説明

車輪支持用転がり軸受ユニット

【課題】外輪の軸方向内端開口を塞ぐ為のキャップの装着部の水密性を十分に確保でき、しかも低コストで造れる構造を実現する。
【解決手段】外輪1aの内周面の軸方向内端部に全周に亙って係止溝12を形成すると共に、この外輪1aの内周面の軸方向内端部を、熱処理硬化層を形成していない、生のままの状態とする。前記キャップ5aを、金属板製のキャップ本体13と、弾性材14とにより構成し、このキャップ本体13の外周部に、この弾性材14の一部により形成した係止部17を設ける。そして、この係止部17を前記係止溝12に係止する事により、前記キャップ5aを前記外輪1aの内端開口部に、この内端開口を塞ぐ状態で装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為の車輪支持用転がり軸受ユニットの改良に関する。具体的には、外輪の軸方向内端開口を塞ぐ為のキャップの装着部の構造に、主たる特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の車輪は懸架装置に対して、車輪支持用転がり軸受ユニットにより回転自在に支持する。図9は、この様な車輪支持用転がり軸受ユニットの従来構造の1例として、従動輪用のものを示している。この車輪支持用転がり軸受ユニットは、外輪1と、ハブ2と、複数個の転動体3、3と、シールリング4と、キャップ5とを備える。このうちの外輪1は、内周面に複列の外輪軌道6、6を、外周面の軸方向内端寄り部分(特に断らない限り、軸方向に関して「内」とは、自動車への組み付け状態で車両の幅方向中央側を言い、各図の右側。反対に、自動車への組み付け状態で車両の幅方向外側となる、各図の左側を、軸方向に関して「外」と言う。本明細書及び特許請求の範囲の全体で同じ。)に、懸架装置を構成するナックルに結合固定する為の固定側フランジ7を、それぞれ有している。又、前記ハブ2は、外周面の軸方向外端寄り部分に、車輪を支持固定する為の回転側フランジ8を、同じく軸方向中間部乃至内端寄り部分に複列の内輪軌道9、9を、それぞれ有している。又、前記各転動体3、3は、前記両外輪軌道6、6と前記両内輪軌道9、9との間に、両列毎にそれぞれ複数個ずつ、転動自在に設けられている。又、前記シールリング4は、前記外輪1の軸方向外端部内周面と前記ハブ2の軸方向中間部外周面との間に、この間部分を塞ぐ状態で設けられている。又、前記キャップ5は、金属板に塑性加工を施す事によりシャーレ状に造られたもので、外周部を構成する円筒部10を、前記外輪1の軸方向内端部に締り嵌めで内嵌(圧入)している。そして、この状態で、この外輪1の軸方向内端開口を塞いでいる。
【0003】
上述の様に構成する車輪支持用転がり軸受ユニットの場合、前記外輪1と前記キャップ5との嵌合部の水密性を十分に確保する為には、前記外輪1の軸方向内端部内周面と、前記キャップ5を構成する円筒部10の外周面とを、全周に亙り隙間なく接触させる必要がある。この為に、具体的には、これら両周面の真円度及び表面粗さを良好にする事に加えて、これら両周面同士の嵌合部の締め代を大きくする必要がある。例えば、前記両部材1、5が何れも炭素鋼製である場合には、前記締め代を、何れか一方の嵌合面の自由状態での径寸法の0.15〜0.40%程度と、大きくする必要がある。但し、この場合に、何らの処置を施す事もなく、単に前記締め代を大きくすると、前記両周面同士を嵌合させる際に、前記外輪1の軸方向内端部内周面に軸方向の圧入傷が付き易くなる。この様な圧入傷が付くと、前記両周面同士の嵌合部の水密性を十分に高める事ができなくなる為、好ましくない。従って、この様な圧入傷が付きにくくすべく、前記外輪1の軸方向内端部内周面には、例えば特許文献1に記載されている様な、熱処理硬化層を形成しておく必要がある。
【0004】
この様な熱処理硬化層は、前記外輪1の内周面のうち、上述した軸方向内端部だけでなく、前記両外輪軌道6、6が存在する軸方向中間部にも形成される。又、これら両部分の熱処理硬化層は、高周波加熱により、同時に形成される事が多い。一方、前記外輪1の軸方向内端部は、前記キャップ5を内嵌する部位であると同時に、自動車への組み付け状態で前記ナックルを外嵌する部位でもあり、通常は、前記両外輪軌道6、6を形成した前記外輪1の軸方向中間部に比べて、径方向の肉厚が小さくなっている。この為、上述の様に外輪1の内周面の軸方向中間部と軸方向内端部とに同時に高周波加熱を施すと、径方向の肉厚が大きい(熱容量が大きい)軸方向中間部よりも、径方向の肉厚が小さい(熱容量が小さい)軸方向内端部の方が、形成される熱処理硬化層の深さが深くなる。この様に、前記外輪1の軸方向内端部では、径方向の肉厚が小さい上に、内周面に形成される熱処理硬化層の深さが深くなる為、この熱処理硬化層の形成に伴う外周面の変形が避けられない。従って、前記ナックルに対する嵌合面となる、前記外輪1の軸方向内端部外周面には、前記高周波加熱後に、前記変形を修正する為の仕上げ加工を施す必要がある。
【0005】
又、前記高周波加熱後の仕上げ加工は、前記熱処理硬化層を形成した部分、即ち、前記外輪1の内周面の軸方向中間部と軸方向内端部とにも施される。これら各部位の仕上げ加工は、通常、総型の砥石を用いた同時研削で行われる。ところが、この際の研削範囲は広い為、研削を実行する際に、前記砥石にびびり振動が発生し易くなる。このびびり振動が発生すると仕上げ精度が低下するので、別の面から仕上げ精度を確保すべく、ドレッシングを通常の場合よりも頻繁に行う等の対策が必要になる。
又、前述した様に、前記キャップ5は、前記外輪1の軸方向内端部に大きな締め代をもって内嵌される。この為、前記ナックルに対する嵌合面である、前記外輪1の軸方向内端部外周面は、前記大きな締め代の影響で拡径する。従って、この外輪1の軸方向内端部外周面の直径は、予めこの様な拡径分を想定した寸法にしておく必要がある。
【0006】
以上に述べた様に、前記外輪1の軸方向内端部に金属板製のキャップ5の円筒部10を締り嵌めで内嵌する従来構造の場合には、このキャップ5の装着時に前記外輪1の軸方向内端部内周面に軸方向の圧入傷が付く事(結果として、このキャップ5の装着部の水密性が低下する事)を防止する為に、前記外輪1の軸方向内端部に熱処理硬化層を形成する必要がある。そして、この熱処理硬化層を形成する事に伴って生じる不具合を是正或いは回避する為に、数々の作業や管理が必要となる。これらの事は、生産性の面で不利となり、製造コストを嵩ませる原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−12752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットは、上述の様な事情に鑑み、外輪の軸方向内端開口を塞ぐ為のキャップの装着部の水密性を十分に確保でき、しかも低コストで造れる構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットは、外輪と、ハブと、複数個の転動体と、キャップとを備える。
このうちの外輪は、内周面に複列の外輪軌道を有し、使用状態で懸架装置に支持されて回転しない。
又、前記ハブは、外周面に複列の内輪軌道を有し、前記外輪の内径側にこの外輪と同心に配置され、外周面のうちでこの外輪の軸方向外端部よりも軸方向外方に突出した部分に車輪を支持する為の回転側フランジを設けている。
又、前記各転動体は、前記両外輪軌道と前記両内輪軌道との間に、両列毎にそれぞれ複数個ずつ、転動自在に設けられている。
又、前記キャップは、前記外輪の軸方向内端開口を塞ぐ状態で、この外輪の軸方向内端開口部に装着されている。
特に、本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットに於いては、前記外輪は、内周面の軸方向内端部に全周に亙って係止溝を形成すると共に、この係止溝を含む、この内周面の軸方向内端部を、熱処理硬化層を形成していない、生のままの状態としている。又、前記キャップは、金属板製のキャップ本体と、このキャップ本体の外周部に全周に亙り固定された、ゴム等の弾性材製で円環状の係止部とを有するもので、この係止部を前記係止溝に係止する事により、前記外輪の軸方向内端開口を塞ぐ状態で、この外輪の軸方向内端開口部に装着されている。
【0010】
上述の様な本発明(請求項1に記載した発明)を実施する場合に、好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記係止部を構成する弾性材により造られたシールリップを、この係止部の軸方向内側に設けると共に、このシールリップの先端縁を、前記外輪の軸方向内端部表面に全周に亙り弾性的に接触させる。
又、上述の様な請求項1〜2に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項3に記載した発明の様に、前記キャップ本体を円環状に構成すると共に、このキャップ本体の中心孔を、前記係止部を構成する弾性材により造られた塞ぎ膜により塞ぐ。
又、上述の様な請求項1〜3に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項4に記載した発明の様に、前記キャップ本体の外面(外部空間側に配置される面)を、前記係止部を構成する弾性材により造られた被覆層により覆う。
【0011】
又、本発明のうち、請求項5に記載した発明は、上述の様な請求項4に記載した発明の構成に加えて、円環状のエンコーダと、センサとを備える。このうちのエンコーダは、軸方向内側面に、磁気特性を円周方向に関して交互に変化させた被検出面を有するもので、前記ハブの軸方向内端部にこのハブと同心に支持固定されている。又、前記センサは、その先端面を前記キャップの外面に当接させた状態で、その先端部に設けた検出部を、このキャップを介して前記被検出面に対向させている。更に、前記キャップ本体を、非磁性金属板製としている。
又、上述の様な請求項5に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項6に記載した発明の様に、前記被覆層の一部で前記センサの先端面と整合する部分に、この被覆層の外面に開口する凹部、又は、透孔を形成する。これと共に、前記センサの先端面を、この凹部の底面、又は、前記透孔の内側に露出した前記キャップ本体の外面に当接させる。
或いは、請求項7に記載した発明の様に、前記キャップ本体の一部で前記センサの先端面と整合する部分に、軸方向の貫通孔を形成する。そして、前記係止部を構成する弾性材により、前記貫通孔を塞ぐ塞ぎ膜を形成すると共に、この塞ぎ膜の外面を前記キャップ本体の外面のうち前記貫通孔の周囲部分よりも軸方向外側に存在させる。そして、前記センサの先端面を、前記塞ぎ膜の外面に当接させる。
【0012】
又、上述の様な請求項5〜7に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項8に記載した発明の様に、前記被覆層の外面のうちで前記センサの周囲部分に、前記係止部を構成する弾性材により造られた筒部を突設し、この筒部により前記センサの周囲を覆う。
【発明の効果】
【0013】
上述の様に構成する本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、外輪の軸方向内端開口部にキャップを装着した状態で、この外輪の内周面の軸方向内端部に形成した係止溝の内面に、前記キャップの外周部を構成する弾性材製で円環状の係止部が、全周に亙り弾性的に接触した状態となる。この為、前記外輪の軸方向内端開口部に対する前記キャップの装着部の水密性を十分に確保できる。又、前記係止部はゴム等の弾性材製であり、前記係止溝に対するこの係止部の締め代を十分に大きく設定した場合でも、この係止溝にこの係止部を係止する際に、前記外輪の内周面の軸方向内端部に軸方向の圧入傷が付く事はない。この為、本発明の場合には、前記係止部を含む前記外輪の内周面の軸方向内端部に、熱処理硬化層を形成する必要がない。従って、この様な熱処理硬化層を形成する事に伴う不具合が生じないので、この不具合を是正或いは回避する為の作業や管理が不要になる。又、前記係止溝は、旋削加工により精度良く形成できる為、仕上げの研削加工を施す必要はない。この結果、生産性を向上させる事ができ、製造コストを低減できる。
【0014】
又、請求項2に記載した発明の場合には、シールリップの存在に基づいて、外輪の軸方向内端開口部に対するキャップの装着部の水密性を、より十分に確保できる。
又、請求項3に記載した発明の場合には、使用時の温度変化に伴って、転がり軸受ユニットの内部空間の圧力が変化する傾向となった場合に、キャップを構成する塞ぎ膜が柔軟に弾性変形する事に基づいて、前記圧力の変化を緩和できる。この為、この圧力の変化に伴って、前記係止溝と前記係止部との当接部や、前記内部空間の軸方向外端開口を塞ぐシールリングの摺接部等を通じ、外部空間に存在する泥水等の異物が前記内部空間に引き込まれたり、或いは、この内部空間に存在する潤滑用のグリースが前記外部空間に漏洩したりすると言った不都合を、生じにくくできる。
【0015】
又、請求項4に記載した発明の場合には、キャップ本体の外面が被覆層により覆われている為、この被覆層によって、前記キャップ本体の外面の防錆を図れる。従って、仮に、安価な代りに耐食性が劣る、SPCC(JIS G 3141)等の金属板を使用する場合でも、前記キャップ本体の防錆を図れる。従って、この様な比較的安価な金属板を使用できる分だけ、前記キャップのコストを抑えられる。又、前記キャップ本体の外面を覆っている前記被覆層がゴム等の弾性材製である為、この被覆層が緩衝材としての役割を果たし、跳ね石等が衝突しても、前記キャップ本体に大きな衝突エネルギが加わる事はない。従って、跳ね石等の衝突により前記キャップ本体が塑性変形する事を抑制できる。
【0016】
又、請求項5に記載した発明の場合には、エンコーダの被検出面とセンサの検出部との間に存在する、キャップを構成するキャップ本体が、非磁性金属板製である為、前記エンコーダの被検出面から出入りする磁束を、前記センサの検出部により検出できる。従って、このセンサの出力信号に基づいて、車輪の回転速度を検出できる。又、前記キャップ本体を構成する非磁性金属板として、オーステナイト系のステンレス鋼板を使用すれば、このキャップ本体の剛性を十分に確保できる。尚、オーステナイト系のステンレス鋼は、跳ね石等の衝突に伴う機械的衝撃に基づいて生じるマルテンサイト変態により、磁化する事が知られている。但し、請求項5に記載した発明の場合には、上述した様に、前記キャップ本体の外面がゴム等の弾性材製の被覆層により覆われている為、跳ね石等が衝突しても、前記キャップ本体に大きな機械的衝撃が加わる事はない。従って、跳ね石等の衝突により前記キャップ本体が磁化する事を抑制できる。
【0017】
又、請求項6に記載した発明の場合には、キャップ本体の外面を覆う被覆層の一部に形成した凹部又は透孔の深さ分だけ、エンコーダの被検出面とセンサの検出部との対向距離を短くする事ができる。従って、その分だけ、このセンサの検出部を通過する磁束の密度を高くする事ができ、回転速度検出の信頼性を向上させる事ができる。又、前記センサの先端部を前記凹部又は透孔の内側に挿入した状態にできる為、この挿入した部分に跳ね石等が衝突する事を防止できる。従って、その分、前記センサの先端部に設けた検出部の保護を図れる。
又、請求項7に記載した発明の場合には、エンコーダの被検出面に対してセンサの先端面を、キャップ本体の外面よりも近い位置に配置できる為、前記エンコーダの被検出面と前記センサの検出部との対向距離をより短くできる。従って、このセンサの検出部を通過する磁束の密度をより高くする事ができ、回転速度検出の信頼性をより向上させる事ができる。
又、請求項8に記載した発明の場合には、被覆層の外面に突設した筒部によりセンサの周囲を覆っている為、この覆った部分に跳ね石等が衝突する事を防止できる。従って、前記センサの先端部に設けた検出部の保護を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す半部断面図。
【図2】図1のA部拡大図。
【図3】本発明の実施に形態の第2例を示す、図2と同様の図。
【図4】同第3例を示す半部断面図。
【図5】図4のB部拡大図。
【図6】本発明の実施の形態の第4例を示す図5と同様の図。
【図7】同第5例を示す、図5と同様の図。
【図8】同第6例を示す、図5と同様の図。
【図9】従来構造の1例を示す半部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[実施の形態の第1例]
図1〜2は、請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、外輪1aの軸方向内端開口を塞ぐキャップ5aの構造、並びに、この外輪1aの軸方向内端開口部に対するこのキャップ5aの装着部の構造にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図9に示した従来構造の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。
【0020】
本例の場合、前記外輪1aは、内周面の軸方向内端寄り部分に、軸方向内側を向く段差面11を設けると共に、この内周面のうちでこの段差面11の軸方向内側に隣接する部分に、全周に亙って係止溝12を設けている。又、前記外輪1aの軸方向内端部で、少なくとも前記段差面11よりも軸方向内側部分の内周面は、熱処理硬化層を形成していない、生のままの状態としている。
【0021】
又、前記キャップ5aは、キャップ本体13と、このキャップ本体13に結合固定された弾性材14とから成る。このうちのキャップ本体13は、ステンレス鋼板等の金属板により、全体を円板状に造られている。この様なキャップ本体13は、円板状の平板部15と、この平板部15の外周縁から軸方向外側に向け直角に折れ曲がった補強用の短円筒部16とを有する。この短円筒部16の外径寸法は、前記段差面11の内径寸法よりも大きくしている。又、前記弾性材14は、ゴム製であり、前記短円筒部16の全体を包埋する状態で設けられた円環状の係止部17と、この係止部17の軸方向内側に隣接する部分に設けられたシールリップ18とを、一体に備える。このうちの係止部17の自由状態での外径寸法は、前記係止溝12の内径寸法(この係止溝12の径方向内端開口部の直径寸法)よりも大きくしている。
【0022】
この様な構成を有するキャップ5aは、前記係止部17を前記係止溝12に全周に亙って係止する事により、前記外輪1aの軸方向内端開口を塞ぐ状態で、この外輪1aの軸方向内端開口部に、軸方向及び径方向のがたつきなく装着されている。又、この状態で、前記シールリップ18の先端縁を、前記外輪1aの内周面のうちで前記係止溝12よりも軸方向内側部分に、全周に亙り弾性的に接触させている。本例の場合、前記外輪1aの軸方向内端開口部に前記キャップ5aを装着する作業は、この外輪1aの軸方向内端開口部の内径側にこのキャップ5aを、軸方向内側から押し込む事により行う。この押し込みの際に、前記係止部17は、その外径寸法を弾性的に縮めつつ、前記外輪1aの内周面のうちで前記係止溝12よりも軸方向内側部分の内径側を通過する。そして、この通過後に、前記係止部17は、その外径寸法を弾性的に復元させる事で、前記係止溝12に係止される。これと同時に、前記シールリップ18の先端縁が、前記外輪1aの内周面のうちで前記係止溝12よりも軸方向内側部分に、全周に亙り弾性的に接触する。又、本例の場合には、この状態で、前記係止部17が前記係止溝12に対して軸方向及び径方向にがたつかない様にする為、前記係止部17に、前記係止溝12及び前記段差面11に対する、軸方向及び径方向の締め代を持たせている。尚、本例の場合には、前記キャップ本体13の外周部に設けた短円筒部16の外径寸法を、前記段差面11の内径寸法よりも大きくしている為、上述の様に外輪1aの内径側にキャップ5aを押し込む際に、或いは、このキャップ5aの外面(軸方向内側面)に跳ね石が衝突する等により、このキャップ5aに対して軸方向外側に向いた不用意な力が加わった場合にも、前記キャップ本体13が前記段差面11よりも軸方向外側に押し込まれる事を防止できる。
【0023】
上述の様に構成する本例の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、前記外輪1aの軸方向内端開口部に前記キャップ5aを装着した状態で、この外輪1aの軸方向内端部に形成した前記係止溝12の内面及び前記段差面11に、前記キャップ5aの弾性材14を構成する係止部17が、全周に亙り弾性的に接触した状態となる。これと共に、前記外輪1aの軸方向内端部内周面に、前記キャップ5aの弾性材14を構成するシールリップ18の先端縁が、全周に亙り弾性的に接触した状態となる。この為、前記外輪1aの軸方向内端開口部に対する前記キャップ5aの装着部の水密性を十分に確保できる。又、前記係止部17はゴム製であり、前記係止溝12に対するこの係止部17の締め代を十分に大きく設定した場合でも、この係止溝12にこの係止部17を係止する際に、前記外輪1aの内周面の軸方向内端部に軸方向の圧入傷が付く事はない。この為、本例の場合には、前記外輪1aの内周面のうちで、軸方向に関して前記段差面11よりも軸方向内側の部分に、前記圧入傷が付く事を防止する為の熱処理硬化層を形成していない。従って、この様な熱処理硬化層を形成する事に伴う不具合が生じないので、この不具合を是正或いは回避する為の作業や管理が不要になる。又、前記係止溝12は、旋削加工により精度良く形成できる為、仕上げの研削加工を施す必要はない。この結果、生産性を向上させる事ができ、製造コストを低減できる。
【0024】
又、本例の場合、前記キャップ本体13は、前記係止部17を介して前記外輪1a(鋼製)に支持されており、この外輪1aに対して直接は接触していない。この為、前記係止部17を備えた前記弾性材14を絶縁ゴム製とすれば、前記キャップ本体13をアルミニウム板製とする場合でも、電食が発生する事を防止できる。
【0025】
[実施の形態の第2例]
図3は、請求項1、2、4に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、キャップ5bを構成するキャップ本体13の外面(平板部15の軸方向内側面)を、このキャップ5bを構成する弾性材14aの一部である、被覆層19により覆っている。この様な本例の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、前記被覆層19によって、前記キャップ本体13の外面の防錆を図れる。即ち、このキャップ本体13を造る為の金属板として、SPCC等の、安価な代りに耐食性の劣る金属板を使用する場合でも、前記キャップ本体13の防錆を図れて、前記キャップ5bのコストを低減できる。又、前記キャップ本体13の外面を覆っている前記被覆層19がゴム製である為、この被覆層19が緩衝材としての役割を果たし、跳ね石等が衝突しても、前記キャップ本体13に大きな衝突が加わる事はない。従って、跳ね石等の衝突により前記キャップ本体13が塑性変形する事を抑制できる。その他の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
【0026】
[実施の形態の第3例]
図4〜5は、請求項1、2、4、5、6に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、上述した実施の形態の第2例の構成に加えて、車輪の回転速度を検出する為に使用する、エンコーダ20及びセンサ21を備える。このうちのエンコーダ20は、磁性金属板製で円環状の芯金22と、この芯金22の軸方向内側面に固定された、永久磁石製で円輪状のエンコーダ本体23とを備える。被検出面である、このエンコーダ本体23の軸方向内側面には、S極とN極とを、円周方向に関して交互に且つ等間隔に配置している。この様なエンコーダ20は、前記芯金22をハブ2の軸方向内端部に締り嵌めで外嵌する事により、このハブ2に対し、このハブ2と同心に支持固定されている。又、この状態で、前記被検出面を、キャップ5cを構成するキャップ本体13の平板部15の内面(軸方向外側面)に近接対向させている。尚、本例の場合には、これら被検出面と平板部15の内面との軸方向の対向距離を、前記キャップ本体13の短円筒部16の先端面と外輪1aの段差面11との軸方向の対向距離よりも大きくしている。これにより、前記キャップ5cを構成する係止部17が弾性変形する事に基づいて、前記キャップ本体13が前記外輪1aに対して軸方向に変位した場合でも、前記被検出面と前記平板部15の内面とが接触しない様にしている。
【0027】
又、前記センサ21は、合成樹脂製のホルダの先端部(図4〜5の左端部)に、検出部である、ホールIC、ホール素子、MR素子、GMR素子等の磁気検知素子を包埋して成る。この様なセンサ21は、先端面を前記キャップ5cの外面(軸方向内側面)に接触させる事により、前記検出部を、前記キャップ5cを介して前記エンコーダ20の被検出面に軸方向に対向させている。又、この状態で、前記センサ21は、使用時にも回転しない部分である、図示しない懸架装置を構成するナックル等に支持固定されている。又、本例の場合、前記キャップ5cを構成するキャップ本体13の平板部15の外面(軸方向内側面)を覆う被覆層19の外面(軸方向内側面)の一部で、前記センサ21の先端面と整合する部分に、凹部24を形成している。そして、この凹部24の底面に、前記センサ21の先端面を当接させている。
【0028】
又、本例の場合には、前記キャップ5cを構成するキャップ本体13を、オーステナイト系のステンレス鋼板等の、非磁性金属板製としている。これにより、前記エンコーダ20の被検出面から出入りする磁束を、前記センサ21の検出部により検出できる様にする事で、このセンサ21の出力信号に基づいて、車輪の回転速度を検出できる様にしている。
【0029】
上述の様に構成する本例の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合、前記キャップ本体13を構成する非磁性金属板として、オーステナイト系のステンレス鋼板を使用しているので、このキャップ本体13の剛性を十分に確保できる。尚、オーステナイト系のステンレス鋼は、跳ね石等の衝突に伴う機械的衝撃に基づいて生じるマルテンサイト変態により、磁化する事が知られている。但し、本例の場合には、前記キャップ本体13の平板部15の外面が、ゴム製の被覆層19により覆われている為、跳ね石等が衝突しても、前記キャップ本体13に大きな機械的衝撃が加わる事はない。従って、跳ね石等の衝突により前記キャップ本体13が磁化する事を抑制できる。
【0030】
又、本例の場合には、前記被覆層19の一部に形成した凹部24の深さ分だけ、前記センサ21の検出部と前記エンコーダ20の被検出面との対向距離を短くする事ができる。この為、その分だけ、前記センサ21の検出部を通過する磁束の密度を高くする事ができ、回転速度検出の信頼性を向上させる事ができる。又、前記センサ21の先端部を前記凹部24の内側に挿入した状態にできる為、この挿入した部分に跳ね石等が衝突する事を防止できる。従って、その分、前記センサ21の先端部に設けた検出部の保護を図れる。その他の構成及び作用は、上述した実施の形態の第2例の場合と同様である。
【0031】
[実施の形態の第4例]
図6は、請求項1、2、4、5、6、8に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合、キャップ5dの被覆層19の一部で、センサ21の先端面と整合する部分に、透孔25を形成している。そして、この透孔25の内側に露出したキャップ本体13の平板部15の外面(軸方向内側面)に、前記センサ21の先端面を当接させている。これにより、このセンサ21の検出部とエンコーダ20の被検出面との軸方向の対向距離を、上述した第3例の場合よりも更に短くして、回転速度検出の信頼性を向上させている。又、本例の場合には、前記被覆層19の外面(軸方向内側面)のうちで前記センサ21(前記透孔25)の周囲部分に筒部26を突設し、この筒部26により前記センサ21の周囲を覆っている。これにより、この覆った部分に跳ね石等が衝突する事を防止して、前記センサ21の先端部に設けた検出部の保護を、より一層図れる様にしている。尚、このセンサ21の外周面と前記筒部26の内周面とは、全周に亙り当接させる様にしても良いし、或いは、全周に亙り微小隙間を介して対向させる様にしても良い。或いは、前記筒部26の内径寸法を軸方向内方に向かう程小さくして、この筒部26の内周面の軸方向内端部のみを、前記センサ21の外周面に全周に亙り当接させる様にしても良い。その他の構成及び作用は、上述した実施の形態の第3例の場合と同様である。
【0032】
[実施の形態の第5例]
図7は、請求項1、2、4、5、7に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、キャップ5eを構成するキャップ本体13aの平板部15aの一部で、センサ21の先端面と整合する部分に、貫通孔27を形成している。そして、前記キャップ5eを構成する弾性材14dにより、前記貫通孔27を塞ぐ塞ぎ膜28を形成すると共に、この塞ぎ膜28の外面(軸方向内側面)を、前記平板部15aの外面(軸方向内側面)よりも軸方向外側に存在させている。そして、前記塞ぎ膜28の外面に、前記センサ21の先端面を当接させている。これにより、このセンサ21の検出部とエンコーダ20の被検出面との軸方向の対向距離を、上述した第4例の場合よりも更に短くして、回転速度検出の信頼性を向上させている。その他の構成及び作用は、前記弾性材14dが筒部26(図6参照)を有していない点を除き、上述した実施の形態の第4例の場合と同様である。
【0033】
[実施の形態の第6例]
図8は、請求項1〜4に対応する、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の場合には、キャップ5fを構成するキャップ本体13bの平板部15bを、円輪状に構成している。これと共に、前記キャップ5fを構成する弾性材14eにより、前記平板部15bの中心孔を塞ぐ塞ぎ膜29を形成している。又、前記弾性材14eの内面(軸方向外側面)の外周寄り部分に嵌合用円筒部30を形成すると共に、この嵌合用円筒部30を、外輪の1aの内周面のうちで段差面11の軸方向外側に隣接する部分に、径方向の締め代を持たせた状態で内嵌している。
【0034】
この様な構成を有する本例の場合、使用時の温度変化に伴って、転がり軸受ユニットの内部空間の圧力が変化する傾向となった場合には、前記塞ぎ膜29が柔軟に、部分球面状に弾性変形する事に基づいて、前記圧力の変化を緩和できる。この為、この圧力の変化に伴って、前記外輪1aの表面と前記キャップ5fを構成する係止部17及びシールリップ18との当接部や、前記内部空間の軸方向外端開口を塞ぐシールリング4(例えば図1参照)の摺接部等を通じて、外部空間に存在する泥水等の異物が前記内部空間に引き込まれたり、或いは、この内部空間に存在する潤滑用のグリースが前記外部空間に漏洩したりすると言った不都合を、生じにくくする事ができる。又、本例の場合には、前記嵌合用円筒部30の存在に基づいて、前記外輪1aに対する前記キャップ5fの径方向の位置決め精度及び位置決め剛性を向上させる事ができる。その他の構成及び作用は、前述の図3に示した実施の形態の第2例の場合と同様である。
【0035】
尚、本例の様に、キャップの平板部を円輪状に構成すると共に、この平板部の中心孔を弾性材により形成した塞ぎ膜により塞ぐ構成や、キャップの弾性材の一部に外輪に対する嵌合用円筒部を設ける構成は、上述した実施の形態の各例のうちの第2例以外の例にも、それぞれ適用する事ができる。尚、前記平板部の中心孔を塞ぎ膜により塞ぐ構成を、前述の図1〜2に示した実施の形態の第1例の構造に適用する場合には、前記塞ぎ膜を係止部17に対し、キャップ本体13の内面(軸方向外側面)側で連結すれば良い。又、前記嵌合用円筒部を設ける構成を、前述の図4〜7に示した実施の形態の第3〜5例の構造に適用すれば、キャップとセンサ21との径方向に関する位置関係の適正化を図り易くできる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明を実施する場合、キャップを構成する金属板製のキャップ本体の構造は、上述した実施の形態の各例のものに限らず、従来から金属板製のキャップに採用されている、各種の構造を採用する事ができる。
又、本発明は、上述した実施の形態の各例に示した様な、従動輪用の車輪支持用転がり軸受ユニットに限らず、駆動輪用の車輪支持用転がり軸受ユニットにも適用する事ができる。本発明を駆動輪用の車輪支持用転がり軸受ユニットに適用する場合、外輪の軸方向内端開口を塞ぐキャップは、円環状に構成して、その内径側に、駆動軸部材の中間部を挿通可能とする。又、キャップの内周縁にシールリップを装着して、前記駆動軸部材の挿通部をシールする。
【符号の説明】
【0037】
1、1a 外輪
2 ハブ
3 転動体
4 シールリング
5、5a〜5f キャップ
6 外輪軌道
7 固定側フランジ
8 回転側フランジ
9 内輪軌道
10 円筒部
11 段差面
12 係止溝
13、13a、13b キャップ本体
14、14a〜14e 弾性材
15、15a、15b 平板部
16 短円筒部
17 係止部
18 シールリップ
19 被覆層
20 エンコーダ
21 センサ
22 芯金
23 エンコーダ本体
24 凹部
25 透孔
26 筒部
27 貫通孔
28 塞ぎ膜
29 塞ぎ膜
30 嵌合用円筒部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に複列の外輪軌道を有し、使用状態で懸架装置に支持されて回転しない外輪と、外周面に複列の内輪軌道を有し、この外輪の内径側にこの外輪と同心に配置され、外周面のうちでこの外輪の軸方向外端部よりも軸方向外方に突出した部分に車輪を支持する為の回転側フランジを設けたハブと、前記両外輪軌道と前記両内輪軌道との間に、両列毎にそれぞれ複数個ずつ転動自在に設けられた転動体と、前記外輪の軸方向内端開口を塞ぐ状態で、この外輪の軸方向内端開口部に装着されたキャップとを備えた車輪支持用転がり軸受ユニットに於いて、前記外輪は、内周面の軸方向内端部に全周に亙って係止溝を形成すると共に、この係止溝を含む、この内周面の軸方向内端部を、熱処理硬化層を形成していない、生のままの状態としており、前記キャップは、金属板製のキャップ本体と、このキャップ本体の外周部に全周に亙り固定された、弾性材製で円環状の係止部とを有するもので、この係止部を前記係止溝に係止する事により、前記外輪の軸方向内端開口を塞ぐ状態で、この外輪の軸方向内端開口部に装着されている事を特徴とする車輪支持用転がり軸受ユニット。
【請求項2】
前記係止部を構成する弾性材により造られたシールリップを、この係止部の軸方向内側に設けると共に、このシールリップの先端縁を前記外輪の軸方向内端部表面に全周に亙り弾性的に接触させている、請求項1に記載した車輪支持用転がり軸受ユニット。
【請求項3】
前記キャップ本体を円環状に構成すると共に、このキャップ本体の中心孔を、前記係止部を構成する弾性材により造られた塞ぎ膜により塞いでいる、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した車輪支持用転がり軸受ユニット。
【請求項4】
前記キャップ本体の外面を、前記係止部を構成する弾性材により造られた被覆層により覆っている、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した車輪支持用転がり軸受ユニット。
【請求項5】
軸方向内側面に磁気特性を円周方向に関して交互に変化させた被検出面を有し、前記ハブの軸方向内端部にこのハブと同心に支持固定された円環状のエンコーダと、その先端面を前記キャップの外面に当接させた状態で、その先端部に設けた検出部を、このキャップを介して前記被検出面に対向させたセンサとを備え、且つ、前記キャップ本体を非磁性金属板製としている、請求項4に記載した車輪支持用転がり軸受ユニット。
【請求項6】
前記被覆層の一部で前記センサの先端面と整合する部分に、この被覆層の外面に開口する凹部又は透孔を形成すると共に、前記センサの先端面をこの凹部の底面又はこの透孔の内側に露出した前記キャップ本体の外面に当接させている、請求項5に記載した車輪支持用転がり軸受ユニット。
【請求項7】
前記キャップ本体の一部で前記センサの先端面と整合する部分に軸方向の貫通孔を形成し、且つ、前記係止部を構成する弾性材により、前記貫通孔を塞ぐ塞ぎ膜を形成すると共に、この塞ぎ膜の外面を前記キャップ本体の外面のうち前記貫通孔の周囲部分よりも軸方向外側に存在させ、且つ、前記センサの先端面を前記塞ぎ膜の外面に当接させている、請求項5に記載した車輪支持用転がり軸受ユニット。
【請求項8】
前記被覆層の外面のうちで前記センサの周囲部分に、前記係止部を構成する弾性材により造られた筒部を突設し、この筒部により前記センサの周囲を覆っている、請求項5〜7のうちの何れか1項に記載した車輪支持用転がり軸受ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−232708(P2012−232708A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104198(P2011−104198)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】