説明

車載ナビゲーションシステム及び制御装置

【課題】消費電力の低減を図りながらも、使い勝手を向上することのできる車載ナビゲーションシステム及び制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置60は、通常モードから省エネモードに移行すると、ディスプレイ40に表示する省エネ画像の解像度を通常画像の解像度よりも低くするとともに、ディスプレイ40に表示する省エネ画像の更新周期を通常画像の更新周期よりも長くする。また、制御装置60は、通常モードから省エネモードに移行すると、スケーラ605によって省エネ画像を通常画像と同一のVGAサイズに引き伸ばしてディスプレイ40に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常モード及びこの通常モードよりも低い消費電力にて動作する省エネモードを有する車載ナビゲーションシステム及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地図情報を記憶する記憶装置と、画像を表示する表示装置と、通常モード及び省エネモードのいずれのモードにて動作するか決定し、その決定したモードに応じた態様で動作する制御装置とを備える車載ナビゲーションシステムが知られている。この車載ナビゲーションシステムを構成する制御装置は、通常モードにて動作する場合、地図情報に基づいて画像を描画し、描画した画像を表示装置に表示させることにより、目的地までの経路を案内する。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、制御装置は、走行中の案内経路の先が「道なり」の走行であって、経路案内が不要であると判断した場合、省エネモードに移行する。省エネモードに移行すると、制御装置は、表示装置や音声出力装置への電源供給を遮断する。これにより、当該システムの消費電力を低減することができる。
【0004】
また、特許文献2に記載の技術では、制御装置は、目的地までの経路を案内していない間に一定期間以上操作されていないと判断した場合、あるいは、目的地までの経路を案内している間に車載ナビゲーションシステムを搭載する車両が一定距離以上道なりに走行すると判断した場合、通常モードから省エネモードに移行する。省エネモードに移行すると、制御装置は、当該システムが搭載される車両の走行状況に応じて、表示装置、制御装置内の画像描画部、位置検出装置、操作スイッチ等の各ハードユニットへの電源供給を遮断する。これにより、当該システムの消費電力を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−5102号公報
【特許文献2】特開2002−257555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1及び特許文献2に記載の従来技術では、制御装置は、省エネ動作モードに移行すると、車載ナビゲーションシステムを構成するハードユニット(特に表示装置)への電源供給を遮断する。表示装置への電源供給が遮断されると、ユーザは画像を見たくても見ることができなくなってしまう。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の従来技術では、車載ナビゲーションシステムを操作することにより、制御装置が通常モードに復帰し、表示装置に画像が表示されるようにはなるものの、制御装置を通常モードに復帰させるために操作しなければならないことから、ユーザにとっては使い勝手が良くなかった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、消費電力の低減を図りながらも、使い勝手を向上することのできる車載ナビゲーションシステム及び制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、地図情報を記憶する記憶装置と、画像を表示する表示装置と、通常モード及びこの通常モードよりも低い消費電力にて動作する省エネモードのいずれのモードにて動作するか決定し、その決定したモードに応じた態様で動作する制御装置とを備え、制御装置は、通常モードにて動作する場合には、地図情報に基づいて画像を描画し、描画した画像を表示装置に表示させることにより、目的地までの経路を案内する車載ナビゲーションシステムであって、制御装置は、省エネモードにて動作する場合には、当該省エネモードにて動作する間に表示装置に表示させる画像である省エネ画像の描画情報量を、通常モードにて動作する間に表示装置に表示させる画像である通常画像の描画情報量よりも少なくすることを特徴とする。
【0010】
車載ナビゲーションシステムとしての上記構成では、制御装置は、省エネモードにて動作する場合には省エネ画像の描画情報量を通常画像の描画情報量よりも少なくすることから、描画情報に係る制御装置への演算負荷が低減されるようになる。そのため、消費電力の低減を図ることができるようになる。
【0011】
また、車載ナビゲーションシステムとしての上記構成では、省エネモードにて動作する場合には省エネ画像が表示装置に表示される。そのため、画像を見たくても見れないといった状況がそもそも生じず、画像を見るべく通常モードに復帰させるために操作しなければならないといった手間がないことから、使い勝手を向上することができるようになる。
【0012】
したがって、上記請求項1に記載の構成によれば、消費電力の低減を図りながらも、使い勝手を向上することができるようになる。
【0013】
なお、制御装置は、目的地までの経路を案内していない間に当該システムが一定期間以上操作されていないと判断した場合に、あるいは、目的地までの経路を案内している間に当該システムを搭載する車両が一定距離以上道なりに走行すると判断した場合に、省エネモードにて動作すると決定するとよい。
【0014】
上記請求項1に記載の構成において、請求項2に記載の発明のように、描画情報量には、画像の画質が含まれているとよい。具体的には、請求項3に記載の発明のように、画質には、表示装置に表示される画像の解像度が含まれており、制御装置は、省エネ画像の解像度を通常画像の解像度よりも低くするとよい。あるいは、請求項4に記載の発明のように、画質には、表示装置に表示される画像の更新周期が含まれており、制御装置は、省エネ画像の更新周期を通常画像の更新周期よりも長くするとよい。
【0015】
上記請求項3に記載の構成によれば、表示装置に表示される画像の解像度を低くすることにより、制御装置の画像描画に係る演算負荷が低減し、制御装置の動作クロックを低下させることができるようになる。そして、ひいては、車載ナビゲーションシステムの消費電力の低減を図ることができるようになる。
【0016】
また、上記請求項4に記載の構成によれば、更新周期を長くさせることにより、制御装置の画像描画に係る演算負荷を低減し、制御装置の動作クロックを低下させることができるようになる。そして、ひいては、車載ナビゲーションシステムの消費電力の低減を図ることができるようになる。なお、上記請求項4に記載の構成は、上記請求項3に記載の構成と併用することができ、上記請求項3に記載の構成と併用することにより、制御装置の動作クロックをより低下させることができるようになる。
【0017】
上記請求項1〜4のいずれかに記載の構成において、請求項5に記載の発明のように、描画情報量には、表示装置に表示される画像に含まれる描画物の多寡が含まれており、制御装置は、省エネ画像に含まれる描画物の個数を通常画像に含まれる描画物の個数よりも少なくするとよい。例えばコンビニエンスストアを示すマークや細い道路等の描画物の個数を少なくすることにより、制御装置の画像描画に係る演算負荷を低減し、制御装置の動作クロックを低下させることができるようになる。そして、ひいては、車載ナビゲーションシステムの消費電力の低減を図ることができるようになる。
【0018】
上記請求項1〜5のいずれかに記載の構成において、請求項6に記載の発明のように、描画情報量には、表示装置に表示される画像に含まれる描画物の見た目の質感が含まれており、制御装置は、省エネ画像に含まれる描画物の見た目の質感を通常画像に含まれる描画物の見た目の質感よりも低下させるとよい。例えばアンチエイリアス処理やテクスチャマッピングを行なわない等、描画物の見た目の質感を低下させることにより、制御装置の画像描画に係る演算負荷を低減し、制御装置の動作クロックを低下させることができるようになる。そして、ひいては、車載ナビゲーションシステムの消費電力の低減を図ることができるようになる。
【0019】
上記請求項3に記載の構成において、請求項7に記載の発明では、制御装置は、省エネ画像を通常画像の画素数よりも少ない画素数で描画するものであり、省エネ画像を通常画像の表示装置における表示サイズと同一の表示サイズに引き伸ばすスケーラをさらに備えることとした。これにより、制御装置に係る演算負荷を低減した上で、省エネ画像を通常画像と同一のサイズにて表示装置に表示することができるようになる。
【0020】
上記請求項1〜7のいずれかに記載の構成において、請求項8に記載の発明のように、制御装置は、現在地の検出、目的地までの経路探索、目的地までの経路案内、及び画像の描画に係る演算を行なうCPUと、このCPUが演算を行なう際に必要となるプログラム及び情報を記憶する内蔵メモリとを有して構成されているとよい。省エネモードにて動作する場合には描画情報量が低減されることから、上記請求項8に記載の発明によれば、CPUの動作クロックを低減したり、内蔵メモリの使用量を削減したりすることができるようになる。
【0021】
上記請求項8に記載の構成において、請求項9に記載の発明のように、制御装置は、画像の描画に係る演算を専門に行なうグラフィックスチップをさらに有して構成されているとよい。省エネモードにて動作する場合には描画情報量が低減されることから、上記請求項9に記載の構成によれば、CPUの動作クロックを低減したり、内蔵メモリの使用量を低減したりすることができることに加えて、例えば請求項10に記載の発明のように、グラフィックスチップの動作クロックを低下させたり、請求項11に記載の発明のように、グラフィックスチップへの電源供給を停止したりすることができるようになる。なお、グラフィックスチップの動作クロックは、グラフィックスチップが省エネ画像の描画を行なうことのできる処理能力を有する範囲で低下することが可能である。また、グラフィックスチップへの電源供給を停止した場合には、CPUが省エネ画像の描画に係る演算を行なうことになる。
【0022】
また、上記請求項8〜11に記載の構成において、請求項12に記載の発明のように、CPUは、複数のCPUコアからなり、制御装置は、省エネモードにて動作する場合、演算を行なっているCPUコアの動作クロックを低下させるとよい。あるいは、請求項13に記載の発明のように、CPUは、複数のCPUコアからなり、制御装置は、省エネモードにて動作する場合、演算を行なっていないCPUコアへの電源供給を停止するとよい。
【0023】
また、上記請求項8〜13のいずれかに記載の構成において、請求項14に記載の発明のように、制御装置は、複数のCPUを有して構成されており、省エネモードにて動作する場合、演算を行なっているCPUの動作クロックを低下させるとよい。あるいは、請求項15に記載の発明のように、制御装置は、複数のCPUを有して構成されており、省エネモードにて動作する場合、演算を行なっていないCPUへの電源供給を停止するとよい。
【0024】
また、請求項8〜15のいずれかに記載の構成において、請求項16に記載の発明のように、内蔵メモリは、複数のメモリセルからなり、制御装置は、省エネモードにて動作する場合、複数のメモリセルに記憶されているプログラムの記憶領域及びこのプログラムが使用する使用領域を再配置し、CPUが演算を行なう際に必要でないプログラムの記憶領域及びこのプログラムが使用する使用領域が配置されたメモリセルへの電源供給を停止することとしてもよい。
【0025】
また、請求項1〜16のいずれかに記載の構成において、請求項17に記載の発明のように、表示装置は、バックライトを有する液晶ディスプレイであり、制御装置は、表示装置に省エネ画像を表示させる場合におけるバックライトの輝度を、表示装置に通常画像を表示させる場合におけるバックライトの輝度よりも低下させることとしてもよい。これにより、当該車載ナビゲーションシステムの消費電力の低減を図ることができる。
【0026】
上記目的を達成するための請求項18に記載の発明は、上記請求項1〜17のいずれかに記載の車載ナビゲーションシステムに用いられる制御装置である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る車載ナビゲーションシステム及び制御装置の一実施の形態について、全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態によって実行されるモード移行処理について、その処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本実施の形態が省エネモードでの動作時において実行される表示処理について、その処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本実施の形態の変形例について、全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る車載ナビゲーションシステム及び制御装置の一実施の形態について、図1〜図3を参照して説明する。なお、当該車載ナビゲーションシステム1は、ハイブリッド自動車あるいは電気自動車等の図示しない車両に搭載されており、通常モード及びこの通常モードよりも低い消費電力にて動作する省エネモードのいずれのモードにて動作するか決定し、その決定したモードに応じた態様で動作することで、当該車載ナビゲーションシステム1を搭載する車両の航続距離を伸ばそうとしている。
【0029】
図1に示されるように、車載ナビゲーションシステム1は、記憶装置10、GPS信号受信機20、操作入力器30、ディスプレイ40、音声出力装置50、及び制御装置60を備えて構成されている。
【0030】
記憶装置10は、例えばハードディスクドライブ装置、DVD(digital versatile disc)装置、CD(compact disc)装置、フラッシュメモリ等によって構成されており、地図情報やプログラム等が記憶されている。記憶装置10は、制御装置60に接続されており、この制御装置60によって地図情報及びプログラムが適宜読み出される。
【0031】
GPS信号受信機20は、図示しないGPSアンテナを有して構成されており、これも図示しない複数のGPS衛星から発せられるGPS信号を受信する。GPS信号受信機20は、制御装置60に接続されており、この受信したGPS信号を制御装置60に出力する。
【0032】
操作入力器30は、例えばタッチパネルや音声入力装置等の適宜の入力装置にて構成されており、制御装置60に接続されている。当該車載ナビゲーションシステム1のユーザは、この操作入力器30を操作することで出発地及び目的地を制御装置60へ入力することができる。
【0033】
ディスプレイ40は、例えばバックライトを有する液晶ディスプレイによって構成されており、制御装置60に接続されている。ディスプレイ40は、制御装置60から画像が入力されると、その入力された画像を画面表示する。なお、このディスプレイ40が特許請求の範囲の表示装置に相当する。
【0034】
音声出力装置50は、例えばスピーカ等によって構成されており、制御装置60に接続されている。制御装置60は、この音声出力装置50から音声案内あるいは警告音を出力してユーザに経路を案内する。
【0035】
以下、制御装置60の構成及び機能について説明する。制御装置60は、公知のCPU601及び公知のDRAMからなる内蔵メモリ602を有して構成される通常のコンピュータであり、そのCPU601が内蔵メモリ602に記憶されているプログラムを実行することによって各種機能を実現している。また、制御装置60は、グラフィックスチップ603、表示コントローラ604、スケーラ605、及びメモリコントローラ606を有して構成されている。
【0036】
詳しくは、CPU601は、処理能力が同等の「3つ」のCPUコア601a〜601cを有して構成されており、現在地の検出、目的地までの経路探索、目的地までの経路案内、及び画像の描画に係る演算を行なう。なお、本実施の形態では、CPU601は、「3つ」のCPUコア601a〜601cを有して構成されているが、CPU601を構成するCPUコアの数については任意である。
【0037】
CPU601は、メモリコントローラ606を介して、内蔵メモリ602及び記憶装置10に接続されている(図1では、図示の便宜上、接続されていない)。CPU601は、あらかじめ、記憶装置10に記憶されている上記演算を行なうためのプログラムを読み出し、その読み出したプログラムを内蔵メモリ602に記憶しておく。そして、CPU601は、内蔵メモリ602に記憶されているプログラムを読み出し、その読み出したプログラムを実行することで、次のように動作する。
【0038】
具体的には、CPU601は、記憶装置10及びGPS信号受信機20に接続されている(図1では、図示の便宜上、接続されていない)。CPU601は、GPS信号受信機20によって受信されるGPS信号を取得するとともに記憶装置10に記憶されている地図情報を読み出し、これらGPS信号及び地図情報を利用して車両の現在地を検出する。なお、CPU601は、この車両の現在地の検出において、当該車載ナビゲーションシステム1を搭載する車両の走行軌跡と地図情報とに基づいて周知のマップマッチングを実行することで、GPS信号に基づいて決定する現在地の誤差を補正する。
【0039】
また、CPU601は、操作入力器30にも接続されている(図1では、図示の便宜上、接続されていない)。CPU601は、操作入力器30から入力された出発地及び目的地に基づいて案内経路上の出発地及び目的地をそれぞれ設定する。なお、CPU601は、操作入力器30から入力される出発地及び目的地に限らず、検出した車両の現在地を経路案内上の出発地に設定してもよく、車両の現在地及び目的地の履歴から今回の目的地を推定してその推定した目的地を案内経路上の目的地に設定してもよい。
【0040】
また、CPU601は、出発地及び目的地を設定すると、これら設定した出発地情報及び目的地情報並びに記憶装置10から取得した地図情報を利用して、車両の出発地から目的地までの案内経路を探索する。
【0041】
内蔵メモリ602は、記憶容量が同等の「2つ」のメモリセル602a及び602bを有して構成されている。既述したように、CPU601は、あらかじめ、記憶装置10に記憶されているプログラムを読み出し、その読み出したプログラムを内蔵メモリ602に記憶しておくことから、内蔵メモリ602にはプログラムが一時的に記憶される。また、内蔵メモリ602には、CPU601がプログラムを実行する際に必要となる情報が記憶されるワークメモリ領域やグラフィックスチップ603によって描画された画像が記憶されるVRAM領域が確保される。なお、本実施の形態では、内蔵メモリ602は、「2つ」のメモリセル602a及び602bを有して構成されているが、内蔵メモリ602が有するメモリセルの数については任意である。
【0042】
グラフィックスチップ603は、メモリコントローラ606を介して、CPU601、内蔵メモリ602、表示コントローラ604、及び記憶装置10に接続されており、画像の描画に係る演算を専門に行なう。
【0043】
詳しくは、グラフィックスチップ603は、CPU601から後述する動作モードについての情報及び地図画像の描画指示が与えられると、まず、CPU601によって探索された経路を案内するのに必要な地図情報を記憶装置10から読み出す。そして、グラフィックスチップ603は、通常モードにて動作する場合、読み出した地図情報を用いてVGAサイズの地図画像である通常画像を描画するとともに、この通常画像を例えば「5[FPS]」の更新周期(以下、通常モード時更新周期とも記載)にて繰り返し描画する。一方、グラフィックスチップ603は、省エネモードにて動作する場合、通常モードにて動作する場合よりも動作クロックを低下させた上で、読み出した地図情報を用いてEGAサイズの地図画像である省エネ画像を描画するとともに、この省エネ画像を例えば「1[FPS]」の更新周期(以下、省エネモード時更新周期とも記載)にて繰り返し描画する。グラフィックチップ403は、通常画像あるいは省エネ画像を描画すると、その描画した画像を内蔵メモリ602に記憶する。このようにして、グラフィックスチップ603は、省エネ画像を通常画像の画素数よりも少ない画素数で描画する。
【0044】
なお、本実施の形態では、VGAサイズの画像とは、ディスプレイ40の表示画面上において、横方向に「800[ピクセル]」、且つ、縦方向に「480[ピクセル]」からなる矩形状の画像であり、EGAサイズの画像とは、ディスプレイ40の表示画面上において、横方向に「480[ピクセル]」、且つ、縦方向に「234[ピクセル]」からなる矩形状の画像である。したがって、EGAサイズの画像の情報量はVGAサイズの画像の情報量の「1/4」となる。また、ピクセルは画素数を意味する。
【0045】
また、本実施の形態では、通常モード時更新周期を「5[FPS]」とし、省エネモード時更新周期を「1[FPS]」としたが、これら更新周期に限らない。省エネモード時更新周期を通常モード時更新周期よりも長くすればよい。
【0046】
表示コントローラ604は、メモリコントローラ606を介してCPU601及び内蔵メモリ602に接続されているとともに、スケーラ605を介してディスプレイ40に接続されている(図1では、図示の便宜上、接続されていない)。なお、スケーラ605は、表示コントローラ604から入力された省エネ画像のサイズを、通常画像のディスプレイ40における表示サイズと同一の表示サイズに引き伸ばす公知のスケーラである。
【0047】
表示コントローラ604は、CPU601から後述の動作モードについての情報及び地図画像の表示指示が与えられると、グラフィックスチップ603によって描画された地図画像を内蔵メモリ602から読み出し、ディスプレイ40に次のように表示させる。すなわち、表示コントローラ604は、CPU601が通常モードにて動作する場合、メモリコントローラ606を介して、VGAサイズの通常画像を内蔵メモリ602から読み出した後、スケーラ605を介して、その読み出した通常画像をそのままのVGAサイズにてディスプレイ40に表示させる。一方、CPU601が省エネモードにて動作する場合、メモリコントローラ606を介して、EGAサイズの省エネ画像を内蔵メモリ602から読み出した後、スケーラ605を介して、その読み出した省エネ画像を通常画像と同一のVGAサイズに引き伸ばしてディスプレイ40に表示させる。このようにして、省エネ画像の解像度を通常画像の解像度よりも低くする。
【0048】
ところで、当該車載ナビゲーションシステム1が目的地までの経路を案内していない間に一定期間以上操作されていない場合、ユーザによる操作頻度が低いことから、高精細で綺麗な画像をディスプレイ40に表示する必要も、画像の更新を高頻度に行なう必要もないことを意味する。また、当該車載ナビゲーションシステム1が目的地までの経路を案内している間に車両が一定距離以上道なりに走行する場合、目的地までの経路を案内する必要性に乏しいことから、高精細で綺麗な画像をディスプレイ40に表示する必要も、画像の更新を高頻度に行なう必要もないことを意味する。
【0049】
そこで、CPU601は、上記モード移行条件が成立したと判断した場合、通常モードから省エネモードへ移行する。そして、CPU601は、省エネモードにて動作する場合、当該省エネモードにて動作する間にディスプレイ40に表示させる画像である省エネ画像の画質を、通常モードにて動作する間にディスプレイ40に表示させる画像である通常画像の画質よりも低下させる。
【0050】
また、画像の画質を低下させることにより、描画情報量が低減され、演算負荷が低減されることから、制御装置60は、省エネモードにて動作する場合、グラフィックスチップ603の動作クロックを低下させる。
【0051】
詳しくは、CPU601は、通常モードから省エネモードへ移行すると、グラフィックスチップ603の動作クロックを、通常モード時更新周期にて通常画像を繰り返し更新可能な動作クロックから省エネモード時更新周期にて省エネ画像を繰り返し更新可能な動作クロックへ低下させる。
【0052】
また、画像の画質を低下させることにより、描画情報量が低減され、演算負荷が低減されることから、制御装置60は、省エネモードにて動作する場合、CPUコア601a〜601cのうち、演算を行なっているCPUコアの動作クロックを低下させたり、演算を行なっていないCPUコアへの電源供給を停止する。
【0053】
詳しくは、CPUコア601a〜601cすべてを動作させなければ省エネモード時更新周期にて省エネ画像を繰り返し描画することができないほどの演算負荷である場合、CPUコア601a〜601cの動作クロックを全体的に低下させる。また、CPUコア601a〜601cのうち2つのCPUコアを動作させれば省エネモード時更新周期にて省エネ画像を繰り返し描画することができるほどの演算負荷である場合、残り1つのCPUコアへの電源供給を停止する。また、CPUコア601a〜601cのうち1つのCPUコアを動作させれば省エネモード時更新周期にて省エネ画像を繰り返し描画することができる演算負荷である場合、残り2つのCPUコアへの電源供給を停止する。その上でさらに余力がある場合、動作させているCPUコアの動作クロックを低下させる。
【0054】
さらに、画像の画質を低下させることにより、描画情報量が低減され、演算負荷が低減されることから、制御装置60は、省エネモードにて動作する場合、複数のメモリセルに記憶されているプログラムの記憶領域及びこのプログラムが使用する使用領域を再配置し、CPU601が演算を行なう際に必要でないプログラムの記憶領域及びこのプログラムが使用する使用領域が配置されたメモリセルへの電源供給を停止する。
【0055】
詳しくは、グラフィックスチップ603によって描画される画像サイズが小さくなることから、メモリセル602a及び602bに確保されるVRAM領域が小さくなる。そこで、制御装置60は、メモリセル602a及び602bに記憶されているプログラムの記憶領域及びこのプログラムが使用するワークメモリ領域を、メモリセル602a及び602bのいずれか一方にのみ再配置し、CPU601が演算を行なう際に必要でないプログラムの記憶領域及びこのプログラムが使用する使用領域が配置された他方のメモリセルへの電源供給を停止する。
【0056】
またさらに、制御装置60は、ディスプレイ40に省エネ画像を表示させる場合におけるバックライトの輝度を、ディスプレイ40に通常画像を表示させる場合におけるバックライトの輝度よりも低下させる。
【0057】
以上のように構成された車載ナビゲーションシステム1は、図2に示すモード移行処理S1及び図3に示す省エネモード処理S40を実行する。なお、制御装置60は、車載ナビゲーションシステム1は、当該システム1を搭載する車両のイグニッションスイッチ(図示略)がオン操作されると、通常モードにて動作開始するとともに、このモード移行処理S1を実行開始する。
【0058】
モード移行処理S1が実行開始されると、制御装置60は、ステップS10の判断処理として、目的地までの経路を案内中か否かを判断する。ここで、目的地までの経路が案内中でないと判断された場合(ステップS10の判断処理で「No」)、制御装置60は、続くステップS20の判断処理として、一定期間操作がないか否かを判断する。詳しくは、制御装置60は、目的地までの経路が案内されていない間、当該車載ナビゲーションシステム1が最後に操作された時点を基準とした経過時間が一定期間(例えば「10分間」)に達したか否かを判断する。
【0059】
上記経過時間が一定期間に達したと判断されなかった場合(ステップS20の判断処理で「No」)、制御装置60は、先のステップS10の判断処理を再度実行する。一方、上記経過時間が一定期間に達したと判断された場合(ステップS20の判断処理で「Yes」)、ユーザによる操作頻度が低いことから、高精細で綺麗な画像をディスプレイ40に表示する必要も、画像の更新を高頻度に行なう必要もないことを意味する。そのため、制御装置60は、続くステップS30の処理として「省エネモード」に移行する。なお、本実施の形態では、上記一定期間として「10分間」を採用するが、「10分間」に限らず、「5分間」や「15分間」等を採用してもよく、適宜変更可能である。
【0060】
また、目的地までの経路を案内中であると判断された場合(ステップS10の判断処理で「Yes」)、制御装置60は、続くステップS40の判断処理として、道なり案内であるか否かを判断する。詳しくは、制御装置60は、車両が高速道路を走行しているか否かを判断したり、現在地から案内経路上の進行方向前方の一定距離(「5[km]」等)内に右左折が含まれているか否かを判断したりする。
【0061】
ここで、道なり案内であると判断されなかった場合(ステップS40の判断処理で「No」)、制御装置60は、先のステップS10の判断処理を再度実行する。一方、道なり案内であると判断された場合(ステップS40の判断処理で「Yes」)、目的地までの経路を案内する必要性に乏しいことから、高精細で綺麗な画像をディスプレイ40に表示する必要も、画像の更新を高頻度に行なう必要もないことを意味する。そのため、制御装置60は、続くステップS30の処理として「省エネモード」に移行する。
【0062】
なお、CPU601は、通常モードから省エネモードへ移行する際、省エネモードへ移行する旨を案内をする音声を音声出力装置50から出力するとともに、省エネモードへ移行する旨を示す画像を描画してその描画した画像をディスプレイ40に表示する。このようにして、CPU601は、省エネモードへ移行する旨を報知する。
【0063】
省エネモードに移行すると、CPU601は、ステップS41の処理として、不要なプログラムを停止し、続くステップS42の処理として、不要なプログラムをアンロードし、続くステップS43の処理として、必要なプログラムを再配置する。
【0064】
具体的には、まず、CPU601は、例えば通常画像を描画するためのプログラム等の省エネモードにて動作する際に不要なプログラムの実行を停止し、そのプログラムを内蔵メモリ602から消去することにより、内蔵メモリ602に空き領域を設ける。また、CPU601は、内蔵メモリ602に確保されていたVRAM領域が小さくて済むことから、内蔵メモリ602に空き領域を設ける。次に、CPU601は、例えば省エネ画像を描画するためのプログラム等の省エネモードにて動作する際に必要なプログラムを記憶装置10からロードして、内蔵メモリ602の連続した領域に配置(記憶)する。この際、動作モードに関係なく必要なプログラムが内蔵メモリ602にばらばらに記憶されている場合には、内蔵メモリ602の連続した領域に再配置する。
【0065】
上記ステップS41〜S43の一連の処理を実行することにより、内蔵メモリ602を構成するメモリセル602a及び602bのいずれか一方が空き領域となることから、CPU601は、続くステップS44の処理として、その空き領域となったメモリセルへの電源供給を停止する。
【0066】
S44の処理を実行すると、CPU601は、続くステップS45の処理及びステップS46の処理を実行することによって、ディスプレイ40に表示する画像の解像度を低下させる。詳しくは、CPU601は、グラフィックスチップ603に、VGAサイズの通常画像を描画させていたところ、EGAサイズの省エネ画像を描画させる(ステップS45の処理)。
【0067】
また、CPU601は、上記ステップS45の処理において、ディスプレイ40に表示する画像の更新周期を長くさせる。詳しくは、CPU601は、グラフィックスチップ603に、通常モード時更新周期にて通常画像を繰り返し描画させていたところ、省エネモード時更新周期にて省エネ画像を繰り返し描画させる。そして、CPU601は、スケーラ605を用いて、EGAサイズの省エネ画像をVGAサイズに引き伸ばして拡大した上で、ディスプレイ40に表示する(ステップS46の処理)。
【0068】
上記ステップS45及びS46の処理を実行することにより、グラフィックスチップ603が処理する描画情報量が低減されることから、CPU601は、グラフィックスチップ603の動作クロックを低下させ、ステップS47の処理として、CPUコア601a〜601cのうち、演算を行なっていないCPUコアへの電源供給を停止させ、ステップS48の処理として、演算を行なっているCPUコアの動作クロックを低下させる。
【0069】
ステップS47及びS48の処理を実行すると、CPU601は、続くステップS49の処理として、ディスプレイ40のバックライトの輝度を低下させる。
【0070】
以上説明した本実施の形態の車載ナビゲーションシステム1及び制御装置60によれば、次のような効果が得られる。
【0071】
上記実施の形態では、制御装置60は、通常モードから省エネモードに移行すると、ディスプレイ40に表示する省エネ画像の解像度を通常画像の解像度よりも低くするとともに、ディスプレイ40に表示する省エネ画像の更新周期を通常画像の更新周期よりも長くすることとした。これにより、画像を描画するための描画情報量が低減され、制御装置60への演算負荷が低減されることから、当該システム1の消費電力の低減を図ることができるようになる。また、省エネモードにて動作する場合には省エネ画像が表示装置に表示されるため、画像を見たくても見れないといった状況がそもそも生じず、画像を見るべく通常モードに復帰させるために操作しなければならないといった手間がないことから、使い勝手を向上することができるようになる。したがって、消費電力の低減を図りながらも、使い勝手を向上することができるようになる。
【0072】
また、上記実施の形態では、制御装置60は、通常モードから省エネモードに移行すると、スケーラ605によって省エネ画像を通常画像と同一のVGAサイズに引き伸ばしてディスプレイ40に表示させることとした。これにより、制御装置60に係る演算負荷を低減した上で、省エネ画像を通常画像と同一のサイズにてディスプレイ40に表示することができるようになる。
【0073】
また、上記実施の形態では、制御装置60は、通常モードから省エネモードへ移行すると、グラフィックスチップ603の動作クロックを、通常モードでの更新周期にて通常画像を繰り返し更新可能な動作クロックから省エネモードでの更新周期にて省エネ画像を繰り返し更新可能な動作クロックへ低下させることとした。これにより、車載ナビゲーションシステムの消費電力を低減することができるようになる。
【0074】
また、上記実施の形態では、制御装置60は、通常モードから省エネモードへ移行すると、CPUコア601a〜601cのうち、演算を行なっていないCPUコアへの電源供給を停止させるとともに、演算を行なっているCPUコアの動作クロックを低下させることとした。これにより、車載ナビゲーションシステムの消費電力を低減することができるようになる。
【0075】
さらに、上記実施の形態では、制御装置60は、通常モードから省エネモードへ移行すると、複数のメモリセルに記憶されているプログラムの記憶領域及びこのプログラムが使用する使用領域を再配置し、CPU601が演算を行なう際に必要でないプログラムの記憶領域及びこのプログラムが使用する使用領域が配置されたメモリセルへの電源供給を停止することとした。これにより、車載ナビゲーションシステムの消費電力を低減することができるようになる。
【0076】
またさらに、上記実施の携帯では、制御装置60は、ディスプレイ40に省エネ画像を表示させる場合におけるバックライトの輝度を、ディスプレイ40に通常画像を表示させる場合におけるバックライトの輝度よりも低下させることとした。これにより、車載ナビゲーションシステムの消費電力を低減することができるようになる。
【0077】
なお、本発明に係る車載ナビゲーションシステム1及び制御装置60は、上記実施の形態にて例示した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々に変形して実施することが可能である。すなわち、上記実施の形態を適宜変更した例えば次の形態として実施することもできる。
【0078】
上記実施の形態では、内蔵メモリ602は、記憶容量が同等のメモリセル602a及び602bを有して構成されていたが、これに限らない。内蔵メモリ602は、記憶容量が異なるメモリセルを含む複数のメモリセルを有して構成されていてもよい。また、記憶容量が異なるメモリセルを含む複数のメモリセルを有して構成されている場合には、CPU601は、通常モードから省エネモードに移行すると、省エネモードにて動作するに当たり必要な記憶容量(プログラム、ワークメモリ領域、省エネ画像のVRAM領域)を有するメモリセル以外のメモリセルへの電源供給を停止するとよい。
【0079】
上記実施の形態では、CPU601は、処理能力が同等のCPUコア601a〜601cを有して構成されていたが、これに限らない。CPU601は、処理能力が異なるCPUコアを含む複数のCPUコアを有して構成されていてもよい。また、処理能力が異なるCPUコアを含む複数のCPUコアを有して構成されている場合には、CPU601は、通常モードから省エネモードに移行すると、低性能側のCPUコアを優先して演算を行なわせ、その低性能側のCPUコアの動作クロックを低下させるとともに、演算を行なっていない高性能側のCPUコアへの電源供給を停止するとよい。なお、CPU601は、演算を行なっている低性能側のCPUコアの動作クロックを低下させること、及び、演算を行なっていない高性能側のCPUコアへの電源供給を停止することの双方を実行しなくとも、少なくともいずれか一方のみを実行することとしてもよい。
【0080】
上記実施の形態では、制御装置60は、単一のCPU601を有して構成されていたが、これに限らない。他に例えば、図1に対応する図として図4に示すように、車載ナビゲーションシステム1aの制御装置61は、「2つ」の制御ユニット60a及び60bを有して構成されることにより、複数のCPU601を有して構成されることとしてもよい。詳しくは、図4に示されるように、制御ユニット60a及び60bは、先の図1に示した制御装置60に相当し、これら制御ユニット60a及び60bは通信チップ607をそれぞれ有している。通信チップ607は、メモリコントローラ606を介してCPU601に接続されており、CPU601は、これらメモリコントローラ606及び通信チップ607を介して互いに通信可能に接続されている。また、制御装置61は、制御ユニット60a及び60b並びにディスプレイ40間に切替スイッチを有している。なお、制御ユニット60aのCPU601は、制御ユニット60bのCPU61よりも高性能であるものとする。
【0081】
この場合、制御装置61は、通常モードから省エネモードに移行すると、低性能側の制御ユニット61bを優先して演算を行なわせ、その制御ユニット61bが有するCPU601の動作クロックを低下させるとともに、演算を行なっていない高性能側の制御ユニット60a(ひいてはCPU601)への電源供給を停止するとよい。この際、制御装置61は、切替スイッチを制御ユニット61b側に切り替え、ディスプレイ40には制御ユニット61bによって描画された省エネ画像を表示する。なお、制御装置61は、演算を行なっている低性能側の制御ユニット60bの動作クロックを低下させること、及び、演算を行なっていない高性能側の制御ユニット60aへの電源供給を停止することの双方を実行しなくとも、少なくともいずれか一方のみを実行することとしてもよい。
【0082】
上記実施の形態では、制御装置60は、通常モードから省エネモードに移行すると、ディスプレイ40に表示する省エネ画像の解像度を通常画像の解像度よりも低くするとともに、ディスプレイ40に表示する省エネ画像の更新周期を通常画像の更新周期よりも長くしていたが、これに限らない。
【0083】
他に例えば、制御装置60は、通常モードから省エネモードに移行すると、省エネ画像に含まれる描画物の個数を通常画像に含まれる描画物の個数よりも少なくしてもよい。こうした描画物としては、例えばコンビニエンスストアを示すマークや細い道路等がある。このように、画像の描画情報量として、ディスプレイ40に表示される画像に含まれる描画物の多寡を含め、制御装置60は、省エネ画像に含まれる描画物の個数を通常画像に含まれる描画物の個数よりも少なくすることにより、制御装置60の画像描画に係る演算負荷を低減することができるようになる。制御装置60の演算負荷が低減することから、制御装置60の動作クロックを低下させる等することができるようになり、ひいては、車載ナビゲーションシステム1の消費電力の低減を図ることができるようになる。
【0084】
また他に例えば、制御装置60は、通常モードから省エネモードに移行すると、省エネ画像に含まれる描画物の見た目の質感を通常画像に含まれる見た目の質感よりも低下させてもよい。こうした描画物の見た目の質感を向上させる処理として、例えばアンチエイリアス処理やテクスチャマッピング処理等がある。このように、描画情報量として、ディスプレイ40に表示される画像に含まれる描画物の見た目の質感を含め、制御装置60は、省エネ画像に含まれる描画物の見た目の質感を通常画像に含まれる描画物の見た目の質感よりも低下させる(アンチエイリアス処理やテクスチャマッピング等を行なわない)ことにより、制御装置60の画像描画に係る演算負荷を低減することができるようになる。制御装置60の演算負荷が低減することから、制御装置60の動作クロックを低下させる等することができるようになり、ひいては、車載ナビゲーションシステム1の消費電力の低減を図ることができるようになる。
【符号の説明】
【0085】
1…車載ナビゲーションシステム、10…記憶装置、20…GPS信号受信機、30…操作入力器、40…ディスプレイ、50…音声出力装置、60…制御装置、601…CPU、601a〜601c…CPUコア、602…内蔵メモリ、602a〜602b…メモリセル、603…グラフィックスチップ、604…表示コントローラ、605…スケーラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報を記憶する記憶装置と、画像を表示する表示装置と、通常モード及びこの通常モードよりも低い消費電力にて動作する省エネモードのいずれのモードにて動作するか決定し、その決定したモードに応じた態様で動作する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記通常モードにて動作する場合には、前記地図情報に基づいて画像を描画し、描画した画像を前記表示装置に表示させることにより、目的地までの経路を案内する車載ナビゲーションシステムであって、
前記制御装置は、前記省エネモードにて動作する場合には、当該省エネモードにて動作する間に前記表示装置に表示させる画像である省エネ画像の描画情報量を、前記通常モードにて動作する間に前記表示装置に表示させる画像である通常画像の描画情報量よりも少なくすることを特徴とする車載ナビゲーションシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の車載ナビゲーションシステムにおいて、
前記描画情報量には、画像の画質が含まれていることを特徴とする車載ナビゲーションシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の車載ナビゲーションシステムにおいて、
前記画質には、前記表示装置に表示される画像の解像度が含まれており、
前記制御装置は、前記省エネ画像の解像度を前記通常画像の解像度よりも低くすることを特徴とする車載ナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項2または3に記載の車載ナビゲーションシステムにおいて、
前記画質には、前記表示装置に表示される画像の更新周期が含まれており、
前記制御装置は、前記省エネ画像の更新周期を前記通常画像の更新周期よりも長くすることを特徴とする車載ナビゲーションシステム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車載ナビゲーションシステムにおいて、
前記描画情報量には、前記表示装置に表示される画像に含まれる描画物の多寡が含まれており、
前記制御装置は、前記省エネ画像に含まれる描画物の個数を前記通常画像に含まれる描画物の個数よりも少なくすることを特徴とする車載ナビゲーションシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の車載ナビゲーションシステムにおいて、
前記描画情報量には、前記表示装置に表示される画像に含まれる描画物の見た目の質感が含まれており、
前記制御装置は、前記省エネ画像に含まれる描画物の見た目の質感を前記通常画像に含まれる描画物の見た目の質感よりも低下させることを特徴とする車載ナビゲーションシステム。
【請求項7】
請求項3に記載の車載ナビゲーションシステムにおいて、
前記制御装置は、前記省エネ画像を前記通常画像の画素数よりも少ない画素数で描画するものであり、
前記省エネ画像を前記通常画像の前記表示装置における表示サイズと同一の表示サイズに引き伸ばすスケーラをさらに備えることを特徴とする車載ナビゲーションシステム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の車載ナビゲーションシステムにおいて、
前記制御装置は、現在地の検出、目的地までの経路探索、目的地までの経路案内、及び画像の描画に係る演算を行なうCPUと、このCPUが前記演算を行なう際に必要となるプログラム及び情報を記憶する内蔵メモリとを有して構成されていることを特徴とする車載ナビゲーションシステム。
【請求項9】
請求項8に記載の車載ナビゲーションシステムにおいて、
前記制御装置は、画像の描画に係る演算を専門に行なうグラフィックスチップをさらに有して構成されていることをと特徴とする車載ナビゲーションシステム。
【請求項10】
請求項9に記載の車載ナビゲーションシステムにおいて、
前記制御装置は、前記省エネモードにて動作する場合、前記グラフィックチップの動作クロックを低下させることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか一項に記載の車載ナビゲーションシステムにおいて、
前記制御装置は、前記省エネモードにて動作する場合、前記グラフィックスチップへの電源供給を停止することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の車載ナビゲーションシステムにおいて、
前記CPUは、複数のCPUコアからなり、
前記制御装置は、前記省エネモードにて動作する場合、演算を行なっているCPUコアの動作クロックを低下させることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか一項に記載の車載ナビゲーションシステムにおいて、
前記CPUは、複数のCPUコアからなり、
前記制御装置は、前記省エネモードにて動作する場合、演算を行なっていないCPUコアへの電源供給を停止することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項14】
請求項8〜13のいずれか一項に記載の車載ナビゲーションシステムにおいて、
前記制御装置は、複数のCPUを有して構成されており、前記省エネモードにて動作する場合、演算を行なっているCPUの動作クロックを低下させることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項15】
請求項8〜14のいずれか一項に記載の車載ナビゲーションシステムにおいて、
前記制御装置は、複数のCPUを有して構成されており、前記省エネモードにて動作する場合、演算を行なっていないCPUへの電源供給を停止することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項16】
請求項8〜15のいずれか一項に記載の車載ナビゲーションシステムにおいて、
前記内蔵メモリは、複数のメモリセルからなり、
前記制御装置は、前記省エネモードにて動作する場合、前記複数のメモリセルに記憶されているプログラムの記憶領域及びこのプログラムが使用する使用領域を再配置し、前記CPUが前記演算を行なう際に必要でないプログラムの記憶領域及びこのプログラムが使用する使用領域が配置されたメモリセルへの電源供給を停止することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の車載ナビゲーションシステムにおいて、
前記表示装置は、バックライトを有する液晶ディスプレイであり、
前記制御装置は、前記表示装置に前記省エネ画像を表示させる場合における前記バックライトの輝度を、前記表示装置に前記通常画像を表示させる場合における前記バックライトの輝度よりも低下させることを特徴とする車載ナビゲーションシステム。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の車載ナビゲーションシステムに用いられる制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−227305(P2011−227305A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97215(P2010−97215)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】