し、前記画像が前記基準情報に非対応であるときに所定の警告処理をする制御部と、を有することを特徴とする。
【0010】
このように、特定箇所を指向する撮像部による画像と、運転者の正規運転時における特定箇所の基準情報とを比較することにより、該運転者が正規運転の状態にあるか否かを判断することができる。
【0011】
第2の特徴; 前記警告処理は、前記駆動源の作動を禁止させる処理を含むことを特徴とする。これにより、制御部の判断結果に基づいて車両の駆動源の作動を許容し又は禁止することができる。
【0012】
第3の特徴; 前記特定箇所はヘルメットであることを特徴とする。これにより、運転者がヘルメットを装着していないときに車両の駆動源の作動を禁止することができる。
【0013】
第4の特徴; 前記特定箇所に相当する方向を略指向して赤外光を投光する投光部を有することを特徴とする。このような投光部を有すると夜間等の暗い箇所でも前記特定箇所を撮像することができる。
【0014】
第5の特徴; 前記基準情報は、前記特定箇所に設けられた複数の赤外線反射手段の配置情報であることを特徴とする。該特定箇所(ヘルメット等)に赤外光反射手段を設けておくと、赤外光が反射され、運転者の特定箇所の状態を簡便且つ確実に認識することができる。
【0015】
第6の特徴; 前記駆動源の始動後、前記撮像部は前記特定箇所の方向を継続的に撮像し、前記制御部は、前記撮像部により得られた画像と前記記憶部の前記基準情報とを比較し、前記画像が前記基準情報に非対応である状態が所定時間連続するときに、所定の警告処理をすることを特徴とする。これにより、始動時のみならず、走行時においても正規運転を維持するように励行できる。
【0016】
第7の特徴; 前記駆動源の始動後、前記撮像部は前記特定箇所の方向を継続的に撮像し、前記制御部は、前記撮像部により得られた画像と前記記憶部の前記基準情報とを比較し、前記画像が前記基準情報に非対応である状態が所定時間連続し、且つ前記車両が停止しているときに、前記駆動源を停止させることを特徴とする。これにより、始動後、正規運転でない運転をしている場合で停止したときには、再走行を禁止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る車両駆動制御装置によれば、特定箇所を指向する撮像部による画像と、運転者の正規運転時における特定箇所の基準情報とを比較することにより、該運転者が正規運転の状態にあるか否かを判断することができ、判断結果に基づいて所定の警報処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る車両駆動制御装置について実施の形態を挙げ、添付の図1〜図12を参照しながら説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係る車両駆動制御装置10は、スクータ式の自動二輪車12に適用される。自動二輪車12は、スクータ式以外の型であってもよい。先ず、自動二輪車12について説明する。
【0020】
図1に示すように、自動二輪車12は、前輪WFを軸支するフロントフォーク14ならびに該フロントフォーク14に連結されるハンドル16を操舵可能に支承するヘッドパイプ18を前端に備えるものであり、後輪WRを後端で支持するユニットスイングエンジンUEが車体フレームFの前後方向中間部で上下揺動可能に支承され、ユニットスイングエンジンUEよりも前方で車体フレームFには、燃料タンク20と、該燃料タンク20よりも後方に配置されるラジエータ22と、バッテリ24とが搭載される。また車体フレームFの後部には、前部シート26及び後部シート28を有してタンデム型に構成される乗車シート30が配置される。さらに車体フレームF、前記ユニットスイングエンジンUEの前部、燃料タンク20及びラジエータ22を覆う合成樹脂製の車体カバー32が車体フレームFに取付けられる。
【0021】
ユニットスイングエンジンUEは、シリンダ軸線をほぼ水平とした水冷式のエンジン(駆動源)Eと、該エンジンEの出力を、伝達ベルト及びプーリによって無段階に変速して後輪WRに伝達するベルト式の無段変速機Mとで構成されており、該無段変速機Mは、変速用の電動モータ34の作動に応じてクランクシャフト側の可動プーリを駆動して変速比を無段階に変化させるものである。
【0022】
前記無段変速機Mの変速機ケース36は、前記エンジンEにおけるクランクケース38の左側にエンジンEから左側に張り出すようにして連設され、後輪WRの左側まで延設される。また前記クランクケース38の右側には図示しないスイングアームの前端部が結合されており、後輪WRは、変速機ケース36の後端部及び前記スイングアームの後端部間に軸支される。
【0023】
また、車体フレームFの後端部には左右一対のリヤクッション40の上端部が連結され、両リヤクッション40の下端部は、変速機ケース36の後端部及びスイングアームの後端部に連結される。
【0024】
乗車シート30の下方には、物品を収容するための収納ボックス42が設けられており、乗車シート30の前端下方からリヤクッション40の上部近傍まで延在している。収納ボックス42は、乗車シート30が上面を覆う蓋を兼ねており、該乗車シート30を右側に引き上げることにより内部の空間が露呈される。
【0025】
車体カバー32のうち、フロントカウル44は、上部に透明のウインドスクリーン46を備え、該ウインドスクリーン46とハンドル16との間にはメータパネル48が設けられている。ハンドル16には、左右一対のバックミラー50が設けられている。インナカバー52は、運転者の脚部前部を覆うレッグシールド54と、ステップホルダ56とを備える。
【0026】
図2に示すように、メータパネル48は、左側のタコメータ60と、右側のスピードメータ62と、中央部やや下方に設けられたワーニング表示部64と、下方左右に設けられたウインカランプ66a及び66bと、ワーニング表示部64の上に設けて並列配置されたカメラ(撮像部)68及び赤外線LED(投光部)70と、内部に設けられた制御部72とを有する。スピードメータ62には、オドメータ74が含まれる。
【0027】
カメラ68は、例えばCCDカメラ又はCMOSカメラであり、運転者の頭の位置を撮像するために該方向を指向している。ここでいう運転者の頭の位置とは、運転者が正しい姿勢で運転している状態(正規運転時)での頭の位置である。カメラ68は、運転者の頭を確実に撮像するため、運転者の座高の違いを考慮し、ある程度広い撮像視野を有する。カメラ68で撮像され画像は制御部72に供給される。カメラ68は、赤外線領域の光を受光可能とする。
【0028】
赤外線LED70は、制御部72の作用下に赤外光(例えば、近赤外線で波長が700nm〜2500nmの光)を投光する投光手段であり、少なくとも運転者の頭の位置の方向に投光するように向きが設定されている。
【0029】
次に、本実施の形態に係る車両駆動制御装置10について説明する。
【0030】
図3に示すように、車両駆動制御装置10は、カメラ68、赤外線LED70及び制御部72を含む。制御部72は、カメラ68を制御するカメラ制御部100と、カメラ68で得られた画像を一時的に記憶する画像一時記憶部102と、所定のデータを記憶した不揮発性で読み書き可能な記憶部104a〜104cと、画像一時記憶部102の画像と記憶部104a〜104cのデータとを比較する比較部106と、赤外線LED70を制御する投光制御部108とを有する。
【0031】
記憶部104a〜104cには、運転者Dの正規運転時におけるヘルメット80の画像情報(基準情報)が記録されている。この情報は、運転者Dのヘルメット80の位置を撮像した画像をそのまま記憶してもよいし、所定の輪郭抽出等の画像処理を施した変換画像(二次元情報)として記憶してもよいし、画像におけるヘルメット80の形状、位置等を数値化したデータ(基準情報)として記憶してもよい。これらの基準情報は、二次元的な情報とするとよい。以下の例では、輪郭抽出等の画像処理を施した変換画像を記録するものとする。
【0032】
なお、記憶部104a〜104cは3つが独立的な記憶部であり、運転者の所有する3つまでのヘルメット80についての情報がそれぞれ個別に記憶可能である。さらに多くの記憶部(104d、104e…)を設け、典型的ないくつかのヘルメットの形状に関する情報を予め記録しておいてもよい。
【0033】
制御部72の比較部106は、点火プラグ110の点火制御をするイグニッション制御部112、フューエルインジェクタ114の制御をする燃料噴射制御部116、及び、スタータモータ118の制御をするスタータ制御部120に接続されている。
【0034】
比較部106は、カメラ68により得られた画像と記憶部104a〜104cの情報とを比較し、画像が該情報に対応しているときにエンジンEの作動を許容する信号「OK」を出力し、画像が該情報に非対応であるときにはエンジンEの作動を禁止させる信号「NG」を出力する。これらの信号は、イグニッション制御部112、燃料噴射制御部116及びスタータ制御部120に供給される。
【0035】
イグニッション制御部112では、信号「OK」を受信しているときには点火プラグ110による混合気への点火を行い、信号「NG」を受信しているときには点火を行わない。
【0036】
燃料噴射制御部116では、信号「OK」を受信しているときにはフューエルインジェクタ114による燃料噴射を行い、信号「NG」を受信しているときには燃料噴射を行わない。
【0037】
スタータ制御部120では、信号「OK」を受信しているときで所定のスタータスイッチが押されたときにはスタータモータ118を回転させ、信号「NG」を受信しているときにはスタータスイッチの状態に関わらずスタータモータ118を回転させない。
【0038】
比較部106の信号「NG」はイグニッション制御部112及び燃料噴射制御部116に供給されることから、該信号「NG」が出力されるときには、エンジンEの始動を禁止するだけでなく、すでに始動しているエンジンEを停止させることもできる。
【0039】
比較部106は、車速センサ122から車速Vを検出することができ、ブザー124に接続されており所定の警報音を発生させることができ、また、タイマー126に基づいて計時可能である。車両駆動制御装置10は、バッテリ24から図示しないキースイッチ等を介して電力の供給を受ける。
【0040】
次に、このように構成される車両駆動制御装置10の作用について説明する。先ず、図4に示す初期記憶処理を行う。この処理は、主に比較部106の作用下に行われる。なお、赤外線LED70は常時点灯しているものとするが、設計条件によってはカメラ68の撮像タイミングに合わせて点灯させてもよい。
【0041】
ステップS1において、エンジンEの動作中である場合にステップS2へ移る。
【0042】
ステップS2において、図示しない所定の記録スイッチが押されているか否かを確認する。記録スイッチが押されているときにはステップS3へ移り、押されていないときにはステップS1へ戻る。
【0043】
ステップS3において、カメラ68から画像150(図5参照)を画像一時記憶部102に取り込む。このとき、赤外線LED70が点灯しているので、夜間等の暗い箇所でも撮像をすることができる。赤外線は運転者に認識されないので、始動時及び運転時に運転者に無用に意識されることがない。
【0044】
ステップS4において、画像150からヘルメット80の部分の特徴抽出を行う。例えば、適当な輪郭抽出を行った後、基準となる半径Rの弧と近い形状部を抽出し、又は、所定の典型パターンと比較して一致度の高い箇所を抽出すればよい。これにより、図5の画像150では領域152の部分が抽出されて、図6A示すような輪郭特徴部が強調されたヘルメット輪郭基準データ154aとして得られる。
【0045】
このとき、ヘルメット80に相当する箇所を抽出できなければ、ブザー124による警報処理をするとよい。
【0046】
ステップS5において、ステップS4において得られたヘルメット輪郭基準データ154aを記憶部104aに記憶する。図6Aに示すように、ヘルメット輪郭基準データ154aは、フルフェイス型ヘルメットに対応したデータである。車両駆動制御装置10では、さらに複数のデータを記憶しておくことが可能であり、例えば、図6Bに示すように、ジェット型ヘルメットに対応したヘルメット輪郭基準データ154bを記憶部104bに記憶し、図6Cに示すように、オフロード型ヘルメットに対応したヘルメット輪郭基準データ154cを記憶部104cに記憶することができる。記憶部104a〜104cは不揮発性であり、電源を切っても記憶したデータは保存される。ステップS5の後、ステップS1へ戻る。
【0047】
次に、通常のエンジン始動時における車両駆動制御装置10の第1例としての処理内容について説明する。
【0048】
図7のステップS101において、キースイッチをオンにすることにより車両駆動制御装置10が起動する。なお、初期状態では比較部106は、信号「NG」を出力している(第2例でも同様である。)。
【0049】
ステップS102において、カメラ68から画像150(図5参照)を画像一時記憶部102に取り込む。この場合も、前記ステップS3と同様に、赤外線LED70が点灯しているので、夜間等の暗い箇所でも撮像をすることができる。このとき、カメラ68はヘルメット80の正規位置に相当する方向を略指向して撮像をしていることから、仮に運転者がヘルメット80を装着していないと、図8Aに示す画像156のように運転者の頭部が撮像される。また、仮に運転者がヘルメット80を正しく装着していないと、図8Bに示す画像158のように撮像される。さらに、仮に運転者がシート26に正しく乗っておらず、例えば側方に立っていると、図8Cに示す画像160のように、ヘルメット80の一部しか撮像されず、又は全く撮像されないことになる。
【0050】
ステップS103において、前記ステップS4と同様に、画像150からヘルメット80の部分の特徴抽出を行う。図8Aに示す画像156に対しては、図9Bに示す比較輪郭データ156aが得られ、図8Bに示す画像158に対しては、図9Bに示す比較輪郭データ158aが得られ、図8Cに示す画像160に対しては、図9Cに示す比較輪郭データ160aが得られる。正しい姿勢でヘルメット80を正しく装着している場合には、前記の図5に示す画像150に対しては、図6Aに示すヘルメット輪郭基準データ154aと同様のデータが得られる。
【0051】
ところで、図6Aに示すように、フルフェイス型のヘルメット80には、通常、開閉可能な前面シールド170が設けられており、該前面シールド170は上方に引き上げて開放していることも多い。車両駆動制御装置10では、前面シールド170を閉じた状態と開放した状態とでヘルメット80の識別を誤ることのないように、得られた画像から該前面シールド170を取り除く処理を行ってもよい。この処理は、例えば、前面シールド170が透明又は半透明であることを利用し、輝度、彩度、色度等から前面シールド170の部分を特定し、又は、ヘルメット80の上部に隙間(図示せず)ができることを利用して前面シールド170の部分を特定して取り除けばよい。
【0052】
もちろん、前面シールド170を閉じた状態と開放した状態についてそれぞれ記憶処理(図4参照)を行ってもよい。
【0053】
ステップS104において、得られた比較輪郭データと予め記録されているヘルメット輪郭基準データ154a〜154c(図6A〜図6C参照)とを順に比較し、双方が互いに対応しているときにはステップS105へ移り、非対応であるときにはステップS106へ移る。双方が対応するとは、例えば、所定の一致度判断(パターンマッチング等)により、該一致度が所定閾値を超えていることを示し、非対応とは一致度が所定閾値未満であることを示す。
【0054】
正しい姿勢でヘルメット80を正しく装着している場合には、比較輪郭データとしてヘルメット輪郭基準データ154aと同様のデータが得られていることから、双方を比較すると高い一致度となり、ステップS105へ移ることになる。
【0055】
また、運転者が予め記憶されたオフロード型ヘルメットを装着している場合には、最初にヘルメット輪郭基準データ154aと比較した場合及び2回目にヘルメット輪郭基準データ154bと比較した場合には低い一致度であるが、3回目にヘルメット輪郭基準データ154c(図6C参照)と比較した場合には高い一致度が得られ、ステップS105へ移る。
【0056】
なお、ヘルメット輪郭基準データ154a〜154cについては比較輪郭データと一致した回数をカウントして保持しておき、次回以降には該回数の高い順に比較をするとよい。例えば、その運転者についてジェット型ヘルメットを装着する頻度が高いのであれば、ヘルメット輪郭基準データ154bについてのカウント回数が高くなり、該ヘルメット輪郭基準データ154bについての比較処理を最初に行うことになるので、処理時間の短縮を図ることができる。
【0057】
一方、運転者がヘルメット80を装着せず、装着しても正しい装着でなく、又は、正しい位置にいないときには、比較輪郭データ156a、158a又は160a(図9A〜図9C参照)とヘルメット輪郭基準データ154a、154b、154cとを順に比較することになる。いずれの場合も一致度は相当に低くなるので、ステップS106へ移ることになる。
【0058】
ステップS105において、エンジン作動許可処理として、比較部106はイグニッション制御部112、燃料噴射制御部116及びスタータ制御部120に対して、信号「OK」を出力する。したがって、この後、所定のスタータスイッチを押すことにより、エンジンEを始動させることができる。また、ステップS107で行う警告の停止処理をする。
【0059】
一方、ステップS106においては、エンジン作動禁止処理として、比較部106は各制御部に対して、信号「NG」を出力する。したがって、この後、所定のスタータスイッチを押してもエンジンEは始動しない。なお、このステップS106(及びステップS210)のエンジン作動禁止処理は、広義の警告処理である。
【0060】
ステップS107においては、警告処理として、ブザー124による警告音を発生させる。これにより、運転者に対してヘルメット80を正しく装着し、正しい姿勢で搭乗するように促すことができる。警告処理は、視覚手段(警告ランプ等)又は聴覚手段(音声、音響)によって行えばよい。
【0061】
ステップS107の後、ステップS102へ戻り、一連の比較確認処理を継続する。したがって、運転者が正しい姿勢でヘルメット80を正しく装着することによって、ブザー124が停止し、エンジンEを始動させることができる。
【0062】
次に、車両駆動制御装置10の処理内容の第2例としてエンジン始動時及び始動後に比較確認処理を行う場合について説明する。ここでは、カメラ68は、エンジンEの始動後も継続的に撮像しているものとする。
【0063】
図10のステップS201〜S205は、前記のステップS101〜S105と同じ処理である。ステップS205の後ステップS206へ移る。
【0064】
ステップS206においては、タイマー126のリセットを行う。タイマー126は図示しないクロックを適度に分周して常時アップカウントされており、ステップS206でリセットすることにより、その時点を0として計時可能となる。また、ステップS208で行う警告の停止処理をする。
【0065】
ステップS206の後、ステップS202に戻る。つまり、ステップS202〜S206はループを形成しており、エンジン始動後においても、運転者が正しい姿勢でヘルメット80を正しく装着していれば該ループに基づいて処理が続行される。また、タイマー126は、適度に短い時間毎にリセットされる(S206)ことになる。
【0066】
一方、ステップS204の判断が「No」であった場合には、ステップS207へ移る。
【0067】
ステップS207においては、タイマー126の値を確認し、時間T1が経過したか否かを確認する。この基準時はステップS206におけるリセット時である。時間T1が経過していないときにはステップS202へ戻って処理を続行し、時間T1が経過しているときにはステップS208へ移る。
【0068】
なお、図10に示す処理でステップS204を最初に実行した場合(つまりキーオン直後)で、その判断が「No」であったときには、比較部106は初期状態の信号「NG」を出力しているので、エンジンEを始動が禁止される。
【0069】
ステップS208においては、警告処理を行う。これは前記のステップS107と同様の処理である。
【0070】
ところで、一度ステップS205を実行して、比較部106が信号「OK」を出力し、エンジンEを始動した後のループ処理の最中で、ステップS204の判断が「NG」となったときには、ステップS207の判断処理の作用により、ステップS208は即時には実行されない。したがって、例えばコーナリング走行中には運転者は体重移動をさせる必要から頭部(つまり、ヘルメット80の部分)を一時的にカメラ68の視野外に移すことがあるが、このような場合にも、無駄な警告を発生させることがない。
【0071】
ステップS209においては、タイマー126の値を確認し、時間T2(T2≧T1)が経過したか否かを確認する。この基準時はステップS206におけるリセット時である。時間T2が経過していないときにはステップS202へ戻って処理を続行し、時間T2が経過しているときにはステップS210へ移る。
【0072】
ステップS210において、エンジン作動禁止処理として、比較部106は各制御部に対して、信号「NG」を出力する。これは、前記のステップS106と同じ処理である。
【0073】
このような処理によれば、始動時のみならず、走行時においても正規運転を維持するように励行できる。警告処理(ステップS208)やエンジン作動禁止処理(ステップS210)が実行された後でも、運転者が正しい姿勢でヘルメット80を正しく装着し直すことにより、ステップS202〜S206のループ処理が実行され、エンジンEを再始動させることができる。
【0074】
また、ステップS209においては、車速センサ122から供給される車速Vを監視して、ステップS210へ移る条件として自動二輪車12が停止(実質的に停止していることを含む)していることを加えてもよい。これにより、始動後、正規運転でない運転をしている場合で停止したときに、再走行を禁止することができる。
【0075】
上記の例では、ヘルメット80について輪郭に基づいた比較判断をしているが、ヘルメット80に所定配置の複数のマークを設けて、該マークに基づいてヘルメット80の比較処理を行ってもよい。
【0076】
例えば、図11に示すように、ヘルメット80に対して、3つの赤外線反射シール(赤外線反射手段)82が頭部左右位置及び中央の顎位置に貼る。一方の制御部72では、このような配置情報(基準情報)を予め記憶部104a〜104cに記憶しておき、比較処理を行う。このような適度に離れた3点に赤外線反射シール82を設けることにより、制御部72では、カメラ68から得られる画像に基づいてヘルメット80の位置及び向きを正確且つ確実に認識することができる。また、上部左右に2つ、下部中央に1つという逆三角形配置は対向者(運転者及び歩行者)に対して人の顔を連想させる効果が確認されており、注意喚起効果が期待できる。
【0077】
赤外線反射シール82は安価、軽量であり、しかも所定のルールに基づいて運転者が自分で貼ることができ、例えば、所有する複数のヘルメット80に貼っておくことができる。赤外線反射シール82は当然に電力消費がない。赤外線反射シール82はあまり大きい必要はなく、ヘルメット80のデザイン性を損なうことがない。
【0078】
赤外線反射シール82は、ヘルメット80の位置及び向きを検出するために3以上設けることが望ましく、例えば、図12に示すように、頭部中央位置及び左右の顎位置に貼られていてもよい。
【0079】
上述したように、本実施の形態に係る車両駆動制御装置10によれば、特定箇所として運転者の頭の方向を指向するカメラ68による画像150と、運転者の正規運転時におけるヘルメット80の画像情報とを比較することにより、該運転者が正規運転の状態にあるか否かを判断することができ、また、その判断結果に基づいて自動二輪車12のエンジンEの作動を許容し又は禁止することができる。
【0080】
車両駆動制御装置10では、ヘルメット80側には特殊なユニットは不要であり、電池切れのおそれがなく、ヘルメット80が重量増となることもない。ヘルメット80の買い換え時にも特段の制限がない。
【0081】
車両駆動制御装置10を適用する車両は、自動二輪車12に限らず四輪車(例えば、ヘルメット着用が励行される競技用車両)であってもよい。車両の駆動源はエンジンEに限らず、例えばモータでもよい。
【0082】
カメラ68で確認する対象としてはヘルメット80に限らず、例えば、オフロード競技用車両の運転で装着が励行されるプロテクタやブーツを確認対象としてもよい。
【0083】
本発明に係る車両駆動制御装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】自動二輪車の側面図である。
【図2】メータパネルの斜視図である。
【図3】本実施の形態に係る車両駆動制御装置のブロック構成図である。
【図4】初期記憶処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】カメラにより撮像された画像である。
【図6】図6Aは、フルフェイス型ヘルメットに対応したヘルメット輪郭基準データを示す図であり、図6Bは、ジェット型ヘルメットに対応したヘルメット輪郭基準データを示す図であり、図6Cは、オフロード型ヘルメットに対応したヘルメット輪郭基準データを示す図である。
【図7】車両駆動制御装置の第1例に係る処理内容のフローチャートである。
【図8】図8Aは、運転者がヘルメットを装着していない場合の画像であり、図8Bは、運転者がヘルメットを正しく装着していない場合の画像であり、図8Cは、運転者が側方に立っている場合の画像である。
【図9】図9Aは、運転者がヘルメットを装着していない場合の比較輪郭データであり、図9Bは、運転者がヘルメットを正しく装着していない場合の比較輪郭データであり、図9Cは、運転者が側方に立っている場合の比較輪郭データである。
【図10】車両駆動制御装置の第2例に係る処理内容のフローチャートである。
【図11】頭部左右位置及び中央の顎位置に赤外線反射シールを貼ったヘルメットの正面図である。
【図12】頭部中央位置及び左右の顎位置に赤外線反射シールを貼ったヘルメットの正面図である。
【符号の説明】
【0085】
10…車両駆動制御装置 12…自動二輪車
48…メータパネル 68…カメラ(撮像部)
70…赤外線LED(投光部) 72…制御部
80…ヘルメット 82…赤外線反射シール
100…カメラ制御部 102…画像一時記憶部
104a〜104c…記憶部 106…比較部
108…投光制御部 112…イグニッション制御部
116…燃料噴射制御部 120…スタータ制御部
122…車速センサ 124…ブザー
126…タイマー 150、156、158、160…画像
154a〜154c…ヘルメット輪郭基準データ
156a、158a、160a…比較輪郭データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者の正規運転時における特定箇所の情報に基づいて車両の駆動源の作動を許容し、又は禁止させる車両駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車の運転時に運転者はヘルメットを装着することが励行されて、このようなことを促進させるための装置が特許文献1及び特許文献2に提案されている。
【0003】
特許文献1及び特許文献2では、ヘルメットに所定のユニットが設けられ、該ユニットは、該ヘルメットが運転者の頭に正しく装着されたことを検出する手段と、正しく装着されたときに電波により運転許可を示す信号を送信する手段とを含んでいる。自動二輪車側では、該信号を受けてエンジン動作を許容する構成となっている。したがって、運転者がヘルメットを正しく装着しなければ自動二輪車を走行させることができず、ヘルメット着用を励行することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平2−31988号公報
【特許文献2】特開昭63−272969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記の特許文献1及び特許文献2記載の装置では、ヘルメット側に特殊なユニットを設けなければならず、通常のヘルメットに対しては適用することが難しく、又は相当の対応処置が必要である。また、該ユニットでは電力が必要であり、電池を搭載しなければならず、電池切れになるとヘルメットを装着していても運転ができないことになる。さらに、このようなユニットはある程度の重量があり、ヘルメット自体が重くなってしまう。さらに、ヘルメットの買い換え時の費用が高くなることが予測される。
【0006】
さらに、運転者はシートに正しい姿勢で乗車して、始動及び運転をすることが望まれており、例えば、シートから降りて側方に立った状態でエンジンの作動をすることは望ましくない。
【0007】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、該運転者が正規運転の状態にあるか否かを判断することのできる車両駆動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車両駆動制御装置は、以下の特徴を有する。
【0009】
第1の特徴; 運転者の正規運転時における特定箇所の基準情報が記録されている記憶部と、前記特定箇所に相当する方向を略指向して撮像をする撮像部と、前記撮像部により得られた画像と前記記憶部の前記基準情報とを比較し、前記画像が前記基準情報に対応しているときに車両の駆動源の作動を許容し、前記画像が前記基準情報に非対応であるときに所定の警告処理をする制御部と、を有することを特徴とする。
【0010】
このように、特定箇所を指向する撮像部による画像と、運転者の正規運転時における特定箇所の基準情報とを比較することにより、該運転者が正規運転の状態にあるか否かを判断することができる。
【0011】
第2の特徴; 前記警告処理は、前記駆動源の作動を禁止させる処理を含むことを特徴とする。これにより、制御部の判断結果に基づいて車両の駆動源の作動を許容し又は禁止することができる。
【0012】
第3の特徴; 前記特定箇所はヘルメットであることを特徴とする。これにより、運転者がヘルメットを装着していないときに車両の駆動源の作動を禁止することができる。
【0013】
第4の特徴; 前記特定箇所に相当する方向を略指向して赤外光を投光する投光部を有することを特徴とする。このような投光部を有すると夜間等の暗い箇所でも前記特定箇所を撮像することができる。
【0014】
第5の特徴; 前記基準情報は、前記特定箇所に設けられた複数の赤外線反射手段の配置情報であることを特徴とする。該特定箇所(ヘルメット等)に赤外光反射手段を設けておくと、赤外光が反射され、運転者の特定箇所の状態を簡便且つ確実に認識することができる。
【0015】
第6の特徴; 前記駆動源の始動後、前記撮像部は前記特定箇所の方向を継続的に撮像し、前記制御部は、前記撮像部により得られた画像と前記記憶部の前記基準情報とを比較し、前記画像が前記基準情報に非対応である状態が所定時間連続するときに、所定の警告処理をすることを特徴とする。これにより、始動時のみならず、走行時においても正規運転を維持するように励行できる。
【0016】
第7の特徴; 前記駆動源の始動後、前記撮像部は前記特定箇所の方向を継続的に撮像し、前記制御部は、前記撮像部により得られた画像と前記記憶部の前記基準情報とを比較し、前記画像が前記基準情報に非対応である状態が所定時間連続し、且つ前記車両が停止しているときに、前記駆動源を停止させることを特徴とする。これにより、始動後、正規運転でない運転をしている場合で停止したときには、再走行を禁止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る車両駆動制御装置によれば、特定箇所を指向する撮像部による画像と、運転者の正規運転時における特定箇所の基準情報とを比較することにより、該運転者が正規運転の状態にあるか否かを判断することができ、判断結果に基づいて所定の警報処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る車両駆動制御装置について実施の形態を挙げ、添付の図1〜図12を参照しながら説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係る車両駆動制御装置10は、スクータ式の自動二輪車12に適用される。自動二輪車12は、スクータ式以外の型であってもよい。先ず、自動二輪車12について説明する。
【0020】
図1に示すように、自動二輪車12は、前輪WFを軸支するフロントフォーク14ならびに該フロントフォーク14に連結されるハンドル16を操舵可能に支承するヘッドパイプ18を前端に備えるものであり、後輪WRを後端で支持するユニットスイングエンジンUEが車体フレームFの前後方向中間部で上下揺動可能に支承され、ユニットスイングエンジンUEよりも前方で車体フレームFには、燃料タンク20と、該燃料タンク20よりも後方に配置されるラジエータ22と、バッテリ24とが搭載される。また車体フレームFの後部には、前部シート26及び後部シート28を有してタンデム型に構成される乗車シート30が配置される。さらに車体フレームF、前記ユニットスイングエンジンUEの前部、燃料タンク20及びラジエータ22を覆う合成樹脂製の車体カバー32が車体フレームFに取付けられる。
【0021】
ユニットスイングエンジンUEは、シリンダ軸線をほぼ水平とした水冷式のエンジン(駆動源)Eと、該エンジンEの出力を、伝達ベルト及びプーリによって無段階に変速して後輪WRに伝達するベルト式の無段変速機Mとで構成されており、該無段変速機Mは、変速用の電動モータ34の作動に応じてクランクシャフト側の可動プーリを駆動して変速比を無段階に変化させるものである。
【0022】
前記無段変速機Mの変速機ケース36は、前記エンジンEにおけるクランクケース38の左側にエンジンEから左側に張り出すようにして連設され、後輪WRの左側まで延設される。また前記クランクケース38の右側には図示しないスイングアームの前端部が結合されており、後輪WRは、変速機ケース36の後端部及び前記スイングアームの後端部間に軸支される。
【0023】
また、車体フレームFの後端部には左右一対のリヤクッション40の上端部が連結され、両リヤクッション40の下端部は、変速機ケース36の後端部及びスイングアームの後端部に連結される。
【0024】
乗車シート30の下方には、物品を収容するための収納ボックス42が設けられており、乗車シート30の前端下方からリヤクッション40の上部近傍まで延在している。収納ボックス42は、乗車シート30が上面を覆う蓋を兼ねており、該乗車シート30を右側に引き上げることにより内部の空間が露呈される。
【0025】
車体カバー32のうち、フロントカウル44は、上部に透明のウインドスクリーン46を備え、該ウインドスクリーン46とハンドル16との間にはメータパネル48が設けられている。ハンドル16には、左右一対のバックミラー50が設けられている。インナカバー52は、運転者の脚部前部を覆うレッグシールド54と、ステップホルダ56とを備える。
【0026】
図2に示すように、メータパネル48は、左側のタコメータ60と、右側のスピードメータ62と、中央部やや下方に設けられたワーニング表示部64と、下方左右に設けられたウインカランプ66a及び66bと、ワーニング表示部64の上に設けて並列配置されたカメラ(撮像部)68及び赤外線LED(投光部)70と、内部に設けられた制御部72とを有する。スピードメータ62には、オドメータ74が含まれる。
【0027】
カメラ68は、例えばCCDカメラ又はCMOSカメラであり、運転者の頭の位置を撮像するために該方向を指向している。ここでいう運転者の頭の位置とは、運転者が正しい姿勢で運転している状態(正規運転時)での頭の位置である。カメラ68は、運転者の頭を確実に撮像するため、運転者の座高の違いを考慮し、ある程度広い撮像視野を有する。カメラ68で撮像され画像は制御部72に供給される。カメラ68は、赤外線領域の光を受光可能とする。
【0028】
赤外線LED70は、制御部72の作用下に赤外光(例えば、近赤外線で波長が700nm〜2500nmの光)を投光する投光手段であり、少なくとも運転者の頭の位置の方向に投光するように向きが設定されている。
【0029】
次に、本実施の形態に係る車両駆動制御装置10について説明する。
【0030】
図3に示すように、車両駆動制御装置10は、カメラ68、赤外線LED70及び制御部72を含む。制御部72は、カメラ68を制御するカメラ制御部100と、カメラ68で得られた画像を一時的に記憶する画像一時記憶部102と、所定のデータを記憶した不揮発性で読み書き可能な記憶部104a〜104cと、画像一時記憶部102の画像と記憶部104a〜104cのデータとを比較する比較部106と、赤外線LED70を制御する投光制御部108とを有する。
【0031】
記憶部104a〜104cには、運転者Dの正規運転時におけるヘルメット80の画像情報(基準情報)が記録されている。この情報は、運転者Dのヘルメット80の位置を撮像した画像をそのまま記憶してもよいし、所定の輪郭抽出等の画像処理を施した変換画像(二次元情報)として記憶してもよいし、画像におけるヘルメット80の形状、位置等を数値化したデータ(基準情報)として記憶してもよい。これらの基準情報は、二次元的な情報とするとよい。以下の例では、輪郭抽出等の画像処理を施した変換画像を記録するものとする。
【0032】
なお、記憶部104a〜104cは3つが独立的な記憶部であり、運転者の所有する3つまでのヘルメット80についての情報がそれぞれ個別に記憶可能である。さらに多くの記憶部(104d、104e…)を設け、典型的ないくつかのヘルメットの形状に関する情報を予め記録しておいてもよい。
【0033】
制御部72の比較部106は、点火プラグ110の点火制御をするイグニッション制御部112、フューエルインジェクタ114の制御をする燃料噴射制御部116、及び、スタータモータ118の制御をするスタータ制御部120に接続されている。
【0034】
比較部106は、カメラ68により得られた画像と記憶部104a〜104cの情報とを比較し、画像が該情報に対応しているときにエンジンEの作動を許容する信号「OK」を出力し、画像が該情報に非対応であるときにはエンジンEの作動を禁止させる信号「NG」を出力する。これらの信号は、イグニッション制御部112、燃料噴射制御部116及びスタータ制御部120に供給される。
【0035】
イグニッション制御部112では、信号「OK」を受信しているときには点火プラグ110による混合気への点火を行い、信号「NG」を受信しているときには点火を行わない。
【0036】
燃料噴射制御部116では、信号「OK」を受信しているときにはフューエルインジェクタ114による燃料噴射を行い、信号「NG」を受信しているときには燃料噴射を行わない。
【0037】
スタータ制御部120では、信号「OK」を受信しているときで所定のスタータスイッチが押されたときにはスタータモータ118を回転させ、信号「NG」を受信しているときにはスタータスイッチの状態に関わらずスタータモータ118を回転させない。
【0038】
比較部106の信号「NG」はイグニッション制御部112及び燃料噴射制御部116に供給されることから、該信号「NG」が出力されるときには、エンジンEの始動を禁止するだけでなく、すでに始動しているエンジンEを停止させることもできる。
【0039】
比較部106は、車速センサ122から車速Vを検出することができ、ブザー124に接続されており所定の警報音を発生させることができ、また、タイマー126に基づいて計時可能である。車両駆動制御装置10は、バッテリ24から図示しないキースイッチ等を介して電力の供給を受ける。
【0040】
次に、このように構成される車両駆動制御装置10の作用について説明する。先ず、図4に示す初期記憶処理を行う。この処理は、主に比較部106の作用下に行われる。なお、赤外線LED70は常時点灯しているものとするが、設計条件によってはカメラ68の撮像タイミングに合わせて点灯させてもよい。
【0041】
ステップS1において、エンジンEの動作中である場合にステップS2へ移る。
【0042】
ステップS2において、図示しない所定の記録スイッチが押されているか否かを確認する。記録スイッチが押されているときにはステップS3へ移り、押されていないときにはステップS1へ戻る。
【0043】
ステップS3において、カメラ68から画像150(図5参照)を画像一時記憶部102に取り込む。このとき、赤外線LED70が点灯しているので、夜間等の暗い箇所でも撮像をすることができる。赤外線は運転者に認識されないので、始動時及び運転時に運転者に無用に意識されることがない。
【0044】
ステップS4において、画像150からヘルメット80の部分の特徴抽出を行う。例えば、適当な輪郭抽出を行った後、基準となる半径Rの弧と近い形状部を抽出し、又は、所定の典型パターンと比較して一致度の高い箇所を抽出すればよい。これにより、図5の画像150では領域152の部分が抽出されて、図6A示すような輪郭特徴部が強調されたヘルメット輪郭基準データ154aとして得られる。
【0045】
このとき、ヘルメット80に相当する箇所を抽出できなければ、ブザー124による警報処理をするとよい。
【0046】
ステップS5において、ステップS4において得られたヘルメット輪郭基準データ154aを記憶部104aに記憶する。図6Aに示すように、ヘルメット輪郭基準データ154aは、フルフェイス型ヘルメットに対応したデータである。車両駆動制御装置10では、さらに複数のデータを記憶しておくことが可能であり、例えば、図6Bに示すように、ジェット型ヘルメットに対応したヘルメット輪郭基準データ154bを記憶部104bに記憶し、図6Cに示すように、オフロード型ヘルメットに対応したヘルメット輪郭基準データ154cを記憶部104cに記憶することができる。記憶部104a〜104cは不揮発性であり、電源を切っても記憶したデータは保存される。ステップS5の後、ステップS1へ戻る。
【0047】
次に、通常のエンジン始動時における車両駆動制御装置10の第1例としての処理内容について説明する。
【0048】
図7のステップS101において、キースイッチをオンにすることにより車両駆動制御装置10が起動する。なお、初期状態では比較部106は、信号「NG」を出力している(第2例でも同様である。)。
【0049】
ステップS102において、カメラ68から画像150(図5参照)を画像一時記憶部102に取り込む。この場合も、前記ステップS3と同様に、赤外線LED70が点灯しているので、夜間等の暗い箇所でも撮像をすることができる。このとき、カメラ68はヘルメット80の正規位置に相当する方向を略指向して撮像をしていることから、仮に運転者がヘルメット80を装着していないと、図8Aに示す画像156のように運転者の頭部が撮像される。また、仮に運転者がヘルメット80を正しく装着していないと、図8Bに示す画像158のように撮像される。さらに、仮に運転者がシート26に正しく乗っておらず、例えば側方に立っていると、図8Cに示す画像160のように、ヘルメット80の一部しか撮像されず、又は全く撮像されないことになる。
【0050】
ステップS103において、前記ステップS4と同様に、画像150からヘルメット80の部分の特徴抽出を行う。図8Aに示す画像156に対しては、図9Bに示す比較輪郭データ156aが得られ、図8Bに示す画像158に対しては、図9Bに示す比較輪郭データ158aが得られ、図8Cに示す画像160に対しては、図9Cに示す比較輪郭データ160aが得られる。正しい姿勢でヘルメット80を正しく装着している場合には、前記の図5に示す画像150に対しては、図6Aに示すヘルメット輪郭基準データ154aと同様のデータが得られる。
【0051】
ところで、図6Aに示すように、フルフェイス型のヘルメット80には、通常、開閉可能な前面シールド170が設けられており、該前面シールド170は上方に引き上げて開放していることも多い。車両駆動制御装置10では、前面シールド170を閉じた状態と開放した状態とでヘルメット80の識別を誤ることのないように、得られた画像から該前面シールド170を取り除く処理を行ってもよい。この処理は、例えば、前面シールド170が透明又は半透明であることを利用し、輝度、彩度、色度等から前面シールド170の部分を特定し、又は、ヘルメット80の上部に隙間(図示せず)ができることを利用して前面シールド170の部分を特定して取り除けばよい。
【0052】
もちろん、前面シールド170を閉じた状態と開放した状態についてそれぞれ記憶処理(図4参照)を行ってもよい。
【0053】
ステップS104において、得られた比較輪郭データと予め記録されているヘルメット輪郭基準データ154a〜154c(図6A〜図6C参照)とを順に比較し、双方が互いに対応しているときにはステップS105へ移り、非対応であるときにはステップS106へ移る。双方が対応するとは、例えば、所定の一致度判断(パターンマッチング等)により、該一致度が所定閾値を超えていることを示し、非対応とは一致度が所定閾値未満であることを示す。
【0054】
正しい姿勢でヘルメット80を正しく装着している場合には、比較輪郭データとしてヘルメット輪郭基準データ154aと同様のデータが得られていることから、双方を比較すると高い一致度となり、ステップS105へ移ることになる。
【0055】
また、運転者が予め記憶されたオフロード型ヘルメットを装着している場合には、最初にヘルメット輪郭基準データ154aと比較した場合及び2回目にヘルメット輪郭基準データ154bと比較した場合には低い一致度であるが、3回目にヘルメット輪郭基準データ154c(図6C参照)と比較した場合には高い一致度が得られ、ステップS105へ移る。
【0056】
なお、ヘルメット輪郭基準データ154a〜154cについては比較輪郭データと一致した回数をカウントして保持しておき、次回以降には該回数の高い順に比較をするとよい。例えば、その運転者についてジェット型ヘルメットを装着する頻度が高いのであれば、ヘルメット輪郭基準データ154bについてのカウント回数が高くなり、該ヘルメット輪郭基準データ154bについての比較処理を最初に行うことになるので、処理時間の短縮を図ることができる。
【0057】
一方、運転者がヘルメット80を装着せず、装着しても正しい装着でなく、又は、正しい位置にいないときには、比較輪郭データ156a、158a又は160a(図9A〜図9C参照)とヘルメット輪郭基準データ154a、154b、154cとを順に比較することになる。いずれの場合も一致度は相当に低くなるので、ステップS106へ移ることになる。
【0058】
ステップS105において、エンジン作動許可処理として、比較部106はイグニッション制御部112、燃料噴射制御部116及びスタータ制御部120に対して、信号「OK」を出力する。したがって、この後、所定のスタータスイッチを押すことにより、エンジンEを始動させることができる。また、ステップS107で行う警告の停止処理をする。
【0059】
一方、ステップS106においては、エンジン作動禁止処理として、比較部106は各制御部に対して、信号「NG」を出力する。したがって、この後、所定のスタータスイッチを押してもエンジンEは始動しない。なお、このステップS106(及びステップS210)のエンジン作動禁止処理は、広義の警告処理である。
【0060】
ステップS107においては、警告処理として、ブザー124による警告音を発生させる。これにより、運転者に対してヘルメット80を正しく装着し、正しい姿勢で搭乗するように促すことができる。警告処理は、視覚手段(警告ランプ等)又は聴覚手段(音声、音響)によって行えばよい。
【0061】
ステップS107の後、ステップS102へ戻り、一連の比較確認処理を継続する。したがって、運転者が正しい姿勢でヘルメット80を正しく装着することによって、ブザー124が停止し、エンジンEを始動させることができる。
【0062】
次に、車両駆動制御装置10の処理内容の第2例としてエンジン始動時及び始動後に比較確認処理を行う場合について説明する。ここでは、カメラ68は、エンジンEの始動後も継続的に撮像しているものとする。
【0063】
図10のステップS201〜S205は、前記のステップS101〜S105と同じ処理である。ステップS205の後ステップS206へ移る。
【0064】
ステップS206においては、タイマー126のリセットを行う。タイマー126は図示しないクロックを適度に分周して常時アップカウントされており、ステップS206でリセットすることにより、その時点を0として計時可能となる。また、ステップS208で行う警告の停止処理をする。
【0065】
ステップS206の後、ステップS202に戻る。つまり、ステップS202〜S206はループを形成しており、エンジン始動後においても、運転者が正しい姿勢でヘルメット80を正しく装着していれば該ループに基づいて処理が続行される。また、タイマー126は、適度に短い時間毎にリセットされる(S206)ことになる。
【0066】
一方、ステップS204の判断が「No」であった場合には、ステップS207へ移る。
【0067】
ステップS207においては、タイマー126の値を確認し、時間T1が経過したか否かを確認する。この基準時はステップS206におけるリセット時である。時間T1が経過していないときにはステップS202へ戻って処理を続行し、時間T1が経過しているときにはステップS208へ移る。
【0068】
なお、図10に示す処理でステップS204を最初に実行した場合(つまりキーオン直後)で、その判断が「No」であったときには、比較部106は初期状態の信号「NG」を出力しているので、エンジンEを始動が禁止される。
【0069】
ステップS208においては、警告処理を行う。これは前記のステップS107と同様の処理である。
【0070】
ところで、一度ステップS205を実行して、比較部106が信号「OK」を出力し、エンジンEを始動した後のループ処理の最中で、ステップS204の判断が「NG」となったときには、ステップS207の判断処理の作用により、ステップS208は即時には実行されない。したがって、例えばコーナリング走行中には運転者は体重移動をさせる必要から頭部(つまり、ヘルメット80の部分)を一時的にカメラ68の視野外に移すことがあるが、このような場合にも、無駄な警告を発生させることがない。
【0071】
ステップS209においては、タイマー126の値を確認し、時間T2(T2≧T1)が経過したか否かを確認する。この基準時はステップS206におけるリセット時である。時間T2が経過していないときにはステップS202へ戻って処理を続行し、時間T2が経過しているときにはステップS210へ移る。
【0072】
ステップS210において、エンジン作動禁止処理として、比較部106は各制御部に対して、信号「NG」を出力する。これは、前記のステップS106と同じ処理である。
【0073】
このような処理によれば、始動時のみならず、走行時においても正規運転を維持するように励行できる。警告処理(ステップS208)やエンジン作動禁止処理(ステップS210)が実行された後でも、運転者が正しい姿勢でヘルメット80を正しく装着し直すことにより、ステップS202〜S206のループ処理が実行され、エンジンEを再始動させることができる。
【0074】
また、ステップS209においては、車速センサ122から供給される車速Vを監視して、ステップS210へ移る条件として自動二輪車12が停止(実質的に停止していることを含む)していることを加えてもよい。これにより、始動後、正規運転でない運転をしている場合で停止したときに、再走行を禁止することができる。
【0075】
上記の例では、ヘルメット80について輪郭に基づいた比較判断をしているが、ヘルメット80に所定配置の複数のマークを設けて、該マークに基づいてヘルメット80の比較処理を行ってもよい。
【0076】
例えば、図11に示すように、ヘルメット80に対して、3つの赤外線反射シール(赤外線反射手段)82が頭部左右位置及び中央の顎位置に貼る。一方の制御部72では、このような配置情報(基準情報)を予め記憶部104a〜104cに記憶しておき、比較処理を行う。このような適度に離れた3点に赤外線反射シール82を設けることにより、制御部72では、カメラ68から得られる画像に基づいてヘルメット80の位置及び向きを正確且つ確実に認識することができる。また、上部左右に2つ、下部中央に1つという逆三角形配置は対向者(運転者及び歩行者)に対して人の顔を連想させる効果が確認されており、注意喚起効果が期待できる。
【0077】
赤外線反射シール82は安価、軽量であり、しかも所定のルールに基づいて運転者が自分で貼ることができ、例えば、所有する複数のヘルメット80に貼っておくことができる。赤外線反射シール82は当然に電力消費がない。赤外線反射シール82はあまり大きい必要はなく、ヘルメット80のデザイン性を損なうことがない。
【0078】
赤外線反射シール82は、ヘルメット80の位置及び向きを検出するために3以上設けることが望ましく、例えば、図12に示すように、頭部中央位置及び左右の顎位置に貼られていてもよい。
【0079】
上述したように、本実施の形態に係る車両駆動制御装置10によれば、特定箇所として運転者の頭の方向を指向するカメラ68による画像150と、運転者の正規運転時におけるヘルメット80の画像情報とを比較することにより、該運転者が正規運転の状態にあるか否かを判断することができ、また、その判断結果に基づいて自動二輪車12のエンジンEの作動を許容し又は禁止することができる。
【0080】
車両駆動制御装置10では、ヘルメット80側には特殊なユニットは不要であり、電池切れのおそれがなく、ヘルメット80が重量増となることもない。ヘルメット80の買い換え時にも特段の制限がない。
【0081】
車両駆動制御装置10を適用する車両は、自動二輪車12に限らず四輪車(例えば、ヘルメット着用が励行される競技用車両)であってもよい。車両の駆動源はエンジンEに限らず、例えばモータでもよい。
【0082】
カメラ68で確認する対象としてはヘルメット80に限らず、例えば、オフロード競技用車両の運転で装着が励行されるプロテクタやブーツを確認対象としてもよい。
【0083】
本発明に係る車両駆動制御装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】自動二輪車の側面図である。
【図2】メータパネルの斜視図である。
【図3】本実施の形態に係る車両駆動制御装置のブロック構成図である。
【図4】初期記憶処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】カメラにより撮像された画像である。
【図6】図6Aは、フルフェイス型ヘルメットに対応したヘルメット輪郭基準データを示す図であり、図6Bは、ジェット型ヘルメットに対応したヘルメット輪郭基準データを示す図であり、図6Cは、オフロード型ヘルメットに対応したヘルメット輪郭基準データを示す図である。
【図7】車両駆動制御装置の第1例に係る処理内容のフローチャートである。
【図8】図8Aは、運転者がヘルメットを装着していない場合の画像であり、図8Bは、運転者がヘルメットを正しく装着していない場合の画像であり、図8Cは、運転者が側方に立っている場合の画像である。
【図9】図9Aは、運転者がヘルメットを装着していない場合の比較輪郭データであり、図9Bは、運転者がヘルメットを正しく装着していない場合の比較輪郭データであり、図9Cは、運転者が側方に立っている場合の比較輪郭データである。
【図10】車両駆動制御装置の第2例に係る処理内容のフローチャートである。
【図11】頭部左右位置及び中央の顎位置に赤外線反射シールを貼ったヘルメットの正面図である。
【図12】頭部中央位置及び左右の顎位置に赤外線反射シールを貼ったヘルメットの正面図である。
【符号の説明】
【0085】
10…車両駆動制御装置 12…自動二輪車
48…メータパネル 68…カメラ(撮像部)
70…赤外線LED(投光部) 72…制御部
80…ヘルメット 82…赤外線反射シール
100…カメラ制御部 102…画像一時記憶部
104a〜104c…記憶部 106…比較部
108…投光制御部 112…イグニッション制御部
116…燃料噴射制御部 120…スタータ制御部
122…車速センサ 124…ブザー
126…タイマー 150、156、158、160…画像
154a〜154c…ヘルメット輪郭基準データ
156a、158a、160a…比較輪郭データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の正規運転時における特定箇所の基準情報が記録されている記憶部と、
前記特定箇所に相当する方向を略指向して撮像をする撮像部と、
前記撮像部により得られた画像と前記記憶部の前記基準情報とを比較し、前記画像が前記基準情報に対応しているときに車両の駆動源の作動を許容し、前記画像が前記基準情報に非対応であるときに所定の警告処理をする制御部と、
を有することを特徴とする車両駆動制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両駆動制御装置において、
前記警告処理は、前記駆動源の作動を禁止させる処理を含むことを特徴とする車両駆動制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両駆動制御装置において、
前記特定箇所はヘルメットであることを特徴とする車両駆動制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両駆動制御装置において、
前記特定箇所に相当する方向を略指向して赤外光を投光する投光部を有することを特徴とする車両駆動制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両駆動制御装置において、
前記基準情報は、前記特定箇所に設けられた複数の赤外線反射手段の配置情報であることを特徴とする車両駆動制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両駆動制御装置において、
前記駆動源の始動後、前記撮像部は前記特定箇所の方向を継続的に撮像し、
前記制御部は、前記撮像部により得られた画像と前記記憶部の前記基準情報とを比較し、前記画像が前記基準情報に非対応である状態が所定時間連続するときに、所定の警告処理をすることを特徴とする車両駆動制御装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両駆動制御装置において、
前記駆動源の始動後、前記撮像部は前記特定箇所の方向を継続的に撮像し、
前記制御部は、前記撮像部により得られた画像と前記記憶部の前記基準情報とを比較し、前記画像が前記基準情報に非対応である状態が所定時間連続し、且つ前記車両が停止しているときに、前記駆動源を停止させることを特徴とする車両駆動制御装置。
【請求項1】
運転者の正規運転時における特定箇所の基準情報が記録されている記憶部と、
前記特定箇所に相当する方向を略指向して撮像をする撮像部と、
前記撮像部により得られた画像と前記記憶部の前記基準情報とを比較し、前記画像が前記基準情報に対応しているときに車両の駆動源の作動を許容し、前記画像が前記基準情報に非対応であるときに所定の警告処理をする制御部と、
を有することを特徴とする車両駆動制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両駆動制御装置において、
前記警告処理は、前記駆動源の作動を禁止させる処理を含むことを特徴とする車両駆動制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両駆動制御装置において、
前記特定箇所はヘルメットであることを特徴とする車両駆動制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両駆動制御装置において、
前記特定箇所に相当する方向を略指向して赤外光を投光する投光部を有することを特徴とする車両駆動制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両駆動制御装置において、
前記基準情報は、前記特定箇所に設けられた複数の赤外線反射手段の配置情報であることを特徴とする車両駆動制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両駆動制御装置において、
前記駆動源の始動後、前記撮像部は前記特定箇所の方向を継続的に撮像し、
前記制御部は、前記撮像部により得られた画像と前記記憶部の前記基準情報とを比較し、前記画像が前記基準情報に非対応である状態が所定時間連続するときに、所定の警告処理をすることを特徴とする車両駆動制御装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両駆動制御装置において、
前記駆動源の始動後、前記撮像部は前記特定箇所の方向を継続的に撮像し、
前記制御部は、前記撮像部により得られた画像と前記記憶部の前記基準情報とを比較し、前記画像が前記基準情報に非対応である状態が所定時間連続し、且つ前記車両が停止しているときに、前記駆動源を停止させることを特徴とする車両駆動制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−180124(P2009−180124A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19091(P2008−19091)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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