説明

通信システムおよびその異常情報通知方法

【課題】システム停電その他のシステム異常に対して音声メッセージを送出して異常状態をユーザに通知可能にするビジネスホンや携帯電話等の通信システムおよびその異常状態通知方法を提供する。
【解決手段】センサ等を含む異常検出部11で異常を検出すると、CPU等による制御部12に異常を通知し、異常状態を判断して音声送出部13から又は外部通信網15を介して、例えばメンテナンスセンタから音声送出部14を経て出力部16に所定の音声信号を送出して、1以上の端末に対して異常状態を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信システムに関し、特に異常を検出して音声により通知する通信システムおよびその異常通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報化時代にあっては種々の通信手段が普及しておりビジネスのみならず個人の日常生活でも広く普及している。ビジネスにおいては、例えばビジネスホンがオフィスのデスクに設置され、社内において同僚や上司とのみならず社外の顧客との通信手段として使用されている。また、社外にいる場合には、携帯電話を携帯し、同僚や上司との通信のみならずオフィスに据え付けられたコンピュータ等の情報処理装置とデータ通信が可能である。
【0003】
斯かるビジネスホンや携帯電話は、情報(データ)を入力するテンキー等の複数のキー、データを表示する液晶表示装置(LCD)等の表示装置および送受話器(即ち、ユーザの音声を電気信号に変換するマイクおよび相手からの音声を電気−音響変換するスピーカ)を備えているのが一般的である。他と通信する場合には、ユーザは、これらのキーを操作して相手を呼び出して通話又はデータ通信を行う。また、表示装置には、相手に送信するべく作成した又は相手から受信したメッセージと共に各種の警報等を表示する。しかし、表示装置への表示は、その表示を見ていないユーザに対して全く警報の効果がない。また、単なるブザー等の音による警告の場合にも、その警告の具体的内容が不明である場合が一般的であり、どのように対処すべきかユーザが迅速に理解できない。
【0004】
斯かる通信システムにおいて、動作電源の停電、通信圏外、内蔵電池の劣化等の異常が生じた場合には、ユーザにその旨を迅速に通知する必要がある。斯かる通信システムにおける異常状態の通知技術は、種々の技術文献に開示されている。LCD表示装置等の表示装置を備えていない場合に、発生した異常を知らせる音声メッセージデータをメモリに格納し、これを電源のオン/オフスイッチ操作で読み出してユーザに音声で通知する携帯型情報伝送端末装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、障害発生時に、その障害情報を障害情報データベースに格納し、必要時にこのデータを読み出して音声による障害情報として出力するデジタルコードレス電話発報システムが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−73376号公報(第4−6頁、第1図、第2図)
【特許文献2】特開2002−330237号公報(第4−5頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術は、端末のユーザに対して又は保守員に対して異常状態の音声メッセージを出力することはできても、緊急事態に対する割り込みや複数の端末ユーザに対するメッセージの送出を行うことができないという課題があった。
【0008】
本発明は、従来技術の上述した課題に鑑みなされたものであり、斯かる課題を克服又は軽減する通信システムおよびその異常通知方法を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するため本発明の通信システムおよびその異常情報通知方法は次のような特徴的な構成を採用している。
【0010】
(1)CPU等の制御部およびスピーカ等を含む出力部を備え、他の端末との間で通信可能に構成された通信システムにおいて、
システムの異常を検出するセンサ等を含む異常検出部と、該異常検出部が検出した異常状態を前記制御部により判断した結果に基づき所定の音声信号を前記出力部に送出する音声送出部とを備える通信システム。
【0011】
(2)前記音声送出部は、予め決められた複数の音声データを記憶するメモリICおよび該メモリICから読み出された音声データを音声信号に変換する音声合成LSIを含む上記(1)の通信システム。
【0012】
(3)外部通信網に接続される前記音声送出部とは別の音声送出部を備え、前記制御部からの外部通信網への異常通報により、前記出力部へ音声信号を送出する上記(1)又は(2)の通信システム。
【0013】
(4)前記異常検出部により検出されるシステム異常は、停電、内蔵電池の劣化、電波圏外等である上記(1)、(2)又は(3)の通信システム。
【0014】
(5)CPU等の制御部およびスピーカを含む出力部を備え、他の端末と通信する通信システムの異常情報通知方法において、
前記通信システムの異常を検出することと、該検出された異常を前記制御部へ送出することと、該制御部からの音声送出制御に基づき前記出力部へ所定の音声信号を出力することとなる通信システムの異常情報通知方法。
【0015】
(6)前記出力部へ出力される音声信号は、異常の内容およびそれに対するユーザの対処を含む上記(5)の通信システムの異常情報通知方法。
【0016】
(7)前記制御部は、外部通信網に制御信号を送出し、外部通信網から関係する複数の端末に対して音声による異常情報を送出する上記(5)又は(6)の通信システムの異常情報通知方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明の通信システムおよびその異常通知方法によると、次の如き実用上の顕著な効果が得られる。即ち、ユーザが緊急に対処を要するメッセージを強制的に割り込ませることにより、通信システムの異常による緊急事態を確実にユーザに通知し、ユーザが所定の対処をするように音声により指示することが可能である。また、異常検出部により検出された異常状態をその端末のユーザに通知するのみならず、必要に応じて外部通信網を介して、例えばメンテナンスセンタ等から複数の端末ユーザに対して音声によるメッセージの送出が可能である。
【実施例】
【0018】
以下、本発明による通信システムおよびその異常通知方法の好適実施例の構成および動作を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明による通信システムの好適実施例のシステム構成を示すブロック図である。この通信システム10は、異常検出部11、制御部12、音声送出部A(又は第1音声送出部)13、音声送出部B(又は第2音声送出部)14、外部通信網15および出力部16により構成される。
【0020】
ここで、異常検出部11は、各種センサおよび検出回路等を内蔵しており、システム停電、電池の劣化(電圧低下)、通信圏外等の異常状態を検出する。制御部12は、一般にCPU(中央処理装置)により構成され、ROMやRAM等のメモリに予め格納されたプログラムに基づいて各部分の動作を制御する。音声送出部A13は、メモリIC、音声合成LSI等を内蔵し、ユーザに対して音声によるメッセージを出力する。外部通信網15は、電話回線等の通信網である。音声送出部B14は、電話回線等の外部ポートへ接続される。出力部16は、スピーカ、ハンドセット等である。
【0021】
また、システムが異常状態に陥った場合(即ち、異常検出部11によりシステム異常が検出された場合)に、例えば音声送出部A13から出力部16に送出され、音声にてその状態を各端末に通知される。ここで、種々のシステム異常に対して送出される音声信号を例示すると、次のとおりである。
「システムが停電です」
「電池が劣化しています」
「**の機能が異常です」
「電波圏外です」
【0022】
次に、図1に示す通信システム10の動作を、図2のフローチャートを参照して説明する。先ず、異常検出部11にて、異常を検出する(ステップS1)と、検出された異常情報は制御部12に送信される。そこで、制御部12は、受け取った異常情報に基づいて異常状態を判断又は認識する(ステップS2)。そして、制御部12は、例えば音声送出部A13に対して音声送出の制御を行う(ステップS3)。制御部12から音声送出が制御された音声送出部A13は、割り込みをかけて予め設定されている音声信号を各端末に送信する(ステップS4)。最後に、ユーザは、音声送出部A13から送出された音声信号に基づき異常現象に対処し、適切な対応を可能にする(ステップS5)。
【0023】
ここで、音声送出部A13が送出する音声信号の具体例について説明する。通信システムがビジネスホンであって、検出されたシステム異常が「システム停電」の場合には、例えば次の如き音声信号を送出する。
(1)「ただいま停電です。通話を速やかに終了して下さい」
(2)「ただいま停電です。現在バックアップ電池にて動作しています」
【0024】
一方、通信システムが携帯電話であって、内蔵電池が劣化した場合(即ち、電池の電圧が携帯電話の動作に必要な最低電圧の近くに低下した場合)には、例えば次の如き音声信号を送出する。
(1)「まもなく電池が切れます。充電して下さい」
(2)「電池電圧が低下しています。通信を中断して充電してください」
【0025】
次に、通信システムがビジネスホンであり、システム停電時における図1の通信システム10の動作の具体例を説明する。通信システム10の動作電源であるAC100Vの供給が何らかの原因で停止した場合には、異常検出部11で、この動作異常(状態:異常発生=停電)を検出し、その検出結果を制御部12へ送信する。この検出結果を受け取った制御部12は、このシステム異常を判断/認識し、内部のプログラムに基づき制御処理へ移行する(状態:異常認識→制御処理への移行)。そこで、制御部12は、音声送出部A13および出力部16を制御し、所定の音声信号を出力する(状態:音声送出部A13および出力部16のポートを接続し、異常状態の音声信号を送出)。
【0026】
次に、音声送出部A13は、内蔵するメモリICや音声合成LSIに格納された音声データを出力する(状態:出力部16のハンドセットから、例えば「ただいま停電です。数分で通話を終了してください」等のメッセージが割り込み送出される)。このメッセージに基づき、ユーザは、通話中であってもこのメッセージによる適切な対処が可能である。
【0027】
尚、制御部12は、音声送出部A13に代わって音声送出部B14を外部通信網15と接続し、異常状態を通知することも可能である。また、制御部12は、異常時に外部通信網15を介して外部、例えばメンテナンスセンタから音声信号を送出することも可能である(状態:メンテナンスセンタにて状態(停電状態)を把握。音声送出(通話割り込み)が可能)。
【0028】
ここで、出力部16への音声信号送出の具体例を説明する。通信システムが非通話中の場合には、特定の端末(又は全ての端末)又は図示しない外部出力装置(構内放送スピーカ等)へ音声パスを接続し、異常状態を通知する。他方、通話中の場合には、通話中のパスに音声送信部A13又は音声送出部B14を割り込ませ、ユーザの使用制限を促す(併せて上述した非通話中の処理を行ってもよい)。
【0029】
以上、本発明による通信システムおよびその異常情報通知方法の好適実施例の構成および動作を詳述した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による通信システムの好適実施例のシステム構成図である。
【図2】図1に示す通信システムの動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
10 通信システム
11 異常検出部
12 制御部
13、14 音声送出部
15 外部通信網
16 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPU等の制御部およびスピーカ等を含む出力部を備え、他の端末との間で通信可能に構成された通信システムにおいて、
システムの異常を検出するセンサ等を含む異常検出部と、該異常検出部が検出した異常状態を前記制御部により判断した結果に基づき所定の音声信号を前記出力部に送出する音声送出部とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記音声送出部は、予め決められた複数の音声データを記憶するメモリICおよび該メモリICから読み出された音声データを音声信号に変換する音声合成LSIを含むことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
外部通信網に接続される前記音声送出部とは別の音声送出部を備え、前記制御部からの外部通信網への異常通報により、前記出力部へ音声信号を送出することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記異常検出部により検出されるシステム異常は、停電、内蔵電池の劣化、電波圏外等であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の通信システム。
【請求項5】
CPU等の制御部およびスピーカを含む出力部を備え、他の端末と通信する通信システムの異常情報通知方法において、
前記通信システムの異常を検出することと、該検出された異常を前記制御部へ送出することと、該制御部からの音声送出制御に基づき前記出力部へ所定の音声信号を出力することとなることを特徴とする通信システムの異常情報通知方法。
【請求項6】
前記出力部へ出力される音声信号は、異常の内容およびそれに対するユーザの対処を含むことを特徴とする請求項5に記載の通信システムの異常情報通知方法。
【請求項7】
前記制御部は、外部通信網に制御信号を送出し、外部通信網から関係する複数の端末に対して音声による異常情報を送出することを特徴とする請求項5又は6に記載の通信システムの異常情報通知方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−135373(P2006−135373A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−318819(P2004−318819)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】