説明

車載用電子機器

【課題】給油量の入力、積算走行距離のリセットを忘れた場合においても正確な燃費を算出することが可能な車載用電子機器を提供する。
【解決手段】給油を行ったと思われる給油施設の情報、および、給油を行なったと思われる時点の積算走行距離を記憶しておき、給油量の入力がなされたときに、前回、給油量の入力がなされたときからの走行距離が異常に長い場合、或いは、当該走行距離を用いて算出した燃費が異常に良い場合に、給油を行ったと思われる時点の積算走行距離を用いて燃費を算出することで、正確な燃費を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行距離および給油量に基づき、燃費を算出する車載用電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から燃費を算出する方法として、ガソリンスタンドなどで給油を行った際に、走行距離をリセットし、今回の給油から次回の給油までに走行した走行距離から次回の給油時に給油した給油量を除算することにより燃費を算出する方法、いわゆる、満タン法が知られている。
【0003】
しかしながら、満タン法において、燃費を算出するためには、給油を行う度に、電卓などを用いた計算、およびユーザが手動で走行距離のリセットなどを行わなければならず、不便であった。
【0004】
上記の課題を解決するために、例えば、下記の特許文献1(特開2003−252080号公報)には、制御部に給油量を入力する入力手段を設け、制御部が入力された給油量とトリップ積算距離とに基づいて燃費を算出し表示部に表示する車両用表示装置が開示されている。
【0005】
なお、トリップ積算距離とは、車速センサからのパルス信号の数をカウントして求められた走行距離であり、給油を行った際に、トリップ積算距離をリセットすることで、今回給油を行なったときから次回給油を行なったときまでの走行距離を取得することができる。
【0006】
また、下記の特許文献2(特開2005−98943号公報)には、給油量の入力がなされたときに、そのスタンドの住所、名称、ガソリンの銘柄、現在日時などを給油量と共に記憶し、ユーザにより所望の操作がなされた場合に記憶した情報を表示する構成とし、前回いつ給油したのか知りたい場合や、自車両の状態を燃費で把握したい場合に、逐一メモを取る煩わしさから開放することができるカーナビゲーション装置が開示されている。
【0007】
また、特許文献2では、燃費を求めるために、給油量の入力がなされたときのトリップメータの走行距離数を外部メモリに記憶しておき、次回、給油量の入力がなされたときのトリップメータの走行距離数から記憶した走行距離数を差し引いて前回給油後走行距離を求め、この前回給油後走行距離を入力された給油量で除算して燃費を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−252080号公報
【特許文献2】特開2005−98943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の特許文献1に示される車両用表示装置は、給油量が入力された際に、入力された給油量とメモリに記憶されたトリップ積算距離とに基づいて燃費を算出し、その後、トリップ積算距離をリセットしているため、給油が行われる度に、ユーザにより給油量の入力、トリップ積算距離のリセットが行われることが前提である。
【0010】
そのため、ユーザが何らかの諸事情で、給油を行ったのに給油量の入力が行えず、トリップ積算距離のリセットが行えない場合は、次回の給油時に給油量の入力を行ったとしても、トリップ積算距離は前々回の給油時から今回の給油時までの走行距離となり、正確な燃費を算出することができないという問題点がある。
【0011】
また、上記の特許文献2においても、給油量の入力があったときのトリップメータの走行距離数を外部メモリに記憶しておき、次回、給油量の入力がなされたときのトリップメータの走行距離数から記憶した走行距離数を差し引いて前回給油後走行距離を求めるため、特許文献1と同様に、給油が行われる度に、給油量がユーザによって入力されることが前提である。
【0012】
そのため、特許文献1と同様に、ユーザが何らかの諸事情で、給油を行ったのに給油量の入力が行えない場合は、正確な燃費を算出することができないという問題点がある。
【0013】
そこで、本願発明者は上記の問題点を解消すべく、給油を行ったと思われる給油施設の情報、および、給油を行なったと思われる時点の積算走行距離を記憶しておき、給油量の入力がなされたときに、前回、給油量の入力がなされたときからの走行距離が異常に長い場合、或いは、当該走行距離を用いて算出した燃費が異常に良い場合に、給油を行ったと思われる時点の積算走行距離を用いて燃費を算出することで、正確な燃費を算出することが可能な車載用電子機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の車載用電子機器は、現在位置を検出する現在位置検出手段と、少なくとも給油施設の情報を含む地図データを記憶する地図記憶手段と、給油量を入力する入力手段と、前記入力された給油量と走行距離とに基づき燃費を算出する制御手段と、を備えた車載用電子機器において、前記制御手段は、少なくとも前記現在位置と前記地図データとに基づき、給油施設付近で停車したと判別したときからの走行距離と前記入力手段を介して入力された給油量とに基づき燃費を算出することを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項2に記載のナビゲーション装置は、請求項1に記載の車載用電子機器において、前記制御手段は、前記入力手段を介して前回給油量が入力されたときから、今回給油量が入力されるまでの走行距離または、該走行距離に基づいて算出した燃費が所定値以上の場合、前記入力された給油量と前記給油施設付近で停車したときからの走行距離とに基づき燃費を算出することを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項3に記載のナビゲーション装置は、請求項1または2に記載の車載用電子機器において、前記車載用電子機器は、さらに、表示手段を備え、前記制御手段は、給油施設付近で停車したと判別した場合、給油施設候補情報を記憶し、前記入力手段を介して給油量が入力されると、該記憶した給油施設候補情報を前記表示手段に表示し、該表示した給油施設候補情報が前記入力手段を介して指定されると、該指定された給油施設候補情報に対応した給油施設からの走行距離と前記入力された給油量とに基づき燃費を算出することを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項4に記載のナビゲーション装置は、請求項3に記載の車載用電子機器において、前記表示手段に表示される給油施設候補情報は、停車位置、停車日時、給油施設の位置情報、給油施設の名称、給油施設の事業社名のうち1つ以上の情報であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1にかかる発明において、車載用電子機器は、給油施設付近で停車したと判別したときからの走行距離と入力手段を介して入力された給油量とに基づき燃費を算出するため、ユーザの諸事情などにより、給油量の入力がなされない場合、積算走行距離のリセットがなされない場合においても、正確な燃費を算出することが可能となる。
【0019】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる車載用電子機器において、入力手段を介して前回給油量が入力されたときから、今回給油量が入力されるまでの走行距離または、該走行距離に基づいて算出した燃費が所定値以上の場合、前記入力された給油量と前記給油施設付近で停車したときからの走行距離とに基づき燃費を算出するため、給油量の入力、積算走行距離のリセットが正常に行われていないときにのみ、給油施設付近で停車したときからの走行距離に基づいた燃費を算出することが可能となる。
【0020】
また、請求項3にかかる発明においては、請求項1または2にかかる車載用電子機器において、入力手段を介して給油量が入力されると、給油施設候補情報を表示手段に表示し、該表示した給油施設候補情報が入力手段を介して指定されると、該指定された給油施設候補情報に対応した給油施設からの走行距離と入力された給油量とに基づき燃費を算出するため、ユーザが前回給油した給油施設を確認した後、該給油施設からの走行距離に基づいた正確な燃費を算出することが可能となる。
【0021】
また、請求項4にかかる発明においては、請求項3にかかる車載用電子機器において、表示手段に表示される給油施設候補情報は、停車位置、停車日時、給油施設の位置情報、給油施設の名称、給油施設の事業社名のうち1つ以上の情報であるため、ユーザが前回給油した給油施設を容易に確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例にかかるナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】入力忘れすることなく給油毎に給油量の入力が行われた場合におけるナビゲーション装置1の制御手段10の動作制御を示すフローチャートである。
【図3】本発明のナビゲーション装置1の制御手段10における停車積算走行距離の記憶方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明のナビゲーション装置1の制御手段10における燃費の算出方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術的思想を具体化するために車載用電子機器の一例であるナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこのナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の車載用電子機器にも等しく適用し得るものである。なお、以下、車載用電子機器としてナビゲーション装置を用いた例を用いて本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0024】
図1は、本発明の実施例にかかるナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。
【0025】
図1に示すように、ナビゲーション装置1は、制御手段10、現在位置検出手段11、現在日時検出手段12、地図記憶手段13、走行距離記憶手段14、音声出力手段15、表示手段16、入力手段17を備えて構成される。
【0026】
制御手段10は、CPUおよびROM,RAM等の内部メモリ(不図示)を備え、ROMに記憶された種々の制御プログラムに基づきCPUが演算処理を行うことでナビゲーション装置1における各部の動作を制御する。また、制御手段10は、後述する入力手段17を介して指定された出発地または現在位置検出手段11により検出された現在位置から入力手段17を介して指定された目的地までの最適経路を探索する。この最適経路の探索は、後述する地図記憶手段13に記憶された地図データを参照して、出発地に対応するノードから目的地に対応するノードに至るリンクとノードを、ダイクストラ法などの各種の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間などを累積し、総リンク長または総所要時間などが最短となる経路を最適経路とする。
【0027】
現在位置検出手段11は、複数のGPS衛星からの信号を受信して現在位置を測位するGPS受信機を備えている。また、加速度センサや角速度センサなどの各種のセンサを設け、各種センサ出力を取得して現在位置を算出して推測航法を行う自立航法機能を備えてもよく、自立航法機能を備えることによりトンネル内などのGPS電波が受信できない場合でも、現在位置を検出することが可能となる。
【0028】
また、本実施例において、現在位置検出手段11は、距離センサを備え、距離センサは、車輪の回転を検出してパルス信号として制御手段10に送るものである。制御手段10は、車輪が1回転した場合に発生するパルス数および車輪の外周の長さから車両の走行距離を算出することが可能である。
【0029】
ここで、車輪の外周の長さが不明である場合、前回、GPS受信機により測位された現在位置と、今回、GPS受信機により測位された現在位置との距離を算出し、当該距離において受信したパルス数からパルス当たりの走行距離を算出することが可能である。そして、当該パルス当たりの走行距離および距離センサから送られるパルス数から車両の走行距離を算出することができる。
【0030】
現在日時検出手段12は、時計などで構成され、現在日時を検出することができる。
【0031】
地図記憶手段13は、道路の交差点や分岐点などの結節点をノードとするノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとしたリンクデータと、地図画像とを含む地図データが記憶されている。ノードデータには、ノード番号、ノードの位置座標、接続リンク本数、交差点名称などが含まれるほか、交差点等の案内地点に対応する案内ポイントおよび右折や左折、直進などを案内する案内データも記憶されている。リンクデータには、起点および終点となるノード番号、高速道路や国道などの道路種別、リンク長(リンクコスト)、所要時間、車線数、車道幅などが含まれる。
【0032】
また、地図データには、駐車場やガソリンスタンドなどの施設毎の施設データも記憶されている。施設データには、○○支店などの施設の名称、位置座標、営業時間、ガソリンスタンドや駐車場などの施設の種別、ランドマークなどの施設の画像などが含まれている。また、少なくとも、施設の種別がガソリンスタンドの場合には、その施設の事業社名(ブランド名)も含まれている。
【0033】
なお、以下の説明では、ガソリンスタンドなどの給油を行なえる施設を給油施設として説明を行う。
【0034】
走行距離記憶手段14は、現在位置検出手段11の距離センサの出力に基づき、制御手段10により算出された走行距離を記憶する。この走行距離の記憶は、制御手段10により算出された走行距離を蓄積していき積算走行距離を記憶する。なお、走行距離記憶手段14には、積算走行距離ではなく、距離センサから送られるパルス数を蓄積し、総パルス数を記憶するようにしてもよい。
【0035】
また、走行距離記憶手段14は、後述する入力手段17を介して給油量が入力された時点で、走行距離記憶手段14に記憶されている積算走行距離(以下、給油入力積算走行距離)、或いは、総パルス数を記憶する。例えば、入力手段17を介して給油量が入力された時点で走行距離記憶手段14に記憶されている積算走行距離が4000kmであった場合、給油入力積算走行距離は4000kmとなる。なお、この給油入力積算走行距離は、給油量の入力が行なわれる度に記憶されるが、全ての給油入力積算走行距離を記憶するのではなく、最新の給油入力積算走行距離だけ記憶されることが好ましい。
【0036】
なお、以下の説明では、最新の給油入力積算走行距離だけ記憶されているものとして説明を行う。
【0037】
また、走行距離記憶手段14は、後述する給油施設付近に停車した時点で、走行距離記憶手段14に記憶されている積算走行距離(以下、停車積算走行距離)、或いは、総パルス数を記憶する。例えば、給油施設付近に停車した時点で、走行距離記憶手段14に記憶されている積算走行距離が4500kmであった場合、停車積算走行距離は4500kmとなる。なお、この停車積算走行距離は、給油施設付近に停車する度に記憶されるが、給油量の入力が行なわれ、燃費が算出されると、この停車積算走行距離は、消去されるものとして説明を行う。
【0038】
音声出力手段15は、スピーカー等で構成され、経路案内時の案内報知、キー操作音、その他ナビゲーション装置1に関する種々の音声報知を行う。
【0039】
表示手段16は、地図画像や最適経路画像などを表示してユーザが視認できるようにするためのマンマシンインターフェースとしての役割を担うものであり、例えば液晶ディスプレイで構成される。なお、この表示手段16は、タッチセンサーを具備させて後述する入力手段17の一部を担うように構成することもできる。この場合は画面上に表示されるアイコンをユーザが触れることで選択入力が行われるようにする。
【0040】
入力手段17は、ナビゲーション装置1における目的地の入力や給油量の入力、その他各種の入力を行うための各種キー、スイッチなどから構成される。
【0041】
次に、図2のフローチャートを参照して、入力忘れすることなく給油の度に給油量の入力が行われた場合における制御手段10の動作制御を説明する。
【0042】
なお、以下の説明では、少なくとも一度は、給油量の入力が行われ、その時点の給油入力積算走行距離が記憶されているものとする。
【0043】
まず、入力手段17を介して給油量がユーザにより入力されると(ステップS201のYES)、走行距離記憶手段14に記憶された給油入力積算走行距離を読み出し(ステップS202)、走行距離記憶手段14に記憶された現在の積算走行距離から読み出した給油入力積算走行距離を差し引いた距離(以下、給油入力間走行距離)と、ステップS201で入力された給油量に基づき、燃費を算出する(ステップS203)。ここで、燃費は給油入力間走行距離を給油量で除算することで求めることが可能である。
【0044】
次に、ステップS203にて算出した燃費を表示手段16に表示し(ステップS204)、走行距離記憶手段14に記憶されている現在の積算走行距離、すなわち、給油入力がなされた時点で走行距離記憶手段14に記憶されている積算走行距離(給油入力積算走行距離)を記憶する(ステップS205)。
【0045】
なお、ステップS203、ステップS204における燃費の算出、表示とステップS205の給油入力積算走行距離の記憶は、順序不同であっても構わない。
【0046】
このように、入力忘れすることなく給油毎に給油量の入力が行われた場合には、給油入力間走行距離は、前回給油を行った給油施設から今回給油を行った施設までの走行距離になるため、正確な燃費を算出することが可能である。
【0047】
しかしながら、ユーザが給油量の入力をうっかり忘れてしまう、或いは、急いでいたために給油量の入力が行えないなどの理由により、給油を行ったにも関わらず給油量の入力がなされない場合がある。この場合、次回の給油時に給油量の入力を行ったとしても、給油入力間走行距離は、前回給油を行った給油施設から今回給油を行った給油施設までの走行距離ではなく、最後に給油量の入力を行った前々回の給油施設から今回給油を行った施設までの走行距離となるため、給油入力間走行距離が長くなり、正確な燃費を算出することが不可能である。
【0048】
そこで、本願発明では、給油を行ったと思われる給油施設の情報および給油を行ったと思われる時点で走行距離記憶手段14に記憶されている積算走行距離(停車積算走行距離)を記憶しておき、次回、給油量の入力がなされたときに、給油入力間走行距離が異常に長い場合、或いは、当該給油入力間走行距離を用いて算出した燃費が異常に良い場合に、停車積算走行距離を用いて燃費を算出する。すなわち、給油を行ったのに給油量の入力がなされなかった場合、給油を行ったと思われる時点の積算走行距離(停車積算走行距離)を用いることで、前回給油を行った給油施設から今回給油を行った給油施設までの走行距離を求め、正確な燃費を算出することが可能となる。
【0049】
次に、図3のフローチャートを参照して本発明のナビゲーション装置1の制御手段10における停車積算走行距離の記憶方法を説明する。
【0050】
まず、現在位置検出手段11により現在位置が検出され(ステップS301)、車両が停車したか否かを判定する(ステップS302)。
【0051】
ここで、車両が停車したか否かの判定は、ステップS301で検出された現在位置が予め定められた所定時間以上、変動しなかった場合、または、距離センサからパルス信号が送られなかった場合に停車と判定する。ここで、予め定められた所定時間は、信号待ちによる平均的な停車時間より長い時間であることが好ましい。
【0052】
また、ナビゲーション装置1の電源が切られた際に、停車と判定することも可能であり、この場合は、以下の処理は、再度電源が投入された場合に行うことが可能である。
【0053】
そして、ステップS302の処理において、停車と判定すると(ステップS302のYES)、地図記憶手段13を参照して、現在位置が給油施設付近か否かを判定し(ステップS303)、現在位置が給油施設付近であると判別した場合(ステップS303のYES)、ステップS304の処理に進む。
【0054】
なお、現在位置が給油施設付近であるか否かの判定は、例えば、現在位置を中心とした所定範囲内に給油施設があるか否かで判別することができ、地図データに、中央分離帯、給油施設の出入口情報などが含まれれば、それらの情報を考慮して判別してもよい。
【0055】
ここで、ステップS302の処理において、停車でないと判定した場合(ステップS302のNO)、及び、ステップS303の処理において、現在位置が給油施設付近でないと判別した場合(ステップS303のNO)、ステップS301に戻り、現在位置検出手段11により現在位置が検出される。
【0056】
次に、ステップS304の処理では、停車と判別した際の現在位置(以下、停車位置)、停車と判別した際の現在日時(以下、停車日時)、停車位置の最寄りの給油施設の位置情報、給油施設の名称、給油施設の事業社名(ブランド名)などを、例えば、制御手段10のRAMなどに、給油施設候補情報として記憶し(ステップS304)、ステップS305の処理に進む。
【0057】
次に、ステップS305の処理では、走行距離記憶手段14に記憶されている現在の積算走行距離、すなわち、給油施設付近に停車した時点で走行距離記憶手段14に記憶されている積算走行距離(停車積算走行距離)を記憶する(ステップS305)。
【0058】
以上のように、停車積算走行距離を記憶することが可能である。なお、給油施設付近に停車を行うことが複数あった場合には、それぞれの停車積算走行距離を記憶することが好ましい。なお、給油施設候補情報と停車積算走行距離は対応付けられて記憶される。
【0059】
次に、図4のフローチャートを参照して本発明のナビゲーション装置1の制御手段10における燃費の算出方法を説明する。
【0060】
まず、入力手段17を介して給油量がユーザにより入力されると(ステップS401のYES)、走行距離記憶手段14に記憶された給油入力積算走行距離を読み出し(ステップS402)、読み出した給油入力積算走行距離に基づき算出した給油入力間走行距離が所定の走行距離より長いか否かを判別する(ステップS403)。
【0061】
ここで、所定の走行距離は、予め定められた距離でもよく、また、過去の給油入力間走行距離を記憶しておき、過去の給油入力間走行距離のうち、最長の給油入力間走行距離に所定距離を加算した距離としてもよい。
【0062】
ステップS403の処理において、算出した給油入力間走行距離が所定の走行距離より長いと判別した場合(ステップS403のYES)、ステップS404の処理に進み、給油施設候補情報がRAMに記憶されているか否かを判別する(ステップS404)。
【0063】
ステップS404の処理において、給油施設候補情報が記憶されている場合、(ステップS404のYES)、表示手段16に給油施設候補情報を表示する(ステップS405)。
【0064】
ここで、表示する給油施設候補情報は、停車位置、停車日時、給油施設の位置情報、給油施設の名称、給油施設の事業社名(ブランド名)のうち1つ以上である。また、記憶された給油施設候補情報が複数ある場合は、それらをリスト化して表示してもよい。
【0065】
次に、入力手段17を介して給油施設候補情報が選択されると(ステップS406のYES)、給油施設候補情報に対応付けられた停車積算走行距離を読み出し(ステップS407)、
現在の積算走行距離から読み出した停車積算走行距離を差し引いた距離とステップS401にて入力された給油量とに基づき、燃費を算出する(ステップS408)。
【0066】
そして、ステップS408の処理において算出した燃費を表示手段16に表示し(ステップS409)、走行距離記憶手段14に記憶されている現在の積算走行距離を給油入力積算走行距離として走行距離記憶手段14に記憶し、給油施設候補情報および停車積算走行距離を消去する(ステップS410)。
【0067】
なお、ステップS403の処理において、算出した給油入力間走行距離が所定の走行距離より短いと判別した場合(ステップS403のNO)、ステップS408の処理に進み、算出した給油入力間走行距離とステップS401にて入力された給油量とに基づき、燃費を算出する(ステップS408)。
【0068】
そして、ステップS408の処理において算出した燃費を表示手段16に表示し(ステップS409)、走行距離記憶手段14に記憶されている現在の積算走行距離を給油入力積算走行距離として走行距離記憶手段14に記憶し、給油施設候補情報および停車積算走行距離を消去する(ステップS410)。
【0069】
また、ステップS404の処理において、給油施設候補情報が記憶されていない場合、(ステップS404のNO)、ステップS411の処理に進み、表示手段16にエラー表示を行う(ステップS411)。ここで、エラー表示とは、例えば、「走行距離が異常に長いため、正確な燃費を算出できません。」などの正確な燃費が算出できない旨の表示である。
【0070】
そして、ステップS411にてエラー表示を行った後、ステップS410の処理へ進み、走行距離記憶手段14に記憶されている現在の積算走行距離を給油入力積算走行距離として走行距離記憶手段14に記憶し、給油施設候補情報および停車積算走行距離を消去する(ステップS410)。
【0071】
以上、説明した通り、本願発明では、給油を行ったと思われる給油施設の情報および、給油を行なったと思われる時点の積算走行距離を記憶しておき、給油量の入力がなされたときに、給油入力間走行距離が異常に長い場合、給油を行ったと思われる給油施設の情報を表示し、表示された中から給油を行った施設がユーザにより指定されると、給油を行った給油施設からの走行距離が用いられて燃費が算出されるため、正確な燃費を算出することが可能となる。
【0072】
なお、上記実施例では、現在位置検出手段11には距離センサが含まれ、距離センサの出力に基づいて走行距離を算出したが、これに限ることはなく、例えば、現在位置検出手段11のGPS受信機おいて、前回、測位した現在位置と、今回、測位した現在位置とに基づき、走行距離を算出することも可能であるため、距離センサを備えることは必ずしも必須ではない。
【0073】
また、上記実施例の図4のステップS403において、給油入力間走行距離が所定の走行距離より長い場合に、給油施設候補情報が記憶されているか否かを判別する処理に進んだが、これに限ることはなく、例えば、給油入力間走行距離と、入力された給油量に基づき、燃費を算出し、算出した燃費が所定値以上か否かを判別してもよい。この場合、所定値は、予め定められた値でも良いし、過去の燃費の最高値、又は平均値などに所定の値を加算した値を用いても良い。また、この場合、入力された給油量が誤っていたために、燃費が所定値以上である場合もあるため、エラー表示を行う場合は、例えば、「燃費が異常に高いです。入力された給油量に誤りがある、若しくは、前回の給油時に給油量の入力がなされていません。」などの表示を行うことが好ましい。
【0074】
さらに、上記実施例では、走行距離記憶手段14に、給油入力積算走行距離および停車積算走行距離を記憶し、給油量の入力がなされた時点の積算走行距離から給油入力積算走行距離を差し引くことで給油入力間走行距離を算出し、給油施設付近に停車した時点の積算走行距離から停車積算走行距離を差し引くことで給油を行ったと思われる施設からの走行距離を算出したが、これに限ることはなく、例えば、給油量の入力が行われた時点を始点として、走行距離またはパルス数を新たに蓄積、記憶することで、給油入力間走行距離を算出してもよく、同様に、給油を行ったと思われる施設からの走行距離またはパルス数を新たに蓄積、記憶することで、給油を行ったと思われる施設からの走行距離を算出してもよい。また、車両のトリップメータと接続可能であれば、トリップメータの積算走行距離に基づき給油入力積算走行距離および停車積算走行距離を記憶し、トリップメータの積算走行距離から給油入力積算走行距離および停車積算走行距離を差し引いた距離を求めるようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施例において、入力手段17を介して給油量を入力する際の入力画面は、例えば、「給油量を入力して下さい」などのメッセージと、テンキーなどからなり、この入力画面は、ユーザが入力手段17を介して所望の操作を行うことで、表示されてもよいが、これに限ることはなく、例えば、給油を行ったと思われる際(給油施設付近に停車した際)に、自動的に表示されてもよい。
【0076】
また、上記実施例では、給油を行ったと思われる際(給油施設付近に停車した際)に、給油施設候補情報の記憶と停車積算走行距離の記憶を行ったが、この直後に、給油量の入力がなされ、給油入力間走行距離が所定距離より長い場合、今回、給油を行った給油施設の情報も表示されるため、例えば、給油を行ったと思われる際(給油施設付近に停車した際)に、給油施設候補情報などの記憶および停車積算走行距離の記憶を行うが、所定時間以内や所定距離以内に、給油量の入力がなされた場合は、当該給油施設候補情報および当該停車積算走行距離を削除するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 ナビゲーション装置
10 制御手段
11 現在位置検出手段
12 現在日時検出手段
13 地図記憶手段
14 走行距離記憶手段
15 音声出力手段
16 表示手段
17 入力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
少なくとも給油施設の情報を含む地図データを記憶する地図記憶手段と、
給油量を入力する入力手段と、
前記入力された給油量と走行距離とに基づき燃費を算出する制御手段と、
を備えた車載用電子機器において、
前記制御手段は、少なくとも前記現在位置と前記地図データとに基づき、給油施設付近で停車したと判別したときからの走行距離と前記入力手段を介して入力された給油量とに基づき燃費を算出することを特徴とする車載用電子機器。
【請求項2】
前記制御手段は、前記入力手段を介して前回給油量が入力されたときから、今回給油量が入力されるまでの走行距離または、該走行距離に基づいて算出した燃費が所定値以上の場合、前記入力された給油量と前記給油施設付近で停車したときからの走行距離とに基づき燃費を算出することを特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項3】
前記車載用電子機器は、さらに、表示手段を備え、
前記制御手段は、給油施設付近で停車したと判別した場合、給油施設候補情報を記憶し、前記入力手段を介して給油量が入力されると、該記憶した給油施設候補情報を前記表示手段に表示し、該表示した給油施設候補情報が前記入力手段を介して指定されると、該指定された給油施設候補情報に対応した給油施設からの走行距離と前記入力された給油量とに基づき燃費を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の車載用電子機器。
【請求項4】
前記表示手段に表示される給油施設候補情報は、停車位置、停車日時、給油施設の位置情報、給油施設の名称、給油施設の事業社名のうち1つ以上の情報であることを特徴とする請求項3に記載の車載用電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−112550(P2011−112550A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270307(P2009−270307)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】