説明

車載用電子機器及びプログラム

【課題】居眠り運転を効果的に防止できる車載用電子機器を提供する。
【解決手段】GPS警報機能のために目的の位置情報である目標物の位置情報をデータベース19に記憶しておき、制御部18が、現在位置をGPS受信器8から取得して、取得した現在位置が、データベース19に記憶された目的の位置と所定の接近関係になった場合に、その接近に関する情報を、スピーカ20・警報ランプ6・表示部5から報知させる制御を行うレーダー探知機において、制御部18は、入力機器から運転状態を入力して、その運転状態に基づき、居眠り運転の危険性があるか否かを判定し、居眠り運転の危険性があると判定された場合に、運転者を覚醒させるための出力をスピーカ20・警報ランプ6・表示部5から行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的の位置と所定の接近関係になった場合にその接近に関する情報を報知する車載用電子機器において、居眠り運転の可能性がある場合に運転者を覚醒させるための出力を行う車載用電子機器及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の速度を測定する速度測定装置が路上周辺等に多数設置されるようになっている。速度測定装置の一例としては、所定周波数帯域のマイクロ波を車両に向けて発射し、その反射波を受信して車両の走行スピードを測定するものがある。こうした速度測定装置の存在を検出するため、速度測定装置から発射されたマイクロ波を検出して警報を出力するように構成されたマイクロ波検出器が従来から知られている。
【0003】
また、速度測定装置の中には、従来のマイクロ波検出器では検出できないものもある。一例を挙げると、ループ式と称されるように、地中にループ状のコイルを埋め込み、そのコイルの上を車両が通過するのを検知するとともに車速も判定するものがある。また、マイクロ波以外の光を用いて車両の速度を検出するものもある。そこで、予め速度測定装置の設置位置情報を記憶させておき、GPS(Global Positioning System )等によって取得した現在位置が、記憶した設置位置に近づいた場合(所定の接近関係になった場合)に、マイクロ波の検知の有無に関係なく警告を発するようにしたレーダー探知機等の車載用電子機器がある(特許文献1)。 たとえば、現在位置が、速度測定装置の設置位置から1000m以内に入った位置になった場合に第一の警告を行い、さらに速度測定装置の設置位置から500m以内に入った位置になった場合に、第二の警告を行うなどしている。
【0004】
このような目的の位置と所定の接近関係になった場合にその接近に関する情報を報知する車載用電子機器における付加機能として、エンジン始動による車載用電子機器への電源供給の開始を運転の開始とみなし、エンジン始動による車載用電子機器への電源供給の開始から30分など、一定時間経過した場合に、「長時間運転しています。休憩しませんか。」という警告を、音声等により出力するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−64588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような出力は、単に、一定時間経過した場合になされるだけであるため、居眠り運転を効果的に防止することができなかった。
【0007】
そこで、本発明は、係る問題を解決するためになされたもので、目的の位置と所定の接近関係になった場合にその接近に関する情報を報知する車載用電子機器において、居眠り運転を効果的に防止できる車載用電子機器に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明に係る車載用電子機器は、(1)目的の位置情報を記憶する記憶手段と、現在位置を取得する位置取得手段と、報知手段と、前記位置取得手段によって取得された現在位置が、前記記憶手段に記憶された目的の位置と所定の接近関係になった場合に、その接近に関する情報を前記報知手段から報知させる制御を行う制御手段とを備える車載用電子機器において、運転状態を入力する入力手段と、運転者を覚醒させるための出力をする出力手段とを備え、前記制御手段は、前記入力手段によって入力された運転状態に基づき、居眠り運転の危険性があるか否かを判定し、居眠り運転の危険性があると判定された場合に、前記出力手段から運転者を覚醒させるための出力をする制御を行う。
【0009】
このような構成によれば、目的の位置と所定の接近関係になった場合に、その接近に関する情報が報知され、居眠り運転の危険性があると判定された場合に、運転者を覚醒させるための出力がなされるので、居眠り運転を効果的に防止できる。
【0010】
なお、入力手段は、他の装置から運転状態を入力するようにしてもよいし、例えば、自装置にセンサー等の検出手段を設け、検出手段から運転状態を入力するようにしてもよい。例えば、他の装置としては例えば車両自体とするとよく、運転状態は車両自体の制御に用いられる車内LANから入力したり、車両に備えるセンサーと接続して入力したりするとよい。また、自装置自体に検出手段を設ける場合、検出手段は、例えば、現在位置を検出するGPS受信器としたり、速度や加速度を取得するセンサーとしたり、運転者自身の状態を検出するセンサーとするとよい。運転状態としては、例えば、車両の状態、運転者自身の状態、車室内の環境の状態などを入力するとよい。例えば、センサーにより脳波検出を行ない、脳波状態に基づいて、居眠り運転の危険性があるか否かを判定し、注意を促す出力を行うようにしてもよい。
【0011】
居眠り運転の危険性は、例えば、すでに居眠り運転状態にあることを危険性ありとしてもよいし、居眠り運転状態になりやすい状態を危険性ありとしてもよい。
【0012】
(2)前記出力手段は、光、音、振動、ガス、香り、マイナスイオンの少なくともいずれか1つを出力するとよい。このような構成によれば、居眠り運転の危険性があると判定された場合に、運転者を効果的に覚醒させることが可能となる。特にこれらのうちの少なくとも2つを組み合わせて出力するとよい。組み合わせて出力する方法としては、例えば、制御手段がこれらのうち同時に2つ以上のものを出力するように制御するようにしてもよいし、制御手段が出力タイミングに時間的に差を設け(時差を設け)、いずれかのものの出力後に、他のものを出力するように制御するようにしてもよい。特に、制御手段は、居眠り運転の危険性の度合いに応じて、これらのうちいずれのものを出力するか、どのような態様(例えばパターン、強度など)で出力するかを決定する制御をするとよい。
【0013】
マイナスイオン、香り、ガスとして酸素などを出力するようにすれば、眠気を解消できるとともに、同乗者もリラックスでき、イライラが解消され、疲れがとれる。眠気を誘う原因のひとつに電磁波が脳に与える影響もあるため、マイナスイオンによって電磁波を取り除いたり、電磁波を吸収する物質等を本体の中へ装着したりするのも良い。
【0014】
(3)前記出力手段による運転者を覚醒させるための出力は、前記報知手段による接近に関する情報の報知に比べ、より変化を伴う態様で出力するとよい。このようにすれば、接近に関する報知がなされても覚醒しないような場合であっても、運転者を覚醒させるための出力によって、運転者が覚醒する可能性が高くなる。より変化を伴う態様とは、例えば、出力の強度を、運転者を覚醒させるための出力のほうが、接近に関する情報の報知に比べ高くするなどして実現できる。
【0015】
(4)前記報知手段として接近に関する情報を表示する表示部を備え、前記入力手段は、前記運転状態として運転者の状態を撮影するカメラであって、前記表示部の表示面を運転者が見た場合に運転者の顔が撮影可能な方向を向けて配置しており、前記制御手段は、前記運転状態として前記カメラによって撮影された運転者の顔の映像に基づき、前記居眠り運転の危険性があるか否かを判定するとよい。
【0016】
このようにすれば、運転者は、目的の位置と所定の接近関係になった場合に、その接近に関する情報を確認するため表示部を見ることとなる。運転者が居眠り運転の危険性がある状態である場合、接近に関する情報を確認するため表示部を見ることがなくなる傾向にある。したがって、前記運転状態として前記カメラによって撮影された運転者の顔の映像に基づき、前記居眠り運転の危険性があるか否かを容易に判定することが可能となる。
【0017】
カメラによって撮影された運転者の顔の映像に基づき、前記居眠り運転の危険性があるか否かを判定する具体的方法としては、例えば、運転者の頭の動き、まぶたの動き、視線に基づいて判定するとよい。
【0018】
(5)前記運転者の状態を撮影するカメラとは別に車両の外側を撮影する外向けカメラを備え、前記表示部には、前記外向けカメラの映像を表示し、前記報知手段による接近に関する情報の報知は、前記表示部に表示した外向けカメラの映像上に重ねて表示して行うとよい。
【0019】
外向きカメラを入力手段とし、外向きカメラの映像を運転状態としてもよい。たとえば、外向きカメラの映像から赤信号を認識してから、車両が停車するまでの時間が所定の基準値よりも大きい場合に、後述する居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をするようにしてもよいし、外向きカメラの映像から前方車両との距離を認識して、その距離が所定の基準値よりも接近している場合には、後述する居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をするようにしてもよい。
【0020】
(6)同一の時間における前記運転者の状態を撮影するカメラによって撮影された映像と前記外向けカメラによって撮影された映像とを関連づけて記録する記録手段を備えるとよい。このようにすれば、自己の顔の映像と外の情景とが関連づけて記録手段に記録されるので、記録手段に記録された両映像を再生することにより、居眠り運転の危険性があったときの自己の状態と外の状態とを後から容易に確認することができる。よって、居眠り運転の危険性を容易に自覚することができ、居眠り運転の危険性を意識づけることが容易にできる。
【0021】
特に、前記記録手段に記録された同一の時間における前記運転者の状態を撮影するカメラによって撮影された映像と前記外向けカメラによって撮影された映像とを前記関連づけに基づいて同時に再生する再生手段を備えるとよい。
【0022】
(7)前記制御手段は、前記報知手段による前記接近に関する情報の報知と、前記出力手段による前記運転者を覚醒させるための出力とを、それぞれ行うか否かを設定する設定手段を備え、当該設定手段に設定された設定に基づき、前記報知手段による前記接近に関する情報の報知と前記出力手段による前記運転者を覚醒させるための出力の制御を行うとよい。
【0023】
入力手段および制御手段のより具体的な構成としては、上述したもの以外に、例えば(8)〜(12)のようにするとよい。入力手段は、上述した入力手段の構成要素および(8)〜(12)に記載の構成要素のうち少なくとも2つを組み合わせて構成してもよい。
【0024】
なお、(8)〜(12)において、「居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をする」方法としては、例えば、危険度が基準危険度を超える場合に居眠り運転の危険性があると判定する構成である場合に、危険度を高める処理を行う方法など、各種の方法をとることができる。
【0025】
(8)前記入力手段は、前記運転状態として車内の二酸化炭素の量を入力し、前記制御手段は、前記入力手段によって入力された二酸化炭素の量が、所定値以上の場合に、前記居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をするとよい。
【0026】
(9)前記入力手段は、前記運転状態として前記運転者が食後であるか否かを推定する情報を入力し、前記制御手段は、前記入力手段によって入力された前記運転者が食後であるか否かを推定する情報に基づき運転者が食後であると推定した場合に、前記居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をするとよい。
【0027】
(10)前記入力手段は、前記運転状態として現在時刻を入力し、前記制御手段は、前記入力手段によって入力された現在時刻が、午前3時〜4時、午前6時〜7時、15時〜16時のいずれかの場合に、前記居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をするとよい。
【0028】
(11)前記入力手段は、前記運転状態として車両の速度を入力し、前記制御手段は、前記入力手段によって入力された車両の速度の所定時間内の変化量が基準値よりも少ない場合に前記居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をするとよい。
【0029】
(12)前記入力手段は、前記運転状態として走行中の道路の制限速度を入力し、前記制御手段は、前記入力手段によって入力された制限速度が、基準制限速度よりも高い場合に、前記居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をするとよい。
【0030】
(13)前記入力手段は、前記運転状態として運転者の年齢を入力し、前記制御手段は、前記入力手段によって入力された年齢が、20代・30代・50代である場合に、前記居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をするとよい。そして、20代・30代・50代のいずれかでない場合には、居眠り運転の危険性があるとする方向での制御を行わないようにするとよい。
【0031】
(14)前記入力手段は、前記運転状態として現在の天候を入力し、前記制御手段は、前記入力手段によって入力された現在の天候が、曇りである場合に、前記居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をするとよい。そして、現在の天候が、曇りでない場合には、居眠り運転の危険性があるとする方向での制御を行わないようにするとよい。
【0032】
(15)前記入力手段は、前記運転状態として目的地までの距離を入力し、前記制御手段は、前記入力手段によって入力された目的地までの距離が10km以内の場合に、前記居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をするとよい。そして、目的地までの距離が10km以内でない場合には、居眠り運転の危険性があるとする方向での制御を行わないようにするとよい。目的地の入力は、例えば、ナビゲーション装置における一般的な入力方法を用いてもよいし、あらかじめ登録しておくようにしてもよい。特に目的地が自宅として設定されている場所である場合には、自宅以外の場所に設定されている場合よりも居眠り運転の危険性があるとする方向での制御を行うとよい。
【0033】
(16)前記入力手段は、前記運転状態として運転者のライフログを入力し、前記制御手段は、前記入力手段によって入力されたライフログを加味して居眠り運転の危険性があるか否かの判定を行うとよい。ライフログの入力は例えば無線通信網等を介して、インターネットに接続して、インターネットに接続されたサーバから入力するようにしてもよいし、ライフログを取得する各種の携帯機器と無線または有線で接続して取得するようにしてもよい。ライフログの内容としては、例えば睡眠状態(例えば睡眠している時間帯情報や、睡眠時無呼吸症候群の症状を示しているかの情報)や、運動をしている時間帯情報や、食事の時間帯情報や、心拍数等の生態情報、薬の飲用時間帯と薬の種別(例えば、抗ヒスタミン剤の飲用状態灯)などを用いるとよい。
【0034】
(17)前記記憶手段は、前記目的の位置として、居眠り運転の発生しやすい位置を記憶しており、前記制御手段は、前記接近に関する情報として居眠り運転の発生しやすい場所への接近である旨の情報を前記報知手段から報知させる制御を行うとよい。
【0035】
このようにすれば、居眠り運転の発生しやすい場所を通過前に事前に知ることができる。したがって、居眠り運転を予防することができるとともに、意識づけることができる。この報知は、例えば、地図上へ該当位置のマークを表示して行ったり、ランプ等の光、電子音や音声、振動等で行ったりするとよい。
なお、このような報知を行った場合には、制御手段は、眠り運転の危険性がないとする方向での制御を行うようにしてもよい。
【0036】
(18)なお、(1)〜(17)のいずれかに記載の車載用電子機器における制御手段としての機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとして実現できる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、目的の位置と所定の接近関係になった場合にその接近に関する情報を報知する車載用電子機器において、居眠り運転を効果的に防止できる車載用電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の好適な一実施形態であるレーダー探知機の構成を示す図である。
【図2】レーダー探知機のブロック図である。
【図3】待ち受け画面・レーダースコープ・GPS警報の表示例を示す図である。
【図4】レーダー波警報機能における警報画面の表示例を示す図である。
【図5】接近警告設定画面の表示例を示す図である。
【図6】居眠り運転警告設定画面の表示例を示す図である。
【図7】年齢設定画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1,図2は、本発明の車載用電子機器として好適な一実施形態であるレーダー探知機の構成を示している。本レーダー探知機は通常ダッシュボード上に取り付けられる。本レーダー探知機は、図1に示すように、ケース本体1の上面にソーラーパネル2並びにスイッチ部3を配置し、ケース本体1の前面側(車両前方へ配置される側(フロントガラス側))に車両の前方を撮影するための車外撮影カメラ23を備え、前面側の内部に速度測定装置の発する周波数帯のマイクロ波を検知するマイクロ波受信器4を配置し、ケース本体1の後面側(車両後方へ配置される側(ユーザ側))に表示部5と警報ランプ6と赤外線通信機7とリモコン受信器16と運転者の顔を撮影するための車内撮影カメラ21を配置している。また、ケース本体1の上面側内部には、GPS受信器8、CO2センサー25を配置する。さらに、ケース本体1の一方の側面には、アダプタージャック9を配置し、他方の側面には電源スイッチ10並びに図示省略するDCジャックを配置する。また、ケース本体1内には、スピーカ20も内蔵している。本実施形態では、表示部5は2.4インチの小型液晶ディスプレイであり、表示部5を実装するケース本体1の後方側の高さHは、その他の部位の高さH0よりも大きくしている。CO2センサー25は、二酸化炭素の量を検出するセンサーである。CO2センサー25としては、例えば、赤外線式吸収法(NDIR)によるセンサーなどを用いるとよい。
【0040】
図2に示すように、赤外線通信機7は携帯電話機12等の赤外線通信機を内蔵した通信装置との間でデータの送受を行なう。アダプタージャック9は、メモリカードリーダ13を接続する端子である。アダプタージャック9にメモリカードリーダ13を接続することで、そのメモリカードリーダ13に装着されたメモリカード14に格納されたデータを内部に取り込むことができる。より具体的には、メモリカード14に格納されたデータは、新規な目標物の情報(経度・緯度を含む位置情報,種別情報等)などの更新情報があり、その更新情報が制御部18経由で装置に内蔵されるデータベース19に格納(ダウンロード)され、データ更新がされる。なお、メモリカードリーダ13の機能は、本体ケース1内に内蔵するように構成してもよい。
【0041】
データベース19は、制御部18のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(たとえばEEPROM)である。データベース19には、出荷時に一定の目標物に関する情報を登録しており、その後に追加された目標物についてのデータ等が上記のようにしてデータ更新することができる。また、データ更新は、赤外線通信機7を介して行なうこともできる。
【0042】
DCジャックは、図示省略のシガープラグコードを接続するためのもので、そのシガープラグコードを介して車両のシガーソケットに接続して電源供給を受け得るようにする。無線受信器15は、飛来する所定周波数の無線を受信する。リモコン受信器16は、赤外線によりリモコン(携帯機:子機)17とデータ通信をし、装置に対する各種の設定を行なう。また、スイッチ部3も制御部18に接続され(図示省略)、リモコン17と同様の設定を行えるようになっている。リモコン17には、再生ボタン、待受切替ボタン、設定ボタン、選択ボタン、キャンセルボタン、決定ボタンと、上下左右の十字ボタンを備えている。
【0043】
また、制御部18は、CPU,ROM,RAM,不揮発性メモリ、I/O等を備えるマイコンであり、上記の各種の入力機器(GPS受信器8、マイクロ波受信器4、無線受信器15、リモコン受信器16、メモリカードリーダ13、赤外線通信機7、車内撮影カメラ21、車外撮影カメラ23、CO2センサー25)から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(表示部5,警報ランプ6,スピーカ20)を利用して所定の警報・メッセージを出力する。なお、これらの基本構成は、基本的に従来のものと同様のものを用いることができる。
【0044】
本実施形態のレーダー探知機における機能は、制御部18に有するコンピュータが実行するプログラムとして制御部18のEEPROM上に格納され、これを制御部18に有するコンピュータが実行することで実現される。
【0045】
制御部18の有するプログラムによってコンピュータが実現する機能としては、GPSログ機能、映像表示機能、映像記録機能、映像再生機能、待ち受け画面表示機能、映像表示機能、映像記録機能、映像再生機能、レーダースコープ表示機能、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能などが挙げられる。
【0046】
制御部18は、1秒ごとにGPS受信器8によって検出された現在位置をその検出した時刻および速度(車速)と関連づけて位置履歴として、不揮発性メモリに記憶するGPSログ機能を備える。この位置履歴は例えばNMEA形式で記録するようにしてもよい。
【0047】
車内撮影カメラ21および車外撮影カメラ23は、1ルクス程度の明かりでも撮影可能なCCDカメラであり、制御部18のマイコンに備えるUSBポートに内部接続されている。車内撮影カメラ21および車外撮影カメラ23は、CCDカメラで撮影した映像をA/D変換して映像データとして制御部18へ送る機能を備える。この機能は、いわゆるUSBカメラと同様の構成である。制御部18は、車内撮影カメラ21および車外撮影カメラ23から受け取った映像データを表示部5に表示させる映像表示機能と、映像データを制御部18のマイコンに外付けした不揮発性メモリに圧縮して記録する映像記録機能と、記録した映像データを伸張し、表示部5に表示する映像再生機能を備える。映像表示機能は、車外撮影カメラ23の映像を表示する車外カメラ映像表示機能と、車内撮影カメラ21の映像を表示する車内カメラ映像表示機能とからなる。また、制御部18は、車内撮影カメラ21から受け取った映像データから運転者のまぶたの位置を解析し、まぶたが閉じられている時間を判定し、1秒以上まぶたが閉じられている場合には、まぶたを閉じた時刻とまぶたを閉じた時間の履歴を不揮発性メモリに記録していく。そして、5秒以上まぶたが閉じられているか否かを判定するまぶた閉検知処理と、まぶた閉検知処理によってまぶたが5秒以上閉じられていることが検知された場合に、最大音量でサイレン音をスピーカ20から出力する居眠り警報処理を行う。これらの処理はマルチタスクで実現される。
【0048】
待ち受け画面表示機能は、図3(a)に示すように、GPS受信器8によって検出した自車両の速度、緯度、経度、高度を表示する機能である。レーダースコープ表示機能は、図3(b)に示すように、GPS受信器8によって検出した現在位置から所定の範囲内(例えば約1kmの範囲内)にある目標物をデータベース19に記憶された位置情報に基づいて検索し、自車位置と目標物の位置との相対的な位置関係を表示部5に表示させる機能である。図3(b)中の左側の「W」が西、右側の「E」が東、上側の「N」が北の方角を示し、「W」と「E」を結ぶ左右方向の線と「N」から下へ伸びる上下方向の線との交点にあるアイコンが自車位置を示している。また「L」「RD」「P」「N」等の文字を有するアイコンが目標物の種類と位置を示す。
【0049】
図3(a)に示すような待ち受け画面表示機能実行中にリモコン17に設けた待受切替ボタンの押下が検出された場合、図3(b)に示すようなレーダースコープ表示機能に切り替える。また、レーダースコープ表示機能実行中にリモコン17に設けた待受切替ボタンの押下が検出された場合、車内カメラ映像表示機能に切り替える。また、車内カメラ映像表示機能実行中にリモコン17に設けた待受切替ボタンの押下が検出された場合、車外カメラ映像表示機能に切り替える。そして、車外カメラ映像表示機能実行中にリモコン17に設けた待受切替ボタンの押下が検出された場合、待ち受け画面表示機能に切り替える処理を行う。
【0050】
制御部18は、映像表示機能、待ち受け画面表示機能またはレーダースコープ表示機能(以下これらの機能を総称して待受機能と称する)の実行中に、発生したイベントに応じて、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能等の各機能を実現する処理を実行する。
【0051】
GPS警報機能は、待受機能の実行中に、データベース19に記憶された目標物の緯度経度とGPS受信器8によって検出した現在位置の緯度経度から両者の距離を求め、求めた距離が所定の接近距離(例えば500m以内)になった場合に、表示部5にその旨を表示し、スピーカ20からその旨を示す接近警告の音声を出力する処理である。
【0052】
なお、接近警告を行うか否かを設定する接近警告設定機能を備える。すなわち、制御部18は、接近警告を行うか否かをユーザから入力した指示に基づき設定し、その設定に基づいて接近警告処理を行なう。具体的には、制御部18は、リモコン受信器16を介してリモコン17の設定ボタンの短時間(1秒未満)の押下を検出した場合、図5に示す接近警告設定画面を表示部5に表示させる。リモコン17の十字ボタンの上ボタンまたは下ボタンの操作が検出された場合、フォーカス枠51を「する」と「しない」との間で押下されたボタンに対応する方向へ移動させる。そして、リモコン17の選択ボタンの押下が検出された場合には、フォーカス枠51で囲まれた項目の左側にあるラジオボタンのチェック状態を◎に設定する一方、フォーカス枠51で囲まれていない項目の左側にあるラジオボタンのチェック状態を○に設定する。リモコン17の決定ボタンが押下された際の◎に設定された項目の内容を接近警告の設定値として制御部18の不揮発性メモリに記憶する。たとえば、図5に示すように「する」が◎に設定された状態でリモコン17の決定ボタンの押下が検出された場合には、接近警告の設定値として「接近警告する」を、制御部18の不揮発性メモリに記憶する。そして、制御部18の不揮発性メモリに記憶された接近警告の設定値が「接近警告する」の場合にのみ、上述したGPS警報機能の処理を行う。
【0053】
例えば、制御部18の不揮発性メモリに記憶された接近警告の設定値が「接近警告する」の設定であって、待受機能の実行中に、図中上方にある目標物「L」(ループコイル式レーダーを示す)と自車位置との距離が500mになった場合には、図3(c)のように、目標物であるループコイルの模式図または写真のデータをデータベース19から読み出して表示部5に表示させるとともに、データベース19に記憶された音声データを読み出してスピーカ20から「500m先、ループコイルです」と音声を出力する接近報知を行なう。音声出力中は、警報ランプ6を点燈させる。
【0054】
こうした目標物としては、居眠り運転事故地点、レーダー、制限速度切替りポイント、取締エリア、検問エリア、駐禁監視エリア、Nシステム、交通監視システム、交差点監視ポイント、信号無視抑止システム、警察署、事故多発エリア、車上狙い多発エリア、急/連続カーブ(高速道)、分岐/合流ポイント(高速道)、ETCレーン事前案内(高速道)、サービスエリア(高速道)、パーキングエリア(高速道)、ハイウェイオアシス(高速道)、スマートインターチェンジ(高速道)、PA/SA内ガソリンスタンド(高速道)、トンネル(高速道)、ハイウェイラジオ受信エリア(高速道)、県境告知、道の駅、ビューポイントパーキング等があり、これらの目標物の種別情報とその位置を示す緯度経度情報と表示部5に表示する模式図または写真のデータと音声データとを対応付けてデータベース19に記憶している。
【0055】
居眠り運転事故地点は、居眠り運転による事故が過去に発生したことのある地点を示す目標物である。待受機能の実行中に、居眠り運転事故地点の位置と自車位置との距離が500mになった場合には、目標物である居眠り運転事故地点の模式図または写真のデータをデータベース19から読み出して表示部5に表示させるとともに、データベース19に記憶された音声データを読み出してスピーカ20から「500m先、居眠り運転による事故発生地点です」と音声を出力する接近報知を行なう。音声出力中は、警報ランプ6を点燈させる。このようにすれば、居眠り運転の発生しやすい場所を通過前に事前に知ることができる。したがって、居眠り運転を予防することができるとともに、意識づけることができる。
【0056】
レーダー波警報機能は、マイクロ波受信器4によって速度測定装置(移動式レーダー等(以下、単に「レーダー」と称する))から発せられる周波数帯のマイクロ波に対応する信号が検出された場合に、表示部5に対して警報画面を表示するとともに、スピーカ20から警報音を出力する警報機能である。例えば、レーダーの発するマイクロ波の周波数帯のマイクロ波がマイクロ波受信器4によって検出された場合に、図4に示すように、データベース19に記憶されたレーダーの模式図または写真を表示部5に警報画面として表示するとともに、データベース19に記憶された音声データを読み出して「レーダーです。スピード注意」という音声をスピーカ20から出力する。音声出力中は、警報ランプ6を点燈させる。
【0057】
無線警報機能は、無線受信器15によって、緊急車両等の発する無線電波を受信した場合に、その走行等の妨げとならないよう、警報を発する機能である。無線警報機能においては、取締無線、カーロケ無線、デジタル無線、特小無線、署活系無線、警察電話、警察活動無線、レッカー無線、ヘリテレ無線、消防ヘリテレ無線、消防無線、救急無線、高速道路無線、警備無線等の周波数をスキャンし、スキャンした周波数で、無線を受信した場合には、データベース19に無線種別ごとに記憶されたその周波数に対応する無線を受信した旨の模式図を警報画面として表示部5に表示するとともに、データベース19に無線種別ごとに記憶された音声データを読み出して、スピーカ20からその無線の種別を示す警報音声を出力する。たとえば、取締無線を受信した場合には「取締無線です。スピード注意」のように音声を出力する。音声出力中は、警報ランプ6を点燈させる。
【0058】
本実施形態のレーダー探知機は、これらの機能に加え、居眠り運転警告機能を備える。居眠り運転警告機能は、制御部18が、入力機器から入力した情報に基づき居眠り運転の危険性があるか否かを判定し、居眠り運転の危険性があると判定した場合には、出力機器を制御して運転者を覚醒させるための出力を行う機能である。前述したまぶた閉検知処理および居眠り警報処理も居眠り運転警告機能の一部を構成するが、まぶた閉検知処理および居眠り警報処理は、実行しない設定はできない(必ず実行される)一方、これから説明する居眠り運転警告処理は、実行しない設定もできる。
【0059】
すなわち、居眠り運転警告を行うか否かを設定する居眠り運転警告設定機能を備える。すなわち、制御部18は、居眠り運転警告を行うか否かをユーザから入力した指示に基づき設定し、その設定に基づいて居眠り運転警告処理を行なう。具体的には、制御部18は、リモコン受信器16を介してリモコン17の設定ボタンの長時間(2秒以上)の押下を検出した場合、図6に示す居眠り運転警告設定画面を表示部5に表示させる。リモコン17の十字ボタンの上ボタンまたは下ボタンの操作が検出された場合、フォーカス枠51を「する」と「しない」との間で押下されたボタンに対応する方向へ移動させる。そして、リモコン17の選択ボタンの押下が検出された場合には、フォーカス枠51で囲まれた項目の左側にあるラジオボタンのチェック状態を◎に設定する一方、フォーカス枠51で囲まれていない項目の左側にあるラジオボタンのチェック状態を○に設定する。リモコン17の決定ボタンが押下された際の◎に設定された項目の内容を居眠り運転警告の設定値として制御部18の不揮発性メモリに記憶する。たとえば、図6に示すように「する」が◎に設定された状態でリモコン17の決定ボタンの押下が検出された場合には、居眠り運転警告の設定値として「居眠り運転警告する」を、制御部18の不揮発性メモリに記憶する。
【0060】
本実施形態のレーダー探知機は、データベース19には、カーナビゲーション用の地図データを記憶している。地図データとしては、検索用データ、道路ネットワークデータ、施設位置データなど一般的なナビゲーション装置に用いられるデータを記憶している。道路ネットワークデータは道路上の位置情報からなるノードと、ノードとノードの接続状況を示すリンクからなるグラフ構造のデータである。本実施例の道路ネットワークデータは、さらに、各リンクにそのリンクに対応する道路の制限速度情報を関連づけて記憶している。
居眠り運転警告処理では、居眠り運転の危険度を示す危険度を0以上の数値で管理しており、危険度が50以上になった場合に警告を開始する。
【0061】
居眠り運転警告処理はマイコンに内蔵するタイマーによる割り込みで1秒ごとに実行している。居眠り運転警告処理では、まず、制御部18の不揮発性メモリに記憶された居眠り運転警告の設定値が「居眠り運転警告する」であるか否かを判定する。居眠り運転警告の設定値が「居眠り運転警告する」でない場合には、この居眠り運転警報処理を終了する。居眠り運転警告の設定値が「居眠り運転警告する」である場合、次の危険度算定処理を行う。
【0062】
危険度算定処理では、危険度を0に設定(リセット)した後、CO2センサー25によって検出された二酸化炭素の濃度が、1000ppm以上であるか否かを判定し、1000ppm以上である場合には、200ppm毎に危険度に10を加算する。例えば、1000ppmである場合には、危険度に10を加算し、1200ppmの場合には20を加算し、3000ppmの場合には100を加算することとなる。
【0063】
続いて、GPS受信器8から現在の時刻を取得する。取得した現在の時刻が、午前3時〜4時、午前6時〜7時、15時〜16時のいずれかに該当する場合には、危険度に10を加算する。
【0064】
続いて、GPSログ機能によって不揮発性メモリに記憶された位置履歴の過去2時間分について、位置履歴記録の途絶えた箇所がないかを検索し、15分以上位置履歴記録が途絶えた箇所がある場合、途絶える前に記録されている位置が、データベース19の施設位置データのうち飲食店に該当する施設位置データの位置に相当する場合には、危険度に10を加算する。この処理は、運転状態として運転者が食後であるか否かを推定する処理に相当する。
続いて、GPS受信器8から取得した現在位置に対応する道路の制限速度をデータベース19から取得し、制限速度が80km以上の場合には、危険度に10を加算する。
【0065】
続いて、GPSログ機能によって不揮発性メモリに記憶された位置履歴の過去1分間の速度(車速)のばらつきが時速10km以内の範囲におさまっているか否かを判定し、収まっている場合には、危険度に10を加算する。例えば、過去1分間の最大の速度が85km/hであり、過去1分間の最小の速度が80km/hである場合、最大値と最小値の差(ばらつき)は5km/hであるので、危険度に10を加算する。一方、例えば、過去1分間の最大の速度が95km/hであり、過去1分間の最小の速度が80km/hである場合、最大値と最小値の差(ばらつき)は15km/hであるので、危険度への加算は行わない。このように車両の速度の所定時間内の変化量が基準値よりも少ない場合に居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をする。
【0066】
続いて、GPS受信器8から取得した現在位置に対応する道路の制限速度をデータベース19から取得し、制限速度が80km以上の場合には、危険度に10を加算する。このように、制限速度が、基準制限速度よりも高い場合に、前記居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をするとよい。
【0067】
続いて、GPS受信器8から取得した現在位置が、データベース19に記憶された居眠り運転事故地点と1km以内の範囲にあるか否かを判定し、1km以内の範囲にある場合には、危険度に10を加算する。
【0068】
続いて、不揮発性メモリに記録されたまぶたを閉じた時刻とまぶたを閉じた時間の履歴を読み出し、過去1分以内にまぶたを閉じた時間の合計を求め、その合計値に15を乗じた値を危険度に加算する。たとえば過去1分間に、1秒間まぶたを閉じた履歴と、2秒間まぶたを閉じた履歴とが含まれる場合、合計の3秒に15を乗じた値である45を危険度に加算することとなる。
【0069】
続いて、以上の危険度算定処理によって算出した危険度が、基準値である50以上であるか否かを判定する。基準値である50未満である場合にはこの居眠り運転警報処理を終了する。一方、基準値である50以上である場合には、警報処理を行う。
【0070】
警報処理は、運転者を覚醒させるための出力を行うための制御処理である。具体的には、警報ランプ6を5秒間高速に点滅させるとともに、表示部5の全体を赤・黒・赤・黒・・・と描画し、さらに、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能による警報よりも大きな音で、スピーカ20から「ピピピピッ」という電子音に続けて「居眠り運転に注意してください」と音声を出力する。
【0071】
このように、GPS警報機能のために目的の位置情報である目標物の位置情報をデータベース19に記憶しておき、制御部18が、現在位置をGPS受信器8から取得して、取得した現在位置が、データベース19に記憶された目的の位置と所定の接近関係になった場合に、その接近に関する情報を、スピーカ20・警報ランプ6・表示部5から報知させる制御を行うレーダー探知機において、制御部18は、入力機器から運転状態を入力して、その運転状態に基づき、居眠り運転の危険性があるか否かを判定し、居眠り運転の危険性があると判定された場合に、運転者を覚醒させるための出力をスピーカ20・警報ランプ6・表示部5から行う。したがって、目的の位置である目標物と所定の接近関係になった場合に、その接近に関する情報が報知され、居眠り運転の危険性があると判定された場合に、運転者を覚醒させるための出力がなされるので、居眠り運転を効果的に防止できる。
【0072】
特に、運転者を覚醒させるための出力は、警報ランプ6の高速な点滅や、表示部5の色の変化、GPS警報機能による警報よりも大きな音での出力を行うので、GPS警報機能による警報の報知に比べより変化を伴う態様で出力することとなり、例えばGPS警報機能による目標物への接近に関する報知がなされても運転者が覚醒しないような状況であっても、運転者を覚醒させるための出力によって運転者が覚醒する可能性が高くなり、より効果的に居眠り運転を防止することができる。
【0073】
車内撮影カメラ21は、表示部5の表示面を運転者が見た場合に運転者の顔が撮影可能な方向を向けて配置しており、制御部18は、運転状態として車内撮影カメラ21によって撮影された運転者の顔の映像に基づき、居眠り運転の危険性があるか否かを判定する。運転者は、GPS警報機能による警報内容やレーダースコープ機能による画面表示内容を確認するため、表示部5を見ることとなる。一方、運転者が居眠り運転の危険性がある状態である場合、GPS警報機能による警報内容やレーダースコープ機能による画面表示内容を確認することがなくなり、表示部5を見ることがなくなる傾向にある。したがって、運転状態として車内撮影カメラ21によって撮影された運転者の顔の映像に基づき居眠り運転の危険性があるか否かを容易に判定することが可能となる。
【0074】
本実施例では、車内撮影カメラ21によって撮影された運転者の顔の映像に基づき、居眠り運転の危険性があるか否かを判定する具体的方法として、まぶたの動きに基づいて判定することとしたが、例えば、運転者の頭の動き、視線に基づいて判定するようにしてもよい。
【0075】
なお、本実施例では、レーダー探知機内に設けた入力機器から運転状態を入力するようにしたが、例えば車両自体から入力するようにしてもよい。例えば運転状態は車両自体の制御に用いられる車内LANから入力したり、車両に備えるセンサーと接続して入力したりするようにしてもよい。また、運転状態は、例えば、運転者自身に装着したセンサーから取得するようにしてもよい。例えば、センサーにより脳波検出を行ない、脳波状態に基づいて、居眠り運転の危険性があるか否かを判定し、注意を促す出力を行うようにしてもよい。
【0076】
また、本実施例では、運転者を覚醒させるための出力をスピーカ20から音で、警報ランプ6および表示部5から光で行うこととしたが、例えば、振動モータ等を駆動制御し振動を発生させたり、酸素等のガスや香りを発生させるボンベを設けそのボンベの弁を制御するようにしたり、マイナスイオン発生器を制御してマイナスイオンを発生させるようにしてもよい。マイナスイオン発生器としては、例えば、レナード式、コロナ放電式、電子放射式、放射性物質利用式などのマイナスイオン発生器を用いるとよい。このような構成によれば、居眠り運転の危険性があると判定された場合に、運転者を効果的に覚醒させることが可能となる。特にこれらのうちの少なくとも2つを組み合わせて出力するとよい。組み合わせて出力する方法としては、例えば、制御部18がこれらのうち同時に2つ以上のものを出力するよう制御するようにしてもよいし、制御部18が出力タイミングに時間的に差を設け(時差を設け)、いずれかのものの出力後に、他のものを出力するように制御するようにしてもよい。特に、制御部18は、算出した危険度に応じて、これらのうちいずれのものを出力するか、どのような態様(例えばパターン、強度など)で出力するかを決定する制御をするとよい。例えば、危険度が大きくなればなるほど、出力の強度と出力の時間を長くする制御を行うとよい。
【0077】
マイナスイオン、香り、ガスとして酸素などを出力するようにすれば、眠気を解消できるとともに、同乗者もリラックスでき、イライラが解消され、疲れがとれるという優れた効果が得られる。眠気を誘う原因のひとつに電磁波が脳に与える影響もあるため、マイナスイオンを発することによって電磁波を取り除いたり、電磁波を吸収する物質等をケース本体1の下面・側面・後面(表示部5側)などの、本体の中へ装着したりするのも良い。
【0078】
本実施例では、GPS警報機能による警報は、図3(b)に示すような模式図または写真の表示で行うこととしたが、例えば、表示部5には、車外撮影カメラ23によって撮影された映像を表示し、この映像上に重ねて表示を行うようにしてもよい。例えば、制御部18は「ループコイル注意」という文字をこの映像の中心にスーパーインポーズして表示する処理を行う。
【0079】
また、映像データを制御部18のマイコンに外付けした不揮発性メモリに圧縮して記録する映像記録機能は、たとえば、同一時間における車内撮影カメラ21の映像データと車外撮影カメラ23の映像データとを同期させて1つの映像データに合成して記録するようにしてもよい。いわゆるマルチアングルデータとして記録するようにしてもよい。このようにすれば、自己の顔の映像と外の情景とが関連づけて記録されるので、記録された両映像を再生することにより、居眠り運転の危険性があったときの自己の状態と外の状態とを後から容易に確認することができる。よって、居眠り運転の危険性を容易に自覚することができ、居眠り運転の危険性を意識づけることが容易にできる。
【0080】
また、別々に記録された同一の時間における車内撮影カメラ21の映像データと車外撮影カメラ23の映像データを同期させて表示部5に再生表示させるようにしてもよい。たとえば、リモコン17に再生ボタンを設け、制御部18は、再生ボタンの押下を検出した場合には、表示部5の右側部分に車外撮影カメラ23の映像、表示部5の左側部分に車内撮影カメラ21の映像を同期させて再生表示させる制御を行うとよい。
危険度算出処理による危険度の算出は、各種の要素を加味して行うことができる。
【0081】
例えば、制御部18は、リモコン受信器16を介してリモコン17の設定ボタンの2回連続押下を検出した場合、図7に示す年齢設定画面を表示部5に表示させる。リモコン17の十字ボタンの上ボタンの押下を検出した場合、年齢表示52の値を+1し、下ボタンの押下が検出された場合、年齢表示52の値を−1する。そして、リモコン17の決定ボタンが押下された際の年齢表示52の値を年齢の設定値として制御部18の不揮発性メモリに記憶する。そして、制御部18は、設定された年齢が、20代・30代・50代である場合に、危険度を加算する処理を行うようにしてもよい。そして、20代・30代・50代のいずれかでない場合には、危険度の加算処理を行わないようにするとよい。
【0082】
また、制御部18は、車外撮影カメラ23から取得した映像データから、天候を認識し、天候が曇りである場合に、危険度を加算する処理をするとよい。そして、現在の天候が、曇りでない場合には、危険度を加算する処理を行わないようにするとよい。
【0083】
また、制御部18は、一般的なナビゲーション装置と同様の処理により、目的地を設定し、設定された目的地までの距離が現在位置から10km以内の場合に、危険度を加算する処理をするとよい。そして、現在位置から目的地までの距離が10km以内でない場合には、危険度を加算する処理を行わないようにするとよい。特に目的地が自宅として設定されている場所である場合には、自宅以外の場所に設定されている場合よりも危険度を多く加算する処理を行うとよい。
【0084】
また、制御部18は、赤外線通信機7を介して携帯電話12からライフログを取得する処理を行い、取得したライフログを加味して危険度の加算を行うようにしてもよい。なお、ライフログの入力は例えば無線通信網等を介して、インターネットに接続して、インターネットに接続されたサーバから入力するようにしてもよいし、ライフログを取得する各種の携帯機器と無線または有線で接続して取得するようにしてもよい。ライフログの内容としては、例えば睡眠状態(例えば睡眠している時間帯情報や、睡眠時無呼吸症候群の症状を示しているかの情報)や、運動をしている時間帯情報や、食事の時間帯情報や、心拍数等の生態情報、薬の飲用時間帯と薬の種別(例えば、抗ヒスタミン剤の飲用状態)などを用いるとよい。例えば、睡眠時間が所定値よりも少ない場合には、危険度を加算するなどするとよい。
【0085】
また、例えばGPS受信器8から取得した現在の日付が花粉症の発症時期に該当する場合には、居眠り運転の危険度を加算するなど、覚醒のための警告を行うよう方向の制御をおこなうようにしてもよい。
【0086】
また、例えば、車外撮影カメラ23の映像から赤信号を認識してから、車両が停車するまでの時間が所定の基準値よりも大きい場合に、居眠り運転の危険度を加算するようにしてもよいし、外向きカメラの映像から前方車両との距離を認識して、その距離が所定の基準値よりも接近している場合には、危険度を加算するようにしてもよい。
【0087】
なお、本実施例では、危険度を加算していき所定の基準値以上になった場合に、警報処理を行うこととしたが、居眠り運転の危険性があるとする方向の制御を行って警報処理をすることを決定する方法としてはこれに限らず各種の方法を採りうる。例えば、あらかじめ一定のポイントを付与しておき、運転状態として居眠り運転の危険性がある状態が検出された場合に、このポイントが基準値以下となった場合に、警報処理を行うようにしたり、ファジー制御で警報処理を行うようにしたり、運転状態の種類を加味して総合的に評価して警報処理を行うようにしたりしてもよい。
【0088】
本実施例では、居眠り運転事故地点として、居眠り運転による事故が過去に発生したことのある地点を示す目標物を記憶して接近警告を行うこととしたが、例えば、居眠り運転防止のための舗装がなされている道路区間の直前などを居眠り運転多発地点として同様に記憶しておき接近警告を行うようにしてもよい。また、居眠り運転防止のための舗装箇所を走行していることを車両の振動パターンや騒音のパターンから検出して「居眠り運転防止舗装地帯を通過中です」という音声を報知して知らせるようにしてもよい。
【0089】
また、本実施例では、レーダー探知機の例で説明したが、車載用の各種の電子機器の機能として実施することができる。たとえば、ナビゲーション装置や、ドライブレコーダ、カーオーディオの機能として組み込んでもよい。また本実施例で記載した数値の値は、実験等を行って適宜、効果を奏する値に変更してもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 ケース本体
2 ソーラーパネル
4 マイクロ波受信器
5 表示部
6 ランプ
7 赤外線通信機
8 GPS受信器
9 アダプタージャック
10 電源スイッチ
11 携帯電話機
12 メモリカードリーダ
14 メモリカード
15 無線受信器
16 リモコン受信器
17 リモコン
18 制御部
19 データベース
20 スピーカ
21 車内撮影カメラ
23 車外撮影カメラ
25 CO2センサー
51 フレーム枠
52 年齢表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的の位置情報を記憶する記憶手段と、
現在位置を取得する位置取得手段と、
報知手段と、
前記位置取得手段によって取得された現在位置が、前記記憶手段に記憶された目的の位置と所定の接近関係になった場合に、その接近に関する情報を前記報知手段から報知させる制御を行う制御手段と
を備える車載用電子機器において、
運転状態を入力する入力手段と、
運転者を覚醒させるための出力をする出力手段とを備え、
前記制御手段は、前記入力手段によって入力された運転状態に基づき、居眠り運転の危険性があるか否かを判定し、居眠り運転の危険性があると判定された場合に、前記出力手段から運転者を覚醒させるための出力をする制御を行うこと
を特徴とする車載用電子機器。
【請求項2】
前記出力手段は、光、音、振動、ガス、香り、マイナスイオンの少なくともいずれか1つを出力すること
を特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項3】
前記出力手段による運転者を覚醒させるための出力は、前記報知手段による接近に関する情報の報知に比べ、より変化を伴う態様で出力すること
を特徴とする請求項1または2に記載の車載用電子機器。
【請求項4】
前記報知手段として接近に関する情報を表示する表示部を備え、
前記入力手段は、前記運転状態として運転者の状態を撮影するカメラであって、前記表示部の表示面を運転者が見た場合に運転者の顔が撮影可能な方向を向けて配置しており、
前記制御手段は、前記運転状態として前記カメラによって撮影された運転者の顔の映像に基づき、前記居眠り運転の危険性があるか否かを判定すること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項5】
前記運転者の状態を撮影するカメラとは別に車両の外側を撮影する外向けカメラを備え、
前記表示部には、前記外向けカメラの映像を表示し、
前記報知手段による接近に関する情報の報知は、前記表示部に表示した外向けカメラの映像上に重ねて表示して行うこと
を特徴とする請求項4に記載の車載用電子機器。
【請求項6】
同一の時間における前記運転者の状態を撮影するカメラによって撮影された映像と前記外向けカメラによって撮影された映像とを関連づけて記録する記録手段を備えること
を特徴とする請求項5に記載の車載用電子機器。
【請求項7】
前記制御手段は、前記報知手段による前記接近に関する情報の報知と、前記出力手段による前記運転者を覚醒させるための出力とを、それぞれ行うか否かを設定する設定手段を備え、当該設定手段に設定された設定に基づき、前記報知手段による前記接近に関する情報の報知と前記出力手段による前記運転者を覚醒させるための出力の制御を行うこと
を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項8】
前記入力手段は、前記運転状態として車内の二酸化炭素の量を入力し、
前記制御手段は、前記入力手段によって入力された二酸化炭素の量が、所定値以上の場合に、前記居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をすること
を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項9】
前記入力手段は、前記運転状態として前記運転者が食後であるか否かを推定する情報を入力し、
前記制御手段は、前記入力手段によって入力された前記運転者が食後であるか否かを推定する情報に基づき運転者が食後であると推定した場合に、前記居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をすること
を特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項10】
前記入力手段は、前記運転状態として現在時刻を入力し、
前記制御手段は、前記入力手段によって入力された現在時刻が、午前3時〜4時、午前6時〜7時、15時〜16時のいずれかの場合に、前記居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をすること
を特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項11】
前記入力手段は、前記運転状態として車両の速度を入力し、
前記制御手段は、前記入力手段によって入力された車両の速度の所定時間内の変化量が基準値よりも少ない場合に前記居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をすること
を特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項12】
前記入力手段は、前記運転状態として走行中の道路の制限速度を入力し、
前記制御手段は、前記入力手段によって入力された制限速度が、基準制限速度よりも高い場合に、前記居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をすること
を特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項13】
前記入力手段は、前記運転状態として運転者の年齢を入力し、
前記制御手段は、前記入力手段によって入力された年齢が、20代・30代・50代である場合に、前記居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をすること
を特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項14】
前記入力手段は、前記運転状態として現在の天候を入力し、
前記制御手段は、前記入力手段によって入力された現在の天候が、曇りである場合に、前記居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をすること
を特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項15】
前記入力手段は、前記運転状態として目的地までの距離を入力し、
前記制御手段は、前記入力手段によって入力された目的地までの距離が10km以内の場合に、前記居眠り運転の危険性があるとする方向の制御をすること
を特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項16】
前記入力手段は、前記運転状態として運転者のライフログを入力し、
前記制御手段は、前記入力手段によって入力されたライフログを加味して居眠り運転の危険性があるか否かの判定を行うこと
を特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項17】
前記記憶手段は、前記目的の位置として、居眠り運転の発生しやすい位置を記憶しており、
前記制御手段は、前記接近に関する情報として居眠り運転の発生しやすい場所への接近である旨の情報を前記報知手段から報知させる制御を行うこと
を特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の車載用電子機器における制御手段としての機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−65561(P2011−65561A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217532(P2009−217532)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】