説明

車載情報装置および携帯機器

【課題】携帯機器よりも高いグレードで携帯機器の機能を代替え実施する。
【解決手段】携帯機器2が有する機能の仕様を取得し(S112)、取得した携帯機器2の機能の仕様と記憶装置15に記憶された携帯機器2の機能と重複する機能の仕様とを比較して、携帯機器2の機能を携帯機器2と重複する機能で実施した場合に機能がグレードアップするか否かを確認し(S116)、携帯機器2の機能を携帯機器2と重複する機能で実施した場合に機能がグレードアップすることが確認された場合、携帯機器2に代わって携帯機器2と重複する機能を実施する(S118)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器との通信機能を備えた車載情報装置および携帯機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や携帯情報端末装置等の携帯機器は、各種画像を表示画面に表示させる機能、オーディオ再生するオーディオ機能等を備えており、ナビゲーション装置やオーディオ装置等の車載情報装置と重複する機能を備えている。
【0003】
このような携帯機器が有する機能を利用するものとして、携帯機器と接続するためのコネクタを設け、このコネクタを介して接続された携帯機器の表示画面を表示部として利用するナビゲーション装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−352522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、携帯電話や携帯情報端末装置等の携帯機器とナビゲーション装置やオーディオ装置等の車載情報装置は、それぞれ重複する機能を備えているが、携帯機器と情報機器の各機能の仕様を比較した場合、表示画面の大きさ、スピーカ性能等、携帯機器の方が情報機器よりも劣る場合が多い。したがって、携帯機器の機能を車載情報装置によって実施すれば、携帯機器よりもグレードの高い機能を実現することが可能である。
【0005】
しかしながら、携帯機器の機能を車載情報装置によって実施しようとした場合、必ずしも車載情報装置の機能が携帯機器の機能よりも優れているとは限らないため、携帯機器よりもグレードの高い機能を実現できるとは限らないといった問題がある。
【0006】
なお、特許文献1に示した装置は、ナビゲーション装置の表示部への投資を不要とするために携帯情報端末装置の表示部をナビゲーション装置の表示部として利用するもので、ナビゲーション装置によって携帯機器よりも高いグレードで携帯機器の機能を代替え実施するものではない。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みたもので、携帯機器よりも高いグレードで携帯機器の機能を代替え実施する車載情報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の特徴は、通信手段を介して携帯機器から取得した携帯機器が有する機能の仕様と、記憶手段に記憶された携帯機器と重複する機能の仕様を比較して、携帯機器の機能を携帯機器と重複する機能で実施した場合に機能がグレードアップするか否かを確認し、携帯機器の機能を携帯機器と重複する機能で実施した場合に機能がグレードアップすることが確認された場合、携帯機器に代わって携帯機器と重複する機能を実施することである。
【0009】
このような構成では、携帯機器と重複する機能の仕様と携帯機器の機能の仕様を比較して、携帯機器の機能を携帯機器と重複する機能で実施した場合に機能がグレードアップすることが確認された場合に、携帯機器に代わって携帯機器と重複する機能を実施するので、携帯機器よりも高いグレードで携帯機器の機能を代替え実施することができる。
【0010】
この場合、携帯機器から携帯機器の機能毎に数値により性能が示された機能リストを取得し、携帯機器の機能と重複する機能毎に数値により性能が示された機能リストを記憶し、これらの機能リストに示された数値を比較して、携帯機器の機能を携帯機器の機能と重複する機能で実施した場合に機能がグレードアップするか否かを確認することができる。
【0011】
また、本発明の第2の特徴は、通信手段を介して車載情報装置から取得した車載情報装置が有する機能の仕様と、記憶手段に記憶された車載情報装置と重複する機能の仕様を比較して、車載情報装置と重複する機能を車載情報装置の機能で実施した場合に機能がグレードアップするか否かを確認し、車載情報装置と重複する機能を車載情報装置の機能で実施した場合に機能がグレードアップすることが確認された場合、通信手段を介して車載情報装置へ車載情報装置と重複する機能に代わって車載情報装置の機能で実施することを依頼することである。
【0012】
このような構成では、車載情報装置が有する機能の仕様と車載情報装置と重複する機能の仕様を比較して、車載情報装置と重複する機能を車載情報装置の機能で実施した場合に機能がグレードアップするか否かを確認し、車載情報装置と重複する機能を車載情報装置の機能で実施した場合に機能がグレードアップすることが確認された場合、携帯機器に代わって車載情報装置の機能で実施することを依頼するので、携帯機器よりも高いグレードで携帯機器の機能を代替え実施することが可能である。
【0013】
また、本発明の第3の特徴は、車載情報装置と重複する機能に代わって車載情報装置の機能で実施するか否かをユーザに確認し、車載情報装置と重複する機能に代わって車載情報装置の機能で実施することが確認された場合、車載情報装置へ車載情報装置と重複する機能に代わって車載情報装置の機能で実施することを依頼することである。
【0014】
このような構成では、ユーザによって車載情報装置と重複する機能に代わって車載情報装置の機能で実施することが確認された場合に、車載情報装置と重複する機能に代わって車載情報装置の機能で実施することを依頼するので、ユーザの意向に合わせて車載情報装置と重複する機能に代わって車載情報装置の機能で実施することを依頼することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る車載情報装置と携帯機器の構成を図1に示す。なお、本実施形態における車載情報装置はナビゲーション装置1によって構成され、携帯機器は携帯電話2によって構成されている。
【0016】
本ナビゲーション装置1は、DVDに記憶されたデータ(地図データや音楽データなど)を読み出すDVDプレイヤー10、テレビ放送を受信するためのTVチューナ11、FM・AMラジオ放送の受信またはCD・MD等のメディアに記憶された音楽情報を再生するカーオーディオ部12、車両周辺を撮影する車載カメラ13、液晶等の表示画面に画像を表示する表示装置14、各種データを記憶する記憶装置15、現在位置を検出するための位置検出器16および制御回路17を備えている。
【0017】
記憶装置15に記憶されるデータには、地図表示のための地図データ、本ナビゲーション装置1の各機能の仕様を示した機能リスト(後述する)等がある。
【0018】
制御回路17は、CPU、メモリ等を備えたコンピュータによって構成され、CPUはメモリに記憶されたプログラムに従って各種処理を行う。また、制御回路17は、ブルートゥースによる近距離無線通信を行う近距離通信インタフェース(図中ではB/Tと記す)17aを備えており、この近距離通信インタフェース17aを介して携帯電話2と近距離無線通信を行う。
【0019】
なお、制御回路17のメモリには、ユーザの操作によって近距離通信インタフェース17aを介して通信可能な携帯機器の認証コード等の識別情報(ID)が記憶されるようになっている。本実施形態では、ユーザの操作に応じて携帯電話2の識別情報が制御回路17のメモリに記憶されているものとして説明する。
【0020】
また、本ナビゲーション装置1は、音声信号に応じた音を出力するスピーカ、集音のためのマイク、表示装置14の表示画面に重ねて設けられユーザのタッチ操作に応じた信号を出力するタッチパネル、超音波等を用いて予め定められた位置に携帯機器が存在するか否かを検出する近接センサ(いずれも図示せず)を備えている。
【0021】
制御回路17は、表示装置14の表示画面に画像を表示させる表示機能、近距離通信インタフェース17aを介して携帯電話2から受信したデータを記憶装置15に記憶させるダウンロード機能、ユーザの操作に応じてCD、MD、DVD等に記憶された音楽データを読み出してスピーカから音声出力させるオーディオ再生機能、ユーザの操作に応じてTVやラジオ放送を受信してスピーカから音声出力させるとともに表示装置14から映像出力させる受信機能、ユーザの操作に応じて車載カメラ13によって周辺画像を撮影するカメラ撮影機能、位置検出器16から入力される信号に基づいて現在位置を特定する現在位置特定機能、記憶装置15に記憶された地図データを用いて自車位置周辺の地図上に現在位置マークを重ねて表示させる地図表示機能、マイクによって集音された音声を認識する音声認識機能等を備えている。
【0022】
なお、制御回路17は、イグニッションスイッチがオフして停止状態となっても、バッテリからの電源供給を受け、近距離通信インタフェース17aを介して携帯電話2との通信を行うことができるようになっている。
【0023】
一方、携帯電話2は、制御部21およびブルートゥースによる近距離無線通信を行う近距離通信インタフェース(図中ではB/Tと記す)22を有している。
【0024】
制御部21は、CPU、内部メモリ等を備えたコンピュータによって構成され、CPUは内部メモリに記憶されたプログラムに従って各種処理を行う。また、制御部21は、ブルートゥースによる近距離無線通信を行う近距離通信インタフェース(図中ではB/Tと記す)22を備えており、この近距離通信インタフェース22を介してナビゲーション装置1と近距離無線通信を行う。
【0025】
制御部21は、ユーザの操作に応じて近距離無線通信の許可または不許可を選択する画面を表示させ、ユーザによって近距離無線通信の許可が選択されたには内部メモリに近距離無線通信の許可を示すフラグを設定するようになっている。
【0026】
また、携帯電話2は、ユーザの操作を受け付ける操作部、映像信号に応じた画像を表示する表示部、撮影のためのカメラ、音声や音楽を出力するスピーカ、集音のためのマイク、各種データを記憶するための外部メモリ、現在位置を特定するための信号を受信するGPS受信回路(いずれも図示せず)を備えている。
【0027】
携帯電話2の外部メモリに記憶されるデータとしては、地図表示のための簡易地図データ、ユーザの操作に応じてダウンロードされた音楽データ、本携帯電話2の各機能の仕様を示した機能リスト等がある。
【0028】
制御部21は、表示部に画像を表示させる表示機能、インターネット上のサイト等からデータをダウンロードして外部メモリに記憶させるダウンロード機能、ユーザの操作に応じて外部メモリに記憶された音楽データを読み出してスピーカから音声出力させるオーディオ再生機能、カメラによって撮影する撮影機能、GPS受信回路が受信した信号に基づいて現在位置を特定する現在位置特定機能、外部メモリに記憶された簡易地図データを用いて自車位置周辺の地図上に現在位置マークを重ねて表示させる地図表示機能、マイクによって集音された音声を認識する音声認識機能等を備えている。
【0029】
図2に、本実施形態における携帯電話2とナビゲーション装置1の各機能の仕様(性能)を示した機能リストの例を示す。図に示すように、この機能リストには、描画機能、オーディオ機能、HMI(Human Machine Interface)機能、地図フォーマット、カメラ性能、測位方式の機能毎に各仕様(性能)が定義されている。
【0030】
(1)描画サイズ
携帯電話2の描画サイズは640ドット×480ドットで、ナビゲーション装置1の描画サイズは1024ドット×768ドットである。このように、ナビゲーション装置1の方が携帯電話2よりも描画サイズが大きく、優れている。
【0031】
(2)処理画像フォーマット
携帯電話2の処理画像フォーマットはJPEG、GIF、PNGとなっており、ナビゲーション装置1の処理画像フォーマットはJPEG、GIF、PNG、BMP、TIFF、PDFとなっている。このようにナビゲーション装置1の方が携帯電話2よりも処理画像フォーマットの種類が多く、優れている。
【0032】
(3)音声処理データ
携帯電話2とナビゲーション装置1の音声処理データは、それぞれMP3、WAVE、MIDIとなっている。したがって、ナビゲーション装置1と携帯電話2の性能は同等である。
【0033】
(4)音場
携帯電話2はステレオ、ナビゲーション装置1は5.1チャンネルサラウンドとなっている。したがって、ナビゲーション装置1の方が携帯電話2よりも高音質なオーディオ再生が可能である。
【0034】
(5)音声出力
携帯電話2は内蔵1インチスピーカ、ナビゲーション装置1は車載5インチスピーカ+10インチウーファーとなっている。したがって、ナビゲーション装置1の方が携帯電話2よりも高音質なオーディオ再生が可能である。
【0035】
(6)文字入力
携帯電話2はテンキー入力、ナビゲーション装置1はタッチパネルによる全文字入力(アルファベット入力、50音入力など)表示となっている。したがって、ナビゲーション装置1の方が携帯電話2よりも文字入力の操作性が良い。
【0036】
(7)仮名漢字変換
携帯電話2はAI変換、ナビゲーション装置1は学習機能付きAI変換となっている。したがって、ナビゲーション装置1の方が携帯電話2よりも仮名漢字変換の機能が優れている。
【0037】
(8)音声入力
携帯電話2はミニコンデンサマイク、ナビゲーション装置1は指向性コンデンサマイクとなっている。ミニコンデンサマイクよりも指向性コンデンサマイクの方が高音質なため、ナビゲーション装置1の方が携帯電話2よりも音声入力性能が優れている。
【0038】
(9)音声認識
携帯電話2はビアボイスライト(ビアボイスは登録商標)、ナビゲーション装置1はユーザの代わりに各種機能を実施するエージェントに対応したビアボイスライトとなっている。ナビゲーション装置1の方が携帯電話2よりも音声認識率が高く、優れている。
【0039】
(10)地図データ
携帯電話2で用いられる地図データはマップライトと呼ばれる簡易地図データ、ナビゲーション装置1で用いられる地図データはマップスタンダードと呼ばれる標準地図データとなっている。したがって、ナビゲーション装置1で用いられる地図データの方が携帯電話2で用いられる地図データよりも優れている。
【0040】
(11)カメラ性能
携帯電話2とナビゲーション装置1は、それぞれ200万画素のCCDカメラを備えており、カメラ性能は同等である。
【0041】
(12)測位方式
携帯電話2の測位方式はCDMA(Code Division Multiple Access)基地局測位方式となっており、ナビゲーション装置1の測位方式は、RTK(Real Time Kinematic)―GPS方式による測位方式にジャイロセンサからの信号を用いて補正する構成となっている。ナビゲーション装置1の測位方式の方が携帯電話2の測位方式よりも位置検出精度が優れている。
【0042】
なお、図2では、携帯電話2とナビゲーション装置1の各機能の仕様(性能)がテキストによって示されているが、実際には、機能毎に数値を用いて性能が示されている。例えば、描画サイズについては、1280×1024、1280×960、1280×720、1152×864、1024×768、800×600、640ドット×480の順に、7、6、5、4、3、2、1として性能が示されており、処理画像フォーマットについては、表示可能なフォーマットの数が性能を示す数値として示されており、音場については、5.1チャンネルサラウンド、サラウンド、ステレオ、モノラルの順に、4、3、2、1として定義されている。なお、本実施形態においては、性能が高いほど機能リストに示された数値が大きくなる。
【0043】
次に、携帯電話2の制御部21とナビゲーション装置1の制御回路17の各処理を、図3に示すフローチャートを参照して説明する。イグニッションスイッチがオンすると、ナビゲーション装置1は動作状態なり、制御回路17は、位置検出器16から入力される信号に基づいて現在位置を特定する処理等と並行して図3に示す処理を開始する。また、携帯電話2の制御部21は、ユーザの操作部の操作に応じて携帯電話2の電源がオンすると、図3に示す処理を開始する。
【0044】
まず、携帯電話2の制御部21は、近距離無線通信による外部機器(ここではナビゲーション装置1)とのアクセス条件を判定する(S200)。具体的には内部メモリに近距離無線通信の許可を示すフラグが設定されているか否かに基づいて近距離無線通信を許可するか否かを判定する。
【0045】
近距離無線通信の許可を示すフラグが設定されていない場合、S200の判定はNOとなり、S200の判定を繰り返す。また、近距離無線通信の許可を示すフラグが設定されている場合には、S202の判定はYESとなり、近距離通信インタフェース17aを介して通信相手と近距離無線通信が可能な状態となる。以下、内部メモリに近距離無線通信の許可を示すフラグが設定されているものとして説明する。
【0046】
一方、制御回路17は、近接センサによって予め定められた位置に携帯機器が存在することが検出されたか否かに基づいて携帯電話2の有無を判定する(S100)。ユーザによって車両外に携帯電話2が持ち出されており、予め定められた位置に携帯電話2が存在しない場合、S100の判定を繰り返す。
【0047】
ユーザが車両に乗り込み、予め定められた位置に携帯電話2を設置すると、S100の判定はYESとなり、次に、近距離通信インタフェース17aを介してポーリングを行う(S102)。
【0048】
携帯電話2の制御部21は、制御回路17からのポーリングに応じてポーリング応答を行う(S202)。
【0049】
ナビゲーション装置1の制御回路17は、図示してないが、携帯電話2の制御部21からポーリング応答がない場合には、S100へ戻る。また、携帯電話2の制御部21からポーリング応答があると、次に、通信相手の携帯機器をユーザに確認する(S104)。具体的には、近距離通信インタフェース17aを介して携帯機器から識別情報(ID)を取得し、取得した携帯機器の識別情報に基づいて、通信可能な携帯機器を選択可能に表示装置14の表示画面に表示させる。なお、携帯電話2以外の携帯機器からもポーリング応答があり、複数の携帯機器の識別情報が取得された場合には、複数の携帯機器を選択可能に表示装置14の表示画面にリスト表示させる。制御回路17は、表示装置14の表示画面に表示された携帯機器の中からユーザによって選択された携帯機器と通信を行う。ここでは、ユーザの操作により、通信相手として携帯電話2が選択されたものとして説明する。
【0050】
ユーザの操作により携帯電話2が選択されると、次に、制御回路17と制御部21は、互いに認証処理を行う(S106、S204)。具体的には、互いの認証コード等の識別情報を交換し合い、予め登録された正規の相手であることが確認された場合、認証処理を正常終了する。
【0051】
ナビゲーション装置1の制御回路17は、S106の認証処理が正常終了したか否かを判定する(S108)。携帯電話2の認証情報が登録されてない場合、S108の判定はNOとなり、次に、通信処理記録を行う(S110)。具体的には、表示装置14の表示画面に認証処理が異常終了したことを示すメッセージを表示させるとともに認証処理が異常終了したことをメモリに記憶し、S100へ戻る。
【0052】
一方、携帯電話2の制御部21も、図示してないが、S204の認証処理が正常したか否かを判定し、認証処理が正常終了した場合にはS206へ進む。なお、認証処理が異常終了した場合には表示部に認証処理が異常終了したことを示すメッセージを表示させS200へ戻る。
【0053】
S106、S204の各認証処理が正常終了した場合、制御回路17と制御部21は、それぞれ機能リスト交換処理を行う(S112、S206)。具体的には、ナビゲーション装置1の制御回路17は携帯電話2の制御部21から携帯電話2が有する機能の仕様が記憶された機能リストを取得し、携帯電話2の制御部2は、ナビゲーション装置1の制御回路17からナビゲーション装置1が有する機能の仕様が記憶された機能リストを取得する。
【0054】
次に、ナビゲーション装置1の制御回路17は、取得した携帯電話2の機能リストをメモリに記憶させ(S114)、携帯電話2の制御部21は、取得したナビゲーション装置1の機能リストを内部メモリに記憶させる(S208)。
【0055】
次に、制御回路17と制御部21は、それぞれ交換し合った相手の機能リストと、自己の機能リストの仕様を比較して、携帯電話2が実施している機能をナビゲーション装置1で実施した場合に機能がグレードアップされるか否かを確認する(S116、S210)。
【0056】
例えば、携帯電話2が内部メモリに記憶されたミュージックビデオのビデオ再生中の場合、上述した(1)〜(12)の各項目の中からビデオ再生に関する項目、すなわち、描画サイズ、処理画像フォーマット、音声処理データ、音場、音声出力の5項目について、互いの機能リストに示された数値から携帯電話2とナビゲーション装置1の性能を比較し、携帯電話2が実施している機能をナビゲーション装置1でグレードアップできるか否かを確認する。具体的には、優れている項目数が携帯電話2よりも多い場合、携帯電話2が実施している機能をナビゲーション装置1でグレードアップできるものとして判定する。
【0057】
また、例えば、携帯電話2が地図表示中の場合、(1)〜(12)の各項目の中から地図表示に関する項目、すなわち、描画サイズ、処理画像フォーマット、地図データ、測位方式の4項目について、互いの機能リストに示された数値から携帯電話2とナビゲーション装置1の各機能を比較し、携帯電話2が実施している機能をナビゲーション装置1でグレードアップできるか否かを確認する。
【0058】
携帯電話2の制御部21は、S210にてナビゲーション装置1でグレードアップできることが確認された場合、次に、携帯電話2の機能をナビゲーション装置1でグレードアップするか否かをユーザに確認するための画面を表示部に表示させる(S212)。例えば、「携帯電話の機能をナビゲーション装置でグレードアップすることができますが、切り替えますか?」といったメッセージとともに、ナビゲーション装置1への切り替えを実施するための切替スイッチと切り替えを中止する中止スイッチを選択可能に表示部に表示させる。なお、S210にてナビゲーション装置1でグレードアップされないことが確認された場合には、S212による表示を行うことなく、S200へ戻る。
【0059】
次に、携帯電話2の機能をナビゲーション装置1でグレードアップするか否かを判定する(S214)。具体的には、ユーザの操作によって切替スイッチが選択された場合には、携帯電話2の機能をナビゲーション装置1でグレードアップすると判定し、ユーザの操作によって中止スイッチが選択された場合には、携帯電話2の機能をナビゲーション装置1でグレードアップしないと判定する。
【0060】
ここで、ユーザの操作によって切替スイッチが選択された場合、S214の判定はYESとなり、次に、機能グレードアップ依頼を行う(S216)。具体的には、近距離通信インタフェース17aを介してナビゲーション装置1へ携帯電話2が実施する機能を代替えすることを依頼する情報(以下、グレードアップ依頼情報という)を送信する。このグレードアップ依頼情報には、携帯電話2が実施中の機能を示す情報が含まれる。例えば、携帯電話2が内部メモリに記憶されたミュージックビデオのビデオ再生中の場合、グレードアップ依頼情報には、携帯電話2が内部メモリに記憶されたミュージックビデオのビデオ再生中であることを示す情報が含まれる。また、携帯電話2が地図表示中の場合、グレードアップ依頼情報には、携帯電話2が地図表示中であることを示す情報が含まれる。
【0061】
ナビゲーション装置1の制御回路17は、このグレードアップ依頼情報を受信すると、携帯電話2の機能に代わって処理する携帯機能代替処理を実施する(S118)。
【0062】
例えば、グレードアップ依頼情報に携帯電話2が内部メモリに記憶されたミュージックビデオのビデオ再生中であることを示す情報が含まれる場合には、近距離通信インタフェース17aを介して携帯電話2の制御部21から再生中の映像信号および音声信号を取得し、取得した映像信号に応じた映像を表示装置14の表示画面に表示させるとともに取得した音声信号に応じた音声をスピーカ(図示せず)から出力させる。
【0063】
これにより、携帯電話2でミュージックビデオをビデオ再生する場合と比較して、大画面、高音質でビデオ再生することができる。
【0064】
また、グレードアップ依頼情報に携帯電話2が地図表示中であることを示す情報が含まれる場合には、位置検出器16を用いて現在位置を算出するとともに記憶装置15に記憶された地図データを読み出して表示装置14に現在位置周辺の地図を表示させる。
【0065】
これにより、携帯電話2で現在位置周辺の地図を表示する場合と比較して、優れた位置検出精度で、簡易地図データではなく標準地図データを用いて、大画面に現在位置周辺の地図を表示することが可能となる。
【0066】
携帯電話2の制御部21は、S216にて機能グレードアップ依頼を行うと、次に、グレードアップ依頼機能の完了確認を行う(S218)。具体的には、ナビゲーション装置1の制御回路17に、携帯機能代替処理が正常に実施されているか否かを問い合わせ、携帯機能代替処理が正常に実施されているか否かを確認する。
【0067】
ここで、制御回路17によって携帯機能代替処理が正常に実施されている場合、S218の判定はYESとなり、次に、ナビゲーション装置1による機能グレードアップが完了したものとして、携帯電話2の表示部およびスピーカから出力されているビデオ再生を中止し、本処理を終了する。
【0068】
また、制御回路17によって携帯機能代替処理が正常に実施されていない場合、S218の判定はNOとなり、S212の処理へ戻り、再度、S216にて機能グレードアップ依頼を行う。
【0069】
また、ナビゲーション装置1の制御回路17は、ナビゲーション装置1が停止状態になったか否かを判定する(S120)。具体的には、ユーザの操作に応じてイグニッションスイッチがオフし、ナビゲーション装置1が停止状態になったか否かを判定する。
【0070】
イグニッションスイッチがオンしたままの状態では、S120の判定はNOとなり、S118の携帯機能代替処理を継続する。また、イグニッションスイッチがオフして停止状態になると、S120の判定はYESとなり、S118の携帯機能代替処理を停止するとともに停止時の機器状況を示す情報を携帯電話2へ送信する(S122)。例えば、ミュージックビデオのビデオ再生中であった場合には、ミュージックビデオのビデオ再生を停止したことを携帯電話2へ送信し、地図表示中であった場合には、地図表示を停止したことを携帯電話2へ送信し、本処理を終了する。
【0071】
また、図中に示してないが、携帯電話2の制御部21は、イグニッションスイッチがオフしてナビゲーション装置1が停止状態となり、ナビゲーション装置1の制御回路17から停止時の機器状況を示す情報を受信した場合、ナビゲーション装置1によるグレードアップが中断されたことを示すメッセージを表示部に表示させ、本処理を終了する。
【0072】
また、制御部21は、S212において表示装置14の表示画面に表示させた携帯電話2の機能をナビゲーション装置1でグレードアップするか否かの確認画面に対して、ユーザによって切替スイッチが選択されない場合、S214の判定はNOとなり、機能グレードアップ依頼を行うことなく、S218へ進む。
【0073】
上記した構成によれば、ナビゲーション装置1の制御回路17は、携帯電話2の機能と重複する機能の仕様と携帯機器2の機能の仕様とを比較して、携帯電話2の機能を携帯電話2と重複する機能で実施した場合に機能がグレードアップすることが確認された場合に、携帯電話2に代わって携帯電話2と重複する機能を実施するので、携帯機器よりも高いグレードで携帯機器の機能を代替え実施することができる。
【0074】
また、携帯電話2の制御部21は、ナビゲーション装置1が有する機能の仕様とナビゲーション装置1と重複する機能の仕様を比較して、ナビゲーション装置1と重複する機能をナビゲーション装置1の機能で実施した場合に機能がグレードアップするか否かを確認し、ナビゲーション装置1と重複する機能をナビゲーション装置1の機能で実施した場合に機能がグレードアップすることが確認された場合、携帯電話2に代わってナビゲーション装置1の機能で実施することを依頼するので、携帯電話2よりも高いグレードで携帯電話2の機能を代替え実施することが可能である。
【0075】
また、携帯電話2の制御部21は、ナビゲーション装置1と重複する機能に代わってナビゲーション装置1の機能で実施するか否かをユーザに確認し、ナビゲーション装置1と重複する機能に代わってナビゲーション装置1の機能で実施することが確認された場合、ナビゲーション装置1へナビゲーション装置1と重複する機能に代わってナビゲーション装置1の機能で実施することを依頼するので、ユーザの意向に合わせてナビゲーション装置1と重複する機能に代わってナビゲーション装置1の機能で実施することを依頼することができる。
【0076】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、近距離通信インタフェース17aが車載情報装置の通信手段に相当し、S112が車載情報装置の情報取得手段に相当し、記憶装置15が車載情報装置の記憶手段に相当し、S116が車載情報装置の確認手段に相当し、S118が携帯機能代替手段に相当する。また、近距離通信インタフェース22が携帯機器の通信手段に相当し、S206が携帯機器の情報取得手段に相当し、制御部2の内部メモリが携帯機器の記憶手段に相当し、S210が携帯機器の確認手段に相当し、S214が携帯機器のユーザ確認手段に相当し、S216が依頼手段に相当する。
【0077】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0078】
例えば、上記実施形態では、ナビゲーション装置1によって車載情報装置を構成した例を示したが、ナビゲーション装置に限定されるものではない。
【0079】
また、上記実施形態では、携帯機器として携帯電話2を用いた例を示したが、例えば、PHS、携帯情報端末(PDA)等を用いて構成してもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、ミュージックビデオのビデオ再生や地図表示についての機能を携帯電話2に代わってナビゲーション装置1が実施する例を示したが、これらの例に限定されることなく、例えば、ナビゲーション装置1に備えられた大容量の記憶装置15を利用したデータダウンロード、ナビゲーション装置1が有する音声認識機能を利用した音声認識処理、ナビゲーション装置1が有する車載カメラ13を用いた撮影等を行うことができる。
【0081】
また、図表2に示した機能リストは一例であり、図中に示された項目に限定されるものではなく、例えば、機能リストに記憶媒体の記憶容量を含むようにしてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、S104において、複数の携帯機器の識別情報が取得された場合、取得された複数の携帯機器をリスト表示させ、これらの中からユーザによって選択された携帯機器を近距離通信インタフェース17aの通信相手として決定する例を示したが、例えば、予め登録されたユーザの所有する携帯機器を優先的に近距離通信インタフェース17aの通信相手として決定してもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、近接センサによって携帯機器が予め定められた位置に設置されたか否かを検出する例を示したが、例えば、近接センサによって車両内の乗員の有無等を検出するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載情報装置と携帯機器の構成を示す図である。
【図2】携帯電話とナビゲーション装置の各機能の仕様を示した機能リストの一例を示す図表である。
【図3】携帯電話の制御部とナビゲーション装置の制御回路の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
1…ナビゲーション装置、2…携帯電話、10…DVDプレイヤー、
11…TVチューナ、12…カーオーディオ部、13…車載カメラ、14…表示装置、
15…記憶装置、16…位置検出器、17…制御回路、21…制御部、
22…近距離通信インタフェース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器と通信する通信手段と、
前記通信手段を介して前記携帯機器が有する機能の仕様を取得する情報取得手段と、
前記携帯機器と重複する機能の仕様を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記携帯機器と重複する機能の仕様と前記情報取得手段によって取得された前記携帯機器の機能の仕様を比較して前記携帯機器の機能を前記携帯機器と重複する機能で実施した場合に機能がグレードアップするか否かを確認する確認手段と、
前記確認手段によって前記携帯機器の機能を前記携帯機器と重複する機能で実施した場合に機能がグレードアップすることが確認された場合、前記携帯機器に代わって前記携帯機器と重複する機能を実施する携帯機能代替手段と、を備えたことを特徴とする車載情報装置。
【請求項2】
前記情報取得手段は、前記携帯機器の機能毎に数値により性能が示された機能リストを取得し、
前記記憶手段は、前記携帯機器と重複する機能毎に数値により性能が示された機能リストを記憶し、
前記確認手段は、前記記憶手段に記憶された前記機能リストに示された数値と前記情報取得手段によって取得された前記機能リストに示された数値とを比較して、前記携帯機器の機能を前記携帯機器と重複する機能で実施した場合に機能がグレードアップするか否かを確認することを特徴とする請求項1に記載の車載情報装置。
【請求項3】
車載情報装置と通信する通信手段と、
前記通信手段を介して前記車載情報装置が有する機能の仕様を取得する情報取得手段と、
前記車載情報装置と重複する機能の仕様を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記車載情報装置と重複する機能の仕様と前記情報取得手段によって取得された前記車載情報装置の機能の仕様を比較して前記車載情報装置と重複する機能を前記車載情報装置の機能で実施した場合に機能がグレードアップするか否かを確認する確認手段と、
前記確認手段によって前記車載情報装置と重複する機能を前記車載情報装置の機能で実施した場合に機能がグレードアップすることが確認された場合、前記通信手段を介して前記車載情報装置へ前記車載情報装置と重複する機能に代わって前記車載情報装置の機能で実施することを依頼する依頼手段と、を備えたことを特徴とする携帯機器。
【請求項4】
前記車載情報装置と重複する機能に代わって前記車載情報装置の機能で実施するか否かをユーザに確認するユーザ確認手段を備え、
前記依頼手段は、前記ユーザ確認手段によって前記車載情報装置と重複する機能に代わって前記車載情報装置の機能で実施することが確認された場合、前記通信手段を介して前記車載情報装置へ前記車載情報装置と重複する機能に代わって前記車載情報装置の機能で実施することを依頼することを特徴とする請求項3に記載の携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−216845(P2007−216845A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40085(P2006−40085)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】