説明

車体床部の補強構造

【課題】 設計上の大きな制約を受けることなく、オフセット前突時の車体床部の変形を抑制する。
【解決手段】 左右のフロアサイドメンバ16、17と前後のクロスメンバ20、26で囲まれたフロアパネル14の部位には開口部32が形成されており、開口部32に形成された格納庫34の上方にはフロアボード40が開閉可能に取付けられている。フロアボード40の裏面40Aには、フロアボード40の対角線状となる位置に2本の直線形状の補強部材42、44が平面視においてX形状に取付けられている。補強部材42、44の端部42B、44Bは、ヒンジ50を介してクロスメンバ20のサイドメンバ16、17との結合部近傍に連結されており、端部42C、44Cは、ロックプレート74とロック装置88を介して、クロスメンバ26のサイドメンバ16、17との結合部近傍に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車等の車体の床部に形成した開口部を開閉可能とするフロアボードを有する車体床部の補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車体の下部床面の上方に位置するフロアボードによって、車体の下部床面に格納したシートを覆う構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−71831
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的に、自動車等の車体の下部においては、車体に前方から他車両等が車幅方向にずれて衝突するオフセット前突時に、左右のサイドメンバのうち、前突側のサイドメンバは衝突体により車体前方への動きが止まり、反前突側のサイドメンバは慣性によって車体前方へ移動する。この際、左右のサイドメンバ上に固定されているフロアパネルの張力によって反前突側のサイドメンバに作用する車体前方への慣性力が前突側のサイドメンバに充分に伝達されることによって、反前突側のサイドメンバの車体前方への移動が抑制される。
【0004】
しかしながら、左右のサイドメンバ間となるフロアパネルの領域に上記のようなシート格納用等の開口部を形成した場合には、この開口部をフロアボードによって覆っても、フロアボードはフロアパネルに比べ左右のサイドメンバとの結合強度が低く、フロアパネルのように反前突側のサイドメンバに作用する車体前方への慣性力を前突側のサイドメンバに充分に伝達できないため、反前突側のサイドメンバの車体前方への移動を充分に抑制できず、開口部の大きさが制限される等の設計上の制約が生じる。
【0005】
また、左右のサイドメンバがクロスメンバで連結されている場合には、反前突側のサイドメンバが、前突側のサイドメンバに対して車体前方へ移動することで、クロスメンバにおける前突側のサイドメンバとの結合部近傍(根元部)に、左右のサイドメンバ間の距離に比例して大きな曲げモーメントが発生する。このため、車体床部の変形を抑制するためには、クロスメンバの曲げ強度及び左右のサイドメンバとクロスメンバとの結合強度を高くする必要があり車体重量が大幅に増加しないようにする等の設計上の制約が生じる。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、設計上の大きな制約を受けることなく、オフセット前突時の車体床部の変形を抑制できる車体床部の補強構造を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明における車体床部の補強構造は、長手方向を車体前後方向に沿って配置された左右のサイドメンバと、前記左右のサイドメンバ間に開口部を備えたフロアパネルと、前記開口部に形成された格納庫を開閉可能とするフロアボードと、前記フロアボードの表面と裏面とのうちの少なくとも一方の面に車幅方向に沿って車体前後方向に傾斜して取付けられた補強部材と、前記補強部材の長手方向両端部と前記左右のサイドメンバとを連結する連結部材と、を有することを特徴とする。
【0008】
オフセット前突時、左右のサイドメンバのうち、前突側のサイドメンバは衝突体により車体前方への動きが止まり、反前突側のサイドメンバは慣性によって車体前方へ移動する。この際、フロアパネルにおける左右のサイドメンバ間の開口部に形成された格納庫を開閉可能とするフロアボードの表面と裏面とのうちの少なくとも一方の面に車幅方向に沿って車体前後方向に傾斜して取付けられた補強部材と、これらの補強部材の長手方向両端部と左右のサイドメンバとを連結する連結部材と、によって左右のサイドメンバを連結することで、反前突側のサイドメンバに作用する車体前方への慣性力を、連結部材、補強部材、連結部材の順に前突側のサイドメンバに伝達し、反前突側のサイドメンバの車体前方への移動を傾斜した補強部材の張力で支持する。
【0009】
請求項2記載の本発明における車体床部の補強構造は、長手方向を車体前後方向に沿って配置された左右のサイドメンバと、長手方向を車幅方向に沿って配置され、車幅方向両端部が前記左右のサイドメンバに結合された前後のクロスメンバと、前記左右のサイドメンバと前記前後のクロスメンバとで囲まれた部分に開口部を備えたフロアパネルと、前記開口部に形成された格納庫を開閉可能とするフロアボードと、前記フロアボードの表面と裏面とのうちの少なくとも一方の面に車幅方向に沿って車体前後方向に傾斜して取付けられた補強部材と、前記前後のクロスメンバにおける前記左右のサイドメンバとの結合部近傍と前記補強部材の長手方向両端部とを連結する連結部材と、を有することを特徴とする。
【0010】
オフセット前突時、左右のサイドメンバのうち、前突側のサイドメンバは衝突体により車体前方への動きが止まり、反前突側のサイドメンバは慣性によって車体前方へ移動する。この際、フロアパネルにおける左右のサイドメンバと前後のクロスメンバとで囲まれた部分の開口部に形成された格納庫を開閉可能とするフロアボードの表面と裏面とのうちの少なくとも一方の面に車幅方向に沿って車体前後方向に傾斜して取付けられた補強部材と、前後のクロスメンバにおける左右のサイドメンバとの結合部近傍と補強部材の長手方向両端部とを連結する連結部材と、によって前後のクロスメンバを介して左右のサイドメンバを連結することで、反前突側のサイドメンバに作用する車体前方への慣性力を、クロスメンバ、連結部材、補強部材、連結部材、クロスメンバの順に前突側のサイドメンバに伝達し、反前突側のサイドメンバの車体前方への移動を傾斜した補強部材の張力で支持する。
【0011】
請求項3記載の本発明は、請求項1、2の何れか1項に記載の車体床部の補強構造において、前記フロアボードは四角形で、前記補強部材はフロアボードの対角線状に取付けられたことを特徴とする。
【0012】
請求項1、2の何れか1項に記載の内容に加えて、補強部材を四角形のフロアボードの対角線状に取付けることで、車幅方向に沿って車体前後方向に傾斜して取付けられた補強部材の車幅方向に対する傾斜角度を大きくできる。このため、反前突側のサイドメンバに作用する車体前方への慣性力が、前突側のサイドメンバに効果的に伝達される。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の本発明における車体床部の補強構造は、上記の構成とすることで、設計上の大きな制約を受けることなく、オフセット前突時の車体床部の変形を抑制できる。
【0014】
請求項2記載の本発明における車体床部の補強構造は、上記の構成とすることで、設計上の大きな制約を受けることなく、オフセット前突時の車体床部の変形を抑制できる。
【0015】
請求項3記載の本発明は、請求項1、2の何れか1項に記載の車体床部の補強構造において、フロアボードは四角形で、補強部材はフロアボードの対角線状に取付けられたことを特徴とする。
【0016】
請求項1、2の何れか1項に記載の効果に加えて、オフセット前突時の車体床部の変形を効果的に抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の車体床部の補強構造の第1実施形態を図1〜図8に従って説明する。
【0018】
なお、図中矢印FRは車体前方方向を、矢印UPは車体上方方向を示す。
【0019】
図1に示される如く、本実施形態の車体床部の補強構造では、車体10の車幅方向両端下部近傍に左右のロッカ(サイドシルともいう)12が取付けられており、これらのロッカ12は、フロントタイヤ13の後方に、その長手方向を車体前後方向に沿って配置されている。また、左右のロッカ12の間にはフロアパネル14が取付けられており、フロアパネル14の車幅方向両端縁部14Aは左右のロッカ12に溶着されている。
【0020】
左右のロッカ12の車幅方向内側には、左右のサイドメンバとしてのフロアサイドメンバ16、17がその長手方向を車体前後方向に沿って配置されている。また、左右のフロアサイドメンバ16、17の間にはクロスメンバ20が取付けられており、クロスメンバ20はその長手方向を車幅方向に沿って配置されている。また、クロスメンバ20の車幅方向両端部20Aは、左右のフロアサイドメンバ16、17にそれぞれ溶接等によって結合されている。
【0021】
図4に示される如く、クロスメンバ20は、クロスメンバ20の上部を構成するクロスメンバアッパ22と、クロスメンバ20の下部を構成するクロスメンバロア24とで構成されている。クロスメンバアッパ22の車幅方向から見た断面形状は開口部を車体下方へ向けたハット断面形状、即ち、下方が開口した矩形断面形状において開口端部に前後に突出したフランジ22Aを有する断面形状となっている。また、クロスメンバロア24の車幅方向から見た断面形状は開口部を車体上方へ向けたハット断面形状、即ち、上方が開口した矩形断面形状において開口端部に前後に突出したフランジ24Aを有する断面形状となっている。また、クロスメンバアッパ22のフランジ22Aとクロスメンバロア24のフランジ24Aは、フロアパネル14を挟んで互いに溶着されており、クロスメンバアッパ22とクロスメンバロア24とで、その長手方向が車幅方向に延びる閉断面構造を形成している。
【0022】
図1に示される如く、クロスメンバ20の後方には、所定の間隔を隔ててクロスメンバ26が取付けられており、クロスメンバ26はその長手方向を車幅方向に沿って配置されている。また、クロスメンバ26の車幅方向両端部26Aは、左右のフロアサイドメンバ16、17にそれぞれ溶接等によって結合されている。
【0023】
図4に示される如く、クロスメンバ26はクロスメンバ20と同様の構造となっている。即ち、クロスメンバアッパ28のフランジ28Aとクロスメンバロア30のフランジ30Aが、フロアパネル14を挟んで互いに溶着されており、クロスメンバアッパ28とクロスメンバロア30とで、その長手方向が車幅方向に沿った閉断面構造を形成している。
【0024】
図5に示される如く、左右のフロアサイドメンバ16、17の車体前後方向から見た断面形状は、クロスメンバ20の車幅方向から見た断面形状と同様の構造となっている。即ち、フロアサイドメンバアッパ18のフランジ18Aとフロアサイドメンバロア19のフランジ19Aとが、フロアパネル14を挟んで互いに溶着されており、フロアサイドメンバアッパ18とフロアサイドメンバロア19とで、その長手方向が車体前後方向に沿った閉断面構造を形成している。
【0025】
図2はフロアパネル14の下面14B側を示しており、フロアパネル14における左右のフロアサイドメンバ16、17と前後のクロスメンバ20、26とで囲まれた四角形の部位には、四角形の開口部32が形成されている。
【0026】
図3に示される如く、フロアパネル14の開口部32には、格納庫34が取付けられている。格納庫34は樹脂で構成されており、底部34Aを有し、上方が開口した箱形状となっている。格納庫34の開口周縁部には、開口外側へ向かってフランジ34Bが枠状に形成されており、このフランジ34Bがフロアパネル14に形成した開口部32の周縁部の上面に結合されている。また、図3に二点鎖線で示すように、格納庫34内には折り畳まれた車体前方から2列目のリヤシート36が格納可能となっている。また、リヤシート36は、図3に実線で示す格納庫34の後方側の使用位置から、シートバッグ36Aをシートクッション36B上に倒し、後脚36Cのロックを解除し、前脚36Dを格納庫34の底部34Aとの連結部36Eの軸36Fを中心として車体前方へ回転させることで図3に二点鎖線で示す格納位置へ移動できるようになっている。なお、リヤシート36の格納構造は周知であるため、詳細な説明は省略する。また、図3の符号37は車体前方から1列目のフロントシートを示している。
【0027】
図4に示される如く、格納庫34の上方には軽量化を考慮して木製のフロアボード40が取付けられており、フロアボード40は格納庫34の上方を覆う格納扉となっている。
【0028】
図1に示される如く、フロアボード40の平面視形状は四角形となっており、フロアボード40は、格納庫34の上方に、格納庫34を開閉可能に取付けられている。また、フロアボード40を閉じた状態で、フロアボード40の下面となる裏面40A側には、フロアボード40の対角線状となる位置に2本の直線形状の補強部材42、44が平面視においてX形状に取付けられている。
【0029】
なお、フロアボード40の対角線状となる位置とは、四角形とされたフロアボード40の対角線上または対角線上の近傍の位置である。
【0030】
図6に示される如く、補強部材44は断面円形のパイプ材で構成されている。なお、図示を省略したが補強部材42も断面円形のパイプ材で構成されている。
【0031】
図5に示される如く、補強部材42、44の長手方向中央部42A、44Aは、それぞれ平板状に潰されており、補強部材42、44は長手方向中央部42A、44Aにおいて互いに重なっている。
【0032】
図4に示される如く、補強部材42、44の長手方向中央部42A、44Aには、ボルト46がフロアボード40を閉めた状態で車体下方側から車体上方側へ向かって貫通しており、ボルト46には補強部材42の上方からナット48が螺合している。従って、補強部材42、44の長手方向中央部42A、44Aはボルト46とナット48とで互いに結合されている。
【0033】
図5に示される如く、補強部材42、44の車体前方側の端部42B、44Bは、それぞれ連結部材としてのヒンジ50を介して、クロスメンバアッパ22におけるフロアサイドメンバ16、17との結合部近傍の後壁部22Bに連結されている。
【0034】
図7に示される如く、補強部材44の車体前方側の端部44Bは、ヒンジ50のフロアボード取付部52に固定されている。
【0035】
図6に示される如く、ヒンジ50のフロアボード取付部52には、プレス成形等によって車体下方側へ断面U字状に凹んだ凹部52Aが形成されており、凹部52Aはその長手方向をフロアボード40の対角線に沿って形成されている。また、凹部52Aの底部に補強部材44の車体前方側の端部44Bがアーク溶接等によって溶着されている。
【0036】
図7に示される如く、ヒンジ50の車体取付部54は、平面視形状がL字状の左右一対の板材で構成されている。車体取付部54における車幅方向に延びる板部54Aは、クロスメンバアッパ22の後壁部22Bにボルト56とナット58とで固定されており、車体取付部54における板部54Aの端部から車体後方へ延びる板部54Bには、ヒンジ軸60の両端が取付けられている。また、ヒンジ軸60はその長手方向を車幅方向に沿って取付けられており、ヒンジ軸60における左右の車体取付部54の板部54Bの間となる部位には、フロアボード取付部52に形成された軸受部52Bが回転可能に軸支されている。
【0037】
なお、ヒンジ軸60はカラー62と螺子64とで構成されている。カラー62の一方の端部62Aは板部54Bの外側で拡径されており、他方の端部62Bの内周に形成された雌螺子に板部54Bの外側から螺子64が螺合している。
【0038】
ヒンジ50のフロアボード取付部52における軸受部52B近傍の車幅方向両端部には、円形の取付孔66、68が形成されており、これらの取付孔66、68を貫通するビス70によって、ヒンジ50のフロアボード取付部52にフロアボード40が固定されている。
【0039】
図4に示される如く、フロアボード40を閉じた状態で、フロアボード40の前端縁部の車幅方向両端部40Bとなる部位が、それぞれヒンジ50のフロアボード取付部52に固定されている。
【0040】
図5に示される如く、補強部材42の車体前方側の端部42Bも、補強部材44の車体前方側の端部44Bと同様にヒンジ50を介してクロスメンバアッパ22に連結されている。
【0041】
図8に示される如く、補強部材44の車体後方側端部44Cは連結部材としてのロックプレート74に固定されている。ロックプレート74の平面視は略四角形となっており、ロックプレート74には、プレス成形等によって断面U字状の凹部74Aが形成されている。また、凹部74Aはその長手方向をフロアボード40の対角線に沿って形成されており、凹部74Aの底部に補強部材44の車体後方側端部44Cがアーク溶接等によって溶着されている。
【0042】
ロックプレート74における補強部材44の延長線上となる部位には、凹部74Aに連続して補強用のビード76が形成されており、ビード76はプレス成形等によってフロアボード40を閉じた状態で上方から下方へ向かって凹とされている。また、ビード76における凹部74Aと反対側の端部には、係合片80がフロアボード40を閉めた状態で車体下方へ向って突出形成されている。ロックプレート74における係合片80の上下方向略中央部には係合孔82が形成されており、係合孔82はその長手方向を車幅方向に沿って形成されている。
【0043】
ビード76の底部76Aにおける係合片80側の端部近傍には円形の貫通孔78が形成されている。また、ロックプレート74における凹部74Aを挟んだ車幅方向両側の部位には、それぞれ円形の取付孔82、84が形成されている。これらの取付け孔82、84には、それぞれビス86が下方側から挿入されており、これらのビス86によって、図4に示される如く、フロアボード40を閉じた状態で、フロアボード40における後端縁部の車幅方向両端部40Cがロックプレート74に固定されている。
【0044】
図8に示される如く、クロスメンバアッパ28の上壁部28Bには、連結部材としてのロック装置88が固定されている。ロック装置88は箱形状とされており、内部には図示を省略した係合爪が取付けられている。また、ロック装置88の上壁部88Aの前後方向中央部には、スリット90が形成されており、このスリット90はその長手方向を車幅方向に沿って形成されている。
【0045】
ロック装置88のスリット90にロックプレート74の係合片80を挿入すると、係合片80の取付け孔82に、ロック装置88内の係合爪(図示省略)が係合し、ロックプレート74をロック位置に保持するようになっている。また、ロック装置88には、電気信号によって作動するソレノイド等で構成されたロック解除機構(図示省略)、または、手動によって移動するワイヤ等で駆動するロック解除機構(図示省略)が内蔵されており、車体の操作し易い位置に取付けたロック解除スイッチ(図示省略)またはロック解除レバー(図示省略)を操作することでロックが解除され、ロック装置88からロックプレート74が外れるようになっている。なお、ロック装置88の内部構造は、周知の構造であるため、詳細な説明は省略する。
【0046】
ロック装置88の上壁部88Aにおけるスリット90より補強部材44側となる部位には、円柱形状の係合ピン92が立設されており、ロックプレート74がロック位置に保持されている状態では、係合ピン92がロックプレート74の貫通孔78を挿通した状態になる。また、ロック装置88の車幅方向両端下部には車幅方向に突出した平板状の取付部88Bが形成されており、これらの取付部88Bにはそれぞれ円形の取付孔94が形成されている。ロック装置88の取付部88Bの取付孔94には、車体上方側からボルト96が挿入されており、これらのボルト96はクロスメンバアッパ28の上壁部28Bに形成された取付孔96を挿通している。また、ボルト96には、クロスメンバアッパ28の上壁部28Bの車体下方側からナット100が螺合しており、ロック装置88はボルト96とナット100とによって、クロスメンバアッパ28の上壁部28Bに固定されている。
【0047】
図5に示される如く、補強部材42の車体後方側の端部42Cも、補強部材44の車体後方側の端部44Cと同様にロックプレート74とロック装置88を介してクロスメンバアッパ28に連結されている。即ち、補強部材42、44の車体後方側の端部42C、44Cはロックプレート74とロック装置88を介してクロスメンバアッパ28におけるフロアサイドメンバ16、17との結合部近傍に連結されている。
【0048】
図4に示される如く、車体床部にはカーペット104が敷かれており、フロアボード40を閉じた状態でフロアボード40の上面となる表面40Dには、カーペット104が直接取付けられている。また、カーペット104とフロアパネル14の上面14Cとの間には、防音材106がシート状に取付けられている。
【0049】
図5に示される如く、フロアボード40を開放した状態でフロアボード40の上端縁部となり、フロアボード40を閉じた状態でフロアボード40の後端縁部となる部位には、リヤシート36の前脚36Dとの干渉を防止するために左右一対のスリット110が形成されており、これらのスリット110は、フロアボード40を閉じた状態で、その長手方向を車体前後方向に沿って形成されている。また、これらのスリット110を覆うカーペット104におけるスリット110の幅方向中央部となる位置には切れ目112が形成されており、これらの切れ目112をリヤシート36の前脚36Dが挿通するようになっている。また、フロアボード40における車体前側を除く周囲の上方となるカーペット104の部位には切れ目114が形成されている。
【0050】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0051】
本実施形態では、図5に示される如く、車体10のフロアパネル14における左右のフロアサイドメンバ16、17と前後のクロスメンバ20、26で囲まれた四角形の部位に、四角形の開口部32が形成されており、図3に示される如く、二点鎖線で示すように、開口部32に取付けた凹形状の格納庫34に折り畳んだリヤシート36を格納できる。また、フロアボード40によって、開口部32の上方を覆い床部の一部を構成することで、フロアボード40上に荷物を載置することができる。
【0052】
また、図1に示される如く、フロアボード40の裏面40Aの対角線上には、2本の直線状の補強部材42、44が平面視でX形状に取付けられており、2本の補強部材42、44の車体前方側の端部42B、44Bは、それぞれヒンジ50を介して、左右のフロアサイドメンバ16、17に固定された前方のクロスメンバ20の車幅方向両端部20Aに連結されている。即ち、クロスメンバ20における左右のフロアサイドメンバ16、17との結合部付近に、2本の補強部材42、44の車体前方側の端部42B、44Bが、それぞれヒンジ50を介して結合されている。
【0053】
一方、2本の補強部材42、44の車体後方側の端部42C、44Cは、それぞれロックプレート74とロック装置88を介して、左右のフロアサイドメンバ16、17に固定された後方のクロスメンバ26の車幅方向両端部26Aに連結されている。即ち、クロスメンバ26における左右のフロアサイドメンバ16、17との結合部付近に、2本の補強部材42、44の車体後方側の端部42C、44Cが、それぞれロックプレート74とロック装置88を介して結合されている。
【0054】
従って、車体10がオフセット前突した場合には、左右のフロアサイドメンバ16、17のうち、前突側のフロアサイドメンバ17は衝突体Kにより車体前方への動きが止まり、反前突側のフロアサイドメンバ16は車体前方(矢印A方向)へ慣性によって移動する。この際、フロアサイドメンバ16に作用する車体前方への慣性力(図1の矢印F1)は、フロアサイドメンバ16から前方のクロスメンバ20に伝わり、ヒンジ50、補強部材44、ロックプレート74、ロック装置88、後方のクロスメンバ26に伝わり、後方のクロスメンバ26から前突側のフロアサイドメンバ17に伝わる。
【0055】
なお、ヒンジ50においては、クロスメンバ20からの力F1が、車体取付部54、ヒンジ軸60、フロアボード取付部52の順に伝わる。一方、ロックプレート74とロック装置88においては、補強部材44からの力F1が、ロックプレート74、ロック装置88の順に伝わり、ロックプレート74とロック装置88との間では、力F1が貫通孔78と係合ピン92との連結部と、係合片80とスリット90との連結部とを介して伝達される。また、ロックプレート74における補強部材44の延長線上となる部位に形成したビード76により、力F1(張力)に対するロックプレート74の剛性が向上する。
【0056】
この結果、ヒンジ50、補強部材44、ロックプレート74、ロック装置88の各引張り強度によって、反前突側のフロアサイドメンバ16の車体前方(図1の矢印A方向)への移動が抑制される。なお、左右のフロアサイドメンバ16、17のうち、フロアサイドメンバ16が前突側となって、フロアサイドメンバ17が反前突側となった場合には、補強部材42によって同様の作用効果がある。
【0057】
このため、クロスメンバ20、26の強度と左右のフロアサイドメンバ16、17とクロスメンバ20、26との結合強度とを高くすることなく、オフセット前突時の車体床部の変形を抑制できるので、設計上の大きな制約を受けることがない。
【0058】
また、補強部材42、44を四角形のフロアボード40の対角線状に取付けることで、車幅方向に沿って車体前後方向に傾斜して取付けられた補強部材42、44の車幅方向に対する傾斜角度を大きくできる。このため、反前突側のサイドメンバ16に作用する車体前方への慣性力を、傾斜した補強部材42、44の張力で支持することで、前突側のサイドメンバ17に効果的に伝達できる。この結果、オフセット前突時の車体床部の変形を効果的に抑制できる。
【0059】
また、フロアボード40の裏面40Aの対角線上に取付けた2本の直線状の補強部材42、44によって、左右のフロアサイドメンバ16、17の剪断方向の変形に対する剛性が高くなる。この結果、車両走行時の左右のフロアサイドメンバ16、17の前後方向の相対移動が抑制されるため、車体の操縦安定性能も向上する。
【0060】
次に、本発明の車体床部の補強構造の第2実施形態を図9及び図10に従って説明する。
【0061】
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0062】
第1実施形態と異なり、図9及び図10に示される如く、フロアボード40を閉じた状態で、フロアボード40の車幅方向右側縁部の前後両端部40Eとなる部位が、それぞれ車体右側のフロアサイドメンバ17にヒンジ50を介して連結されている。また、フロアボード40を閉じた状態で、フロアボード40の車幅方向左側縁部の前後両端部40Fとなる部位にそれぞれロックプレート74が固定されており、これらのロックプレート74を保持するロック装置88が車体左側のフロアサイドメンバ16にそれぞれ固定されている。
【0063】
従って、車体10がオフセット前突した場合に、反前突側のフロアサイドメンバ16に作用する車体前方への慣性力(図9の矢印F2)は、フロアサイドメンバ16からロック装置88、ロックプレート74、補強部材44、ヒンジ50、前突側のフロアサイドメンバ17の順に伝わるようになっている。
【0064】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0065】
車体10がオフセット前突した場合に、図9に示される如く、左右のフロアサイドメンバ16、17のうち、前突側のフロアサイドメンバ17は衝突体Kにより車体前方への動きが止まり、反前突側のフロアサイドメンバ16は車体前方(図9の矢印A方向)へ慣性によって移動する。この際、反前突側のフロアサイドメンバ16に作用する車体前方への慣性力(図9の矢印F2)は、フロアサイドメンバ16からロック装置88、ロックプレート74、補強部材44、ヒンジ50、前突側のフロアサイドメンバ17の順に伝わる。
【0066】
この結果、ロック装置88、ロックプレート74、補強部材44、ヒンジ50の各引張り強度によって、反前突側のフロアサイドメンバ16の車体前方(図9の矢印A方向)への移動が抑制される。なお、左右のフロアサイドメンバ16、17のうち、フロアサイドメンバ16が前突側となって、フロアサイドメンバ17が反前突側となった場合には、補強部材42によって同様の作用効果がある。
【0067】
このため、クロスメンバ20、26の強度と左右のフロアサイドメンバ16、17とクロスメンバ20、26との結合強度とを高くすることなく、オフセット前突時の車体床部の変形を抑制できるので、設計上の大きな制約を受けることがない。
【0068】
また、本実施形態では、左右のフロアサイドメンバ16、17にヒンジ50とロック装置88とが取付けられているため、ヒンジ50とロック装置88とをクロスメンバ20、26に取付ける構成に比べて、反前突側のフロアサイドメンバ16に作用する車体前方への慣性力(図9の矢印F2)を前突側のフロアサイドメンバ17へ効果的に伝達できる。
【0069】
その他の作用は前記第1実施形態と同様である。
【0070】
なお、本実施形態では、車体右側のフロアサイドメンバ17にヒンジ50を取付け、車体左側のフロアサイドメンバ16にロックプレート74を保持するロック装置88を取付けたため、フロアパネル14の開口部32の前後にクロスメンバ20、26を設けない構成とすることもできる。
【0071】
また、第2実施形態とは逆に車体左側のフロアサイドメンバ16にヒンジ50を取付け、車体右側のフロアサイドメンバ17にロックプレート74を保持するロック装置88を取付けた構成としても良い。
【0072】
次に、本発明の車体床部の補強構造の第3実施形態を図11に従って説明する。
【0073】
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0074】
第1実施形態と異なり、図11に示される如く、フロアボード40を閉じた状態で、フロアボード40の前端縁部における車幅方向両端部40Bが、第1実施形態におけるフロアボード40の後端縁部の車幅方向両端部40Cと同じくロックプレート74とロック装置88とによって、それぞれ前方のクロスメンバ20の車幅方向両端部20Aに連結されており、4つのロック装置88をロック解除することで、フロアボード40を車体10の床部から取り外せるようになっている。
【0075】
従って、車体10がオフセット前突した場合に、反前突側のフロアサイドメンバ16に作用する車体前方への慣性力(図11の矢印F3)は、フロアサイドメンバ16から前方のクロスメンバ20に伝わり、前方側のロック装置88とロックプレート74、補強部材44、後方側のロックプレート74とロック装置88、後方のクロスメンバ26の順に伝わり、後方のクロスメンバ26から前突側のフロアサイドメンバ17に伝わるようになっている。
【0076】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0077】
車体10がオフセット前突した場合に、図11に示される如く、左右のフロアサイドメンバ16、17のうち、前突側のフロアサイドメンバ17は衝突体Kにより車体前方への動きが止まり、反前突側のフロアサイドメンバ16は車体前方(図11の矢印A方向)へ慣性によって移動する。この際、フロアサイドメンバ16に作用する車体前方への慣性力(図11の矢印F3)は、フロアサイドメンバ16から前方のクロスメンバ20に伝わり、前方側のロック装置88とロックプレート74、補強部材44、後方側のロックプレート74とロック装置88、後方のクロスメンバ26の順に伝わり、後方のクロスメンバ26から前突側のフロアサイドメンバ17に伝わる。
【0078】
この結果、前方側のロック装置88とロックプレート74、補強部材44、後方側のロックプレート74とロック装置88の各引張り強度によって、反前突側のフロアサイドメンバ16の車体前方(図11の矢印A方向)への移動が抑制される。なお、左右のフロアサイドメンバ16、17のうち、フロアサイドメンバ16が前突側となって、フロアサイドメンバ17が反前突側となった場合には、補強部材42によって同様の作用効果がある。
【0079】
このため、クロスメンバ20、26の強度と左右のフロアサイドメンバ16、17とクロスメンバ20、26との結合強度とを高くすることなく、オフセット前突時の車体床部の変形を抑制できるので、設計上の大きな制約を受けることがない。
【0080】
また、本実施形態では、4つのロック装置88をロック解除することで、フロアボード40を車体10の床部から取り外すことができる。
【0081】
その他の作用は前記第1実施形態と同様である。
【0082】
なお、本実施形態では、前後のクロスメンバアッパ22、26にロック装置88を取付けたが、これに代えて、左右のフロアサイドメンバ16、17にロック装置88を取付け、車体10がオフセット前突した場合に、反前突側のフロアサイドメンバ16に作用する車体前方への慣性力が、フロアサイドメンバ16から前方側のロック装置88とロックプレート74、補強部材44、後方側のロックプレート74とロック装置88の順に伝わり、後方のロック装置88から前突側のフロアサイドメンバ17に伝わる構成としても良い。
【0083】
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記各実施形態の補強部材42、44は断面円形のパイプ材に限定されず、他の断面形状のパイプ材でも良い。また、補強部材42、44はプレス加工等によって開き断面形状とされた棒材でも良い。また、補強部材42、44は中実の棒材で構成しても良い。
【0084】
また、上記各実施形態では、補強部材42、44の長手方向中央部42A、44Aを互いに結合したが、補強部材42、44の長手方向中央部42A、44Aを互いに結合しない構成としても良い。
【0085】
また、フロアボード40は木製に限定されず、樹脂等の他の材料で構成しても良い。
【0086】
また、上記各実施形態では、車体前方から2列目のリヤシート36を格納庫34内に格納可能としたが、これに代えて、車体前方から3列目のリヤシート等の他のシートを格納庫34内に格納可能としても良い。
【0087】
また、上記各実施形態では、フロアボード40の裏面40Aに補強部材42、44を取付けたが、これに代えて、フロアボード40の表面40Dに補強部材42、44を取付けた構成としても良い。また、フロアボード40の裏面40Aと表面40Dとにそれぞれ補強部材42、44の何れか一本を取付けた構成としても良い。
【0088】
また、上記各実施形態では、左右のサイドメンバを左右のフロアサイドメンバ16、17としたが、サイドメンバとは、その長手方向を車体前後方向に沿って配置されている骨格部材である。このため、左右のフロアサイドメンバ16、17に限定されず、リヤサイドメンバ等の他のサイドメンバへ本発明を適用しても良い。なお、クロスメンバとは、その長手方向を車幅方向に沿って配置されている骨格部材である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車体床部の補強構造におけるサイドメンバとフロアボードとの位置関係を示す車体上方から見た概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る車体床部の補強構造におけるサイドメンバとフロアパネルの開口部との位置関係を示す車体下方から見た概略図である。
【図3】図1の3−3線に沿った断面図である。
【図4】図3の一部を示す拡大断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る車体床部の補強構造のフロアボードを開放した状態を示す車体斜め後方から見た斜視図である。
【図6】図7の6−6線に沿った断面図である。
【図7】図4の7−7線に沿った拡大断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る車体床部の補強構造のロック構造を示す車体斜め後方から見た分解斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る車体床部の補強構造におけるサイドメンバとフロアボードとの位置関係を示す車体上方から見た概略図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る車体床部の補強構造のフロアボードを開けた状態を示す車体斜め後方から見た斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る車体床部の補強構造におけるサイドメンバとフロアボードとの位置関係を示す一部を断面とした車体上方から見た概略図である。
【符号の説明】
【0090】
14 フロアパネル
16 フロアサイドメンバ(サイドメンバ)
17 フロアサイドメンバ(サイドメンバ)
20 クロスメンバ
22 クロスメンバアッパ
24 クロスメンバロア
26 クロスメンバ
28 クロスメンバアッパ
30 クロスメンバロア
32 フロアパネルの開口部
34 格納庫
36 リヤシート
40 フロアボード
40A フロアボードの裏面
42 補強部材
44 補強部材
50 ヒンジ(連結部材)
52 ヒンジのフロアボード取付部
54 ヒンジの車体取付部
60 ヒンジのヒンジ軸
74 ロックプレート(連結部材)
88 ロック装置(連結部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向を車体前後方向に沿って配置された左右のサイドメンバと、
前記左右のサイドメンバ間に開口部を備えたフロアパネルと、
前記開口部に形成された格納庫を開閉可能とするフロアボードと、
前記フロアボードの表面と裏面とのうちの少なくとも一方の面に車幅方向に沿って車体前後方向に傾斜して取付けられた補強部材と、
前記補強部材の長手方向両端部と前記左右のサイドメンバとを連結する連結部材と、
を有することを特徴とする車体床部の補強構造。
【請求項2】
長手方向を車体前後方向に沿って配置された左右のサイドメンバと、
長手方向を車幅方向に沿って配置され、車幅方向両端部が前記左右のサイドメンバに結合された前後のクロスメンバと、
前記左右のサイドメンバと前記前後のクロスメンバとで囲まれた部分に開口部を備えたフロアパネルと、
前記開口部に形成された格納庫を開閉可能とするフロアボードと、
前記フロアボードの表面と裏面とのうちの少なくとも一方の面に車幅方向に沿って車体前後方向に傾斜して取付けられた補強部材と、
前記前後のクロスメンバにおける前記左右のサイドメンバとの結合部近傍と前記補強部材の長手方向両端部とを連結する連結部材と、
を有することを特徴とする車体床部の補強構造。
【請求項3】
前記フロアボードは四角形で、前記補強部材はフロアボードの対角線状に取付けられたことを特徴とする請求項1、2の何れか1項に記載の車体床部の補強構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−176060(P2006−176060A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−373557(P2004−373557)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】