車載用隊列編成装置及び車両の隊列編成方法
【課題】実態に即して最適な隊列編成走行を行える車載用隊列編成装置を提供する。
【解決手段】複数の車両で隊列を編成して走行するための車載用隊列編成装置1であって、他の車両又は他の隊列の経路計画及び休憩計画の少なくとも一方を含む第1走行計画を受信する受信手段4と、自車両又は自隊列の経路計画及び休憩計画の少なくとも一方を含む第2走行計画を記憶する記憶手段5と、前記第1走行計画と前記第2走行計画との類似度を評価する走行計画類似度評価手段6と、前記類似度に基づいて、隊列を編成する車両または隊列を選択する選択手段6とを備えている。車載用隊列編成装置1を搭載した車両は、走行する道路環境の実態に即して最適な隊列編成走行を行える。
【解決手段】複数の車両で隊列を編成して走行するための車載用隊列編成装置1であって、他の車両又は他の隊列の経路計画及び休憩計画の少なくとも一方を含む第1走行計画を受信する受信手段4と、自車両又は自隊列の経路計画及び休憩計画の少なくとも一方を含む第2走行計画を記憶する記憶手段5と、前記第1走行計画と前記第2走行計画との類似度を評価する走行計画類似度評価手段6と、前記類似度に基づいて、隊列を編成する車両または隊列を選択する選択手段6とを備えている。車載用隊列編成装置1を搭載した車両は、走行する道路環境の実態に即して最適な隊列編成走行を行える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の車両で隊列を編成して走行するための技術に関する。より詳細には、自車両が走行する方向と同じ方向へ走行する他の車両や他の隊列があるときに、これらと隊列を形成して走行するための車載用隊列編成装置及び隊列編成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、同じ方向へ走行する複数の車両で隊列を編成させる隊列走行技術について、多くの提案がされるようになっている。同じ方向に向かう車両同士で隊列を編成させることができれば、円滑な走行を支援して交通渋滞の緩和などに役立てることができる。また、単独走行の車両が希望するときに隊列走行に参加できれば、安定な走行を支援して交通安全に役立てることもできる。よって、隊列走行を希望する車両が円滑かつ確実に隊列編成に参加できる技術の提供が望まれる。
【0003】
例えば特許文献1は、目的地情報を含む車両情報を受信する手段を備え、受信した車両情報と自車両の車両情報とを比較し、その比較結果に基づいて自車両が隊列を形成する他の車両や他の隊列車群(以下、これらを「他車両等」とも称す)を選択するようにした車両群形成制御装置について開示する。この車両群形成制御装置によれば、走行目的地が近い他車両等と隊列を編成することができるので、走行目的地まで円滑に隊列走行することができる。
【0004】
さらに、特許文献1は車両情報の類似度を判断し、自車両との類似度が所定値以上である他車両等を選択するようにした車両群形成制御装置についても開示する。ここでの類似度は車種や車両性能などの車両緒元や車速などに関するもので、自車両と同レベルの他の車両と隊列編成することでより円滑な走行を図るようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−261195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1で開示する隊列編成技術は、自車両と目的地が同一である他車両等と隊列を編成することに着目しているだけであり、目的地に向かう経路(走行ルート)が複数ある場合や途中における休憩の有無などについて考慮していない。そのために特許文献1で開示する技術では、時間及び燃料のロスの問題が発生し易いと共に、途中で隊列走行に支障が発生する場合がある。例えば、自車両と目的地が同じである他車両等であっても計画している経路が異なる場合がある。他車両等が不経済な経路を計画していた場合、この車両と隊列を編成して走行すると遠回りとなり時間及び燃料のロスが発生してしまう。また、経路計画が一致している場合であっても、休憩の有無、休憩地点の相違などによって隊列編成していた他車両等が急に居なくなるという場合も想定される。この場合には、自車両単独での走行に切換えるか、途中で隊列を編成できる他の車両を急いで探すことが必要となる。また、特許文献1で開示する技術は隊列を編成していた他車両等が途中で当初の経路を変更したときに対応できない。
【0007】
以上のように、特許文献1で開示する隊列編成技術では、実際に隊列走行するときに発生する種々の状況に対応できず、期待した隊列編成走行の効果を得ることをできない場合がある。
【0008】
したがって、本発明の目的は、実態に即して最適な隊列編成走行を行える車載用隊列編成装置及び車両の隊列編成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、複数の車両で隊列を編成して走行するための車載用隊列編成装置であって、他の車両又は他の隊列の経路計画及び休憩計画の少なくとも一方を含む第1走行計画を受信する受信手段と、自車両又は自隊列の経路計画及び休憩計画の少なくとも一方を含む第2走行計画を記憶する記憶手段と、前記第1走行計画と前記第2走行計画との類似度を評価する走行計画類似度評価手段と、前記類似度に基づいて、隊列を編成する車両または隊列を選択する選択手段とを、備えた車載用隊列編成装置により達成される。
【0010】
本発明によると、自車両側の走行計画と他車両側の走行計画との類似度を評価し、類似度に基づいて隊列を編成する車両や隊列が選択される。よって、車両が走行する道路環境の実態に即し、最適な隊列編成走行を行える車載用隊列編成装置を提供できる。
【0011】
また、前記受信手段は、前記他の車両又は前記他の隊列の車種情報及び車両特性情報の少なくとも一方も受信し、前記記憶手段は自車両又は自隊列の車種情報及び車両特性情報の少なくとも一方も記憶し、前記選択手段は前記車種情報及び車両特性情報の少なくとも一方の類似度にも基づいて前記選択を行うようにしてもよい。この場合、車種情報及び車両特性情報についても類似度を評価するので実態に即して更に最適な隊列編成走行を行える。
【0012】
また、前記第1走行計画と前記第2走行計画とに基づいて、第1走行計画の変更案を作成する計画変更案作成手段と、前記他の車両又は前記他の隊列に対して前記変更案を送信する送信手段とを、更に備える車載用隊列編成装置としてもよい。この場合には、他の車両又は前記他の隊列に対して走行計画の変更を打診できる。
【0013】
また、前記選択手段は、前記他の車両若しくは前記他の隊列の第1走行計画又は自車両若しくは自隊列の第2走行計画の変更があった場合に、変更された走行計画案に基づいて隊列を編成する車両または隊列の選択を再度行うようにしてもよい。この場合には、他車両等を一旦、選択した後であっても自車両に最適な他車両等を後に選択できる。
【0014】
また、前記第1走行計画及び前記第2走行計画に関する情報を表示する表示手段と、前記表示手段で表示された内容を選択指示するための選択入力手段とを更に備え、前記選択手段が、前記表示手段に前記類似度が所定基準以上である前記他の車両又は前記他の隊列を提示し、前記選択入力手段で前記他の車両又は前記他の隊列を選択可能とした車載用隊列編成装置としてもよい。この場合には、ドライバ(ユーザ)の意思を反映させことができる車載用隊列編成装置となる。そして、類似度の所定基準を手動設定するための設定手段を更に備えるのがより好ましい。
【0015】
上記目的は、複数の車両で隊列を編成して走行するための隊列編成方法であって、他の車両又は他の隊列の経路計画及び休憩計画の少なくとも一方を含む第1走行計画を受信するステップと、自車両又は自隊列の経路計画及び休憩計画の少なくとも一方を含む第2走行計画を記憶するステップと、前記第1走行計画と前記第2走行計画との類似度を評価するステップと、前記類似度に基づいて、隊列を編成する車両または隊列を選択するステップとを含む車両の隊列編成方法によっても同様に達成できる。
【0016】
また、前記走行計画の類似度を評価するステップでは、車種情報及び車両特性情報の少なくとも一方についても評価するのがより好ましい。
【0017】
また、前記車両または隊列を選択するステップの後に、前記第1走行計画と前記第2走行計画とに基づいて、第1走行計画の変更案を作成するステップと、
前記第1走行計画の変更案の受入を前記他の車両又は前記他の隊列に打診するステップとを更に含むものでもよい。
【0018】
また、前記他の車両若しくは前記他の隊列の第1走行計画又は自車両若しくは自隊列の第2走行計画の変更があった場合に、変更された走行計画案に基づいて隊列を編成する車両または隊列の選択を再度行うステップを更に含むものでもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、実態に即して最適な隊列編成走行を行える車載用隊列編成装置及び車両の隊列編成方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施例に係る車載用隊列編成装置について説明する。以下では、複数の実施例を説明する。これら実施例で前提となる構成を先ず図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、複数の車両が隊列走行するための前提となる基本的な設備(構成)をまとめて模式的に示した図である。特に、図1は隊列走行を希望する自車両SCを中心として、その周辺状況を模式的に示している。ここで自車両SCが走行する道路RDは、後述する通信設備を備えた高速道路或いは自動車専用道路などを想定している。そして、自車両SCには例えば図2に示すような車載用隊列編成装置1が搭載されている。
【0022】
車載用隊列編成装置1は、GPS(Global Positioning System)2、各種センサ3、通信装置4、記憶装置5及びこれらを全体的に制御するコントローラ6を備えている。GPS2は衛星より電波を受信して自車両SCの絶対位置を検出し、またジャイロ、速度センサ、画像センサを含む各種センサ3により自車両SCの相対位置を検出できる。GPS2及び各種センサ3の出力は、コントローラ6に供給されている。よって、コントローラ6は自車両SCの現在位置を確認することができる。
【0023】
通信装置4は、周辺に存在する他車両等(他の車両や他の隊列車群)と車車間通信を行う。また、道路RD側に配備されている通信設備と路車間通信を行う。これにより、通信装置4は隊列編成に関係する種々の情報を送受信する。特に、この情報には刻々と変化する他車両等に関する情報や道路情報などが含まれている。これらの情報もコントローラ6に供給されている。記憶装置5は自車両SCが隊列を編成して走行を行う際に実行するプログラムやこれに関連するデータ及び道路データなどを記憶している。コントローラ6は記憶装置5から読出したプログラムに基づいて、GPS2及びセンサ3の出力、並びに通信装置4を介して得たデータを参照して、自車両SCが隊列を編成するのが好ましい他車両等を選択する。また、コントローラ6は通信装置4を介して得たデータの内で必要なものについては適宜、記憶装置5に記憶して、その後にあって必要の都度に呼出して使用する。
【0024】
前述したように図1は、上記構成を備えた自車両SC周辺に複数の他車両等が存在している状況を例示している。より具体的に説明すると、自車両SCの前方に隊列走行車群1、右後方には隊列走行車群2(ここでは各車群とも3台づつ)を例示している。なお、図1で例示している他の各車両についても、前述した自車両SCと同様の機能を備えているものとする。自車両SC及び上記隊列走行車群を編成している車両のように、隊列編成機能を備えた車両を特に知能車両と称する場合がある。
【0025】
各隊列走行車群1、2内では車車間通信Bによって互いに車車データを送受信している。ここで交信するデータには、例えば車両識別ID、隊列編成情報、経路情報、速度情報、操舵情報、位置情報、車種情報、車両特性情報などを含めることができる。
【0026】
そして、図1では隊列走行車群1、2の先頭の他車両FC1、FC2と自車両SCが車車間通信Aを行っている場合を示している。自車両SCが隊列を編成している各車両と通信をするようにしてもよいが、図1で示すように先頭他車両FC1、FC2と交信するようにすることでデータを効率良く交信することができる。自車両SCが先頭他車両FC1、FC2と交信するデータは各隊列走行車群1、2内で送受信する上記車車データと同様でよいが、特に自車両SCが確認したい車両識別ID、車群構成情報、経路情報、速度情報、位置情報等が少なくとも含まれている。なお、先頭他車両FCが車群の代表して車群識別IDを送信するようにしてもよい。
【0027】
さらに、自車両SCは道路RDに配備されている路車間通信装置10と路車間通信Cを行っている。路車間通信装置10は道路RDに沿って所定間隔で配備されており、交通管理センタ等に配置した交通情報管理装置11を中心にしてネットワークDで接続されている。
【0028】
交通情報管理装置11は、自らが収集している工事情報、渋滞情報などの道路情報を路車間通信装置10を介して車両へ発信する。よって、自車両SCは路車間通信装置10を介して刻々と変化する道路RDの状況を確認できる。また、交通情報管理装置11は道路RDを走行している車両側から車両情報を取得する。ここでの車両情報には、少なくとも車両の現在位置情報、目的地情報、また各車両の目的地までの経路を計画した経路計画や途中における休憩箇所を計画した休憩計画を含む走行計画情報を含んでいる。より好ましくは、この車両情報に車群・車両識別ID、隊列編成情報、速度情報、車種情報、車両特性情報などを含んでいる。
【0029】
さらに、交通情報管理装置11は路車間通信装置10によって確認した情報に基づいて確認されている車両(或いは隊列走行車群)のダイヤグラム(走行計画表)を生成する機能を備えている。そして、交通情報管理装置11は隊列走行を希望する車両(本実施例では自車両SCとする)が新たに出現した場合、自車両SCの走行計画を追加したダイヤグラムに更新して提供する。また、交通情報管理装置11は必要な場合には隊列走行が円滑に行われるように各車両に対して走行を指示する機能を備える。
【0030】
上記のようにここでは、交通情報管理装置11が各車両のダイヤグラムを生成する場合を原則として説明するがこのような態様に限らない。各車両に搭載した車載用隊列編成装置が自らダイヤグラムを作成し、これを路車間通信で交通情報管理装置11に送信するようにしてもよい。交通情報管理装置11は受信した各車のダイヤグラムデータを編集して現在位置と目的地が一致するなど一定の条件を満たす車両及び車群をまとめた統合的なダイヤグラムを作成し、これを路車間通信で隊列走行を希望する車両に提供するようにしてもよい。
【実施例1】
【0031】
以下、さらに複数の実施例を示して本発明に係る車載用隊列編成装置についてより具体的に説明する。これらの実施例は図1及び図2で説明した構成を前提とするものである。そして、自車両SCに搭載されている車載用隊列編成装置1(図2)が、車車間通信や路車間通信を介して情報を収集し、実態に即して最適な隊列編成を行えるように自車両SCを運転するドライバを支援するものである。
実施例1は隊列走行を希望する自車両SCの車載用隊列編成装置1が、現在位置と目的地だけでなく、走行計画の類似度を評価して隊列を編成すべき他車両等を選択する実施例である。走行計画には経路計画だけでなく、休憩計画を含めておくのが望ましい。
【0032】
図3は実施例1を説明するために示した図であり、隊列走行を希望する自車両SC周辺の他車両等の様子を先に示した図1と同様に示している。ただし、この図3の場合には隊列編成走行している車群として、自車両SC前方の隊列走行車群A、右前方の隊列走行車群B及び右後方の隊列走行車群Cを図示してある。また隊列編成機能を備えていない一般車両も合せて図示してある。
【0033】
なお、図3で示している自車両SCの周辺は、例えば次のような状況であるとする。自車両SCはインターチェンジ1(IC1)からこの道路に進入して隊列走行車群への合流を希望している。隊列走行車群A〜Cの目的地は自車両SCと同一である。また、目標車速は隊列走行車群B、C及び自車両SCは同じであり、隊列走行車群Aは少し遅い。また、自車両SCとの位置関係は、隊列走行車群B、隊列走行車群A、隊列走行車群Cの順で近い。
【0034】
交通情報管理装置11は、路車間通信装置10を介して自車両SC及び各隊列走行車群A〜Cに関する車両情報を取得する。この車両情報には、前述したよう現在位置情報、目的地情報及び走行計画情報を含んでいる。交通情報管理装置11は車両情報に基づいて、自車両SCの走行計画を含んだ周辺車両のダイヤグラムを生成する。
【0035】
図4(A)は、交通情報管理装置11が図3の状態に基づいて作成したダイヤグラムである。ダイヤグラムは自車両SCが隊列走行を希望したとき(以下、本実施例で現在時刻と称する)を基準にして各車群A〜Cの走行計画を示したタイムチャートである。横軸は現在時刻を基準にして時刻を示している。また、縦軸は距離を示している。この縦軸には、インターチェンジ(IC)、サービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)など主要な休憩箇所の位置を図示してある。ここで、従来の技術のように現在位置と目的地だけを考慮していた場合には、自車両SCと現在位置が近く、目標速度が一致する隊列走行車群Bが隊列編成の相手として選択されることになる。
【0036】
しかし、実施例1では車載用隊列編成装置1のコントローラ6が図4(A)で示すダイヤフラムで各車両或いは車両群の具体的な走行計画を確認している。この走行計画には休憩計画も含むので、隊列走行車群Bが最初のサービスエリア(SA1)で休憩することを計画していることを確認できる。よって、コントローラ6は、選択対象から隊列走行車群Bを外すという判断を行なうことになる。そして、コントローラ6は隊列走行車群Bの次に条件(この例では現在位置と目的速度)が近い隊列走行車群Cを選択することになる。
【0037】
図4(B)は、車載用隊列編成装置1のコントローラ6が、自車両SCの隊列編成の相手として隊列走行車群Cを選択したときに作成される隊列合流計画を含んだダイヤグラムである。このダイヤグラムには、合流位置や合流時刻が含まれている。この図4(B)で示すダイヤグラムは、路車間通信で自車両SCから隊列走行車群Cを選択した旨の情報を得た交通情報管理装置11が作成し、路車間通信装置10を介して自車両SCに送信する。交通情報管理装置11は、このときに隊列走行車群Cへの路車間通信装置10を介して自車両SCが合流を希望している旨の合流情報を送信する。
【0038】
図5及び図6は、自車両SCに搭載した車載用隊列編成装置1のコントローラ6が隊列編成する相手の他車両等を選択するときの処理をまとめたフローチャートである。これらの図を参照して実施例1に記載の内容を総括する。
【0039】
図5は、交通情報管理装置11による処理例について示したフローチャートである。交通情報管理装置11は、路車間通信装置10を経由して知能車両から車両情報を定期的に受信する(S1)。前述したように、各知能車両から供給される車両情報には車群・車両識別IDや車種、車両特性などの一般的な情報と共に、経路計画や休憩計画を含む走行計画情報を含んでいる。交通情報管理装置11は、知能車両から得た車両情報を用いて前述したダイヤグラムを生成させる(S2)。なお、交通情報管理装置11は車種や車両特性などが近似した車両毎にダイヤグラムを作成するように設定されている。このようにすれば、能力が近い車両で隊列を編成できるので円滑な隊列走行を行える。
【0040】
交通情報管理装置11は、新たな知能車両を確認されたときには、その車両に関する情報を追加したダイヤグラムに更新して(S3)、例えば知能車両側から要求があったときには最新のダイヤグラムを提供できるように準備している。
【0041】
図6は、自車両SCのコントローラ6が交通情報管理装置11からダイヤグラムの供給を受け、隊列編成する相手の他車両等を選択するときの処理例について示したフローチャートである。
【0042】
自車両SCが交通情報管理装置11により管理されている道路に進入したときに、路車間通信装置10を介して車両情報を交通情報管理装置11へ送信する。これに対応して、交通情報管理装置11側から自車両SCを含むダイヤグラムを受信する(S11)。車載用隊列編成装置1のコントローラ6(図2参照)は、取得したダイヤグラムを記憶装置5に記憶する。
【0043】
ここでコントローラ6は、好ましくは隊列編成走行の希望があるか否かをドライバに確認する(S12)。コントローラ6は、例えば車室内のディスプレイ上に文字を表示したりスピーカから音声を発するなどして、隊列編成走行の希望があるかを確認し、ドライバの希望がない場合には処理を終了する。
【0044】
ドライバによる隊列編成走行の希望が確認された場合、コントローラ6はダイヤグラムに基づいて合流可能な他車両等があるかを確認する(S13)。合流可能な他車両等がある場合には(S14)、コントローラ6は更に走行計画が自車両SCと近似している他車両等が存在しているかを確認する(S15)。コントローラ6は、現在位置から目的地までの走行ルート(経路計画)が完全一致するようなような場合だけでなく、例えば走行ルートが一定割合以上で一致するような場合には走行計画が近似するものと判断する。
【0045】
そして、走行計画が近似する他車両等がある場合には(S16)、コントローラ6は更に走行計画の類似度が所定基準値以上である他の車両や車群があるかを確認する(S17)。ここでは、コントローラ6はダイヤグラムによって確認できる他車両等の走行計画(第1の走行計画)と自車両SCの走行計画(第2の走行計画)との類似度を評価する。ここでは、経路計画された走行ルートや休憩する箇所、休憩時間、休憩回数などの休憩計画などについて類似度が判断される。より好ましくは、車種情報、車両特性情報などについても類似度を評価するのが望ましい。
【0046】
例えば、経路(走行ルート)が完全に一致する場合は10P(ポイント)、経路は一致しないが目的地が一致する場合は5P、経路が一定割合以上(例えば50%以上)で一致する場合は5P、休憩箇所及び休憩時間が一致する場合は10P、目標速度の差が5km/h以内の差であれば10P、これとは逆に目標速度差が10km/h以上である場合は−5P、休憩箇所が相違する場合は−3Pなどのように予め数値化して判断するようにすればよい。そして、合計ポイントが所定基準値以上である他車両等が存在する場合に、コントローラ6が隊列編成すべき他車両等が存在するとの判断を行うようにしてもよい。
【0047】
コントローラ6は、自車両SCの周辺に類似度の基準を満足する他車両等があることを確認したときに(S18)、類似度が最も高い他車両等を隊列編成する相手として選択する(S19)。この選択に基づいて、図4(B)で示すような自車両SCが隊列に合流するためのダイヤグラムが作成される。このダイヤグラムについても交通情報管理装置11で作成して提供するようにしてもよいし、コントローラ6が自ら作成するようにしてもよい。
【0048】
以上で説明した実施例1は、自車両SCに搭載した車載用隊列編成装置1のコントローラ6が、交通情報管理装置11から受信するダイヤグラムを利用して、他車両等の走行計画(第1走行計画)と自車両SCの走行計画(第2走行計画)の類似度に基づいて、隊列を編成すべき最適な相手方を選択する。よって、従来のように目的地を重視して他車両等を選択するのでなく、実態に即して自車両SCに最適な車両等を選択して隊列編成できる。よって、実施例1の車載用隊列編成装置1を搭載した自車両SCは、円滑かつ効率的に隊列走行を行って目的地に到達できる。
【0049】
なお、上記実施例1の記載と特許請求の範囲の記載との関係では、通信装置4が受信手段に、記憶装置5が記憶手段に、そして、コントローラ6が走行計画類似度評価手段及び選択手段のそれぞれに相当している。
【実施例2】
【0050】
他の実施例について説明する。従来、隊列編成する他車両等を決定した後の変化に配慮して対処する隊列編成技術は提案されていない。しかし、特定の他車両等と隊列走行を決定した後に、その他車両等が走行計画を変化する場合がある。本実施例2は、より実態に即した隊列編成走を行えるようにするという観点から、走行計画の変更を可能とした車載用隊列編成装置について説明する。ただし、車載用隊列編成装置としての基本的なハード構成は実施例1で示した図2の車載用隊列編成装置1と同様であり、コントローラ6によって実行される隊列編成を行うための処理が異なる。実施例2の場合も記憶装置5に予め所定のプログラムを格納しておき、コントローラ6がこのプログラムを読出して実行するようにすればよい。よって、本実施例2で必要な場合は図2に示した符号を流用して説明する。
【0051】
実施例2では、コントローラ6が隊列編成相手を選択した後においても車車間通信及び路車間通信で刻々と変わる周辺の走行状況を確認している。そして、コントローラ6は最新のダイヤグラムを確認する。このダイヤグラムは実施例1の場合と同様に、交通情報管理装置11が作成して路車間通信により車載用隊列編成装置に提供するものでもよいし、コントローラ6が取得した情報に基づいて自ら作成するものでもよい。ここでは、交通情報管理装置11がダイヤグラムを逐次に更新して、路車間通信で自車両SCに供給しているものとして説明する。
【0052】
図7(A)は自車両SCが隊列編成を希望したときのダイヤグラム、図7(B)は隊列編成後の変化に基づいて更新したダイヤグラムを示している。なお、図7で示している自車両SCの周辺は、実施例1の同じ状況であったとする。すなわち、自車両SCはインターチェンジ1(IC1)からこの道路に進入して隊列走行車群への合流を希望していた。隊列走行車群A〜Cの目的地は自車両SCと同一である。また、目標車速は隊列走行車群B、C及び自車両SCは同じであり、隊列走行車群Aは少し遅い。また、自車両SCとの位置関係は、隊列走行車群B、隊列走行車群A、隊列走行車群Cの順で近かった。しかし、隊列走行車群Bは最初のサービスエリア(SA1)で休憩することを計画していることを確認した。そこで、自車両SCの車載用隊列編成装置1は、隊列走行車群Bの次に条件が近い隊列走行車群Cを一旦、選択したものとする。
【0053】
しかし、その後、自車両SCが隊列走行車群Cと合流する前に隊列走行車群Bが最初のサービスエリア(SA1)での休憩計画を中止することを決定した。自車両SCのコントローラ6は、車車間通信或いは交通情報管理装置11から供給されるダイヤグラムにより隊列走行車群Bの走行計画が変更されたことを確認する。
【0054】
この場合に、実施例2に係る車載用隊列編成装置1のコントローラ6は、隊列走行車群Cとの合流計画をキャンセルして、最も走行計画が近い隊列走行車群Bと合流することに切り替えるとの判断をする。図7(B)は現在時刻で隊列走行車群Bの走行計画の変更を確認し、コントローラ6が隊列編成の相手を隊列走行車群Bに変更したときのダイヤグラムを示している。
【0055】
上記実施例2は、隊列編成する他車両等を選択した後であっても、周辺の状況が刻々と変化するという実情に配慮したものである。本実施例の車載用隊列編成装置は他車両等の走行計画が変更されたことを確認したときに、コントローラ6が自車両SCにより最適な他車両等に変更する。その結果、一区間のみの経路が一致する他車両等との隊列編成を繰返して、効率的に目的地に到達できるようなる。
【0056】
なお、上記実施例2では、隊列走行車群Bを一旦、選択し、実際にこの隊列走行車群Bと合流する前に、最も類似度の高い隊列走行車群Cとの合流に変更する場合を説明した。しかし、このような場合に限らず、自車両SCが隊列走行車群Bと実際に合流した後に、コントローラ6が最適な隊列走行車群を確認したときに隊列編成相手を変更するようにしてもよい。
【0057】
図8はコントローラ6が隊列編成の対象を変更するときのフローチャートである。コントローラ6は自車両SC周辺の車両情報を監視して、変化の有無を確認する(S21)。変化した情報に合流に最適な他車両等の情報があった場合には(S22)、その他車両等を新たに選択して自車両SCの合流計画に変更する(S23)。このように自車両SCと最適な編成を行える他車両等を選択する処理を繰返すようにすれば、常に最適な他車両等と隊列走行を行うことができる。
【実施例3】
【0058】
前述した実施例1、2は、車載用隊列編成装置1のコントローラ6が自車両SCの周辺状況を検出(確認)して、自車両が隊列編成するのに最適な他車両等を選択するものであった。これに対して、次に示す実施例3は、コントローラ6が自車両SCの走行計画に適するように他車両等に対して走行計画(第1走行計画)の変更を打診するものである。この変更案を受け入れる他車両等がある場合に、その他車両等と隊列を編成する。このようにすれば、他車両等に走行計画の変更を働き掛けて自車両SCに最適な隊列を編成して走行できるので、更に最適な隊列走行を行うことができる。
【0059】
本実施例3の場合も車載用隊列編成装置としての基本構成は実施例1で示した図2の車載用隊列編成装置1と同様であるので必要な場合は、図2に示した符号を流用して説明する。また、実施例3の場合も、コントローラ6が車車間通信及び路車間通信で刻々と変わる走行状況の変化を確認している。そして、コントローラ6は最新のダイヤグラムを確認する。ダイヤグラムは実施例1の場合と同様に、交通情報管理装置11が作成して路車間通信により車載用隊列編成装置に提供するものでもよいし、コントローラ6が取得した情報に基づいて自ら作成するものでもよい。
【0060】
実施例3の場合は、自車両SCに搭載されている車載用隊列編成装置1のコントローラ6が、他車両等に対して走行計画の変更を打診する。その際に、提示する変更案はコントローラ6が自ら作成する。打診する変更案は変更箇所を問合せる形式でもよいが、変更後のダイヤグラムをコントローラ6が作成して他車両等に提示するのが好ましい。
【0061】
ただし、路車間通信でコントローラ6からダイヤグラム変更案作成の要求があったときに、交通情報管理装置11が作成するようにしてもよい。ここでは、自車両SCのコントローラ6が他車両等に提案する変更ダイヤグラムを作成するものとして説明する。なお、変更案の提示については、自車両SCから路車間通信で一旦、交通情報管理装置11に送信して、相手の他車両等に提示するようにしてもよい。また、自車両SCから車車間通信で相手の他車両等に提示すると共に、確認のため路車間通信で同じ情報を交通情報管理装置11に送信するようにしてもよい。
【0062】
図9(A)は自車両SCが隊列編成を希望したときの当初のダイヤグラム、図9(B)は走行計画の変更を受入れる他車両等が存在したときに作成されるダイヤグラムを示している。なお、図9で示している自車両SCの周辺は、実施例1の同じ状況であったとする。すなわち、自車両SCはインターチェンジ1(IC1)からこの道路に進入して隊列走行車群への合流を希望していた。隊列走行車群A〜Cの目的地は自車両SCと同一であった。目標車速は隊列走行車群B、C及び自車両SCは同じであり、隊列走行車群Aは少し遅い。また、自車両SCとの位置関係は、隊列走行車群B、隊列走行車群A、隊列走行車群Cの順で近かった。しかし、隊列走行車群Bは最初のサービスエリア(SA1)で休憩することを計画していることを確認した。
【0063】
この状況を容認する場合、実施例1のように隊列走行車群Bの次に条件が近い隊列走行車群Cを選択することになる。しかし、本実施例3の場合は隊列走行車群Aに対しては目標速度のアップを、隊列走行車群Bに対してはサービスエリア(SA1)での休憩中止を打診する。そして、コントローラ6は隊列走行車群A、Bのいずれかが打診を受け入れた場合、そのいずれかを選択し、合流計画を生成させることになる。隊列走行車群A、Bの両方が打診を受け入れた場合は、コントローラ6は類似度がより高い車群を選択する。
【0064】
そして、図9(B)は隊列走行車群Aが走行計画変更の打診を受入れ、コントローラ6が隊列編成の相手を隊列走行車群Aに変更したときのダイヤグラムを示している。隊列走行車群Aは打診を受け入れて目標速度をアップしている。
【0065】
上記のように実施例3では、コントローラ6が自車両SCの走行計画(第2走行計画)に適合するように、他車両等に走行計画(第1走行計画)の変更を打診する。そして、打診を受け入れた他車両等を選択して隊列を編成する。よって、実施例3の車載用隊列編成装置1を搭載した自車両SCは、円滑かつ効率的に隊列走行を行って目的地に到達できる。
【0066】
図10は、コントローラ6が他車両等に対し走行計画の変更を打診して隊列編成するときのフローチャートである。コントローラ6は周辺の車両情報を確認して、自車両SCの走行計画と一致する走行計画の他車両等が存在するか否かを確認する(S31)。自車両SCの走行計画と一致する他車両等があった場合には、その他車両等を選択して自車両SCの合流計画を生成する(S35)。なお、ここで走行計画が一致する場合として完全に一致する場合としてもよいし、前述した類似度に基づいて許容できる範囲を予め定め、この範囲に入る場合には実質的に一致するとの判断をするようにしてもよい。
【0067】
上記ステップS31で走行計画が一致する他車両等がない場合、コントローラ6は車両SCの走行計画と近い走行計画の他車両等を選択する。この選択には前述した類似度の評価を用いることができる。コントローラ6は、走行計画の一部を変更すると自車両SCの走行計画と一致する他車両等を特定し、その他車両等の走行計画変更案を作成する(S32)。この走行計画変更案をその他車両等に提示して計画の変更を打診する(S33)。この場合に、車車間通信で自車両SCから当該他車両等に直接、打診するようにしてもよいし、路車間通信で交通情報管理装置11を介して打診を行うようにしてもよい(S34)。
【0068】
変更の打診を受けた他車両等が変更を了承した場合は、コントローラ6は自車両SCがこれらと隊列編成走行するための合流計画を生成する(S35)。このように他車両等に走行計画の変更を働き掛けて自車両SCに最適な隊列を編成して走行できるので、更に最適な隊列走行を行うことができる。
【0069】
なお、上記実施例3の記載と特許請求の範囲の記載との関係では、通信装置4が送信手段、コントローラ6が計画変更案作成手段に相当している。
【実施例4】
【0070】
更に、本発明に係る実施例4について説明する。この実施例4は前述した実施例に適用できるものである。前述した実施例1〜3は車載用隊列編成装置1のコントローラ6が主体となって、自車両SCに最適な隊列をできる他車両等を選択するものであった。実施例4は隊列相手の選択の最終的判断をドライバ(ユーザ)に委ねるものである。
【0071】
本実施例4の車載用隊列編成装置1は、車車間通信や路車間通信で取得した情報を表示したり、ドライバの希望条件や判断を入力するための情報入出力装置を備えている。図11は、情報入出力装置20の一例を示した図である。情報入出力装置20は、文字や図形を表示する表示部(表示手段)21とドライバにより入力を行う入力部(選択入力手段)22とを備えている。この情報入出力装置20もコントローラ6(図2参照)によって制御されている。表示部21は例えば液晶で形成され、入力部22は選択指示及び入力指示をするための複数のボタンやダイヤルなで形成されている。図11(A)は情報入出力装置20の初期条件入力状態を示しており、ドライバが希望する条件を入力できるようになっている。ここで、前述した類似度について所定基準をドライバが任意に手動設定してもよい。このような設定を可能にすればよりユーザの希望に沿う車載用隊列編成装置にすることができる。
【0072】
図11(B)は、路車間通信で交通情報管理装置11から取得した情報に基づいて、コントローラ6が自車両SCが編成走行できる可能性がある隊列を表示部21に提示した状態を示している。この図で示すように、コントローラ6は隊列車群を識別するID、車速、経路、走行位置、合流位置、合流時刻などを表示部21に表示する。ドライバは、入力部22を操作して、希望する隊列のIDを入力することにより希望の隊列を決定する。コントローラ6は、ドライバからの指示入力を受けて隊列編成する隊列を選択する。
【0073】
なお、自車両SCから路車間通信で一旦、交通情報管理装置11に送信して、相手の隊列に合流を通知するようにしてもよい。また、自車両SCから車車間通信で相手の隊列に合流を通知すると共に、確認のため路車間通信で同じ情報を交通情報管理装置11に送信するようにしてもよい。
【0074】
自車両SCの走行環境は刻々と変化する。よって、隊列編成する相手を選択した場合或いは既に隊列走行をしている場合でも、新たに検出した他車両等と隊列を編成する方が好ましいという場合が多々ある。そこで、コントローラ6は常に周辺の情報を監視して、新たな他車両等が検出された場合にはこれを表示部21に表示してドライバに確認するのがより望ましい。
【0075】
図12は、コントローラ6が新たな他車両等を検出したときに情報入出力装置20の表示部21の表示状態を示している。なお、この図12は複数の隊列A〜Cの中からドライバが隊列Cを選択したので、コントローラ6が隊列Cとの合流するように走行計画を生成した状態で、新たな隊列Zを検出した場合を示している。図12の画面が表示されたときに、ドライバは隊列Cの選択を維持するか、新たな隊列Zに選択を切り替えるかを判断して入力部22で選択を指示することになる。
【0076】
コントローラ6はドライバが隊列Cを選択したときには当初の走行計画を維持する。一方、ドライバが隊列Zを選択したときには車車間通信或いは路車間通信を介して走行計画を変更したことを隊列C、Zに通知する。このような変更についても、路車間通信で交通情報管理装置11へ通知すると共に、交通情報管理装置11から変更に係る他車両等に通知するようにしてもよい。
【0077】
図13は、ドライバの判断に基づいてコントローラ6が隊列を編成するときのフローチャートである。入力部22を介してドライバが隊列走行を希望していることを確認する(S41)。コントローラ6は自車両SC周辺の車両情報を確認する(S42)。コントローラ6は、確認した情報から選択可能な隊列を表示部21に表示する(S43)。
【0078】
コントローラ6はドライバが選択した隊列を確認して(S44)、自車両SCの合流計画を生成する(S45)。コントローラ6は周辺の車両情報を確認して新たな隊列Zを確認した場合には(S46)、表示部21に新たな隊列Zを表示してドライバが選択を変更するか否かを確認する(S47)。
【0079】
ステップS47でドライバが新たな隊列Zに選択変更した場合、コントローラ6は合流計画を変更した走行計画を生成する(S49)。これとは逆にドライバが新たな隊列Zに選択を変更しない場合、コントローラ6は当初の合流計画を維持する(S48)。
【0080】
実施例4の車載用隊列編成装置1は、自車両SCが隊列を編成する他車両の選択の最終判断をサービスを受けるドライバ(ユーザ)に委ねられることになる。よって、利用者の要望により則した隊列編成を行える。
【0081】
なお、前述した実施例では、発明の理解を容易とするため単独の知能車両である自車両SCが、他の車両や既に隊列走行している他の車群と隊列編成する場合について説明した。しかし、本発明はこのような態様に限るものではない。上記自車両SCが既に隊列走行をしているような場合に、他の車両や車群と新たな隊列を編成する隊列走行する場合にも同様に適用できる。自車両SCが、既に隊列編成走行していた場合には、その隊列は自隊列となる。上記自車両SCが、この自隊列の先頭車両(自隊列を代表する車両)として自隊列のデータを車車間通信や路車間通信で送信しながら、新たに隊列を編成する相手車両を選択していたものと理解すると、前述した実施例をそのまま自隊列の場合に適用できる。
【0082】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】複数の車両が隊列走行するための前提となる基本的な構成をまとめて模式的に示した図である。
【図2】車載用隊列編成装置を搭載した自車両を示した図である。
【図3】実施例1を説明するために示した図である。
【図4】(A)は図3の状態に基づいて作成されるダイヤグラム、(B)はコントローラ6が自車両の隊列編成の相手として隊列走行車群Cを選択したときに作成されるダイヤグラムである。
【図5】交通情報管理装置による処理例について示したフローチャートである。
【図6】コントローラが隊列編成する相手の他車両等を選択するときの処理例について示したフローチャートである。
【図7】(A)は自車両が隊列編成を希望したときのダイヤグラム、(B)は隊列編成後の変化に基づいて更新したダイヤグラムである。
【図8】コントローラが隊列編成の対象を変更するときのフローチャートである。
【図9】(A)は自車両が隊列編成を希望したときの当初のダイヤグラム、(B)は走行計画の変更を受入れる他車両等が存在したときに作成されるダイヤグラムである。
【図10】コントローラ6が他車両等に対し走行計画の変更を打診して隊列編成するときのフローチャートである。
【図11】情報入出力装置の一例を示した図である。
【図12】新たな他車両等を検出したときに情報入出力装置の表示部の表示状態を示している図である。
【図13】ドライバの判断に基づいてコントローラが隊列を編成するときのフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
1 車載用隊列編成装置
2 GPS
3 各種センサ
4 通信装置
5 記憶装置
6 コントローラ
10 路車間通信
11 交通情報管理装置
SC 自車両
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の車両で隊列を編成して走行するための技術に関する。より詳細には、自車両が走行する方向と同じ方向へ走行する他の車両や他の隊列があるときに、これらと隊列を形成して走行するための車載用隊列編成装置及び隊列編成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、同じ方向へ走行する複数の車両で隊列を編成させる隊列走行技術について、多くの提案がされるようになっている。同じ方向に向かう車両同士で隊列を編成させることができれば、円滑な走行を支援して交通渋滞の緩和などに役立てることができる。また、単独走行の車両が希望するときに隊列走行に参加できれば、安定な走行を支援して交通安全に役立てることもできる。よって、隊列走行を希望する車両が円滑かつ確実に隊列編成に参加できる技術の提供が望まれる。
【0003】
例えば特許文献1は、目的地情報を含む車両情報を受信する手段を備え、受信した車両情報と自車両の車両情報とを比較し、その比較結果に基づいて自車両が隊列を形成する他の車両や他の隊列車群(以下、これらを「他車両等」とも称す)を選択するようにした車両群形成制御装置について開示する。この車両群形成制御装置によれば、走行目的地が近い他車両等と隊列を編成することができるので、走行目的地まで円滑に隊列走行することができる。
【0004】
さらに、特許文献1は車両情報の類似度を判断し、自車両との類似度が所定値以上である他車両等を選択するようにした車両群形成制御装置についても開示する。ここでの類似度は車種や車両性能などの車両緒元や車速などに関するもので、自車両と同レベルの他の車両と隊列編成することでより円滑な走行を図るようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−261195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1で開示する隊列編成技術は、自車両と目的地が同一である他車両等と隊列を編成することに着目しているだけであり、目的地に向かう経路(走行ルート)が複数ある場合や途中における休憩の有無などについて考慮していない。そのために特許文献1で開示する技術では、時間及び燃料のロスの問題が発生し易いと共に、途中で隊列走行に支障が発生する場合がある。例えば、自車両と目的地が同じである他車両等であっても計画している経路が異なる場合がある。他車両等が不経済な経路を計画していた場合、この車両と隊列を編成して走行すると遠回りとなり時間及び燃料のロスが発生してしまう。また、経路計画が一致している場合であっても、休憩の有無、休憩地点の相違などによって隊列編成していた他車両等が急に居なくなるという場合も想定される。この場合には、自車両単独での走行に切換えるか、途中で隊列を編成できる他の車両を急いで探すことが必要となる。また、特許文献1で開示する技術は隊列を編成していた他車両等が途中で当初の経路を変更したときに対応できない。
【0007】
以上のように、特許文献1で開示する隊列編成技術では、実際に隊列走行するときに発生する種々の状況に対応できず、期待した隊列編成走行の効果を得ることをできない場合がある。
【0008】
したがって、本発明の目的は、実態に即して最適な隊列編成走行を行える車載用隊列編成装置及び車両の隊列編成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、複数の車両で隊列を編成して走行するための車載用隊列編成装置であって、他の車両又は他の隊列の経路計画及び休憩計画の少なくとも一方を含む第1走行計画を受信する受信手段と、自車両又は自隊列の経路計画及び休憩計画の少なくとも一方を含む第2走行計画を記憶する記憶手段と、前記第1走行計画と前記第2走行計画との類似度を評価する走行計画類似度評価手段と、前記類似度に基づいて、隊列を編成する車両または隊列を選択する選択手段とを、備えた車載用隊列編成装置により達成される。
【0010】
本発明によると、自車両側の走行計画と他車両側の走行計画との類似度を評価し、類似度に基づいて隊列を編成する車両や隊列が選択される。よって、車両が走行する道路環境の実態に即し、最適な隊列編成走行を行える車載用隊列編成装置を提供できる。
【0011】
また、前記受信手段は、前記他の車両又は前記他の隊列の車種情報及び車両特性情報の少なくとも一方も受信し、前記記憶手段は自車両又は自隊列の車種情報及び車両特性情報の少なくとも一方も記憶し、前記選択手段は前記車種情報及び車両特性情報の少なくとも一方の類似度にも基づいて前記選択を行うようにしてもよい。この場合、車種情報及び車両特性情報についても類似度を評価するので実態に即して更に最適な隊列編成走行を行える。
【0012】
また、前記第1走行計画と前記第2走行計画とに基づいて、第1走行計画の変更案を作成する計画変更案作成手段と、前記他の車両又は前記他の隊列に対して前記変更案を送信する送信手段とを、更に備える車載用隊列編成装置としてもよい。この場合には、他の車両又は前記他の隊列に対して走行計画の変更を打診できる。
【0013】
また、前記選択手段は、前記他の車両若しくは前記他の隊列の第1走行計画又は自車両若しくは自隊列の第2走行計画の変更があった場合に、変更された走行計画案に基づいて隊列を編成する車両または隊列の選択を再度行うようにしてもよい。この場合には、他車両等を一旦、選択した後であっても自車両に最適な他車両等を後に選択できる。
【0014】
また、前記第1走行計画及び前記第2走行計画に関する情報を表示する表示手段と、前記表示手段で表示された内容を選択指示するための選択入力手段とを更に備え、前記選択手段が、前記表示手段に前記類似度が所定基準以上である前記他の車両又は前記他の隊列を提示し、前記選択入力手段で前記他の車両又は前記他の隊列を選択可能とした車載用隊列編成装置としてもよい。この場合には、ドライバ(ユーザ)の意思を反映させことができる車載用隊列編成装置となる。そして、類似度の所定基準を手動設定するための設定手段を更に備えるのがより好ましい。
【0015】
上記目的は、複数の車両で隊列を編成して走行するための隊列編成方法であって、他の車両又は他の隊列の経路計画及び休憩計画の少なくとも一方を含む第1走行計画を受信するステップと、自車両又は自隊列の経路計画及び休憩計画の少なくとも一方を含む第2走行計画を記憶するステップと、前記第1走行計画と前記第2走行計画との類似度を評価するステップと、前記類似度に基づいて、隊列を編成する車両または隊列を選択するステップとを含む車両の隊列編成方法によっても同様に達成できる。
【0016】
また、前記走行計画の類似度を評価するステップでは、車種情報及び車両特性情報の少なくとも一方についても評価するのがより好ましい。
【0017】
また、前記車両または隊列を選択するステップの後に、前記第1走行計画と前記第2走行計画とに基づいて、第1走行計画の変更案を作成するステップと、
前記第1走行計画の変更案の受入を前記他の車両又は前記他の隊列に打診するステップとを更に含むものでもよい。
【0018】
また、前記他の車両若しくは前記他の隊列の第1走行計画又は自車両若しくは自隊列の第2走行計画の変更があった場合に、変更された走行計画案に基づいて隊列を編成する車両または隊列の選択を再度行うステップを更に含むものでもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、実態に即して最適な隊列編成走行を行える車載用隊列編成装置及び車両の隊列編成方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施例に係る車載用隊列編成装置について説明する。以下では、複数の実施例を説明する。これら実施例で前提となる構成を先ず図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、複数の車両が隊列走行するための前提となる基本的な設備(構成)をまとめて模式的に示した図である。特に、図1は隊列走行を希望する自車両SCを中心として、その周辺状況を模式的に示している。ここで自車両SCが走行する道路RDは、後述する通信設備を備えた高速道路或いは自動車専用道路などを想定している。そして、自車両SCには例えば図2に示すような車載用隊列編成装置1が搭載されている。
【0022】
車載用隊列編成装置1は、GPS(Global Positioning System)2、各種センサ3、通信装置4、記憶装置5及びこれらを全体的に制御するコントローラ6を備えている。GPS2は衛星より電波を受信して自車両SCの絶対位置を検出し、またジャイロ、速度センサ、画像センサを含む各種センサ3により自車両SCの相対位置を検出できる。GPS2及び各種センサ3の出力は、コントローラ6に供給されている。よって、コントローラ6は自車両SCの現在位置を確認することができる。
【0023】
通信装置4は、周辺に存在する他車両等(他の車両や他の隊列車群)と車車間通信を行う。また、道路RD側に配備されている通信設備と路車間通信を行う。これにより、通信装置4は隊列編成に関係する種々の情報を送受信する。特に、この情報には刻々と変化する他車両等に関する情報や道路情報などが含まれている。これらの情報もコントローラ6に供給されている。記憶装置5は自車両SCが隊列を編成して走行を行う際に実行するプログラムやこれに関連するデータ及び道路データなどを記憶している。コントローラ6は記憶装置5から読出したプログラムに基づいて、GPS2及びセンサ3の出力、並びに通信装置4を介して得たデータを参照して、自車両SCが隊列を編成するのが好ましい他車両等を選択する。また、コントローラ6は通信装置4を介して得たデータの内で必要なものについては適宜、記憶装置5に記憶して、その後にあって必要の都度に呼出して使用する。
【0024】
前述したように図1は、上記構成を備えた自車両SC周辺に複数の他車両等が存在している状況を例示している。より具体的に説明すると、自車両SCの前方に隊列走行車群1、右後方には隊列走行車群2(ここでは各車群とも3台づつ)を例示している。なお、図1で例示している他の各車両についても、前述した自車両SCと同様の機能を備えているものとする。自車両SC及び上記隊列走行車群を編成している車両のように、隊列編成機能を備えた車両を特に知能車両と称する場合がある。
【0025】
各隊列走行車群1、2内では車車間通信Bによって互いに車車データを送受信している。ここで交信するデータには、例えば車両識別ID、隊列編成情報、経路情報、速度情報、操舵情報、位置情報、車種情報、車両特性情報などを含めることができる。
【0026】
そして、図1では隊列走行車群1、2の先頭の他車両FC1、FC2と自車両SCが車車間通信Aを行っている場合を示している。自車両SCが隊列を編成している各車両と通信をするようにしてもよいが、図1で示すように先頭他車両FC1、FC2と交信するようにすることでデータを効率良く交信することができる。自車両SCが先頭他車両FC1、FC2と交信するデータは各隊列走行車群1、2内で送受信する上記車車データと同様でよいが、特に自車両SCが確認したい車両識別ID、車群構成情報、経路情報、速度情報、位置情報等が少なくとも含まれている。なお、先頭他車両FCが車群の代表して車群識別IDを送信するようにしてもよい。
【0027】
さらに、自車両SCは道路RDに配備されている路車間通信装置10と路車間通信Cを行っている。路車間通信装置10は道路RDに沿って所定間隔で配備されており、交通管理センタ等に配置した交通情報管理装置11を中心にしてネットワークDで接続されている。
【0028】
交通情報管理装置11は、自らが収集している工事情報、渋滞情報などの道路情報を路車間通信装置10を介して車両へ発信する。よって、自車両SCは路車間通信装置10を介して刻々と変化する道路RDの状況を確認できる。また、交通情報管理装置11は道路RDを走行している車両側から車両情報を取得する。ここでの車両情報には、少なくとも車両の現在位置情報、目的地情報、また各車両の目的地までの経路を計画した経路計画や途中における休憩箇所を計画した休憩計画を含む走行計画情報を含んでいる。より好ましくは、この車両情報に車群・車両識別ID、隊列編成情報、速度情報、車種情報、車両特性情報などを含んでいる。
【0029】
さらに、交通情報管理装置11は路車間通信装置10によって確認した情報に基づいて確認されている車両(或いは隊列走行車群)のダイヤグラム(走行計画表)を生成する機能を備えている。そして、交通情報管理装置11は隊列走行を希望する車両(本実施例では自車両SCとする)が新たに出現した場合、自車両SCの走行計画を追加したダイヤグラムに更新して提供する。また、交通情報管理装置11は必要な場合には隊列走行が円滑に行われるように各車両に対して走行を指示する機能を備える。
【0030】
上記のようにここでは、交通情報管理装置11が各車両のダイヤグラムを生成する場合を原則として説明するがこのような態様に限らない。各車両に搭載した車載用隊列編成装置が自らダイヤグラムを作成し、これを路車間通信で交通情報管理装置11に送信するようにしてもよい。交通情報管理装置11は受信した各車のダイヤグラムデータを編集して現在位置と目的地が一致するなど一定の条件を満たす車両及び車群をまとめた統合的なダイヤグラムを作成し、これを路車間通信で隊列走行を希望する車両に提供するようにしてもよい。
【実施例1】
【0031】
以下、さらに複数の実施例を示して本発明に係る車載用隊列編成装置についてより具体的に説明する。これらの実施例は図1及び図2で説明した構成を前提とするものである。そして、自車両SCに搭載されている車載用隊列編成装置1(図2)が、車車間通信や路車間通信を介して情報を収集し、実態に即して最適な隊列編成を行えるように自車両SCを運転するドライバを支援するものである。
実施例1は隊列走行を希望する自車両SCの車載用隊列編成装置1が、現在位置と目的地だけでなく、走行計画の類似度を評価して隊列を編成すべき他車両等を選択する実施例である。走行計画には経路計画だけでなく、休憩計画を含めておくのが望ましい。
【0032】
図3は実施例1を説明するために示した図であり、隊列走行を希望する自車両SC周辺の他車両等の様子を先に示した図1と同様に示している。ただし、この図3の場合には隊列編成走行している車群として、自車両SC前方の隊列走行車群A、右前方の隊列走行車群B及び右後方の隊列走行車群Cを図示してある。また隊列編成機能を備えていない一般車両も合せて図示してある。
【0033】
なお、図3で示している自車両SCの周辺は、例えば次のような状況であるとする。自車両SCはインターチェンジ1(IC1)からこの道路に進入して隊列走行車群への合流を希望している。隊列走行車群A〜Cの目的地は自車両SCと同一である。また、目標車速は隊列走行車群B、C及び自車両SCは同じであり、隊列走行車群Aは少し遅い。また、自車両SCとの位置関係は、隊列走行車群B、隊列走行車群A、隊列走行車群Cの順で近い。
【0034】
交通情報管理装置11は、路車間通信装置10を介して自車両SC及び各隊列走行車群A〜Cに関する車両情報を取得する。この車両情報には、前述したよう現在位置情報、目的地情報及び走行計画情報を含んでいる。交通情報管理装置11は車両情報に基づいて、自車両SCの走行計画を含んだ周辺車両のダイヤグラムを生成する。
【0035】
図4(A)は、交通情報管理装置11が図3の状態に基づいて作成したダイヤグラムである。ダイヤグラムは自車両SCが隊列走行を希望したとき(以下、本実施例で現在時刻と称する)を基準にして各車群A〜Cの走行計画を示したタイムチャートである。横軸は現在時刻を基準にして時刻を示している。また、縦軸は距離を示している。この縦軸には、インターチェンジ(IC)、サービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)など主要な休憩箇所の位置を図示してある。ここで、従来の技術のように現在位置と目的地だけを考慮していた場合には、自車両SCと現在位置が近く、目標速度が一致する隊列走行車群Bが隊列編成の相手として選択されることになる。
【0036】
しかし、実施例1では車載用隊列編成装置1のコントローラ6が図4(A)で示すダイヤフラムで各車両或いは車両群の具体的な走行計画を確認している。この走行計画には休憩計画も含むので、隊列走行車群Bが最初のサービスエリア(SA1)で休憩することを計画していることを確認できる。よって、コントローラ6は、選択対象から隊列走行車群Bを外すという判断を行なうことになる。そして、コントローラ6は隊列走行車群Bの次に条件(この例では現在位置と目的速度)が近い隊列走行車群Cを選択することになる。
【0037】
図4(B)は、車載用隊列編成装置1のコントローラ6が、自車両SCの隊列編成の相手として隊列走行車群Cを選択したときに作成される隊列合流計画を含んだダイヤグラムである。このダイヤグラムには、合流位置や合流時刻が含まれている。この図4(B)で示すダイヤグラムは、路車間通信で自車両SCから隊列走行車群Cを選択した旨の情報を得た交通情報管理装置11が作成し、路車間通信装置10を介して自車両SCに送信する。交通情報管理装置11は、このときに隊列走行車群Cへの路車間通信装置10を介して自車両SCが合流を希望している旨の合流情報を送信する。
【0038】
図5及び図6は、自車両SCに搭載した車載用隊列編成装置1のコントローラ6が隊列編成する相手の他車両等を選択するときの処理をまとめたフローチャートである。これらの図を参照して実施例1に記載の内容を総括する。
【0039】
図5は、交通情報管理装置11による処理例について示したフローチャートである。交通情報管理装置11は、路車間通信装置10を経由して知能車両から車両情報を定期的に受信する(S1)。前述したように、各知能車両から供給される車両情報には車群・車両識別IDや車種、車両特性などの一般的な情報と共に、経路計画や休憩計画を含む走行計画情報を含んでいる。交通情報管理装置11は、知能車両から得た車両情報を用いて前述したダイヤグラムを生成させる(S2)。なお、交通情報管理装置11は車種や車両特性などが近似した車両毎にダイヤグラムを作成するように設定されている。このようにすれば、能力が近い車両で隊列を編成できるので円滑な隊列走行を行える。
【0040】
交通情報管理装置11は、新たな知能車両を確認されたときには、その車両に関する情報を追加したダイヤグラムに更新して(S3)、例えば知能車両側から要求があったときには最新のダイヤグラムを提供できるように準備している。
【0041】
図6は、自車両SCのコントローラ6が交通情報管理装置11からダイヤグラムの供給を受け、隊列編成する相手の他車両等を選択するときの処理例について示したフローチャートである。
【0042】
自車両SCが交通情報管理装置11により管理されている道路に進入したときに、路車間通信装置10を介して車両情報を交通情報管理装置11へ送信する。これに対応して、交通情報管理装置11側から自車両SCを含むダイヤグラムを受信する(S11)。車載用隊列編成装置1のコントローラ6(図2参照)は、取得したダイヤグラムを記憶装置5に記憶する。
【0043】
ここでコントローラ6は、好ましくは隊列編成走行の希望があるか否かをドライバに確認する(S12)。コントローラ6は、例えば車室内のディスプレイ上に文字を表示したりスピーカから音声を発するなどして、隊列編成走行の希望があるかを確認し、ドライバの希望がない場合には処理を終了する。
【0044】
ドライバによる隊列編成走行の希望が確認された場合、コントローラ6はダイヤグラムに基づいて合流可能な他車両等があるかを確認する(S13)。合流可能な他車両等がある場合には(S14)、コントローラ6は更に走行計画が自車両SCと近似している他車両等が存在しているかを確認する(S15)。コントローラ6は、現在位置から目的地までの走行ルート(経路計画)が完全一致するようなような場合だけでなく、例えば走行ルートが一定割合以上で一致するような場合には走行計画が近似するものと判断する。
【0045】
そして、走行計画が近似する他車両等がある場合には(S16)、コントローラ6は更に走行計画の類似度が所定基準値以上である他の車両や車群があるかを確認する(S17)。ここでは、コントローラ6はダイヤグラムによって確認できる他車両等の走行計画(第1の走行計画)と自車両SCの走行計画(第2の走行計画)との類似度を評価する。ここでは、経路計画された走行ルートや休憩する箇所、休憩時間、休憩回数などの休憩計画などについて類似度が判断される。より好ましくは、車種情報、車両特性情報などについても類似度を評価するのが望ましい。
【0046】
例えば、経路(走行ルート)が完全に一致する場合は10P(ポイント)、経路は一致しないが目的地が一致する場合は5P、経路が一定割合以上(例えば50%以上)で一致する場合は5P、休憩箇所及び休憩時間が一致する場合は10P、目標速度の差が5km/h以内の差であれば10P、これとは逆に目標速度差が10km/h以上である場合は−5P、休憩箇所が相違する場合は−3Pなどのように予め数値化して判断するようにすればよい。そして、合計ポイントが所定基準値以上である他車両等が存在する場合に、コントローラ6が隊列編成すべき他車両等が存在するとの判断を行うようにしてもよい。
【0047】
コントローラ6は、自車両SCの周辺に類似度の基準を満足する他車両等があることを確認したときに(S18)、類似度が最も高い他車両等を隊列編成する相手として選択する(S19)。この選択に基づいて、図4(B)で示すような自車両SCが隊列に合流するためのダイヤグラムが作成される。このダイヤグラムについても交通情報管理装置11で作成して提供するようにしてもよいし、コントローラ6が自ら作成するようにしてもよい。
【0048】
以上で説明した実施例1は、自車両SCに搭載した車載用隊列編成装置1のコントローラ6が、交通情報管理装置11から受信するダイヤグラムを利用して、他車両等の走行計画(第1走行計画)と自車両SCの走行計画(第2走行計画)の類似度に基づいて、隊列を編成すべき最適な相手方を選択する。よって、従来のように目的地を重視して他車両等を選択するのでなく、実態に即して自車両SCに最適な車両等を選択して隊列編成できる。よって、実施例1の車載用隊列編成装置1を搭載した自車両SCは、円滑かつ効率的に隊列走行を行って目的地に到達できる。
【0049】
なお、上記実施例1の記載と特許請求の範囲の記載との関係では、通信装置4が受信手段に、記憶装置5が記憶手段に、そして、コントローラ6が走行計画類似度評価手段及び選択手段のそれぞれに相当している。
【実施例2】
【0050】
他の実施例について説明する。従来、隊列編成する他車両等を決定した後の変化に配慮して対処する隊列編成技術は提案されていない。しかし、特定の他車両等と隊列走行を決定した後に、その他車両等が走行計画を変化する場合がある。本実施例2は、より実態に即した隊列編成走を行えるようにするという観点から、走行計画の変更を可能とした車載用隊列編成装置について説明する。ただし、車載用隊列編成装置としての基本的なハード構成は実施例1で示した図2の車載用隊列編成装置1と同様であり、コントローラ6によって実行される隊列編成を行うための処理が異なる。実施例2の場合も記憶装置5に予め所定のプログラムを格納しておき、コントローラ6がこのプログラムを読出して実行するようにすればよい。よって、本実施例2で必要な場合は図2に示した符号を流用して説明する。
【0051】
実施例2では、コントローラ6が隊列編成相手を選択した後においても車車間通信及び路車間通信で刻々と変わる周辺の走行状況を確認している。そして、コントローラ6は最新のダイヤグラムを確認する。このダイヤグラムは実施例1の場合と同様に、交通情報管理装置11が作成して路車間通信により車載用隊列編成装置に提供するものでもよいし、コントローラ6が取得した情報に基づいて自ら作成するものでもよい。ここでは、交通情報管理装置11がダイヤグラムを逐次に更新して、路車間通信で自車両SCに供給しているものとして説明する。
【0052】
図7(A)は自車両SCが隊列編成を希望したときのダイヤグラム、図7(B)は隊列編成後の変化に基づいて更新したダイヤグラムを示している。なお、図7で示している自車両SCの周辺は、実施例1の同じ状況であったとする。すなわち、自車両SCはインターチェンジ1(IC1)からこの道路に進入して隊列走行車群への合流を希望していた。隊列走行車群A〜Cの目的地は自車両SCと同一である。また、目標車速は隊列走行車群B、C及び自車両SCは同じであり、隊列走行車群Aは少し遅い。また、自車両SCとの位置関係は、隊列走行車群B、隊列走行車群A、隊列走行車群Cの順で近かった。しかし、隊列走行車群Bは最初のサービスエリア(SA1)で休憩することを計画していることを確認した。そこで、自車両SCの車載用隊列編成装置1は、隊列走行車群Bの次に条件が近い隊列走行車群Cを一旦、選択したものとする。
【0053】
しかし、その後、自車両SCが隊列走行車群Cと合流する前に隊列走行車群Bが最初のサービスエリア(SA1)での休憩計画を中止することを決定した。自車両SCのコントローラ6は、車車間通信或いは交通情報管理装置11から供給されるダイヤグラムにより隊列走行車群Bの走行計画が変更されたことを確認する。
【0054】
この場合に、実施例2に係る車載用隊列編成装置1のコントローラ6は、隊列走行車群Cとの合流計画をキャンセルして、最も走行計画が近い隊列走行車群Bと合流することに切り替えるとの判断をする。図7(B)は現在時刻で隊列走行車群Bの走行計画の変更を確認し、コントローラ6が隊列編成の相手を隊列走行車群Bに変更したときのダイヤグラムを示している。
【0055】
上記実施例2は、隊列編成する他車両等を選択した後であっても、周辺の状況が刻々と変化するという実情に配慮したものである。本実施例の車載用隊列編成装置は他車両等の走行計画が変更されたことを確認したときに、コントローラ6が自車両SCにより最適な他車両等に変更する。その結果、一区間のみの経路が一致する他車両等との隊列編成を繰返して、効率的に目的地に到達できるようなる。
【0056】
なお、上記実施例2では、隊列走行車群Bを一旦、選択し、実際にこの隊列走行車群Bと合流する前に、最も類似度の高い隊列走行車群Cとの合流に変更する場合を説明した。しかし、このような場合に限らず、自車両SCが隊列走行車群Bと実際に合流した後に、コントローラ6が最適な隊列走行車群を確認したときに隊列編成相手を変更するようにしてもよい。
【0057】
図8はコントローラ6が隊列編成の対象を変更するときのフローチャートである。コントローラ6は自車両SC周辺の車両情報を監視して、変化の有無を確認する(S21)。変化した情報に合流に最適な他車両等の情報があった場合には(S22)、その他車両等を新たに選択して自車両SCの合流計画に変更する(S23)。このように自車両SCと最適な編成を行える他車両等を選択する処理を繰返すようにすれば、常に最適な他車両等と隊列走行を行うことができる。
【実施例3】
【0058】
前述した実施例1、2は、車載用隊列編成装置1のコントローラ6が自車両SCの周辺状況を検出(確認)して、自車両が隊列編成するのに最適な他車両等を選択するものであった。これに対して、次に示す実施例3は、コントローラ6が自車両SCの走行計画に適するように他車両等に対して走行計画(第1走行計画)の変更を打診するものである。この変更案を受け入れる他車両等がある場合に、その他車両等と隊列を編成する。このようにすれば、他車両等に走行計画の変更を働き掛けて自車両SCに最適な隊列を編成して走行できるので、更に最適な隊列走行を行うことができる。
【0059】
本実施例3の場合も車載用隊列編成装置としての基本構成は実施例1で示した図2の車載用隊列編成装置1と同様であるので必要な場合は、図2に示した符号を流用して説明する。また、実施例3の場合も、コントローラ6が車車間通信及び路車間通信で刻々と変わる走行状況の変化を確認している。そして、コントローラ6は最新のダイヤグラムを確認する。ダイヤグラムは実施例1の場合と同様に、交通情報管理装置11が作成して路車間通信により車載用隊列編成装置に提供するものでもよいし、コントローラ6が取得した情報に基づいて自ら作成するものでもよい。
【0060】
実施例3の場合は、自車両SCに搭載されている車載用隊列編成装置1のコントローラ6が、他車両等に対して走行計画の変更を打診する。その際に、提示する変更案はコントローラ6が自ら作成する。打診する変更案は変更箇所を問合せる形式でもよいが、変更後のダイヤグラムをコントローラ6が作成して他車両等に提示するのが好ましい。
【0061】
ただし、路車間通信でコントローラ6からダイヤグラム変更案作成の要求があったときに、交通情報管理装置11が作成するようにしてもよい。ここでは、自車両SCのコントローラ6が他車両等に提案する変更ダイヤグラムを作成するものとして説明する。なお、変更案の提示については、自車両SCから路車間通信で一旦、交通情報管理装置11に送信して、相手の他車両等に提示するようにしてもよい。また、自車両SCから車車間通信で相手の他車両等に提示すると共に、確認のため路車間通信で同じ情報を交通情報管理装置11に送信するようにしてもよい。
【0062】
図9(A)は自車両SCが隊列編成を希望したときの当初のダイヤグラム、図9(B)は走行計画の変更を受入れる他車両等が存在したときに作成されるダイヤグラムを示している。なお、図9で示している自車両SCの周辺は、実施例1の同じ状況であったとする。すなわち、自車両SCはインターチェンジ1(IC1)からこの道路に進入して隊列走行車群への合流を希望していた。隊列走行車群A〜Cの目的地は自車両SCと同一であった。目標車速は隊列走行車群B、C及び自車両SCは同じであり、隊列走行車群Aは少し遅い。また、自車両SCとの位置関係は、隊列走行車群B、隊列走行車群A、隊列走行車群Cの順で近かった。しかし、隊列走行車群Bは最初のサービスエリア(SA1)で休憩することを計画していることを確認した。
【0063】
この状況を容認する場合、実施例1のように隊列走行車群Bの次に条件が近い隊列走行車群Cを選択することになる。しかし、本実施例3の場合は隊列走行車群Aに対しては目標速度のアップを、隊列走行車群Bに対してはサービスエリア(SA1)での休憩中止を打診する。そして、コントローラ6は隊列走行車群A、Bのいずれかが打診を受け入れた場合、そのいずれかを選択し、合流計画を生成させることになる。隊列走行車群A、Bの両方が打診を受け入れた場合は、コントローラ6は類似度がより高い車群を選択する。
【0064】
そして、図9(B)は隊列走行車群Aが走行計画変更の打診を受入れ、コントローラ6が隊列編成の相手を隊列走行車群Aに変更したときのダイヤグラムを示している。隊列走行車群Aは打診を受け入れて目標速度をアップしている。
【0065】
上記のように実施例3では、コントローラ6が自車両SCの走行計画(第2走行計画)に適合するように、他車両等に走行計画(第1走行計画)の変更を打診する。そして、打診を受け入れた他車両等を選択して隊列を編成する。よって、実施例3の車載用隊列編成装置1を搭載した自車両SCは、円滑かつ効率的に隊列走行を行って目的地に到達できる。
【0066】
図10は、コントローラ6が他車両等に対し走行計画の変更を打診して隊列編成するときのフローチャートである。コントローラ6は周辺の車両情報を確認して、自車両SCの走行計画と一致する走行計画の他車両等が存在するか否かを確認する(S31)。自車両SCの走行計画と一致する他車両等があった場合には、その他車両等を選択して自車両SCの合流計画を生成する(S35)。なお、ここで走行計画が一致する場合として完全に一致する場合としてもよいし、前述した類似度に基づいて許容できる範囲を予め定め、この範囲に入る場合には実質的に一致するとの判断をするようにしてもよい。
【0067】
上記ステップS31で走行計画が一致する他車両等がない場合、コントローラ6は車両SCの走行計画と近い走行計画の他車両等を選択する。この選択には前述した類似度の評価を用いることができる。コントローラ6は、走行計画の一部を変更すると自車両SCの走行計画と一致する他車両等を特定し、その他車両等の走行計画変更案を作成する(S32)。この走行計画変更案をその他車両等に提示して計画の変更を打診する(S33)。この場合に、車車間通信で自車両SCから当該他車両等に直接、打診するようにしてもよいし、路車間通信で交通情報管理装置11を介して打診を行うようにしてもよい(S34)。
【0068】
変更の打診を受けた他車両等が変更を了承した場合は、コントローラ6は自車両SCがこれらと隊列編成走行するための合流計画を生成する(S35)。このように他車両等に走行計画の変更を働き掛けて自車両SCに最適な隊列を編成して走行できるので、更に最適な隊列走行を行うことができる。
【0069】
なお、上記実施例3の記載と特許請求の範囲の記載との関係では、通信装置4が送信手段、コントローラ6が計画変更案作成手段に相当している。
【実施例4】
【0070】
更に、本発明に係る実施例4について説明する。この実施例4は前述した実施例に適用できるものである。前述した実施例1〜3は車載用隊列編成装置1のコントローラ6が主体となって、自車両SCに最適な隊列をできる他車両等を選択するものであった。実施例4は隊列相手の選択の最終的判断をドライバ(ユーザ)に委ねるものである。
【0071】
本実施例4の車載用隊列編成装置1は、車車間通信や路車間通信で取得した情報を表示したり、ドライバの希望条件や判断を入力するための情報入出力装置を備えている。図11は、情報入出力装置20の一例を示した図である。情報入出力装置20は、文字や図形を表示する表示部(表示手段)21とドライバにより入力を行う入力部(選択入力手段)22とを備えている。この情報入出力装置20もコントローラ6(図2参照)によって制御されている。表示部21は例えば液晶で形成され、入力部22は選択指示及び入力指示をするための複数のボタンやダイヤルなで形成されている。図11(A)は情報入出力装置20の初期条件入力状態を示しており、ドライバが希望する条件を入力できるようになっている。ここで、前述した類似度について所定基準をドライバが任意に手動設定してもよい。このような設定を可能にすればよりユーザの希望に沿う車載用隊列編成装置にすることができる。
【0072】
図11(B)は、路車間通信で交通情報管理装置11から取得した情報に基づいて、コントローラ6が自車両SCが編成走行できる可能性がある隊列を表示部21に提示した状態を示している。この図で示すように、コントローラ6は隊列車群を識別するID、車速、経路、走行位置、合流位置、合流時刻などを表示部21に表示する。ドライバは、入力部22を操作して、希望する隊列のIDを入力することにより希望の隊列を決定する。コントローラ6は、ドライバからの指示入力を受けて隊列編成する隊列を選択する。
【0073】
なお、自車両SCから路車間通信で一旦、交通情報管理装置11に送信して、相手の隊列に合流を通知するようにしてもよい。また、自車両SCから車車間通信で相手の隊列に合流を通知すると共に、確認のため路車間通信で同じ情報を交通情報管理装置11に送信するようにしてもよい。
【0074】
自車両SCの走行環境は刻々と変化する。よって、隊列編成する相手を選択した場合或いは既に隊列走行をしている場合でも、新たに検出した他車両等と隊列を編成する方が好ましいという場合が多々ある。そこで、コントローラ6は常に周辺の情報を監視して、新たな他車両等が検出された場合にはこれを表示部21に表示してドライバに確認するのがより望ましい。
【0075】
図12は、コントローラ6が新たな他車両等を検出したときに情報入出力装置20の表示部21の表示状態を示している。なお、この図12は複数の隊列A〜Cの中からドライバが隊列Cを選択したので、コントローラ6が隊列Cとの合流するように走行計画を生成した状態で、新たな隊列Zを検出した場合を示している。図12の画面が表示されたときに、ドライバは隊列Cの選択を維持するか、新たな隊列Zに選択を切り替えるかを判断して入力部22で選択を指示することになる。
【0076】
コントローラ6はドライバが隊列Cを選択したときには当初の走行計画を維持する。一方、ドライバが隊列Zを選択したときには車車間通信或いは路車間通信を介して走行計画を変更したことを隊列C、Zに通知する。このような変更についても、路車間通信で交通情報管理装置11へ通知すると共に、交通情報管理装置11から変更に係る他車両等に通知するようにしてもよい。
【0077】
図13は、ドライバの判断に基づいてコントローラ6が隊列を編成するときのフローチャートである。入力部22を介してドライバが隊列走行を希望していることを確認する(S41)。コントローラ6は自車両SC周辺の車両情報を確認する(S42)。コントローラ6は、確認した情報から選択可能な隊列を表示部21に表示する(S43)。
【0078】
コントローラ6はドライバが選択した隊列を確認して(S44)、自車両SCの合流計画を生成する(S45)。コントローラ6は周辺の車両情報を確認して新たな隊列Zを確認した場合には(S46)、表示部21に新たな隊列Zを表示してドライバが選択を変更するか否かを確認する(S47)。
【0079】
ステップS47でドライバが新たな隊列Zに選択変更した場合、コントローラ6は合流計画を変更した走行計画を生成する(S49)。これとは逆にドライバが新たな隊列Zに選択を変更しない場合、コントローラ6は当初の合流計画を維持する(S48)。
【0080】
実施例4の車載用隊列編成装置1は、自車両SCが隊列を編成する他車両の選択の最終判断をサービスを受けるドライバ(ユーザ)に委ねられることになる。よって、利用者の要望により則した隊列編成を行える。
【0081】
なお、前述した実施例では、発明の理解を容易とするため単独の知能車両である自車両SCが、他の車両や既に隊列走行している他の車群と隊列編成する場合について説明した。しかし、本発明はこのような態様に限るものではない。上記自車両SCが既に隊列走行をしているような場合に、他の車両や車群と新たな隊列を編成する隊列走行する場合にも同様に適用できる。自車両SCが、既に隊列編成走行していた場合には、その隊列は自隊列となる。上記自車両SCが、この自隊列の先頭車両(自隊列を代表する車両)として自隊列のデータを車車間通信や路車間通信で送信しながら、新たに隊列を編成する相手車両を選択していたものと理解すると、前述した実施例をそのまま自隊列の場合に適用できる。
【0082】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】複数の車両が隊列走行するための前提となる基本的な構成をまとめて模式的に示した図である。
【図2】車載用隊列編成装置を搭載した自車両を示した図である。
【図3】実施例1を説明するために示した図である。
【図4】(A)は図3の状態に基づいて作成されるダイヤグラム、(B)はコントローラ6が自車両の隊列編成の相手として隊列走行車群Cを選択したときに作成されるダイヤグラムである。
【図5】交通情報管理装置による処理例について示したフローチャートである。
【図6】コントローラが隊列編成する相手の他車両等を選択するときの処理例について示したフローチャートである。
【図7】(A)は自車両が隊列編成を希望したときのダイヤグラム、(B)は隊列編成後の変化に基づいて更新したダイヤグラムである。
【図8】コントローラが隊列編成の対象を変更するときのフローチャートである。
【図9】(A)は自車両が隊列編成を希望したときの当初のダイヤグラム、(B)は走行計画の変更を受入れる他車両等が存在したときに作成されるダイヤグラムである。
【図10】コントローラ6が他車両等に対し走行計画の変更を打診して隊列編成するときのフローチャートである。
【図11】情報入出力装置の一例を示した図である。
【図12】新たな他車両等を検出したときに情報入出力装置の表示部の表示状態を示している図である。
【図13】ドライバの判断に基づいてコントローラが隊列を編成するときのフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
1 車載用隊列編成装置
2 GPS
3 各種センサ
4 通信装置
5 記憶装置
6 コントローラ
10 路車間通信
11 交通情報管理装置
SC 自車両
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両で隊列を編成して走行するための車載用隊列編成装置であって、
他の車両又は他の隊列の経路計画及び休憩計画の少なくとも一方を含む第1走行計画を受信する受信手段と、
自車両又は自隊列の経路計画及び休憩計画の少なくとも一方を含む第2走行計画を記憶する記憶手段と、
前記第1走行計画と前記第2走行計画との類似度を評価する走行計画類似度評価手段と、
前記類似度に基づいて、隊列を編成する車両または隊列を選択する選択手段とを、備えたことを特徴とする車載用隊列編成装置。
【請求項2】
前記受信手段は、前記他の車両又は前記他の隊列の車種情報及び車両特性情報の少なくとも一方も受信し、前記記憶手段は自車両又は自隊列の車種情報及び車両特性情報の少なくとも一方も記憶し、前記選択手段は前記車種情報及び車両特性情報の少なくとも一方の類似度にも基づいて前記選択を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の車載用隊列編成装置。
【請求項3】
前記第1走行計画と前記第2走行計画とに基づいて、第1走行計画の変更案を作成する計画変更案作成手段と、
前記他の車両又は前記他の隊列に対して前記変更案を送信する送信手段とを、更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の車載用隊列編成装置。
【請求項4】
前記選択手段は、前記他の車両若しくは前記他の隊列の第1走行計画又は自車両若しくは自隊列の第2走行計画の変更があった場合に、変更された走行計画案に基づいて隊列を編成する車両または隊列の選択を再度行う、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車載用隊列編成装置。
【請求項5】
前記第1走行計画及び前記第2走行計画に関する情報を表示する表示手段と、前記表示手段で表示された内容を選択指示するための選択入力手段とを更に備え、
前記選択手段が、前記表示手段に前記類似度が所定基準以上である前記他の車両又は前記他の隊列を提示し、
前記選択入力手段で前記他の車両又は前記他の隊列を選択可能とした、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車載用隊列編成装置。
【請求項6】
前記所定基準を手動設定するための設定手段を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の隊列編成装置。
【請求項7】
複数の車両で隊列を編成して走行するための隊列編成方法であって、
他の車両又は他の隊列の経路計画及び休憩計画の少なくとも一方を含む第1走行計画を受信するステップと、
自車両又は自隊列の経路計画及び休憩計画の少なくとも一方を含む第2走行計画を記憶するステップと、
前記第1走行計画と前記第2走行計画との類似度を評価するステップと、
前記類似度に基づいて、隊列を編成する車両または隊列を選択するステップとを、含むことを特徴とする車両の隊列編成方法。
【請求項8】
前記走行計画の類似度を評価するステップでは、車種情報及び車両特性情報の少なくとも一方についても評価する、ことを特徴とする請求項7に記載の車両の隊列編成方法。
【請求項9】
前記車両または隊列を選択するステップの後に、前記第1走行計画と前記第2走行計画とに基づいて、第1走行計画の変更案を作成するステップと、
前記第1走行計画の変更案の受入を前記他の車両又は前記他の隊列に打診するステップとを更に含む、ことを特徴とする請求項7又は8に記載の車両の隊列編成方法。
【請求項10】
前記他の車両若しくは前記他の隊列の第1走行計画又は自車両若しくは自隊列の第2走行計画の変更があった場合に、変更された走行計画案に基づいて隊列を編成する車両または隊列の選択を再度行うステップを更に含む、ことを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の車両の隊列編成方法。
【請求項1】
複数の車両で隊列を編成して走行するための車載用隊列編成装置であって、
他の車両又は他の隊列の経路計画及び休憩計画の少なくとも一方を含む第1走行計画を受信する受信手段と、
自車両又は自隊列の経路計画及び休憩計画の少なくとも一方を含む第2走行計画を記憶する記憶手段と、
前記第1走行計画と前記第2走行計画との類似度を評価する走行計画類似度評価手段と、
前記類似度に基づいて、隊列を編成する車両または隊列を選択する選択手段とを、備えたことを特徴とする車載用隊列編成装置。
【請求項2】
前記受信手段は、前記他の車両又は前記他の隊列の車種情報及び車両特性情報の少なくとも一方も受信し、前記記憶手段は自車両又は自隊列の車種情報及び車両特性情報の少なくとも一方も記憶し、前記選択手段は前記車種情報及び車両特性情報の少なくとも一方の類似度にも基づいて前記選択を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の車載用隊列編成装置。
【請求項3】
前記第1走行計画と前記第2走行計画とに基づいて、第1走行計画の変更案を作成する計画変更案作成手段と、
前記他の車両又は前記他の隊列に対して前記変更案を送信する送信手段とを、更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の車載用隊列編成装置。
【請求項4】
前記選択手段は、前記他の車両若しくは前記他の隊列の第1走行計画又は自車両若しくは自隊列の第2走行計画の変更があった場合に、変更された走行計画案に基づいて隊列を編成する車両または隊列の選択を再度行う、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車載用隊列編成装置。
【請求項5】
前記第1走行計画及び前記第2走行計画に関する情報を表示する表示手段と、前記表示手段で表示された内容を選択指示するための選択入力手段とを更に備え、
前記選択手段が、前記表示手段に前記類似度が所定基準以上である前記他の車両又は前記他の隊列を提示し、
前記選択入力手段で前記他の車両又は前記他の隊列を選択可能とした、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車載用隊列編成装置。
【請求項6】
前記所定基準を手動設定するための設定手段を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の隊列編成装置。
【請求項7】
複数の車両で隊列を編成して走行するための隊列編成方法であって、
他の車両又は他の隊列の経路計画及び休憩計画の少なくとも一方を含む第1走行計画を受信するステップと、
自車両又は自隊列の経路計画及び休憩計画の少なくとも一方を含む第2走行計画を記憶するステップと、
前記第1走行計画と前記第2走行計画との類似度を評価するステップと、
前記類似度に基づいて、隊列を編成する車両または隊列を選択するステップとを、含むことを特徴とする車両の隊列編成方法。
【請求項8】
前記走行計画の類似度を評価するステップでは、車種情報及び車両特性情報の少なくとも一方についても評価する、ことを特徴とする請求項7に記載の車両の隊列編成方法。
【請求項9】
前記車両または隊列を選択するステップの後に、前記第1走行計画と前記第2走行計画とに基づいて、第1走行計画の変更案を作成するステップと、
前記第1走行計画の変更案の受入を前記他の車両又は前記他の隊列に打診するステップとを更に含む、ことを特徴とする請求項7又は8に記載の車両の隊列編成方法。
【請求項10】
前記他の車両若しくは前記他の隊列の第1走行計画又は自車両若しくは自隊列の第2走行計画の変更があった場合に、変更された走行計画案に基づいて隊列を編成する車両または隊列の選択を再度行うステップを更に含む、ことを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の車両の隊列編成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−3675(P2008−3675A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169942(P2006−169942)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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