説明

軟質グリップ及びその製造方法

【課題】器具又は工具用の軟質グリップにおいて、透明であり、かつ、把持性を維持できるようにする。
【解決手段】光学的に明澄な外表面を有する透明な材料で形成されて、表面上に隆起したエンボス形成部分を有する把持される器具又は工具用の軟質グリップ。このグリップは、隆起した部分を形成するために内部に複数の凹部18,20を有するキャビティで成型され、キャビティの内面は、精密に研磨されて、成型されたグリップに光学的に明澄な外表面を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持器具又は把持工具用の軟質グリップに関し、特に、基本装置の製造後、工具又は器具ハンドルに装着することができるタイプのグリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
そのようなグリップは、例えば、ゴルフクラブ又はテニスラケット等のスポーツ用品、大工及び石工のハンマー等、並びに、園芸用具等に使用され、これらは、手に心地よい弾性又は柔軟性のあるグリップを提供し、更に、適度な保持力すなわち摩擦力を提供して使用動作中に器具又は工具がユーザーの手から滑るのを防止することが望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特定の適用例において、マーケティングの観点から、ユーザーが商標、デザインをみることができ、あるいは、製造中にハンドルのマーキング情報を提供するために、工具又は用具上で透明又は光学的に明澄なグリップが望まれていることが分かっている。そのような透明なグリップは、市場に受入れられているが、グリップ用に利用される軟質材料に透明又は光学的に明澄な外表面を与えることは困難である。加えて、軟質のグリップの外表面が充分に平滑又は滑らかで所望の透明性が与えられた場合、反対に、使用中にユーザがタイトなグリップを維持する能力に悪影響を及ぼす。このため、透明又は光学的に明澄な表面を有し、加えて、光沢のない手触りの外表面を有する軟質グリップのグリップ性を維持した工具又は器具用の軟質グリップを提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書は、透明な軟質材料で成型されて、光学的に明澄な外表面を有し、その表面上に透明なグリップと一体に形成されて所望のグリップ持性を与える隆起したエンボス付(texture)の部分を有するタイプの工具又は器具用の軟質グリップについて説明する。このグリップは、グリップの外表面上に隆起した、すなわち、エンボス付の部分を成型するための凹部が設けられた内表面を有するキャビティで成型される。金型のエンボス用の凹部を形成した後、成型キャビティの残りの表面は、精密に研磨されており、その中で成型される透明のグリップ材料に同様の滑らかな表面を与える。そのグリップは、所望の柔軟性を得るためのエラストマー材料又は熱可塑性エラストマー等のあらゆる所望の軟質材料で形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
図1及び3を参照して、上型及び下型は、それぞれ符号10、12で示され、これらは、それぞれの内部に金型表面14、16を形成するキャビティを有し、図1中に破線で示されるように、これらの金型を閉じて成型されるグリップの所望の外表面を提供するように構成されている。各金型表面14、16は、それぞれ、その内部に複数の浅い凹部18、20が形成され、成型中に、これらの凹部18、20にグリップの材料(例えば、未硬化のエラストマー材料)が流入する。凹部18、20は、例えば、図示のようにダイヤ又はジグザグパターンに配置された半十字形のような所望のあらゆる形状及び配置とすることができる。
【0006】
図3に下型12の凹部の配置が拡大されて詳細に示されている。
【0007】
上型10及び下型12の金型表面14、16は、凹部18、20を形成した後、成型の前に精密に鏡面に研磨される。本実施形態では、金型表面14、16は、約8マイクロインチ以上の仕上面となるように充分に研磨することが望ましいと考える。
【0008】
図2及び図4を参照して、離型後に現れる成型されたグリップが全体として符号22で示され、これは、金型表面14、16による精密に艶出しされた、すなわち、非常に平滑な形状に形成されたその外表面24を有しており、これにより、その透明性及び光学的な明澄性を維持している。隆起したエンボス付の表面は、外表面24から上方に延びる複数の部分26によって形成され、隆起した部分は、凹部18、20内で形成される。隆起した部分26は、図4に拡大して詳細に示されている。このエラストマー材料は、透明又は光学的に明澄であることが分かるであろう。
【0009】
これにより、本明細書は、把持し易くするためのエンボス付の表面を形成する複数の隆起した部分を含む艶出しされた外表面を有する透明又は光学的に明澄なグリップの材料を有する手持ち器具又は工具に使用するための軟質グリップを説明する。このグリップは、材料がその内部に流入してエンボス付の表面のための隆起した部分を形成できるように、内部に複数の凹部を有する成型キャビティで成型され、そして、この成型キャビティの表面は、成型されたグリップに光学的に明澄な外表面を提供するために、精密に研磨されている。
【0010】
例示的な実施形態について、好ましい実施形態を参照して説明した。以上の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者には様々な修正及び変更が可能であることは明らかである。そのような全ての修正及び変更は、添付の特許請求の範囲又はその均等物の技術的範囲に属する限り、例示的な実施形態に含まれると解釈すべきである。
【0011】
上記実施形態において、グリップ22は、一端が閉じて他端が内部に器具ハンドルを受入れるように開口した一体中空部材であり、スポーツ用具のハンドルとすることができ、例えばゴルフクラブハンドルグリップ(いわゆる弾性グリップ)とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】凹部を形成する内部の模様が見られる2つの金型の部分を示す斜視図である。
【図2】本発明の成型されたグリップの一部を示す斜視図である。
【図3】図1の3−3線による縦断面の一部を示す図である。
【図4】図2の4−4線による縦断面の一部を示す図である。
【符号の説明】
【0013】
10 上型、12 下型、14、16 金型表面、18、20 凹部、22 グリップ、24 外表面、26 隆起した部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)金型に、成型キャビティを形成し、該成型キャビティの壁部に複数の凹部を形成し、
(b)前記凹部を除く前記成型キャビティの壁部を研磨し、
(c)前記金型内に硬化性の軟質材料を配置して、平滑な表面を有するグリップを成型し、該グリップ上に前記凹部内の成型材料によって隆起した複数の部分を形成し、
(d)前記金型内で前記軟質材料を硬化させ、前記グリップを金型から離型することを含むハンドル用軟質グリップの製造方法。
【請求項2】
前記硬化性の軟質材料を配置するステップは、透明材料を配置することを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記硬化性の軟質材料を配置するステップは、光学的に明澄な材料を配置することを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記硬化性の軟質材料を配置するステップは、未硬化のエラストマー材料を配置することを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記複数の凹部を形成するステップは、前記グリップ上に隆起するエンボス付の表面を設けるように構成された複数の凹部を形成することを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記複数の凹部を形成するステップは、隆起した部分のパターンを形成することを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記金型に成型キャビティを形成するステップは、スポーツ用具のハンドルを成型するための成型キャビティを形成することを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記成型キャビティを成形するステップは、ゴルフクラブハンドルグリップ用の成型キャビティを形成することを含むことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
(a)エラストマー材料で形成され、一端が閉じて他端が内部に器具ハンドルを受入れるように開口した一体中空部材と、
(b)平滑に艶出しされた表面の外観を有する前記一体中空部材の外表面と、
(c)前記艶出しされた外表面の周りに配置されて、そこから把持し易いように外方に延びる複数の隆起した部分とを有することを特徴とする器具ハンドル用軟質グリップ。
【請求項10】
前記艶出しされた外表面は、エラストマー材料で形成されていることを特徴とする請求項9に記載のグリップ。
【請求項11】
前記エラストマー材料は、光学的に明澄であることを特徴とする請求項10に記載のグリップ。
【請求項12】
前記艶出しされた外表面は、透明のエラストマー材料で形成されていることを特徴とする請求項10に記載のグリップ。
【請求項13】
前記艶出しされた外表面は、エラストマー材料で形成されていることを特徴とする請求項9に記載のグリップ。
【請求項14】
前記隆起した部分は、パターン状に配置されていることを特徴とする請求項9に記載のグリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−113492(P2009−113492A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286650(P2008−286650)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【Fターム(参考)】