説明

車載用ナビゲーション装置、地図データの更新方法及び経路探索方法

【課題】行政区画別の地図データの更新によって隣り合う行政区画の地図データのバージョンが異なる場合においても、出発地又は/及び目的地が行政区画の境界近傍に存在するときに、適切な経路探索を行うことができる「車載用ナビゲーション装置、地図データの更新方法及び経路探索方法」を提供すること。
【解決手段】隣り合う行政区画の境界領域に対応する部分の共有メッシュと、それ以外の行政区画の領域に対応した部分の専有メッシュとにより構成された下層地図をHDDに格納しておき、制御部は、更新対象の行政区画(A県)の下層地図を更新する際に、隣接する行政区画(B県)の既存の下層地図が、A県の更新用の下層地図と同じバージョンではないと判定した場合に、B県の既存の下層地図32a,34aに対し、A県の更新用の下層地図31b,34bを、これらのデータの共有メッシュ34a,34bの部分で重複するようHDDに格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ナビゲーション装置、地図データの更新方法及び経路探索方法に関し、特に、行政区画(例えば、都道府県)別に地図データが更新されている場合にバージョンが異なる行政区画間で経路探索を行うように適応された車載用ナビゲーション装置、地図データの更新方法及び経路探索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な車載用ナビゲーション装置には、ナビゲーションに係る一切の処理を制御するCPU等の制御部、地図データを格納したDVD−ROM等の記憶装置、表示装置、自車の現在位置を検出するためのGPS受信機、自車の進行方位や走行速度等を検出するためのジャイロや車速センサ等が設けられている。そして、制御部により、自車の現在位置を含む地図データを記憶装置から読み出し、この地図データに基づいて自車位置周囲の地図画像を表示装置の画面に描画すると共に、自車の現在位置を指示する自車位置マークを画面上に重ね合わせて表示し、自車の移動に応じて地図画像をスクロール表示したり、地図画像を画面に固定して自車位置マークを移動させたりして、自車が現在何処を走行しているのかを一目で分かるようにしている。
【0003】
また、車載用ナビゲーション装置には、通常、ユーザが設定した目的地に向けて道路を間違うことなく走行できるように案内する機能(経路誘導機能)が搭載されている。この経路誘導機能によれば、制御部により、地図データを用いて出発地(例えば、自車の現在位置)から目的地までを結ぶ最適な経路を、横型探索法やダイクストラ法等のシュミレーション計算を行って探索し、その探索した経路を誘導経路として記憶しておき、走行中、地図画像上にその誘導経路を他の道路と識別可能に表示したり、また誘導経路上で接近中の交差点まで所定距離に達したときに、地図画像上でその交差点の案内図(交差点拡大図、該交差点での進行方向を示す矢印、該交差点までの距離、交差点名など)を表示したりすることで、いずれの道路を走行すればよいか、また交差点でどの方向に進んだらよいかをユーザが把握できるようになっている。
【0004】
このように車載の地図データベースに基づいて経路探索及び経路誘導を行うナビゲーション装置において、道路情報や各種施設の位置を指示するPOI(Point Of Interest)情報等に関して確度の高い情報案内を行うためには、地図データは出来るだけ最新の情報反映したデータであるのが望ましい。例えば、道路の形状が変更されたり、道路の周辺に新たな施設ができたり、あるいは施設の位置が変更されたりすると、この変更後の最新の情報は当初のデータベースに存在しないため、この最新の情報に整合させるために必要に応じて地図データの更新(バージョンアップ)が行われている。
【特許文献1】特開2003−315054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように従来の車載用ナビゲーション装置では、確度の高い情報案内を行うために必要に応じて地図データの更新を行っているが、その際、各都道府県(行政区画)単位で地図データを更新すると、旧バージョン(未更新)の地図データと新バージョン(更新後)の地図データが混在することになる。このような新旧バージョンが混在した地図データを用いて経路探索を行う場合、出発地(典型的には自車位置)及び目的地を含めてその途中の経路が全て同じバージョンの地図データに含まれていれば問題は生じないが、出発地と目的地がバージョンの異なるエリアに含まれている場合、あるいはその途中の経路がバージョンの異なるエリアに亘って含まれている場合に不都合が生じる。例えば、福島県内の場所を出発地とし、茨城県内の場所を目的地として設定したときに、前者の地図データについては更新されているが、後者の地図データについては旧バージョンのままであった場合に、経路探索を行うことができないといった不都合が生じる。これは、行政区画の境界で隣接するリンクの接続性が保証されないことに起因するものである。
【0006】
かかる不都合に対処するために、本願出願人は、先に出願した特願2006−147687において、目的地が設定されたときに、地図データ(全国分について更新された上層レベルのデータ及びそのバージョン情報と、行政区画(例えば、都道府県)別に更新された下層レベルのデータ及びそれぞれのバージョン情報)を参照して、当該目的地までの途中のエリアにバージョンの異なる地図データが混在していると判定した場合には、新バージョンに更新された上層レベルのデータを用いて当該目的地の近傍の位置(仮の目的地)までの経路探索を行うという技術を提案している。この技術に関連するものが、例えば、特許文献1に開示されている。
【0007】
しかしながら、上述した技術においては、出発地、あるいは目的地が、新バージョンのデータと旧バージョンのデータの境界付近(つまり、行政区画の境界付近)にあるときには、適切な経路探索を行うことができない場合がある。例えば、図21(a)に示すように、出発地が新バージョンの下層レベルのデータの道路上にあり、目的地が旧バージョンの下層レベルのデータの細街路上にあるとき、上述した技術においては、新バージョンに更新された上層レベルのデータを参照して、その上層レベルのデータ上で当該目的地から至近距離にあるリンク(至近リンク)を検索し、その検索した当該至近リンクを仮の目的地に設定する。そして、図21(b)に示すように、出発地から仮の目的地に至る誘導経路を探索する。しかし、上層レベルのデータには、高速道路や国道など主要な道路の情報しか含まれていないので、上述した技術においては、仮の目的地を主要道上に設定してしまう。このため、仮の目的地が実際の目的地から離れたところになり、適切な誘導経路を探索することができないことがある。
【0008】
本発明は、かかる従来技術における課題に鑑み創作されたもので、行政区画別の地図データの更新によって隣り合う行政区画の地図データのバージョンが異なる場合においても、出発地、又は/及び、目的地が行政区画の境界近傍に存在するときに、適切な経路探索を行うことができる車載用ナビゲーション装置、地図データの更新方法及び経路探索方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の従来技術の課題を解決するために、本発明によれば、主要な道路の情報及び詳細な情報を含み、行政区画別に更新され且つそれぞれの更新に応じた各バージョン情報が付与されると共に、複数のメッシュに分割され、隣り合う行政区画の境界領域に対応した部分の共有メッシュと、該境界領域以外の行政区画の領域に対応した部分の専有メッシュとにより構成された下層レベルのデータを含む地図データを格納した記憶手段と、更新用の地図データを入力する第1の入力手段と、前記記憶手段及び第1の入力手段に動作可能に接続された制御手段とを備え、前記制御手段は、前記第1の入力手段を介して更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータを更新するときに、前記記憶手段に格納されている既存の地図データの内容を参照し、当該更新対象の行政区画に隣接する行政区画の既存の下層レベルのデータが、当該更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータと同じバージョンではないと判定した場合に、当該隣接する行政区画の既存の下層レベルのデータに対し、当該更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータを、これらのデータの共有メッシュの部分で重複するように前記記憶手段に格納することを特徴とする車載用ナビゲーション装置が提供される。
【0010】
本発明においては、更新対象の行政区画の更新用の下層地図を入力して、更新対象の行政区画の下層地図を更新するときに、制御手段は、更新対象の行政区画に隣接する行政区画の既存の下層地図が、更新対象の行政区画の更新用の下層地図と同じバージョンのものではないと判定した場合には、当該隣接する行政区画の既存の下層地図に対し、更新対象の行政区画の更新用の下層地図を、これらの行政区画の共有メッシュの部分で重複するように記憶手段に格納する。つまり、制御手段は、隣り合う行政区画の境界領域において、隣接する行政区画の既存の下層地図の共有メッシュを、更新対象の行政区画の更新用の下層地図の共有メッシュによって上書きするのではなく、これらの下層地図の共有メッシュを独立に存在させている。
【0011】
このため、隣り合う行政区画の境界領域(共有メッシュ)からは、どちらの行政区画の下層地図の専有メッシュに対してもリンクの接続性が保証される。これにより、経路探索を行う際に出発地に対応する下層地図と目的地に対応する下層地図が同じバージョンではない場合に、出発地及び目的地の少なくとも一方が行政区画の境界付近にあるときには、主要道の情報だけでなく細街路の情報をも含む下層地図を用いて出発地から目的地に至る誘導経路を探索することができる。このため、出発地が行政区画の境界付近にあり、目的地が細街路上にあるときでも、前述した特願2006−147687に記載された技術のように、上層地図を用いて当該目的地から至近距離にあるリンクである「仮の目的地」までの誘導経路を探索するのでなく、下層地図を用いて実際の目的地までの適切な誘導経路を探索することができる。また、目的地が行政区画の境界付近にあり、出発地が細街路上にあるときでも、上層地図を用いて当該出発地から至近距離にあるリンクである「仮の出発地」からの誘導経路を探索するのではなく、下層地図を用いて実際の出発地からの適切な誘導経路を探索することができる。
【0012】
また、本発明の他の形態によれば、地図データを更新する機能を備えた車載用ナビゲーション装置において、前記地図データとして、主要な道路の情報及び詳細な道路の情報を含み、行政区画別に更新され且つそれぞれの更新に応じた各バージョン情報が付与されると共に、複数のメッシュに分割され、隣り合う行政区画の境界領域に対応した部分の共有メッシュと、該境界領域以外の行政区画の領域に対応した部分の専有メッシュとにより構成された下層レベルのデータを含むものを記録媒体に格納しておき、更新対象の行政区画の下層レベルのデータを更新する際に、更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータを入力する第1のステップと、前記記録媒体に格納されている既存の地図データの内容を参照し、当該更新対象の行政区画に隣接する行政区画の既存の下層レベルのデータが、当該更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータと同じバージョンであるか否かを判定する第2のステップと、当該更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータと同じバージョンではないと判定した場合に、当該隣接する行政区画の既存の下層レベルのデータに対し、当該更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータを、これらのデータの共有メッシュの部分で重複するように前記記録媒体に格納する第3のステップとを含むことを特徴とする地図データの更新方法が提供される。
【0013】
更に、本発明の他の形態によれば、地図データを用いて設定された出発地から目的地に至る経路を探索する機能を備えた車載用ナビゲーション装置において、前記地図データとして、主要な道路の情報を含み、全国分について更新され且つその更新に応じたバージョン情報が付与された上層レベルのデータと、前記主要な道路の情報に加えて更に詳細な情報を含み、行政区画別に更新され、それぞれの更新に応じた各バージョン情報が付与されると共に、複数のメッシュに分割され、隣り合う行政区画の境界領域に対応した部分の共有メッシュと、該境界領域以外の行政区画の領域に対応した部分の専有メッシュとにより構成された下層レベルのデータとを含み、隣り合う行政区画において下層レベルのデータのバージョンが異なる場合には一方の行政区画の下層レベルのデータを、他方の行政区画の下層レベルのデータと、これらの共有メッシュの部分で重複するように記録媒体に格納しておき、出発地及び目的地が設定されたときに、当該出発地及び当該目的地に対応する前記下層レベルのデータをそれぞれ参照し、当該出発地が前記共有メッシュ内にあるか否かを判定する第1のステップと、当該出発地が前記共有メッシュ内にあると判定した場合に、当該目的地に対応する行政区画の下層レベルのデータを用いて当該出発地から当該目的地に至る経路を探索する第2のステップとを含むことを特徴とする経路探索方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は本発明の実施形態に係る車載用ナビゲーション装置の構成を示したブロック図である。
【0016】
本実施形態に係る車載用ナビゲーション装置20において、1は記録媒体としてのハードディスクドライブ(HDD)を示し、このHDD1によって駆動されるディスク(図示せず)の所定の記憶領域には、各縮尺レベル(1/12500、1/25000、1/50000等)に応じて適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られた地図データが格納されている。この地図データは、過去の情報から最新の情報に至るまで各々の情報の新しさに応じたバージョン情報と共に地図メッシュ(適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られた区分)に対応させて格納されている。この地図データには、地図上に存在する各種施設(コンビニエンスストア、スーパー、ディスカウントショップ、ガソリンスタンド等)に関するデータ(施設名称、位置、住所、電話番号、ジャンル等)の他に、経路探索や描画、マップマッチング、交差点案内等の各種処理に必要な道路ユニットのデータ(道路形状データ、道路ネットワークデータ)及び交差点ユニットのデータ(交差点案内データ)が含まれている。道路ユニットは、交差点や分岐などの複数の道路が交わる点に対応するノード(経緯度で表現された点)と、各ノード間を結ぶ道路や車線等に対応するリンクとを含んでいる。地図データの詳細については後で説明する。
【0017】
2は後述するナビゲーション装置本体10を操作するための操作部を示し、例えば、リモートコントローラ(リモコン)の形態を有している。かかるリモコンには、後述する表示装置6の画面に各種メニューを表示させたり、表示画面上の各種メニューや各種項目等を選択したり、選択したメニュー等を実行させたりするための各種操作キーやボタン、ジョイスティック等が設けられている。操作部2の形態としては、「リモコン」以外に、センターコンソール(いわゆるダッシュボード)のほぼ中間位置に「操作パネル」の形態で設置されたものでもよい。
【0018】
3は光ディスク等の記憶媒体(図示せず)に記録された情報を再生するための光ディスクプレーヤ等の情報再生機を示している。後述する地図データの更新においては、この情報再生機3により記憶媒体(図示せず)に記録された更新用の地図データを読み出している。
【0019】
4はGPS衛星から送られてくるGPS信号を受信して自車の現在位置の経度及び緯度を検出するためのGPS受信機、5は自立航法センサを示し、例えば、自車の進行方位を検出するためのジャイロ等の角度センサや、一定の走行距離毎にパルスを発生する距離センサなどから構成されている。
【0020】
表示装置6はLCDモニタ等からなり、少なくとも運転席から表示画面を見ることができるようにセンターコンソールのほぼ中央位置に設置されている。この表示装置6の画面には、後述するナビゲーション装置本体10からの制御に基づいて、ナビゲーションに係る案内情報(自車位置の周囲の地図、自車位置マーク、自車位置から目的地までの誘導経路など)が表示され、さらに、操作部2を介して入力された各種操作指示に関連した情報や操作画面なども表示される。7はスピーカを示し、同様にナビゲーション装置本体10からの制御に基づいて、上記ナビゲーションに係る案内情報を音声によりユーザに提供する。
【0021】
ナビゲーション装置本体10において、11はHDD1から読み出された地図データを一時的に格納するバッファメモリ、12はマイクロコンピュータ等により構成された制御部を示す。この制御部12は、基本的には、GPS受信機4から出力される信号に基づいて自車の現在位置(自車位置)を検出したり、自立航法センサ5から出力される信号に基づいて自車の走行速度を算出したり、HDD1を制御して表示させたい地図のデータをディスクからバッファメモリ11に読み出したり、その読み出した地図データを用いて設定された探索条件で自車の現在位置から目的地までの誘導経路を探索するなど、ナビゲーション装置に係る種々の処理を実行する。このナビゲーションに係る種々の処理を実行するに際し、制御部12は、後述するように地図データの行政区画別の更新により種々のバージョンの状態となっている場合の経路探索処理を制御する。
【0022】
13は制御部12からの制御に基づいてバッファメモリ11に読み出された地図データを用いて地図画像の描画処理を行う地図描画部、14は動作状況に応じて各種メニュー画面(操作画面)や自車位置マーク、カーソル等の各種マークを生成する操作画面・マーク発生部、15は制御部12により探索された誘導経路の出発地から目的地までの全てのノード(経緯度で表現された点の座標)に関するデータを格納しておくための誘導経路記憶部、16は制御部12からの制御に基づいて誘導経路記憶部15から誘導経路のデータを読み出し、当該誘導経路を相対的に目立つ表示態様(例えば、色を変える、線幅を太くするなど)で描画する誘導経路描画部を示す。
【0023】
17は画像合成部を示し、制御部12からの制御に基づいて、地図描画部13で描画された地図画像に、誘導経路描画部16で描画された誘導経路、操作画面・マーク発生部14で生成された操作画面及び各種マーク等を重ね合わせて、表示装置6の画面に表示させる機能を有している。18は音声出力部を示し、制御部12からの制御に基づいて音声信号(ナビゲーションに係る案内情報)をスピーカ7に出力する。
【0024】
次に、HDD1に格納されている地図データの構成について、その一例を示す図2を参照しながら説明する。
【0025】
本実施形態では、地図データを上層レベルと下層レベルの2層構造とし、上層レベルについては全国分のデータを更新し、下層レベルについては各都道府県(行政区画)別にデータを更新することを前提としている。これは、上層レベルの地図データには、高速道路や国道など主要な道路の情報のみが含まれており、そのデータ量は比較的小さいので、全国分のデータを同じバージョンのものに書き換えてもその更新(データ取得)に要する時間がさほどかからず、比較的低コストで済むからである。一方、下層レベルの地図データには、上記の道路の情報に加えて更に細街路や市街図など詳細な情報が含まれており、そのデータ量は比較的大きいので、全国分のデータを更新するとそれに要する時間が相当かかる上、コスト的にも不利であるからである。
【0026】
また、本実施形態では図2に例示するように、一つのファイル内に地図データと共に道路形状データ、道路ネットワークデータ及び交差点案内データをまとめて格納(管理)するようになっている。ただし、格納するデータ量によっては二つ以上のファイルに分散させてもよい。上層レベルの地図データ(以下、単に「上層地図」ともいう。)については、上述したようにそのデータ量が小さいので、全国分のデータを1ファイル(図中、UMで示すファイル)として管理する。下層レベルの地図データ(以下、単に「下層地図」ともいう。)については、上述したようにそのデータ量が大きいので、都道府県別にそれぞれ1ファイル(図中、LM1,LM2,LM3で示すファイル)として管理する。さらに、各ファイルUM,LM1,LM2,LM3のヘッダには、それぞれ当該ファイルに格納されている地図データの「バージョン」を指示する情報(「Ver.1.0」,「Ver.2.0」,「Ver.3.0」など)が格納されている。つまり、地図データはその対応するバージョン情報に関連付けて格納されている。
【0027】
さらに、本実施形態では、上層地図及び下層地図は複数の地図メッシュ(以下、単に「メッシュ」という。)に分割されている。これらのうち下層地図、例えばA県の下層地図については、図3に例示するように、A県の領域のみに対応する部分のメッシュ(図3では「梨地模様」で示された部分:以下、「専有メッシュ」という。)31と、A県に隣接する行政区画(図3では、B県、C県)との境界領域に対応する部分のメッシュ(図3では「ハッチング」で示された部分:以下、「共有メッシュ」という。)34,35,36により構成されている。本実施形態では、特に隣り合う行政区画の境界を含むメッシュを共有メッシュであると定義する。なお、上層地図においては、上述したような共有メッシュはなく、専有メッシュのみにより構成されている。
【0028】
ところで、各行政区画の下層地図は、ユーザのファイルの更新状況によりバージョンの状態が種々ある。例えば図3に示した地図において、A県、B県及びC県の下層地図が全て同じバージョン(例えば、Ver.1.0)であるというケース(以下、このケースを「ケース1」という。)がある。このケース1のときには、下層地図には、図4に示すように、Ver.1.0のA県の専有メッシュ31a、Ver.1.0のB県の専有メッシュ32a、Ver.1.0のC県の専有メッシュ33a、A県とB県に関係するVer.1.0の共有メッシュ34a、A県とC県に関係するVer.1.0の共有メッシュ35a、及び、A県、B県及びC県に関係するVer.1.0の共有メッシュ36aが格納されている。
【0029】
また、図3に示した地図において、A県とB県の下層地図が同じバージョン(例えば、Ver.1.0)であり、A県とC県の下層地図が異なるバージョン(例えば、C県の下層地図がVer.2.0)であるというケース(以下、このケースを「ケース2」という。)がある。このケース2のときには、下層地図には、図5に示すように、Ver.1.0のA県の専有メッシュ31a、Ver.1.0のB県の専有メッシュ32a、Ver.2.0のC県の専有メッシュ33b、A県とB県に関係するVer.1.0の共有メッシュ34a、A県とC県に関係するVer.1.0の共有メッシュ35a及びVer.2.0の共有メッシュ35b、及び、A県、B県及びC県に関係するVer.1.0の共有メッシュ36a及びVer.2.0の共有メッシュ36bが格納されている。
【0030】
更に、図3に示した地図において、A県、B県及びC県の下層地図がそれぞれ異なるバージョンであるというケース(例えば、A県の下層地図がVer.1.0であり、B県の下層地図がVer.2.0であり、C県の下層地図がVer.3.0であるというケース:以下、このケースを「ケース3」という。)がある。このケース3のときには、下層地図には、図6に示すように、Ver.1.0のA県の専有メッシュ31a、Ver.2.0のB県の専有メッシュ32b、Ver.3.0のC県の専有メッシュ33c、A県とB県に関係するVer.1.0の共有メッシュ34a及びVer.2.0の共有メッシュ34b、A県とC県に関係するVer.1.0の共有メッシュ35a及びVer.3.0の共有メッシュ35c、及び、A県、B県及びC県に関係するVer.1.0の共有メッシュ36a、Ver.2.0の共有メッシュ36b及びVer.3.0の共有メッシュ36cが格納されている。
【0031】
なお、上述したケース1〜3のとき、HDD1には、B県とC県に関する下層地図のデータとして、これらの行政区画の共有メッシュ(図4〜図6では「白ヌキ」で示された部分)も格納されているが、本発明の要旨と直接関係しないので、このデータ構成についてはその説明を省略している。
【0032】
図4〜図6に示すように、HDD1においては、隣り合う行政区画において下層地図のバージョンが同じ場合(たとえば、隣り合う行政区画が図5に示すA県、B県である場合)には、一方の行政区画の下層地図の専有メッシュ(例えば、Ver.1.0のA県の専有メッシュ31a)と、他方の行政区画の下層地図の専有メッシュ(例えば、Ver.1.0のB県の専有メッシュ32a)が、これらの行政区画の共有メッシュ(例えば、Ver.1.0の共有メッシュ34a)を介して接続されるよう格納されている。一方、隣り合う行政区画において下層地図のバージョンが同じではない場合(たとえば、隣り合う行政区画が図5に示すA県、C県である場合)には、一方の行政区画の下層地図(例えば、Ver.1.0のA県の下層地図)と、他方の行政区画の下層地図(例えば、Ver.2.0のC県の下層地図)が、これらの行政区画の共有メッシュ(Ver.1.0の共有メッシュ35a及びVer.2.0の共有メッシュ35b)の部分で重複するよう格納されている。このような下層地図のデータ構成の違いは、地図データの行政区画別の更新により生じる。
【0033】
以上のように構成された車載用ナビゲーション装置20において、HDD1は「記録手段」(あるいは「記録媒体」)に対応し、情報再生機3は「第1の入力手段」に対応し、操作部2は「第2の入力手段」に対応する。
【0034】
以下、本実施形態に係る車載用ナビゲーション装置20において行う下層地図の更新に係る処理について、その処理フローの一例を示す図7を参照しながら説明する。なお、前提条件として、更新用ファイル(更新用の上層地図、下層地図など)が記録された記憶媒体が情報再生機3にセットされ、制御部12の制御により記憶媒体に記録されている更新用ファイルを選択するための更新用ファイル選択画面が表示装置6に表示されているものとする。そして、ユーザ(例えば、運転者)がリモコン(操作部2)を操作し、更新用ファイル選択画面に表示された更新用ファイルのうち、更新させたい行政区画(更新対象の行政区画)のファイルを選択したものとする。なお、本処理においては、更新対象としてA県を選択したものとする。
【0035】
このように更新させたい行政区画のファイルが選択された状態で、最初のステップS11では、制御部12において、更新用ファイルのバージョンを確認すると共に、HDD1に格納されている更新対象の行政区画のファイル、すなわち更新対象の行政区画の既存のファイルのバージョンを確認して、更新用ファイルのバージョンが既存のファイルのバージョンよりも新しい(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS12に進む。なお、ステップS11において判定結果がNOの場合、すなわち更新用ファイルのバージョンが既存のファイルのバージョンと同じか、それよりも旧い場合には、既存のファイルを更新する必要がないので、ユーザに更新対象の行政区画のファイルを新しいバージョンに更新する必要がないことを知らせるために、制御部12からの制御に基づき画像合成部17において、例えば「そのファイルは既に更新されています」といったメッセージ画像を生成し、表示装置6に表示する。そして、本処理は「終了」となる。
【0036】
ステップS12では、制御部12において、既存のファイルを新しいバージョンに更新する必要があるものと判断し、制御部12からの制御に基づき、情報再生機3において記憶媒体から更新対象の行政区画の更新用ファイルを読み出し、HDD1においてそれを格納する。本処理において更新対象の行政区画はA県である。更新用ファイルに含まれるA県の下層地図は、新しいバージョンのA県の専有メッシュ、A県とB県に関係する共有メッシュ、A県とC県に関係する共有メッシュ、及び、A県、B県及びC県に関係する共有メッシュにより構成されている。このステップS12により、HDD1には、既存の下層地図と、新たに格納されたA県の更新用の下層地図が格納されている状態となる。既存の下層地図については、前述したように地図データの行政区画別の更新によりデータ構成が異なっている。
【0037】
次のステップS13では、制御部12からの制御に基づきHDD1において、更新対象の行政区画の既存の下層地図のうち専有メッシュを削除する。この後、ステップS14に進む。
【0038】
ステップS14では、制御部12において、HDD1に格納されているファイルを確認し、更新対象の行政区画に隣接する行政区画の既存の下層地図が、全て更新対象の行政区画の既存の下層地図と同じバージョンである(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS15に進み、判定結果がNOの場合にはステップS17に進む。
【0039】
ステップS15では、隣接する行政区画の既存の下層地図に、まだ更新対象の行政区画の既存の下層地図と同じバージョンのものが存在するので、制御部12において、更新対象の行政区画の既存の下層地図の共有メッシュはまだ必要なものと判断し、HDD1に対してそのまま保存させる。そして、本処理は「終了」となる。
【0040】
一方、ステップS17では、制御部12において、隣接する行政区画の既存の下層地図に、更新対象の行政区画の既存の下層地図と同じバージョンのものがある(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS18に進み、判定結果がNOの場合にはステップS24に進む。
【0041】
ステップS18では、ステップS15と同様に、制御部12は、HDD1に対して更新対象の行政区画の既存の下層地図の共有メッシュをそのまま保存させる。この後、ステップS19に進む。
【0042】
ステップS19では、制御部12において、隣接する行政区画の既存の下層地図に、更新対象の行政区画の更新用の下層地図と同じバージョンのものがある(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS20に進み、判定結果がNOの場合にはステップS22に進む。
【0043】
ステップS20では、隣接する行政区画の既存の下層地図に、既に更新対象の行政区画の更新用の下層地図と同じバージョンのものが存在するので、制御部12からの制御に基づきHDD1において、当該隣接する行政区画の既存の下層地図の共有メッシュ、及び、更新対象の行政区画の更新用の下層地図の共有メッシュのうち当該隣接する行政区画に関する部分の一方を削除する。本実施形態においては、これらのうち更新対象の行政区画の更新用の下層地図の共有メッシュを削除するものとする。そして、本処理は「終了」となる。
【0044】
一方、ステップS22では、制御部12からの制御に基づきHDD1において、更新対象の行政区画の更新用の下層地図の共有メッシュを全て保持する。そして、本処理は「終了」となる。
【0045】
また、前述したようにステップS17において判定の結果がNOの場合には、ステップS24に進む。このステップS24では、隣接する行政区画の既存の下層地図に、更新対象の行政区画の既存の下層地図と同じバージョンのものが存在しないので、制御部12は、更新対象の行政区画の既存の下層地図の共有メッシュを保持する必要がないものと判断し、HDD1に対して当該共有メッシュを削除させる。この後、ステップS25に進む。
【0046】
ステップS25では、制御部12において、隣接する行政区画の既存の下層地図に、更新対象の行政区画の更新用の下層地図と同じバージョンのものがある(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS26に進み、判定結果がNOの場合にはステップS28に進む。
【0047】
ステップS26では、隣接する行政区画の既存の下層地図に、既に更新対象の行政区画の更新用の下層地図と同じバージョンのものが存在するので、ステップS20と同様に、制御部12は、HDD1に対して更新対象の行政区画の更新用の下層地図の共有メッシュのうち当該隣接する行政区画に関する部分を削除させる。そして、本処理は「終了」となる。
【0048】
一方、ステップS28では、制御部12からの制御に基づきHDD1において、更新対象の行政区画の更新用の下層地図の共有メッシュを全て保持する。そして、本処理は「終了」となる。
【0049】
ここで、上述した下層地図の更新に係る具体的な処理について、既存の下層地図のバージョンの状態がケース1〜3である場合を例にして説明する。
【0050】
まず、既存の下層地図のバージョンの状態がケース1である場合に、A県(更新対象の行政区画)の下層地図をVer.2.0に更新するときには、図7に示す処理フローのうちステップS11(YES)→ステップS12→ステップS13→ステップS14(YES)→ステップS15という処理が行われる。まず、ステップS12では、A県の更新用の下層地図がHDD1に格納される。なお、A県の更新用の下層地図は、Ver.2.0のA県の専有メッシュ31b、Ver.2.0のA県とB県に関係する共有メッシュ34b、Ver.2.0のA県とC県に関係する共有メッシュ35b、及び、Ver.2.0のA県、B県及びC県に関係する共有メッシュ36bにより構成されている。次に、ステップS13では、A県の既存の専有メッシュ(A県のVer.1.0の専有メッシュ)31aが削除される。そして、ステップS15では、A県に関する既存の共有メッシュ(A県に関するVer.1.0の共有メッシュ)34a,35a,36aが保持される。
【0051】
このようにして更新対象のA県の下層地図を更新したときには、図8、9に示すように、HDD1には、A県とB県については、A県の更新用の下層地図(専有メッシュ31b及び共有メッシュ34b)と、B県の既存の下層地図(専有メッシュ32a及び共有メッシュ34a)とが、これらの共有メッシュ34a,34bの部分で重複するよう格納される。また、A県とC県についても、A県の更新用の下層地図(専有メッシュ31b及び共有メッシュ35b)と、C県の既存の下層地図(専有メッシュ33a及び共有メッシュ35a)とが、これらの共有メッシュ35a,35bの部分で重複するよう格納される。
【0052】
既存の下層地図のバージョンの状態がケース2である場合に、A県の下層地図をVer.2.0に更新するときには、図7に示す処理フローのうちステップS11(YES)→ステップS12→ステップS13→ステップS14(NO)→ステップS17(YES)→ステップS18→ステップS19(YES)→ステップS20という処理が行われる。
【0053】
このとき、まず、ステップS12では、A県の更新用の下層地図がHDD1に格納される。次に、ステップS13では、A県の既存の専有メッシュ(A県のVer.1.0の専有メッシュ)31aが削除される。次に、ステップS18では、A県に関係する既存の共有メッシュ(A県に関係するVer.1.0の共有メッシュ)34a,35a,36aは保持される。そして、ステップS20では、A県の更新用の下層地図の共有メッシュのうちC県に関係する共有メッシュ35bが削除され、B県に関係する共有メッシュ34bは保持される。なお、ステップS20では、HDD1に既存の下層地図として既に共有メッシュ36bが格納されているので、A県の更新用の下層地図の共有メッシュ36bは削除される。
【0054】
このようにして更新対象のA県の下層地図を更新したときには、図10、11に示すように、HDD1には、A県とB県については、A県の更新用の下層地図(専有メッシュ31b及び共有メッシュ34b)と、B県の既存の下層地図(専有メッシュ32a及び共有メッシュ34a)とが、これらの共有メッシュ34a,34bの部分で重複するように格納される。一方、A県とC県については、A県の更新用の専有メッシュ31bと、B県の既存の専有メッシュ33bとが、これらの共有メッシュ35bを介して接続されるよう格納される。また、A県とC県については、隣接するB県の下層地図がまだVer.1.0なので、当該バージョンの共有メッシュ35aが格納(保持)されている。
【0055】
既存の下層地図のバージョンの状態がケース2である場合に、A県の下層地図をVer.3.0に更新するときには、図7に示す処理フローのうちステップS11(YES)→ステップS12→ステップS13→ステップS14(NO)→ステップS17(YES)→ステップS18→ステップS19(NO)→ステップS22という処理が行われる。
【0056】
このとき、まず、ステップS12では、A県の更新用の下層地図がHDD1に格納される。なお、A県の更新用の下層地図は、Ver.3.0のA県の専有メッシュ31c、Ver.3.0のA県とB県に関係する共有メッシュ34c、Ver.3.0のA県とC県に関係する共有メッシュ35c、及び、Ver.3.0のA県、B県及びC県に関係する共有メッシュ36cにより構成されている。次に、ステップS13では、A県の既存の専有メッシュ(A県のVer.1.0の専有メッシュ)31aが削除される。次に、ステップS18では、A県に関係する既存の共有メッシュ(A県に関係するVer.1.0の共有メッシュ)34a,35a,36aは保持される。そして、ステップS22では、A県の更新用の下層地図の共有メッシュ34c,35c,36cは全て保持される。
【0057】
このようにして更新対象のA県の下層地図を更新したときには、図12、13に示すように、HDD1には、A県とB県については、A県の更新用の下層地図(専有メッシュ31c及び共有メッシュ34c)と、B県の既存の下層地図(専有メッシュ32a及び共有メッシュ34a)とが、これらの共有メッシュ34a,34cの部分で重複するよう格納される。A県とC県についても、A県の更新用の下層地図(専有メッシュ31c及び共有メッシュ35c)と、C県の既存の下層地図(専有メッシュ33b及び共有メッシュ35b)とが、これらの共有メッシュ35b,35cの部分で重複するよう格納される。また、A県とC県については、隣接するB県の下層地図がまだVer.1.0なので、当該バージョンの共有メッシュ35aが格納(保持)されている。
【0058】
既存の下層地図のバージョンの状態がケース3である場合に、A県の下層地図をVer.2.0に更新されるとき、図7に示す処理フローのうちステップS11(YES)→ステップS12→ステップS13→ステップS14(NO)→ステップS17(NO)→ステップS24→ステップS25(YES)→ステップS26という処理が行われる。
【0059】
このとき、まず、ステップS12では、A県の更新用の下層地図がHDD1に格納される。次に、ステップS13では、A県の既存の専有メッシュ(A県のVer.1.0の専有メッシュ)31aが削除される。次に、ステップS24では、A県に関係する既存の共有メッシュ(A県に関係するVer.1.0の共有メッシュ)34a,35a,36aが削除される。そして、ステップS26では、A県の更新用の下層地図の共有メッシュのうち、B県に関係する共有メッシュ34bが削除され、C県に関係する共有メッシュ35bは保持される。
【0060】
このようにして更新対象のA県の下層地図を更新したときには、図14、15に示すように、HDD1には、A県とB県については、A県の更新用の専有メッシュ31bと、B県の既存の専有メッシュ32bが、これらの共有メッシュ34bを介して接続されるよう格納される。一方、A県とC県については、A県の更新用の下層地図(専有メッシュ31b及び共有メッシュ35b)と、C県の既存の下層地図(専有メッシュ33c及び共有メッシュ35c)とが、これらの共有メッシュ35b,35cの部分で重複するよう格納される。
【0061】
そして、既存の下層地図のバージョンの状態がケース3である場合に、A県の下層地図をVer.4.0に更新されるとき、図7に示す処理フローのうちステップS11(YES)→ステップS12→ステップS13→ステップS14(NO)→ステップS17(NO)→ステップS24→ステップS25(NO)→ステップS28という処理が行われる。
【0062】
このとき、まず、ステップS12では、A県の更新用の下層地図がHDD1に格納される。なお、A県の更新用の下層地図は、Ver.4.0のA県の専有メッシュ31d、Ver.4.0のA県とB県に関係する共有メッシュ34d、Ver.4.0のA県とC県に関係する共有メッシュ35d、及び、Ver.4.0のA県、B県及びC県に関係する共有メッシュ36dにより構成されている。次に、ステップS13では、A県の既存の専有メッシュ(A県のVer.1.0の専有メッシュ)31aが削除される。次に、ステップS24では、A県に関係する既存の共有メッシュ(A県に関係するVer.1.0の共有メッシュ)34a,35a,36aが削除される。そして、ステップS26では、A県の更新用の下層地図の共有メッシュ34d,35d,36dは全て保持される。
【0063】
このようにして更新対象のA県の下層地図を更新したときには、図16、17に示すように、HDD1には、A県とB県については、A県の更新用の下層地図(専有メッシュ31d及び共有メッシュ34d)と、B県の既存の下層地図(専有メッシュ32b及び共有メッシュ34b)とが、これらの共有メッシュ34b,34dの部分で重複するよう格納される。また、A県とC県についても、A県の更新用の下層地図(専有メッシュ31d及び共有メッシュ35d)と、C県の既存の下層地図(専有メッシュ33c及び共有メッシュ35c)とが、これらの共有メッシュ35c,35dの部分で重複するよう格納される。
【0064】
このように、本実施形態に係る車載用ナビゲーション装置20において行う地図データ(下層地図)の更新方法においては、情報再生機3を介して更新対象の行政区画の更新用の下層地図を入力して、更新対象の行政区画(例えば、A県)の下層地図を更新するときに、制御部12は、HDD1に格納されている既存の下層地図の内容を参照し、更新対象の行政区画に隣接する行政区画(例えば、B県、C県)の既存の下層地図に、更新対象の行政区画の更新用の下層地図と同じバージョンのものがあるか否かを判定し、更新対象の行政区画の更新用の下層地図と同じバージョンのものがないと判定した場合には、当該隣接する行政区画の既存の下層地図に対し、更新対象の行政区画の更新用の下層地図を、これらの行政区画の共有メッシュの部分で重複するようにHDD1に格納する。つまり、制御部12は、隣り合う行政区画の境界領域において、隣接する行政区画の既存の下層地図の共有メッシュを、更新対象の行政区画の更新用の下層地図の共有メッシュによって上書きするのではなく、これらの下層地図の共有メッシュを独立に存在させている。このため、隣り合う行政区画の境界領域(共有メッシュ)からは、どちらの行政区画の下層地図の専有メッシュに対してもリンクの接続性が保証される。
【0065】
なお、制御部12は、更新対象の行政区画の更新用の下層地図と同じバージョンのものがあると判定した場合には、更新対象の行政区画の更新用の下層地図のうち当該隣接する行政区画に関する部分、及び、当該隣接する行政区画の既存の下層地図の共有メッシュのうちの一方、例えば更新対象の行政区画の更新用の下層地図を削除し、当該隣接する行政区画の下層地図の専有メッシュに対し、更新対象の行政区画の更新用の下層地図の専有メッシュを、残した当該隣接する行政区画の既存の下層地図の共有メッシュを介して接続するようにHDD1に格納する。つまり、制御部12は、隣り合う行政区画の境界領域において、見かけ上、隣接する行政区画の既存の下層地図の共有メッシュを、更新対象の行政区画の更新用の下層地図の共有メッシュによって上書きするようにしている。
【0066】
本実施形態に係る車載用ナビゲーション装置20では、上述した本実施形態に係る地図データ(下層地図)の更新方法により更新された地図データを用いて経路探索を行っている。
【0067】
以下、本実施形態に係る車載用ナビゲーション装置20において行う経路探索に係る処理について、その処理フローの一例を示す図18を参照しながら説明する。
【0068】
前提条件として、ユーザがリモコン(操作部2)を操作して所望の出発地及び目的地を設定しているものとする。このように出発地(例えば、自車位置)と目的地が設定されている状態で、最初のステップS31では、制御部12において、出発地と目的地にそれぞれ対応する下層地図を参照して、出発地から目的地を結ぶ直線距離が下層地図の探索範囲内(例えば、10Km以内)にある(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS32に進み、判定結果がNOの場合にはステップS41に進む。このステップS41については後で説明する。
【0069】
ステップS32では、制御部12において、出発地が行政区画の境界付近にある(YES)か否(NO)かを判定する。すなわち、図3に示した地図においては、出発地が共有メッシュ内にある(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS33に進み、判定結果がNOの場合にはステップS35に進む。
【0070】
ステップS33では、制御部12において、目的地付近の下層地図のバージョンを確認し、当該下層地図を用いて出発地から目的地に至る誘導経路を横型探索法などにより探索する。例えば図19(a)に示すように、A県の下層地図が旧バージョン(Ver.1.0)であり、C県の下層地図が新バージョン(Ver.2.0)である場合に、出発地がA県とC県の境界付近の旧バージョンのA県にあり(出発地はC県にあってもよい)、目的地が新バージョンのC県にあるときには、新バージョンの共有メッシュ35bにより当該出発地及び目的地の間のリンクの接続性が保証されているので、制御部12において、Ver.2.0のC県の下層地図を用いて当該誘導経路を探索することが可能となる。また、図19(b)に示すように、出発地がA県とC県の境界付近の新バージョンのC県にあり(出発地はA県にあってもよい)、目的地が旧バージョンのA県にあるときには、旧バージョンの共有メッシュ35aにより当該出発地及び目的地の間のリンクの接続性が保証されているので、制御部12において、Ver.1.0のA県の下層地図を用いて当該誘導経路を探索することが可能となる。そして、本処理は「終了」となる。
【0071】
なお、このステップS33以降の処理については、制御部12の制御により、このステップS33で探索された誘導経路を、画像合成部17を介して表示装置6の画面に表示された地図画像上に重ね合わせて表示する。この画面上の誘導経路をユーザが確認し、リモコン(操作部2)を操作して「設定」を指示すると、当該誘導経路のデータが誘導経路記憶部15に格納される(ルート設定完了)。このようにしてルートの設定が行われると、以降、制御部12からの制御に基づき、誘導経路記憶部15に設定された誘導経路に従って経路案内が行われる。
【0072】
一方、ステップS35では、制御部12において、目的地が行政区画の境界付近にある(YES)か否(NO)かを判定する。すなわち、図3に示した地図においては、目的地が共有メッシュ内にある(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS36に進み、判定結果がNOの場合にはステップS38に進む。
【0073】
ステップS36では、制御部12において、出発地付近の下層地図のバージョンを確認し、当該下層地図を用いて出発地から目的地に至る誘導経路を探索する。例えば図20(a)に示すように、A県の下層地図が旧バージョン(Ver.1.0)であり、C県の下層地図が新バージョン(Ver.2.0)である場合に、出発地が新バージョンのC県にあり、目的地がA県とC県の境界付近の旧バージョンのA県にあるときには(目的地はC県にあってもよい)、新バージョンの共有メッシュ35bにより当該出発地及び目的地の間のリンクの接続性が保証されているので、制御部12において、Ver.2.0のC県の下層地図を用いて経路探索を行うことが可能となる。また、図20(b)に示すように、出発地が旧バージョンのA県にあり、目的地がA県とC県の境界付近の新バージョンのC県にあるときには(目的地はA県にあってもよい)、旧バージョンの共有メッシュ35aにより当該出発地及び目的地の間のリンクの接続性が保証されているので、制御部12において、Ver.1.0のA県の下層地図を用いて経路探索を行うことが可能となる。そして、本処理は「終了」となる。なお、このステップS36以降の処理については、前述したステップS33以降の処理と同じである。
【0074】
一方、ステップS38では、制御部12において、出発地及び目的地にそれぞれ対応する下層地図が同じバージョンである(YES)か否(NO)かを判定する。例えば、出発地及び目的地に対応する下層地図が同じバージョンであるときには、リンクの接続性が保証されるので、当該バージョンの下層地図を用いて経路探索を行うことが可能となる。一方、出発地及び目的地が境界付近になく、また出発地及び目的地にそれぞれ対応する下層地図が同じバージョンではないときには、リンクの接続性が保証されないので、下層地図を用いて経路探索を行うことができない。判定結果がYESの場合にはステップS39に進み、判定結果がNOの場合にはステップS41に進む。
【0075】
ステップS39では、制御部12において、当該バージョンの下層地図を用いて、出発地から目的地に至る誘導経路を探索する。そして、本処理は「終了」となる。なお、このステップS39以降の処理についても、前述したステップS33以降の処理と同じである。
【0076】
前述したように、ステップS32での判定結果が「NO」である場合や、ステップS38での判定結果が「NO」である場合には、ステップ41に進む。このステップS41では、制御部12において、最新のバージョンの上層地図を用いて誘導経路を探索する。すなわち、前述した特願2006−147687に記載された技術のように誘導経路を探索する。例えば、図3に示した地図において下層地図のバージョンの状態がケース2である場合、出発地が新バージョンのC県にあり、目的地が旧バージョンのA県にあるとき、制御部12において、まず、当該バージョンのC県の下層地図を参照して、その下層地図の道路データ上で出発地から至近距離にあるリンク(至近リンク)を検索し、その検索した当該至近リンクを出発地リンクに設定する。次に、上層地図(新バージョンの上層地図)を参照して、その上層地図の道路データ上で目的地から至近距離にあるリンク(至近リンク)を検索し、その検索した当該至近リンクを仮の目的地リンクに設定する。そして、上層地図を用いて当該出発地から当該仮の目的地に至る誘導経路を探索する。この後、本処理は「終了」となる。なお、このステップS41以降の処理についても、前述したステップS33以降の処理と同じである。
【0077】
このように、本実施形態に係る経路探索方法においては、前述した本実施形態に係る地図データの更新方法により更新されている下層地図を用いている。すなわち、隣り合う行政区画の境界領域において、下層地図のバージョンがそれぞれ異なっているときには、一方の行政区画の下層地図と、他方の行政区画の下層地図が、これらの下層地図の共有メッシュの部分で重複しているものを用いている。つまり、隣り合う行政区画の境界領域において、これらの下層地図の共有メッシュがそれぞれ独立に存在している。このため、隣り合う行政区画の境界領域(共有メッシュ)からは、どちらの行政区画の下層地図の専有メッシュに対してもリンクの接続性が保証されるので、ステップS33やステップS36に示すように、出発地に対応する下層地図と目的地に対応する下層地図が同じバージョンではない場合に、出発地及び目的地の少なくとも一方が行政区画の境界付近にあるときには、下層地図を用いて出発地から目的地に至る誘導経路を探索することができる。
【0078】
なお、上述した実施形態においては、隣り合う行政区画の境界を含むメッシュのことを「共有メッシュ」と定義しているが、かかる定義は限定的でないことはもちろんである。例えば、図3に示した地図において、A県に関する共有メッシュを、隣接するB県、C県の境界を含むメッシュ、A県から見たときにそのメッシュの1つ外側(B県側、C県側)のメッシュ、及び、そのメッシュの1つ内側(A県側)のメッシュとするように、隣り合う行政区画の境界領域を増やしたものとしてもよい。例えば、道路や施設の多い都市部では下層地図のデータの密度が高くなるので、1メッシュの面積を小さくしている(例えば、1メッシュを2.5km四方のものにしている)。反対に、道路や施設が少ない郊外部では下層地図のデータ密度が低くなるので、1メッシュの面積を大きくしている(例えば、1メッシュを10km四方のものとしている)。つまり、下層地図のデータ密度に応じて1メッシュの大きさは異なっている。図3に示した地図が都市部である場合においては、1メッシュの面積が小さいので、上述したように隣り合う行政区画の境界領域(すなわち、共有メッシュの領域)を増やしてもよい。
【0079】
また、上述した実施形態においては、下層地図を更新するときに、更新対象の行政区画の既存の専有メッシュを削除しているが、HDD1の容量に余裕がある場合には参照用として当該専有メッシュをそのまま保存させるようにしてもよい。
【0080】
さらに、上述した実施形態においては、更新用ファイルを光ディスクのような記憶媒体に記録しているが、メモリカードのような記憶媒体に記録してもよい。この場合には、情報再生機3を、記憶媒体に応じた機器に変更することはもちろんである。また、更新用ファイルを車両外部の情報センタから配信されるものとし、その更新用ファイルを携帯電話機や車載電話機等の通信手段を介して受信するような形態に変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施形態に係る車載用ナビゲーション装置の構成を示したブロック図である。
【図2】図1のHDDに格納される地図データの一例を示す図である。
【図3】行政区画(A県)の下層地図のデータ構成を示す図である。
【図4】A県、B県及びC県の下層地図が全て同じバージョンである場合(ケース1)のデータ構成の一例を示す図である。
【図5】A県とB県の下層地図が同じバージョンであり、A県とC県の下層地図が異なるバージョンである場合(ケース2)のデータ構成の一例を示す図である。
【図6】A県、B県及びC県の下層地図がそれぞれ異なるバージョンである場合(ケース3)のデータ構成の一例を示す図である。
【図7】図1のナビゲーション装置において行う地図データ(下層地図)の更新に係る処理の一例を示すフロー図である。
【図8】既存の下層地図のバージョンの状態がケース1である場合にA県の下層地図をVer.2.0に更新したときの下層地図のデータ構成を概略的に示す図(その1)である。
【図9】既存の下層地図のバージョンの状態がケース1である場合にA県の下層地図をVer.2.0に更新したときの下層地図のデータ構成を概略的に示す図(その2)である。
【図10】既存の下層地図のバージョンの状態がケース2である場合にA県の下層地図をVer.2.0に更新したときの下層地図のデータ構成を概略的に示す図(その1)である。
【図11】既存の下層地図のバージョンの状態がケース2である場合にA県の下層地図をVer.2.0に更新したときの下層地図のデータ構成を概略的に示す図(その2)である。
【図12】既存の下層地図のバージョンの状態がケース2である場合にA県の下層地図をVer.3.0に更新したときの下層地図のデータ構成を概略的に示す図(その1)である。
【図13】既存の下層地図のバージョンの状態がケース2である場合にA県の下層地図をVer.3.0に更新したときの下層地図のデータ構成を概略的に示す図(その2)である。
【図14】既存の下層地図のバージョンの状態がケース3である場合にA県の下層地図をVer.2.0に更新したときの下層地図のデータ構成を概略的に示す図(その1)である。
【図15】既存の下層地図のバージョンの状態がケース3である場合にA県の下層地図をVer.2.0に更新したときの下層地図のデータ構成を概略的に示す図(その2)である。
【図16】既存の下層地図のバージョンの状態がケース3である場合にA県の下層地図をVer.4.0に更新したときの下層地図のデータ構成を概略的に示す図(その1)である。
【図17】既存の下層地図のバージョンの状態がケース3である場合にA県の下層地図をVer.4.0に更新したときの下層地図のデータ構成を概略的に示す図(その2)である。
【図18】図1のナビゲーション装置において行う経路探索に係る処理の一例を示すフロー図である。
【図19】出発地が境界領域付近にある場合における経路探索に用いる下層地図を選択する条件を示す図である。
【図20】目的地が境界領域付近にある場合における経路探索に用いる下層地図を選択する条件を示す図である。
【図21】従来技術の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
【0082】
1…HDD、
2…操作部、
3…情報再生機、
4…GPS受信機、
5…自立航法センサ、
6…表示装置、
10…ナビゲーション装置本体、
12…制御部、
13…地図描画部、
14…操作画面・マーク発生部、
15…誘導経路記憶部、
16…誘導経路描画部、
17…画像合成部、
31,31a,31b,31c,31d…A県の専有メッシュ、
32,32a,32b…B県の専有メッシュ、
33,33a,33b,33c…C県の専有メッシュ、
34,34a,34b,34c,34d…A県とB県に関係する共有メッシュ、
35,35a,35b,35c,35d…A県とC県に関係する共有メッシュ、
36,36a,36b,36c,36d…A県、B県及びC県に関係する共有メッシュ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主要な道路の情報及び詳細な情報を含み、行政区画別に更新され且つそれぞれの更新に応じた各バージョン情報が付与されると共に、複数のメッシュに分割され、隣り合う行政区画の境界領域に対応した部分の共有メッシュと、該境界領域以外の行政区画の領域に対応した部分の専有メッシュとにより構成された下層レベルのデータを含む地図データを格納した記憶手段と、
更新用の地図データを入力する第1の入力手段と、
前記記憶手段及び第1の入力手段に動作可能に接続された制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記第1の入力手段を介して更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータを更新するときに、前記記憶手段に格納されている既存の地図データの内容を参照し、当該更新対象の行政区画に隣接する行政区画の既存の下層レベルのデータが、当該更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータと同じバージョンではないと判定した場合に、当該隣接する行政区画の既存の下層レベルのデータに対し、当該更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータを、これらのデータの共有メッシュの部分で重複するように前記記憶手段に格納することを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記制御手段は、当該更新対象の行政区画に隣接する行政区画の既存の下層レベルのデータが、当該更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータと同じバージョンであると判定した場合に、当該更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータの共有メッシュのうち当該隣接する行政区画に関する部分、及び、当該隣接する行政区画の既存の下層レベルのデータの共有メッシュの一方を削除して、当該隣接する行政区画の既存の下層レベルのデータに対し、当該更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータの専有メッシュを、残した他方の共有メッシュを介して接続するように前記記憶手段に格納することを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1の入力手段を介して更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータを更新するときに、さらに当該更新対象の行政区画の既存の下層レベルのデータのうち専有メッシュを削除することを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第1の入力手段を介して更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータを更新するときに、さらに当該更新対象の行政区画に隣接する行政区画の既存の下層レベルのデータに、当該更新対象の行政区画の既存の下層レベルのデータと同じバージョンのものがないと判定した場合に、当該更新対象の行政区画の既存の下層レベルのデータのうち共有メッシュを削除することを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1の入力手段を介して更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータを更新するときに、さらに当該更新対象の行政区画に隣接する行政区画の既存の下層レベルのデータに、当該更新対象の行政区画の既存の下層レベルのデータと同じバージョンのものがあると判定した場合に、当該更新対象の行政区画の既存の下層レベルのデータの共有メッシュを保持することを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
さらに前記制御手段と動作可能に接続され、ユーザが指示する情報を入力する第2の入力手段を備え、
前記制御手段は、前記第2の入力手段を介して出発地及び目的地が設定されたときに、当該出発地及び当該目的地に対応する前記下層レベルのデータをそれぞれ参照し、当該出発地が前記共有メッシュ内にあると判定した場合に、当該目的地に対応する行政区画の下層レベルのデータを用いて当該出発地から当該目的地に至る経路を探索することを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第2の入力手段を介して出発地及び目的地が設定されたときに、当該出発地及び当該目的地に対応する前記下層レベルのデータをそれぞれ参照し、当該目的地が前記共有メッシュ内にあると判定した場合に、当該出発地に対応する行政区画の下層レベルのデータを用いて当該出発地から当該目的地に至る経路を探索することを特徴とする請求項6に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項8】
前記記憶手段に格納される地図データは、主要な道路の情報を含み、全国分について更新され且つその更新に応じたバージョン情報が付与された上層レベルのデータを含むことを特徴とする請求項6に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記第2の入力手段を介して出発地及び目的地が設定されたときに、当該出発地及び当該目的地が前記共有メッシュ内になく、且つ、当該出発地に対応する行政区画の下層レベルのデータと当該目的地に対応する行政区画の下層レベルのデータが同じバージョンではないと判定した場合に、前記上層レベルのデータを用いて当該出発地から当該目的地に至る経路を探索することを特徴とする請求項8に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項10】
地図データを更新する機能を備えた車載用ナビゲーション装置において、
前記地図データとして、主要な道路の情報及び詳細な情報を含み、行政区画別に更新され且つそれぞれの更新に応じた各バージョン情報が付与されると共に、複数のメッシュに分割され、隣り合う行政区画の境界領域に対応した部分の共有メッシュと、該境界領域以外の行政区画の領域に対応した部分の専有メッシュとにより構成された下層レベルのデータを含むものを記録媒体に格納しておき、
更新対象の行政区画の下層レベルのデータを更新する際に、更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータを入力する第1のステップと、
前記記録媒体に格納されている既存の地図データの内容を参照し、当該更新対象の行政区画に隣接する行政区画の既存の下層レベルのデータが、当該更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータと同じバージョンであるか否かを判定する第2のステップと、
当該更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータと同じバージョンではないと判定した場合に、当該隣接する行政区画の既存の下層レベルのデータに対し、当該更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータを、これらのデータの共有メッシュの部分で重複するように前記記録媒体に格納する第3のステップとを含むことを特徴とする地図データの更新方法。
【請求項11】
前記第2のステップにおいて、当該更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータと同じバージョンであると判定した場合に、当該更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータの共有メッシュのうち当該隣接する行政区画に関する部分、及び、当該隣接する行政区画の既存の下層レベルのデータの共有メッシュの一方を削除し、当該隣接する行政区画の既存の下層レベルのデータに対し、当該更新対象の行政区画の更新用の下層レベルのデータの専有メッシュを、残した他方の共有メッシュを介して接続するように前記記録媒体に格納することを特徴とする請求項10に記載の地図データの更新方法。
【請求項12】
前記第1のステップと前記第2のステップとの間において、さらに当該更新対象の行政区画の既存の下層レベルのデータのうち専有メッシュを削除するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の地図データの更新方法。
【請求項13】
前記第1のステップと前記第2のステップとの間において、さらに当該更新対象の行政区画に隣接する行政区画の既存の下層レベルのデータに、当該更新対象の行政区画の既存の下層レベルのデータと同じバージョンのものがあるか否かを判定する第3のステップを含み、当該更新対象の行政区画の既存の下層レベルのデータと同じバージョンのものがないと判定した場合に、当該更新対象の行政区画の既存の下層レベルのデータのうち共有メッシュを削除することを特徴とする請求項10に記載の地図データの更新方法。
【請求項14】
前記第4のステップにおいて、当該更新対象の行政区画の既存の下層レベルのデータと同じバージョンのものがあると判定した場合に、当該更新対象の行政区画の既存の下層レベルのデータの共有メッシュを保持することを特徴とする請求項13に記載の地図データの更新方法。
【請求項15】
地図データを用いて設定された出発地から目的地に至る経路を探索する機能を備えた車載用ナビゲーション装置において、
前記地図データとして、主要な道路の情報を含み、全国分について更新され且つその更新に応じたバージョン情報が付与された上層レベルのデータと、前記主要な道路の情報に加えて更に詳細な情報を含み、行政区画別に更新され、それぞれの更新に応じた各バージョン情報が付与されると共に、複数のメッシュに分割され、隣り合う行政区画の境界領域に対応した部分の共有メッシュと、該境界領域以外の行政区画の領域に対応した部分の専有メッシュとにより構成された下層レベルのデータとを含み、隣り合う行政区画において下層レベルのデータのバージョンが異なる場合には一方の行政区画の下層レベルのデータを、他方の行政区画の下層レベルのデータと、これらの共有メッシュの部分で重複するように記録媒体に格納しておき、
出発地及び目的地が設定されたときに、当該出発地及び当該目的地に対応する前記下層レベルのデータをそれぞれ参照し、当該出発地が前記共有メッシュ内にあるか否かを判定する第1のステップと、
当該出発地が前記共有メッシュ内にあると判定した場合に、当該目的地に対応する行政区画の下層レベルのデータを用いて当該出発地から当該目的地に至る経路を探索する第2のステップとを含むことを特徴とする経路探索方法。
【請求項16】
前記第1のステップにおいて、当該出発地が前記共有メッシュ内にないと判定した場合に、さらに当該目的地が前記共有メッシュ内にあるか否かを判定する第3のステップを有し、当該目的地が前記共有メッシュ内にあると判定した場合に、当該出発地に対応する行政区画の下層レベルのデータを用いて当該出発地から当該目的地に至る経路を探索することを特徴とする請求項15に記載の経路探索方法。
【請求項17】
前記第3のステップにおいて、当該目的地が前記共有メッシュ内にないと判定した場合に、当該出発地に対応する下層レベルのデータと当該目的地に対応する下層レベルのデータが同じバージョンのものであるか否かを判定するステップを有し、これらのデータが同じバージョンのものではないと判定した場合に、前記上層レベルのデータを用いて当該出発地から当該目的地に至る経路を探索することを特徴とする請求項16に記載の経路探索方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−80079(P2009−80079A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251190(P2007−251190)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】