説明

遅延同期回路及び半導体集積回路装置

【課題】遅延同期回路において、定常位相誤差を発生させることなく遅延同期ループの誤動作を回避することができる技術を提供する。
【解決手段】遅延同期回路において、遅延同期ループ(DL)1の外に制御回路(CNT)2を設け、遅延同期ループ1の位相比較において、基準信号(Fr)と出力信号(Fo)の位相比較の対応関係が設定周期分ずれるように、制御回路2から遅延同期ループ1に制御信号(S)を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遅延同期回路、及びそれを用いた半導体集積回路装置に関し、特に遅延同期回路の誤動作回避技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者が検討した技術として、例えば、遅延同期回路においては、以下の技術が考えられる。
【0003】
一般に半導体集積回路装置には、基準信号である発振子の出力信号とデータを処理する論理回路の動作クロックとの同期をとるために遅延同期回路(DLL)が搭載される。また、近年、半導体集積回路装置の高速化に伴い、論理回路の動作クロックを高速化するため、上記遅延同期回路(DLL)に非特許文献1記載の入力信号周波数の逓倍クロックを出力することができるエッジコンバイナ型DLLが用いられている。
【0004】
このDLLが所望の動作を満たすためにDLLループ内において対策を行うことが知られている。例えば、特許文献1〜4に、DLL誤動作回避技術が開示されている。
【0005】
特許文献1には、基準クロックと位相比較器の入力の間に制御回路を設けて、その制御回路により、基準クロックの1クロック分をマスクする技術が開示されている(例えば、特許文献1の図2等参照)。
【0006】
特許文献2には、基準クロックと位相比較器の入力の間に比較器イネーブル信号発生器を設けて、その比較器イネーブル信号発生器により、基準クロックの入力を制御する技術が開示されている(例えば、特許文献2の図3等参照)。
【0007】
特許文献3には、帰還信号と位相比較器の入力の間にダミーのバッファを設けて、基準クロック入力との遅延時間の差を調整する技術が開示されている(例えば、特許文献3の図63等参照)。
【特許文献1】特開2005−311543号公報
【特許文献2】特開2005−251370号公報
【特許文献3】特開2001−056723号公報
【特許文献4】特開2002−64371号公報
【非特許文献1】ジョージ・チエン(George Chien)他、「ア・900メガヘルツ・ローカル・オシレータ・ユージング・ア・ディーエルエル・ベーステッド・フリークェンシ・マルチプライヤ・テクニック・フォー・ピーシーエス・アプリケーション(A 900-MHz Local Oscillator using a DLL-based Frequency Multiplier Technique for PCS Application)」、アイエスエスシーシー(ISSCC)、2000年、p.105
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前記のような遅延同期回路の技術について、本発明者が検討した結果、以下のようなことが明らかとなった。
【0009】
図20及び図21に、本発明の前提として検討した遅延同期ループの構成例を示す。図20及び図21に示す遅延同期ループ1において、出力信号(Fo)は、基準信号(Fr)の1周期分の遅延量でなければならない。このためには、位相周波数比較器(PFD)11における、基準信号(Fr)と出力信号(Fo)の位相比較の対応関係が1周期分ずれていなければならない。
【0010】
図22に、遅延同期ループ1のタイミングチャートを示す。遅延同期ループ1では、基準信号(Fr)の2クロック目の立ち上がりエッジ(b)と、出力信号(Fo)の1クロック目の立ち上がりエッジ(c)が位相比較の対応関係になければならない。しかし、もし、基準信号(Fr)の1クロック目の立ち上がりエッジ(a)と、出力信号(Fo)の1クロック目の立ち上がりエッジ(c)が位相比較の対応関係にあると、出力信号(Fo)の方が早いので、本来、Dn信号のパルス幅がUp信号のパルス幅より広くならなければならないのに、Up信号のパルス幅の方が大きくなり、誤動作を起こす。
【0011】
この誤動作を回避するために、図20(第1構成例)及び図21(第2構成例)に示すような対策がとられていた。
【0012】
図20に示す第1構成例による遅延同期ループ1は、位相周波数比較器(PFD)11、チャージポンプ(CP)12、ループフィルタ(LF)13、電圧制御遅延線(VCDL)14、制御回路(CNT)2から構成される。
【0013】
基準信号(Fr)と位相周波数比較器11の間に制御回路2を介在させることによって、入力信号(Fr)の1クロック目のパルスをマスクして補正した基準信号(Fr’)を生成し、補正した基準信号(Fr’)と出力信号(Fo)の位相比較を行うことで遅延同期ループの誤動作を回避する対策である。
【0014】
図23に、図20に示した第1構成例の動作例を示す。制御回路2によって入力信号(Fr)は補正された基準信号(Fr’)に変換される。位相周波数比較器11は、補正された基準信号(Fr’)と出力信号(Fo)を比較することから、基準信号(Fr)の2クロック目の立ち上がりエッジ(b)と、出力信号(Fo)の1クロック目の立ち上がりエッジ(c)が位相比較の対応関係になる。
【0015】
ところが、基準信号(Fr)と補正した基準信号(Fr’)の間には、制御回路2で生じる遅延が加算される。この制御回路2の遅延が遅延同期ループにとって定常位相誤差になり、所望の周波数が生成できないなど、正確なロック動作を行うことができないことが問題となっていた。
【0016】
また、図21に示す第2構成例による遅延同期ループ1は、位相周波数比較器(PFD)11、チャージポンプ(CP)12、ループフィルタ(LF)13、電圧制御遅延線(VCDL)14、制御回路(CNT)2、制御回路(CNT)3から構成される。そして、基準信号(Fr)と位相周波数比較器11の間に制御回路(CNT)2が介在して、出力信号(Fo)と位相周波数比較器11の間に制御回路(CNT)3が介在する構成となっている。
【0017】
図24に、図21に示した第2構成例の動作例を示す。第2構成例では、第1構成例で問題となった基準信号(Fr)と補正した基準信号(Fr’)の間の遅延による定常位相誤差を回避するために、制御回路(CNT)3を追加している。そして、制御回路基準信号(Fr)と補正した基準信号(Fr’)の間の遅延と同じ時間の遅延を、出力信号(Fo)と補正した出力信号(Fo’)の間に発生させる対策を行っている。
【0018】
しかし、制御回路(CNT)2では、基準信号(Fr)と補正した基準信号(Fr’)の間で、基準信号(Fr)の最初の1クロックをマスクして、2クロック目からは基準信号(Fr)を出力する動作を行う。一方、制御回路(CNT)3は、出力信号(Fo)をある一定時間遅延させた信号として補正した出力信号(Fo’)を出力する動作を行う。
【0019】
よって、制御回路(CNT)2と制御回路(CNT)3は違う動作を行うため、回路構成が異なる。この結果、制御回路(CNT)2と制御回路(CNT)3の遅延時間は完全には一致することはなく、制御回路(CNT)2と制御回路(CNT)3の遅延時間の差が遅延同期ループ1の定常位相誤差として見えてくる結果になる。
【0020】
そこで、本発明の目的は、遅延同期回路において、定常位相誤差を発生させることなく遅延同期ループの誤動作を回避することができる技術を提供することにある。
【0021】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0023】
すなわち、本発明による遅延同期回路及び半導体集積回路装置は、遅延同期ループの外に制御回路を備え、遅延同期ループの位相比較において、基準信号(Fr)と出力信号(Fo)の位相比較の対応関係が設定周期分ずれるように、前記制御回路から前記遅延同期ループに制御信号を出力するものである。
【0024】
具体的には、本発明の遅延同期回路は、位相比較器と、前記位相比較器の出力に基づいて基準信号に与える遅延時間を変化させ、遅延された基準信号を出力信号として出力すると共に、前記出力信号を帰還信号として前記位相比較器に与える遅延線とを具備して成り、前記位相比較器には、前記基準信号と、前記遅延線からの前記帰還信号と、前記位相比較器が行う前記基準信号と前記帰還信号との位相比較動作の開始タイミングを制御する制御信号とが入力するよう構成され、前記遅延線に前記基準信号が入力するタイミングと前記位相比較器に前記基準信号が入力するタイミングとが略同じであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、遅延同期ループの誤動作を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0027】
(実施形態1)
図1に、本発明の実施形態1に係る遅延同期回路の構成を示す。
【0028】
本実施形態1の遅延同期回路は、少なくとも位相比較器11と、位相比較器11の出力に基づいて基準信号に与える遅延時間を変化させ、遅延された基準信号を出力信号として出力すると共に、その出力信号を帰還信号として位相比較器11に与える遅延線14とを具備して成る。位相比較器11には、基準信号(Fr)と、遅延線14からの帰還信号と、位相比較器11が行う基準信号(Fr)と帰還信号との位相比較動作の開始タイミングを制御する制御信号(S)とが入力するよう構成される。また、遅延線14に基準信号(Fr)が入力するタイミングと位相比較器11に基準信号(Fr)が入力するタイミングとが略同じとなっている。
【0029】
より好ましくは、遅延同期回路は、例えば、位相比較器11と遅延線14とを具備する遅延同期ループ(DL)1と制御回路(CNT)2などとから構成される。
【0030】
遅延同期ループ(DL)1は、基準信号(Fr)と制御信号(S)が入力して出力信号(Fo)を出力する。制御回路(CNT)2は、基準信号(Fr)が入力して制御信号(S)を出力する。
【0031】
図15に、図1に示した遅延同期ループ(DL)1の構成例を示す。
【0032】
この遅延同期ループ(DL)1は、位相周波数比較器(PFD)11、チャージポンプ(CP)12、ループフィルタ(LF)13、電圧制御遅延線(VCDL)14などから構成される。
【0033】
位相周波数比較器11は、基準信号(Fr)と出力信号(Fo)と制御信号(S)が入力し、制御信号(S)によって動作が制御され、基準信号(Fr)と出力信号(Fo)の位相と周波数を比較して、その比較信号をチャージポンプ12に出力する。チャージポンプ12は、比較信号に応じたパルス信号をループフィルタ13に出力する。ループフィルタ13は、パルス信号をアナログ信号に変換して電圧制御遅延線14に出力する。電圧制御遅延線14は、ループフィルタ13からのアナログ信号と基準信号(Fr)が入力し、アナログ信号で制御された遅延時間だけ基準信号を遅延した信号として出力信号(Fo)を出力する。
【0034】
遅延同期ループ1は、基準信号(Fr)から1クロック遅延した信号を出力信号(Fo)として出力する。このため、ロック初期の状態において、位相周波数比較器11は、基準信号(Fr)の2クロック目と出力信号(Fo)の1クロック目を位相比較しなければならない。この動作を実現するために、本実施形態1では、制御信号(S)が位相周波数比較器11に入力している。
【0035】
なお、後述の図17に示すエッジコンバーナー遅延同期ループも、本実施形態1に適用可能な遅延同期ループである。エッジコンバーナー遅延同期ループの動作の詳細については、後述の実施形態3にて説明する。
【0036】
図18に、図15に示した位相周波数比較器11の第1構成例を示す。位相周波数比較器の位相比較動作については、前記特許文献4(特開2002−64371号公報)を参照されたい。図18に示す位相周波数比較器11は、制御信号(S)で基準信号(Fr)を遮断することができる。
【0037】
図3に、図15の遅延同期ループ1及び図18の位相周波数比較器11の動作タイミングチャートを示す。
【0038】
仮に、基準信号(Fr)は図3に示すような波形を示すとする。このとき、出力信号(Fo)は図3に示すような波形であるとする。このとき、位相周波数比較器11は、基準信号の2クロック目の立ち上がりエッジと出力信号の1クロック目の立ち上がりエッジを位相比較しなければならない。このためには、位相周波数比較器11では、制御信号(S)によって、基準信号(Fr)の1クロック目の立ち上がりエッジをマスクして補正した基準信号(Fr’)を生成し、補正した基準信号(Fr’)と出力信号(Fo)によって位相比較を行うことによって、基準信号(Fr)の2クロック目の立ち上がりエッジと出力信号の1クロック目の立ち上がりエッジを位相比較する動作を実現する。図18において、NANDゲート111に基準信号(Fr)と制御信号(S)が入力することで上記動作を実現している。図18において、制御信号(S)がローのとき、NANDゲート111の出力信号の反転信号である補正した出力信号(Fr’)は基準信号(Fr)の状態に係らずローが出力される。一方、制御信号(S)がハイのとき、NANDゲート111の出力信号の反転信号である補正した出力信号(Fr’)は基準信号(Fr)と同相の信号が出力される。図18ではNANDゲート111の出力信号を反転するためにインバータ11dが挿入されているが、インバータ11dは必ずしも必要ではない。補正した基準信号(Fr’)はNANDゲート111とインバータ11dの遅延が加算されているため、出力信号(Fo)にも同じ遅延を加算して定常位相誤差を回避する必要がある。このため、NANDゲート112及びインバータ11eが存在する。
【0039】
次に、図2により、制御信号(S)を生成する制御回路2について説明する。図2は、図1に示した制御回路(CNT)2の第1構成例を示す。
【0040】
この制御回路(CNT)2はカウンタ(COUNT)23を具備して成り、基準信号(Fr)が入力し、あらかじめ設定されたカウント数だけ基準信号(Fr)をカウントして、所定のカウント数になるまでは制御信号(S)としてローを出力して、所定のカウント数に到達したら制御信号(S)としてハイを出力する。図3に示すシーケンス例では、制御回路2は基準信号(Fr)を1回カウントして制御信号(S)の極性を変えるときの動作例である。カウンタ23は初期状態として制御信号(S)としてローを出力するように設定されており、基準信号(Fr)の立ち下がりエッジを検出してカウント数を数えて、カウント数が1になるまでは制御信号(S)としてローを出力して、カウント数が1になったら、制御信号(S)としてハイを出力する。カウンタ23は、制御信号(S)として一度ハイを出力する動作に入ったら、同じ状態を保持する。なお、あらかじめ設定するカウント数は、1に限定されず、2以上であってもよい。
【0041】
遅延同期ループ1のループ外に、上述したような動作を行う制御回路2を持つことで、定常位相誤差を生じることなく、遅延同期ループのハーモニックロックを回避することが可能となる。
【0042】
図19に、図15に示した位相周波数比較器(PFD)11の第2構成例を示す。位相周波数比較器の動作の詳細については、前記特許文献4(特開2002−64371号公報)を参照されたい。
【0043】
図19の位相周波数比較器は、基準信号(Fr)と出力信号(Fo)の立ち上がりエッジを位相比較して比較結果をUp、Dnとして出力する回路であり、制御信号(S)によって、位相比較動作をリセットすることができる位相周波数比較器である。
【0044】
図4に、図1に示した制御回路(CNT)2の第2構成例を示す。図4に示す制御回路2はパルス発生器(SHOT)24を具備して成り、基準信号(Fr)が入力されて、基準信号(Fr)の最初の立ち上がりエッジを検出したらパルス信号を制御信号(S)として出力し、その後は一定値を保つ動作をする回路である。
【0045】
図6に、図4に示したパルス発生器(SHOT)24の構成例を示す。図6に示すパルス発生器(SHOT)24は、スタンバイシーケンス回路(SEQ)247と、NORゲート241,243、NANDゲート244、Dフリップフロップ(DFF)245、インバータ242,246などから構成されている。図6のパルス発生器24は、スタンバイシーケンス回路247から出力されるスタンバイ信号(ST)がローのときに動作を行い、ハイのときには動作しない構成になっている。
【0046】
図28に、図6のパルス発生器(SHOT)24の動作タイミングチャートを示す。図6のパルス発生器(SHOT)24において、スタンバイ信号(ST)がハイのとき、NORゲート241の出力信号(CLKB)はローであり、Dフリップフロップ(DFF)245の出力信号(Q)はローであり、反転出力信号(QB)はハイである。このため、NANDゲート244の出力信号(D)はローであり、NORゲート243の出力信号(SB)はハイであり、制御信号(S)はローである。
【0047】
次に、スタンバイ信号(ST)がハイからローに遷移するとする。このとき、図28に示すように、例えば基準信号(Fr)がローであるとすると、NORゲート241の出力信号(CLKB)はハイになり、インバータ246の出力信号(CLK)はローになる。これらの信号の遷移によって、NORゲート243の出力信号(SB)はハイからローに遷移して、NANDゲート244の出力信号(D)はローからハイに遷移して制御信号(S)はローからハイに遷移する。
【0048】
次に、基準信号(Fr)がローからハイに遷移する。このとき、信号(CLKB)はハイからローになる。信号(Q)はローのままであるので信号(SB)はローからハイに遷移し、制御信号(S)はハイからローに遷移する。また、信号(QB)はハイのままであるので信号(D)はハイからローに遷移する。
【0049】
一方、信号(CLK)はローからハイに遷移する。Dフリップフロップ(DFF)245は信号(CLK)がローからハイに遷移したときの信号(D)の状態を保持するように動作する。信号(CLK)がローからハイに遷移するときは、信号(D)はまだハイのままである。なぜなら、インバータ246の遅延時間の方が、NORゲート243とNANDゲート244の合計の遅延時間より短いからである。このとき、信号(Q)はハイ、信号(QB)はローを出力する。しかし、Dフリップフロップ(DFF)245は回路遅延が他の回路より大きく、信号(CLK)がローからハイへの遷移時間に比べて信号(Q)のローからハイへの遷移および信号(QB)のハイからローへの信号はDフリップフロップ(DFF)245の遅延時間分遅くなる。このとき、NORゲート243において、信号(CLKB)がローに遷移する時間と信号(Q)がローからハイへ遷移する時間がずれることから信号(SB)は信号(CLKB)がハイからローに遷移する遷移時間と信号(Q)がローからハイへ遷移する遷移時間の時間差をパルス幅とするパルス信号を生成することになる。このため、制御信号(S)はパルス信号を出力する。一方、信号(D)もパルス信号を生成する。
【0050】
次に、基準信号(Fr)がハイからローに遷移すると、信号(CLKB)はローからハイに、信号(CLK)はハイからローに遷移するが、信号(Q)がハイのため信号(SB)はローのままであり、信号(S)はハイのままである。さらに信号(QB)がローであるため信号(D)はハイのままである。また、Dフリップフロップ(DFF)245は信号(CLK)の立下りエッジでは出力信号の変化はないので信号(Q)、信号(QB)ともにハイ、ローを保持する。
【0051】
次に、基準信号(Fr)がローからハイに遷移すると、信号(CLKB)はハイからローに、信号(CLK)はローからハイに遷移するが、信号(Q)がハイのため信号(SB)はローのままであり、信号(S)はハイのままである。さらに信号(QB)がローであるため信号(D)はハイのままである。また、Dフリップフロップ(DFF)245は信号(CLK)の立ち上がりエッジでは出力信号は信号(D)を保持するので信号(Q)、信号(QB)ともにハイ、ローを保持する結果になる。
【0052】
このため、以後、基準信号(Fr)が遷移しても制御信号(S)はハイを出力し続ける。
結局、図6記載のパルス発生器24は、基準信号(Fr)の最初の立ち上がりエッジを検出してワンショットパルス信号を出力してその後はハイを保持し続ける制御信号(S)を生成する。
【0053】
図5に、図6に記載の回路の動作を示す。スタンバイ信号(ST)がローのとき、基準信号(Fr)が図5に示す波形でパルス発生器24に入力するとする。このとき、パルス発生器24は、初期状態として制御信号(S)をハイにするとする。基準信号(Fr)の最初の立ち上がりエッジを検出するとパルスを出力し、その後は、制御信号(S)をハイの状態で保持する動作を行う。
【0054】
このとき、図19に示す第2構成例の位相周波数比較器11は、図5に示すような動作を行う。すなわち、位相周波数比較器11には、比較対象となる信号として、基準信号(Fr)と出力信号(Fo)が入力される。このとき、基準信号(Fr)の1クロック目の立ち上がりエッジと出力信号(Fo)の1クロック目の立ち上がりエッジが位相比較対象となるが、制御信号(S)を入力することによって、制御信号(S)がパルスを出力したら、位相周波数比較器11の位相比較動作が一度リセットされる。このとき、制御信号(S)のパルスを受けた後の基準信号(Fr)および出力信号(Fo)の最初の立ち上がりエッジを位相比較する。
【0055】
さらに、図1に示した遅延同期ループ(DL)1において、初期状態において、出力信号(Fo)の1クロック目の立ち上がりエッジは、必ず基準信号(Fr)の立ち上がりエッジより遅いタイミングで出力されることから、図5に示すタイミングで制御信号(S)が出力されれば、位相比較動作は必ずリセットされて、基準信号(Fr)の2クロック目と出力信号(Fo)の1クロック目を位相比較する動作を行う。
【0056】
遅延同期ループ(DL)1のループ外に、上述したような動作を行う制御回路(CNT)2を持つことで、定常位相誤差を生じることなく、遅延同期ループのハーモニックロックを回避することが可能となる。
【0057】
図16は、図1に示す遅延同期ループ1の第2構成例を示している。図15に示す第1構成例との違いは、プリチャージ15(PC)が備わっていることである。プリチャージ15は、制御信号(S)が入力してループフィルタ13に信号を出力している。プリチャージ15によりループフィルタ13をプリチャージすることで、遅延同期ループ1における動作初期状態でのループフィルタ13の出力信号レベルを高くしてロック時間を短縮することが可能となる。図16に示す第2構成例の遅延同期ループに図3に示す制御信号(S)が入力したときの動作を以下に説明する。
【0058】
制御信号(S)がローのとき、プリチャージ15はループフィルタ13に電荷をチャージし続ける。このとき、ループフィルタ13の出力信号レベルは高くなり、もし、制御信号(S)がローの時間が十分に長ければ、ループフィルタ13の出力信号レベルは電源電圧まで上昇する。制御信号(S)がローからハイに変化すると、プリチャージ15は電荷のチャージを行わなくなる。
【0059】
このような動作を行うことで、図16に示す第2構成例の遅延同期ループは、ロック時間を短縮することが可能である。
【0060】
(実施形態2)
図7に、本発明の実施形態2に係る遅延同期回路の構成を示す。
【0061】
本実施形態2の遅延同期回路は、例えば、遅延同期ループ(DL)1と制御回路(CNT)2などから構成される。
【0062】
遅延同期ループ(DL)1は、基準信号(Fr)と制御信号(S)が入力して出力信号(Fo)を出力する。制御回路2は、基準信号(Fr)と出力信号(Fo)が入力して制御信号(S)を出力する。
【0063】
図7に示す遅延同期ループ1は、前記実施形態1で説明した図15、図16、図17に記載の遅延同期ループを適用することができる。図17に記載のエッジコンバイナ遅延同期ループを本実施形態に適用する場合は、帰還信号(Fb)を制御回路2に出力することで適用することが可能である。
【0064】
図9に、図7に示す制御回路2の一構成例を示す。
【0065】
図9に示す制御回路2は、排他的論理和回路(EXOR)2aとカウンタ(COUNT)23を具備して成り、排他的論理和回路2aは、基準信号(Fr)と出力信号(Fo)が入力して、排他的論理和信号(EXO)をカウンタ23に出力して、カウンタ23は、排他的論理和信号(EXO)の立ち下がりエッジをあらかじめ設定されたカウント数だけ基準信号(Fr)をカウントして、所定のカウント数になるまでは制御信号(S)としてローを出力して、所定のカウント数に到達したら制御信号(S)としてハイを出力する。
【0066】
図10に、図9に示す制御回路2を適用した図7に示す遅延同期回路の動作例を示す。図10に示す動作例では、制御回路2は排他的論理和信号(EXO)の立ち下がりエッジを3回カウントして制御信号(S)の極性を変えるときの動作例である。
【0067】
基準信号(Fr)と出力信号(Fo)は図10に示すような波形であるとする。この両信号が排他的論理和回路(EXOR)2aに入力すると、図10に示すような排他的論理和信号(EXO)を出力する。
【0068】
カウンタ23は初期状態として制御信号(S)としてローを出力するように設定されており、基準信号(Fr)の立ち下がりエッジを検出してカウント数を数えて、カウント数が3になるまでは制御信号(S)としてローを出力して、カウント数が3になったら、制御信号(S)としてハイを出力する。カウンタ23は、制御信号(S)として一度ハイを出力する動作に入ったら、同じ状態を保持する。
【0069】
遅延同期ループ1のループ外に、上述したような動作を行う制御回路2を持つことで、定常位相誤差を生じることなく、遅延同期ループのハーモニックロックを回避することが可能となる。
【0070】
(実施形態3)
図8に、本発明の実施形態3に係る遅延同期回路の構成例を示す。本実施形態3は前記実施形態2の変形例である。
【0071】
本実施形態3に係る遅延同期回路は、例えば、遅延同期ループ(DL)1と制御回路(CNT)2などから構成される。
【0072】
遅延同期ループ(DL)1は、基準信号(Fr)と制御信号(S)が入力して帰還信号(Fb)と出力信号(Fo)を出力する。制御回路2は基準信号(Fr)と帰還信号(Fb)が入力して制御信号(S)を出力する。
【0073】
図17に、図8に記載の遅延同期ループ1の構成例を示す。
【0074】
図17に示す遅延同期ループ1は、位相周波数比較器(PFD)11、チャージポンプ(CP)12、ループフィルタ(LF)13、電圧制御遅延線(VCDL)14、プリチャージ(PC)15、エッジコンバイナ(EC)16から構成される。
【0075】
位相周波数比較器11は、基準信号(Fr)と帰還信号(Fb)と制御信号(S)が入力して、基準信号(Fr)と帰還信号(Fb)の比較信号をチャージポンプ12に出力する。チャージポンプ12は、比較信号に応じたパルス信号をループフィルタ13に出力する。ループフィルタ13は、パルス信号をアナログ信号に変換して電圧制御遅延線14に出力する。電圧制御遅延線14は、基準信号とアナログ信号が入力して、アナログ信号で制御された遅延時間だけ基準信号の位相を遅延した各位相の信号を出力する。
【0076】
図17では4種類の位相の信号を出力している。基準信号に対して最も位相が遅延された信号を帰還信号(Fb)として位相周波数比較器11に入力している。一方、電圧制御遅延線14の各位相の出力信号は、エッジコンバイナ16(EC)に入力する。エッジコンバイナは、位相の異なる各信号を足し合わせて基準信号(Fr)の定数倍の周波数を持つ出力信号(Fo)を生成する。
【0077】
図8に示す制御回路2は、前述の図9に示す制御回路を適用することが可能である。本実施形態3の動作詳細は、前記実施形態1及び実施形態2と同様であるため省略する。
【0078】
本実施形態3により、前記実施形態1及び実施形態2と同様の効果を得ることができる。
【0079】
(実施形態4)
図11に、本発明の実施形態4に係る遅延同期回路の構成を示す。
【0080】
本実施形態4に係る遅延同期回路は、例えば、遅延同期ループ(DL)1と制御回路(CNT)2などから構成される。
【0081】
遅延同期ループ(DL)1は、基準信号(Fr)と制御信号(S)とスタンバイ信号(ST)が入力して出力信号(Fo)を出力する。制御回路2は、基準信号(Fr)と帰還信号(Fb)とスタンバイ信号(ST)が入力して制御信号(S)を出力する。
【0082】
スタンバイ信号(ST)は、遅延同期ループ1の動作状態を規定する信号で、例えば、スタンバイ信号(ST)がハイのときに遅延同期ループ1は通常動作を行い、ローのときにスタンバイ動作になるとする。
【0083】
図12に、図11に示す制御回路2の構成例を示す。また、図14に、図12に示す遅延回路21の構成を示す。
【0084】
図12に示す制御回路2は、遅延回路(DELAY)21とトリミング部(TRIM)22を具備して成り、スタンバイ信号(ST)とトリミング信号(T)が入力している遅延回路21は、トリミング信号(T)で設定された遅延時間だけスタンバイ信号(ST)を遅延した信号を制御信号(S)として出力する。
【0085】
図13に、図12に示す制御回路2を用いた、図11に示す遅延同期回路の動作例を示す。
【0086】
スタンバイ信号(ST)がローのとき、基準信号(Fr)はクロック信号ではなく、一定信号になる。スタンバイ信号(ST)がハイになると基準信号がクロック信号となり遅延同期ループ1に入力される。また、スタンバイ信号(ST)は制御回路2にも入力されて、制御回路において、スタンバイ信号(ST)の立ち上がりエッジが、基準信号(Fr)の最初の立ち下がりエッジと2番目の立ち上がりエッジの間に来るように遅延させて、制御信号(S)として遅延同期ループに出力する。この遅延時間がトリミング信号(T)で制御される。制御信号(S)を入力された遅延同期ループ1は、図13に示すように正常動作をすることが可能となる。
【0087】
(実施形態5)
本発明の実施形態5に係る半導体集積回路装置は、前記実施形態1〜4に係る遅延同期回路を半導体集積回路装置に適用したものである。
【0088】
図25に、本発明の実施形態5に係る半導体集積回路装置(LSI)の構成を示す。
【0089】
本実施形態5に係る半導体集積回路装置(LSI)6は、例えば、論理回路(LOGIC)61と遅延同期回路(DLL)10などから構成される。
【0090】
半導体集積回路装置6に外付けされた発振子5から基準信号(Fr)が遅延同期回路10に入力される。遅延同期回路10は、前記実施形態1〜5に記載の遅延同期回路であり、基準信号(Fr)に同期した出力信号(Fo)を生成し、論理回路61に出力する。論理回路61はデータ演算処理を行う回路であり、遅延同期回路10により生成された出力信号(Fo)を動作クロックにして動作する。
【0091】
本発明の前提として検討した図20、図21に記載の遅延同期回路を用いると、遅延同期回路で発生した定常位相誤差は出力信号(Fo)にとってジッタとなり論理回路61の動作マージンを狭めてしまう。
【0092】
また、近年の半導体集積回路装置の高速化によって論理回路61の動作速度を決定する遅延同期回路の出力信号(Fo)が高速化するに従い当該遅延同期回路で発生した定常位相誤差が論理回路61の動作不良を起こす原因ともなる。
【0093】
さらに、当該遅延同期回路に、エッジコンバイナ型遅延同期回路を用いて基準信号(Fr)の逓倍周波数を持つ出力信号(Fo)を生成して論理回路61を高速動作させる半導体集積回路装置においては、当該遅延同回路の定常位相誤差が原因で出力信号(Fo)が所望の周波数にならず、論理回路61が動作できないという不具合が発生するおそれがある。
【0094】
そこで、図25に示すように、前記実施の形態1〜4による遅延同期回路10を用いることで、定常位相誤差を発生することなく出力信号(Fo)を生成できることから、論理回路61の動作不良を起こすことなく半導体集積回路装置6を正常動作させることができるようになる。
【0095】
次に、本実施の形態5に係る半導体集積回路装置の応用例として、前記実施の形態1〜4に係る遅延同期回路を、送受信装置とシステムオンチップに適用した例を説明する。
【0096】
図26に、前記実施の形態1〜4に係る遅延同期回路を用いたUSBトランシーバの構成を示す。
【0097】
本実施の形態5に係る半導体集積回路装置(LSI)6は、例えば、USBトランシーバの物理層(PHY)であり、アナログフロントエンド(AFE)31と、エンコーダ(ENC)32と、デシリアライザ(DES)33と、クロックデータリカバリ(CDR)34,35と、マルチプレクサ(MUX)36と、デコーダ(DEC)37と、シリアライザ(SER)38などから成る論理回路(LOGIC)61と、遅延同期回路(DLL)10などを具備してなり、リンク層(LINK)4から出力された送信信号(TX)は当該デシリアライザ33によってパラレル信号からシリアル信号に変換されてエンコーダ32によって信号処理を行い、アナログフロントエンド31を介してUSBケーブルから出力される。出力の際に、USBトランシーバのモードによってハイスピードモード(HS)、フルスピードモード(FS)の2系統の経路が選択される。一方、USBケーブルから受信した信号はアナログフロントエンド31を介してハイスピードモード(HS)ならクロックデータリカバリ34、フルスピードモード(FS)ならクロックデータリカバリ35にデータが出力される。各クロックデータリカバリ34,35は発振子5の出力信号(Fr)を受けて信号を生成する遅延同期回路(DLL)10の出力信号をクロックとして受けてデータとクロックを同期させ、マルチプレクサ36に信号を出力する。マルチプレクサ36はデコーダ37に選択した信号を出力し、デコーダ37は信号処理をしてシリアライザ38に信号を出力する。シリアライザ38はシリアルデータをパラレルデータに変換してリンク層4に出力する。
【0098】
この半導体集積回路装置(USB物理層)6において、クロックデータリカバリのクロックを生成する遅延同期回路は、前記実施形態1〜4に記載の遅延同期回路が最適である。
【0099】
図27に、前記実施の形態1〜4に係る遅延同期回路を用いたDVDドライブ用LSIの構成を示す。
【0100】
本実施の形態5に係る半導体集積回路装置(LSI)6は、例えば、DVDドライブ用LSIとされ、記録再生部の論理回路(LOGIC)61と、送受信部(ATAPI)62とを具備して成り、ホスト(HOST)9から出力された送信信号(TX)は送受信部62を介して論理回路61内の論理回路611に入力される。論理回路611によって信号処理された送信信号はピックアップ(Pick−up)8を介してメディア7に書込まれる。ここで、論理回路611は遅延同期回路10が生成するクロックを動作クロックとして動作する。この遅延同期回路10は発振子5の出力信号(Fr)を入力して所望の信号を生成する動作を行い、前記実施形態1〜4に記載の遅延同期回路が好適である。
【0101】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0102】
上記各実施形態によれば、(1)遅延同期ループの誤動作を回避することができる、(2)基準信号(Fr)が、位相比較器と遅延線に同じタイミングで入力される、または(3)定常位相誤差が発生しないで所望の出力信号を得ることができる、という効果を奏することとなる。
【0103】
また、本発明の上記各実施形態は、半導体装置、電子機器等の製造業に適用して有効である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の実施形態1による遅延同期回路の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の遅延同期回路で用いられる制御回路の第1構成例を示すブロック図である。
【図3】図2の制御回路の第1構成例を用いた遅延同期回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】図1の遅延同期回路で用いられる制御回路の第2構成例を示すブロック図である。
【図5】図4の制御回路の第2構成例を用いた遅延同期回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】図4の制御回路の第2構成例で用いられるパルス発生器の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態2による遅延同期回路の構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態3による遅延同期回路の構成例を示すブロック図である。
【図9】図7、図8の遅延同期回路で用いられる制御回路の構成例を示すブロック図である。
【図10】図9の制御回路を用いた遅延同期回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図11】本発明の実施形態4による遅延同期回路の構成例を示すブロック図である。
【図12】図11の遅延同期回路で用いられる制御回路の構成例を示すブロック図である。
【図13】図12の制御回路を用いた遅延同期回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図14】図12の制御回路で用いられる遅延回路の構成例を示すブロック図である。
【図15】図1、図7、図11に記載の遅延同期回路に用いられる遅延同期ループの第1構成例を示すブロック図である。
【図16】図1、図7、図11に記載の遅延同期回路に用いられる遅延同期ループの第2構成例を示すブロック図である。
【図17】図1、図8、図11に記載の遅延同期回路に用いられる遅延同期ループの第3構成例を示すブロック図である。
【図18】図15、図16、図17に記載の遅延同期ループに用いられる位相周波数比較器の第1構成例を示すブロック図である。
【図19】図15、図16、図17に記載の遅延同期ループに用いられる位相周波数比較器の第2構成例を示すブロック図である。
【図20】本発明の前提として検討した遅延同期ループの第1構成例を示すブロック図である。
【図21】本発明の前提として検討した遅延同期ループの第2構成例を示すブロック図である。
【図22】遅延同期ループのハーモニックロックを説明するためのタイミングチャートである。
【図23】本発明の前提として検討した遅延同期ループの第1構成例の動作を示すタイミングチャートである。
【図24】本発明の前提として検討した遅延同期ループの第2構成例の動作を示すタイミングチャートである。
【図25】本発明の実施形態5による半導体集積回路装置の構成を示すブロック図である。
【図26】図25に記載の半導体集積回路装置の応用例であるUSBトランシーバの構成例を示すブロック図である。
【図27】図25に記載の半導体集積回路装置の応用例であるDVDドライブ用LSIの構成例を示すブロック図である。
【図28】図6のパルス発生器の動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0105】
1 遅延同期ループ(DL)
2,3 制御回路(CNT)
2a 排他的論理和回路(EXOR)
4 リンク層(LINK)
5 発振子
6 半導体集積回路装置(LSI)
7 メディア
8 ピックアップ(Pick−up)
9 ホスト(HOST)
10 遅延同期回路(DLL)
11 位相周波数比較器(PFD)
11a,11f,11g,111,112,113,114,115,116,117,118,119,244 NANDゲート
11b,11c,11d,11e,212,213,214,215,216,217,218,242,246 インバータ
12 チャージポンプ(CP)
13 ループフィルタ(LF)
14 電圧制御遅延線(VCDL)
15 プリチャージ(PC)
16 エッジコンバイナ(EC)
21 遅延回路(DELAY)
22 トリミング部(TRIM)
23 カウンタ(COUNT)
24 パルス発生器(SHOT)
31 アナログフロントエンド(AFE)
32 エンコーダ(ENC)
33 デシリアライザ(DES)
34,35 クロックデータリカバリ(CDR)
36 マルチプレクサ(MUX)
37 デコーダ(DEC)
38 シリアライザ(SER)
61,611,613 論理回路(LOGIC)
62 送受信部(ATAPI)
241,243 NORゲート
245 Dフリップフロップ(DFF)
247 スタンバイシーケンス回路(SEQ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相比較器と、
前記位相比較器の出力に基づいて基準信号に与える遅延時間を変化させ、遅延された基準信号を出力信号として出力すると共に、前記出力信号を帰還信号として前記位相比較器に与える遅延線と
を具備して成り、
前記位相比較器には、前記基準信号と、前記遅延線からの前記帰還信号と、前記位相比較器が行う前記基準信号と前記帰還信号との位相比較動作の開始タイミングを制御する制御信号とが入力するよう構成され、
前記遅延線に前記基準信号が入力するタイミングと前記位相比較器に前記基準信号が入力するタイミングとが略同じである
ことを特徴とする遅延同期回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御回路は、前記基準信号が入力して前記制御信号を出力する回路であることを特徴とする遅延同期回路。
【請求項3】
請求項2において、
前記制御回路は、カウンタを具備して成り、
前記カウンタにより前記基準信号のエッジをカウントし、前記カウンタのカウント数が設定値に到達するまでは前記制御信号として前記位相比較器が動作しない設定信号を出力し、前記カウンタのカウント数が前記設定値に到達した後、前記制御信号として前記位相比較器が動作する設定信号を出力することを特徴とする遅延同期回路。
【請求項4】
請求項2において、
前記制御回路は、パルス発生器を具備して成り、
前記基準信号の最初の立ち上がりエッジを検知すると、前記パルス発生器によりパルスを生成して前記制御信号として前記パルスを出力し、
前記パルスにより前記位相比較器の動作がリセットされ、それ以降は前記制御信号として前記位相比較器が動作する設定信号を出力することを特徴とする遅延同期回路。
【請求項5】
請求項2において、
前記制御回路は、さらに、前記帰還信号が入力していることを特徴とする遅延同期回路。
【請求項6】
遅延同期ループと、
前記遅延同期ループの動作を制御する制御信号を出力する制御回路と
を具備して成り、
前記遅延同期ループは、基準信号と前記制御信号とが入力して出力信号を出力し、
前記制御回路は、前記基準信号が入力して前記制御信号を出力する回路である
ことを特徴とする遅延同期回路。
【請求項7】
請求項6において、
前記制御回路は、カウンタを具備して成り、
前記カウンタにより前記基準信号のエッジをカウントし、前記カウンタのカウント数が設定値に到達するまでは前記制御信号として前記遅延同期ループが動作しない設定信号を出力し、前記カウンタのカウント数が前記設定値に到達した後、前記制御信号として前記遅延同期ループが動作する設定信号を出力することを特徴とする遅延同期回路。
【請求項8】
請求項6において、
前記制御回路は、パルス発生器を具備して成り、
前記基準信号の最初の立ち上がりエッジを検知すると、前記パルス発生器によりパルスを生成して前記制御信号として前記パルスを出力し、
前記パルスにより前記遅延同期ループの動作がリセットされ、それ以降は前記制御信号として前記遅延同期ループが動作する設定信号を出力することを特徴とする遅延同期回路。
【請求項9】
請求項6において、
前記制御回路は、さらに、前記出力信号が入力していることを特徴とする遅延同期回路。
【請求項10】
請求項6において、
前記遅延同期ループは、さらに、帰還信号を出力し、前記帰還信号が前記制御回路に入力していることを特徴とする遅延同期回路。
【請求項11】
請求項9において、
前記制御回路は、排他的論理和回路とカウンタを具備して成り、
前記排他的論理和回路は、前記基準信号と前記出力信号が入力し、前記排他的論理和回路の出力が前記カウンタに入力し、
前記カウンタにより前記排他的論理和回路の出力をカウントし、前記カウンタのカウント数が設定値に到達するまでは前記制御信号として前記遅延同期ループが動作しない設定信号を出力し、前記カウンタのカウント数が前記設定値に到達した後、前記制御信号として前記遅延同期ループが動作する設定信号を出力することを特徴とする遅延同期回路。
【請求項12】
請求項10において、
前記制御回路は、排他的論理和回路とカウンタを具備して成り、
前記排他的論理和回路は、前記基準信号と前記帰還信号が入力し、前記排他的論理和回路の出力が前記カウンタに入力し、
前記カウンタにより前記排他的論理和回路の出力をカウントし、前記カウンタのカウント数が設定値に到達するまでは前記制御信号として前記遅延同期ループが動作しない設定信号を出力し、前記カウンタのカウント数が前記設定値に到達した後、前記制御信号として前記遅延同期ループが動作する設定信号を出力することを特徴とする遅延同期回路。
【請求項13】
請求項6において、
前記遅延同期ループは、さらに、スタンバイ信号が入力し、
前記制御回路は、さらに、前記スタンバイ信号が入力していることを特徴とする遅延同期回路。
【請求項14】
請求項13において、
前記制御回路は、トリミングレジスタと遅延回路とを具備して成り、
前記トリミングレジスタは、トリミング信号を前記遅延回路に出力し、
前記遅延回路は、前記スタンバイ信号と前記トリミング信号が入力して前記制御信号を出力し、
前記遅延回路は、前記スタンバイ信号を前記トリミング信号で所定時間遅延させた信号を前記制御信号として出力することを特徴とする遅延同期回路。
【請求項15】
請求項6において、
前記遅延同期ループは、位相比較器を具備して成り、
前記基準信号と前記出力信号と前記制御信号が、前記位相比較器に入力し、
前記位相比較器は、前記制御信号により、前記基準信号と前記出力信号の位相を比較することを特徴とする遅延同期回路。
【請求項16】
遅延同期ループと、前記遅延同期ループの動作を制御する制御信号を出力する制御回路とを具備して成る遅延同期回路と、
前記遅延同期回路の出力信号が入力する論理回路と
を有し、
前記遅延同期ループは、基準信号と前記制御信号とが入力して出力信号を出力し、
前記制御回路は、前記基準信号が入力して前記制御信号を出力する回路である
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項17】
請求項16において、
前記制御回路は、カウンタを具備して成り、
前記カウンタにより前記基準信号のエッジをカウントし、前記カウンタのカウント数が設定値に到達するまでは前記制御信号として前記遅延同期ループが動作しない設定信号を出力し、前記カウンタのカウント数が前記設定値に到達した後、前記制御信号として前記遅延同期ループが動作する設定信号を出力することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項18】
請求項16において、
前記制御回路は、パルス発生器を具備して成り、
前記基準信号の最初の立ち上がりエッジを検知すると、前記パルス発生器によりパルスを生成して前記制御信号として前記パルスを出力し、
前記パルスにより前記遅延同期ループの動作がリセットされ、それ以降は前記制御信号として前記遅延同期ループが動作する設定信号を出力することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項19】
請求項16において、
前記制御回路は、さらに、前記出力信号が入力していることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項20】
請求項16において、
前記遅延同期ループは、さらに、帰還信号を出力し、前記帰還信号が前記制御回路に入力していることを特徴とする半導体集積回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2007−243877(P2007−243877A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67243(P2006−67243)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】