説明

車載スイッチシステム

【課題】 車両コクピットのデザインを単純化し、ユーザがスイッチを操作する際の利便性を高める。
【解決手段】 車載スイッチシステム1は、車両位置、車両周囲状況、日時情報及び天候情報のうち少なくとも1つを判断材料としてユーザが実施する可能性の高い操作を予測して(先読みし)、その予測した操作をユーザの操作位置が表示装置8の範囲で確定されているタッチスイッチ8aの機能に設定することで、タッチスイッチ8aを車両位置、車両周囲状況、日時情報及び天候情報のうち少なくとも1つを判断材料とする様々な状況に応じた複数の機能を実現するためのスイッチとして共有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車載スイッチシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両走行制御、情報通信及びIT技術などの高度化に伴って、車両に搭載されるスイッチの個数が増加する傾向にある。しかしながら、車両に搭載されるスイッチの個数が増加すると、車両コクピットのデザインが煩雑になるという問題があり、また、ユーザが視線移動して多数のスイッチのうちから所望のスイッチを探索する機会が増加し、ユーザがスイッチを操作する際の利便性が低下するという問題もある。
【0003】
一方、下記の特許文献1には、緊急事態が発生した場合に、ユーザがいずれかの緊急事態ボタンを操作すると、その操作された緊急事態ボタンに対応して予め設定されている連絡先に緊急通報信号を送信する構成が記載されている。また、下記の特許文献2には、車両が給油所に接近した場合に、給油口が左右のいずれに配置されているかをナビゲーション装置の表示装置に表示する構成が記載されている。さらに、下記の特許文献3には、ユーザの視線移動を検出してユーザの関心事項を予測し、適切なタイミングでユーザが所望とする情報を出力する構成が記載されている。
【特許文献1】特開2004−90721号公報
【特許文献2】特開2003−121174号公報
【特許文献3】特開2001−194161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1〜3では、車両コクピットのデザインが煩雑になるという問題及びユーザがスイッチを操作する際の利便性が低下するという問題を解決するまでには至っていない。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両コクピットのデザインを単純化することができ、また、ユーザがスイッチを操作する際の利便性を高めることができる車載スイッチシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明によれば、予測操作検出手段は、車両位置取得手段により取得された車両位置、車両周囲状況取得手段により取得された車両周囲状況、日時情報取得手段により取得された日時情報及び天候情報取得手段により取得された天候情報のうち少なくとも1つを判断材料としてユーザが実施する可能性の高い操作を予測操作として検出し、制御手段は、ユーザが実施する可能性の高い操作が予測操作検出手段により予測されると、その予測操作をスイッチの機能に設定して報知手段から報知させると共に当該予測操作が制御対象とする車載制御機器の制御を有効化し、その予測操作を機能に設定したスイッチがユーザにより操作されると、その予測操作に準じて車載制御機器の制御を実施する。
【0007】
これにより、車両位置、車両周囲状況、日時情報及び天候情報のうち少なくとも1つを判断材料としてユーザが実施する可能性の高い操作を予測し(先読みし)、その予測した操作をユーザの操作位置が所定範囲で確定されているスイッチの機能に設定することで、スイッチを車両位置、車両周囲状況、日時情報及び天候情報のうち少なくとも1つを判断材料とする様々な状況に応じた複数の機能を実現するためのスイッチとして共有するように構成したので、スイッチの個数を削減することができ、車両コクピットのデザインを単純化することができ、また、ユーザが視線移動して多数のスイッチのうちから所望のスイッチを探索する機会を減少させることができ、ユーザがスイッチを操作する際の利便性を高めることができる。
【0008】
請求項2に記載した発明によれば、制御手段は、予測操作検出手段によりユーザが実施する可能性の高いと検出された予測操作をスイッチの機能に設定して報知手段から報知させると共に当該予測操作が制御対象とする車載制御機器の制御を有効化した場合に、その制御地点を制御地点記憶手段に記憶させると共に当該予測操作を予測操作記憶手段に記憶させる。これにより、ユーザが実施する可能性の高いと検出された予測操作をスイッチの機能に設定した制御地点及び当該予測操作を記憶しておくことができる。
【0009】
請求項3に記載した発明によれば、制御手段は、予測操作検出手段によりユーザが実施する可能性の高いと検出された予測操作をスイッチの機能に設定して報知手段から報知させると共に当該予測操作が制御対象とする車載制御機器の制御を有効化した後に、その予測操作を機能に設定したスイッチがユーザにより操作されると、ユーザにより操作された旨を表す操作履歴を操作履歴記憶手段に記憶させる。
【0010】
これにより、ユーザが実施する可能性の高いと検出された予測操作を機能に設定したスイッチがユーザにより操作された旨を操作履歴として記憶しておくことができ、次回に同じ状況が発生したときに、その記憶しておいた操作履歴に基づいてユーザが実施する可能性の高いと検出された予測操作をスイッチの機能に再度設定すると共に当該予測操作が制御対象とする車載制御機器の制御を再度有効化することで学習機能を実現することができ、予測操作をスイッチの機能に設定する処理及び当該予測操作が制御対象とする車載制御機器の制御を有効化する処理を操作履歴に基づいて効率良く実施することができる。
【0011】
請求項4に記載した発明によれば、制御手段は、予測操作検出手段によりユーザが実施する可能性の高いと検出された予測操作をスイッチの機能に設定して報知手段から報知させると共に当該予測操作が制御対象とする車載制御機器の制御を有効化した後に、その予測操作を機能に設定したスイッチがユーザにより操作されないと、ユーザにより操作されなかった旨を表す操作履歴を操作履歴記憶手段に記憶させる。
【0012】
これにより、ユーザが実施する可能性の高いと検出された予測操作を機能に設定したスイッチがユーザにより操作されなかった旨を操作履歴として記憶しておくことができ、次回に同じ状況が発生したときに、その記憶しておいた操作履歴に基づいてユーザが実施する可能性の高いと検出された予測操作をスイッチの機能に設定しないと共に当該予測操作が制御対象とする車載制御機器の制御を有効化しないことで学習機能を実現することができ、予測操作をスイッチの機能に設定する処理及び当該予測操作が制御対象とする車載制御機器の制御を有効化する処理を操作履歴に基づいて効率良く実施することができる。
【0013】
請求項5に記載した発明によれば、制御手段は、予測操作検出手段によりユーザが実施する可能性の高いと検出された予測操作をスイッチの機能に設定して報知手段から報知させると共に当該予測操作が制御対象とする車載制御機器の制御を有効化した後に、その予測操作に関してユーザが実施する可能性の高い状態から低い状態へ変化すると、その予測操作のスイッチへの機能の設定を解除して報知手段からの報知を停止すると共に当該予測操作が制御対象とする車載制御機器の制御を無効化する。
【0014】
これにより、ユーザが実施する可能性の高い状態から低い状態へ変化すると、その予測操作が制御対象とする車載制御機器の制御を無効化することができ、初期状態(予測操作が制御対象とする車載制御機器の制御を有効化する以前の状態)に速やかに復帰することができる。
【0015】
請求項6に記載した発明によれば、報知手段がスイッチの機能を視覚的に報知する表示装置から構成され、スイッチが表示装置に表示されるタッチスイッチから構成されている。これにより、ユーザが表示装置を視認することでスイッチの機能を知ることができ、ユーザがタッチスイッチを操作することで車載制御機器の制御を実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、車載スイッチシステムの全体構成を機能ブロック図として示している。車載スイッチシステム1は、車両に搭載されており、制御装置2(本発明でいう予測操作検出手段、制御手段)、通信装置3、ナビゲーション装置4(本発明でいう車両位置取得手段、日時情報取得手段)、赤外線センサ5(本発明でいう車両周囲状況取得手段)、降雨量センサ6(本発明でいう天候情報取得手段)、日射量センサ7(本発明でいう天候情報取得手段)、表示装置8(本発明でいう報知手段)及びインタフェース装置9を備えて構成されている。
【0017】
制御装置2は、車載スイッチシステム1の動作全般を制御する。通信装置3は、外部(サーバ)との間でネットワークを介して通信する。ナビゲーション装置4は、例えばGPS受信機からなる車両位置検出器4aを備えており、車両位置検出器4aにより検出した車両位置を制御装置2へ出力する。また、ナビゲーション装置4は、自身の計時機能により計時した日時情報をも制御装置2へ出力する。赤外線センサ5は、赤外線の受信状態に応じて例えば先行車両や障害物が存在するか否かなどの車両周囲状況を検出し、その検出した車両周囲状況を制御装置2へ出力する。降雨量センサ6及び日射量センサ7は、降雨量及び日射量を天候情報として検出し、それら検出した天候情報を制御装置2へ出力する。
【0018】
表示装置8は、画像を表示する機能の他にタッチスイッチ8aを表示する機能をも有しており、制御装置2から表示信号が入力されると、その表示信号に応じた画像やタッチスイッチ8aを表示し、タッチスイッチ8aが操作されると、その操作に応じた操作信号を制御装置2へ出力する。インタフェース装置9は、車両運動系制御機器10(本発明でいう車載制御機器)、ボデー系制御機器11(本発明でいう車載制御機器)及び記憶装置12とのインタフェース機能を有して構成されている。この場合、制御装置2は、有効化信号または無効化信号をインタフェース装置9を介して車両運動系制御機器10及びボデー系制御機器11へ出力し、車両運動系制御機器10及びボデー系制御機器11の制御を有効化または無効化する。
【0019】
各種スイッチ13は、表示装置8が配置されている箇所とは別の箇所に機械的に配置されており、ユーザが車両運動系制御機器10を制御するために操作するスイッチとして作用する。この場合、車両運動系制御機器10は、ユーザにより各種スイッチ13が操作されることで制御が実施されると共に、その制御が制御装置2により有効化されている条件の下ではユーザにより表示装置8に表示されているタッチスイッチ8aが操作されることでも制御が実施される。すなわち、ユーザは、各種スイッチ13を操作することで車両運動系制御機器10の制御を実施することができる共に、制御装置2が車両運動系制御機器10の制御を有効化している条件の下ではタッチスイッチ8aを操作することでも車両運動系制御機器10の制御を実施することができる。
【0020】
各種スイッチ14は、上記した各種スイッチ13と同様にして、表示装置8が配置されている箇所とは別の箇所に機械的に配置されており、ユーザがボデー系制御機器11を制御するために操作するスイッチとして作用する。この場合、ボデー系制御機器11は、ユーザにより各種スイッチ14が操作されることで制御が実施されると共に、その制御が制御装置2により有効化されている条件の下ではユーザにより表示装置8に表示されているタッチスイッチ8aが操作されることでも制御が実施される。すなわち、ユーザは、各種スイッチ14を操作することでボデー系制御機器11の制御を実施することができる共に、制御装置2がボデー系制御機器11の制御を有効化している条件の下ではタッチスイッチ8aを操作することでもボデー系制御機器11の制御を実施することができる。
【0021】
記憶装置12は、制御地点記憶部12a(本発明でいう制御地点記憶手段)、予測操作記憶部12b(本発明でいう予測操作記憶手段)及び操作履歴記憶部12c(本発明でいう操作履歴記憶手段)を備えて構成されている。尚、上記した構成において、通信装置3や表示装置6は、ナビゲーション装置4の通信装置や表示装置を兼用するものであっても良い。
【0022】
次に、上記した構成の作用について、図2ないし図6を参照して説明する。図2は、車載スイッチシステム1の制御装置2が行う処理をフローチャートとして示しており、図3は、システム全体の処理の流れをシーケンス図として示している。
【0023】
制御装置2は、ナビゲーション装置4から入力された車両位置及び日時情報、赤外線センサ5から入力された車両周囲状況、降雨量センサ6及び日射量センサ7から入力された天候情報を総合的に判断し(ステップS1)、ユーザが実施する可能性の高い操作を予測する(ステップS2)。
【0024】
次いで、制御装置2は、そのユーザが実施する可能性の高いと予測した操作(予測操作)をタッチスイッチ8aの機能に設定し、表示信号を表示装置8へ出力し、そのタッチスイッチ8aを表示装置8に表示させる(ステップS3)。そして、制御装置2は、有効化信号を車両運動系制御機器10またはボデー系制御機器11へ出力し、その予測操作が制御対象とする車両運動系制御機器10またはボデー系制御機器11の制御を有効化する(ステップS4)。また、制御装置2は、制御地点記憶信号を制御地点記憶部12aへ出力し、その制御地点を制御地点記憶部12aに記憶させると共に(ステップS5)、予測操作記憶信号を予測操作記憶部12bへ出力し、その予測操作を予測操作記憶部12bに記憶させる(ステップS6)。
【0025】
次いで、制御装置2は、タッチスイッチ8aが操作されたか否かを監視すると共に(ステップS7)、その予約操作に関してユーザが実施する(ユーザがタッチスイッチ8aを操作する)可能性の高い状態から低い状態へ変化したか否かを監視する(ステップS8)。
【0026】
ここで、制御装置2は、ユーザが実施する可能性の高い状態から低い状態へ変化するよりも先に表示装置8から操作信号が入力され、タッチスイッチ8aが操作された旨を検出すると(ステップS7にて「YES」)、その予測操作に準じて制御信号を車両運動系制御機器10またはボデー系制御機器11へ出力し、車両運動系制御機器10またはボデー系制御機器11の制御を実施する(ステップS9)、そして、制御装置2は、操作履歴記憶信号を操作履歴記憶部12cへ出力し、そのタッチスイッチ8aが操作された旨を表す操作履歴を操作履歴記憶部12cに記憶させる(ステップS10)。
【0027】
これに対して、制御装置2は、タッチスイッチ8aが操作されるよりも先にユーザが実施する可能性の高い状態から低い状態へ変化した旨を検出すると(ステップS8にて「YES」)、タッチスイッチ8aへの機能の設定を解除し、タッチスイッチ8aを消去させる(ステップS11)。そして、制御装置2は、無効化信号を車両運動系制御機器10またはボデー系制御機器11へ出力し、その予測操作が制御対象とする車両運動系制御機器10またはボデー系制御機器11の制御を無効化し(ステップS12)、操作履歴記憶信号を操作履歴記憶部12cへ出力し、そのタッチスイッチ8aが操作されなかった旨を表す操作履歴を操作履歴記憶部12cに記憶させる(ステップS13)。
【0028】
ここで、上記した一連の処理の具体的な幾つかの例として、
(1)車両が給油所で給油する場合
(2)車両がトンネルを通過する場合
(3)車両が交通渋滞に遭遇した場合
について、図4ないし図6を参照して順次説明する。
【0029】
(1)車両が給油所で給油する場合
最初に、車両が給油所で給油する場合について、図4を参照して説明する。
この場合、制御装置2は、例えば車両位置と地図情報とから車両が給油所で停止した旨を検出すると(ステップS21)、ユーザが実施する可能性の高い操作として給油口を開ける操作を予測する。そして、制御装置2は、タッチスイッチ8aとして給油口アイコン(図4中「P1」にて示す)を表示装置8に表示させ(図4(a)参照)(ステップS22)、給油口の開放制御を有効化する。
【0030】
ここで、制御装置2は、タッチスイッチ8aとして表示装置8に表示されている給油口アイコンがユーザにより操作された(タッチされた)旨を検出すると(ステップS23にて「YES」)、給油口の開放制御を実施する(ステップS24)。これにより、ユーザは、例えば運転席シートの下方に機械的に配置されている給油口レバーを操作しなくとも、タッチスイッチ8aとして表示装置8に表示されている給油口アイコンを操作することで給油口を開けることができる。
【0031】
次いで、制御装置2は、注入された燃料の量と走行距離とに基づいて燃費を計算し(ステップS25)、燃費を表す燃費アイコン(図4中「P2」にて示す)を表示装置8に表示させた後に(図4(b)参照)(ステップS26)、ユーザが実施する可能性の高い操作としてトリップメータをリセットする操作を予測する。そして、制御装置2は、タッチスイッチ8aとしてトリップリセットアイコン(図4中「P3」にて示す)を表示装置8に表示させ(図4(c)参照)(ステップS27)、トリップメータのリセット制御を有効化する。
【0032】
ここで、制御装置2は、タッチスイッチ8aとして表示装置8に表示されているトリップリセットアイコンがユーザにより操作された旨を検出すると(ステップS28にて「YES」)、トリップメータのリセット制御を実施する(ステップS29)。これにより、ユーザは、例えばメータパネルの奥に機械的に配置されているトリップリセットボタンを操作しなくとも、タッチスイッチ8aとして表示装置8に表示されているトリップリセットアイコンを操作することでトリップメータをリセットすることができる。
【0033】
以上に説明した一連の処理により、ユーザは、タッチスイッチ8aとして表示装置8に順次表示される給油口アイコン及びトリップリセットアイコンを順次操作することで、給油口レバーやトリップリセットボタンが配置されている箇所に視線移動することなく、給油口を開けたりトリップメータをリセットしたりすることができる。尚、この場合、ユーザが給油口を開ける操作やトリップメータをリセットする操作を予測することに限らず、これらの他に、ユーザが料金を支払うために窓を開閉する操作を予測し、窓開放アイコンや窓閉鎖アイコンを表示し、それら窓開放アイコンや窓閉鎖アイコンが操作された場合に、窓の開閉制御を実施するように構成しても良い。
【0034】
(2)車両がトンネルを通過する場合
次に、車両がトンネルを通過する場合について、図5を参照して説明する。
この場合、制御装置2は、例えば車両位置と地図情報とから車両がトンネルに進入する旨を検出すると(ステップS31)、ユーザが実施する可能性の高い操作として外気導入から内気循環に切替える操作を予測する。そして、制御装置2は、タッチスイッチ8aとして内気循環アイコン(図5中「Q1」にて示す)を表示装置8に表示させ(図5(a)参照)(ステップS32)、外気導入から内気循環への切替制御を有効化する。
【0035】
ここで、制御装置2は、タッチスイッチ8aとして表示装置8に表示されている内気循環アイコンがユーザにより操作された旨を検出すると(ステップS33にて「YES」)、外気導入から内気循環への切替制御を実施する(ステップS34)。これにより、ユーザは、例えばインストルメントパネルに機械的に配置されている外気導入から内気循環への切替ボタンを操作しなくとも、タッチスイッチ8aとして表示装置8に表示されている内気循環アイコンを操作することで外気導入から内気循環へ切替えることができる。
【0036】
次いで、制御装置2は、車両位置と地図情報とから車両がトンネルから進出した旨を検出すると(ステップS35)、ユーザが実施する可能性の高い操作として内気循環から外気導入に切替える操作を予測する。そして、制御装置2は、タッチスイッチ8aとして外気導入アイコン(図5中「Q2」にて示す)を表示装置8に表示させ(図5(b)参照)(ステップS36)、内気循環から外気導入への切替制御を有効化する。
【0037】
ここで、制御装置2は、タッチスイッチ8aとして表示装置8に表示されている外気導入アイコンがユーザにより操作された旨を検出すると(ステップS37にて「YES」)、内気循環から外気導入への切替制御を実施する(ステップS38)。これにより、ユーザは、例えばインストルメントパネルに機械的に配置されている内気循環から外気導入への切替ボタンを操作しなくとも、タッチスイッチ8aとして表示装置8に表示されている外気導入アイコンを操作することで内気循環から外気導入へ切替えることができる。
【0038】
以上に説明した一連の処理により、ユーザは、タッチスイッチ8aとして表示装置8に順次表示される内気循環アイコン及び外気導入アイコンを順次操作することで、外気導入と内気循環との切替ボタンが配置されている箇所に視線移動することなく、外気導入から内気循環へ切替えたり内気循環から外気導入へ切替えたりすることができる。尚、この場合も、ユーザが外気導入から内気循環に切替える操作や内気循環から外気導入に切替える操作を予測することに限らず、これらの他に、ユーザが窓を開閉する操作を予測し、窓開放アイコンや窓閉鎖アイコンを表示し、それら窓開放アイコンや窓閉鎖アイコンが操作された場合に、窓の開閉制御を実施するように構成しても良い。
【0039】
(3)車両が交通渋滞に遭遇した場合
次に、車両が交通渋滞に遭遇した場合について、図6を参照して説明する。
この場合、制御装置2は、例えば車両周囲状況から車両が交通渋滞に遭遇した旨を検出すると(ステップS41)、ユーザが実施する可能性の高い操作としてハザードランプを点滅させる操作を予測する。そして、制御装2は、タッチスイッチ8aとしてハザードランプアイコン(図6中「R1」にて示す)を表示装置8に表示させ(ステップS42)、ハザードランプの点滅制御を有効化する。
【0040】
ここで、制御装置2は、タッチスイッチ8aとして表示装置8に表示されているハザードランプアイコンがユーザにより操作された旨を検出すると(ステップS43にて「YES」)、ハザードランプの点滅制御を実施する(ステップS44)。これにより、ユーザは、例えばインストルメントパネルに機械的に配置されているハザードランプボタンを操作しなくとも、タッチスイッチ8aとして表示装置8に表示されているハザードランプアイコンを操作することでハザードランプを点滅させることができる。
【0041】
次いで、制御装置2は、ユーザが実施する可能性の高い操作として交通情報(ハイウェイラジオ番組)を音声出力させる(ラジオの電源を投入したり選局したりする)操作を予測する。そして、制御装置2は、タッチスイッチ8aとして交通情報アイコン(図6中「R2」にて示す)を表示装置8に表示させ(図6(b)参照)(ステップS45)、交通情報の音声出力制御を有効化する。
【0042】
ここで、制御装置2は、タッチスイッチ8aとして表示装置8に表示されている交通情報アイコンがユーザにより操作された旨を検出すると(ステップS46にて「YES」)、交通情報の音声出力御を実施する(ステップS47)。これにより、ユーザは、例えばインストルメントパネルに機械的に配置されているラジオの電源投入ボタンや選局ボタンを操作しなくとも、タッチスイッチ8aとして表示装置8に表示されている交通情報アイコンを操作することで交通情報を音声出力させることができる。
【0043】
以上に説明した一連の処理により、ユーザは、タッチスイッチ8aとして表示装置8に順次表示されるハザードランプアイコン及び交通情報アイコンを順次操作することで、ハザードランプボタンやラジオの電源投入ボタンや選局ボタンが配置されている箇所に視線移動することなく、ハザードランプを点滅させたり交通情報を音声出力させたりすることができる。尚、この場合、車両が交通情報を確実に音声出力する(電波を確実に受信する)ことが可能なエリアを走行している場合に限って交通情報アイコンを表示させたり、音声出力回路を切断することで音声出力を待機している状態で交通情報アイコンを表示させたりすることにより、タッチスイッチ8aとして表示装置8に表示されている交通情報アイコンがユーザにより操作された直後に交通情報の音声出力が速やかに開始される構成であっても良い。また、この場合は、ハザードランプアイコンと交通情報アイコンとが同時に表示される構成であっても良い。
【0044】
ところで、以上は、ユーザが実施する可能性の高い操作を車両位置及び車両周囲状況を判断材料として予測する場合を説明したものであるが、ユーザが実施する可能性の高い操作を日時情報や天候情報を判断材料として予測する構成であっても良い。具体的な例としては、例えばユーザが毎日の指定された時刻にラジオ番組を聞く場合であれば、その時刻を設定時刻として設定しておき、その設定時刻を検出した場合に、ユーザがラジオの電源を投入したり選局したりするために操作するラジオスイッチアイコンを表示装置8に表示させる構成であっても良い。また、降雨量が所定量以上である旨を検出した場合に、ユーザがワイパを作動させるために操作するワイパアイコンを表示装置8に表示させる構成であっても良いし、日射量が所定レベル以上である旨を検出した場合に、ユーザがエアコンを作動させるために操作するエアコンアイコンを表示装置8に表示させる構成であっても良い。
【0045】
また、制御装置2は、制御地点を制御地点記憶部12aに記憶させ、予測操作を予測操作記憶部12bに記憶させ、操作履歴を操作履歴記憶部12cに記憶させることにより、以下の処理を実施することができる。すなわち、制御装置2は、ユーザが実施する可能性の高い操作を予測した場合に、その制御地点が制御地点記憶部12aに記憶されているか否かを判定すると共に当該予測操作が予測操作記憶部12bに記憶されているか否かを判定し、その制御地点が制御地点記憶部12aに記憶されていると共に予測操作が予測操作記憶部12bに記憶されている、つまり、ユーザが実施する可能性の高いと予測とした操作が過去に予測した操作と同じである場合には、操作履歴記憶部12cに記憶されている操作履歴を参照し、その操作をユーザが前回に実施していれば、前回と同じようにタッチスイッチ8aを表示させると共に車両運動系制御機器10及びボデー系制御機器11の制御を有効化し、一方、その操作をユーザが前回に実施していなければ、タッチスイッチ8aを表示させないと共に車両運動系制御機器10及びボデー系制御機器11の制御を有効化しないようにすることもできる。
【0046】
以上に説明したように本実施形態によれば、車載スイッチシステム1において、車両位置、車両周囲状況、日時情報及び天候情報のうち少なくとも1つを判断材料としてユーザが実施する可能性の高い操作を予測し(先読みし)、その予測した操作をユーザの操作位置が表示装置8の範囲で確定されているタッチスイッチ8aの機能に設定することで、タッチスイッチ8aを車両位置、車両周囲状況、日時情報及び天候情報のうち少なくとも1つを判断材料とする様々な状況に応じた複数の機能を実現するためのスイッチとして共有するように構成したので、スイッチの個数を削減することができ、車両コクピットのデザインを単純化することができ、また、ユーザが視線移動して多数のスイッチのうちから所望のスイッチを探索する機会を減少させることができ、ユーザがスイッチを操作する際の利便性を高めることができる。
【0047】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
車両が自宅や勤務先に駐車した場合に、ユーザが実施する可能性の高い操作としてドアミラーを格納する操作を予測し、ユーザがドアミラーを格納するために操作するドアミラーアイコンを表示する構成であっても良い。また、車両が自動料金収受を実施不可能な駐車場の退場口に停止したり高速道路の料金所に停止したりした場合に、ユーザが実施する可能性の高い操作として窓を開閉する操作を予測し、ユーザが窓を開けるために操作する窓開放アイコンやユーザが窓を閉めるために操作する窓閉鎖アイコンを表示する構成であっても良い。
【0048】
スイッチの機能をユーザに報知する態様としては、タッチスイッチを表示してスイッチの機能を視覚的にユーザに報知する構成に限らず、音声出力を利用してスイッチの機能を聴覚的にユーザに報知する構成であっても良い。
タッチスイッチとして表示されているアイコンが消去されるタイミングは、アイコンが操作されたタイミングであっても良いし、アイコンが表示されてから所定時間が経過したタイミングであっても良い。この場合、アイコンが表示されてから操作されるまでの時間を統計して学習することにより、アイコンが表示されてから消去されるまでの時間を最適化しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図
【図2】フローチャート
【図3】シーケンス図
【図4】車両が給油所で給油する場合における表示画面の遷移の一例を示す図
【図5】車両がトンネルを通過する場合における表示画面の遷移の一例を示す図
【図6】車両が交通渋滞に遭遇した場合における表示画面の遷移の一例を示す図
【符号の説明】
【0050】
図面中、1は車載スイッチシステム、2は制御装置(予測操作検出手段、制御手段)、4はナビゲーション装置(車両位置取得手段、日時情報取得手段)、5は赤外線センサ(車両周囲状況取得手段)、6は降雨量センサ(天候情報取得手段)、7は日射量センサ(天候情報取得手段)、8は表示装置(報知手段)、8aはタッチスイッチ(スイッチ)、10は車両運動系制御機器(車載制御機器)、11はボデー系制御機器(車載制御機器)、12aは制御地点記憶部(制御地点記憶手段)、12bは予測操作記憶部(予測操作記憶手段)、12cは操作履歴記憶部(操作履歴記憶手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの操作位置が所定範囲で確定されているスイッチと、
前記スイッチの機能を報知する報知手段と、
車両位置を取得する車両位置取得手段、車両周囲状況を取得する車両周囲状況取得手段、日時情報を取得する日時情報取得手段及び天候情報を取得する天候情報取得手段のうち少なくとも1つの手段と、
前記車両位置取得手段により取得された車両位置、前記車両周囲状況取得手段により取得された車両周囲状況、前記日時情報取得手段により取得された日時情報及び前記天候情報取得手段により取得された天候情報のうち少なくとも1つを判断材料としてユーザが実施する可能性の高い操作を予測操作として検出する予測操作検出手段と、
ユーザが実施する可能性の高い操作が前記予測操作検出手段により予測操作として検出された場合に、その予測操作をスイッチの機能に設定して前記報知手段から報知させると共に当該予測操作が制御対象とする車載制御機器の制御を有効化し、その予測操作を機能に設定したスイッチがユーザにより操作された場合に、その予測操作に準じて車載制御機器の制御を実施する制御手段とを備えたことを特徴とする車載スイッチシステム。
【請求項2】
請求項1に記載した車載スイッチシステムにおいて、
前記制御手段は、前記予測操作検出手段によりユーザが実施する可能性の高いと検出された予測操作をスイッチの機能に設定して前記報知手段から報知させると共に当該予測操作が制御対象とする車載制御機器の制御を有効化した場合に、その制御地点を制御地点記憶手段に記憶させると共に当該予測操作を予測操作記憶手段に記憶させることを特徴とする車載スイッチシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載した車載スイッチシステムにおいて、
前記制御手段は、前記予測操作検出手段によりユーザが実施する可能性の高いと検出された予測操作をスイッチの機能に設定して前記報知手段から報知させると共に当該予測操作が制御対象とする車載制御機器の制御を有効化した後に、その予測操作を機能に設定したスイッチがユーザにより操作された場合に、ユーザにより操作された旨を表す操作履歴を操作履歴記憶手段に記憶させることを特徴とする車載スイッチシステム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載した車載スイッチシステムにおいて、
前記制御手段は、前記予測操作検出手段によりユーザが実施する可能性の高いと検出された予測操作をスイッチの機能に設定して前記報知手段から報知させると共に当該予測操作が制御対象とする車載制御機器の制御を有効化した後に、その予測操作を機能に設定したスイッチがユーザにより操作されなかった場合に、ユーザにより操作されなかった旨を表す操作履歴を操作履歴記憶手段に記憶させることを特徴とする車載スイッチシステム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載した車載スイッチシステムにおいて、
前記制御手段は、前記予測操作検出手段によりユーザが実施する可能性の高いと検出された予測操作をスイッチの機能に設定して前記報知手段から報知させると共に当該予測操作が制御対象とする車載制御機器の制御を有効化した後に、その予測操作に関してユーザが実施する可能性の高い状態から低い状態へ変化した場合に、その予測操作のスイッチへの機能の設定を解除して前記報知手段からの報知を停止すると共に当該予測操作が制御対象とする車載制御機器の制御を無効化することを特徴とする車載スイッチシステム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載した車載スイッチシステムにおいて、
前記報知手段がスイッチの機能を視覚的に報知する表示装置から構成され、前記スイッチが前記表示装置に表示されるタッチスイッチから構成されていることを特徴とする車載スイッチシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−62559(P2007−62559A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251313(P2005−251313)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】