説明

車載装置

【課題】SA/PAから導入路への逆走を効果的に防止する。
【解決手段】車載装置は、SA/PA300に進入するための導入路302と高速道路301との分岐点311を中心にした扇形の範囲を逆走判定範囲312aまたは312bとして設定し、自車位置310が逆走判定範囲312aまたは312bの内側にあるかどうかを判定する。自車位置310が逆走判定範囲312aまたは312b内にあると判定された期間における走行距離を取得し、その走行距離が閾値を越えている場合に車両が逆走しようとしていると判定し、乗員に警告を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の逆走を検知し、乗員に警告をする車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車専用道路上での逆走を防ぐため、サービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)への導入路など、通行が禁止されている方向のある逆走禁止道路に対して、車両の通行が許可されている方向と逆の方向から車両が接近したときに車両の逆走を検知し、音及び画像によって乗員に注意を促す車載ナビゲーションシステムが従来技術として知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−139531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明は、自車の位置および走行方向と逆走禁止道路の位置および方向に基づいて車両の逆走を検知している。そのため、車両の走行方向と逆走禁止道路の方向とがあまり離れていない場合などは、車両の逆走を正しく検知できない可能性がある。本発明では、SA/PAにおいて、SA/PAへ入るための導入路にSA/PA側から逆走することを効果的に防止できる車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、車両の位置を自車位置として検出する自車位置検出手段と、車両の走行距離を取得する走行距離取得手段と、高速道路に付随して設置されている施設へ進入するための導入路と高速道路との分岐点を基準に逆走判定範囲を設定する範囲設定手段と、自車位置が逆走判定範囲内にあるときの走行距離の合計が所定の閾値より大きい場合に車両が逆走しようとしていると判断する逆走判定手段と、逆走判定手段によって車両が逆走しようとしていると判定されたとき所定の報知を行う報知手段とを備える車載装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、SA/PAへ入るための導入路にSA/PA側から逆走することを効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態による車載装置の構成を示すブロック図である。
【図2】逆走警告処理のフローチャートである。
【図3】逆走判定範囲を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施の形態によって逆走判定処理を実施する車載装置の構成を図1に示す。図1の車載装置1では、制御部10と、HDD11と、振動ジャイロ20と、GPS受信部21と、車速センサ22と、表示モニタ30と、スピーカ31とを備える。
【0009】
制御部10は、車載装置1を動作させるための様々な処理や制御を実行するための部分であり、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROMなどによって構成される。制御部10では、後述するような逆走警告処理が実行される。
【0010】
HDD11は、記録されたデータを記憶保持することができる不揮発性の記録媒体である。地図データと、乗員への警告に用いる画像、音声のデータなどはHDD11に記憶されている。これらのデータは、制御部10によって読み込まれる。地図データには、高速道路とSA/PAおよびそれらの間の導入路についてのデータを含む。たとえば、SA/PAに入るための導入路が高速道路と分岐する位置と、導入路が高速道路と接続する位置を含み、さらに各分岐点と各接続点における各道路の進行方向を含んでいる。
【0011】
振動ジャイロ20は、車両の角速度を検出するためのセンサである。GPS受信部21は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力するものである。車速センサ22は、車両の車速を検出するためのセンサである。振動ジャイロ20、GPS受信部21、車速センサ22などの出力結果に基づいた演算を制御部10で行うことにより、自車位置と走行距離を取得できる。
【0012】
表示モニタ30は、様々な画面表示を行うための装置であり、液晶ディスプレイなどによって構成される。車両が逆走しようとしている時にはこの表示モニタ30により、乗員に対して画像を用いた警告を行うことができる。
【0013】
スピーカ31は、制御部10から出力される音声信号に基づいて音声の出力を行うものである。車両が逆走しようとしているときには乗員に対して音声を用いた警告を行うことができる。
【0014】
次に、逆走警告処理の実施形態を説明する。本発明の逆走警告処理は、車両がSA/PA内にいるときに実行される。本発明の逆走警告処理では、高速道路と高速道路からSA/PAに入るための導入路との分岐点を中心にして所定の距離だけ離れ、所定の中心角の扇形の範囲を逆走判定範囲とする。
【0015】
逆走判定範囲の例を図3に示す。図3(a)では符号312a、図3(b)では符号312bが逆走判定範囲を示す。そして、逆走判定範囲312aまたは312bの中に車両の位置である自車位置310があるとき、その逆走判定範囲312aまたは312b内での自車の走行距離を算出し、その走行距離が所定の閾値以上になったら車両が逆走しようとしていると判断する。
【0016】
図2と図3(a)を用いて、車載装置1における逆走警告処理について説明する。前述したとおり、本発明の逆走警告処理は、車両がSA/PA300内にあるときに実行される。
【0017】
ステップS201では、地図データに基づいて逆走判定範囲312aを設定する。図3(a)における逆走判定範囲312aは、分岐点311を中心にして半径R、中心角θaの扇形とする。半径Rは、導入路302の長さより大きい値に設定される。たとえば以下のようにして設定する。高速道路301と導入路302との分岐点311の位置情報と、導入路302とSA/PA300との接続点313の位置情報とを地図データから読み出し、それらの情報から分岐点311,313間の距離L1を算出する。距離L1を導入路302の長さとして考え、距離L1の1.5倍をRとする。
【0018】
また、扇形の逆走判定範囲312aの中心角θaは以下の手順で算出できる。地図データに含まれる分岐点311における高速道路301の進行方向と導入路302の進行方向に基づいてこれらがなす角度θ1を算出し、θ1に45°を加算した値や、θ1を2倍した値など、θ1より大きくなるような演算をした値をθaとすればよい。このように半径Rと中心角θaを決定することにより、逆走判定範囲312aの中に接続点313を確実に含めることができる。逆走判定範囲312aが設定できたらステップS202に進む。
【0019】
ステップS202では、ステップS201で設定した逆走判定範囲312aの中に自車位置310が存在するかどうかを判定する。逆走判定範囲312a内に自車位置310が入ったら、車両の走行距離の記憶を開始する。走行距離は、前述のとおり車速センサ22などの出力結果に基づいて制御部10で演算される。走行距離の記憶を開始したらステップS203に進む。一方、逆走判定範囲312a内に自車位置310が存在しない場合は、取得した逆走判定範囲312a内での走行距離を初期化し、その後ステップS205に進む。
【0020】
ステップS203では、逆走判定範囲312a内を走行した距離の合計が所定の閾値L2より大きいかどうかを判定する。閾値L2は、たとえば半径Rから分岐点間の距離L1を減算することにより算出できる。車両が逆走判定範囲312a内を走行した合計距離が閾値L2よりも大きければ、車両は導入路302を逆走しようとしていると判定し、ステップ204に進む。それ以外の場合は、ステップS202に戻る。
【0021】
ステップS204では、車両が導入路302を逆走しようとしていることを画像または音声によって警告する。画像は表示モニタ30に表示し、音声はスピーカ31で再生する。警告が終了したらステップS202に戻る。
【0022】
ステップS205では、自車位置310がSA/PA300の外にあるかどうかを判定する。自車位置310がSA/PA300の外にあったら逆走警告処理を終了し、自車位置310がSA/PA300の中にあったらステップS201に戻る。
【0023】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0024】
(1)振動ジャイロ20やGPS受信部21の出力によって車両の位置を検出し、車速センサ22の出力と制御部10によって車両の走行距離を算出する車載装置1において、SA/PA300へ進入するための入口の高速道路301上の分岐点311から逆走判定範囲312aを設定し(ステップS201)、自車位置310が逆走判定範囲312aの内側にある間に車両が走行した合計距離が所定の閾値以上かどうかを判定し(ステップS202、S203)、肯定判定されたら逆走しているものとして乗員へ警告を行う(ステップS204)。これにより、SA/PA300に入るための導入路302への逆走を防止できる。
【0025】
(2)逆走判定範囲312aは、分岐点311を中心として広がる扇形の範囲とし、その半径は分岐点311から接続点313までの距離より長くする。そして、扇形の中心角は、分岐点311における高速道路301の進行方向から導入路302の進行方向に向かって広がり、高速道路301の進行方向から導入路302の進行方向までの角度より大きい値になるように算出される。これにより、接続点313周辺を含む範囲において逆走しようとしていることを判定できる。
【0026】
(3)車両が逆走判定範囲312aの中で導入路302に対して逆走しようとしているかどうかを判定する閾値L2は、扇形である逆走判定範囲312aの半径Rから分岐点311と接続点313との間の距離L1を減算した値によって設定する。このようにすることにより、逆走判定範囲312aに入ってから接続点313までの間を最短経路で走行した場合でも逆走しようとしていることを判定できる。
【0027】
以上で説明した実施の形態は次のように変形できる。
【0028】
ステップS201において、扇形の逆走判定範囲312aの中心角を分岐点311における高速道路301の進行方向からの角度θaとした。しかし、この中心角の角度は、図3(b)のように導入路302の進行方向を中心として角度θbを振り分ける形でもよい。角度θbは、前述の角度θ1などの値とすればよい。
【0029】
なお、SA/PAを例に説明したが、本発明はSA/PA以外でも適用できる。高速道路に付随して設置されている施設であればどのような施設であってもよい。
【0030】
以上で説明した各実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【符号の説明】
【0031】
1:車載装置
10:制御部
11:HDD
20:振動ジャイロ
21:GPS受信部
22:車速センサ
30:表示モニタ
31:スピーカ
300:SA/PA
301:高速道路
302:導入路
310:自車位置
311:分岐点
312a,312b:逆走判定範囲
313:接続点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置を自車位置として検出する自車位置検出手段と、
前記車両の走行距離を取得する走行距離取得手段と、
高速道路に付随して設置されている施設へ進入するための導入路と前記高速道路との分岐点を基準に逆走判定範囲を設定する範囲設定手段と、
前記自車位置が前記逆走判定範囲内にあるときの前記走行距離の合計が所定の閾値より大きい場合に前記車両が逆走しようとしていると判断する逆走判定手段と、
前記逆走判定手段によって前記車両が逆走しようとしていると判定されたとき所定の報知を行う報知手段とを備えることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
請求項1に記載されている車載装置において、
前記範囲設定手段は、前記分岐点を中心とし、所定の第1の距離を半径とし、所定の第1の角度を中心角とする扇形の範囲であって、前記中心角は前記分岐点における前記高速道路の進行方向から前記導入路の方向に向かって広がるものとすることを特徴とする車載装置。
【請求項3】
請求項2の車載装置において、
前記第1の角度は、前記分岐点における前記高速道路の進行方向と前記導入路の進行方向との間の劣角に基づいて算出することを特徴とする車載装置。
【請求項4】
請求項1に記載されている車載装置において、
前記範囲設定手段は、前記分岐点を中心とし、前記第1の距離を半径とし、所定の第2の角度を中心角とする扇形の範囲であって、前記分岐点における前記導入路の進行方向を中心に広がる範囲を前記逆走判定範囲と設定することを特徴とする車載装置。
【請求項5】
請求項4の車載装置において、
前記第2の角度は、前記分岐点における前記高速道路の進行方向と前記導入路の進行方向の間の劣角に基づいて算出することを特徴とする車載装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれかに記載されている車載装置において、
前記第1の距離は、前記導入路の長さより大きい値に設定することを特徴とする車載装置。
【請求項7】
請求項2から6のいずれかに記載されている車載装置において、
前記逆走判定手段は、前記第1の距離から前記導入路の長さを減算した値に基づいて前記閾値を設定することを特徴とする車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−100343(P2011−100343A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255194(P2009−255194)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】