説明

車載型ナビゲーション装置、車載型ナビゲーション装置の制御方法、および、車載型ナビゲーション装置の制御プログラム。

【課題】予約がなされた放送番組を確実に記録する。
【解決手段】目的地までの経路案内を行う車載型ナビゲーション装置において、目的地までの経路を設定するとともに、設定された経路の案内を行う案内手段(CPU25)と、所定の放送番組の記録を予約する予約手段(CPU25)と、予約手段によって予約された放送番組を記録する記録手段(HDD24)と、予約手段によって予約された放送番組の受信が困難なエリアが、目的地までの経路上に存在し、受信困難エリアの予想される走行時間帯と、予約された放送番組の放送時間帯とが重複する場合には、当該受信困難エリアを回避する経路を案内手段に設定させる設定手段(CPU25)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載型ナビゲーション装置、車載型ナビゲーション装置の制御方法、および、車載型ナビゲーション装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、経路探索手段で探索した経路中において、受信手段で受信する電波の受信状態が悪化することが予想される領域等を地図データから判断し、受信手段で所定の電波を受信している場合に、判断した領域等を回避した経路探索を経路探索手段で実行させる技術が開示されている。
【特許文献1】特開平11−325941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前述した技術では、電波を受信している際に、電波の受信状態が悪化する領域が判定され、当該領域を回避する経路が探索される。このため、電波を未受信状態である場合に、将来において所定の電波放送を受信するようなとき(例えば、所定の電波放送を記録する予約がなされているとき)には、当該受信が実行されてからでないと、経路探索が実行されない。このため、例えば、電波の受信状態が悪化する領域等を走行中において、予約が実行されて受信が開始された場合には、放送の冒頭部分を受信することができないという問題点がある。
【0004】
本発明の課題は、予約がなされた放送番組を確実に記録することが可能な車載型ナビゲーション装置、車載型ナビゲーション装置の制御方法、および、車載型ナビゲーション装置の制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、目的地までの経路案内を行う車載型ナビゲーション装置において、目的地までの経路を設定するとともに、設定された経路の案内を行う案内手段と、所定の放送番組の記録を予約する予約手段と、前記予約手段によって予約された放送番組を記録する記録手段と、前記予約手段によって予約された放送番組の受信が困難なエリアが、目的地までの経路上に存在し、前記受信困難エリアの予想される走行時間帯と、前記予約された放送番組の放送時間帯とが重複する場合には、当該受信困難エリアを回避する経路を前記案内手段に設定させる設定手段とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、予約がなされた放送番組を確実に記録することが可能となる。
【0006】
また、他の発明は、上記発明に加えて、所定の時間毎または所定の走行距離毎に、前記受信困難エリアの予想される走行時間帯を算出する算出手段を備え、前記設定手段は、算出された走行時間帯に基づいて、前記受信困難エリアを回避する経路を前記案内手段に設定させることを特徴とする。
この構成によれば、例えば、交通状況が変化した場合であっても、予約がなされた放送番組を確実に記録することが可能となる。
【0007】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記算出手段は、放送番組の予約が取り消された場合、前記予想される走行時間帯を再度算出し、前記設定手段は、再度算出された前記走行時間帯に基づいて、前記受信困難エリアを回避する経路の設定を取り消させることを特徴とする。
この構成によれば、放送番組の記録が新たに追加されるか、または、放送番組の予約が取り消された場合であっても、予約がなされた放送番組を確実に記録することが可能となる。
【0008】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記設定手段は、前記走行時間帯と、前記放送時間帯とが重複しない場合であっても、これらの時間帯が所定の時間以内に接近しているときには重複するとみなし、前記受信困難エリアを回避する経路を前記案内手段に設定させることを特徴とする。
この構成によれば、一定の余裕を考慮して経路設定を行うことから、例えば、交通状況が多少変化した場合であっても、予約がなされた放送番組を確実に記録することが可能となる。
【0009】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記設定手段は、前記受信困難エリアを回避する経路が複数存在する場合には、これらのうちの最後の経路への分岐の直前において、前記走行時間帯と前記放送時間帯とが重複するか否かを再度判定し、判定結果に基づいて経路を前記案内手段に設定させることを特徴とする。
この構成によれば、最後の経路への分岐の直前において、走行時間帯と放送時間帯とが重複するか否かを再度判定することにより、回避する経路を走行するか否かを確実かつ精度良くに判断することができる。
【0010】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記設定手段による判定の結果に関する情報を表示装置に表示させる表示手段をさらに有することを特徴とする。
この構成によれば、判定の内容を知ることにより、例えば、回避動作が必要か否か等の情報を知ることができる。
【0011】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記設定手段は、前記受信困難エリアを回避する経路が複数存在する場合において、最後の経路を経由することにより、目的地への到着が遅れるとき、最後の経路の通行が困難なとき、または、有料道路から一般道路もしくは一般道路から有料道路へ経路変更する必要が生じるときには、最後の経路よりも前の経路への分岐の直前において、前記走行時間帯と前記放送時間帯とが重複するか否かを再度判定し、判定結果に基づいて経路を前記案内手段に設定させることを特徴とする車載型ナビゲーション装置。
この構成によれば、通過する可能性が高い経路への分岐の直前において走行時間帯と放送時間帯とが重複するか否かを再度判定することにより、当該経路を走行するか否かを確実かつ精度良くに判断することができる。
【0012】
また、本発明は、目的地までの経路案内を行う車載型ナビゲーション装置の制御方法において、目的地までの経路を設定するとともに、設定された経路の案内を行う案内ステップと、所定の放送番組の記録を予約する予約ステップと、前記予約ステップによって予約された放送番組を記録する記録ステップと、前記予約ステップによって予約された放送番組の受信が困難なエリアが、目的地までの経路上に存在し、前記受信困難エリアの予想される走行時間帯と、前記予約された放送番組の放送時間帯とが重複する場合には、当該受信困難エリアを回避する経路を前記案内ステップに設定させる設定ステップとを備えることを特徴とする。
この方法によれば、予約がなされた放送番組を確実に記録することが可能となる。
【0013】
また、本発明は、目的地までの経路案内を行う車載型ナビゲーション装置の制御プログラムにおいて、目的地までの経路を設定するとともに、設定された経路の案内を行う案内手段、所定の放送番組の記録を予約する予約手段、前記予約手段によって予約された放送番組を記録する記録手段、前記予約手段によって予約された放送番組の受信が困難なエリアが、目的地までの経路上に存在し、前記受信困難エリアの予想される走行時間帯と、前記予約された放送番組の放送時間帯とが重複する場合には、当該受信困難エリアを回避する経路を前記案内手段に設定させる設定手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
このプログラムによれば、予約がなされた放送番組を確実に記録することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、予約がなされた放送番組を確実に記録することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(A)実施の形態の構成
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施形態の車載型ナビゲーション装置10の構成例を示す図である。この図に示すようにナビゲーション装置10は、アンテナ11,12、GPS(Global Positioning System)受信部21、センサ22、操作部23、HDD(Hard Disk Drive)24、CPU(Central Processing Unit)25、メモリ26、チューナ27、表示部28、および、タイマ29を主要な構成要素としている。
【0016】
ここで、アンテナ11は複数のGPS衛星から送信される信号を受信し、GPS受信部21に出力する。アンテナ12は、図示せぬ放送局もしくは中継局または放送衛星から送信される放送電波を受信して、チューナ27に供給する。GPS受信部21は、アンテナ11によって受信された複数のGPS衛星からの信号に付されているタイムスタンプの受信時の時間差に基づいて、車載型ナビゲーション装置10が搭載されている自車両の位置(緯度、経度、および、高度等)を特定し、CPU25に位置情報として出力する。センサ22は、例えば、ジャイロセンサおよび車速パルスセンサ等によって構成され、自車両の挙動を検出し、当該挙動に基づいて自車両の位置を検出する慣性航法に利用される。操作部23は、例えば、表示部28に重畳されて配置されたタッチパネルとして構成され、ユーザの操作に応じた情報を生成してCPU25に出力する。
【0017】
HDD24は、図2に示す情報30を記録する。図2の例では、情報30としては、プログラム31、地図データ32、録画予約データ33、および、録画データ34が存在する。プログラム31は、システム全体を制御する基本的なプログラムとしてのオペレーティングシステム、経路案内に関するプログラム(例えば、目的地までの経路を探索するプログラム、探索された経路を案内するプログラム)、チューナ27による受信を制御するプログラム、および、後述する図4に示す処理を実行するプログラム等を有している。地図データ32は、経路探索および経路案内を実行する際に必要なデータであり、例えば、道路データ(ノードとリンクを有するデータ)と背景データを有する。また、地図データ32は、チューナ27によって受信される電波の受信状態が悪化するエリアとしての受信状況悪化エリアを示す情報を有している。録画予約データ33は、ユーザによって設定された放送番組の録画予約に関する情報を有している。図3は、録画予約データ33の一例を示している。図3に示すように、録画予約データ33は、「No.」、「CH」、「番組名」、「番組開始日時」、および、「番組終了日時」を有している。ここで、「No.」は、それぞれの予約に与えられたシリアル番号である。「CH」は、予約された放送番組のチャンネル番号を示す。「番組名」は、予約された放送番組の名称を示す。「番組開始日時」は、予約された放送番組の放送が開始する日時を示す。「番組終了日時」は、予約された放送番組の放送が終了する日時を示す。具体的には、図3の第1番目の予約データは、「No.」が、「1」であり、「CH」が「011」であり、「番組名」が「aaa」であり、「番組開始日時」が「2008/10/01 13:00」であり、「番組終了日時」が「2008/10/01 14:00」とされている。
【0018】
図2に戻って、録画データ34は、録画予約データ33に基づいて録画されたデータ、または、マニュアル操作によって録画された(番組の放送中に、例えば、録画ボタンが操作されて録画された)データである。なお、録画データとしては、音声および映像を含むデータのみならず、音声のみのデータまたは音声および映像以外のデータを含むものであってもよい。すなわち、予め定められた時間帯に送信されるデータであればデータの形式には限定されない。
【0019】
図1に戻って、CPU25は、HDD24に記録されているプログラム31等に基づいて、装置の各部を制御する中央制御装置である。メモリ26は、例えば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等によって構成され、CPU25が実行する基本的なプログラムおよびデータを格納するとともに、CPU25がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する。
【0020】
チューナ27は、例えば、AM放送、FM放送、地上アナログ放送、地上デジタル放送、または、衛星放送等を受信し、搬送波に重畳されている放送番組に含まれる、音声、映像等の情報を復号して、CPU25に供給する。表示部28は、例えば、液晶ディスプレイ等によって構成され、CPU25から供給された情報を表示する。タイマ29は、日時情報を生成して、CPU25に供給する。
【0021】
(B)実施の形態の動作
つぎに、本発明の実施形態の動作について説明する。
【0022】
以下では、まず、放送番組の録画予約を行う場合の動作について説明した後、図4を参照して、経路案内を行う場合に実行される処理について説明する。
【0023】
ユーザが所望の放送番組の録画予約を行う場合、ユーザは操作部23を操作して、録画予約の要求を行う。その結果、CPU25は、チューナ27によって受信された電子番組表(EPG;Electric Program Guide)を表示部28に表示させる。このような電子番組表を参照して、ユーザが所望の番組の録画予約を指示すると、CPU25は、指示された放送番組に関する情報を電子番組表から取得し、HDD24に録画予約データ33として格納する。より詳細には、図3に示す第1番目の放送番組の予約が指示された場合には、電子番組表から「CH」として「011」が、「番組名」として「aaa」が、「番組開始日時」として「2008/10/01 13:00」が、また、「番組終了日時」として「2008/10/01 14:00」が取得される。そして、取得されたこれらの情報は、シリアル番号として「1」が付され、HDD24に録画予約データ33として、図3の第1番目に示すように格納される。
【0024】
CPU25は、タイマ29から供給される日時情報を参照し、録画予約データ33の中に、番組開始日時が一致する予約データが存在する場合には、当該データを読み出し、チューナ27の受信チャンネルを「CH」に格納されている情報に基づいて設定し、受信された放送番組のデータを、HDD24に録画データ34として記録する。具体的には、例えば、タイマ29から供給される日時情報が「2008/10/01 13:00」である場合には、図3に示す第1番目の予約データの番組開始日時と一致するので、CPU25は第1番目の予約データを取得し、当該予約データに含まれている「CH」に基づいて、チューナ27の受信チャンネルを「011」に設定する。その結果、チューナ27は、アンテナ12によって受信された放送電波から、チャンネルが「011」に該当する電波を抽出し、復号する。この結果、チューナ27からは、チャンネルが「011」の放送番組のデータが出力されるので、CPU25はこのデータをHDD24に録画データ34として記録する。そして、タイマ29から供給される日時情報が「2008/10/01 14:00」になった場合には、録画を終了する。以上の処理によって、ユーザが所望の番組を録画予約するとともに、番組開始日時になった場合には、予約された放送番組の録画が自動的に開始され、番組終了日時になった場合には、録画が自動的に終了される。
【0025】
つぎに、図4を参照して、経路案内を行う際に実行される処理について説明する。図4は、本発明の実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。このフローチャートの処理は、目的地を探索する要求がなされた場合に実行される。具体的には、例えば、表示部28に重畳して配置された操作部23が操作され、経路案内を実行する要求がなされた場合には、図4に示す処理が実行される。
【0026】
ステップS10では、CPU25は、操作部23からの目的地の入力を受ける。具体的には、CPU25は、表示部28に対して、目的地に関する情報(例えば、目的地の地名、建物名、郵便番号、電話番号、または、緯度・経度等の情報)を入力するように促すメッセージを表示し、操作部23が操作されて目的地に関する情報が入力された場合には、当該情報を取得する。
【0027】
ステップS11では、CPU25は、現在地から目的地までの経路を探索する。より詳細には、CPU25は、ステップS10において入力された目的地に関する情報によって特定される目的地と、GPS受信部21から出力される情報(緯度、経度情報)によって特定される現在地とを、地図データ32上において特定するとともに、これら2つの地点を結ぶ経路のうち、最も距離が短い経路をノードとリンクを参照して特定する。なお、このとき、VICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)情報を参照し、交通渋滞の状況を考慮して、経路を探索するようにしてもよい。このようにして特定された経路は、表示部28に地図情報とともに表示されるので、ユーザは、探索によって特定された経路を参照することができる。
【0028】
ステップS12では、CPU25は、ユーザによって経路案内の開始が指示されたか否かを判定し、開始が指示されたと判定した場合(ステップS12;Yes)にはステップS13に進み、それ以外の場合(ステップS12;No)にはステップS11に戻って、経路探索処理を再度実行する。
【0029】
ステップS13では、CPU25は、HDD24に録画予約データ33が存在するか否かを判定し、存在すると判定した場合(ステップS13;Yes)にはステップS14に進み、それ以外の場合(ステップS13;No)にはステップS18に進み、必要に応じて経路探索を行った後、ステップS19に進んで経路案内を実行する。すなわち、録画予約データ33が最初から存在しない場合には、ステップS18に進み、ステップS11で探索された通常の経路の案内が実行される。また、後述するステップS17において迂回経路が設定された後に、迂回の必要がなくなった場合(例えば、録画予約が取り消された場合、または、交通状況が変化して走行時間帯と放送時間帯か重複しなくなった場合)には、ステップS18において迂回しない経路が再探索され、当該再探索された経路の案内が実行される。
【0030】
ステップS14では、CPU25は、ステップS11において探索された経路上において、録画予約がされている放送番組の受信状況が悪化するエリア(受信状況悪化エリア)を特定する。より詳細には、まず、CPU25は、HDD24に記録されている録画予約データ33のうち、その日と同一の日付を有する録画予約を特定する。例えば、その日の日付が「2008/10/1」である場合には、図3の例では、第1番目に示す録画予約が特定される。つぎに、CPU25は、特定された録画予約のチャンネルを特定し、当該チャンネルに関する受信状況悪化エリアを経路上から特定する。図3の例では、第1番目に示すチャンネル番号が「011」のチャンネルの受信状況悪化エリアが経路上から特定される。なお、受信状況悪化エリアとは、当該チャンネルの放送番組の受信状況が悪化するエリアをいう。具体的には、例えば、トンネル内や高架下等のように電波の陰になるエリアであったり、放送局または中継局からの距離が遠くて受信強度が低下するエリアであったり、建物や地形の影響によりマルチパスが生じて電波にノイズが生じたり、復号が困難になったりするエリアであったりする。なお、このような受信状況悪化エリアに関する情報は、それぞれの放送のチャンネル毎に準備することが望ましい。例えば、AM放送、FM放送、地上アナログ放送、地上デジタル放送、または、衛星放送を受信する場合には、それぞれの放送の各チャンネル(または受信周波数もしくは放送局)について、放送状況悪化エリアに関する情報を準備することが望ましい。しかしながら、そのような実施形態の場合、放送状況悪化エリアに関する情報の量が多大になるので、例えば、電波の陰となることが想定されるエリア(例えば、トンネルおよび高架下等)を、全てのチャンネルの受信状況が悪化するエリアとして地図情報から特定するようにしてもよい。なお、受信状況悪化エリアに関する情報を車載型ナビゲーション装置10に記録するのではなく、例えば、図示せぬサーバ装置に記録し、当該サーバ装置に記録された情報に、例えば、ネットワークを介してアクセスするようにしてもよい。あるいは、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等に基づく、車々間通信を介して、当該チャンネルを受信している他の車両から、受信状況に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて受信状況悪化エリアに関する情報を生成するようにしてもよい。
【0031】
ステップS15では、CPU25は、ステップS14において特定された受信状況悪化エリアに到達する予定時刻である到達予定時刻と、受信状況悪化エリアを通過する予定時刻である通過予定時刻とを算出する。より詳細には、CPU25は、現在位置、受信状況悪化エリアの位置、および、走行速度に基づいて、到達予定時刻と通過予定時刻を算出する。なお、このとき、VICS情報に含まれる交通渋滞情報を参照して到達予定時刻と通過予定時刻を算出するようにしたり、DSRCの車々間通信により他の車両の走行状況に基づいて到達予定時刻と通過予定時刻を算出するようにしたりしてもよい。そのような実施形態によれば、これらの時刻をより正確に算出することができる。
【0032】
ステップS16では、CPU25は、ステップS15において算出した、到達予定時刻と通過予定時刻とによって特定される受信状況悪化エリアの走行時間帯と、放送番組の放送時間帯とが重複するか否かを判定し、重複すると判定した場合(ステップS16;Yes)にはステップS17に進み、それ以外の場合(ステップS16;No)にはステップS18に進む。より詳細には、図5(A)に示すように、番組開始時刻Tpsと番組終了時刻Tpeが時間軸上に存在する場合において、図5(B)に示すように受信状況悪化エリアへの到達予定時刻Taaと通過予定時刻Tapが時間軸上に存在する場合には、Tps〜Tpeで定義される放送時間帯と、Taa〜Tapで定義される走行時間帯とは時間軸上において重複することから、Taa〜Tapで定義される走行時間帯においては放送番組の録画ができなくなる。このため、ステップS16ではYesと判定され、ステップS17に進む。同様にして、図5(C)および図5(D)に示す状況においても、放送時間帯と走行時間帯が重複するため、これらの場合にも放送番組の録画ができなくなるとしてステップS16ではYesと判定され、ステップS17に進む。なお、図5(E)および図5(F)に示す状況では、放送時間帯と走行時間帯は重複しないため、ステップS16ではNoと判定され、ステップS18に進む。
【0033】
ステップS17では、CPU25は、ステップS16において放送時間帯と走行時間帯が重複すると判定された受信状況悪化エリアを迂回する迂回経路を探索する処理を実行する。具体的には、CPU25は、ステップS16において放送時間帯と重複すると判定された受信状況悪化エリアを含むリンクを探索対象から除外し、経路の探索を再度実行する。その結果、図6に示すように、受信状況悪化エリアとしてのトンネルを迂回するための経路が再度探索されて経路が再設定される。図6は、迂回経路の設定を説明するための図である。図6(A)は、迂回経路の設定前において表示部28に表示される情報の一例を示す図である。この例では、画面上に表示されている複数の実線で示される道路中において、太い実線で示される道路が走行経路に設定されている。なお、図中において「C」は自車位置を示し、「T」はトンネルを示し、「R0」は走行経路を示している。図6(A)に示す経路が設定されている場合において、受信状況悪化エリアであるトンネルTの走行時間帯と、録画予約された放送番組の放送時間帯とが重複するとき、トンネルTを走行する時間帯は、当該放送番組の録画ができなくなる。そこで、図6(B)に示すように、トンネルTを迂回する新たな経路R1が再設定される。当該経路R1を経由することにより、受信状況悪化エリアであるトンネルTを回避できるので、録画予約された放送番組を途切れなく録画することができる。
【0034】
ステップS18では、CPU25は、必要に応じて経路探索を行い、ステップS19に進む。より詳細には、迂回経路が設定された後に、当該録画予約が取り消されたり、交通状況の変化によって放送時間帯と走行時間帯とが重複しなくなったりした場合には、迂回経路を経由する必要がなくなるので、迂回経路を経由しない通常の経路の再探索が実行される。それ以外の場合には、経路の探索は実行されない。
【0035】
ステップS19では、CPU25は、ステップS17において迂回経路が設定された場合には当該迂回経路を案内し、また、迂回経路が設定されなかった場合(録画予約が無い場合、または、走行時間帯と放送時間帯の重複が無い場合)には、ステップS11において設定された通常の経路またはステップS18において探索された経路を案内する処理を実行する。より詳細には、CPU25は、GPS受信部21およびセンサ22からの出力信号に基づいて自車位置を特定し、自車位置を含む地図情報を地図データ32から取得し、表示部28に表示する。そして、自車の移動に応じた新たな地図情報を取得して、表示部28に表示されている地図を更新するとともに、道路の分岐点に近づいた場合には、当該分岐点をどちらに進むかを、音声等によって案内する。
【0036】
ステップS20では、CPU25は、タイマ29から出力される日時情報を参照し、ステップS13〜S19の処理を前回実行してから一定時間(例えば、3分)が経過したか否かを判定し、一定時間が経過したと判定した場合(ステップS20;Yes)にはステップS13に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS20;No)にはステップS21に進む。ステップS20の処理により、一定の時間間隔で、録画予約の有無がチェックされるとともに、受信状況悪化エリアの走行時間帯と放送時間帯の重複の有無がチェックされ、重複が存在する場合には迂回経路が設定され、迂回経路が案内される。これにより、例えば、走行中に録画予約が新たに追加されたり、既存の録画予約が削除されたりした場合には、追加または削除後の録画予約に基づいて受信状況悪化エリアの走行時間帯と放送時間帯の重複の有無がチェックされ、必要に応じて迂回経路が設定されたり、必要がなければ迂回経路の設定が解除される。また、交通状況の変化により、受信状況悪化エリアの走行時間帯と放送時間帯の重複が新たに生じたり、重複が解消されたりするので、そのような場合にも対応して、臨機応変に、経路の設定を行うことができる。なお、一定時間が経過したか否かを判断の基準にするのではなく、一定距離(例えば、1km)を走行したか否かを基準にして判断するようにしてもよい。
【0037】
ステップS21では、CPU25は、経路案内を終了するか否かを判定し、終了しないと判定した場合(ステップS21;No)にはステップS19に戻って同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS21;Yes)には処理を終了する。例えば、目的地に到着した場合またはユーザによって経路案内を中断する指示がなされた場合には処理を終了する。
【0038】
以上に説明したように、本実施形態によれば、経路案内をしている際に、当該経路上で記録する放送番組が存在する場合であって、当該放送番組の受信状況が悪化するエリアを走行する走行時間帯と、放送時間帯とが重複するときには、受信状況悪化エリアを回避する経路を再設定するようにしたので、所望の放送番組を確実に記録することができる。
【0039】
また、本実施形態では、走行時間帯と、放送時間帯とが重複するか否かを所定の経過時間毎または走行距離毎に判定するようにしたので、例えば、録画予約が取り消されたり、録画予約が新たに追加されたりした場合であっても対応することができる。また、交通状況が変化して、走行時間帯と放送時間帯とが新たに重複するようになったり、重複しないようになったりした場合にも対応して臨機応変に経路を設定することができる。
【0040】
(C)変形実施の態様
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能であることは勿論である。
以上の実施の形態では、放送番組を録画する場合を例に挙げて説明したが、例えば、音声のみを録音したり、その他のデータ(例えば、テキストデータ、画像データ)を含むデータを記録するようにしたりしてもよい。
【0041】
また、以上の実施形態では、受信状況が悪化するエリアとしての受信状況悪化エリアを特定し、当該エリアを回避するようにしたが、受信状況を、例えば、電波の受信強度に応じて0〜100の範囲で評価し、受信強度が20以下の場合に、迂回経路を設定するようにしてもよい。また、迂回経路を設定する受信強度の閾値をユーザが設定できるようにしてもよい。
【0042】
また、全ての場合に、迂回経路を設定するのではなく、例えば、受信状況悪化エリアの走行時間が短い場合(例えば、数秒以内)である場合には、迂回経路を設定しないようにしてもよい。また、迂回経路を設定する時間の閾値をユーザが設定できるようにしてもよい。あるいは、迂回経路を設定するか否かの判断を、その都度、ユーザに判断させるようにしてもよい。具体的には、例えば、迂回によって有料道路を利用するようになる場合、あるいは、迂回によって有料道路を一旦外れてしまう場合、交通渋滞が激しく、目的地への到着の方が優先される場合等には、ユーザに、迂回するか否かを判断させるようにしてもよい。
【0043】
また、以上の実施形態では、受信状況悪化エリアを走行する走行時間帯と、放送時間帯が重複するか否かによって、迂回するか否かを判定するようにしたが、例えば、所定のマージンを与えてこれらの重複を判断するようにしてもよい。具体的には、走行時間帯と、放送時間帯とが時間軸上において重複はしないものの、例えば、5分ずれて存在するような場合には、交通状況の変化等によって、これらが重なってしまう場合も想定されるので、そのような場合には、走行時間帯と放送時間帯が所定の時間(例えば、5分以内)に近接して存在する場合には、迂回経路を設定するようにしてもよい。
【0044】
また、以上の実施形態では、ステップS20において、所定の時間が経過した場合に、同様の処理を繰り返すようにしたが、例えば、前述したように所定の距離を走行した場合に、同様の処理を繰り返すようにしたり、あるいは、録画予約が変更(追加または削除)された場合に同様の処理を繰り返すようにしたりしてもよい。そのような実施形態によれば、状況の変化に応じて経路を適切に設定するとともに、不必要な迂回経路の設定等によって、ユーザへの負担を軽減することができる。
【0045】
また、所定の時間が経過したか否か、または、所定の距離を走行したか否かに拘わらず、受信状況悪化エリアを迂回する最後の迂回経路の直前(例えば、100〜200m前)において、走行時間帯と放送時間帯とが重複するか否かを再度判定し、判定結果を表示部28に表示するようにしてもよい。具体的には、例えば、受信状況悪化エリアを迂回する必要があると判定して走行している場合において、最後の迂回経路(複数の迂回経路が存在する場合において、これらのうちで最後に存在する迂回経路)の直前において走行時間帯と放送時間帯とが重複しないと判定が変更になったときには、表示部28に「迂回路を経由せずに、このまま直進して下さい。」を表示するようにしてもよい。また、受信状況悪化エリアを迂回する必要がないと判定して走行している場合において、最後の迂回経路の直前において走行時間帯と放送時間帯とが重複すると判定が変更になったり、受信状況悪化エリアを迂回する必要があると判定して走行していた場合において、判定が変更にならなかったりしたときには、表示部28に、例えば、「まもなく受信困難エリアにさしかかります。」を表示するとともに、迂回経路の直近(30〜50m)で、例えば、「次の交差点を右に曲がって下さい。」を表示するようにしてもよい。このように、受信状況悪化エリアを迂回する最後の迂回経路の直前において判定を行うようにすることにより、迂回路を経由する必要があるか否かを正確に判定することができる。これにより、例えば、交通状況が変動する場合であっても、不必要に迂回経路を走行したり、あるいは、迂回経路を経由せずに放送番組が記録できなかったりすることを確実に防止できる。なお、以上では、受信状況悪化エリアを迂回する最後の迂回経路の直前において、前述した判定を行うようにしたが、それよりも1つ前または2つ前の迂回経路において判定を行うようにしてもよい。具体的には、最後の迂回経路を経由すると、目的地への到着が大幅に遅れたり、通行が困難な道路(例えば、道幅が狭い道路等)を経由する必要が生じたり、有料道路の途中から一般道へ経路変更をして再度有料道路へ戻ったり、逆に、一般道路の途中から有料道路へ経路変更をして再度一般道へ戻ったりする必要が生じる場合には、このような最後の迂回経路ではなく、1つ前または2つ前の迂回経路において判定を行うようにしてもよい。
【0046】
なお、以上の実施形態では、受信状況悪化エリアを「迂回」、すなわち、遠回りすることにより回避することを前提として説明を行ったが、本発明における「回避」にはこのような迂回のみならず、距離的または時間的に近くなる経路を選択する場合も含むものとする。すなわち、経路のコスト計算によって選択されたもとの経路が他の経路よりも、例えば、距離的に遠い場合において、当該遠い経路上で走行時間帯と放送時間帯とが重複する場合には、距離的に近くなる他の経路を選択することも想定されるからである。例えば、当該距離的に近い経路が、渋滞等によって時間的なコストが高い場合には、距離的に遠い経路がもともとの経路として選択されるためである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示すHDDに記録される情報の一例である。
【図3】録画予約データの一例である。
【図4】図1に示す実施形態において実行される処理の一例を説明するフローチャートである。
【図5】受信状況悪化エリアの走行時間帯と放送時間帯との関係を示す図である。
【図6】迂回経路の設定の前後において表示部に表示される情報の一例である。
【符号の説明】
【0048】
11,12 アンテナ
21 GPS受信部
22 センサ
23 操作部
24 HDD
25 CPU
26 メモリ
27 チューナ
28 表示部
29 タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの経路案内を行う車載型ナビゲーション装置において、
目的地までの経路を設定するとともに、設定された経路の案内を行う案内手段と、
所定の放送番組の記録を予約する予約手段と、
前記予約手段によって予約された放送番組を記録する記録手段と、
前記予約手段によって予約された放送番組の受信が困難なエリアが、目的地までの経路上に存在し、前記受信困難エリアの予想される走行時間帯と、前記予約された放送番組の放送時間帯とが重複する場合には、当該受信困難エリアを回避する経路を前記案内手段に設定させる設定手段と、
を備えることを特徴とする車載型ナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1記載の車載型ナビゲーション装置において、
所定の時間毎または所定の走行距離毎に、前記受信困難エリアの予想される走行時間帯を算出する算出手段を備え、
前記設定手段は、算出された走行時間帯に基づいて、前記受信困難エリアを回避する経路を前記案内手段に設定させる、
ことを特徴とする車載型ナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の車載型ナビゲーション装置において、
前記算出手段は、放送番組の予約が取り消された場合、前記予想される走行時間帯を再度算出し、前記設定手段は、再度算出された前記走行時間帯に基づいて、前記受信困難エリアを回避する経路の設定を取り消させる、
ことを特徴とする車載型ナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の車載型ナビゲーション装置において、
前記設定手段は、前記走行時間帯と、前記放送時間帯とが重複しない場合であっても、これらの時間帯が所定の時間以内に接近しているときには重複するとみなし、前記受信困難エリアを回避する経路を前記案内手段に設定させる、
ことを特徴とする車載型ナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1または2記載の車載型ナビゲーション装置において、
前記設定手段は、前記受信困難エリアを回避する経路が複数存在する場合には、これらのうちの最後の経路への分岐の直前において、前記走行時間帯と前記放送時間帯とが重複するか否かを再度判定し、判定結果に基づいて経路を前記案内手段に設定させる、
ことを特徴とする車載型ナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5記載の車載型ナビゲーション装置において、
前記設定手段による判定の結果に関する情報を表示装置に表示させる表示手段をさらに有する、
ことを特徴とする車載型ナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項5記載の車載型ナビゲーション装置において、
前記設定手段は、前記受信困難エリアを回避する経路が複数存在する場合において、最後の経路を経由することにより、目的地への到着が遅れるとき、最後の経路の通行が困難なとき、または、有料道路から一般道路もしくは一般道路から有料道路へ経路変更する必要が生じるときには、最後の経路よりも前の経路への分岐の直前において、前記走行時間帯と前記放送時間帯とが重複するか否かを再度判定し、判定結果に基づいて経路を前記案内手段に設定させる、
ことを特徴とする車載型ナビゲーション装置。
【請求項8】
目的地までの経路案内を行う車載型ナビゲーション装置の制御方法において、
目的地までの経路を設定するとともに、設定された経路の案内を行う案内ステップと、
所定の放送番組の記録を予約する予約ステップと、
前記予約ステップによって予約された放送番組を記録する記録ステップと、
前記予約ステップによって予約された放送番組の受信が困難なエリアが、目的地までの経路上に存在し、前記受信困難エリアの予想される走行時間帯と、前記予約された放送番組の放送時間帯とが重複する場合には、当該受信困難エリアを回避する経路を前記案内ステップに設定させる設定ステップと、
を備えることを特徴とする車載型ナビゲーション装置の制御方法。
【請求項9】
目的地までの経路案内を行う車載型ナビゲーション装置の制御プログラムにおいて、
目的地までの経路を設定するとともに、設定された経路の案内を行う案内手段、
所定の放送番組の記録を予約する予約手段、
前記予約手段によって予約された放送番組を記録する記録手段、
前記予約手段によって予約された放送番組の受信が困難なエリアが、目的地までの経路上に存在し、前記受信困難エリアの予想される走行時間帯と、前記予約された放送番組の放送時間帯とが重複する場合には、当該受信困難エリアを回避する経路を前記案内手段に設定させる設定手段、
としてコンピュータを機能させるコンピュータ読み取り可能な車載型ナビゲーション装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−101770(P2010−101770A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273836(P2008−273836)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】