説明

通信システム、通信装置、およびプログラム

【課題】多大なコストを必要とすることなく、パケット化音声通信を安定して高音質化できるようにする。
【解決手段】受信端末20において、網状態計測部2Cにより、受信したデータパケットの受信状況に基づき所望区間30における網状態を計測し、網状態送信部2Dにより、計測した網状態を示す網状態情報を送信端末10へ送信し、送信端末10において、網状態受信部1Cにより、受信端末20からの網状態情報を受信し、冗長度決定部1Fにより、受信した網状態情報から得られる、所望区間30の過去の網状態に基づく現在の網状態推定値を用いてデータパケットに対する冗長度を決定し、冗長パケット生成部1Bにより、冗長度決定部1Fで決定された冗長度に応じた割合でデータパケットに対する冗長パケットを生成して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケット通信技術に関し、特にIP網上で音声などの実時間データをパケット化して通信する実時間パケット通信の高品質化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、公衆電話網での音声通信の代わりに、インターネットなどのIP(Internet Protocol)網を介してパケット化された音声をやり取りするパケット化音声通信が盛んに行われている。また、このようなパケット通信技術が発展し、今後は、いわゆるテレビ電話や遠隔テレビ会議、そして実時間動画像配信などにおいて、動画像を含む通信も増加してゆくと考えられる。
【0003】
公衆電話網においては呼毎に通信資源の予約を行っていたため、通常、輻輳による音声通信の品質劣化は発生しない。これに対して、インターネットなどのIP網においては、同一経路上に実時間の音声通信や動画像通信だけではなく、データ通信などの非実時間通信も多重化される。またIP網では、通常、呼毎の通信資源の予約は行わず、データ通信などの非実時間通信のバースト性が高い。このため、輻輳によるパケット廃棄や遅延の発生を避けることはできず、実時間の音声通信や動画像通信の品質劣化が発生する。
パケット廃棄が発生した際には、データの欠落により受信した音質や画質が劣化したり、もしくは音声や画像が途切れたりするなどの問題が発生する。また、遅延が発生した際には、許容時間内にパケットが到着しないために該パケットが廃棄されたと判断されたり、もしくは対話性が劣化したりするなどの問題が発生する。
【0004】
従来、音声パケットを用いた実時間の音声通信や動画像通信(以下、実時間通信という)の品質を向上する手段としては、大きく分けて2つの手法が提案されている。
第1の手法は、実時間通信のパケットをFEC(Forward Error Correction)技術などの技術を用いて冗長化し、受信側においてパケット廃棄を検出した際には冗長化されたパケット列から廃棄されたパケットを再生することでパケット廃棄を隠蔽し、高音質化を図る、という手法である。
また、第2の手法は、何らかの技術を用いて実時間通信以外のパケットを制限することで、実時間通信のための網資源を確保し、高音質化を図る、という手法である。
【0005】
次に、これらの従来の手法を用いた従来技術についてその具体例を説明する。以下、第1〜第3の従来技術は上記第1の手法に基づくものであり、第4の従来技術は上記第2の手法に基づくものである。
まず、第1の従来技術は、実時間通信のパケットの冗長化を行うことで、パケット廃棄を隠蔽する技術であり、具体的には、FEC技術を用いたパケットの冗長化方式や(例えば、非特許文献1など参照)、パケット冗長化による音質向上例がある(例えば、非特許文献2など参照)。
【0006】
この第1の従来技術では、送信元端末においてパケットの冗長化を行い、受信端末ではパケット廃棄を検出した際に冗長パケットを用いて欠落したパケットを補償する実施形態がある。また、送信端末では冗長化を行わず、送信端末から受信端末への経路上の通信中継装置において冗長化を行って冗長パケットを挿入し、経路上の別の通信中継装置においてパケット廃棄を検出した際に冗長パケットを用いて欠落したパケットを補償して冗長化を解除し、受信端末は冗長化されないパケットを受信する実施形態がある。後者の実施形態では、経路上の通信中継装置間でのパケット廃棄のみの補償となるが、端末を変更しなくてもよい利点がある。
【0007】
次に、第2の従来技術は、上記パケット冗長化技術において、冗長度すなわち元のデータに対してどの程度のデータを冗長データとして付加するかという割合を動的に変更する技術である。このうち、網の品質測定や実時間通信の受信品質に応じて動的に冗長度を変化させる方式については多数提案されており、具体的には、観測したパケット廃棄率に基づいて冗長度や階層符号化の符号化率等を変化させる方式がある(例えば、非特許文献3や特許文献1など参照)。
【0008】
また、観測した往復遅延時間に応じてパケット廃棄時の再送処理の可否を判断する方式が示されており、パケットの廃棄率や遅延状況に応じて冗長度を変化させることも提案されている(例えば、特許文献2など参照)。さらに、冗長度を変化させる具体的な技術の開示はないが、受信端末が送信端末に対して冗長度の変更を要求する手段が提案されている(例えば、特許文献3など参照)。
【0009】
次に、第3の従来技術は、網内ノードにおいて実時間通信のパケットを優先して出力することにより、実時間通信のための網資源を確保する技術である。例えば、IP網におけるDifferentiated Services技術として、IPパケットのヘッダ中にあるTOS(Type Of Service)フィールドに優先度を設定することにより、優先設定されたパケットを網内で優先的に転送する方式が規定されている(例えば、非特許文献4など参照)。
本技術を用い、実時間通信のパケットを非実時間通信のパケットに比べて高い優先度に設定することで、実時間通信の品質を向上させることができる。本技術は、送信端末あるいは受信端末に実装するのではなく、網内の各ノードに実装する必要がある。
【0010】
また、第4の従来技術は、網内のノードにおいて非実時間通信が使用できる網資源を制限することにより、実時間通信のための網資源を確保する技術である。具体的には、TCP(Transmission Control Protocol)セッションで使用するACK(Acknowledgement)パケットを遅延させることによりTCPセッションの帯域を制限する方式が提案されている(例えば、特許文献4など参照)。これにより、TCPを用いている非実時間トラヒックの帯域が制限され、実時間通信が使用できる帯域が確保される。
【0011】
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
【特許文献1】特開2003−218840号公報
【特許文献2】特開2003−179580号公報
【特許文献3】特開2003−92564号公報
【特許文献4】米国特許第6,038,216号公報
【非特許文献1】J. Rosenberg他、"An RTP Payload Format for Generic Forward Error Correction"、IETF RFC-2733
【非特許文献2】Wenyu Jiang他、"Comparison and Optimization of Packet Loss Repair Methods on VoIP Perceived Quality under Bursty Loss"、In Proc. of NOSSDAV 2002
【非特許文献3】jean-Chrysostome Bolot他、"Adaptive FEC-Based Error Correction for Internet Telephony、Real-time Internet"、In Proc. of INFOCOM 1999
【非特許文献4】S. Blake他、"An Architecture for Differentiated Services"、IETF RFC-2475
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このような従来技術では、それぞれについて実際に適用した場合、網の状態によってはトラヒック量の増加や輻輳状態の悪化を招き、あるいはコスト増大を招くため、実用化は難しいという問題点があった。
まず、第1の従来技術については、パケットの冗長化により全体のトラヒック量が増加するという問題点があった。これは、網の品質が高く、パケット廃棄が発生し得ないような状況でも一律にパケットの冗長化を行うため、不必要に網資源を消費するからである。
【0013】
第2の従来技術については、網の輻輳状態の変化に対して冗長度の変更が追いつかない場合、やはり無駄な冗長化により全体のトラヒック量が増加するという問題点があった。本技術では、網の廃棄率の変化が緩やかである場合には、この廃棄率に合わせて冗長度を変化させることにより、最適な冗長化が可能である。しかしながら、網の廃棄率の計測値はパケットの廃棄が実際に発生してから変化するものであり、網の廃棄率が変化してからこれが計測されるまでには時間差が発生する。特に、音声通信の場合、データ量が少なく発生するパケット量も少ないため(一般的には1秒間に50パケット程度)、統計値として意味のある廃棄率を計測するためには数秒以上の時間が必要である。
【0014】
一方、非実時間通信のトラヒックは一般的にバースト的であり、例えば1Mバイトのデータを10Mbpsの回線で通信する場合、その通信時間は0.8秒である。したがって、実時間通信と非実時間通信が混在し、非実時間通信によって実時間通信の品質が劣化している場合、網の輻輳状態の変化に対して実時間通信の冗長度の変更が間に合わず、結果として無駄な冗長トラヒックが発生することとなる。
また、第2の従来技術は、網の輻輳状態が深刻である場合、輻輳をより悪化させてしまうという別の問題点もあった。網の輻輳によってパケット廃棄率が高まると、これに応じて冗長度は高く変更される。このため、冗長化によってより多くのトラヒックが発生されることになり、網の輻輳がより深刻となってしまい、結果として実時間通信の品質が劣化してしまう。
【0015】
次に、第3の従来技術は、網内の各ノードに方式を実装する必要があるため、実装にかかるコストが大きくなるという問題点があった。仮に網内の特定のノードにのみ本技術を実装した場合、本技術を実装していないノードにおいて発生した品質劣化には対処することができない。
【0016】
また、第4の従来技術は、非実時間通信の帯域を制限するコストが大きいという問題点があった。本技術では、本技術を実装するノードを通過する全てのTCPトラヒックについて、各TCPセッションの状態を保持し、TCPセッションごとに帯域制御の処理を行う。そのため、たとえ扱う実時間通信のトラヒック量がわずかであったとしても、大量の実時間通信をセッションごとに制御する必要があるため、装置のコストが非常に高くなってしまう。
【0017】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、多大なコストを必要とすることなく、パケット化音声通信を安定して高音質化できる通信システム、通信装置、およびプログラムを提供することを目的としている。
【0018】
より具体的には、本発明の第1の目的は、網の急激な輻輳度の変化に対してもすばやく追従して冗長度を変化させることにより、少ない量の冗長パケットで高い実時間通信の品質を得ることである。
本発明の第2の目的は、網の輻輳が深刻である場合には、網の輻輳が軽減されるように輻輳度を変化させることにより、網の深刻な輻輳状態を回避し、実時間通信の品質劣化を軽減することである。
【0019】
本発明の第3の目的は、通信中継装置内での輻輳だけではなく網内の他の場所で発生した輻輳に対しても非実時間通信の帯域を制限することで、網内の全てのノードで非実時間通信の帯域を制限しなくても高い実時間通信の品質を得られるようし、システム全体のコストを低減することである。
本発明の第4の目的は、TCPセッションを区別せずに非実時間通信の帯域を制限することで、通信中継装置のコストを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
このような目的を達成するために、本発明にかかる通信システムは、実時間データのデータパケットを転送する転送経路のうちその一部または全部からなる所望区間の両端に設けられた2つの通信装置からなり、このうち所望区間の送信側に位置する送信側通信装置にデータパケットを送信する際に当該データパケットに対する冗長パケットを生成して送信する冗長パケット生成部を備え、所望区間の受信側に位置する受信側通信装置にデータパケットを受信する際に冗長パケットを受信して所望区間で廃棄されたデータパケットを当該冗長パケットで再現するパケット廃棄補償部を備え、これら送信側通信装置および受信側通信装置により所望区間で冗長性を有するパケット通信を行う通信システムであって、受信側通信装置は、所望区間を介して受信したデータパケットの受信状況に基づき網状態を計測する網状態計測部と、この網状態計測部で計測した網状態を示す網状態情報を送信側通信装置へ送信する網状態送信部とを備え、送信側通信装置は、受信側通信装置からの網状態情報を受信する網状態受信部と、網状態受信部で受信した網状態情報から得られる、所望区間の過去の網状態に基づく網状態推定値を用いてデータパケットに対する冗長度を決定する冗長度決定部とを備え、冗長パケット生成部は、冗長度に応じた割合でデータパケットに対する冗長パケットを生成して送信するようにしたものである。
【0021】
この際、網状態計測部で、網状態として所望区間を介して受信したデータパケットのパケット廃棄率と待ち行列遅延時間とを計測し、網状態送信部で、これらパケット廃棄率と待ち行列遅延時間との組を網状態情報として送信し、網状態特性記憶部で、網状態受信部からの網状態情報に含まれるパケット廃棄率と待ち行列遅延時間との組に基づき待ち行列遅延時間とパケット廃棄率との関係を示す網状態特性を導出して記憶し、廃棄率推定部で、網状態特性記憶部の網状態特性を参照して網状態受信部からの網状態情報に含まれる新たな待ち行列遅延時間から所望区間のパケット廃棄率を推定し、冗長度決定部で、廃棄率推定部で推定したパケット廃棄率に基づきデータパケットに対する冗長度を決定するようにしてもよい。
【0022】
さらに、送信側網状態計測部で、転送経路の一端に位置する送信端末からのデータパケットのパケット廃棄率と待ち行列遅延時間とを送信端末と当該送信側通信装置との間の送信側経路に関する送信側網状態として計測し、網状態受信部で、受信側通信装置から網状態情報により通知されたパケット廃棄率から送信側網状態計測部で計測したパケット廃棄率を減算することにより所望区間のパケット廃棄率を求めるとともに、受信側通信装置から網状態情報により通知された待ち行列遅延時間から送信側網状態計測部で計測した待ち行列遅延時間を減算することにより所望区間の待ち行列遅延時間を求め、得られた所望区間のパケット廃棄率および待ち行列遅延時間を網状態特性記憶部および廃棄率推定部へ出力するようにしてもよい。
【0023】
あるいは、網状態計測部で、網状態として所望区間を介して受信したデータパケットのパケット廃棄率と待ち行列遅延時間とを計測し、網状態特性記憶部で、網状態計測部で計測したパケット廃棄率と待ち行列遅延時間との組に基づき待ち行列遅延時間とパケット廃棄率との関係を示す網状態特性を導出して記憶し、廃棄率推定部で、網状態特性記憶部の網状態特性を参照して網状態計測部で計測した新たな待ち行列遅延時間から所望区間のパケット廃棄率を推定し、網状態送信部で、新たな待ち行列遅延時間とパケット廃棄率とを送信側通信装置へ送信し、冗長度決定部で、網状態受信部からの網状態情報に含まれる所望区間のパケット廃棄率に基づきデータパケットに対する冗長度を決定するようにしてもよい。
【0024】
さらに、送信側網状態計測部で、転送経路の一端に位置する送信端末からのデータパケットのパケット廃棄率と待ち行列遅延時間とを送信端末と当該送信側通信装置との間の送信側経路に関する送信側網状態として計測し、送信側網状態送信部で、この送信側網状態計測部で計測された送信側網状態を示す送信側網状態情報を受信側通信装置へ送信し、送信側網状態受信部で、送信側通信装置からの送信側網状態情報を受信し、網状態計測部で、網状態として計測したパケット廃棄率から送信側網状態受信部で受信した送信側網状態情報のパケット廃棄率を減算することにより所望区間のパケット廃棄率を求めるとともに、網状態として計測した待ち行列遅延時間から送信側網状態受信部で受信した送信側網状態情報の待ち行列遅延時間を減算することにより所望区間の待ち行列遅延時間を求め、得られた所望区間のパケット廃棄率および待ち行列遅延時間を網状態送信部へ出力するようにしてもよい。
【0025】
また、廃棄率推定部で、パケット廃棄率を推定する際、網状態特性記憶部に記憶されている網状態特性に基づき新たな待ち行列遅延時間を推定し、この新たな待ち行列遅延時間からパケット廃棄率を推定するようにしてもよい。
【0026】
あるいは、網状態特性記憶部で、網状態特性を導出する際、網状態計測部で計測されたパケット廃棄率とこのパケット廃棄率より所定時間前に網状態計測部で計測された待ち行列遅延時間との組に基づき網状態特性を導出するようにしてもよい。
【0027】
また、帯域算出部で、網状態受信部で受信した網状態情報に基づいて所望区間においてデータパケットを送信するのに最適な送信帯域幅を算出し、冗長度決定部で、網状態推定値から得られる冗長度と帯域算出部で算出した送信帯域幅に収まる冗長度とを比較し、いずれか小さい方の冗長度に基づき冗長度を決定するようにしてもよい。
【0028】
この際、帯域算出部で、所望区間を用いてTCP通信を行った場合に用いられる送信帯域幅の推定値に基づき算出するようにしてもよい。
【0029】
また、揺らぎ吸収バッファで、送信側通信装置から受信したデータパケットとパケット廃棄補償部で再現したデータパケットとを一旦蓄積し、これらデータパケットの送信間隔を調整して出力するようにしてもよい。
【0030】
また、送信先アドレス記録部で、所望区間を介して受信した各非実時間パケットの送信先アドレスを取得して記録し、網状態送信部で、送信先アドレス記録部で記録した送信先アドレスを送信側通信装置へ送信し、網状態受信部で、受信側通信装置から送信先アドレスを受信し、パケット選択廃棄部で、網状態受信部で受信した非実時間パケットの送信先アドレスに基づき、当該送信側通信装置から所望区間へ出力される非実時間パケットのうち送信先アドレスを持つ非実時間パケットを選択して廃棄するようにしてもよい。
【0031】
この際、網状態送信部で、網状態情報とともに送信先アドレス記録部で記録した送信先アドレスを送信側通信装置へ送信し、網状態受信部で、受信側通信装置から網状態情報とともに送信先アドレスを受信し、送信先別網状態記憶部で、網状態受信部で受信した網状態情報と送信先アドレスとを、その送信先アドレスに対応付けて当該網状態情報の示す網状態を記憶し、パケット選択廃棄部で、非実時間パケットを廃棄する際、送信先別網状態記憶部に記憶されている送信先アドレスを持つ非実時間パケットについて、当該送信先アドレスに対応付けられている網状態に応じた確率で廃棄するようにしてもよい。
【0032】
また、送信元アドレス記録部で、所望区間へ出力される各非実時間パケットの送信元アドレスを取得して記録し、送信側網状態送信部で、送信元アドレス記録部で記録した送信元アドレスを受信側通信装置へ送信し、送信側網状態受信部で、送信側通信装置からの送信元アドレスを受信し、パケット選択廃棄部で、この送信側網状態受信部で受信した送信元アドレスに基づき、所望区間を介して受信した非実時間パケットのうち送信元アドレスを持つ非実時間パケットを選択して廃棄するようにしてもよい。
【0033】
この際、送信側網状態計測で、転送経路の一端に位置する送信端末からのデータパケットの受信状況に基づき送信端末と当該送信側通信装置との間の送信側経路に関する送信側網状態を計測し送信側網状態情報として出力し、送信側網状態送信部で、送信側網状態情報とともに送信元アドレス記録部で記録した送信元アドレスを受信側通信装置へ送信し、送信側網状態受信部で、送信側通信装置から送信側網状態情報と送信元アドレスとを受信し、送信元別網状態記憶部で、送信側網状態受信部で受信した送信側網状態情報と送信元アドレスとを、その送信元アドレスに対応付けて当該送信側網状態情報の示す送信側網状態を記憶し、パケット選択廃棄部で、非実時間パケットを廃棄する際、送信元別網状態記憶部に記憶されている送信元アドレスを持つ非実時間パケットについて、当該送信元アドレスに対応付けられている網状態に応じた確率で廃棄するようにしてもよい。
【0034】
また、TCP受信部で、所望区間を経由して非実時間通信を行っているTCPセッションを所望区間の始点で終端し、TCP送信部で、このTCP受信部で終端したTCPセッションのパケットを、他のトラヒックに対して低優先となる輻輳制御を行う新たなTCPセッションへ載せ換えて所望区間へ出力するようにしてもよい。
【0035】
また、TCP受信部で、所望区間を経由して非実時間通信を行っているTCPセッションを所望区間の始点で終端するとともに、当該終端時に用いる受信バッファ量を制限し、TCP送信部で、このTCP受信部で終端したTCPセッションのパケットを新たなTCPセッションへと載せ換えて所望区間へ出力するようにしてもよい。
【0036】
また、TCP受信部で、所望区間を経由して非実時間通信を行っているTCPセッションを所望区間の終点で終端し、TCP送信部で、このTCP受信部で終端したTCPセッションのパケットを、他のトラヒックに対して低優先となる輻輳制御を行う新たなTCPセッションへと載せ換えて出力するようにしてもよい。
【0037】
また、TCP受信部で、所望区間を経由して非実時間通信を行っているTCPセッションを所望区間の終点で終端するとともに、当該終端時に用いる受信バッファ量を制限し、TCP送信部で、このTCP受信部で終端したTCPセッションのパケットを新たなTCPセッションへと載せ換えて出力するようにしてもよい。
【0038】
また、本発明にかかる通信装置は、実時間データのデータパケットを転送する転送経路のうちその一部または全部からなる所望区間の両端に設けられた2つの通信装置からなり、このうち所望区間の送信側に位置する送信側通信装置にデータパケットを送信する際に当該データパケットに対する冗長パケットを生成して送信する冗長パケット生成部を備え、所望区間の受信側に位置する受信側通信装置にデータパケットを受信する際に冗長パケットを受信して所望区間で廃棄されたデータパケットを当該冗長パケットで再現するパケット廃棄補償部を備え、これら送信側通信装置および受信側通信装置により所望区間で冗長性を有するパケット通信を行う通信システムで、送信側通信装置として用いられる通信装置であって、受信側通信装置で所望区間を介して受信したデータパケットの受信状況に基づき計測した所望区間の網状態を示す網状態情報を受信側通信装置から受信する網状態受信部と、この網状態受信部で受信した網状態情報で得られる、所望区間の過去の網状態に基づく網状態推定値を用いてデータパケットに対する冗長度を決定する冗長度決定部とを備え、冗長パケット生成部は、冗長度に応じた割合でデータパケットに対する冗長パケットを生成して送信するようにしたものである。
【0039】
この際、網状態特性記憶部で、網状態受信部からの網状態情報に含まれるパケット廃棄率と待ち行列遅延時間との組に基づき待ち行列遅延時間とパケット廃棄率との関係を示す網状態特性を導出して記憶し、廃棄率推定部で、網状態特性記憶部の網状態特性を参照して網状態受信部からの網状態情報に含まれる新たな待ち行列遅延時間から所望区間のパケット廃棄率を推定し、冗長度決定部で、廃棄率推定部で推定したパケット廃棄率に基づきデータパケットに対する冗長度を決定するようにしてもよい。
【0040】
また、廃棄率推定部で、パケット廃棄率を推定する際、網状態特性記憶部に記憶されている網状態特性に基づき新たな待ち行列遅延時間を推定し、この新たな待ち行列遅延時間からパケット廃棄率を推定するようにしてもよい。
【0041】
あるいは、網状態特性記憶部で、網状態特性を導出する際、受信側通信装置で計測されたパケット廃棄率とこのパケット廃棄率より所定時間前に受信側通信装置で計測された待ち行列遅延時間との組に基づき網状態特性を導出するようにしてもよい。
【0042】
また、帯域算出で、網状態受信部で受信した網状態情報に基づいて所望区間においてデータパケットを送信するのに最適な送信帯域幅を算出し、冗長度決定部で、網状態推定値から得られる冗長度と帯域算出部で算出した送信帯域幅に収まる冗長度とを比較し、いずれか小さい方の冗長度に基づき冗長度を決定するようにしてもよい。
【0043】
また、網状態受信部で、受信側通信装置により所望区間を介して受信した各非実時間パケットから取得した送信先アドレスを受信側通信装置から受信し、パケット選択廃棄部で、網状態受信部で受信した非実時間パケットの送信先アドレスに基づき、当該送信側通信装置から所望区間へ出力される非実時間パケットのうち送信先アドレスを持つ非実時間パケットを選択して廃棄するようにしてもよい。
【0044】
この際、網状態受信部で、網状態情報とともに送信先アドレスを受信側通信装置から受信し、送信先別網状態記憶部で、網状態受信部で受信した網状態情報と送信先アドレスとを、その送信先アドレスに対応付けて当該網状態情報の示す網状態を記憶し、パケット選択廃棄部で、非実時間パケットを廃棄する際、送信先別網状態記憶部に記憶されている送信先アドレスを持つ非実時間パケットについて、当該送信先アドレスに対応付けられている網状態情報に応じた確率で廃棄するようにしてもよい。
【0045】
また、TCP受信部で、所望区間を経由して非実時間通信を行っているTCPセッションを所望区間の始点で終端し、TCP送信部で、このTCP受信部で終端したTCPセッションのパケットを、他のトラヒックに対して低優先となる輻輳制御を行う新たなTCPセッションへ載せ換えて所望区間へ出力するようにしてもよい。
【0046】
また、TCP受信部で、所望区間を経由して非実時間通信を行っているTCPセッションを所望区間の始点で終端するとともに、当該終端時に用いる受信バッファ量を制限し、TCP送信部で、このTCP受信部で終端したTCPセッションのパケットを新たなTCPセッションへと載せ換えて所望区間へ出力するようにしてもよい。
【0047】
また、本発明にかかる他の通信装置は、実時間データのデータパケットを転送する転送経路のうちその一部または全部からなる所望区間の両端に設けられた2つの通信装置からなり、このうち所望区間の送信側に位置する送信側通信装置にデータパケットを送信する際に当該データパケットに対する冗長パケットを生成して送信する冗長パケット生成部を備え、所望区間の受信側に位置する受信側通信装置にデータパケットを受信する際に冗長パケットを受信して所望区間で廃棄されたデータパケットを当該冗長パケットで再現するパケット廃棄補償部を備え、これら送信側通信装置および受信側通信装置により所望区間で冗長性を有するパケット通信を行う通信システムで、受信側通信装置として用いられる通信装置であって、所望区間を介して受信したデータパケットの受信状況に基づき所望区間における網状態を計測する網状態計測部と、この網状態計測部で計測した網状態を示す網状態情報を、送信側通信装置で冗長パケットを生成する割合を示す冗長度を決定するための情報として送信側通信装置へ送信するようにしたものである。
【0048】
この際、網状態計測部で、網状態として所望区間を介して受信したデータパケットのパケット廃棄率と待ち行列遅延時間とを計測し、網状態特性記憶部で、網状態計測部で計測したパケット廃棄率と待ち行列遅延時間との組に基づき待ち行列遅延時間とパケット廃棄率との関係を示す網状態特性を導出して記憶し、廃棄率推定部で、網状態特性記憶部の網状態特性を参照して網状態計測部で計測した新たな待ち行列遅延時間から所望区間のパケット廃棄率を推定し、網状態送信部で、新たな待ち行列遅延時間とパケット廃棄率とを送信側通信装置へ送信するようにしてもよい。
【0049】
また、廃棄率推定部で、パケット廃棄率を推定する際、網状態特性記憶部に記憶されている網状態特性に基づき新たな待ち行列遅延時間を推定し、この新たな待ち行列遅延時間からパケット廃棄率を推定するようにしてもよい。
【0050】
あるいは、網状態特性記憶部で、網状態特性を導出する際、網状態計測部で計測されたパケット廃棄率とこのパケット廃棄率より所定時間前に網状態計測部で計測された待ち行列遅延時間との組に基づき網状態特性を導出するようにしてもよい。
【0051】
また、揺らぎ吸収バッファで、送信側通信装置から受信したデータパケットとパケット廃棄補償部で再現したデータパケットとを一旦蓄積し、これらデータパケットの送信間隔を調整して出力するようにしてもよい。
【0052】
また、送信側網状態受信部で、送信側通信装置で所望区間へ出力される各非実時間パケットから取得した送信元アドレスを送信側通信装置から受信し、パケット選択廃棄部で、この送信側網状態受信部で受信した送信元アドレスに基づき、所望区間を介して受信した非実時間パケットのうち送信元アドレスを持つ非実時間パケットを選択して廃棄するようにしてもよい。
【0053】
この際、送信側網状態受信部で、送信元アドレスとこの送信元アドレスを取得した時点での転送経路の一端に位置する送信端末と送信側通信装置との間の送信側経路の網状態を示す送信側網状態情報とを送信側通信装置から受信し、送信元別網状態記憶部で、送信側網状態受信部で受信した送信側網状態情報と送信元アドレスとを、その送信元アドレスに対応付けて当該送信側網状態情報の示す送信側網状態を記憶し、パケット選択廃棄部で、非実時間パケットを廃棄する際、送信元別網状態記憶部に記憶されている送信元アドレスを持つ非実時間パケットについて、当該送信元アドレスに対応付けられている網状態に応じた確率で廃棄するようにしてもよい。
【0054】
また、TCP受信部で、所望区間を経由して非実時間通信を行っているTCPセッションを所望区間の終点で終端し、TCP送信部で、このTCP受信部で終端したTCPセッションのパケットを、他のトラヒックに対して低優先となる輻輳制御を行う新たなTCPセッションへと載せ換えて出力するようにしてもよい。
【0055】
また、TCP受信部で、所望区間を経由して非実時間通信を行っているTCPセッションを所望区間の終点で終端するとともに、当該終端時に用いる受信バッファ量を制限し、TCP送信部で、このTCP受信部で終端したTCPセッションのパケットを新たなTCPセッションへと載せ換えて出力するようにしてもよい。
【0056】
また、本発明にかかるプログラムは、通信システムで送信側通信装置として用いられる通信装置のコンピュータに、受信側通信装置で所望区間を介して受信したデータパケットの受信状況に基づき計測した所望区間の網状態を示す網状態情報を受信側通信装置から受信する網状態受信ステップと、この網状態受信ステップで受信した網状態情報で得られる、所望区間の過去の網状態に基づく網状態推定値を用いてデータパケットに対する冗長度を決定する冗長度決定ステップと、冗長パケット生成部ステップとして、冗長度に応じた割合でデータパケットに対する冗長パケットを生成して送信するステップとを実行させるようにしたものである。
【0057】
また、本発明にかかる他のプログラムは、通信システムで受信側通信装置として用いられる通信装置のコンピュータに、所望区間を介して受信したデータパケットの受信状況に基づき所望区間における網状態を計測する網状態計測ステップと、この網状態計測ステップで計測した網状態を示す網状態情報を、送信側通信装置で冗長パケットを生成する割合を示す冗長度を決定するための情報として送信側通信装置へ送信する網状態送信ステップとを実行させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0058】
本発明によれば、受信側通信装置において、網状態計測部により、所望区間を介して受信したデータパケットの受信状況に基づき所望区間における網状態が計測され、網状態送信部により、この網状態計測部で計測した網状態を示す網状態情報が送信側通信装置へ送信され、送信側通信装置において、網状態受信部により、受信側通信装置からの網状態情報が受信され、冗長度決定部により、網状態受信部で受信した網状態情報から得られる、所望区間の過去の網状態に基づく網状態推定値を用いてデータパケットに対する冗長度が決定され、冗長パケット生成部により、冗長度決定部で決定された冗長度に応じた割合でデータパケットに対する冗長パケットが生成されて送信される。
これにより、実時間データのデータパケットに対して所望区間の網状態に応じた適切な冗長化を行うことができる。したがって、多大なコストを必要とすることなく、パケット化音声通信を安定して高音質化できる。
【0059】
本発明のより具体的な効果としては、第1に、網の急激な輻輳度の変化に対してもすばやく追従して冗長度を変化させることができ、少ない量の冗長パケットで高い実時間通信の品質を得ることができる。
第2に、網の輻輳が深刻である場合には、網の輻輳が軽減されるように輻輳度を変化させることができ、網の深刻な輻輳状態を回避し、実時間通信の品質劣化を軽減することができる。
【0060】
第3に、該装置内での輻輳だけではなく網内の他の場所で発生した輻輳に対しても非実時間通信の帯域を制限することができ、網内の全てのノードで非実時間通信の帯域を制限しなくても高い実時間通信の品質を得られるようにでき、システム全体のコストを低減することができる。
第4に、TCPセッションを区別せずに非実時間通信の帯域を制限することができ、通信中継装置のコストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる通信システムについて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる通信システムで用いられる送信端末および受信端末の構成を示すブロック図である。
この通信システムは、実時間データのデータパケットを転送する転送経路の全部からなる所望区間30の両端に設けられた2つの通信装置すなわち送信端末(送信側通信装置)10および受信端末(受信側通信装置)20から構成されている。
【0062】
本実施の形態にかかる通信システムは、受信端末20で、所望区間30における網状態を計測して送信端末10へ送信し、送信端末10で、受信端末20から通知された所望区間30の網状態に基づきデータパケットに対する冗長度を決定し、この冗長度に応じた割合でデータパケットに対する冗長パケットを生成し所望区間30へ出力するようにしたものである。
【0063】
送信端末10は、全体してコンピュータにより各種ハードウェアを制御することにより実時間データのデータパケットを送信する送信側通信装置からなり、実時間データ送信部1A、冗長パケット生成部1B、網状態受信部1C、網状態特性記憶部1D、廃棄率推定部1E、および冗長度決定部1Fが設けられている。これら各機能部は、CPUなどのマイクロプロセッサ(図示せず)で記憶部(図示せず)からプログラムを読み込んで実行することにより、ハードウェアとプログラムとを協働させて実現されるが、それぞれ回路で構成してもよい。
【0064】
実時間データ送信部1Aは、受信端末20へ送信する符号化した所望の実時間データをパケット化して所望区間30へ出力する機能を有している。冗長パケット生成部1Bは、実時間データ送信部1Aから出力されたデータパケット列に対して冗長度決定部1Fから指示された冗長度に応じた割合で冗長パケットを作成し所望区間30へ出力する機能を有している。網状態受信部1Cは、受信端末20から通知された所望区間30の網状態を示す網状態情報を受信する機能を有している。
【0065】
網状態特性記憶部1Dは、網状態受信部1Cで受信した網状態情報に含まれているパケット廃棄率と待ち行列遅延時間との組に基づき待ち行列遅延時間とパケット廃棄率との関係を示す網状態特性を導出して記憶する機能を有している。廃棄率推定部1Eは、網状態特性記憶部1D内の過去の網状態特性に基づき現在の新たな待ち行列遅延時間から所望区間30のパケット廃棄率を推定する機能を有している。冗長度決定部1Fは、廃棄率推定部1Eで推定した所望区間30のパケット廃棄率に基づきデータパケットに対する冗長度を決定する機能を有している。
【0066】
受信端末20は、全体してコンピュータにより各種ハードウェアを制御することにより実時間データのデータパケットを受信する受信側通信装置からなり、パケット廃棄補償部2A、実時間データ受信部2B、網状態計測部2C、および網状態送信部2Dが設けられている。これら各機能部は、CPUなどのマイクロプロセッサ(図示せず)で記憶部(図示せず)からプログラムを読み込んで実行することにより、ハードウェアとプログラムとを協働させて実現されるが、それぞれ回路で構成してもよい。
【0067】
パケット廃棄補償部2Aは、所望区間30を介して送信端末10から受信したデータパケット列および冗長パケットを受信してこれらをもとに廃棄されたデータパケットを再現する機能を有している。実時間データ受信部2Bは、受信したデータパケットから実時間データを復号する機能を有している。網状態計測部2Cは、受信したデータパケットをもとに所望区間30における現在の網状態を計測する機能を有している。網状態送信部2Dは、網状態計測部2Cで計測した網状態を示す網状態情報をパケット化して送信端末10へ送信する脳を有している。
【0068】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる通信システムの動作のうち、送信端末10と受信端末20との間で実時間データのデータパケットを冗長化して通信する動作について説明する。
まず、送信端末10では、実時間データ送信部1Aにおいて、実時間データを符号化した後、パケット化して出力する。この際、各データパケットには生成された順番の番号と、生成された時刻が記されており、ネットワーク内でデータパケットの順序が入れ替わった場合でも、元の順序への並べ替えが可能である。
【0069】
次に、冗長パケット生成部1Bでは、冗長度決定部1Fより通知される冗長度の割合に応じて、実時間データ送信部1Aから出力されたデータパケット列に対して冗長パケットを生成し、これらのデータパケットを受信端末20に宛てて所望区間30へ出力する。
冗長化に際して、送信端末10は、元データパケットM個(Mは正整数)に対してN個の割合で冗長パケットを付加し、M+N個のデータパケットを出力する。この際、必ずしもM個の元データパケットの内容を変更する必要はなく、これらデータパケットから生成したN個の冗長パケットを元データパケットに加えて出力するだけでよい。また、冗長パケット内に、どのデータパケットに対する冗長パケットであるかという情報、すなわちM個の元データパケットのそれぞれの順序番号を記しておけば、冗長度を明示的に通知しなくても、受信端末20において廃棄されたパケットの補償処理を容易に行うことができる。以上で述べた冗長化処理に関しては、公知の技術を用いればよい(例えば、非特許文献1など参照)。
【0070】
一方、受信端末20では、パケット廃棄補償部2Aにおいて、廃棄されたパケットの補償処理を行う。パケット廃棄補償部2Aでは、受信したデータパケット列に対してこれらのデータパケットの順序番号を検査することで、廃棄されたデータパケットを特定することができる。廃棄されたデータパケットが特定されれば、このデータパケットに関わる冗長パケットと、さらにこの冗長パケットに関わる全ての元データパケットから、廃棄されたパケットを再現することができる。この際、送信されたM個の元パケットとN個の冗長パケットを合わせたM+N個のパケットのうち、M個以上のパケットを受信することができれば、元のM個のパケット列を再現することができる。この際、M個以上のデータパケットを受信できていれば、その内訳が元データパケットであっても冗長パケットであっても構わない。最後に、実時間データ受信部2Bは、受信した元データパケットおよび再現された廃棄パケットを元に、元の実時間データを復号する。
【0071】
次に、本発明の第1の実施の形態にかかる通信システムの動作として、冗長度を動的に変化させる動作について説明する。
まず、受信端末20では、網状態計測部2Cにおいて、所望区間30を介して受信したデータパケットをもとに現在の網状態の計測を行う。具体的には、受信したデータパケットに記されている生成時刻とこのデータパケットを受信した受信時刻との差分より、所望区間30での遅延時間を計測する。ただし、送信端末10での時刻情報と受信端末20での時刻情報とは必ずしも同期しておらず、上記計算で得られた時刻差分の絶対値は必ずしも所望区間30での遅延時間の絶対値を示すものではない。そのため、ここでは過去に計測した時刻差分の最小値を基準とし、これと現在計測した時刻差分との差分を、現在の所望区間30での待ち行列遅延時間、すなわち所望区間30での遅延時間から伝播遅延を引いたものであると推定する。この待ち行列遅延時間は、現在の所望区間30での輻輳度の指標とすることができる。
【0072】
また、網状態計測部2Cでは、受信したデータパケットの順序番号を検査することで廃棄されたデータパケットの数と、正常に受信できたデータパケットの数を計測する。そして、網状態送信部2Dは、計測した待ち行列遅延時間および前回の網状態情報の通知以降に正常に受信したデータパケット数と廃棄パケット数を含む情報をパケット化し、網状態情報として送信端末10へ送信する。
【0073】
この際、受信端末20から送信端末10への網状態情報の通知パケットに関する送信間隔は任意であるが、少なくとも所望区間30の輻輳状態の変化を反映できる程度の細粒度で通知する必要がある。1つの理想的な送信間隔の目安は、送信端末10と受信端末20との間の往復遅延時間相当である。この送信間隔を実現する1つの方式は、送信端末10より要求パケットを送信し、この要求パケットに対応して網状態通知パケットを受信端末20が返送し、この網状態通知パケットを受信した際に送信端末10が再び要求パケットを送信すればよい。また、要求パケットではなく、冗長パケットや元データパケット内に要求ビットを設けてもよい。
【0074】
送信端末10では、網状態受信部1Cにより、受信端末20からの網状態情報の通知パケットを受信し、その通知パケットから、現在の所望区間30における送信端末10から受信端末20への待ち行列遅延時間、および前回の通知以降に正常に受信したデータパケット数と廃棄パケット数などの情報を得る。
網状態特性記憶部1Dでは、過去に受信した通知パケットに含まれていた網状態情報により、網状態とパケット廃棄率との関係を推定し記憶する。具体的には、特定の待ち行列遅延時間に対して、正常に受信したパケット数と廃棄されたパケット数の組の対応関係を網状態特性として記憶する。
【0075】
これにより、新たな待ち行列遅延時間を与えると、過去に、この待ち行列遅延時間の時に経験したパケット廃棄の確率すなわちパケット廃棄率が推定できる。なお、与えられた新たな待ち行列遅延時間に対する過去の情報がない場合には、新たな待ち行列遅延時間より大きな待ち行列時間に対する過去の情報を用いればよい。
あるいは、網状態特性記憶部1Dで、例えば過去に受信端末20から通知された網状態情報に基づき、新たな待ち行列遅延時間を与えると、これに対するパケット廃棄率の予測値を与える関数を保持するようにしてもよい。この際、この関数で使用する係数は過去受信した通知パケットの網状態情報により適宜更新すればよい。
【0076】
廃棄率推定部1Eでは、網状態受信部1Cより通知される新たな待ち行列遅延時間を元に、網状態特性記憶部1Dを参照し、所望区間30における現在の網状態推定値としてパケット廃棄率を推定する。そして、冗長度決定部1Fでは、推定した現在のパケット廃棄率を基にして、目標とする廃棄率を達成するための冗長度を決定し、これを冗長パケット生成部1Bに通知する。
したがって、冗長パケット生成部1Bは、所望区間30における現在の網状態に応じて、過去の経験値から必要最低限の適切な割合でデータパケットに対する冗長パケットを生成し、所望区間30へ出力する。
【0077】
このように、本実施の形態では、受信端末(受信側通信装置)20において、網状態計測部2Cにより、所望区間30を介して受信したデータパケットの受信状況に基づき所望区間30における網状態を計測し、網状態送信部2Dにより、この網状態計測部2Cで計測した網状態を示す網状態情報を送信側通信装置へ送信し、送信端末(送信側通信装置)10において、網状態受信部1Cにより、受信端末20からの網状態情報を受信し、冗長度決定部1Fにより、網状態受信部1Cで受信した網状態情報から得られる、所望区間30の過去の網状態に基づく網状態推定値を用いてデータパケットに対する冗長度を決定し、冗長パケット生成部1Bにより、冗長度決定部1Fで決定された冗長度に応じた割合でデータパケットに対する冗長パケットを生成して送信するようにしたので、実時間データのデータパケットに対して所望区間30の網状態に応じた適切な冗長化を行うことができる。
【0078】
網状態通知パケットの受信間隔は、前述したように、所望区間での輻輳状態の変化を反映できる程度の細粒度となる。したがって、この受信間隔内で送受信するデータパケット数は少なく、このデータパケット数では統計的に意味のある廃棄率を得ることはできない。そのため、通知パケットから得られるパケット廃棄率を元に、直接、冗長度を決定することはできない。一方、多くのデータパケットより統計的に意味のある廃棄率を得たとすれば、前述した従来技術の問題点で述べたとおり、この廃棄率を得るまでに時間がかかり、所望区間における現在の輻輳度を適切に反映した廃棄率を得ることができない。
【0079】
本実施の形態では、所望区間の過去の網状態から現在の網状態を推定しているため、現在の輻輳状態を適切に反映し、かつ統計的に意味のある廃棄率を迅速に推定できる。したがって、このような正確なパケット廃棄率から冗長度を決定することにより、所望区間の輻輳度に対して適切かつ迅速に冗長度を変化させることができ、必要最低限の冗長パケット数で高品質な実時間通信を行うことができる。
また、本実施の形態は、所望区間の両端に位置する通信装置としての送信端末および受信端末に、前述した構成を実装するだけで実現できる。これにより、多大なコストを必要とすることなく、パケット化音声通信を安定して高音質化できる。
【0080】
[第2の実施の形態]
次に、図2および図3を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる通信システムについて説明する。図2は、本発明の第2の実施の形態にかかる通信システムで用いられる送信端末および送信側中継装置(送信側通信装置)の構成を示すブロック図である。図3は、本発明の第2の実施の形態にかかる通信システムで用いられる受信端末および受信側中継装置(受信側通信装置)の構成を示すブロック図である。なお、図2および図3において、前述した図1と同じまた同等部分には同一符号を付してある。
【0081】
前述した第1の実施の形態では、通信システムが、実時間データのデータパケットを転送する転送経路の全部からなる所望区間30の両端に設けられた2つの通信装置すなわち送信端末(送信側通信装置)10および受信端末(受信側通信装置)20で構成されている場合について説明した。
本実施の形態では、通信システムが、実時間データのデータパケットを転送する転送経路の一部からなる所望区間30の両端に設けられた2つの通信装置すなわち送信側中継装置(送信側通信装置)11および受信側中継装置(受信側通信装置)21と、転送経路の両端に設けられた送信端末12および受信端末22とで構成されている場合について説明する。
【0082】
まず、図2を参照して、送信端末12および送信側中継装置11について説明する。
送信端末12は、全体してコンピュータで各種ハードウェアを制御することにより実時間データのデータパケットを送信する通信装置からなり、実時間データ送信部1Aが設けられている。送信側中継装置11とは、送信側経路31を介して接続されている。
【0083】
また、送信側中継装置11は、全体してコンピュータにより各種ハードウェアを制御することにより実時間データのデータパケットを送信する送信側通信装置からなり、図1の冗長パケット生成部1B、網状態受信部1C、網状態特性記憶部1D、廃棄率推定部1E、および冗長度決定部1Fに加え、送信側網状態計測部1Gおよび帯域算出部1Hが設けられている。これら各機能部は、CPUなどのマイクロプロセッサ(図示せず)で記憶部(図示せず)からプログラムを読み込んで実行することにより、ハードウェアとプログラムとを協働させて実現されるが、それぞれ回路で構成してもよい。
【0084】
送信側網状態計測部1Gは、送信端末12から送信側中継装置11までの間の網状態を計測する機能を有している。帯域算出部1Hは、現在の網状態から適切な送信帯域を算出する機能を有している。なお、他の機能部については、前述とほぼ同様であり、ここでの説明は省略する。
【0085】
次に、図3を参照して、受信端末22および受信側中継装置21について説明する。
受信端末22は、全体してコンピュータにより各種ハードウェアを制御することにより実時間データのデータパケットを受信する通信装置からなり、実時間データ受信部2Bが設けられている。受信側中継装置21とは、受信側経路32を介して接続されている。
また、受信側中継装置21は、全体してコンピュータにより各種ハードウェアを制御することにより実時間データのデータパケットを受信する受信側通信装置からなり、図1のパケット廃棄補償部2A、実時間データ受信部2B、網状態計測部2C、および網状態送信部2Dが設けられている。なお、これら機能部については、前述と同様であり、ここでの説明は省略する。
【0086】
[第2の実施の形態の動作]
次に、図2および図3を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる通信システムの動作のうち、送信側中継装置11と受信側中継装置21との間で実時間データのデータパケットを冗長化して通信する動作について説明する。
まず、送信端末12では、実時間データ送信部1Aにおいて、実時間データを符号化した後、パケット化して出力する。この際、各データパケットには生成された順番の番号と、生成された時刻が記されており、ネットワーク内でデータパケットの順序が入れ替わった場合でも、元の順序への並べ替えが可能である。
【0087】
次に、送信側中継装置11は、送信端末12から出力されたデータパケットを受信する。そして、冗長パケット生成部1Bにおいて、冗長度決定部1Fより通知される冗長度に応じて、受信した元データパケットに対する冗長パケットを生成し、これらのデータパケットを受信端末22に宛てて所望区間30へ出力する。
【0088】
一方、受信側中継装置21は、送信端末12から出力されたデータパケット、および送信側中継装置11から出力された冗長パケットを受信する。そして、パケット廃棄補償部2Aにおいて、廃棄されたデータパケットの補償処理を行う。パケット廃棄補償部2Aでは、受信したデータパケット列に対してこれらのデータパケットの順序番号を検査することで、廃棄されたデータパケットを特定することができる。廃棄されたデータパケットが特定されれば、このデータパケットに関わる冗長パケットと、さらにこの冗長パケットに関わる全ての元データパケットから、廃棄されたパケットを再現することができる。
【0089】
そして、受信側中継装置21は、受信したデータパケットおよび再現されたデータパケットを受信端末22に宛てて出力する。
受信端末22では、受信側中継装置21から出力されたパケットを受信する。そして、実時間データ受信部2Bにおいて、受信した元データパケットおよび再現された廃棄パケットを元に、元の実時間データを復号する。
【0090】
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる通信システムの動作として、冗長度を動的に変化させる動作について説明する。
まず、受信側中継装置21では、網状態計測部2Cにおいて、所望区間30を介して受信したデータパケットをもとに現在の網状態の計測を行う。なお、ここで計測される網状態は、送信端末12と送信側中継装置11との間の送信側経路31および所望区間30の状態である。計測する網状態に関しては、第1の実施の形態での網状態計測部2Cの場合と同様であり、ここでは説明は省略する。網状態送信部2Dは、計測した網状態をパケット化し、送信側中継装置11へと送信する。受信側中継装置21から送信側中継装置11への網状態の通知パケットの送信間隔は、第1の実施の形態と同様に任意である。
【0091】
送信側中継装置11では、網状態受信部1Cで、受信側中継装置21からの網状態の通知パケットを受信する。また同時に、送信側網状態計測部1Gにおいて、送信端末12と送信側中継装置11との間の送信側経路31の網状態、すなわちこの間の待ち行列遅延時間と廃棄パケット数を計測する。網状態受信部1Cでは、これらの網状態情報を用い、網状態通知パケットで通知された待ち行列遅延時間から送信側網状態計測部1Gで計測した待ち行列遅延時間を減算することで、現在の送信側中継装置11から受信側中継装置21への待ち行列遅延時間を求める。そして、網状態受信部1Cで、受信側中継装置21から通知された廃棄パケット数から送信側網状態計測部1Gで計測した廃棄パケット数を減算することで、現在の送信側中継装置11と受信側中継装置21との間の所望区間30の廃棄パケット数を求める。
【0092】
網状態特性記憶部1Dでは、網状態受信部1Cからの網状態情報により、所望区間30での、網状態とパケット廃棄率との関係を推定し記憶する。廃棄率推定部1Eでは、網状態受信部1Cより通知される所望区間30の現在の待ち行列遅延時間を元に、網状態特性記憶部1Dを参照し、現在のパケット廃棄率を推定する。
次に、帯域算出部1Hでは、網状態受信部1Cより通知される現在の廃棄率情報と、送信側中継装置11と受信側中継装置21との往復遅延時間を元に、適切な送信帯域を算出する。なお、往復遅延時間は、予め設定しておいてもよいし、第1の実施の形態と同様に要求パケットを送信することで計測してもよい。
【0093】
廃棄率と往復遅延時間から適切な帯域を算出する方式としては、公知の方式を用いればよく、同じ経路においてTCP(Transmission Control Protocol)を用いて通信する場合と同程度の帯域を算出することができる。また、冗長パケットを含めた送信帯域と廃棄率とを元に、冗長パケットを含めた受信帯域を推定し、これに一定の帯域を加えて算出してもよい。ここで加える帯域は、例えば、往復伝播遅延時間に一定個数のパケット分のバイト数を乗じたものを使用してもよい。
【0094】
冗長度決定部1Fでは、廃棄率推定部1Eで推定した現在の廃棄率を基にして、目標とする廃棄率を達成するための冗長度を決定し、また、冗長パケットと元データパケットを合計した帯域が、帯域算出部1Hで算出した最適帯域内に収まる冗長度を決定し、これらのうち小さい方を冗長度として決定し、これを冗長パケット生成部1Bに通知する。また、冗長度決定部1Fでは、送信側網状態計測部1Gにおいてパケット廃棄を検出した際、このパケットの前後のパケットの冗長度を特に高めてもよい。これは、複数のパケットが連続して廃棄された場合の、実時間通信の品質の劣化を防ぐ措置である。
【0095】
このように、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態にかかる通信システムの送信端末10および受信端末20の主な構成を、送信側中継装置11および受信側中継装置21に設けて、実時間通信に関わるパケットの冗長化を最適に行うようにしたので、第1の実施の形態と同様に、必要最低限の冗長パケット数で高品質な実時間通信を行うことができる。
また、本実施の形態では、送信側中継装置ならびに受信側中継装置を用いることにより、送信端末および受信端末を変更することなく冗長化通信を行うことができる。特に、送信端末および受信端末が多い場合、送信側中継装置および受信側中継装置がそれぞれ1台で冗長化通信を行うことが可能となり、より低いコストで冗長化通信が導入可能となる。
【0096】
また、本実施の形態では、所望区間30の網状態を求める際、送信側中継装置11により、送信側経路31の網状態を計測し、受信側中継装置21から通知された網状態と送信側経路31の網状態とから所望区間30の網状態を求めるようにしたので、送信側中継装置11と送信端末12との間の送信側経路31における網状態が、データパケットに無視できない影響を与える場合でも、送信側中継装置11での冗長度決定に必要な所望区間30の網状態を正確に求めることができる。この際、送信側経路31における網状態がデータパケットにほとんど影響を与えない場合、あるいは送信側経路31が存在しない場合、送信側経路31における網状態を考慮せずに所望区間30の網状態を算出すればよい。
【0097】
また、帯域算出部1Hにより、網状態受信部1Cより通知される現在の廃棄率情報と、送信側中継装置11と受信側中継装置21との往復遅延時間を元に、適切な送信帯域を算出し、冗長度決定部1Fにより、廃棄率推定部1Eで推定した現在の廃棄率と、帯域算出部1Hで算出した送信帯域幅とに基づき冗長度として決定するようにしたので、複数のパケットが連続して廃棄された場合に、実時間通信の品質の劣化を防ぐことができる。
【0098】
[第3の実施の形態]
次に、図4および図5を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる通信システムについて説明する。図4は、本発明の第3の実施の形態にかかる通信システムで用いられる送信端末および送信側中継装置(送信側通信装置)の構成を示すブロック図である。図5は、本発明の第3の実施の形態にかかる通信システムで用いられる受信端末および受信側中継装置(受信側通信装置)の構成を示すブロック図である。なお、図4および図5において、前述した各図と同じまた同等部分には同一符号を付してある。
【0099】
前述した第2の実施の形態では、送信側中継装置11により、送信側経路31の網状態を計測し、受信側中継装置21から通知された網状態と送信側経路31の網状態とから所望区間30の網状態を求める場合について説明した。
本実施の形態では、送信側中継装置11により、送信側経路31の網状態を計測して受信側中継装置21へ通知し、受信側中継装置21で計測された網状態と送信側経路31の網状態とから所望区間30の網状態を求める場合について説明する。
【0100】
まず、図4を参照して、送信側中継装置11について説明する。
送信側中継装置11は、全体してコンピュータにより各種ハードウェアを制御することにより実時間データのデータパケットを送信する送信側通信装置からなり、図2の冗長パケット生成部1B、網状態受信部1C、網状態特性記憶部1D、廃棄率推定部1E、冗長度決定部1F、送信側網状態計測部1G、および帯域算出部1Hに加え、送信側網状態送信部1Iが設けられている。これら各機能部は、CPUなどのマイクロプロセッサ(図示せず)で記憶部(図示せず)からプログラムを読み込んで実行することにより、ハードウェアとプログラムとを協働させて実現されるが、それぞれ回路で構成してもよい。
【0101】
送信側網状態送信部1Iは、送信側網状態計測部1Gで計測した送信側経路31の送信側網状態を送信側網状態情報としてパケット化して受信側通計装置へと出力する機能を有している。なお、他の機能部および送信端末12については、前述とほぼ同様であり、ここでの説明は省略する。
【0102】
次に、図5を参照して、受信側中継装置21について説明する。
受信側中継装置21は、全体してコンピュータにより各種ハードウェアを制御することにより実時間データのデータパケットを受信する受信側通信装置からなり、図3のパケット廃棄補償部2A、実時間データ受信部2B、網状態計測部2C、および網状態送信部2Dに加え、送信側網状態受信部2Eが設けられている。これら各機能部は、CPUなどのマイクロプロセッサ(図示せず)で記憶部(図示せず)からプログラムを読み込んで実行することにより、ハードウェアとプログラムとを協働させて実現されるが、それぞれ回路で構成してもよい。
【0103】
送信側網状態受信部2Eは、送信側中継装置11から送信された送信側網状態を受信する機能を有している。なお、他の機能部および受信端末22については、前述と同様であり、ここでの説明は省略する。
【0104】
[第3の実施の形態の動作]
次に、図4および図5を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる通信システムの動作について説明する。なお、本実施の形態にかかる通信システムの動作は、前述した第2の実施の形態とほぼ同様であり、所望区間30における網状態の計測方式が異なるのみであるため、ここではこの方式についてのみ説明を行う。
【0105】
送信側中継装置11では、送信側網状態計測部1Gにおいて、送信端末12と送信側中継装置11との間の送信側経路31の送信側網状態、すなわちこの間の待ち行列遅延時間と廃棄パケット数を計測する。そして、送信側網状態送信部1Iにおいて、計測した網状態を送信側網状態情報としてパケット化し、受信側中継装置21へと送信する。
受信側中継装置21では、送信側網状態受信部2Eにおいて送信側網状態情報を受信する。網状態計測部2Cでは、所望区間30を介して受信したデータパケットをもとに現在の網状態の計測を行う。なお、ここで計測される網状態は、送信端末12と受信側中継装置21との間の送信側経路31および所望区間30の網状態である。
【0106】
網状態計測部2Cでは、これら2つの網状態を元に、送信側中継装置11と受信側中継装置21との間の所望区間30の網状態を算出する。この算出については、第2の実施の形態における算出方法と同様である。網状態送信部2Dでは、算出された所望区間30のの網状態をパケット化し、網状態情報として送信側中継装置11へと通知する。
送信側中継装置11は、受信側中継装置21からの網状態通知パケットを受信する。ここで受信する網状態は所望区間30の網状態であり、この網状態が網状態特性記憶部1D、廃棄率推定部1E、および帯域算出部1Hに通知される。以降の動作は第2の実施の形態と同様である。
【0107】
このように、本実施の形態は、所望区間30の網状態を求める方法が異なるものの、第2の実施の形態と同様の作用効果が得られる。
なお、本実施の形態においては、第1および第2の実施の形態の場合と同様に要求パケットを用いて往復遅延時間を求めてもよいが、要求パケットではなく送信側網状態を通知するパケットを用いて往復伝播遅延時間を求めてもよい。
【0108】
[第4の実施の形態]
次に、図6および図7を参照して、本発明の第4の実施の形態にかかる通信システムについて説明する。図6は、本発明の第4の実施の形態にかかる通信システムで用いられる送信端末および送信側中継装置(送信側通信装置)の構成を示すブロック図である。図7は、本発明の第4の実施の形態にかかる通信システムで用いられる受信端末および受信側中継装置(受信側通信装置)の構成を示すブロック図である。なお、図6および図7において、前述した各図と同じまた同等部分には同一符号を付してある。
【0109】
前述した第1〜第3の実施の形態では、送信側中継装置11により、所望区間30のパケット廃棄率を算出する場合について説明した。本実施の形態では、受信側中継装置21により、所望区間30のパケット廃棄率を算出する場合について説明する。
【0110】
まず、図6を参照して、送信側中継装置11について説明する。
送信側中継装置11は、前述の図4と比較して、網状態特性記憶部1Dと廃棄率推定部1Eが省かれている。なお、他の機能部および送信端末12については、前述とほぼ同様であり、ここでの説明は省略する。
【0111】
次に、図7を参照して、受信側中継装置21について説明する。
受信側中継装置21は、全体してコンピュータにより各種ハードウェアを制御することにより実時間データのデータパケットを受信する受信側通信装置からなり、図5のパケット廃棄補償部2A、実時間データ受信部2B、網状態計測部2C、網状態送信部2D、および送信側網状態受信部2Eに加え、網状態特性記憶部2Fと廃棄率推定部2Gが設けられている。これら各機能部は、CPUなどのマイクロプロセッサ(図示せず)で記憶部(図示せず)からプログラムを読み込んで実行することにより、ハードウェアとプログラムとを協働させて実現されるが、それぞれ回路で構成してもよい。
【0112】
網状態特性記憶部2Fは、網状態計測部2Cで網状態として計測されたパケット廃棄率と待ち行列遅延時間とを網状態特性として記憶する機能を有している。廃棄率推定部2Gは、網状態特性記憶部2F内の網状態特性を用いて現在の網状態からパケット廃棄率を推定する機能を有している。なお、他の機能部および受信端末22については、前述と同様であり、ここでの説明は省略する。
【0113】
[第4の実施の形態の動作]
次に、図6および図7を参照して、本発明の第4の実施の形態にかかる通信システムの動作について説明する。なお、本実施の形態にかかる通信システムの動作は、前述した第2の実施の形態とほぼ同様であり、冗長度の算出に用いるパケット廃棄率を送信側中継装置11ではなく受信側中継装置21で推定する点が異なるのみであるため、ここではこの点についてのみ説明を行う。
【0114】
受信側中継装置21では、網状態計測部2Cにおいて、所望区間30の現在の網状態の計測を行う。網状態特性記憶部2Fでは、計測した網状態とパケット廃棄率との関係を推定し記憶する。具体的には、特定の待ち行列遅延時間に対して、正常に受信したパケット数と廃棄されたパケット数の組の対応関係を網状態特性として記憶する。これにより、特定の待ち行列遅延時間を与えると、過去この待ち行列遅延時間の時に経験したパケット廃棄の確率が推定できる。廃棄率推定部2Gでは、計測した現在の待ち行列遅延時間を元に、網状態特性記憶部2Fを参照し、現在のパケット廃棄率を推定する。そして、網状態送信部2Dでは、計測した網状態と推定したパケット廃棄率をパケット化し、送信側中継装置11へと通知する。
【0115】
送信側中継装置11は、受信側中継装置21からの網状態通知パケットを受信する。ここで受信した網状態を帯域算出部1Hに通知し、受信した推定廃棄率を冗長度決定部1Fに通知する。以降の動作は第2の実施の形態と同様である。
【0116】
このように、本実施の形態は、パケット廃棄率の推定方法が異なるものの、第2および第3の実施の形態と同様の作用効果が得られる。
【0117】
[第5の実施の形態]
次に、図8および図9を参照して、本発明の第5の実施の形態にかかる通信システムについて説明する。図8は、本発明の第5の実施の形態にかかる通信システムで用いられる送信端末および送信側中継装置(送信側通信装置)の構成を示すブロック図である。図9は、本発明の第5の実施の形態にかかる通信システムで用いられる受信端末および受信側中継装置(受信側通信装置)の構成を示すブロック図である。なお、図8および図9において、前述した各図と同じまた同等部分には同一符号を付してある。
【0118】
本実施の形態は、第2の実施の形態と比較して、受信側中継装置21に揺らぎ吸収バッファ2Hを設けた点が異なる。
揺らぎ吸収バッファ2Hは、パケット廃棄補償部2Aから出力されたデータパケットおよび補償されたデータパケットの送信間隔を調整して出力する機能を有している。この機能部は、CPUなどのマイクロプロセッサ(図示せず)で記憶部(図示せず)からプログラムを読み込んで実行することにより、ハードウェアとプログラムとを協働させて実現されるが、それぞれ回路で構成してもよい。なお、他の機能部、受信端末22、送信端末12、および送信側中継装置11については、前述とほぼ同様であり、ここでの説明は省略する。
【0119】
[第5の実施の形態の動作]
次に、図8および図9を参照して、本発明の第5の実施の形態にかかる通信システムの動作について説明する。
受信側中継装置21では、パケット廃棄補償部2Aにおいて、廃棄されたパケットの補償処理を行った後、一旦全てのパケットを揺らぎ吸収バッファ2Hに格納する。揺らぎ吸収バッファ2Hでは、パケットの長期的な受信帯域を測定し、この帯域にしたがってバッファ内からパケットを取り出し、送信間隔を調整して受信端末22へと出力する。
【0120】
このように、本実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様の作用効果が得られるとともに、揺らぎ吸収バッファによって受信端末に到着するパケットの到着時間の変動を抑えることができ、さらなる品質の向上が期待できる。
【0121】
[第6の実施の形態]
次に、図10および図11を参照して、本発明の第6の実施の形態にかかる通信システムについて説明する。図10は、本発明の第6の実施の形態にかかる通信システムで用いられる送信端末および送信側中継装置(送信側通信装置)の構成を示すブロック図である。図11は、本発明の第6の実施の形態にかかる通信システムで用いられる受信端末および受信側中継装置(受信側通信装置)の構成を示すブロック図である。なお、図10および図11において、前述した各図と同じまた同等部分には同一符号を付してある。
【0122】
本実施の形態では、第2の実施の形態に加えて、実時間通信の品質を向上させるために非実時間通信のパケットを廃棄するようにしたものである。具体的には、受信側中継装置21で検出した非実時間パケットの送信先アドレスに基づき、送信側中継装置11で該当する非実時間パケットを廃棄している。
【0123】
まず、図10を参照して、送信端末12および送信側中継装置11について説明する。
送信端末12には、前述の図2と比較して、非実時間データ送信部1Jが追加して設けられている。非実時間データ送信部1Jは、非実時間データをパケット化して送信する機能を有している。
【0124】
送信側中継装置11には、前述の図2と比較して、パケット振り分け部1K、送信先別網状態記憶部1L、およびパケット選択廃棄部1Mが追加して設けられている。パケット振り分け部1Kは、受信したパケットを実時間データと非実時間データとに振り分ける機能を有している。
送信先別網状態記憶部1Lは、送信先アドレス別に網内での待ち行列遅延時間を記憶する機能を有している。パケット選択廃棄部1Mは、受信した非実時間パケットの宛先アドレスを元に送信先別網状態記憶部1Lを参照することで当該パケットを廃棄するか否かを決定する機能を有している。
【0125】
次に、図11を参照して、受信端末22および受信側中継装置21について説明する。
受信端末22には、前述の図3と比較して、非実時間データ受信部2Kが追加して設けられている。非実時間データ受信部2Kは、非実時間パケットを受信する機能を有している。
受信側中継装置21には、前述の図3と比較して、パケット振り分け部2I、および送信先アドレス記録部2Jが追加して設けられている。パケット振り分け部2Iは、受信したパケットを実時間データと非実時間データとに振り分ける機能を有している。送信先アドレス記録部2Jは、受信した非実時間パケットの送信先アドレスを取得する機能を有している。
【0126】
これら各機能部は、CPUなどのマイクロプロセッサ(図示せず)で記憶部(図示せず)からプログラムを読み込んで実行することにより、ハードウェアとプログラムとを協働させて実現されるが、それぞれ回路で構成してもよい。なお、他の機能部については、前述とほぼ同様であり、ここでの説明は省略する。
【0127】
[第6の実施の形態の動作]
次に、図10および図11を参照して、本発明の第6の実施の形態にかかる通信システムの動作について説明する。なお、本実施の形態にかかる通信システムの動作は、前述した第2の実施の形態に加え、実時間通信の品質を向上させるために非実時間通信のパケットを廃棄するようにしたものである。ここではこの点についてのみ説明を行う。
【0128】
まず、受信側中継装置21では、パケット振り分け部2Iにおいて非実時間通信のパケットの識別を行う。送信先アドレス記録部2Jでは、非実時間通信のパケットについて、その宛先アドレスを全て記録する。そして、網状態送信部2Dから網状態を送信側中継装置11へと出力する際には、送信先アドレス記録部2Jで記録した送信先アドレスの組を合わせて出力する。
【0129】
送信側中継装置11では、受信した網状態と送信先アドレスの組を送信先別網状態記憶部1Lにおいて記憶する。そして、送信側中継装置11がパケットを受信した際、パケット振り分け部1Kにおいて非実時間通信のパケットを識別し、このパケットの宛先アドレスから、該パケットが通過する網の状態を送信先別網状態記憶部1Lを参照して得る。ここで得られた網状態が、予め定められた品質より悪い場合には、パケット選択廃棄部1Mにて該非実時間通信のパケットを廃棄する。
【0130】
非実時間通信のパケット廃棄の1つの方式としては、網内の待ち行列遅延時間の目標値を設定し、現在の待ち行列遅延時間が目標値の半分より小さければ非実時間通信のパケットは一切廃棄せず、現在の待ち行列遅延時間が目標値の半分より大きくなれば非実時間通信のパケット廃棄の確率を徐々に高くしてゆき、現在の待ち行列遅延時間が目標値を超えれば全ての非実時間通信のパケットを廃棄する方式が考えられる。また、別の方式としては、待ち行列遅延時間の代わりに、パケット廃棄率を使用する方式が考えられる。
【0131】
送信先アドレスに関しては、全ての送信先アドレスを保持、あるいは送信すると情報量が非常に多きなってしまう可能性がある。この場合、送信先アドレスを、ハッシュ関数を用いてK個(Kは正整数)のアドレスに縮退することで保持する情報量を削減し、Kビットのビットマップを用いて送信先アドレスを送信することにより送信データ量を削減することができる。
【0132】
このように、本実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様の作用効果が得られるとともに、所望区間30において実時間通信のパケット廃棄を補償することで、実時間通信の品質を向上する効果がある。
また、網の品質が劣化した際には、実時間通信と同じ網を通過する非実時間通信のパケットを廃棄することにより、実時間通信の品質を向上する効果がある。なお、本実施の形態においては、網状態を送信先別に保持することにより、送信側中継装置、あるいは受信側中継装置が複数台存在する場合でも、品質が劣化している実時間通信と同じ経路をとる非実時間通信のパケットを選択的に廃棄することができ、不必要に非実時間通信のパケットを廃棄してしまうことを防止することができる。
【0133】
[第7の実施の形態]
次に、図12および図13を参照して、本発明の第7の実施の形態にかかる通信システムについて説明する。図12は、本発明の第7の実施の形態にかかる通信システムで用いられる送信端末および送信側中継装置(送信側通信装置)の構成を示すブロック図である。図13は、本発明の第7の実施の形態にかかる通信システムで用いられる受信端末および受信側中継装置(受信側通信装置)の構成を示すブロック図である。なお、図12および図13において、前述した各図と同じまた同等部分には同一符号を付してある。
【0134】
本実施の形態では、第3の実施の形態に加えて、実時間通信の品質を向上させるために非実時間通信のパケットを廃棄するようにしたものである。具体的には、送信側中継装置11で検出した非実時間パケットの送信元アドレスに基づき、受信側中継装置21で該当する非実時間パケットを廃棄している。
【0135】
まず、図12を参照して、送信端末12および送信側中継装置11について説明する。
送信端末12には、前述の図4と比較して、非実時間データ送信部1Jが追加して設けられている。非実時間データ送信部1Jは、非実時間データをパケット化して送信する機能を有している。
送信側中継装置11には、前述の図4と比較して、パケット振り分け部1K、および送信元アドレス記録部1Nが追加して設けられている。パケット振り分け部1Kは、受信したパケットを実時間データと非実時間データとに振り分ける機能を有している。送信元アドレス記録部1Nは、受信した非実時間パケットの送信元アドレスを取得する機能を有している。
【0136】
次に、図13を参照して、受信端末22および受信側中継装置21について説明する。
受信端末22には、前述の図5と比較して、非実時間データ受信部2Kが追加して設けられている。非実時間データ受信部2Kは、非実時間パケットを受信する機能を有している。
受信側中継装置21には、前述の図5と比較して、パケット振り分け部2I、送信元別網状態記憶部2L、およびパケット選択廃棄部2Mが追加して設けられている。パケット振り分け部2Iは、受信したパケットを実時間データと非実時間データとに振り分ける機能を有している。送信元別網状態記憶部2Lは、送信元アドレス別に網内での待ち行列遅延時間を記憶する機能を有している。パケット選択廃棄部2Mは、受信した非実時間パケットの送元アドレスを元に送信元別網状態記憶部2Lを参照することで該パケットを廃棄するか否かを決定する機能を有している。
【0137】
これら各機能部は、CPUなどのマイクロプロセッサ(図示せず)で記憶部(図示せず)からプログラムを読み込んで実行することにより、ハードウェアとプログラムとを協働させて実現されるが、それぞれ回路で構成してもよい。なお、他の機能部については、前述とほぼ同様であり、ここでの説明は省略する。
【0138】
[第7の実施の形態の動作]
次に、図12および図13を参照して、本発明の第7の実施の形態にかかる通信システムの動作について説明する。なお、本実施の形態にかかる通信システムの動作は、前述した第2の実施の形態に加え、実時間通信の品質を向上させるために非実時間通信のパケットを廃棄するようにしたものである。ここではこの点についてのみ説明を行う。
【0139】
まず、送信側中継装置11では、パケット振り分け部1Kにおいて非実時間通信のパケットの識別を行う。送信元アドレス記録部1Nでは、非実時間通信のパケットについて、その送信元アドレスを全て記録する。そして、送信側網状態送信部1Iから網状態を受信側中継装置21へと出力する際には、送信元アドレス記録部1Nで記録した送信元アドレスの組を合わせて出力する。
【0140】
受信側中継装置21では、受信した送信元アドレスごとに、これに対応する網状態を送信元別網状態記憶部2Lにおいて記憶する。そして、受信側中継装置21がパケットを受信した際、パケット振り分け部2Iにおいて非実時間通信のパケットを識別し、該パケットの送信元アドレスから、このパケットが通過してきた網の状態を送信元別網状態記憶部2Lを参照して得る。ここで得られた網状態が、予め定められた品質より悪い場合には、パケット選択廃棄部2Mにて当該非実時間通信のパケットを廃棄する。
【0141】
本実施の形態によれば、構成は異なるものの、第6の実施の形態と同様の作用効果が得られる。
【0142】
[第8の実施の形態]
次に、図14および図15を参照して、本発明の第8の実施の形態にかかる通信システムについて説明する。図14は、本発明の第8の実施の形態にかかる通信システムで用いられる送信端末および送信側中継装置(送信側通信装置)の構成を示すブロック図である。図15は、本発明の第8の実施の形態にかかる通信システムで用いられる受信端末および受信側中継装置(受信側通信装置)の構成を示すブロック図である。なお、図14および図15において、前述した各図と同じまた同等部分には同一符号を付してある。
【0143】
本実施の形態では、前述した第2の実施の形態に加えて、網状態を示す各種情報を記憶するようにしたものである。
まず、図14の送信側中継装置11には、前述の図2と比較して、送信側網状態記憶部1Pと網状態記憶部1Qが追加して設けられている。送信側網状態記憶部1Pは、送信側経路31の網状態を記憶する機能を有している。網状態記憶部1Qは、所望区間30の網状態を記憶する機能を有している。
【0144】
次に、図15の受信側中継装置21には、前述の図3と比較して、受信側網状態記憶部2Nが追加して設けられている。受信側網状態記憶部2Nは、受信側経路32の網状態を記憶する機能を有している。
この機能部は、CPUなどのマイクロプロセッサ(図示せず)で記憶部(図示せず)からプログラムを読み込んで実行することにより、ハードウェアとプログラムとを協働させて実現されるが、それぞれ回路で構成してもよい。なお、他の機能部については、前述とほぼ同様であり、ここでの説明は省略する。
【0145】
[第8の実施の形態の動作]
次に、図14および図15を参照して、本発明の第8の実施の形態にかかる通信システムの動作について説明する。なお、本実施の形態にかかる通信システムの動作は、前述した第2の実施の形態に加え、網状態を示す各種情報を記憶するようにしたものである。ここではこの点についてのみ説明を行う。
【0146】
送信側中継装置11では、送信側網状態計測部1Gにおいて計測される送信側経路31の網状態を送信側網状態記憶部1Pで記憶し、網状態受信部1Cにおいて特定される所望区間30の網状態を網状態記憶部1Qで記憶する。
受信側中継装置21では、受信端末22から送信される品質レポートと、網状態計測部2Cで計測される送信端末12から受信側中継装置21との間の送信側経路31と所望区間30との網品質の差分から、受信側中継装置21と受信端末22間の受信側経路32の網品質を計測し、これを受信側網状態記憶部2Nで記憶する。
【0147】
このように、本実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様の作用効果が得られるとともに、送信端末、送信側中継装置、受信側中継装置、そして受信端末の間の区間、すなわち送信側経路31、所望区間30、および受信側経路32ごとに品質を記録しているため、実時間通信の品質劣化を検出した際には、送受信端末間のどの区間で品質劣化が発生しているかを容易に解析することができる。
【0148】
[第9の実施の形態]
次に、図16および図17を参照して、本発明の第9の実施の形態にかかる通信システムについて説明する。図16は、本発明の第9の実施の形態にかかる通信システムで用いられる送信端末および送信側中継装置(送信側通信装置)の構成を示すブロック図である。図17は、本発明の第9の実施の形態にかかる通信システムで用いられる受信端末および受信側中継装置(受信側通信装置)の構成を示すブロック図である。なお、図16および図17において、前述した各図と同じまた同等部分には同一符号を付してある。
【0149】
本実施の形態では、前述した第6の実施の形態に加えて、送信側中継装置において非実時間通信を制限するようにしたものである。
まず、図16の送信側中継装置11には、前述の図10と比較して、パケット選択廃棄部1Mの代わりに、TCP受信部1RおよびTCP送信部1Sが追加して設けられている。TCP受信部1Rは、所望区間を経由して非実時間通信を行っているTCPセッションを所望区間の始点で終端する機能を有している。TCP送信部1Sは、TCP受信部1Rで終端したTCPセッションのパケットを新たなTCPセッションへ載せ換えて所望区間へ出力する機能を有している。
【0150】
これら各機能部は、CPUなどのマイクロプロセッサ(図示せず)で記憶部(図示せず)からプログラムを読み込んで実行することにより、ハードウェアとプログラムとを協働させて実現されるが、それぞれ回路で構成してもよい。なお、他の機能部、送信端末12、受信端末22、および受信側中継装置21については、前述とほぼ同様であり、ここでの説明は省略する。
【0151】
[第9の実施の形態の動作]
次に、図16および図17を参照して、本発明の第9の実施の形態にかかる通信システムの動作について説明する。なお、本実施の形態にかかる通信システムの動作は、前述した第6の実施の形態に加え、送信側中継装置において非実時間通信を制限するようにしたものである。ここではこの点についてのみ説明を行う。
【0152】
送信側中継装置11では、受信した網状態と送信先アドレスの組を送信先別網状態記憶部1Lにおいて記憶する。そして、送信側中継装置11がパケットを受信した際、パケット振り分け部1Kにおいて非実時間通信のパケットを識別し、これがTCPセッションに属していれば、そのTCPセッションの終端処理をTCP受信部1Rで行う。そしてTCPセッションを終端して得られたデータは再び別のTCPを用いてTCP送信部1Sから本来の受信端末へと送信される。
【0153】
この際、TCP送信部1Sで、そのセッションの送信先アドレスからセッションが通過する網状態を送信先別網状態記憶部1Lから得る。そして、得られた網状態に応じて別のTCPセッションへの載せ換えを行う。例えば、網状態が悪ければ他のトラヒックに比べて低優先で帯域を使用するTCPを用いたり、また通常のTCPを用いるがそのパラメータは帯域利用を控える方向で再設定を行ったりすることが考えられる。
あるいは、TCP受信部1Rで、TCPセッションの終端処理を行う際、そのセッションの送信先アドレスからセッションが通過する網状態を送信先別網状態記憶部1Lから得る。そして、その網状態に応じて、終端するTCPセッションに与える受信バッファの量を制限する。
【0154】
このように、本実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様に、実時間通信のパケット廃棄を補償することで、実時間通信の品質を向上する効果がある。
また、本実施の形態では、網の品質が劣化した際、実時間通信と同じ網を通過する非実時間通信のトラヒック量をTCP制御を用いて制限することができ、実時間通信の品質を向上する効果がある。
【0155】
[第10の実施の形態]
次に、図18および図19を参照して、本発明の第10の実施の形態にかかる通信システムについて説明する。図18は、本発明の第10の実施の形態にかかる通信システムで用いられる送信端末および送信側中継装置(送信側通信装置)の構成を示すブロック図である。図19は、本発明の第10の実施の形態にかかる通信システムで用いられる受信端末および受信側中継装置(受信側通信装置)の構成を示すブロック図である。なお、図18および図19において、前述した各図と同じまた同等部分には同一符号を付してある。
【0156】
本実施の形態では、前述した第7の実施の形態に加えて、受信側中継装置において非実時間通信を制限するするようにしたものである。
まず、図19の受信側中継装置21には、前述の図13と比較して、パケット選択廃棄部2Mの代わりに、TCP受信部2PおよびTCP送信部2Qが追加して設けられている。TCP受信部2Pは、所望区間を経由して非実時間通信を行っているTCPセッションを所望区間の終点で終端する機能を有している。TCP送信部2Qは、TCP受信部2Pで終端したTCPセッションのパケットを新たなTCPセッションへ載せ換えて出力する機能を有している。
【0157】
これら各機能部は、CPUなどのマイクロプロセッサ(図示せず)で記憶部(図示せず)からプログラムを読み込んで実行することにより、ハードウェアとプログラムとを協働させて実現されるが、それぞれ回路で構成してもよい。なお、他の機能部、受信端末22、送信端末12、および送信側中継装置11については、前述とほぼ同様であり、ここでの説明は省略する。
【0158】
[第10の実施の形態の動作]
次に、図18および図19を参照して、本発明の第10の実施の形態にかかる通信システムの動作について説明する。なお、本実施の形態にかかる通信システムの動作は、前述した第6の実施の形態に加え、送信側中継装置において非実時間通信を制限するようにしたものである。ここではこの点についてのみ説明を行う。
【0159】
受信側中継装置21では、受信した送信元アドレスに対して、これに対応する網状態を送信元別網状態記憶部2Lにおいて記憶する。そして、受信側中継装置21がパケットを受信した際、パケット振り分け部2I4において非実時間通信のパケットを識別し、これがTCPセッションに属していれば、該TCPセッションの終端処理をTCP受信部2Pで行う。そしてTCPセッションを終端して得られたデータは再び別のTCPセッションを用いてTCP送信部2Qから本来の受信端末へと送信される。
【0160】
この際、TCP送信部2Qは、そのセッションの送信元アドレスからセッションが通過してきた網状態を送信元別網状態記憶部2Lから得る。そして、得られた網状態に応じた輻輳制御を行う別のTCPセッションへの載せ換えを行う。
あるいは、TCP受信部2Pで、TCPセッションの終端処理を行う際、そのセッションの送信元アドレスからセッションが通過してきた網状態を送信元別網状態記憶部2Lから得る。そして、その網状態に応じて、終端するTCPセッションに与える受信バッファの量を制限する。なお、網状態が悪ければ、現在既に使用している受信バッファ量に加えて、網状態に応じたわずかな量のバッファ量を加え、これを新たな受信バッファ量としてもよい。
【0161】
本実施の形態によれば、構成は異なるものの、第9の実施の形態と同様の作用効果が得られる。
【0162】
[各実施の形態の拡張]
前述した各実施の形態では、所望区間の両端に、送信端末と受信端末との組、あるいは送信側中継装置と受信側中継装置との組を配置した場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、送信端末と受信側中継装置との組、あるいは送信側中継装置と受信端末との組を所望区間の両端に配置した場合にも、本発明の各実施の形態を前述と同様にして適用できる場合があり、同様の作用効果が得られる。
【0163】
また、前述した各実施の形態では、パケット廃棄率推定部でデータパケットの冗長度を決定するのに用いるパケット廃棄率を推定する際、網状態特性記憶部に記憶されている網状態特性を参照して、網状態計測部で計測された新たな待ち行列遅延時間から所望のパケット廃棄率を推定する場合を例として説明したが、パケット廃棄率の推定に用いる待ち行列遅延時間や網状態特性については、これに限定されるものではない。
【0164】
例えば、パケット廃棄率推定部において、網状態特性記憶部に記憶されている網状態特性を参照して、網状態計測部で計測された新たな待ち行列遅延時間からその次の待ち行列遅延時間を推定し、得られた次の待ち行列遅延時間から網状態特性記憶部に記憶されている網状態特性を参照して所望のパケット廃棄率を推定するようにしてもよい。
あるいは、網状態特性記憶部において、網状態特性を導出する際、網状態計測部で計測されたパケット廃棄率とこのパケット廃棄率より所定時間前に網状態計測部で計測された待ち行列遅延時間との組に基づき網状態特性を導出し、この網状態特性を参照してパケット廃棄率推定部で所望のパケット廃棄率を推定するようにしてもよい。
【0165】
これにより、上記いずれの場合についても、パケット廃棄率を推定する際、所望区間で任意の時点に計測された待ち行列時間遅延から、次の時点における所望区間でのパケット廃棄率、すなわち推定された冗長度に基づき生成された冗長パケットが所望区間に出力される時点におけるパケット廃棄率を推定することができる。したがって、所望区間からの待ち行列遅延時間の計測、あるいは待ち行列遅延時間の通知に遅れが生じる場合でも、その遅れ時間を解消でき、実際の所望区間の網状態に応じた冗長度を決定できる。
【0166】
なお、これら構成については、前述した第1の実施の形態のように通信装置が送受信端末から構成される場合であっても、前述した第2の実施の形態のように通信装置が中継装置から構成される場合であっても同様に適用できる。
さらには、前述した第2の実施の形態のようにパケット廃棄率を送信側中継装置で推定する場合であっても、前述した第4の実施の形態のようにパケット廃棄率を受信側中継装置で推定する場合であっても同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる通信システムの送信端末および受信端末の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態にかかる通信システムの送信端末および送信側中継装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態にかかる通信システムの受信端末および受信側中継装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態にかかる通信システムの送信端末および送信側中継装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態にかかる通信システムの受信端末および受信側中継装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態にかかる通信システムの送信端末および送信側中継装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態にかかる通信システムの受信端末および受信側中継装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態にかかる通信システムの送信端末および送信側中継装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態にかかる通信システムの受信端末および受信側中継装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態にかかる通信システムの送信端末および送信側中継装置の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第6の実施の形態にかかる通信システムの受信端末および受信側中継装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第7の実施の形態にかかる通信システムの送信端末および送信側中継装置の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第7の実施の形態にかかる通信システムの受信端末および受信側中継装置の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第8の実施の形態にかかる通信システムの送信端末および送信側中継装置の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第8の実施の形態にかかる通信システムの受信端末および受信側中継装置の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第9の実施の形態にかかる通信システムの送信端末および送信側中継装置の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の第9の実施の形態にかかる通信システムの受信端末および受信側中継装置の構成を示すブロック図である。
【図18】本発明の第10の実施の形態にかかる通信システムの送信端末および送信側中継装置の構成を示すブロック図である。
【図19】本発明の第10の実施の形態にかかる通信システムの受信端末および受信側中継装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0168】
10,12…送信端末(送信側通信装置)、11…送信側中継装置(送信側通信装置)、1A…実時間データ送信部、1B…冗長パケット生成部、1C…網状態受信部、1D…網状態特性記憶部、1E…廃棄率推定部、1F…冗長度決定部、1G…送信側網状態計測部、1H…帯域算出部、1I…送信側網状態送信部、1J…非実時間データ送信部、1K…パケット振り分け部、1L…送信先別網状態記憶部、1M…パケット選択廃棄部、1N…送信元アドレス記録部、1P…送信側網状態記憶部、1Q…網状態記憶部、1R…TCP受信部、1S…TCP送信部、20,22…受信端末(受信側通信装置)、21…受信側中継装置(受信側通信装置)、2A…パケット廃棄補償部、2B…実時間データ受信部、2C…網状態計測部、2D…網状態送信部、2E…送信側網状態受信部、2F…網状態特性記憶部、2G…廃棄率推定部、2H…揺らぎ吸収バッファ、2I…パケット振り分け部、2J…送信先アドレス記録部、2K…非実時間データ受信部、2L…送信元別網状態記憶部、2M…パケット選択廃棄部、2N…受信側網状態記憶部、2P…TCP受信部、2Q…TCP送信部、30…所望区間、31…送信側経路、32…受信側経路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実時間データのデータパケットを転送する転送経路のうちその一部または全部からなる所望区間の両端に設けられた2つの通信装置からなり、このうち前記所望区間の送信側に位置する送信側通信装置に前記データパケットを送信する際に当該データパケットに対する冗長パケットを生成して送信する冗長パケット生成部を備え、前記所望区間の受信側に位置する受信側通信装置に前記データパケットを受信する際に前記冗長パケットを受信して前記所望区間で廃棄されたデータパケットを当該冗長パケットで再現するパケット廃棄補償部を備え、これら送信側通信装置および受信側通信装置により前記所望区間で冗長性を有するパケット通信を行う通信システムであって、
前記受信側通信装置は、前記所望区間を介して受信したデータパケットの受信状況に基づき網状態を計測する網状態計測部と、この網状態計測部で計測した前記網状態を示す網状態情報を前記送信側通信装置へ送信する網状態送信部とを備え、
前記送信側通信装置は、前記受信側通信装置からの網状態情報を受信する網状態受信部と、前記網状態受信部で受信した網状態情報から得られる、前記所望区間の過去の網状態に基づく網状態推定値を用いて前記データパケットに対する冗長度を決定する冗長度決定部とを備え、
前記冗長パケット生成部は、前記冗長度に応じた割合で前記データパケットに対する冗長パケットを生成して送信する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
前記網状態計測部は、前記網状態として前記所望区間を介して受信したデータパケットのパケット廃棄率と待ち行列遅延時間とを計測し、
前記網状態送信部は、これらパケット廃棄率と待ち行列遅延時間との組を前記網状態情報として送信し、
前記送信側通信装置は、前記網状態受信部からの網状態情報に含まれるパケット廃棄率と待ち行列遅延時間との組に基づき待ち行列遅延時間とパケット廃棄率との関係を示す網状態特性を導出して記憶する網状態特性記憶部と、この網状態特性記憶部の網状態特性を参照して前記網状態受信部からの網状態情報に含まれる新たな待ち行列遅延時間から前記所望区間のパケット廃棄率を推定する廃棄率推定部とをさらに備え、
前記冗長度決定部は、前記廃棄率推定部で推定したパケット廃棄率に基づき前記データパケットに対する冗長度を決定する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項2に記載の通信システムにおいて、
前記送信側通信装置は、前記転送経路の一端に位置する送信端末からのデータパケットのパケット廃棄率と待ち行列遅延時間とを前記送信端末と当該送信側通信装置との間の送信側経路に関する送信側網状態として計測する送信側網状態計測部をさらに備え、
前記網状態受信部は、前記受信側通信装置から網状態情報により通知された前記パケット廃棄率から前記送信側網状態計測部で計測したパケット廃棄率を減算することにより前記所望区間のパケット廃棄率を求めるとともに、前記受信側通信装置から網状態情報により通知された前記待ち行列遅延時間から前記送信側網状態計測部で計測した待ち行列遅延時間を減算することにより前記所望区間の待ち行列遅延時間を求め、得られた前記所望区間のパケット廃棄率および待ち行列遅延時間を前記網状態特性記憶部および廃棄率推定部へ出力する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
前記網状態計測部は、前記網状態として前記所望区間を介して受信したデータパケットのパケット廃棄率と待ち行列遅延時間とを計測し、
前記受信側通信装置は、前記網状態計測部で計測したパケット廃棄率と待ち行列遅延時間との組に基づき待ち行列遅延時間とパケット廃棄率との関係を示す網状態特性を導出して記憶する網状態特性記憶部と、この網状態特性記憶部の網状態特性を参照して前記網状態計測部で計測した新たな待ち行列遅延時間から前記所望区間のパケット廃棄率を推定する廃棄率推定部とをさらに備え、
前記網状態送信部は、前記新たな待ち行列遅延時間と前記パケット廃棄率とを前記送信側通信装置へ送信し、
前記冗長度決定部は、前記網状態受信部からの網状態情報に含まれる前記所望区間のパケット廃棄率に基づき前記データパケットに対する冗長度を決定する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
請求項4に記載の通信システムにおいて、
前記送信側通信装置は、前記転送経路の一端に位置する送信端末からのデータパケットのパケット廃棄率と待ち行列遅延時間とを前記送信端末と当該送信側通信装置との間の送信側経路に関する送信側網状態として計測する送信側網状態計測部と、この送信側網状態計測部で計測された送信側網状態を示す送信側網状態情報を前記受信側通信装置へ送信する送信側網状態送信部とをさらに備え、
前記受信側通信装置は、前記送信側通信装置からの送信側網状態情報を受信する送信側網状態受信部をさらに備え、
前記網状態計測部は、前記網状態として計測した前記パケット廃棄率から前記送信側網状態受信部で受信した送信側網状態情報のパケット廃棄率を減算することにより前記所望区間のパケット廃棄率を求めるとともに、前記網状態として計測した前記待ち行列遅延時間から前記送信側網状態受信部で受信した送信側網状態情報の待ち行列遅延時間を減算することにより前記所望区間の待ち行列遅延時間を求め、得られた前記所望区間のパケット廃棄率および待ち行列遅延時間を前記網状態送信部へ出力する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項6】
請求項2または4に記載の通信システムにおいて、
前記廃棄率推定部は、前記パケット廃棄率を推定する際、前記網状態特性記憶部に記憶されている網状態特性に基づき新たな待ち行列遅延時間を推定し、この新たな待ち行列遅延時間から前記パケット廃棄率を推定することを特徴とする通信システム。
【請求項7】
請求項2または4に記載の通信システムにおいて、
前記網状態特性記憶部は、前記網状態特性を導出する際、前記網状態計測部で計測されたパケット廃棄率とこのパケット廃棄率より所定時間前に前記網状態計測部で計測された待ち行列遅延時間との組に基づき前記網状態特性を導出することを特徴とする通信システム。
【請求項8】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
前記送信側通信装置は、前記網状態受信部で受信した網状態情報に基づいて前記所望区間において前記データパケットを送信するのに最適な送信帯域幅を算出する帯域算出部をさらに備え、
前記冗長度決定部は、前記網状態推定値から得られる前記冗長度と前記帯域算出部で算出した送信帯域幅に収まる冗長度とを比較し、いずれか小さい方の冗長度に基づき前記冗長度を決定する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項9】
請求項8に記載の通信システムにおいて、
前記帯域算出部は、前記所望区間を用いてTCP通信を行った場合に用いられる送信帯域幅の推定値に基づき算出することを特徴とする通信システム。
【請求項10】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
前記受信側通信装置は、前記送信側通信装置から受信したデータパケットと前記パケット廃棄補償部で再現したデータパケットとを一旦蓄積し、これらデータパケットの送信間隔を調整して出力する揺らぎ吸収バッファをさらに備えることを特徴とする通信システム。
【請求項11】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
前記受信側通信装置は、前記所望区間を介して受信した各非実時間パケットの送信先アドレスを取得して記録する送信先アドレス記録部をさらに備え、
前記網状態送信部は、前記送信先アドレス記録部で記録した送信先アドレスを前記送信側通信装置へ送信し、
前記網状態受信部は、前記受信側通信装置から前記送信先アドレスを受信し、
前記送信側通信装置は、前記網状態受信部で受信した非実時間パケットの送信先アドレスに基づき、当該送信側通信装置から前記所望区間へ出力される非実時間パケットのうち前記送信先アドレスを持つ非実時間パケットを選択して廃棄するパケット選択廃棄部をさらに備える
ことを特徴とする通信システム。
【請求項12】
請求項11に記載の通信システムにおいて、
前記網状態送信部は、前記網状態情報とともに前記送信先アドレス記録部で記録した送信先アドレスを前記送信側通信装置へ送信し、
前記網状態受信部は、前記受信側通信装置から前記網状態情報とともに前記送信先アドレスを受信し、
前記送信側通信装置は、前記網状態受信部で受信した前記網状態情報と送信先アドレスとを、その送信先アドレスに対応付けて当該網状態情報の示す網状態を記憶する送信先別網状態記憶部をさらに備え、
前記パケット選択廃棄部は、前記非実時間パケットを廃棄する際、前記送信先別網状態記憶部に記憶されている送信先アドレスを持つ非実時間パケットについて、当該送信先アドレスに対応付けられている網状態に応じた確率で廃棄する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項13】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
前記送信側通信装置は、前記所望区間へ出力される各非実時間パケットの送信元アドレスを取得して記録する送信元アドレス記録部と、前記送信元アドレス記録部で記録した送信元アドレスを前記受信側通信装置へ送信する送信側網状態送信部とをさらに備え、
前記受信側通信装置は、前記送信側通信装置からの前記送信元アドレスを受信する送信側網状態受信部と、この送信側網状態受信部で受信した送信元アドレスに基づき、前記所望区間を介して受信した非実時間パケットのうち前記送信元アドレスを持つ非実時間パケットを選択して廃棄するパケット選択廃棄部とをさらに備える
ことを特徴とする通信システム。
【請求項14】
請求項13に記載の通信システムにおいて、
前記送信側通信装置は、前記転送経路の一端に位置する送信端末からのデータパケットの受信状況に基づき前記送信端末と当該送信側通信装置との間の送信側経路に関する送信側網状態を計測し送信側網状態情報として出力する送信側網状態計測部をさらに備え、
前記送信側網状態送信部は、前記送信側網状態情報とともに前記送信元アドレス記録部で記録した送信元アドレスを前記受信側通信装置へ送信し、
前記送信側網状態受信部は、前記送信側通信装置から前記送信側網状態情報と送信元アドレスとを受信し、
前記受信側通信装置は、前記送信側網状態受信部で受信した前記送信側網状態情報と送信元アドレスとを、その送信元アドレスに対応付けて当該送信側網状態情報の示す送信側網状態を記憶する送信元別網状態記憶部をさらに備え、
前記パケット選択廃棄部は、前記非実時間パケットを廃棄する際、前記送信元別網状態記憶部に記憶されている送信元アドレスを持つ非実時間パケットについて、当該送信元アドレスに対応付けられている網状態に応じた確率で廃棄する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項15】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
前記送信側通信装置は、前記所望区間を経由して非実時間通信を行っているTCPセッションを前記所望区間の始点で終端するTCP受信部と、このTCP受信部で終端したTCPセッションのパケットを、他のトラヒックに対して低優先となる輻輳制御を行う新たなTCPセッションへ載せ換えて前記所望区間へ出力するTCP送信部とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項16】
請求項1に記載の通信システムであって、
前記送信側通信装置は、前記所望区間を経由して非実時間通信を行っているTCPセッションを前記所望区間の始点で終端するとともに、当該終端時に用いる受信バッファ量を制限するTCP受信部と、このTCP受信部で終端したTCPセッションのパケットを新たなTCPセッションへと載せ換えて前記所望区間へ出力するTCP送信部とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項17】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
前記受信側通信装置は、前記所望区間を経由して非実時間通信を行っているTCPセッションを前記所望区間の終点で終端するTCP受信部と、このTCP受信部で終端したTCPセッションのパケットを、他のトラヒックに対して低優先となる輻輳制御を行う新たなTCPセッションへと載せ換えて出力するTCP送信部とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項18】
請求項1に記載の通信システムであって、
前記受信側通信装置は、前記所望区間を経由して非実時間通信を行っているTCPセッションを前記所望区間の終点で終端するとともに、当該終端時に用いる受信バッファ量を制限するTCP受信部と、このTCP受信部で終端したTCPセッションのパケットを新たなTCPセッションへと載せ換えて出力するTCP送信部とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項19】
実時間データのデータパケットを転送する転送経路のうちその一部または全部からなる所望区間の両端に設けられた2つの通信装置からなり、このうち前記所望区間の送信側に位置する送信側通信装置に前記データパケットを送信する際に当該データパケットに対する冗長パケットを生成して送信する冗長パケット生成部を備え、前記所望区間の受信側に位置する受信側通信装置に前記データパケットを受信する際に前記冗長パケットを受信して前記所望区間で廃棄されたデータパケットを当該冗長パケットで再現するパケット廃棄補償部を備え、これら送信側通信装置および受信側通信装置により前記所望区間で冗長性を有するパケット通信を行う通信システムで、前記送信側通信装置として用いられる通信装置であって、
前記受信側通信装置で所望区間を介して受信したデータパケットの受信状況に基づき計測した前記所望区間の網状態を示す網状態情報を前記受信側通信装置から受信する網状態受信部と、
この網状態受信部で受信した網状態情報で得られる、前記所望区間の過去の網状態に基づく網状態推定値を用いて前記データパケットに対する冗長度を決定する冗長度決定部と
を備え、
前記冗長パケット生成部は、前記冗長度に応じた割合で前記データパケットに対する冗長パケットを生成して送信する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項20】
請求項19に記載の通信装置において、
前記網状態受信部からの網状態情報に含まれるパケット廃棄率と待ち行列遅延時間との組に基づき待ち行列遅延時間とパケット廃棄率との関係を示す網状態特性を導出して記憶する網状態特性記憶部と、
前記網状態特性記憶部の網状態特性を参照して前記網状態受信部からの網状態情報に含まれる新たな待ち行列遅延時間から前記所望区間のパケット廃棄率を推定する廃棄率推定部と
をさらに備え、
前記冗長度決定部は、前記廃棄率推定部で推定したパケット廃棄率に基づき前記データパケットに対する冗長度を決定する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項21】
請求項20に記載の通信装置において、
前記廃棄率推定部は、前記パケット廃棄率を推定する際、前記網状態特性記憶部に記憶されている網状態特性に基づき新たな待ち行列遅延時間を推定し、この新たな待ち行列遅延時間から前記パケット廃棄率を推定することを特徴とする通信装置。
【請求項22】
請求項20に記載の通信装置において、
前記網状態特性記憶部は、前記網状態特性を導出する際、前記受信側通信装置で計測されたパケット廃棄率とこのパケット廃棄率より所定時間前に前記受信側通信装置で計測された待ち行列遅延時間との組に基づき前記網状態特性を導出することを特徴とする通信装置。
【請求項23】
請求項19に記載の通信装置において、
前記網状態受信部で受信した網状態情報に基づいて前記所望区間において前記データパケットを送信するのに最適な送信帯域幅を算出する帯域算出部をさらに備え、
前記冗長度決定部は、前記網状態推定値から得られる前記冗長度と前記帯域算出部で算出した送信帯域幅に収まる冗長度とを比較し、いずれか小さい方の冗長度に基づき前記冗長度を決定する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項24】
請求項19に記載の通信装置において、
前記網状態受信部は、前記受信側通信装置により前記所望区間を介して受信した各非実時間パケットから取得した送信先アドレスを前記受信側通信装置から受信し、
前記網状態受信部で受信した非実時間パケットの送信先アドレスに基づき、当該送信側通信装置から前記所望区間へ出力される非実時間パケットのうち前記送信先アドレスを持つ非実時間パケットを選択して廃棄するパケット選択廃棄部をさらに備える
ことを特徴とする通信装置。
【請求項25】
請求項19に記載の通信装置において、
前記網状態受信部は、前記網状態情報とともに前記送信先アドレスを前記受信側通信装置から受信し、
前記網状態受信部で受信した前記網状態情報と送信先アドレスとを、その送信先アドレスに対応付けて当該網状態情報の示す網状態を記憶する送信先別網状態記憶部をさらに備え、
前記パケット選択廃棄部は、前記非実時間パケットを廃棄する際、前記送信先別網状態記憶部に記憶されている送信先アドレスを持つ非実時間パケットについて、当該送信先アドレスに対応付けられている網状態情報に応じた確率で廃棄する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項26】
請求項19に記載の通信装置において、
前記所望区間を経由して非実時間通信を行っているTCPセッションを前記所望区間の始点で終端するTCP受信部と、
このTCP受信部で終端したTCPセッションのパケットを、他のトラヒックに対して低優先となる輻輳制御を行う新たなTCPセッションへ載せ換えて前記所望区間へ出力するTCP送信部と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項27】
請求項19に記載の通信装置であって、
前記送信側通信装置は、前記所望区間を経由して非実時間通信を行っているTCPセッションを前記所望区間の始点で終端するとともに、当該終端時に用いる受信バッファ量を制限するTCP受信部と、
このTCP受信部で終端したTCPセッションのパケットを新たなTCPセッションへと載せ換えて前記所望区間へ出力するTCP送信部と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項28】
実時間データのデータパケットを転送する転送経路のうちその一部または全部からなる所望区間の両端に設けられた2つの通信装置からなり、このうち前記所望区間の送信側に位置する送信側通信装置に前記データパケットを送信する際に当該データパケットに対する冗長パケットを生成して送信する冗長パケット生成部を備え、前記所望区間の受信側に位置する受信側通信装置に前記データパケットを受信する際に前記冗長パケットを受信して前記所望区間で廃棄されたデータパケットを当該冗長パケットで再現するパケット廃棄補償部を備え、これら送信側通信装置および受信側通信装置により前記所望区間で冗長性を有するパケット通信を行う通信システムで、前記受信側通信装置として用いられる通信装置であって、
前記所望区間を介して受信したデータパケットの受信状況に基づき前記所望区間における網状態を計測する網状態計測部と、
この網状態計測部で計測した前記網状態を示す網状態情報を、前記送信側通信装置で前記冗長パケットを生成する割合を示す冗長度を決定するための情報として前記送信側通信装置へ送信する網状態送信部と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項29】
請求項28に記載の通信装置において、
前記網状態計測部は、前記網状態として前記所望区間を介して受信したデータパケットのパケット廃棄率と待ち行列遅延時間とを計測し、
前記網状態計測部で計測したパケット廃棄率と待ち行列遅延時間との組に基づき待ち行列遅延時間とパケット廃棄率との関係を示す網状態特性を導出して記憶する網状態特性記憶部と、
前記網状態特性記憶部の網状態特性を参照して前記網状態計測部で計測した新たな待ち行列遅延時間から前記所望区間のパケット廃棄率を推定する廃棄率推定部と
をさらに備え、
前記網状態送信部は、前記新たな待ち行列遅延時間と前記パケット廃棄率とを前記送信側通信装置へ送信する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項30】
請求項29に記載の通信装置において、
前記廃棄率推定部は、前記パケット廃棄率を推定する際、前記網状態特性記憶部に記憶されている網状態特性に基づき新たな待ち行列遅延時間を推定し、この新たな待ち行列遅延時間から前記パケット廃棄率を推定することを特徴とする通信装置。
【請求項31】
請求項29に記載の通信装置において、
前記網状態特性記憶部は、前記網状態特性を導出する際、前記網状態計測部で計測されたパケット廃棄率とこのパケット廃棄率より所定時間前に前記網状態計測部で計測された待ち行列遅延時間との組に基づき前記網状態特性を導出することを特徴とする通信装置。
【請求項32】
請求項28に記載の通信装置において、
前記送信側通信装置から受信したデータパケットと前記パケット廃棄補償部で再現したデータパケットとを一旦蓄積し、これらデータパケットの送信間隔を調整して出力する揺らぎ吸収バッファをさらに備えることを特徴とする通信装置。
【請求項33】
請求項28に記載の通信装置において、
前記送信側通信装置で前記所望区間へ出力される各非実時間パケットから取得した送信元アドレスを前記送信側通信装置から受信する送信側網状態受信部と、
この送信側網状態受信部で受信した送信元アドレスに基づき、前記所望区間を介して受信した非実時間パケットのうち前記送信元アドレスを持つ非実時間パケットを選択して廃棄するパケット選択廃棄部と
をさらに備えることを特徴とする通信装置。
【請求項34】
請求項33に記載の通信装置において、
前記送信側網状態受信部は、前記送信元アドレスとこの送信元アドレスを取得した時点での前記転送経路の一端に位置する送信端末と前記送信側通信装置との間の送信側経路の網状態を示す送信側網状態情報とを前記送信側通信装置から受信し、
前記送信側網状態受信部で受信した前記送信側網状態情報と送信元アドレスとを、その送信元アドレスに対応付けて当該送信側網状態情報の示す送信側網状態を記憶する送信元別網状態記憶部をさらに備え、
前記パケット選択廃棄部は、前記非実時間パケットを廃棄する際、前記送信元別網状態記憶部に記憶されている送信元アドレスを持つ非実時間パケットについて、当該送信元アドレスに対応付けられている網状態に応じた確率で廃棄する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項35】
請求項28に記載の通信装置において、
前記所望区間を経由して非実時間通信を行っているTCPセッションを前記所望区間の終点で終端するTCP受信部と、
このTCP受信部で終端したTCPセッションのパケットを、他のトラヒックに対して低優先となる輻輳制御を行う新たなTCPセッションへと載せ換えて出力するTCP送信部と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項36】
請求項28に記載の通信装置であって、
前記所望区間を経由して非実時間通信を行っているTCPセッションを前記所望区間の終点で終端するとともに、当該終端時に用いる受信バッファ量を制限するTCP受信部と、
このTCP受信部で終端したTCPセッションのパケットを新たなTCPセッションへと載せ換えて出力するTCP送信部と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項37】
実時間データのデータパケットを転送する転送経路のうちその一部または全部からなる所望区間の両端に設けられた2つの通信装置からなり、このうち前記所望区間の送信側に位置する送信側通信装置に前記データパケットを送信する際に当該データパケットに対する冗長パケットを生成して送信する冗長パケット生成ステップを備え、前記所望区間の受信側に位置する受信側通信装置に前記データパケットを受信する際に前記冗長パケットを受信して前記所望区間で廃棄されたデータパケットを当該冗長パケットで再現するパケット廃棄補償ステップを備え、これら送信側通信装置および受信側通信装置により前記所望区間で冗長性を有するパケット通信を行う通信システムで、前記送信側通信装置として用いられる通信装置のコンピュータに、
前記受信側通信装置で所望区間を介して受信したデータパケットの受信状況に基づき計測した前記所望区間の網状態を示す網状態情報を前記受信側通信装置から受信する網状態受信ステップと、
この網状態受信ステップで受信した網状態情報で得られる、前記所望区間の過去の網状態に基づく網状態推定値を用いて前記データパケットに対する冗長度を決定する冗長度決定ステップと、
前記冗長パケット生成部ステップとして、前記冗長度に応じた割合で前記データパケットに対する冗長パケットを生成して送信するステップと
を実行させるプログラム。
【請求項38】
実時間データのデータパケットを転送する転送経路のうちその一部または全部からなる所望区間の両端に設けられた2つの通信装置からなり、このうち前記所望区間の送信側に位置する送信側通信装置に前記データパケットを送信する際に当該データパケットに対する冗長パケットを生成して送信する冗長パケット生成ステップを備え、前記所望区間の受信側に位置する受信側通信装置に前記データパケットを受信する際に前記冗長パケットを受信して前記所望区間で廃棄されたデータパケットを当該冗長パケットで再現するパケット廃棄補償ステップを備え、これら送信側通信装置および受信側通信装置により前記所望区間で冗長性を有するパケット通信を行う通信システムで、前記受信側通信装置として用いられる通信装置のコンピュータに、
前記所望区間を介して受信したデータパケットの受信状況に基づき前記所望区間における網状態を計測する網状態計測ステップと、
この網状態計測ステップで計測した前記網状態を示す網状態情報を、前記送信側通信装置で前記冗長パケットを生成する割合を示す冗長度を決定するための情報として前記送信側通信装置へ送信する網状態送信ステップと
を実行させるプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−109325(P2006−109325A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−296186(P2004−296186)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】