転がり軸受及びこれを備えた軸受構造
【課題】転動体の転走に伴う振動や音の発生を抑制するとともに、外輪とハウジングとの間の周方向への位置ずれの発生を防止することができる転がり軸受及び軸受構造を提供する。
【解決手段】転がり軸受１０の外輪１の外径面に、凹部と凸部とからなる凹凸部２を形成されており、この凹凸部２の凹部に、緩衝材が充填されている。
【解決手段】転がり軸受１０の外輪１の外径面に、凹部と凸部とからなる凹凸部２を形成されており、この凹凸部２の凹部に、緩衝材が充填されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は転がり軸受及びこれを備えた軸受構造に関する。より詳しくは、エンジンにおけるクランクシャフトやカムシャフト等のシャフトの支持に好適な転がり軸受及びこれを備えた軸受構造に関する。
【背景技術】
【０００２】
自動車、船舶等のエンジンにおいて、クランクシャフトを支持する軸受は、カウンターウェイト間、又はカウンターウェイトと大径大端部との間に配置されるため、かかる軸受として、円周方向に分割された分割型の軸受（二つ割り軸受）が用いられている。従来、前記軸受として、分割型の滑り軸受が用いられている。
【０００３】
また、近年、より燃料消費量の少ないエンジンに対する要求がますます高まっているため、回転損失を低減させるべく、前記分割型の滑り軸受に代えて、分割型の転がり軸受を使用することが提案されている。
【０００４】
ところで、転がり軸受では、転動体が軌道面を転走する際に、振動や音が発生することがある。また、前記分割型の転がり軸受では、ハウジングへの組み付け誤差等により、外輪を形成する外輪部材の合わせ面に径方向のずれが生じ、この外輪の内側面に形成される軌道面に段差が生じることがある。この場合、転動体が前記段差を通過する際に比較的大きな振動や音が発生する。
【０００５】
そこで、転動体の転走に伴う振動や音の発生を抑制するために、外輪の外径面をゴム系又は樹脂系の材料からなる断熱性弾性体で被覆した転がり軸受が提案されている（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開２００６−３８１０７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、特許文献１記載の転がり軸受では、前記耐熱性弾性体が柔らかいことから前記ハウジングの内周面（転がり軸受を支持するハウジングの支持孔の内周面）と間で滑りが生じ易く、当該耐熱性弾性体とハウジングとの間の保持力が充分ではないため、外輪内径面を転動体が転走することによって、外輪とハウジングとの間に周方向の位置ずれ（クリープ）が発生し、はめあい面に摩耗やかじりが生じるという問題がある。
【０００７】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、軸受構造の軸受として用いた場合に、振動や音の発生を抑制するとともに、外輪とハウジングとの間の周方向への位置ずれの発生を抑制することができる転がり軸受を提供することを目的とする。また、本発明は、振動や音の発生を抑制するとともに、外輪とハウジングとの間の周方向への位置ずれの発生を抑制することができる軸受構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明の転がり軸受は、内径側に軌道面を有する環状の外輪と、前記軌道面を転動し得るように配設される複数個の転動体と、前記複数個の転動体それぞれを円周方向所定間隔に案内保持する保持器とからなる、シャフトが内嵌される転がり軸受であって、前記外輪の外径面に凹凸部が形成されており、この凹凸部の凹部に緩衝材が充填されていることを特徴としている。
【０００９】
本発明の転がり軸受では、外輪の外径面に凹凸部が形成されており、この凹凸部の凹部に、緩衝材が充填されている。そのため、本発明の転がり軸受を、軸受構造の軸受として用いた場合、軸受を支持する支持孔を有するハウジングにおける当該支持孔の内径は、しめ代を考慮して前記軸受の外径よりもわずかに小径にされることから、前記凹部に充填された緩衝材と前記ハウジングの支持孔の内径面とが当接するとともに、前記凹凸部の凸部の先端部が、前記ハウジングの支持孔の内径面に圧接されて当該内径面にくい込む。これにより、転動体が軌道面を転走する際の振動や音の外輪からハウジングへの伝播を前記緩衝材で抑制し、転動体の転走に伴う振動や音の発生を抑えることができるとともに、外輪とハウジングとの間の周方向への位置ずれの発生を防止することができる。
【００１０】
前記凹部における緩衝材の充填高さは、この凹部に隣接する凸部の先端部の径方向高さと同じ高さとされているのが好ましい。この場合、軸受をハウジングの支持孔内に圧入すると、柔らかい緩衝材は変形し、硬い外輪の凸部は前記支持孔の内径面に圧接される。これにより、前記凸部の先端部を、ハウジングの支持孔の内径面にくい込ませつつ、前記凹部に充填されている緩衝材を、より広い接触面積でハウジングの支持孔の内径面に当接させることが可能になる。その結果、転動体が軌道面を転走する際の振動や音の外輪からハウジングへの伝播をより効果的に抑制することができる。また、緩衝材を凹部に充填したのちに、外輪外径面を研磨することで、前記緩衝材の充填高さと凸部の高さを簡単に揃えることができる。
【００１１】
本発明の転がり軸受では、前記緩衝材は、軟質金属材料又は樹脂材料が好ましい。この場合、転動体が軌道面を転走する際の振動や音の外輪からハウジングへの伝播をより一層効果的に抑制することができる。
【００１２】
本発明の軸受構造は、内径側に軌道面を有する環状の外輪と、前記軌道面を転動し得るように配設される複数個の転動体と、前記複数個の転動体それぞれを円周方向所定間隔に案内保持する保持器とからなる、シャフトが内嵌される転がり軸受と、この転がり軸受を密接して支持する支持孔を有するハウジングとを備えた軸受構造であって、前記転がり軸受が前述した転がり軸受であり、この転がり軸受の外輪の外径面の凹部に充填された緩衝材と前記ハウジングの支持孔の内径面とが当接しているとともに、前記外輪の外径面の凸部の先端部が、前記ハウジングの支持孔の内径面に圧接されていることにより、当該外輪とハウジングとが互いに周方向に移動しないように構成されていることを特徴としている。
【００１３】
本発明の軸受構造は、前述した転がり軸受が用いられているため、外輪とハウジングとの間の周方向への位置ずれの発生を防止することができるとともに、転動体が軌道面を転走する際の振動や音の外輪からハウジングへの伝播を抑制し、転動体の転走に伴う振動や音の発生を抑えることができる。
【発明の効果】
【００１４】
本発明の転がり軸受及び軸受構造によれば、振動や音の発生を抑制するとともに、外輪とハウジングとの間の周方向への位置ずれの発生を防止することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の転がり軸受の実施の形態を詳細に説明する。
図１は、本発明の一実施の形態に係る転がり軸受の概略説明図である。なお、図１において、外輪の外径面に形成された凹凸部をわかりやすく説明するために、外輪の径方向厚さを誇張して描くとともに、外輪の一部を拡大して示している。
【００１６】
転がり軸受１０は、内径側に軌道面４を有する環状の外輪１と、軌道面４を転動し得るように配設される複数の転動体１３と、前記複数個の転動体１３それぞれを円周方向所定間隔に案内保持する保持器１２とからなる。シャフト１１は、前記複数個の転動体１３により支持されることにより、転がり軸受１０に内嵌されている。このシャフト１１は、内輪としても機能している。
【００１７】
図１に示される転がり軸受１０では、外輪１の外径面に、凹凸部２が形成されている。この凹凸部２の凹部には緩衝材が充填され、緩衝材充填部３が形成されている。
【００１８】
なお、本発明では、緩衝材は、外輪１を構成する材料として用いられている金属材料とは異なる材料であって転動体の転走により発生する音や振動がハウジング側へ伝達されるのを抑制（緩衝）する機能を有するものであればよい。かかる緩衝材としては、軟質金属材料、樹脂材料などが挙げられる。軟質金属材料としては、例えば、銀、鉛、ニッケル−リン合金などの金属材料が挙げられる。また、樹脂材料としては、例えば、四フッ化エチレン樹脂（ＰＴＦＥ）などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【００１９】
図２及び図３に、図１に示される転がり軸受の外輪の外径面の凹凸部の一例を示す。図２は、図１に示される転がり軸受の外輪の外径面の凹凸部の一例を示す部分拡大説明図を示す。図３（ａ）は、転がり軸受の外輪の外径面の凹凸部を三次元表面粗さ測定器により測定した結果を示す三次元グラフである。また、図３（ｂ）は、図３（ａ）に示される凹凸部の凹部及び凸部それぞれの位置の分布と、径方向寸法（径方向外方高さ、径方向内方深さ）とを示すグラフである。なお、図３（ａ）は、外輪の外径面の凹凸部のうち１ｍｍ四方の表面深さ４μｍまでの部分を示す。また、図３（ｂ）は、外輪の外径面の凹凸部のうち表面深さ４μｍまでの部分の断面長さ１ｍｍの範囲の部分を示す。図３（ｂ）において、断面曲線の最大断面高さであるＰｔは、２．４３μｍである。
【００２０】
図２に示される凹凸部２は、複数の凸部２ａと複数の凹部２ｂとからなり、凸部２ａと凹部２ｂとが外輪の周方向に沿って交互に形成されている。複数の凸部２ａは、それぞれ、外輪の外径面の径方向外方に一定の高さを有し、かつ軸方向に一定の長さを有している。また、複数の凹部２ｂは、それぞれ、外輪の外径面の径方向内方に一定の深さを有し、かつ軸方向に一定の長さを有している。凸部２ａの軸方向長さは、凹部２ｂの軸方向長さと同じとされている。このような凹凸部２は、例えば、凹凸形状の砥石を用いたセスタレス加工をすることで形成することができる。
前記凸部２ａの高さ又は凹部２ｂの深さは、本発明において特に限定されるものではないが、概ね０．５〜５０μｍが目安である。
【００２１】
なお、図２に示される凸部２ａ及び凹部２ｂは、軸方向に長さを有するように形成されているが、凸部２ａ及び凹部２ｂは、円周方向又は軸方向斜め方向に長さを有するように形成されていてもよい。ただし、図２に示されるように、凸部２ａが軸方向に長さを有する方が、クリープの方向（周方向）に垂直な方向に沿って凸部の先端が支持孔の内径面にくい込むので、より大きなクリープ防止効果を得ることができる。
【００２２】
凹凸部２を有する転がり軸受を軸受け構造の軸受として用いた場合、かかる転がり軸受では、凹部２ｂに充填された緩衝材とハウジングの支持孔の内径面とが当接するとともに、凸部２ａの先端部が、ハウジングの支持孔の内径面に圧接されて当該内径面にくい込む。これにより、当該転がり軸受は、転動体が軌道面を転走する際の振動や音の外輪からハウジングへの伝播を前記緩衝材で抑制し、転動体の転走に伴う振動や音の発生を抑えることができるとともに、外輪とハウジングとの周方向への位置ずれの発生を防止することができる。
【００２３】
本発明では、凹凸部は、図３（ａ）に示されるように、外輪の外径面の径方向外方に種々の高さを有する複数の凸部２ａ−１と、外輪の外径面の径方向内方に種々の深さを有する複数の凹部２ｂ−１とが、不規則に形成されている凹凸部２−１であってもよい。
この場合、外輪の外径面全体にわたって種々の高さ又は深さを有する凸部２ａ−１及び凹部２ｂ−１が分散されることになる。
【００２４】
図３（ａ）に示される凹凸部２−１は、図３（ｂ）に示されるように、径方向外方高さが０μｍを超え１μｍ未満である複数の凸部２ａ−１と、径方向内方深さが０μｍを超え２μｍ未満である複数の凹部２ｂ−１とが不規則に形成されている凹凸部である。
【００２５】
このように、図３（ａ）に示される凹凸部２−１を有する転がり軸受では、外輪の外径面全体にわたって分散された凹部２ｂ−１それぞれに充填された緩衝材とハウジングの支持孔の内径面とが当接するため、かかる転がり軸受は、図２に示される凹凸部２を有する転がり軸受と同様に、転動体が軌道面を転走する際の振動や音の外輪からハウジングへの伝播を抑制することができる。
加えて、図３（ａ）に示される凹凸部２−１を有する転がり軸受では、外輪の外径面全体にわたって分散された凸部２ａ−１の先端部がハウジングの支持孔の内径面に圧接されて当該内径面にくい込む。そのため、かかる転がり軸受は、図２に示される凹凸部２を有する転がり軸受と同様に、外輪とハウジングとが周方向に移動しにくい状態となる。
【００２６】
つぎに、添付図面を参照しつつ、本発明の軸受構造の実施の形態を詳細に説明する。図４は、本発明の一実施の形態に係る軸受構造が採用されたコネクティングロッドの大端部の断面説明図である。
【００２７】
コネクティングロッド１１０は、二つ割り転がり軸受１０１と、ハウジング部片１１２，１１３からなるハウジングである大端部１１１の支持孔１１６内に二つ割り転がり軸受１０１が組み込まれ、クランクシャフト１０６がさらに内嵌される構造を有する。
【００２８】
二つ割り転がり軸受１０１は、外輪１と、この外輪１の内径側に形成されている軌道面４を転動し得るように配設されている複数個の転動体１０４と、これら複数個の転動体１０４それぞれを円周方向所定間隔に保持する二つ割り保持器１０５ａ，１０５ｂとからなる。
クランクシャフト１０６は、複数個の転動体１０４により支持されることにより、二つ割り転がり軸受１０１に内嵌されている。
【００２９】
外輪１は、二つ割り外輪部材１ａ，１ｂから形成されている。また、外輪１の外径面には、凹凸部２が設けられている。
凹凸部２の凹部には、緩衝材が充填されており、緩衝材充填部３が形成されている。この緩衝材充填部３は、大端部１１１の支持孔１１６の内径面に当接している。また、凹凸部２の凸部の先端部は、大端部１１１の支持孔１１６の内径面に圧接され、当該内径面にくい込んでいる。
【００３０】
図５は、図４の軸受構造１１０における外輪１の外径面とハウジングである大端部１１１の支持孔１１６の内径面６との接触部分を示す部分拡大説明図である。図５において、５は、外輪１の凹凸部２の凸部の先端部である。
【００３１】
緩衝材充填部３の高さ、すなわち、凹部における緩衝材の充填高さは、この凹部に隣接する凸部の先端部５の径方向外方の最頂部Ａと当該凹部の径方向内方の最底部Ｂとの間の距離により決定される径方向高さと同じ高さとなっている。
これにより、緩衝材充填部３が、支持孔の内径面６と当接して、転動体が軌道面を転送する際の振動や音の外輪１から大端部１１１（ハウジング）への伝播を抑制する。加えて、凸部の先端部５が、支持孔の内径面６に圧接されて当該内径面６にくい込むことにより、外輪１と大端部１１１（ハウジング）との間の周方向への位置ずれの発生を防止する。
【００３２】
また、本発明の軸受構造は、図６に示されるクランクシャフト支持用軸受に用いることができる。
図６は、本発明の一実施の形態に係る軸受構造が採用されたクランクシャフト支持用軸受の部分断面説明図である。
【００３３】
図６に示されるクランクシャフト支持用軸受２００では、クランクシャフト固定部２１０の一部を構成するハウジングであるアッパーブロック２０１と、このアッパーブロック２０１と一体に結合されるハウジングであるロアブロック２０２とにより形成される支持孔内に、二つ割り外輪部材１ａ，１ｂが配置されている。
アッパーブロック２０１とロアブロック２０２とは、固定ボルト２０３により一体に固定されている。
【００３４】
このクランクシャフト支持用軸受２００では、外輪１の外径面に凹凸部２が形成されている。そして、この凹凸部２の凹部に緩衝材が充填され、緩衝材充填部３が形成されている。クランクシャフト支持用軸受２００を製造するに際して、固定ボルト２０３を締めつけることにより、外輪１の外径面と支持孔の内径面２０４とが密接した状態となる。その結果、緩衝材充填部３が支持孔の内径面２０４に当接するため、転動体１０４が軌道面４を転走する際の振動や音の外輪１からハウジングへの伝播が抑制される。これとともに、凹凸部２の凸部の先端部がハウジングの支持孔の内径面２０４に圧接されて当該内径面２０４にくい込むため、外輪１とハウジングとの間の周方向への位置ずれの発生が防止される。
【００３５】
なお、図４及び図６では、本発明の軸受構造に採用された転がり軸受の一実施の形態として、二つ割り転がり軸受を例として挙げている。
しかしながら、本発明の転がり軸受は、二つ割り転がり軸受に限定されるものではなく、ハウジングに形成された支持孔に密接して支持される転がり軸受であれば、いかなる形態の転がり軸受にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００３６】
【図１】本発明の一実施の形態に係る転がり軸受の概略説明図である。
【図２】図１に示される転がり軸受の外輪の外径面の凹凸部の一例を示す部分拡大説明図である。
【図３】図３（ａ）は、転がり軸受の外輪の外径面の凹凸部を三次元表面粗さ測定器により測定した結果を示す三次元グラフであり、図３（ｂ）は、図３（ａ）に示される凹凸部の凸部及び凹部それぞれの位置の分布と、径方向長さ（径方向外方高さ、径方向内方深さ）とを示すグラフである。
【図４】本発明の一実施の形態に係る軸受構造が採用されたコネクティングロッドの大端部の断面説明図である。
【図５】図４の軸受構造における外輪とハウジングである大端部との接触部分の部分断面説明図である。
【図６】本発明の一実施の形態に係る軸受構造が採用されたクランクシャフト支持用軸受の部分断面説明図である。
【符号の説明】
【００３７】
１ 外輪
１ａ 二つ割り外輪部材
１ｂ 二つ割り外輪部材
２ 凹凸部
２ａ 凸部
２ｂ 凹部
２−１ 凹凸部
２ａ−１ 凸部
２ｂ−１ 凹部
３ 緩衝材充填部
４ 軌道面
５ 先端部
６ 支持孔の内径面
１０ 転がり軸受
１１ シャフト
１２ 保持器
１３ 転動体
１０１ 転がり軸受
１０４ 転動体
１０５ａ 二つ割り保持器
１０５ｂ 二つ割り保持器
１０６ クランクシャフト
１１０ コネクティングロッド
１１１ 大端部
１１２ ハウジング部片
１１３ ハウジング部片
１１６ 支持孔
２００ クランクシャフト支持用軸受
２０１ アッパーブロック
２０２ ロアブロック
２０３ 固定ボルト
２０４ 支持孔の内径面
２１０ クランクシャフト固定部
【技術分野】
【０００１】
本発明は転がり軸受及びこれを備えた軸受構造に関する。より詳しくは、エンジンにおけるクランクシャフトやカムシャフト等のシャフトの支持に好適な転がり軸受及びこれを備えた軸受構造に関する。
【背景技術】
【０００２】
自動車、船舶等のエンジンにおいて、クランクシャフトを支持する軸受は、カウンターウェイト間、又はカウンターウェイトと大径大端部との間に配置されるため、かかる軸受として、円周方向に分割された分割型の軸受（二つ割り軸受）が用いられている。従来、前記軸受として、分割型の滑り軸受が用いられている。
【０００３】
また、近年、より燃料消費量の少ないエンジンに対する要求がますます高まっているため、回転損失を低減させるべく、前記分割型の滑り軸受に代えて、分割型の転がり軸受を使用することが提案されている。
【０００４】
ところで、転がり軸受では、転動体が軌道面を転走する際に、振動や音が発生することがある。また、前記分割型の転がり軸受では、ハウジングへの組み付け誤差等により、外輪を形成する外輪部材の合わせ面に径方向のずれが生じ、この外輪の内側面に形成される軌道面に段差が生じることがある。この場合、転動体が前記段差を通過する際に比較的大きな振動や音が発生する。
【０００５】
そこで、転動体の転走に伴う振動や音の発生を抑制するために、外輪の外径面をゴム系又は樹脂系の材料からなる断熱性弾性体で被覆した転がり軸受が提案されている（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開２００６−３８１０７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、特許文献１記載の転がり軸受では、前記耐熱性弾性体が柔らかいことから前記ハウジングの内周面（転がり軸受を支持するハウジングの支持孔の内周面）と間で滑りが生じ易く、当該耐熱性弾性体とハウジングとの間の保持力が充分ではないため、外輪内径面を転動体が転走することによって、外輪とハウジングとの間に周方向の位置ずれ（クリープ）が発生し、はめあい面に摩耗やかじりが生じるという問題がある。
【０００７】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、軸受構造の軸受として用いた場合に、振動や音の発生を抑制するとともに、外輪とハウジングとの間の周方向への位置ずれの発生を抑制することができる転がり軸受を提供することを目的とする。また、本発明は、振動や音の発生を抑制するとともに、外輪とハウジングとの間の周方向への位置ずれの発生を抑制することができる軸受構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明の転がり軸受は、内径側に軌道面を有する環状の外輪と、前記軌道面を転動し得るように配設される複数個の転動体と、前記複数個の転動体それぞれを円周方向所定間隔に案内保持する保持器とからなる、シャフトが内嵌される転がり軸受であって、前記外輪の外径面に凹凸部が形成されており、この凹凸部の凹部に緩衝材が充填されていることを特徴としている。
【０００９】
本発明の転がり軸受では、外輪の外径面に凹凸部が形成されており、この凹凸部の凹部に、緩衝材が充填されている。そのため、本発明の転がり軸受を、軸受構造の軸受として用いた場合、軸受を支持する支持孔を有するハウジングにおける当該支持孔の内径は、しめ代を考慮して前記軸受の外径よりもわずかに小径にされることから、前記凹部に充填された緩衝材と前記ハウジングの支持孔の内径面とが当接するとともに、前記凹凸部の凸部の先端部が、前記ハウジングの支持孔の内径面に圧接されて当該内径面にくい込む。これにより、転動体が軌道面を転走する際の振動や音の外輪からハウジングへの伝播を前記緩衝材で抑制し、転動体の転走に伴う振動や音の発生を抑えることができるとともに、外輪とハウジングとの間の周方向への位置ずれの発生を防止することができる。
【００１０】
前記凹部における緩衝材の充填高さは、この凹部に隣接する凸部の先端部の径方向高さと同じ高さとされているのが好ましい。この場合、軸受をハウジングの支持孔内に圧入すると、柔らかい緩衝材は変形し、硬い外輪の凸部は前記支持孔の内径面に圧接される。これにより、前記凸部の先端部を、ハウジングの支持孔の内径面にくい込ませつつ、前記凹部に充填されている緩衝材を、より広い接触面積でハウジングの支持孔の内径面に当接させることが可能になる。その結果、転動体が軌道面を転走する際の振動や音の外輪からハウジングへの伝播をより効果的に抑制することができる。また、緩衝材を凹部に充填したのちに、外輪外径面を研磨することで、前記緩衝材の充填高さと凸部の高さを簡単に揃えることができる。
【００１１】
本発明の転がり軸受では、前記緩衝材は、軟質金属材料又は樹脂材料が好ましい。この場合、転動体が軌道面を転走する際の振動や音の外輪からハウジングへの伝播をより一層効果的に抑制することができる。
【００１２】
本発明の軸受構造は、内径側に軌道面を有する環状の外輪と、前記軌道面を転動し得るように配設される複数個の転動体と、前記複数個の転動体それぞれを円周方向所定間隔に案内保持する保持器とからなる、シャフトが内嵌される転がり軸受と、この転がり軸受を密接して支持する支持孔を有するハウジングとを備えた軸受構造であって、前記転がり軸受が前述した転がり軸受であり、この転がり軸受の外輪の外径面の凹部に充填された緩衝材と前記ハウジングの支持孔の内径面とが当接しているとともに、前記外輪の外径面の凸部の先端部が、前記ハウジングの支持孔の内径面に圧接されていることにより、当該外輪とハウジングとが互いに周方向に移動しないように構成されていることを特徴としている。
【００１３】
本発明の軸受構造は、前述した転がり軸受が用いられているため、外輪とハウジングとの間の周方向への位置ずれの発生を防止することができるとともに、転動体が軌道面を転走する際の振動や音の外輪からハウジングへの伝播を抑制し、転動体の転走に伴う振動や音の発生を抑えることができる。
【発明の効果】
【００１４】
本発明の転がり軸受及び軸受構造によれば、振動や音の発生を抑制するとともに、外輪とハウジングとの間の周方向への位置ずれの発生を防止することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の転がり軸受の実施の形態を詳細に説明する。
図１は、本発明の一実施の形態に係る転がり軸受の概略説明図である。なお、図１において、外輪の外径面に形成された凹凸部をわかりやすく説明するために、外輪の径方向厚さを誇張して描くとともに、外輪の一部を拡大して示している。
【００１６】
転がり軸受１０は、内径側に軌道面４を有する環状の外輪１と、軌道面４を転動し得るように配設される複数の転動体１３と、前記複数個の転動体１３それぞれを円周方向所定間隔に案内保持する保持器１２とからなる。シャフト１１は、前記複数個の転動体１３により支持されることにより、転がり軸受１０に内嵌されている。このシャフト１１は、内輪としても機能している。
【００１７】
図１に示される転がり軸受１０では、外輪１の外径面に、凹凸部２が形成されている。この凹凸部２の凹部には緩衝材が充填され、緩衝材充填部３が形成されている。
【００１８】
なお、本発明では、緩衝材は、外輪１を構成する材料として用いられている金属材料とは異なる材料であって転動体の転走により発生する音や振動がハウジング側へ伝達されるのを抑制（緩衝）する機能を有するものであればよい。かかる緩衝材としては、軟質金属材料、樹脂材料などが挙げられる。軟質金属材料としては、例えば、銀、鉛、ニッケル−リン合金などの金属材料が挙げられる。また、樹脂材料としては、例えば、四フッ化エチレン樹脂（ＰＴＦＥ）などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【００１９】
図２及び図３に、図１に示される転がり軸受の外輪の外径面の凹凸部の一例を示す。図２は、図１に示される転がり軸受の外輪の外径面の凹凸部の一例を示す部分拡大説明図を示す。図３（ａ）は、転がり軸受の外輪の外径面の凹凸部を三次元表面粗さ測定器により測定した結果を示す三次元グラフである。また、図３（ｂ）は、図３（ａ）に示される凹凸部の凹部及び凸部それぞれの位置の分布と、径方向寸法（径方向外方高さ、径方向内方深さ）とを示すグラフである。なお、図３（ａ）は、外輪の外径面の凹凸部のうち１ｍｍ四方の表面深さ４μｍまでの部分を示す。また、図３（ｂ）は、外輪の外径面の凹凸部のうち表面深さ４μｍまでの部分の断面長さ１ｍｍの範囲の部分を示す。図３（ｂ）において、断面曲線の最大断面高さであるＰｔは、２．４３μｍである。
【００２０】
図２に示される凹凸部２は、複数の凸部２ａと複数の凹部２ｂとからなり、凸部２ａと凹部２ｂとが外輪の周方向に沿って交互に形成されている。複数の凸部２ａは、それぞれ、外輪の外径面の径方向外方に一定の高さを有し、かつ軸方向に一定の長さを有している。また、複数の凹部２ｂは、それぞれ、外輪の外径面の径方向内方に一定の深さを有し、かつ軸方向に一定の長さを有している。凸部２ａの軸方向長さは、凹部２ｂの軸方向長さと同じとされている。このような凹凸部２は、例えば、凹凸形状の砥石を用いたセスタレス加工をすることで形成することができる。
前記凸部２ａの高さ又は凹部２ｂの深さは、本発明において特に限定されるものではないが、概ね０．５〜５０μｍが目安である。
【００２１】
なお、図２に示される凸部２ａ及び凹部２ｂは、軸方向に長さを有するように形成されているが、凸部２ａ及び凹部２ｂは、円周方向又は軸方向斜め方向に長さを有するように形成されていてもよい。ただし、図２に示されるように、凸部２ａが軸方向に長さを有する方が、クリープの方向（周方向）に垂直な方向に沿って凸部の先端が支持孔の内径面にくい込むので、より大きなクリープ防止効果を得ることができる。
【００２２】
凹凸部２を有する転がり軸受を軸受け構造の軸受として用いた場合、かかる転がり軸受では、凹部２ｂに充填された緩衝材とハウジングの支持孔の内径面とが当接するとともに、凸部２ａの先端部が、ハウジングの支持孔の内径面に圧接されて当該内径面にくい込む。これにより、当該転がり軸受は、転動体が軌道面を転走する際の振動や音の外輪からハウジングへの伝播を前記緩衝材で抑制し、転動体の転走に伴う振動や音の発生を抑えることができるとともに、外輪とハウジングとの周方向への位置ずれの発生を防止することができる。
【００２３】
本発明では、凹凸部は、図３（ａ）に示されるように、外輪の外径面の径方向外方に種々の高さを有する複数の凸部２ａ−１と、外輪の外径面の径方向内方に種々の深さを有する複数の凹部２ｂ−１とが、不規則に形成されている凹凸部２−１であってもよい。
この場合、外輪の外径面全体にわたって種々の高さ又は深さを有する凸部２ａ−１及び凹部２ｂ−１が分散されることになる。
【００２４】
図３（ａ）に示される凹凸部２−１は、図３（ｂ）に示されるように、径方向外方高さが０μｍを超え１μｍ未満である複数の凸部２ａ−１と、径方向内方深さが０μｍを超え２μｍ未満である複数の凹部２ｂ−１とが不規則に形成されている凹凸部である。
【００２５】
このように、図３（ａ）に示される凹凸部２−１を有する転がり軸受では、外輪の外径面全体にわたって分散された凹部２ｂ−１それぞれに充填された緩衝材とハウジングの支持孔の内径面とが当接するため、かかる転がり軸受は、図２に示される凹凸部２を有する転がり軸受と同様に、転動体が軌道面を転走する際の振動や音の外輪からハウジングへの伝播を抑制することができる。
加えて、図３（ａ）に示される凹凸部２−１を有する転がり軸受では、外輪の外径面全体にわたって分散された凸部２ａ−１の先端部がハウジングの支持孔の内径面に圧接されて当該内径面にくい込む。そのため、かかる転がり軸受は、図２に示される凹凸部２を有する転がり軸受と同様に、外輪とハウジングとが周方向に移動しにくい状態となる。
【００２６】
つぎに、添付図面を参照しつつ、本発明の軸受構造の実施の形態を詳細に説明する。図４は、本発明の一実施の形態に係る軸受構造が採用されたコネクティングロッドの大端部の断面説明図である。
【００２７】
コネクティングロッド１１０は、二つ割り転がり軸受１０１と、ハウジング部片１１２，１１３からなるハウジングである大端部１１１の支持孔１１６内に二つ割り転がり軸受１０１が組み込まれ、クランクシャフト１０６がさらに内嵌される構造を有する。
【００２８】
二つ割り転がり軸受１０１は、外輪１と、この外輪１の内径側に形成されている軌道面４を転動し得るように配設されている複数個の転動体１０４と、これら複数個の転動体１０４それぞれを円周方向所定間隔に保持する二つ割り保持器１０５ａ，１０５ｂとからなる。
クランクシャフト１０６は、複数個の転動体１０４により支持されることにより、二つ割り転がり軸受１０１に内嵌されている。
【００２９】
外輪１は、二つ割り外輪部材１ａ，１ｂから形成されている。また、外輪１の外径面には、凹凸部２が設けられている。
凹凸部２の凹部には、緩衝材が充填されており、緩衝材充填部３が形成されている。この緩衝材充填部３は、大端部１１１の支持孔１１６の内径面に当接している。また、凹凸部２の凸部の先端部は、大端部１１１の支持孔１１６の内径面に圧接され、当該内径面にくい込んでいる。
【００３０】
図５は、図４の軸受構造１１０における外輪１の外径面とハウジングである大端部１１１の支持孔１１６の内径面６との接触部分を示す部分拡大説明図である。図５において、５は、外輪１の凹凸部２の凸部の先端部である。
【００３１】
緩衝材充填部３の高さ、すなわち、凹部における緩衝材の充填高さは、この凹部に隣接する凸部の先端部５の径方向外方の最頂部Ａと当該凹部の径方向内方の最底部Ｂとの間の距離により決定される径方向高さと同じ高さとなっている。
これにより、緩衝材充填部３が、支持孔の内径面６と当接して、転動体が軌道面を転送する際の振動や音の外輪１から大端部１１１（ハウジング）への伝播を抑制する。加えて、凸部の先端部５が、支持孔の内径面６に圧接されて当該内径面６にくい込むことにより、外輪１と大端部１１１（ハウジング）との間の周方向への位置ずれの発生を防止する。
【００３２】
また、本発明の軸受構造は、図６に示されるクランクシャフト支持用軸受に用いることができる。
図６は、本発明の一実施の形態に係る軸受構造が採用されたクランクシャフト支持用軸受の部分断面説明図である。
【００３３】
図６に示されるクランクシャフト支持用軸受２００では、クランクシャフト固定部２１０の一部を構成するハウジングであるアッパーブロック２０１と、このアッパーブロック２０１と一体に結合されるハウジングであるロアブロック２０２とにより形成される支持孔内に、二つ割り外輪部材１ａ，１ｂが配置されている。
アッパーブロック２０１とロアブロック２０２とは、固定ボルト２０３により一体に固定されている。
【００３４】
このクランクシャフト支持用軸受２００では、外輪１の外径面に凹凸部２が形成されている。そして、この凹凸部２の凹部に緩衝材が充填され、緩衝材充填部３が形成されている。クランクシャフト支持用軸受２００を製造するに際して、固定ボルト２０３を締めつけることにより、外輪１の外径面と支持孔の内径面２０４とが密接した状態となる。その結果、緩衝材充填部３が支持孔の内径面２０４に当接するため、転動体１０４が軌道面４を転走する際の振動や音の外輪１からハウジングへの伝播が抑制される。これとともに、凹凸部２の凸部の先端部がハウジングの支持孔の内径面２０４に圧接されて当該内径面２０４にくい込むため、外輪１とハウジングとの間の周方向への位置ずれの発生が防止される。
【００３５】
なお、図４及び図６では、本発明の軸受構造に採用された転がり軸受の一実施の形態として、二つ割り転がり軸受を例として挙げている。
しかしながら、本発明の転がり軸受は、二つ割り転がり軸受に限定されるものではなく、ハウジングに形成された支持孔に密接して支持される転がり軸受であれば、いかなる形態の転がり軸受にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００３６】
【図１】本発明の一実施の形態に係る転がり軸受の概略説明図である。
【図２】図１に示される転がり軸受の外輪の外径面の凹凸部の一例を示す部分拡大説明図である。
【図３】図３（ａ）は、転がり軸受の外輪の外径面の凹凸部を三次元表面粗さ測定器により測定した結果を示す三次元グラフであり、図３（ｂ）は、図３（ａ）に示される凹凸部の凸部及び凹部それぞれの位置の分布と、径方向長さ（径方向外方高さ、径方向内方深さ）とを示すグラフである。
【図４】本発明の一実施の形態に係る軸受構造が採用されたコネクティングロッドの大端部の断面説明図である。
【図５】図４の軸受構造における外輪とハウジングである大端部との接触部分の部分断面説明図である。
【図６】本発明の一実施の形態に係る軸受構造が採用されたクランクシャフト支持用軸受の部分断面説明図である。
【符号の説明】
【００３７】
１ 外輪
１ａ 二つ割り外輪部材
１ｂ 二つ割り外輪部材
２ 凹凸部
２ａ 凸部
２ｂ 凹部
２−１ 凹凸部
２ａ−１ 凸部
２ｂ−１ 凹部
３ 緩衝材充填部
４ 軌道面
５ 先端部
６ 支持孔の内径面
１０ 転がり軸受
１１ シャフト
１２ 保持器
１３ 転動体
１０１ 転がり軸受
１０４ 転動体
１０５ａ 二つ割り保持器
１０５ｂ 二つ割り保持器
１０６ クランクシャフト
１１０ コネクティングロッド
１１１ 大端部
１１２ ハウジング部片
１１３ ハウジング部片
１１６ 支持孔
２００ クランクシャフト支持用軸受
２０１ アッパーブロック
２０２ ロアブロック
２０３ 固定ボルト
２０４ 支持孔の内径面
２１０ クランクシャフト固定部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
内径側に軌道面を有する環状の外輪と、
前記軌道面を転動し得るように配設される複数個の転動体と、
前記複数個の転動体それぞれを円周方向所定間隔に案内保持する保持器と
からなる、シャフトが内嵌される転がり軸受であって、
前記外輪の外径面に凹凸部が形成されており、この凹凸部の凹部に緩衝材が充填されていることを特徴とする転がり軸受。
【請求項２】
前記凹部における緩衝材の充填高さが、この凹部に隣接する凸部の先端部の径方向高さと同じ高さとされている請求項１記載の転がり軸受。
【請求項３】
前記緩衝材が、軟質金属材料又は樹脂材料である請求項１又は２に記載の転がり軸受。
【請求項４】
内径側に軌道面を有する環状の外輪と、前記軌道面を転動し得るように配設される複数個の転動体と、前記複数個の転動体それぞれを円周方向所定間隔に案内保持する保持器とからなる、シャフトが内嵌される転がり軸受と、
この転がり軸受を密接して支持する支持孔を有するハウジングと
を備えた軸受構造であって、
前記転がり軸受が請求項１〜３のいずれかに記載の転がり軸受であり、この転がり軸受の外輪の外径面の凹部に充填された緩衝材と前記ハウジングの支持孔の内径面とが当接しているとともに、前記外輪の外径面の凸部の先端部が、前記ハウジングの支持孔の内径面に圧接されていることにより、当該外輪とハウジングとが互いに周方向に移動しないように構成されていることを特徴とする軸受構造。
【請求項１】
内径側に軌道面を有する環状の外輪と、
前記軌道面を転動し得るように配設される複数個の転動体と、
前記複数個の転動体それぞれを円周方向所定間隔に案内保持する保持器と
からなる、シャフトが内嵌される転がり軸受であって、
前記外輪の外径面に凹凸部が形成されており、この凹凸部の凹部に緩衝材が充填されていることを特徴とする転がり軸受。
【請求項２】
前記凹部における緩衝材の充填高さが、この凹部に隣接する凸部の先端部の径方向高さと同じ高さとされている請求項１記載の転がり軸受。
【請求項３】
前記緩衝材が、軟質金属材料又は樹脂材料である請求項１又は２に記載の転がり軸受。
【請求項４】
内径側に軌道面を有する環状の外輪と、前記軌道面を転動し得るように配設される複数個の転動体と、前記複数個の転動体それぞれを円周方向所定間隔に案内保持する保持器とからなる、シャフトが内嵌される転がり軸受と、
この転がり軸受を密接して支持する支持孔を有するハウジングと
を備えた軸受構造であって、
前記転がり軸受が請求項１〜３のいずれかに記載の転がり軸受であり、この転がり軸受の外輪の外径面の凹部に充填された緩衝材と前記ハウジングの支持孔の内径面とが当接しているとともに、前記外輪の外径面の凸部の先端部が、前記ハウジングの支持孔の内径面に圧接されていることにより、当該外輪とハウジングとが互いに周方向に移動しないように構成されていることを特徴とする軸受構造。
【図１】
【図２】
【図４】
【図５】
【図６】
【図３】
【図２】
【図４】
【図５】
【図６】
【図３】
【公開番号】特開２００９−１６２２９８（Ｐ２００９−１６２２９８Ａ）
【公開日】平成２１年７月２３日（２００９．７．２３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−４１５（Ｐ２００８−４１５）
【出願日】平成２０年１月７日（２００８．１．７）
【出願人】（０００００１２４７）株式会社ジェイテクト (7,053)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年７月２３日（２００９．７．２３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１月７日（２００８．１．７）
【出願人】（０００００１２４７）株式会社ジェイテクト (7,053)
【Ｆターム（参考）】
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