通信装置、情報管理システム及び情報管理方法
【課題】無線タグ等の通信装置の設置時において、通信装置と設置位置の対応表を予め作成することなく、通信装置が設置された位置において取得した情報を容易に管理することができる通信装置を提供する。
【解決手段】通信装置は、位置情報を無線通信により受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記位置情報を記憶する記憶手段と、自装置が設置されている場所における検出対象の状態を検出する検出手段と、他の装置からの要求に応じて、前記検出手段により検出された検出結果と前記記憶手段に記憶されている前記位置情報とを含む装置情報を、当該他の装置に無線通信により送信する送信手段とを備える。
【解決手段】通信装置は、位置情報を無線通信により受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記位置情報を記憶する記憶手段と、自装置が設置されている場所における検出対象の状態を検出する検出手段と、他の装置からの要求に応じて、前記検出手段により検出された検出結果と前記記憶手段に記憶されている前記位置情報とを含む装置情報を、当該他の装置に無線通信により送信する送信手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、情報管理システム及び情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりRFID (Radio Frequency IDentification)タグを農業に利用して作物の生育状況を管理する技術が提供されている。下記特許文献1には、農地の畝を覆うフィルムの藩種位置にRFID素子を設置し、畝と畝の間にビデオカメラとRFIDリーダを搭載した農作業支援機器を移動させ、RFIDリーダでRFID素子を読み取りながら藩種位置にある作物をビデオカメラで撮影し、作物の生育状況等の情報を取得する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−185111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来技術のように複数のRFIDタグを設置する場合、RFIDタグを設置するときに、どの位置にどのRFIDタグが設置されているかを確認できる対応表等を作成して管理しておかなければ、設置後にRFIDタグ装置から取得した情報がどの位置の情報か判断できず、作物等の状態を分析することが困難である。
本発明は、無線タグ等の通信装置の設置時において、通信装置と設置位置の対応表を予め作成することなく、通信装置が設置された位置において取得した情報を容易に管理することができる通信装置、情報管理システム、及び情報管理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る通信装置は、位置情報を無線通信により受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記位置情報を記憶する記憶手段と、自装置が設置されている場所における検出対象の状態を検出する検出手段と、他の装置からの要求に応じて、前記検出手段により検出された検出結果と前記記憶手段に記憶されている前記位置情報とを含む装置情報を、当該他の装置に無線通信により送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る情報管理システムは、無線通信機能を有する、複数の通信装置、読取装置、及び書込み装置を備え、前記複数の各通信装置は、前記書込み装置から位置情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記位置情報を記憶する記憶手段と、自装置が設置されている場所における検出対象の状態を検出する検出手段と、前記読取装置からの要求に応じて、前記検出手段により検出された検出結果を示す情報と前記記憶手段に記憶されている前記位置情報とを含む装置情報を送信する送信手段とを備え、前記書込み装置は、前記複数の通信装置の各々に対し、前記各通信装置の位置を示す位置情報を送信する位置情報送信手段を備え、前記読取装置は、前記複数の通信装置の各々に対して、前記各通信装置の前記検出結果を要求する検出結果要求手段と、前記検出結果要求手段が要求した前記通信装置から当該通信装置の前記装置情報を受信する受信手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る情報管理方法は、設置された位置において予め設定された検出対象の状態を検出する検出機構と、無線通信機構とを備えた複数の通信装置を各々設置する設置ステップと、無線通信機構を備え、位置情報を記憶する書込み装置を用い、前記設置ステップにおいて設置された前記複数の通信装置毎に前記位置情報を書き込む位置情報書込みステップと、無線通信機構を備えた読取装置を用いて、前記複数の通信装置の各々が検出した検出結果と各通信装置に書き込まれた前記位置情報とを読み出す読み出しステップとを有することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、通信装置を設置する際に、通信装置と設置位置の対応表を予め作成することなく、通信装置が設置された位置において検出された情報を容易に管理することができる。
【0008】
また、前記情報管理システムの構成において、前記書込み装置は、前記各通信装置と予め定められた通信距離範囲に接近したときに自装置の位置を検出する位置検出手段を備え、前記位置情報送信手段は、前記各通信装置に前記位置情報を送信する際に、前記位置検出手段により検出された前記自装置の位置を示す位置情報を、当該通信装置の前記位置情報として送信することとしてもよい。この構成によれば、書込み装置が通信装置に通信距離範囲内に接近したときに検出された書込み装置の位置情報が通信装置の位置情報として設定される。
【0009】
また、前記情報管理システムの構成において、前記書込み装置は、予め定めた複数の位置情報と、当該位置情報を割当てる割当順序とを記憶する位置情報記憶手段を備え、前記位置情報送信手段は、前記複数の通信装置と無線通信を行う順序を前記位置情報の割当順序とし、当該割当順序に対応する前記位置情報を当該通信装置に送信することとしてもよい。この構成によれば、書込み装置が各通信装置と無線通信を行う順序に応じた位置情報が、通信装置毎に設定される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態における情報管理システムの概要を説明する図である。
【図2】第1実施形態におけるRFIDタグ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は、第1実施形態におけるRFIDタグ装置の記憶領域を説明する図である。(b)は、第1実施形態における検出情報のデータ例を示す図である。
【図4】第1実施形態におけるリーダライタ装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第1実施形態における装置情報のデータ例を示す図である。
【図6】第1実施形態の情報管理システムの動作フローを示す図である。
【図7】第2実施形態における情報管理システムの概要を説明する図である。
【図8】第2実施形態におけるリーダライタ装置の構成を示すブロック図である。
【図9】(a)は、第2実施形態の位置情報を説明する図である。(b)は、第2実施形態における割当位置情報のデータ例を示す図である。
【図10】第2実施形態の情報管理システムの動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態の情報管理システムについて図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
本実施形態では、例えば、数m単位に細分化した農地の各領域における土壌の温度等を測定し、領域毎に土壌の肥沃性や作物の生育状況などを管理する精密農業における情報管理システムを説明する。
<概要>
本実施形態の情報管理システムでは、図1に示すように、まず、細分化された農地1の各領域1aに、温度センサーを内蔵するRFIDタグ装置2を作業者が設置する。そして、RFIDタグ装置2に対してデータの読み出しや書込みを行うリーダライタ装置3を搭載したトラクター4で、矢印A方向に向かって農地1を折り返しながら移動し、各RFIDタグ装置2が設置された位置を示す位置情報を各々のRFIDタグ装置2に書き込んでいく。その後、作業者が農地1の所望する場所でリーダライタ装置3を持って移動し、各RFIDタグ装置2の温度センサーで検出した温度情報をリーダライタ装置3で読み取っていく。このように、本実施形態では、RFIDタグ装置2により農地1の領域1a毎の温度を検出し、その検出結果を回収することで領域毎の温度管理を行う。以下、上述した本実施形態における情報管理システムの詳細について説明する。
【0012】
<構成>
図2は、RFIDタグ装置2のブロック図を示している。図2に示すように、RFIDタグ装置2は、制御部21、記憶部22、無線通信部23、アンテナ24、センサー部25、時計部26、及び電源部27を筐体に含んで構成されている。
【0013】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含み、ROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより制御部21と接続された各部を制御する。特に、制御部21は、無線通信部23を制御し、リーダライタ装置3から自装置の位置情報を受信する受信手段としての機能と、後述のセンサー部25によって検出された検出結果と自装置の位置情報とをリーダライタ装置3の要求に応じて送信する送信手段としての機能とを有する。
【0014】
記憶部22は、書き換え可能な不揮発性の記憶媒体で構成されており、制御部21の制御の下、RFIDタグ装置2の位置情報や検出情報を記憶する。
【0015】
ここで、記憶部22に記憶されるデータについて説明する。図3(a)は、記憶部22の記憶領域を概念的に表した図である。図示するように、記憶部22には、RFIDタグ装置2の製造時において予め設定された各RFIDタグ装置を識別するためのIDを記憶するID記憶領域22aと、検出情報を記憶するデータ記憶領域22bとが設けられている。ID記憶領域22aには、リーダライタ装置3からRFIDタグ装置2の位置情報が送信されるまでは、製造時に設定されたIDが記憶され、リーダライタ装置3から位置情報が送信された際に位置情報に書き換えられる。
また、データ記憶領域22bには、後述のセンサー部25によって検出された検出結果と検出時刻とを対応づけた図3(b)に示す検出情報200が記憶される。検出結果は、例えば1時間毎にセンサー部25によって検出された温度であり、検出時刻は、検出結果の温度が検出されたときに時計部26によって出力された日時である。
【0016】
図2の説明に戻る。無線通信部23は、電磁誘導方式の無線通信手段であり、制御部21の制御の下、予め設定された周波数帯域の電波を通信距離範囲内のリーダライタ装置3からアンテナ24を介して受信し、リーダライタ装置3と無線通信を行う。また、無線接続されているリーダライタ装置3から受信したデータの書込み要求又は読み出し要求を制御部21へ送出し、制御部21の制御に応じて、リーダライタ装置3へデータを送信する。
【0017】
センサー部25は、温度センサーを有し、自装置が設置された場所における温度、即ち、自装置の筐体を通じて伝達される設置場所の温度を逐次検出する検出手段としての機能を有し、検出結果を示す温度情報を制御部21に送出する。
【0018】
時計部26は、現在日時を計時し、計時した日時を示す時刻情報を制御部21へ送出する。電源部27は、電池を有しており、RFIDタグ装置2内の各部へ電力を供給する。
【0019】
次に、リーダライタ装置3の構成について説明する。図4は、本実施形態におけるリーダライタ装置3のブロック図を示している。図示するように、リーダライタ装置3は、制御部31、位置情報生成部32、記憶部33、無線通信部34、アンテナ35、操作部36、及び表示部37を含んで構成されている。
【0020】
制御部31は、CPU、ROM及びRAMを含み、ROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより制御部31と接続された各部を制御する。具体的には、制御部31は、RFIDタグ装置2に対してデータの読み出しを要求するリード機能とデータの書込みを要求するライト機能とをユーザ操作に応じて切替え、RFIDタグ装置2毎に、位置情報の書込み要求を送信する位置情報送信手段としての機能と、検出情報の読み出し要求を送信する検出情報要求手段としての機能とを有する。
【0021】
位置情報生成部32は、GPS(Global Positioning System)機能を備え、制御部31の制御の下、自装置の位置を検出する位置検出手段としての機能を有し、検出結果に基づく位置情報を生成して制御部31に送出する。
本実施形態では、GPS機能による検出結果(緯度、経度)を位置情報として出力する例について説明するが、測定結果から予め定めたアルゴリズムにより位置情報を生成して出力してもよい。なお、測定結果から位置情報を生成する場合には、例えば、農地1に予め座標を設定し、各座標におけるGPS機能の検出結果を取得しておき、検出結果が得られた位置と最も近接する座標を位置情報とするなどの方法により位置情報を生成してもよい。
【0022】
記憶部33は、不揮発性等の記憶媒体で構成されており、RFIDタグ装置2の位置情報及び検出情報を含む装置情報を記憶する。ここで、装置情報のデータ例を図5に示す。図5に示すように、装置情報300には、各RFIDタグ装置2の位置情報(緯度、経度)と検出情報(検出時刻及び検出結果)が対応づけられている。
【0023】
図4に戻り、無線通信部34は、制御部31の制御の下、アンテナ35を介して、通信距離範囲内のRFIDタグ装置2と無線通信を行い、RFIDタグ装置2毎に位置情報の書込み要求や検出情報の読み出し要求を送信する。また、RFIDタグ装置2から位置情報や検出情報のデータを受信し、受信したデータを制御部31へ送出する。
【0024】
操作部36は、リード機能とライト機能とを切替える操作や数字や文字等の入力操作を受付ける各種操作ボタンを有し、ユーザ操作に応じた操作信号を制御部31へ送出する。
【0025】
また、表示部37は、液晶等のディスプレイを有し、RFIDタグ装置2からデータを読み出すリード機能と、RFIDタグ装置2にデータを書き込むライト機能を切替えるメニュー画面やRFIDタグ装置2から読み取ったデータ等の画像を表示する。
【0026】
<動作>
次に、本実施形態における情報管理システムの動作について説明する。図6は、本実施形態の情報管理システム全体の動作を示すフロー図である。以下、図6の各ステップについて説明する。
【0027】
複数のRFIDタグ装置2が、作業者の手により図1に示す農地1に例えば1m等の間隔で各々配置される(ステップS10)。
【0028】
各RFIDタグ装置2の配置後、リーダライタ装置3により農地1上に配置された各RFIDタグ装置2に順次位置情報を書き込む(ステップS20)。具体的には、作業者は、操作部36を操作してリーダライタ装置3をライト機能に切替えてトラクター4に取り付け、農地1に配置した各RFIDタグ装置2とリーダライタ装置3とが無線接続できるようにトラクター4を順次移動させる。
【0029】
リーダライタ装置3の制御部31は、無線通信部34によりアンテナ35から電波を送信し、通信範囲内において近接しているRFIDタグ装置2と無線通信を行う。また、RFIDタグ装置2と無線通信を行っている位置において、位置情報生成部32により自装置の位置を検出する。そして、制御部31は、無線通信を行っているRFIDタグ装置2に対し、位置情報生成部32により出力された検出結果を当該RFIDタグ装置2の位置情報として書き込む書込み要求を送信する。
【0030】
RFIDタグ装置2の制御部21は、リーダライタ装置3から送信された位置情報の書込み要求を、無線通信部23からアンテナ24を介して受信する。そして、記憶部23のID記憶領域22aに記憶されているIDを、受信した位置情報に書き換える。
【0031】
このようにして、リーダライタ装置3を取り付けたトラクター4で農地1を移動する毎に、リーダライタ装置3と各RFIDタグ装置2とが無線接続され、各RFIDタグ装置2に、当該RFIDタグ装置2が設置された位置を示す位置情報が順次書き込まれる。
【0032】
各RFIDタグ装置2の位置情報が書き込まれた後、各RFIDタグ装置2の制御部21は、センサー部25において一定時間毎に設置位置における温度を検出し、検出結果と時計部26によって計時された検出時刻とを対応づけた検出情報200を記憶部22のデータ記憶領域22bに順次記憶する(ステップS30)。
【0033】
そして一定期間の経過後、作業者は、操作部36を操作してリーダライタ装置3をリード機能に切替え、農地1の全領域又は任意の場所等、農地1の土壌の温度を確認したい場所にリーダライタ装置3を持って移動し、移動した位置において、リーダライタ装置3により各RFIDタグ装置2から検出情報を回収する(ステップS40)。
【0034】
即ち、リーダライタ装置3の制御部31は、移動された位置において、無線通信部34によりRFIDタグ装置2毎に無線通信を行い、位置情報及び検出情報を読み出すことを要求する読み出し要求を送信する。
【0035】
また、RFIDタグ装置2の制御部21は、リーダライタ装置3から送信された読み出し要求を受信すると、記憶部22のID記憶領域22aから位置情報を読み出すと共に、データ記憶領域22bから検出情報200を読み出し、位置情報と検出情報とを含む装置情報をリーダライタ装置3に送信する。
【0036】
なお、RFIDタグ装置2の制御部21は、リーダライタ装置3からの読み出し要求に応じて送信した検出情報について、送信済であることを示すフラグを検出情報に対応づけて記憶してもよい。また、送信済の検出情報が記憶されている記憶領域に消去済フラグを設定し、その領域に新たな検出情報を上書きできるようにしておいてもよい。このように処理することで、検出情報の重複送信の防止や、データ記憶領域の有効活用化を図ることができる。
【0037】
リーダライタ装置3の制御部31は、無線通信部34を介して無線接続を行っているRFIDタグ装置2の各々から位置情報と検出情報とを含む装置情報を順次受信すると、受信した各装置情報300を記憶部33に記憶する。これにより、農地1に配置された各RFIDタグ装置2に蓄積された検出結果をリーダライタ装置3で回収することができる。
【0038】
このように、本実施形態では、作業者が、RFIDタグ装置2を農地1に配置する際、各RFIDタグ装置2を農地1のどこに配置したかを管理するために、RFIDタグ装置2に予め設定されているIDと配置した位置情報とを対応づけた管理テーブルを作成する作業を行うことなく、所望する適当な場所に多数のRFIDタグ装置2を配置することができる。また、作業者は、温度を確認したい場所にリーダライタ装置3を持って移動し、RFIDタグ装置2から検出情報と位置情報とを読み出すだけで、どの位置で検出された温度かを容易に特定することができ、RFIDタグ装置2が配置された各位置における温度変化や異なる位置間の温度変化を容易に調査することが可能となる。
【0039】
<第2実施形態>
本実施形態では、上述した第1実施形態と同様のRFIDタグ装置及びリーダライタ装置を用いて、建造物の健全性を監視するヘルスモニタリングを行う場合の情報管理システムについて説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同じ符号を用いて説明し、第1実施形態と異なる部分について説明を行う。
【0040】
<概要>
図7は、本実施形態においてヘルスモニタリングを行う建物の例を示している。図7に示す70a、70b等の各立方体は、建物70内の各部屋を表しており、この建物70には各階に4つの部屋が設けられている。本実施形態では、予め定めた建物70における特定箇所のひずみを検出し、検出結果を一定期間毎に回収することで建物70の健全性を調査する。
この例では、建物70の施工時において、耐震ダンパー等が設置されている複数の箇所に、ひずみセンサーを備えるRFIDタグ装置2を配置すると共に、リード機能に設定されたリーダライタ装置3を各階又は建物70における特定の区画毎に設置する。本実施形態では、各階の各部屋に設けられた耐震ダンパーの一つにRFIDタグ装置2を配置する例について説明するが、各部屋に複数のRFIDタグ装置2を配置するようにしてもよい。
【0041】
<構成>
以下、第1実施形態と異なるRFIDタグ装置2及びリーダライタ装置3の構成について説明する。本実施形態のRFIDタグ装置2は、図2に示す構成と同様の構成を有するが、センサー部25は、ひずみセンサーを有している点で第1実施形態と異なる。センサー部25は、被測定対象物と接触するように設置され、被測定対象物のひずみに応じて変化する抵抗値を出力する。
【0042】
図8は、本実施形態のリーダライタ装置3の構成を示している。図8に示すように、リーダライタ装置3は、位置情報生成部32を有していない点で第1実施形態と異なる。また、記憶部33には、RFIDタグ装置2に対して割当てる位置情報が予め記憶されている。
ここで、図7の建物70に設置するRFIDタグ装置2に割当てる位置情報について説明する。図9(a)は、建物70と位置情報との関係を表した図である。図7に示すように建物70に対しXYZ軸を定義した場合、部屋の位置に対応するXYZの値を組み合わせた数字がその部屋の位置情報として設定されている。例えば、部屋70aは位置情報として「111」(X=1、Y=1、Z=1)が設定されており、部屋70bは位置情報として「224」(X=2、Y=2、Z=4)が設定されている。このように、位置情報を表す数字の各桁には、建物70について定義された各位置を表す情報が設定される。
【0043】
次に、このようにして定義された各部屋の位置情報をRFIDタグ装置2に対して割当てる割当順序を予め設定しておく。図9(b)は、各部屋の位置情報とその割当順序とを対応づけた割当位置情報301のデータ例である。建物70の1階(Z1)から4階(Z4)まで予め定めた順番に、作業者がリーダライタ装置3を持って各部屋へ移動する。移動した部屋のRFIDタグ装置2に対して位置情報を割当てる順序に応じて、割当位置情報301における位置情報がそのRFIDタグ装置2に設定される。
【0044】
このように、本実施形態では、予め定義した位置情報とその割当順序とを割当位置情報301として予め設定しておき、作業者がRFIDタグ装置2に割当てる順序に対応する位置情報をRFIDタグ装置2に書き込む。
なお、上記の例では、予め位置情報の割当順序を決めておく例であるが、作業者が、各RFIDタグ装置2が設置されている部屋に移動した際に、操作部36の数字ボタンを操作して位置情報を入力し、入力した位置情報をその部屋に設置されているRFIDタグ装置2に書き込むようにしてもよい。
【0045】
また、本実施形態の制御部31は、自装置がライト機能に有効化されている場合において、各RFIDタグ装置2と無線通信を行う順序を位置情報の割当順序とみなし、その割当順序に対応する位置情報をRFIDタグ装置2に対して送信する。なお、同じRFIDタグ装置2と誤って無線接続した場合等において、前回の接続とは異なる位置情報をRFIDタグ装置2に書き込むことを防止するため、位置情報生成部32は、RFIDタグ装置2に書込み要求を送信する前に、そのRFIDタグ装置2の位置情報を読み出し、割当位置情報301の位置情報と一致するか否か判定する。
【0046】
<動作>
以下、本実施形態における情報管理システムの動作を、図10の動作フローを用いて説明する。
まず、建物70の施工時において、作業者は、予め定めた建物70の各部屋の耐震ダンパーにRFIDタグ装置2を設置する(ステップS100)。そして、各部屋にRFIDタグ装置2を設置後、作業者は、記憶部33に記憶している割当順序情報の割当順序に従い、ライト機能を有効化したリーダライタ装置3を持って各部屋を移動する(ステップS200)。なお、ステップS200において、作業者が位置情報の割当順序を確認できるように、リーダライタ装置3の制御部31により、記憶部33に記憶されている割当位置情報301を表示部37に表示してもよい。
【0047】
リーダライタ装置3の制御部33は、無線通信部34によりアンテナ35を介して、移動した場所に設置されたRFIDタグ装置2と無線通信を行う。そして、制御部31は、そのRFIDタグ装置2への位置情報の割当順序と対応する位置情報を、記憶部33内の割当位置情報301から読み出し、そのRFIDタグ装置2に対して位置情報の書込み要求を送信し、割当てた順序をRAMに記憶する。
【0048】
RFIDタグ装置2の制御部21は、無線通信部23によりアンテナ24を介してリーダライタ装置3からの書込み要求を受信すると、書込み要求で指示された位置情報を記憶部22のID記憶領域22aに書き込む。このようにして、リーダライタ装置3は、作業者が各部屋に移動してRFIDタグ装置2と無線接続する毎に、上記処理を繰り返し行って割当順序に対応する位置情報をRFIDタグ装置2に順次書き込んでいく(ステップS300)。
【0049】
全てのRFIDタグ装置2に位置情報を書き込む工程が終了した後、作業者は、リーダライタ装置3の電波強度に応じて、各階の各部屋に設置されたRFIDタグ装置2と無線接続可能な位置にリード機能を有効化したリーダライタ装置3を1台設置する(ステップS400)。本実施形態では、リード機能が有効化されたリーダライタ装置3は、予め設定された一定時間毎に、自装置が設置された階に配置されているRFIDタグ装置2と無線接続を行い、各RFIDタグ装置2に検出情報の読み出し要求を送信するように設定されている。
【0050】
なお、リーダライタ装置3を各階に設置した際、リーダライタ装置3とRFIDタグ装置2とを無線接続し、各RFIDタグ装置2に設定された位置情報をリーダライタ装置3から読み出し、リーダライタ装置3に予め登録するようにしてもよい。リーダライタ装置3にRFIDタグ装置2の位置情報を予め登録しておくことで、リーダライタ装置3がRFIDタグ装置2の検出情報を読み出す際に、検出情報の読み出し漏れがないか確認することができる。
【0051】
RFIDタグ装置2の位置情報の書込みとリーダライタ装置3を設置する工程が終了した後、各階に設置されたRFIDタグ装置2の制御部21は、センサー部25によって検出された検出結果と時計部26によって計時された検出時刻とを対応づけた検出情報を記憶部22に逐次記憶していく(ステップS500)。
【0052】
また、各階に設置されたリーダライタ装置3の制御部31は、例えば、1日単位等の一定時間毎に、自装置が配置されている階の各RFIDタグ装置2に対し、検出情報の読み出し要求を無線通信部34により順次送信する。
【0053】
各RFIDタグ装置2の制御部21は、リーダライタ装置3からの検出情報の読み出し要求を無線通信部23により受信すると、記憶部22のID記憶領域22aから位置情報を読み出し、データ記憶領域22bから検出情報を読み出す。そして、無線通信部23により、位置情報及び検出情報を含む装置情報をリーダライタ装置3へ送信する。リーダライタ装置3の制御部31は、無線通信部34により各RFIDタグ装置3から装置情報を順次受信し、受信した装置情報を記憶部33に順次記憶する(ステップS600)。
【0054】
このようにして、各階に設置されたリーダライタ装置3に、各RFIDタグ装置2の装置情報が蓄積され、リーダライタ装置3に蓄積された装置情報が作業者により回収される(ステップS700)。なお、リーダライタ装置3に蓄積された各装置情報の回収は、例えば、外部装置と各リーダライタ装置3との間を無線接続し、各リーダライタ装置3に蓄積された装置情報を外部装置から読み出すようにしてもよい。また、各リーダライタ装置3の間でアドホック通信を行い、各リーダライタ装置3に記憶されている装置情報を、予め設定されたデータ回収用のリーダライタ装置3に送信する。そしてデータ回収用のリーダライタ装置3と外部装置とを有線又は無線接続し、データ回収用のリーダライタ装置3から外部装置に装置情報を送信するようにしてもよい。
【0055】
上述した実施形態では、施工時にRFIDタグ装置2を予め定めた位置に設置し、設置後に、予め定めた順序でRFIDタグ装置2とリーダライタ装置3とを無線接続するだけで、各RFIDタグ装置2が設置された位置を示す位置情報をRFIDタグ装置2に書き込むことができる。そのため、RFIDタグ装置2の設置時において、RFIDタグ装置2に予め設定されているID情報と、RFIDタグ装置2を設置した位置の位置情報とを対応づけたテーブル等を作成する作業を行うことなく、RFIDタグ装置2を容易に設置することができる。
また、RFIDタグ装置2に蓄積された検出情報と位置情報とを、RFIDタグ装置2と無線接続された複数のリーダライタ装置3が読み出して回収することができるため、RFIDタグ装置2の検出情報を回収するための配線作業等を行う必要がない。また、どこに設置されたRFIDタグ装置2の検出情報かを位置情報により特定することができるため、容易に建造物の損傷などを調査・分析することができる。
【0056】
以下、本発明に係る第1実施形態及び第2実施形態の変形例について説明する。
(1)上述した実施形態では、RFIDタグ装置2のセンサー部25は、温度センサー又はひずみセンサーを有する例であったが、湿度センサー、磁気センサー、光センサー等、RFIDタグ装置2が設置された位置における被測定対象物の状態に応じた物理量を出力するセンサーのほか、位置センサーや角度センサー、加速度センサーなど、RFIDタグ装置2の姿勢や速度等の機械量を検出するセンサーが設けられていてもよい。また、例えば、被測定対象物が破損しているか否か等の被測定対象物の状態を表す情報を、センサー部25によって検出された検出結果に基づいて生成し出力するようにしてもよい。
【0057】
(2)また、上述した実施形態では、RFIDタグ装置2の位置情報と検出情報とをリーダライタ装置3に送信する例であったが、センサー部25が検出する対象を示す情報やセンサーの種類を示す情報等、検出内容が特定できるセンサー情報を予めRFIDタグ装置2に設定し、位置情報及び検出情報と共にセンサー情報をリーダライタ装置3に送信するようにしてもよい。
【0058】
(3)また、上述した実施形態では、RFIDタグ装置2に予め設定されているIDをリーダライタ装置3において生成した位置情報に書き換える例であったが、IDの書き換えを行わないようにしてもよい。この場合には、IDに位置情報を付加して書込み、RFIDタグ装置2から検出情報をリーダライタ装置3に送信する際には、IDと位置情報と検出情報とをリーダライタ装置3に送信するようにしてもよい。
【0059】
(4)また、上述した実施形態では、RFIDタグ装置2には、温度センサー又はひずみセンサーが設けられている例であったが、例えば、温度センサーと湿度センサーを設ける等、RFIDタグ装置2に複数のセンサーを設けるようにしてもよい。この場合には、各検出情報を出力する際に、センサーの種別を示す情報を付加して出力する。
【0060】
(5)上述した実施形態のRFIDタグ装置2は、記憶部22が設けられている例であったが、記憶部22が設けられていない構成である場合には、リーダライタ装置3とRFIDタグ装置2を一定時間毎に無線接続し、無線接続したときにRFIDタグ装置2の検出情報と位置情報とをリーダライタ装置3が読み出すようにしてもよい。
【0061】
(6)上述した第1実施形態では、各RFIDタグ装置2の検出情報をリーダライタ装置3により個別に読み出す例であり、第2実施形態では、複数のリーダライタ装置3と外部装置との間で無線接続を行って各リーダライタ装置3に蓄積された装置情報を回収する例について説明したが、RFIDタグ装置2にアドホック通信機能を設け、予め定めたRFIDタグ装置2に各RFIDタグ装置2の装置情報が蓄積されるように、RFIDタグ装置2間で装置情報を送受信するようにしてもよい。この場合、他のRFIDタグ装置2の装置情報が蓄積されたRFIDタグ装置2とリーダライタ装置3とを無線接続して、全RFIDタグ装置2の装置情報を回収するようにする。
【0062】
(7)上述した実施形態では、RFIDタグ装置2を土地や建物に設置する例について説明したが、橋梁等の構造物、人、動物、樹木等の生物にRFIDタグ装置2を設置してもよい。
【0063】
(8)また、上述した実施形態では、RFIDタグ装置2の電源部27において電池が消耗した場合に、電池が消耗したことを示す情報をリーダライタ装置3へ通知しない例であったが、RFIDタグ装置2の電源部27の電池残量が一定値以下となった場合に、電池が消耗したことを示す情報を装置情報と共にリーダライタ装置3に送信してもよいし、電池が消耗したことを示す警告音を報知する報知手段をRFIDタグ装置2に設けるようにしてもよい。なお、この場合には、RFIDタグ装置2において電池残量を検出する検出機構を設けると共に、記憶部22に電池残量の閾値情報を記憶するように構成する。
【0064】
(9)また、上述した実施形態では、リード機能とライト機能を備えたリーダライタ装置3を例に説明したが、リード機能のみを備えた読取装置、ライト機能のみを備えた書込み装置を用いるようにしてもよい。この場合には、書込み装置において、RFIDタグ装置2の位置情報をGPS機能により検出する、又は、予め定めた位置情報を記憶するように構成し、各RFIDタグ装置2と無線通信を行う際に、各RFIDタグ装置2に位置情報の書込み要求を送信する。また、読取装置においては、各RFIDタグ装置2と無線通信を行い、RFIDタグ装置2毎の装置情報の読み出し要求を送信してRFIDタグ装置2から装置情報を受信する。
(10)また、上述した実施形態では、通信装置としてRFIDタグ装置2を用いる例について説明したが、無線通信機能を備える通信装置であればこれに限らない。
【符号の説明】
【0065】
2・・・RFIDタグ装置、3・・・リーダライタ装置、21,31・・・制御部、22,33・・・記憶部、23,34・・・無線通信部、24,35・・・アンテナ、25・・・センサー部、26・・・時計部、27・・・電源部、32・・・位置情報生成部、36・・・操作部、37・・・表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、情報管理システム及び情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりRFID (Radio Frequency IDentification)タグを農業に利用して作物の生育状況を管理する技術が提供されている。下記特許文献1には、農地の畝を覆うフィルムの藩種位置にRFID素子を設置し、畝と畝の間にビデオカメラとRFIDリーダを搭載した農作業支援機器を移動させ、RFIDリーダでRFID素子を読み取りながら藩種位置にある作物をビデオカメラで撮影し、作物の生育状況等の情報を取得する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−185111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来技術のように複数のRFIDタグを設置する場合、RFIDタグを設置するときに、どの位置にどのRFIDタグが設置されているかを確認できる対応表等を作成して管理しておかなければ、設置後にRFIDタグ装置から取得した情報がどの位置の情報か判断できず、作物等の状態を分析することが困難である。
本発明は、無線タグ等の通信装置の設置時において、通信装置と設置位置の対応表を予め作成することなく、通信装置が設置された位置において取得した情報を容易に管理することができる通信装置、情報管理システム、及び情報管理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る通信装置は、位置情報を無線通信により受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記位置情報を記憶する記憶手段と、自装置が設置されている場所における検出対象の状態を検出する検出手段と、他の装置からの要求に応じて、前記検出手段により検出された検出結果と前記記憶手段に記憶されている前記位置情報とを含む装置情報を、当該他の装置に無線通信により送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る情報管理システムは、無線通信機能を有する、複数の通信装置、読取装置、及び書込み装置を備え、前記複数の各通信装置は、前記書込み装置から位置情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記位置情報を記憶する記憶手段と、自装置が設置されている場所における検出対象の状態を検出する検出手段と、前記読取装置からの要求に応じて、前記検出手段により検出された検出結果を示す情報と前記記憶手段に記憶されている前記位置情報とを含む装置情報を送信する送信手段とを備え、前記書込み装置は、前記複数の通信装置の各々に対し、前記各通信装置の位置を示す位置情報を送信する位置情報送信手段を備え、前記読取装置は、前記複数の通信装置の各々に対して、前記各通信装置の前記検出結果を要求する検出結果要求手段と、前記検出結果要求手段が要求した前記通信装置から当該通信装置の前記装置情報を受信する受信手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る情報管理方法は、設置された位置において予め設定された検出対象の状態を検出する検出機構と、無線通信機構とを備えた複数の通信装置を各々設置する設置ステップと、無線通信機構を備え、位置情報を記憶する書込み装置を用い、前記設置ステップにおいて設置された前記複数の通信装置毎に前記位置情報を書き込む位置情報書込みステップと、無線通信機構を備えた読取装置を用いて、前記複数の通信装置の各々が検出した検出結果と各通信装置に書き込まれた前記位置情報とを読み出す読み出しステップとを有することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、通信装置を設置する際に、通信装置と設置位置の対応表を予め作成することなく、通信装置が設置された位置において検出された情報を容易に管理することができる。
【0008】
また、前記情報管理システムの構成において、前記書込み装置は、前記各通信装置と予め定められた通信距離範囲に接近したときに自装置の位置を検出する位置検出手段を備え、前記位置情報送信手段は、前記各通信装置に前記位置情報を送信する際に、前記位置検出手段により検出された前記自装置の位置を示す位置情報を、当該通信装置の前記位置情報として送信することとしてもよい。この構成によれば、書込み装置が通信装置に通信距離範囲内に接近したときに検出された書込み装置の位置情報が通信装置の位置情報として設定される。
【0009】
また、前記情報管理システムの構成において、前記書込み装置は、予め定めた複数の位置情報と、当該位置情報を割当てる割当順序とを記憶する位置情報記憶手段を備え、前記位置情報送信手段は、前記複数の通信装置と無線通信を行う順序を前記位置情報の割当順序とし、当該割当順序に対応する前記位置情報を当該通信装置に送信することとしてもよい。この構成によれば、書込み装置が各通信装置と無線通信を行う順序に応じた位置情報が、通信装置毎に設定される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態における情報管理システムの概要を説明する図である。
【図2】第1実施形態におけるRFIDタグ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は、第1実施形態におけるRFIDタグ装置の記憶領域を説明する図である。(b)は、第1実施形態における検出情報のデータ例を示す図である。
【図4】第1実施形態におけるリーダライタ装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第1実施形態における装置情報のデータ例を示す図である。
【図6】第1実施形態の情報管理システムの動作フローを示す図である。
【図7】第2実施形態における情報管理システムの概要を説明する図である。
【図8】第2実施形態におけるリーダライタ装置の構成を示すブロック図である。
【図9】(a)は、第2実施形態の位置情報を説明する図である。(b)は、第2実施形態における割当位置情報のデータ例を示す図である。
【図10】第2実施形態の情報管理システムの動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態の情報管理システムについて図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
本実施形態では、例えば、数m単位に細分化した農地の各領域における土壌の温度等を測定し、領域毎に土壌の肥沃性や作物の生育状況などを管理する精密農業における情報管理システムを説明する。
<概要>
本実施形態の情報管理システムでは、図1に示すように、まず、細分化された農地1の各領域1aに、温度センサーを内蔵するRFIDタグ装置2を作業者が設置する。そして、RFIDタグ装置2に対してデータの読み出しや書込みを行うリーダライタ装置3を搭載したトラクター4で、矢印A方向に向かって農地1を折り返しながら移動し、各RFIDタグ装置2が設置された位置を示す位置情報を各々のRFIDタグ装置2に書き込んでいく。その後、作業者が農地1の所望する場所でリーダライタ装置3を持って移動し、各RFIDタグ装置2の温度センサーで検出した温度情報をリーダライタ装置3で読み取っていく。このように、本実施形態では、RFIDタグ装置2により農地1の領域1a毎の温度を検出し、その検出結果を回収することで領域毎の温度管理を行う。以下、上述した本実施形態における情報管理システムの詳細について説明する。
【0012】
<構成>
図2は、RFIDタグ装置2のブロック図を示している。図2に示すように、RFIDタグ装置2は、制御部21、記憶部22、無線通信部23、アンテナ24、センサー部25、時計部26、及び電源部27を筐体に含んで構成されている。
【0013】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含み、ROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより制御部21と接続された各部を制御する。特に、制御部21は、無線通信部23を制御し、リーダライタ装置3から自装置の位置情報を受信する受信手段としての機能と、後述のセンサー部25によって検出された検出結果と自装置の位置情報とをリーダライタ装置3の要求に応じて送信する送信手段としての機能とを有する。
【0014】
記憶部22は、書き換え可能な不揮発性の記憶媒体で構成されており、制御部21の制御の下、RFIDタグ装置2の位置情報や検出情報を記憶する。
【0015】
ここで、記憶部22に記憶されるデータについて説明する。図3(a)は、記憶部22の記憶領域を概念的に表した図である。図示するように、記憶部22には、RFIDタグ装置2の製造時において予め設定された各RFIDタグ装置を識別するためのIDを記憶するID記憶領域22aと、検出情報を記憶するデータ記憶領域22bとが設けられている。ID記憶領域22aには、リーダライタ装置3からRFIDタグ装置2の位置情報が送信されるまでは、製造時に設定されたIDが記憶され、リーダライタ装置3から位置情報が送信された際に位置情報に書き換えられる。
また、データ記憶領域22bには、後述のセンサー部25によって検出された検出結果と検出時刻とを対応づけた図3(b)に示す検出情報200が記憶される。検出結果は、例えば1時間毎にセンサー部25によって検出された温度であり、検出時刻は、検出結果の温度が検出されたときに時計部26によって出力された日時である。
【0016】
図2の説明に戻る。無線通信部23は、電磁誘導方式の無線通信手段であり、制御部21の制御の下、予め設定された周波数帯域の電波を通信距離範囲内のリーダライタ装置3からアンテナ24を介して受信し、リーダライタ装置3と無線通信を行う。また、無線接続されているリーダライタ装置3から受信したデータの書込み要求又は読み出し要求を制御部21へ送出し、制御部21の制御に応じて、リーダライタ装置3へデータを送信する。
【0017】
センサー部25は、温度センサーを有し、自装置が設置された場所における温度、即ち、自装置の筐体を通じて伝達される設置場所の温度を逐次検出する検出手段としての機能を有し、検出結果を示す温度情報を制御部21に送出する。
【0018】
時計部26は、現在日時を計時し、計時した日時を示す時刻情報を制御部21へ送出する。電源部27は、電池を有しており、RFIDタグ装置2内の各部へ電力を供給する。
【0019】
次に、リーダライタ装置3の構成について説明する。図4は、本実施形態におけるリーダライタ装置3のブロック図を示している。図示するように、リーダライタ装置3は、制御部31、位置情報生成部32、記憶部33、無線通信部34、アンテナ35、操作部36、及び表示部37を含んで構成されている。
【0020】
制御部31は、CPU、ROM及びRAMを含み、ROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより制御部31と接続された各部を制御する。具体的には、制御部31は、RFIDタグ装置2に対してデータの読み出しを要求するリード機能とデータの書込みを要求するライト機能とをユーザ操作に応じて切替え、RFIDタグ装置2毎に、位置情報の書込み要求を送信する位置情報送信手段としての機能と、検出情報の読み出し要求を送信する検出情報要求手段としての機能とを有する。
【0021】
位置情報生成部32は、GPS(Global Positioning System)機能を備え、制御部31の制御の下、自装置の位置を検出する位置検出手段としての機能を有し、検出結果に基づく位置情報を生成して制御部31に送出する。
本実施形態では、GPS機能による検出結果(緯度、経度)を位置情報として出力する例について説明するが、測定結果から予め定めたアルゴリズムにより位置情報を生成して出力してもよい。なお、測定結果から位置情報を生成する場合には、例えば、農地1に予め座標を設定し、各座標におけるGPS機能の検出結果を取得しておき、検出結果が得られた位置と最も近接する座標を位置情報とするなどの方法により位置情報を生成してもよい。
【0022】
記憶部33は、不揮発性等の記憶媒体で構成されており、RFIDタグ装置2の位置情報及び検出情報を含む装置情報を記憶する。ここで、装置情報のデータ例を図5に示す。図5に示すように、装置情報300には、各RFIDタグ装置2の位置情報(緯度、経度)と検出情報(検出時刻及び検出結果)が対応づけられている。
【0023】
図4に戻り、無線通信部34は、制御部31の制御の下、アンテナ35を介して、通信距離範囲内のRFIDタグ装置2と無線通信を行い、RFIDタグ装置2毎に位置情報の書込み要求や検出情報の読み出し要求を送信する。また、RFIDタグ装置2から位置情報や検出情報のデータを受信し、受信したデータを制御部31へ送出する。
【0024】
操作部36は、リード機能とライト機能とを切替える操作や数字や文字等の入力操作を受付ける各種操作ボタンを有し、ユーザ操作に応じた操作信号を制御部31へ送出する。
【0025】
また、表示部37は、液晶等のディスプレイを有し、RFIDタグ装置2からデータを読み出すリード機能と、RFIDタグ装置2にデータを書き込むライト機能を切替えるメニュー画面やRFIDタグ装置2から読み取ったデータ等の画像を表示する。
【0026】
<動作>
次に、本実施形態における情報管理システムの動作について説明する。図6は、本実施形態の情報管理システム全体の動作を示すフロー図である。以下、図6の各ステップについて説明する。
【0027】
複数のRFIDタグ装置2が、作業者の手により図1に示す農地1に例えば1m等の間隔で各々配置される(ステップS10)。
【0028】
各RFIDタグ装置2の配置後、リーダライタ装置3により農地1上に配置された各RFIDタグ装置2に順次位置情報を書き込む(ステップS20)。具体的には、作業者は、操作部36を操作してリーダライタ装置3をライト機能に切替えてトラクター4に取り付け、農地1に配置した各RFIDタグ装置2とリーダライタ装置3とが無線接続できるようにトラクター4を順次移動させる。
【0029】
リーダライタ装置3の制御部31は、無線通信部34によりアンテナ35から電波を送信し、通信範囲内において近接しているRFIDタグ装置2と無線通信を行う。また、RFIDタグ装置2と無線通信を行っている位置において、位置情報生成部32により自装置の位置を検出する。そして、制御部31は、無線通信を行っているRFIDタグ装置2に対し、位置情報生成部32により出力された検出結果を当該RFIDタグ装置2の位置情報として書き込む書込み要求を送信する。
【0030】
RFIDタグ装置2の制御部21は、リーダライタ装置3から送信された位置情報の書込み要求を、無線通信部23からアンテナ24を介して受信する。そして、記憶部23のID記憶領域22aに記憶されているIDを、受信した位置情報に書き換える。
【0031】
このようにして、リーダライタ装置3を取り付けたトラクター4で農地1を移動する毎に、リーダライタ装置3と各RFIDタグ装置2とが無線接続され、各RFIDタグ装置2に、当該RFIDタグ装置2が設置された位置を示す位置情報が順次書き込まれる。
【0032】
各RFIDタグ装置2の位置情報が書き込まれた後、各RFIDタグ装置2の制御部21は、センサー部25において一定時間毎に設置位置における温度を検出し、検出結果と時計部26によって計時された検出時刻とを対応づけた検出情報200を記憶部22のデータ記憶領域22bに順次記憶する(ステップS30)。
【0033】
そして一定期間の経過後、作業者は、操作部36を操作してリーダライタ装置3をリード機能に切替え、農地1の全領域又は任意の場所等、農地1の土壌の温度を確認したい場所にリーダライタ装置3を持って移動し、移動した位置において、リーダライタ装置3により各RFIDタグ装置2から検出情報を回収する(ステップS40)。
【0034】
即ち、リーダライタ装置3の制御部31は、移動された位置において、無線通信部34によりRFIDタグ装置2毎に無線通信を行い、位置情報及び検出情報を読み出すことを要求する読み出し要求を送信する。
【0035】
また、RFIDタグ装置2の制御部21は、リーダライタ装置3から送信された読み出し要求を受信すると、記憶部22のID記憶領域22aから位置情報を読み出すと共に、データ記憶領域22bから検出情報200を読み出し、位置情報と検出情報とを含む装置情報をリーダライタ装置3に送信する。
【0036】
なお、RFIDタグ装置2の制御部21は、リーダライタ装置3からの読み出し要求に応じて送信した検出情報について、送信済であることを示すフラグを検出情報に対応づけて記憶してもよい。また、送信済の検出情報が記憶されている記憶領域に消去済フラグを設定し、その領域に新たな検出情報を上書きできるようにしておいてもよい。このように処理することで、検出情報の重複送信の防止や、データ記憶領域の有効活用化を図ることができる。
【0037】
リーダライタ装置3の制御部31は、無線通信部34を介して無線接続を行っているRFIDタグ装置2の各々から位置情報と検出情報とを含む装置情報を順次受信すると、受信した各装置情報300を記憶部33に記憶する。これにより、農地1に配置された各RFIDタグ装置2に蓄積された検出結果をリーダライタ装置3で回収することができる。
【0038】
このように、本実施形態では、作業者が、RFIDタグ装置2を農地1に配置する際、各RFIDタグ装置2を農地1のどこに配置したかを管理するために、RFIDタグ装置2に予め設定されているIDと配置した位置情報とを対応づけた管理テーブルを作成する作業を行うことなく、所望する適当な場所に多数のRFIDタグ装置2を配置することができる。また、作業者は、温度を確認したい場所にリーダライタ装置3を持って移動し、RFIDタグ装置2から検出情報と位置情報とを読み出すだけで、どの位置で検出された温度かを容易に特定することができ、RFIDタグ装置2が配置された各位置における温度変化や異なる位置間の温度変化を容易に調査することが可能となる。
【0039】
<第2実施形態>
本実施形態では、上述した第1実施形態と同様のRFIDタグ装置及びリーダライタ装置を用いて、建造物の健全性を監視するヘルスモニタリングを行う場合の情報管理システムについて説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同じ符号を用いて説明し、第1実施形態と異なる部分について説明を行う。
【0040】
<概要>
図7は、本実施形態においてヘルスモニタリングを行う建物の例を示している。図7に示す70a、70b等の各立方体は、建物70内の各部屋を表しており、この建物70には各階に4つの部屋が設けられている。本実施形態では、予め定めた建物70における特定箇所のひずみを検出し、検出結果を一定期間毎に回収することで建物70の健全性を調査する。
この例では、建物70の施工時において、耐震ダンパー等が設置されている複数の箇所に、ひずみセンサーを備えるRFIDタグ装置2を配置すると共に、リード機能に設定されたリーダライタ装置3を各階又は建物70における特定の区画毎に設置する。本実施形態では、各階の各部屋に設けられた耐震ダンパーの一つにRFIDタグ装置2を配置する例について説明するが、各部屋に複数のRFIDタグ装置2を配置するようにしてもよい。
【0041】
<構成>
以下、第1実施形態と異なるRFIDタグ装置2及びリーダライタ装置3の構成について説明する。本実施形態のRFIDタグ装置2は、図2に示す構成と同様の構成を有するが、センサー部25は、ひずみセンサーを有している点で第1実施形態と異なる。センサー部25は、被測定対象物と接触するように設置され、被測定対象物のひずみに応じて変化する抵抗値を出力する。
【0042】
図8は、本実施形態のリーダライタ装置3の構成を示している。図8に示すように、リーダライタ装置3は、位置情報生成部32を有していない点で第1実施形態と異なる。また、記憶部33には、RFIDタグ装置2に対して割当てる位置情報が予め記憶されている。
ここで、図7の建物70に設置するRFIDタグ装置2に割当てる位置情報について説明する。図9(a)は、建物70と位置情報との関係を表した図である。図7に示すように建物70に対しXYZ軸を定義した場合、部屋の位置に対応するXYZの値を組み合わせた数字がその部屋の位置情報として設定されている。例えば、部屋70aは位置情報として「111」(X=1、Y=1、Z=1)が設定されており、部屋70bは位置情報として「224」(X=2、Y=2、Z=4)が設定されている。このように、位置情報を表す数字の各桁には、建物70について定義された各位置を表す情報が設定される。
【0043】
次に、このようにして定義された各部屋の位置情報をRFIDタグ装置2に対して割当てる割当順序を予め設定しておく。図9(b)は、各部屋の位置情報とその割当順序とを対応づけた割当位置情報301のデータ例である。建物70の1階(Z1)から4階(Z4)まで予め定めた順番に、作業者がリーダライタ装置3を持って各部屋へ移動する。移動した部屋のRFIDタグ装置2に対して位置情報を割当てる順序に応じて、割当位置情報301における位置情報がそのRFIDタグ装置2に設定される。
【0044】
このように、本実施形態では、予め定義した位置情報とその割当順序とを割当位置情報301として予め設定しておき、作業者がRFIDタグ装置2に割当てる順序に対応する位置情報をRFIDタグ装置2に書き込む。
なお、上記の例では、予め位置情報の割当順序を決めておく例であるが、作業者が、各RFIDタグ装置2が設置されている部屋に移動した際に、操作部36の数字ボタンを操作して位置情報を入力し、入力した位置情報をその部屋に設置されているRFIDタグ装置2に書き込むようにしてもよい。
【0045】
また、本実施形態の制御部31は、自装置がライト機能に有効化されている場合において、各RFIDタグ装置2と無線通信を行う順序を位置情報の割当順序とみなし、その割当順序に対応する位置情報をRFIDタグ装置2に対して送信する。なお、同じRFIDタグ装置2と誤って無線接続した場合等において、前回の接続とは異なる位置情報をRFIDタグ装置2に書き込むことを防止するため、位置情報生成部32は、RFIDタグ装置2に書込み要求を送信する前に、そのRFIDタグ装置2の位置情報を読み出し、割当位置情報301の位置情報と一致するか否か判定する。
【0046】
<動作>
以下、本実施形態における情報管理システムの動作を、図10の動作フローを用いて説明する。
まず、建物70の施工時において、作業者は、予め定めた建物70の各部屋の耐震ダンパーにRFIDタグ装置2を設置する(ステップS100)。そして、各部屋にRFIDタグ装置2を設置後、作業者は、記憶部33に記憶している割当順序情報の割当順序に従い、ライト機能を有効化したリーダライタ装置3を持って各部屋を移動する(ステップS200)。なお、ステップS200において、作業者が位置情報の割当順序を確認できるように、リーダライタ装置3の制御部31により、記憶部33に記憶されている割当位置情報301を表示部37に表示してもよい。
【0047】
リーダライタ装置3の制御部33は、無線通信部34によりアンテナ35を介して、移動した場所に設置されたRFIDタグ装置2と無線通信を行う。そして、制御部31は、そのRFIDタグ装置2への位置情報の割当順序と対応する位置情報を、記憶部33内の割当位置情報301から読み出し、そのRFIDタグ装置2に対して位置情報の書込み要求を送信し、割当てた順序をRAMに記憶する。
【0048】
RFIDタグ装置2の制御部21は、無線通信部23によりアンテナ24を介してリーダライタ装置3からの書込み要求を受信すると、書込み要求で指示された位置情報を記憶部22のID記憶領域22aに書き込む。このようにして、リーダライタ装置3は、作業者が各部屋に移動してRFIDタグ装置2と無線接続する毎に、上記処理を繰り返し行って割当順序に対応する位置情報をRFIDタグ装置2に順次書き込んでいく(ステップS300)。
【0049】
全てのRFIDタグ装置2に位置情報を書き込む工程が終了した後、作業者は、リーダライタ装置3の電波強度に応じて、各階の各部屋に設置されたRFIDタグ装置2と無線接続可能な位置にリード機能を有効化したリーダライタ装置3を1台設置する(ステップS400)。本実施形態では、リード機能が有効化されたリーダライタ装置3は、予め設定された一定時間毎に、自装置が設置された階に配置されているRFIDタグ装置2と無線接続を行い、各RFIDタグ装置2に検出情報の読み出し要求を送信するように設定されている。
【0050】
なお、リーダライタ装置3を各階に設置した際、リーダライタ装置3とRFIDタグ装置2とを無線接続し、各RFIDタグ装置2に設定された位置情報をリーダライタ装置3から読み出し、リーダライタ装置3に予め登録するようにしてもよい。リーダライタ装置3にRFIDタグ装置2の位置情報を予め登録しておくことで、リーダライタ装置3がRFIDタグ装置2の検出情報を読み出す際に、検出情報の読み出し漏れがないか確認することができる。
【0051】
RFIDタグ装置2の位置情報の書込みとリーダライタ装置3を設置する工程が終了した後、各階に設置されたRFIDタグ装置2の制御部21は、センサー部25によって検出された検出結果と時計部26によって計時された検出時刻とを対応づけた検出情報を記憶部22に逐次記憶していく(ステップS500)。
【0052】
また、各階に設置されたリーダライタ装置3の制御部31は、例えば、1日単位等の一定時間毎に、自装置が配置されている階の各RFIDタグ装置2に対し、検出情報の読み出し要求を無線通信部34により順次送信する。
【0053】
各RFIDタグ装置2の制御部21は、リーダライタ装置3からの検出情報の読み出し要求を無線通信部23により受信すると、記憶部22のID記憶領域22aから位置情報を読み出し、データ記憶領域22bから検出情報を読み出す。そして、無線通信部23により、位置情報及び検出情報を含む装置情報をリーダライタ装置3へ送信する。リーダライタ装置3の制御部31は、無線通信部34により各RFIDタグ装置3から装置情報を順次受信し、受信した装置情報を記憶部33に順次記憶する(ステップS600)。
【0054】
このようにして、各階に設置されたリーダライタ装置3に、各RFIDタグ装置2の装置情報が蓄積され、リーダライタ装置3に蓄積された装置情報が作業者により回収される(ステップS700)。なお、リーダライタ装置3に蓄積された各装置情報の回収は、例えば、外部装置と各リーダライタ装置3との間を無線接続し、各リーダライタ装置3に蓄積された装置情報を外部装置から読み出すようにしてもよい。また、各リーダライタ装置3の間でアドホック通信を行い、各リーダライタ装置3に記憶されている装置情報を、予め設定されたデータ回収用のリーダライタ装置3に送信する。そしてデータ回収用のリーダライタ装置3と外部装置とを有線又は無線接続し、データ回収用のリーダライタ装置3から外部装置に装置情報を送信するようにしてもよい。
【0055】
上述した実施形態では、施工時にRFIDタグ装置2を予め定めた位置に設置し、設置後に、予め定めた順序でRFIDタグ装置2とリーダライタ装置3とを無線接続するだけで、各RFIDタグ装置2が設置された位置を示す位置情報をRFIDタグ装置2に書き込むことができる。そのため、RFIDタグ装置2の設置時において、RFIDタグ装置2に予め設定されているID情報と、RFIDタグ装置2を設置した位置の位置情報とを対応づけたテーブル等を作成する作業を行うことなく、RFIDタグ装置2を容易に設置することができる。
また、RFIDタグ装置2に蓄積された検出情報と位置情報とを、RFIDタグ装置2と無線接続された複数のリーダライタ装置3が読み出して回収することができるため、RFIDタグ装置2の検出情報を回収するための配線作業等を行う必要がない。また、どこに設置されたRFIDタグ装置2の検出情報かを位置情報により特定することができるため、容易に建造物の損傷などを調査・分析することができる。
【0056】
以下、本発明に係る第1実施形態及び第2実施形態の変形例について説明する。
(1)上述した実施形態では、RFIDタグ装置2のセンサー部25は、温度センサー又はひずみセンサーを有する例であったが、湿度センサー、磁気センサー、光センサー等、RFIDタグ装置2が設置された位置における被測定対象物の状態に応じた物理量を出力するセンサーのほか、位置センサーや角度センサー、加速度センサーなど、RFIDタグ装置2の姿勢や速度等の機械量を検出するセンサーが設けられていてもよい。また、例えば、被測定対象物が破損しているか否か等の被測定対象物の状態を表す情報を、センサー部25によって検出された検出結果に基づいて生成し出力するようにしてもよい。
【0057】
(2)また、上述した実施形態では、RFIDタグ装置2の位置情報と検出情報とをリーダライタ装置3に送信する例であったが、センサー部25が検出する対象を示す情報やセンサーの種類を示す情報等、検出内容が特定できるセンサー情報を予めRFIDタグ装置2に設定し、位置情報及び検出情報と共にセンサー情報をリーダライタ装置3に送信するようにしてもよい。
【0058】
(3)また、上述した実施形態では、RFIDタグ装置2に予め設定されているIDをリーダライタ装置3において生成した位置情報に書き換える例であったが、IDの書き換えを行わないようにしてもよい。この場合には、IDに位置情報を付加して書込み、RFIDタグ装置2から検出情報をリーダライタ装置3に送信する際には、IDと位置情報と検出情報とをリーダライタ装置3に送信するようにしてもよい。
【0059】
(4)また、上述した実施形態では、RFIDタグ装置2には、温度センサー又はひずみセンサーが設けられている例であったが、例えば、温度センサーと湿度センサーを設ける等、RFIDタグ装置2に複数のセンサーを設けるようにしてもよい。この場合には、各検出情報を出力する際に、センサーの種別を示す情報を付加して出力する。
【0060】
(5)上述した実施形態のRFIDタグ装置2は、記憶部22が設けられている例であったが、記憶部22が設けられていない構成である場合には、リーダライタ装置3とRFIDタグ装置2を一定時間毎に無線接続し、無線接続したときにRFIDタグ装置2の検出情報と位置情報とをリーダライタ装置3が読み出すようにしてもよい。
【0061】
(6)上述した第1実施形態では、各RFIDタグ装置2の検出情報をリーダライタ装置3により個別に読み出す例であり、第2実施形態では、複数のリーダライタ装置3と外部装置との間で無線接続を行って各リーダライタ装置3に蓄積された装置情報を回収する例について説明したが、RFIDタグ装置2にアドホック通信機能を設け、予め定めたRFIDタグ装置2に各RFIDタグ装置2の装置情報が蓄積されるように、RFIDタグ装置2間で装置情報を送受信するようにしてもよい。この場合、他のRFIDタグ装置2の装置情報が蓄積されたRFIDタグ装置2とリーダライタ装置3とを無線接続して、全RFIDタグ装置2の装置情報を回収するようにする。
【0062】
(7)上述した実施形態では、RFIDタグ装置2を土地や建物に設置する例について説明したが、橋梁等の構造物、人、動物、樹木等の生物にRFIDタグ装置2を設置してもよい。
【0063】
(8)また、上述した実施形態では、RFIDタグ装置2の電源部27において電池が消耗した場合に、電池が消耗したことを示す情報をリーダライタ装置3へ通知しない例であったが、RFIDタグ装置2の電源部27の電池残量が一定値以下となった場合に、電池が消耗したことを示す情報を装置情報と共にリーダライタ装置3に送信してもよいし、電池が消耗したことを示す警告音を報知する報知手段をRFIDタグ装置2に設けるようにしてもよい。なお、この場合には、RFIDタグ装置2において電池残量を検出する検出機構を設けると共に、記憶部22に電池残量の閾値情報を記憶するように構成する。
【0064】
(9)また、上述した実施形態では、リード機能とライト機能を備えたリーダライタ装置3を例に説明したが、リード機能のみを備えた読取装置、ライト機能のみを備えた書込み装置を用いるようにしてもよい。この場合には、書込み装置において、RFIDタグ装置2の位置情報をGPS機能により検出する、又は、予め定めた位置情報を記憶するように構成し、各RFIDタグ装置2と無線通信を行う際に、各RFIDタグ装置2に位置情報の書込み要求を送信する。また、読取装置においては、各RFIDタグ装置2と無線通信を行い、RFIDタグ装置2毎の装置情報の読み出し要求を送信してRFIDタグ装置2から装置情報を受信する。
(10)また、上述した実施形態では、通信装置としてRFIDタグ装置2を用いる例について説明したが、無線通信機能を備える通信装置であればこれに限らない。
【符号の説明】
【0065】
2・・・RFIDタグ装置、3・・・リーダライタ装置、21,31・・・制御部、22,33・・・記憶部、23,34・・・無線通信部、24,35・・・アンテナ、25・・・センサー部、26・・・時計部、27・・・電源部、32・・・位置情報生成部、36・・・操作部、37・・・表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を無線通信により受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記位置情報を記憶する記憶手段と、
自装置が設置されている場所における検出対象の状態を検出する検出手段と、
他の装置からの要求に応じて、前記検出手段により検出された検出結果と前記記憶手段に記憶されている前記位置情報とを含む装置情報を、当該他の装置に無線通信により送信する送信手段と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
無線通信機能を有する、複数の通信装置、読取装置、及び書込み装置を備え、
前記複数の各通信装置は、
前記書込み装置から位置情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記位置情報を記憶する記憶手段と、
自装置が設置されている場所における検出対象の状態を検出する検出手段と、
前記読取装置からの要求に応じて、前記検出手段により検出された検出結果を示す情報と前記記憶手段に記憶されている前記位置情報とを含む装置情報を送信する送信手段とを備え、
前記書込み装置は、
前記複数の通信装置の各々に対し、前記各通信装置の位置を示す位置情報を送信する位置情報送信手段を備え、
前記読取装置は、
前記複数の通信装置の各々に対して、前記各通信装置の前記検出結果を要求する検出結果要求手段と、
前記検出結果要求手段が要求した前記通信装置から当該通信装置の前記装置情報を受信する受信手段とを備える
ことを特徴とする情報管理システム。
【請求項3】
前記書込み装置は、前記各通信装置と予め定められた通信距離範囲に接近したときに自装置の位置を検出する位置検出手段を備え、
前記位置情報送信手段は、前記各通信装置に前記位置情報を送信する際に、前記位置検出手段により検出された前記自装置の位置を示す位置情報を、当該通信装置の前記位置情報として送信することを特徴とする請求項2記載の情報管理システム。
【請求項4】
前記書込み装置は、予め定めた複数の位置情報と、当該位置情報を割当てる割当順序とを記憶する位置情報記憶手段を備え、
前記位置情報送信手段は、前記複数の通信装置と無線通信を行う順序を前記位置情報の割当順序とし、当該割当順序に対応する前記位置情報を当該通信装置に送信することを特徴とする請求項2記載の情報管理システム。
【請求項5】
設置された位置において予め設定された検出対象の状態を検出する検出機構と、無線通信機構とを備えた複数の通信装置を各々設置する設置ステップと、
無線通信機構を備え、位置情報を記憶する書込み装置を用い、前記設置ステップにおいて設置された前記複数の通信装置毎に前記位置情報を書き込む位置情報書込みステップと、
無線通信機構を備えた読取装置を用いて、前記複数の通信装置の各々が検出した検出結果と各通信装置に書き込まれた前記位置情報とを読み出す読み出しステップと
を有する情報管理方法。
【請求項1】
位置情報を無線通信により受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記位置情報を記憶する記憶手段と、
自装置が設置されている場所における検出対象の状態を検出する検出手段と、
他の装置からの要求に応じて、前記検出手段により検出された検出結果と前記記憶手段に記憶されている前記位置情報とを含む装置情報を、当該他の装置に無線通信により送信する送信手段と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
無線通信機能を有する、複数の通信装置、読取装置、及び書込み装置を備え、
前記複数の各通信装置は、
前記書込み装置から位置情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記位置情報を記憶する記憶手段と、
自装置が設置されている場所における検出対象の状態を検出する検出手段と、
前記読取装置からの要求に応じて、前記検出手段により検出された検出結果を示す情報と前記記憶手段に記憶されている前記位置情報とを含む装置情報を送信する送信手段とを備え、
前記書込み装置は、
前記複数の通信装置の各々に対し、前記各通信装置の位置を示す位置情報を送信する位置情報送信手段を備え、
前記読取装置は、
前記複数の通信装置の各々に対して、前記各通信装置の前記検出結果を要求する検出結果要求手段と、
前記検出結果要求手段が要求した前記通信装置から当該通信装置の前記装置情報を受信する受信手段とを備える
ことを特徴とする情報管理システム。
【請求項3】
前記書込み装置は、前記各通信装置と予め定められた通信距離範囲に接近したときに自装置の位置を検出する位置検出手段を備え、
前記位置情報送信手段は、前記各通信装置に前記位置情報を送信する際に、前記位置検出手段により検出された前記自装置の位置を示す位置情報を、当該通信装置の前記位置情報として送信することを特徴とする請求項2記載の情報管理システム。
【請求項4】
前記書込み装置は、予め定めた複数の位置情報と、当該位置情報を割当てる割当順序とを記憶する位置情報記憶手段を備え、
前記位置情報送信手段は、前記複数の通信装置と無線通信を行う順序を前記位置情報の割当順序とし、当該割当順序に対応する前記位置情報を当該通信装置に送信することを特徴とする請求項2記載の情報管理システム。
【請求項5】
設置された位置において予め設定された検出対象の状態を検出する検出機構と、無線通信機構とを備えた複数の通信装置を各々設置する設置ステップと、
無線通信機構を備え、位置情報を記憶する書込み装置を用い、前記設置ステップにおいて設置された前記複数の通信装置毎に前記位置情報を書き込む位置情報書込みステップと、
無線通信機構を備えた読取装置を用いて、前記複数の通信装置の各々が検出した検出結果と各通信装置に書き込まれた前記位置情報とを読み出す読み出しステップと
を有する情報管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−65226(P2011−65226A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212996(P2009−212996)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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