説明

車体後部構造

【課題】バンパの上部に配置したリアランプユニットを保護する。
【解決手段】リアランプユニット7は、ランプ取付具9を介して車体本体1のリアパネル5に取り付けた状態で、車体本体1に取り付けたバンパ11の上部に位置する。ランプ取付具9は、車幅方向両端の左右一対のブラケット35と、この各ブラケット35相互間に位置する中間ブラケット36とを備える。リアランプユニット7は、ブラケット35に対応するランプ本体13と、中間ブラケット36に対応する中央装飾部15とを備える。左右一対のブラケット35は、上面部37と下面部39とを互いに連結する縦壁部41,43,45を備えるとともに、バンパ11の上部63の前端63aを係合させる係合凹部55を下面部39に備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体後部に設けたバンパの上部にリアランプユニットを配置した車体後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体後部に取り付けたリアランプユニットがバンパの上部に配置され、バンパがブラケットを介して車体に取り付けられている車体後部構造が知られている(例えば下記特許文献1参照)。
【特許文献1】実用新案登録第2510836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した従来の車体後部構造では、リアランプユニットは、荷室のすぐ後ろに位置することになるので、荷物などの落下などによって荷重を受けて破損する恐れがあり、またバンパが、後方からの衝突などによって荷重を受けることにより上方への突き上げ荷重を受け、その上部に位置するリアランプユニットが破損する恐れがある。
【0004】
そこで、本発明は、バンパの上部に配置したリアランプユニットを保護することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、バンパの上部に配置したリアランプユニットを、ブラケットを介して車体後部に取り付け、前記ブラケットは、リアランプユニットの上方,下方をそれぞれ覆う上面部,下面部相互を連結する縦壁部と、前記下面部に設けられ、バンパの上部と係合して該バンパ上部の上方への移動を規制するバンパ移動規制部と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、リアランプユニットの上方から作用する荷重については、ブラケットの上面部を介して縦壁部が受けることになるので、リアランプユニットを保護でき、また、バンパが後方から衝突などによって荷重を受けることによる上方への突き上げ荷重については、バンパ移動規制部がバンパの上方への移動を規制するので、リアランプユニットを保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態を示す車体後部構造の分解斜視図であり、図2は、この車体後部構造を備える車体の後部斜視図である。この自動車の車体における車体本体1の後部には、バックドア2(図4参照)が開閉するドア開口部3を備え、このドア開口部3の下部のリアパネル5に、リアランプユニット7を、ランプ取付具9を介して取り付ける。
【0009】
そして、図2に示すように、車体本体1の下部に取り付けられるバンパ11の上部に、前記したリアランプユニット7が配置されることになる。このリアランプユニット7は、ランプ取付具9を間に挟んで車体本体1に取り付ける。
【0010】
リアランプユニット7は、図3に示すように、車幅方向両端に位置する一対のランプ本体13と、これら一対のランプ本体13相互間に位置する中央装飾部15とを備えている。
【0011】
ランプ本体13は、リアランプユニット7及びバンパ11を車体本体1に取り付けた状態での図3のA−A断面図である図4(a)に示すように、バルブ17と、バルブ17を支持しかつその周囲を覆うインナカバー19と、インナカバー19の車体後方の開口部を覆うレンズ部21とを備え、全体して車幅方向に長い形状となっている。一方、中央装飾部15は、前記したランプ本体13のレンズ部21に対し、車体後方側の外表面が互いにほぼ同一面を形成する中央レンズ部23と、中央レンズ部23の内側に設けてあるインナハウジング25とを備えている。
【0012】
また、ランプ本体13の車体前方側には、車体前方に向けて突出する複数のクリップ27を設けてあり、このクリップ27を、ランプ取付具9を貫通させて車体本体1のリアパネルに設けた係合孔5aに係合させることで、ランプ本体13を車体本体1に取り付ける。さらに、ランプ本体13の車幅方向内側端部の上部には、車体前方に向けて突出する取付フランジ29を設けてある。
【0013】
一方、中央装飾部15は、インナハウジング25の車幅方向両端の上部に、車体前方に向けて突出する取付フランジ31を備えるとともに、車幅方向両端付近の車体前方側に、車体前方に向けて突出する図示しないクリップを設けてある。このクリップをランプ本体13の車幅方向内側端部に設けてある係合孔33に挿入して係合させる。このとき、中央装飾部15の取付フランジ31が、ランプ本体13の取付フランジ29の上に重ね合わされた状態となる。
【0014】
上記したランプ本体13のレンズ部21と中央装飾部15の中央レンズ部23とは、図2に示すように組み付けた状態で車幅方向に連続したものとなる。
【0015】
ランプ取付具9は、図3に示すように、ドア開口部3の下縁に近接してリアパネル5に取り付けるもので、車幅方向両端に位置する左右一対のブラケット35と、これら一対のブラケット35相互間に位置する中間部材としての平板形状の中間ブラケット36とを備えている。
【0016】
左右一対のブラケット35は、図2のように組み付けた状態で、リアランプユニット7の上方,下方をそれぞれ覆うほぼ平板形状の上面部37,下面部39を備え、これら上面部37,下面部39相互を、車幅方向に沿って間隔をおいて配置してある3つの縦壁部41,43,45によって連結して一体化している。また、上面部37及び下面部39の車幅方向外側端部は、外側縦壁47によって互いに連結している。縦壁部43はブラケット35の車幅方向ほぼ中央に位置し、縦壁部41は縦壁部43と外側縦壁47とのほぼ中間に位置し、縦壁部45はブラケット35の車幅方向内側端部に位置している。
【0017】
したがって、上記したブラケット35は、縦壁部41,43,45及び外側縦壁47の相互間に車体前後方向に貫通する貫通部49,51,53を備えていることになる。
【0018】
また、ブラケット35の上記した中央の縦壁部41と縦壁部4との間の下面部39には、リアランプユニット7及びバンパ11を車体本体1に取り付けた状態での図3のB−B断面図である図4(b)に示すように、バンパ移動規制部としての係合凹部55を設けている。この係合凹部55は、図5(b)に拡大して示すように、下面部39の車体後方側の端部39a上に隙間57を介して突片59を設けることで形成している。下面部39の端部39aは、端部39aより車体前方側の下面部39の一般部に対し下方に屈曲するようにして形成してあり、突片59よりも車体後方に突出している。
【0019】
上記した係合凹部55は車幅方向に沿って複数設けてあり、これら係合凹部55相互間の下面部39には、図5(a)の断面図に示すように上方に突出する係止突起39bを設けている。
【0020】
一方バンパ11は、図1に示すように車幅方向両端が上方に突出する突出部61を備えている。この各突出部61相互間における上部63の車体前方側端部の一部は、リアランプユニット7を車体本体1に取り付けた状態での図3のA−A断面図である図4(a)に示すように、ブラケット35の下面部39の車体後方端部上に載置した状態となっている。
【0021】
ここで、バンパ11の前記した係合凹部55に対応する上部63は、図4(b)及び図5(b)に示すように、前端63aを車体前方に向けて突出させて係合凹部55に挿入し係合させている。また、複数の係合凹部55にそれぞれ挿入した上部63の各前端63a相互間には、図5(a)に示すように係止孔63cを設けてあり、この係止孔63cを前記した係止突起39bに係止させている。
【0022】
また、図1に示すように、バンパ11の車幅方向中央部の上部63は、上方に膨出する膨出部63bを備え、この膨出部63bからは、リアランプユニット7及びバンパ11を車体本体1に取り付けた状態での図3のC−C断面図である図4(c)に示すように、車体上部前方に向けてバンパ11の一部を延長した延長部65を備えている。延長部65は、上部を車体前方に延出した平面部65aを備え、平面部65aは中間ブラケット36の下部近傍に位置し、平面部65aの先端65bはリアパネル5に近接した位置にある。
【0023】
そして、上記したバンパ11の内側であって延長部65の平面部65aの下方には、衝撃吸収部材67を、その上面67aが平面部65aに近接した状態で配置している。衝撃吸収部材67は、リアパネル5の後面に取り付けてあるL字型の取付ブラケット69の後方へ突出する取付部69aを、前面に形成してある取付凹部67aに嵌入することで、車体本体1に取り付けている。
【0024】
次に、上記した車体後部構造における各部品の取付手順について説明する。まず、左右一対のブラケット35を、車体本体1のリアパネル5に図示しない締結具などを用いて取り付け、その後バンパ11を図示しない締結具などを用いて車体本体1に取り付ける。
【0025】
このとき、バンパ11は図4(a)に示すように、上部63の先端側の一部をブラケット35の下面部39上に位置させるとともに、図4(b)に示すように、上部63の前端63aを係合凹部55に挿入し係合させ、さら図5(a)に示すように、係止孔63cを係止突起39bに係止させる。また、バンパ11の車幅方向中央部分については、図4(c)に示すように、延長部65の平面部65aが衝撃吸収部材67の上面67a近傍に位置するとともに、平面部65aの先端65bがリアパネル5に近接した位置となる。
【0026】
次に、左右一対のリアランプユニット7を、対応する左右一対のブラケット35の上面部37と下面部39とのに間に嵌め込むようして入り込ませる。このとき、複数のクリップ27を、ブラケット35の外側縦壁47に設けた貫通孔47aや縦壁部43に設けた貫通孔43aに貫通させた後、車体本体1のリアパネル5に設けた係合孔5aに係合させることで、リアランプユニット7を車体本体1に取り付ける。
【0027】
その後、中央装飾部15を左右のランプ本体13相互間にセットし、この際中央装飾部15の図示しないクリップをランプ本体13の係合孔33に挿入して係合させることで、中央装飾部15と左右のランプ本体13とを連結する。またこのとき、中央装飾部15の取付フランジ31が、ランプ本体13の取付フランジ29の上に重ね合わされ、これら各取付フランジ31,29の取付孔31a,29aが互いに整合した状態となる。
【0028】
そして最後に中間ブラケット36を、左右のブラケット35の上面部37相互間にセットする。このとき中間ブラケット36の車幅方向両端部付近に設けた取付孔36aが、上記した各取付孔31a,29aに整合し、この状態でボルト71などの締結具を取付孔36a,31a,29aに順次挿入して固定する。なお、ボルト71を用いる場合には、取付孔29aを備えた取付フランジ29の裏側にウエルドナットを取り付けておく。
【0029】
上記中間ブラケット36を取り付けた状態では、中間ブラケット36の上面がブラケット35の上面部37の上面とほぼ同一水平面上に位置することになる。
【0030】
次に、上記した車体後部構造における作用効果について説明する。本実施形態の車体後部構造では、リアランプユニット7がバックドア2(図4参照)が開閉するドア開口部3(荷室)のすぐ後ろに位置している。このため、例えば荷室から荷物を取り出すときに、この荷物がランプ取付具9の例えば左右両側のブラケット37上に落下するなどしてブラケット37に対し下方に向けて荷重が作用することがある。
【0031】
この際、本実施形態では、荷重を受けるブラケット37は、縦壁部41,43,45が荷重を分散して受けることで、上面部37の下方へ撓むような変形を抑えることができ、リアランプユニット7の特にランプ本体13への荷重付与を抑制してリアランプユニット7を保護することができる。
【0032】
また、中間ブラケット36に対し下方に向けて荷重が作用したときには、この荷重は、図4(c)に示すように、バンパ11における延長部65の平面部65aを介して衝撃吸収部材67が受けるので、リアランプユニット7の特に中央装飾部15への荷重付与を抑制してリアランプユニット7を保護することができる。したがって、バンパ11の延長部65と衝撃吸収部材67とで、上方からの荷重を受けてリアランプユニット7を保護するランプ保護部を構成していることになる。
【0033】
また、バンパ11は、車体後方から衝突などによって前方に向けて荷重を受けると、上部63が上方へ向けて突き上げられるような荷重を受けることになる。この際、本実施形態では、図4(b),図5(b)に示すように、バンパ11は、上部63の前端63aをブラケット35側の係合凹部55に挿入し係合している。このため、バンパ11の上部63が上方に向けて浮き上がるようにして移動するのを係合凹部55によって抑えることができ、もってランプ本体13及び中央装飾部15に対する下方からの荷重付与を抑制してリアランプユニット7を保護することができる。
【0034】
また、本実施形態では、左右一対のブラケット35相互間に、上方からの荷重を受けてリアランプユニット7を保護するランプ保護部を設け、このランプ保護部はバンパ11の一部である延長部65で構成している。このため、ブラケット35と同様な縦壁部を備えたブラケットを車幅方向中央に別途設ける必要がなく、その分部品点数の削減及び取付工数の削減を図ることができる。
【0035】
この際、本実施形態では、ランプ保護部がバンパ11の延長部65と衝撃吸収部材67とを備える構成としているので、延長部65から衝撃吸収部材67に荷重が伝達されて、荷重を受けたときの衝撃吸収効率を高めることができる。
【0036】
さらに、本実施形態では、バンパ移動規制部として、バンパ11の上部63の前端63aが車体後方から前方に向けて挿入される凹部55を備えている構造としている。このため、ブラケット35における下面部39の端部39aの下部に隙間57を形成しつつ後方に突出する突片59を設けるという簡素な構成で、バンパ11の上部63の浮きを抑えてリアランプユニット7を保護することができる。
【0037】
また、本実施形態では、バンパ11の延長部65の上部に、ブラケット35の上面部37とほぼ同一水平面上に位置する中間ブラケット36を設けている。このため、左右一対のブラケット35と中間ブラケット36とで、リアランプユニット7を収容するランプ取付具9として車幅方向に連続したものとすることができ、見栄え向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態を示す車体後部構造の分解斜視図である。
【図2】図1の車体後部構造を備える車体の後部斜視図である。
【図3】図1の車体本体にランプ取付具を取り付けた状態を、リアランプユニットとともに示す斜視図である。
【図4】(a),(b),(c)は、リアランプユニット及びバンパを車体本体に取り付けた状態での図3のA−A,B−B,C−C各断面図である。
【図5】(a)はブラケットの係止突起にバンパの係止孔を係止した状態を示す断面図、(b)は図4(b)の要部を拡大した断面図である。
【符号の説明】
【0039】
7 リアランプユニット
11 バンパ
35 ブラケット
36 中間ブラケット(中間部材)
37 ブラケットの上面部
39 ブラケットの下面部
41,43,45 ブラケットの縦壁部
55 ブラケットの下面部に設けた凹部(バンパ移動規制部)
63 バンパの上部
65 バンパの延長部(バンパの一部,ランプ保護部)
67 衝撃吸収部材(ランプ保護部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後部に設けたバンパの上部にリアランプユニットを配置した車体後部構造において、前記リアランプユニットを、前記バンパの上部に位置させた状態でブラケットを介して車体後部に取り付け、前記ブラケットは、前記リアランプユニットの上方,下方をそれぞれ覆う上面部,下面部と、この上面部,下面部相互を連結する縦壁部と、前記下面部に設けられ、前記バンパの上部と係合して該バンパ上部の上方への移動を規制するバンパ移動規制部と、を備えていることを特徴とする車体後部構造。
【請求項2】
前記リアランプユニットは車幅方向のほぼ全長にわたり延設され、前記縦壁部及びバンパ移動規制部を備えるブラケットを車幅方向両側に一対設け、この一対のブラケット相互間に、上方からの荷重を受けて前記リアランプユニットを保護するランプ保護部を設け、このランプ保護部は前記バンパの一部であることを特徴とする請求項1に記載の車体後部構造。
【請求項3】
前記ランプ保護部は、前記バンパから車体上部前方に向けて一部を延長した延長部と、この延長部の下部に位置して車体に固定される衝撃吸収部材とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の車体後部構造。
【請求項4】
前記バンパ移動規制部は、前記バンパの上部前端が車体後方から前方に向けて挿入される凹部を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車体後部構造。
【請求項5】
前記バンパの延長部の上部に、前記ブラケットの上面部とほぼ同一水平面上に位置する中間部材を設けたことを特徴とする請求項3または4に記載の車体後部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−100149(P2010−100149A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272608(P2008−272608)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】