説明

通報追跡システム、及びプログラム

【課題】持ち物の置き忘れを防止し、また、置き引き発生時に追跡・威嚇できること
【解決手段】利用者は、無線機B4の外部出力部B9からブザーや警報音等が吹鳴した場合、利用者は無線機B4についているスイッチを押下する。出力切り替え部B7は1mWという出力を、例えば10mWに切り替え、追跡信号を送信する。この追跡信号を、無線機A1は無線通信部A2を用いて受信する。そして、無線通信部A2は、追跡信号を受信するとその旨を外部出力部A3に出力する。外部出力部A3は、無線通信部A2からの出力を受けると、ブザーや警報音等を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の盗難防止と、万が一盗難に遭遇した場合の追跡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、治安状況の悪化が急速に進んでいる。その中でも、屋外におけるスリや置き引き等の窃盗は増加の一途をたどり、このような犯罪を防ぐ対策が求められている。スリや置き引き等を防ぐ為には、まず、各個人が貴重品を常に身に付けたり、手から離さないことが未然に防ぐ為の有効な手段であるが、時には、カバンやバッグ等を傍に置いたりしなけらばならない状況が発生する。例えば、屋外の便所で用を足す際や、旅行時の交通機関のチケットカウンターでの発券処理の際には、かばんやスーツケース等を手から離さないといけない。犯罪者はこのような状況を常に監視し、所有者の手から離れているものを盗もうと狙っている。
【0003】
一方、利用者側も、カバン等を置き忘れる場合がある。所用で手から離したものを、そのまま置き忘れる場合がよくあり、後で取りにに戻ったりする手間が大変である。また、どこに置き忘れたか分からない場合には、紛失という事態に発展する。近年、情報セキュリティの重要性が叫ばれる中、例えば、パソコン等の電子機器を置き忘れると、最悪、個人情報流出といった事態となり、利用者本人のみならず、利用者が所属する企業の信頼も揺らぐといった事態となる。すなわち、置き忘れを防止することの重要性が非常に高まっている。
【0004】
このような場合の対策として、送信機をカバン等に入れ、受信機を常に身に付けておく装置が開発されている。これは、カバン等に入れた送信機が電波を送信し、身に付けておく受信機がその電波を受信構成となっており、利用者がカバン等に入れた送信機から一定距離以上離れて、送信機からの電波が受信できなくなった場合に、受信機に内蔵されているブザーが吹鳴することで、利用者に知らせる仕組みである。これにより、カバン等の置き忘れに利用者はすぐ気づくことができる。
【特許文献1】実用新案登録第3031465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の装置においては、以下のような問題点がある。すなわち、利用者は置き忘れに気づくことができるが、気づいた時点で置き忘れたカバンを取りに戻っても、すでにカバンがない場合が考えられる。これは、前述のように、置き引きを狙っている犯罪者が持ち去ってしまっている場合があるからである。場合によっては、ブザーが吹鳴し、置き忘れたカバンの方向に目を向けた際に、犯罪者が持ち去るのを目撃することもあるが、その後、犯罪者を追いかけようとしても、雑踏のような人が多い場所では、見失ってしまうことも容易に想定される。
【0006】
また、置き引き等を行った犯罪者の心理としては、盗んだものから、例えば大音響の出力が出たりした場合、周囲の目からさらされることとなる為、盗んだものを捨てて逃げたりすることがあるが、上記従来の装置においては、カバン等に入れた送信機には音声等の出力部が存在しない為、このようなことが実現できない。仮に、音声等の出力部が存在したとしても、カバン等に入れた送信機と身に付けておく受信機の通信が不能になった時点で、送信機の出力部から音声を出力したのでは、かえってカバン等が周囲に目立つこととなり、犯罪者の標的にされやすいという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、カバン等の置き忘れを防止すると共に、万が一、置き引きにあった場合に、犯罪者が目立って置き引きを諦めたり、犯罪者を追跡できたりする追跡通報システム、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の追跡通報システムは、複数の無線機同士が定期的に認証を行う通報追跡システムであって、無線機Aは、相手側無線機と通信を行う無線通信部Aと、自らの状態を外部に出力する外部出力部Aを有し、無線機Bは、相手側無線機と通信を行う無線通信部Bと、相手側無線機からの電波の電界強度を測定する電界強度測定部Bと、自らの状態を外部に出力する外部出力部Bと、外部からの入力を受け付ける外部入力部と、無線送信時の出力を切り替える出力切り替え部Bを有し、前記無線機Bは、前記無線通信部Bが前記無線機Aとの認証通信が失敗したと判断した場合、または、前記電界強度測定部Bが前記無線機Aから受信した電波の電界強度が予め定められたレベルを下回ったと判断した場合、前記外部出力部Bを動作させその旨を外部に出力すると共に、前記外部入力部から特定の入力があった場合、前記出力切り替え部Bを動作させ相手側に対する送信電波の出力を変化させた上で、前記相手側無線機に対して前記無線通信部Bを介して追跡する旨の信号を送信し、前記無線機Aは、相手側無線機から追跡する旨の信号を受信した場合、前記外部出力部Aからその旨を出力する構成としたものである。
【0009】
そして、無線機同士の距離が離れた場合には利用者が所持する無線機側からのみ警報を出力して置き忘れを気づかせることができると共に、万が一置き引きにあった場合には利用者が所持する無線機を操作することで、置き引き側の無線機から警報を鳴らすことができ、犯罪者の特定を実現することができる。また、この時、利用者が所持する無線機側から対象物の無線機側への送信出力を可変させることで、犯罪者が目の届く範囲外であった場合でも確実に電波を届かせることができる為、本システムの信頼性が向上すると共に、犯罪者の追跡が容易になり、本システムの利便性を大いに高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の追跡通報システムによれば、無線機同士の距離が離れた場合には利用者が所持する無線機側からのみ警報を出力して置き忘れを気づかせることができる為、対象物を犯罪者に目立たせることなく置き忘れに気づくことができ、利用者が所有する物のセキュリティ性を高めることができる。また、無線機同士の距離が離れたことを、電波を受信する際の電界強度を利用して判断する為、無線機同士の距離設定を利用者が任意に設定することが可能となり、本システムの利便性を大いに高めることができる。
【0011】
さらに、万が一置き引きにあった場合には利用者が所持する無線機を操作することで、盗まれた物から警報を出力することができる為、犯罪者の特定が容易になると共に、犯罪者に窃盗を諦めさせることもでき、本システムの利便性を大いに高めることができる。この時、利用者が所持する無線機側から対象物の無線機側への送信出力を可変させることで、犯罪者が目の届く範囲外であった場合でも確実に電波を届かせることができる為、本システムの信頼性が向上すると共に、犯罪者の追跡が容易になり、本システムの利便性を大いに高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1の発明は、複数の無線機同士が定期的に認証を行う通報追跡システムであって、無線機Aは、相手側無線機と通信を行う無線通信部Aと、自らの状態を外部に出力する外部出力部Aを有し、無線機Bは、相手側無線機と通信を行う無線通信部Bと、相手側無線機からの電波の電界強度を測定する電界強度測定部Bと、自らの状態を外部に出力する外部出力部Bと、外部からの入力を受け付ける外部入力部と、無線送信時の出力を切り替える
出力切り替え部Bを有し、前記無線機Bは、前記無線通信部Bが前記無線機Aとの認証通信が失敗したと判断した場合、または、前記電界強度測定部Bが前記無線機Aから受信した電波の電界強度が予め定められたレベルを下回ったと判断した場合、前記外部出力部Bを動作させその旨を外部に出力すると共に、前記外部入力部から特定の入力があった場合、前記出力切り替え部Bを動作させ相手側に対する送信電波の出力を変化させた上で、前記相手側無線機に対して前記無線通信部Bを介して追跡する旨の信号を送信し、前記無線機Aは、相手側無線機から追跡する旨の信号を受信した場合、前記外部出力部Aからその旨を出力する構成としたものである。
【0013】
そして、無線機同士の距離が離れた場合には利用者が所持する無線機側からのみ警報を出力して置き忘れを気づかせることができると共に、万が一置き引きにあった場合には利用者が所持する無線機を操作することで、置き引き側の無線機から警報を鳴らすことができ、犯罪者の特定を実現することができる。また、この時、利用者が所持する無線機側から対象物の無線機側への送信出力を可変させることで、犯罪者が目の届く範囲外であった場合でも確実に電波を届かせることができる為、本システムの信頼性が向上すると共に、犯罪者の追跡が容易になり、本システムの利便性を大いに高めることができる。
【0014】
第2の発明は、前記無線機Bは、前記無線通信部Bが前記無線機Aとの認証通信が継続している場合、または、前記電界強度測定部Bが前記無線機Aから受信した電波の電界強度が予め定められたレベル以上の場合には、前記外部出力部B、及び、前記出力切り替え部Bを動作させないと共に、前記外部入力部から特定の入力があった場合であっても、追跡する旨の信号を送信せずに定期的な認証を継続する構成としたものである。
【0015】
そして、認証が継続されている場合には送信出力を一定に保つことで、無線機の消費電流を低く安定させることができ、無線機の電池寿命が伸びて利用者は使いやすくなり、本システムの普及拡大を促進することができる。
【0016】
第3の発明は、複数の無線機同士が定期的に認証を行う通報追跡システムであって、無線機Aは、相手側無線機と通信を行う無線通信部Aと、自らの状態を外部に出力する外部出力部Aを有し、無線機Bは、相手側無線機と通信を行う無線通信部Bと、相手側無線機からの電波の電界強度を測定する電界強度測定部Bと、自らの状態を外部に出力する外部出力部Bと、外部からの入力を受け付ける外部入力部と、無線送信時の出力を切り替える出力切り替え部Bを有し、前記無線機Bは、前記無線通信部Bが前記無線機Aとの認証通信が失敗したと判断した場合、または、前記電界強度測定部Bが前記無線機Aから受信した電波の電界強度が予め定められたレベルを下回ったと判断した場合、前記外部出力部Bを動作させその旨を外部に出力すると共に、前記外部入力部から特定の入力があった場合、前記出力切り替え部Bを動作させ相手側に対する送信電波の出力を変化させた上で、前記相手側無線機に対して前記無線通信部Bを介して追跡する旨の信号を送信し、前記無線機Aは、相手側無線機から追跡する旨の信号を受信した場合、前記外部出力部Aからその旨を出力すると共に、前記無線通信部Aを介し相手側無線機に応答信号を送信する構成としたものである。
【0017】
そして、追跡信号に対して応答信号を送信することで、追跡信号が相手側に届いているかどうかを確認することができる為、追跡信号の再送処理等を行うことで本システムの信頼性を向上させることができる。
【0018】
第4の発明は、前記出力切り替え部Bは、前記電界強度測定部Bが前記無線機Aから受信した電波の電界強度レベルに応じて、前記相手側無線機に対して前記無線通信部Bを介して追跡する旨の信号の送信レベル値を決定する構成としたものである。
【0019】
そして、相手側無線機からの信号の電界強度を測定することで、相手側無線機との距離が分かり、それに応じて追跡信号の出力レベルを最適に制御することができるようになり、確実に追跡信号を相手側無線機に送信することができ、本システムの信頼性を大いに向上させることができる。
【0020】
第5の発明は、前記無線機Aは、相手側無線機からの電波の電界強度を測定する電界強度測定部Aと、無線送信時の出力を切り替える出力切り替え部Aを有し、相手側無線機から追跡する旨の信号を受信した場合に前記電界強度測定部Aを用いて電界強度を測定し、測定した電界強度レベルに応じて、前記出力切り替え部Aを用いて相手側無線機に対する応答信号の送信レベル値を決定する構成としたものである。
【0021】
そして、追跡信号の電界強度を測定することで、応答信号の出力レベルを最適に調整することができ、本システムの信頼性を大いに向上させることができる。
【0022】
第6の発明は、前記無線機Bは、前記無線機Aからの応答信号を受信した際に、その旨を前記外部出力部Bから出力する構成としたものである。
【0023】
そして、応答信号を受信できたか否かを利用者が確認することができる為、視界にいない犯罪者を追跡する際に、自ら追跡している方向が正しいか否かの情報が分かり、追跡の精度を大いに向上させることができる。また、応答信号を受信できなかった場合には、利用者が意識して追跡信号を再度送信することが可能となり、これによっても追跡の精度を大いに向上させることができる。
【0024】
第7の発明は、前記無線機Aと無線機Bは、相手側無線機との認証通信を行う認証モードと、前記認証モードが成立しなくなった場合に遷移する追跡モードの少なくとも2つのモードを有する構成としたものである。
【0025】
そして、認証モードと追跡モードの2つのモードを有することで、認証過程と追跡過程の通信方式の違いを明確に実現できるようになり、本システムを容易に実現することができるようになる。
【0026】
第8の発明は、利用者が操作するスイッチで構成された前記外部入力部を有する構成としたものである。
【0027】
そして、応答信号を受信できなかった場合には、利用者がスイッチを操作することで容易に追跡信号を再度送信することが可能となり、これによっても追跡の精度を大いに向上させることができる。
【0028】
第9の発明は、第1の発明〜第8の発明の追跡通報システムの少なくとも一部をコンピュータに実現させるためのプログラムとする。そして、プログラムであるので、電気・情報機器、コンピュータ、等のハードリソースを協働させて本発明の少なくとも一部を簡単なハードウェアで実現できる。また記録媒体に記録したり通信回線を用いてプログラムを配信したりすることでプログラムの配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態1のシステム構成図を、図2に本発明の実施の形態の動作フロー図を示す。図1において、1は無線機Aである。2は無線通信部Aである。3は外
部出力部Aである。無線通信部A2、外部出力部A3は無線機A1の内部にある。4は無線機Bである。5は無線通信部Bである。6は電界強度測定部Bである。7は出力切り替え部Bである。8は外部入力部である。9は外部出力部Bである。無線通信部B5、電界強度測定部B6、出力切り替え部B7、外部入力部8、外部出力部B9は、無線機B4の内部にある。
【0031】
本システムの利用者は、外出する際、無線機A1をカバンやパソコン等の持ち歩くものに入れておく。ここで、入れておく、と言ったが、例えば、カバン等にキーホルダーのようにぶら下げてつけてもよいし、シール等で貼り付けてもよい。
【0032】
一方、利用者は、無線機B4を自ら身に付ける。具体的には、服やズボンのポケットに入れたり、身に付けている財布に入れたり取り付けたりする。よって、無線機B4は、ある程度小型の形状が求められる。
【0033】
ここで、無線機A1と無線機B4は、電源を投入すると認証通信を開始する(図2のS11)。認証通信とは、予め決められた間隔:T毎に通信を行い、お互いの認証を行うことである。そして、電源投入後の認証通信が成功すると(図2のS12)、「認証モード」に遷移する(図2のS13)。なお、「認証モード」とは認証通信が継続している状態を表すモードである。この認証通信は、無線機A1と無線機B4がお互いに送受信を行う方式でもよいし、例えば、無線機A1から無線機B4に対して電波を送信する単向方式でもよい。この認証通信は、無線通信部A2と無線通信部B5を用いて行われる。そして、例えば、ID等のやり取りを行い、お互いを認証する。なお、この認証通信の信号には、認証通信である旨を識別する情報が組み込まれており、無線機A1や無線機B4は、受信した信号の当該情報をチェックし、認証通信の信号である旨を識別する。
【0034】
ここで、無線機A1と無線機B4の距離が離れた場合、具体的には利用者が無線機A1を入れたカバンやパソコン等から遠く離れてしまった場合、無線機A1と無線機B4間の認証通信は電波が正常に届かずにうまく行かなくなる(図2のS15)。無線機B4の無線通信部B5が、認証通信がうまく行かなくなったと判断した場合、その旨を外部出力部B9に出力する(図2のS17)。ここで、無線機B4の無線通信部B5が、認証通信がうまく行かなくなった場合に遷移するモードを「追跡モード」と呼ぶ。すなわち、「認証モード」が成立しなくなった場合に遷移するモードが「追跡モード」である(図2のS16)。
【0035】
一方、無線機B4に内蔵されている電界強度測定部B6は、無線機A1が送信した認証通信の電波を無線機B4の無線通信部B5が受信する際、受信電界強度を測定する。ここで、無線通信部B4には、予め設定された電界強度閾値が記憶されている。そして、電界強度測定部B6は無線通信部B5が無線機A1から受信した認証通信電波の電界強度がこの閾値を下回った場合は、たとえ無線機A1と無線機B4間の認証通信が成功したとしても、失敗扱いとしてその旨を外部出力部B9に出力する。ここで、電界強度測定部B6は、受信電界強度が当該閾値を1度でも下回った場合に通信失敗と判断してもよいし、連続して予め決められた回数下回った場合に通信失敗と判断してもよい。
【0036】
このように、無線機B4は無線機A1との認証通信が成功した場合においても、受信電界強度が閾値を下回った場合に通信失敗と判断することで、無線機A1と無線機B4間の認証通信可能距離が任意に設定できる。すなわち、利用者は自分自身とカバンやパソコン等の距離がどれくらい離れた時に異常と判断するかを、電界強度閾値を操作することで任意に設定できることとなる。ちょっとでも離れた場合に異常と判断したい場合は閾値を高めに設定すればよいし、かなり離れた時まで異常と判断したくない場合は、閾値を低めに設定すればよい。
【0037】
以上、無線機B4が無線機A1との認証通信がうまくいかなくて異常だと判断された場合、外部出力部B9は無線通信部B5または電界強度測定部B6からその旨の出力を受ける。出力を受けた外部出力部B9は、ブザーや警報音等を出力する(図2のS17)。これにより、利用者は異常が発生したことが分かる。
【0038】
次に、異常が発生した後の動きについて説明する。利用者は、無線機B4の外部出力部B9からブザーや警報音等が吹鳴した場合、「置き忘れた!」と思ってカバンやパソコン等を探す。その時、置き忘れたと想定される場所が目に見える範囲内であれば、その方向に目を向け、目に見える範囲外であれば、置き忘れたと想定される場所に行って探す。ここで、すぐに置き忘れたカバンやパソコン等を見つけることができれば、ひと安心であるが、場合によっては見つけることができない場合や、犯罪者が置き引きを今まさに行おうとしているシーンを目撃したりする場合がある。このような場合、利用者は無線機B4についているスイッチを押下する(図2のS18)。このスイッチの押下は外部入力部8で検出される。
【0039】
スイッチ押下を検出した外部入力部8は、その旨を出力切り替え部B7に出力する。ここで、出力切り替え部B7の役目について説明する。前述の無線機A1と無線機B4との認証通信は、例えば1mWというような小さい出力でお互い電波の送信を行う。これは、無線機A1側の置き忘れ防止という機能から考えると、お互い電波をあまり遠くまで飛ばす必要がない。また、電流面から考えても、一定周期で継続的に行う認証通信は出力を抑えた方が小さい消費電流で済む。これは、電池駆動が想定される無線機A1、無線機B4にとって大きなメリットである。
【0040】
なお、外部出力部8は、無線機B4が「追跡モード」の場合のみスイッチ押下を検出する。無線機B4が「認証モード」である場合、すなわち、電界強度測定部B6が無線通信部B5が無線機A1から受信した認証通信電波を正常に受信でき認証通信が継続している場合や、電界強度測定部B6が無線通信部B5が無線機A1から受信した認証通信電波を正常に受信でき、かつ、認証通信電波の電界強度レベルが予め決められた閾値以上の場合には、無線機B4は「認証モード」のままである為、利用者が無線機B4のスイッチを押下した場合であっても、そのスイッチ押下を無視する(図2のS14)。
【0041】
そして、「追跡モード」において利用者がスイッチを押下した場合、出力切り替え部B7は1mWという出力を、例えば10mWに切り替える(図2のS23)。これは、無線通信部B5を制御することで行われる。そして、送信出力を大きくした上で、無線機A1に対して追跡信号を無線通信部B5を介して送信する(図2のS24)。ここで、送信出力を大きくする理由について説明する。利用者がスイッチを押すシーンとしては、前述のように無線機A1と無線機B4間の距離が離れ、認証通信がうまくいかなくなったり、電界強度が閾値を下回った場合であり、かつ、外部出力部B9からのブザーや警報音等に気づいた利用者が、カバンやパソコンを探しても見当たらなかったり、犯罪者が置き引きを今まさに行おうとしているシーンを目撃したりした場合である。このような場合、無線機A1と無線機B4の距離は大きく離れており、認証通信時と同様の電波出力では、無線機A1に対して追跡信号を届かせることができない。そこで、出力切り替え部B7は出力を上げて追跡信号を送信する。
【0042】
なお、前述のように無線機B4が「認証モード」のままである場合には、利用者のスイッチ押下を無視する為、無線機B4の出力切り替え部は送信出力を切り替えない。よって、送信出力は1mWのままであり、一定周期で継続的に行う認証通信の出力は小さく抑えられたままで、小さい消費電流での認証通信が継続される。
【0043】
また、無線機B4が「追跡モード」の場合においても、無線機B4は認証通信の成功を試みる。そして、無事無線機A1との認証通信が回復した場合は(図2のS19)、再度「認証モード」に遷移して(図2のS20)、前述の外部出力部B9のブザーや警報音等の出力を停止させ(図2のS21)、出力切り替え部B7を用いて送信出力を元の1mWに戻し(図2のS22)、継続的な認証通信を再開する。
【0044】
一方、無線機B4が「追跡モード」で送信する追跡信号を、無線機A1は無線通信部A2を用いて受信する。ここで、この追跡信号には、追跡信号である旨を識別する情報が組み込まれており、無線機A1は、受信した信号の当該情報をチェックし、追跡信号である旨を識別する。そして、無線通信部A2は、追跡信号を受信するとその旨を外部出力部A3に出力する。外部出力部A3は、無線通信部A2からの出力を受けると、ブザーや警報音等を出力する。
【0045】
これにより、以下のようなことが実現できる。すなわち、利用者は、所持している無線機B4からブザーや警報音等が吹鳴した場合、前述のように「置き忘れた!」と思ってカバンやパソコン等を探すが見つからなかったり、犯罪者が置き引きを今まさに行おうとしているシーンを目撃したりした場合に、「追跡モード」でスイッチを押下することで無線機B4から無線機A1に対して高出力の追跡信号が送信されるが、追跡信号を受信した無線機A1がブザーや警報音等を出力するので、見つからないカバンやパソコン等がどこにあるかを音によって探し出すことができる。この時、無線機A1が出力するブザーや警報音等が大音響であればある程、遠くからでも聞こえる為、利用者は発見が容易になる。
【0046】
一方、犯罪者が置き引きをした場合を考える。この場合、犯罪者は今まさに置き引きをしようとしている場合や、すでに置き引きをして逃走する途中の場合が考えられる。今まさに置き引きをしようとしている場合には、いきなり大音響のブザーや警報音等が吹鳴することで、犯罪者は驚くと共に、周囲の視線が集中するので、犯罪者を捕まえることができたり、置き引きをあきらめて逃走したりすることが想定される。よって、利用者は無事にカバンやパソコン等を取り戻すことができる。また、犯罪者がカバンやパソコン等を持って逃走している場合であっても、いきなり大音響のブザーや警報音等が吹鳴することで、同様にカバンやパソコン等を捨てて逃走したり、捕まえたりすることができる。
【0047】
このようにして、利用者のセキュリティ性が高まると共に、犯罪者の逮捕も容易になる。すなわち、大音響のブザーや警報音等の吹鳴は、周囲から視線を浴びる事態となる為、周囲の人々の協力も得やすい。よって、利用者の貴重な財産を守ると共に、犯罪を防ぐことができる。また、たとえ、犯人が見えない遠いところにいても、高出力で追跡信号を送信するので、システムの信頼性が向上する。
【0048】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。ここで、本発明の実施の形態2においては、本発明の実施の形態1の説明に使用した図1を用いて説明する。なお、、本発明の実施の形態1と同じ役割の部分は説明を省略する。
【0049】
本発明の実施の形態1において、利用者が「追跡モード」でスイッチを押下した場合、出力切り替え部B7は1mWという出力を、例えば10mWに切り替えて追跡信号を送信する旨を記載した。ここで、この追跡信号を、無線機A1は無線通信部A2を用いて受信すると、その旨を外部出力部A3に出力し、ブザーや警報音等を出力する。一方で、無線機A1は、追跡信号を正常受信できた場合、その応答信号を無線機B4に対して送信する。そして、無線機B4は、追跡信号に対する応答信号を無線通信部B5で受信する。そして、その結果を外部出力部9から報知する。ここで、この追跡信号に対する応答信号には、追跡信号に対する応答信号である旨を識別する情報が組み込まれており、無線機B4は
、受信した信号の当該情報をチェックし、追跡信号に対する応答信号である旨を識別する。
【0050】
ここで、本発明の実施の形態1では、無線機B4の外部出力部9はブザーや警報音等を出力するが、本発明の実施の形態2では、同様にブザーや警報音でもよいが、LED等の表示でもよい。但し、外部出力部9は無線機A1と無線機B4の距離が離れた場合に出力するブザーや警報音とは異なる方式で出力を行う。すなわち、例えば、無線機A1と無線機B4の距離が離れた場合に出力するのがブザーで「ビッー」という音であった場合、無線機B4が無線機A1に送信した追跡信号に対する応答信号を正常に受信できた場合には、「ピッ」という確認音、といった具合である。
【0051】
もちろん、追跡信号に対する応答信号を正常に受信できた場合のみならず、追跡信号に対する応答信号を正常に受信できなかった場合にも、その旨を外部出力部9から出力してもよい。その場合、追跡信号に対する応答信号を正常に受信できた場合とできなかった場合で、音色を変える等の工夫が必要である。
【0052】
ただ、追跡信号や追跡信号に対する応答信号を送受信している時にも、外部出力部9は無線機A1と無線機B4の距離が離れた場合に出力するブザーや警報音の吹鳴が続いている場合も考えられる。このような場合、たとえ外部出力部9が複数も設けられていて、追跡信号に対する応答信号を正常に受信できた場合やできなかった場合に出力するブザーや警報音の音色を変えたとしても、利用者には正確に聞こえない。このような場合には、追跡信号や追跡信号に対する応答信号の送受信が開始された場合には、無線機A1と無線機B4の距離が離れた場合に出力するブザーや警報音の吹鳴の音量を下げたり、停止させたりして、追跡信号に対する応答信号を正常に受信できた場合やできなかった場合に出力するブザーや警報音が利用者に分かるようにする工夫が必要である。例えば、利用者のスイッチ押下を外部入力部8で検出した時点で、無線機A1と無線機B4の距離が離れた場合に出力するブザーや警報音の吹鳴の音量を下げたり、停止させたり、といった具合である。また、追跡信号に対する応答信号を正常に受信できた場合やできなかった場合の出力を、ブザーや警報音ではなく、例えばLEDの点灯や点滅等にして、無線機A1と無線機B4の距離が離れた場合に出力するブザーや警報音の出力と区別することでも、利用者は判別することができる。
【0053】
以上のような構成とすることで、利用者は追跡信号が無線機A1に正しく届いたか否かを、無線機B4の出力をチェックすることで確認できるようになる。仮に、追跡信号に対する応答信号を正常に受信できなかった場合には、追跡信号自体が無線機A1に届いていないことも想定される。よって、利用者は再度無線機B4に付属しているスイッチを押下するなどして、追跡信号の再送を試みたりすることができ、本システムの利便性を大いに向上させることができる。
【0054】
また、追跡信号に対する応答信号を正常に受信できなかった場合は、例えば、無線機A1が取り付けられているカバンやパソコンを置き引きした犯人の逃げた方向が、利用者自らが犯人を追跡している方向と異なっている為、無線機A1と無線機B4の距離が離れる方向にある場合も想定される。このような場合、利用者は追跡ルートを変えたり、立ち止まったり、戻ったりといった行動が取れるようになり、本システムの利便性を一層向上させることができる。
【0055】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。ここで、本発明の実施の形態3においては、本発明の実施の形態1の説明に使用した図1を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態1や実施の形態2と同じ役割の部分は説明を省略する。
【0056】
本発明の実施の形態1において、利用者が「追跡モード」でスイッチを押下した場合、出力切り替え部B7は1mWという出力を、例えば10mWに切り替えて追跡信号を送信する旨を記載した。しかしながら、出力を上げることは、通信に消費する電流が増えることを意味する。本システムの場合、無線機A1や無線機B4は、その性質上、電池駆動である場合が一般的であり、かつ、カバンやパソコンに取り付けたり、利用者が身に付けたりする為、小型化が要求される。よって、電池も小型で、電池容量も大きなものは搭載できない。
【0057】
このような前提条件において、送信信号の出力を大幅に上げることは、電池寿命を減らすばかりでなく、急激な大電流消費の為、電池電圧がドロップしてしまい、必要な電流を流すことができなくなる恐れもある。
【0058】
本システムの必須要件は、無線機A1が取り付けられているカバンやパソコンがどこにあるかを利用者が知ることができたり、無線機A1が取り付けられているカバンやパソコンを置き引きした犯人を威嚇することである。よって、無線機B4からの追跡信号が無線機A1に届くことができればいいわけで、追跡信号を届かす為に必要最低限の送信出力を出すことができればよい。よって、追跡信号の送信出力1mWを、必ず10mWに上げなければいけない必要はなく、無線機A1に届く範囲で出力をあげればよい。
【0059】
これを実現する為に、無線機B4は、利用者が「追跡モード」でスイッチを押下した場合、例えばまず2mWで追跡信号を送信する。追跡信号を受信した無線機A1は、本発明の実施の形態2のように、無線通信部A2を介して追跡信号に対する応答信号を無線機B4に送信する。もちろん、無線機A1は追跡信号を受信できない場合、応答信号を返さない。なお、無線機A1が無線機B4に対して追跡信号に対する応答信号を送信する場合の送信出力を、例えば5mWと予め決めておく。
【0060】
ここで、無線機B4は、追跡信号に対する応答信号を受信できなかった場合、無線機B4は追跡信号を再度送信する。この時、送信出力を、例えば、1mW上げて3mWに上げて再送する。以降この動作を追跡信号に対する応答信号を正常に受信できるまで繰り返す。これにより、無線機B4の必要最小限の送信出力アップで、本システムを実現できることとなり、本システムの信頼性が向上すると共に、無線機の小型化も実現できる。
【0061】
一方、以下のような方式をとることもできる。すなわち、無線機B4は追跡信号に対する応答信号を無線通信部B5で受信するが、正常に受信できない場合もあれば、正常に受信できる場合もある。ここで、無線機B4は、追跡信号に対する応答信号を受信する際、電界強度測定部B6を使って、追跡信号に対する応答信号の受信電界強度を測定する。ここで、追跡信号に対する応答信号の受信電界強度が、予め想定した距離(例えば10m)で5mWで追跡信号に対する応答信号を送信した場合の受信側の受信電界強度レベル閾値よりも小さい場合について考える。
【0062】
この場合、追跡信号に対する応答信号を正常に受信できなかったら、無線機B4は、送信出力を、例えば、6mWに上げて再送する。これにより、追跡信号に対する応答信号の受信電界強度を測定しない場合に比べて、再送1回目で通信が成功する確率が高くなる。なぜなら、無線機A1が無線機B4に対して5mWで送信する応答信号の受信電界強度が、予め想定した距離(例えば10m)での5mWでの電界強度レベル閾値より小さいので、無線機A1と無線機B4の距離が、10mを超えていることが想定される。よって、6mWで追跡信号を再送すれば、再送成功確率は高くなるからである。これにより、再送回数を減らすことができ、無線機A1並びに無線機B4の通信電流を抑制することができる。
【0063】
一方、追跡信号に対する応答信号の受信電界強度が、予め想定した距離(例えば10m)での5mWでの電界強度レベル閾値よりも小さい場合で、追跡信号に対する応答信号を正常に受信できた場合、無線機B4は追跡信号を再送しない。ただし、この時、追跡信号に対する応答信号の受信電界強度が、予め想定した距離(例えば10m)での5mWでの電界強度レベル閾値よりも小さかった旨を無線機B4は記憶しておく。そして、利用者が再度スイッチ等を押下して追跡信号を送信する必要性が生じた場合、その時に送信する追跡信号を6mWで送信する。これにより、2回目の追跡信号が無線機A1に届く確率が高まる。これにより、本システムの信頼性を向上させることができると共に、無線機A1並びに無線機B4の通信電流を抑制することができる。
【0064】
なお、以上一連の流れは、無線機B4の無線通信部B5が追跡信号に対する応答信号を受信した後、電界強度測定部B6が受信電界強度を測定する方法で説明したが、無線機B4は、追跡信号に対する応答信号を受信するタイミングで、先に電界強度測定部B6を動作させ受信電界強度を測定する方式をとってもよい。この場合、電界強度測定部B6の受信電界強度測定は、いわゆる「キャリアセンス」と呼ばれるものと代用することもできる。つまり、電界強度測定部B6は追跡信号に対する応答信号を受信するタイミングで受信電界強度を測定し、その結果が予め想定した距離(例えば10m)での5mWでの電界強度レベル閾値よりも小さかった場合には、「キャリアなし(電波なし)」と判断して受信失敗扱いとし、予め想定した距離(例えば10m)での5mWでの電界強度レベル閾値よりも大きかった場合には、「キャリアあり(電波あり)」と判断して、無線通信部B5で受信動作に入る方法である。
【0065】
一方、以上一連の流れは、無線機B4が、追跡信号に対する応答信号を正常受信できたか否か、また追跡信号に対する応答信号の受信電界強度が予め決められた閾値を上回ったか否かで、追跡信号の再送や再度追跡信号の送信が生じた場合に、自動的に送信出力を切り替える方式で説明したが、利用者が追跡信号の送信レベルを設定できるような構成としてもよい。この場合、利用者は、例えば、外部入力部9を介し、追跡信号の送信レベルを、任意に、または、予め用意された選択肢の中から設定できることとなる。そして、無線機A4は、設定された送信レベルを使って追跡信号を送信することとなる。これにより、利用者の使い方に合わせたシステムが実現できる。例えば、電池寿命は短くてもいいから遠くまで追跡できる使い方をしたい人は追跡信号の送信レベルを高く設定することができ、逆に電池寿命を重視し追跡範囲を限定してもよいという人は、追跡信号の送信レベルを低く設定することができる。よって、利用者の利便性が向上される。
【0066】
さらには、無線機B4に、無線機A1が送信する追跡信号に対する応答信号の送信レベルを変える仕組みを入れることもできる。例えば、無線機B4が無線機A1に送信する追跡信号に、無線機A1が送信する追跡信号に対する応答信号の送信レベルの情報を入れておき、無線機A1は無線機B4から追跡信号を受信した場合、その情報に従って応答信号を送信する。
【0067】
ここで、無線機A1が送信する追跡信号に対する応答信号の送信レベルは、前述のように、利用者が無線機B4に対して外部から入力できる仕組みでもよいし、無線機B4が自動的に切り替える仕組みでもよい。無線機B4が自動的に切り替える仕組みの場合、追跡信号に対する応答信号を無線機B4が受信できたか否か、またその時の受信電界強度レベルに応じて、追跡信号の再送時や再度追跡信号の送信が生じた場合に自動的に切り替える。例えば、追跡信号の再送を6mWで送信する場合、当該追跡信号に、「6mWで応答信号を返して来い!」という情報を入れておく。そもそも、追跡信号の再送を6mWで送信しなければいけないということは、無線機A1が6mWでないと届かない距離にあることが前提である為、追跡信号に対する応答信号も6mWで送信されないと無線機B4は受信
できない。このようにすることで、より一層本システムの信頼性を向上させることができると共に、無線機A1並びに無線機B4の通信電流を抑制することができる。
【0068】
一方、無線機B4からの追跡信号が複数回(再送も含めて)送信された場合の無線機A1の動きについて説明する。ここで、無線機A1は出力切り替え部A(図示せず)を有するものとする。
【0069】
無線機A1は、無線機B4からの追跡信号の受信回数をカウントして記憶する機能を有する。なお、このカウント回数は、無線機A1が無線機B4との認証通信がうまく行かなくなった場合、すなわち無線機A1が「追跡モード」に遷移した場合にカウントを開始し、この「追跡モード」から、無線機A1が無線機B4との認証通信を継続してできる状態、いわゆる「認証モード」に遷移した場合には、カウントをクリアする。これにより、無線機A1は、「追跡モード」において連続して何回追跡信号を受信したかを把握できる。
【0070】
そして、無線機A1は、「追跡モード」において無線機B4からの追跡信号を予め決められた回数以上受信した場合には、追跡信号に対する応答信号を無線機B4に対して送信する場合に、出力切り替え部Aを使って追跡信号に対する応答信号の送信出力を上げて送信する。
【0071】
仮に、前述の予め決められた回数を2回とする場合、追跡信号を2回以上受信する、すなわち、無線機B4から追跡信号が複数回送信されてくるということは、初回に送信した追跡信号に対する応答信号を無線機B4が正常に受信できなかったのではないかと想定する。正常に受信できなかった理由としては、例えば、無線機A1と無線機B4の距離が離れてしまって、追跡信号に対する応答信号を無線機B4が正常に受信できなかった場合等がある。
【0072】
よって、無線機A1は、2回目に追跡信号を受信した場合、この2回目の追跡信号に対する応答信号の送信出力を、出力切り替え部Aを使って大きくして無線機B4に対して送信する。これにより、2回目の追跡信号に対する応答信号が無線機B4に届く、すなわち無線機B4が正常に受信できる確率が高くなる。これにより、無線機B4が再々度追跡信号を送信することがなくなり、追跡信号通信を必要最低限に抑制することで、無線機A1と無線機B4の通信に費やす消費電流を抑制することができると共に、通信の輻輳度合いも抑制することができる。また、必要最低限の追跡信号の再送で済むので、利用者から見ても、本システムの利便性を向上させることができる。
【0073】
以上の説明は、「追跡モード」において、無線機A1が複数回無線機B4からの追跡信号を受信した場合の動きについて説明したが、初回の追跡信号の応答においても、同様の動きを実現することができる。すなわち、無線機A1は、相手側無線機からの電界強度を測定する電界強度測定部A(図示せず)を有する。そして、電界強度測定部Aは、無線機B4からの追跡信号を受信した場合、その受信電界強度を測定する。その結果、追跡信号の受信電界強度が予め定められた閾値よりも下回っていた場合、無線機A1と無線機B4の距離が離れていると想定し、追跡信号に対する応答信号が無線機B4に対して届かない可能性が高いと判断する。よって、無線機A1は出力切り替え部Aを使って、追跡信号に対する応答信号の送信出力を高くして送信する。これにより、追跡信号に対する応答信号が無線機B4に届く、すなわち無線機B4が正常に受信できる確率が高くなり、追跡信号の再送を防ぐ確率が高くなる。ゆえに、前述と同様、無線機A1と無線機B4の通信に費やす消費電流の抑制、通信の輻輳度合いの抑制、本システムの利便性向上が実現できる。
【0074】
また、本実施の形態で説明した内容は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハー
ドリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回線を用いて配信することで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の追跡通報システム、及びプログラムによれば、利用者がカバンやパソコン等の置き忘れが発生した場合に、それにすぐ気づくことができると共に、カバンやパソコン等の存在場所を用意に見つけることができる。
【0076】
さらに、置き引きに合った場合等は、犯人を追跡することもでき、さらには、犯人を威嚇して犯罪をあきらめさせ、カバンやパソコン等を取り戻すことができ、利用者の利便性を大いに向上させることができると共に、こういったシステムが普及することで犯罪の防止にも役立ち、セキュリティ分野に関して非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態1、2、3の追跡通報システムのブロック図
【図2】本発明の実施の形態1の追跡通報システムの動作を表すフロー図
【符号の説明】
【0078】
1 無線機A1
2 無線通信部A
3 外部出力部A
4 無線機B4
5 無線通信部B
6 電界強度測定部B
7 出力切り替え部B
8 外部入力部
9 外部出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線機同士が定期的に認証を行う通報追跡システムであって、
無線機Aは、相手側無線機と通信を行う無線通信部Aと、自らの状態を外部に出力する外部出力部Aを有し、
無線機Bは、相手側無線機と通信を行う無線通信部Bと、相手側無線機からの電波の電界強度を測定する電界強度測定部Bと、自らの状態を外部に出力する外部出力部Bと、外部からの入力を受け付ける外部入力部と、無線送信時の出力を切り替える出力切り替え部Bを有し、
前記無線機Bは、前記無線通信部Bが前記無線機Aとの認証通信が失敗したと判断した場合、または、前記電界強度測定部Bが前記無線機Aから受信した電波の電界強度が予め定められたレベルを下回ったと判断した場合、前記外部出力部Bを動作させその旨を外部に出力すると共に、前記外部入力部から特定の入力があった場合、前記出力切り替え部Bを動作させ相手側に対する送信電波の出力を変化させた上で、前記相手側無線機に対して前記無線通信部Bを介して追跡する旨の信号を送信し、
前記無線機Aは、相手側無線機から追跡する旨の信号を受信した場合、前記外部出力部Aからその旨を出力する構成の通報追跡システム。
【請求項2】
前記無線機Bは、前記無線通信部Bが前記無線機Aとの認証通信が継続している場合、または、前記電界強度測定部Bが前記無線機Aから受信した電波の電界強度が予め定められたレベル以上の場合には、前記外部出力部B、及び、前記出力切り替え部Bを動作させないと共に、前記外部入力部から特定の入力があった場合であっても、追跡する旨の信号を送信せずに定期的な認証を継続する請求項1記載の追跡通報システム。
【請求項3】
複数の無線機同士が定期的に認証を行う通報追跡システムであって、
無線機Aは、相手側無線機と通信を行う無線通信部Aと、自らの状態を外部に出力する外部出力部Aを有し、
無線機Bは、相手側無線機と通信を行う無線通信部Bと、相手側無線機からの電波の電界強度を測定する電界強度測定部Bと、自らの状態を外部に出力する外部出力部Bと、外部からの入力を受け付ける外部入力部と、無線送信時の出力を切り替える出力切り替え部Bを有し、
前記無線機Bは、前記無線通信部Bが前記無線機Aとの認証通信が失敗したと判断した場合、または、前記電界強度測定部Bが前記無線機Aから受信した電波の電界強度が予め定められたレベルを下回ったと判断した場合、前記外部出力部Bを動作させその旨を外部に出力すると共に、前記外部入力部から特定の入力があった場合、前記出力切り替え部Bを動作させ相手側に対する送信電波の出力を変化させた上で、前記相手側無線機に対して前記無線通信部Bを介して追跡する旨の信号を送信し、
前記無線機Aは、相手側無線機から追跡する旨の信号を受信した場合、前記外部出力部Aからその旨を出力すると共に、前記無線通信部Aを介し相手側無線機に応答信号を送信する通報追跡システム。
【請求項4】
前記出力切り替え部Bは、前記電界強度測定部Bが前記無線機Aから受信した電波の電界強度レベルに応じて、前記相手側無線機に対して前記無線通信部Bを介して追跡する旨の信号の送信レベル値を決定する構成の請求項1もしくは請求項2もしくは請求項3記載の通報追跡システム。
【請求項5】
前記無線機Aは、相手側無線機からの電波の電界強度を測定する電界強度測定部Aと、無線送信時の出力を切り替える出力切り替え部Aを有し、
相手側無線機から追跡する旨の信号を受信した場合に前記電界強度測定部Aを用いて電界強度を測定し、測定した電界強度レベルに応じて、前記出力切り替え部Aを用いて相手側
無線機に対する応答信号の送信レベル値を決定する構成の請求項3記載の通報追跡システム。
【請求項6】
前記無線機Bは、前記無線機Aからの応答信号を受信した際に、その旨を前記外部出力部Bから出力する構成の請求項3記載の通報追跡システム。
【請求項7】
前記無線機Aと無線機Bは、相手側無線機との認証通信を行う認証モードと、前記認証モードが成立しなくなった場合に遷移する追跡モードの少なくとも2つのモードを有する請求項1もしくは請求項2もしくは請求項3記載の通報追跡システム。
【請求項8】
利用者が操作するスイッチで構成された前記外部入力部を有する請求項1もしくは請求項2もしくは請求項3記載の通報追跡システム。
【請求項9】
コンピュータに、請求項1から8のいずれか一項に記載の処理を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−217668(P2009−217668A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62155(P2008−62155)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】