車内操作ユニット
【課題】 装飾部材が取り付けられる操作ユニットにおいて、装飾部材のベース部前面に不要な装飾用光沢層が形成されていても、その反射光が、当該ベース部に臨む隙間から漏出して外観が損なわれる不具合を効果的に防止し、かつ、当該効果をより簡便な構造にて確実かつ能率的に達成できるようにする。
【解決手段】 装飾部材8のベース部10が部材本体11の周側面11nから張り出す形態をなし、部材本体11の前端面11k及び周側面11nと、ベース部10の前端面とが装飾光沢層により一体的に覆われている。周辺部材6には、ベース部10の部材本体11の突出方向における前端面11kに外部光が到達可能な隙間s1,s2が形成されるとともに、該ベース部10の隙間s1,s2に臨む前端面が、部材本体11の突出方向と直交する仮想的な基準面に対して傾いた傾斜面10a,10bとされている。
【解決手段】 装飾部材8のベース部10が部材本体11の周側面11nから張り出す形態をなし、部材本体11の前端面11k及び周側面11nと、ベース部10の前端面とが装飾光沢層により一体的に覆われている。周辺部材6には、ベース部10の部材本体11の突出方向における前端面11kに外部光が到達可能な隙間s1,s2が形成されるとともに、該ベース部10の隙間s1,s2に臨む前端面が、部材本体11の突出方向と直交する仮想的な基準面に対して傾いた傾斜面10a,10bとされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車内操作ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2000−251561号公報
【0003】
自動車等の車両においては、搭載される電子機器、例えば空調装置やカーオーディオシステム、さらにはカーナビゲーションシステムを操作するための操作ユニットが車内に設けられる。操作ユニットには、車両の搭乗者が必要に応じて操作するための操作部が設けられる。他方、操作時に搭乗者と向き合うユニット前面側には、ユニットの外観向上を図るため、メッキや蒸着ないしスパッタ等で形成された金属薄層やメタリック塗装膜等からなる装飾用光沢層を有した装飾部材が取り付けられることがある(操作部自体が装飾部材で構成されることもある)。このような装飾部材は、ユニット筐体やフレームとは別部材として成形され、装飾用光沢層が形成された後、ユニット側の望みの位置に取り付けられる。装飾用光沢層は、装飾部材の外面のうち、ユニット前面側の外観に露出する領域の美観を向上するために施されるものであり、装飾の不要な残余面は、該装飾部材に随伴してユニットに組み付けられる周辺部材(例えば操作ボタンやフロントパネルフレームなど)により隠蔽される。
【0004】
ここで、装飾部材は、装飾対象面が形成される部材本体に対し、ユニットへのマウント部や操作ストロークの限界位置を規定するストッパ等として機能するベース部が、ユニット前面側に投影したときの位置関係にて、外向きに張り出して形成されることも多い。他方、装飾対象面に上記の装飾用光沢層を形成する際には、部材本体だけでなく、ベース部も含めた装飾部材の外面全体に装飾用光沢層を形成するほうがはるかに効率的である。この場合、部材本体から張り出したベース部の前面にも装飾用光沢層が施されることとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ベース部の前面は、本来的にはユニットの外観意匠を構成しない領域であるため、上記の周辺部材によりなるべく隠蔽することが望ましく、そのためには、周辺部材が装飾対象面の外周縁に可及的に近づくよう、部材本体に対して密接配置する必要がある。しかし、現実には、部材の成形精度や寸法公差の影響により、周辺部材と部材本体との間にある程度の隙間が生ずることは技術的に避け難い。また、周辺部材や装飾部材自身が操作部として機能する場合は、スムーズな操作ストロークが確保できるよう、より大きな隙間が意図的に形成されることとなる。この場合、操作ユニットを使用する際に、ベース部の前面を覆う装飾用光沢層からの反射光が上記隙間を介して視認され、外観が損なわれる問題がある。こうした反射を防止するための技術としては、
(1)装飾用光沢層の下地に対し、しぼ面(つまり、粗化面)化等の反射防止加工を施したりする方法(特許文献1)、
(2)つや消し塗料などからなる反射防止層を装飾用光沢層の上に重ね形成する方法、
(3)対象面にマスキングを施して、装飾用光沢層が被着されないようにする方法などがある。
【0006】
しかし、(1)の方法では、下地面を粗面化しても、装飾用光沢層を形成することにより面が平滑化し、十分な反射防止効果が得られないことがある。また、(2)の方法では、反射防止層を形成する工程が余分に必要となり、また、対象面にだけ反射防止層を選択形成するために、マスキング等の手間もかかることになる。(3)の方法においても、装飾用光沢層を被形成とするためのマスキングが同様に必要となり、手間がかかる。
【0007】
本発明の課題は、装飾部材が取り付けられる操作ユニットにおいて、装飾部材のベース部前面に不要な装飾用光沢層が形成されていても、その反射光が、当該ベース部に臨む隙間から漏出して外観が損なわれる不具合を効果的に防止し、かつ、当該効果をより簡便な構造にて確実かつ能率的に達成できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
本発明は、自動車に搭載される電子機器の車内操作ユニットに係り、上記の課題を解決するために、ユニット前面から深さ方向に没する位置関係で設けられるベース部と、該ベース部からユニット前面側に突出し、その突出方向における前端面が外観露出する部材本体とを有する装飾部材と、ユニット前面を形成するとともに、装飾部材の部材本体の突出方向における前端面を外観露出させつつ、該部材本体の周側面を取り囲むように配置される周辺部材とを有し、装飾部材のベース部は部材本体の周側面から張り出す形態をなし、部材本体の先端面及び周側面と、ベース部の前端面とが装飾光沢層により一体的に覆われてなり、周辺部材には、ベース部の部材本体の突出方向における前端面に外部光が到達可能な隙間が形成されるとともに、該ベース部の隙間に臨む前端面が、部材本体の突出方向と直交する仮想的な基準面に対して傾いた傾斜面とされてなることを特徴とする。
【0009】
ベース部の前端面にも装飾光沢層が形成される場合、該前端面が、ベース部の部材本体の突出方向と直交していると(つまり、該前端面の法線方向が、上記隙間の深さ方向と一致していると)、当該隙間深さ方向に視認方向が一致したとき、該視認方向からの入射光と、ベース部の前端面を覆う装飾光沢層からの反射光(以下、不要反射光という)との向きが一致し、隙間の奥まった位置にある装飾光沢層が不要反射光により光って見えてしまうことになる。しかし、上記前端面の隙間に臨む領域が傾斜面になっていれば、隙間深さ方向の入射光は、これとは異なる方向に反射されるため、上記不要反射光が視認されない。従って、装飾部材のベース部前面に装飾用光沢層が形成されていても、それによる不要反射光が、当該ベース部に臨む隙間から視認されて外観が損なわれる不具合を効果的に防止でき、かつ、装飾用光沢層の下地となるベース部前面を傾斜面としておくだけでよいので、当該効果をより簡便な構造にて確実に達成できる。また、部材本体の先端面及び周側面と、ベース部の前端面とを装飾光沢層により一体的に覆えばよいから、前述の(2)あるいは(3)のごときマスキング等の工程も不要であり、工程の簡略化を図ることができる。
【0010】
上記構成において、ベース部の前端面は、隙間の幅方向に傾斜する傾斜面を有するものとして構成できる。装飾光沢層が形成される面が隙間幅方向に傾斜していることで、隙間深さ方向にこの面を直視したときの不要反射光が、隙間を形成している壁部内面に遮られるので、該不要反射光の視認防止効果をより高めることができる。
【0011】
装飾部材の本来の装飾面は部材本体の先端面であり、この部材本体の前端面に形成されている装飾光沢層を正面から見たとき、部材の光沢が最も顕著に視認される。この場合、ベース部の前端面については、その部材本体からの張り出し方向における外縁側が、部材本体の突出方向において、張り出し方向における内縁側よりも後方に位置する傾斜面を含むものとすることができる。このようにすると、ベース部の前端面への入射光は、部材本体の前端面の装飾光沢層に対する視認方向に対し、外側に広がる向きに反射されるので、部材本体の装飾光沢層を視認する利用者の視野から不要反射光がより外れやすくなり、その視認防止効果をより高めることができる。
【0012】
上記の隙間は周辺部材と装飾部材との間に形成することができる。そして、当該隙間を第一型隙間としたとき、ベース部の前端面は、該第一型隙間に臨む領域が傾斜面とすることができる。これにより、ベース部の前端面に形成された装飾光沢層が、部材本体の前端面周囲に沿って形成される隙間から光って見えてしまう不具合を効果的に防止することができる。
【0013】
周辺部材は、車内操作ユニットの操作部を形成するものとすることができる。この構成では、周辺部材をなす操作部に隣接して装飾部材の部材本体が配置されるので、車内操作ユニットの機能に直結した部分での意匠効果が高められる。また、装飾部材に施された光沢装飾が、操作部との間に形成される隙間奥からの不要反射光に邪魔されることなく視認でき、意匠効果を一層引き立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である車内操作ユニット1(以下、単にユニット1とも称する)の正面外観の一例を示すものである。この車内操作ユニット1は、車内電子機器としての自動車(車両)用空調装置の操作を行なうためのものであり、樹脂製の筐体2を有する。筐体2の前面部(ユニット1の前面を形成する)には、操作部としての操作ボタン6A,6B,6C(以下、総称する場合には符号「6」で代表させる)と、表示部をなすLCDパネル3が設けられている。LCDパネル3は、該前面部に形成された窓状の切欠2a内に、また、操作ボタン群6A,6B,6Cは、一列に隣接した形で窓状の切欠2b内に、それぞれ取り付けられている。
【0015】
操作ボタン6A,6B,6Cは、いずれも空調機能の操作用であり、操作ボタン6Aは外気取り入れ/内気循環の切替えスイッチ、操作ボタン6BはA/C切替えスイッチ、操作ボタン6Cは自動モードの切換えスイッチであり、それぞれ前面側が被操作面とされ、押圧操作により筐体2内の図示しないスイッチ接点が付勢され、押圧後の接点動作状態に対応して、図示しない信号線ハーネスへ動作制御信号が送信されるようになっている。また、LCDパネル3には、現在の内気温、外気取り入れ/内気循環のモード表示、風量及び時刻等の情報が表示されるようになっている。
【0016】
次に、ユニット1には装飾部材11が取り付けられている。図2はその装飾部材11のユニットへの取付構造の一例を示す断面図であり、図3は装飾部材11を拡大して示す斜視図である。図2に示すごとく装飾部材11は、ユニット前面から深さ方向に没する位置関係で設けられるベース部10と、該ベース部10からユニット前面側に突出し、その突出方向における前端面11kが外観露出する部材本体11とを有する。図5Bに示すように、装飾部材11の周囲には周辺部材(ここでは、上記の操作ボタン6である:以下、周辺部材6とも記載する)が配置される。該周辺部材6は、ユニット前面を形成するとともに、装飾部材8の部材本体11の突出方向における前端面11kを外観露出させつつ、該部材本体11の周側面11n,11mを取り囲むように配置される。
【0017】
そして、図3に示すように、装飾部材8のベース部10は部材本体11の周側面11n,11mから張り出す形態をなし、部材本体11の先端面及び周側面11n,11mと、ベース部10の前端面とが装飾光沢層8p(図5Aの断面図参照)により一体的に覆われている。装飾光沢層8pは、本実施形態ではプラスチック射出成形体にて構成された下地本体部8mの表面を覆う金属メッキ層である。具体的には、下地本体部8mの表面に活性化処理を施したあと、無電解Cuメッキ層を形成し、さらにその表層部を装飾用Crメッキ層で覆ったものである。装飾用Crメッキ層も無電解メッキで形成できるが、バレルメッキ処理等を用いた電解メッキにより形成してもよい。なお、装飾光沢層8pは、金属メッキ層以外にも、Al等の金属の蒸着あるいはスパッタリング等による気相成膜層(再表層部は透明樹脂層で保護する)や、メタリック塗装膜にて構成することも可能である。
【0018】
次に、図1及び図5に示すように、周辺部材6には、ベース部10の部材本体11の突出方向における前端面に外部光が到達可能な隙間s1,s2が形成されている。ベース部10の隙間に臨む前端面が、部材本体11の突出方向と直交する仮想的な基準面(図5Aの断面図参照)に対して傾いた傾斜面10a,10bとされている。
【0019】
図17は従来の装飾部材の断面を示すもので、部材本体111の前端面及び周側面とともに、ベース部110の前端面110aに装飾光沢層108pが形成されており、該前端面110aが、ベース部110の部材本体111の突出方向と直交している。部材本体111の突出方向は、前記の隙間sの深さ方向に一致している。隙間内に光が入射すると、前端面110aの表面を覆う装飾光沢層108pにより不要な反射光が生ずる。そして、その不要反射光の向きと、前端面110aの法線方向とが作る平面が、隙間sとほぼ平行になっているとき、ユーザーの視線が当該不要反射光の出射方向に一致していれば、前端面110aの表面を覆う装飾光沢層108pが隙間の奥まった位置にあるにも拘わらず、該装飾光沢層108pが光って見えてしまい、外観上目障りである。
【0020】
しかし、図5A及び図5Bに示すごとく、上記前端面の隙間s1,s2に臨む領域が傾斜面10a,10bになっていれば、隙間深さ方向の入射光による不要反射光の向きを、傾斜面10a,10bの向き及び角度に応じて変化させることができ、上記不要反射光が視認されてしまう不具合を大幅に抑制することができる。
【0021】
例えば、操作ユニット1の車内取付位置と、操作者の着座位置との関係から、隙間s1,s2を見込む視認角度範囲は概ね推定できる。傾斜面10a,10bの向き及び角度は、ユニット前面側への反射光を生じうるあらゆる角度の入射光に対して、上記視認角度範囲内に不要反射光が生じなくなるように設定・調整されることとなる。この設定及び調整は、次の2つの点を考慮して行なう。
(A)装飾光沢層8pからの直接反射光が隙間s1,s2から脱出できるが、この場合の直接反射光が、ユーザーの上記隙間s1,s2を見込む視認角度範囲から外れるようにする。
(B)装飾光沢層8pからの直接反射光が、隙間s1,s2を形成する内壁面に遮られ、脱出できないようにする。この場合、隙間s1,s2から脱出できるのは内壁面等で二次反射された間接反射光であり、二次反射による散乱や吸収により、視認される強度を低減することができる。
【0022】
図1の構成において周辺部材6は、車内操作ユニット1の操作部を形成するものであり、具体的にはユニット前面側に被操作面6x(図2参照)が形成される複数の操作ボタン6(6A,6B,6C)である。装飾部材8の部材本体11は、互いに隣接配置される2つの操作ボタン6間に配置される仕切り部材とされている(以下、仕切り部材11ともいう)。また、ベース部10は、隙間に対応する位置にて装飾部材8を、支持フレーム2jに固定する固定用マウント部を形成している。複数の操作ボタン6が、装飾性の高い仕切り部材11で仕切られることで、個々の操作ボタン6の外観が引き立ち、単に意匠効果が向上するばかりでなく、ボタンの押し間違い防止等にも寄与し、操作性が向上する利点もある。
【0023】
図2に示すように、支持フレーム2jはプラスチック射出成形により筐体2と一体成形されている。本実施形態では、支持フレーム2jの前面から突出する支持ピン2dを、図4に示すように、ベース部10側の挿通孔10iに挿通し、該挿通孔10iから突出する支持ピン2dの先端に形成した熱加締め部2hにより抜け止めして固定する構成としている。なお、ベース部10の後端面には位置決め突出部10gが形成され、支持フレーム側の図示しない挿通孔に装着されるようになっている。また、ベース部10の長手方向側面には切欠10fが形成されている。ベース部10の前端面は、後述のごとく、向きの異なる複数の傾斜面10a,10bを組み合わせた形状となっているが、熱加締め部2hの座面に相当する領域については、上記傾斜面10a,10bから円筒状の受け部10hを突出形成し、その前端面(図面上面)を、図5Aの基準面と一致した平坦面としている。この面にも傾斜面10a,10bとともに金属光沢層が形成されるが、該面は熱加締め部2hにより隠蔽されるため、反射光はほとんど目立たない。
【0024】
図5Aに示すごとく、操作ボタン6は、ボタン後端面に形成されたガイド突出部6gを支持フレーム2j側のガイド孔2hに挿通することで、押圧に伴う操作ストロークがガイドされる。符号6bは、押圧解除されたとき、操作ボタン6を元位置に弾性復帰させるためのスプリング(弾性部材)である。
【0025】
図5Bに示すごとく、仕切り部材11の側面11nと操作ボタン6の側面との間には隙間が形成されている。そして、当該隙間を第一型隙間s1としたとき、ベース部10の、少なくとも該第一型隙間s1に臨む領域が傾斜面10aとされている。これにより、仕切り部材11の側面側に隣接する第一型隙間s1からの不要反射光の漏出を効果的に防止でき、仕切り部材11の光沢外観をより引き立てることができる。
【0026】
具体的には、図1の隣接する操作ボタン6(6A,6B、及び6B,6C)の互いに対向する側面には、仕切り部材11を面内方向に入り込ませて位置させる凹部6cが形成されている。そして、当該凹部6cの内面をなす側面と仕切り部材11の側面との間に第一型隙間s1が形成される一方、該凹部6cから外れた位置においては、隣接する操作ボタン6の側面同士が直接対向する形で、第一型隙間s1に連なる第二型隙間s2が形成されている。
【0027】
第二型隙間s2は、板状の部材本体11の先端面周縁から離れる向きに延びるので、ここで不要反射が発生すると、該不要反射が積極視認されるべき部材本体11先端面の光沢反射から分離するので、非常に目立ちやすい(第一型隙間s1の不要反射光は、部材本体11先端面の光沢反射領域に沿う形で生ずるので、積極視認されるべき部材本体11先端面の光沢反射領域と融合しやすく、目立ちにくい場合もある)。第二型隙間s2での不要反射も防止するには、図5Bに示すごとく、ベース部10の前端面は、第一型隙間s1に臨む領域と第二型隙間s2に臨む領域との双方が傾斜面10a,10bとすることが望ましいといえる。
【0028】
具体的には、部材本体11は、突出方向に板面11nを一致させる板状とされている。これにより、操作ボタン6間の仕切り部材11として、形態的な適合効果が高められる。ベース部10は、図3に示すごとく、該部材本体11の板面11n及び板幅方向端面11mからそれぞれ突出する鍔状に形成されている。図5Bに示すごとく、第一型隙間s1は部材本体11の板面11nに沿って形成され、第二型隙間s2は部材本体11の板幅方向端面11mから離間する向きに沿って形成される。そして、ベース部10の前端面は、第一型隙間s1に対応する領域には隙間幅方向に傾斜する第一型傾斜面10aが形成されている。
【0029】
この構成によると、部材本体11の細長い前端面11kの長手方向に沿って第一型隙間s1が形成され、ベース部10の前端面に、その隙間幅方向に傾斜する第一型傾斜面10aを形成することで、不要反射光の視認性が大幅に低下し、仕切り部材11をなす部材本体11の細長い光沢装飾面の輪郭を際立たせることができる。
【0030】
第一型隙間s1とこれに対応する第一型傾斜面10aとは、部材本体11の板厚方向両側にそれぞれ形成されており、それら第一型傾斜面10aは、部材本体11の突出方向において、いずれも部材本体11に接続する側がこれと反対側よりも操作ボタン6の被操作面6xに近くなるよう、互いに逆向きに傾斜して形成されている。これにより、2つの第一型隙間s1内では、各々、対応する操作ボタン6の側面側に向け、互いに広がるように不要反射光が発生するので、部材本体11の板厚方向両側に第一型隙間s1を生じているにも拘わらず、その双方において不要反射光の視認抑制効果を同時に達成することができる。
【0031】
前述のごとく、本実施形態では、正射投影にて第二型隙間s2と重なる領域は、熱加締め用の受け部10hにより大部分が占有されており、図4のごとく、この領域は熱加締め部2hにより隠蔽されるから、第二型隙間s2を正面から見たときの不要反射は比較的目立ちにくいといえる。
【0032】
一方、図1の操作ユニット1は、運転席及び助手席から操作できるよう、自動車のダッシュパネル部中央に取り付けられることが多く、左右の搭乗者は、右上側あるいは左上側から操作ユニット1を見込みながら操作ボタン6に触れることになる。第二型隙間s2の位置では部材本体11が途切れて該隙間に臨んでいないので、図1のごとく部材本体11の板面が上下方向を向くように配置される場合、特に上側の第二型隙間s2では、斜め上側から第二型隙間s2を視認した場合、隙間の寸法及び操作ボタン6の厚さによっては、隙間反対奥側の装飾光沢層が視認されてしまう場合もありえる。
【0033】
そこで、図5Bに示すごとく、ベース部10の前端面は、部材本体11の突出方向における第一型隙間s1の正射影領域に、隙間幅方向に傾斜する第一型傾斜面10aが形成される一方、第二型隙間の幅方向(ここでは左右)に隣接する領域には、上記の第一型傾斜面10aが第一型隙間s1の正射影領域から延長形成されている。つまり、斜め上側から第二型隙間s2を視認した場合の、隙間反対奥側の装飾光沢層が、上記延長された第一型傾斜面10aとされることで、不要反射視認の不具合を効果的に抑制できる。
【0034】
なお、図5Bに示すように、本実施形態では、第二型隙間s2に臨む領域に、該第二型隙間の隙間長手方向に傾斜する第二型傾斜面10bを形成しており、第二型隙間s2での不要反射視認抑制効果が一層高められている。第二型隙間s2とこれに対応する第二型傾斜面10bについても、部材本体11の板幅方向両側にそれぞれ形成されている。それら第二型傾斜面10bは、部材本体11の突出方向において、いずれも部材本体11に接続する側がこれと反対側よりも操作ボタン6の被操作面6xに近くなるよう、互いに逆向きに傾斜して形成されている。これにより、2つの第二型隙間s2内では、各々、隙間長手方向に沿って、互いに広がるように不要反射光が発生するので、部材本体11の板幅方向両側に第二型隙間s2を生じているにも拘わらず、その双方において不要反射光の視認抑制効果を同時に達成することができる。特に、図1のごとく、部材本体11が、その板幅方向を上下方向と一致させる形態で配置されるとき、2つの第二型隙間s2内に生ずる不要反射光は、操作者の目線に対し上下に広がる形で隙間外に放出されるので、その視認抑制効果はより顕著である(人間の視野角は、水平方向よりも上下方向の方が狭いためである)。その結果、図3に示すごとく、ベース部10の前端面は、4つの傾斜面10a,10bにより、寄せ棟屋根状の外観形態をなしている。
【0035】
ただし、本実施形態では、熱加締め部2hの占有面積が大きく、その背景に位置する第二型傾斜面10bと第二型隙間s2との重なり面積はそれほど大きくないので、第一型傾斜面10aをベース部10の前端面末端縁まで延長し、第二型傾斜面10bを非形成とすることも可能である(この場合、ベース部10の前端面は、2つの第一型傾斜面により切妻屋根状の形態を呈することとなる)。
【0036】
以下、上記本発明の種々の変形例について説明する。
ベース部10の前端面に形成する傾斜面の形態は、上記態様以外にも種々のものが採用可能である。図6の構成では、第一型傾斜面10aの傾斜方向を図5Aと逆にした例である。これによると、第一型隙間s1への入射光は、第一型傾斜面10aにて部材本体11側へ反射され、その後操作ボタン6(周辺部材)側へ反射される。ベース部10の前端面での直接反射光が隙間から脱出しにくくなっている点においては、図6の構成と同様である。第二型傾斜面10bの傾斜方向も同様に、図6と逆向きに形成可能である。
【0037】
図6の構成では、傾斜面10a,10bの断面形状を直線状としていたが、図7に示すように、これを曲面状に形成してもよい。さらに、図8及び図9の構成は、隙間に臨む領域を、傾斜方向が互いに逆となる2つの傾斜面10a1,10a2の組み合わせにより形成した例である。
【0038】
また、第一型隙間s1に臨む傾斜面を、図10に示すように、隙間長手方向に傾斜する第二型傾斜面10cとして形成することも可能である。図1に示すごとく、部材本体11を縦に配置する場合は、図11に示すように、第二型傾斜面10cを、上方に向うほどユニット前面に近づく向きに傾斜させれば、前方側からの入射光の多くが下向きに反射され、不要反射視認抑制効果が高められる。また、図13に示す操作ユニット1’のごとく、部材本体11を水平に配置する態様も可能であり、部材本体11を正面から視認したとき、第二型傾斜面10cで生じた直接反射光が第一型隙間s1から脱出しても、ユーザーから見て左右いずれかの側に外れた向きに向うので、視認抑制効果が達成される。
【0039】
図13の操作ユニット1’には、ファンによる送風量を調整するためのダイアル操作部5が設けられている。このダイアル操作部5の外周縁部を、本発明の適用対象となる装飾部材208として構成することが可能である。この場合、装飾部材208自体が操作部の一部を構成することとなる。図14に示すように、装飾部材208は筒状であり、図15に示すごとく、円筒状の本体部211と、該本体部211の外周面後端部から半径方向外向きに突出するベース部210とを有し、本体部211の環状の先端面及び円筒状の周側面と、ベース部210の環状の前端面とが一体的に、装飾光沢層208pにより覆われている(符号208mは、下地をなすプラスチック成形体からなる下地本体部208mである)。
【0040】
装飾部材208には、その後端側の開口部から操作部本体205が嵌め込まれる。符号210eは、ベース部210の内周面に形成された抜け止め用の凸部であり、本体部205側の凹部と係合する(凹部と凸部の形成関係は逆転してもよい)。また、周辺部材は、筐体2の前面部を構成するパネル206であり、ダイアル操作部5を貫通・突出させるための孔部206hを有するとともに、図15に示すように、その孔部206hの内周面と本体部211の外周面との間に隙間sが形成される。そして、ベース部210の前端面は、円錐面状の傾斜面210aとされ、不要反射光の視認抑制効果が達成されている。
【0041】
図16は、押しボタン操作部308を装飾部材として形成した例である。押しボタン操作部308は、本体部311と、該本体部311の外周面後端部から外向きに突出する鍔状のベース部310とを有し、本体部211の先端面及び周側面と、ベース部210の前端面とが一体的に、装飾光沢層308pにより覆われている(符号308mは、下地をなすプラスチック成形体からなる下地本体部208mである)。また、周辺部材は、ユニット前面部をなすパネル306であり、本体部311を貫通・突出させるための孔部306hを有するとともに、その孔部306hの内周面と本体部311の外周面との間に隙間sが形成される。そして、ベース部310の前端面は傾斜面310aとされ、不要反射光の視認抑制効果が達成されている。
【0042】
なお、本発明の操作ユニットは、その適用対象となる電子機器が空調機器に限定されるものではなく、カーオーディオシステムやカーナビゲーションシステムなどの操作ユニットにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の車内操作ユニットの一例を示す正面図。
【図2】図1の側面断面図。
【図3】装飾部材の外観を示す斜視図。
【図4】装飾部材の二面図。
【図5A】図1要部の断面により、装飾部材の作用を説明する図。
【図5B】装飾部材の作用を説明する斜視図。
【図6】装飾部材の第一変形例を示す断面図。
【図7】装飾部材の第二変形例を示す断面図。
【図8】装飾部材の第三変形例を示す断面図。
【図9】装飾部材の第四変形例を示す断面図。
【図10】装飾部材の第五変形例を示す側面図。
【図11】図10の装飾部材の第一使用例を示す模式図。
【図12】図10の装飾部材の第二使用例を示す模式図。
【図13】図1の操作ユニットの変形例を示す正面図。
【図14】装飾部材の第一の別例を示す斜視図。
【図15】図14の装飾部材を、その使用状態にて示す断面図。
【図16】装飾部材の第二の別例を示す断面図。
【図17】従来の装飾部材の問題点を説明する図。
【符号の説明】
【0044】
1,1’ 車内操作ユニット
6 操作ボタン(操作部;周辺部材)
6x 被操作面
8,208,308 装飾部材
10,210,310 ベース部
11,211,311 部材本体
11k 前端面
11n,11m 周側面
8p 装飾光沢層
s,s1,s2 隙間
s1 第一型隙間
s2 第二型隙間
10a,10b 傾斜面
【技術分野】
【0001】
本発明は、車内操作ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2000−251561号公報
【0003】
自動車等の車両においては、搭載される電子機器、例えば空調装置やカーオーディオシステム、さらにはカーナビゲーションシステムを操作するための操作ユニットが車内に設けられる。操作ユニットには、車両の搭乗者が必要に応じて操作するための操作部が設けられる。他方、操作時に搭乗者と向き合うユニット前面側には、ユニットの外観向上を図るため、メッキや蒸着ないしスパッタ等で形成された金属薄層やメタリック塗装膜等からなる装飾用光沢層を有した装飾部材が取り付けられることがある(操作部自体が装飾部材で構成されることもある)。このような装飾部材は、ユニット筐体やフレームとは別部材として成形され、装飾用光沢層が形成された後、ユニット側の望みの位置に取り付けられる。装飾用光沢層は、装飾部材の外面のうち、ユニット前面側の外観に露出する領域の美観を向上するために施されるものであり、装飾の不要な残余面は、該装飾部材に随伴してユニットに組み付けられる周辺部材(例えば操作ボタンやフロントパネルフレームなど)により隠蔽される。
【0004】
ここで、装飾部材は、装飾対象面が形成される部材本体に対し、ユニットへのマウント部や操作ストロークの限界位置を規定するストッパ等として機能するベース部が、ユニット前面側に投影したときの位置関係にて、外向きに張り出して形成されることも多い。他方、装飾対象面に上記の装飾用光沢層を形成する際には、部材本体だけでなく、ベース部も含めた装飾部材の外面全体に装飾用光沢層を形成するほうがはるかに効率的である。この場合、部材本体から張り出したベース部の前面にも装飾用光沢層が施されることとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ベース部の前面は、本来的にはユニットの外観意匠を構成しない領域であるため、上記の周辺部材によりなるべく隠蔽することが望ましく、そのためには、周辺部材が装飾対象面の外周縁に可及的に近づくよう、部材本体に対して密接配置する必要がある。しかし、現実には、部材の成形精度や寸法公差の影響により、周辺部材と部材本体との間にある程度の隙間が生ずることは技術的に避け難い。また、周辺部材や装飾部材自身が操作部として機能する場合は、スムーズな操作ストロークが確保できるよう、より大きな隙間が意図的に形成されることとなる。この場合、操作ユニットを使用する際に、ベース部の前面を覆う装飾用光沢層からの反射光が上記隙間を介して視認され、外観が損なわれる問題がある。こうした反射を防止するための技術としては、
(1)装飾用光沢層の下地に対し、しぼ面(つまり、粗化面)化等の反射防止加工を施したりする方法(特許文献1)、
(2)つや消し塗料などからなる反射防止層を装飾用光沢層の上に重ね形成する方法、
(3)対象面にマスキングを施して、装飾用光沢層が被着されないようにする方法などがある。
【0006】
しかし、(1)の方法では、下地面を粗面化しても、装飾用光沢層を形成することにより面が平滑化し、十分な反射防止効果が得られないことがある。また、(2)の方法では、反射防止層を形成する工程が余分に必要となり、また、対象面にだけ反射防止層を選択形成するために、マスキング等の手間もかかることになる。(3)の方法においても、装飾用光沢層を被形成とするためのマスキングが同様に必要となり、手間がかかる。
【0007】
本発明の課題は、装飾部材が取り付けられる操作ユニットにおいて、装飾部材のベース部前面に不要な装飾用光沢層が形成されていても、その反射光が、当該ベース部に臨む隙間から漏出して外観が損なわれる不具合を効果的に防止し、かつ、当該効果をより簡便な構造にて確実かつ能率的に達成できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
本発明は、自動車に搭載される電子機器の車内操作ユニットに係り、上記の課題を解決するために、ユニット前面から深さ方向に没する位置関係で設けられるベース部と、該ベース部からユニット前面側に突出し、その突出方向における前端面が外観露出する部材本体とを有する装飾部材と、ユニット前面を形成するとともに、装飾部材の部材本体の突出方向における前端面を外観露出させつつ、該部材本体の周側面を取り囲むように配置される周辺部材とを有し、装飾部材のベース部は部材本体の周側面から張り出す形態をなし、部材本体の先端面及び周側面と、ベース部の前端面とが装飾光沢層により一体的に覆われてなり、周辺部材には、ベース部の部材本体の突出方向における前端面に外部光が到達可能な隙間が形成されるとともに、該ベース部の隙間に臨む前端面が、部材本体の突出方向と直交する仮想的な基準面に対して傾いた傾斜面とされてなることを特徴とする。
【0009】
ベース部の前端面にも装飾光沢層が形成される場合、該前端面が、ベース部の部材本体の突出方向と直交していると(つまり、該前端面の法線方向が、上記隙間の深さ方向と一致していると)、当該隙間深さ方向に視認方向が一致したとき、該視認方向からの入射光と、ベース部の前端面を覆う装飾光沢層からの反射光(以下、不要反射光という)との向きが一致し、隙間の奥まった位置にある装飾光沢層が不要反射光により光って見えてしまうことになる。しかし、上記前端面の隙間に臨む領域が傾斜面になっていれば、隙間深さ方向の入射光は、これとは異なる方向に反射されるため、上記不要反射光が視認されない。従って、装飾部材のベース部前面に装飾用光沢層が形成されていても、それによる不要反射光が、当該ベース部に臨む隙間から視認されて外観が損なわれる不具合を効果的に防止でき、かつ、装飾用光沢層の下地となるベース部前面を傾斜面としておくだけでよいので、当該効果をより簡便な構造にて確実に達成できる。また、部材本体の先端面及び周側面と、ベース部の前端面とを装飾光沢層により一体的に覆えばよいから、前述の(2)あるいは(3)のごときマスキング等の工程も不要であり、工程の簡略化を図ることができる。
【0010】
上記構成において、ベース部の前端面は、隙間の幅方向に傾斜する傾斜面を有するものとして構成できる。装飾光沢層が形成される面が隙間幅方向に傾斜していることで、隙間深さ方向にこの面を直視したときの不要反射光が、隙間を形成している壁部内面に遮られるので、該不要反射光の視認防止効果をより高めることができる。
【0011】
装飾部材の本来の装飾面は部材本体の先端面であり、この部材本体の前端面に形成されている装飾光沢層を正面から見たとき、部材の光沢が最も顕著に視認される。この場合、ベース部の前端面については、その部材本体からの張り出し方向における外縁側が、部材本体の突出方向において、張り出し方向における内縁側よりも後方に位置する傾斜面を含むものとすることができる。このようにすると、ベース部の前端面への入射光は、部材本体の前端面の装飾光沢層に対する視認方向に対し、外側に広がる向きに反射されるので、部材本体の装飾光沢層を視認する利用者の視野から不要反射光がより外れやすくなり、その視認防止効果をより高めることができる。
【0012】
上記の隙間は周辺部材と装飾部材との間に形成することができる。そして、当該隙間を第一型隙間としたとき、ベース部の前端面は、該第一型隙間に臨む領域が傾斜面とすることができる。これにより、ベース部の前端面に形成された装飾光沢層が、部材本体の前端面周囲に沿って形成される隙間から光って見えてしまう不具合を効果的に防止することができる。
【0013】
周辺部材は、車内操作ユニットの操作部を形成するものとすることができる。この構成では、周辺部材をなす操作部に隣接して装飾部材の部材本体が配置されるので、車内操作ユニットの機能に直結した部分での意匠効果が高められる。また、装飾部材に施された光沢装飾が、操作部との間に形成される隙間奥からの不要反射光に邪魔されることなく視認でき、意匠効果を一層引き立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である車内操作ユニット1(以下、単にユニット1とも称する)の正面外観の一例を示すものである。この車内操作ユニット1は、車内電子機器としての自動車(車両)用空調装置の操作を行なうためのものであり、樹脂製の筐体2を有する。筐体2の前面部(ユニット1の前面を形成する)には、操作部としての操作ボタン6A,6B,6C(以下、総称する場合には符号「6」で代表させる)と、表示部をなすLCDパネル3が設けられている。LCDパネル3は、該前面部に形成された窓状の切欠2a内に、また、操作ボタン群6A,6B,6Cは、一列に隣接した形で窓状の切欠2b内に、それぞれ取り付けられている。
【0015】
操作ボタン6A,6B,6Cは、いずれも空調機能の操作用であり、操作ボタン6Aは外気取り入れ/内気循環の切替えスイッチ、操作ボタン6BはA/C切替えスイッチ、操作ボタン6Cは自動モードの切換えスイッチであり、それぞれ前面側が被操作面とされ、押圧操作により筐体2内の図示しないスイッチ接点が付勢され、押圧後の接点動作状態に対応して、図示しない信号線ハーネスへ動作制御信号が送信されるようになっている。また、LCDパネル3には、現在の内気温、外気取り入れ/内気循環のモード表示、風量及び時刻等の情報が表示されるようになっている。
【0016】
次に、ユニット1には装飾部材11が取り付けられている。図2はその装飾部材11のユニットへの取付構造の一例を示す断面図であり、図3は装飾部材11を拡大して示す斜視図である。図2に示すごとく装飾部材11は、ユニット前面から深さ方向に没する位置関係で設けられるベース部10と、該ベース部10からユニット前面側に突出し、その突出方向における前端面11kが外観露出する部材本体11とを有する。図5Bに示すように、装飾部材11の周囲には周辺部材(ここでは、上記の操作ボタン6である:以下、周辺部材6とも記載する)が配置される。該周辺部材6は、ユニット前面を形成するとともに、装飾部材8の部材本体11の突出方向における前端面11kを外観露出させつつ、該部材本体11の周側面11n,11mを取り囲むように配置される。
【0017】
そして、図3に示すように、装飾部材8のベース部10は部材本体11の周側面11n,11mから張り出す形態をなし、部材本体11の先端面及び周側面11n,11mと、ベース部10の前端面とが装飾光沢層8p(図5Aの断面図参照)により一体的に覆われている。装飾光沢層8pは、本実施形態ではプラスチック射出成形体にて構成された下地本体部8mの表面を覆う金属メッキ層である。具体的には、下地本体部8mの表面に活性化処理を施したあと、無電解Cuメッキ層を形成し、さらにその表層部を装飾用Crメッキ層で覆ったものである。装飾用Crメッキ層も無電解メッキで形成できるが、バレルメッキ処理等を用いた電解メッキにより形成してもよい。なお、装飾光沢層8pは、金属メッキ層以外にも、Al等の金属の蒸着あるいはスパッタリング等による気相成膜層(再表層部は透明樹脂層で保護する)や、メタリック塗装膜にて構成することも可能である。
【0018】
次に、図1及び図5に示すように、周辺部材6には、ベース部10の部材本体11の突出方向における前端面に外部光が到達可能な隙間s1,s2が形成されている。ベース部10の隙間に臨む前端面が、部材本体11の突出方向と直交する仮想的な基準面(図5Aの断面図参照)に対して傾いた傾斜面10a,10bとされている。
【0019】
図17は従来の装飾部材の断面を示すもので、部材本体111の前端面及び周側面とともに、ベース部110の前端面110aに装飾光沢層108pが形成されており、該前端面110aが、ベース部110の部材本体111の突出方向と直交している。部材本体111の突出方向は、前記の隙間sの深さ方向に一致している。隙間内に光が入射すると、前端面110aの表面を覆う装飾光沢層108pにより不要な反射光が生ずる。そして、その不要反射光の向きと、前端面110aの法線方向とが作る平面が、隙間sとほぼ平行になっているとき、ユーザーの視線が当該不要反射光の出射方向に一致していれば、前端面110aの表面を覆う装飾光沢層108pが隙間の奥まった位置にあるにも拘わらず、該装飾光沢層108pが光って見えてしまい、外観上目障りである。
【0020】
しかし、図5A及び図5Bに示すごとく、上記前端面の隙間s1,s2に臨む領域が傾斜面10a,10bになっていれば、隙間深さ方向の入射光による不要反射光の向きを、傾斜面10a,10bの向き及び角度に応じて変化させることができ、上記不要反射光が視認されてしまう不具合を大幅に抑制することができる。
【0021】
例えば、操作ユニット1の車内取付位置と、操作者の着座位置との関係から、隙間s1,s2を見込む視認角度範囲は概ね推定できる。傾斜面10a,10bの向き及び角度は、ユニット前面側への反射光を生じうるあらゆる角度の入射光に対して、上記視認角度範囲内に不要反射光が生じなくなるように設定・調整されることとなる。この設定及び調整は、次の2つの点を考慮して行なう。
(A)装飾光沢層8pからの直接反射光が隙間s1,s2から脱出できるが、この場合の直接反射光が、ユーザーの上記隙間s1,s2を見込む視認角度範囲から外れるようにする。
(B)装飾光沢層8pからの直接反射光が、隙間s1,s2を形成する内壁面に遮られ、脱出できないようにする。この場合、隙間s1,s2から脱出できるのは内壁面等で二次反射された間接反射光であり、二次反射による散乱や吸収により、視認される強度を低減することができる。
【0022】
図1の構成において周辺部材6は、車内操作ユニット1の操作部を形成するものであり、具体的にはユニット前面側に被操作面6x(図2参照)が形成される複数の操作ボタン6(6A,6B,6C)である。装飾部材8の部材本体11は、互いに隣接配置される2つの操作ボタン6間に配置される仕切り部材とされている(以下、仕切り部材11ともいう)。また、ベース部10は、隙間に対応する位置にて装飾部材8を、支持フレーム2jに固定する固定用マウント部を形成している。複数の操作ボタン6が、装飾性の高い仕切り部材11で仕切られることで、個々の操作ボタン6の外観が引き立ち、単に意匠効果が向上するばかりでなく、ボタンの押し間違い防止等にも寄与し、操作性が向上する利点もある。
【0023】
図2に示すように、支持フレーム2jはプラスチック射出成形により筐体2と一体成形されている。本実施形態では、支持フレーム2jの前面から突出する支持ピン2dを、図4に示すように、ベース部10側の挿通孔10iに挿通し、該挿通孔10iから突出する支持ピン2dの先端に形成した熱加締め部2hにより抜け止めして固定する構成としている。なお、ベース部10の後端面には位置決め突出部10gが形成され、支持フレーム側の図示しない挿通孔に装着されるようになっている。また、ベース部10の長手方向側面には切欠10fが形成されている。ベース部10の前端面は、後述のごとく、向きの異なる複数の傾斜面10a,10bを組み合わせた形状となっているが、熱加締め部2hの座面に相当する領域については、上記傾斜面10a,10bから円筒状の受け部10hを突出形成し、その前端面(図面上面)を、図5Aの基準面と一致した平坦面としている。この面にも傾斜面10a,10bとともに金属光沢層が形成されるが、該面は熱加締め部2hにより隠蔽されるため、反射光はほとんど目立たない。
【0024】
図5Aに示すごとく、操作ボタン6は、ボタン後端面に形成されたガイド突出部6gを支持フレーム2j側のガイド孔2hに挿通することで、押圧に伴う操作ストロークがガイドされる。符号6bは、押圧解除されたとき、操作ボタン6を元位置に弾性復帰させるためのスプリング(弾性部材)である。
【0025】
図5Bに示すごとく、仕切り部材11の側面11nと操作ボタン6の側面との間には隙間が形成されている。そして、当該隙間を第一型隙間s1としたとき、ベース部10の、少なくとも該第一型隙間s1に臨む領域が傾斜面10aとされている。これにより、仕切り部材11の側面側に隣接する第一型隙間s1からの不要反射光の漏出を効果的に防止でき、仕切り部材11の光沢外観をより引き立てることができる。
【0026】
具体的には、図1の隣接する操作ボタン6(6A,6B、及び6B,6C)の互いに対向する側面には、仕切り部材11を面内方向に入り込ませて位置させる凹部6cが形成されている。そして、当該凹部6cの内面をなす側面と仕切り部材11の側面との間に第一型隙間s1が形成される一方、該凹部6cから外れた位置においては、隣接する操作ボタン6の側面同士が直接対向する形で、第一型隙間s1に連なる第二型隙間s2が形成されている。
【0027】
第二型隙間s2は、板状の部材本体11の先端面周縁から離れる向きに延びるので、ここで不要反射が発生すると、該不要反射が積極視認されるべき部材本体11先端面の光沢反射から分離するので、非常に目立ちやすい(第一型隙間s1の不要反射光は、部材本体11先端面の光沢反射領域に沿う形で生ずるので、積極視認されるべき部材本体11先端面の光沢反射領域と融合しやすく、目立ちにくい場合もある)。第二型隙間s2での不要反射も防止するには、図5Bに示すごとく、ベース部10の前端面は、第一型隙間s1に臨む領域と第二型隙間s2に臨む領域との双方が傾斜面10a,10bとすることが望ましいといえる。
【0028】
具体的には、部材本体11は、突出方向に板面11nを一致させる板状とされている。これにより、操作ボタン6間の仕切り部材11として、形態的な適合効果が高められる。ベース部10は、図3に示すごとく、該部材本体11の板面11n及び板幅方向端面11mからそれぞれ突出する鍔状に形成されている。図5Bに示すごとく、第一型隙間s1は部材本体11の板面11nに沿って形成され、第二型隙間s2は部材本体11の板幅方向端面11mから離間する向きに沿って形成される。そして、ベース部10の前端面は、第一型隙間s1に対応する領域には隙間幅方向に傾斜する第一型傾斜面10aが形成されている。
【0029】
この構成によると、部材本体11の細長い前端面11kの長手方向に沿って第一型隙間s1が形成され、ベース部10の前端面に、その隙間幅方向に傾斜する第一型傾斜面10aを形成することで、不要反射光の視認性が大幅に低下し、仕切り部材11をなす部材本体11の細長い光沢装飾面の輪郭を際立たせることができる。
【0030】
第一型隙間s1とこれに対応する第一型傾斜面10aとは、部材本体11の板厚方向両側にそれぞれ形成されており、それら第一型傾斜面10aは、部材本体11の突出方向において、いずれも部材本体11に接続する側がこれと反対側よりも操作ボタン6の被操作面6xに近くなるよう、互いに逆向きに傾斜して形成されている。これにより、2つの第一型隙間s1内では、各々、対応する操作ボタン6の側面側に向け、互いに広がるように不要反射光が発生するので、部材本体11の板厚方向両側に第一型隙間s1を生じているにも拘わらず、その双方において不要反射光の視認抑制効果を同時に達成することができる。
【0031】
前述のごとく、本実施形態では、正射投影にて第二型隙間s2と重なる領域は、熱加締め用の受け部10hにより大部分が占有されており、図4のごとく、この領域は熱加締め部2hにより隠蔽されるから、第二型隙間s2を正面から見たときの不要反射は比較的目立ちにくいといえる。
【0032】
一方、図1の操作ユニット1は、運転席及び助手席から操作できるよう、自動車のダッシュパネル部中央に取り付けられることが多く、左右の搭乗者は、右上側あるいは左上側から操作ユニット1を見込みながら操作ボタン6に触れることになる。第二型隙間s2の位置では部材本体11が途切れて該隙間に臨んでいないので、図1のごとく部材本体11の板面が上下方向を向くように配置される場合、特に上側の第二型隙間s2では、斜め上側から第二型隙間s2を視認した場合、隙間の寸法及び操作ボタン6の厚さによっては、隙間反対奥側の装飾光沢層が視認されてしまう場合もありえる。
【0033】
そこで、図5Bに示すごとく、ベース部10の前端面は、部材本体11の突出方向における第一型隙間s1の正射影領域に、隙間幅方向に傾斜する第一型傾斜面10aが形成される一方、第二型隙間の幅方向(ここでは左右)に隣接する領域には、上記の第一型傾斜面10aが第一型隙間s1の正射影領域から延長形成されている。つまり、斜め上側から第二型隙間s2を視認した場合の、隙間反対奥側の装飾光沢層が、上記延長された第一型傾斜面10aとされることで、不要反射視認の不具合を効果的に抑制できる。
【0034】
なお、図5Bに示すように、本実施形態では、第二型隙間s2に臨む領域に、該第二型隙間の隙間長手方向に傾斜する第二型傾斜面10bを形成しており、第二型隙間s2での不要反射視認抑制効果が一層高められている。第二型隙間s2とこれに対応する第二型傾斜面10bについても、部材本体11の板幅方向両側にそれぞれ形成されている。それら第二型傾斜面10bは、部材本体11の突出方向において、いずれも部材本体11に接続する側がこれと反対側よりも操作ボタン6の被操作面6xに近くなるよう、互いに逆向きに傾斜して形成されている。これにより、2つの第二型隙間s2内では、各々、隙間長手方向に沿って、互いに広がるように不要反射光が発生するので、部材本体11の板幅方向両側に第二型隙間s2を生じているにも拘わらず、その双方において不要反射光の視認抑制効果を同時に達成することができる。特に、図1のごとく、部材本体11が、その板幅方向を上下方向と一致させる形態で配置されるとき、2つの第二型隙間s2内に生ずる不要反射光は、操作者の目線に対し上下に広がる形で隙間外に放出されるので、その視認抑制効果はより顕著である(人間の視野角は、水平方向よりも上下方向の方が狭いためである)。その結果、図3に示すごとく、ベース部10の前端面は、4つの傾斜面10a,10bにより、寄せ棟屋根状の外観形態をなしている。
【0035】
ただし、本実施形態では、熱加締め部2hの占有面積が大きく、その背景に位置する第二型傾斜面10bと第二型隙間s2との重なり面積はそれほど大きくないので、第一型傾斜面10aをベース部10の前端面末端縁まで延長し、第二型傾斜面10bを非形成とすることも可能である(この場合、ベース部10の前端面は、2つの第一型傾斜面により切妻屋根状の形態を呈することとなる)。
【0036】
以下、上記本発明の種々の変形例について説明する。
ベース部10の前端面に形成する傾斜面の形態は、上記態様以外にも種々のものが採用可能である。図6の構成では、第一型傾斜面10aの傾斜方向を図5Aと逆にした例である。これによると、第一型隙間s1への入射光は、第一型傾斜面10aにて部材本体11側へ反射され、その後操作ボタン6(周辺部材)側へ反射される。ベース部10の前端面での直接反射光が隙間から脱出しにくくなっている点においては、図6の構成と同様である。第二型傾斜面10bの傾斜方向も同様に、図6と逆向きに形成可能である。
【0037】
図6の構成では、傾斜面10a,10bの断面形状を直線状としていたが、図7に示すように、これを曲面状に形成してもよい。さらに、図8及び図9の構成は、隙間に臨む領域を、傾斜方向が互いに逆となる2つの傾斜面10a1,10a2の組み合わせにより形成した例である。
【0038】
また、第一型隙間s1に臨む傾斜面を、図10に示すように、隙間長手方向に傾斜する第二型傾斜面10cとして形成することも可能である。図1に示すごとく、部材本体11を縦に配置する場合は、図11に示すように、第二型傾斜面10cを、上方に向うほどユニット前面に近づく向きに傾斜させれば、前方側からの入射光の多くが下向きに反射され、不要反射視認抑制効果が高められる。また、図13に示す操作ユニット1’のごとく、部材本体11を水平に配置する態様も可能であり、部材本体11を正面から視認したとき、第二型傾斜面10cで生じた直接反射光が第一型隙間s1から脱出しても、ユーザーから見て左右いずれかの側に外れた向きに向うので、視認抑制効果が達成される。
【0039】
図13の操作ユニット1’には、ファンによる送風量を調整するためのダイアル操作部5が設けられている。このダイアル操作部5の外周縁部を、本発明の適用対象となる装飾部材208として構成することが可能である。この場合、装飾部材208自体が操作部の一部を構成することとなる。図14に示すように、装飾部材208は筒状であり、図15に示すごとく、円筒状の本体部211と、該本体部211の外周面後端部から半径方向外向きに突出するベース部210とを有し、本体部211の環状の先端面及び円筒状の周側面と、ベース部210の環状の前端面とが一体的に、装飾光沢層208pにより覆われている(符号208mは、下地をなすプラスチック成形体からなる下地本体部208mである)。
【0040】
装飾部材208には、その後端側の開口部から操作部本体205が嵌め込まれる。符号210eは、ベース部210の内周面に形成された抜け止め用の凸部であり、本体部205側の凹部と係合する(凹部と凸部の形成関係は逆転してもよい)。また、周辺部材は、筐体2の前面部を構成するパネル206であり、ダイアル操作部5を貫通・突出させるための孔部206hを有するとともに、図15に示すように、その孔部206hの内周面と本体部211の外周面との間に隙間sが形成される。そして、ベース部210の前端面は、円錐面状の傾斜面210aとされ、不要反射光の視認抑制効果が達成されている。
【0041】
図16は、押しボタン操作部308を装飾部材として形成した例である。押しボタン操作部308は、本体部311と、該本体部311の外周面後端部から外向きに突出する鍔状のベース部310とを有し、本体部211の先端面及び周側面と、ベース部210の前端面とが一体的に、装飾光沢層308pにより覆われている(符号308mは、下地をなすプラスチック成形体からなる下地本体部208mである)。また、周辺部材は、ユニット前面部をなすパネル306であり、本体部311を貫通・突出させるための孔部306hを有するとともに、その孔部306hの内周面と本体部311の外周面との間に隙間sが形成される。そして、ベース部310の前端面は傾斜面310aとされ、不要反射光の視認抑制効果が達成されている。
【0042】
なお、本発明の操作ユニットは、その適用対象となる電子機器が空調機器に限定されるものではなく、カーオーディオシステムやカーナビゲーションシステムなどの操作ユニットにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の車内操作ユニットの一例を示す正面図。
【図2】図1の側面断面図。
【図3】装飾部材の外観を示す斜視図。
【図4】装飾部材の二面図。
【図5A】図1要部の断面により、装飾部材の作用を説明する図。
【図5B】装飾部材の作用を説明する斜視図。
【図6】装飾部材の第一変形例を示す断面図。
【図7】装飾部材の第二変形例を示す断面図。
【図8】装飾部材の第三変形例を示す断面図。
【図9】装飾部材の第四変形例を示す断面図。
【図10】装飾部材の第五変形例を示す側面図。
【図11】図10の装飾部材の第一使用例を示す模式図。
【図12】図10の装飾部材の第二使用例を示す模式図。
【図13】図1の操作ユニットの変形例を示す正面図。
【図14】装飾部材の第一の別例を示す斜視図。
【図15】図14の装飾部材を、その使用状態にて示す断面図。
【図16】装飾部材の第二の別例を示す断面図。
【図17】従来の装飾部材の問題点を説明する図。
【符号の説明】
【0044】
1,1’ 車内操作ユニット
6 操作ボタン(操作部;周辺部材)
6x 被操作面
8,208,308 装飾部材
10,210,310 ベース部
11,211,311 部材本体
11k 前端面
11n,11m 周側面
8p 装飾光沢層
s,s1,s2 隙間
s1 第一型隙間
s2 第二型隙間
10a,10b 傾斜面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される電子機器の車内操作ユニットであって、
ユニット前面から深さ方向に没する位置関係で設けられるベース部と、該ベース部から前記ユニット前面側に突出し、その突出方向における前端面が外観露出する部材本体とを有する装飾部材と、
前記ユニット前面を形成するとともに、前記装飾部材の前記部材本体の突出方向における前端面を外観露出させつつ、該部材本体の周側面を取り囲むように配置される周辺部材とを有し、
前記装飾部材の前記ベース部は前記部材本体の周側面から張り出す形態をなし、前記部材本体の前記先端面及び前記周側面と、前記ベース部の前記前端面とが装飾光沢層により一体的に覆われてなり、
前記周辺部材には、前記ベース部の前記部材本体の突出方向における前端面に外部光が到達可能な隙間が形成されるとともに、該ベース部の前記隙間に臨む前記前端面が、前記部材本体の突出方向と直交する仮想的な基準面に対して傾いた傾斜面とされてなることを特徴とする車内操作ユニット。
【請求項2】
前記ベース部の前端面は、前記隙間の幅方向に傾斜する傾斜面を有する請求項1記載の車内操作ユニット。
【請求項3】
前記ベース部の前端面は、前記部材本体からの張り出し方向における外縁側が、前記部材本体の突出方向において、前記張り出し方向における内縁側よりも後方に位置する傾斜面を含む請求項2記載の車内操作ユニット。
【請求項4】
前記周辺部材と前記装飾部材との間に前記隙間が形成され、当該隙間を第一型隙間として、前記ベース部の前記前端面は、該第一型隙間に臨む領域が前記傾斜面とされてなる請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車内操作ユニット。
【請求項5】
前記周辺部材は、前記車内操作ユニットの操作部を形成するものである請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車内操作ユニット。
【請求項6】
前記操作部は、ユニット前面側に被操作面が形成される複数の操作ボタンであり、
前記装飾部材の前記部材本体は、互いに隣接配置される2つの操作ボタン間に配置される仕切り部材であり、
前記ベース部は、前記隙間に対応する位置にて前記装飾部材を支持フレームに固定する固定用マウント部を形成する請求項5記載の車内操作ユニット。
【請求項7】
前記仕切り部材の側面と前記操作ボタンの側面との間に前記隙間が形成され、当該隙間を第一型隙間として、前記ベース部の該第一型隙間に臨む領域が前記傾斜面とされてなる請求項6記載の車内操作ユニット。
【請求項8】
隣接する前記操作ボタンの互いに対向する側面には、前記仕切り部材を前記面内方向に入り込ませて位置させる凹部が形成され、当該凹部の内面をなす側面と前記仕切り部材の側面との間に第一型隙間が形成される一方、該凹部から外れた位置においては、隣接する前記操作ボタンの側面同士が直接対向する形で、前記第一型隙間に連なる第二型隙間が形成され、
前記ベース部の前端面は、少なくとも前記第一型隙間に臨む領域が前記傾斜面とされてなる請求項6又は請求項7に記載の車内操作ユニット。
【請求項9】
前記ベース部の前端面は、前記第一型隙間に臨む領域と前記第二型隙間に臨む領域との双方が前記傾斜面とされてなる請求項8記載の車内操作ユニット。
【請求項10】
前記部材本体は、前記突出方向に板面を一致させる板状に形成され、前記ベース部は、該部材本体の板面及び板幅方向端面からそれぞれ突出する鍔状に形成されてなり、
前記第一型隙間は前記部材本体の板面に沿って形成され、前記第二型隙間は前記部材本体の前記板幅方向端面から離間する向きに沿って形成され、
前記ベース部の前端面は、前記部材本体の突出方向における前記第一型隙間の正射影領域に、隙間幅方向に傾斜する第一型傾斜面が形成され、前記第二型隙間の幅方向に隣接する領域には、前記第一型傾斜面が前記第一型隙間の正射影領域から延長形成されてなる請求項9記載の車内操作ユニット。
【請求項11】
前記第一型隙間とこれに対応する前記第一型傾斜面とが前記部材本体の板厚方向両側にそれぞれ形成され、それら第一型傾斜面は、前記部材本体の突出方向において、いずれも前記部材本体に接続する側がこれと反対側よりも前記操作ボタンの前記被操作面に近くなるよう、互いに逆向きに傾斜してなる請求項10記載の車内操作ユニット。
【請求項1】
車両に搭載される電子機器の車内操作ユニットであって、
ユニット前面から深さ方向に没する位置関係で設けられるベース部と、該ベース部から前記ユニット前面側に突出し、その突出方向における前端面が外観露出する部材本体とを有する装飾部材と、
前記ユニット前面を形成するとともに、前記装飾部材の前記部材本体の突出方向における前端面を外観露出させつつ、該部材本体の周側面を取り囲むように配置される周辺部材とを有し、
前記装飾部材の前記ベース部は前記部材本体の周側面から張り出す形態をなし、前記部材本体の前記先端面及び前記周側面と、前記ベース部の前記前端面とが装飾光沢層により一体的に覆われてなり、
前記周辺部材には、前記ベース部の前記部材本体の突出方向における前端面に外部光が到達可能な隙間が形成されるとともに、該ベース部の前記隙間に臨む前記前端面が、前記部材本体の突出方向と直交する仮想的な基準面に対して傾いた傾斜面とされてなることを特徴とする車内操作ユニット。
【請求項2】
前記ベース部の前端面は、前記隙間の幅方向に傾斜する傾斜面を有する請求項1記載の車内操作ユニット。
【請求項3】
前記ベース部の前端面は、前記部材本体からの張り出し方向における外縁側が、前記部材本体の突出方向において、前記張り出し方向における内縁側よりも後方に位置する傾斜面を含む請求項2記載の車内操作ユニット。
【請求項4】
前記周辺部材と前記装飾部材との間に前記隙間が形成され、当該隙間を第一型隙間として、前記ベース部の前記前端面は、該第一型隙間に臨む領域が前記傾斜面とされてなる請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車内操作ユニット。
【請求項5】
前記周辺部材は、前記車内操作ユニットの操作部を形成するものである請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車内操作ユニット。
【請求項6】
前記操作部は、ユニット前面側に被操作面が形成される複数の操作ボタンであり、
前記装飾部材の前記部材本体は、互いに隣接配置される2つの操作ボタン間に配置される仕切り部材であり、
前記ベース部は、前記隙間に対応する位置にて前記装飾部材を支持フレームに固定する固定用マウント部を形成する請求項5記載の車内操作ユニット。
【請求項7】
前記仕切り部材の側面と前記操作ボタンの側面との間に前記隙間が形成され、当該隙間を第一型隙間として、前記ベース部の該第一型隙間に臨む領域が前記傾斜面とされてなる請求項6記載の車内操作ユニット。
【請求項8】
隣接する前記操作ボタンの互いに対向する側面には、前記仕切り部材を前記面内方向に入り込ませて位置させる凹部が形成され、当該凹部の内面をなす側面と前記仕切り部材の側面との間に第一型隙間が形成される一方、該凹部から外れた位置においては、隣接する前記操作ボタンの側面同士が直接対向する形で、前記第一型隙間に連なる第二型隙間が形成され、
前記ベース部の前端面は、少なくとも前記第一型隙間に臨む領域が前記傾斜面とされてなる請求項6又は請求項7に記載の車内操作ユニット。
【請求項9】
前記ベース部の前端面は、前記第一型隙間に臨む領域と前記第二型隙間に臨む領域との双方が前記傾斜面とされてなる請求項8記載の車内操作ユニット。
【請求項10】
前記部材本体は、前記突出方向に板面を一致させる板状に形成され、前記ベース部は、該部材本体の板面及び板幅方向端面からそれぞれ突出する鍔状に形成されてなり、
前記第一型隙間は前記部材本体の板面に沿って形成され、前記第二型隙間は前記部材本体の前記板幅方向端面から離間する向きに沿って形成され、
前記ベース部の前端面は、前記部材本体の突出方向における前記第一型隙間の正射影領域に、隙間幅方向に傾斜する第一型傾斜面が形成され、前記第二型隙間の幅方向に隣接する領域には、前記第一型傾斜面が前記第一型隙間の正射影領域から延長形成されてなる請求項9記載の車内操作ユニット。
【請求項11】
前記第一型隙間とこれに対応する前記第一型傾斜面とが前記部材本体の板厚方向両側にそれぞれ形成され、それら第一型傾斜面は、前記部材本体の突出方向において、いずれも前記部材本体に接続する側がこれと反対側よりも前記操作ボタンの前記被操作面に近くなるよう、互いに逆向きに傾斜してなる請求項10記載の車内操作ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−62592(P2007−62592A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251969(P2005−251969)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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