説明

車載レーダ装置

【課題】近距離の目標を検知でき、演算量を増やすことなく、遠距離の目標も検知できる車載レーダ装置を得る。
【解決手段】送信信号の周波数を三角波により周波数変調する周波数変調手段81と、周波数変調された送信信号をパルス化して送信パルスとして目標83に送信する送信手段82と、反射した信号を受信パルスとして受信し、周波数変調された送信信号の一部と受信パルスとの周波数差よりビート信号を生成する受信手段84と、送信パルスの送信タイミングを基にして、受信パルスのサンプリングタイミングを定めるレンジゲートを設定するレンジゲート設定手段88と、設定されたレンジゲート毎に、ビート信号をサンプリングするサンプリング手段85と、サンプリングされたビート信号に基づいて目標83までの距離と相対速度を算出する距離・相対速度算出手段86と、自車速に応じて送信パルス幅とレンジゲート幅を変更する制御手段87とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、目標までの距離と相対速度を求めるレーダ装置において、走行環境に応じて、パルス幅及びレンジゲート(Range Gate)間隔(幅)を変更することにより、演算量を増加させることなく近距離精度と遠距離性能を両立することができる車載レーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載され、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC:Adoptive Cruise Control)や衝突軽減制動装置等に用いられるレーダ装置の1つとして、目標までの距離と相対速度を同時に検出可能な周波数変調連続波(FMCW:Frequency Modulated Continuous Wave)方式のレーダ装置(以下、FMCWレーダ装置と呼ぶ)が知られている。なお、FMCW方式とは、レーダの発信方式の1つであり、送信波と受信波(送信波が目標で反射された反射波)の周波数の差を計算することにより対象物(目標)までの距離や速度を計算できる。
【0003】
このFMCWレーダ装置は、連続波(CW:Continuous Wave)の送信信号にFM変調を加えたものである。発振器の周波数を三角波で変調し、送信アンテナから外部に放射する。その送信信号が目標で反射されて受信アンテナで受信する信号は距離による時間遅れと、相対速度に相当する周波数偏移を受ける。この周波数偏移を受けた受信信号を送信信号とミキサによりミキシングすると、ビート信号が得られる。変調サイクル毎に、周波数上昇区間のビート周波数と周波数下降区間のビート周波数を別々に測定すれば、目標までの距離と相対速度を求めることができる。なお、上述した技術は、FMCWレーダ装置において一般的なものである。
【0004】
上述したFMCWレーダ装置においては、目標が複数存在する場合、ビート信号が複数の目標それぞれに対して発生し、各ビート信号と各目標との対応関係を知ることが困難となる。そこで、送信信号として周波数変調された信号をパルス化して送信パルス信号とし、送信パルス信号の送信タイミングを基にして一定時間ごとに受信パルス信号のサンプリングを行うことで複数のビート信号の対応が容易となるレーダ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1記載のレーダ装置では、送信タイミングから一定時間毎にサンプリングタイミングを行うレンジゲートを設け、レンジゲート毎に目標の検出を行う。各レンジゲートが送信タイミングからどれだけ時間経過しているかによって、どの距離範囲の目標からの反射波によるビート信号であるか、ある程度絞り込めるため誤検知が低減される。また、計測用データのはじめから終わりまでのサンプリングに要した時間を計測時間とした時、計測時間をレンジゲート毎に変更することで、目標までの距離に応じた最適な距離分解能、相対速度分解能を設定でき、遠近両用のレーダを実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−150707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1記載のレーダ装置のような構成において、近距離の検知精度を向上させるためには、レンジゲート幅を小さくする(即ち、サンプリングタイミング間隔を小さくする)必要がある。レンジゲート幅を小さくすることにより、各レンジゲートにおいて対象としている距離範囲が狭くなることで、どの距離範囲の目標からの反射波によるビート信号であるか絞り込みやすくなり、複数のビート信号から所望の信号を特定しやすくなるためである。また、受信波強度は距離の4乗に反比例するため、レンジゲート幅を小さくすれば、特に近距離において信号処理が必要とするダイナミックレンジが小さくて済む。このことにより、信号処理において必要なビット数が減り、演算器の小型化につながる。もしくは、信号処理において、積分や増幅を実行しやすくなるので、信号処理におけるS/Nが増加し、目標検出精度が向上する。
【0008】
近距離検知精度を保ったまま、遠距離の目標を検知しようとすると、レンジゲート数を増加させる必要がある。しかし、レンジゲート数の増加は一般的に演算量とメモリの増加につながる。演算量が増えると、必要な演算器が増え、レーダの小型化、低価格化の妨げとなる。演算器数を増やさなければ、演算時間が増え、レーダの応答性が悪化する。演算の周波数を上げるとレーダの消費電力の増大、発熱量の増大につながる。メモリの増加もレーダの小型化、低価格化の妨げとなる。
【0009】
一方で、レンジゲート数を変えずに、遠距離の目標を検知しようとすると、レンジゲート幅を広くする必要があるが、このことは近距離検知精度を悪化させることになる。以上のことが遠近両用レーダの小型化、低価格化を困難にしていた。
【0010】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、近距離の検知精度を向上することができるとともに、演算量を増やすことなく、遠距離の目標も検知することができる車載レーダ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る車載レーダ装置は、送信信号の周波数を三角波により周波数変調する周波数変調手段と、周波数変調された送信信号をパルス化して送信パルスとして目標に送信する送信手段と、前記目標で反射した信号を受信パルスとして受信し、前記周波数変調された送信信号の一部と前記受信パルスとの周波数差よりビート信号を生成する受信手段と、前記送信パルスの送信タイミングを基にして、前記受信パルスのサンプリングタイミングを定めるレンジゲートを設定するレンジゲート設定手段と、設定されたレンジゲート毎に、前記ビート信号をサンプリングするサンプリング手段と、サンプリングされたビート信号に基づいて前記目標までの距離及び前記目標の相対速度を算出する距離・相対速度算出手段と、前記周波数変調手段、前記送信手段、及び前記レンジゲート設定手段を制御し、周波数変調のタイミングに合せて、車両速度検出手段から取得した自車速に応じて送信パルス幅及びレンジゲート幅を変更する制御手段とを設けるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る車載レーダ装置によれば、周波数変調のタイミングに合せて、送信パルス幅とサンプリングタイミングを定めるレンジゲート幅を変更する手段を設け、自車速に応じて送信パルス幅及びレンジゲート幅を変更することにより、近距離での検知精度を向上させながら、演算量を増加させることなく遠距離の目標も検知することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置の構成を示す図である。
【図2】この発明に係る車載レーダ装置の概念構成を示すブロック図である。
【図3A】この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図3B】この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図3C】この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図3D】この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図3E】この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置の動作の各タイミング説明するための図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置の信号処理部の動作を示すフローチャートである。
【図6A】この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置の送信パルス幅とレンジゲート幅の変更を説明するための図である。
【図6B】この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置の送信パルス幅とレンジゲート幅の変更を説明するための図である。
【図7A】この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置が2つの目標を検出する場合の概念図である。
【図7B】この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置が2つの目標を検出する場合の概念図である。
【図7C】この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置が2つの目標を検出する場合の概念図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置のレンジゲート幅と受信ダイナミックレンジの関係を示す図である。
【図9A】この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置の詳細な動作を示すフローチャートである。
【図9B】この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置の詳細な動作を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態3に係る車載レーダ装置の構成を示す図である。
【図11A】この発明の実施の形態3に係る車載レーダ装置の詳細な動作を示すフローチャートである。
【図11B】この発明の実施の形態3に係る車載レーダ装置の詳細な動作を示すフローチャートである。
【図12】この発明の実施の形態4に係る車載レーダ装置の動作の各タイミング説明するための図である。
【図13A】この発明の実施の形態4に係る車載レーダ装置の詳細な動作を示すフローチャートである。
【図13B】この発明の実施の形態4に係る車載レーダ装置の詳細な動作を示すフローチャートである。
【図14A】この発明の実施の形態5に係る車載レーダ装置の動作の各タイミング説明するための図である。
【図14B】この発明の実施の形態5に係る車載レーダ装置の動作の各タイミング説明するための図である。
【図15A】この発明の実施の形態5に係る車載レーダ装置の詳細な動作を示すフローチャートである。
【図15B】この発明の実施の形態5に係る車載レーダ装置の詳細な動作を示すフローチャートである。
【図16A】この発明の実施の形態6に係る車載レーダ装置の動作の各タイミング説明するための図である。
【図16B】この発明の実施の形態6に係る車載レーダ装置の動作の各タイミング説明するための図である。
【図17A】この発明の実施の形態6に係る車載レーダ装置のビート周波数の振る舞いを説明するための図である。
【図17B】この発明の実施の形態6に係る車載レーダ装置のビート周波数の振る舞いを説明するための図である。
【図18A】この発明の実施の形態6に係る車載レーダ装置のビート周波数の振る舞いを説明するための図である。
【図18B】この発明の実施の形態6に係る車載レーダ装置のビート周波数の振る舞いを説明するための図である。
【図19】この発明の実施の形態7に係る車載レーダ装置の構成を示す図である。
【図20】この発明の実施の形態7に係る車載レーダ装置のレンジゲート毎の計測用データと変調信号の関係を示す図である。
【図21】この発明の実施の形態7に係る車載レーダ装置の信号処理部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の車載レーダ装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0015】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置について図1から図9Bまでを参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置の構成を示す図である。なお、以降では、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0016】
図1において、この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置は、後述する電圧発生回路などを制御する制御部1と、三角波電圧を発生する電圧発生回路2と、周波数変調を行う電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)3と、送信電波を分配する分配器4と、端子a、bの間を切り替えるスイッチ5と、送受信アンテナ6と、ミキサ7と、バンドパスフィルタ8と、アンプ9と、受信パルス信号のサンプリングを行うアナログデジタル(A/D:Analog to Digital)変換器10と、サンプリングされた受信パルス信号を記憶するメモリ11と、目標までの距離と相対速度を算出する信号処理部12とが設けられている。
【0017】
なお、制御部1は、電圧発生回路2とスイッチ5を制御し、三角波による周波数変調と送受信パルスのタイミングを生成する。同時に、制御部1は、A/D変換器10を制御し、受信パルス信号をレンジゲート毎にサンプリングするタイミングを生成する。また、信号処理部12は、CPU(Central Processing Unit)、あるいはCPUとDSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、もしくはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構成されている。
【0018】
図2は、この発明に係る車載レーダ装置の概念構成を示すブロック図である。
【0019】
この発明に係るFMパルス方式のレーダ装置80は、送信信号の周波数を三角波により周波数変調する周波数変調手段81と、周波数変調された送信信号をパルス化して送信パルスとして目標83に送信する送信手段82と、目標83で反射した信号を受信パルスとして受信し、周波数変調された送信信号の一部と受信パルスとの周波数差よりビート信号を生成する受信手段84と、送信パルスの送信タイミングを基にして、受信パルスのサンプリングタイミングを定めるレンジゲートを設定するレンジゲート設定手段88と、設定されたレンジゲート毎に、ビート信号をサンプリングするサンプリング手段85と、サンプリングされたビート信号に基づいて目標83までの距離及び目標83の相対速度を算出する距離・相対速度算出手段86と、周波数変調手段81、送信手段82、及びレンジゲート設定手段88を制御し、周波数変調のタイミングに合せて、車両速度検出手段から取得した自車速に応じて送信パルス幅及びレンジゲート幅を変更する制御手段87とを設けたものである。
【0020】
図1に示した各構成について、図2に示した各構成との対応関係を説明する。電圧発生回路2と電圧制御発振器3は、周波数変調手段81を構成する。スイッチ5と送受信アンテナ6は、送信手段82を構成する。送受信アンテナ6、スイッチ5、分配器4、ミキサ7、バンドパスフィルタ8及びアンプ9は、受信手段84を構成する。また、A/D変換器10は、サンプリング手段85に相当する。メモリ11と信号処理部12は、距離・相対速度算出手段86を構成する。さらに、制御部1は、制御手段87とレンジゲート設定手段88を構成する。
【0021】
つぎに、この実施の形態1に係る車載レーダ装置の動作について図面を参照しながら説明する。
【0022】
図3A−3Eは、この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置の動作を示すタイミングチャートである。
【0023】
まず、制御部1によりタイミング等が制御された電圧発生回路2が、図3Aに示す「時間的に三角波状に変化する電圧」を発生し、電圧制御発振器(VCO)3に印加する。電圧制御発振器3は、印加された電圧に応じて、周波数が時間的に変化する周波数変調連続波(FMCW)を生成し、分配器4へ出力する。
【0024】
図3Bは、分配器4へ出力される「周波数が時間的に変化する周波数変調連続波」を示している。
【0025】
分配器4は、入力されたFMCWの一部を送信信号として、スイッチ5の端子aへ出力し、残りをローカル信号として、ミキサ7へ出力する。
【0026】
スイッチ5は、端子aへ切り替えられて所定のタイミングで所定時間だけ送受信アンテナ6に導通し、送受信アンテナ6は、パルス状の送信信号を空間に放射する。この所定のタイミング及び所定時間は制御部1からの制御信号により決定される。
【0027】
スイッチ5は、所定時間経過後に、受信側である端子bへ切り替えられる。目標からの反射波は、送受信アンテナ6で受信され、図3Cの受信信号(破線で示す)となる(図ではパルス化されている様子は省略している)。その後、スイッチ5を介し、受信信号がミキサ7へ出力される。
【0028】
ミキサ7は、この受信信号と分配器4が出力する図3Cのローカル信号(実線で示す)を入力してミキシングを行い、ビート信号を生成する。このビート信号について、時間に対する周波数変化を図3Dに、時間に対する電圧変化を図3Eにそれぞれ示す。
【0029】
ミキサ7で生成されたビート信号は、バンドパスフィルタ8で不要な周波数成分を除去された後、アンプ9で増幅され、A/D変換器10へ出力される。
【0030】
A/D変換器10は、図3Aのアップフェーズあるいはダウンフェーズの計測時間に同期してビート信号を入力し、デジタル電圧値としてメモリ11へ出力する。このとき、サンプルタイミングは制御部1により制御される。
【0031】
信号処理部12は、制御部1によって、図3Aのアップフェーズあるいはダウンフェーズの計測時間が終了した時点で、アップフェーズにおけるビート信号のデジタル電圧値あるいはダウンフェーズにおけるビート信号のデジタル電圧値を入力し、目標までの距離、相対速度や角度などを算出して、算出結果を他の装置へ出力する。
【0032】
図4は、この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置の動作の各タイミング説明するための図であり、この図4を用いて各信号のタイミングを詳細に説明する。
【0033】
図4(a)は、前述したVCO3から出力されるFM変調波(FMCW)を示す。この図4では、このFMCWのうち、アップフェーズに注目して説明する。
【0034】
図4(b)に示すように、アップフェーズの間に、送信パルスは所定の回数(図ではN回)だけ送信される。
【0035】
図4(c)に示すように、送信パルスは、パルス幅Tw、パルス周期Tiで送信され、各々の送信パルスに対して、対象(即ち、目標)からの反射波(受信パルス)が受信される。
【0036】
受信側では、図4(d)に示すように、レンジゲート(0〜Nr)を設定し、レンジゲート毎にビート信号がサンプリングされる。なお、レンジゲート(Range Gate)とは、送信パルスを送出してから、反射されてくる受信パルスをサンプリングするタイミングを決めるものである。図ではレンジゲートの幅(即ち、サンプリング間隔)をTrとする。
【0037】
送信パルス幅Tw及びレンジゲート幅Trは、車両速度検出手段から取得した自車速に応じて、制御部1で設定され、その設定されたタイミングでスイッチ5の切り替えによりパルスを送信し、A/D変換器10により受信信号がA/D変換される。
【0038】
目標が移動する場合、ビート周波数は、以下の式(1)、(2)ように表わすことができる。
U=fr−fd (1)
D=fr+fd (2)
【0039】
ここで、Uは周波数上昇区間(アップフェーズ)のビート周波数、Dは周波数下降区間(ダウンフェーズ)のビート周波数、frは相対速度が0の時のドップラ周波数、fdは相対速度に基づくドップラ周波数である。
【0040】
従って、変調の各サイクル毎にビート周波数U、Dを別々に測定すれば、式(3)、(4)に示すように、ドップラ周波数fr、fdと、目標までの距離Rと相対速度Vを求めることができる。
fr=(U+D)/2 (∝R) (3)
fd=(D−U)/2 (∝V) (4)
【0041】
目標までの距離Rと相対速度Vは、式(3)、(4)を詳細に書くと以下の式(5)、(6)ように表わすことができる。
R=(cTm/2ΔF)×fr (5)
V=(c/2fc)×fd (6)
【0042】
ここで、cは光速、Tmはフェーズ毎の計測時間、ΔFは変調幅、fcはキャリア周波数である。
【0043】
図5は、この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置の信号処理部の動作を示すフローチャートである。
【0044】
次に、信号処理部12の動作を図5のフローチャートを用いて説明する。以下、それぞれのステップについて説明する。
【0045】
まず、ステップ101において、アップフェーズ及びダウンフェーズでのビート信号をレンジゲート毎にサンプリングし、デジタル電圧値をメモリ11に記録する。
【0046】
次に、ステップ102において、ステップ101で記録した任意のレンジゲートの信号(デジタル電圧値)をメモリ11から読み出す。
【0047】
次に、ステップ103において、ステップ102でメモリ11より読み出された信号に対して、例えばFFT(Fast Fourier Transform)を実施して、周波数スペクトルに変換する。ここで、周波数変換のためにDFT(Discrete Fourier transform)を用いてもよい。
【0048】
次に、ステップ104において、ステップ103で求めた周波数スペクトル(すなわちビート周波数)のピーク検出処理を行う。
【0049】
次に、ステップ105において、アップ、ダウンの両フェーズのピークビート周波数から目標までの距離と相対速度を算出する。レンジゲートは所定の距離範囲で設定されているので、計算された距離が着目レンジゲートの距離範囲内であるかどうかをチェックし、範囲内であれば、正式に目標(オブジェクト)として登録し、範囲外であれば、登録しないことにする。
【0050】
そして、ステップ106において、全レンジゲートについて、処理が終了したかどうかがチェックされ、終了していなければステップ102へ、終了していれば、処理を終了する。
【0051】
続いて、自車速を元にした送信パルス幅Twとレンジゲート幅Trの変更方法を具体的に説明する。
【0052】
図6A及び図6Bは、送信パルス幅とレンジゲート幅の変更を説明するための図である。図中の各項目(a)−(d)は図4と同様である。また、図中のTws、Trsは自車速が小さい場合の送信パルス幅、レンジゲート幅を示し、Twl、Trlは自車速が大きい場合の送信パルス幅、レンジゲート幅をそれぞれ示す(Tws<Twl、Trs<Trl)。自車速が小さい場合は、送信パルス幅とレンジゲート幅を基準送信パルス幅と基準レンジゲート幅よりも小さく設定し、自車速が大きい場合は、送信パルス幅とレンジゲート幅を基準送信パルス幅と基準レンジゲート幅よりも大きく設定する。以降では、この設定の理由及び効果について説明する。なお、基準送信パルス幅と基準レンジゲート幅は、従来の送信パルス幅とレンジゲート幅である。
【0053】
まず、自車速が小さい場合である。自車速が小さい場合は通常、一般道路を走行している場合である。そのため、車両や障害物等の目標が多く、近距離での割り込みや飛び出し等も多いため、精度良く目標を検出することが求められる。一方で、遠方の物体を検出する必要が無い。そこで、レンジゲート幅を小さく設定する。
【0054】
レンジゲート幅を小さくすると、目標検出精度が上がることを、図7A−Cを用いて説明する。図7A−Cは、この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置が2つの目標を検出する場合の概念図である。
【0055】
図7Aに示すように、目標1と目標2が自車からそれぞれ距離R1、R2だけ離れているところに、それぞれ相対速度V1、V2で存在しているとする。また、距離R1、R2はレンジゲート1の距離範囲であるとする。
【0056】
次に、図7Bに示すように、目標1からビート周波数U1、D1と目標2からビート周波数U2、D2が生成されたとする。しかし、実際には、図5のステップ104内でアップチャープとダウンチャープのビート周波数を求めた時点ではU1、U2が目標1、2どちらの目標からのビート周波数か分からない。D1、D2においても同様である。そこで、図7Cに示すように、ビート周波数の総当りの組合せにより、式(3)、(4)、(5)、(6)から相対速度と距離を求める。
【0057】
次に、検出結果の距離がレンジゲート1内にあるかがチェックされる。ここでは、検出結果の距離R1、R2、R3がレンジゲート1内と仮定する。R1、R2については、目標1、目標2からのビート周波数の正しい組合せU1、D1とU2、D2による算出結果なので、当然レンジゲート1内に入る。一方でU1、D2の組合せとU2、D1の組合せは誤組合せによる虚像であり、本来は存在しないため、目標として登録すると誤検出になる。U2、D1の組合せによる目標は、距離がR4でレンジゲート1外のため、目標としての登録から外すことができる。しかし、U1、D2の組合せによる目標は、距離R3が偶然レンジゲート1内となってしまった場合であり、目標としての登録をせざるを得ない。
【0058】
レンジゲート幅を小さくすれば、上記のU1、D2の組合せによるR3のように、偶然に該当レンジゲート内となる確率は減り、誤検出が減る。以上より、レンジゲート幅を小さくすると、目標検出精度が上がることとなる。
【0059】
また、レンジゲート幅を小さくすると、信号処理で必要となるダイナミックレンジが小さく済む。以下ではその理由を説明する。
【0060】
レーダ装置で受信される電力は以下の式で表される。
Pr=(PtGtλσ)/((4π)) (7)
【0061】
ここで、Prは受信電力、Ptは送信電力、Gtは送受信アンテナ6の利得、λは波長、σは散乱断面積である。
【0062】
図8は、式(7)を元にレンジゲート幅と受信ダイナミックレンジの関係を示す図である。ここでは簡単のために、レンジゲート数が3の例を示す。図中D1、D2、D3はそれぞれレンジゲート幅が大きい設定のときのレンジゲート0、1、2の信号処理に必要なダイナミックレンジ(以降、単にダイナミックレンジと呼ぶ)である。同様に、D4、D5、D6はそれぞれレンジゲート幅が小さい設定のときのレンジゲート0、1、2のダイナミックレンジである。
【0063】
レンジゲート幅の設定が大きい場合も、小さい場合もレンジゲート0が最もダイナミックレンジが広いことが分かる。これは、式(7)において、受信電力が距離の4乗に反比例しているためである。このことは、レンジゲート数が3以上の場合も同様であり、レンジゲート0が最もダイナミックレンジが広いと言える。この、各レンジゲート幅の設定において最大のダイナミックレンジとなるレンジゲート0について、レンジゲート幅の設定が小さい場合のダイナミックレンジD4はレンジゲート幅の設定が大きい場合のダイナミックレンジD1より小さくなる。
【0064】
ダイナミックレンジが小さくなると、信号処理に必要なビット数が減り、演算器の規模が小さくなる。もしくは、信号処理において信号の増幅が容易となり、S/N比向上による精度向上が期待できる。
【0065】
以上のように近距離において、レンジゲート幅を小さくすると、信号処理に必要なダイナミックレンジが小さくなり、回路規模の削減、もしくは精度の向上が期待できる。以上が、自車速が小さい場合にレンジゲート幅を小さくすることの効果である。
【0066】
次に、自車速が大きい場合を説明する。自車速が大きい場合は主に高速道路を走行している場合であり、一般的に車両や障害物等の目標が少なく、近距離での割り込みや飛び出し等も少ない。一方で、遠方の目標を検出する必要がある。そこで、レンジゲート幅を大きく設定する。レンジゲート幅を大きくすれば、遠くの目標を検知することができる。また、レンジゲート数は変わらないので、演算量が増えることもない。
【0067】
レンジゲート幅の変更に合せて、送信パルス幅も変更する。送信パルス幅は基準レンジゲート幅Tr1つ分(1×Tr)よりも大きく、基準レンジゲート幅Tr2つ分(2×Tr)よりも小さく設定する。このように送信パルス幅をレンジゲート幅と同時に変更することで、目標からの反射波を確実にサンプリングし、同一目標からの反射波が複数のレンジゲートにおいてサンプリングされるのを軽減することができる。
【0068】
図9A及び図9Bは、この発明の実施の形態1に係る車載レーダ装置の詳細な動作を示すフローチャートである。以下、それぞれのステップについて説明する。
【0069】
まず、ステップ151において、制御部1は、車両に設置された速度センサ等の車両速度検出手段から取得した、目標検出のスタート時点の自車速Vをメモリ11に記憶する。
【0070】
次に、ステップ152において、制御部1は、電圧発生回路2に所定の電圧が発生させる。この電圧によって電圧制御発振器3は所定の周波数を発生する。
【0071】
次に、ステップ153において、制御部1は、スイッチ5を端子aに切り替えて送信パルスを発生させる。
【0072】
次に、ステップ154において、制御部1は、ステップ151で記憶した自車速Vと速度閾値を比較し、自車速Vが速度閾値以下ならば、ステップ155へ進み、自車速Vが速度閾値より大きい場合には、ステップ156へ進む。
【0073】
次に、ステップ155において、制御部1は、パルス幅Twsの送信パルスを発生させて、ステップ157へ進む。
【0074】
一方、ステップ156において、制御部1は、パルス幅Twlの送信パルスを発生させる。
【0075】
次に、ステップ157において、制御部1は、スイッチ5を端子bに切り替えてパルス送信を終了する。
【0076】
次に、ステップ158において、A/D変換器10は、受信波のサンプリングを行い、メモリ11に記憶する。
【0077】
次に、ステップ159において、制御部1は、ステップ151で記憶した自車速Vと速度閾値を比較し、自車速Vが速度閾値以下ならばステップ160へ進み、自車速Vが速度閾値より大きい場合には、ステップ161へ進む。
【0078】
次に、ステップ160において、制御部1は、レンジゲート幅Trsだけ待ち、ステップ162へ進む。
【0079】
一方、ステップ161において、制御部1は、レンジゲート幅Trlだけ待つ。
【0080】
次に、ステップ162において、制御部1は、A/D変換器10がレンジゲートNr分の回数のサンプリングを終了していなければ、ステップ158へ、終了していればステップ163で次の送信パルス発生までの所定の時間だけ待つ。
【0081】
次に、ステップ164において、制御部1は、アップチャープ、ダウンチャープの両フェーズにて、所定の回数のパルス送信を行ったか判断し、所定の回数のパルス送信を行った場合には、次のステップ162へ、行っていない場合には、ステップ152へ戻り、電圧発生回路2に所定の電圧を再設定する。
【0082】
なお、ステップ165−ステップ169は、図5のステップ102−ステップ106と同様であるため、説明を省略する。
【0083】
この実施の形態1では、ステップ157とステップ158の間に、ミキサ7、バンドパスフィルタ8及びアンプ9を構成する回路による遅延時間分の待機時間を挿入しても良い。
【0084】
また、この実施の形態1では、A/D変換器10によるサンプリングタイミングを各レンジゲートの始めとする例を説明したが、対応するレンジゲート内ならばどこでもよい。
【0085】
以上、本実施の形態1によれば、自車速によりレンジゲート幅を変更でき、自車速が小さい場合はレンジゲート幅を小さく、自車速が大きい場合はレンジゲート幅を大きく設定しているので、近距離において目標の検出精度を向上させながら、演算量を増加させることなく遠距離の目標を検知することができる。
【0086】
また、レンジゲート幅に合せて送信パルス幅を変更することにより、目標からの反射波を確実にサンプリングし、同一目標からの反射波が複数のレンジゲートにおいてサンプリングされるのを軽減することができる。
【0087】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る車載レーダ装置について説明する。この発明の実施の形態2に係る車載レーダ装置の構成は、上記の実施の形態1と同様である。
【0088】
上記の実施の形態1と異なる部分のみを説明する。この実施の形態2では、先行車の距離に基づいて、送信パルス幅及びレンジゲート幅を設定することを特徴とする。
【0089】
この実施の形態2では、先行車の距離によって、制御部1がスイッチ5及びA/D変換器10を制御することにより、送信パルス幅及びレンジゲート幅を変更する。先行車の距離は、例えば信号処理部12が式(5)により算出した結果から得る。
【0090】
先行車の距離に基づいた送信パルス幅及びレンジゲート幅の設定方法を具体的に説明する。
【0091】
制御部1は、信号処理部12から取得した先行車の距離が近い場合は、衝突の危険性が高いと判断し、送信パルス幅及びレンジゲート幅を基準送信パルス幅及び基準レンジゲート幅よりも小さく設定して、検出精度を上げる。制御部1は、先行車の距離が遠い、もしくは先行車がない場合には、遠距離の目標を検知するために送信パルス幅及びレンジゲート幅を基準送信パルス幅及び基準レンジゲート幅よりも大きく設定する。
【0092】
また、制御部1は、先行車の距離がいずれの場合でも、送信パルス幅を基準レンジゲート幅よりも大きく、基準レンジゲート幅の2倍よりも小さく設定する。
【0093】
このように、この実施の形態2によれば、実際に検出している目標の距離に応じて、検出精度を変化させるので、例えば、高速道路の走行時に急な割り込みが発生した場合に、検出精度を上げることができる。
【0094】
以上説明したように、本実施の形態2に係る車載レーダ装置の制御部1は、先行車の距離に基づいて、送信パルス幅及びレンジゲート幅を変更する。
【0095】
すなわち、制御部1は、先行車の距離が距離閾値以下の場合には、送信パルス幅及びレンジゲート幅を基準送信パルス幅及び基準レンジゲート幅よりも小さく設定し、先行車の距離が距離閾値よりも大きい場合には、送信パルス幅及びレンジゲート幅を基準送信パルス幅及び基準レンジゲート幅よりも大きく設定する。
【0096】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る車載レーダ装置について図10から図11Bまでを参照しながら説明する。図10は、この発明の実施の形態3に係る車載レーダ装置の構成を示す図である。
【0097】
この実施の形態3では、自車両が一般道路又は高速道路を走行中かを判定する一般道路判定手段13の判定結果に基づいて、制御部1が、送信パルス幅とレンジゲート幅を変更することを特徴とする。
【0098】
上記の実施の形態1と異なる部分のみを説明する。一般道路判定手段13は、自車速と先行車の距離により一般道路又は高速道路を走行中かを判定する。すなわち、一般道路判定手段13は、信号処理部12から取得した先行車の距離が距離閾値以下の場合には、自車両が一般道路を走行中と判定するとともに、先行車の距離が距離閾値よりも大きく、かつ車両速度検出手段から取得した自車速が速度閾値以下の場合には、自車両が一般道路を走行中と判定する。一方、一般道路判定手段13は、先行車の距離が距離閾値よりも大きく、かつ自車速が速度閾値よりも大きい場合には、自車両が高速道路を走行中と判定する。
【0099】
制御部1は、一般道路判定手段13が一般道路を走行中と判定すれば、近距離精度を重視して、送信パルス幅及びレンジゲート幅を基準送信パルス幅及び基準レンジゲート幅よりも小さく設定する。一方、制御部1は、一般道路判定手段13が高速道路を走行中と判定すれば、遠距離の目標検知を重視して、送信パルス幅及びレンジゲート幅を基準送信パルス幅及び基準レンジゲート幅よりも大きく設定する。
【0100】
また、制御部1は、一般道路判定手段13の判定がいずれの場合でも、送信パルス幅を基準レンジゲート幅よりも大きく、基準レンジゲート幅の2倍よりも小さく設定する。
【0101】
図11A及び図11Bは、この発明の実施の形態3に係る車載レーダ装置の詳細な動作を示すフローチャートである。
【0102】
まず、ステップ301において、一般道路判定手段13は、信号処理部12から取得した先行車の距離と距離閾値を比較し、先行車の距離が距離閾値以下ならば、ステップ303へ進み、先行車の距離が距離閾値よりも大きい場合には、ステップ302へ進む。
【0103】
次に、ステップ302において、一般道路判定手段13は、車両速度検出手段から取得した自車速と速度閾値を比較し、自車速が速度閾値以下ならば、ステップ303へ進み、自車速が速度閾値よりも大きい場合には、ステップ304へ進む。
【0104】
次に、ステップ303において、一般道路判定手段13は、一般道路フラグをONにして、ステップ305へ進む。
【0105】
次に、ステップ304において、一般道路判定手段13は、一般道路フラグをOFFにする。
【0106】
次に、ステップ305において、制御部1は、電圧発生回路2に所定の電圧を発生させる。この電圧によって電圧制御発振器3は、所定の周波数を発生する。
【0107】
次に、ステップ306において、制御部1は、スイッチ5を端子aに切り替えて送信パルスを発生させる。
【0108】
次に、ステップ307において、制御部1は、一般道路フラグがONかどうかを判断し、一般道路フラグがONならば、ステップ308へ進み、一般道路フラグがOFFならば、ステップ309へ進む。
【0109】
次に、ステップ308において、制御部1は、パルス幅Twsの送信パルスを発生させて、ステップ310へ進む。
【0110】
次に、ステップ309において、制御部1は、パルス幅Twlの送信パルスを発生させる。
【0111】
次に、ステップ310において、制御部1は、スイッチ5を端子bに切り替えてパルス送信を終了する。
【0112】
次に、ステップ311において、A/D変換器10は、受信波サンプリングを行い、メモリ11に記憶する。
【0113】
次に、ステップ312において、制御部1は、一般道路フラグがONかどうかを判断し、一般道路フラグがONならば、ステップ313へ進み、一般道路フラグがOFFならば、ステップ314へ進む。
【0114】
次に、ステップ313において、制御部1は、レンジゲート幅Trsだけ待って、ステップ315へ進む。
【0115】
次に、ステップ314において、制御部1は、レンジゲート幅Trlだけ待つ。
【0116】
なお、ステップ315−ステップ322は、図9A、図9Bのステップ162−ステップ169と同様であるため、説明を省略する。
【0117】
この実施の形態3では、ステップ310とステップ311の間に、ミキサ7、バンドパスフィルタ8及びアンプ9を構成する回路による遅延時間分の待機時間を入れても良い。
【0118】
また、この実施の形態3では、A/D変換器10によるサンプリングタイミングを各レンジゲートの始めとする例を説明したが、対応するレンジゲート内ならばどこでもよい。
【0119】
このように、本実施の形態3によれば、自車速と先行車の距離により一般道路を走行中か否かの判定を行い、その判定結果に基づき送信パルス幅及びレンジゲート幅を設定しているので、走行状態に応じて適切に近距離精度を向上させることができる。このことは、飛び出しや割り込みが発生しやすい一般道路を走行中にも関わらず、先行車の距離が遠い場合に有効である。また、高速道路を走行中でも、急な割り込みが発生した場合にも近距離精度を向上させることができる。
【0120】
この実施の形態3に係る車載レーダ装置の一般道路判定手段13は、一般道路、あるいは高速道路を走行中かどうかの判定基準として、例えば目標を検知する信号処理部12から取得した目標数を加えてもよい。すなわち、一般道路判定手段13は、目標数が目標閾値以上ならば、自車両が一般道路を走行中と判定し、目標数が目標閾値よりも小さい場合は、自車両が高速道路を走行中と判定する。
【0121】
また、一般道路判定手段13は、一般道路又は高速道路を走行中かどうかの判定基準として、ナビゲーションシステムからの情報を加えて自車両が一般道路又は高速道路を走行中と判定してもよい。
【0122】
さらに、一般道路判定手段13は、一般道路又は高速道路を走行中かどうかの判定基準として、ETC(Electronic Toll Collection system)車載器からの情報を加えてもよい。この例では、一般道路判定手段13は、ETC車載器が高速道路から出たと判定した場合には、自車両が一般道路を走行中と判定し、ETC車載器が高速道路に進入したと判定した場合には、自車両が高速道路を走行中と判定する。このETCは、有料道路を利用する際に料金所で停止することなく通過できるシステムで、無線通信を利用して車両と料金所のシステムが必要な情報を交換し、料金の収受を行う。なお、有料道路のほとんどは高速道路である。
【0123】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係る車載レーダ装置について図12から図13Bまでを参照しながら説明する。この発明の実施の形態4に係る車載レーダ装置の構成は、上記の実施の形態1と同様である。
【0124】
上記の実施の形態1と異なる部分のみを説明する。この実施の形態4では、レンジゲート毎に、レンジゲート幅を変更することを特徴とする。
【0125】
制御部1は、FM変調期間において、送信パルスを送信後、所定の時間経過前はサンプリング間隔を短く設定し(即ち、レンジゲート幅を小さく設定し)、所定の時間経過後はサンプリング間隔を長く設定する(即ち、レンジゲート幅を長く設定する)。
【0126】
図12は、この発明の実施の形態4に係る車載レーダ装置の動作の各タイミング説明するための図であり、各項目(a)−(d)は図4と同一である。ここでは、近距離レンジゲートと遠距離レンジゲートの2つに大きくわけており、例えばレンジゲート0,1を近距離レンジゲート、2〜Nrを遠距離レンジゲートとしている。
【0127】
図12に示すように、近距離レンジゲートは基準レンジゲート幅よりも小さいレンジゲート幅Trsとして、近距離検知精度を向上し、遠距離レンジゲートは基準レンジゲート幅よりも大きいレンジゲート幅Trlとして、遠距離の目標を検知可能にしている。送信パルス幅Twは遠距離レンジゲートで受信パルスがサンプリングできるように、遠距離レンジゲート幅Trlよりも大きく設定する。
【0128】
図13A及び図13Bは、この発明の実施の形態4に係る車載レーダ装置の詳細な動作を示すフローチャートである。以下、それぞれのステップについて説明する。
【0129】
まず、ステップ401において、制御部1は、電圧発生回路2に所定の電圧を発生させる。この電圧によって電圧制御発振器3は、所定の周波数を発生する。
【0130】
次に、ステップ402において、制御部1は、スイッチ5を端子aに切り替える。
【0131】
次に、ステップ403において、制御部1は、パルス幅Twの送信パルスを発生させる。
【0132】
次に、ステップ404において、制御部1は、スイッチ5を端子bに切り替えてパルス送信を終了する。
【0133】
次に、ステップ405において、A/D変換器10は、受信波サンプリングを行い、メモリ11に記憶する。
【0134】
次に、ステップ406において、制御部1は、レンジゲート2のサンプリングを終了したかどうかを判定し、終了していなければ、ステップ407へ進み、終了していれば、ステップ408へ進む。
【0135】
次に、ステップ407において、制御部1は、レンジゲート幅Trsだけ待つ。その後、ステップ409へ進む。
【0136】
次に、ステップ408において、制御部1は、レンジゲート幅Trlだけ待つ。
【0137】
次に、ステップ409において、制御部1は、レンジゲートNr分の回数のサンプリングを終了していなければ、ステップ405へ戻り、終了していれば、次のステップ410で次の送信パルス発生までの所定の時間だけ待つ。
【0138】
ステップ411において、制御部1は、アップチャープ、ダウンチャープの両フェーズにて、所定の回数のパルス送信を行ったか判断し、所定の回数のパルス送信を行った場合には、次のステップ412へ進み、行っていない場合には、ステップ401へ戻り、電圧発生回路2に所定の電圧を再設定する。
【0139】
なお、ステップ412−ステップ416は、図5のステップ102−ステップ106と同様であるため、説明を省略する。
【0140】
この実施の形態4では、レンジゲート0、1が近距離レンジゲート、2〜Nrが遠距離レンジゲートの例を説明したが、近距離レンジゲートと遠距離レンジゲートの割合は任意の設定が可能である。
【0141】
また、図13Aにおいて、ステップ404とステップ405の間に、ミキサ7、バンドパスフィルタ8及びアンプ9を構成する回路による遅延時間分の待機時間を挿入しても良い。
【0142】
さらに、この実施の形態4では、A/D変換器10によるサンプリングタイミングを各レンジゲートの始めとする例を説明したが、対応するレンジゲート内ならばどこでもよい。
【0143】
この実施の形態4によれば、レンジゲートを近距離と遠距離とに分け、近距離レンジゲートはレンジゲート幅を小さく、遠距離レンジゲートはレンジゲート幅を大きく設定することで、近距離の目標に対しては検知精度を向上させるとともに、演算量の増加を抑えながら、遠距離の目標も同時に検知することができる。このことは、広角な近距離検知範囲を持ちながら、遠距離も検知できるレーダ装置のように、近距離にある目標と遠距離にある目標を同時に検知する場合に有効である。
【0144】
以上説明したように、この実施の形態4に係る車載レーダ装置の制御部1は、レンジゲート毎にレンジゲート幅を変更する。すなわち、制御部1は、近距離レンジゲートはレンジゲート幅を小さくし、遠距離レンジゲートはレンジゲート幅を大きく設定する。また、送信パルス幅を最大のレンジゲート幅よりも大きくなるように設定する。
【0145】
また、この実施の形態4では、近距離レンジゲートと遠距離レンジゲートのように2種類のレンジゲートを設定したが、3種類以上の複数のレンジゲート幅を設定しても良い。このとき、遠距離にあるレンジゲートほどレンジゲート幅が大きくなるように設定する。
【0146】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係る車載レーダ装置について図14Aから図15Bまでを参照しながら説明する。この発明の実施の形態5に係る車載レーダ装置の構成は、上記の実施の形態1と同様である。
【0147】
上記の実施の形態1と異なる部分のみを説明する。この実施の形態5では、レンジゲート毎に、レンジゲート幅を変更し、かつ自車速に基づきレンジゲート幅を変更することを特徴とする。以下では説明を簡単にするため、レンジゲート幅は近距離レンジゲート及び遠距離レンジゲートの2種類の例を説明する。
【0148】
図14A及び図14Bは、この発明の実施の形態5に係る車載レーダ装置の動作の各タイミング説明するための図であり、各項目(a)−(d)は図4と同一である。近距離レンジゲートのレンジゲート幅をTrs、遠距離レンジゲートのレンジゲート幅をTrlとする。このとき、Trs<Trlとする。
【0149】
自車速が小さいときは、例えばレンジゲート0−3を近距離レンジゲート、レンジゲート4−Nrを遠距離レンジゲートというように、近距離レンジゲートを多くする。自車速が大きいときは、例えばレンジゲート0、1を近距離レンジゲート、レンジゲート3−Nrを遠距離レンジゲートというように、遠距離レンジゲートを多くする。例えば、Nr=9の場合、自車速が小さいときは、近距離レンジゲート数が4、遠距離レンジゲート数6となり、自車速が大きいときは、近距離レンジゲート数が2、遠距離レンジゲート数8となる。基準近距離レンジゲート数を3、基準遠距離レンジゲート数を7とすると、制御部1は、自車速が速度閾値以下の場合には、近距離レンジゲート数を基準近距離レンジゲート数よりも多く設定するとともに、遠距離レンジゲート数を基準遠距離レンジゲート数よりも少なく設定し、自車速が前記速度閾値より大きい場合には、近距離レンジゲート数を基準近距離レンジゲート数よりも少なく設定するとともに、遠距離レンジゲート数を基準遠距離レンジゲート数よりも多く設定する。なお、送信パルス幅Twは遠距離レンジゲートのレンジゲート幅Trl以上とする。
【0150】
自車速に基づき、近距離レンジゲート数と遠距離レンジゲート数を変更することで、近距離精度を向上させながら遠距離の目標を同時に検知することができ、さらに、走行状態に応じて、近距離または遠距離どちらを重視するかを変更することができる。
【0151】
図15A及び図15Bは、この発明の実施の形態5に係る車載レーダ装置の詳細な動作を示すフローチャートである。以下、それぞれのステップについて説明する。
【0152】
まず、ステップ501において、制御部1は、車両に設置された速度センサ等の車両速度検出手段から取得した、目標検出のスタート時点の自車速Vをメモリ11に記憶する。
【0153】
次に、ステップ502において、制御部1は、電圧発生回路2に所定の電圧を発生させる。この電圧によって電圧制御発振器3は、所定の周波数を発生する。
【0154】
次に、ステップ503において、制御部1は、スイッチ5を端子aに切り替えて送信パルスを発生させる。
【0155】
次に、ステップ504において、制御部1は、パルス幅Twの送信パルスを発生させる。
【0156】
次に、ステップ505において、制御部1は、スイッチ5を端子bに切り替えてパルス送信を終了する。
【0157】
次に、ステップ506において、A/D変換器10は、受信波サンプリングを行い、メモリ11に記憶する。
【0158】
次に、ステップ507において、制御部1は、ステップ501で記憶した自車速Vと速度閾値を比較し、自車速Vが速度閾値以下ならば、ステップ508へ進み、自車速Vが速度閾値よりも大きい場合には、ステップ509へ進む。
【0159】
次に、ステップ508において、制御部1は、レンジゲート4のサンプリングが終了しているかどうかを判断する。レンジゲート4のサンプリングが終了していなければ、ステップ510へ進み、レンジゲート4のサンプリングが終了していれば、ステップ511へ進む。
【0160】
次に、ステップ509において、制御部1は、レンジゲート2のサンプリングが終了しているかどうかを判断する。レンジゲート2のサンプリングが終了していなければ、ステップ510へ進み、レンジゲート2のサンプリングが終了していれば、ステップ511へ進む。
【0161】
次に、ステップ510において、制御部1は、近距離レンジゲート幅Trsだけ待つ、その後、ステップ512へ進む。
【0162】
次に、ステップ511において、制御部1は、遠距離レンジゲート幅Trlだけ待つ。
【0163】
次に、ステップ512において、制御部1は、レンジゲートNr分の回数のサンプリングを終了していなければ、ステップ506へ戻り、終了していれば、次のステップ513で次の送信パルス発生までの所定の時間だけ待つ。
【0164】
ステップ514において、制御部1は、アップチャープ、ダウンチャープの両フェーズにて、所定の回数のパルス送信を行ったか判断し、所定の回数のパルス送信を行った場合には、次のステップ515へ進み、行っていない場合には、ステップ502へ戻り、電圧発生回路2に所定の電圧を再設定する。
【0165】
なお、ステップ515−ステップ519は、図5のステップ102−ステップ106と同様であるため、説明を省略する。
【0166】
このように、この実施の形態5によれば、自車速に応じて近距離レンジゲートと遠距離レンジゲートの数を変更するので、近距離精度を向上しながら、遠距離の目標を同時に検知可能であり、さらに、走行状態に応じて近距離と遠距離どちらを重視するかを選択できる。
【0167】
この実施の形態5に係る車載レーダ装置の制御部1は、自車速に応じて近距離レンジゲートと遠距離レンジゲートの数を変更する。すなわち、制御部1は、自車速が小さい場合は近距離レンジゲートを多く設定し、自車速が大きい場合は遠距離レンジゲートを多く設定する。
【0168】
なお、この実施の形態5では、自車速に基づき、近距離レンジゲート数と遠距離レンジゲート数を変更する例を説明したが、先行車の距離に基づき、近距離レンジゲート数と遠距離レンジゲート数を変更してもよい。このとき、制御部1は、先行車の距離が近い場合、すなわち、先行車の距離が距離閾値以下の場合には、近距離レンジゲート数を基準近距離レンジゲート数よりも多く設定するとともに、遠距離レンジゲート数を基準遠距離レンジゲート数よりも少なく設定し、先行車の距離が遠い場合、すなわち、先行車の距離が距離閾値よりも大きい場合には、近距離レンジゲート数を基準近距離レンジゲート数よりも少なく設定するとともに、遠距離レンジゲート数を基準遠距離レンジゲート数よりも多く設定する。
【0169】
先行車の距離に基づき、近距離レンジゲート数と遠距離レンジゲート数を変更することにより、高速道路での割り込みなど、先行車の距離が近く、衝突の危険性が高いときに、近距離検知精度を向上させることができる。また、先行車の距離が遠い場合には遠距離の目標を検知することができる。
【0170】
以上示したように、この実施の形態5の制御部1は、先行車の距離に応じて近距離レンジゲートと遠距離レンジゲートの数を変更する。すなわち、制御部1は、先行車の距離が近い場合には、近距離レンジゲートを多く設定し、先行車の距離が遠い場合には、遠距離レンジゲートを多く設定する。
【0171】
なお、この実施の形態5では、自車速、または先行車の距離に基づき、近距離レンジゲート数と遠距離レンジゲート数を変更する例を説明したが、目標検知数、ナビゲーションシステムの情報、ETC車載器の情報を基に近距離レンジゲート数と遠距離レンジゲート数を変更しても良い。
【0172】
また、この実施の形態5では、近距離レンジゲートと遠距離レンジゲートのように2種類のレンジゲートを設定したが、3種類以上のレンジゲート幅を設定しても良い。その場合、送信パルス幅は最大のレンジゲート幅よりも大きく設定する。
【0173】
実施の形態6.
この発明の実施の形態6に係る車載レーダ装置について図16Aから図18Bまでを参照しながら説明する。この発明の実施の形態6に係る車載レーダ装置の構成は、上記の実施の形態1と同様である。
【0174】
上記の実施の形態1と異なる部分のみを説明する。図16A及び図16Bは、この発明の実施の形態6に係る車載レーダ装置の動作の各タイミング説明するための図であり、各項目(a)−(d)は図4と同一である。
【0175】
この実施の形態6では、制御部1は、レンジゲート幅と同時に、周波数変調幅、変調時間を変更することを特徴とする。制御部1は、レンジゲート幅を基準レンジゲート幅よりも小さく設定した場合は、周波数変調幅を基準周波数変調幅よりも大きく設定し(ΔFs)、変調時間を基準変調時間よりも長く設定する(Tms)。また、制御部1は、レンジゲート幅を基準レンジゲート幅よりも大きく設定した場合は、周波数変調幅を基準周波数変調幅よりも小さく設定し(ΔFl)、変調時間を基準変調時間よりも短く設定する(Tml)。ここで、ΔFs>ΔFl、Tms>Tmlである。
【0176】
このように設定する効果について説明する。車載レーダ装置において、目標までの距離R及び相対速度Vは、式(5)及び式(6)のように表せることは前述の通りである。今、各フェーズで得られたビート信号の周波数を、FFTを用いて求めることを考えると、FFT後の周波数の刻み幅(以下、周波数ビンと呼ぶ)は、計測時間(Tm)によって決まり、1/Tmで与えられる。
【0177】
距離分解能ΔR、相対速度分解能ΔVは、周波数ビン当たりの距離及び相対速度と考えられるから、式(5)、式(6)より、以下のように与えられる。
ΔR=(cTm/2ΔF)×(1/Tm)=c/2ΔF (8)
ΔV=(c/2fc)×(1/Tm) (9)
【0178】
なお、式(8)は、式(5)において1ビン当たりの周波数(=1/Tm)をfrに代入したものであり、式(9)は、式(6)において1ビン当たりの周波数(=1/Tm)をfdに代入したものである。
【0179】
式(8)、式(9)から、周波数変調幅(ΔF)が大きいほど、距離分解能(ΔR)は高くなり、変調時間が長いほど、相対速度分解能(ΔV)が高くなる。
【0180】
レンジゲート幅が小さい設定のときは、通常、一般道路を走行している場合であり、近距離における精度が必要となる。この実施の形態6のように、レンジゲート幅が小さい設定のときに、周波数変調幅を大きく、変調時間を長く設定すれば、距離分解能及び相対速度分解能が高くなり、さらなる精度向上が期待できる。
【0181】
一方、遠距離レンジゲートでは、距離分解能及び相対速度分解能が低い設定となる。ここで、ビート周波数のとり得る範囲について考える。例として、FFT点数を512、ΔF=150[MHz]、Tm=7[ms]、fc=76.5[GHz]、C=3×10[m/s]とすると、ΔR=1[m]、 ΔV=1[km/s]となる。
【0182】
FFTへ入力するビート信号は実数であるので、FFTで変換されるスペクトルは0Hzを中心に対称となる。よって、512点数のFFTの場合には、0〜255周波数ビンまでが有効となる。
【0183】
例えば、「R=150m、V=0km/sの目標が存在する」とすると、アップフェーズおよびダウンフェーズにおける目標相当の周波数ビンは、図17A及び図17Bに示すようになる。すなわち、Ubin=150、Dbin=150となる。
【0184】
別な例として、R=200m、V=150km/sで接近してくる目標の場合には、図18A及び図18Bに示すようになる。すなわち、Ubin=50、Dbin=160となり、Dbinが255binを基準とした折り返しの位置に現れる。
【0185】
この折り返し現象のことをレンジオーバーと呼ぶことにする。このような場合、Dbinについては、折り返しにより160binにあるのか、元々160binにあるのかの区別が付かないため、双方を想定した処理が必要となり、処理負荷が高くなり、望ましくない。
【0186】
レンジオーバーを回避するためには、距離分解能ΔR及び相対速度分解能ΔVを低く設定することが有効である。例えば、FFT点数を512、ΔF=75[MHz]、Tm=3.5[ms]、fc=76.5[GHz]、C=3×10[m/s]とすると、ΔR=2[m]、ΔV=2[km/s]となる。
【0187】
R=200m、V=150km/sで接近してくる目標の場合には、Ubin=25、Dbin=175となり、レンジオーバーを防ぐことができる。
【0188】
レンジゲート幅が大きい設定のときは、一般的に高速道路を走行してる場合であり、先行車との距離範囲及び相対速度範囲が広いため、レンジオーバーが起こりやすい。この実施の形態6では、レンジゲート幅が大きい設定のときに、周波数変調幅を小さく、変調時間を短く設定すれば、レンジオーバーが起こりにくく、ビート信号の対応関係が把握しやすくなる。
【0189】
このように、この実施の形態6によれば、レンジゲート幅が小さいときには周波数変調幅を大きく、変調時間を長く設定するので、市街地や渋滞時での走行時において、距離及び相対速度の精度を高めることができる。また、レンジゲート幅が大きいときには周波数変調幅を小さく、変調時間を短く設定するので、高速道路走行時において、レンジオーバーが起こりにくく、ビート信号の対応関係が把握しやすくなる。
【0190】
以上説明したように、この実施の形態6に係る車載レーダ装置の制御部1は、レンジゲート幅に応じて、周波数変調幅及び変調時間を変更する。すなわち、制御部1は、レンジゲート幅が小さいときは、周波数変調幅を大きくし、変調時間を長く設定する。レンジゲート幅が大きいときは、周波数変調幅を小さくし、変調時間を短く設定する。
【0191】
実施の形態7.
この発明の実施の形態7に係る車載レーダ装置について図19から図21までを参照しながら説明する。図19は、この発明の実施の形態7に係る車載レーダ装置の構成を示す図である。
【0192】
この実施の形態7に係る車載レーダ装置は、レンジゲート幅により、実際の計測に使用するデータ(計測用データ)を変更する。
【0193】
上記の実施の形態1と異なる部分のみを説明する。制御部1からのレンジゲート幅の設定にしたがって、A/D変換器10によりサンプリングされたデータはメモリ11に記憶される。
【0194】
計測時間変更部(計測時間変更手段)121は、信号処理部12に搭載されているソフトウェアであり、メモリ11に格納されているサンプリングデータを基にしてフーリエ変換の入力として用いる計測用データ(即ち、目標までの距離や目標の速度を計測するためのデータ)を設定し、計測用データの始めから終わりまでのサンプリングに要した時間を計測時間とした場合、レンジゲート幅によって計測時間を変更する。
【0195】
距離・相対速度算出部122は、信号処理部12に搭載されているソフトウェアであり、ビート信号により目標までの距離と相対速度を求めるものである。
【0196】
この実施の形態7に係る車載レーダ装置の動作は、図12と同様である。ここでは、例として、アップフェーズの送信パルス数N=1023点、レンジゲート幅を2種類とし、レンジ0、1を近距離レンジゲート(レンジゲート幅Trs)、レンジ2〜Nを遠距離レンジゲート(レンジゲート幅Trl)とする。なお、Trs<Trlである。
【0197】
以下では、計測時間変更部121の計測時間変更方法を具体的に説明する。図20は、近距離レンジゲートと遠距離レンジゲートの計測用データと変調信号との関係を示している。図20に示したデータ#0、#1、・・・#1023は、図12に示した送信パルス0、1、・・・1023点(ただし、N=1023)に対応している。
【0198】
図20に示すように、近距離レンジゲートでは、アップフェーズ全域にわたって取得されたサンプリングデータ(#0〜#1023)を計測用データとして使用し、遠距離レンジゲートでは、アップフェーズの半分の範囲のサンプリングデータ(#0〜#511)を計測用データとして使用する。
【0199】
この結果、近距離レンジゲートでは、計測時間はTm、周波数変調幅はΔF、遠距離レンジゲートでは、計測時間はTm/2、周波数変調幅はΔF/2となる。上記の実施の形態6でも述べたように、近距離レンジゲートでは計測時間が長く、周波数変調幅が大きく設定しているので、距離分解能と速度分解能が高くなり、近距離の目標に対する精度が向上する。一方、遠距離レンジゲートでは計測時間を短く、周波数変調幅を小さく設定しているので、レンジオーバーが起こりにくく、ビート信号の対応関係が把握しやすくなる。
【0200】
さらに、レンジゲートに応じて計測用データを変更するので、1回の計測に対して、異なるレンジゲート幅を複数(この実施の形態7では、近距離レンジゲートと遠距離レンジゲートの2種類)持つことも可能である。そのようにすることで、近距離レンジゲートはレンジゲート幅を小さく、遠距離レンジゲートはレンジゲート幅を大きく設定することができ、近距離の目標に対しては精度が良く、同時に遠距離の目標も検知することができる。
【0201】
図21は、この発明の実施の形態7に係る車載レーダ装置の信号処理部の動作を示すフローチャートである。
【0202】
まず、ステップ701において、アップフェーズ及びダウンフェーズでのビート信号をレンジゲート毎にサンプリングし、デジタル電圧値をメモリ11に記録する。
【0203】
次に、ステップ702において、任意のレンジゲートの信号をメモリ11から読み出す。
【0204】
次に、ステップ703において、ステップ702で読み出したデータに対して、レンジゲートに応じて計測データを設定する。
【0205】
次に、ステップ704において、ステップ703で設定された計測データに対して、例えばFFTを実施して、周波数スペクトルに変換する。ここで、周波数変換のためにDFTを用いてもよい。
【0206】
次に、ステップ705において、ステップ704で求めた周波数スペクトル(すなわちビート周波数)のピーク検出処理を行う。
【0207】
次に、ステップ706において、アップ、ダウンの両フェーズのピークビート周波数から目標までの距離と相対速度を算出する。レンジゲートは所定の距離範囲で設定されているので、計算された距離が着目レンジゲートの距離範囲内であるかどうかをチェックし、範囲内であれば、正式にオブジェクトとして登録し、範囲外であれば、登録しないことにする。
【0208】
そして、ステップ707において、全レンジゲートについて、処理が終了したかどうかがチェックされ、終了していなければステップ702へ戻り、終了していれば、処理を終了する。
【0209】
このように、この実施の形態7によれば、レンジゲート幅が小さいとき、つまり、市街地や渋滞時での走行時または近距離の目標検知の場合には、計測用データを長く設定することにより、周波数変調幅が大きく、変調時間が長くなるので、距離及び相対速度の精度を高めることができる。また、レンジゲート幅が大きいとき、つまり高速道路の走行時または遠距離の目標検知の場合には、計測用データを短く設定することにより、周波数変調幅が小さく、変調時間が短くなるので、レンジオーバーが起こりにくく、ビート信号の対応関係が把握しやすくなる。
【0210】
以上説明したように、この実施の形態7に係る車載レーダ装置の計測時間変更部121は、レンジゲート幅に応じて実際の計測に使用するデータ(計測用データ)を変更する。すなわち、計測時間変更部121は、レンジゲート幅が小さいときには、計測時間を長く設定し、レンジゲート幅が大きいときには計測時間を短く設定する。
【符号の説明】
【0211】
1 制御部、2 電圧発生回路、3 電圧制御発振器、4 分配器、5 スイッチ、6 送受信アンテナ、7 ミキサ、8 バンドパスフィルタ、9 アンプ、10 A/D変換器、11 メモリ、12 信号処理部、13 一般道路判定手段、121 計測時間変更部、122 距離・相対速度算出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信信号の周波数を三角波により周波数変調する周波数変調手段と、
周波数変調された送信信号をパルス化して送信パルスとして目標に送信する送信手段と、
前記目標で反射した信号を受信パルスとして受信し、前記周波数変調された送信信号の一部と前記受信パルスとの周波数差よりビート信号を生成する受信手段と、
前記送信パルスの送信タイミングを基にして、前記受信パルスのサンプリングタイミングを定めるレンジゲートを設定するレンジゲート設定手段と、
設定されたレンジゲート毎に、前記ビート信号をサンプリングするサンプリング手段と、
サンプリングされたビート信号に基づいて前記目標までの距離及び前記目標の相対速度を算出する距離・相対速度算出手段と、
前記周波数変調手段、前記送信手段、及び前記レンジゲート設定手段を制御し、周波数変調のタイミングに合せて、車両速度検出手段から取得した自車速に応じて送信パルス幅及びレンジゲート幅を変更する制御手段と
を備えたことを特徴とする車載レーダ装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記自車速が速度閾値以下の場合には、前記レンジゲート幅を基準レンジゲート幅よりも小さく設定し、
前記自車速が前記速度閾値より大きい場合には、前記レンジゲート幅を前記基準レンジゲート幅よりも大きく設定し、
前記自車速がいずれの場合でも、前記送信パルス幅を前記基準レンジゲート幅よりも大きく、前記基準レンジゲート幅の2倍よりも小さく設定する
ことを特徴とする請求項1記載の車載レーダ装置。
【請求項3】
送信信号の周波数を三角波により周波数変調する周波数変調手段と、
周波数変調された送信信号をパルス化して送信パルスとして目標に送信する送信手段と、
前記目標で反射した信号を受信パルスとして受信し、前記周波数変調された送信信号の一部と前記受信パルスとの周波数差よりビート信号を生成する受信手段と、
前記送信パルスの送信タイミングを基にして、前記受信パルスのサンプリングタイミングを定めるレンジゲートを設定するレンジゲート設定手段と、
設定されたレンジゲート毎に、前記ビート信号をサンプリングするサンプリング手段と、
サンプリングされたビート信号に基づいて前記目標までの距離及び前記目標の相対速度を算出する距離・相対速度算出手段と、
前記周波数変調手段、前記送信手段、及び前記レンジゲート設定手段を制御し、周波数変調のタイミングに合せて、前記距離・相対速度算出手段から取得した先行車の距離に応じて送信パルス幅及びレンジゲート幅を変更する制御手段と
を備えたことを特徴とする車載レーダ装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記先行車の距離が距離閾値以下の場合には、前記レンジゲート幅を基準レンジゲート幅よりも小さく設定し、
前記先行車の距離が距離閾値より大きい場合には、前記レンジゲート幅を前記基準レンジゲート幅よりも大きく設定し、
前記先行車の距離がいずれの場合でも、前記送信パルス幅を前記基準レンジゲート幅よりも大きく、前記基準レンジゲート幅の2倍よりも小さく設定する
ことを特徴とする請求項3記載の車載レーダ装置。
【請求項5】
送信信号の周波数を三角波により周波数変調する周波数変調手段と、
周波数変調された送信信号をパルス化して送信パルスとして目標に送信する送信手段と、
前記目標で反射した信号を受信パルスとして受信し、前記周波数変調された送信信号の一部と前記受信パルスとの周波数差よりビート信号を生成する受信手段と、
前記送信パルスの送信タイミングを基にして、前記受信パルスのサンプリングタイミングを定めるレンジゲートを設定するレンジゲート設定手段と、
設定されたレンジゲート毎に、前記ビート信号をサンプリングするサンプリング手段と、
サンプリングされたビート信号に基づいて前記目標までの距離及び前記目標の相対速度を算出する距離・相対速度算出手段と、
自車両が一般道路を走行中か否かを判定する一般道路判定手段と、
前記周波数変調手段、前記送信手段、及び前記レンジゲート設定手段を制御し、周波数変調のタイミングに合せて、前記一般道路判定手段の判定結果に応じて送信パルス幅及びレンジゲート幅を変更する制御手段と
を備えたことを特徴とする車載レーダ装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記一般道路判定手段が一般道路を走行中と判定した場合には、前記レンジゲート幅を基準レンジゲート幅よりも小さく設定し、
前記一般道路判定手段が高速道路を走行中と判定した場合には、前記レンジゲート幅を前記基準レンジゲート幅よりも大きく設定し、
前記一般道路判定手段の判定がいずれの場合でも、前記送信パルス幅を前記基準レンジゲート幅よりも大きく、前記基準レンジゲート幅の2倍よりも小さく設定する
ことを特徴とする請求項5記載の車載レーダ装置。
【請求項7】
前記一般道路判定手段は、自車速と先行車の距離、検知した目標数、ナビゲーションシステムからの情報、ETCからの情報のうちのいずれか一つ、あるいは複数の組合せに基づいて、自車両が一般道路を走行中か高速道路を走行中かを判定する
ことを特徴とする請求項6記載の車載レーダ装置。
【請求項8】
前記一般道路判定手段は、
前記距離・相対速度算出手段から取得した先行車の距離が距離閾値以下の場合には、自車両が一般道路を走行中と判定するとともに、前記先行車の距離が前記距離閾値よりも大きく、かつ車両速度検出手段から取得した自車速が速度閾値以下の場合には、自車両が一般道路を走行中と判定し、
前記先行車の距離が前記距離閾値よりも大きく、かつ前記自車速が前記速度閾値よりも大きい場合には、自車両が高速道路を走行中と判定する
ことを特徴とする請求項7記載の車載レーダ装置。
【請求項9】
前記一般道路判定手段は、
前記距離・相対速度算出手段から取得した目標数が目標閾値以上の場合には、自車両が一般道路を走行中と判定し、
前記目標数が前記目標閾値よりも小さい場合には、自車両が高速道路を走行中と判定する
ことを特徴とする請求項7記載の車載レーダ装置。
【請求項10】
前記一般道路判定手段は、
ETC車載器が高速道路から出たと判定した場合には、自車両が一般道路を走行中と判定し、
前記ETC車載器が高速道路に進入したと判定した場合には、自車両が高速道路を走行中と判定する
ことを特徴とする請求項7記載の車載レーダ装置。
【請求項11】
送信信号の周波数を三角波により周波数変調する周波数変調手段と、
周波数変調された送信信号をパルス化して送信パルスとして目標に送信する送信手段と、
前記目標で反射した信号を受信パルスとして受信し、前記周波数変調された送信信号の一部と前記受信パルスとの周波数差よりビート信号を生成する受信手段と、
前記送信パルスの送信タイミングを基にして、前記受信パルスのサンプリングタイミングを定めるレンジゲートを設定するレンジゲート設定手段と、
設定されたレンジゲート毎に、前記ビート信号をサンプリングするサンプリング手段と、
サンプリングされたビート信号に基づいて前記目標までの距離及び前記目標の相対速度を算出する距離・相対速度算出手段と、
前記周波数変調手段、前記送信手段、及び前記レンジゲート設定手段を制御し、周波数変調のタイミングに合せて、レンジゲート毎にレンジゲート幅を変更する制御手段と
を備えたことを特徴とする車載レーダ装置。
【請求項12】
前記制御手段は、
送信パルスを送信後、所定の時間経過前には、前記レンジゲート幅を基準レンジゲート幅よりも小さく設定し、
前記所定の時間経過後には、前記レンジゲート幅を前記基準レンジゲート幅よりも大きく設定し、
前記所定の時間経過がいずれの場合でも、送信パルス幅を前記所定の時間経過後のレンジゲート幅よりも大きく設定する
ことを特徴とする請求項11記載の車載レーダ装置。
【請求項13】
前記制御手段は、
車両速度検出手段から取得した自車速に応じて、近距離レンジゲート数及び遠距離レンジゲート数を変更する
ことを特徴とする請求項11記載の車載レーダ装置。
【請求項14】
前記制御手段は、
前記自車速が速度閾値以下の場合には、前記近距離レンジゲート数を基準近距離レンジゲート数よりも多く設定するとともに、前記遠距離レンジゲート数を基準遠距離レンジゲート数よりも少なく設定し、
前記自車速が前記速度閾値より大きい場合には、前記近距離レンジゲート数を前記基準近距離レンジゲート数よりも少なく設定するとともに、前記遠距離レンジゲート数を前記基準遠距離レンジゲート数よりも多く設定する
ことを特徴とする請求項13記載の車載レーダ装置。
【請求項15】
前記制御手段は、
前記近距離レンジゲートのレンジゲート幅を前記遠距離レンジゲートのレンジゲート幅よりも小さく設定し、
送信パルス幅を前記遠距離レンジゲートのレンジゲート幅以上に設定する
ことを特徴とする請求項14記載の車載レーダ装置。
【請求項16】
前記制御手段は、
前記距離・相対速度算出手段から取得した先行車の距離に応じて、近距離レンジゲート数及び遠距離レンジゲート数を変更する
ことを特徴とする請求項11記載の車載レーダ装置。
【請求項17】
前記制御手段は、
前記先行車の距離が距離閾値以下の場合には、前記近距離レンジゲート数を基準近距離レンジゲート数よりも多く設定するとともに、前記遠距離レンジゲート数を基準遠距離レンジゲート数よりも少なく設定し、
前記先行車の距離が前記距離閾値より大きい場合には、前記近距離レンジゲート数を前記基準近距離レンジゲート数よりも少なく設定するとともに、前記遠距離レンジゲート数を前記基準遠距離レンジゲート数よりも多く設定する
ことを特徴とする請求項13記載の車載レーダ装置。
【請求項18】
前記制御手段は、
前記近距離レンジゲートのレンジゲート幅を前記遠距離レンジゲートのレンジゲート幅よりも小さく設定し、
送信パルス幅を前記遠距離レンジゲートのレンジゲート幅以上に設定する
ことを特徴とする請求項17記載の車載レーダ装置。
【請求項19】
前記制御手段は、
3種類以上のレンジゲート幅を設定し、
送信パルス幅を最大のレンジゲート幅よりも大きく設定する
ことを特徴とする請求項11記載の車載レーダ装置。
【請求項20】
送信信号の周波数を三角波により周波数変調する周波数変調手段と、
周波数変調された送信信号をパルス化して送信パルスとして目標に送信する送信手段と、
前記目標で反射した信号を受信パルスとして受信し、前記周波数変調された送信信号の一部と前記受信パルスとの周波数差よりビート信号を生成する受信手段と、
前記送信パルスの送信タイミングを基にして、前記受信パルスのサンプリングタイミングを定めるレンジゲートを設定するレンジゲート設定手段と、
設定されたレンジゲート毎に、前記ビート信号をサンプリングするサンプリング手段と、
サンプリングされたビート信号に基づいて前記目標までの距離及び前記目標の相対速度を算出する距離・相対速度算出手段と、
前記周波数変調手段、前記送信手段、及び前記レンジゲート設定手段を制御し、周波数変調のタイミングに合せて、走行環境に応じてレンジゲート幅を変更すると同時に、前記レンジゲート幅に応じて周波数変調幅及び変調時間を変更する制御手段と
を備えたことを特徴とする車載レーダ装置。
【請求項21】
前記制御手段は、
前記レンジゲート幅を基準レンジゲート幅よりも小さく設定した場合には、前記周波数変調幅を基準周波数変調幅よりも大きく設定するとともに、前記変調時間を基準変調時間よりも長く設定し、
前記レンジゲート幅を前記基準レンジゲート幅よりも大きく設定した場合には、前記周波数変調幅を前記基準周波数変調幅よりも小さく設定するとともに、前記変調時間を前記基準変調時間よりも短く設定する
ことを特徴とする請求項20記載の車載レーダ装置。
【請求項22】
送信信号の周波数を三角波により周波数変調する周波数変調手段と、
周波数変調された送信信号をパルス化して送信パルスとして目標に送信する送信手段と、
前記目標で反射した信号を受信パルスとして受信し、前記周波数変調された送信信号の一部と前記受信パルスとの周波数差よりビート信号を生成する受信手段と、
前記送信パルスの送信タイミングを基にして、前記受信パルスのサンプリングタイミングを定めるレンジゲートを設定するレンジゲート設定手段と、
設定されたレンジゲート毎に、前記ビート信号をサンプリングするサンプリング手段と、
サンプリングされたビート信号に基づいて前記目標までの距離及び前記目標の相対速度を算出する距離・相対速度算出手段と、
前記周波数変調手段、前記送信手段、及び前記レンジゲート設定手段を制御し、周波数変調のタイミングに合せて、レンジゲート毎にレンジゲート幅を変更する制御手段とを備え、
前記距離・相対速度算出手段は、
前記レンジゲート幅に応じて、計測用データの始めから終わりまでのサンプリングに要した時間である計測時間を変更する計測時間変更手段を含む
ことを特徴とする車載レーダ装置。
【請求項23】
前記計測時間変更手段は、
前記レンジゲート幅が基準レンジゲート幅よりも小さい場合には、前記計測時間を長く設定し、
前記レンジゲート幅が基準レンジゲート幅よりも大きい場合には、前記計測時間を短く設定する
ことを特徴とする請求項22記載の車載レーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−209016(P2011−209016A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75208(P2010−75208)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】