説明

車載用ナビゲーション装置及びプログラム

【課題】VICS情報等の交通情報が提供される道路で発生した渋滞を避けて経路計算した結果、交通状況が不明な道路や運転者にとって走行しづらい道路を優先的に経路に採用してしまう問題を解決する。
【解決手段】処理対象のリンクがVICSリンクである場合(S110:YES)、このリンクに対応する渋滞情報の内容を判定する(S120)。当該リンクの渋滞度が「順調」又は「混雑」の何れかである場合(S120:「順調」/「混雑」)、当該リンクのコストを初期値から所定の値分だけ下げる(S130)。一方、当該リンクがVICSリンクではない場合(S110:NO)、あるいは当該リンクの渋滞度が「渋滞」である場合(S120:「渋滞」)、当該リンクのコストの引き下げは行わない。経路計算の対象となる各リンクに対して順次コスト調整を実施した後、目的地までの総コストが最も低い最適経路を算出する(S150)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VICSデータ等の交通情報を取得し、これを利用して目的地までの経路を算出するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置の根幹をなす機能として、目的地までの経路を計算する機能がある。近年、外部から交通情報等の様々な情報を取得し、これをパラメータとして用いて経路を設定する機能を有するナビゲーション装置が広く普及している。例えば、特許文献1には、外部から受信したリアルタイムの渋滞情報に基づき現在位置から目的地までの経路を探索し、現経路より適切な新経路を見出した場合には、これをドライバに提示する技術が開示されている。
【0003】
この種のナビゲーション装置で行われる経路計算に利用可能な交通情報を提供するシステムとして、例えばVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)のような交通情報データサービスが存在する。この種の交通情報データサービスでは、例えばFM多重放送、あるいは光や電波ビーコン装置等を利用して走行中の車両に対して交通情報をリアルタイムで送信する。
【0004】
VICSを例にとって説明すると、交通情報を収集するVICSセンタから提供される道路交通情報(VICS情報)は、その表示形態によってレベル1〜3に区分けされている。具体的には、レベル1は、文字のみによってVICS情報を表示する形態である。レベル2は、渋滞・規制・事故等の情報をパターン化された簡易図形や文字によって表示する形態である。そして、レベル3は、ナビゲーション装置の地図表示画面上にVICS情報を重ね描きする形態である。例えば、レベル3のVICS情報として、道路ごとの交通量をその混み具合に応じて「渋滞」、「混雑」、「順調」の3段階で示した情報が提供される。
【0005】
ナビゲーション装置では、道路ごとの交通量を示したレベル3のVICS情報を経路計算に利用することで、渋滞を避けるような経路を設定できる。そして、このVICS情報を反映した経路をユーザに提示することで、車両の円滑な走行を補助し、ユーザに対する利便性を向上している。具体的には受信したVICS情報によって「渋滞」あるいは「混雑」と示されている道路に対しては、経路計算時に当該道路に該当するリンクのコストを一時的に上げるといった処理が行われるのが一般的である。「渋滞」や「混雑」と示されているリンクのコストを他のリンクに対して相対的に上げてやることで、経路計算の際に「渋滞」や「混雑」のリンクが経路に採用されるのを避けることができる。
【特許文献1】特開平7−83685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、上述のようなVICS情報を提供するシステムは、全ての道路に対して整備されているわけではなく、VICS情報の提供対象となっている道路(以下、VICSリンクとも称する)と、VICS情報の提供対象となっていない道路(以下、非VICSリンク)とが混在するのが現状である。したがって、非VICSリンクに関しては、VICS情報によって「渋滞」、「混雑」、「順調」といった交通状況を把握することはできない。
【0007】
上述のように渋滞を避けるような経路計算を行う上で、VICS情報で「渋滞」や「混雑」と示されるVICSリンクのコストを上げてやることで、この「渋滞」のVICSリンクを目的地の経路から外すことができる。その一方で、「渋滞」や「混雑」のVICSリンクを迂回することに伴って「順調」のVICSリンクや非VICSリンクを優先的に利用する経路になりやすい。ここで、「渋滞」や「混雑」のVICSリンクを避けて「順調」のVICSリンクを経路に優先的に採用することに問題はない。しかし、非VICSリンクを経路に採用する場合、そもそも非VICSリンクにはVICS情報が提供されていないため、経路に採用した非VICSリンク上の交通状況が順調であるかどうか自体が不明であるという問題がある。つまり、「渋滞」や「混雑」の発生しているVICSリンクを避けて目的地までの経路を算出した結果、渋滞が発生している非VICSリンクを経路に採用してしまうといった具合に、現実の交通状況に即さない経路を設定してしまうおそれがある。また、VICSは幹線道路等の重要な道路を優先して整備され、支線や裏道・細道といった主要でない道路には整備されていないことが多い。よって、渋滞を避けて非VICSリンクを経路として優先的に採用すると、運転者にとって走行しづらい経路を案内してしまう結果となるおそれもある。
【0008】
本発明は、VICS情報等の交通情報が提供される道路で発生した渋滞を避けるように経路を設定した結果、交通状況が不明で渋滞が発生しているかもしれない道路や運転者にとって走行しづらい道路を優先的に経路に採用してしまうことがあるという問題に着目し、これを解決するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置は、道路のリンクに設定されたコストに基づくコスト計算によって現在位置から目的地までの最適経路を探索する車載用ナビゲーション装置であって、取得手段とコスト変更手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
取得手段は、交通情報の提供対象である道路の交通量を、交通量が最も多い段階から最も少ない段階までを複数の段階に分けたうちの、何れかの段階で示した交通情報を提供する外部の発信源から発信される交通情報を取得する。コスト変更手段は、目的地までの経路探索のためのコスト計算の対象となるリンクに該当する道路が、交通情報の提供対象であり、かつ取得手段により取得した当該道路の交通情報が相対的に交通量の多い所定の高交通量段階以外の何れかの段階である場合、当該リンクのコストを初期値から低減してコスト計算に供する。
【0011】
このように構成された車載用ナビゲーション装置によれば、交通量を複数の段階で示した交通情報に基づき、所定の高交通量の段階(例えば、渋滞)に該当するリンクのコストを上昇させる代わりに、高交通量段階以外の段階のリンクのコストを低減する。ただし、コストを低減する対象となるリンクは、交通情報の提供対象である道路に該当するリンク(例えばVICSリンク)のみであり、交通情報の提供対象でない道路(例えば非VICSリンク)に該当するリンクに対してはコストを低減しない。
【0012】
このようにすることで、交通情報が提供されないために交通状況が不明であるリンクのコストに対して、交通情報によって渋滞の発生していないことが明確であるリンクのコストが相対的に下がる方向にコストが調整される。その結果、経路計算時において、渋滞の発生している道路を避けると共に、交通情報が提供されていない道路よりも交通情報が提供され、かつ渋滞が発生していない道路を優先的に利用することができ、現実の交通状況に即した適切な経路を設定できる。
【0013】
ところで、本発明の車載用ナビゲーション装置の取得手段が取得する交通情報としては、例えば、請求項2に記載のように、交通情報の提供対象である道路の交通量を、交通量が最も多い程度であること示す第1段階、交通量が中程度であることを示す第2段階、交通量が最も少ない程度であることを示す第3段階の何れかで示したものとすることが考えられる。そして、コスト変更手段は、目的地までの経路探索のためのコスト計算の対象となるリンクに該当する道路が、交通情報の提供対象であり、かつ取得手段により取得した当該道路の交通情報が第2段階又は第3段階の何れかである場合、当該リンクのコストを初期値から低減してコスト計算に供する。なお、上記第1〜3段階の交通量をVICSのレベル3の交通情報の例に当てはめると、第1段階が「渋滞」、第2段階「混雑」、第3段階が「順調」となる。
【0014】
このように構成された車載用ナビゲーション装置によれば、現に渋滞している道路や、渋滞しているのかどうも分からない道路、あるいは細い裏道等を避けて、多少混雑していても結果的に早く目的地へ到達できる可能性が高い経路を算出できる。
【0015】
つぎに、請求項3に記載の車載用ナビゲーション装置は以下のような特徴を有する。すなわち、コスト変更手段は、交通情報に基づく当該道路の交通量の時間的増減傾向に応じて、当該リンクに対するコストの低減を実行するか否かを更に判定する。このようにすることで、交通量の増減傾向を加味した態様にてリンクのコストの低減を実施でき、より実状に即した経路を設定できる。
【0016】
上述のレベル3のVICS情報を例にとって説明する。例えば、従前のVICS情報により「渋滞」となっていた道路がVICS情報の更新によって「混雑」へと変化した場合、すなわち当該道路の交通量が減少傾向を示す場合、車両が現地へ到達するまでに交通状況が更に改善している可能性が高いと考えられる。反対に、従前のVICS情報により「順調」となっていた道路がVICS情報の更新によって「混雑」へと変化した場合、すなわち当該道路の交通量が増加傾向を示す場合は、車両が現地へ到達するまでに交通状況が更に悪化している可能性が高いと考えられる。そこで、VICS情報が「渋滞」から「混雑」へと変化した場合のように交通量が減少傾向を示す場合に、当該「混雑」のVICSリンクからコストを低減し、VICS情報が「順調」から「混雑」へと変化した場合のように交通量が増加傾向を示す場合は、当該「混雑」のVICSリンクに対してはコストを低減しないといった運用をすることが考えられる。このようにすることで、交通情報に基づく交通量の増減傾向を考慮した適切な経路を設定できる。
【0017】
つぎに、請求項4に記載の車載用ナビゲーション装置は以下のような特徴を有する。すなわち、コスト変更手段は、当該道路と車両の現在位置との遠近度合に応じて、当該リンクに対するコストの低減を実行するか否かを更に判定する。このようにすることで、車両の現在位置とコストの操作対象となるリンクとの距離に応じて、リンクのコストの低減を実施でき、より実状に即した経路を設定できる。
【0018】
上述のレベル3のVICS情報を例にとって説明する。例えば、VICS情報により「混雑」あるいは「順調」となっている道路が車両の現在位置から比較的近い位置に存在する場合、車両がその道路へ到達するのに要する時間は短く、車両がそこまで移動する間の交通状況の変化は僅かであると考えられる。一方、VICS情報により「混雑」あるいは「順調」となっている道路が車両の現在位置から比較的遠い位置に存在する場合、車両がその道路へ到達するのに要する時間は長く、車両がそこまで移動する間に当該道路の交通状況が変化する可能性があり、現在の交通情報では車両が実際に現地へ到達する頃の交通状況は不確定である。つまり、経路計算時には「混雑」あるいは「順調」であった道路が、現地に到達する頃には「渋滞」となっており、交通状況が悪化していることも考えられる。
【0019】
そこで、次のような運用をすることが考えられる。VICS情報が「混雑」あるいは「順調」となっている道路が現在位置から所定の近距離範囲内に存在する場合は、当該VICSリンクからコストを低減することで、当該「渋滞」あるいは「順調」の道路を優先的に経路に採用する。一方、VICS情報が「混雑」あるいは「順調」となっている道路が現在位置から所定の近距離範囲内よりも遠い位置に存在する場合は、車両が到達する頃の交通情報は不確定であるので、当該VICSリンクに対してはコストを低減しないといった運用をする。このようにすることで、車両が移動する間の交通状況の変化を考慮した態様にて経路を設定できる。
【0020】
つぎに請求項5に記載の車載用ナビゲーション装置は、以下のような特徴を有する。すなわち、コスト変更手段は、当該道路と高交通量段階に該当する他の道路との遠近度合に応じて、当該リンクに対するコストの低減を実行するか否かを更に判定する。このようにすることで、経路から除外すべき高交通量(例えば渋滞)の道路とコスト操作対象の道路との位置関係に応じてコストの低減を実施でき、より実状に即した経路を設定できる。
【0021】
上述のレベル3のVICS情報を例にとって説明する。例えば、VICS情報により「渋滞」となっている道路の近隣に位置する「混雑」の道路は、「渋滞」の道路からの車両の流入や当該「渋滞」の道路を回避する車両の流入等の要因により、近隣に「渋滞」の道路が存在しない場合と比較して交通量が多いものと考えられる。
【0022】
そこで、VICS情報が「混雑」となっている道路が「渋滞」となっている道路から所定の近距離範囲内に存在する場合、当該VICSリンクに対してはコストを低減せず、VICS情報が「混雑」となっている道路の近隣に「渋滞」となっている道路が存在しない場合に、当該VICSリンクからコストを低減するといった運用をすることが考えられる。このようにすることで、「渋滞」の道路と「混雑」の道路との位置関係に基づき、「渋滞」の道路が他の道路の交通量に与える影響を考慮した態様にて経路を設定できる。
【0023】
以上で説明したような車載用ナビゲーション装置におけるコスト変更手段をコンピュータシステムで実現するには、請求項6に記載のようにコンピュータシステム上で稼働するプログラムとして備えればよい。このようなプログラムは、例えば、磁気/光/光磁気ディスク、ハードディスク、ROM、RAM等のコンピュータにて読取可能な記憶媒体に記録し、必要に応じてコンピュータにロードすることにより、上記コスト変更手段としての機能を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
[車載用ナビゲーション装置1の構成の説明]
図1は、本発明の一実施形態である車載用ナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0025】
図1に示すように、車載用ナビゲーション装置1は、車両の現在位置を検出する位置検出器21と、ユーザから各種指示を入力するための操作スイッチ群22と、地図データやプログラム等の各種データを記憶する外部記憶装置であるハードディスクドライブ(以下、HDD)24と、各種情報を記憶するための外部メモリ25と、地図表示画面等の各種表示を行うための表示装置26と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力装置27と、VICSセンタ4からFM放送局や電波ビーコン発信機、光ビーコン発信機を介して送信されるVICS情報を受信するためのVICS受信機28と、制御部29とを備える。
【0026】
位置検出器21は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナを介して受信し、車両の位置等を検出するGPS受信機21aと、車両に加えられる回転運動の角速度に応じた検出信号を出力するジャイロスコープ21bと、車両の速度に応じた検出信号を出力する車速センサ21cとを備えている。そして、これら各センサ等21a〜21は、各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら使用するように構成されている。
【0027】
操作スイッチ群22は、表示装置26と一体に構成され表示画面上に設置されるタッチパネル及び表示装置26の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等によって構成される。
【0028】
HDD24は、制御部29からの制御に基づいてハードディスクからデータを読み出し、これを制御部29へ入力する。このHDD24が記憶しているデータは、地図データ、上述の位置検出制度向上のためのマップマッチングデータ、経路案内用データ、車載用ナビゲーション装置1の作動のためのプログラム等である。地図画像の表示や目的地までの経路計算に用いられる地図データとしては、道路の接続状況を示すデータ(道路ネットワークデータ)があるが、この道路ネットワークデータのフォーマットには、リンク情報、ノード情報及びリンク間接続情報がある。リンク情報としては、リンクを特定するための固有の番号である「リンクID」や、例えば高速道路、有料道路、一般道路あるいは取付道等を識別するための「リンククラス」や、リンクの「始端座標」及び「終端座標」や、リンクの長さを示す「リンク長」や、リンクのコスト示す「リンクコスト」等のリンク自体に関する情報がある。一方、ノード情報としては、リンクを結ぶノード固有番号である「ノードID」や、交差点での右左折禁止や信号機の有無を示す情報等がある。また、リンク間接続情報には、例えば一方通行等の有無により通行が可能か不可能かを示すデータ等が定義されている。
【0029】
外部メモリ25は、例えば電気的に書き替え可能な不揮発性の半導体メモリ等が用いられ、各種情報を記憶する。表示装置26は、液晶ディスプレイ等の表示面を有するカラー表示装置であり、制御部29からの映像信号の入力に応じて各種画像を表示面に表示可能である。例えば、ナビゲーション画面として、位置検出器21にて検出した車両の現在位置を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種ランドマークのシンボル等の付加データとが重ねて表示される。また、VICS受信機28によって受信したVICS情報が、制御部29によって適宜加工されて表示される。音声出力装置27は、各種情報を音声にてユーザに報知するためのものである。これにより、ルート案内等の各種案内を表示装置26による表示と音声出力装置27からの音声出力との両方で実行できる。
【0030】
VICS受信機28は、各地域のFM局から放送されるデジタル形式のVICS情報を、FM多重アンテナ(図示なし)を介して受信・復調する。また、高速道路上の電波ビーコン発信機、一般道路上の光ビーコン発信機から送信されるデジタル形式のVICS情報を、ビーコンレシーバ(図示なし)を介して受信・復調する。このVICS受信機28によって受信したVICS情報は、デジタルデータとして制御部29へ送られる。
【0031】
VICS受信機28が受信するVICS情報には、VICSセンタ4が各地から収集し編集した広域から直近の道路の詳細までのその場所で必要となる様々な交通情報が含まれる。例えば、FM多重放送では、都道府県単位の広域の交通情報が提供される。また、電波ビーコン発信機からは、進行方向の前方200km程度の高速道路の情報やインターチェンジ付近の接続道路や平行する一般道路情報などが提供される。また、光ビーコン発信機からは、進行方向の前方30km、後方1kmの一般道路と高速道路の情報が提供される。
【0032】
さらに、VICS情報は、その表示態様に応じてレベル1〜3に分類されている。例えば、レベル1は、文字のみによってVICS情報を表示する形態である。レベル2は、渋滞・規制・事故等の情報をパターン化された簡易図形や文字によって表示する形態である。そして、レベル3は、ナビゲーション装置の地図表示画面上にVICS情報を重ね描きする形態である。特に、レベル3のVICS情報では、渋滞情報として、道路ごとの交通量をその混み具合に応じて「渋滞」、「混雑」、「順調」の3段階で示した情報が提供される。
【0033】
制御部29は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、上述した各部構成を制御する。この制御部29は、ROMやHDD24等から読み出したプログラムに従って、各種処理を実行する。
【0034】
例えば、ナビゲーション関係の処理としては、地図表示処理や経路案内処理等が上げられる。地図表示処理は、位置検出器21からの各種検出信号に基づいて座標及び進行方向の組として車両の現在位置を算出し、HDD24から読み込んだ現在位置付近の地図等を表示する処理である。また、経路案内処理は、HDD24に格納されている地図データと、操作スイッチ群22の操作によって指定された目的地とに基づいて、現在位置から目的地までの最適な経路を算出し、その算出した経路に対する走行案内を行う処理である。このように自動的に最適な経路を設定する手法として、ダイクストラ法によるコスト計算等の手法が知られている。
【0035】
また、VICS関係の処理としては、VICS受信機28によって取得したVICS情報を、レベルに応じた文字情報や画像情報へと変換し、これを表示装置26に表示する。
さらに、制御部29は、本発明の特徴的な処理として、上述の経路設定に際して、VICS受信機28によって取得したレベル3のVICS情報の渋滞情報(「渋滞」、「混雑」、「順調」)に基づいて、VICS情報が提供された道路(VICSリンク)に対するコストの調整を行う処理を実行する。この一連の処理に関する詳細な説明は後述する。
【0036】
[経路計算処理(第1実施形態)の説明]
つぎに、制御部29が実行する経路計算処理の第1実施形態の内容について、図2及び図3を参照して説明する。
【0037】
図2は、制御部29が実行する経路計算処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、ユーザから指定された目的地までの最適経路を計算するのに伴いVICS情報に基づいてリンクのコストを調整するための処理であり、車両の出発前にユーザの指示により開始したり、既に設定済みの経路を走行中にVICS受信機28により現在位置周辺の新たなVICS情報を取得する都度、再度経路を計算する際に実行される。
【0038】
制御部29は、処理を開始すると、ユーザにより指定された目的地までの経路計算の対象となるリンク群のうち、未処理のリンクを1つ処理対象にセットする(S100)。そして、この処理対象のリンクがレベル3のVICS情報が提供されているVICSリンクであるか否かを判定する(S110)。すなわち、ここでは処理対象のリンクに該当する道路に関するVICS情報を取得しているかどうかを判定する。
【0039】
S110で処理対象のリンクがVICSリンクであると判定した場合(S110:YES)、この処理対象のリンクに対して提供されているレベル3のVICS情報に含まれる渋滞情報の内容を判定する(S120)。ここでは、処理対象のリンクの渋滞度が「渋滞」、「混雑」又は「順調」の何れかであるかを判定する。そして、処理対象のリンクの渋滞度が「順調」又は「混雑」の何れかであると判定した場合(S120:「順調」/「混雑」)、処理対象のリンクのコストを初期値から所定の値分だけ下げて(S130)、S140へ移行する。なお、リンクのコストを初期値からどの程度下げるかについては、例えば、どのリンクに対しても一定の値を差し引くようにしてもよいし、コストの初期値に対する所定の割合分を差し引くようにしてもよい。また、渋滞度が「混雑」である場合に対して「順調」である場合に相対的に多くコストを下げるようにすることも考えられる。
【0040】
一方、S110で処理対象のリンクがVICSリンクではないと判定した場合(S110:NO)、あるいはS120で処理対象のリンクの渋滞度が「渋滞」であると判定した場合(S120:「渋滞」)、S130の処理をスキップしてS140へ移行する。
【0041】
S140では、経路計算の対象となるリンク群のうち、未処理のリンクがあるか否かを判定し、未処理のリンクがある場合(S140:YES)、S100の処理へ戻る。その後、S100〜S140の処理を順次繰り返すことで、経路計算の対象となる各リンクに対して順次コスト調整を実施する。そして、S140で未処理のリンクのリンクが存在しないと判定した場合(S140:NO)、コスト調整を実施済みのリンク群に対するコスト計算を実施し、目的地までの総コストが最も低い最適経路を算出する(S150)。
【0042】
つぎに、上述の経路計算処理(第1実施形態)において、VICS情報に基づく交通状況の変化によって経路計算の結果がどのように変化するかについて、図3に基づき説明する。図3は、上述の経路計算処理(第1実施形態)による経路計算結果を模式的に示す説明図である。
【0043】
ここでは、図3に示す地図上で現在位置から目的地までの経路を算出する事例を想定する。なお、図3に示す地図において、太線で示す道路がVICS情報の提供されている道路(VICSリンク)であり、細線で示す道路がVICS情報の提供されていない道路(非VICSリンク)である。
【0044】
何れのVICSリンクにも「渋滞」が存在していない状態で経路計算を行った場合の最適経路(最も総コストの低い経路)が、図3中の点線(1)で示す「現在位置→交差点A→交差点I→交差点C→交差点D→交差点E→目的地」のルートであると仮定する。一方、交差点C,D間のリンクに「渋滞」が生じており、交差点A,B間のリンクが「混雑」、交差点D,E間のリンクが「順調」である場合を想定すると、上述の経路計算処理(第1実施形態)において渋滞度が「混雑」である交差点A,B間のリンクと、渋滞度が「順調」である交差点D,E間のリンクのコストが通常より低減される。その結果、計算される最適経路は、図3中の点線(2)で示す「現在位置→交差点A→交差点B→交差点J→交差点D→交差点E→目的地」のルートとなり、渋滞度が「渋滞」である交差点C,D間のリンクを避けることができる。
【0045】
一方、交差点C,D間のリンクで発生している渋滞を避けるのであれば、図3中の点線(3)で示す「現在位置→交差点A→交差点C→交差点F→交差点G→交差点H→交差点E→目的地」といったルートも考えられる。しかし、このルートにおける交差点F→交差点G→交差点H→交差点Eの区間は、何れのリンクも非VICSリンクであり、渋滞度が不明である。つまり、VICSリンクである交差点C,D間のリンクで発生している渋滞を避けるために、点線(3)のルートを走行したとしても、非VICSリンクでの渋滞度が不明であるため、確実に渋滞を避けられるとは限らない。また、非VICSリンクに該当する道路は、VICSリンクに該当する道路と比べて、総じて道幅や車線数が少ない傾向にあり、運転者にとって走行しづらい道路である可能性が高い。したがって、交差点C,D間のリンクで渋滞が発生している場合の迂回ルートは、点線(2)で示すルートの方が点線(3)で示すルートに比べて、より好適であるといえる。
【0046】
上述の経路計算処理(第1実施形態)では、渋滞度が「混雑」あるいは「順調」であるVICSリンクのコストを、非VICSリンクから見て相対的にコストが下がる方向に調整する。その結果、「渋滞」のVICSリンクを避けると共に、渋滞度が不明である非VICSリンクよりも「混雑」又は「順調」であるVICSリンクを優先して経路に利用するように経路計算を実行可能である。
【0047】
[経路計算処理(第2実施形態)の説明]
つぎに、制御部29が実行する経路計算処理の第2実施形態の内容について、図4のフローチャートを参照して説明する。第2実施形態の経路計算処理は、第1実施形態の経路計算処理(図2参照)と比較して、処理対象のリンクの渋滞度の時間的増減傾向を加味してコスト低減の要否を判定する処理が追加されている点が異なる。
【0048】
制御部29は、処理を開始すると、ユーザにより指定された目的地までの経路計算の対象となるリンク群のうち、未処理のリンクを1つ処理対象にセットする(S200)。そして、この処理対象のリンクがレベル3のVICS情報が提供されているVICSリンクであるか否かを判定する(S210)。
【0049】
S210で処理対象のリンクがVICSリンクであると判定した場合(S210:YES)、この処理対象のリンクに対して提供されているレベル3のVICS情報に含まれる渋滞情報の内容を判定する(S220)。ここでは、処理対象のリンクの渋滞度が「渋滞」、「混雑」又は「順調」の何れかであるかを判定する。そして、処理対象のリンクの渋滞度が「順調」であると判定した場合(S220:「順調」)、S240の処理へ移行する。
【0050】
一方、処理対象のリンクの渋滞度が「混雑」であると判定した場合(S220:「混雑」)、処理対象のリンクの渋滞度が時間的に減少傾向を示しているか否かを判定する(S230)。なお、ここではVICS受信機28によって受信した当該リンクの所定時間前の過去の渋滞情報から最新の渋滞情報までの渋滞度の推移を参照し、渋滞度が「渋滞」から「混雑」へと変化していれば、渋滞度が時間的に減少傾向であると判定する。一方、「順調」から「混雑」へと変化している場合は増加傾向であると判定する。処理対象のリンクの渋滞度が時間的に減少傾向を示していると判定した場合(S230:YES)、S240の処理へ移行する。
【0051】
S240では、処理対象のリンクのコストを初期値から所定の値分だけ下げて、S250へ移行する。一方、S210で処理対象のリンクがVICSリンクではないと判定した場合(S210:NO)、S220で処理対象のリンクの渋滞度が「渋滞」であると判定した場合(S220:「渋滞」)、あるいはS230で処理対象のリンクの渋滞度が増加傾向を示していると判定した場合(S230:NO)、S240の処理をスキップしてS250へ移行する。
【0052】
S250では、経路計算の対象となるリンク群のうち、未処理のリンクがあるか否かを判定し、未処理のリンクがある場合(S250:YES)、S200の処理へ戻る。その後、S200〜S250の処理を順次繰り返すことで、経路計算の対象となる各リンクに対して順次コスト調整を実施する。そして、S250で未処理のリンクのリンクが存在しないと判定した場合(S250:NO)、コスト調整を実施済みのリンク群に対するコスト計算を実施し、目的地までの総コストが最も低い最適経路を算出する(S260)。
【0053】
[経路計算処理(第3実施形態)の説明]
つぎに、制御部29が実行する経路計算処理の第3実施形態の内容について、図5のフローチャートを参照して説明する。第3実施形態の経路計算処理は、第1実施形態の経路計算処理(図2参照)と比較して、処理対象のリンクと車両の現在位置との遠近度合を加味してコスト低減の要否を判定する処理が追加されている点が異なる。
【0054】
制御部29は、処理を開始すると、ユーザにより指定された目的地までの経路計算の対象となるリンク群のうち、未処理のリンクを1つ処理対象にセットする(S300)。そして、この処理対象のリンクがレベル3のVICS情報が提供されているVICSリンクであるか否かを判定する(S310)。
【0055】
S310で処理対象のリンクがVICSリンクであると判定した場合(S310:YES)、この処理対象のリンクに対して提供されているレベル3のVICS情報に含まれる渋滞情報の内容を判定する(S320)。ここでは、処理対象のリンクの渋滞度が「渋滞」、「混雑」又は「順調」の何れかであるかを判定する。そして、処理対象のリンクの渋滞度が「順調」又は「混雑」の何れかであると判定した場合(S320:「順調」/「混雑」)、車両の現在位置と処理対象のリンクとの距離を算出し、処理対処のリンクが現在位置を基準とする所定の近距離範囲内に存在するか否かを判定する(S330)。
【0056】
ここで、処理対処のリンクが現在位置を基準とする所定の近距離範囲内に存在すると判定した場合(S330:YES)、処理対象のリンクのコストを初期値から所定の値分だけ下げて(S340)、S350へ移行する。
【0057】
一方、S310で処理対象のリンクがVICSリンクではないと判定した場合(S310:NO)、S320で処理対象のリンクの渋滞度が「渋滞」であると判定した場合(S320:「渋滞」)、あるいはS330で処理対処のリンクが現在位置を基準とする所定の近距離範囲よりも遠い位置に存在すると判定した場合(S330:NO)、S340の処理をスキップしてS350へ移行する。
【0058】
S350では、経路計算の対象となるリンク群のうち、未処理のリンクがあるか否かを判定し、未処理のリンクがある場合(S350:YES)、S300の処理へ戻る。その後、S300〜S350の処理を順次繰り返すことで、経路計算の対象となる各リンクに対して順次コスト調整を実施する。そして、S350で未処理のリンクのリンクが存在しないと判定した場合(S350:NO)、コスト調整を実施済みのリンク群に対するコスト計算を実施し、目的地までの総コストが最も低い最適経路を算出する(S360)。
【0059】
[経路計算処理(第4実施形態)の説明]
つぎに、制御部29が実行する経路計算処理の第4実施形態の内容について、図6のフローチャートを参照して説明する。第4実施形態の経路計算処理は、第1実施形態の経路計算処理(図2参照)と比較して、処理対象のリンク周辺に「渋滞」のリンクが存在するか否かを加味してコスト低減の要否を判定する処理が追加されている点が異なる。
【0060】
制御部29は、処理を開始すると、ユーザにより指定された目的地までの経路計算の対象となるリンク群のうち、未処理のリンクを1つ処理対象にセットする(S400)。そして、この処理対象のリンクがレベル3のVICS情報が提供されているVICSリンクであるか否かを判定する(S410)。
【0061】
S410で処理対象のリンクがVICSリンクであると判定した場合(S410:YES)、この処理対象のリンクに対して提供されているレベル3のVICS情報に含まれる渋滞情報の内容を判定する(S420)。ここでは、処理対象のリンクの渋滞度が「渋滞」、「混雑」又は「順調」の何れかであるかを判定する。そして、処理対象のリンクの渋滞度が「順調」であると判定した場合(S420:「順調」)、S440の処理へ移行する。
【0062】
一方、処理対象のリンクの渋滞度が「混雑」であると判定した場合(S420:「混雑」)、処理対処のリンクを基準とする所定の近距離範囲内に「渋滞」のVICSリンクが存在するか否かを判定する(S430)。処理対処のリンクを基準とする所定の近距離範囲内に「渋滞」のVICSリンクが存在しないと判定した場合(S430:NO)、S440の処理へ移行する。
【0063】
S440では、処理対象のリンクのコストを初期値から所定の値分だけ下げて、S450へ移行する。一方、S410で処理対象のリンクがVICSリンクではないと判定した場合(S410:NO)、S420で処理対象のリンクの渋滞度が「渋滞」であると判定した場合(S220:「渋滞」)、あるいはS430で処理対処のリンクを基準とする所定の近距離範囲内に「渋滞」のVICSリンクが存在すると判定した場合(S430:YES)、S440の処理をスキップしてS450へ移行する。
【0064】
S450では、経路計算の対象となるリンク群のうち、未処理のリンクがあるか否かを判定し、未処理のリンクがある場合(S450:YES)、S400の処理へ戻る。その後、S400〜S450の処理を順次繰り返すことで、経路計算の対象となる各リンクに対して順次コスト調整を実施する。そして、S450で未処理のリンクのリンクが存在しないと判定した場合(S450:NO)、コスト調整を実施済みのリンク群に対するコスト計算を実施し、目的地までの総コストが最も低い最適経路を算出する(S460)。
【0065】
[効果]
上記各実施形態の車載用ナビゲーション装置1によれば、以下のような効果を奏する。
(1)経路計算の際に、VICS情報の渋滞情報に基づいて「渋滞」に該当するリンクのコストを上昇させる代わりに、「混雑」及び「順調」に該当するリンクのコストを初期値から低減する。ただし、コストを低減する対象となるリンクは、VICSリンクのみであり、非VICSリンクに該当するリンクに対してはコストを低減しない。このようにすることで、VICS情報が提供されないために交通状況が不明であるリンクのコストに対して、VICS情報によって渋滞の発生していないことが明確であるリンクのコストが相対的に下がる方向にコストが調整される。その結果、経路計算時において、渋滞の発生している道路を避けると共に、非VICSリンクよりもVICSリンクであり、かつ渋滞が発生していない道路を優先的に利用することができ、現に渋滞している道路や、渋滞しているのかどうも分からない道路、あるいは細い裏道等を避けて、早く目的地へ到達できる可能性が高い経路を算出できる。
【0066】
(2)従前のVICS情報により「渋滞」となっていた道路がVICS情報の更新によって「混雑」へと変化した場合、すなわち当該道路の渋滞度が減少傾向を示す場合、車両が現地へ到達するまでに交通状況が更に改善している可能性が高いと考えられる。反対に、従前のVICS情報により「順調」となっていた道路がVICS情報の更新によって「混雑」へと変化した場合、すなわち当該道路の渋滞度が増加傾向を示す場合は、車両が現地へ到達するまでに交通状況が更に悪化している可能性が高いと考えられる。そこで、第2実施形態の経路計算処理では、VICS情報が「渋滞」から「混雑」へと変化した場合のように渋滞度が減少傾向を示す場合に、当該「混雑」のVICSリンクからコストを低減し、VICS情報が「順調」から「混雑」へと変化した場合のように渋滞度が増加傾向を示す場合は、当該「混雑」のVICSリンクに対してはコストを低減しない。このようにすることで、交通情報に基づく渋滞度の増減傾向を考慮した適切な経路を設定できる。
【0067】
(3)VICS情報により「混雑」あるいは「順調」となっている道路が車両の現在位置から比較的近い位置に存在する場合、車両がその道路へ到達するのに要する時間は短く、車両がそこまで移動する間の交通状況の変化は僅かであると考えられる。一方、VICS情報により「混雑」あるいは「順調」となっている道路が車両の現在位置から比較的遠い位置に存在する場合、車両がその道路へ到達するのに要する時間は長く、車両がそこまで移動する間に当該道路の交通状況が変化する可能性があり、現在の交通情報では車両が実際に現地へ到達する頃の交通状況は不確定である。つまり、経路計算時には「混雑」あるいは「順調」であった道路が、現地に到達する頃には「渋滞」となっており、交通状況が悪化していることも考えられる。そこで、第3実施形態の経路計算処理では、VICS情報が「混雑」あるいは「順調」となっているリンクが現在位置から所定の近距離範囲内に存在する場合は、当該リンクからコストを低減することで、当該「渋滞」あるいは「順調」のリンクを優先的に経路に採用する。一方、VICS情報が「混雑」あるいは「順調」となっているリンクが現在位置から所定の近距離範囲内よりも遠い位置に存在する場合は、車両が到達する頃の交通情報は不確定であるので、当該リンクに対してはコストを低減しない。このようにすることで、車両が移動する間の交通状況の変化を考慮した態様にて経路を設定できる。
【0068】
(4)VICS情報により「渋滞」となっている道路の近隣に位置する「混雑」の道路は、「渋滞」の道路からの車両の流入や当該「渋滞」の道路を回避する車両の流入等の要因により、近隣に「渋滞」の道路が存在しない場合と比較して交通量が多いものと考えられる。そこで、第4実施形態の経路計算処理では、VICS情報が「混雑」となっているリンクが「渋滞」となっているリンクから所定の近距離範囲内に存在する場合、当該リンクに対してはコストを低減しない。一方、VICS情報が「混雑」となっているリンクの近隣に「渋滞」となっているリンクが存在しない場合、当該リンクからコストを低減する。このようにすることで、「渋滞」の道路と「混雑」の道路との位置関係に基づき、「渋滞」の道路が他の道路の交通量に与える影響を考慮した態様にて経路を設定できる。
【0069】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り様々な態様にて実施することが可能である。
【0070】
例えば、上記実施例では、交通情報を取得する交通情報データサービスとして、VICSを適用した事例を想定したが、それ以外の交通情報データサービスであっても道路ごとの交通量を段階的に提示できるものであれば当然適用でききる。また、レベル3のVICS情報のように、道路ごとの渋滞度を「渋滞」、「混雑」、「順調」の3段階で示すものに限らず、更に多くの段階で渋滞度を示すものであっても当然適用できるし、2段階で示すものであっても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施形態の車載用ナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】経路計算処理(第1実施形態)の手順を示すフローチャートである。
【図3】経路計算処理(第1実施形態)による経路計算結果を模式的に示す説明図である。
【図4】経路計算処理(第2実施形態)の手順を示すフローチャートである。
【図5】経路計算処理(第3実施形態)の手順を示すフローチャートである。
【図6】経路計算処理(第4実施形態)の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
1…車載用ナビゲーション装置、4…VICSセンタ、21…位置検出器、21a…GPS受信機、21b…ジャイロスコープ、21c…車速センサ、22…操作スイッチ群、24…ハードディスクドライブ、25…外部メモリ、26…表示装置、27…音声出力装置、28…VICS受信機、29…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路のリンクに設定されたコストに基づくコスト計算によって現在位置から目的地までの最適経路を探索する車載用ナビゲーション装置であって、
交通情報の提供対象である道路の交通量を、交通量が最も多い段階から最も少ない段階までを複数の段階に分けたうちの、何れかの段階で示した交通情報を提供する外部の発信源から発信される前記交通情報を取得する取得手段と、
目的地までの経路探索のためのコスト計算の対象となるリンクに該当する道路が、前記交通情報の提供対象であり、かつ前記取得手段により取得した当該道路の交通情報が相対的に交通量の多い所定の高交通量段階以外の何れかの段階である場合、当該リンクのコストを初期値から低減してコスト計算に供するコスト変更手段とを備えること
を特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置において、
前記取得手段は、交通情報の提供対象である道路の交通量を、交通量が最も多い程度であること示す第1段階、交通量が中程度であることを示す第2段階、交通量が最も少ない程度であることを示す第3段階の何れかで示した交通情報を取得し、
前記コスト変更手段は、目的地までの経路探索のためのコスト計算の対象となるリンクに該当する道路が、前記交通情報の提供対象であり、かつ前記取得手段により取得した当該道路の交通情報が前記第2段階又は前記第3段階の何れかである場合、当該リンクのコストを初期値から低減してコスト計算に供すること
を特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置において、
前記コスト変更手段は、前記交通情報に基づく当該道路の交通量の時間的増減傾向に応じて、当該リンクに対するコストの低減を実行するか否かを更に判定すること
を特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置において、
前記コスト変更手段は、当該道路と車両の現在位置との遠近度合に応じて、当該リンクに対するコストの低減を実行するか否かを更に判定すること
を特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置において、
前記コスト変更手段は、当該道路と前記高交通量段階に該当する他の道路との遠近度合に応じて、当該リンクに対するコストの低減を実行するか否かを更に判定すること
を特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の車載用ナビゲーション装置に用いられるコンピュータを制御するためのプログラムであって、当該コンピュータを前記コスト変更手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−281871(P2009−281871A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−134394(P2008−134394)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】